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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024146214
(43)【公開日】2024-10-15
(54)【発明の名称】樹脂微粒子
(51)【国際特許分類】
   C08F 20/10 20060101AFI20241004BHJP
   C09D 11/30 20140101ALN20241004BHJP
【FI】
C08F20/10
C09D11/30
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023058989
(22)【出願日】2023-03-31
(71)【出願人】
【識別番号】000004086
【氏名又は名称】日本化薬株式会社
(72)【発明者】
【氏名】塩崎 啓史
(72)【発明者】
【氏名】永塚 由桂
(72)【発明者】
【氏名】関根 健二
(72)【発明者】
【氏名】酒井 恵
【テーマコード(参考)】
4J039
4J100
【Fターム(参考)】
4J039AD03
4J039AD09
4J039EA23
4J039EA46
4J039FA02
4J039GA24
4J100AB02T
4J100AJ02S
4J100AJ02T
4J100AL03Q
4J100AL03S
4J100AL04P
4J100AL05Q
4J100AL09R
4J100CA03
4J100CA06
4J100DA49
4J100EA09
4J100JA07
(57)【要約】
【課題】
本発明は、画像折れ曲げ耐性と耐ブロッキング性に優れた、樹脂微粒子及びインクジェットインクの提供を課題とする。
【解決手段】
アクリル樹脂、アクリルスチレン樹脂からなる群から選択されるいずれか樹脂を少なくとも含む樹脂微粒子であって、該樹脂微粒子の動的粘弾性測定法での20℃における貯蔵弾性率G1が、1.0×10Pa以上1.0×10Pa以下であり、該樹脂微粒子の動的粘弾性測定法での70℃における貯蔵弾性率G2が、1.0×10Pa以下であることを特徴とする樹脂微粒子。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
アクリル樹脂、アクリルスチレン樹脂からなる群から選択されるいずれか樹脂を少なくとも含む樹脂微粒子であって、該樹脂微粒子の動的粘弾性測定法での20℃における貯蔵弾性率G1が、1.0×10Pa以上1.0×10Pa以下であり、該樹脂微粒子の動的粘弾性測定法での70℃における貯蔵弾性率G2が、1.0×10Pa以下であることを特徴とする樹脂微粒子。
【請求項2】
前記樹脂微粒子の酸価が10~120mgKOH/gである、請求項1に記載の樹脂微粒子。
【請求項3】
前記樹脂微粒子の酸価と水酸基価の関係が、酸価/水酸基価で求められる値が0.5~2.0の範囲となる条件を満たす、請求項1または請求項2に記載の樹脂微粒子。
【請求項4】
前記樹脂微粒子の平均粒子径が、20~400nm範囲である、請求項1または請求項2に記載の樹脂微粒子。
【請求項5】
前記樹脂微粒子の構成モノマー総質量を100とした場合、C4~C19の側鎖成分を持つモノマーを50~90の質量で含む、請求項1または請求項2に記載の樹脂微粒子。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、樹脂微粒子に関する。
【背景技術】
【0002】
各種のカラー記録方法の中でも代表的方法の1つであるインクジェットプリンタによる記録方法(インクジェット記録方法)は、インクの小滴を発生させ、これを紙等の印刷メディアに付着させ記録を行うものである。近年では商業用途や産業用途での需要が高まり、様々な印刷メディアに対して印刷ができるインクが求められている。
【0003】
カタログ、パンフレット等の商業分野では、コート紙やアート紙といった、普通紙に比べてインク吸収性の低い印刷メディア(以下、「インク難吸収性メディア」ともいう。)が用いられることが多い。また、屋外サイネージ、食品軟包装等の産業分野では、塩化ビニルフィルム、PET(ポリエチレンテレフタレート)フィルム、ポリオレフィンフィルムといった、インク非吸収性の印刷メディア(以下、「インク非吸収性メディア」ともいう。)が用いられることが多い。
【0004】
インク難吸収性メディア及びインク非吸収性メディアに対しては、有機溶剤を主溶媒とした溶剤インクや、重合性モノマーを含有させた硬化性インク等の開発が進められてきた。しかし、これらのインクは、自然環境や人体への安全性の問題が多い。そこで、近年は、水を主溶媒とした水性インクの開発が盛んになってきている。
【0005】
水性インクは、重合性モノマーを使用しないため、画像耐久性の品質を確保するには結着剤となる樹脂微粒子の使用が一般的である。しかしながら、水中に分散している粒子は乾燥時に造膜が遅く、粒子同士融着させる必要があり、重合性モノマーと比較して画像耐久性が落ちる傾向にあり、様々な手法で画像耐久性の改善を行ってきた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2014-65826号公報
【特許文献2】特開2017-88850号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、画像折れ曲げ耐性と耐ブロッキング性に優れた、樹脂微粒子及びインクジェットインクの提供を課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明者らは、上記の課題を解決すべく鋭意研究を重ねた結果、アクリル樹脂、アクリルスチレン樹脂からなる群から選択されるいずれか樹脂を少なくとも含む樹脂微粒子であって、該樹脂微粒子の動的粘弾性測定法での20℃における貯蔵弾性率G1が、1.0×10Pa以上1.0×10Pa以下であり、該樹脂微粒子の動的粘弾性測定法での70℃における貯蔵弾性率G2が、1.0×10Pa以下であることを特徴とする樹脂微粒子が、上記課題を解決できることを見出し、本発明を完成させた。
【0009】
即ち本発明は、以下の1)~5)に関する。
1)
アクリル樹脂、アクリルスチレン樹脂からなる群から選択されるいずれか樹脂を少なくとも含む樹脂微粒子であって、該樹脂微粒子の動的粘弾性測定法での20℃における貯蔵弾性率G1が、1.0×10Pa以上1.0×10Pa以下であり、該樹脂微粒子の動的粘弾性測定法での70℃における貯蔵弾性率G2が、1.0×10Pa以下であることを特徴とする樹脂微粒子。
2)
前記樹脂微粒子の酸価が10~120mgKOH/gである、1)に記載の樹脂微粒子。
3)
前記樹脂微粒子の酸価と水酸基価の関係が、酸価/水酸基価で求められる値が0.5~2.0の範囲となる条件を満たす、1)または2)に記載の樹脂微粒子。
4)
前記樹脂微粒子の平均粒子径が、20~400nm範囲である、1)~3)のいずれか一項に記載の樹脂微粒子。
5)
前記樹脂微粒子の構成モノマー総質量を100とした場合、C4~C19の側鎖成分を持つモノマーを50~90の質量で含む、1)~4)のいずれか一項に記載の樹脂微粒子。
【発明の効果】
【0010】
本発明により、画像折れ曲げ耐性及び耐ブロッキング性に優れたインクを提供できた。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明を適用した具体的な実施形態について詳細に説明する。
本明細書において、「C.I.」とは、「カラーインデックス」を意味する。「(メタ)アクリル」は、「アクリル」と「メタクリル」の両方を含む意味で用いる。「(メタ)アクリレート」等も同様である。また、上記樹脂微粒子を、樹脂微粒子あるいは微粒子と略記する場合がある。
【0012】
<樹脂微粒子>
本実施形態に係る樹脂微粒子は、アクリル樹脂、アクリルスチレン樹脂からなる群から選択されるいずれか樹脂を少なくとも含み、該樹脂微粒子の動的粘弾性測定法での20℃における貯蔵弾性率G1が、1.0×10Pa以上1.0×10Pa以下であり、該樹脂微粒子の動的粘弾性測定法での70℃における貯蔵弾性率G2が、1.0×10Pa以下であることを特徴とする。
【0013】
<樹脂>
上記アクリル樹脂、アクリルスチレン樹脂とは、それぞれラジカル重合性モノマーより得られる樹脂である。アクリル樹脂は、(メタ)アクリル酸あるいは(メタ)アクリル酸エステル類モノマーをラジカル重合反応した樹脂であり、例えば、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸n-プロピル、アクリル酸n-ブチル、アクリル酸ラウリル、アクリル酸2-エチルヘキシル、アクリル酸ステアリル、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸n-プロピル、メタクリル酸ラウリル、メタクリル酸2-エチルヘキシル、メタクリル酸ステアリル等が挙げられる。特に、C4~C19を持つ(メタ)アクリル酸が望ましい。アクリルスチレン樹脂は、上記アクリル酸エステル類とスチレン類をラジカル重合反応した樹脂であり、スチレン類は例えばスチレン、パラクロロスチレン、α-メチルスチレン等があげられる。特にスチレン、α-メチルスチレンが望ましい。また、酸価付与モノマーや水酸基付与モノマーを共重合してもよい。酸価付与モノマーとしてアクリル酸、メタクリル酸、カルボキシエチルアクリレート、カルボキシプロピルアクリレート等があげられる。上記樹脂微粒子の酸価は5~150mgKOH/gであることが望ましく、10~120mgKOH/gであることがより望ましく、粒子安定性の観点から15~100mgKOH/gがさらに望ましい。水酸基付与モノマーとしては2-ヒドロキシルエチルアクリレート、2-ヒドキシルエチルメタクリレート、ヒドロキシプロピルアクリレート、ヒドキシプロピルメタクリレート、ヒドロキシブチルアクリレート、ヒドロキシブチルメタクリレート等があげられる。重合性の観点から2-ヒドロキシエチルメタクリレートもしくは、ヒドロキシル基を持つ鎖の長さがC3~C5を持つ(メタ)アクリル酸エステルが望ましい。
また、上記樹脂微粒子が、水酸基を有する場合、酸価と水酸基価の関係が、酸価/水酸基価で求められる値が0.5~2.0の範囲となる条件を満たすことが好ましい。
上記水酸基価は、試料1gをアセチル化させたとき、水酸基と結合した酢酸を中和するのに必要とする水酸化カリウムのmg数を指し、JIS K0070により測定されたものである。
【0014】
<貯蔵弾性率G1、G2>
本実施形態において貯蔵弾性率G1及びG2は、正弦波振動法によりTAインスツルメント社製ARES-GII測定装置を用いて測定する。測定用の試料としては、当該インクジェット用樹脂微粒子を凍結乾燥させ粉末化する。その粉末を0.5g程度圧縮固化してペレット状にした試料を用いる。試料を8mm径のパラレルプレートに挟み、30℃乃至120℃の熱を印加してパラレルプレートに接着させる。パラレルプレートに接着させた試料を10℃まで冷却し、10℃で1分間保持する。続いて、昇温速度2℃/分で30℃から90℃まで昇温した。この間、試料温度が10℃になった時点から継続して、周波数1Hzで正弦波振動を与える。その結果を基に、30℃時点の貯蔵弾性率をG1とし、70℃時点の貯蔵弾性率をG2とする。
上記樹脂微粒子のG1としては、7.0×10Pa以上1.0×10Pa以下であることが好ましい。
上記樹脂微粒子のG2としては、1.0×10Pa以下が好ましい。
【0015】
上記樹脂微粒子は、貯蔵弾性率G1及びG2を上記範囲とすることにより、画像折れ曲げ耐性とブロッキング性とに優れるインクジェットインクの提供を可能とする。樹脂微粒子のG1が1.0×10Pa以下でありかつG2が1.0×10Paより低くなると、画像折り曲げが良好な印刷膜を得る。即ち、印刷膜の伸びが出るため画像折り曲げた際に基材と追従するため良好となる。
一方、G1が1.0×10Pa以上であるとブロッキング性が良好な印刷膜を得ることができる。
【0016】
上記樹脂微粒子の平均粒子径は、特に限定は無いが、20~400nmの範囲であることが好ましく、50~250nmの範囲であることがより好ましい。
【0017】
上記樹脂微粒子を得る方法としては、例えば、水を分散媒として分散した樹脂エマルションの状態で、乳化重合法、懸濁重合法など合成と微粒子を同時に行う手法、樹脂をあらかじめ合成し、溶剤に溶解したのち、界面活性剤等を利用して乳化する、転相乳化法、懸濁乳化法手法、熱溶融したところに界面活性剤を入れ混錬したところに水を入れる乳化法などで微粒子化する手法等を用いてもよい。また、これらは、1種を単独で用いても、2種類以上の樹脂粒子を組み合わせて用いてもよい。
【0018】
上記樹脂微粒子を含むインクジェットインク(以下、インクと略記する場合がある)、該インクを複数含むインクセット、該インクと他のインクを含むインクセット、該インクを用いて得られた印刷物、該インクを用いて印刷物を得る印刷方法、も本願発明に含まれる。
【0019】
上記樹脂微粒子を含むインクジェットインクは、上記樹脂微粒子以外に、さらに着色剤を含んでいても良い。着色剤としては、特に限定は無いが、顔料、分散染料等が挙げられる。
【0020】
上記インクは、着色剤を含んでいても良い。着色剤としては、特に限定は無いが、顔料、分散染料等が挙げられる。
【0021】
上記顔料としては、無機顔料、有機顔料、体質顔料、中空粒子等が挙げられる。
無機顔料としては、例えば、カーボンブラック、金属酸化物、金属水酸化物、金属硫化物、金属フェロシアン化物、金属塩化物等が挙げられる。
【0022】
本実施形態に係るインクが黒インクであり、且つ、着色剤が無機顔料である場合、該黒インクが含有する無機顔料としては、サーマルブラック、アセチレンブラック、オイルファーネスブラック、ガスファーネスブラック、ランプブラック、ガスブラック、チャンネルブラック等のカーボンブラックが好ましい。カーボンブラックの具体例としては、例えば、コロンビア・カーボン社製のRavenシリーズ;キャボット社製のMonarchシリーズ、Regalシリーズ、及びMogulシリーズ;オリオンエンジニアドカーボンズ社製のHiBlackシリーズ、ColorBlackシリーズ、Printexシリーズ、SpecialBlackシリーズ、及びNeroxシリーズ;三菱ケミカル(株)製のMAシリーズ、MCFシリーズ、No.25、No.33、No.40、No.47、No.52、No.900、及びNo.2300;等が挙げられる。
【0023】
本実施形態に係るインクが白インクであり、且つ、着色剤が無機顔料である場合、該白インクが含有する無機顔料としては、亜鉛、シリコン、アルミニウム、チタン、ストロンチウム、ジルコニウム等の金属の酸化物、窒化物、又は酸化窒化物;ガラス、シリカ等の無機化合物;などが挙げられる。これらの中でも、二酸化チタン及び酸化亜鉛が好ましい。
【0024】
有機顔料としては、例えば、アゾ、ジスアゾ、フタロシアニン、キナクリドン、イソインドリノン、ジオキサジン、ペリレン、ペリノン、チオインジゴ、アンソラキノン、キノフタロン等の各種の顔料が挙げられる。
【0025】
有機顔料の具体例としては、例えば、C.I.Pigment Yellow 1、2、3、12、13、14、16、17、24、55、73、74、75、83、93、94、95、97、98、108、114、128、129、138、139、150、151、154、155、180、185、193、199、202、213等のイエロー顔料;C.I.Pigment Red 5、7、12、48、48:1、57、88、112、122、123、146、149、150、166、168、177、178、179、184、185、202、206、207、254、255、257、260、264、269、272等のレッド顔料;C.I.Pigment Blue 1、2、3、15、15:1、15:2、15:3、15:4、15:6、16、22、25、60、66、80等のブルー顔料;C.I.Pigment Violet 19、23、29、37、38、50等のバイオレット顔料;C.I.Pigment Orange 13、16、43、68、69、71、73等のオレンジ顔料;C.I.Pigment Green 7、36、54等のグリーン顔料;C.I.Pigment Black 1等のブラック顔料;などが挙げられる。これらの中でも、C.I.Pigment Blue 15:4が好ましい。
【0026】
体質顔料としては、例えば、シリカ、炭酸カルシウム、タルク、クレー、硫酸バリウム、ホワイトカーボン等が挙げられる。体質顔料は、他の着色剤と併用されることが多い。
【0027】
中空粒子としては、例えば、米国特許第4880465号明細書、特許第3562754号公報、特許第6026234号公報、特許第5459460号公報、特開2003-268694号公報、特許第4902216号公報等に記載されている公知の中空粒子を用いることができ、特に、白色顔料として用いることが好ましい。
【0028】
分散染料としては、例えば、C.I.Dispersから選択される染料が好ましい。その具体例としては、例えば、C.I.Dispers Yellow 9、23、33、42、49、54、58、60、64、66、71、76、79、83、86、90、93、99、114、116、119、122、126、149、160、163、165、180、183、186、198、200、211、224、226、227、231、237等のイエロー染料;C.I.Dispers Red 60、73、88、91、92,111、127、131、143、145、146、152、153、154、167、179、191、192、206、221、258、283等のレッド染料;C.I.Dispers Orange 9、25、29、30、31、32、37、38、42、44、45、53、54、55、56、61、71、73、76、80、96、97等のオレンジ染料;C.I.Dispers Violet 25、27、28、54、57、60、73、77、79、79:1等のバイオレット染料;C.I.Dispers Blue 27、56、60、79:1、87、143、165、165:1、165:2、181、185、197、202、225、257、266、267、281、341、353、354、358、364、365、368等のブルー染料;などが挙げられる。
【0029】
着色剤の平均粒径は、30~300nmであることが好ましく、50~250nmであることがより好ましい。本明細書において平均粒径とは、レーザ光散乱法を用いて測定した粒子の平均粒径を指す。
【0030】
着色剤の含有率は、本実施形態に係るインクの総質量に対して、1~30質量%であることが好ましく、1~10質量%であることがより好ましく、2~8質量%であることがさらに好ましい。
【0031】
上記着色剤は、上記顔料及び上記分散染料以外のその他の染料をさらに含んでいても良い。
上記その他の染料としては、例えば、溶剤染料、直接染料、酸性染料、反応染料等が挙げられる。
【0032】
上記インクが、上記着色剤を複数種含む場合、それぞれの着色剤の配合比は、目的に応じ任意に設定可能である。また、上記着色剤に加え、上記その他の染料を含む場合、上記着色剤の総量と、上記その他の染料の総量との配合比も任意の割合で設定可能である。
【0033】
上記インクは、有機溶剤を含んでいても良い、有機溶剤としては、特に制限されず、水溶性有機溶剤を用いることが好ましい。例えば、多価アルコール類、多価アルコールアルキルエーテル類や多価アルコールアリールエーテル類などのエーテル類、含窒素複素環化合物、アミド類、アミン類、含硫黄化合物類などが挙げられる。
水溶性有機溶剤の具体例としては、例えば、エチレングリコール、ジエチレングリコール、1,2-プロパンジオール、1,3-プロパンジオール、1,2-ブタンジオール、1,3-ブタンジオール、1,4-ブタンジオール、2,3-ブタンジオール、3-メチル-1,3-ブタンジオール、トリエチレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、1,2-ペンタンジオール、1,3-ペンタンジオール、1,4-ペンタンジオール、2,4-ペンタンジオール、1,5-ペンタンジオール、1,2-ヘキサンジオール、1,6-ヘキサンジオール、1,3-ヘキサンジオール、2,5-ヘキサンジオール、1,5-ヘキサンジオール、グリセリン、1,2,6-ヘキサントリオール、2-エチル-1,3-ヘキサンジオール、エチル-1,2,4-ブタントリオール、1,2,3-ブタントリオール、2,2,4-トリメチル-1,3-ペンタンジオール、ペトリオール等の多価アルコール類、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、テトラエチレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル等の多価アルコールアルキルエーテル類、エチレングリコールモノフェニルエーテル、エチレングリコールモノベンジルエーテル等の多価アルコールアリールエーテル類、2-ピロリドン、N-メチル-2-ピロリドン、N-ヒドロキシエチル-2-ピロリドン、1,3-ジメチル-2-イミダゾリジノン、ε-カプロラクタム、γ-ブチロラクトン等の含窒素複素環化合物、ホルムアミド、N-メチルホルムアミド、N,N-ジメチルホルムアミド、3-メトキシ-N,N-ジメチルプロピオンアミド、3-ブトキシ-N,N-ジメチルプロピオンアミド等のアミド類、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエチルアミン等のアミン類、ジメチルスルホキシド、スルホラン、チオジエタノール等の含硫黄化合物、プロピレンカーボネート、炭酸エチレンなどが挙げられる。湿潤剤として機能するだけでなく、良好な乾燥性を得られることから、沸点が250℃以下の有機溶剤を用いることが好ましい。
【0034】
炭素数8以上のポリオール化合物、及びグリコールエーテル化合物も好適に使用される。炭素数8以上のポリオール化合物の具体例としては、2-エチル-1,3-ヘキサンジオール、2,2,4-トリメチル-1,3-ペンタンジオールなどが挙げられる。グリコールエーテル化合物の具体例としては、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、テトラエチレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル等の多価アルコールアルキルエーテル類;エチレングリコールモノフェニルエーテル、エチレングリコールモノベンジルエーテル等の多価アルコールアリールエーテル類などが挙げられる。
【0035】
炭素数8以上のポリオール化合物、及びグリコールエーテル化合物は、記録媒体として紙を用いた場合に、インクの浸透性を向上させることができる。
【0036】
有機溶剤のインク中における含有量は、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、インクの乾燥性及び吐出信頼性の点から、10質量%以上60質量%以下が好ましく、20質量%以上60質量%以下がより好ましい。
【0037】
上記インクは、樹脂を含んでいても良い。樹脂としては、上記樹脂微粒子以外であれば特に限定は無いが、例えば、ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂等が挙げられる。
【0038】
上記インクは、水を含んでいても良い。水としては、金属イオン等の不純物の含有量が少ない水、すなわち、イオン交換水、蒸留水等が好ましい。水の含有量は、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、インクの乾燥性及び吐出信頼性の点から、10質量%以上90質量%以下が好ましく、20質量%以上60質量%以下がより好ましい。
【0039】
上記インクは、例えば、ワックス、分散剤、保湿剤、防腐防黴剤、pH調整剤、キレート剤、防錆剤、水溶性紫外線吸収剤、水溶性高分子化合物、酸化防止剤及び/又は界面活性剤等のインク調製剤を、その他の成分として含むことができる。
【0040】
[ワックス]
上記インクは、ワックスを添加することができる。
【0041】
上記ワックスの形態として、ワックスエマルジョンが好ましく、水系ワックスエマルジョンであることが特に好ましい。ワックスエマルジョンとしては、天然ワックス及び化学合成ワックスを用いることができる。天然ワックスとしては、石油系ワックスであるパラフィンワックス、マイクロクリスタリンワックス等、褐炭系ワックスであるモンタンワックス等、あるいは植物系ワックスであるカルナバワックス、キャンデリアワックス等、動植物系ワックスである蜜蝋、ラノリン等を水性媒体中に分散させたエマルジョン、化学合成ワックスとしてはホモポリマーワックスであるポリエチレンワックスやポリプロピレンワックスなどのポリアルキレンワックスやそれらの酸化型である酸化ポリアルキレンワックス、フィッシャートロップ等、コポリマーワックスであるエチレン酢酸ビニル、エチレンアクリル酸、エステルワックス等を水性媒体中に分散させたエマルジョン等が挙げられる。それらのワックスの中で、ポリアルキレンワックス、酸化ポリアルキレンワックス、及びパラフィンワックスであることが好ましい。これらのワックスは単独で用いても良いし、組み合わせて用いてもよい。
【0042】
ワックスの添加量は通常、0.01~3.0質量%であり、0.1~1.5質量%であることがより好ましい。
【0043】
[分散剤]
上記インクは、着色剤を分散させるために、一種類以上の分散剤を含有することが好ましい。本発明の別の様態としては着色剤として自己分散性の色材を使用することで、分散剤を用いることなしに分散させることが挙げられる。分散剤としては特に制限されず、高分子分散剤等の公知の分散剤を使用することができる。高分子分散剤としては、上記バインダー及びワックス以外であり、例えば、スチレン及びその誘導体;ビニルナフタレン及びその誘導体;α,β-エチレン性不飽和性カルボン酸の脂肪族アルコールエステル;(メタ)アクリル酸及びその誘導体;マイレン酸及びその誘導体;イタコン酸及びその誘導体;ファール酸及びその誘導体;酢酸ビニル、ビニルアルコール、ビニルピロリドン、アクリルアミド、及びそれらの誘導体;等のモノマーから選択される少なくとも2種類のモノマー(好ましくは、このうち少なくとも1種類が親水性のモノマー)から構成される共重合体が挙げられる。そのような共重合体としては、例えば、スチレン-(メタ)アクリル酸共重合体、スチレン-(メタ)アクリル酸-(メタ)アクリル酸エステル共重合体、(メタ)アクリル酸エステル-(メタ)アクリル酸共重合体、ポリエチレングリコール(メタ)アクリレート-(メタ)アクリル酸共重合体、スチレン-マレイン酸共重合体等が挙げられる。これらの中でも、スチレン-(メタ)アクリル酸共重合体、スチレン-(メタ)アクリル酸-(メタ)アクリル酸エステル共重合体、及び(メタ)アクリル酸エステル-(メタ)アクリル酸共重合体が好ましく、(メタ)アクリル酸エステル-(メタ)アクリル酸共重合体がより好ましく、メタクリル酸エステル-メタクリル酸共重合体がさらに好ましい。共重合体の種類としては、例えば、ブロック共重合体、ランダム共重合体、及びグラフト共重合体等が挙げられる。これらの共重合体は、塩の形態であってもよい。
【0044】
分散剤は、市販品として入手することも合成することもできる。
【0045】
市販品として入手可能な分散剤としては、例えば、Joncyrl 62、67、68、678、687(BASF社製のスチレン-アクリル系共重合体);モビニールS-100A(ジャパンコーティングレジン(株)製の変性酢酸ビニル共重合体);ジュリマーAT-210(東亜合成(株)製のポリアクリル酸エステル共重合体);等が挙げられる。
【0046】
合成により得られる分散剤としては、例えば、国際公開第2013/115071号に開示されたA-Bブロックポリマーが挙げられる。国際公開第2013/115071号に開示されたA-BブロックポリマーのAブロックを構成するモノマーは、(メタ)アクリル酸、及び直鎖状又は分岐鎖状のC4アルキル(メタ)アクリレートから選択される少なくとも1種類のモノマーであり、メタクリル酸及びn-ブチルメタクリレートから選択される少なくとも1種類のモノマーが好ましく、これら2種類のモノマーを併用するのがより好ましい。また、国際公開第2013/115071号に開示されたA-BブロックポリマーのBブロックを構成するモノマーは、ベンジルメタクリレート及びベンジルアクリレートから選択される少なくとも1種類のモノマーであり、ベンジルメタクリレートが好ましい。A-Bブロックポリマーの具体例としては、国際公開第2013/115071号の合成例3~8に開示されたブロック共重合体が挙げられる。
【0047】
分散剤の酸価は、通常90~200mgKOH/gであり、好ましくは100~150mgKOH/g、より好ましくは100~120mgKOH/gである。
【0048】
分散剤を水に均一に分散させるため、中和剤を使用してもよい。中和剤としては、例えば、アンモニア、アルカリ金属の水酸化物、アルカリ土類金属の水酸化物、脂肪族アミン化合物、アルカノールアミン化合物等が挙げられる。これらの中でも、アンモニア及びアルカリ金属の水酸化物が好ましく、アンモニアがより好ましい。中和剤の使用量の目安としては、分散剤の酸価の理論等量で中和したときを100%中和度として、通常30~300%中和度であり、好ましくは50~200%中和度である。
【0049】
分散剤の質量平均分子量は、通常10000~60000であり、好ましくは10000~40000、より好ましくは15000~30000、さらに好ましくは20000~25000である。分散剤の質量平均分子量は、ゲルパーミュエーションクロマトグラフ法(GPC法)により測定することができる。具体的には、GPC装置としてHLC-8320GPC(東ソー(株)製)を用い、カラムとしてTSK gel Super MultIpore HZ-H(東ソー(株)製、内径4.6mm×15cm)を2本用い、溶離液としてテトラヒドロフランを用い、標準試料としてTSK Standard(東ソー(株)製)を用いて測定することができる。
【0050】
分散剤のPDI(質量平均分子量/数平均分子量)は、1.29~1.49程度であることが好ましい。上記のような範囲とすることにより、インクの分散性及び保存安定性が良好になる傾向にある。
【0051】
分散剤は、着色剤と混合した状態で使用することができる。また、着色剤の表面の一部又は全部を分散剤で被覆した状態で使用することもできる。あるいは、これらの両方の状態を併用してもよい。
【0052】
着色剤の総質量に対する分散剤の総質量の比は、0.01~1.0であることが好ましく、より好ましくは0.05~0.6、さらに好ましくは0.1~0.5である。
【0053】
保湿剤の具体例としては、グリセリン、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、ポリプロピレングリコール、1,3-プロパンジオール、1,4-ブタンジオール、1,5-ペンタンジオール1,6-ヘキサンジオール、1,2,6-ヘキサントリオール、ペンタエリスリトール等のポリオール類;2-ピロリドン、N-メチル-2-ピロリドン等の環状アミド類;尿素、チオ尿素、エチレン尿素、1,3-ジメチルイミダゾリジノン類等の尿素類;ε-カプロラクタム等のラクタム類;トリメチロールプロパン、トリメチロールエタン等の固体のグリセリン類;マルチトール、ソルビトール、グルコノラクトン、マルトース等の糖類;等が挙げられる。
【0054】
防腐防黴剤の具体例としては、例えば有機硫黄系、有機窒素硫黄系、有機ハロゲン系、ハロアリールスルホン系、ヨードプロパギル系、ハロアルキルチオ系、ニトリル系、ピリジン系、8-オキシキノリン系、ベンゾチアゾール系、イソチアゾリン系、ジチオール系、ピリジンオキシド系、ニトロプロパン系、有機スズ系、フェノール系、第4アンモニウム塩系、トリアジン系、チアジン系、アニリド系、アダマンタン系、ジチオカーバメイト系、ブロム化インダノン系、ベンジルブロムアセテート系又は無機塩系等の化合物が挙げられる。
【0055】
有機ハロゲン系化合物の具体例としては、例えばペンタクロロフェノールナトリウムが挙げられる。ピリジンオキシド系化合物の具体例としては、例えば2-ピリジンチオール-1-オキサイドナトリウムが挙げられる。
【0056】
イソチアゾリン系化合物としては、例えば1,2-ベンズイソチアゾリン-3-オン、2-n-オクチル-4-イソチアゾリン-3-オン、5-クロロ-2-メチル-4-イソチアゾリン-3-オン、5-クロロ-2-メチル-4-イソチアゾリン-3-オンマグネシウムクロライド、5-クロロ-2-メチル-4-イソチアゾリン-3-オンカルシウムクロライド、2-メチル-4-イソチアゾリン-3-オンカルシウムクロライド等が挙げられる。
【0057】
その他の防腐防黴剤の具体例としては無水酢酸ナトリウム、ソルビン酸ナトリウム、安息香酸ナトリウム、p-ヒドロキシ安息香酸エチルエステル、及び、アーチケミカル社製の商品名プロクセルGXL(S)、プロクセルXL-2(S)等が挙げられる。
【0058】
pH調整剤としては、調製されるインクに悪影響を及ぼさずに、インクのpHを上記の範囲に制御できるものであれば任意の物質を使用することができる。その具体例としては、上記の中和剤;炭酸リチウム、炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸カリウム等のアルカリ金属の炭酸塩;ケイ酸ナトリウム、酢酸カリウム等の有機酸のアルカリ金属塩;リン酸二ナトリウム等の無機塩基;等が挙げられる。
【0059】
キレート剤の具体例としては、例えばエチレンジアミン四酢酸二ナトリウム、ニトリロ三酢酸ナトリウム、ヒドロキシエチルエチレンジアミン三酢酸ナトリウム、ジエチレントリアミン五酢酸ナトリウム、及びウラシル二酢酸ナトリウム等が挙げられる。
【0060】
防錆剤の具体例としては、例えば、酸性亜硫酸塩、チオ硫酸ナトリウム、チオグリコール酸アンモニウム、ジイソプロピルアンモニウムナイトライト、四硝酸ペンタエリスリトール、及びジシクロヘキシルアンモニウムナイトライト等が挙げられる。
【0061】
水溶性紫外線吸収剤の例としては、例えばスルホ化したベンゾフェノン系化合物、ベンゾトリアゾ-ル系化合物、サリチル酸系化合物、桂皮酸系化合物、及びトリアジン系化合物が挙げられる。
【0062】
水溶性高分子化合物の具体例としては、上記バインダー、上記ワックス及び上記分散剤以外であり、例えば、ポリエチレングリコール、ポリビニルアルコール、セルロース誘導体、ポリアミン、及びポリイミン等が挙げられる。
【0063】
酸化防止剤の例としては、例えば、各種の有機系及び金属錯体系の褪色防止剤を使用することができる。前記有機系の褪色防止剤の例としては、ハイドロキノン類、アルコキシフェノール類、ジアルコキシフェノール類、フェノール類、アニリン類、アミン類、インダン類、クロマン類、アルコキシアニリン類、及び複素環類等が挙げられる。
【0064】
界面活性剤の例としてはアニオン、カチオン、両性、ノニオン、シリコーン系、及びフッ素系の公知の各界面活性剤が挙げられ、これらの中から1種類以上を選択して使用することができる。
【0065】
アニオン界面活性剤としてはアルキルスルホカルボン酸塩、α-オレフィンスルホン酸塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテル酢酸塩、N-アシルアミノ酸又はその塩、N-アシルメチルタウリン塩、アルキル硫酸塩ポリオキシアルキルエーテル硫酸塩、アルキル硫酸塩ポリオキシエチレンアルキルエーテル燐酸塩、ロジン酸石鹸、ヒマシ油硫酸エステル塩、ラウリルアルコール硫酸エステル塩、アルキルフェノール型燐酸エステル、アルキル型燐酸エステル、アルキルアリールスルホン酸塩、ジエチルスルホ琥珀酸塩、ジエチルヘキシルスルホ琥珀酸塩、ジオクチルスルホ琥珀酸塩等が挙げられる。
【0066】
カチオン界面活性剤としては2-ビニルピリジン誘導体、ポリ4-ビニルピリジン誘導体等が挙げられる。
【0067】
両性界面活性剤としてはラウリルジメチルアミノ酢酸ベタイン、2-アルキル-N-カルボキシメチル-N-ヒドロキシエチルイミダゾリニウムベタイン、ヤシ油脂肪酸アミドプロピルジメチルアミノ酢酸ベタイン、ポリオクチルポリアミノエチルグリシン、イミダゾリン誘導体等が挙げられる。
【0068】
ノニオン界面活性剤としては、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンオクチルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンドデシルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンオレイルエーテル、ポリオキシエチレンラウリルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルエーテル等のエーテル系;ポリオキシエチレンオレイン酸エステル、ポリオキシエチレンジステアリン酸エステル、ソルビタンラウレート、ソルビタンモノステアレート、ソルビタンモノオレエート、ソルビタンセスキオレエート、ポリオキシエチレンモノオレエート、ポリオキシエチレンステアレート等のエステル系;2,4,7,9-テトラメチル-5-デシン-4,7-ジオール、3,6-ジメチル-4-オクチン-3,6-ジオール、3,5-ジメチル-1-ヘキシン-3-オール等のアセチレングリコール(アルコール)系;日信化学株式会社製の商品名サーフィノール104、105PG50、82、420、440、465、485、DF-110D、オルフィンSTG;SIGMA-ALDRICH社製のTergItol15-S-7等のポリグリコールエーテル系;等が挙げられる。
【0069】
シリコーン系界面活性剤としては、ポリエーテル変性シロキサン、ポリエーテル変性ポリジメチルシロキサン等が挙げられる。その一例としては、エアープロダクツ社製のダイノール960、ダイノール980、日信化学株式会社製のシルフェイスSAG001、シルフェイスSAG002、シルフェイスSAG003、シルフェイスSAG005、シルフェイスSAG503A、シルフェイスSAG008、シルフェイスSAG009、シルフェイスSAG010、及びビックケミー・ジャパン株式会社製のBYK-345、BYK-347、BYK-348、BYK-349、BYK-3450 BYK-3451、BYK-3455等が挙げられ、様々な種類の製品を容易に購入することができる。
【0070】
フッ素系界面活性剤としては、例えば、パーフルオロアルキルスルホン酸化合物、パーフルオロアルキルカルボン酸系化合物、パーフルオロアルキルリン酸エステル化合物、パーフルオロアルキルエチレンオキサイド付加物、及びパーフルオロアルキルエーテル基を側鎖に有するポリオキシアルキレンエーテルポリマー化合物等が挙げられる。その一例としては、DuPont社製のZonyl TBS、FSP、FSA、FSN-100、FSN、FSO-100、FSO、FS-300、Capstone FS-30、FS-31;オムノバ社製のPF-151N、PF-154N;DIC社製のF-114、F-410、F-444、EXP.TF-2066、EXP.TF-2148、EXP.TF-2149、F-430、F-477、F-552、F-553、F-554、F-555、F-556、F-557、F-558、F-559、F-561、F-562、R-40、R-41、RS-72-K、RS-75、RS-76-E、RS-76-NS、RS-77、EXP.TF-1540、EXP.TF-1760;ビックケミー・ジャパン株式会社製のBYK-3440、BYK-3441等が挙げられる。
【0071】
これらの中ではノニオン、またはシリコーン系から選択される界面活性剤を少なくとも1種類以上選択するのが好ましい。
【0072】
前記した成分、含有量、含有比率等の全てにおいて、好ましいもの同士の組み合わせはより好ましく、より好ましいもの同士の組み合わせはさらに好ましい。好ましいものと、より好ましいものとの組み合わせ等についても同様である。
【0073】
上記インクの調製方法は特に制限されない。一例としては、着色剤と分散剤とから分散液を調製し、これに上記バインダーと上記有機溶剤を加え、さらに必要に応じ、水や上記インク調製剤を加えて、インクを調製する方法が挙げられる。
【0074】
上記分散液は、1種類のみ用いてインクを調製しても良いし、2種類以上の分散液を用いても良い。
【0075】
上記インクが着色剤を含む場合、該着色剤を分散し分散液を調製する方法としては、サンドミル(ビーズミル)、ロールミル、ボールミル、ペイントシェーカー、超音波分散機、マイクロフルイダイザー等を用いる方法が挙げられ、これらの中でもサンドミル(ビーズミル)が好ましい。また、サンドミル(ビーズミル)を用いた着色剤分散液の調製は、系の小さいビーズ(0.01~1mm径)を使用し、ビーズの充填率を大きくすること等により分散効率を高めた条件で処理することが望ましい。
このような条件で分散を行うことにより、着色剤の粒子サイズを小さくすることができ、分散性良好な分散液を得ることができる。また、該分散液の調製後に、濾過及び/又は遠心分離等により、粒子サイズの大きい顔料等の成分を除去することも好ましく行われる。また、該分散液の調製時の泡立ち等を抑える目的で、シリコーン系、アセチレングリコール系等の消泡剤を極微量添加してもよい。但し、消泡剤には、分散や微粒子化を阻害するもののあり、分散や分散後の安定性に影響を及ぼさないものを使用するのが好ましい。
【0076】
上記分散液中の着色剤は、着色剤の表面に分散剤が被覆してなるマイクロカプセル化着色剤であってもよいし、マイクロカプセル化していなくてもよいが、分散剤が均一に被覆したマイクロカプセル化着色剤であることが好ましい。
【0077】
着色剤表面に分散剤を均一に被覆させマイクロカプセル化する手法には、大別して、物理的・機械的手法と、化学的手法との二つの方法がある。後者の化学的手法の中には、それぞれ表面析出法、混錬法、界面重合法等が提案されている。表面析出法とは、pH調整や媒体への溶解性の違いを利用して着色剤表面に分散剤を析出させる手法であり、酸析法や転相乳化法等が含まれる。界面重合法は、着色剤表面にモノマー、オリゴマー、顔料誘導体を吸着させた後に重合反応を行う手法であり、表面重合法とも呼ばれている。本発明においては、いずれの手法を用いてもよいが、表面析出法が好ましく、さらに好ましくは転相乳化法によって得られる着色分散液である。
【0078】
上記転相乳化法は、着色剤、分散剤、及び有機溶剤中で混合・分散し、水をさらに加えることによって、分散剤を着色剤表面に均一に吸着させる手法である。具体的な製造方法として、下記5種類の製造方法が知られている。
【0079】
1.着色剤が分散した、水に分散又は溶解する分散剤の親水性有機溶剤の溶液と、水を主成分とする液体とを混合してから、脱溶剤する製造方法。
2.着色剤が分散した、中和により水に分散又は溶解する分散剤の親水性有機溶剤の溶液と、水と中和剤とを含有する混合液体とを混合してから、脱溶剤する製造方法。
3.着色剤が分散した、水に分散又は溶解する分散剤の親水性有機溶剤と疎水性有機溶剤との混合溶液と、水を主成分とする液体とを混合してから、脱溶剤する製造方法。
4.着色剤が分散した、中和により水に分散又は溶解する分散剤の親水性有機溶剤と疎水性有機溶剤との混合溶剤の溶液と、水と中和剤とを含有する混合液体とを混合してから、脱溶剤する製造方法。
5.着色剤と、水に分散又は溶解する分散剤の親水性有機溶剤と水とを主成分とする混合溶剤の溶液とを混合して、顔料を溶液に分散させてから、脱溶剤する製造方法。
【0080】
上記分散液は、上記の製造方法によって得ることもできるが、異なる製造方法によっても被覆された着色剤分散液を得ることができる。その製造方法の例としては、分散剤を溶解した疎水性有機溶剤の溶液と、中和剤を含む水を主成分とする液体とを混合して、乳化(エマルション又はマイクロエマルション)液とし、そこに着色剤を加え混合・分散してから、さらに水を加えて脱溶剤をする製造方法が挙げられる。
【0081】
表面に分散剤が被覆する着色剤粒子から構成される分散液について詳述したが、上記方法を用いることで、分散剤を表面に有し、且つ平均粒径が200nm以下である着色剤粒子から構成される分散液を容易に得ることができる。特に、用いる着色剤の種類や分散剤の種類、該酸価の値、該分子量等を選択することによって平均粒径を50~180nmとするのがより好ましい。ここで、本明細書中において、平均粒径とは、レーザ光散乱法を用いて測定した、粒子の平均粒径を言う。
【0082】
分散液の調製においては、中和剤を用いることができる。中和剤としては、例えばアルカリ金属の水酸化物、アルカリ土類金属の水酸化物、脂肪族アミン化合物及びアルコールアミン化合物等が挙げられる。
これらの中和剤は1種類を使用することも、複数を併用することもできる。
分散液の調製において、中和剤の量は制限されない。分散剤の酸価の理論等量で中和した場合が100%中和度であり、理論量を超えて中和剤を使用することもできる。中和度は通常0~150%、好ましくは30~100%、より好ましくは50~70%である。
【0083】
アルカリ金属の水酸化物としては、例えば水酸化リチウム、水酸化ナトリウム及び水酸化カリウムが挙げられる。
アルカリ土類金属の水酸化物として、例えば水酸化ベリリウム、水酸化マグネシウム、水酸化カルシウム及び水酸化ストロンチウム等が挙げられる。
これらの中では水酸化リチウム又は水酸化ナトリウムが好ましい。
【0084】
アルコールアミン化合物としては、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、モノプロパノールアミン、ジプロパノールアミン、トリプロパノールアミン、メチルエタノールアミン、ジメチルエタノールアミン及びN-メチルジエタノールアミンが挙げられる。これらの中では3級アミン類が好ましく、トリエタノールアミンがより好ましい。
【0085】
脂肪族アミン化合物としては、例えば、アンモニア、モノメチルアミン、ジメチルアミン、トリメチルアミン、モノエチルアミン、ジメチルアミン及びトリメチルアミンが挙げられる。これらの中ではアンモニア又はトリエチルアミンが好ましい。
【0086】
上記インクのpHは、保存安定性を向上させる目的で通常pH5~11、好ましくはpH7~10である。また、インクの表面張力は通常10~50mN/m、好ましくは20~40mN/mである。また、インクの粘度は通常30mPa・s以下、好ましくは20mPa・s以下である。インクのpH及び表面張力は、pH調整剤、界面活性剤等のインク調製剤の使用により適宜調整することができる。
【0087】
上記インクは、循環安定性、保存安定性、吐出安定性、被記録材上での濡れ広がり性、乾燥性に優れ、本発明のインクを用いて得られた印刷物は、画像折れ曲げ耐性、耐ブロッキング性、耐擦過性、密着性、発色性、等に優れる。また、耐擦過性においては、乾燥擦過性、湿潤擦過性、に優れる。
【0088】
上記インクをインクジェットインクとして使用する場合、金属陽イオンの塩化物(例えば塩化ナトリウム)、硫酸塩(例えば硫酸ナトリウム)等の無機不純物の含有量を少なくするのが好ましい。無機不純物の含有量の目安は、着色剤の総質量に対して1%以下であり、下限は分析機器の検出限界以下、すなわち0%としてもよい。無機不純物の少ない着色剤を製造する方法としては、例えばイオン交換樹脂で無機不純物を交換吸着する方法等が挙げられる。
【0089】
上記インクを複数組み合わせたインクセット、上記インクと上記インク以外のインクを組み合わせたインクセット、上記インクの液滴をインクジェットヘッドから吐出させて印刷メディアに記録を行うインクジェット記録方法、上記インクを用いて印刷した印刷物、も本願発明に含まれる。
【0090】
上記インクジェット記録方法としては、上記インクの液滴を記録信号に応じて吐出させて、被記録材に付着させることにより記録を行うインクジェット記録方法が挙げられる。
上記インクは、「インクタンク」、「インクカートリッジ」等と呼称される容器に注入され、インクジェットプリンタの所定の位置に装填してインクジェット記録に使用される。
【0091】
インクジェット方式としては、例えば、電荷制御方式;ピエゾ素子の振動圧力を利用するドロップオンデマンド方式(圧力パルス方式);音響インクジェット方式;サーマルインクジェット、すなわちバブルジェット(登録商標)方式;等が挙げられる。
上記インクは、これらのいずれの方式においても使用できる。
【0092】
上記被記録材としては特に制限はないが、インクに対して非・難吸収性の被記録材が好ましい。その具体例としては、例えば、微塗工紙、アート紙、コート紙、マット紙、キャスト紙等の塗工紙が挙げられる。塗工紙は、表面に塗料を塗布し、美感や平滑さを高めた紙である。その塗料としては、タルク、パイロフィライト、カオリン等の各種のクレー;酸化チタン、炭酸マグネシウム、炭酸カルシウム等と、デンプン及び/又はポリビニルアルコール等とを混合したもの;等が挙げられる。
塗料は、例えば、紙の製造工程の中でコーターを用いて紙に塗布することができる。コーターには、抄紙機と直結することで抄紙・塗工を1工程とするインライン方式と、抄紙とは別工程とするオフライン方式がある。微塗工紙とは、塗料の塗工量が12g/m以下の紙を指す。アート紙とは、化学パルプの使用率が100%の紙である上質紙に、40g/m前後の塗料を塗工した紙を指す。コート紙及びマット紙とは、20~40g/m程度の塗料を塗工した紙のことを指す。キャスト紙とは、アート紙やコート紙を、キャストドラム等の機械で表面に圧力をかけることにより、光沢や記録効果がより高くなるように仕上げた紙を指す。
上記インクは、このような非・難吸収性の被記録材に記録したときに、極めて好適に本発明の効果を発揮する。
【0093】
上記被記録材としては、例えば、いずれもインク受容層を有しない普通紙、グラビア印刷やオフセット印刷等に用いられるメディア;インクジェット受容層を有するインクジェット専用紙、インクジェット専用フィルム、光沢紙、及び光沢フィルム等;セルロース、ナイロン、羊毛等の繊維や布;皮革;カラーフィルター用基材;等が挙げられる。
ここで、インク受容層を有しない普通紙等の中には、前記の非・難吸収性の非記録材と同様にインク受容性の低いものが存在する。このような普通紙を用いた場合であっても、本発明により得られる効果が極めて好適に発揮される。
【実施例0094】
以下、本発明を実施例によって具体的に説明するが、本発明は、以下の実施例によって限定されるものではない。なお本文中「部」及び「%」とあるのは、特別の記載のない限り質量基準である。実施例において、分散液中の顔料固形分の定量が必要なときは、株式会社エイ・アンド・デイ社製のMS-70を用い、乾燥重量法により求めた。顔料固形分は、固形分の全量から、顔料固形分のみを算出した換算値である。
【0095】
<分散液1の調製>
国際公開第2013/115071号の合成例3に記載のブロック共重合体を調製した。得られた高分子分散剤 4.95部を2-ブタノン 19.5部に溶解させ、均一な溶液とした。この液に0.15部の28%アンモニア水、0.41部のPROXELGXL(S)(Lonza製)、0.25部のBYK1770(ビックケミー・ジャパン株式会社製)を56部のイオン交換水に溶解させた液を加え、1時間撹拌して乳化溶液を調製した。これに銅フタロシアニンブルー(大日精化株式会社製CHROMOFINE BLUE 4851) 16.5部を加え、サンドグラインダーで分散を行った。分散は1500rpmの条件で6時間行った。続いて、イオン交換水 58.3部を滴下し、濾過することにより分散用ビーズを濾過分離した。さらに、エバポレーターを用い、顔料固形分が11.7%となるよう、2-ブタノン及び水を減圧留去行うことにより、顔料固形分11.7%、顔料平均粒径110nmの分散液を得た。これを「分散液1」とする。
【0096】
<樹脂微粒子分散液の合成例>
(樹脂微粒子1)
メタクリル酸メチル6.12重量部、2-エチルヘキシルアクリレート 55.63重量部、ラウリルアクリレート 25.03重量部、メタクリル酸 5.01重量部、メタクリル酸2-ヒドロキシルエチル 7.79重量部、ドデカンチオール 0.42重量部、ネオペレックスG65(花王株式会社製) 3.0質量部、及びイオン交換水 100質量部からなる混合物を、ホモミキサーを用いて乳化し、均一な乳白色の乳化液を得た。攪拌機、温度計、窒素ガス導入管、及び還流管を備えた1Lのフラスコ内に、予めイオ ン交換水250質量部とネオペレックスG65(花王株式会社製) 3.0重量部を仕込み、窒素を導入しつつ65℃に昇温した。次いで、過硫酸アンモニウム 3.0質量部を投入した後、予め調製しておいた前記乳化液を3.0時間かけて連続的に滴下した。滴下終了後2時間熟成した後冷却し樹脂微粒子分散液1を得た。
(樹脂微粒子2)
メタクリル酸メチル 8.25重量部、2-エチルヘキシルアクリレート 78.13重量部、メタクリル酸 5.01重量部、メタクリル酸2-ヒドロキシルエチル 7.79重量部、ドデカンチオール 0.82重量部、ネオペレックスG65(花王株式会社製) 3.0質量部、及びイオン交換水 100質量部からなる混合物 を、ホモミキサーを用いて乳化し、均一な乳白色の乳化液を得た。攪拌機、温度計、窒素ガス導入管、及び還流管を備えた1Lのフラスコ内に、予めイオン交換水 250質量部とネオペレックスG65(花王株式会社製) 3.0重量部を仕込み、窒素を導入しつつ65℃に昇温した。次いで、過硫酸アンモニウム 3.0質量部を投入した後、予め調製しておいた前記乳化液を3.0時間かけて連続的に滴下した。滴下終了後2時間熟成した後冷却し樹脂微粒子分散液2を得た。
(樹脂微粒子3)
スチレン 1.2重量部、2-エチルヘキシルアクリレート 68.28重量部、ラウリルアクリレート15.2重量部、メタクリル酸 6.00重量部、メタクリル酸2-ヒドロキシルエチル 8.50重量部、ドデカンチオール 0.82重量部、ネオペレックスG65(花王株式会社製) 3.0質量部、及びイオン交換水 100質量部からなる混合物 を、ホモミキサーを用いて乳化し、均一な乳白色の乳化液を得た。攪拌機、温度計、窒素ガス導入管、及び還流管を備えた1Lのフラスコ内に、予めイオン交換水 250質量部とネオペレックスG65(花王株式会社製) 3.0重量部を仕込み、窒素を導入しつつ65℃に昇温した。次いで、過硫酸アンモニウム 3.0質量部を投入した後、予め調製しておいた前記乳化液を3.0時間かけて連続的に滴下した。滴下終了後2時間熟成した後冷却し樹脂微粒子分散液3を得た。
(樹脂微粒子4)
メタクリル酸メチル 25重量部、2-エチルヘキシルアクリレート 60.79重量部、メタクリル酸 4.00重量部、メタクリル酸2-ヒドロキシルエチル 10.00重量部、ドデカンチオール 0.21重量部、ネオペレックスG65(花王株式会社製) 3.0質量部、及びイオン交換水 100質量部からなる混合物 を、ホモミキサーを用いて乳化し、均一な乳白色の乳化液を得た。攪拌機、温度計、窒素ガス導入管、及び還流管を備えた1Lのフラスコ内に、予めイオン交換水 250質量部とネオペレックスG65(花王株式会社製) 3.0重量部を仕込み、窒素を導入しつつ65℃に昇温した。次いで、過硫酸アンモニウム 3.0質量部を投入した後、予め調製しておいた前記乳化液を3.0時間かけて連続的に滴下した。滴下終了後2時間熟成した後冷却し樹脂微粒子分散液4を得た。
(樹脂微粒子5)
メタクリル酸メチル 15重量部、2-エチルヘキシルアクリレート 69.90重量部、メタクリル酸 6.00重量部、メタクリル酸2-ヒドロキシルエチル 9.00重量部、ドデカンチオール 0.21重量部、ネオペレックスG65(花王株式会社製) 3.0質量部、及びイオン交換水 100質量部からなる混合物を、ホモミキサーを用いて乳化し、均一な乳白色の乳化液を得た。攪拌機、温度計、窒素ガス導入管、及び還流管を備えた1Lのフラスコ内に、予めイオン交換水 250質量部とネオペレックスG65(花王株式会社製) 3.0重量部を仕込み、窒素を導入しつつ65℃に昇温した。次いで、過硫酸アンモニウム 3.0質量部を投入した後、予め調製しておいた前記乳化液を3.0時間かけて連続的に滴下した。滴下終了後2時間熟成した後冷却し樹脂微粒子分散液5を得た。
(樹脂微粒子6)
メタクリル酸メチル 8重量部、2-エチルヘキシルアクリレート 78.36重量部、メタクリル酸 5.01重量部、メタクリル酸2-ヒドロキシルエチル 7.79重量部、ドデカンチオール 0.82重量部、ネオペレックスG65(花王株式会社製) 3.0質量部、及びイオン交換水 100質量部からなる混合物を、ホモミキサーを用いて乳化し、均一な乳白色の乳化液を得た。攪拌機、温度計、窒素ガス導入管、及び還流管を備えた1Lのフラスコ内に、予めイオン交換水 250質量部とネオペレックスG65(花王株式会社製) 3.0重量部を仕込み、窒素を導入しつつ65℃に昇温した。次いで、過硫酸アンモニウム 3.0質量部を投入した後、予め調製しておいた前記乳化液を3.0時間かけて連続的に滴下した。滴下終了後2時間熟成した後冷却し樹脂微粒子分散液6を得た。
(樹脂微粒子7)
2-エチルヘキシルアクリレート 76.38重量部、n-ブチルメタクリレート 10重量部、メタクリル酸 5.01重量部、メタクリル酸2-ヒドロキシルエチル 7.79重量部、ドデカンチオール 0.82重量部、ネオペレックスG65(花王株式会社製) 3.0質量部、及びイオン交換水 100質量部からなる混合物を、ホモミキサーを用いて乳化し、均一な乳白色の乳化液を得た。攪拌機、温度計、窒素ガス導入管、及び還流管を備えた1Lのフラスコ内に、予めイオン交換水 250質量部とネオペレックスG65(花王株式会社製) 3.0重量部を仕込み、窒素を導入しつつ65℃に昇温した。次いで、過硫酸アンモニウム 3.0質量部を投入した後、予め調製しておいた前記乳化液を3.0時間かけて連続的に滴下した。滴下終了後2時間熟成した後冷却し樹脂微粒子分散液7を得た。
(樹脂微粒子8)
メタクリル酸メチル 40重量部、2-エチルヘキシルアクリレート 51.30重量部、メタクリル酸 4.00重量部、メタクリル酸2-ヒドロキシルエチル 3.5重量部、ドデカンチオール 1.2重量部、ネオペレックスG65(花王株式会社製) 3.0質量部、及びイオン交換水 100質量部からなる混合物を、ホモミキサーを用いて乳化し、均一な乳白色の乳化液を得た。攪拌機、温度計、窒素ガス導入管、及び還流管を備えた1Lのフラスコ内に、予めイオン交換水250質量部とネオペレックスG65(花王株式会社製) 3.0重量部を仕込み、窒素を導入しつつ65℃に昇温した。次いで、過硫酸アンモニウム 3.0質量部を投入した後、予め調製しておいた前記乳化液を3.0時間かけて連続的に滴下した。滴下終了後2時間熟成した後冷却し樹脂微粒子分散液8を得た。
【0097】
【表1】
【0098】
上記表1中の略号はそれぞれ下記を示す。また、表1中、空欄は0部であることを示す。
MMA:メタクリル酸メチル
ST:スチレン
2EHA:2-エチルヘキシルアクリレート
BMA:n-ブチルアクリレート
LA:ラウリルアクリレート
MAA:メタクリル酸
HEMA:メタクリル酸2-ヒドロキシルエチル
DDT:ドデカンチオール
【0099】
<インクの調製>
上記で得た分散液1および各微粒子を用いて、下記表2に記載の組成となるよう加えて撹拌混合して液を得た。得られた液をポアサイズ3μmのメンブランフィルターでろ過することにより、実施例1~3、比較例1~5のインクをそれぞれ得た。また、表2中、空欄は0部であることを示す。
【0100】
【表2】
【0101】
上記表2中の略号は下記を示す。
1,5-PD:1,5ペンタンジオール
上記表2中、各成分の数値は部数を表す。
【0102】
<折り曲げ性の評価>
実施例及び比較例で得た各インクを各々50μl測り取り、各々PI-1210自動塗工装置(テスター産業(株)製)にてNo.3のバーコーターを用いて200mm/secの速度で、東洋紡製PETフィルムE5100に塗工を行った。得られた印刷膜の画像部をズーム顕微鏡で観察し、ベタ画像の濃さ及びひび割れを観察した。以下の評価基準で画像品質を評価した。4以上が製品として耐えうる水準であり、3以下は品質欠陥となる。
-評価基準-
5:濃く均一なベタ画像が形成されている
4:やや色が薄いが均一なベタ画像を形成されている
3:ベタ画像の一部に、画像がひび割れている部分がある
2:全体的に画像のひび割れがみられる
1:全体的に画像のひび割れがみられ、かつ下地が十分見える
<ブロッキング評価>
実施例及び比較例で得た各インクを各々50μl測り取り、各々PI-1210自動塗工装置(テスター産業(株)製)にてNo.3のバーコーターを用いて200mm/secの速度で、東洋紡製PETフィルムE5100に塗工を行った。印刷部分を2×3cmにカットして、印刷面と、印刷していないフィルムの裏面を重ねて圧縮試験機で7MPaの圧力で30秒かけたのち、はがして非印刷フィルム面への色移りと印刷面の画像欠損を評価する。4以上が印刷品質上課題は低いものの、3以下は品質欠陥となる。
-評価基準-
5:色移りが全くない
4:ドット状の色移りが一部あるが、印刷面の画像欠損は見られない
3:ドット状の色移りが10点を超えるもしくは線上に色移りがあり、印刷面の画像欠損がみられる
2:半分程度色移りしており印刷面の画像欠損が50%程度みられる
1:50%超える印刷面が完全に非印刷面に色移りしている
【0103】
表2の結果から、実施例のインクを用いて得られた印刷物は、画像折り曲げ耐性と耐ブロッキング性に優れることが分かる。
【産業上の利用可能性】
【0104】
本発明の樹脂微粒子は、画像折れ曲げ耐性と耐ブロッキング性に優れたインクジェットインクの提供を可能とする。