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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024146217
(43)【公開日】2024-10-15
(54)【発明の名称】吐出容器
(51)【国際特許分類】
   B65D 47/40 20060101AFI20241004BHJP
【FI】
B65D47/40
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023058994
(22)【出願日】2023-03-31
(71)【出願人】
【識別番号】000006909
【氏名又は名称】株式会社吉野工業所
(74)【代理人】
【識別番号】100147485
【弁理士】
【氏名又は名称】杉村 憲司
(74)【代理人】
【識別番号】230118913
【弁護士】
【氏名又は名称】杉村 光嗣
(74)【代理人】
【識別番号】100154003
【弁理士】
【氏名又は名称】片岡 憲一郎
(72)【発明者】
【氏名】坂本 智
【テーマコード(参考)】
3E084
【Fターム(参考)】
3E084AA02
3E084AA12
3E084AA24
3E084AB01
3E084BA01
3E084CA01
3E084CC03
3E084DA01
3E084DC03
3E084EA02
3E084EB02
3E084EC03
3E084FA03
3E084FB01
3E084FC03
3E084GB06
3E084HA03
3E084HC03
3E084KA01
3E084KA20
3E084KB01
3E084LB07
3E084LE11
(57)【要約】      (修正有)
【課題】内容物の吐出後にサックバックとシールを良好に実現できる吐出容器を提供する。
【解決手段】容器本体2と吐出キャップ3とを有し、吐出キャップ3は、上側に位置する上側天壁7aと、上側天壁7aよりも下側に位置する下側天壁8aと、弁体9と、付勢部10とを有し、上側天壁7aは吐出口11を有し、下側天壁8aはシール部12を有し、弁体9は、空気がシール部12を通って容器本体2内に流入することをシール位置に移動することで抑制でき、且つ、容器本体2内の内容物が吐出口11に向けてシール部12から流出することをシール位置から移動することで許容でき、付勢部10は、正立姿勢状態で弁体9をシール位置まで付勢し、シール部12と弁体9との少なくとも一方は、弁体9がシール位置時に内容物がシール部12を通って容器本体2内に流入することを許容する溝部13を有し、溝部13は、少なくとも1つの溝13aからなる、吐出容器1。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
容器本体と吐出キャップとを有し、
前記容器本体は、口部、胴部及び底部をこの順に有し、内層体と外層体とによって形成され、且つ、導入口を有し、
前記導入口は、前記容器本体に収容される液状の内容物の吐出に伴う前記内層体の容積を減少させる変形と前記外層体の弾性変形からの復元とによって、前記内層体と前記外層体との間に空気を導入し、
前記吐出キャップは、正立姿勢状態での上側に位置する上側天壁と、前記上側天壁よりも前記正立姿勢状態での下側に位置する下側天壁と、弁体と、付勢部とを有し、前記容器本体の前記口部に装着され、
前記上側天壁は吐出口を有し、
前記下側天壁は環状のシール部を有し、
前記弁体は、空気が前記シール部を通って前記容器本体内に流入することを前記弁体が前記シール部に接するシール位置に移動することで抑制でき、且つ、前記容器本体内の前記内容物が前記吐出口に向けて前記シール部から流出することを前記シール位置から移動することで許容でき、
前記付勢部は、前記正立姿勢状態での下側に向けて前記弁体を前記シール位置まで付勢し、
前記シール部と前記弁体との少なくとも一方は、前記弁体が前記シール位置にある時に前記内容物が前記シール部を通って前記容器本体内に流入することを許容する溝部を有し、
前記溝部は、V字状の流路断面形状を有する少なくとも1つの溝からなる、吐出容器。
【請求項2】
前記溝部の総流路断面積は0.01~0.1mmであり、
前記溝の深さは0.06~0.12mmである、請求項1に記載の吐出容器。
【請求項3】
前記吐出キャップは、前記上側天壁と前記下側天壁との間に取り付けられる弁支持部を有し、
前記付勢部は、前記弁支持部と前記弁体とを連ねる弾性体によって形成される、請求項1に記載の吐出容器。
【請求項4】
前記付勢部は、前記弁支持部と前記弁体の外周部における前記正立姿勢状態での上部とを連ねる、請求項3に記載の吐出容器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は吐出容器に関する。
【背景技術】
【0002】
容器本体と吐出キャップとを有し、容器本体は、口部、胴部及び底部をこの順に有し、内層体と外層体とによって形成され、且つ、導入口を有し、導入口は、容器本体に収容される液状の内容物の吐出に伴う内層体の容積を減少させる変形と外層体の弾性変形からの復元とによって、内層体と外層体との間に空気を導入し、吐出キャップは、正立姿勢状態での上側に位置する上側天壁と、上側天壁よりも正立姿勢状態での下側に位置する下側天壁と、弁体とを有し、容器本体の口部に装着され、上側天壁は吐出口を有し、下側天壁は環状のシール部を有し、弁体は、空気がシール部を通って容器本体内に流入することを弁体がシール部に接するシール位置に移動することで抑制でき、且つ、容器本体内の内容物が吐出口に向けてシール部から流出することをシール位置から移動することで許容できる、吐出容器が知られている(例えば特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2013-180775号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記構成を有する吐出容器は、吐出口から吐出されずに残った内容物をできるだけ多く且つ速やかにシール部を通して容器本体内に向けて引き込む(「サックバック」ともいう)ことができるのが、吐出口から内容物が零れることを抑制する等の観点から好ましい。また、上記構成を有する吐出容器は、内容物の吐出後に弁体ができるだけ速やかにシール位置に復帰でき、シール部でのできるだけ安定したシールを実現できるのが、空気の流入を抑制して内容物の品質を良好に維持する等の観点から好ましい。
【0005】
そこで本発明の目的は、内容物の吐出後にサックバックとシールを良好に実現できる吐出容器を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一態様は以下のとおりである。
【0007】
[1]
容器本体と吐出キャップとを有し、
前記容器本体は、口部、胴部及び底部をこの順に有し、内層体と外層体とによって形成され、且つ、導入口を有し、
前記導入口は、前記容器本体に収容される液状の内容物の吐出に伴う前記内層体の容積を減少させる変形と前記外層体の弾性変形からの復元とによって、前記内層体と前記外層体との間に空気を導入し、
前記吐出キャップは、正立姿勢状態での上側に位置する上側天壁と、前記上側天壁よりも前記正立姿勢状態での下側に位置する下側天壁と、弁体と、付勢部とを有し、前記容器本体の前記口部に装着され、
前記上側天壁は吐出口を有し、
前記下側天壁は環状のシール部を有し、
前記弁体は、空気が前記シール部を通って前記容器本体内に流入することを前記弁体が前記シール部に接するシール位置に移動することで抑制でき、且つ、前記容器本体内の前記内容物が前記吐出口に向けて前記シール部から流出することを前記シール位置から移動することで許容でき、
前記付勢部は、前記正立姿勢状態での下側に向けて前記弁体を前記シール位置まで付勢し、
前記シール部と前記弁体との少なくとも一方は、前記弁体が前記シール位置にある時に前記内容物が前記シール部を通って前記容器本体内に流入することを許容する溝部を有し、
前記溝部は、V字状の流路断面形状を有する少なくとも1つの溝からなる、吐出容器。
【0008】
[2]
前記溝部の総流路断面積は0.01~0.1mmであり、
前記溝の深さは0.06~0.12mmである、[1]に記載の吐出容器。
【0009】
[3]
前記吐出キャップは、前記上側天壁と前記下側天壁との間に取り付けられる弁支持部を有し、
前記付勢部は、前記弁支持部と前記弁体とを連ねる弾性体によって形成される、[1]又は[2]に記載の吐出容器。
【0010】
[4]
前記付勢部は、前記弁支持部と前記弁体の外周部における前記正立姿勢状態での上部とを連ねる、[3]に記載の吐出容器。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、内容物の吐出後にサックバックとシールを良好に実現できる吐出容器を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】本発明の一実施形態の吐出容器を示す断面図である。
図2図1の部分拡大図である。
図3図1に示すシール部とその近傍を示す上面図である。
図4図1に示す溝の正面図である。
図5図4のA-A断面図である。
図6図1に示す吐出容器におけるサックバックの初期段階を示す断面図である。
図7図1に示す吐出容器におけるサックバックの中間段階を示す断面図である。
図8図1に示す吐出容器におけるサックバックの終了段階を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、図面を参照しつつ本発明の実施形態を例示説明する。
【0014】
図1図8に示すように、本発明の一実施形態において吐出容器1は、容器本体2と吐出キャップ3とを有し、容器本体2は、口部2a、胴部2b及び底部をこの順に有し、内層体4と外層体5とによって形成され、且つ、導入口6を有し、導入口6は、容器本体2に収容される液状の内容物Cの吐出に伴う内層体4の容積を減少させる変形と外層体5の弾性変形からの復元とによって、内層体4と外層体5との間に空気を導入し、吐出キャップ3は、正立姿勢状態での上側に位置する上側天壁7aと、上側天壁7aよりも正立姿勢状態での下側に位置する下側天壁8aと、弁体9と、付勢部10とを有し、容器本体2の口部2aに装着され、上側天壁7aは吐出口11を有し、下側天壁8aは環状のシール部12を有し、弁体9は、空気がシール部12を通って容器本体2内に流入することを弁体9がシール部12に接するシール位置(図2に示す位置)に移動することで抑制でき、且つ、容器本体2内の内容物Cが吐出口11に向けてシール部12から流出することをシール位置から移動することで許容でき、付勢部10は、正立姿勢状態での下側に向けて弁体9をシール位置まで付勢し、シール部12と弁体9との少なくとも一方は、弁体9がシール位置にある時に内容物Cがシール部12を通って容器本体2内に流入することを許容する溝部13を有し、溝部13は、V字状の流路断面形状(図5参照)を有する少なくとも1つの溝13aからなる。なお、溝部13は、本実施形態ではシール部12と弁体9とのうちシール部12のみに設けられるが、これに限らず、シール部12と弁体9とのうち弁体9のみに設けてもよいし、シール部12と弁体9との両方に設けてもよい。
【0015】
上記構成によれば、内容物Cの吐出後に付勢部10によって弁体9を速やかにシール位置に移動できる。また、吐出口11から吐出されずに残った内容物Cを、弁体9がシール位置に移動した後に、シール部12に位置するV字状の流路断面形状を有する少なくとも1つの溝13aからなる溝部13を通して多く且つ速やかにサックバックできる。特に、溝13aがV字状の流路断面形状を有することにより、サックバック時の内容物Cの良好な流通(図6図8参照)と、サックバック後に溝13aに残る内容物Cによるシール部12での安定したシール(図8参照)とを実現できる。具体的には、溝13aの中央部(最深部)付近で内容物Cの流れが速く(つまり良好な流通性が得られ)、溝13aの隅部(浅部)付近で内容物Cの流れが遅い(つまり溝13aに内容物Cが残留し易く)、、内容物Cの吐出後にサックバックとシールを良好に実現できる。
【0016】
内容物Cは本実施形態では油であるが、これに限らない。内容物Cの粘度は特に限定されないが、1.3~12Pa・sであるのが好ましい。
【0017】
溝部13の総流路断面積が0.01~0.1mmである場合に、溝13aの深さDは0.06~0.12mmであるのが好ましく、0.06~0.08mmであるのがより好ましい。この場合、溝13aの深さDが0.06mm未満であるとサックバックの迅速性を得にくくなり、0.12mmを超えるとサックバック時に空気が流入し易くなってしまう。なお、溝部13が複数の溝13aからなる場合、溝部13の総流路断面積は上記複数の溝13aの流路断面積Sの合計である。溝部13が単一の溝13aからなる場合、溝部13の総流路断面積は上記単一の溝13aの流路断面積Sである。溝部13の総流路断面積が0.01~0.1mmである場合に、溝13aの幅Wは特に限定されないが、例えば0.3~0.6mmである。
【0018】
溝部13は、周方向に等間隔で並べて設けられる3つの溝13aからなる。上記構成によれば、簡単な構造によって良好な溝部13を実現できる。なお溝部13は、3つ以外の複数の溝13aからなる構成としてもよいし、単数の溝13aからなる構成としてもよい。溝部13が複数の溝13aからなる場合、当該複数の溝13aは、周方向に等間隔で並べて設けられる構成に限らない。
【0019】
吐出キャップ3は、吐出口11を覆う閉位置と吐出口11を開放する開位置との間で移動できる蓋体14を有し、蓋体14は、閉位置において吐出口11に挿入されて吐出口11を塞ぐ閉塞ロッド14aを有し、閉塞ロッド14aは、蓋体14が閉位置にある時にシール位置の弁体9を正立姿勢状態での下側に押す先端部14a1を有する。上記構成によれば、蓋体14が閉位置にある時に振動や衝撃などによって弁体9がシール位置から移動し、内容物Cが容器本体2内からシール部12を通過してしまうことを閉塞ロッド14aによって抑制できる。特に、内容物Cが乾性油(亜麻仁油など)などのように酸化や加熱などによって粘度を増し、固化する性質の液体である場合に、シール部12の外周部に溜まった内容物Cの固化による弁体9の固着が生じてしまうことを抑制できるので、使用時に内容物Cを吐出できない吐出不良が生じてしまうことを抑制できる。なお蓋体14は本実施形態では、ヒンジ部15を介してキャップ本体7に連なるが、これに限らない。
【0020】
閉塞ロッド14aは、蓋体14が閉位置にある時にシール部12の中心軸線O上に位置する。上記構成によれば、シール位置にある弁体9を閉塞ロッド14aによって効率的に押すことができる。
【0021】
閉塞ロッド14aは、蓋体14が閉位置にある時に弁体9に嵌合する嵌合部14a2を有し、嵌合部14a2は、蓋体14が閉位置から開位置に移動する時に弁体9への嵌合が解消される。上記構成によれば、蓋体14を閉位置から開位置へ移動させる時にシール部12から離れる方向の力を嵌合部14a2によって弁体9に与えることができるので、弁体9の固着がある程度生じたとしても、吐出不良が生じてしまうことを抑制できる。
【0022】
嵌合部14a2は閉塞ロッド14aの筒状をなす先端部14a1の内周面によって形成され、弁体9は、弁本体部9aにおける正立姿勢状態での上面から突き出る凸状をなす被嵌合部9bを有し、嵌合部14a2は、蓋体14が閉位置にある時に被嵌合部9bに嵌合し、蓋体14が閉位置から開位置に移動する時に被嵌合部9bへの嵌合が解消される。上記構成によれば、簡単な構造によって嵌合部14a2を実現できる。
【0023】
吐出キャップ3は、上側天壁7aと下側天壁8aとの間に取り付けられる弁支持部16を有し、付勢部10は、弁支持部16と弁体9とを連ねる弾性体によって形成される。上記構成によれば、簡単な構造によって付勢部10を実現できる。なお付勢部10は、本実施形態では、それぞれ弁支持部16と弁体9とを連ねる弾性体によって形成される複数の弾性部10aを有するが、これに限らない。弾性部10aは、本実施形態では、弁体9の外周面から径方向外側に伸びる一端部10a1と、弁支持部16から径方向内側に伸びる他端部10a2と、周方向に伸び、上記一端部10a1を上記他端部10a2に連ねる中間部10a3とを有するが、これに限らない。本実施形態では、弁支持部16における正立姿勢状態での上端部は上側天壁7aに嵌合によって取り付けられ、弁支持部16における正立姿勢状態での下端部は下側天壁8aに嵌合によって取り付けられるが、これに限らない。
【0024】
付勢部10は、弁支持部16と弁体9の外周部における正立姿勢状態での上部とを連ねる。上記構成によれば、付勢部10からシール部12に向かう流路を広く設けることができるので、サックバック時に内容物Cが吐出口11側からシール部12側に付勢部10を通って流れ易くなるため、サックバックの迅速性を向上できる。また上記構成によれば、シール部12と付勢部10との距離を大きくできるので、流通時に振動や衝撃などによってシール部12を通過した内容物Cが付勢部10に付着した後に固化することによる弁体9の固着を抑制できる。
【0025】
弁体9は、正立姿勢状態で上側に突き出るドーム形状をなす弁本体部9aを有し、付勢部10は、弁本体部9aの外周部の上端部に連なり、シール位置において弁本体部9aの外周部における正立姿勢状態での下端部がシール部12に接する。上記構成によれば、サックバック時に内容物Cが付勢部10とシール部12とを通って流れ易くなるため、サックバックの迅速性をより一層向上できる。また上記構成によれば、シール部12と付勢部10との距離をより一層大きくできるので、弁体9の固着をより一層抑制できる。
【0026】
上側天壁7aは、吐出口11の外周部から正立姿勢状態での下側に突き出る規制凸部17を有し、規制凸部17は、弁体9がシール位置から正立姿勢状態での上側に移動した時に径方向の弁体9の移動を規制するように弁体9に接触できる。上記構成によれば、簡単な構造によって弁体9の動作の安定性を向上できる。規制凸部17は本実施形態では、弁体9に接触した状態で内容物Cを通すことができる周方向の間欠部を有するが、これに限らない。例えば、規制凸部17に弁体9が接触した状態で内容物Cを通すことができる周方向の間欠部を弁体9に設ける構成としてもよい。
【0027】
下側天壁8aは、シール部12の外周部から弁支持部16に向けて径方向外側に伸びる横壁18と、横壁18の内周部から径方向内側に向けて正立姿勢状態での下側に伸び且つシール部12を形成するシール壁19と、シール壁19から径方向内側に伸び且つ全周に亘って連続する環状をなし、径方向内側に液体通過口20を形成する液体通過口形成壁21とを有する。上記構成によれば、簡単な構造によって良好なシール部12を形成できる。
【0028】
下側天壁8aは、横壁18の外周部から正立姿勢状態での下側に伸び且つ弁支持部16の内周面に嵌合する嵌合壁22を有し、横壁18における正立姿勢状態での上面は、径方向内側に向けて正立姿勢状態での下側に伸びる。上記構成によれば、サックバック時に内容物Cが横壁18からシール部12に向けて流れやすくなるので、サックバックの迅速性を向上できる。
【0029】
吐出キャップ3は、口部2aに装着されるキャップ本体7と、下側天壁8aを有し且つキャップ本体7の内側に取り付けられる内側部材8とを有し、キャップ本体7は、口部2aの外周面にねじ部を介して嵌合するキャップ周壁7bと、キャップ周壁7bから径方向内側に伸びる上側天壁7aと、上側天壁7aから正立姿勢状態での上側に突き出る筒状をなし、内側に吐出口11を形成する吐出ノズル7cとを有する。上記構成によれば、簡単な構造によって吐出キャップ3を実現できる。なおキャップ周壁7bは口部2aの外周面にねじ部以外の嵌合構造(例えば口部2aに対して正立姿勢状態での下側に押し付ける操作によって嵌合できる構造)を介して嵌合する構成としてもよい。
【0030】
口部2aは導入口6を有し、上側天壁7aは通気口23を有し、吐出容器1は、空気を通気口23から導入口6まで通過させる導入路24を有し、吐出キャップ3は、筒状の弁支持部16から全周に亘って径方向外側に伸びる環状をなす通気弁体25を有し、通気弁体25は、空気が通気口23を通って導入口6に流入することを許容する一方、空気が導入口6を通って通気口23から流出することを阻止する。上記構成によれば、容器本体2をスクイズ操作する時に導入口6からの空気の漏れを通気弁体25によって抑制することで内容物Cを容易に吐出でき、スクイズ操作の解除により空気を導入路24から導入口6に導入して外層体5を弾性変形から復元させることができる。
【0031】
弁支持部16、付勢部10、弁体9及び通気弁体25は、ゴム、エラストマー又は合成樹脂などの弾性変形できる材料による一体成形物であり、キャップ本体7、ヒンジ部15及び蓋体14は、合成樹脂材料による一体成形物である。内側部材8は合成樹脂材料による一体成形物である。上記構成によれば、部品点数を抑制できる。なお図中の弁体9における外周部の下端部に示す二点鎖線は、弾性変形前の形状を示す。
【0032】
弁体9は、シール位置まで移動した後に溝部13の内部に徐々に入り込むことができる程度の弾性を有する構成としてもよい。上記構成によれば、弁体9がシール位置まで移動した直後(例えば移動から数秒であり、例えば、図7に示すように内容物Cの液面が吐出口11の下端付近に至るまで)では速やかなサックバックを可能にすることができるので、蓋体14を速やかに閉じても内容物が吐出口11から零れることを抑制できる。またその後は緩やかなサックバックとシール部での良好なシール性を実現できる。
【0033】
本発明は前述した実施形態に限定されず、その要旨を逸脱しない範囲で種々変更可能である。例えば、前述した実施形態では、弁支持部16を介して弁体9と通気弁体25を一体成形しているが、別体に形成してもよい。また、導入口6を口部2aの代わりに、容器本体2の胴部2bや図示しない底部に設け、通気口23、通気弁体25及び導入路24を設けない構成としてもよい。
【実施例0034】
(実施例1)
本発明の実施例として、前述した実施形態の吐出容器を製作し、内容物として油を充填し、内容物を吐出後のサックバック性と空気吸込みの検証を行ったところ、内容物は速やかにサックバックされ、空気が流入することがなかった。溝部の総流路断面積は0.072mmとし、溝部を構成する3つの溝の深さは0.08mmとした。なお溝幅は0.6mmであった。
【0035】
(実施例2)
また、溝部が周方向に等間隔で並べて設けられる4つの溝からなる吐出容器も製作し、上記と同様の検証を行ったところ、内容物は速やかにサックバックされ、空気が流入することがなかった。溝部の総流路断面積は0.072mmであり、溝部を構成する4つの溝の深さは0.06mmとした。なお溝幅は0.6mmであった。その他の条件は実施例1と同様である。
【符号の説明】
【0036】
1 吐出容器
2 容器本体
2a 口部
2b 胴部
3 吐出キャップ
4 内層体
5 外層体
6 導入口
7 キャップ本体
7a 上側天壁
7b キャップ周壁
7c 吐出ノズル
8 内側部材
8a 下側天壁
9 弁体
9a 弁本体部
9b 被嵌合部
10 付勢部
10a 弾性部
10a1 一端部
10a2 他端部
10a3 中間部
11 吐出口
12 シール部
13 溝部
13a 溝
14 蓋体
14a 閉塞ロッド
14a1 先端部
14a2 嵌合部
15 ヒンジ部
16 弁支持部
17 規制凸部
18 横壁
19 シール壁
20 液体通過口
21 液体通過口形成壁
22 嵌合壁
23 通気口
24 導入路
25 通気弁体
C 内容物
D 深さ
O 中心軸線
S 流路断面積
W 幅
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8