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特開2024-146222エレベーター、エレベーターの制御方法および配達システム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024146222
(43)【公開日】2024-10-15
(54)【発明の名称】エレベーター、エレベーターの制御方法および配達システム
(51)【国際特許分類】
   B66B 1/14 20060101AFI20241004BHJP
【FI】
B66B1/14 F
【審査請求】未請求
【請求項の数】15
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023059000
(22)【出願日】2023-03-31
(71)【出願人】
【識別番号】000005108
【氏名又は名称】株式会社日立製作所
(74)【代理人】
【識別番号】110002365
【氏名又は名称】弁理士法人サンネクスト国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】羽鳥 貴大
(72)【発明者】
【氏名】齊藤 勇来
(72)【発明者】
【氏名】保立 尚史
【テーマコード(参考)】
3F502
【Fターム(参考)】
3F502HC07
3F502JA14
3F502JA21
3F502JA22
3F502JA52
3F502KA19
3F502MA48
(57)【要約】
【課題】配達者が配達先まで移動しなくても配達を行うことができるエレベーター、エレベーターの制御方法および配達システムを提供することができる。
【解決手段】エレベーターかご20と、エレベーターかご20の運転を制御するエレベーター制御システム10とを有するエレベーターであって、エレベーター制御システム10は、配達の対象となる配達物の識別情報に基づき配達物の配達先を取得する配達運転検出部13と、取得部にて取得した配達先の情報に基づき、配達物を受け取るフロア階から配達先のフロア階までエレベーターかご20を移動させるとともに、配達物の配達が完了したときは、エレベーターかご20をあらかじめ定められた特定階に移動させる制御を行う直行運転切替部14、サービス完了判定部15、呼び戻し運転部16、配達運転完了部18と、を備えるエレベーター。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
乗りかごと、前記乗りかごの運転を制御する制御装置とを有するエレベーターであって、
前記制御装置は、
配達の対象となる配達物の識別情報に基づき前記配達物の配達先を取得する取得部と、
前記取得部にて取得した前記配達先の情報に基づき、前記配達物を受け取るフロア階から前記配達先のフロア階まで前記乗りかごを移動させるとともに、前記配達物の配達が完了したときは、前記乗りかごをあらかじめ定められた特定階に移動させる制御を行う制御部と、
を備えるエレベーター。
【請求項2】
前記あらかじめ定められた特定階は、前記配達物を受け取ったフロア階である、請求項1に記載のエレベーター。
【請求項3】
エレベーターが移動可能なフロア階に配され、エレベーターが位置するフロア階を表示する乗場案内装置をさらに備え、
前記制御部は、前記配達物が前記乗りかごに乗車しているときは前記乗場案内装置でフロア階の表示をしない制御をする請求項1に記載のエレベーター。
【請求項4】
前記制御部は、前記配達物を配達する端末装置の乗降の状態により、前記乗りかごにおける前記配達物の乗車の有無を判定する請求項3に記載のエレベーター。
【請求項5】
前記制御部は、前記配達物を配達するときに、乗りかごを配車する優先度に応じ前記乗りかごの運転を制御する請求項1に記載のエレベーター。
【請求項6】
前記制御部は、前記配達物を受け取ったフロア階から前記配達先のフロア階まで前記乗りかごを移動させるときは、前記優先度を、通常よりも低い第1の優先度とする請求項5に記載のエレベーター。
【請求項7】
前記制御部は、前記第1の優先度では、前記配達物を配達するための専用運転を行う請求項6に記載のエレベーター。
【請求項8】
前記制御部は、前記配達先のフロア階まで前記乗りかごを移動させた後は、前記優先度を、前記第1の優先度よりも高く、かつ通常よりも低い第2の優先度とする請求項6に記載のエレベーター。
【請求項9】
前記制御部は、前記第2の優先度では、前記配達先のフロア階以外の他のフロア階からの呼び出しがあったときは、前記他のフロア階に前記乗りかごを移動させ、前記呼び出しがなかったときは前記配達先のフロア階で待機する請求項8に記載のエレベーター。
【請求項10】
前記制御部は、前記配達物の配達が完了したときは、前記乗りかごをあらかじめ定められた特定階に移動させる制御をした後に前記優先度を通常の優先度に戻す請求項8に記載のエレベーター。
【請求項11】
プロセッサがメモリに記録されたプログラムを実行することにより、
配達の対象となる配達物の識別情報に基づき前記配達物の配達先を取得し、
取得した前記配達先の情報に基づき、前記配達物を受け取るフロア階から前記配達先のフロア階まで前記乗りかごを移動させるとともに、前記配達物の配達が完了したときは、前記乗りかごをあらかじめ定められた特定階に移動させる制御を行う、
エレベーターの制御方法。
【請求項12】
乗りかごと、前記乗りかごの運転を制御する制御装置とを有するエレベーターと、
配達の対象となる配達物の識別情報を検出する識別情報取得装置と、
前記識別情報取得装置にて取得した前記識別情報に基づき前記配達物の配達先を特定し、前記制御装置に対し指令を行うセンタと、
を備え、
前記制御装置は、
前記センタから前記配達先を取得する取得部と、
前記取得部にて取得した前記配達先の情報に基づき、前記配達物を受け取ったフロア階から前記配達先のフロア階まで前記乗りかごを移動させるとともに、前記配達物の配達が完了したときは、前記乗りかごをあらかじめ定められた特定階に移動させる制御を行う制御部と、
を備える配達システム。
【請求項13】
前記配達物を配達するために移動する端末装置を制御する端末装置制御装置をさらに備える請求項12に記載の配達システム。
【請求項14】
前記識別情報取得装置は、前記識別情報として個人IDを取得し、前記センタは、前記個人IDから配達先を特定する請求項12に記載の配達システム。
【請求項15】
前記センタは、前記個人IDを基に、前記配達物を受け取るフロア階の情報であるエントランス情報と、前記配達先のフロア階の情報であるフロア情報を抽出し、前記制御装置に送る請求項14に記載の配達システム。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、エレベーター、エレベーターの制御方法、配達システムに関する。本発明は、特に、配達物を配達する際に好適に使用できるエレベーター等に関する。
【背景技術】
【0002】
集合住宅等のような複数階を有する建屋において、これら複数の階の間を移動するのにエレベーターを使用することがある。そして従来、配達者が配達物を配達するには、配達物を持った配達者が配達先のフロア階までエレベーターを使用して移動し、配達先に直接配達を行うのが一般的である。
【0003】
特許文献1には、建物の複数の階床に設けられる操作盤と、昇降路を昇降可能に設けられるかごと、かごを昇降駆動する駆動手段と、各操作盤の操作に応答して駆動手段を制御する制御手段とを含む昇降装置が開示されている。そしてこの昇降装置に、かごの中の物の有無を検出する検出手段と、各操作盤の有効性を制限する制限手段と、その解除手段とを設け、かごが任意の階で停止中に、検出手段による物の検出時には、制限手段によって操作盤を操作した階を除く残余の階における操作盤の有効性を制限し、不検出時には解除手段によって解除することが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2008-110839号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、配達先に直接配達を行う方法では、配達者は、配達先まで移動する必要がある。また、配達者は通常は外部の者であり、セキュリティの観点から、配達者にエントランス階以外の階に移動させないことが望ましい。
本発明は、配達者が配達先まで移動しなくても配達を行うことができるエレベーター、エレベーターの制御方法および配達システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の課題を解決するため本発明は、乗りかごと、乗りかごの運転を制御する制御装置とを有するエレベーターであって、制御装置は、配達の対象となる配達物の識別情報に基づき配達物の配達先を取得する取得部と、取得部にて取得した配達先の情報に基づき、配達物を受け取るフロア階から配達先のフロア階まで乗りかごを移動させるとともに、配達物の配達が完了したときは、乗りかごをあらかじめ定められた特定階に移動させる制御を行う制御部と、を備えるエレベーターを提供する。この場合、配達者が配達先まで移動しなくても配達を行えるエレベーターを提供することができる。
【0007】
ここで、あらかじめ定められた特定階は、配達物を受け取ったフロア階にすることができる。この場合、ロボット等の端末装置はさらに別の配達物を配達することができる。
そして、エレベーターが移動可能なフロア階に配され、エレベーターが位置するフロア階を表示する乗場案内装置をさらに備え、制御部は、配達物が乗りかごに乗車しているときは乗場案内装置でフロア階の表示をしない制御をすることができる。この場合、配達先のフロア階を知られにくくなる。
また、制御部は、配達物を配達する端末装置の乗降の状態により、乗りかごにおける配達物の乗車の有無を判定することができる。この場合、配達物が乗車しているか否かを把握しやすくなる。
さらに、制御部は、配達物を配達するときに、乗りかごを配車する優先度に応じ乗りかごの運転を制御することができる。この場合、専用運転にするか否かを判断しやすくなる。
またさらに、制御部は、配達物を受け取ったフロア階から配達先のフロア階まで乗りかごを移動させるときは、優先度を、通常よりも低い第1の優先度とすることができる。この場合、配達運転の場合に専用運転とすることができる。
また、制御部は、第1の優先度では、配達物を配達するための専用運転を行うことができる。この場合、配達先のフロア階を知られにくくなる。
さらに、制御部は、配達先のフロア階まで乗りかごを移動させた後は、優先度を、第1の優先度よりも高く、かつ通常よりも低い第2の優先度とすることができる。この場合、配達運転のときでも配達物が乗車していないときは、他のユーザがエレベーターを利用することができる。
またさらに、制御部は、第2の優先度では、配達先のフロア階以外の他のフロア階からの呼び出しがあったときは、他のフロア階に乗りかごを移動させ、呼び出しがなかったときは配達先のフロア階で待機するようにできる。この場合、配達物が乗車していないときは、他のユーザがエレベーターを利用することができるとともに、他のフロア階からの呼び出しがない場合は、乗りかごを待機させることができる。
また、制御部は、配達物の配達が完了したときは、乗りかごをあらかじめ定められた特定階に移動させる制御をした後に優先度を通常の優先度に戻すようにできる。この場合、配達運転が完了したときに通常運転に戻すことができる。
【0008】
また、本発明は、プロセッサがメモリに記録されたプログラムを実行することにより、配達の対象となる配達物の識別情報に基づき配達物の配達先を取得し、取得した配達先の情報に基づき、配達物の配達するために配達物を受け取るフロア階から配達先のフロア階まで乗りかごを移動させるとともに、配達物の配達が完了したときは、乗りかごをあらかじめ定められた特定階に移動させる制御を行う、エレベーターの制御方法を提供する。この場合、配達者が配達先まで移動しなくても配達を行うことができるエレベーターの制御方法を提供することができる。
【0009】
さらに、本発明は、乗りかごと、乗りかごの運転を制御する制御装置とを有するエレベーターと、配達の対象となる配達物の識別情報を検出する識別情報取得装置と、識別情報取得装置にて取得した識別情報に基づき配達物の配達先を特定し、制御装置に対し指令を行うセンタと、を備え、制御装置は、センタから配達先を取得する取得部と、取得部にて取得した配達先の情報に基づき、配達物を受け取ったフロア階から配達先のフロア階まで乗りかごを移動させるとともに、配達物の配達が完了したときは、乗りかごをあらかじめ定められた特定階に移動させる制御を行う制御部と、を備える配達システムを提供する。この場合、配達者が配達先まで移動しなくても配達を行える配達システムを提供することができる。
【0010】
ここで、配達物を配達するために移動する端末装置を制御する端末装置制御装置をさらに備えるようにできる。この場合、ロボット等の端末装置により配達物の配達を行うことができる。
また、識別情報取得装置は、識別情報として個人IDを取得し、センタは、個人IDから配達先を特定することができる。この場合、配達先を配達者に知られることなく、配達先を特定できる。
さらに、センタは、個人IDを基に、配達物を受け取るフロア階の情報であるエントランス情報と、配達先のフロア階の情報であるフロア情報を抽出し、制御装置に送るようにできる。この場合、エレベーターの制御装置は、配達に必要な情報を得ることができる。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、配達者が配達先まで移動しなくても配達を行うことができるエレベーター、エレベーターの制御方法および配達システムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】本実施の形態が適用される配達システムの全体構成を示したブロック図である。
図2】(a)は、ID管理部が管理する情報であるID管理テーブルについて示した図である。(b)は、建屋管理部が管理する情報である建屋管理テーブルについて示した図である。
図3】配達システムの動作について示した図である。
図4】ロボットが配達物を配達する際のイメージ図である。
図5】入出力情報受信部の動作について説明したフローチャートである。
図6】通常呼び登録部の動作について説明したフローチャートである。
図7】センタ側の制御について説明したフローチャートである。
図8】配達運転検出部の動作について説明したフローチャートである。
図9】直行運転切替部の動作について説明したフローチャートである。
図10】サービス完了判定部の動作について説明したフローチャートである。
図11】呼び戻し運転部の動作について説明したフローチャートである。
図12】乗り場案内表示切替部の動作について説明したフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、添付図面を参照し、本発明の実施の形態について、詳細に説明する。
【0014】
<配達システム1の全体説明>
図1は、本実施の形態が適用される配達システム1の全体構成を示したブロック図である。
図1に示すように、配達システム1は、エレベーター制御システム10と、エレベーターかご20と、センタ30と、ID検出器40と、乗場エレベーターサービス要求装置50と、乗場案内装置60と、ロボット制御装置70と、ロボット連動IF(インタフェース)装置80とを備える。これらは、ネットワーク90を介して互いに接続されている。また、エレベーター制御システム10とエレベーターかご20とで、本実施の形態のエレベーターを構成する。
【0015】
エレベーター制御システム10は、エレベーターかご20の運転を制御する制御装置の一例である。エレベーター制御システム10は、入出力情報受信部11と、通常呼び登録部12と、配達運転検出部13と、直行運転切替部14と、サービス完了判定部15と、呼び戻し運転部16と、乗り場案内表示切替部17と、配達運転完了部18とを備える。
【0016】
入出力情報受信部11は、センタ30からの配車指令があったときは、エレベーターかご20を指令に従い配車する運転を行う。また、センタ30からの配車指令がないときは、通常呼びの運転を行う。
通常呼び登録部12は、エレベーターかご20をユーザ(エレベーターの利用者)が通常運転として呼ぶ際に、通常呼びを登録する。例えば、ユーザが乗場階よりも上方の階に行きたい場合、通常呼び登録操作として乗場階に備えられた上方向ボタンを押すことで、通常呼びを登録する。
本実施の形態で通常運転は、例えば、ユーザが乗場階で、上方向または下方向のボタンを押下し、エレベーターを自分のいる乗場階に呼び、エレベーターかご20を移動させることで、乗車したユーザを行きたい階まで輸送する運転である。一方、本実施の形態では、エレベーターを使用し、配達物を配達する場合があり、このときは、通常運転とは異なる運転として配達運転を行う。配達運転では、配達物を輸送するためにエントランス階から配達物を配達するフロア階まで直行運転を行う。
【0017】
配達運転検出部13は、配達運転の有無を検出する。実際には、後述するように配達運転の指示はセンタ30からなされ、配達運転検出部13は、この指示があったときに、配達運転であることを検出する。また、配達運転検出部13は、配達の対象となる配達物の識別情報から配達物の配達先を取得する取得部として機能する。
【0018】
直行運転切替部14は、配達運転検出部13が配達運転を検出したときに、エレベーターかご20を直行運転に切り替える。この場合、直行運転は、エントランス階から配達先が存在するフロア階まで、他のフロア階に停止せず、直行で運転することである。また、配達が完了したときに配達先が存在するフロア階からエントランス階まで、他のフロア階に停止せず、直行で運転することである。これは、エントランス階と配達先が存在するフロア階との間を、配達物を配達するための専用の運転を行う、と言うこともできる。
【0019】
サービス完了判定部15は、配達物の配達が完了したか否かを判定する。詳しくは後述するが、本実施の形態で、エントランス階から配送先まで配達物の配達を行うのはロボットである。この場合、ロボットは、エントランス階で配達者から配達物を受け取り、エレベーターで配達先のフロア階に移動する。さらにロボットは、このフロア階にある配達先に配達物を配達する。サービス完了判定部15は、ロボットが配達先に配達物を配達したか否かを判断する。「配達物の配達が完了」とは、ロボットが配達先に配達物を配達しただけで足り、ロボットがエントランス階に戻るまでではない。サービス完了判定部15は、例えば、ロボットが配達物を配達先のフロア階で降車した後、再度乗車した場合に、配達物の配達が完了したと判断することができる。
【0020】
呼び戻し運転部16は、エレベーターかご20を配達先が存在するフロア階から、エントランス階に呼び戻す。即ち、ロボットが配達先に配達物を配達した後、再びエレベーターかご20に乗車したときに、エレベーターかご20をエントランス階に戻す運転を行う。
【0021】
乗り場案内表示切替部17は、エレベーターが移動可能なフロア階に配され、エレベーターが位置するフロア階を表示する乗場案内装置60の表示方法を切り替える。具体的には、乗り場案内表示切替部17は、通常運転のときは、乗場案内装置60を表示させる。一方、乗り場案内表示切替部17は、配達運転のときは乗場案内装置60の表示をしない制御をする。具体的には、例えば、配達運転のときは乗場案内装置60の表示を消灯する。また、例えば、「配達運転中」などの表示を行うようにすることもできる。
配達運転完了部18は、配達運転が完了したときに、配達運転から通常運転に戻す制御を行う。この場合、配達運転完了部18は、ロボットが配達先に配達物を配達した後、再びエレベーターかご20に乗車し、エントランス階に戻ったロボットが、エレベーターかご20から降車した時点で、配達運転が完了したと判定する。
【0022】
エレベーターかご20は、乗りかごの一例であり、図示しない昇降路内を上下方向に移動して、乗車したユーザ、ロボット、荷物等を各フロア階の間の輸送を行う。
本実施の形態のエレベーターかご20は、かご内表示器21と、ボタン22と、カメラ23と、認証装置24と、スピーカ25とを備える。
【0023】
かご内表示器21は、エレベーターかご20の向かう方向(上方向または下方向)、現在位置する階数、停止する階などを表示する。
ボタン22は、エレベーターかご20が停止可能なフロア階が印字された複数のボタンからなる。そして、エレベーターを利用するユーザが降車したいフロア階が印字されたボタン22を押下すると、エレベーター制御システム10は、このフロア階にエレベーターかご20を移動させ、ユーザを目的のフロア階まで輸送する。
カメラ23は、エレベーターかご20内を撮影する。撮影された画像は、例えば、センタ30に送られる。エレベーターの管理者は、この画像を見ることで、エレベーターかご20内の状況を把握することができる。
【0024】
認証装置24は、専用運転など特殊呼びを行う際に、使用する。例えば、専用運転を利用したいユーザは、認証装置24により認証を行うことで専用運転を利用することが可能になる。この場合、エレベーターかご20は、ユーザが乗車したフロア階から、ユーザの住居があるフロア階まで直行運転を行う。認証を行う方法としては、特に限られるものではなく、IDカードによる認証、生体認証などを挙げることができる。
スピーカ25は、音声等の音によりユーザに対し案内を行う。例えば、ドアの開閉の案内、次に停止するフロア階の案内、非常時の対応案内などを行う。
【0025】
センタ30は、エレベーター全体の運転の管理を行う。
本実施の形態のセンタ30は、ID管理部31と、建屋管理部32と、配達運転指令部33とを備える。
ID管理部31は、建屋に居住する住民等に関する情報を管理する。建屋管理部32は、建屋に関する情報を管理する。ID管理部31、建屋管理部32が管理する情報について詳しくは後述する。
配達運転指令部33は、配達運転を行うときにエレベーター制御システム10に対し、その旨の指示を指令する。この指令は、配達運転検出部13により検出され、上述したようにエレベーターかご20の運転を制御する。
【0026】
ID検出器40は、識別情報取得装置の一例であり、配達物の識別情報を検出する。検出された識別情報は、センタ30に送られる。そして、センタ30の配達運転指令部33は、検出した識別情報に対応した配達先に配達物を配達する指令を行う。識別情報は、配達先を特定できるものであれば、特に限られるものではない。例えば、バーコード、QRコード(登録商標)、伝票番号などとすることができる。また、識別情報は、配達先の住所、建屋の名称、部屋番号、氏名等であってもよい。この場合、ID検出器40は、配達先の住所や氏名等が記載された伝票をOCR(Optical Character Reader)等を使用して読み込み、配達先を特定する。なお、本実施の形態では、識別情報として建屋ID、ユーザIDを使用する。
【0027】
乗場エレベーターサービス要求装置50は、乗場階に設けられた乗場呼びボタンなどである。乗場エレベーターサービス要求装置50は、例えば、建屋のエレベーターホールごとに設置され、ユーザは、乗場エレベーターサービス要求装置50を操作して所望の行先階を登録することができる。利用者は乗場呼びボタンにより、上方向のフロア階または下方向へのフロア階に移動するサービス要求を乗場階にて登録する。
【0028】
乗場案内装置60は、エレベーターの運行表示を行う。乗場案内装置60は、例えば、建屋のエレベーターホールごとに設置され、エレベーターかご20の移動方向、エレベーターかご20が位置するフロア階等を表示する。
【0029】
ロボット制御装置70は、ロボットの移動を制御する。つまり、ロボット制御装置70は、ロボットが、配達物を受け取り、エントランス階からエレベーターかご20に乗車して、配達先のフロア階で降車し、配達先に配達物を配達する動作を制御する。さらに、ロボット制御装置70は、配達を終えたロボットが、配達先のフロア階からエントランス階に戻るまでの動作を制御する。また、ロボットが蓄電池により供給される電力により動作する場合、ロボット制御装置70は、配達を行わないときに充電装置まで移動させ、充電を行う動作を制御する。ロボット制御装置70は、配達物を配達するために移動する端末装置(ロボット)を制御する端末装置制御装置として機能する。
ロボット連動IF装置80は、ロボットを動作させる指令を送るためのインタフェース装置である。
ネットワーク90は、例えば、専用回線、信号線、インターネット、LAN(Local Area Network)、WAN(Wide Area Network)である。ネットワーク90に用いられる通信回線は、有線か無線かを問わず、これらを併用してもよい。
【0030】
図2(a)は、ID管理部31が管理する情報であるID管理テーブルについて示した図である。ID管理部31は、ID管理テーブルにより、建屋に居住する住民等の情報を管理する。
図2(a)で示すID管理テーブルは、建屋のIDである建屋ID、建屋の名称である建屋名、住民等の部屋番号である部屋ID、部屋が存在するフロア階を示すフロア情報、建屋のエントランス階を示すエントランス情報、住民等にそれぞれ付与される個人ID、住民等の氏名である個人名からなる。例えば、個人IDが00000001であり、個人名がAの住民は、建屋IDが0001であって建屋名がマンションAの、部屋IDとして201が付与された201号室に居住することを示している。そして、この住民の部屋は、2階にあり(フロア情報が002)、エントランスは、1階である(エントランス情報が1)ことを示している。
【0031】
図2(b)は、建屋管理部32が管理する情報である建屋管理テーブルについて示した図である。建屋管理部32は、建屋管理テーブルにより、建屋の情報を管理する。
図2(b)で示す建屋管理テーブルは、建屋のIDである建屋ID、建屋の名称である建屋名、建屋の住所である住所からなる。例えば、建屋IDが0001の建屋名がマンションAの建屋の場合、住所が、「111、〇〇〇、×××、■■」であることを示している。
【0032】
図3は、配達システム1の動作について示した図である。
図3で配車対象物H(配達物)は、配達物を意味する。配車対象物H(配達物)には、個人IDおよび建屋IDの情報が付与されている。そして、配達者は、自身が持つID検出器(配達側)により、建屋IDを取得できる。そしてこの建屋IDをセンタ30の建屋管理部32に問い合わせることで、建屋管理テーブルの中の住所を取得できる。これにより、配達者は、建屋の住所を知ることができる。そして、配達者は、この住所を基に、建屋のエントランス階に到着する。
【0033】
エントランス階で配達者は、ID検出器(建屋側)40に、配車対象物H(配達物)の個人IDを読み込ませる。個人IDは、センタ30に送られる。センタ30では、ID管理部31が、ID管理テーブルを基に、建屋内の配達先を特定する。これにより、配達先を配達者に知られることなく、配達先を特定でき、ロボット等の端末装置により配達を行うことができる。それとともに、センタ30では、配達運転指令部33が、エレベーターの運転を配達運転にする指令をエレベーター制御システム10に送る。このとき、配達運転指令部33は、配車指令とともに、ID管理テーブルから抽出される、エントランス情報および配達先のフロア情報を送る。これにより、エレベーター制御システム10は、配達に必要な情報であるエントランス階および配達先のフロア階の情報を得ることができる。
また、センタ30では、ロボット連動IF装置80に対し、ID管理テーブルから抽出される、エントランス情報、配達先のフロア情報および部屋IDを送る。ロボット連動IF装置80は、ロボット制御装置70にエントランス情報、配達先のフロア情報および部屋IDをさらに転送し、ロボット制御装置70は、ロボットを制御して、配車対象物H(配達物)を配達先に配達する。
【0034】
図4は、ロボットRbが配達物を配達する際のイメージ図である。
ここでは、ロボットRbが、エントランス階(この場合、1階)に待機し、エレベーターかご20がエントランス階に移動しつつある状態を示している。
この後、エレベーターは、配達運転となり、エレベーターかご20は、ロボットRbを配達先のフロア階まで直行運転する。またこのとき、乗場案内装置60は、エレベーターかご20が位置するフロア階等の表示をしない。さらに、乗場エレベーターサービス要求装置50は、通常呼びを受け付けなくなる。
【0035】
<配達システム1の動作の詳細説明>
図5は、入出力情報受信部11の動作について説明したフローチャートである。
まず、入出力情報受信部11は、センタ30からの配車指令の有無を判断する(S100)。
その結果、配車指令があった場合(S100でYes)、入出力情報受信部11は、エレベーターかご20を配車指令に従い所定のフロア階に配車する(S110)。
対して、配車指令がない場合(S100でNo)、入出力情報受信部11は、乗場エレベーターサービス要求装置50からの呼びの有無を判断する(S101)。
そして、乗場エレベーターサービス要求装置50からの呼びがあった場合(S101でYes)、通常呼び登録部12が通常呼び登録をする(S111)。
対して、乗場エレベーターサービス要求装置50からの呼びがない場合(S101でNo)、処理を終了する。
【0036】
図6は、通常呼び登録部12の動作について説明したフローチャートである。
まず、通常呼び登録部12は、上方向呼びがされたか否かを判断する(S200)。
その結果、上方向呼びがあった場合(S200でYes)、通常呼び登録部12は、上方向呼びがあったフロア情報を抽出する(S210)。
対して、上方向呼びがなかった場合(S200でNo)、通常呼び登録部12は、下方向呼びがされたか否かを判断する(S201)。
そして、下方向呼びがあった場合(S201でYes)、通常呼び登録部12は、下方向呼びがあったフロア情報を抽出する(S210)。
なお、下方向呼びがなかった場合(S201でNo)、通常呼び登録部12は、処理を終了する。
S210より後は、通常呼び登録部12は、上方向呼びまたは下方向呼びがあったフロア階に配車運転を行う(S220)。
【0037】
図7は、センタ30側の制御について説明したフローチャートである。
まず、センタ30のID管理部31は、配達物にID情報が有るか否かを判断する(S300)。
そして、配達物にID情報が有る場合(S300でYes)、ID管理部31は、ID情報がDB格納データと一致するか否かを判断する(S310)。即ち、ID管理部31は、ID情報から取得される個人IDが、図2(a)で示したID管理テーブル内に存在するか否かを判断する。
なお、配達物にID情報が無かった場合(S300でNo)、処理を終了する。
ID情報がDB格納データと一致した場合(S310でYes)、配達運転指令部33は、ID情報を取得したID検出器40の情報から、対象のエレベーター情報を抽出する(S311)。
対して、ID情報がDB格納データと一致しなかった場合(S310でNo)、ID管理部31は、エラー情報を通知し(S312)、処理を終了する。
S311より後は、配達運転指令部33は、ID管理テーブルを参照し、個人IDに対応するフロア情報を抽出する(S312)。この場合、配達運転指令部33は、ID管理テーブルにおいて個人IDに紐付けられたフロア階を抽出する。
さらに、配達運転指令部33は、ID管理テーブルを参照し、個人IDに対応するエントランス情報を抽出する(S314)。この場合、配達運転指令部33は、ID管理テーブルにおいて個人IDに紐付けられたエントランス階を抽出する。
そして、配達運転指令部33は、各種情報を対象のエレベーターのエレベーター制御システム10に送信する(S315)。即ち、配達運転指令部33は、フロア情報およびエントランス情報をエレベーター制御システム10に送信する。
【0038】
図8は、配達運転検出部13の動作について説明したフローチャートである。
まず、配達運転検出部13は、配達運転が有るか否かを判断する(S400)。
その結果、配達運転が有る場合(S400でYes)、配達運転検出部13は、フロア情報およびエントランス情報を抽出する(S410)。フロア情報およびエントランス情報は、図7のS315で示したように、センタ30から送られる。
次に、配達運転検出部13は、直行運転を行う(S420)。
なお、配達運転が無い場合(S400でNo)、処理を終了する。
【0039】
図9は、直行運転切替部14の動作について説明したフローチャートである。
まず、直行運転切替部14は、直行運転の指令が有るか否かを判断する(S500)。
その結果、直行運転の指令が有る場合(S500でYes)、直行運転切替部14は、他呼び優先度を低に切替える(S510)。他呼び優先度が低の場合、他呼びを受け付けず、他のユーザは、このエレベーターを利用することができない。この場合、配達運転の場合に他のユーザが乗車しないことで、配達物の配達先のフロア階を知られにくくなる。
次に、直行運転切替部14は、エレベーターかご20を、エントランス階に復帰させる(S511)。
さらに、直行運転切替部14は、エレベーターかご20がエントランス階に到着後、対象端末(ロボット)が乗車したか否かを判断する(S520)。
そして、対象端末(ロボット)が乗車しなかった場合(S520でNo)、直行運転切替部14は、タイムアウトしたか否かを判断する(S521)。
そして、タイムアウトした場合(S521でYes)、処理を終了する。
また、まだタイムアウトしていない場合(S521でNo)、S520に戻る。
【0040】
対して、対象端末(ロボット)が乗車した場合(S520でYes)、センタ30或いは対象端末(ロボット)から受信した行き先階を登録する(S530)。
次に、直行運転切替部14は、エレベーターかご20の戸閉じを行い(S531)、対象階(行先階、配達先のフロア階)にエレベーターかご20を移動させる(S532)。
そして、直行運転切替部14は、サービスの完了待ちをする(S533)。
【0041】
図10は、サービス完了判定部15の動作について説明したフローチャートである。
まず、サービス完了判定部15は、行先階(配達先のフロア階)に到着したか否かを判断する(S600)。
そして、行先階に到着していない場合(S600でNo)、S600に戻る。
対して、行先階に到着した場合(S600でYes)、サービス完了判定部15は、対象端末(ロボット)が降車したか否かを判断する(S610)。
そして、対象端末(ロボット)が降車していない場合(S610でNo)、S610に戻る。
対して、対象端末(ロボット)が降車した場合(S610でYes)、サービス完了判定部15は、他呼び優先度を中に切替える(S611)。他呼び優先度が中の場合、原則として、エレベーターかご20を、対象端末(ロボット)が降車したフロア階に停止させたままとするが、他のユーザによる他呼びがあったときは、これに応じ、他のユーザはエレベーターを利用することができる。
さらに、サービス完了判定部15は、エレベーターかご20の戸閉じを行い、待機する(S612)。
次に、サービス完了判定部15は、対象端末(ロボット)のサービスが完了したか否かを判断する(S620)。
そして、対象端末(ロボット)のサービスが完了していない場合(S620でNo)、S620に戻る。
対して、対象端末(ロボット)のサービスが完了した場合(S620でYes)、呼び戻し運転部16が、次に説明する、エントランス階への呼び戻し運転を行う(S621)。
【0042】
図11は、呼び戻し運転部16の動作について説明したフローチャートである。
まず、呼び戻し運転部16は、対象端末(ロボット)の対象階(行先階、配達先のフロア階)にエレベーターかご20が存在するか否かを判断する(S700)。即ち、呼び戻し運転部16は、対象端末(ロボット)がいるフロア階にエレベーターかご20が存在するか否かを判断する。
その結果、対象端末(ロボット)の対象階にエレベーターかご20が存在しない場合(S700でNo)、呼び戻し運転部16は、対象階に呼び登録を行う(S701)。
また、対象端末(ロボット)の対象階にエレベーターかご20が存在する場合(S700でYes)、およびS701より後は、呼び戻し運転部16は、対象端末(ロボット)が乗車したか否かを判断する(S710)。
そして、対象端末(ロボット)が乗車していない場合(S710でNo)、S710に戻る。
対して、対象端末(ロボット)が乗車した場合(S710でYes)、呼び戻し運転部16は、エントランス階に呼び登録を行う(S711)。
次に、呼び戻し運転部16は、エレベーターかご20がエントランス階に到着し、対象端末が降車したか否かを判断する(S720)。
そして、対象端末が降車していない場合(S720でNo)、S720に戻る。
対して、対象端末が降車した場合(S720でYes)、他呼び優先度を通常に戻す(S721)。この場合、他呼び優先度を高にする。他呼び優先度が高の場合、エレベーターの運転は、通常運転である。よって、ユーザによる他呼びがあったときは、これに応じ、ユーザは通常通りエレベーターを利用することができる。
【0043】
上述したように、直行運転切替部14、サービス完了判定部15、呼び戻し運転部16は、配達物を配達するときに、エレベーターかご20を配車する優先度(他呼び優先度)に応じエレベーターかご20の運転を制御する。他呼び優先度は、低、中、高の3段階が設定される。
具体的には、図9のS510に示した場合のように、直行運転切替部14は、配達物を受け取るフロア階から配達先のフロア階までエレベーターかご20を移動させるときは、他呼び優先度を、通常よりも低い第1の優先度(低)とする。このとき、直行運転切替部14は、第1の優先度(低)では、配達物を配達するための専用運転を行う。
また、図10のS611に示した場合のように、サービス完了判定部15は、配達先のフロア階までエレベーターかご20を移動させた後は、他呼び優先度を、第1の優先度(低)よりも高く、かつ通常よりも低い第2の優先度(中)とする。このとき、サービス完了判定部15は、第2の優先度では、配達先のフロア階以外の他のフロア階からの呼び出しがあったときは、他のフロア階にエレベーターかご20を移動させ、呼び出しがなかったときは配達先のフロア階で待機する。この場合、配達運転のときでも配達物が乗車していないときは、配達物を配達するための専用運転としないことで他のユーザがエレベーターを利用することができる。さらに詳しくは、配達物が乗車していないときは、配達物を配達するための専用運転としないことで他のユーザがエレベーターを利用することができるとともに、他のフロア階からの呼び出しがない場合は、乗りかごを待機させ、配達を終えたロボット等の端末装置を迅速に乗車させることができる。第2の優先度では、配達運転と他のユーザの利用との両立を図ることができると言うこともできる。
さらに、図11のS721に示した場合のように、呼び戻し運転部16は、配達物の配達が完了したときは、エレベーターかご20をあらかじめ定められた特定階に移動させる制御をした後に優先度を通常の優先度に戻す。この場合、呼び戻し運転部16は、他呼び優先度を、通常の優先度である第3の優先度(高)とする、と言うこともできる。これにより、配達運転が完了したときに通常運転に戻し、他のユーザはエレベーターを通常通り利用することができる。
【0044】
図12は、乗り場案内表示切替部17の動作について説明したフローチャートである。
まず、乗り場案内表示切替部17は、配車運転の切り替えが有るか否かを判断する(S800)。即ち、乗り場案内表示切替部17は、配達運転への切り替えが有るか否かを判断する。
その結果、配車運転の切り替えがあった場合(S800でYes)、乗り場案内表示切替部17は、乗場案内装置60の表示を削除する(S801)。
なお、配車運転の切り替えがなかった場合(S800でNo)、処理を終了する。
S801以降は、乗り場案内表示切替部17は、通常呼びを検出し、通常呼びサービスであるか否かを判断する(S810)。
そして、通常呼びを検出し、通常呼びサービスであった場合(S810でYes)、乗り場案内表示切替部17は、通常呼び応答時だけ同期位置を表示する(S811)。即ち、乗場案内装置60の表示を行う。
なお、通常呼びを検出していない場合、または通常呼びサービスでない場合(S810でNo)、乗り場案内表示切替部17は、対象端末(ロボット)の配達のサービスの完了を検出したか否かを判断する(S812)。
そして、サービスの完了を検出した場合(S812でYes)、乗り場案内表示切替部17は、乗場案内装置60の表示を通常に戻し、処理を終了する。
対して、サービスの完了を検出していない場合(S812でNo)、S801に戻る。
S811より後は、乗り場案内表示切替部17は、通常呼びサービスが完了したか否かを判断する(S820)。
そして、通常呼びサービスが完了していない場合(S820でNo)、S820に戻る。
対して、通常呼びサービスが完了した場合(S820でYes)、S801に戻る。
この場合、乗り場案内表示切替部17は、配達物がエレベーターかご20に乗車しているときは乗場案内装置60でフロア階の表示をしない制御をする、と言うこともできる。この場合、フロア階の表示をしないことで、他のユーザには配達先のフロア階は不明となり、配達先のフロア階が知られにくくなる。また、乗り場案内表示切替部17は、配達物を配達する端末装置(ロボット)の乗降の状態により、エレベーターかご20における配達物の乗車の有無を判定する。この場合、端末装置(ロボット)の乗降の有無の把握は容易であるので、配達物が乗車しているか否かを把握しやすくなる。
【0045】
上述した形態において、直行運転切替部14、サービス完了判定部15、呼び戻し運転部16および配達運転完了部18は、取得した配達先の情報に基づき、配達物を受け取るフロア階から配達先のフロア階までエレベーターかご20を移動させるとともに、配達物の配達が完了したときは、乗りかごをあらかじめ定められた特定階に移動させる制御を行う制御部として機能する。配達物を受け取った階は、エントランス階に対応する。また、乗りかごは、特定階として配達物を受け取った階であるエントランス階に戻る。これにより、端末装置(ロボット)はさらに別の配達物を配達者から受け取り、さらに配達物の配達を行うサービスを行うことができる。ただし、特定階はこれに限られるものではなく、例えば、充電装置がある階に戻る制御をしてもよい。
なお、上述した例では、配達物の配達が完了する場合について説明したが、例えば、配達先の住民等が不在であり、配達物の配達ができない場合もあり得る。このときは、ロボットの制御は、上述した場合とほぼ同様である。つまり、ロボットは、配達物を所持したままエントランス階に戻る。その後、例えば、ロボットは、エントランス階において宅配ボックス等に配達物を収容する。また、建屋の管理人に渡すような方法でもよい。
【0046】
上述した形態によれば、配達者が配達先まで移動しなくても配達を行うことができるエレベーターを提供することができる。また、配達者に配達先を知られることなく、配達物の配達を行うことができる。
【0047】
<エレベーターの制御方法の説明>
以上説明を行ったエレベーター制御システム10が行う処理は、ソフトウェアとハードウェア資源とが協働することにより実現される。即ち、エレベーター制御システム10に設けられたコンピュータ内部のプロセッサが、上述した各機能を実現するソフトウェアをメモリにロードして実行し、これらの各機能を実現させる。
よって、エレベーター制御システム10が行う処理は、プロセッサがメモリに記録されたプログラムを実行することにより、配達の対象となる配達物の識別情報に基づき配達物の配達先を取得し、取得した配達先の情報に基づき、配達物の配達するために配達物を受け取ったフロア階から配達先のフロア階まで乗りかごを移動させるとともに、配達物の配達が完了したときは、乗りかごをあらかじめ定められた特定階に移動させる制御を行う、エレベーターの制御方法と捉えることができる。
【0048】
以上、本実施の形態について説明したが、本発明の技術的範囲は上記実施の形態に記載の範囲には限定されない。上記実施の形態に、種々の変更または改良を加えたものも、本発明の技術的範囲に含まれることは、特許請求の範囲の記載から明らかである。
【符号の説明】
【0049】
1…配達システム、10…エレベーター制御システム、11…入出力情報受信部、12…通常呼び登録部、13…配達運転検出部、14…直行運転切替部、15…サービス完了判定部、16…呼び戻し運転部、17…乗り場案内表示切替部、18…配達運転完了部、20…エレベーターかご、30…センタ、31…ID管理部、32…建屋管理部、33…配達運転指令部、40…ID検出器、50…乗場エレベーターサービス要求装置、60…乗場案内装置、70…ロボット制御装置、Rb…ロボット

図1
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