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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024146223
(43)【公開日】2024-10-15
(54)【発明の名称】超音波装置
(51)【国際特許分類】
   H04R 3/00 20060101AFI20241004BHJP
【FI】
H04R3/00 330
【審査請求】未請求
【請求項の数】14
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023059001
(22)【出願日】2023-03-31
(71)【出願人】
【識別番号】000204284
【氏名又は名称】太陽誘電株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100087480
【弁理士】
【氏名又は名称】片山 修平
(72)【発明者】
【氏名】青木 達也
【テーマコード(参考)】
5D019
【Fターム(参考)】
5D019AA02
5D019FF01
(57)【要約】
【課題】超音波の位相の制御を適切に行うことができる超音波装置を提供する。
【解決手段】超音波装置100は、基板10と、前記基板10の上面、下面および内部の少なくとも1つに設けられ、前記基板10の変位を検出するセンサ30と、前記基板10の上面に設けられ、前記センサ30の出力信号に基づき位相を制御された超音波を各々送信または受信する複数の素子20と、を備える。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板と、
前記基板の上面、下面および内部の少なくとも1つに設けられ、前記基板の変位を検出するセンサと、
前記基板の上面に設けられ、前記センサの出力信号に基づき位相を制御された超音波を各々送信または受信する複数の素子と、
を備える超音波装置。
【請求項2】
前記センサの出力信号に基づき前記複数の素子が各々送信または受信する超音波の位相を制御する制御部を備える請求項1に記載の超音波装置。
【請求項3】
前記制御部は、前記複数の素子が送信または受信する超音波の焦点位置に関する情報に基づき、前記超音波の位相を制御する請求項2に記載の超音波装置。
【請求項4】
前記制御部は、前記出力信号に基づき、前記複数の素子の位置情報を算出し、前記位置情報に基づき、前記超音波の位相を制御する請求項2または3に記載の超音波装置。
【請求項5】
前記基板は、外部に固定される固定点を有し、前記制御部は、前記固定点を基準に前記位置情報を算出する請求項4に記載の超音波装置。
【請求項6】
複数の前記センサにそれぞれ接続され、平面視において前記複数の素子と重ならないように前記基板の上面、下面および内部の少なくとも1つに設けられた複数の配線を備える請求項1から3のいずれか一項に記載の超音波装置。
【請求項7】
前記複数の素子は、前記基板の上面の第1方向と前記第1方向に交差する第2方向に配列された2行2列の4つの第1領域に設けられ、
前記センサは、前記4つの第1領域のうち2つの間にそれぞれ相当する4つの第2領域の各々に少なくとも1つ設けられている請求項1から3のいずれか一項に記載の超音波装置。
【請求項8】
前記4つの第2領域の各々に複数の前記センサが設けられ、
前記4つの第1領域のうち、前記第1方向に配列された第1領域の間に位置する第2領域に設けられた複数のセンサは、前記第2方向に配列されている請求項7に記載の超音波装置。
【請求項9】
複数の前記センサにそれぞれ接続され、平面視において前記4つの第1領域の外側を通過するように前記基板の上面、下面および内部の少なくとも1つに設けられた複数の配線を備える請求項7に記載の超音波装置。
【請求項10】
振動する振動層の少なくとも1つの層が一体に設けられた複数の素子は、1つのチップ上に設けられ、
前記センサは、前記1つのチップの上面、下面および内部の少なくとも1つに設けられている請求項1から3のいずれか一項に記載の超音波装置。
【請求項11】
前記複数の素子のうち振動する振動層が一体に設けられていない素子は別のチップに設けられ、前記基板に実装された複数のチップを備え、
前記センサは前記基板の上面、下面および内部の少なくとも1つに設けられている請求項1から3のいずれか一項に記載の超音波装置。
【請求項12】
マトリックス状に設けられた仮想的な複数の配置領域と、前記複数の配置領域のうち隣接する配置領域の間に設けられた離間領域と、前記複数の配置領域と側辺の間のスペースと、を有する基板と、
前記複数の配置領域に各々設けられた振動素子と、
前記離間領域に設けられた変位素子と、
を備える超音波装置。
【請求項13】
前記変位素子の出力を演算し、前記振動素子の動作を制御する制御部を備える請求項12に記載の超音波装置。
【請求項14】
前記変位素子は、長手方向と短手方向を有する素子であり、前記離間領域の延在方向と前記変位素子の長手方向は平行である請求項12または13に記載の超音波装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、超音波装置に関する。
【背景技術】
【0002】
超音波を出力する素子をアレイ状に複数配置し、複数の素子が出力する超音波の位相を制御することで、空中のユーザの手等に触覚を生じさせるシステムが知られている(例えば特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2020-24709号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
複数の素子が送信する複数の超音波の位相を制御することで、空中の所望の箇所に複数の超音波を集束させることができる。しかしながら、実装基板が撓むまたは歪んだ場合、素子間の相対位置が変化してしまう。そのため、所望の箇所に複数の超音波を集束することが難しくなる場合がある。
【0005】
本発明は、上記課題に鑑みなされたものであり、超音波の位相の制御を適切に行うことを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、基板と、前記基板の上面、下面および内部の少なくとも1つに設けられ、前記基板の変位を検出するセンサと、前記基板の上面に設けられ、前記センサの出力信号に基づき位相を制御された超音波を各々送信または受信する複数の素子と、を備える超音波装置である。
【0007】
上記構成において、前記センサの出力信号に基づき前記複数の素子が各々送信または受信する超音波の位相を制御する制御部を備える構成とすることができる。
【0008】
上記構成において、前記複数の素子が送信または受信する超音波の焦点位置に関する情報に基づき、前記超音波の位相を制御する構成とすることができる。
【0009】
上記構成において、前記制御部は、前記出力信号に基づき、前記複数の素子の位置情報を算出し、前記位置情報に基づき、前記超音波の位相を制御する構成とすることができる。
【0010】
上記構成において、前記基板は、外部に固定される固定点を有し、前記制御部は、前記固定点を基準に前記位置情報を算出する構成とすることができる。
【0011】
上記構成において、複数の前記センサにそれぞれ接続され、平面視において前記複数の素子と重ならないように前記基板の上面、下面および内部の少なくとも1つに設けられた複数の配線を備える構成とすることができる。
【0012】
上記構成において、前記複数の素子は、前記基板の上面の第1方向と前記第1方向に交差する第2方向に配列された2行2列の4つの第1領域に設けられ、前記センサは、前記4つの第1領域のうち2つの間にそれぞれ相当する4つの第2領域の各々に少なくとも1つ設けられている構成とすることができる。
【0013】
上記構成において、前記4つの第2領域の各々に複数の前記センサが設けられ、前記4つの第1領域のうち、前記第1方向に配列された第1領域の間に位置する第2領域に設けられた複数のセンサは、前記第2方向に配列されている構成とすることができる。
【0014】
上記構成において、複数の前記センサにそれぞれ接続され、平面視において前記4つの第1領域の外側を通過するように前記基板の上面、下面および内部の少なくとも1つに設けられた複数の配線を備える構成とすることができる。
【0015】
上記構成において、振動する振動層の少なくとも1つの層が一体に設けられた複数の素子は、1つのチップ上に設けられ、前記センサは、前記1つのチップの上面、下面および内部の少なくとも1つに設けられている構成とすることができる。
【0016】
上記構成において、前記複数の素子のうち振動する振動層が一体に設けられていない素子は別のチップに設けられ、前記基板に実装された複数のチップを備え、前記センサは前記基板の上面、下面および内部の少なくとも1つに設けられている構成とすることができる。
【0017】
本発明は、マトリックス状に設けられた仮想的な複数の配置領域と、前記複数の配置領域のうち隣接する配置領域の間に設けられた離間領域と、前記複数の配置領域と側辺の間のスペースと、を有する基板と、前記複数の配置領域に各々設けられた振動素子と、前記離間領域に設けられた変位素子と、を備える超音波装置である。
【0018】
上記構成において、前記変位素子の出力を演算し、前記振動素子の動作を制御する制御部を備える構成とすることができる。
【0019】
上記構成において、前記変位素子は、長手方向と短手方向を有する素子であり、前記離間領域の延在方向と前記変位素子の長手方向は平行である構成とすることができる。
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、超音波の位相の制御を適切に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1図1(a)は、実施例1に係る超音波装置の平面図、図1(b)および図1(c)は、図1(a)のそれぞれC-C断面およびB-B断面における基板の上面を示す図である。
図2図2(a)および図2(b)は、実施例1の超音波装置の動作を示す模式図である。
図3図3(a)は、実施例2に係る超音波装置の平面図、図3(b)および図3(c)は、図3(a)のそれぞれA-A線断面図およびB-B線断面図である。
図4図4は、図3(a)の2個の素子および2個のセンサを拡大した平面図である。
図5図5(a)および図5(b)は、図4のそれぞれA-A断面図およびB-B断面図である。
図6図6は、実施例2に係る超音波装置のブロック図である。
図7図7(a)および図7(b)は、基板を回路基板に実装した断面図である。
図8図8(a)は、実施例2の変形例1に係る超音波装置の平面図、図8(b)は、図8(a)のA-A断面図である。
図9図9(a)は、実施例3に係る超音波装置の平面図、図9(b)および図9(c)は、図9(a)のそれぞれA-A断面図およびB-B断面図である。
図10図10は、実施例3における1つの素子の断面図である。
図11図11は、実施例4に係る超音波装置の平面図である。
図12図12は、実施例4の変形例1に係る超音波装置の平面図である。
図13図13は、実施例4の変形例2に係る超音波装置の平面図である。
図14図14は、実施例4の変形例3に係る超音波装置の平面図である。
図15図15は、実施例4の変形例4に係る超音波装置の平面図である。
図16図16(a)は、実施例5に係る超音波装置の平面図、図16(b)および図16(c)は、図16(a)のそれぞれA-A断面図およびB-B断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、図面を参照し実施例について説明する。
【実施例0023】
図1(a)は、実施例1に係る超音波装置100の平面図、図1(b)および図1(c)は、図1(a)のそれぞれC-C断面およびB-B断面における基板10の上面を示す図であり、基板10の反りの状態を示している。図1(a)では、基板10の厚さ方向をZ方向、素子20の配列方向をX方向およびY方向とする。
【0024】
まずは、基板10、超音波を送受信する素子20および変位を検出するセンサ30の大まかな関係について2つの例を述べる。
【0025】
第1例:基板10として、例えば半導体基板を採用し、素子20およびセンサ30は、この基板10の上に、半導体プロセスを用い形成されたモノリシック型のデバイスである。なお、基板10に空隙が形成され、支持体として半導体基板が採用されるものが考えられる。または、基板10を取り除き、別途、樹脂で支持体と空隙とを形成するものが考えられる。
【0026】
第2例:回路基板25(図9(a)~図9(c)参照)として、無機材料または有機材料からなる基板を採用し、別途、半導体プロセスを用い製造されたディスクリート型の素子20を有するチップ15を実装するものが考えられる。なお、第1例および第2例において、センサ30は、ディスクリート型を別途用意してもよいし、基板10または回路基板25の上に直接センサ30を作り込んでもよい。
以下に説明する実施例1は、第1例である。
【0027】
チップ15の平面形状は矩形であり、対向する辺は左右方向(X方向)に延伸し、別の対向する辺は上下方向(Y方向)に延伸する。以降、説明する素子20が作り込まれる第1領域50は、規則性を持って配列されている。ここでは、第1領域50は行列(マトリックス)状に配置されている。平面視で見たとき、隣接する2つの第1領域50の間には、第2領域52が設けられている。
【0028】
この第1領域50には、超音波を送信または受信する素子20が少なくとも1つ以上設けられている。なお、ここでは、第1領域50の配置は2行2列である。また第2領域52は、十字状または格子状に配置されている。第2領域52には、基板10の変位を検出するセンサ30(例えば歪検知素子)が設けられている。
【0029】
なお、チップ15の中央にはチップ15の平面形状の中心44がある。センサ30は、横方向(X方向)に延伸する仮想的なC-C直線と、縦方向(Y方向)に延伸する仮想的なB-B直線と、に沿って配置されている。B-B直線およびC-C直線は、中心44を通過する。第1領域50の配列が2行2列のように偶数行偶数列の場合には、B-B直線およびC-C直線は中心44を通過する。第1領域50の配列が奇数行または奇数列の場合には、B-B直線およびC-C直線は中心44を通過しない。
【0030】
1個の第1領域50内の素子20の数は1以上において適宜設定できる。また、第1領域50内の素子20の配列、および第1領域50の配列は、ある規則性をもった配列であればよい。なお、第1領域50内の素子20、および第1領域50は、不規則な配列で設けられてもよい。
【0031】
第2領域52内には、または隣接する2つの第1領域50の間には、少なくとも1つのセンサ30が設けられる。なお、ここでは、1つの第2領域52に2つのセンサ30が設けられている。よって、センサ30は、縦に4つ、横に4つが十字状に配列されている。制御部38は、例えばプロセッサであり、複数の素子20および複数のセンサ30と電気的に接続されている。制御部38は、基板10の変位を検出し、素子20の制御を行う。
【0032】
図2(a)および図2(b)は、実施例1の超音波装置100の動作を示す模式図である。図2(a)および図2(b)は、図1のA-Aにおける断面の模式図であり、基板10の上面とセンサ30を図示している。
【0033】
図2(a)は、基板10に撓みがなく、基板10の上面43が平面である理想的な場合を示している。位置40は、素子20が出力する複数の超音波42を集束させる位置、すなわち音場焦点であり、例えばユーザの手の位置である。ユーザの手の位置は、例えば光学方式のトラッキングシステム等により得られる。
【0034】
位置40に超音波42を集束させる方法の例を説明する。素子20の積層膜18が振動することで、素子20は例えば放射状に超音波を発する。この超音波は、空間における音圧の場を形成し、任意の位置での超音波圧は、経時的に周期的な変化をする。このため、超音波圧の経時的変化は位相を有する。複数の素子20が超音波を発すると、各々の素子20のそれぞれが、音圧の場を形成する。超音波42が集束するとは、音圧の場において、ある位置で超音波圧が強め合うことである。この位置を、集束位置または焦点位置と呼ぶ。
【0035】
集束位置40の座標を(x,y,z)とし、各素子20の位置の座標を(xi,yi,zi)とする。iは整数であり、図2では、1~4である。
【0036】
図1のように、素子20が16個設けられている場合、iは1~16である。位置40と素子20との相対距離riは数1により表される。なお、座標(xi,yi,zi)は、図1(a)において仮定したXY座標とは異なっていてもよい。
【数1】
【0037】
各素子20が出力する超音波42の超音波圧piを数2とする。
【数2】
ここで、Aは超音波42の振幅に相当する係数、kは超音波42の波数、ωは超音波42の周波数、tは時間、θiは超音波42の位相、θ0は基準とする位相である。
【0038】
各超音波42の位相θiを数3のように設定する。
【数3】
これにより、超音波42は位置40に集束する。
【0039】
出力された超音波42が集束する位置40に、人体の一部をかざすと、この集束された超音波によりユーザは皮膚に触感が得られる。このように、非接触インターフェースに実施例1の超音波装置を用いることができる。なお、人体の皮膚が触覚を感じやすい音波の周波数は例えば約200Hzである。数100kHzの搬送波に200Hz程度の低周波の音波を変調した超音波を皮膚に照射することで、皮膚に触覚を与えることができる。
【0040】
図2(b)は、基板10の上面43が湾曲した場合を示している。例えば、プロセスの過程で熱処理したり、材料の異なる膜を積層したりすると、熱膨張係数の違いにより、基板10に反りが発生することがある。各素子20の位置の座標は、それぞれ変化し、(x1´,y1´,z1´)~(x4´,y4´,z4´)と変わる。このため、基板10の反りを考慮しないと、位置40に超音波42が集束しなくなることがある。
【0041】
この反りを検知するため、図1(a)のように、基板10の上面43にひずみ(反り)を検出するセンサ30として、例えば歪ゲージを設けている。X方向に並ぶ4個のセンサ30は基板10の左右方向(X方向)のひずみを主に検出し、Y方向に並ぶ4個のセンサ30は上下方向(X方向)のひずみを主に検出する。歪む前の基板10の長さをL、力が加わることで変化する長さをΔLとすると、ひずみεはΔL/Lで示される。ここで、引っ張られる方向のひずみεを正とする。
【0042】
図1(b)および図1(c)は、基板10が撓んだときの上面43を示している。図1(b)および図1(c)に示すように、基板10の中心44をゼロ起点とすると、基板10の周縁がゼロ起点に対して+Z方向に反るように、基板10が撓んでいる。基板10が撓むと、センサ30は、基板10のひずみを検出する。例えばX方向に配列したセンサ30は、歪εx1、εx2、εx3およびεx4を検出する。例えばY方向に配列したセンサ30は、歪εy1、εy2、εy3およびεy4を検出する。
【0043】
センサ30が検出した歪εx1、εx2、εx3、εx4、εy1、εy2、εy3およびεy4から基板10の撓みの状態を認識でき、各素子20の座標を演算および算出できる。例えば、図2(b)における素子20の座標(x1´,yi´,zi´)がセンサ30により算出できる。センサ30が検出した歪εから素子20の座標(x1´,yi´,zi´)を算出する方法は、例えば、予め、基板10を撓ませて歪εと座標(x1´,yi´,zi´)を測定し、歪εと座標(x1´,yi´,zi´)との対応関係をメモリに記憶させておけばよい。歪εと座標(x1´,yi´,zi´)との対応関係は、シミュレーションにより算出してもよい。
【0044】
基板10の撓みだけでは、座標(x1´,yi´,zi´)が正確に算出できないことがある。そこで、基板10が外部に固定される固定点41を基準点となるように定めておく。固定点41と超音波42を集束させる位置40との相対位置は基板10が撓んでも変わらないとすると、固定点41の座標(x0,y0,z0)を基準に、座標(x1´,yi´,zi´)を算出できる。
【0045】
例えば、制御部38は、各素子20の座標(x1´,yi´,zi´)に基づき、数1~数3を用い、素子20が出力する超音波42の位相を制御する。これにより、基板10が撓んだ場合でも超音波42を所望の位置40に集束させることができる。
【0046】
このように、制御部38は、センサ30の出力信号に基づき、複数の素子20がそれぞれ送信または受信する超音波42の位相を制御する。これにより、基板10が撓んだ場合でも、超音波の位相の制御を適切に行うことができる。
【0047】
複数の超音波42を位置40に集束させたい場合には、制御部38は、複数の超音波42を集束させる位置40に関する情報に基づき、複数の超音波42の位相を制御する。これにより、基板10が撓んだ場合でも超音波42を所望の位置40に集束させることができる。
【0048】
制御部38は、センサ30の出力信号に基づき、複数の素子20の位置情報(例えば座標(x1´,yi´,zi´))を算出し、位置情報に基づき、複数の超音波42の位相を制御する。このように、複数の素子20の位置情報に基づき数1~数3を用いて超音波42の位相を制御することで、基板10が撓んだ場合でも超音波42を所望の位置40により正確に集束させることができる。
【0049】
超音波42を集束させる位置40の座標と基板10内の座標との相対関係が変わってしまうと、超音波42が集束される位置が所望の位置40からずれてしまう。そこで、基板10は、外部に固定された固定点41を有し、制御部38は、固定点41を基準に複数の位置情報を算出する。これにより、位置情報を正確に算出でき、超音波42を所望の位置40により正確に集束させることができる。
【0050】
図1(a)のように、複数の素子20は、基板10の上面43のX方向とY方向に配列された2行2列の4つの第1領域50に設けられている。センサ30は、4つの第2領域52の各々に少なくとも1つ設けられている。このように、平面視で見たときに、基板10の中心44を通る十字に対応する位置(先に述べた、中心44を通るB-B直線およびC-C直線の通過する第2領域52)にセンサ30を設けることで、センサ30の個数が少なくてもセンサ30の出力信号に基づき基板10の撓んだ状態を把握できる。
【0051】
また、第2領域52の各々に複数のセンサ30が設けられており、各第2領域52内のセンサ30は、X方向またはY方向に配列されている。このX方向に配列されたセンサ30により、X方向における基板10の撓みを把握でき、Y方向に配列されたセンサ30により、Y方向における基板10の撓みを把握できる。よって、制御部38は、センサ30の出力信号に基づき、アレイ状の複数の素子20の位置をより正確に算出できる。
【実施例0052】
実施例2は、実施例1の具体例であり、素子20として、圧電型マイクロマシン超音波トランスデューサ(pMUT:Piezoelectric Micromachined Ultrasonic Transducer)を用いている。図3(a)は、超音波装置102の平面図、図3(b)および図3(c)は、図3(a)のそれぞれA-A線断面図およびB-B線断面図である。
【0053】
この超音波装置102では、チップ15の基板10に基板10の厚さ方向に下面から開口された空隙13が設けられている。pMUT素子20および歪センサ30は、基板10の上面43に設けられている。pMUT素子20は、空隙13の上方を振動領域54および駆動領域56を有している。pMUT素子20および歪センサ30の平面配置は、実施例1の図1(a)と同じである。
【0054】
図4は、図3(a)の2個のpMUT素子20および隣に並んだ2個の歪センサ30を拡大したものである。図5(a)および図5(b)は、図4のそれぞれA-A断面図およびB-B断面図である。
【0055】
図4および図5(a)のように、pMUT素子20には、基板10の下面から空隙13が設けられており、この空隙13の周囲は、リング状の基板10が支持体となる。基板10および空隙13上には、2層からなる活性層11が設けられている。層11aは、空隙13を形成するときにエッチングストッパとして機能するストッパ層である。この層11aは例えば酸化シリコン層である。またこの上の層11bは例えばシリコン層である。この2層の活性層11は、基板10全域に設けられ、全ての素子20で着目すれば、全てのpMUT素子20が配置される領域を含め、基板10全域に一体で連続して設けられている。なお、層11b上には、酸化シリコン膜等の絶縁膜が設けられていてもよい。
【0056】
下部電極12は、活性層11上に設けられている。下部電極12上には圧電層14が設けられている。さらに圧電層14上に上部電極16が設けられている。図5(a)のように、活性層11、下部電極12、圧電層14および上部電極16は積層膜18を形成する。
【0057】
下部電極12、圧電層14および上部電極16は、振動体となり、基板10においてお互いに機械的に分離されて形成されている。下部電極12または上部電極16は、複数の素子20において一体に連続して設けられていてもよい。
【0058】
基板10上に、下部電極12とコンタクト孔を介して接続された配線19aおよび上部電極16に接続された配線19bが設けられている。また圧電層14および上部電極16を覆うように保護膜が設けられていてもよい。
【0059】
空隙13が活性層11に接する領域は振動領域54である。圧電層14を挟み下部電極12と上部電極16とが重なる領域は、駆動領域56である。振動領域54および駆動領域56の平面形状は例えば円で、両者の中心は略一致する。
【0060】
この振動領域54を別の表現で言えば積層膜18が振動する領域であり、駆動領域56は、下部電極12と上部電極16との間の重畳部で交流電圧が印加された領域である。振動領域54および駆動領域56の平面形状は、略円形以外でもよく、例えば略多角形状でもよい。
【0061】
図4および図5(b)のように、センサ30は、半導体プロセスを用い形成され、金属線31を有する。端子間の金属線31はミアンダ状であり、第2領域52の長辺方向に延伸する。なお、金属線31を覆うようにカバー層32が設けられている。カバー層32は、例えば酸化シリコン層または窒化シリコン層などの無機絶縁層である。金属線31の両端の端子は、カバー層32を貫通するコンタクト孔を介しそれぞれ配線19cおよび19dに接続されている。基板10が歪むと、金属線31の抵抗が変化する。この抵抗の変化を検出することで、基板10のひずみを検出できる。
【0062】
以下に、具体的に、各構成の材料などを説明する。
基板10は、例えばシリコン基板である。この基板10に、酸化シリコン層の層11aおよびシリコン層の層11bを積層してもよいが、基板10、層11aおよび11bは、例えばSOI(Silicon on insulator)基板として用意してもよい。下部電極12および上部電極16は、例えばルテニウム、モリブデン、金、チタン、白金、アルミニウム、銅もしくはクロム等の金属膜から選択された膜、またはこれらの中から複数の膜が選択された積層膜である。また下部電極12と上部電極16とは互いに同じ材料からなる金属膜もよいし、互いに異なる材料からなる金属膜でもよい。
【0063】
圧電層14の材料は、例えばPZT(チタン酸ジルコン酸鉛)、BTO(チタン酸バリウム)、AlN(窒化アルミニウム)、PVDF(ポリフッ化ビニリデン)、LiNbO(ニオブ酸リチウム)、LiTaO(タンタル酸リチウム)、ZnO(酸化亜鉛)またはKNN(ニオブ酸カリウムナトリウム)である。配線19a~19cは、例えば金層、銅層またはアルミニウム層等の金属層である。
【0064】
金属線31は、例えば銅ニッケル合金またはニッケルクロム合金である。センサ30として、金属式のひずみセンサを例に説明したが、センサ30は、半導体式のひずみセンサでもよい。
【0065】
基板10の厚さは、例えば10μm~100μmである。活性層11の厚さは例えば1μm~10μmである。下部電極12および上部電極16の厚さは例えば10nm~500nmである。圧電層14の厚さは、例えば1μm~10μmである。振動領域54の直径は、例えば200μm~2000μm、駆動領域56の直径は、振動領域54よりも小さく、例えば100μm~1500μmである。
【0066】
図6は、実施例2に係る超音波装置102のブロック図である。超音波装置102は、素子20、センサ30、制御部38および位置測定器66を備えている。制御部38は、ひずみ検出部60、素子位置算出部61、位相算出部62、位置検出部64および駆動部65を備えている。ひずみ検出部60、素子位置算出部61、位相算出部62、位置検出部64および駆動部65の少なくとも一部は、プロセッサ等がソフトウエアと協働して機能してもよく、専用回路によりハードウエアのみで機能してもよい。
【0067】
位置測定器66は、図2(b)において超音波42を集束させる位置40を測定する機器であり、例えば光学方式のトラッキングシステムである。
【0068】
ひずみ検出部60は、センサ30の出力信号から基板10の歪εを検出する。素子位置算出部61は、基板10の歪εに基づき、素子20の位置を算出する。例えば、素子位置算出部61は、図2(b)の各素子20の座標(x1´,yi´,zi´)を算出する。位置検出部64は、位置測定器66の出力信号から超音波42を集束させる位置40の座標(x,y,z)を検出する。位相算出部62は、素子20の座標(x1´,yi´,zi´)と位置40の座標(x,y,z)から、数1~数3を用い、各素子20の超音波42の位相θiを算出する。駆動部65は、位相θiに基づき、数3の超音波42を素子20が出力するように、素子20を駆動する。
【0069】
図7(a)および図7(b)は、基板を回路基板に実装した断面図である。図7(a)および図7(b)は、それぞれ図3のA-A断面図およびB-B断面図に相当する。
【0070】
基板10は、半田等のバンプ27によりプリント基板などの回路基板25に搭載されている。回路基板25には、制御部38の少なくとも一部が設けられていてもよい。基板10のうちバンプ27により固定された箇所が固定点41となる。固定点41以外では、基板10は固定されていない。このため、基板10は撓みやすくなる。よって、センサ30を用い素子20の位置を算出することで、超音波42を所望の位置40に集束できる。基板10と回路基板25との間は、隙間があってもよいが、樹脂テープ、ソルダーレジストまたはシリコン等の柔らかい材料が隙間を埋めるように設けられていてもよい。
【0071】
(実施例2の変形例1)
図8(a)は、実施例2の変形例1に係る超音波装置104の平面図、図8(b)は、図8(a)のA-A断面図である。
【0072】
超音波装置104では、センサ30は、基板10の下面、すなわち素子20が設けられた面と反対の面に設けられている。センサ30は、基板10の上面、下面および内部の少なくとも1つに設けられていればよい。その他の構成は実施例2と同じであり説明を省略する。
【0073】
図5(a)のように、実施例1および2のように、振動領域54において振動する積層膜18(振動層)のうち活性層11が一体に設けられた複数の素子20は、チップ15の基板10に設けられている。センサ30も、このチップ15の上面に設けられている。これにより、センサ30は、基板10の変位を検出できる。よって、超音波42を位置40(集束位置)に集束させることができる。積層膜18のうち少なくとも1つの層が複数の素子20に一体に設けられていればよい。センサ30は、チップ15の上面、下面または内部に設けられていればよい。
【実施例0074】
実施例3は、回路基板25上にセンサ30が設けられた例である。図9(a)は、実施例3に係る超音波装置106の平面図、図9(b)および図9(c)は、図9(a)のそれぞれA-A断面図およびB-B断面図である。
【0075】
実施例3の超音波装置106では、回路基板25上に4つのチップ15が設けられている。また1つのチップ15には、4行4列の複数の素子20が設けられている。そして回路基板25上で、隣接する2つのチップ15の間には、第2領域52が設けられ、この部分には、複数の変位を検知するセンサ30が設けられている。チップ15は、回路基板25のうちX方向およびY方向にアレイ状に配列する第1領域50に設けられている。
【0076】
図10は、実施例3におけるディスクリート型の素子の断面図である。
【0077】
チップ15の構造は実施例2の図5(a)と比較し、導電体が埋め込まれたビア21およびビア22が設けられている。ビア21は層11bを、ビア22は基板10および層11aを貫通する。基板10の下面に半田用のランド23が設けられている。配線19aおよび19bとランド23とは、ビア21および22内の導電体を介し電気的に接続されている。回路基板25の上面にランド26が設けられている。ランド23と26とは半田のバンプ27により接続されている。なお、回路基板25は、プリント基板などである。制御部38は、回路基板25に設けられ、バンプ27を介しチップ15と電気的に接続され、所望の動作を実現する。
【0078】
回路基板25は、例えばガラスエポキシ樹脂、フレキシブル基板またはストレッチャブル基板等の樹脂基板またはセラミックス基板である。ビア21および22を埋め込む導電体、並びにランド23および26は、例えば銅または金等の金属層であり、所望の回路配線を実現しいる。
【0079】
実施例3では、ディスクリート型の素子20がそれぞれバンプ27を用い回路基板25に接合されている。このため、回路基板25の撓みにより素子20の位置が変化する。よって、回路基板25にセンサ30を設けている。
【0080】
超音波装置106のブロック図は実施例2の図6と同じであり、実施例1および2と同様に、制御部38は、センサ30の出力信号に基づき、チップ15に設けられた素子20の超音波の位相を制御する。これにより、超音波の位相の制御を適切に行うことができる。
【0081】
チップ15は、回路基板25の上面43のX方向(第1方向)とY方向(第1方向に交差する第2方向)に配列された2行2列の4つの第1領域50に設けられている。センサ30は、4つの第2領域52の各々に少なくとも1つ設けられている。これにより、実施例1および2と同様に、センサ30の個数が少なくても、制御部38は、センサ30の出力信号に基づき、複数の素子20の位置をより正確に算出できる。
【0082】
実施例3では、複数の素子20のうち積層膜18が一体に設けられていない素子は別のチップ15に設けられている。回路基板25(基板)は、複数のチップ15を実装する。センサ30は、回路基板25に設けられている。これにより、センサ30は、回路基板25の変位を検出できる。よって、超音波42を位置40に集束させることができる。センサ30は、回路基板25の上面、下面または内部に設けられていればよい。
【実施例0083】
図11は、平面図で、回路基板25上に、センサ30と接続される配線を示している。
【0084】
4個のチップ15は、回路基板25に2行2列に配置されている。チップ15が設けられた領域は第1領域50である。隣接するチップ15の間は第2領域52である。第2領域52には、センサ30が設けられる。また一群のチップ15から回路基板25の側辺までの周縁領域には、配線が設けられるスペースが設けられている。
【0085】
第2領域52と周縁領域には、センサ30の配線が設けられている。例えば、センサ30は、面実装型で、DC(Direct Current)駆動である。センサ30の下面には、電源端子とグランド端子が設けられている。このセンサ30の端子が配線29aおよび29bと接続されている。端子28aおよび28bは、回路基板25の一側辺に集中して設けられている。グランド用の配線29bは、第2領域52内で共通接続され、最終的には、周縁領域において1本となり、回路基板25の側辺の端子28bに終端している。電源用の配線29aは、周縁領域、第2領域52または第1領域50を通過して、回路基板25の一側辺の端子28aに終端している。一側辺に端子28aおよび28bが終端するため、この超音波装置108の実装性が向上する。
【0086】
超音波装置108では、配線29aの一部がチップ15の素子20と平面視において重なるように設けられている。この場合、配線29aと素子20とが電磁界的に結合し、配線29aの信号と素子20とが電気的に干渉する。また、配線29aが素子20の近くを通過すると、素子20の振動の対称性が崩れる。これより、素子20の特性が劣化することがある。
【0087】
(実施例4の変形例1)
図12は、実施例4の変形例1に係る超音波装置110の平面図である。
【0088】
この超音波装置110では、配線29aは、主に第1領域50の外側を通過して端子28aに接続されている。配線29bは第2領域52内において、共通の配線29bに接続される。このため、センサ30の両側から配線29aと29bとがそれぞれ延出する。これにより、配線29aおよび29bは、チップ15の下を通過せず、平面視においてチップ15と重ならない。これにより、配線29aの信号と素子20とが電気的に干渉することを抑制できる。また、配線29aにより素子20の対称性が崩れることを抑制し、素子20に加わる応力、反りを抑制できると同時に均一化できる。
【0089】
(実施例4の変形例2)
図13は、実施例4の変形例2に係る超音波装置112の平面図である。
【0090】
超音波装置112では、端子28aは、センサ30ごとに設けられ、端子28bはセンサ30ごとに設けられている。ひずみ検出部60がホイーストンブリッジ回路の2ゲージ法または4ゲージ法を用いセンサ30の抵抗値を測定する場合、端子28aおよび28bをセンサ30ごとに設けることになる。このため、複数の配線29aは、複数のセンサ30と複数の端子28aとをそれぞれ電気的に接続し、複数の配線29bは、複数のセンサ30と複数の端子28bとをそれぞれ電気的に接続する。配線29aおよび29bの本数が多くなり、図11より多くの配線29aおよび29bがチップ15と平面視において重なる。よって、配線29aおよび29bの信号と素子20とが電気的に干渉する。また、多くの素子20において振動の対称性が崩れ、特性が劣化する。その他の構成は実施例4と同じであり説明を省略する。
【0091】
(実施例4の変形例3)
図14は、実施例4の変形例3に係る超音波装置114の平面図である。
【0092】
超音波装置114において、配線29aおよび29bは、センサ30と一番近接する側辺に向かって、外側に延在している。例えばX方向に配列された4つのセンサ30に着目すると、左側(-X側)の2つのセンサ30の配線29aおよび29bは、左側辺に向かって延在され、右側(+X側)の2つのセンサ30の配線29aおよび29bは、右側辺に向かって延在されている。
【0093】
このような配線29aおよび29bの配置により、第1領域50におけるチップ15の下には、配線29aおよび29bは設けられておらず、かつ第2領域52に設けられる配線29aおよび29bの長さも、可能な限り短くなっている。よって、配線29aおよび29bと素子20とが電気的に干渉することが抑制できる。また、配線29aおよび29bが外側に向かって延在するため、4つのチップ15の対称性が崩れることを抑制し、素子20の歪、反りを抑制できる。配線29aおよび29bは、回路基板25の上面、下面および内部の少なくとも1つに設けられていればよい。
【0094】
(実施例4の変形例4)
実施例4の変形例4は、基板10上のセンサ30の配線を示す例である。図15は、実施例4の変形例4に係る超音波装置116の平面図である。
【0095】
実施例4の変形例4の超音波装置116では、基板10上に端子18c、18d、配線19cおよび19dが設けられている。配線19cおよび19dは、センサ30と端子18cおよび18dとをそれぞれ電気的に接続する。端子18cおよび18dは、ひずみ検出部60と電気的に接続される。配線19cおよび19dは、例えば基板10上に設けられたセンサ30の金属線31(図5(b)参照)に電気的に接続されている。
【0096】
配線19cは、主に第1領域50の外側を通過して端子18cに接続されている。配線19dは第2領域52内において、共通の配線19dに接続される。配線19cおよび19dと素子20とは平面視において重ならない。これにより、配線19cおよび19dと素子20とが電磁界的に結合することを抑制し、配線19cおよび19dの信号と素子20とが電気的に干渉することを抑制できる。また、配線19cおよび19dにより素子20の対称性が崩れることを抑制し、素子20の特性の劣化を抑制できる。配線19cおよび19dは、基板10の上面、下面および内部の少なくとも1つに設けられていればよい。実施例4の変形例3の超音波装置114のように、端子18dは、センサ30ごとに設けられ、複数の配線19dは、複数の端子18dとそれぞれ電気的に接続してもよい。その他の構成は実施例1および2と同じであり説明を省略する。
【0097】
実施例4およびその変形例1から3では、回路基板25に設けられた配線29aおよび29bは、平面視において複数の素子20と重ならない。また、実施例4の変形例4では、基板10に設けられた配線19cおよび19dは、平面視において複数の素子20と重ならない。これにより、配線と素子20との電気的な干渉および振動の非対称による特性劣化を抑制できる。
【0098】
実施例4およびその変形例では、配線19c、19d、29aおよび29bは、平面視において第1領域50の外側通過するように基板10または回路基板25上に設けられている。これにより、配線と素子20との電気的な干渉および振動の非対称による特性劣化を抑制できる。
【0099】
また、実施例4およびその変形例では、仮想的な複数の第1領域50(配置領域)がマトリックス状に設けられ、第2領域52(離間領域)は複数の第1領域50のうち隣接する第1領域50の間に設けられている。さらに、複数の第1領域50と回路基板25または基板10の側辺の間にスペースが設けられている。素子20(振動素子)は、複数の第1領域50に各々設けられており、センサ30(変位素子)は、第2領域52に設けられている。これにより、センサ30は素子20に重ならず設けることができ、かつ回路基板25または基板10の歪を検出できる。また、制御部38が、センサ30の出力を演算し、素子20の動作を制御することで、例えば超音波を位置40に集束できる。さらに、センサ30は、長手方向と短手方向を有する素子であり、第2領域52の延在方向とセンサ30の長手方向を平行とする。これにより、センサ30により、第2領域52の延在方向の歪を検出できる。よって、素子20を精度よく制御できる。
【実施例0100】
図16(a)は、実施例5に係る超音波装置118の平面図である。図16(b)および図16(c)は、図16(a)のそれぞれA-A断面図およびB-B断面図である。
【0101】
超音波装置118は、筐体内の実装部材39上に回路基板25が搭載されている。実装部材39の上面には支持柱33が設けられている。回路基板25は、この支持柱33を使って実装部材39に固定されている。
【0102】
回路基板25上に接合層37を用いチップ15が接合されている。チップ15上のパッド34と、回路基板25上のパッド36とは、ボンディングワイヤ35を介して電気的に接続されている。支持柱33に固定された箇所は固定点41となる。
【0103】
回路基板25上に1つのチップ15が実装された例を説明したが、実施例3および4のように、回路基板25上に複数のチップ15が実装されていてもよい。
【0104】
以上、本発明の実施例について詳述したが、本発明はかかる特定の実施例に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された本発明の要旨の範囲内において、種々の変形・変更が可能である。
【符号の説明】
【0105】
10 基板
11 活性層
12 下部電極
13 空隙
14 圧電層
15 チップ
16 上部電極
18 積層膜
18c、18d、28a、28b 端子
19a~19d、29a、29b 配線
20 素子
25 回路基板
30 センサ
38 制御部
40 位置
41 固定点
42 超音波
50 第1領域
52 第2領域
54 振動領域
56 駆動領域

図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16