特開 2024-146226 吐出キャップ

(19)【発行国】日本国特許庁(JP)

(12)【公報種別】公開特許公報(A)

(11)【公開番号】P2024146226

(43)【公開日】2024-10-15

(54)【発明の名称】吐出キャップ

(51)【国際特許分類】

   B65D 47/40 20060101AFI20241004BHJP

   B65D 47/06 20060101ALI20241004BHJP

【ＦＩ】

B65D47/40 200

B65D47/06

【審査請求】未請求

【請求項の数】5

【出願形態】ＯＬ

(21)【出願番号】P 2023059006

(22)【出願日】2023-03-31

(71)【出願人】

【識別番号】000006909

【氏名又は名称】株式会社吉野工業所

(74)【代理人】

【識別番号】100147485

【弁理士】

【氏名又は名称】杉村 憲司

(74)【代理人】

【識別番号】230118913

【弁護士】

【氏名又は名称】杉村 光嗣

(74)【代理人】

【識別番号】100154003

【弁理士】

【氏名又は名称】片岡 憲一郎

(72)【発明者】

【氏名】落合 皐汰朗

(72)【発明者】

【氏名】山本 学

【テーマコード（参考）】

3E084

【Ｆターム（参考）】

3E084AB01

3E084BA02

3E084DB09

3E084EA03

3E084EB02

3E084FA02

3E084FB01

3E084GA01

3E084GA06

3E084GB06

3E084GB17

3E084HA03

3E084HB04

3E084HB05

3E084HD01

3E084JA20

3E084KB01

3E084LA18

3E084LB02

3E084LC01

3E084LD01

3E084LF02

3E084LF03

3E084LF04

(57)【要約】

【課題】内容物の固化による弁体の固着を抑制できる吐出キャップを提供する。
【解決手段】上側天壁３と、下側天壁４と、下側天壁４に取り付けられる戻り流路形成部材９と、弁体５とを有し、上側天壁３は吐出口６を有し、下側天壁４は環状のシール部７を有し、弁体５は、シール部７に接するシール位置に移動することで、容器本体２内の内容物が吐出口６に向けてシール部７から流出することを阻止できる一方、シール位置から移動することで、容器本体２内の内容物が吐出口６に向けてシール部７から流出することを許容でき、下側天壁４は、シール部７よりも径方向外側に貫通部８を有し、戻り流路形成部材９と下側天壁４との間に戻り流路１０が形成され、戻り流路１０は、戻り流路形成部材９と下側天壁４との少なくとも一方に形成される溝部１１によって形成され、内容物は、弁体５がシール位置にある時に貫通部８と戻り流路１０とからなる通過流路１２を通って容器本体２内まで戻り得る、吐出キャップ１。
【選択図】図１

【特許請求の範囲】

【請求項1】

液状の内容物を収容する容器本体の口部に装着される吐出キャップであって、
正立姿勢状態での上側に位置する上側天壁と、
前記上側天壁よりも前記正立姿勢状態での下側に位置する下側天壁と、
前記下側天壁に取り付けられる戻り流路形成部材と、
弁体とを有し、
前記上側天壁は吐出口を有し、
前記下側天壁は環状のシール部を有し、
前記弁体は、前記シール部に接するシール位置に移動することで、前記容器本体内の前記内容物が前記吐出口に向けて前記シール部から流出することを阻止できる一方、前記シール位置から移動することで、前記容器本体内の前記内容物が前記吐出口に向けて前記シール部から流出することを許容でき、
前記下側天壁は前記シール部よりも径方向外側に貫通部を有し、
前記戻り流路形成部材と前記下側天壁との間に戻り流路が形成され、
前記戻り流路は、前記戻り流路形成部材と前記下側天壁との少なくとも一方に形成される溝部によって形成され、
前記内容物は、前記弁体が前記シール位置にある時に前記貫通部と前記戻り流路とからなる通過流路を通って前記容器本体内まで戻り得る、吐出キャップ。

【請求項2】

前記下側天壁は、前記シール部よりも径方向外側に、前記容器本体の正立姿勢状態で前記内容物を前記通過流路まで案内できる傾斜面を有する、請求項１に記載の吐出キャップ。

【請求項3】

前記内容物は、前記弁体が前記シール位置にある時に前記貫通部及び前記戻り流路をこの順に通って前記容器本体内まで戻り得る、請求項１に記載の吐出キャップ。

【請求項4】

前記通過流路は、流れ方向を変える少なくとも１つの屈曲部を有する、請求項１に記載の吐出キャップ。

【請求項5】

前記貫通部と前記戻り流路との間に前記下側天壁と前記戻り流路形成部材との間の隙間によって形成される液保持部を有する、請求項１に記載の吐出キャップ。

【発明の詳細な説明】

【技術分野】

【0001】

本発明は吐出キャップに関する。

【背景技術】

【0002】

液状の内容物を収容する容器本体の口部に装着される吐出キャップであって、正立姿勢状態での上側に位置する上側天壁と、上側天壁よりも正立姿勢状態での下側に位置する下側天壁と、弁体とを有し、上側天壁は吐出口を有し、下側天壁は環状のシール部を有し、弁体は、シール部に接するシール位置に移動することで、容器本体内の内容物が吐出口に向けてシール部から流出することを阻止できる一方、シール位置から移動することで、容器本体内の内容物が吐出口に向けてシール部から流出することを許容できる、吐出キャップが知られている（例えば特許文献１参照）。

【先行技術文献】

【特許文献】

【0003】

【特許文献1】特開２０１３－１８０７７５号公報

【発明の概要】

【発明が解決しようとする課題】

【0004】

上記構成を有する従来の吐出キャップは、乾性油（亜麻仁油など）などのように酸化や加熱などによって粘度を増し、固化する性質の液体を内容物とする場合に、流通時に振動や衝撃などによって弁体がシール位置から移動した時に容器本体内からシール部を通過した内容物がシール部の外周部で弁体に付着し、その後に固化し、弁体が固着してしまい、使用時に内容物を吐出できない吐出不良を生じる虞がある。

【0005】

そこで本発明の目的は、内容物の固化による弁体の固着を抑制できる吐出キャップを提供することにある。

【課題を解決するための手段】

【0006】

本発明の一態様は以下のとおりである。

【0007】

［１］
液状の内容物を収容する容器本体の口部に装着される吐出キャップであって、
正立姿勢状態での上側に位置する上側天壁と、
前記上側天壁よりも前記正立姿勢状態での下側に位置する下側天壁と、
前記下側天壁に取り付けられる戻り流路形成部材と、
弁体とを有し、
前記上側天壁は吐出口を有し、
前記下側天壁は環状のシール部を有し、
前記弁体は、前記シール部に接するシール位置に移動することで、前記容器本体内の前記内容物が前記吐出口に向けて前記シール部から流出することを阻止できる一方、前記シール位置から移動することで、前記容器本体内の前記内容物が前記吐出口に向けて前記シール部から流出することを許容でき、
前記下側天壁は、前記シール部よりも径方向外側に貫通部を有し、
前記戻り流路形成部材と前記下側天壁との間に戻り流路が形成され、
前記戻り流路は、前記戻り流路形成部材と前記下側天壁との少なくとも一方に形成される溝部によって形成され、
前記内容物は、前記弁体が前記シール位置にある時に前記貫通部と前記戻り流路とからなる通過流路を通って前記容器本体内まで戻り得る、吐出キャップ。

【0008】

［２］
前記下側天壁は、前記シール部よりも径方向外側に、前記容器本体の正立姿勢状態で前記内容物を前記通過流路まで案内できる傾斜面を有する、［１］に記載の吐出キャップ。

【0009】

［３］
前記内容物は、前記弁体が前記シール位置にある時に前記貫通部及び前記戻り流路をこの順に通って前記容器本体内まで戻り得る、［１］又は［２］に記載の吐出キャップ。

【0010】

［４］
前記通過流路は、流れ方向を変える少なくとも１つの屈曲部を有する、［１］～［３］の何れか１項に記載の吐出キャップ。

【0011】

［５］
前記貫通部と前記戻り流路との間に前記下側天壁と前記戻り流路形成部材との間の隙間によって形成される液保持部を有する、［１］～［４］の何れか１項に記載の吐出キャップ。

【発明の効果】

【0012】

本発明によれば、内容物の固化による弁体の固着を抑制できる吐出キャップを提供することができる。

【図面の簡単な説明】

【0013】

【図1】本発明の一実施形態の吐出キャップを有する吐出容器の一例を示す断面図である。

【図2】図１のＡ部拡大図である。

【図3】図１に示す戻り流路形成部材の上面図である。

【図4】図３に示す戻り流路形成部材の変形例を示す上面図である。

【発明を実施するための形態】

【0014】

以下、図面を参照しつつ本発明の実施形態を例示説明する。

【0015】

図１～図３に示すように、本発明の一実施形態において吐出キャップ１は、液状の内容物（不図示）を収容する容器本体２の口部２ａに装着される吐出キャップ１であって、正立姿勢状態での上側に位置する上側天壁３と、上側天壁３よりも正立姿勢状態での下側に位置する下側天壁４と、下側天壁４に取り付けられる戻り流路形成部材９と、弁体５とを有し、上側天壁３は吐出口６を有し、下側天壁４は環状のシール部７を有し、弁体５は、シール部７に接するシール位置に移動することで、容器本体２内の内容物が吐出口６に向けてシール部７から流出することを阻止できる一方、シール位置から移動することで、容器本体２内の内容物が吐出口６に向けてシール部７から流出することを許容でき、下側天壁４は、シール部７よりも径方向外側に貫通部８を有し、戻り流路形成部材９と下側天壁４との間に戻り流路１０が形成され、戻り流路１０は、戻り流路形成部材９と下側天壁４との少なくとも一方に形成される溝部１１によって形成され、内容物は、弁体５がシール位置にある時に貫通部８と戻り流路１０とからなる通過流路１２を通って容器本体２内まで戻り得る。

【0016】

上記構成によれば、流通時に振動や衝撃などによって弁体５がシール位置から移動し、内容物が容器本体２内からシール部７を通過したとしても、シール部７とは異なる位置で通過流路１２を通して内容物を容器本体２内に戻すことができるので、内容物がシール部７の外周部で弁体５に付着することを抑制できる。したがって、酸化や加熱などによって粘度を増し、固化する性質の液体を内容物とする場合に、シール部７の外周部で弁体５に付着した内容物の固化による弁体５の固着が生じてしまうことを抑制できる。したがって上記構成によれば、内容物の固化による弁体５の固着を抑制できる吐出キャップ１を実現できる。

【0017】

また上記構成によれば、吐出口６から吐出されずに残った内容物を通過流路１２を通して容器本体２内に向けて引き込む（「サックバック」ともいう）ことができるので、吐出口６から内容物が零れることを抑制できる。また、吐出口６から吐出されずに残った内容物が、後述する閉塞ロッド１８ａが吐出口６に挿入される際に閉塞ロッド１８ａによって吐出口６から押し出されて零れることも抑制できる。貫通部８は本実施形態では複数の貫通口８ａからなるが、これに限らず、少なくとも１つの貫通口８ａからなる構成であればよい。

【0018】

また上記構成によれば、戻り流路形成部材９を下側天壁４に取り付けることにより、通過流路１２を簡単な構造によって長く設けることができる。したがって、流通時に振動や衝撃などによって容器本体２内の内容物が当該流路から飛び出てシール部７の外周部で弁体５に付着することを抑制できる。溝部１１は本実施形態では、戻り流路形成部材９と下側天壁４とのうち、戻り流路形成部材９のみに形成されるが、これに限らない。溝部１１は本実施形態では単数の溝１１ａからなるが、これに限らず、図４に示す戻り流路形成部材９の変形例を用いる場合のように、複数の溝１１ａからなる構成としてもよい。つまり、溝部１１は少なくとも１つの溝１１ａからなる構成であればよい。

【0019】

内容物は、弁体５がシール位置にある時に貫通部８及び戻り流路１０をこの順に通って容器本体２内まで戻り得る。上記構成によれば、簡単な構造によって貫通部８及び戻り流路１０を実現できる。

【0020】

通過流路１２は、流れ方向を変える少なくとも１つの屈曲部１２ａを有する。上記構成によれば、流通時に振動や衝撃などによって容器本体２内の内容物が通過流路１２から飛び出てシール部７に溜まることを、屈曲部１２ａによって効率的に抑制できる。

【0021】

吐出キャップ１（通過流路１２）は、貫通部８と戻り流路１０との間に下側天壁４と戻り流路形成部材９との間の隙間によって形成される液保持部１２ｂを有する。上記構成によれば、液保持部１２ｂに保持される内容物により、通過流路１２におけるシールを良好に維持できる。

【0022】

下側天壁４は、シール部７よりも径方向外側に、容器本体２の正立姿勢状態で内容物を通過流路１２まで案内できる傾斜面１３を有する。上記構成によれば、流通時に振動や衝撃などによって弁体５がシール位置から移動し、内容物が容器本体２内からシール部７を通過したとしても、当該内容物を傾斜面１３によって通過流路１２の入り口まで案内し、通過流路１２を通して容器本体２内に戻すことができるので、内容物がシール部７の外周部で弁体５に付着することをより一層抑制できる。

【0023】

傾斜面１３はシール部７の外周縁部に沿って全周に亘って形成され、正立姿勢状態で傾斜面１３における内周縁部の上端はシール部７の上端部に位置する。上記構成によれば、流通時に振動や衝撃などによって容器本体２内からシール部７を通過した内容物を傾斜面１３によって通過流路１２まで案内し易くできるので、弁体５の固着をより一層抑制できる。傾斜面１３は例えば、周方向に全周に亘って連続して伸びる環状をなす。

【0024】

吐出キャップ１は、上側天壁３を有し且つ口部２ａに装着されるキャップ本体１４と、下側天壁４を有し且つキャップ本体１４の内側に取り付けられる内側部材１５と、キャップ本体１４と内側部材１５との間に取り付けられる弁支持部１６と、弁体５を正立姿勢状態での下側に向けてシール位置まで付勢する付勢部１７とを有し、付勢部１７は、弁支持部１６と弁体５とを連ねる弾性体によって形成される。上記構成によれば、簡単な構造によって付勢部１７によるシール部７の良好なシールを実現できる。なお付勢部１７は、本実施形態では、それぞれ弁支持部１６と弁体５とを連ねる弾性体によって形成される複数の弾性部１７ａを有するが、これに限らない。弾性部１７ａは、本実施形態では、弁体５の外周面から径方向外側に伸びる一端部１７ａ１と、弁支持部１６から径方向内側に伸びる他端部１７ａ２と、周方向に伸び、上記一端部１７ａ１を上記他端部１７ａ２に連ねる中間部１７ａ３とを有するが、これに限らない。本実施形態では、弁支持部１６における正立姿勢状態での上端部はキャップ本体１４に嵌合によって取り付けられ、弁支持部１６における正立姿勢状態での下端部は内側部材１５に嵌合によって取り付けられるが、これに限らない。

【0025】

吐出キャップ１は、吐出口６を覆う閉位置と吐出口６を開放する開位置との間で移動できる蓋体１８を有し、蓋体１８は、閉位置において吐出口６に挿入されて吐出口６を塞ぐ閉塞ロッド１８ａを有し、閉塞ロッド１８ａは、蓋体１８が閉位置にある時にシール位置の弁体５を正立姿勢状態での下側に押す先端部１８ａ１を有する。上記構成によれば、蓋体１８が閉位置にある時に振動や衝撃などによって弁体５がシール位置から移動し、内容物が容器本体２内からシール部７を通過してしまうことを閉塞ロッド１８ａによって抑制できる。なお蓋体１８は本実施形態では、ヒンジ部１９を介してキャップ本体１４に連なるが、これに限らない。

【0026】

閉塞ロッド１８ａは、蓋体１８が閉位置にある時にシール部７の中心軸線Ｏ上に位置する。上記構成によれば、シール位置にある弁体５を閉塞ロッド１８ａによって効率的に押すことができる。

【0027】

閉塞ロッド１８ａは、蓋体１８が閉位置にある時に弁体５に嵌合する嵌合部１８ａ２を有し、嵌合部１８ａ２は、蓋体１８が閉位置から開位置に移動する時に弁体５への嵌合が解消される。上記構成によれば、蓋体１８を閉位置から開位置へ移動させる時にシール部７から離れる方向の力を嵌合部１８ａ２によって弁体５に与えることができるので、弁体５の固着がある程度生じたとしても、吐出不良が生じてしまうことを抑制できる。

【0028】

嵌合部１８ａ２は閉塞ロッド１８ａの筒状をなす先端部１８ａ１の内周面によって形成され、弁体５は、弁本体部５ａにおける正立姿勢状態での上面から突き出る凸状をなす被嵌合部５ｂを有し、嵌合部１８ａ２は、蓋体１８が閉位置にある時に被嵌合部５ｂに嵌合し、蓋体１８が閉位置から開位置に移動する時に被嵌合部５ｂへの嵌合が解消される。上記構成によれば、簡単な構造によって嵌合部１８ａ２を実現できる。

【0029】

吐出容器２０は、吐出キャップ１と容器本体２とを有し、容器本体２は、口部２ａ、胴部２ｂ及び底部をこの順に有し、内層体２１と外層体２２とによって形成され、且つ、導入口２３を有し、導入口２３は、内容物の吐出に伴う内層体２１の容積を減少させる変形と外層体２２の弾性変形からの復元とによって、内層体２１と外層体２２との間に空気を導入する。上記構成によれば、内容物の吐出後に空気を内層体２１と外層体２２との間に導入し、シール部７でシールを形成できるので、容器本体２内の内容物への空気の接触を抑制し、内容物の品質を良好に維持できる。

【0030】

口部２ａは導入口２３を有し、上側天壁３は通気口２４を有し、吐出容器２０は、空気を通気口２４から導入口２３まで通過させる導入路２５を有し、吐出キャップ１は、筒状の弁支持部１６から全周に亘って径方向外側に伸びる環状をなす通気弁体２６を有し、通気弁体２６は、空気が通気口２４を通って導入口２３に流入することを許容する一方、空気が導入口２３を通って通気口２４から流出することを阻止する。上記構成によれば、容器本体２をスクイズ操作する時に導入口２３からの空気の漏れを通気弁体２６によって抑制することで内容物を容易に吐出でき、スクイズ操作の解除により空気を導入路２５から導入口２３に導入して外層体２２を復元変形させることができる。

【0031】

付勢部１７は、弁支持部１６と弁体５の外周部における正立姿勢状態での上部とを連ねる。上記構成によれば、シール部７と付勢部１７との距離を大きくできるので、流通時に振動や衝撃などによってシール部７を通過した内容物が付勢部１７に付着して固化することによる弁体５の固着を抑制できる。また上記構成によれば、付勢部１７から通過流路１２に向かう流路を広く設けることができるので、サックバック時に内容物が吐出口６側から通過流路１２側に付勢部１７を通って流れ易くなるため、サックバック機能を向上できる。

【0032】

弁体５は、正立姿勢状態で上側に突き出るドーム形状をなす弁本体部５ａを有し、付勢部１７は、弁本体部５ａの外周部における上端部に連なり、シール位置において弁本体部５ａの外周部における正立姿勢状態での下端部がシール部７に接する。上記構成によれば、シール部７と付勢部１７との距離をより一層大きくできるので、弁体５の固着をより一層抑制できる。また上記構成によれば、サックバック時に内容物が付勢部１７と貫通部８とを通って流れ易くなるため、サックバック機能をより一層向上できる。

【0033】

上側天壁３は、吐出口６の外周部から正立姿勢状態での下側に突き出る規制凸部３ａを有し、規制凸部３ａは、弁体５がシール位置から正立姿勢状態での上側に移動した時に径方向の弁体５の移動を規制するように弁体５に接触できる。上記構成によれば、簡単な構造によって弁体５の動作の安定性を向上できる。規制凸部３ａは本実施形態では、弁体５に接触した状態で内容物を通すことができる周方向の間欠部を有するが、これに限らない。例えば、規制凸部３ａに弁体５が接触した状態で内容物を通すことができる周方向の間欠部を弁体５に設ける構成としてもよい。

【0034】

下側天壁４は、弁支持部１６よりも径方向内側において径方向内側に向けて正立姿勢状態での上側に傾斜して伸びる傾斜壁４ａと、傾斜壁４ａにおける正立姿勢状態での上端部から径方向内側に向けて正立姿勢状態での下側に伸び且つシール部７を形成するシール壁４ｂと、シール壁４ｂから径方向内側に伸び且つ全周に亘って連続する環状をなし、径方向内側に液体通過口４ｃを形成する液体通過口形成壁４ｄとを有し、貫通部８は、傾斜壁４ａの正立姿勢状態での下端部に形成され、傾斜面１３は、傾斜壁４ａにおける正立姿勢状態での上面によって形成される。上記構成によれば、簡単な構造によって良好なシール部７、貫通部８及び傾斜面１３を形成できる。

【0035】

下側天壁４は、傾斜壁４ａの外周縁部から正立姿勢状態での下側に伸びる筒状の縦壁４ｅと、縦壁４ｅから径方向外側に伸びる環状の横壁４ｆと、縦壁４ｅよりも径方向外側で横壁４ｆから正立姿勢状態での下側に伸びる筒状の下壁４ｇとを有し、戻り流路形成部材９は、縦筒部９ａと、縦筒部９ａにおける正立姿勢状態での下端部から径方向外側に伸びる鍔部９ｂとを有し、下壁４ｇの内周面は、下壁４ｇに対する正立姿勢状態での下側への移動を規制するように、鍔部９ｂに嵌合する。上記構成によれば、簡単な構造によって戻り流路形成部材９を実現できる。

【0036】

戻り流路形成部材９は溝部１１を有し、溝部１１は、縦筒部９ａの外周面、鍔部９ｂにおける正立姿勢状態での上面、及び鍔部９ｂの外周面に亘って伸びる少なくとも１つ（本実施形態では１つ、図４に示す変形例では５つ）の溝１１ａからなる。上記構成によれば、簡単な構造によって溝部１１を実現できる。また、戻り流路形成部材９は、別体で成形しているので、微細な溝部１１を容易に形成することができる。

【0037】

液保持部１２ｂは、傾斜壁４ａにおける正立姿勢状態での下面と縦筒部９ａにおける正立姿勢状態での上面との間に形成される隙間によって形成される。上記構成によれば、簡単な構造によって液保持部１２ｂを実現できる。

【0038】

弁支持部１６における正立姿勢状態での下端部は、縦壁４ｅの外周面に嵌合し、弁支持部１６の内周面と傾斜面１３とにより、容器本体２の正立姿勢状態で内容物を通過流路１２まで案内できる。上記構成によれば、簡単な構造によって、シール部７を通過した内容物を通過流路１２の入り口まで案内できる。

【0039】

キャップ本体１４は、口部２ａの外周面にねじ部を介して嵌合するキャップ周壁２７と、キャップ周壁２７から径方向内側に伸びる上側天壁３と、上側天壁３から正立姿勢状態での上側に突き出る筒状をなし、内側に吐出口６を形成する吐出ノズル２８とを有する。上記構成によれば、簡単な構造によって吐出キャップ１を実現できる。なおキャップ周壁２７は口部２ａの外周面にねじ部以外の嵌合構造（例えば口部２ａに対して正立姿勢状態での下側に押し付ける操作によって嵌合できる構造）を介して嵌合する構成としてもよい。

【0040】

弁支持部１６、付勢部１７、弁体５及び通気弁体２６は、ゴム、エラストマー又は合成樹脂などの弾性変形できる材料による一体成形物であり、キャップ本体１４、ヒンジ部１９及び蓋体１８は、合成樹脂材料による一体成形物である。内側部材１５及び戻り流路形成部材９はそれぞれ、合成樹脂材料による一体成形物である。上記構成によれば、部品点数を抑制できる。なお図中の弁体５における外周部の下端部に示す二点鎖線は、弾性変形前の形状を示す。

【0041】

本発明は前述した実施形態に限定されず、その要旨を逸脱しない範囲で種々変更可能である。前述した実施形態では、弁支持部１６を介して弁体５と通気弁体２６とを一体成形しているが、別体に形成してもよい。また、貫通部８と戻り流路１０とからなる通過流路１２には、流れ方向を変える屈曲部１２ａを設けず、通過流路１２が真っすぐに伸びる構成としてもよい。さらに、導入口１６を口部２ａの代わりに、容器本体２の胴部２ｂや図示しない底部に設け、通気口１７、通気弁体１９及び導入路１８を設けない構成としてもよい。

【符号の説明】

【0042】

１ 吐出キャップ
２ 容器本体
２ａ 口部
２ｂ 胴部
３ 上側天壁
３ａ 規制凸部
４ 下側天壁
４ａ 傾斜壁
４ｂ シール壁
４ｃ 液体通過口
４ｄ 液体通過口形成壁
４ｅ 縦壁
４ｆ 横壁
４ｇ 下壁
５ 弁体
５ａ 弁本体部
５ｂ 被嵌合部
６ 吐出口
７ シール部
８ 貫通部
８ａ 貫通口
９ 戻り流路形成部材
９ａ 縦筒部
９ｂ 鍔部
１０ 戻り流路
１１ 溝部
１１ａ 溝
１２ 通過流路
１２ａ 屈曲部
１２ｂ 液保持部
１３ 傾斜面
１４ キャップ本体
１５ 内側部材
１６ 弁支持部
１７ 付勢部
１７ａ 弾性部
１７ａ１ 一端部
１７ａ２ 他端部
１７ａ３ 中間部
１８ 蓋体
１８ａ 閉塞ロッド
１８ａ１ 先端部
１８ａ２ 嵌合部
１９ ヒンジ部
２０ 吐出容器
２１ 内層体
２２ 外層体
２３ 導入口
２４ 通気口
２５ 導入路
２６ 通気弁体
２７ キャップ周壁
２８ 吐出ノズル
Ｏ 中心軸線

【図1】

【図2】

【図3】

【図4】