(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024146229
(43)【公開日】2024-10-15
(54)【発明の名称】ポータブルトイレ
(51)【国際特許分類】
A47K 11/04 20060101AFI20241004BHJP
【FI】
A47K11/04
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023059009
(22)【出願日】2023-03-31
(71)【出願人】
【識別番号】000000505
【氏名又は名称】アロン化成株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100121500
【弁理士】
【氏名又は名称】後藤 高志
(74)【代理人】
【識別番号】100121186
【弁理士】
【氏名又は名称】山根 広昭
(74)【代理人】
【識別番号】100189887
【弁理士】
【氏名又は名称】古市 昭博
(74)【代理人】
【識別番号】100218084
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 俊光
(72)【発明者】
【氏名】李 剛
(72)【発明者】
【氏名】青山 智行
(72)【発明者】
【氏名】永野 拓也
【テーマコード(参考)】
2D036
【Fターム(参考)】
2D036BA03
2D036BA06
2D036HA02
2D036HA12
2D036HA21
2D036HA24
(57)【要約】
【課題】衛生性を保つための労力を減らすことが可能なポータブルトイレを提供する。
【解決手段】ポータブルトイレ100は、排泄物が排出される容器30と、平面視において、容器30の少なくとも一部を囲むように配置された排泄物受け部40と、容器30を支持する支持部70とを備えている。容器30は、上方に開口した容器本体部3を有している。容器本体部31は、排泄物受け部40と離間するように配置されている。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
排泄物が排出される容器と、
平面視において、前記容器の少なくとも一部を囲むように配置された排泄物受け部と、
前記容器を支持する支持部と、
を備え、
前記容器は、上方に開口した容器本体部を有し、
前記容器本体部は、前記排泄物受け部と離間するように配置された、ポータブルトイレ。
【請求項2】
前記容器は、前記容器本体部の上部から外方に延びた外縁部を有し、
前記容器の前記外縁部は、前記排泄物受け部の上方に配置され、かつ、前記排泄物受け部から離間している、請求項1に記載されたポータブルトイレ。
【請求項3】
前記支持部は、前記排泄物受け部の下方に配置され、
前記容器は、前記支持部に載置、係合または懸架されている、請求項1に記載されたポータブルトイレ。
【請求項4】
前記容器の底部は、前記支持部の上部に載置され、
前記支持部の上部と前記容器の底部とのうちの一方は、凸部を有し、
前記支持部の上部と前記容器の底部とのうちの他方は、前記凸部が嵌まる凹部を有している、請求項3に記載されたポータブルトイレ。
【請求項5】
前記凸部の外周形状、および、前記凹部の内周形状は、平面視において円形状であり、
前記凸部と前記凹部とのうちの一方は、前記支持部に対して前記容器が回転することを防止する回転防止凸部を有し、
前記凸部と前記凹部とのうちの他方は、前記回転防止凸部が嵌まる回転防止凹部を有している、請求項4に記載されたポータブルトイレ。
【請求項6】
前記容器および前記排泄物受け部の上方に配置された便座を備え、
前記便座は、前記容器と離間している、請求項1から5までの何れか1つに記載されたポータブルトイレ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ポータブルトイレに関する。
【背景技術】
【0002】
例えば特許文献1には、高齢者の介助などの用途として可搬便器が開示されている。この可搬便器は、便器外郭と、便器外郭に設けられ、上方に開口した便容器収納部と、便容器収納部に収容され、使用者の排泄物が排出される便容器と、便容器の上方に配置される便座とを備えている。
【0003】
便容器収納部の上開口縁部には、側方に延びた板状の便容器載置部が設けられている。便容器は、便容器載置部に載置される被載置部を有している。ここでは、便容器は、被載置部が便容器載置部に載置された状態で便容器収納部に収納される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、特許文献1に開示された可搬便器では、便座から便容器収納部内に尿などの排泄物が漏れることがあり得る。例えば便容器収納部のうちの便容器載置部に排泄物が付着して堆積すると、便容器の外周面に排泄物が付着することがあった。この場合、外周面に排泄物が付着した便容器を清掃する必要があり、衛生性を保つための労力を要することになった。
【0006】
本発明はかかる点に鑑みてなされたものであり、その目的は、衛生性を保つための労力を減らすことが可能なポータブルトイレを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係るポータブルトイレは、排泄物が排出される容器と、平面視において、前記容器の少なくとも一部を囲むように配置された排泄物受け部と、前記容器を支持する支持部と、を備えている。前記容器は、上方に開口した容器本体部を有している。前記容器本体部は、前記排泄物受け部と離間するように配置されている。
【0008】
前記ポータブルトイレによれば、容器本体部が排泄物受け部から離間するように配置されているため、排泄物受け部に付着した尿などの排泄物が、容器に付着し難くすることができる。よって、排泄物受け部から容器に排泄物が伝わり難くすることができるため、容器を清掃する頻度が減り、衛生性を保つための労力を減らすことができる。
【0009】
本発明の好ましい一態様によれば、前記容器は、前記容器本体部の上部から外方に延びた外縁部を有している。前記容器の前記外縁部は、前記排泄物受け部の上方に配置され、かつ、前記排泄物受け部から離間している。
【0010】
上記態様によれば、排泄物受け部は、容器の外縁部から外部に向かって垂れた尿などの排泄物を受けることができつつ、排泄物受け部に付着した排泄物を、容器の外縁部に伝わり難くすることができる。
【0011】
本発明の好ましい他の一態様によれば、前記支持部は、前記排泄物受け部の下方に配置されている。前記容器は、前記支持部に載置、係合または懸架されている。
【0012】
上記態様によれば、容器を支持部に載置、係合または懸架するなどの簡単な手順で、容器本体部が排泄物受け部から離間した状態で、容器を支持部に支持させることができる。
【0013】
本発明の好ましい他の一態様によれば、前記容器の底部は、前記支持部の上部に載置されている。前記支持部の上部と前記容器の底部とのうちの一方は、凸部を有している。前記支持部の上部と前記容器の底部とのうちの他方は、前記凸部が嵌まる凹部を有している。
【0014】
上記態様によれば、凹部に凸部を嵌めることで、支持部に対する容器の位置を確定させることができる。よって、支持部に対する容器の位置合わせを容易に行うことができる。また、支持部に対する容器の位置合わせをすることで、容器本体部を排泄物受け部から離間させるように配置することができる。
【0015】
本発明の好ましい他の一態様によれば、前記凸部の外周形状、および、前記凹部の内周形状は、平面視において円形状である。前記凸部と前記凹部とのうちの一方は、前記支持部に対して前記容器が回転することを防止する回転防止凸部を有している。前記凸部と前記凹部とのうちの他方は、前記回転防止凸部が嵌まる回転防止凹部を有している。
【0016】
凸部の外周形状、および、凹部の内周形状が平面視において円形状の場合、凹部に凸部を嵌めた状態において、支持部に対して容器が回転することがあり得る。しかしながら、本発明の好ましい他の一態様によれば、回転防止凹部に回転防止凸部を嵌めることで、支持部に対して容器が回転することを防止しながら、容器本体部が排泄物受け部から離間した状態を保つことができる。
【0017】
上記態様によれば、前記ポータブルトイレは、前記容器および前記排泄物受け部の上方に配置された便座を備えている。前記便座は、前記容器と離間している。
【0018】
本発明の好ましい他の一態様によれば、使用者が便座に座ったとき、便座から容器に荷重が掛からない。よって、便座から掛かる荷重によって容器が変形することを防ぐことができる。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、衛生性を保つための労力を減らすことが可能なポータブルトイレを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【
図1】実施形態に係るポータブルトイレを示す斜視図である。
【
図2】実施形態に係るポータブルトイレを示す斜視図であり、蓋が取り外された状態を示す図である。
【
図3】本体部、容器、排泄物受け部、便座および排泄量検出器を示す正面断面図である。
【
図6】排泄量検出器が容器を支持している状態を示す正面図である。
【
図13】排泄量検出器のロードセルを示す斜視図である。
【
図14】排泄量検出器を示す右側面断面図であり、排泄量検出器が容器を支持し、かつ、本体部に支持されている状態を示す図である。
【
図15】排泄量検出器の固定部材を示す平面図である。
【
図16】本体部の後部および制御装置を示す斜視図である。
【
図17】排泄量検出器の固定部材を示す斜視図である。
【
図18】排泄量検出器の荷重部材を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、図面を参照しながら、本発明に係る一実施形態について説明する。ただし、以下に説明する実施形態は、本発明の一実施形態に過ぎず、当然ながら本発明を限定することを意図したものではない。また、同じ作用を奏する部材・部位には同じ符号を付し、重複する説明は適宜省略または簡略化する。
【0022】
図1、
図2は、本実施形態に係るポータブルトイレ100を示す斜視図である。以下の説明では、特に断らない限りにおいて、ポータブルトイレ100の前、後、左、右、上、下とは、ポータブルトイレ100を使用し、かつ、後述の便座50(
図2参照)に座る使用者から見た前、後、左、右、上、下をそれぞれ意味するものとする。また、図面において、符号F、Rr、L、R、U、Dは、それぞれポータブルトイレ100の前、後、左、右、上、下を示している。ただし、これら方向は説明の便宜上定めた方向に過ぎず、ポータブルトイレ100の設置態様を何ら限定するものではなく、本発明を何ら限定するものではない。
【0023】
ポータブルトイレ100は、主に高齢者および身障者などのいわゆる要介護者に使用されるトイレであり、介助用に好適に使用されるトイレである。また、ポータブルトイレ100は、床に固定されるトイレではなく、移動可能式のトイレである。
図2に示すように、ポータブルトイレ100は、本体部10と、脚20と、容器30と、排泄物受け部40(
図3参照)と、便座50と、蓋59(
図1参照)と、肘掛け60と、背もたれ65とを備えている。
【0024】
図3は、本体部10、容器30、排泄物受け部40、便座50および後述の排泄量検出器70を示す正面断面図である。
図4、
図5は、それぞれ本体部10の斜視図、平面図である。
図4に示すように、本体部10は、箱状に形成されており、上方に開口している。ここでは、本体部10は、上方に開口した部分である本体開口部11を有している。本体開口部11は、本体部10の上部を構成している。本体部10は、内部に内部空間12を有しており、内部空間12は本体開口部11のうちの開口した部分と連通している。
図5に示すように、平面視において、本体部10は略四角形状である。なお、本体部10の詳しい構成については、後述する。
【0025】
図1に示すように、本体部10は、脚20によって支持されている。脚20は、本体部10の下部から下方に延びている。本実施形態では、脚20の数は4つである。脚20は、本体部10の左前部、左後部、右前部、右後部に設けられている。なお、
図1、
図2において、右後部の脚20は、本体部10によって隠れている。なお、詳しい説明は省略するが、脚20は、本体部10から下方に延びる長さを調整することが可能に構成されている。本体部10から下方に延びる脚20の長さを調整することで、使用者の体格に合うように本体部10(言い換えると、便座50)の高さを調整することができる。
【0026】
本実施形態では、
図3に示すように、本体部10の内部空間12には、容器30が収容されている。容器30は、ポータブルトイレ100を使用する使用者の尿や便などの排泄物が排出されるものである。容器30は、いわゆるバケツである。詳しくは後述するが、容器30は、本体部10の本体開口部11を通じて内部空間12に装着され、上方に開口している。容器30は、本体部10に対して上下に着脱可能に構成されている。なお、容器30の構成は後述する。
【0027】
本体部10の上部には、排泄物受け部40が設けられている。ここでは、排泄物受け部40は、本体部10の上端に載置されている。排泄物受け部40は、本体部10に排泄物(例えば尿)が流入したり、付着したりすることを抑制するための部材である。排泄物受け部40は、尿以外にも便を受けることが可能であり、詳しくは容器30や便座50から外部に漏れた排泄物を受けるものである。排泄物受け部40は、いわゆるトレイである。排泄物受け部40は、本体部10に着脱可能に配置されている。これにより、排泄物受け部40の清掃が容易になる。排泄物受け部40の詳しい構成は後述する。
【0028】
本実施形態では、本体部10の上方には、便座50が配置されている。便座50は、排泄物受け部40の上に配置されている。便座50は、使用者が尻を乗せて座る部位である。ここでは、便座50は、本体部10に対して後端を軸に回転可能に、排泄物受け部40に設けられている。便座50は、排泄物受け部40に回転可能に支持されている。ここでは、便座50の後端部には、排泄物受け部40に設けられたヒンジ(図示せず)が取り付けられており、便座50は、排泄物受け部40に対してヒンジを介して回転可能に構成されている。便座50は、前後に回転可能である。便座50を前方に回動させると、便座50を本体部10の真上に配置し、かつ、水平に配置することができる。このとき、便座50は、容器30の上方に配置されるため、使用者は便座50に座って、排泄物を容器30に排出することができる。一方、便座50を後方に回動させると、便座50は、本体部10の後部において立てられることができる。このとき、本体部10の内部空間12を上方に開放することができる。よって、便座50を立てた状態にすることによって、本体部10から容器30を上方に取り外すことができる。また、便座50を立てた状態にすることによって、容器30を上方から本体部10に取り付けることができる。
【0029】
図2に示すように、便座50は、使用者がお尻を受ける座面51を有している。座面51は、便座50の上面を構成している。便座50の中央部分には便座開口部52が形成されている。便座開口部52は、便座50を上下に貫通している。
【0030】
図1に示す蓋59は、容器30の上方において容器30を覆うものである。蓋59は、本体部10に対して後端部を軸に回転可能に構成されており、本体部10に着脱可能に取り付けられている。本実施形態では、蓋59は、折り畳み可能に構成されているが、折り畳まれなくてもよい。例えば蓋59を前方に回動させ、かつ、展開させることによって、
図1に示すように、便座50および容器30を蓋59によって覆うことができる。蓋59を後方に回動させ、かつ、折り畳むことによって、便座50および容器30が開放される。このことによって、使用者は、便座50に座ることができる。
【0031】
本実施形態では、
図2に示すように、便座50の左右両側には、肘掛け60が設けられている。肘掛け60は、便座50に座った使用者が肘を置くためのものである。肘掛け60は、前後に延びている。ここでは、本体部10の左部および右部には、それぞれ前後一対の肘掛け支柱61、62が設けられており、肘掛け支柱61、62は、本体部10から上方に延びている。ここでは、肘掛け支柱61は、肘掛け支柱62よりも前方に離間するように配置されている。肘掛け60は、前後一対の肘掛け支柱61、62に架け渡されている。本実施形態では、肘掛け支柱61、62は、本体部10に対して上下に移動可能に構成されており、本体部10から上方に延びた肘掛け支柱61、62の長さを調整することができる。本体部10から上方に延びた肘掛け支柱61、62の長さを調整することで、肘掛け60の高さを調整することができる。
【0032】
便座50の後方には、背もたれ65が設けられている。背もたれ65は、便座50に座った使用者が凭れ掛かるものである。背もたれ65は、本体部10の後部の上方に配置されている。ここでは、本体部10の後部には、左右一対の背もたれ支柱66、67が設けられており、背もたれ支柱66、67は、本体部10から上方に延びている。背もたれ支柱66は、本体部10の右後部に設けられている。背もたれ支柱67は、背もたれ支柱66から左方に離間するように、本体部10の左後部に設けられている。背もたれ65は、左右一対の背もたれ支柱66、67に架け渡されている。ここでは、背もたれ65の下方には、背もたれ65、および、背もたれ支柱66、67に囲まれた背もたれ開口部69が設けられている。蓋59を後方に回動させたときには、蓋59は、背もたれ開口部69を通過する。
【0033】
本実施形態では、背もたれ65は、左右に延びている。背もたれ65は、上下よりも左右に長く、かつ、前後よりも左右に長い形状を有している。平面視において、背もたれ65は、中央部分に向かうにしたがって前面が後方に湾曲するように凹んでいる。背もたれ65の前面には、背あて部68が設けられている。背あて部68は、使用者が直接凭れ掛かる部位である。背あて部68は、クッション性を有する素材によって形成されてもよいが、ここではクッション性を有しない素材によって形成されている。
【0034】
なお、ポータブルトイレ100は、トイレットペーパーを支持するペーパーホルダと、ポータブルトイレ100を移動させる際に使用される、脚20に設けられた移動用のキャスタを備えてもよい。また、脚20における床面との接地面には、ゴムやエラストマーなどの柔軟素材によって形成された滑り止め部材が設けられてもよい。
【0035】
また、ポータブルトイレ100に使用される材料は特に限定されない。本実施形態では、ポータブルトイレ100が備える部材、例えば本体部10、脚20、容器30、排泄物受け部40、便座50、蓋59、肘掛け60、背もたれ65などに使用される材料として、金属、樹脂などの任意の材料を使用することができる。その中でも、特に重量を考慮すると、樹脂材料が好ましく、例えばアクリロニトリルブタジエン樹脂(ABS)などのスチレン系樹脂、ポリカーボネート樹脂(PC)やPC/ABSアロイ樹脂などのポリカーボネート系樹脂、ポリブチレンテレフタレート樹脂などのポリエステル系樹脂、または、ポリ塩化ビニル樹脂(PVC)や塩素化ポリエチレン樹脂などの塩化ビニル系樹脂、ポリプロピレン樹脂(PP)やポリエチレン樹脂(PE)などのポリオレフィン系樹脂などの、任意のいわゆる硬質樹脂を用いることができる。更に、ポータブルトイレ100の製造方法として、射出成形、プレス成形、真空成形、ブロー成形、3Dプリンタを用いた成形などの任意の成形方法を用いることができる。
【0036】
ところで、本実施形態では、ポータブルトイレ100は、使用者が排出した排泄物の排泄量を測定することが可能である。
図3に示すように、ポータブルトイレ100は、排泄量検出器70を備えている。排泄量検出器70は、容器30に排出された排泄物の排泄量(ここでは、質量であるが、体積などであってもよい。)を検出する。詳しくは、排泄量検出器70は、容器30に排出された排泄物の排泄量に応じた変化量を検出する。以下の説明において、「排泄量に応じた変化量を検出する」ことを、単に「排泄量を検出する」ともいう。なお、排泄量検出器70は、排泄量を検出することができれば、ポータブルトイレ100に対する配置位置は特に限定されない。本実施形態では、排泄量検出器70は、排泄物受け部40の下方に配置されている。
【0037】
図6は、排泄量検出器70が容器30を支持している状態を示す正面図である。本実施形態では、
図6に示すように、排泄量検出器70は、容器30に設けられている。詳しくは、排泄量検出器70は、容器30の底部に設けられている。ここでは、排泄量検出器70は、容器30を下方から支持するように、容器30の下方に配置されている。容器30は、排泄量検出器70に載置されている。ただし、容器30は、排泄量検出器70に係合または懸架されることで支持されてもよい。例えば排泄物受け部40と容器30の後述する容器本体部31(
図3参照)とが離間している状態で、容器30の後述する側壁部36や外縁部37を係合または懸架する構成を、排泄量検出器70に設けて、容器30を排泄量検出器70が支持してもよい。
【0038】
本実施形態では、容器30に排泄物が排出されると、容器30から排泄量検出器70に向かって荷重が掛けられる。排泄量検出器70は、容器30から掛けられた荷重の大きさの変化量を排泄量として検出する。そのため、使用者が便座50に座って排泄物を排出する際、容器30には排泄物以外から荷重が掛けられないことが好ましい。そのため、本実施形態では、
図3に示すように、容器30のうちの少なくとも容器本体部31は、本体部10の内部空間12に収容されている状態において、本体部10、排泄物受け部40および便座50と直接接触しないように構成されている。言い換えると、容器30のうちの少なくとも容器本体部31は、本体部10、排泄物受け部40および便座50と離間するように構成されている。
【0039】
次に、容器30の容器本体部31と排泄物受け部40とが離間し、かつ、容器30と便座50が離間している構成について説明する。
【0040】
図7、
図8は、容器30を示す斜視図である。本実施形態では、
図7に示すように、容器30は、容器本体部31と、取っ手33とを有している。容器本体部31は、上方に開口した容器状のものである。
図8に示すように、容器本体部31は、板状の底壁部35と、底壁部35から上方に延びた側壁部36と、側壁部36の上端部に設けられた外縁部37とを有している。底壁部35は、容器30の底部を構成している。底壁部35は、平面視において円形状であるが、底壁部35の形状は特に限定されない。
【0041】
底壁部35の裏面には、下方に延びた環状の環状凸部38が設けられている。環状凸部38は、湾曲した板状のものである。環状凸部38の内部には、凹部38aが形成されている。凹部38aは、環状凸部38に囲まれており、上方に凹んでいる。詳しくは後述するが、環状凸部38の一部は、切り欠けられている。この環状凸部38のうちの切り欠けられた部分のことを、回転防止凹部39という。ここでは、容器30の底部は、回転防止凹部39を有している。回転防止凹部39における環状凸部38の周方向の両端部には、傾斜部39aが形成されている。傾斜部39aは、下方に向かうにしたがって回転防止凹部39の外方に傾斜している。傾斜部39aは、下方に凸となるように湾曲している。なお、回転防止凹部39の数と位置は特に限定されない。本実施形態では、回転防止凹部39は2つであり、環状凸部38の前後両側の部分に形成されている。2つの回転防止凹部39は対向している。
【0042】
側壁部36は、底壁部35の周端から上方に延びており、詳しくは上方に向かうにしたがって、容器30の外方に向かって延びている。ここでは、側壁部36の前部には、側壁凹部36aが形成されている。側壁凹部36aは、容器30の前部の内周面(ここでは側壁部36の前部の内周面)を前方に凹ませるように構成されており、上方に向かうに連れて、側壁凹部36a以外の側壁部36よりも外方に延びるように傾斜している。平面視において側壁凹部36aは、底壁部35よりも前方に配置されている。
【0043】
図7に示すように、外縁部37は、容器本体部31の上部(詳しくは側壁部36の上端部)から容器30の外方に延びるように設けられている。外縁部37は、平面視において環状の形状を有している。ここでは、外縁部37は、側壁部36の上端部から外方に向かって延びた横縁37aと、横縁37aの外端から下方に延びた縦縁37bとを有している。
図8に示すように、横縁37aと縦縁37bとの間には、複数の縁リブ37cが形成されている。ここでは、側壁部36の上端部と、横縁37aと、縦縁37bとによって空間が形成されているが、この空間に複数の縁リブ37cが設けられている。
【0044】
なお、図示は省略するが、容器本体部31の上部には、容器蓋が着脱可能に設けられている。容器蓋は、容器本体部31の上端部(ここでは、外縁部37)に装着可能なものであり、容器本体部31の内部を閉鎖するものである。容器30を使用していないとき、すなわち容器30に排泄物を排出しないときには、容器蓋は、容器本体部31を上方から閉鎖するように外縁部37に装着される。
図7に示すように、取っ手33は、例えば環状の外縁部37を架け渡すように設けられた湾曲した棒状のものである。ここでは、取っ手33は、外縁部37の左部と右部に接続されており、かつ、架け渡されている。取っ手33は、外縁部37に対して回転可能に構成されている。本実施形態では、使用者は、取っ手33を手に持って、容器30を本体部10から取り外したり、本体部10に収容したりすることができる。なお、容器30を本体部10に収容した際、取っ手33は、排泄物受け部40に当接してもよいし、当接しなくてもよい。例えば取っ手33が排泄物受け部40に当接することで、容器30を揺れ難くすることができる。容器30を揺れ難くすることで、排泄量検出器70による排泄量の検出精度を向上させることができると考えられる。しかしながら、取っ手33が排泄物受け部40に当接することで、容器30に掛かる荷重に変化が生じる可能性があり得る。そこで、例えば取っ手33は、排泄量検出器70による排泄量の検出精度を低下させない程度に、排泄物受け部40に当接してもよい。例えば取っ手33の重心(ここでは取っ手33の中央部分)が排泄物受け部40に軽く載置される程度に当接していてもよい。また、取っ手33は、容器本体部31に対して取外し可能であってもよい。容器30を本体部10に収容する際、取っ手33は、容器本体部31から取り外されてもよい。
【0045】
図9は、排泄物受け部40を示す斜視図である。本実施形態では、
図9に示すように、排泄物受け部40には、中央部分に排泄物受け開口部41が形成されている。排泄物受け開口部41は、排泄物受け部40を上下に貫通している。
図3に示すように、排泄物受け開口部41は、便座50の便座開口部52よりも大きい開口面積を有している。
図9に示すように、排泄物受け部40は、板状かつ環状の底壁42と、内周壁43と、外周壁44と、横壁45と、縦壁46とを有している。図示は省略するが、底壁42の前部は、当該前部以外の部位よりも上方に盛り上がっている。内周壁43は、底壁42の内周縁から上方に延びている。この内周壁43によって囲まれた部分が排泄物受け開口部41である。外周壁44は、底壁42の外周縁から上方に延びている。ここでは、
図3に示すように、外周壁44の上下の長さは、内周壁43の上下の長さよりも長い。外周壁44の上端は、内周壁43の上端よりも高い位置に配置されている。なお、排泄物受け部40の後部には、横壁45から前方に凸であり、かつ、底壁42から上方に凸となる突出部(図示せず)が設けられてもよい。この突出部には、容器30の取っ手33が当接してもよく、この場合、突出部は、取っ手33の中央部分(使用者が手で掴み易い部分)には当接しない位置に配置されているとよい。例えば突出部は、取っ手33の中央部分を除いた左部と右部とに当接するように2つ配置されてもよい。
【0046】
横壁45は、外周壁44の上端から側方(例えば水平方向)に延びている。横壁45は、外周壁44の上端から、排泄物受け部40の外方に向かって延びている。
図9に示すように、横壁45は、板状かつ環状のものである。縦壁46は、横壁45の外周縁から上方に延びている。ここでは、縦壁46は、横壁45の左端から上方に延び、かつ、横壁45の右端から上方に延びている。
【0047】
本実施形態では、
図3に示すように、容器30が本体部10の内部空間12に収容され、かつ、排泄量検出器70に支持されている状態において、容器30の容器本体部31と排泄物受け部40とは離間している。以下の説明では、容器30が排泄量検出器70に支持されている状態のときのことを示している。容器本体部31は、排泄物受け部40と接触していない。ここでは、容器30の外縁部37の少なくとも一部は、排泄物受け部40内に配置されており、排泄物受け部40内において排泄物受け部40(詳しくは、底壁42、内周壁43、外周壁44、横壁45および縦壁46)と離間している。ここでは、容器30の外縁部37は、排泄物受け部40の底壁42および内周壁43の上方に配置されている。詳しくは、外縁部37の外周縁(ここでは縦縁37b)は、排泄物受け部40の内周壁43よりも外方に配置されており、かつ、平面視において排泄物受け部40の底壁42と重なる位置に配置されている。ここでは、排泄物受け部40の外周壁44は、容器30の外縁部37よりも容器30の外方に配置され、外縁部37の上端部辺りまで上方に延びている。更に、排泄物受け部40の縦壁46は、容器30の外縁部37よりも外方に配置され、縦壁46の上端は、容器30よりも高い位置に配置されている。そのため、容器30の外縁部37の大半は、排泄物受け部40内に配置された状態になる。よって、容器30の外縁部37から飛び散った排泄物は、排泄物受け部40によって受けられることができる。なお、本実施形態では、容器30のうちの少なくとも容器本体部31が排泄物受け部40と離間していればよく、例えば取っ手33は排泄物受け部40と離間していなくてもよい。ただし、取っ手33が排泄物受け部40と離間していてもよく、すなわち容器30全体が排泄物受け部40と離間していてもよい。
【0048】
本実施形態では、
図3に示すように、排泄物受け部40の横壁45の上面には、便座50が載置される。ここでは、便座50は、座面壁55と、便座内周壁56と、便座外周壁57とを有している。座面壁55の上面が座面51である。
図2に示すように、座面壁55は、板状かつ環状であり、便座50の内方に向かうにしたがって下方に傾斜している。
図3に示すように、便座内周壁56は、座面壁55の内周縁から下方に延びている。ここでは、便座内周壁56によって囲まれた部分が、便座開口部52である。便座外周壁57は、座面壁55の外周縁から下方に延びている。ここでは、便座外周壁57の下端は、便座内周壁56の下端よりも高い位置に配置されている。排泄物受け部40の横壁45の上面には、便座外周壁57の下端が載置される。
【0049】
本実施形態における便座50では、座面壁55、便座内周壁56および便座外周壁57は、連続しており、かつ、湾曲している。ここでは、座面壁55と便座内周壁56と便座外周壁57によって囲まれた部分を便座凹部58という。便座凹部58は、上方に凹んだ形状を有している。
【0050】
便座50が排泄物受け部40上に配置された状態において、容器30は便座50と離間している。このとき、容器30の容器本体部31は、便座50の座面壁55よりも下方に配置されている。容器本体部31の上端部内には、便座50の便座内周壁56が離間して配置されている。ここでは、容器本体部31の側壁部36よりも内方において、便座内周壁56が側壁部36から離間して配置されている。また、容器30の外縁部37は、便座50の座面壁55の下方に配置され、座面壁55と離間している。容器30の取っ手33は、便座50の便座凹部58内に配置され、便座50の座面壁55、便座内周壁56および便座外周壁57と離間している。
【0051】
本実施形態では、
図4に示すように、本体部10は、本体底壁15と、本体内周壁16と、本体上壁17と、本体外周壁18と有している。
図5に示すように、本体底壁15は、本体部10の底部を構成している。
図3に示すように、本体底壁15の上方に容器30が配置される。本体内周壁16は、本体底壁15の周縁から上方に延びている。ここでは、本体底壁15と本体内周壁16とによって囲まれた空間が内部空間12である。また、本体内周壁16の上端部によって、本体開口部11が形成されている。ここでは、本体内周壁16には、段差部16aが形成されている。段差部16aは、下側よりも上側の方が外方に配置される段差になっている。
【0052】
本体上壁17は、本体内周壁16の上端から側方(例えば水平方向)に延びている。本体上壁17は、本体内周壁16の上端から、本体部10の外方に向かって延びている。
図3に示すように、本体上壁17には、排泄物受け部40が載置されている。本実施形態では、
図5に示すように、本体上壁17の左前部、左後部、右前部および右後部には、上下に延びた筒状の脚筒部17aが設けられている。
図1に示すように、脚筒部17aには、脚20が嵌め込まれる。
図4に示すように、本体外周壁18は、本体上壁17の外周縁から下方に延びている。
【0053】
次に、排泄量検出器70について説明する。
図3に示すように、排泄量検出器70は、本体部10の内部空間12に収容された状態で、容器30を下方から支持するように構成されている。排泄量検出器70は、本体部10の本体底壁15に支持されている。ここでは、排泄量検出器70は、本体底壁15に載置されている。
【0054】
図10、
図11、
図12は、それぞれ排泄量検出器70を示す斜視図、平面図、右側面図である。
図13は、排泄量検出器70のロードセル71を示す斜視図である。
図14は、排泄量検出器70の右側面断面図であり、排泄量検出器70が容器30を支持し、排泄量検出器70が本体部10の本体底壁15に支持されている状態を示す図である。
図13に示すように、排泄量検出器70は、ひずみゲージ75を備えている。ここで、ひずみとは、材料に加わる外力に比例して材料が伸びたり縮んだりする変形の量のことであり、ひずみゲージ75は、ひずみを検出するセンサである。ここでは、排泄量検出器70は、容器30に排泄物が排出されたときの容器30から掛けられた荷重に基づいて、当該荷重によって生じるひずみから、ひずみゲージ75によって排泄量を検出する。
【0055】
なお、ひずみゲージ75の具体的な種類は特に限定されない。ひずみゲージ75として、例えば単軸または多軸の箔ひずみゲージ、線ひずみゲージ、半導体ひずみゲージ、自己温度補償型ひずみゲージなどの任意の種類のひずみゲージを用いることができる。これらのうち、ひずみゲージ75として、防湿性の観点から箔ひずみゲージを用いることが好ましく、検出精度の観点から自己温度補償型ひずみゲージを用いることが好ましい。
【0056】
本実施形態では、排泄量検出器70は、ひずみゲージ75が組み込まれたロードセル71を備えている。ロードセル71は、上記のひずみゲージ75によって構成されており、ひずみゲージ75と起歪体73とを有している。起歪体73は、外力(ここでは容器30からの荷重)によって撓み変形、すなわち、ひずみを発生させるものである。ここでは、起歪体73は、長尺のビーム型であり、前後に延びたものである。起歪体73には、左右に貫通した起歪孔73aが形成されている。この起歪孔73aによって、起歪体73の所定の位置にひずみが生じ易くなっている。ただし、起歪体73の形状は特に限定されない。ひずみゲージ75は、起歪体73に設けられている。ひずみゲージ75は、起歪体73に接着などの固定手段によって固定され、起歪体73のひずみに伴ってひずみゲージ75も同時にひずむ。本実施形態では、ひずみゲージ75は、起歪体73の起歪孔73aに対向する上面の中央部分に設けられている。ただし、起歪体73に対するひずみゲージ75が設けられる位置は特に限定されず、例えば起歪体73の下面、または起歪孔73aの内側の面に設けられてもよい。また、ひずみゲージ75の数は1つに限定されず、複数であってもよい。ひずみゲージ75が複数の場合、起歪体73の上面と下面の両面に設けられてもよい。また、本実施形態では、ロードセル71の数は1つであるが、複数であってもよい。
【0057】
起歪体73を形成する材料は特に限定されず、任意の金属または樹脂を用いることができる。これらのうち、温度による熱膨張を抑制する観点から、起歪体73を形成する材料として金属材料を用いられることが好ましい。金属材料として、例えばアルミニウム合金、ステンレス合金、銅合金、スズ合金などを用いることができる。これらの金属材料のうち、錆や永久変形などが発生し難いなどの観点から、アルミニウム合金、またはステンレス合金が用いられることが好ましい。
【0058】
本実施形態におけるロードセル71では、容器30に排泄物が排出されたときの容器30から掛けられた荷重に応じて起歪体73が撓み変形でひずむと共に、ひずみゲージ75も同様にひずむ。ひずみ量に応じて、ひずみゲージ75の電気抵抗値が変化する。このひずみゲージ75の電気抵抗値は、後述の制御装置110(
図15参照)によって検出され、電気抵抗値の変化を排泄量(ここでは質量)として検出する。
【0059】
本実施形態では、
図12に示すように、排泄量検出器70は、固定部材76と、荷重部材77とを備えている。固定部材76は、位置が固定されるものであり、
図3に示すように、排泄量検出器70のうち本体部10に直接支持される部位である。荷重部材77は、容器30から荷重を掛けられる部位である。本実施形態では、荷重部材77は、固定部材76の上方に配置されている。荷重部材77と固定部材76とは、上下に重なるようにして配置されている。なお、固定部材76および荷重部材77の形状は特に限定されないが、
図10に示すように、ここでは円盤形状であり、
図11に示すように、平面視において円形状である。本実施形態では、
図14に示すように、固定部材76および荷重部材77は、断面形状が下向きのコの字状である。
【0060】
固定部材76および荷重部材77を形成する材料は、特に限定されない。本実施形態では、固定部材76および荷重部材77を形成する材料として、金属、樹脂などの任意の材料を用いることができる。これらのうち、重量の観点から樹脂が好ましい。樹脂として、例えばアクリロニトリルブタジエン樹脂(ABS)などのスチレン系樹脂、ポリカーボネート樹脂(PC)やPC/ABSアロイ樹脂などのポリカーボネート系樹脂、ポリブチレンテレフタレート樹脂などのポリエステル系樹脂、または、ポリ塩化ビニル樹脂(PVC)や塩素化ポリエチレン樹脂などの塩化ビニル系樹脂、ポリプロピレン樹脂(PP)やポリエチレン(PE)樹脂などのポリオレフィン系樹脂などの、任意のいわゆる硬質樹脂を用いることができる。これら硬質樹脂のうち、耐水性や衝撃的な負荷からロードセル71の損傷を防ぐ観点から、比較的柔軟な、もしくは耐衝撃性の良いポリオレフィン系樹脂のポリプロピレン樹脂を用いることが好ましい。更に、固定部材76および荷重部材77の製造方法としては、射出成形、プレス成形、真空成形、ブロー成形、3Dプリンタを用いた成形などの任意の成形方法を用いることができる。これらの成形方法のうち、生産性の観点から射出成形を用いることが好ましい。
【0061】
ここでは、ロードセル71は、荷重部材77と固定部材76の間に挟まれている。ロードセル71は、平面視において荷重部材77の中央部分に配置され、かつ、固定部材76の中央部分に配置されている。ただし、ロードセル71の位置は、荷重部材77および固定部材76の中央部分に限定されず、当該中央部分より前方、または当該中央部分より後方に配置されてもよい。ここでは、荷重部材77および固定部材76に対するロードセル71の位置を調整することで、排泄量検出器70の検出感度を調整することができる。本実施形態では、排泄量検出器70は、ロードセル71と固定部材76とを固定する第1固定部81と、ロードセル71と荷重部材77とを固定する第2固定部82とを備えている。第1固定部81は、ロードセル71の起歪体73の後部(ここではひずみゲージ75よりも後方の部分)と固定部材76とを固定する。ここでは、第1固定部81は、ロードセル71と固定部材76とを下方から固定する。本実施形態では、第1固定部81の数は2つであるが、1つであってもよいし、3つ以上であってもよい。第1固定部81の構成は特に限定されない。
【0062】
ここでは、第1固定部81は、いわゆる螺子である。第1固定部81は、第1頭部81aと、第1頭部81aから上方に延びた第1棒状部81bとを有している。第1棒状部81bの周面には、雄螺子が形成されている。本実施形態では、起歪体73には、第1接触部83aと、第1固定孔83bとが形成されている。第1接触部83aとは、第1固定部81が設けられる面であり、起歪体73の後部の下面を構成している。第1接触部83aは、ロードセル71に固定部材76が固定されたときに固定部材76と接触する。第1固定孔83bは、第1接触部83aに形成されている。第1固定孔83bの内周面には、第1棒状部81bと螺合する雌螺子が形成されている。
【0063】
また、固定部材76には、ロードセル71が固定される固定側固定部76bが設けられている。固定側固定部76bには、固定孔76aが形成されている。ここでは、
図14に示すように、固定側固定部76bの周囲には、複数のリブ76cが形成されており、固定側固定部76bは、複数のリブ76cによって囲まれている。本実施形態では、起歪体73の第1固定孔83bと、固定部材76の固定孔76aが重なるようにして、ロードセル71を固定部材76に配置する。そして、第1棒状部81bを第1固定孔83bと固定孔76aとに挿入して締結することで、第1固定部81によってロードセル71が固定部材76に固定される。なお、ロードセル71が固定部材76に固定されたとき、起歪体73の第1接触部83aが固定部材76の上面(ここでは固定側固定部76b)に接触し、第1接触部83a以外の起歪体73の下面の部分は、固定部材76の上面に接触しないように構成されている。ここでは、第1固定部81による固定部材76に対する締結力が大きくなり過ぎることによって生じる、固定部材76の変形または破壊を防止するために、固定部材76の固定孔76aの内周面には、金属スリーブが設けられてもよい。
【0064】
図15は、排泄量検出器70の固定部材76を示す平面図である。本実施形態では、
図15に示すように、固定側固定部76bの周囲には、固定部材76から上方に延びた当て付け壁76dが設けられている。当て付け壁76dは板状のものであり、平らな面を有している。ここでは、当て付け壁76dの上記平らな面は、ロードセル71(言い換えると起歪体73)の長尺方向(ここでは前後方向)に延びている。すなわち、当て付け壁76dは、上記平らな面がロードセル71の長尺方向に延びる向きになるように配置されている。ロードセル71の起歪体73には、当て付け壁76dに当て付けられる当て付け面73bが設けられている。当て付け面73bは平らな面である。当て付け壁76dと当て付け面73bは、互いに平らな面で接触する。ここでは、ロードセル71を固定部材76に固定する際、起歪体73の当て付け面73bを、固定部材76の当て付け壁76dに当て付けることで、固定部材76に対するロードセル71の位置を決め易くすることができる。このように、当て付け面73bを当て付け壁76dに当て付けた状態で、第1固定部81によってロードセル71を固定部材76に固定するとよい。
【0065】
なお、本実施形態では、起歪体73における当て付け面73bと反対側の面には、起歪体突起73cが設けられている。起歪体突起73cは、当て付け面73bと異なり起歪体73から側方に突出している。そのため、例えば起歪体73の向きが左右反対向きになるようにロードセル71を固定部材76に配置しようとすると、起歪体突起73cが当て付け壁76dに接触することになる。このことによって、固定部材76に対する起歪体73の向きが間違っていることを分かり易くすることができる。起歪体突起73は、ひずみゲージ75と、後述のケーブル111(
図15参照)との接続部分をカバーする役割を担っており、内部には防水コーティングが施されている。このことによって、起歪体突起73は、外部からの接触による断線、湿気または水分の侵入による故障などを防ぐ役割を果たしている。
【0066】
図14に示すように、第2固定部82は、ロードセル71の起歪体73の前部(ここではひずみゲージ75よりも前方の部分)と荷重部材77とを固定する。ここでは、第2固定部82は、ロードセル71と荷重部材77とを上方から固定する。本実施形態では、第2固定部82の数は2つであるが、1つであってもよいし、3つ以上であってもよい。なお、第2固定部82の構成は特に限定されない。
【0067】
ここでは、第2固定部82は、いわゆる螺子である。第2固定部82は、第2頭部82aと、第2頭部82aから下方に延びた第2棒状部82bと、ナット82cとを有している。第2棒状部82bの周面には、雄螺子が形成されている。ナット82cの内周面には、第2棒状部82bと螺合する雌螺子が形成されている。本実施形態では、起歪体73には、第2接触部84aと、第2固定孔84bとが形成されている。第2接触部84aは、第2固定部82が設けられる面であり、起歪体73の前部の上面を構成している。第2接触部84aは、ロードセル71に荷重部材77が固定されたときに荷重部材77と接触する。第2固定孔84bは、第2接触部84aに形成されている。
【0068】
また、荷重部材77には、固定孔溝77aと、固定孔77bが形成されている。固定孔溝77aは、荷重部材77の上面に形成され、下方に凹んでいる。固定孔77bは、固定孔溝77aから下方に延びており、荷重部材77を上下に貫通している。平面視において、固定孔77bは固定孔溝77aよりも小さい。ここでは、起歪体73の第2固定孔84bと、荷重部材77の固定孔77bとが重なるようにして、ロードセル71を荷重部材77に配置する。そして、第2棒状部82bを第2固定孔84bと固定孔77bに挿入し、荷重部材77に対して第2棒状部82bを上下に貫通させる。その後、荷重部材77の下方からナット82cを第2棒状部82bに締結する。このことによって、第2固定部82によってロードセル71が荷重部材77に固定される。なお、ロードセル71が荷重部材77に固定されたとき、起歪体73の第2接触部84aが荷重部材77の下面に接触し、第2接触部84a以外の起歪体73の上面の部分は、荷重部材77の下面に接触しないように構成されている。ロードセル71が荷重部材77に固定されたとき、第2固定部82の第2頭部82aは、荷重部材77の固定孔溝77a内に配置されている。ここでは、第2固定部82による荷重部材77に対する締結力が大きくなり過ぎることによって生じる、荷重部材77の変形または破壊を防止するために、荷重部材77の固定孔溝77aと固定孔77bの内周面には、金属スリーブが設けられてもよい。
【0069】
本実施形態では、ロードセル71を挟んで固定部材76と荷重部材77とは離間している。ここでは、固定部材76の上面と、荷重部材77の下面とは離間している。荷重部材77に載置された容器30から荷重が掛けられると、ロードセル71の起歪体73がひずむ(例えば
図14の矢印A1の向きにひずむ)。このとき、起歪体73がひずむことで、固定部材76に対して荷重部材77が動く(典型的には僅かながらに傾く)。このとき、荷重が掛けられる荷重部材77の位置に応じて、起歪体73のひずむ方向が変化し、その結果、荷重部材77が傾く向きが変化する。そして、容器30から荷重部材77に掛けられる荷重が、予め定められた最大荷重(以下、想定最大荷重という。)以上になったとき、荷重部材77は固定部材76と、接触点P1で接触する。この接触点P1は、荷重が掛けられる荷重部材77の位置に応じて変化する。このように、接触点P1において、固定部材76と荷重部材77とが接触することで、想定最大荷重以上の荷重が掛けられた場合であっても、起歪体73がひずみ過ぎることを抑えることができ、ロードセル71が損傷し難くすることができる。
【0070】
ここでは、荷重部材77に対して荷重が掛けられていない状態、すなわち起歪体73がひずんでいない状態において、固定部材76の上面と、荷重部材77の下面とは、平行になるように離間している。このときの固定部材76と荷重部材77との距離を離間距離H1という。離間距離H1は、荷重部材77に対して荷重が掛けられていないときの固定部材76の上端と、荷重部材77の下端との上下方向の距離のことである。また第1固定部81から接触点P1までの最大距離のことを最大距離L1という。ここでは、接触点P1とは、上述のように荷重部材77における荷重が掛けられる想定最大荷重に応じて位置が変化する点であるため、最大距離L1という文言を使用している。最大距離L1とは、典型的には接触点P1が固定部材76および荷重部材77の前端の位置のときにおける、接触点P1と第1固定部81との距離のことである。
【0071】
本実施形態では、離間距離H1/最大距離L1は、0.01~0.1であり、好ましくは0.02~0.08であり、特に好ましくは0.03~0.06であり、例えば0.04である。例えば最大距離L1が120mmの場合、離間距離H1は、例えば1.2mm~12mmであり、好ましくは2.4mm~9.6mmであり、特に好ましくは3.6mm~7.2mmである。
【0072】
なお、図示は省略するが、排泄量検出器70に掛けられる荷重による衝撃によってロードセル71の変形や破壊を防止するために、接触点P1およびその周囲に位置する固定部材76および荷重部材77の部分には、上記の衝撃を吸収する部材や構成が設けられてもよい。
【0073】
本実施形態では、
図14に示すように、ロードセル71と荷重部材77とが固定されているとき、ロードセル71のうち、起歪体73の第2接触部84a以外の部位は、荷重部材77と接触しないように構成されている。ここでは、荷重部材77の下面には、上方に凹んだ荷重凹部85が形成されている。荷重凹部85は、第2接触部84a以外の起歪体73の上面の部分と平面視において重なる位置に形成されている。本実施形態では、荷重部材77と、起歪体73の上面との間の空間を荷重側空間85aという。荷重側空間85aは、荷重凹部85内に形成されている。このことによって、例えば起歪体73の後部が上方にひずんだ場合であっても、起歪体73の後部が荷重凹部85内の荷重側空間85aに向かってひずむため、起歪体73がひずんだときに、起歪体73の上面に設けられたひずみゲージ75と荷重部材77とが接触し難くなることで、ひずみゲージ75の損傷を防ぐことができる。
【0074】
また本実施形態では、ロードセル71と固定部材76とが固定されているとき、ロードセル71のうち、起歪体73の第1接触部83a以外の部位は、固定部材76と接触しないように構成されている。ここでは、固定部材76の上面には、下方に凹んだ固定凹部86が形成されている。固定凹部86は、第1接触部83a以外の起歪体73の下面の部分と平面視において重なる位置に形成されている。本実施形態では、固定部材76と、起歪体73の下面との間の空間を固定側空間86aという。固定側空間86aは、固定凹部86内に形成されている。このことによって、例えば起歪体73の前部が下方にひずんだ場合であっても、起歪体73の前部が固定凹部86内の固定側空間86aに向かってひずむため、起歪体73がひずんだときに、固定部材76に接触し難くすることで排泄量の検出精度を向上させることができる。
【0075】
なお、本実施形態では、固定凹部86を形成する底面87は、第1固定部81から離れるにしたがって段階的に低くなっている。ここでは、第2固定部82の真下に位置する底面87の部分には、作業孔87a(
図17参照)が形成されている。作業孔87aを通じて、第2固定部82の第2棒状部82bにナット82cを取り付けることができ、第2固定部82によってロードセル71を荷重部材77に固定することができる。
【0076】
次に、本体部10が排泄量検出器70を支持する構成について説明する。
図14に示すように、上述のように、排泄量検出器70は、本体部10の本体底壁15に載置されることで、本体底壁15に下方から支持されている。本実施形態では、本体底壁15には、下方に凹んだ支持凹部15aが形成されている。排泄量検出器70は、支持凹部15aに嵌まる支持凸部90を備えている。支持凸部90は、固定部材76の底部を構成しており、ここでは固定部材76の上面よりも下方に突出している。本実施形態では、支持凸部90は、支持凹部15aよりも小さい円盤状の凸部本体91と、凸部本体91の側部に設けられた凸部突起92とを有している。凸部突起92は、凸部本体91の外周縁から外方に突出している。凸部突起92の形状は特に限定されないが、
図12に示すように、ここでは断面形状が下向きのコの字状である。
【0077】
ここでは、凸部突起92の外方側部(先端部)には、上方に向かうに連れて外方に傾斜する凸部側傾斜面93が設けられている。凸部側傾斜面93の下部には、曲面部94が設けられている。なお、凸部突起92の数は特に限定されないが、
図11に示すように、ここでは4つである。凸部突起92は、凸部本体91を挟んで左右両側と、前後両側に設けられている。
【0078】
図14に示すように、本体部10の支持凹部15aにおける内周面は、上方に向かうに連れて外方に傾斜する凹部側傾斜面15bである。また、本体底壁15の上面15cと、支持凹部15aの凹部側傾斜面15bとの間には曲面15dが形成されている。ここでは、固定部材76の曲面部94の曲率半径は、本体部10の曲面15dの曲率半径よりも小さい。本実施形態では、排泄量検出器70を本体部10の本体底壁15に配置するとき、固定部材76の曲面部94が、本体部10の曲面15dと接触し、その後、固定部材76の凸部突起92の凸部側傾斜面93が、本体部10の支持凹部15aの凹部側傾斜面15bに沿うように排泄量検出器70が移動し、固定部材76の支持凸部90が本体部10の支持凹部15aに嵌まる。このようにして、排泄量検出器70を本体部10の本体底壁15に支持させつつ、排泄量検出器70の位置決めをすることができる。
【0079】
なお、本実施形態では、
図5に示すように、本体部10の支持凹部15aには、平面視において外方に凹んだ係合凹部15eが設けられている。係合凹部15eの位置は特に限定されないが、ここでは支持凹部15aの後部における凹部側傾斜面15bに形成されている。係合凹部15eには、固定部材76の凸部突起92(
図11参照)の何れかが係合する。このように、係合凹部15eに凸部突起92が係合することで、本体部10の本体底壁15に対して排泄量検出器70が回転することを防止することができる。
【0080】
次に、排泄量検出器70が容器30を支持する構成について説明する。
図6に示すように、上述のように、容器30は、排泄量検出器70に載置されることで支持される。ここでは、容器30は、排泄量検出器70の荷重部材77に支持されている。本実施形態では、
図10に示すように、排泄量検出器70の荷重部材77には、上方に突出した凸部95が設けられている。
図3に示すように、凸部95は、容器30の環状凸部38に囲まれた凹部38aに嵌め込まれる。そのため、凸部95の外周縁の形状は、容器30の環状凸部38の内周縁の形状に対応した形状である。ここでは、凸部95の外周縁の形状、および、凹部38aの内周縁の形状は、円形状である。なお、ここでは、
図10に示すように、凸部95は、環状であるが、環状でなくてもよい。このように、荷重部材77の凸部95が容器30の凹部38aに嵌め込まれることによって、荷重部材77に対する容器30の位置合わせをし易くすることができる。
【0081】
本実施形態では、荷重部材77の凸部95には、外方に突出した回転防止凸部96が設けられている。
図6に示すように、回転防止凸部96は、容器30の環状凸部38に形成された回転防止凹部39に嵌め込まれる。回転防止凸部96の周方向の端部には、傾斜部96aが形成されている。傾斜部96aは、上方に向かうにしたがって回転防止凸部96の内方に傾斜している。ここでは、回転防止凸部96が、回転防止凹部39に嵌め込まれる際、回転防止凸部96の傾斜部96aと、回転防止凹部39の傾斜部39aとが接触しながら嵌め込まれるため、嵌め込み易い。ここでは、回転防止凸部96が回転防止凹部39に嵌め込まれることで、容器30が排泄量検出器70に対して回転することを防止することができる。また、容器30が排泄量検出器70に対して回転し難いため、当該回転に伴って容器30の容器本体部31と排泄物受け部40が接触することを防止することができる。
【0082】
本実施形態では、固定部材76および荷重部材77は、断面形状が下向きのコの字状であり、補強されている。
図17に示すように、固定部材76の裏面には、第1固定リブ76eと、第2固定リブ76fとが形成されている。第1固定リブ76eは、固定部材76の周方向に延びた環状のリブである。第1固定リブ76eは、固定部材76の中心と、固定部材76の周端との間に配置されている。第2固定リブ76fは、固定部材76の径方向に延びている。ここでは、第2固定リブ76fは、第1固定リブ76eから径方向の外方に延びた固定外方リブ76gと、第1固定リブ76eから径方向の内方に延びた固定内方リブ76hとを有している。本実施形態では、固定外方リブ76gは、固定内方リブ76hよりも数が少ないが、固定内方リブ76hと数が同じであってもよいし、固定内方リブ76hよりも数が多くてもよい。本実施形態では、上述の固定側固定部76bの周囲に形成された複数のリブ76cとは、第1固定リブ76eと固定内方リブ76hのことである。
【0083】
ここでは、荷重部材77のリブの構成は、固定部材76のリブの構成と同様である。すなわち、
図18に示すように、荷重部材77の裏面には、第1荷重リブ77eと、第2荷重リブ77fとが形成されている。第1荷重リブ77eは、荷重部材77の周方向に延びた環状のリブであり、荷重部材77の中心と、荷重部材77の周端との間に配置されている。第2荷重リブ77fは、荷重部材77の径方向に延びている。ここでは、第2荷重リブ77fは、第1荷重リブ77eから径方向の外方に延びた荷重外方リブ77gと、第1荷重リブ77eから径方向の内方に延びた荷重内方リブ77hとを有している。本実施形態では、荷重外方リブ77gは、荷重内方リブ77hよりも数が少ないが、荷重内方リブ77hと数が同じであってもよいし、荷重内方リブ77hよりも数が多くてもよい。
【0084】
本実施形態では、
図15に示すように、ポータブルトイレ100は、制御装置110を備えている。
図15では、荷重部材77を除いた状態の排泄量検出器70が示されている。制御装置110は、ポータブルトイレ100の使用の管理に関する制御を行う装置である。ここでは、制御装置110は、容器30に排出された排泄物の排泄量に関する制御を行う。なお、制御装置110の構成は特に限定されない。制御装置110は、例えばマイクロコンピュータである。制御装置110は、例えばI/Fと、CPUと、ROMと、RAMと、記憶装置と、を備えている。更に、制御装置110は、外部記憶装置と通信可能に接続する有線または無線の出力装置と、表示装置とを備えている。
【0085】
本実施形態では、制御装置110は、排泄量検出器70と通信可能に接続されている。例えば制御装置110は、排泄量検出器70のひずみゲージ75に定電流を供給すると同時に電流値を計測して、ひずみゲージ75の電気抵抗値を取得する。ここで、ポータブルトイレ100の使用者における排泄前の電気抵抗値を初期値とする。制御装置110は、使用者が排泄物を排出した後のひずみゲージ75の電気抵抗値を排泄後抵抗値として取得する。その後、制御装置110は、電気抵抗値の変化量(ここでは、初期値と排泄後抵抗値との差)を質量の変化量に換算して排泄量を取得する。この電気抵抗値から排泄量(質量)への換算は、制御装置110が備える演算装置(プログラム)によって行われてもよいし、外部記憶装置が備える演算装置(プログラム)によって行われてもよい。すなわち、排泄量への変換は、制御装置110が行ってもよいし、外部記憶装置が行ってもよい。本実施形態では、制御装置110は、使用者ごとに、排泄物を排出した時間と排泄量を記録、または取得することができる。更に、制御装置110は、使用者の排泄行為中の時系列における質量変化を取得することができる。なお、ここでは、外部記憶装置には、取得された排泄量や、排泄物を排出した時間などの記録を、使用者に通知する通知機能が設けられてもよい。
【0086】
本実施形態では、制御装置110と排泄量検出器70とは、ケーブル111によって接続されている。詳しくは、ケーブル111は、制御装置110と、ロードセル71のひずみゲージ75とを接続する。ケーブル111は、制御装置110と着脱自在に接続されている。本実施形態では、固定部材76には、ケーブル111を結束して固定部材76に固定するためのケーブル結束部115が形成されている。ケーブル結束部115は、例えば溝状である。ケーブル結束部115の形状は特に限定されないが、ここでは直線状の溝である。このようにケーブル結束部115にケーブル111を嵌め込むことで、固定部材76に対するケーブル111の位置を固定することができる。更に、ケーブル結束部115によって、ひずみゲージ75とケーブル111とが断線し難くすることができる。
【0087】
図16は、本体部10および制御装置110を示す斜視図である。
図16では、本体部10から制御装置110が取り外された状態が示されている。本実施形態では、制御装置110は、本体部10に着脱可能に取り付けられている。制御装置110は、使用者がポータブルトイレ100を使用することを邪魔しない位置に配置されていることが好ましい。ここでは、制御装置110は、本体部10の後部であって、背もたれ65の下方、かつ、容器30および便座50の後方に取り付けられている。詳しくは、
図5に示すように、本体部10の後部の中央部分には、例えば上方に開口した取付部120が設けられている。また、
図16に示すように、制御装置110には、フック122が設けられている。フック122は、取付部120に引っ掛けることができるように構成されている。制御装置110は、
図16の矢印A2のように、フック122を取付部120に引っ掛けることで、取付部120に取り付けられることができる。一方、フック122を取付部120から取り外すことで、制御装置110を取付部120から取り外すことができる。なお、ここでは、制御装置110は本体部10の後部に取り付けているが、使用者がポータブルトイレ100を使用することを邪魔しない位置であれば、制御装置110は、ポータブルトイレ10の任意の位置に取り付けられることができる。また、本実施形態では、制御装置110は、排泄量検出器70と別体であったが、排泄量検出器70の一部であってもよい。すなわち、制御装置110は、排泄量検出器70に備えられてもよい。
【0088】
次に、本実施形態に係るポータブルトイレ100の使用例について説明する。使用者がポータブルトイレ100を使用する際、
図3に示すように、本体部10の本体底壁15には、排泄量検出器70が載置されており、排泄量検出器70の荷重部材77には、容器30が載置されている。また、本体部10の上部には、排泄物受け部40が配置される。このとき、容器30の容器本体部31は、排泄物受け部40から離間するように配置されている。容器30の上方には、便座50が配置されている。使用者が便座50に座って、容器30内に排泄物を排出する。このとき、容器30内には、水が張られた状態である。容器30に排泄物が排出されたとき、排泄量に応じて容器30から排泄量検出器70に掛かる荷重が変化する。荷重が変化することで、排泄量検出器70の起歪体73のひずみ量が変化し、ひずみ量に応じたひずみゲージ75の電気抵抗値の変化量が、
図15に示すように、ケーブル111を通じて制御装置110に取得され、その後、制御装置110から外部記憶装置に送信される。外部記憶装置は、受信した電気抵抗値の変化量から排泄量を質量に変換し、更に受信時間を記憶する。外部記憶装置は、使用者毎に、排泄物を排出した時刻と、排泄量を関連付けて記憶し、排泄量を管理する。
【0089】
以上、本実施形態では、
図3に示すように、ポータブルトイレ100は、排泄物が排出される容器30と、平面視において、容器30の少なくとも一部を囲むように配置された排泄物受け部40と、容器30を支持する支持部の一例である排泄量検出器70とを備えている。容器30は、上方に開口した容器本体部31を有している。容器本体部31は、排泄物受け部40と離間するように配置されている。このように、容器本体部31が排泄物受け部40から離間するように配置されているため、排泄物受け部40に付着した尿などの排泄物が、容器30(特に容器30の外周面)に付着し難くすることができる。よって、排泄物受け部40から容器30に排泄物が伝わり難くすることができるため、容器30を清掃する頻度が減り、衛生性を保つための労力を減らすことができる。
【0090】
本実施形態では、容器30は、容器本体部31の上部から外方に延びた外縁部37を有している。容器30の外縁部37は、排泄物受け部40の上方に配置され、かつ、排泄物受け部40から離間している。このことによって、排泄物受け部40は、容器30の外縁部37から外部に向かって垂れた尿などの排泄物を受けることができつつ、排泄物受け部40に付着した排泄物を、容器30の外縁部37に伝わり難くすることができる。
【0091】
本実施形態では、排泄量検出器70は、排泄物受け部40の下方に配置されている。容器30は、排泄量検出器70に載置されている。このことによって、容器30を排泄量検出器70に載置するという簡単な手順で、容器30が排泄物受け部40から離間した状態で、容器30を排泄量検出器70に支持させることができる。なお、容器30は、排泄量検出器70に係合または懸架されてもよい。この場合、容器30を排泄量検出器70に係合または懸架するなどの簡単な手順で、容器本体部31が排泄物受け部40から離間した状態で、容器30を排泄量検出器70に支持させることができる。
【0092】
本実施形態では、容器30の底部は、排泄量検出器70の上部に載置されている。排泄量検出器70の上部(ここでは荷重部材77の上部)は、凸部95を有している。容器30の底部は、凸部95が嵌まる凹部38aを有している。このことによって、凹部38aに凸部95を嵌めることで、排泄量検出器70に対する容器30の位置を確定させることができる。よって、排泄量検出器70に対する容器30の位置合わせを容易に行うことができる。また、排泄量検出器70に対する容器30の位置合わせをすることで、容器本体部31を排泄物受け部40から離間させるように配置することができる。
【0093】
本実施形態では、
図8および
図10に示すように、凸部95の外周形状、および、凹部38aの内周形状は、平面視において円形状である。
図10に示すように、凸部95は、排泄量検出器70に対して容器30が回転することを防止する回転防止凸部96を有している。凹部38aは、
図6に示すように、回転防止凸部96が嵌まる回転防止凹部39を有している。凸部95の外周形状、および、凹部38aの内周形状が平面視において円形状の場合、凹部38aに凸部95を嵌めた状態において、排泄量検出器70に対して容器30が回転することがあり得る。しかしながら、本実施形態では、回転防止凹部39に回転防止凸部96を嵌めることで、排泄量検出器70に対して容器30が回転することを防止しながら、容器本体部31が排泄物受け部40から離間した状態を保つことができる。
【0094】
本実施形態では、
図3に示すように、ポータブルトイレ100は、容器30および排泄物受け部40の上方に配置された便座50を備えている。便座50は、容器30と離間している。このことによって、使用者が便座50に座ったとき、便座50から容器30に荷重が掛からない。よって、便座50から掛かる荷重によって容器30が変形することを防ぐことができる。
【0095】
なお、本実施形態では、排泄量検出器70は、本発明における容器30を支持する支持部の一例であった。しかしながら、本発明の支持部は、排泄量検出器70に限定されず、排泄量を検出できなくてもよい。支持部は、単なる部材であり、容器30の容器本体部31が排泄物受け部40から離間するように容器30を支持するものであればよい。支持部は、本体部10(例えば本体底壁15)と一体的に形成されていてもよく、本体部10の一部であってもよい。また、支持部は、容器本体部31が排泄物受け部40から離間するように容器30を支持するものであれば、下方から容器30を支持するものに限定されず、例えば側方または上方から容器30を支持するものであってもよい。
【0096】
本実施形態では、排泄量検出器70は上部に凸部95を有しており、容器30は、底部に、凸部95が嵌まる凹部38aを有していた。しかしながら、排泄量検出器70の上部には、下方に凹んだ凹部を有していてもよい。この場合、容器30の底部には、下方に突出し、排泄量検出器70の上記凹部に嵌まる凸部が設けられてもよい。
【0097】
本実施形態では、凸部95には、回転防止凸部96が設けられ、凹部38aには、回転防止凸部96が嵌まる回転防止凹部39が設けられていた。しかしながら、凸部95には、回転防止凹部が設けられ、凹部38aには、回転防止凸部が設けられてもよい。
【符号の説明】
【0098】
30 容器
31 容器本体部
37 外縁部
38a 凹部
39 回転防止凹部
40 排泄物受け部
50 便座
70 排泄量検出器(支持部)
95 凸部
96 回転防止凸部
100 ポータブルトイレ