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特開2024-146236環境配慮行動促進ゲームシステム、プログラム及び環境配慮行動促進ゲームにおける情報処理方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024146236
(43)【公開日】2024-10-15
(54)【発明の名称】環境配慮行動促進ゲームシステム、プログラム及び環境配慮行動促進ゲームにおける情報処理方法
(51)【国際特許分類】
   G06Q 50/06 20240101AFI20241004BHJP
   G06Q 50/10 20120101ALI20241004BHJP
【FI】
G06Q50/06
G06Q50/10
【審査請求】未請求
【請求項の数】15
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023059017
(22)【出願日】2023-03-31
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.BLUETOOTH
(71)【出願人】
【識別番号】512308948
【氏名又は名称】テラスエナジー株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100117514
【弁理士】
【氏名又は名称】佐々木 敦朗
(72)【発明者】
【氏名】大地 一輝
(72)【発明者】
【氏名】佐竹 正浩
【テーマコード(参考)】
5L049
5L050
【Fターム(参考)】
5L049CC06
5L049CC18
5L050CC06
5L050CC18
(57)【要約】      (修正有)
【課題】ゲームを通じてユーザーに外出を促すことで節電の促進を図り、娯楽性を高め、持続的な環境配慮行動を維持する。
【解決手段】環境配慮行動促進ゲームシステムにおいて、スマートフォンは、ユーザーU1の現実世界における現在位置を取得する位置情報取得部及びゲーム進行に従って現実地図座標上に仮想的なキャラクター及びオブジェクトを出現させた表示データを生成する表示データ生成部と、を備える。ゲームサーバは、仮想表示データ内に出現する仮想的なキャラクター等に対するユーザー操作とユーザーの現在位置とに基づいて、ユーザーによる環境配慮行動を推測する環境配慮行動推測部及び環境配慮行動を行動種別に応じてポイントに換算するポイント換算部を含み、ポイントの種別及び数量に応じて種々のイベント処理を発生させてゲームを進行させるゲーム進行処理部と、を備える。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ユーザーによる環境に対する貢献行動に応じて種々のイベント処理を発生させ、前記貢献行動を可視化するゲームを進行させる環境配慮行動促進ゲームシステムであって、
前記ユーザーの現実世界における現在位置を取得する位置情報取得部と、
前記位置情報取得部が取得した前記ユーザーの前記現在位置に基づいて、前記ユーザーによる前記環境配慮行動を推測する環境配慮行動推測部と、
前記環境配慮行動推測部によって推測された環境配慮行動を、行動種別に応じて分類し、分類に応じた種別のポイントに換算するポイント換算部と、
前記ポイントの種別及び数量に応じて、前記種々のイベント処理を発生させてゲームを進行させるゲーム進行処理部と、
前記ゲーム進行処理部によるゲーム進行に従って、現実地図座標上に仮想的なキャラクター及びオブジェクトを出現させた表示データを生成する表示データ生成部と
を備え、
前記環境配慮行動推測部は、前記仮想表示データ内に出現する前記仮想的なキャラクター若しくはオブジェクトに対するユーザー操作、及びユーザーの現在位置に基づいて、前記ユーザーによる前記環境配慮行動を推測する
ことを特徴とする環境配慮行動促進ゲームシステム。
【請求項2】
前記ゲーム進行処理部によるゲーム進行及び前記仮想地図座標に従って、撮影手段が撮影した現実世界の映像に、前記仮想的なキャラクター若しくはオブジェクトを重畳させて表示する拡張現実表示データを生成する拡張現実表示データ生成部をさらに備えることを特徴とする請求項1に記載の環境配慮行動促進ゲームシステム。
【請求項3】
前記環境配慮行動推測部は、前記拡張現実表示データ内に出現する前記仮想的なキャラクター若しくはオブジェクトに対するユーザー操作及びユーザーの現在位置に基づいて、前記ユーザーによる前記環境配慮行動を推測する
ことを特徴とする請求項2に記載の環境配慮行動促進ゲームシステム。
【請求項4】
前記ゲーム進行処理部による前記ゲームの進行及び前記ユーザーの現在位置に応じて、前記仮想表示データ又は前記拡張現実表示データの表示又はその表示動作を変化させる出力制御部をさらに備えることを特徴とする請求項3に記載の環境配慮行動促進ゲームシステム。
【請求項5】
前記環境配慮行動推測部は、ユーザーの現在位置まで移動することによって節約された電力量又は削減された二酸化炭素等の温室効果ガスの削減量を算定して前記ユーザーによる前記環境配慮行動を推測し、
前記ポイント換算部は、算定された電力量又は二酸化炭素量等の温室効果ガスと、その節約され又は削減された時刻の電力需給に応じて分類し、分類に応じた種別のポイントに換算する
ことを特徴とする請求項1に記載の環境配慮行動促進ゲームシステム。
【請求項6】
ユーザーによる環境に対する環境配慮行動に応じて種々のイベント処理を発生させ、前記環境配慮行動を可視化するゲームを進行させる環境配慮行動促進ゲームプログラムであって、コンピューターを、
前記ユーザーの現実世界における現在位置を取得する位置情報取得部と、
前記位置情報取得部が取得した前記ユーザーの前記現在位置に基づいて、前記ユーザーによる前記環境配慮行動を推測する環境配慮行動推測部と、
前記環境配慮行動推測部によって推測された前記環境配慮行動を、行動種別に応じて分類し、分類に応じた種別のポイントに換算するポイント換算部と、
前記ポイントの種別及び数量に応じて、前記種々のイベント処理を発生させてゲームを進行させるゲーム進行処理部と、
前記ゲーム進行処理部によるゲーム進行に従って、現実地図座標上に仮想的なキャラクター及びオブジェクトを出現させた表示データを生成する表示データ生成部
として機能させ、
前記環境配慮行動推測部は、前記仮想表示データ内に出現する前記仮想的なキャラクター若しくはオブジェクトに対するユーザー操作、及びユーザーの現在位置に基づいて、前記ユーザーによる前記環境配慮行動を推測する
ことを特徴とする環境配慮行動促進ゲームプログラム。
【請求項7】
前記コンピューターを、さらに、前記ゲーム進行処理部によるゲーム進行及び前記仮想地図座標に従って、撮影手段が撮影した現実世界の映像に、前記仮想的なキャラクター若しくはオブジェクトを重畳させて表示する拡張現実表示データを生成する拡張現実表示データ生成部として機能させることを特徴とする請求項6に記載の環境配慮行動促進ゲームプログラム。
【請求項8】
前記環境配慮行動推測部は、前記拡張現実表示データ内に出現する前記仮想的なキャラクター若しくはオブジェクトに対するユーザー操作及びユーザーの現在位置に基づいて、前記ユーザーによる前記環境配慮行動を推測する
ことを特徴とする請求項7に記載の環境配慮行動促進ゲームプログラム。
【請求項9】
前記コンピューターを、さらに、
前記ゲーム進行処理部による前記ゲームの進行及び前記ユーザーの現在位置に応じて、前記仮想表示データ又は前記拡張現実表示データの表示又はその表示動作を変化させる出力制御部として機能させることを特徴とする請求項8に記載の環境配慮行動促進ゲームプログラム。
【請求項10】
前記環境配慮行動推測部は、ユーザーの現在位置まで移動することによって節約された電力量又は削減された二酸化炭素等の温室効果ガスの削減量を算定して前記ユーザーによる前記環境配慮行動を推測し、
前記ポイント換算部は、算定された電力量又は二酸化炭素等の温室効果ガスの削減量と、その節約され又は削減された時刻の電力需給に応じて分類し、分類に応じた種別のポイントに換算する
ことを特徴とする請求項6に記載の環境配慮行動促進ゲームプログラム。
【請求項11】
ユーザーによる環境に対する環境配慮行動に応じて種々のイベント処理を発生させ、前記環境配慮行動による環境貢献を可視化するゲームを進行させる環境配慮行動促進ゲームにおける情報処理方法であって、
環境配慮行動推測部が、前記ユーザーの現実世界における現在位置を取得し、前記ユーザーの現在位置に基づいて、前記ユーザーによる前記環境配慮行動を推測する環境配慮行動推測ステップと、
前記環境配慮行動推測ステップで推測された前記環境配慮行動を、行動種別に応じて分類し、分類に応じた種別のポイントに換算するとともに、ゲーム進行処理部が、ポイントの種別及び数量に応じて、前記種々のイベント処理を発生させてゲームを進行させるゲーム進行処理ステップと、
表示データ生成部が、ゲーム進行に従って、現実地図座標上に仮想的なキャラクター及びオブジェクトを出現させた表示データを生成する仮想表示データ生成ステップと
を含み、
前記環境配慮行動ステップでは、前記仮想表示データ内に出現する前記仮想的なキャラクター若しくはオブジェクトに対するユーザー操作、及びユーザーの現在位置に基づいて、前記ユーザーによる前記環境配慮行動を推測する
ことを含むことを特徴とする環境配慮行動促進ゲームにおける情報処理方法。
【請求項12】
拡張現実表示データ生成部が、前記ゲーム進行処理部によるゲーム進行及び前記仮想地図座標に従って、撮影手段が撮影した現実世界の映像に、前記仮想的なキャラクター若しくはオブジェクトを重畳させて表示する拡張現実表示データを生成する拡張現実表示データ生成ステップをさらに含むことを特徴とする請求項11に記載の環境配慮行動促進ゲームにおける情報処理方法。
【請求項13】
前記環境配慮行動推測ステップでは、前記拡張現実表示データ内に出現する前記仮想的なキャラクター若しくはオブジェクトに対するユーザー操作及びユーザーの現在位置に基づいて、前記ユーザーによる前記環境配慮行動を推測する
ことを特徴とする請求項12に記載の環境配慮行動促進ゲームにおける情報処理方法。
【請求項14】
前記ゲーム進行処理ステップによる前記ゲームの進行及び前記ユーザーの現在位置に応じて、出力制御部が、前記仮想表示データ又は前記拡張現実表示データの表示又はその表示動作を変化させる表示制御ステップをさらに含むことを特徴とする請求項13に記載の環境配慮行動促進ゲームにおける情報処理方法。
【請求項15】
前記環境配慮行動推測ステップにおいて前記環境配慮行動推測部は、ユーザーの現在位置まで移動することによって節約された電力量又は削減された二酸化炭素量等の温室効果ガスの削減を算定して前記ユーザーによる前記環境配慮行動を推測し、
前記ゲーム進行処理ステップにおいて前記ポイント換算部は、算定された電力量又は二酸化炭素量と、その節約され又は削減された時刻の電力需給に応じて分類し、分類に応じた種別のポイントに換算する
ことを特徴とする請求項11に記載の環境配慮行動促進ゲームにおける情報処理方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ユーザーによる環境配慮行動に応じて種々のイベント処理を発生させ、環境貢献を可視化する環境配慮行動促進ゲームを搭載した脱炭素型ライフスタイルへの転換を促進させるシステム、プログラム及び情報処理方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、企業努力による脱炭素の取り組みに加えて、個人のライフスタイルの変容が求められている。あらゆる商品・サービスの温室効果ガス排出が「見える化」され、AI による自動選択も含め、国民がライフスタイルの中で、脱炭素に貢献する製品・サービスの使用など脱炭素行動を選択できる社会の実現が求められる。そのために、ブロックチェーン等のデジタル技術を活用し、温室効果ガス排出等の環境価値の把握、見える化、認証を進めるとともに、ポイントやナッジ、アンバサダー等を活用することにより、国民の前向きで主体的な意識変革や行動変容を促し、地域の脱炭素や成長に繋げることが重要と考えられている。
【0003】
なお、電力業界においては、電力需要の抑制により、効果的にピークカットを行うことで需給ひっ迫の解消に寄与するとともに、非効率な火力発電の焚き増しや維持、及びピーク電源の新設等が不要になることで、中長期的には安定供給を実現しつつ、発電容量を合理化することにつながり、ひいては二酸化炭素等の温室効果ガスの削減にもつながる。ここで、個人の電力需要の抑制方法については、例えば、特許文献1に記載の方法が挙げられる。
【0004】
この特許文献1に記載の電力需要の抑制方法について説明すると、ある日の電力需要を予測する一方で、電力削減を実施した際の電力需要についても予測し、両電力需要の予測値を基に電力削減要求の内容を決定し、決定した要求内容を電力需要者に通知するものである。
【0005】
特に、特許文献1に記載の電力需要抑制方法では、電力削減要求として電力を利用する消費者の外出を促すことも考えられており、電力を利用する消費者が外出する動機付けを与えるために、例えば各種店舗のクーポンの発行やイベントの通知が行われる。このように電力を利用する消費者の外出を促すことにより、個々の電力を利用する消費者による電力需要の抑制につながり、電力需給ひっ迫の解消に寄与するとともに、非効率な火力発電の焚き増しや維持、及びピーク電源の新設等が不要になり、ひいては二酸化炭素の排出量削減効果も期待される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2013-102637号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、上述した特許文献1に記載された技術では、単発的に発行されるクーポンによってユーザーの外出を促すに過ぎないため、クーポンによる付加価値のみでは娯楽性が低く、継続的に参加するインセンティブとなり得ず、持続的な外出による節電を維持できないという懸念がある。今般の世界情勢の急激な変動により電力の需要期における電力需給の逼迫が懸念されており、政府や電力会社が消費者に対して節電・電気の効率利用を促す取り組みが求められており、持続的な節電行動の維持は重要な課題として注目されている。
【0008】
そこで、本発明は、上記の課題に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、クーポンによる金銭的メリットだけではなく、ゲーム体験を通じてユーザーに外出を促すことで節電の促進を図るとともに、娯楽性を高めることにより、持続的に外出による節電を維持できる環境配慮行動促進ゲームを搭載させた脱炭素型ライフスタイル転換促進アプリケーションのシステム、プログラム及び情報処理方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するために、本発明は、ユーザーによる環境配慮行動に応じて種々のイベント処理を発生させ、ユーザーの環境貢献を可視化するゲームを進行させるゲームシステムを搭載したアプリケーションであって、
前記ユーザーの現実世界における現在位置を取得する位置情報取得部と、
前記位置情報取得部が取得した前記ユーザーの前記現在位置に基づいて、前記ユーザーによる前記環境配慮行動を推測する環境配慮行動推測部と、
前記環境配慮行動推測部によって推測された前記環境配慮行動を、行動種別に応じて分類し、分類に応じた種別のポイントに換算するポイント換算部と、
前記行動種別に応じて、前記種々のイベント処理を発生させてゲームを進行させるゲーム進行処理部と、
前記ゲーム進行処理部によるゲーム進行に従って、現実地図座標上に仮想的なキャラクター及びオブジェクトを出現させた表示データを生成する表示データ生成部と
を備え、
前記環境配慮行動推測部は、前記仮想表示データ内に出現する前記仮想的なキャラクター若しくはオブジェクトに対するユーザー操作、及びユーザーの現在位置に基づいて、前記ユーザーによる前記環境配慮行動を推測する
ことを特徴とする。
【0010】
また、本発明は、ユーザーによる環境配慮行動に応じて種々のイベント処理を発生させ、前記環境配慮行動によるユーザーの環境貢献を可視化するゲームを進行させるゲームシステムを搭載した脱炭素型ライフスタイル転換促進アプリケーションにおける情報処理方法であって、
環境配慮行動推測部が、前記ユーザーの現実世界における現在位置を取得し、前記ユーザーの現在位置に基づいて、前記ユーザーによる前記環境配慮行動を推測する環境配慮行動推測ステップと、
前記環境配慮行動推測ステップで推測された前記環境配慮行動を、行動種別に応じて分類し、分類に応じた種別のポイントに換算するとともに、ゲーム進行処理部が、前記環境配慮行動に応じて、前記種々のイベント処理を発生させてゲームを進行させるゲーム進行処理ステップと、
表示データ生成部が、ゲーム進行に従って、現実地図座標上に仮想的なキャラクター及びオブジェクトを出現させた表示データを生成する表示データ生成ステップと
を含み、
前記環境配慮行動推測ステップでは、前記仮想表示データ内に出現する前記仮想的なキャラクター若しくはオブジェクトに対するユーザー操作、及びユーザーの現在位置に基づいて、前記ユーザーによる前記環境配慮行動を推測する
ことを含むことを特徴とする。
【0011】
上記発明では、前記ゲーム進行処理部によるゲーム進行及び前記仮想地図座標に従って、撮影手段が撮影した現実世界の映像に、前記仮想的なキャラクター若しくはオブジェクトを重畳させて表示する拡張現実表示データを生成する拡張現実表示データ生成部をさらに備えることが好ましい。
【0012】
また、上記発明において、前記環境配慮行動推測部は、前記拡張現実表示データ内に出現する前記仮想的なキャラクター若しくはオブジェクトに対するユーザー操作及びユーザーの現在位置に基づいて、前記ユーザーによる前記環境配慮行動を推測することが好ましい。
【0013】
上記発明では、前記ゲーム進行処理部による前記ゲームの進行及び前記ユーザーの現在位置に応じて、前記仮想表示データ又は前記拡張現実表示データの表示又はその表示動作を変化させる出力制御部をさらに備えることが好ましい。
【0014】
上記発明では、前記位置情報取得部が取得した前記ユーザーの前記現在位置に基づいて、前記ユーザーによる前記環境配慮行動を推測する環境配慮行動推測部と、前記環境配慮行動推測部によって推測された前記環境配慮行動を、行動種別に応じて分類し、分類に応じた種別のポイントに換算するポイント換算部とをさらに備えることが好ましい。
【0015】
なお、上述した本発明に係るシステムや方法は、所定の言語で記述された本発明のプログラムをコンピューター上で実行することにより実現することができる。すなわち、本発明のプログラムを、携帯端末装置やスマートフォン、ウェアラブル端末、モバイルPCその他の情報処理端末、パーソナルコンピューターやサーバーコンピューター等の汎用コンピューターのICチップ、メモリ装置にインストールし、CPU上で実行することにより、上述した各機能を有するシステムを構築して、本発明に係る方法を実施することができる。
【0016】
また、本発明のプログラムは、例えば、通信回線を通じて配布することが可能であり、またコンピューターで読み取り可能な記録媒体に記録することにより、スタンドアローンの計算機上で動作するパッケージアプリケーションとして譲渡することができる。具体的にこの記録媒体としては、フレキシブルディスクやカセットテープ等の磁気記録媒体、若しくはCD-ROMやDVD-ROM等の光ディスクの他、RAMカードなど、種々の記録媒体に記録することができる。そして、このプログラムを記録したコンピューター読み取り可能な記録媒体によれば、汎用のコンピューターや専用コンピューターを用いて、上述したシステム及び方法を簡便に実施することが可能となるとともに、プログラムの保存、運搬及びインストールを容易に行うことができる。
【発明の効果】
【0017】
以上述べたように、本発明によれば、環境配慮行動促進ゲームを搭載した脱炭素型ライフスタイル転換促進アプリケーション内において、ユーザーによる環境配慮行動に応じて種々のイベント処理を発生させて環境配慮行動促進ゲームが進行され、その環境配慮行動促進ゲームを通じて、ユーザー自身の環境貢献を可視化することができ、娯楽性を高めつつ環境貢献に対する興味を喚起させることができる。例えば、ゲームキャラクターの成長や、アイテムの収集、ストーリーの進展など、仮想上の報酬や対価が得られることから、節電行動を取らせるための外発的動機付けとなり得る。
【0018】
また、環境配慮行動推進ゲーム中の外出拠点となる店舗等の施設側にあっては、共通ポイントと交換可能な独自のポイントや外出拠点の店舗等で利用できるクーポン、ゲームアイテムを消費者に提供することで、外出による節電効果による、電力の需給安定化や火力の焚き増し防止による環境貢献の宣伝、猛暑期や厳寒期の来店率と顧客ロイヤリティーの向上などのメリットも得られる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】実施形態に係るゲームシステムの全体構成を示す概念図である。
図2】実施形態に係るゲーム画面を示す説明図である。
図3】実施形態に係るゲームサーバー3の内部構成を示すブロック図である。
図4】実施形態に係るスマートフォン1の内部構成を示すブロック図である。
図5】実施形態に係る電力管理制御サーバー4の内部構成を示すブロック図である。
図6】実施形態に係る環境配慮行動促進ゲームシステムの動作を示すシーケンス図である。
図7】実施形態に係るゲーム進行処理の動作を示すフロー図である。
図8】実施形態に係るARイベントのゲーム画面を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下に添付図面を参照して、本発明に係るゲームシステム及びゲームプログラムの実施形態を詳細に説明する。
(環境配慮行動促進ゲームの概要)
先ず、本実施形態に係る環境配慮行動促進ゲームの概要について説明する。図1に本実施形態に係る環境配慮行動促進ゲームを搭載した脱炭素型ライフスタイル転換促進アプリケーションのシステムの全体構成を示し、図2に本実施形態に係る環境配慮行動促進ゲームを搭載した脱炭素型ライフスタイル転換促進アプリケーションのゲーム画面を示す。
【0021】
本実施形態では、「Another World」と呼ばれる仮想ゲーム空間が舞台となっている。この「Another World」では、実際の現実世界のすべてのものが、所謂デジタルツインとして仮想空間上に再現されているに加えて、現実世界で物理的に見えない情報も可視化されたバーチャル空間となっており、二酸化炭素等の温室効果ガスが滞留したエリアは灰色で着色される。このバーチャル空間を表現するために、地形や建物、住所などの現実地図情報を活用しており、図2に示すように表示地図情報Mとして表示される。
【0022】
また、この「Another World」は、人の環境配慮行動を後押しするために構築された世界という設定であり、環境配慮行動促進ゲームにおいてユーザー(キャラクターC1)は、「パフォーマー」と呼ばれるAI(人工知能)を備えているとするキャラクターC2と一緒に、二酸化炭素等の温室効果ガスの除去を行い、仮想空間内のエリアを浄化させていくというストーリー構成となっている。
【0023】
本実施形態に係る環境配慮行動促進ゲームにおいて、ユーザーの環境配慮行動を後押しするためのキャラクターC1である「パフォーマー」は、プログラミングにより電子音響楽器アイテムを演奏する。この電子音響楽器は音響により、バーチャル空間内の灰色となった区域の浄化を遂行し、浄化されたエリアは本来の色を取り戻すことできる。
【0024】
このような浄化ミッション等を達成することにより、ミッションに応じたポイントが獲得でき、エネルギー供給スポット(誘導拠点)から得られるエネルギーは、電子音響楽器アイテムのエネルギー源となり、エネルギーを蓄積することで浄化ミッションを遂行できる。また、キャラクターC1である「パフォーマー」はプレイヤーとともに活動を続けることにより、シンパシーが高まり、想いを込めた演奏ができるように成長する。シンパシーを高めた上で浄化したエリアから獲得できる「光の鉱石」を与えると、電子音響楽器や衣装が変化して、新しいジャンルの音楽演奏できるようになる。
【0025】
更に「Another World」内のユーザーの環境配慮行動は他のユーザーに対してもフィードが送られる仕様になっており、「イイね」が押されるとユーザーの画面に表示されたもらった「イイね」がカウントされる仕様となっており、環境配慮行動を評価されることによりユーザーのモチベーションの維持ができる仕様となっている。加えて、他のユーザーのエリアに対する浄化はユーザー自身のマップ状の浄化にもつながり、連帯感を高めることができる仕様となっている。
【0026】
(環境配慮行動促進ゲームを搭載した脱炭素型ライフスタイル転換促進アプリケーションのシステムの構成)
上述した環境配慮行動促進ゲームは、本発明の環境配慮行動促進ゲームを搭載した脱炭素型ライフスタイル転換促進アプリケーションのシステム及び方法により実現することができる。本実施形態に係る環境配慮行動促進ゲームを搭載した脱炭素型ライフスタイル転換促進アプリケーションのシステムは、図1に示すように、ユーザーU1が使用する携帯端末装置であるスマートフォン1と、インターネット2上に設置されたゲームサーバー3及び電力管理制御サーバー4とから概略構成される。なお、本実施形態では、スマートフォン1を携帯端末装置の一例として説明する。
【0027】
ゲームサーバー3は、本実施形態では、ゲーム進行処理を行うサーバーであり、単一のサーバー装置、又は複数のサーバー装置群により実現することができ、複数の機能モジュールをCPU上に仮想的に構築し、それぞれの機能モジュールが協動して処理を実行する。また、このゲームサーバー3は、通信機能によりインターネット2を通じて、データ送受信を行うことができるとともに、Webサーバー機能によりブラウザソフトを通じてWebページの提示などを行うことができる。
【0028】
スマートフォン1は、無線通信を利用した携帯可能な情報処理端末装置であり、無線基地局22、23等の中継点と携帯電話機が無線で通信し、通話やデータ通信等の通信サービスを移動しつつ受けることができる。この携帯電話機の通信方式としては、例えば、3G(3rd. Generation)方式、LTE(Long Term Evolution)方式、4G方式、5G方式等が挙げられる。また、このスマートフォン1は、デジタルカメラ機能、アプリケーションソフトの実行機能、GPS(Global Positioning System)などによる位置情報取得機能等、種々の機能が搭載され、タブレットPC等のモバイルコンピューターも含まれる。
【0029】
位置情報取得機能は、自機の位置を示す位置情報を取得し、記録する機能であり、この位置情報取得機能としては、図1に示すように、例えば、GPSのように、衛星21からの信号によって自機の位置を検出する方法や、携帯電話の無線基地局22,23や、Wifi通信のアクセスポイントからの電波強度などによって位置を検出する方法が含まれる。
【0030】
そして、このスマートフォン1は、情報を表示する表示部としての液晶ディスプレイを備えるとともに、ユーザーが入力操作を行うための操作ボタン等の操作デバイスを備え、この操作デバイスとしては、液晶ディスプレイに重畳されて配置され、液晶ディスプレイ上の座標位置を指定するタッチ操作などによる操作信号を取得する入力部としてのタッチパネルが含まれる。具体的にこのタッチパネルは、ユーザーの指先やペンなどを用いたタッチ操作による圧力によって操作信号を入力する入力デバイスであり、グラフィックを表示する液晶ディスプレイと、この液晶ディスプレイに表示されたグラフィックの座標位置に対応した操作信号を受け付けるタッチセンサとが重畳されて構成されている。
【0031】
また、本実施形態では、ユーザーによる環境配慮行動に応じてゲームを進行させるため、電力管理制御サーバー4はインターネット2を通じて各需要家のスマートメーターからの電力需給について実績データが集積されるようになっており、その実績データに応じてユーザーの電力削減を評価してゲーム進行に反映させるしくみを備えている。なお、スマートメーターでは電力データのような実績データの取得の他、需要家内の電気機の制御や、蓄電池、EV等を制御する機能を備えるものであってもよい。
【0032】
そして、本実施形態では電力管理制御サーバー4によって各需要単位に対する気象データ等の外因要素を参照しつつ電力管理制御サーバー4に蓄積された実績データベースや環境配慮行動推測部によって推測された環境配慮行動のデータベースを用いて、将来(例えば翌日)の電力消費量の予測の生成や電力削減量の予測の生成も行える。
【0033】
詳述すると、各需要家のスマートメーターが、所定の電力使用期間中に消費した電力量を需要家ごとに測定して実績データを生成し、電力管理制御サーバー4側で収集され、収集された実績データに基づいて各需要家内における電力消費を管理する。本実施形態では、各需要家における電力管理実績及び予測結果をゲームサーバー3側で利用できるようにしている。
【0034】
(各装置の構成)
次いで、上述したゲームシステムを構成する各装置について説明する。図3に本実施形態に係るゲームサーバー3の内部構成を示し、図4に本実施形態に係るスマートフォン1の内部構成を示す。また、図5は、本実施形態に係る電力管理制御サーバー4を示す。なお、説明中で用いられる「モジュール」とは、装置や機器等のハードウェア、或いはその機能を持ったソフトウェア、又はこれらの組み合わせなどによって構成され、所定の動作を達成するための機能単位を示す。
【0035】
(1)ゲームサーバー
先ず、ゲームサーバー3の内部構成について説明する。ゲームサーバー3は、インターネット2上に配置されたサーバー装置であり、インターネット2を通じて、各スマートフォン1とデータの送受信が行えるようになっている。
【0036】
ゲームサーバー3は、インターネット2を通じてデータ通信を行う通信インターフェース31と、利用者や利用者端末の権限を認証する認証部33と、各利用者端末の位置情報を収集して管理する位置情報管理部32と、ゲーム全体のゲーム進行処理、及び各ユーザーのゲーム進行処理を実行するゲーム進行処理部36と、各ユーザーに対してゲームデータを配信する34と、種々のデータベース群35a~35cとを備えている。
【0037】
データベース群としては、現実世界における地理情報を含む現実地図情報を記憶する現実地図記憶部としての現実地図データベース35aと、利用者に関する情報を蓄積するユーザーデータベース35bと、仮想地図情報、ゲーム全体のゲーム進行処理、及び各ユーザーのゲーム進行処理に関する情報を蓄積するゲーム用データベース35cとが含まれる。これらの各データベースとしては、単一のデータベースとしてもよく、複数のデータベースに分割し、相互にリレーションを設定することで各データ同士を紐付けたリレーショナルデータベースとすることができる。
【0038】
現実地図データベース35aは、現実世界における地理情報を含む現実地図情報を記憶する記憶装置であり、山や谷、河川等の自然的な地理的要素、建物や道路、鉄道などの人工物、地名や住所、交通規制などが記憶される。なお、この現実地図データベース35aは、ゲームサーバー3を運用するサービス提供者自身が所有・運用するものの他、他の地図サービス提供者が運用する地図データベースであってもよい。
【0039】
ユーザーデータベース35bに蓄積される情報としては、利用者又は利用者が使用している携帯端末装置を特定する識別子(ユーザーID、端末ID)と、パスワード等とを紐付けた認証情報が含まれ、ユーザーIDに紐付けられた利用者の個人情報や、端末装置の機種なども含まれる。また、ユーザーデータベース35bには、利用者毎或いは利用者端末毎の認証履歴(アクセス履歴)や、ゲーム用データベース35cとのリレーションによりユーザー毎のゲーム進行に関する情報(緯度・経度等の現在位置、ゲーム中におけるステイタス、得点、利用履歴等)や、ゲーム内で獲得できるポイントの交換情報等も蓄積される。
【0040】
ゲーム用データベース35cに蓄積される情報としては、仮想世界の地図情報、キャラクターやオブジェクトの特性、イベント処理に関する情報、グラフィック情報などがゲーム用データとして含まれるとともに、これらのゲーム用データと、現実地図に含まれる地理的要素や建物、道路、鉄道等とを関連づけるためのマッピングデータも含まれる。
【0041】
認証部33は、通信インターフェース31を通じて、各スマートフォン1と通信セッションを確立させ、その確立された通信セッション毎に認証処理を行うモジュールである。この認証処理としては、アクセス者である利用者のスマートフォン1から認証情報を取得し、ユーザーデータベース35bを参照して、利用者等を特定し、それらの権限を認証する。この認証部33による認証結果(ユーザーID、認証時刻、セッションID等)は、ゲーム進行処理部36に送出されるとともに、ユーザーデータベース35bに認証履歴として蓄積される。
【0042】
位置情報管理部32は、利用者端末装置側で取得されてゲームサーバー3に送信される位置情報を取得するモジュールであり、位置情報管理部32は、認証部33による認証処理によって特定されたユーザーやユーザー端末装置の識別子(ユーザーID、端末ID等)と、それらの位置情報とを紐付けてユーザーデータベース35bに利用履歴として蓄積する。
【0043】
ゲーム進行処理部36は、仮想世界において、各ユーザーに対応する各キャラクター、及びアイテムやその他のオブジェクトが出現して、種々のイベント処理を発生させてゲームを進行させるモジュールであり、一定のルール・ロジック・アルゴリズムを含むゲームプログラムを実行し、キャラクターやオブジェクトの位置関係(接近・接触等)に応じて、レベルアップや、ARの実行、ムービーの再生等のイベント処理を発生させる。
【0044】
なお、ゲーム進行処理部36は、本実施形態では、スマートフォン1側のゲーム進行処理部141と協働するようになっており、ゲーム進行処理の一部をゲームサーバー3側で行い、グラフィック処理やイベント処理の一部をスマートフォン1側のゲーム進行処理部141で実行するようにしている。例えば、ゲームサーバー3側で、他を含むユーザーのエリアの浄化やキャラクターの育成等のイベント処理の情報が蓄積し更新され、最新のイベント発生条件がスマートフォン1側に送信され、実際のイベント処理の実行処理やそのためのグラフィック処理は、ゲームサーバー3から受信した最新のイベントの発生条件に基づいてスマートフォン1側で演算するようにしている。本実施形態においてゲーム進行処理部36は、仮想地図情報生成部36aと、環境配慮行動推測部36bと、ポイント換算部36cと、ユーザー間連携部36dとを備えている。
【0045】
仮想地図情報生成部36aは、ゲーム進行処理部36によるゲーム進行に従って、図2に示すような、現実地図情報に含まれる地形や建物、住所情報に対応させて、仮想世界中におけるユーザーのキャラクターC1や、建物やアイテムなどのオブジェクトO1等を配置した表示地図情報Mを生成するモジュールである。
【0046】
仮想地図情報生成部36aは、現実地図データベース35aに蓄積された現実地図情報に含まれる地形的要素や建物、道路、鉄道等の住所、緯度経度、形状を取得するとともに、ゲーム用データベース35cに蓄積されたマッピングデータを参照し、現実世界地図に対応した仮想世界の地図情報、キャラクターやオブジェクトの特性、イベント処理に関する情報、グラフィック情報などに基づいて、表示地図情報を生成する。ここでは、現実世界地図の表示地図情報M上の建物に対応した座標位置(住所や緯度経度)にオブジェクトO1が配置されている。なお、図に示したキャラクターC1はユーザー自身の現在位置を示し、オブジェクトO1は、ユーザーの外出誘導拠点となる店舗等の施設の特典提供場所を示している。
【0047】
環境配慮行動推測部36bは、スマートフォン1側の位置情報取得部144から位置情報管理部32が取得したユーザーの現在位置に基づいて、ユーザーによる環境配慮行動を推測するモジュールである。環境配慮行動推測部36bは、表示地図情報M内に出現する仮想的なキャラクター若しくはオブジェクトに対するユーザー操作、及びユーザーの現在位置に基づいて、ユーザーによる環境配慮行動を推測する。ここでは、ユーザー宅A1から外出誘導拠点であるイベント会場A2へ移動するなど、所定のエリア(ユーザー宅A1)からユーザーの現在位置(イベント会場A2)まで移動して滞在することによって節約された電力量又は削減された二酸化炭素等の温室効果ガスの排出量を演算してユーザーによる貢献行動を推測する。
【0048】
ポイント換算部36cは、環境配慮行動推測部36bによって推測された環境配慮行動を、行動種別に応じて分類し、分類に応じた種別のポイントに換算するモジュールであり、本実施形態では、環境配慮行動情報データベース35dに蓄積された電力需給状況から電力削減量又は削減された二酸化炭素等による温室効果ガスの排出量について、その価値を評価し、環境配慮行動推測部36bによって算定された電力量又は二酸化炭素等の温室効果ガスの削減量と、その節約され又は削減された時刻の電力需給に応じて分類し、分類に応じた種別のポイントに換算する。
【0049】
ユーザー間連携部36dは、ユーザー同士の連絡を可能とするモジュールであり、このユーザー間連携部36dを通じて、ユーザー間で、「Another World」内におけるユーザーの環境配慮行動が、他のユーザーにフィード(報知)されるようになっており、例えば、他のユーザーの画面に表示されたフィードに対して「イイね」に対してクリック等の選択操作がされると、その操作が、ユーザーの画面に表示された、その評価フラグである「イイね」がカウントされる仕様となっている。これにより、ユーザー間連携部36dを通じて、他のユーザーから環境配慮行動を評価されることにより、そのユーザーのモチベーションの維持が可能となっている。
【0050】
加えて、このユーザー間連携部36dを通じて、他のユーザーのエリアに対する浄化など、他のユーザーのゲーム進行を補助する機能も備え、その補助する操作がそのユーザー自身の評価にも影響するようになっている。これにより他のユーザーのマップに対する浄化を補助することにより、そのユーザー自身のマップ上の浄化にもつながり、連帯感を高めることができる。
【0051】
ゲームデータ配信部34は、ユーザーの現在位置に基づいて、仮想地図情報生成部37が生成した表示地図情報やイベント発生条件、イベント内容等を含むゲームデータを、通信インターフェース31を通じて,各ユーザーに配信するモジュールである。
【0052】
(2)スマートフォン1
次いで、スマートフォン1の内部構成について説明する。スマートフォン1の内部構成について説明する。図4に示すように、スマートフォン1は、通信インターフェース11と、入力インターフェース12と、出力インターフェース13と、アプリケーション実行部14と、メモリ15とを備えている。
【0053】
通信インターフェース11は、データ通信を行うための通信インターフェースであり、無線等による非接触通信や、ケーブル、アダプタ手段等により接触(有線)通信をする機能を備えている。また、この通信インターフェース11には、Wi-FiやBluetooth等の近距離通信も含まれる。
【0054】
入力インターフェース12は、マウス、キーボード、操作ボタンやタッチパネル12aなどユーザー操作を入力するデバイスの他、スマートフォン1に内蔵された撮像手段であるカメラ12bも含まれる。また、出力インターフェース13は、ディスプレイやスピーカーなど、映像や音響を出力するデバイスである。特に、この出力インターフェース13には、液晶ディスプレイなどのディスプレイ13aが含まれ、この表示部は、入力インターフェースであるタッチパネル12aに重畳されている。
【0055】
メモリ15は、OS(Operating System)やファームウェア、各種のアプリケーション用のプログラム、その他のデータ等などを記憶する記憶装置であり、このメモリ15内には、ユーザーを識別するユーザーIDの他、ゲームサーバー3からダウンロードしたゲームアプリケーションデータを蓄積するとともに、アプリケーション実行部14で処理されたゲーム処理のゲームデータ等が蓄積される。特に、本実施形態では、メモリ15には、ゲームサーバー3から取得した、イベント発生条件等のゲームデータや表示地図情報Mが格納されている。
【0056】
アプリケーション実行部14は、一般のOSやゲームアプリケーション、ブラウザソフトなどのアプリケーションを実行するモジュールであり、通常はCPU等により実現される。このアプリケーション実行部14では、本発明に係るゲームプログラムが実行されることで、ゲーム進行処理部141、同期処理部142、AR処理部143、表示データ生成部146、出力制御部145,位置情報取得部144が仮想的に構築される。
【0057】
ゲーム進行処理部141は、ゲームサーバー3で実行されているゲームプログラムと同様のルール・ロジック・アルゴリズムにより、仮想世界において、各ユーザーに対応する各キャラクター、及びモンスターやその他のオブジェクトを移動させて、種々のイベント処理を発生させてゲームを進行させるモジュールである。
【0058】
また、ゲーム進行処理部141は、同期処理部142を通じて、ゲームサーバー3側のゲーム進行処理部36と同期しつつ、キャラクターやオブジェクトの位置関係(接近・接触等)に応じて、ARゲームやミニゲーム、ムービーの再生等のイベント処理を発生させる。本実施形態では、同期処理部142を通じてゲームサーバー3側のゲーム進行処理部141と協働するようになっており、ゲーム進行処理の一部をゲームサーバー3側で行い、グラフィック処理やイベント処理の一部をスマートフォン1側のゲーム進行処理部141で実行するようにしている。例えば、イベント発生の条件などをゲームサーバー3側で発生させ、その条件をスマートフォン1側に送信し、実際のイベント処理の発生やそのためのグラフィック処理は、スマートフォン1側で実行する。
【0059】
詳述すると同期処理部142は、スマートフォン1側でのゲーム進行処理と、ゲームサーバー3側でのゲーム進行処理とを同期させるモジュールである。具体的には、ゲームサーバー3側で、他を含むユーザーのエリアの浄化やキャラクターの育成等のイベント処理の情報が蓄積し更新され、最新のイベント発生条件をスマートフォン1側に送信し、この発生条件を同期処理部142で受信し、実際のイベント処理の発生やそのためのグラフィック処理は、ゲームサーバー3から受信した発生条件に基づいてスマートフォン1側のゲーム進行処理部141で実行する。このスマートフォン1側のゲーム進行処理部141で実行されたイベント処理の結果(バトルやミニゲームの勝敗や得点等)は、同期処理部142を通じてゲームサーバー3側のゲーム進行処理部141に通知され、その後のゲーム進行処理に反映される。
【0060】
上記AR処理部143は、ゲーム進行処理部141によるゲーム進行及び仮想地図座標に従って、例えば図8に示すような、スマートフォン1に備えられたカメラ12bが撮影した現実世界の映像BGに、仮想的なキャラクターC2やその他のオブジェクトを重畳させて表示する拡張現実表示データ(ARデータ)を生成する拡張現実表示データ生成部である。このAR処理部143で生成された拡張現実表示データ(ARデータ)は、表示データ生成部146に入力され、表示データ生成部146で所定のGUI(Graphical User Interface)に組み込まれて、他のUIとともに表示される。なお、このARイベントの内容は、ゲーム進行度合いやユーザーの環境配慮行動の種別や、アイテム(パフォーマー、楽器アイテム、蓄積エネルギー等)のレベルに応じて変化されるようになっている。
【0061】
また、AR処理部143は、ゲーム進行処理部141が発生させたイベント処理と、位置情報取得部144が取得する自機の現在位置とを監視し、現在位置が、イベント会場などのイベント発生のトリガーとなるオブジェクトの所定範囲(緯度経度、住所)の範囲内であり、且つゲーム進行処理部141が発生させたイベント処理が予め定められたAR実行可能イベントである場合に、当該AR実行可能イベントの発生通知処理を実行させる。このAR実行可能イベントの発生通知としては、例えば図2に示すようなアイコンUI4などをポップアップ表示させたり、メールやメッセージを配信したりするなどが挙げられる。
【0062】
表示データ生成部146は、ディスプレイ13aに表示させるための表示データを生成するモジュールであり、図2に示すようなゲーム画面やその周辺のGUI(Graphical User Interface)を生成し表示する。この表示データは、グラフィックデータの他、画像データや、文字データ、動画データ、音声その他のデータを組み合わせて生成されるデータである。上記GUIとしては、例えば、環境貢献ポイントや、エネルギー(ソース)残量、完了したミッション数等の情報を提示するインターフェースUI1,UI2や、ユーザーの選択操作を入力するボタンなどのUI3,UI4などが画面上に表示され、これらのインターフェースを通じてユーザー操作が入力可能となっている。
【0063】
特に、本実施形態に係る表示データ生成部146は、位置情報取得部144が取得したユーザーの現在位置に基づいて、ユーザーの現在位置を示した現実地図情報のグラフィックを生成し、現在位置に基づいて、表示地図情報M上にユーザーの現在位置に対応した仮想的なキャラクターC1等を表した表示データを生成する。この表示データ生成部146で生成された表示データの表示処理は、出力制御部145で制御される。また、表示データ生成部146には、AR処理部143で生成された拡張現実表示データ(ARデータ)が入力され、入力された拡張現実表示データ(ARデータ)を所定のGUIに組み込んで、他のUIとともに表示する機能を有する。
【0064】
出力制御部145は、表示データ生成部が生成した表示データ(グラフィックや動画)の出力制御を実行するモジュールであり、ディスプレイ13aは、この出力制御部145の制御に従って出力インターフェース13を通じて表示データを表示し、音響を出力する。また、本実施形態において出力制御部145は、ゲーム進行処理部141によるゲームの進行に応じて、現実表示データと仮想表示データの表示又はその表示動作を変化させる機能を備えている。
【0065】
本実施形態では、仮想世界に存在する国土や街の二酸化炭素等の温室効果ガスを浄化(軽減)させるゲームであり、現実地図上に仮想的なキャラクターを出現させた現実表示データと、二酸化炭素等の温室効果ガスで汚染された仮想世界を表す仮想表示データを表示させ、二酸化炭素等の温室効果ガスが低減されていく様子を仮想表示データ上で表現するようにしている。
【0066】
出力制御部145は、タッチパネル12aが取得した操作信号によって指定された座標位置又はこの座標位置の移動に応じて、現実表示データと仮想表示データの表示を切り替えるなどして変化させる。例えば、タッチパネル12aでは、指などでタップしたりスワイプしたりすることにより、カメラ視点を移動させたり、拡大・縮小したりすることができる。そして、所定のゼスチャー操作をタッチパネル12aに施すことにより、現実表示データと、仮想表示データとを、これら表示データの両方、選択されたいずれか、又は一方の一部分を他方に重畳させて表示する。
【0067】
(3)電力管理制御サーバー4
電力管理制御サーバー4は、各需要単位のスマートメーターやHEMSと連携することで各需要家における電力消費の管理・制御を行うサーバー装置であり、図5に示すように、通信インターフェース43と、認証部42と、各種データベース41a~dと、電力予測部44と、実績データ管理部46とを備えている。
【0068】
通信インターフェース43は、インターネット2を通じて、他の通信機器とデータの送受信を行うモジュールであり、本実施形態では、本サービスを提供するために発電制御端末、各HEMS及びスマートメーター、及びインターネット上の外部情報源などに接続されている。
【0069】
認証部42は、電力制御サービスに係るアクセス者の正当性を検証するコンピューター或いはその機能を持ったソフトウェアであり、ユーザーを特定するユーザーIDに基づいて認証処理を実行する。本実施形態では、インターネット2を通じてアクセス者の端末装置からユーザーID及びパスワードを取得し、ユーザーデータベース41bを照合することによって、アクセス者に本サービスを利用する権限があるか否かや、そのアクセス者が契約者であるか否かなどを確認する。
【0070】
上記各種データベース41a~dは、コンピューター・システム等の記憶デバイスを有する情報処理端末に電子的に格納された、構造化した情報又はデータの組織的な集合であり、単一のデータベースとしてもよく、複数のデータベースに分割し、相互にリレーションを設定することで各データ同士を紐付けたリレーショナルデータベースとすることができる。具体的に、本実施形態に係る電力管理制御サーバー4は、関連外部情報データベース41aと、ユーザーデータベース41bと、実績管理データベース41cと、予測情報管理データベース41dとを備えている。
【0071】
関連外部情報データベース41aは、収集された外部情報を分類して蓄積する記憶装置であり、各外部情報と、その種別や時間情報、キーワード等の付加情報とを紐付けて蓄積する。ユーザーデータベース41bは、各需要家のユーザーや、シミュレーション管理者、アグリゲーター等の業者に関する情報を蓄積する記憶装置である。実績管理データベース41cは、送配電事業者や小売電気事業者、需要家等の電力の授受に関係する者による実績データを収集し蓄積して管理する記憶装置である。各スマートメーターから受信した各実績データは、この実績管理データベース41cに蓄積され、学習部44bにおける機械学習の用に供される。
【0072】
予測情報管理データベース41dは、収集された実績データや外部情報を分析して、必要な情報を抽出し分類するとともに、それらの情報に関連する予測結果を蓄積する記憶装置であり、各予測結果情報に、その基礎となった実績データや、ネットワーク上に分散された外部情報源からの情報と、その種別や時間情報、テキスト等の付加情報とを紐付けて蓄積する。なお、この予測情報管理データベース41dには、学習部44bが実行する、需給予測結果に基づく機械学習の結果も記録される。
【0073】
上述した実績データ管理部46は、実績データや外部情報を収集し、蓄積・管理するモジュールであり、各需要家から実績データを収集し解析することによって、電力予測部44における予測処理に必要な情報を提供する。この実績データ管理部46による解析結果は、相関抽出部44aが抽出した相関情報とともに、電力予測部44の学習部44bに入力され、機械学習の用に供される。
【0074】
本実施形態に係る実績データ管理部46は、価値評価部46aを備えている。価値評価部46aは、実際の電力需給のバランスを算出して、電力取引における電力単価データを生成する。また、価値評価部46aは、実績データに含まれる各ユーザーが各電力使用期間中に発電又は消費した電力量の測定値や、発電方法、若しくは蓄電量及びその蓄電期間に関する蓄電データを解析し、この解析結果を付加データとして電力単価データに紐付けて実績データとして実績管理データベース41cに記録する。
【0075】
電力予測部44は、実績データ管理部46が収集した実績データを解析して、各時間帯における単位計測期間ごとの予測発電量及び予測消費電力を予測するモジュールであり、本実施形態では、実績データ及び外部情報との相関に基づいて各需要家の発電設備の発電量及び消費電力予測を行う。具体的にこの予測部44は、本実施形態では、相関抽出部44aと、学習部44bと、データ収集部44cとを備えている。
【0076】
データ収集部44cは、例えば気象情報、カレンダー情報、時刻情報など、Webや情報サービス機関等で提供されている外部情報を取得するモジュールである。相関抽出部44aは、例えば非線形回帰分析器であり、複数種の予測値の特徴がパターンとして設定され、実績データを解析し、多数の実績データの中から特定の特徴点を検出するモジュールである。電力予測部44は、発電設備の実際の発電量と、発電量予測とを比較し、発電量予測の誤差を発電設備ごとに算出する機能も有している。
【0077】
なお、本実施形態では、電力予測部44における発電量及び消費電力量、並びにこれらの標準偏差値の予測処理では、学習部44bに問合せ、機械学習により算出されたモデルを参照する。この学習部44bは、人工知能であるディープラーニング認識機能が適正な判定をするように、機械学習を実行する機能を備え、本実施形態では、データ収集部44c及び実績データ管理部46によって収集された各需要家の実績データや、電力需給に関係のある外部情報から教師データを生成し、この教師データに基づいてディープラーニング認識部を学習させている。
【0078】
(環境配慮行動促進ゲームにおける情報処理方法)
以上説明した環境配慮行動促進ゲームシステムを動作させることによって、本発明の環境配慮行動促進ゲームにおける情報処理方法を実施することができる。図6及び図7に環境配慮行動促進ゲームシステムの動作を示す。なお、以下で説明する処理手順は一例に過ぎず、各処理は可能な限り変更されてもよい。また、以下で説明する処理手順について、実施の形態に応じて、適宜、ステップの省略、置換及び追加が可能である。
【0079】
本実施形態における環境配慮行動促進ゲームは、ゲーム進行処理部141によって、現実地図のデジタルツインである表示地図情報M上に、所定のイベント会場や特典提供場所である施設のオブジェクトO1などを表示させ、ユーザーの現在位置がオブジェクトO1に接近すると、それをトリガーとしてオブジェクトO1に対応したイベント処理が実行される。このオブジェクトO1とのイベント処理としては、それらのオブジェクトO1におけるゲーム進行イベント(エネルギー付与、レベルアップ、アイテム取得等)やARイベント発生などが挙げられる。
【0080】
上記ゲーム進行イベントの実行処理について具体的に説明する。図6にゲーム進行イベントの動作を示す。先ず、ゲーム進行に際し、スマートフォン1の位置情報取得部144が周期的に自機の現在位置情報を取得してゲームサーバー3に送信する(S201及びS101)。ゲームサーバー3側では、電力管理制御サーバー4において電力需給情報に基づいて生成された電力需要予測を取得して(S102)、イベント発生条件を設定するとともに、その設定された発生条件をスマートフォン1側に送信する(S103)。
【0081】
詳述すると、ゲームサーバー3側で取得された各ユーザーの現在位置に基づいて、ゲームサーバー3のゲーム進行処理部36が、ユーザーのキャラクターの位置や、イベント会場等のオブジェクトの位置などに基づいて、発生し得るイベント処理が選択され、その発生条件をゲームサーバー3側で発生させ、その条件をスマートフォン1側に送信する。
【0082】
スマートフォン1側では、この発生条件を同期処理部142で受信し、その発生条件が満たされるタイミングを監視する(S202)。具体的には、スマートフォン1側において、ゲーム進行処理部141から受信したイベント処理の発生条件と、位置情報取得部144が取得する自機の現在位置とを監視し、ゲーム進行上、現時点でイベントの発生条件を満たすか否かを逐次判断する(S203)。
【0083】
発生条件を満たす場合に(S203の「Y])、そのイベントが予め定められた位置情報を照合する必要があるイベントであり(S204の「Y」)、且つユーザーの現在位置がイベント会場のエリア内に到着していると判断した場合(S205の「Y」)に、当該イベント会場に関するイベント発生予告を実行する(S206)。なお、発生条件を満たしたイベント処理が位置情報を照合する必要のないタイプであるときには(S204の「N」)、直ちにそのイベント処理を実行すべくイベント発生予告を行う(S206)。
【0084】
このステップS206において、イベント発生予告としてはユーザーがイベント会場内に進入した旨をポップアップ等で報知したり、ゲーム画面を切り替えたり音響を出力したりなどが挙げられ、このようなイベント発生予告を出力し、当該イベント処理を実行させるためのトリガー操作の検出を待つ。このトリガー操作としては、ゲーム画面のGUIに対するユーザー操作等が挙げられる。
【0085】
そして、このユーザーによるトリガー操作を受けて、ユーザーの行動についての報告は、スマートフォン1側の同期処理部142を通じてゲームサーバー3側のゲーム進行処理部141に通知される(S207)。
【0086】
このスマートフォン1側からされたユーザー行動についての報告を受けて、ゲームサーバー3側では、環境配慮行動及びポイント換算が実行される(S104)。詳述すると、環境配慮行動推測部36bが、スマートフォン1側の位置情報取得部144から位置情報管理部32が取得したユーザーの現在位置に基づいて、ユーザーによる貢献行動を推測する。このとき、環境配慮行動推測部36bは、表示地図情報M内に出現する仮想的なキャラクター若しくはオブジェクトに対するユーザー操作、及びユーザーの現在位置に基づいて、ユーザーによる貢献行動を推測する。ここでは、ユーザー宅A1からイベント会場A2へ移動するなど、所定のエリア(ユーザー宅A1)からユーザーの現在位置(イベント会場A2)まで移動することによって節約された電力量又は削減された二酸化炭素量を推計してユーザーによる貢献行動を推測する。
【0087】
次いで、ポイント換算部36cが、環境配慮行動推測部36bによって推測された貢献行動を、行動種別に応じて分類し、分類に応じた種別のポイントに換算する。本実施形態では、環境配慮行動情報データベース35dに蓄積された電力需給状況から節約された電力量又は削減された二酸化炭素量の価値を評価し、環境配慮行動推測部36bによって算定された電力量又は二酸化炭素量と、その節約され又は削減された時刻の電力需給に応じて分類し、分類に応じた種別のポイントに換算する。そして、ゲーム進行処理部141が、ステップS104で算定されたポイントの種別及び数量に応じて、種々のイベント処理を発生させてゲームを進行させる(S208)。
【0088】
このステップS208におけるゲーム進行の内容を図7に示す。同図に示すように、イベント会場や特典提供場所を探索し(S301)、所定のスポットにアクセスすることによりエネルギーを蓄えるイベント処理が実行される(S302)。また、エネルギーが一定量以上溜まると、パフォーマーと呼ばれるキャラクターが、楽器アイテムを演奏することにより(S303)、そのポイントに設定されている鉱石アイテムなどを獲得する演出処理が実行され(S304)、周辺の二酸化炭素等の温室効果が消失され浄化処理が行われる。
【0089】
また、このようにパフォーマーに対して操作することにより、ユーザーとパフォーマーとの親密度がアップされ、特典アイテムなどが付与され、楽器アイテムが成長(レベルアップ)される(S306)。これらの以上の処理S301~S06は、イベントが終了されるまで繰り返され(S307の「N」)、イベント完了の操作がなされたときに(S307の「Y」)、イベント処理が終了され、前述したステップS209に移行する。
【0090】
以上の処理は、ゲームが終了されるまで繰り返され(S209の「N」)、ゲーム処理の操作がなされたときに(S209の「Y」)、ゲームが終了される。なお、スマートフォン1側でアプリケーションを終了しても、ゲームサーバー3側でゲームを継続することも可能であり、自動的にイベント処理を保留して、スマートフォン1側でアプリケーションを再開したときに、保留していたイベントを再開するようにしてもよい。
【0091】
(環境配慮行動プログラム)
なお、上述した実施形態に係る環境配慮行動システムや情報処理方法は、所定の言語で記述された本発明の環境配慮行動ゲームプログラムをコンピューター上で実行することにより実現することができる。すなわち、本発明のプログラムを、携帯端末装置やスマートフォン、ウェアラブル端末、モバイルPCその他の情報処理端末、パーソナルコンピューターやサーバーコンピューター等の汎用コンピューターのICチップ、メモリ装置にインストールし、CPU上で実行することにより、上述した各機能を有するシステムを構築して、本実施形態に係る方法を実施することができる。
【0092】
また、本発明の環境配慮行動ゲームプログラムは、例えば、通信回線を通じて配布することが可能であり、またコンピューターで読み取り可能な記録媒体に記録することにより、スタンドアローンの計算機上で動作するパッケージアプリケーションとして譲渡することができる。
【0093】
具体的にこの記録媒体としては、フレキシブルディスクやカセットテープ等の磁気記録媒体、若しくはCD-ROMやDVD-ROM等の光ディスクの他、RAMカードなど、種々の記録媒体に記録することができる。そして、このプログラムを記録したコンピューター読み取り可能な記録媒体によれば、汎用のコンピューターや専用コンピューターを用いて、上述したシステム及び方法を簡便に実施することが可能となるとともに、プログラムの保存、運搬及びインストールを容易に行うことができる。
【0094】
(作用・効果)
以上説明した本実施形態によれば、例えば、ユーザー宅A1からイベント会場A2に移動するなどの、ユーザーによる貢献行動に応じて、種々のイベント処理を発生させて環境貢献ゲームが進行される。このイベント処理としては、キャラクターC1である「パフォーマー」が電子音響楽器アイテムを演奏してバーチャル空間内の灰色となった区域を浄化する「浄化ミッション」があり、この浄化されたエリアでは本来の色を取り戻すことできるため、外出してイベント会場に移動及び滞在することによる節電効果が、「エリアの浄化」という形で視覚化されることとなる。
【0095】
また、このような浄化ミッション等を達成することにより、環境貢献ポイントが獲得でき、エネルギー供給スポット(誘導拠点)から得られるエネルギーは、電子音響楽器アイテムのエネルギー源となり、エネルギーを蓄積することでさらに浄化ミッションを遂行できる。また、キャラクターC1である「パフォーマー」はプレイヤーと共に活動を続けることにより、シンパシーが高まり、想いを込めた演奏もできるように成長していく。「パフォーマー」が成長することにより浄化ミッションによる効果の強度や範囲が増大され、ゲームがより有利に展開されるようになっている。
【0096】
このため、本実施形態に係る環境貢献ゲームを通じて、ユーザー自身の貢献行動を可視化することができ、娯楽性を高めつつ環境貢献に対する興味を喚起させることができる。また、パフォーマーの成長や、電子楽器アイテムの成長、エネルギーの蓄積、ストーリーの進展など、ゲーム上の報酬や対価が得られる。また、外出先のイベント会場A2では、そのポイントの緯度経度(或いは住所)に紐付けられた演出がARゲームに出現して撮影可能となることから、節電行動を取らせるための外発的動機付けとなり得る。
【0097】
また、環境貢献ゲーム中においてイベント会場A2や、ポイント等の特典配布場所となる店舗等の施設側にあっては、ポイントやクーポン、ゲームアイテム、ARゲームによるキャラクター撮影などの特典を、消費者に提供することで、電力の需給安定化や火力の焚き増し防止による環境貢献の宣伝、猛暑期や厳寒期の来店率と顧客ロイヤリティーの向上などのメリットも得られる。
【0098】
なお、本発明は、上記した各実施の形態そのままに限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化できる。また、上記実施の形態に開示されている複数の構成要素の適宜な組み合せにより、種々の発明を形成できる。例えば、実施の形態に示される全構成要素から幾つかの構成要素を削除してもよい。
【符号の説明】
【0099】
A1…ユーザー宅
A2…イベント会場
BG…背景映像
C1,C2…キャラクター
M…表示地図情報
O1…オブジェクト(建物)
U1…ユーザー
1…スマートフォン
2…インターネット
3…ゲームサーバー
4…電力管理制御サーバー
11…通信インターフェース
12…入力インターフェース
12a…タッチパネル
12b…カメラ
13…出力インターフェース
13a…ディスプレイ
14…アプリケーション実行部
15…メモリ
21…衛星
22…無線基地局
31…通信インターフェース
32…位置情報管理部
33…認証部
34…ゲームデータ配信部
35a…現実地図データベース
35b…ユーザーデータベース
35c…ゲーム用データベース
35d…環境貢献情報データベース
36…ゲーム進行処理部
36a…仮想地図情報生成部
36b…環境配慮行動推測部
36c…ポイント換算部
36d…ユーザー間連携部
37…仮想地図情報生成部
41a…関連外部情報データベース
41b…ユーザーデータベース
41c…実績管理データベース
41d…予測情報管理データベース
42…認証部
43…通信インターフェース
44…電力予測部
44a…相関抽出部
44b…学習部
44c…データ収集部
46…実績データ管理部
46a…価値評価部
141…ゲーム進行処理部
142…同期処理部
143…AR処理部
144…位置情報取得部
145…出力制御部
146…表示データ生成部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8