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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024146237
(43)【公開日】2024-10-15
(54)【発明の名称】冷凍サイクルシステム
(51)【国際特許分類】
   F24F 11/36 20180101AFI20241004BHJP
   F25B 49/02 20060101ALI20241004BHJP
   F24F 11/38 20180101ALI20241004BHJP
   F24F 11/49 20180101ALI20241004BHJP
   F24F 11/64 20180101ALI20241004BHJP
   F24F 11/48 20180101ALI20241004BHJP
【FI】
F24F11/36
F25B49/02 520E
F24F11/38
F24F11/49
F24F11/64
F24F11/48
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023059018
(22)【出願日】2023-03-31
(71)【出願人】
【識別番号】314012076
【氏名又は名称】パナソニックIPマネジメント株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001081
【氏名又は名称】弁理士法人クシブチ国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】渡部 岳志
(72)【発明者】
【氏名】持田 尚之
【テーマコード(参考)】
3L260
【Fターム(参考)】
3L260AB03
3L260BA52
3L260DA11
3L260EA06
3L260EA07
3L260FA13
3L260FA14
3L260FB01
3L260FC33
3L260GA17
3L260HA06
3L260JA18
(57)【要約】
【課題】本開示は、空調運転が行われていても、冷媒漏洩診断をすることができない状態を回避することのできる冷凍サイクルシステムを提供する。
【解決手段】本開示による冷凍サイクルシステムは、冷凍サイクル装置から前記運転データを取得できない状態が第1期間継続した場合、前記第1期間の経過後に前記冷凍サイクル装置を運転させ、当該冷凍サイクル装置の運転データに基づいて前記冷凍サイクル装置の冷媒漏洩を診断する第1強制運転モードと、前記冷凍サイクル装置から前記運転データを取得しているが、冷媒漏洩の有無を判定できない状態が、第2期間継続した場合、前記第2期間の経過後に前記冷凍サイクル装置を運転させ、当該冷凍サイクル装置の運転データに基づき前記冷凍サイクル装置の冷媒漏洩を診断する第2強制運転モードと、を備えている。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
冷凍サイクル装置の運転データに基づいて、前記冷凍サイクル装置の冷媒漏洩の有無を診断する冷凍サイクルシステムであって、
前記冷凍サイクル装置から前記運転データを取得できない状態が第1期間継続した場合、前記第1期間の経過後に前記冷凍サイクル装置を運転させ、当該冷凍サイクル装置の運転データに基づいて前記冷凍サイクル装置の冷媒漏洩を診断する第1強制運転モードと、
前記冷凍サイクル装置から前記運転データを取得しているが、冷媒漏洩の有無を判定できない状態が、第2期間継続した場合、前記第2期間の経過後に前記冷凍サイクル装置を運転させ、当該冷凍サイクル装置の運転データに基づき前記冷凍サイクル装置の冷媒漏洩を診断する第2強制運転モードと、を備えている、
冷凍サイクルシステム。
【請求項2】
前記第1期間は、所定の規則により定められた期間よりも短い期間であり、
前記第2期間は、前記第1期間よりも長い、
請求項1に記載の冷凍サイクルシステム。
【請求項3】
端末装置をさらに備え、
前記端末装置の操作により、前記第1期間は変更できないが、前記第2期間は変更可能である、
請求項2に記載の冷凍サイクルシステム。
【請求項4】
端末装置をさらに有し、
前記端末装置の操作により、前記第1強制運転モードまたは前記第2強制運転モードの運転開始時刻を設定可能である、
請求項1に記載の冷凍サイクルシステム。
【請求項5】
予め設定された時刻に前記冷凍サイクル装置の運転を実行するタイマ運転モードを更に備え、
前記タイマ運転モードによる前記冷凍サイクル装置のOFF時刻と、前記第1強制運転モードまたは前記第2強制運転モードの運転時刻とが重なる場合、その旨を通知する、
請求項1に記載の冷凍サイクルシステム。
【請求項6】
予め設定された時刻に冷凍サイクル装置の運転を実行するタイマ運転モードを更に備え、
前記タイマ運転モードによる前記冷凍サイクル装置のON時刻と、前記第1強制運転モードまたは前記第2強制運転モードの運転時刻と、が重なる場合、その旨を通知する、
請求項1に記載の冷凍サイクルシステム。
【請求項7】
前記冷凍サイクル装置の冷媒漏洩の有無を診断できない状態が、前記第2期間よりも長い第3期間継続した場合、その旨を端末装置に通知する、
請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の冷凍サイクルシステム。
【請求項8】
前記第1強制運転モードまたは前記第2強制運転モードを用いた冷媒漏洩診断を正常に行うことができなかった場合、その旨を通知する、
請求項1に記載の冷凍サイクルシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、冷凍サイクルシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、特許文献1は、冷媒回路と、第1検知部と、制御部と、を備え、第1検知部は、冷媒回路の冷媒の温度又は圧力を検知し、制御部は、圧縮機の運転停止中に、圧縮機を起動させ、第1検知部の検知値に基づき、冷媒回路からの冷媒漏洩の有無を判定する判定モードを実行する冷凍サイクル装置を開示する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2022-179199号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本開示は、空調運転が行われていても、冷媒漏洩診断をすることができない状態を回避することのできる冷凍サイクルシステムを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示による冷凍サイクルシステムは、冷凍サイクル装置の運転データに基づいて、前記冷凍サイクル装置の冷媒漏洩の有無を診断する冷凍サイクルシステムであって、前記冷凍サイクル装置から前記運転データを取得できない状態が第1期間継続した場合、前記第1期間の経過後に前記冷凍サイクル装置を運転させ、当該冷凍サイクル装置の運転データに基づいて前記冷凍サイクル装置の冷媒漏洩を診断する第1強制運転モードと、前記冷凍サイクル装置から前記運転データを取得しているが、冷媒漏洩の有無を判定できない状態が、第2期間継続した場合、前記第2期間の経過後に前記冷凍サイクル装置を運転させ、当該冷凍サイクル装置の運転データに基づき前記冷凍サイクル装置の冷媒漏洩を診断する第2強制運転モードと、を備えている。
【発明の効果】
【0006】
本開示によれば、圧縮機が運転した場合においても、冷媒量を推論できなかった場合に、冷媒漏洩診断を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】実施の形態1における冷凍サイクルシステムが適用される空気調和装置を示す冷凍サイクル図
図2】実施の形態1における制御構成を示すブロック図
【発明を実施するための形態】
【0008】
(本開示の基礎となった知見等)
発明者らが本開示に想到するに至った当時、熱源ユニットが所定時間運転しない場合、圧縮機を運転させ、当該運転データを用いて、空気調和装置の冷媒量を推論し、冷媒漏洩の有無を診断する技術があった。
【0009】
しかしながら、従来の技術では、所定時間、空調運転されない場合を想定しているが、仮に空調が運転されていたとしても、運転データが不十分であったり、低負荷状態であれば、冷媒漏洩診断が困難となる場合があるという課題を発明者らは発見し、その課題を解決するために、本開示の主題を構成するに至った。
本開示は、空調運転が行われていても、冷媒漏洩診断をすることができない状態を回避することのできる冷凍サイクルシステムを提供する。
【0010】
以下、図面を参照しながら、実施の形態を詳細に説明する。但し、必要以上に詳細な説明は省略する場合がある。例えば、既によく知られた事項の詳細説明、または、実質的に同一の構成に対する重複説明を省略する場合がある。これは、以下の説明が必要以上に冗長になるのを避け、当業者の理解を容易にするためである。
なお、添付図面および以下の説明は、当業者が本開示を十分に理解するために提供されるのであって、これらにより特許請求の範囲に記載の主題を限定することを意図していない。
【0011】
(実施の形態1)
以下、図1および図2を用いて、実施の形態1を説明する。
[1-1.構成]
まず、冷凍サイクルシステムの構成について説明する。
図1は、本開示の冷凍サイクルシステムが適用される冷凍サイクル装置を示す冷凍サイクル図である。なお、本実施の形態においては、冷凍サイクル装置として空気調和装置を用いた場合について説明する。
図1に示すように、空気調和装置1は、室外機10と、室内機20とを備えている。室外機10には、圧縮機11、冷媒流路を切り替える四方弁12、室外熱交換器13、室外ファン14、室外絞り装置15が収容されている。
【0012】
室内機20には、室内熱交換器21、室内絞り装置22、室内ファン23がそれぞれ収容されている。
室外機10の圧縮機11、四方弁12、室外熱交換器13、室外絞り装置15、室内機20の室内熱交換器21および室内絞り装置22は、冷媒配管24を介して順次接続され、冷凍サイクルを構成している。
【0013】
室内機には、空気調和装置1のON・OFF、冷房運転や暖房運転の切り換え、被空調空間の室内温度の設定などの操作を行うリモコン25が接続されている。
リモコン25は、各種操作を行う操作部26と、運転状況などを表示する表示部27とを備えている。
【0014】
室内機20には、被空調空間の室内温度を検出する室温センサ30が設けられている。
室外機10には、外気温を検出する外気温センサ31が設けられている。
【0015】
[1-2.制御構成]
次に、本実施の形態の制御構成について説明する。
図2は、本実施の形態の制御構成を示すブロック図である。
図2に示すように、空気調和装置1は、制御装置40を備えている。御装置40は、制御部41と、記憶部42と、通信部43とを備えている。
制御部41は、例えば、CPUやMPUなどのプログラムを実行するプロセッサおよびROM、RAMなどのメモリを備え、プロセッサが、メモリに記憶された制御プログラムを読み出して処理を実行するように、ハードウェア及びソフトウェアの協働により各種処理を実行する。
【0016】
記憶部42は、圧縮機11、室外絞り装置15、室外ファン14、室内絞り装置22、室内ファン23などの動作状態を記憶する。
制御装置40には、室温センサ30、外気温センサ31による検出信号が入力される。
【0017】
制御部41は、制御プログラムに基づいて、各種センサの検出信号を入力し、圧縮機11、室外絞り装置15、室外ファン14、室内絞り装置22、室内ファン23などを駆動制御する。
【0018】
制御装置40の通信部43は、端末装置50と無線または優先により通信可能に構成されている。端末装置50は、例えば、空気調和装置1の管理者が所有する端末装置50であり、タブレット端末やスマートフォンあるいは専用の端末装置50などで構成される。
端末装置50は、各種操作を行う端末操作部51と、運転状況などを表示する端末表示部52と、制御装置40の通信部43と通信する端末通信部53と、を備えている。
端末装置50は、端末操作部51により後述する強制運転モードに対する所定の操作を行うことができ、端末表示部52に強制運転モードの結果などを表示することができる。
【0019】
[1-2.動作]
次に、本実施の形態の動作について説明する。
冷媒漏洩に関するガイドラインでは、1日に1回冷媒漏洩の診断を行うことが要求されている。冷媒漏洩の診断は、空気調和装置1の運転中に、空気調和装置1の吐出過熱度、吸入過熱度、高圧飽和温度、低圧飽和温度などの運転状況に基づいて冷媒量を推定することで行う。例えば、推論された冷媒量が、所定値(例えば、70%)を上回る場合は「正常」と診断し、所定値未満の場合は「冷媒漏洩(異常)」と診断する。
【0020】
本実施の形態においては、制御部41は、空気調和装置1から運転データを取得できない状態が第1期間継続した場合、第1期間の経過後に空気調和装置1を運転させ、当該空気調和装置1の運転データに基づいて冷凍サイクル装置の冷媒漏洩を診断する第1強制運転モードを行う。
強制運転を行う場合、空気調和装置1の1日の運転サイクルは以下の通りである。
午前5時から翌日午前2時:通常の運転データの蓄積。
午前2時から午前3時:通常の運転データを用いた冷媒漏洩診断。
午前3時から午前4時:強制運転。
午前4時から午前5時:強制運転による冷媒漏洩診断。
午前5時:診断結果準備。
【0021】
ここで、運転データを取得できない状態とは、空気調和装置1の運転がOFFとされている状態である。
また、前述のように1日に1回冷媒漏洩診断を行う必要があるため、第1期間は、1日未満の所定時間であり、例えば、21時間とされる。
第1強制運転モードは、例えば、外気温に応じて、強制運転を冷房運転で行うか、暖房運転で行うかを設定する。
具体的には、外気温度が10℃以上の場合には、冷房運転で第1強制運転モードを行い、外気温度が10℃未満の場合には、暖房運転で第1強制運転モードを行う。
なお、この例では、外気温度に基づいて、強制運転を冷房運転で行うか、暖房運転で行うかを決定しているが、この外気温の基準となる温度(10℃)は任意に設定することができる。
【0022】
また、第1強制運転モードで強制運転を行う場合、試運転モードにより運転を行うようにしてもよいし、冷媒漏洩診断に適した空調運転を使用してもいよい。
試運転モードは、設定温度と被空調空間内の室温との差温に関わらず最大の差があるとみなして運転するモードである。これにより、冷媒漏洩診断の精度を向上させることができる。
また、第1強制運転モードによる運転が終了すると、強制運転を開始する前の空調動作モードに戻る。すなわち、例えば、所定の設定温度で暖房運転を行っている場合に、強制運転モードに移行した場合には、強制運転モードによる運転終了後、暖房運転モードに戻る。
【0023】
また、本実施の形態においては、制御部41は、空気調和装置1から運転データを取得しているが、冷媒漏洩の有無を判定できない状態が、第2期間継続した場合、第2期間の経過後に空気調和装置1を運転させ、当該空気調和装置1の運転データに基づき空気調和装置1の冷媒漏洩を診断する第2強制運転モードを行う。
ここで、冷媒漏洩の有無を判定できない状態とは、冷媒漏洩診断するデータが不十分な場合である。例えば、圧縮機11の駆動周波数等の安定区間が必要十分に存在しない場合であり、より具体的には、空調運転時間が短い状態、低負荷状態、空調運転が不安状態の場合などが考えられる。
また、第2期間は、第1期間より長い期間であり、例えば、1週間である。
【0024】
第1期間は、ガイドラインに基づいて1日より少ない期間とされるが、第2期間は、管理者が端末装置50を操作することで、任意に変更することができる。
第2強制運転モードは、基本的に第1強制運転モードと同様である。
【0025】
本実施の形態においては、端末装置50の操作により、第1強制運転モードまたは第2強制運転モードの運転開始時刻を設定することが可能である。
前述のように、強制運転を行う場合、空気調和装置1の1日の運転サイクルはあらかじめ設定されるが、端末装置50により第1強制運転モードまたは第2強制運転モードの開始時刻を設定することで、管理者の要望に合わせて強制運転を行うことができる。
【0026】
また、本実施の形態においては、制御部41によりタイマ運転モードを行うことができる。タイマ運転モードは、予め設定された時刻に空気調和装置1の運転を実行するモードである。
制御部41は、タイマ運転モードによる空気調和装置1のOFF時刻と、第1強制運転モードまたは第2強制運転モードの運転時刻とが重なる場合は、その旨を通知する。この通知は、例えば、リモコン25の表示部27に表示することにより行うようにしてもよいし、端末装置50に送信することで、端末装置50の端末表示部52に通知するようにしてもよい。
空気調和装置1のOFF時刻に強制運転が実行されると、管理者の意図と反する運転となるので、その旨を通知することで、管理者の意図と反する空調運転がなされることを抑制できる。
【0027】
また、制御部41は、タイマ運転モードによる空気調和装置1のON時刻と、第1強制運転モードまたは第2強制運転モードの運転時刻とが重なる場合、その旨を通知する。この通知も、例えば、リモコン25の表示部27に表示することにより行うようにしてもよいし、端末装置50に送信することで、端末装置50の端末表示部52に通知するようにしてもよい。
【0028】
タイマ運転モードにより、空気調和装置1のON時刻と、第1強制運転モードまたは第2強制運転モードの運転時刻とが重なる場合、空気調和装置1の運転が優先され、強制運転が行われなくなる。そのため、冷媒漏洩診断が行われないことで安全性が損なわれるため、その旨を通知することで、強制運転時刻やタイマ運転モードを変更することを、管理者に促すことができ、利用者の快適性や安全性が損なわることを抑制できる。
なお、この場合に、強制運転を行わない代わりに、空気調和装置1の通常の運転によるデータに基づいて冷媒漏洩診断を行うようにしてもよい。
【0029】
また、本実施の形態においては、制御部41は、空気調和装置1の冷媒漏洩診断をすることができない状態が、第2期間よりも長い第3期間継続した場合、その旨を端末装置50に通知する。
強制運転の停止や、強制運転によっても冷媒漏洩診断に必要なデータを取得することができなかった場合などにより、冷媒漏洩診断を行えない期間が、長期間継続すると、管理者に冷媒漏洩診断ができなかった旨を端末装置50に通知する。これにより安全性を確保することができる。
ここで、第3の期間は、例えば、1ヶ月である。
【0030】
また、制御部41は、第1強制運転モードまたは第2強制運転モードを用いた冷媒漏洩診断を正常に行うことができなかった場合、その旨を通知する。
この通知は、例えば、リモコン25の表示部27に表示することにより行うようにしてもよいし、端末装置50に送信することで、端末装置50の端末表示部52に通知するようにしてもよい。
冷媒漏洩診断が正常に行えなかった旨を通知することで、その後の対策に活かすことができる。
【0031】
冷媒漏洩診断の結果は、リモコン25の表示部27または端末装置50の端末表示部52に表示される。
冷媒漏洩診断の結果が冷媒が漏洩していると判定された場合には、例えば、「冷媒漏洩警報中」と表示する。
冷媒漏洩診断の結果が冷媒が漏洩していないと判定された場合には、例えば、「正常」と表示する。
冷媒漏洩診断の結果が冷媒漏洩の診断を行うことができなかった場合には、例えば、「冷媒漏洩診断不可」と表示する。
そして、冷媒漏洩診断不可となった場合には、第2期間が経過する前に、端末装置50により管理者に強制運転を促す通知を行う。
【0032】
[1-3.効果等]
以上説明したように、本実施の形態の冷凍サイクルシステムは、空気調和装置1(冷凍サイクル装置)から運転データを取得できない状態が第1期間継続した場合、第1期間の経過後に空気調和装置1を運転させ、当該空気調和装置1の運転データに基づいて空気調和装置1の冷媒漏洩を診断する第1強制運転モードと、空気調和装置1から運転データを取得しているが、冷媒漏洩の有無を判定できない状態が、第2期間継続した場合、第2期間の経過後に空気調和装置1を運転させ、当該空気調和装置1の運転データに基づき空気調和装置1の冷媒漏洩を診断する第2強制運転モードと、を備えている。
これにより、圧縮機が運転した場合においても、冷媒量を推論できなかった場合に、冷媒漏洩診断を行うことができる。
【0033】
また、本実施の形態によれば、第1期間は、所定の規則により定められた期間よりも短い期間であり、第2期間は、第1期間よりも長い。
これにより、第1期間は、ガイドラインに基づいて1日より少ない期間とされるが、第2期間を第1期間より長い期間とすることで、長い期間、冷媒漏洩診断に必要なデータを取得することができない場合にも、第2強制運転モードにより冷媒漏洩診断に必要なデータを取得することができる。
【0034】
また、本実施の形態によれば、端末装置50をさらに備え、端末装置50の操作により、第1期間は変更できないが、第2期間は変更可能である。
これにより、管理者の要望に合わせて第2期間を設定することができる。
【0035】
また、本実施の形態によれば、端末装置50をさらに有し、端末装置50の操作により、第1強制運転モードまたは第2強制運転モードの運転開始時刻を設定可能である。
これにより、端末装置50により、第1強制モードと第2強制運転モードの開始時刻を設定することができ、管理者の要望に応じた適切なタイミングで強制運転を行うことができる。
【0036】
また、本実施の形態によれば、予め設定された時刻に空気調和装置1(冷凍サイクル装置)の運転を実行するタイマ運転モードを更に備え、タイマ運転モードによる空気調和装置1のOFF時刻と、第1強制運転モードまたは第2強制運転モードの運転時刻とが重なる場合、その旨を通知する。
これにより、タイマ運転モードのOFF時刻に強制運転が実行されると、管理者の意図と反する運転となるので、その旨を通知することで、管理者の意図と反する空調運転がなされることを抑制できる。
【0037】
また、本実施の形態によれば、予め設定された時刻に空気調和装置1(冷凍サイクル装置)の運転を実行するタイマ運転モードを更に備え、タイマ運転モードによる空気調和装置1のON時刻と、第1強制運転モードまたは第2強制運転モードの運転時刻と、が重なる場合、その旨を通知する。
これにより、冷媒漏洩診断が行われないことで安全性が損なわれるため、その旨を通知することで、強制運転時刻やタイマ運転モードを変更することを、管理者に促すことができ、利用者の快適性や安全性が損なわることを抑制できる。
【0038】
また、本実施の形態によれば、空気調和装置1(冷凍サイクル装置)の冷媒漏洩の有無を診断できない状態が、第2期間よりも長い第3期間継続した場合、その旨を端末装置50に通知する。
これにより、強制運転の停止などにより、冷媒漏洩診断を行えない期間が第3期間継続すると、管理者に冷媒漏洩診断を通知することで、安全性を確保することができる。
【0039】
また、本実施の形態によれば、第1強制運転モードまたは第2強制運転モードを用いた冷媒漏洩診断を正常に行うことができなかった場合、その旨を通知する。
これにより、冷媒漏洩診断が正常に行えなかった旨を通知することで、その後の対策に活かすことができる。
【0040】
(他の実施の形態)
以上のように、本出願において開示する技術の例示として、実施の形態1を説明した。しかしながら、本開示における技術は、これに限定されず、変更、置き換え、付加、省略などを行った実施の形態にも適用できる。また、上記実施の形態1で説明した各要素を組み合わせて、新たな実施の形態とすることも可能である。
実施の形態1では、冷凍サイクル装置として空気調和装置1用いた場合について説明したが、本開示はこれに限定されない。例えば、冷凍サイクル装置として、冷蔵・冷凍を行うショーケースなどの冷設機器を適用することもできる。
【0041】
(付記)
以上の実施の形態の記載により、下記の技術が開示される。
(技術1)冷凍サイクル装置の運転データに基づいて、前記冷凍サイクル装置の冷媒漏洩の有無を診断する冷凍サイクルシステムであって、前記冷凍サイクル装置から前記運転データを取得できない状態が第1期間継続した場合、前記第1期間の経過後に前記冷凍サイクル装置を運転させ、当該冷凍サイクル装置の運転データに基づいて前記冷凍サイクル装置の冷媒漏洩を診断する第1強制運転モードと、前記冷凍サイクル装置から前記運転データを取得しているが、冷媒漏洩の有無を判定できない状態が、第2期間継続した場合、前記第2期間の経過後に前記冷凍サイクル装置を運転させ、当該冷凍サイクル装置の運転データに基づき前記冷凍サイクル装置の冷媒漏洩を診断する第2強制運転モードと、を備えている冷凍サイクルシステム。
この構成により、圧縮機が運転した場合においても、冷媒量を推論できなかった場合に、冷媒漏洩診断を行うことができる。
【0042】
(技術2)前記第1期間は、所定の規則により定められた期間よりも短い期間であり、前記第2期間は、前記第1期間よりも長い技術1に記載の冷凍サイクルシステム。
この構成により、第1期間は、ガイドラインに基づいて1日より少ない期間とされるが、第2期間を第1期間より長い期間とすることで、長い期間、冷媒漏洩診断に必要なデータを取得することができない場合にも、第2強制運転モードにより冷媒漏洩診断に必要なデータを取得することができる。
【0043】
(技術3)端末装置をさらに備え、前記端末装置の操作により、前記第1期間は変更できないが、前記第2期間は変更可能である技術2または技術3に記載の冷凍サイクルシステム。
この構成により、管理者の要望に合わせて第2期間を設定することができる。
【0044】
(技術4)端末装置をさらに有し、前記端末装置の操作により、前記第1強制運転モードまたは前記第2強制運転モードの運転開始時刻を設定可能である技術1から技術3のいずれか一項に記載の冷凍サイクルシステム。
この構成により、端末装置により、第1強制モードと第2強制運転モードの開始時刻を設定することができ、管理者の要望に応じた適切なタイミングで強制運転を行うことができる。
【0045】
(技術5)予め設定された時刻に前記冷凍サイクル装置の運転を実行するタイマ運転モードを更に備え、前記タイマ運転モードによる前記冷凍サイクル装置のOFF時刻と、前記第1強制運転モードまたは前記第2強制運転モードの運転時刻とが重なる場合、その旨を通知する技術1から技術4のいずれか一項に記載の冷凍サイクルシステム。
この構成により、タイマ運転モードのOFF時刻に強制運転が実行されると、管理者の意図と反する運転となるので、その旨を通知することで、管理者の意図と反する空調運転がなされることを抑制できる。
【0046】
(技術6)予め設定された時刻に冷凍サイクル装置の運転を実行するタイマ運転モードを更に備え、前記タイマ運転モードによる前記冷凍サイクル装置のON時刻と、前記第1強制運転モードまたは前記第2強制運転モードの運転時刻と、が重なる場合、その旨を通知する技術1から技術5のいずれか一項に記載の冷凍サイクルシステム。
この構成により、冷媒漏洩診断が行われないことで安全性が損なわれるため、その旨を通知することで、強制運転時刻やタイマ運転モードを変更することを、管理者に促すことができ、利用者の快適性や安全性が損なわることを抑制できる。
【0047】
(技術7)前記冷凍サイクル装置の冷媒漏洩の有無を診断できない状態が、前記第2期間よりも長い第3期間継続した場合、その旨を端末装置に通知する技術1から技術6のいずれか一項に記載の記載の冷凍サイクルシステム。
この構成により、強制運転の停止などにより、冷媒漏洩診断を行えない期間が第3期間継続すると、管理者に冷媒漏洩診断を通知することで、安全性を確保することができる。
【0048】
(技術8)前記第1強制運転モードまたは前記第2強制運転モードを用いた冷媒漏洩診断を正常に行うことができなかった場合、その旨を通知する技術1から技術7のいずれか一項に記載の冷凍サイクルシステム。
この構成により、冷媒漏洩診断が正常に行えなかった旨を通知することで、その後の対策に活かすことができる。
【産業上の利用可能性】
【0049】
本開示に係る冷凍サイクルシステムは、空調運転が行われていても、冷媒漏洩診断をすることができない状態を回避することのできる冷凍サイクルシステムとして好適に利用可能である。
【符号の説明】
【0050】
1 空気調和装置
10 室外機
11 圧縮機
12 四方弁
13 室外熱交換器
14 室外ファン
15 室外絞り装置
20 室内機
21 室内熱交換器
22 室内絞り装置
23 室内ファン
24 冷媒配管
25 リモコン
26 操作部
27 表示部
30 室温センサ
31 外気温センサ
40 制御装置
41 制御部
42 記憶部
50 端末装置
51 端末操作部
52 端末表示部
53 端末通信部
図1
図2