(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024146243
(43)【公開日】2024-10-15
(54)【発明の名称】電動圧縮機
(51)【国際特許分類】
F04B 39/00 20060101AFI20241004BHJP
H02M 7/48 20070101ALI20241004BHJP
【FI】
F04B39/00 106A
H02M7/48 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023059027
(22)【出願日】2023-03-31
(71)【出願人】
【識別番号】000003218
【氏名又は名称】株式会社豊田自動織機
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 博宣
(72)【発明者】
【氏名】大島 敦
(72)【発明者】
【氏名】宇佐美 勝也
【テーマコード(参考)】
3H003
5H770
【Fターム(参考)】
3H003AA05
3H003AB07
3H003AC01
3H003CF02
5H770AA21
5H770BA05
5H770QA01
5H770QA12
5H770QA14
5H770QA27
5H770QA33
(57)【要約】
【課題】接触抵抗の増大を抑制できる電動圧縮機を提供すること。
【解決手段】電動圧縮機において、基板31の一部は、金属端子41と、金属端子41と電気接続され、ハウジングに固定される給電バスバー61と、により支持されている。金属端子41は、基板31に端子接続される端子部43と、基板31に当接する規制部46と、を備える。給電バスバー61は、可撓部63を有し、可撓部63によって金属端子41を基板31に向けて弾性付勢している。基板31は、熱変形時、給電バスバー61から離れる方向において端子部43により支持され、給電バスバー61に近付く方向において端子部43及び規制部46により支持される。
【選択図】
図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ハウジング内の収容空間において、基板の一部は、金属端子と、前記金属端子と電気接続され、前記ハウジングに固定されるバスバーと、により支持され、
前記金属端子は、前記基板に端子接続される端子部と、前記基板に当接する規制部と、を備え、
前記バスバーは、可撓部を有し、前記可撓部によって前記金属端子を前記基板に向けて弾性付勢し、
前記基板は、熱変形時、前記バスバーから離れる方向において前記端子部により支持され、前記バスバーに近付く方向において前記端子部及び前記規制部により支持されることを特徴とする電動圧縮機。
【請求項2】
前記バスバーは、前記金属端子と接触する接触部と、前記収容空間を画定した画定面から延出した基部と、前記接触部と前記基部との間に設けられた前記可撓部とを備え、前記可撓部は、前記バスバーを屈曲させた屈曲部を備えるように曲げ形成されている請求項1に記載の電動圧縮機。
【請求項3】
前記バスバーは、前記ハウジングの外部に配置された外部電源と電気的に接続された給電バスバーである請求項1又は請求項2に記載の電動圧縮機。
【請求項4】
前記金属端子は、前記バスバーと接触するバスバー接触部を備え、前記規制部は、前記バスバー接触部から前記基板に向けて突出し、
前記バスバー接触部は前記基板よりも薄板状であり、前記規制部における前記バスバー接触部から当該規制部の先端までの寸法は、前記端子部における前記バスバー接触部から当該端子部の先端までの寸法より小さい請求項1又は請求項2に記載の電動圧縮機。
【請求項5】
前記金属端子は、前記バスバーと接触するバスバー接触部を備え、前記金属端子と前記バスバーとは締結部材によって締結されており、前記バスバー接触部において、前記締結部材が挿通された箇所には、前記バスバー接触部を拡幅する拡幅部が設けられている請求項1又は請求項2に記載の電動圧縮機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電動圧縮機に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、特許文献1には、電動圧縮機が開示されている。特許文献1に開示された電動圧縮機は、圧縮部と、電動モータと、インバータ部と、を備える。インバータ部は、インバータハウジングに収容されている。インバータ部は、回路基板と、給電バスバーと、を備える。回路基板の第1面には、回路バスバーが固定されている。回路バスバーは、回路基板のパターンに半田によって固定されている。回路基板の第2面には、給電バスバーの端部が接触している。給電バスバーは、回路基板のパターンに接触している。
【0003】
回路バスバーに挿通されたボルトは、回路基板を貫通して給電バスバーに挿通されている。給電バスバーに挿通されたボルトにはナットが締結されている。この締結により、回路バスバーは、給電バスバーとともに回路基板に締結されるとともに、給電バスバーは、回路基板のパターンに電気接続される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
回路基板の熱膨張及び熱収縮が繰り返し発生すると、回路基板と給電バスバーとの線膨張係数の差に起因して、ボルトとナットによる回路基板と給電バスバーの締結が緩んでしまい、接触抵抗が増大してしまう。このような接触抵抗の増大を抑制するために、給電バスバーとの線膨張係数の差を小さくした金属端子に給電バスバーを電気接続することが考えられるが、このようにしても接触抵抗の増大の抑制は常に望まれている。また、回路基板と給電バスバーとの電気接続のために、回路基板と給電バスバーとを半田付けする場合がある。しかし、この場合は、回路基板の熱膨張及び熱収縮が繰り返し発生すると、半田に応力が繰り返し発生して接触抵抗が増大してしまう。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記問題点を解決するための電動圧縮機は、ハウジング内の収容空間において、基板の一部は、金属端子と、前記金属端子と電気接続され、前記ハウジングに固定されるバスバーと、により支持され、前記金属端子は、前記基板に端子接続される端子部と、前記基板に当接する規制部と、を備え、前記バスバーは、可撓部を有し、前記可撓部によって前記金属端子を前記基板に向けて弾性付勢し、前記基板は、熱変形時、前記バスバーから離れる方向において前記端子部により支持され、前記バスバーに近付く方向において前記端子部及び前記規制部により支持されることを要旨とする。
【0007】
これによれば、基板の熱変形時、基板は、バスバーから離れる方向において端子部により支持されるとともに、バスバーに近付く方向において端子部及び規制部により支持される。これにより、基板の熱膨張及び熱収縮が繰り返し発生しても、それら熱膨張及び熱収縮を原因として、基板と端子部との接触抵抗が増大することを抑制できる。また、可撓部の撓みによるバスバーの弾性変形により、金属端子は、基板に向けて弾性付勢される。これにより、バスバーと金属端子とが離れることを抑制できるため、バスバーと金属端子との接触抵抗の増大が抑制される。また、可撓部の撓みによるバスバーの弾性変形により、金属端子は、基板に向けて弾性付勢されているが、金属端子が備える規制部が基板に当接することにより、弾性付勢力は、基板に支持される。よって、端子部と基板との電気接続箇所に発生する応力を抑制できる。これらにより、接触抵抗の増大を抑制できる。
【0008】
電動圧縮機について、前記バスバーは、前記金属端子と接触する接触部と、前記収容空間を画定した画定面から延出した基部と、前記接触部と前記基部との間に設けられた前記可撓部とを備え、前記可撓部は、前記バスバーを屈曲させた屈曲部を備えるように曲げ形成されていてもよい。
【0009】
これによれば、屈曲部を屈曲させることで、可撓部によってバスバーを容易に撓ませることができる。
電動圧縮機について、前記バスバーは、前記ハウジングの外部に配置された外部電源と電気的に接続された給電バスバーであってもよい。
【0010】
これによれば、電動圧縮機は、外部電源と別体であるため、その電動圧縮機と外部電源とを接続する給電バスバーは、振動しやすい。また、給電バスバーには、大電流が流れる。このような給電バスバーを金属端子と電気接続した箇所であっても、接触抵抗の増大を抑制できる。
【0011】
電動圧縮機について、前記金属端子は、前記バスバーと接触するバスバー接触部を備え、前記規制部は、前記バスバー接触部から前記基板に向けて突出し、前記バスバー接触部は前記基板よりも薄板状であり、前記規制部における前記バスバー接触部から当該規制部の先端までの寸法は、前記端子部における前記バスバー接触部から当該端子部の先端までの寸法より小さい。
【0012】
これによれば、規制部の先端を基板に当接させた状態で、端子部を基板に固定できる。このため、バスバー接触部を基板から離すことができる。そして、バスバー接触部は基板より薄板状であるとともに基板から離れているため、可撓部の撓みによるバスバーの弾性変形により、バスバー接触部を容易に撓ませることができる。そして、バスバー接触部の撓みによって、バスバー接触部はバスバーを弾性付勢するため、バスバー接触部とバスバーとを互いに押し付け合うことができる。これにより、バスバーと金属端子との接触抵抗の増大を抑制できる。
【0013】
電動圧縮機について、前記金属端子は、前記バスバーと接触するバスバー接触部を備え、前記金属端子と前記バスバーとは締結部材によって締結されており、前記バスバー接触部において、前記締結部材が挿通された箇所には、前記バスバー接触部を拡幅する拡幅部が設けられていてもよい。
【0014】
これによれば、バスバー接触部における、締結部材が挿通された箇所は、拡幅部によって拡幅できる。このため、拡幅部は、バスバー接触部において締結部材が挿通された箇所を補強できる。
【発明の効果】
【0015】
本発明は、接触抵抗の増大を抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】
図1は、実施形態の電動圧縮機を示す部分破断断面図である。
【
図2】
図2は、インバータ部を示す部分断面図である。
【
図3】
図3は、インバータ部を給電バスバー側から示す部分斜視図である。
【
図4】
図4は、インバータ部を示す部分平面図である。
【
図5】
図5は、給電バスバー、金属端子、基板及びボルトの部分拡大図である。
【
図7】
図7は、基板をボスに固定する前の給電バスバーを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、電動圧縮機を具体化した一実施形態を
図1~
図7にしたがって説明する。
<電動圧縮機>
図1に示すように、電動圧縮機10は、ハウジング11と、圧縮部15と、電動モータ16と、インバータ部20と、を備える。また、電動圧縮機10は、給電部60を備える。
【0018】
ハウジング11は、金属製である。ハウジング11は、吐出ハウジング12、モータハウジング13、及びインバータハウジング14を備える。圧縮部15及び電動モータ16は、モータハウジング13の内部に収容されている。インバータ部20は、インバータハウジング14の内部に収容されている。
【0019】
モータハウジング13は、筒状の周壁部13aと、周壁部13aの一方の端部を塞ぐ隔壁部13bとを備える。周壁部13a及び隔壁部13bは圧縮部15及び電動モータ16を収容する空間を画定する。隔壁部13bは、インバータハウジング14と接合されている。周壁部13aには冷媒を吸入する吸入口13cが設けられている。吐出ハウジング12は、周壁部13aの他方の端部に接合されている。吐出ハウジング12には、図示しない吐出口が形成されている。吸入口13cと吐出口とは外部冷媒回路100に接続されている。
【0020】
図1及び
図2に示すように、インバータハウジング14は、底壁部14aと、外壁部14bと、インバータカバー14cと、ボス14dと、を備える。底壁部14aは、モータハウジング13の隔壁部13bと接合されている。外壁部14bは、インバータカバー14cに向けて底壁部14aの厚さ方向へ底壁部14aの外周縁から延出する。外壁部14bは筒状である。インバータカバー14cは、底壁部14aと外壁部14bとによって画定された空間を閉塞する。インバータハウジング14の内部には、収容空間Sが画定されている。収容空間Sは、ハウジング11内に画定されている。収容空間Sは、底壁部14aと、外壁部14bと、インバータカバー14cによって画定されている。インバータ部20は、収容空間Sに収容されている。
【0021】
底壁部14aは、底壁部14aの壁厚方向に互いに反対となる第1底壁面14fと第2底壁面14gとを備える。第1底壁面14fは、収容空間Sに面する。第1底壁面14fは、収容空間Sを画定した画定面である。ボス14dは、底壁部14aの第1底壁面14fからインバータカバー14cに向けて突出している。ボス14dは、ハウジング11内の収容空間Sを画定した第1底壁面14fから突出している。ボス14dの内周面には雌ねじが形成されている。
【0022】
<圧縮部及び電動モータ>
電動モータ16は、圧縮部15を駆動する。電動モータ16は、インバータ部20から三相交流電力の供給を受け、インバータ部20により制御されて駆動される。
【0023】
<インバータ部>
図2に示すように、インバータ部20は、インバータ回路21と、基板31と、金属端子41と、締結部材51と、を備える。
【0024】
インバータ回路21は、直流電力を、交流電力に変換する。電動モータ16は、インバータ回路21から出力される交流電力によって駆動する。
図4及び
図5に示すように、基板31は、当該基板31の板厚方向に互いに反対となる第1実装面31aと第2実装面31bとを備える。インバータ回路21は、基板31の第1実装面31aに実装されている。基板31の第1実装面31aには図示しない導体パターンが形成されるとともに、第2実装面31bには導体パターン31cが形成されている。
【0025】
基板31には、2つの挿入孔32と、複数の端子挿入孔33と、締結孔34が形成されている。2つの挿入孔32の各々は、基板31を板厚方向に貫通する。基板31を板厚方向に基板31を見ることを平面視とする。基板31の平面視では、2つの挿入孔32の各々は円形状である。挿入孔32の孔径は、後述する締結部材51の頭部51aの直径より大きい。基板31の平面視では、2つの挿入孔32は、隣り合っている。基板31の平面視で、2つの挿入孔32の並ぶ方向を第1方向Xとする。基板31の平面視において、第1方向Xに直交する方向を第2方向Yとする。
【0026】
複数の端子挿入孔33は、各挿入孔32の周囲に4つずつ設けられている。端子挿入孔33は、1つの挿入孔32を第2方向Yに挟んだ両側に2つずつ設けられている。複数の端子挿入孔33の各々は、基板31を板厚方向に貫通する。
【0027】
締結孔34は、基板31の縁寄りに形成されている。なお、締結孔34の位置及び数は任意に変更してもよい。
金属端子41は、給電バスバー61より撓みやすい金属材料によって形成されている。金属端子41を形成する材料の一例は、例えば真鍮である。
【0028】
図3、
図5及び
図6に示すように、金属端子41は、バスバー接触部42と、端子部43と、規制部46と、を備える。バスバー接触部42は、長四角な薄板状である。バスバー接触部42の板厚は、基板31の板厚より薄い。バスバー接触部42の一対の長縁部には拡幅部42bが形成されている。各拡幅部42bは、バスバー接触部42の各長縁の中央部に設けられている。一対の拡幅部42bにより、バスバー接触部42は、短辺方向へ拡幅されている。
【0029】
バスバー接触部42の長辺方向及び短辺方向の中央部には、通孔44が形成されている。通孔44の孔径は、貫通孔64aの孔径と同じであるか、僅かに異なる。一対の拡幅部42bは、バスバー接触部42の短辺方向において通孔44を間に挟む。拡幅部42bは、バスバー接触部42において、通孔44の形成によって幅狭になっている箇所に設けられている。
【0030】
バスバー接触部42は、板厚方向に互いに反対となる第1接触面42cと第2接触面42dとを備える。
端子部43は、バスバー接触部42の四隅に1つずつ設けられている。4つの端子部43の各々は、バスバー接触部42の第2接触面42dから四角柱状に突出している。なお、端子部43は、バスバー接触部42の第2接触面42dから円柱状に突出していてもよい。端子部43の寸法Hは、第2接触面42dから端子部43の先端までの寸法である。端子部43の寸法Hは、基板31の板厚より大きい。
【0031】
規制部46は、バスバー接触部42の一対の短縁部の各々に1つずつ設けられている。規制部46は、バスバー接触部42の各短縁部において、2つの端子部43に挟まれている。規制部46は、バスバー接触部42の第2接触面42dから細長板状に突出している。なお、規制部46は、第2接触面42dから突出する1つ又は複数の突起で形成されていてもよい。規制部46の寸法H0は、第2接触面42dから規制部46の先端までの寸法である。規制部46の寸法H0は、端子部43の寸法Hより小さい。
【0032】
図3、
図4及び
図5に示すように、金属端子41の各端子部43は、第1実装面31a側から基板31の端子挿入孔33に挿入されている。金属端子41の各規制部46は、基板31の第1実装面31aに当接している。このため、後述する給電バスバー61によって、金属端子41が基板31に向けて弾性付勢されても、その弾性付勢力は、規制部46を介して基板31に支持される。その結果、金属端子41は、規制部46を介して基板31に押し付けられている。
【0033】
端子部43は、半田48によって基板31の第2実装面31bに接合されている。これにより、金属端子41は、基板31に端子接続されている。したがって、金属端子41は、基板31に端子接続される端子部43と、基板31に当接する規制部46と、を備える。また、基板31と端子部43との端子接続により、基板31と金属端子41は一体化されるとともに、基板31は、板厚方向の両方において端子部43に支持されている。このため、基板31が熱変形して熱収縮したり、熱膨張したりしても、バスバー接触部42から基板31が離れる方向、及び近付く方法のいずれにおいても、端子接続によって支持される。
【0034】
端子部43は、基板31の導体パターン31cと電気的に接続されているとともに、金属端子41は、基板31の導体パターン31cと電気的に接続されている。
基板31に対する規制部46の当接により、バスバー接触部42は、基板31の第1実装面31aから離れている。バスバー接触部42の第2接触面42dと、基板31の第1実装面31aとは、規制部46の寸法H0だけ離れている。端子部43の寸法Hは、基板31の板厚より大きい。このため、規制部46を第1実装面31aに接触させた状態で端子部43を半田48で基板31に接合すると、バスバー接触部42は、基板31から離れる。
【0035】
<インバータ部と給電バスバー>
図2に示すように、基板31は、ハウジング11内の収容空間Sを画定した第1底壁面14fから突出したボス14dに支持されている。締結孔34を貫通した基板固定ボルト39は、ボス14dに螺合されている。基板31は、基板固定ボルト39によってボス14dに固定されている。
【0036】
基板31の第1実装面31aは、第1底壁面14fに対向している。したがって、基板31の第1実装面31aは、基板31の板厚方向の両面のうち、ボス14dの突出した第1底壁面14fに対向する対向面である。
【0037】
基板31の第1実装面31aは、底壁部14aの第1底壁面14fから離れている。バスバー接触部42において、第2接触面42dは、第1実装面31aに対向している。バスバー接触部42は、上記した対向面である第1実装面31aに沿って延びている。また、バスバー接触部42の第1接触面42cは、底壁部14aの第1底壁面14fから離れている。第1接触面42cは、底壁部14aの第1底壁面14fに対向している。バスバー接触部42の規制部46は、基板31の対向面である第1実装面31aに当接している。
【0038】
<給電部>
給電部60は、インバータハウジング14の底壁部14aに固定されている。給電部60は、一対の給電バスバー61と、樹脂部68と、グロメット69と、を備える。
【0039】
図1、
図2及び
図3に示すように、給電バスバー61は、ボス14dの突出した第1底壁面14fとバスバー接触部42との間で延びている。給電バスバー61は、電動モータ16に電力を供給する板状の導電部材である。給電バスバー61は、大電流の通電を可能とする。給電バスバー61は、ハウジング11の外部に配置された外部電源としてのバッテリBと電気的に接続されている。
【0040】
一対の給電バスバー61は、樹脂部68に保持されている。給電バスバー61とハウジング11との絶縁は、樹脂部68及びグロメット69によって保たれている。グロメット69は、樹脂部68の周囲を覆うゴム系材料により形成されている。
【0041】
一対の給電バスバー61の各々は、銅板製である。一対の給電バスバー61は同じ形状であるため、片方の給電バスバー61のみを説明する。
図3及び
図5に示すように、給電バスバー61は、細長い銅板を折り曲げて形成されている。給電バスバー61は、板厚方向に互いに反対となる第1板面61aと第2板面61bとを備える。給電バスバー61の幅方向は、第1板面61a及び第2板面61bの短辺の延びる方向である。給電バスバー61の幅方向への寸法である幅Wは、長辺方向のいずれの位置でも同じである。給電バスバー61の幅Wは、バスバー接触部42の短辺方向への寸法と同じである。なお、給電バスバー61の幅Wは、バスバー接触部42の短辺方向への寸法より大きくてもよい。
【0042】
給電バスバー61は、平板状の基部62と、L形状の可撓部63と、平板状の接触部64と、を備える。
基部62の第1端部は給電バスバー61の第1端部である。図示しないが、基部62の第1端部は、バッテリBと電気的に接続されている。基部62の第1端部側は樹脂部68に保持されている。基部62の第2端部側は、グロメット69から基板31に向けて延出している。基部62は、第1底壁面14fに直交するようにグロメット69から延出している。第1底壁面14fに直交する方向は、底壁部14aの壁厚方向である。第1底壁面14fは、収容空間Sを画定した画定面である。このため、基部62は、収容空間Sを画定した画定面から延出している。
【0043】
基部62の第2端部からは、可撓部63が延出している。可撓部63は、基部62と接触部64とを繋ぐ。可撓部63は基部62から延出しているとともに、可撓部63からは接触部64が延出している。可撓部63は、基部62に対して交差して延びる第1板部63aと、第1板部63a及び接触部64に対して交差して延びる第2板部63bとを備える。第2板部63bは、第1板部63aから接触部64に向けて延出している。第1板部63a及び第2板部63bの各々は平板状である。
【0044】
接触部64は、第2板部63bに対して交差して延びる。接触部64は、平板状である。接触部64を第1板面61a又は第2板面61bから見て、接触部64は長四角形状である。第1板部63aでの第1板面61aと、接触部64での第1板面61aとは対向している。
【0045】
接触部64は、金属端子41におけるバスバー接触部42の第1接触面42cに接触している。第1接触面42cは、バスバー接触部42における、ボス14dの突出した第1底壁面14f側の面である。接触部64での第2板面61bは、全面に亘ってバスバー接触部42の第1接触面42cに接触している。
【0046】
給電バスバー61において、基部62と可撓部63との境界は、銅板が屈曲する第1屈曲部611である。給電バスバー61において、可撓部63における第1板部63aと第2板部63bとの境界は、銅板が屈曲する第2屈曲部612である。給電バスバー61において、可撓部63と接触部64との境界は、銅板が屈曲する第3屈曲部613である。可撓部63は、第1~第3屈曲部611~613を備える。第1~第3屈曲部611~613の少なくとも一つの曲がり度合いが変化すると、可撓部63は撓む。可撓部63の撓みにより、給電バスバー61は弾性変形する。
【0047】
上記のように、給電バスバー61は、金属端子41と接触する接触部64と、第1底壁面14fから延出した基部62と、接触部64と基部62との間に設けられた可撓部63とを備える。また、可撓部63は、給電バスバー61を屈曲させた第1~第3屈曲部611~613を備えるように曲げ形成されている。
【0048】
給電バスバー61の接触部64には、貫通孔64aが形成されている。給電バスバー61には、雌ねじ部66が一体形成されている。雌ねじ部66は、接触部64における第1板面61aに設けられている。雌ねじ部66は、接触部64に接触している。雌ねじ部66は、貫通孔64aの周囲に形成されている。
【0049】
<締結部材及び雌ねじ部>
締結部材51は、金属端子41のバスバー接触部42と、給電バスバー61の接触部64を雌ねじ部66とともに締結している。したがって、締結部材51は、金属端子41と給電バスバー61とを締結している。締結部材51は、頭部51aと軸部51bとを備える。軸部51bは、雄ねじである。軸部51bは、バスバー接触部42の通孔44及び接触部64の貫通孔64aに挿通されている。通孔44及び貫通孔64aを貫通した軸部51bは、雌ねじ部66に螺合されている。よって、締結部材51は、バスバー接触部42及び接触部64に挿通された軸部51b、及び当該軸部51bに一体の頭部51aを備える。頭部51aの直径は、挿入孔32の孔径より小さいとともに、通孔44の孔径より大きい。
【0050】
そして、挿入孔32を貫通した締結部材51の頭部51aは、バスバー接触部42の第2接触面42dに接触している。頭部51aと接触部64は、金属端子41のバスバー接触部42を挟み込んでいる。雌ねじ部66と締結部材51との締め付けにより、バスバー接触部42と接触部64は締結されている。また、給電バスバー61は、金属端子41と電気接続されている。金属端子41と給電バスバー61との電気接続により、バッテリBと基板31の導体パターン31cとは、給電バスバー61及び金属端子41を介して電気的に接続されている。
【0051】
<実施形態の作用>
図7に、ボス14dに基板31を固定する前の給電バスバー61を示す。このときの接触部64での第2板面61bの位置を、バスバー位置H1とする。バスバー位置H1は、第1底壁面14fから第2板面61bまでの距離によって決まる。
【0052】
図7の2点鎖線に、ボス14dに基板31を固定したときの金属端子41の位置を示す。このときのバスバー接触部42の第1接触面42cの位置を、金属端子位置H2とする。金属端子位置H2は、第1底壁面14fから第1接触面42cまでの距離によって決まる。
【0053】
図7に示すように、バスバー位置H1は、金属端子位置H2よりも基板31側に位置している。言い換えると、金属端子位置H2は、バスバー位置H1よりも第1底壁面14f側に位置している。
【0054】
基板31をボス14dに固定するために、基板固定ボルト39がボス14dに螺合されると、給電バスバー61は、金属端子41によって第1底壁面14fに向けて押圧される。すると、
図5に示すように、給電バスバー61の第1屈曲部611、第2屈曲部612、及び第3屈曲部613は、基板31をボス14dに固定する前よりも屈曲する。第1~第3屈曲部611~613が屈曲すると、可撓部63は、基板31をボス14dに固定する前よりも撓む。すると、バスバー位置H1は、金属端子位置H2に変位する。つまり、給電バスバー61は、弾性変形する。給電バスバー61は、可撓部63の弾性変形した形状から原形状への復帰力により、バスバー接触部42を基板31に向けて弾性付勢する。このため、給電バスバー61は、可撓部63によって金属端子41を基板31に向けて弾性付勢している。
【0055】
バスバー接触部42は、給電バスバー61から付与される付勢力により、第2接触面42dを基板31に近付けるように撓む。この撓みによって、バスバー接触部42は、弾性変形する。バスバー接触部42は、弾性変形した形状から原形状への復帰力により、給電バスバー61を第1底壁面14fに向けて弾性付勢する。
【0056】
その結果、バスバー接触部42と接触部64とが互いに押し付け合った状態に接触する。接触部64での第2板面61bは、バスバー接触部42の第1接触面42cに接触している。接触部64での第2板面61bの全面が、第1接触面42cに接触している。上記より、基板31の一部は、金属端子41と、給電バスバー61とにより支持されている。そして、給電バスバー61は、可撓部63によって金属端子41を基板31に向けて弾性付勢している。
【0057】
上記実施形態によれば、以下のような効果を得ることができる。
(1)基板31の熱変形時、基板31は、給電バスバー61から離れる方向において端子部43により支持されるとともに、給電バスバー61に近付く方向において端子部43及び規制部46により支持される。これにより、基板31の熱膨張及び熱収縮が繰り返し発生しても、それら熱膨張及び熱収縮を原因として、基板31と端子部43との接触抵抗が増大することを抑制できる。
【0058】
また、可撓部63の撓みによる給電バスバー61の弾性変形により、金属端子41は、基板31に向けて弾性付勢される。これにより、給電バスバー61と金属端子41とが離れることを抑制できるため、給電バスバー61と金属端子41との接触抵抗の増大が抑制される。また、可撓部63の撓みによる給電バスバー61の弾性変形により、金属端子41は、基板31に向けて弾性付勢されているが、金属端子41が備える規制部46が基板31に当接することにより、弾性付勢力は、基板31に支持される。よって、端子部43と基板31との電気接続箇所となる半田48に発生する応力を抑制できるため、半田48における接触抵抗の増大が抑制される。これらにより、接触抵抗の増大を抑制できる。
【0059】
(2)金属端子41のバスバー接触部42は薄板状である。また、規制部46により、バスバー接触部42を基板31から離すことができる。このため、バスバー接触部42は、給電バスバー61からの弾性付勢によって撓むことができる。そして、バスバー接触部42の撓みによって、バスバー接触部42は給電バスバー61を弾性付勢するため、バスバー接触部42と接触部64とを互いに押し付け合うことができる。これにより、バスバー接触部42と接触部64とが離れることを抑制できるため、バスバー接触部42と接触部64との接触抵抗が大きくなることを抑制できる。
【0060】
(3)給電バスバー61は、ハウジング11の外部に配置されたバッテリBと電気的に接続されている。このため、給電バスバー61は、振動しやすい。また、給電バスバー61には、大電流が流れる。このような給電バスバー61を金属端子41と電気接続した箇所であっても、締結部材51と雌ねじ部66の締め付けの緩みは発生しにくい。
【0061】
(4)挿入孔32の孔径は、締結部材51の頭部51aの直径より大きい。このため、頭部51aは、基板31を板厚方向に通過できる。そして、バスバー接触部42と接触部64とが締結された状態では、頭部51aは、基板31の第2実装面31bから突出していない。基板31の第2実装面31bから頭部51aが突出する場合と比べると、インバータ部20をコンパクトにできる。また、基板31とインバータハウジング14の底壁部14aとの間のスペースを有効利用して、インバータ部20を小型化できる。
【0062】
(5)拡幅部42bは、バスバー接触部42において、通孔44を挟む位置に設けられている。拡幅部42bによって、バスバー接触部42において通孔44の形成により幅狭になった箇所を拡幅できる。このため、拡幅部42bは、バスバー接触部42において締結部材51が挿通された箇所を補強できる。
【0063】
(6)ボス14dに基板31を固定する前のバスバー位置H1は、ボス14dに基板31が固定されたときの金属端子位置H2より高い。これにより、ボス14dに基板31が固定されると、給電バスバー61は、金属端子41を基板31に向けて弾性付勢する。したがって、バスバー位置H1と金属端子位置H2を一致させる必要がないため、インバータ部20をインバータハウジング14に容易に固定できる。
【0064】
(7)可撓部63は、給電バスバー61を弾性変形させる。可撓部63は、基部62と接触部64の間でL状に延びる。例えば、可撓部63を蛇腹状に屈曲させる場合と比べると、可撓部63を簡素な形状とすることができる。
【0065】
<変形例>
実施形態は、以下のように変更して実施することができる。実施形態及び以下の変形例は、技術的に矛盾しない範囲で互いに組み合わせて実施することができる。
【0066】
○金属端子41は、拡幅部42bを備えなくてもよい。
○金属端子41の規制部46は無くてもよい。この場合、金属端子41のバスバー接触部42は、第2接触面42dが基板31の第1実装面31aに接触していてもよい。このように構成しても、金属端子41は、給電バスバー61によって基板31に向けて弾性付勢される。
【0067】
○金属端子41の規制部46は、バスバー接触部42から基板31に向けて突出していなくてもよい。この場合、規制部46は、バスバー接触部42の各短縁部において、2つの端子部43に挟まれた部位そのものとなる。
【0068】
○バスバーは、給電バスバー61以外のバスバーでもよい。例えば、バスバーは、電動モータ16を駆動させる交流電力を電動モータ16に供給するために、当該電動モータ16に接続されたバスバーであってもよい。
【0069】
○可撓部63は、第1板部63aと第2板部63bとからなるL形状でなくてもよい。例えば、可撓部63は、弧状に湾曲した形状であってもよい。又は、可撓部63は、屈曲部を4つ以上備えるような波形状であったりしてもよい。可撓部63の撓み変形によって金属端子41を基板31に向けて弾性付勢することができれば、可撓部63の形状は任意に変更してもよい。
【0070】
○金属端子41と給電バスバー61とを電気接続する方法は、締結部材51と雌ねじ部66による締結以外でもよい。例えば、バスバー接触部42と接触部64とを半田によって電気接続したり、溶接によって電気接続したりしてもよい。
【0071】
○雌ねじ部66は、接触部64とは別体のナットであってもよい。
○バスバー接触部42の板厚は、基板31の板厚より厚くてもよい。
○給電バスバー61は、接触部64を備えていなくてもよい。この場合、給電バスバー61の先端は可撓部63の先端となる。
【0072】
次に、上記実施形態及び別例から把握できる技術的思想について以下に追記する。
[態様1]
ハウジング内の収容空間において、基板の一部は、金属端子と、前記金属端子と電気接続され、前記ハウジングに固定されるバスバーと、により支持され、
前記金属端子は、前記基板に端子接続される端子部と、前記基板に当接する規制部と、を備え、
前記バスバーは、可撓部を有し、前記可撓部によって前記金属端子を前記基板に向けて弾性付勢し、
前記基板は、熱変形時、前記バスバーから離れる方向において前記端子部により支持され、前記バスバーに近付く方向において前記端子部及び前記規制部により支持されることを特徴とする電動圧縮機。
【0073】
[態様2]
前記バスバーは、前記金属端子と接触する接触部と、前記収容空間を画定した画定面から延出した基部と、前記接触部と前記基部との間に設けられた前記可撓部とを備え、前記可撓部は、前記バスバーを屈曲させた屈曲部を備えるように曲げ形成されている[態様1]に記載の電動圧縮機。
【0074】
[態様3]
前記バスバーは、前記ハウジングの外部に配置された外部電源と電気的に接続された給電バスバーである[態様1]又は[態様2]に記載の電動圧縮機。
【0075】
[態様4]
前記金属端子は、前記バスバーと接触するバスバー接触部を備え、前記規制部は、前記バスバー接触部から前記基板に向けて突出し、
前記バスバー接触部は前記基板よりも薄板状であり、前記規制部における前記バスバー接触部から当該規制部の先端までの寸法は、前記端子部における前記バスバー接触部から当該端子部の先端までの寸法より小さい[態様1]~[態様3]のうちいずれか一つに記載の電動圧縮機。
【0076】
[態様5]
前記金属端子は、前記バスバーと接触するバスバー接触部を備え、前記金属端子と前記バスバーとは締結部材によって締結されており、前記バスバー接触部において、前記締結部材が挿通された箇所には、前記バスバー接触部を拡幅する拡幅部が設けられている[態様1]~[態様4]のうちいずれか一つに記載の電動圧縮機。
【符号の説明】
【0077】
B…外部電源としてのバッテリ、S…収容空間、10…電動圧縮機、11…ハウジング、14f…画定面としての第1底壁面、31…基板、41…金属端子、42…バスバー接触部、42b…拡幅部、43…端子部、46…規制部、51…締結部材、61…バスバーとしての給電バスバー、62…基部、63…可撓部、64…接触部、611…第1屈曲部、612…第2屈曲部、613…第3屈曲部。