(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024146261
(43)【公開日】2024-10-15
(54)【発明の名称】車両の制御装置、制御方法、及びプログラム
(51)【国際特許分類】
B60W 50/08 20200101AFI20241004BHJP
【FI】
B60W50/08
【審査請求】有
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023059055
(22)【出願日】2023-03-31
(71)【出願人】
【識別番号】000005326
【氏名又は名称】本田技研工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003281
【氏名又は名称】弁理士法人大塚国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】長谷川 和音
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 一夢
(72)【発明者】
【氏名】本山 界
(72)【発明者】
【氏名】方尺 翔太
(72)【発明者】
【氏名】正川 友朗
(72)【発明者】
【氏名】池田垣 平
(72)【発明者】
【氏名】加納 忠彦
(72)【発明者】
【氏名】杉山 顕司
【テーマコード(参考)】
3D241
【Fターム(参考)】
3D241BA00
3D241CC01
3D241CC08
3D241CC11
3D241CC17
3D241CE02
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3D241DB01Z
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3D241DB12Z
3D241DC33Z
3D241DD03Z
(57)【要約】
【課題】車両制御機能の利便性を向上する。
【解決手段】車両の制御装置は、車両のユーザが特定の車両制御機能の使用権限を有するかどうかを示す第1権限情報をサーバから受信する受信部と、ユーザが特定の車両制御機能の使用権限を有するかどうかを示す第2権限情報であって、車両の記憶装置に記憶されている第2権限情報を、第1権限情報に基づいて更新する更新部と、ユーザが使用権限を有することを第2権限情報が示すことに少なくとも部分的に基づいて、車両制御機能を実行する車両制御部と、を備える。
【選択図】
図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両の制御装置であって、
前記車両のユーザが特定の車両制御機能の使用権限を有するかどうかを示す第1権限情報をサーバから受信する受信手段と、
前記ユーザが前記特定の車両制御機能の使用権限を有するかどうかを示す第2権限情報であって、前記車両の記憶装置に記憶されている第2権限情報を、前記第1権限情報に基づいて更新する更新手段と、
前記ユーザが前記使用権限を有することを前記第2権限情報が示すことに少なくとも部分的に基づいて、前記車両制御機能を実行する車両制御手段と、を備える、制御装置。
【請求項2】
前記更新手段は、前記ユーザが前記使用権限を有していないことを前記第1権限情報が示す場合に、前記車両の走行が終了するまで、前記第2権限情報の更新を待機する、請求項1に記載の制御装置。
【請求項3】
前記更新手段は、前記車両の速度がゼロになったことと、前記車両のシフトポジションがパーキングレンジになったことと、前記車両のパーキングブレーキが作動したことと、前記車両の電源がオフになったことと、との少なくとも1つに基づいて、前記車両の走行が終了したかどうかを判定する、請求項2に記載の制御装置。
【請求項4】
前記更新手段は、前記ユーザの行為に起因して前記第1権限情報を前記サーバから受信できないことに基づいて、前記ユーザが前記使用権限を有していないことを示すように前記第2権限情報を更新する、請求項2に記載の制御装置。
【請求項5】
前記ユーザの前記行為は、前記サーバに個人情報を提供することに同意しないことと、前記車両の通信装置を通信圏外の状態にすることと、の少なくとも1つを含む、請求項4に記載の制御装置。
【請求項6】
コンピュータを請求項1乃至5の何れか1項に記載の制御装置の各手段として機能させるためのプログラム。
【請求項7】
車両の制御方法であって、
前記車両のユーザが特定の車両制御機能の使用権限を有するかどうかを示す第1権限情報をサーバから受信する受信工程と、
前記ユーザが前記特定の車両制御機能の使用権限を有するかどうかを示す第2権限情報であって、前記車両の記憶装置に記憶されている第2権限情報を、前記第1権限情報に基づいて更新する更新工程と、
前記ユーザが前記使用権限を有することを前記第2権限情報が示すことに少なくとも部分的に基づいて、前記車両制御機能を実行する車両制御工程と、を備える、制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両の制御装置、制御方法、及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、交通参加者の中でも脆弱な立場にある人々にも配慮した持続可能な輸送システムへのアクセスを提供する取り組みが活発化している。この実現に向けて運転支援技術に関する研究開発を通して交通の安全性や利便性をより一層改善する研究開発に注力している。ユーザが使用権限を有する場合にのみ車両の特定の機能を実行可能にするビジネスモデルが知られている。特許文献1には、ユーザのライセンスデータに基づいて複数の車両で機能を使用可能にすることが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ユーザが特定の車両制御機能の使用権限を有するかどうかをサーバが一元的に管理する構成が考えられる。車両がサーバに使用権限を常に問い合わせる構成では、車両がサーバにアクセスできないと、車両はユーザが使用権限を有するかどうか判定できず、ユーザは車両制御機能を使用できない。本願は上記課題の解決のため、車両制御機能の利便性を向上するための技術の達成を目的としたものである。そして、延いては持続可能な輸送システムの発展に寄与するものである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
一部の実施形態によれば、車両の制御装置であって、前記車両のユーザが特定の車両制御機能の使用権限を有するかどうかを示す第1権限情報をサーバから受信する受信手段と、前記ユーザが前記特定の車両制御機能の使用権限を有するかどうかを示す第2権限情報であって、前記車両の記憶装置に記憶されている第2権限情報を、前記第1権限情報に基づいて更新する更新手段と、前記ユーザが前記使用権限を有することを前記第2権限情報が示すことに少なくとも部分的に基づいて、前記車両制御機能を実行する車両制御手段と、を備える、制御装置が提供される。
【発明の効果】
【0006】
一部の実施形態によれば、車両制御機能の利便性が向上する。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】一部の実施形態の車両の構成例を説明するブロック図。
【
図2】一部の実施形態の機能提供システムの構成例を説明するブロック図。
【
図3】一部の実施形態の車両の動作例を説明するフロー図。
【
図4】一部の実施形態の車両の動作例を説明するフロー図。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、添付図面を参照して実施形態を詳しく説明する。なお、以下の実施形態は特許請求の範囲に係る発明を限定するものではなく、また実施形態で説明されている特徴の組み合わせの全てが発明に必須のものとは限らない。実施形態で説明されている複数の特徴のうち二つ以上の特徴は任意に組み合わされてもよい。また、同一若しくは同様の構成には同一の参照番号を付し、重複した説明は省略する。
【0009】
図1は、本発明の一実施形態に係る制御装置CNTのブロック図と、その適用例である車両Vの概要図である。
図1では、車両Vの概略が平面図と側面図とで示されている。本実施形態の車両Vは、一例として、セダンタイプの四輪の乗用車であり、例えばパラレル方式のハイブリッド車両でありうる。車両Vは、四輪乗用車に限られるものではなく、鞍乗型車両(自動二輪車、自動三輪車)であってもよいし、トラックやバスなどの大型車両であってもよい。
【0010】
制御装置CNTは、車両Vの運転支援を含む車両Vの制御を実行する電子回路であるコントローラ1を含む。コントローラ1は、複数のECU(Electronic Control Unit)を備える。ECUは例えば制御装置CNTの機能ごとに設けられる。各ECUは、CPU(Central Processing Unit)に代表されるプロセッサ、半導体メモリ等の記憶デバイス、外部デバイスとのインタフェース等を含む。記憶デバイスには、プロセッサが実行するプログラムやプロセッサが処理に使用するデータ等が格納される。インタフェースには、入出力インタフェースや通信インタフェースが含まれる。各ECUは、複数のプロセッサ、複数の記憶デバイス及び複数のインタフェースを備えていてもよい。記憶デバイスに格納されるプログラムは、CD-ROM等の記憶媒体を用いて制御装置CNTにインストールされることにより、記憶デバイスに格納されてもよい。これに加えて又はこれに代えて、記憶デバイスに格納されるプログラムは、無線通信を通じて外部のサーバからダウンロードされてもよい。
【0011】
コントローラ1は、パワーユニット(パワープラント)2を制御することによって車両Vの駆動(加速)を制御する。パワーユニット2は、車両Vの駆動輪を回転させる駆動力を出力する走行駆動部であり、内燃機関、モータ及び自動変速機を含むことができる。モータは、車両Vを加速させる駆動源として使用可能であるとともに、減速時等において発電機としても使用可能である(回生制動)。
【0012】
本実施形態の場合、コントローラ1は、アクセルペダルAPに設けられた操作検知センサ2aやブレーキペダルBPに設けられた操作検知センサ2bにより検知した運転者の運転操作や、回転数センサ2cで検知された車両Vの車速等に対応して、内燃機関やモータの出力を制御したり、自動変速機の変速段を切り替えたりする。自動変速機には車両Vの走行状態を検知するセンサとして、自動変速機の出力軸の回転数を検知する回転数センサ2cが設けられている。車両Vの車速は、回転数センサ2cの検知結果から演算可能である。
【0013】
コントローラ1は、油圧装置3を制御することによって車両Vの制動(減速)を制御する。ブレーキペダルBPに対する運転者の制動操作はブレーキマスタシリンダBMにおいて液圧に変換されて油圧装置3に伝達される。油圧装置3は、ブレーキマスタシリンダBMから伝達された液圧に基づいて、四輪にそれぞれ設けられたブレーキ装置3a(例えばディスクブレーキ装置)に供給する作動油の液圧を制御可能なアクチュエータである。
【0014】
コントローラ1は、油圧装置3が備える電磁弁等の駆動制御を行うことにより、車両Vの制動を制御することができる。また、コントローラ1は、ブレーキ装置3aによる制動力と、パワーユニット2が備えるモータの回生制動による制動力との配分を制御することにより、電動サーボブレーキシステムを構成することもできる。コントローラ1は、制動時にブレーキランプ3bを点灯させてもよい。
【0015】
コントローラ1は、電動パワーステアリング装置4を制御することによって車両Vの操舵を制御する。電動パワーステアリング装置4は、ステアリングホイールSTに対する運転者の運転操作(操舵操作)に応じて前輪を操舵する機構を含む。電動パワーステアリング装置4は、操舵操作のアシスト、又は、車両Vの前輪を自動操舵するための駆動力(操舵アシストトルクと表記することがある)を発揮する駆動ユニット4aを備える。駆動ユニット4aは駆動源としてモータを備える。また、電動パワーステアリング装置4は、操舵角を検知する操舵角センサ4bや、運転者が負担する操舵トルク(操舵負担トルクと呼び、操舵アシストトルクと区別する。)を検知するトルクセンサ4c等を含む。
【0016】
コントローラ1は、車両Vの後輪に設けられている電動パーキングブレーキ装置3cを制御する。電動パーキングブレーキ装置3cは、後輪をロックする機構を備える。コントローラ1は電動パーキングブレーキ装置3cによる後輪のロック及びロック解除を制御可能である。
【0017】
コントローラ1は、車内に情報を報知する情報出力装置5を制御する。情報出力装置5は、例えば、運転者に対して画像により情報を報知する表示装置5a、及び/又は、運転者に対して音声により情報を報知する音声出力装置5bを含む。表示装置5aは、例えばインストルメントパネルに設けられた表示装置や、ステアリングホイールSTに設けられた表示装置が含まれる。また、表示装置5aはヘッドアップディスプレイを含んでもよい。情報出力装置5は、乗員に対して振動や光により情報を報知してもよい。
【0018】
コントローラ1は、入力装置6を介して乗員(例えば運転者)からの指示入力を受け付ける。入力装置6は、運転者が操作可能な位置に配置され、例えば、運転者が車両Vに対して指示を行うスイッチ群6a、及び/又は、方向指示器(ウィンカ)を作動させるウィンカレバー6bを含む。
【0019】
コントローラ1は、車両Vの現在位置及び進路(姿勢)を認識・判定する。本実施形態の場合、車両Vには、ジャイロセンサ7aと、GNSS(Global Navigation Satellite System)センサ7bと、通信装置7cとが設けられる。ジャイロセンサ7aは、車両Vの回転運動(ヨーレート)を検知する。GNSSセンサ7bは、車両Vの現在位置を検知する。また、通信装置7cは、地図情報や交通情報を提供するサーバと無線通信を行い、これらの情報を取得する。本実施形態の場合、コントローラ1は、ジャイロセンサ7a及びGNSSセンサ7bの検知結果に基づいて車両Vの進路を判定するとともに、当該進路に関する地図情報を、通信装置7cを介してサーバから逐次取得してデータベース7d(記憶デバイス)に格納する。車両Vには、車両Vの加速度を検知する加速度センサなど、車両Vの状態を検知するための他のセンサが設けられてもよい。
【0020】
コントローラ1は、車両Vに設けられた各種の検知ユニットの検知結果に基づいて車両Vの運転支援を実行する。車両Vには、車両Vの外部(周囲状況)を検知する外界センサである周囲検知ユニット8a~8bと、車内の状況(乗員(特に運転者)の状態)を検知する車内センサである車内検知ユニット9a~9bとが設けられている。コントローラ1は、周囲検知ユニット8a~8bの検知結果に基づいて車両Vの周囲状況を把握し、当該周囲状況に応じて運転支援を実行することができる。また、コントローラ1は、車内検知ユニット9a~9bの検知結果に基づいて、運転支援を実行する際に運転者に課される所定の動作義務を運転者が行っているか否かを判定することができる。
【0021】
周囲検知ユニット8aは、車両Vの前方を撮影する撮像装置であり(以下、前方カメラ8aと表記することがある)、例えば車両Vのルーフ前部におけるフロントウィンドウの車室内側に取り付けられる。コントローラ1は、前方カメラ8aで撮影された画像を解析することにより、物標の輪郭抽出や道路上の車線の区画線(白線等)を抽出することができる。
【0022】
周囲検知ユニット8bは、ミリ波レーダであり(以下、レーダ8bと表記することがある)、電波を用いて車両Vの周囲の物標を検知し、物標までの距離や、車両Vに対する物標の方向(方位)を検知(計測)する。
図1に示す例では、レーダ8bは5つ設けられており、車両Vの前部の中央に1つ、前部の左右の各隅部に1つずつ、後部の左右の各隅部に1つずつ設けられている。
【0023】
車両Vに設けられる周囲検知ユニットは、上記の構成に限られず、カメラの数及びレーダの数を変更してもよいし、車両Vの周囲の物標を検知するライダ(LIDAR:Light Detection and Ranging)が設けられてもよい。
【0024】
車内検知ユニット9aは、車内を撮影する撮像装置であり(以下、車内カメラ9aと表記することがある)、例えば車内Vのルーフ前部における車室内側に取り付けられる。本実施形態の場合、車内カメラ9aは、運転者(例えば運転者の目や顔)を撮影するドライバーモニタカメラである。コントローラ1は、車内カメラ9aで撮影された画像(運転者の顔画像)を解析することにより、運転者の視線や顔の向きを判定することができる。
【0025】
車内検知ユニット9bは、運転者によるステアリングホイールSTの把持を検知する把持センサであり(以下、把持センサ9bと表記することがある)、例えばステアリングホイールSTの少なくとも一部に設けられる。車内検知ユニットとしては、運転者の操舵トルクを検知するトルクセンサ4cが用いられてもよい。
【0026】
運転者に対する車両Vの運転支援としては、例えば、加減速支援と車線維持支援と車線変更支援とが含まれる。加減速支援は、コントローラ1が周囲検知ユニット8の検知結果や地図情報に基づきパワーユニット2及び油圧装置3を自動制御することにより、所定の車速内で車両Vの加減速を自動的に制御する運転支援(ACC:Adaptive Cruise Control)である。ACCでは、先行車がある場合、先行車との車間距離を保つように車両Vの加減速を行うことも可能である。ACCにより運転者は加減速操作(アクセルペダルAPやブレーキペダルBPに対する操作)の操作負担が軽減される。
【0027】
車線維持支援は、コントローラ1が周囲検知ユニット8の検知結果や地図情報に基づき電動パワーステアリング装置4を自動制御することにより、車両Vを車線の内側に維持させる運転支援(LKAS:Lane Keeping Assist System)である。LKASにより運転者は車両Vの直進中に操舵操作(ステアリングホイールSTに対する操作)の操作負担が軽減される。
【0028】
車線変更支援は、コントローラ1が周囲検知ユニット8の検知結果や地図情報に基づきパワーユニット2、油圧装置3及び電動パワーステアリング装置4を自動制御することにより、隣接車線へ車両Vの走行車線を自動的に変更する運転支援(ALC:Auto Lane Changing、ALCA:Active Lane Change Assist)である。ALCはシステム要求に基づく車線変更支援であり、ALCAは乗員要求に基づく車線変更支援である。システム要求としては、例えば、目的地へ車両Vの経路誘導を行うナビゲーションシステムが車両Vの車線変更を要求した場合や、経路誘導の有無を問わず、先行車を追い越す場合を挙げることができる。乗員要求を行う場合、運転者は入力装置(例えばウィンカレバー6b)を操作することにより車線変更を指示する。ALC又はACLAにより運転者は車線変更時における車両Vの加減速操作及び操舵操作の操作負担が軽減される。
【0029】
運転支援制御の他の例としては、例えば、油圧装置3を制御することにより道路上の物標(例えば歩行者、他車両或いは障害物)との衝突回避を支援する衝突軽減ブレーキ、ABS機能、トラクションコントロール、及び/又は、車両Vの姿勢制御を含んでもよい。
【0030】
一部の実施形態において、コントローラ1は、運転支援内容が異なる3つのモード1~3のうち、1つのモードを選択的に実行する。モードは状態と呼ばれてもよい。以下では、運転支援としてACC、LKAS、ALC又はACLAが提供される場合について説明するが、各モード1~3の運転支援内容はACC、LKAS、ALC又はACLAに限られるものではなく、他の運転支援内容を含んでもよい。また、ALCとACLAはいずれか一方のみであってもよい。
【0031】
モード1は、ACC、LKAS、ALC及びACLAのいずれも実行されない手動運転モードであり、運転者の手動運転操作を基調とするモードである。車両Vの起動時に最初に設定されるモードである。
【0032】
モード2及びモード3は、モード1において乗員が運転支援指示を行ったことを条件として設定されるモードである。モード2は、ACC及びLKASが実行可能な通常支援モードである。モード2ではALC及びACLAは実行されない。
【0033】
モード3はACC、LKAS、ALC及びACLAのいずれもが実行可能な拡張支援モードである。拡張支援モードは、AHD(Advanced Highway Driving)モードとも呼ばれうる。モード3は、車両Vが走行する道路(走行路)の情報を含む高精度地図情報をコントローラ1が取得していることを前提としたモードである。高精度地図情報は、目的地への経路誘導に用いられる地図情報(通常地図情報と呼ぶ場合がある)よりも、道路情報について精度の高い情報を有する地図情報である。具体的に、高精度地図情報は、少なくとも車線内の位置情報を有してもよい。これは車両Vの車幅方向の位置を制御することに使用可能である。高精度地図情報は、カーブの有無や曲率、車線の増減、勾配など、道路の詳細な形状に関する情報をさらに含んでもよい。高精度地図情報は、例えば、地域或いは道路の区間毎に用意されており、高精度地図情報が配備されていない地域或いは道路の区間が存在し得る。
【0034】
モード3では、この高精度地図情報を用いることで車線変更支援(ALC及びACLA)を行う。高精度地図情報に含まれる車線内の位置情報と、GNSSセンサ7bで検知した車両Vの現在位置とを活用し、検知ユニット8a~8bの外界検知結果から周辺の他車両を認識しつつ、信頼性の高い、スムーズな車線変更支援を行うことができる。車線変更支援は、高精度地図情報を用いずに行われてもよい。
【0035】
モード2及びモード3は、いずれもACC及びLKASを実行可能なモードであるが、モード3では高精度地図情報を用いたACC、LKASを実行可能である。コントローラ1は、高精度地図情報から車両Vの進行先の道路情報を先取りして、車両Vの加減速や左右方向の位置制御を行うことができ、より信頼性の高い、スムーズなACC、LKASを乗員に提供できる。
【0036】
上述のモード2及びモード3に係る運転支援機能のような車両制御機能は、車両制御機能の提供者(例えば、車両Vの製造者)が車両Vのユーザに車両制御機能の使用権限を付加することによって実行可能になってもよい。車両Vのユーザは、車両Vの搭乗している場合に、車両Vの乗員と呼ばれうる。また、車両Vのユーザは、車両Vを運転している場合に、車両Vの運転者と呼ばれうる。以下の説明において、車両Vのユーザのことを単にユーザと表す。車両制御機能の使用権限は、例えば、ユーザが、車両Vの使用開始後に、車両制御機能の提供者と契約を結ぶことによって付与されてもよい。
図2を参照して、使用権限を必要とする車両制御機能を提供するための機能提供システム200の構成例について説明する。
【0037】
機能提供システム200は、例えば、車両Vと、ユーザ管理サーバ201と、地図配信サーバ202と、ユーザ装置203とを含んでもよい。
図2の例では、1台の車両Vのみを示しているが、機能提供システム200は複数の車両を含んでもよい。同様に、機能提供システム200は、複数のユーザ装置203を含んでもよい。車両Vと、ユーザ管理サーバ201と、地図配信サーバ202と、ユーザ装置203とは、ネットワーク204を通じて通信可能であってもよい。ネットワーク204は、ローカルエリアネットワーク(LAN)、広域ネットワーク(WAN)、インターネット、セルラーネットワーク、又はこれらの任意の組み合わせを含んでもよい。車両Vとネットワーク204との間の通信は典型的に無線通信である。
【0038】
ユーザ管理サーバ201は、ユーザの情報を管理する。例えば、ユーザ管理サーバ201は、ユーザからの要求に応じて、ユーザに車両制御機能の使用権限を付与してもよい。使用権限を付与することの要求は、ユーザによってユーザ装置203を用いて行われてもよい。ユーザ装置203は、ユーザによって使用される装置であり、例えばパーソナルコンピュータ、携帯電話、スマートフォン、タブレットコンピュータなどであってもよい。使用権限を付与することの要求は、ユーザによって車両Vを用いて行われてもよい。
【0039】
使用権限を付与することの要求は、ユーザのアカウント情報と、車両制御機能を実行可能にする対象の車両(例えば、車両V)の識別情報とを含んでもよい。ユーザのアカウント情報は、ユーザ管理サーバ201がユーザを一意に識別するための情報である。車両の識別情報は、VIN(Vehicle Identification Number)であってもよい。使用権限を付与することの要求は、使用権限を付与する対象の車両制御機能の種類の指定を含んでもよい。使用権限を付与する対象の車両制御機能は、上述のAHD全体であってもよいし、そのうちの一部の機能(例えば、ALC又はALCA)であってもよいし、他の運転支援機能であってもよいし、運転支援機能以外の機能であってもよい。
【0040】
ユーザ管理サーバ201は、ユーザからの要求に応じて、ユーザによって指定された車両(例えば、車両V)に対して、ユーザによって指定された車両制御機能の使用権限をユーザに付与する。使用権限の付与は、有償で行われてもよいし、無償で行われてもよい。ユーザ管理サーバ201は、使用権限に有効期限を設定してもよい。有効期限が徒過した場合に、使用権限は解除される。ユーザは、有効期限が切れる前に使用権限を更新することによって、有効期限を延長できてもよい。ユーザ管理サーバ201は、管理対象の各ユーザについて、ユーザのアカウント情報と、車両の識別情報と、ユーザが使用権限を有する車両制御機能と、使用権限の有効期限(設定されている場合)とを関連付けて記憶してもよい。
【0041】
車両V(具体的に、そのコントローラ1、以下同様)は、ユーザが特定の車両制御機能の使用権限を有するかどうかをサーバに問い合わせてもよい。この問い合わせは、ユーザのアカウント情報と、車両Vの識別情報とを含んでもよい。ユーザ管理サーバ201は、ユーザのアカウント情報と車両Vの識別情報とを含む問い合わせを受信したことに応じて、自身が管理するユーザ情報を参照して、これらの情報に関連付けられた使用権限をユーザが有するかどうかを判定する。ユーザが使用権限を有する場合に、ユーザ管理サーバ201は、ユーザが使用権限を有する車両制御機能を示す情報を車両Vへ送信する。この使用権限に有効期限が設定されている場合に、ユーザ管理サーバ201は、この有効期限も車両Vへ送信する。ユーザが使用権限を有していない場合に、ユーザ管理サーバ201は、ユーザが使用権限を有する車両制御機能がないことを示す情報を車両Vへ送信してもよい。このようにして、車両Vは、ユーザ管理サーバ201から、ユーザが特定の車両制御機能の使用権限を有しているかどうかを示す情報と、設定されているならば有効期限とを取得する。車両Vは、これらの情報を記憶し、後続の処理に使用してもよい。
【0042】
車両Vは、車両Vの状態を示す情報をユーザ管理サーバ201へ送信してもよい。車両Vの状態を示す情報は、例えば車両Vで発生している故障に関する情報を含んでもよい。ユーザ管理サーバ201は、車両Vの状態を示す情報を用いて、ユーザ装置203への通知を行ってもよい。例えば、ユーザ管理サーバ201は、車両Vで障害が発生していることを示す情報を車両Vから受信した場合に、そのことをユーザ装置203へ通知してもよい。
【0043】
地図配信サーバ202は、車両Vが特定の車両制御機能を実行するために使用される情報を提供するサーバの一例である。地図配信サーバ202は、このような情報として、地図情報(例えば、上述のような高精度地図情報)を提供してもよい。地図配信サーバ202は、ユーザが地図情報を使用する使用権限を有することに少なくとも基づいて、車両Vに地図情報を提供してもよい。
【0044】
例えば、車両Vは、地図配信サーバ202から地図情報を取得するために、ユーザが地図情報の使用権限を有することを示す情報を地図配信サーバ202へ送信してもよい。この情報は、ユーザ管理サーバ201によって提供されたトークンであってもよい。地図配信サーバ202は、ユーザが地図情報の使用権限を有すると判定した場合に、車両Vに地図情報を送信してもよい。
【0045】
図3を参照して、車両Vのコントローラ1が特定の車両制御機能の実行を開始するための方法の例について説明する。
図3の方法の各工程は、コントローラ1のプロセッサがコントローラ1のメモリに記憶されているプログラムを実行することによって行われてもよい。これに代えて、
図3の方法の工程の一部又は全部は、特定用途向け集積回路(ASIC)のような専用の集積回路によって実行されてもよい。
【0046】
図3の方法は、車両Vの電源(例えば、イグニッション電源)がオンになったことに応じて開始されてもよい。さらに、
図3の方法は、ユーザが自身のアカウント情報を使用して車両Vにログインしたことに応じて開始されてもよい。例えば、ユーザは、入力装置6に自身のアカウント情報を入力してもよい。コントローラ1は、ユーザによって入力されたアカウント情報が、車両Vに登録されているアカウント情報に一致するかどうかを判定してもよい。これらのアカウント情報が一致する場合に、コントローラ1は、一致したアカウント情報を使用して後続の処理を実行してもよい。これによって、使用権限を有するユーザ以外の人物が車両Vを使用する場合に、車両制御機能が実行されることを抑制できる。
【0047】
S301で、コントローラ1は、特定の車両制御機能を実行することの指示をユーザから受けたかどうかを判定する。コントローラ1は、特定の車両制御機能を実行することの指示をユーザから受けたと判定された場合(S301で「YES」)に処理をS302に遷移し、それ以外の場合(S301で「NO」)にS301を繰り返す。このようにして、コントローラ1は、特定の車両制御機能を実行することの指示を待機する。特定の車両制御機能は、例えば車両Vの運転支援機能であってもよく、例えば上述のようなACC、LKAS、ALC、ACLA、又はこれらの組み合わせであってもよい。
【0048】
S302で、コントローラ1は、指示された車両制御機能の使用権限をユーザが有するかどうかを判定する。コントローラ1は、指示された車両制御機能の使用権限をユーザが有すると判定された場合(S302で「YES」)に処理をS303に遷移し、それ以外の場合(S302で「NO」)にS307に遷移する。指示された車両制御機能の使用権限をユーザが有していないと判定された場合に、コントローラ1は、S307において、指示された車両制御機能を実行できないことをユーザに通知する。さらに、コントローラ1は、ユーザが権限を有していないことをユーザに通知してもよい。この場合に、コントローラ1は、権限を取得するための方法(例えば、使用契約の申込み方法)をユーザに案内してもよい。
【0049】
コントローラ1は、特定の車両制御機能の使用権限をユーザが有するかどうかを示す情報を、S301が実行される前にユーザ管理サーバ201から取得し、コントローラ1のメモリに記憶してもよい。例えば、コントローラ1は、車両Vのイグニッション電源がオンになったことに応じて、特定の車両制御機能の使用権限をユーザが有するかどうかの問い合わせをユーザ管理サーバ201へ送信してもよい。コントローラ1は、使用権限の有効期限が徒過している場合に、ユーザが使用権限を有していないと判定してもよい。特定の車両制御機能を実現するためのプログラムは、車両Vに事前に(例えば、車両Vの製造時に)記憶されていてもよいし、この機能の使用権限がユーザに付与された後に車両Vにダウンロードされてもよい。
【0050】
S303で、コントローラ1は、コントローラ1が個人情報を使用することに関してユーザが同意しているかどうかを判定する。コントローラ1は、個人情報の使用に関してユーザが同意していると判定された場合(S303で「YES」)に処理をS304に遷移し、それ以外の場合(S303で「NO」)にS307に遷移する。個人情報の使用に関してユーザが同意していることが確認できなかった場合に、コントローラ1は、S307において、指示された車両制御機能を実行できないことをユーザに通知する。さらに、コントローラ1は、個人情報の使用に関してユーザが同意していることが確認できなかったことをユーザに通知してもよい。この場合に、コントローラ1は、個人情報の使用に関して同意するための方法をユーザに案内してもよい(例えば、個人情報の使用に関して同意するための画面をユーザに提示してもよい)。
【0051】
個人情報の使用に関する同意は、車両Vに対して行われてもよく、コントローラ1は同意があったことをメモリに記憶し、後続の処理に使用してもよい。これに代えて又はこれに加えて、個人情報の使用に関する同意は、ユーザ装置203を通じて、ユーザ管理サーバ201に対して行われてもよい。コントローラ1は、ユーザが個人情報の使用に関して同意していることを示す情報をユーザ管理サーバ201から取得し、後続の処理のためのメモリに記憶してもよい。
【0052】
車両制御機能の内容によっては、ユーザの個人情報が使用される。例えば、上述のような高精度地図情報を使用する場合に、車両Vの現在位置が地図配信サーバ202に提供される。車両Vの現在位置はユーザの現在位置に一致するため、個人情報に該当しうる。また、車内カメラ9aによって撮影されるユーザの画像も個人情報に該当しうる。このような個人情報を使用するために、国によっては、法規によってユーザの同意が必要となりうる。指示された車両制御機能が個人情報を使用しない場合に、S303は省略されてもよい。個人情報を使用するためにユーザの同意を要求する法規を有していない国で車両Vが使用される場合に、S303は省略されてもよい。
【0053】
S304で、コントローラ1は、指示された車両制御機能の実行を可能にすることがユーザによって事前に設定されているかどうかを判定する。コントローラ1は、指示された車両制御機能の実行を可能にすることがユーザによって事前に設定されていると判定された場合(S304で「YES」)に処理をS305に遷移し、それ以外の場合(S304で「NO」)にS307に遷移する。指示された車両制御機能の実行を可能にすることがユーザによって事前に設定されていないと判定された場合に、コントローラ1は、S307において、指示された車両制御機能を実行できないことをユーザに通知する。さらに、コントローラ1は、指示された車両制御機能の実行を可能にすることが設定されていないことをユーザに通知してもよい。この場合に、コントローラ1は、指示された車両制御機能の実行を可能にすることを設定するための方法をユーザに案内してもよい(例えば、指示された車両制御機能の実行を可能にすることを設定するための画面をユーザに提示してもよい)。
【0054】
指示された車両制御機能の実行を可能にすることが設定されているかどうかを示す情報は、コントローラ1のメモリに記憶されていてもよく、コントローラ1のプロセッサはこの情報を参照してもよい。ユーザは、S301において、特定の車両制御機能を実行することの指示を意図せずに行ってしまう(例えば、指示するためのボタンに誤って触れてしまうこと)ことがありうる。そこで、コントローラ1は、特定の車両制御機能の実行を可能にすることがユーザによって事前に設定されていることを、この機能を実行するための前提条件としうる。このような前提条件が不要な場合に、S304は省略されてもよい。
【0055】
S305で、コントローラ1は、指示された車両制御機能が実行可能な状態であるかどうかを判定する。コントローラ1は、指示された車両制御機能が実行可能な状態であると判定された場合(S305で「YES」)に処理をS306に遷移し、それ以外の場合(S305で「NO」)にS307に遷移する。指示された車両制御機能が実行可能な状態でないと判定された場合に、コントローラ1は、S307において、指示された車両制御機能を実行できないことをユーザに通知する。さらに、コントローラ1は、指示された車両制御機能が実行可能な状態でないことをユーザに通知してもよい。
【0056】
例えば、指示された車両制御機能が高精度地図情報を必要とし、高精度地図情報を使用可能な状態でない場合に、コントローラ1は、この機能が実行可能な状態でないと判定してもよい。指示された車両制御機能が特定の走行環境(例えば、高速道路)のみで実行可能であり、車両Vがそのような走行環境にない場合に、コントローラ1は、この機能が実行可能な状態でないと判定してもよい。指示された車両制御機能がセンサ(例えば、レーダ)の初期チェックを必要とし、このような初期チェックが完了していない場合に、コントローラ1は、この機能が実行可能な状態でないと判定してもよい。
【0057】
S306で、コントローラ1は、指示された車両制御機能を実行する。その後、コントローラ1は、車両制御機能に従って車両Vを制御する。ユーザの指示に応じて又は走行環境の変化に応じて車両制御機能が終了された場合に、コントローラ1は、
図3の方法を再び実行し、特定の車両制御機能を実行することの指示を待機してもよい。指示された車両制御機能は、地図配信サーバ202によって提供される地図情報を使用してもよい。コントローラ1は、車両制御機能を実行中に、地図配信サーバ202から地図情報を受信してもよい。
【0058】
上述のS302の判定(すなわち、指示された車両制御機能の使用権限をユーザが有するかどうかの判定)は、車両Vの記憶装置(例えば、コントローラ1のメモリ)に記憶されている権限情報に基づいて行われてもよい。権限情報とは、ユーザが特定の車両制御機能の使用権限を有するかどうかを示す情報のことであってもよい。以下の説明において、車両Vの記憶装置に記憶されている権限情報を内部権限情報と呼ぶ。例えば、コントローラ1は、ユーザが使用権限を有することを内部権限情報が示す場合に、S302で「YES」と判定し、ユーザが使用権限を有していないことを内部権限情報が示す場合に、S302で「NO」と判定してもよい。したがって、
図3で上述したように、コントローラ1は、ユーザが使用権限を有することを内部権限情報が示すことに少なくとも部分的に基づいて、特定の車両制御機能を実行してもよい。これによって、コントローラ1は、S301において指示を受けた時点でユーザ管理サーバ201と通信できない場合であっても、S302~S305の条件を満たすことによって、特定の車両制御機能を実行できる。
【0059】
コントローラ1は、ユーザ管理サーバ201から受信した権限情報に基づいて、内部権限情報を更新してもよい。以下の説明において、ユーザ管理サーバ201から受信した権限情報を外部権限情報と呼ぶ。外部権限情報とは、ユーザが特定の車両制御機能の使用権限を有するかどうかを示す情報であって、ユーザ管理サーバ201によって管理される情報のことであってもよい。ユーザ管理サーバ201は、ユーザからの要求に応じてユーザに使用権限を付与したことに応じて、ユーザが使用権限を有することを示すように外部権限情報を更新してもよい。ユーザ管理サーバ201は、ユーザからの要求に応じて、又は使用権限の有効期限が徒過したことに応じて、ユーザの使用権限を解除し、ユーザが使用権限を有していないことを示すように外部権限情報を更新してもよい。
【0060】
図4を参照して、車両Vのコントローラ1が内部権限情報を管理するための方法の例について説明する。
図4の方法の各工程は、コントローラ1のプロセッサがコントローラ1のメモリに記憶されているプログラムを実行することによって行われてもよい。これに代えて、
図4の方法の工程の一部又は全部は、ASICのような専用の集積回路によって実行されてもよい。
図4の方法は、車両Vの電源(例えば、イグニッション電源)がオンになったことに応じて開始されてもよい。
図4の方法の開始前に、内部権限情報に初期値が設定されていてもよい。初期値は、ユーザが使用権限を有していないことを示してもよい。
【0061】
S401で、コントローラ1は、ユーザ管理サーバ201から外部権限情報を受信したかどうかを判定する。コントローラ1は、ユーザ管理サーバ201から外部権限情報を受信したと判定された場合(S401で「YES」)に処理をS402に遷移し、それ以外の場合(S401で「NO」)に処理をS406に遷移する。コントローラ1は、所定のタイミングで外部権限情報をユーザ管理サーバ201に問い合わせてもよく、この問い合わせの応答として、外部権限情報を受信してもよい。例えば、コントローラ1は、車両Vの電源(例えば、イグニッション電源)がオンになったことに応じて外部権限情報を問い合わせてもよいし、定期的に外部権限情報を問い合わせてもよいし、使用権限の有効期限の満了まで所定の長さ(例えば、3日間)であることに応じて外部権限情報を問い合わせてもよい。
【0062】
ユーザ管理サーバ201は、主体的に(すなわち、車両Vからの問い合わせによらずに)外部権限情報を車両Vへ送信し、車両Vがこの外部権限情報を受信してもよい。ユーザ管理サーバ201は、外部権限情報を定期的に車両Vに送信してもよいし、外部権限情報が更新されたことに応じて(例えば、ユーザに使用権限を付与したことに応じて、又はユーザの使用権限を解除したことに応じて)外部権限情報を車両Vに送信してもよい。
【0063】
S402で、コントローラ1は、S401で受信した外部権限情報と、内部権限情報とが一致するかどうかを判定する。コントローラ1は、外部権限情報と内部権限情報とが一致すると判定された場合(S402で「YES」)に処理をS401に遷移し、それ以外の場合(S402で「NO」)に処理をS403に遷移する。外部権限情報と内部権限情報とが一致する場合に、内部権限情報を更新する必要がないため、コントローラ1は、S401に遷移し、新たな外部権限情報の受信を待機する。
【0064】
S403で、コントローラ1は、ユーザが使用権限を有していないことを外部権限情報が示すかどうかを判定する。コントローラ1は、ユーザが使用権限を有していないことを外部権限情報が示すと判定された場合(S403で「YES」)に処理をS404に遷移し、それ以外の場合(S403で「NO」)に処理をS405に遷移する。
【0065】
ユーザが使用権限を有することを外部権限情報が示し、ユーザが使用権限を有していないことを内部権限情報が示す場合に、S405で、コントローラは、ユーザが使用権限を有することを示すように、内部権限情報を更新する。このような使用権限を付与する更新は、S404を実行することなく即座に実行されてもよい。
【0066】
S404で、コントローラ1は、車両Vが走行中であるかどうかを判定する。コントローラ1は、車両Vが走行中であると判定された場合(S404で「YES」)にS404を繰り返し、それ以外の場合(S404で「NO」)に処理をS405に遷移する。コントローラ1は、車両Vが走行中である場合に、車両Vの走行が終了するまで、S405への遷移を待機する。
【0067】
コントローラ1は、車両Vの速度がゼロになったことと、車両Vのシフトポジションがパーキングレンジになったことと、車両Vのパーキングブレーキが作動したことと、車両Vの電源(例えば、イグニッション電源)がオフになったことと、との少なくとも1つに基づいて、車両Vの走行が終了したかどうかを判定してもよい。これらの条件は任意に組み合わされてもよい。例えば、コントローラ1は、車両Vのシフトポジションがパーキングレンジになり、かつ車両Vのパーキングブレーキが作動したことに基づいて、車両Vの走行が終了したと判定してもよい。
【0068】
ユーザが使用権限を有していないことを外部権限情報が示し、ユーザが使用権限を有することを内部権限情報が示す場合に、S405で、コントローラは、ユーザが使用権限を有していないことを示すように、内部権限情報を更新する。このように、コントローラ1は、車両Vの走行が終了するまで、使用権限を解除する更新を待機してもよい。これによって、特定の車両制御機能を走行中に実行できなくなったことに起因してユーザが戸惑うことを抑制できる。
【0069】
S406で、コントローラ1は、外部権限情報を受信できなかったことがユーザの行為に起因するかどうかを判定する。コントローラ1は、外部権限情報を受信できなかったことがユーザの行為に起因すると判定された場合(S406で「YES」)に処理をS404に遷移し、それ以外の場合(S406で「NO」)に処理をS401に遷移する。
【0070】
上述のように、ユーザが使用権限を有するかどうかの判定は内部権限情報に基づいて行われ、内部権限情報は外部権限情報に基づいて更新される。そのため、ユーザ管理サーバ201によって使用権限が解除されたとしても、コントローラ1が外部権限情報を受信できなければ、ユーザが車両制御機能を使用し続けることができてしまう。そこで、一部の実施形態では、外部権限情報を受信できなかったことがユーザの行為に起因する場合に、コントローラ1は、S404以降の処理を実行する。すなわち、コントローラ1は、ユーザが使用権限を有していないことを示すように、内部権限情報を更新する。一方、外部権限情報を受信できなかったことがユーザの行為に起因しない場合に、コントローラ1は、処理をS401に遷移し、新たな外部権限情報の受信を待機する。
【0071】
外部権限情報を受信できないようにするためのユーザの行為は、ユーザ管理サーバ201に個人情報を提供することに同意しないことと、車両Vの通信装置7cを通信圏外の状態にすることと、の少なくとも1つを含んでもよい。例えば、ユーザ管理サーバ201は、車両Vからユーザの個人情報を取得したことに応じて外部権限情報を車両Vに提供してもよい。このような場合に、コントローラ1が個人情報をユーザ管理サーバ201へ送信できなければ、コントローラ1は外部権限情報を受信できない。そこで、コントローラ1は、ユーザ管理サーバ201に個人情報を提供することに同意しない状態が所定の期間(例えば、1週間や1か月)継続した場合に、S406で「YES」と判定してもよい。ユーザ管理サーバ201へ送信される個人情報は、ユーザのアカウント情報、車両Vの識別情報(例えば、VIN)などを含んでもよい。
【0072】
ユーザ管理サーバ201は、車両Vの通信装置7cが通信圏外である状態が所定の期間(例えば、1週間や1か月)継続した場合に、S406で「YES」と判定してもよい。このような事態は、ユーザが通信装置7cを手動でオフにしたり、通信のサービス範囲外で車両Vを使用し続けたりすることによって生じうる。
【0073】
上述の
図4の方法において、S403及びS404は省略されてもよい。この場合に、コントローラ1は、S402で「NO」と判定された場合に、処理をS405に遷移してもよい。上述の
図4の方法において、S406は省略されてもよい。この場合に、コントローラ1は、S401で「NO」と判定された場合に、S401を繰り返してもよい。
【0074】
<実施形態のまとめ>
<項目1>
車両(V)の制御装置(1)であって、
前記車両のユーザが特定の車両制御機能の使用権限を有するかどうかを示す第1権限情報をサーバ(201)から受信する受信手段(1)と、
前記ユーザが前記特定の車両制御機能の使用権限を有するかどうかを示す第2権限情報であって、前記車両の記憶装置に記憶されている第2権限情報を、前記第1権限情報に基づいて更新する更新手段(1)と、
前記ユーザが前記使用権限を有することを前記第2権限情報が示すことに少なくとも部分的に基づいて、前記車両制御機能を実行する車両制御手段(1)と、を備える、制御装置。
この項目によれば、サーバにアクセスできない場合であっても、記憶装置に記憶された権限情報を参照して車両制御機能を実行できるため、車両制御機能の利便性が向上する。
<項目2>
前記更新手段は、前記ユーザが前記使用権限を有していないことを前記第1権限情報が示す場合に、前記車両の走行が終了するまで、前記第2権限情報の更新を待機する、項目1に記載の制御装置。
この項目によれば、車両の走行中に使用権限が解除されることがないため、ユーザの戸惑いを抑制できる。
<項目3>
前記更新手段は、前記車両の速度がゼロになったことと、前記車両のシフトポジションがパーキングレンジになったことと、前記車両のパーキングブレーキが作動したことと、前記車両の電源がオフになったことと、との少なくとも1つに基づいて、前記車両の走行が終了したかどうかを判定する、項目2に記載の制御装置。
この項目によれば、車両の走行終了を適切に判定できる。
<項目4>
前記更新手段は、前記ユーザの行為に起因して前記第1権限情報を前記サーバから受信できないことに基づいて、前記ユーザが前記使用権限を有していないことを示すように前記第2権限情報を更新する、項目2に記載の制御装置。
この項目によれば、使用権限を有していないユーザによる車両制御機能の使用を抑制できる。
<項目5>
前記ユーザの前記行為は、前記サーバに個人情報を提供することに同意しないことと、前記車両の通信装置を通信圏外の状態にすることと、の少なくとも1つを含む、項目4に記載の制御装置。
この項目によれば、権限情報をサーバから受信できないことがユーザの行為に起因するかどうかを適切に判定できる。
<項目6>
コンピュータを項目1乃至5の何れか1項に記載の制御装置の各手段として機能させるためのプログラム。
この項目によれば、上述の項目の制御装置を実現できるプログラムが提供される。
<項目7>
車両(V)の制御方法であって、
前記車両のユーザが特定の車両制御機能の使用権限を有するかどうかを示す第1権限情報をサーバ(201)から受信する受信工程(S401)と、
前記ユーザが前記特定の車両制御機能の使用権限を有するかどうかを示す第2権限情報であって、前記車両の記憶装置に記憶されている第2権限情報を、前記第1権限情報に基づいて更新する更新工程(S405)と、
前記ユーザが前記使用権限を有することを前記第2権限情報が示すことに少なくとも部分的に基づいて、前記車両制御機能を実行する車両制御工程(S306)と、を備える、制御方法。
この項目によれば、サーバにアクセスできない場合であっても、記憶装置に記憶された権限情報を参照して車両制御機能を実行できるため、車両制御機能の利便性が向上する。
【0075】
この項目によれば、個人情報の使用に関する同意を効率的に確認できる。
【0076】
発明は上記の実施形態に制限されるものではなく、発明の要旨の範囲内で、種々の変形・変更が可能である。
【符号の説明】
【0077】
V 車両、1 コントローラ、201 ユーザ管理サーバ、202 地図配信サーバ