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特開2024-146267機械学習装置、診断システム、機器及びプログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024146267
(43)【公開日】2024-10-15
(54)【発明の名称】機械学習装置、診断システム、機器及びプログラム
(51)【国際特許分類】
   F25B 49/02 20060101AFI20241004BHJP
【FI】
F25B49/02 570Z
【審査請求】有
【請求項の数】14
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023059064
(22)【出願日】2023-03-31
(71)【出願人】
【識別番号】000002853
【氏名又は名称】ダイキン工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(72)【発明者】
【氏名】土居 昭博
(72)【発明者】
【氏名】荒木 剛
(57)【要約】
【課題】流体搬送機及び流体関連機器を含む診断対象の診断をより容易に行う技術を提供すること。
【解決手段】制御部を有する機械学習装置であって、制御部は、診断対象に含まれ、診断対象の内部で流体を搬送する流体搬送機の第1の状態量を取得し、診断対象に含まれ、流体搬送機に接続される配管を含む流体関連機器の内部に通流する流体に関する第2の状態量を取得し、流体関連機器の状態を取得し、取得した流体搬送機の第1の状態量、流体関連機器の第2の状態量、及び流体関連機器の状態を関連付けて学習することにより上記課題を解決する。
【選択図】 図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
制御部を有する機械学習装置であって、
前記制御部は、
診断対象に含まれ、前記診断対象の内部で流体を搬送する流体搬送機の第1の状態量を取得し、
前記診断対象に含まれ、前記流体搬送機に接続される配管を含む流体関連機器の内部に通流する前記流体に関する第2の状態量を取得し、
前記流体関連機器の状態を取得し、
取得した前記流体搬送機の第1の状態量、前記流体関連機器の第2の状態量、及び前記流体関連機器の状態を関連付けて学習する
機械学習装置。
【請求項2】
前記制御部は、
前記流体搬送機の第1の状態量、前記流体関連機器の第2の状態量、及び前記流体関連機器の状態を教師データとして学習する
請求項1記載の機械学習装置。
【請求項3】
前記制御部は、
取得した前記流体関連機器の状態と、推論した前記流体関連機器の状態と、に基づいて報酬を算出し、
前記報酬を用いて学習する
請求項1記載の機械学習装置。
【請求項4】
前記制御部は、
前記学習の結果に基づき、新たに取得した前記流体搬送機の第1の状態量及び前記流体関連機器の第2の状態量から前記流体関連機器の状態を推論する
請求項1乃至3の何れか一項に記載の機械学習装置。
【請求項5】
制御部を有する機械学習装置であって、
前記制御部は、
診断対象に含まれ、前記診断対象の内部で流体を搬送する流体搬送機の第1の状態量を取得し、
前記診断対象に含まれ、前記流体搬送機に接続される配管を含む流体関連機器の内部に通流する前記流体に関する第2の状態量を取得し、
取得した前記流体搬送機の第1の状態量及び前記流体関連機器の第2の状態量を分類するように学習し、
前記学習の結果に基づき、新たに取得した前記流体搬送機の第1の状態量及び前記流体関連機器の第2の状態量を分類し、
前記分類の種類と前記流体関連機器の状態とを対応付ける情報の入力を受け付ける
機械学習装置。
【請求項6】
前記制御部は、
前記分類の種類と前記流体関連機器の状態とが対応付けられた情報を用いて、新たに取得した前記流体搬送機の第1の状態量及び前記流体関連機器の第2の状態量の前記分類の結果に基づき、前記分類の種類から前記流体関連機器の状態を推論する
請求項5記載の機械学習装置。
【請求項7】
制御部を有する機械学習装置であって、
前記制御部は、
診断対象に含まれ、前記診断対象の内部で流体を搬送する流体搬送機の第1の状態量を取得し、
前記診断対象に含まれ、前記流体搬送機に接続される配管を含む流体関連機器の内部に通流する前記流体に関する第2の状態量を取得し、
前記流体搬送機の第1の状態を取得し、
前記流体関連機器の第2の状態を取得し、
前記流体搬送機と前記流体関連機器の第3の状態を取得し、
取得した前記流体搬送機の第1の状態量及び前記流体搬送機の第1の状態を関連付けて第1の学習をし、
取得した前記流体関連機器の第2の状態量及び前記流体関連機器の第2の状態を関連付けて第2の学習をし、
前記第1の学習の結果、前記第2の学習の結果、及び前記流体搬送機と前記流体関連機器の第3の状態を関連付けて第3の学習をする
機械学習装置。
【請求項8】
前記制御部は、
前記第1の学習の結果に基づき、新たに取得した前記流体搬送機の第1の状態量から前記流体搬送機の第1の状態を推論し、
前記第2の学習の結果に基づき、新たに取得した前記流体関連機器の第2の状態量から前記流体関連機器の第2の状態を推論し、
前記第3の学習の結果に基づき、推論した前記流体搬送機の第1の状態及び前記流体関連機器の第2の状態から前記流体搬送機と前記流体関連機器の第3の状態を推論する
請求項7記載の機械学習装置。
【請求項9】
前記流体搬送機は、電動機、及び前記電動機により駆動される負荷である
請求項1、2、3、5、6、7、又は8の何れか一項に記載の機械学習装置。
【請求項10】
前記電動機により駆動される負荷は、圧縮機、ファン、又はポンプである
請求項9記載の機械学習装置。
【請求項11】
前記診断対象は、空気調和機、冷凍サイクル装置、流体機械、オイルコン、又はエアハンドリングユニットである
請求項1、2、3、5、6、7、又は8の何れか一項に記載の機械学習装置。
【請求項12】
請求項1、2、3、5、6、7、又は8の何れか一項に記載の機械学習装置を用いて、前記診断対象を診断する診断システム。
【請求項13】
請求項1、2、3、5、6、7、又は8の何れか一項に記載の機械学習装置を用いて前記流体関連機器の状態又は前記流体搬送機と前記流体関連機器の第3の状態を診断する機器。
【請求項14】
機械学習装置が有する制御部に、
診断対象に含まれ、前記診断対象の内部で流体を搬送する流体搬送機の第1の状態量を取得し、
前記診断対象に含まれ、前記流体搬送機に接続される配管を含む流体関連機器の内部に通流する前記流体に関する第2の状態量を取得し、
前記流体関連機器の状態を取得し、
取得した前記流体搬送機の第1の状態量、前記流体関連機器の第2の状態量、及び前記流体関連機器の状態を関連付けて学習する
処理を実行させるためのプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、機械学習装置、診断システム、機器及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、診断対象の複数の状態量について、多変量解析を適用して診断対象の異常に関する診断を行う技術が知られている(特許文献1参照)。
【0003】
特許文献1では、診断対象に関する複数の状態量のマハラノビス距離を算出し、マハラノビス距離と閾値との比較により異常の有無を診断している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許第4265982号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1の手法では複数の状態量による多変量解析を行い、診断対象の正常な状態に対応する基準空間又は異常な状態に対応する異常空間の閾値を個別に設定していく必要がある。例えば機器などの診断対象の構成が変わると、診断対象の状態が変わることから、その都度、診断対象に熟知した技術者が基準空間と異常空間の閾値を変更する必要があり、時間や手間が掛かるという問題があった。
【0006】
本開示は、流体搬送機及び流体関連機器を含む診断対象の診断をより容易に行う技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示の第1の態様は、制御部を有する機械学習装置であって、前記制御部は、診断対象に含まれ、前記診断対象の内部で流体を搬送する流体搬送機の第1の状態量を取得し、前記診断対象に含まれ、前記流体搬送機に接続される配管を含む流体関連機器の内部に通流する前記流体に関する第2の状態量を取得し、前記流体関連機器の状態を取得し、取得した前記流体搬送機の第1の状態量、前記流体関連機器の第2の状態量、及び前記流体関連機器の状態を関連付けて学習する。
【0008】
本開示の第1の態様によれば、流体搬送機及び流体関連機器を含む診断対象の診断をより容易に行う技術を提供することができる。
【0009】
本開示の第2の態様は、第1の態様の機械学習装置であって、前記制御部は、前記流体搬送機の第1の状態量、前記流体関連機器の第2の状態量、及び前記流体関連機器の状態を教師データとして学習する。
【0010】
本開示の第3の態様は、第1の態様の機械学習装置であって、前記制御部は、取得した前記流体関連機器の状態と、推論した前記流体関連機器の状態と、に基づいて報酬を算出し、前記報酬を用いて学習する。
【0011】
本開示の第4の態様は、第1の態様から第3の態様の何れか1つに記載の機械学習装置であって、前記制御部は、前記学習の結果に基づき、新たに取得した前記流体搬送機の第1の状態量及び前記流体関連機器の第2の状態量から前記流体関連機器の状態を推論する。
【0012】
本開示の第5の態様は、制御部を有する機械学習装置であって、前記制御部は、診断対象に含まれ、前記診断対象の内部で流体を搬送する流体搬送機の第1の状態量を取得し、前記診断対象に含まれ、前記流体搬送機に接続される配管を含む流体関連機器の内部に通流する前記流体に関する第2の状態量を取得し、取得した前記流体搬送機の第1の状態量及び前記流体関連機器の第2の状態量を分類するように学習し、前記学習の結果に基づき、新たに取得した前記流体搬送機の第1の状態量及び前記流体関連機器の第2の状態量を分類し、前記分類の種類と前記流体関連機器の状態とを対応付ける情報の入力を受け付ける。
【0013】
本開示の第5の態様によれば、流体搬送機及び流体関連機器を含む診断対象の診断をより容易に行う技術を提供することができる。
【0014】
本開示の第6の態様は、第5の態様の機械学習装置であって、前記制御部は、前記分類の種類と前記流体関連機器の状態とが対応付けられた情報を用いて、新たに取得した前記流体搬送機の第1の状態量及び前記流体関連機器の第2の状態量の前記分類の結果に基づき、前記分類の種類から前記流体関連機器の状態を推論する。
【0015】
本開示の第7の態様は、制御部を有する機械学習装置であって、前記制御部は、診断対象に含まれ、前記診断対象の内部で流体を搬送する流体搬送機の第1の状態量を取得し、前記診断対象に含まれ、前記流体搬送機に接続される配管を含む流体関連機器の内部に通流する前記流体に関する第2の状態量を取得し、前記流体搬送機の第1の状態を取得し、前記流体関連機器の第2の状態を取得し、前記流体搬送機と前記流体関連機器の第3の状態を取得し、取得した前記流体搬送機の第1の状態量及び前記流体搬送機の第1の状態を関連付けて第1の学習をし、取得した前記流体関連機器の第2の状態量及び前記流体関連機器の第2の状態を関連付けて第2の学習をし、前記第1の学習の結果、前記第2の学習の結果、及び前記流体搬送機と前記流体関連機器の第3の状態を関連付けて第3の学習をする。
【0016】
本開示の第7の態様によれば、流体搬送機及び流体関連機器を含む診断対象の診断をより容易に行う技術を提供することができる。
【0017】
本開示の第8の態様は、第7の態様の機械学習装置であって、前記制御部は、前記第1の学習の結果に基づき、新たに取得した前記流体搬送機の第1の状態量から前記流体搬送機の第1の状態を推論し、前記第2の学習の結果に基づき、新たに取得した前記流体関連機器の第2の状態量から前記流体関連機器の第2の状態を推論し、前記第3の学習の結果に基づき、推論した前記流体搬送機の第1の状態及び前記流体関連機器の第2の状態から前記流体搬送機と前記流体関連機器の第3の状態を推論する。
【0018】
本開示の第9の態様は、第1の態様から第8の態様の何れか1つに記載の機械学習装置であって、前記流体搬送機は、電動機、及び前記電動機により駆動される負荷である。
【0019】
本開示の第10の態様は、第9の態様の機械学習装置であって、前記電動機により駆動される負荷は、圧縮機、ファン、又はポンプである。
【0020】
本開示の第11の態様は、第1の態様から第10の態様の何れか1つに記載の機械学習装置であって、前記診断対象は、空気調和機、冷凍サイクル装置、流体機械、オイルコン、又はエアハンドリングユニットである。
【0021】
本開示の第12の態様は、第1の態様から第11の態様の何れか1つに記載の機械学習装置を用いて、前記診断対象を診断する診断システムである。
【0022】
本開示の第13の態様は、第1の態様から第11の態様の何れか1つに記載の機械学習装置を用いて前記流体関連機器の状態又は前記流体搬送機と前記流体関連機器の第3の状態を診断する機器である。
【0023】
本開示の第14の態様は、機械学習装置が有する制御部に、診断対象に含まれ、前記診断対象の内部で流体を搬送する流体搬送機の第1の状態量を取得し、前記診断対象に含まれ、前記流体搬送機に接続される配管を含む流体関連機器の内部に通流する前記流体に関する第2の状態量を取得し、前記流体関連機器の状態を取得し、取得した前記流体搬送機の第1の状態量、前記流体関連機器の第2の状態量、及び前記流体関連機器の状態を関連付けて学習する処理を実行させるためのプログラムである。
【0024】
本開示の第14の態様によれば、流体搬送機及び流体関連機器を含む診断対象の診断をより容易に行う技術を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
図1】診断システムの構成の一例を示す図である。
図2】制御部のハードウェア構成の一例を示す図である。
図3】教師あり学習を利用した機械学習の学習モード処理の一例の説明図である。
図4】教師あり学習を利用した機械学習の推論モード処理の一例の説明図である。
図5】強化学習を利用した機械学習の学習モード処理の一例の説明図である。
図6】強化学習を利用した機械学習の推論モード処理の一例の説明図である。
図7】教師なし学習を利用した機械学習の学習モード処理の一例の説明図である。
図8】教師なし学習を利用した機械学習の推論モード処理の一例の説明図である。
図9】機械あり学習を利用した機械学習の学習モード処理の一例の説明図である。
図10】教師あり学習を利用した機械学習の学習モード処理の一例の説明図である。
図11】教師あり学習を利用した機械学習の学習モード処理の一例の説明図である。
図12】教師あり学習を利用した機械学習の推論モード処理の一例の説明図である。
図13】流体搬送機の第1の状態及び流体関連機器の第2の状態と、空気調和機の異常箇所との関係を示した一例の図である。
図14】流体搬送機の第1の状態及び流体関連機器の第2の状態と、空気調和機の異常箇所との関係を示した一例の図である。
図15】流体搬送機の第1の状態及び流体関連機器の第2の状態と、空気調和機の異常箇所との関係を示した一例の図である。
図16】流体搬送機の第1の状態及び流体関連機器の第2の状態と、空気調和機の異常箇所との関係を示した一例の図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
本開示の実施形態について詳細に説明する。
【0027】
[診断システムの構成]
図1図2を参照して、本実施形態に係る診断システム1の構成について説明する。図1は診断システム1の構成の一例を示す図である。図2は、制御部220のハードウェア構成の一例を示す図である。図1に示すように、診断システム1は、空気調和機100と、制御部220とを含む。診断システム1は、制御部220において診断対象の診断を行う。空気調和機100は、診断システム1における診断対象の一例である。
【0028】
空気調和機100は、室外機110と、室内機120と、冷媒経路130及び140とを含む。空気調和機100は、室外機110と、室内機120と、冷媒経路130及び140とを含む構成の冷凍サイクル(冷媒回路)を動作させ、室内機120が設置される室内の温度や湿度等を調整する。
【0029】
室外機110は、温度等の調整対象の建物の室外に配置される。室外機110は、冷媒経路130及び140のそれぞれの一端に接続され、冷媒経路130及び140の何れか一方から冷媒を吸入し、何れか他方に冷媒を排出する。室内機120は、温度等の調整対象の建物の室内に配置される。室内機120は、冷媒経路130及び140のそれぞれの他端に接続され、冷媒経路130及び140の何れか一方から冷媒を吸入し、何れか他方に冷媒を排出する。冷媒経路130及び140は、例えば管路により構成され、冷媒が室外機110及び室内機120の間で循環可能なように、室外機110及び室内機120との間を接続する。
【0030】
室外機110は、冷媒経路L1~L6と、油経路L7,L8と、四方切換弁111と、アキュムレータ112と、圧縮機113と、油分離器114と、室外熱交換器115と、室外膨張弁116と、駆動装置117と、センサ群118と、制御装置119とを含む。
【0031】
冷媒経路L1~L6は、例えば管路として構成される。冷媒経路L1は、室外機110の外部の冷媒経路130の一端と四方切換弁111との間を接続する。冷媒経路L2は、四方切換弁111と圧縮機113の入口との間を接続する。冷媒経路L2は、冷媒経路L21,L22を含む。冷媒経路L21は、四方切換弁111とアキュムレータ112との間を接続する。冷媒経路L22は、アキュムレータ112と圧縮機113の入口との間を接続する。
【0032】
冷媒経路L3は、四方切換弁111と圧縮機113の出口との間を接続する。冷媒経路L3は、冷媒経路L31,L32を含む。冷媒経路L31は、圧縮機113の出口と油分離器114との間を接続する。冷媒経路L32は、四方切換弁111と油分離器114との間を接続する。
【0033】
冷媒経路L4は、四方切換弁111と室外熱交換器115との間を接続する。冷媒経路L5は、室外熱交換器115と室外膨張弁116との間を接続する。冷媒経路L6は、室外機110の外部の冷媒経路140の一端と室外膨張弁116との間を接続する。
【0034】
油経路L7は、例えば管路として構成される。油経路L7は油分離器114により分離された油を冷媒経路L22に流入させ、冷媒経路L22を通じて圧縮機113に戻すために用いられる。なお、油経路L7を通過する油には、例えば、液相の冷媒(以下、「液冷媒」)が溶け込んでいる場合がある。つまり、油経路L7には、油だけでなく、液冷媒も通流する。油経路L8は、例えば、管路として構成され、アキュムレータ112により分離された液冷媒を含む油を冷媒経路L22に流入させ、冷媒経路L22を通じて圧縮機113に戻すために用いられる。
【0035】
四方切換弁111は、空気調和機100の冷房運転の場合と暖房運転の場合とで冷媒が循環する流れを逆転させる。空気調和機100の冷房運転時に、四方切換弁111は図1中の実線の経路を接続する。具体的には、空気調和機100の冷房運転時に、四方切換弁111は、冷媒経路L1と冷媒経路L2との間、及び冷媒経路L3と冷媒経路L4との間を接続させる。
【0036】
一方、空気調和機100の暖房運転時に、四方切換弁111は、図1中の点線の経路を接続する。具体的には、空気調和機100の暖房運転時に、四方切換弁111は、冷媒経路L4と冷媒経路L2との間、及び冷媒経路L1と冷媒経路L3との間を接続させる。
【0037】
アキュムレータ112は、冷媒経路L21から吸入される冷媒に含まれている液冷媒を分離し、冷媒経路L22に液冷媒の一部又は全部が除去された冷媒を吐出する。アキュムレータ112で分離される液冷媒には油が含まれる。アキュムレータ112には、油経路L8と接続される油排出口が設けられ、分離された冷媒を含む油は、油排出口を通じて油経路L8に流出し、油経路L8及び冷媒経路L22を通じて圧縮機113に戻される。
【0038】
圧縮機113は、冷媒経路L22から冷媒を吸入し、高圧に圧縮して冷媒経路L31に吐出する。圧縮機113は、電動機113Aと、圧縮機構部113Bとを含む。電動機113Aは、駆動装置117から供給される所定の電力を用いて、圧縮機構部113Bを回転駆動する。所定の電力は、例えば、三相交流の電力である。圧縮機構部113Bは、電動機113Aを動力源として稼働する。圧縮機構部113Bは、圧縮機113の入口から冷媒を吸入し、高圧に圧縮して圧縮機113の出口から外部に吐出する。
【0039】
空気調和機100の冷房運転時において、圧縮機113により圧縮された高温高圧の冷媒は、冷媒経路L3及び冷媒経路L4を通じて、室外熱交換器115に流入する。
【0040】
一方、空気調和機100の暖房運転時において、圧縮機113により圧縮された高温高圧の冷媒は、冷媒経路L3及び冷媒経路L1を通じて、室外機110の外部の冷媒経路130に流出する。そして、高温高圧の冷媒は、冷媒経路130を通じて、室内機120に流入する。
【0041】
油分離器114は、冷媒経路L31から流入する冷媒から油を分離し、油の一部又は全部が分離され除去された後の冷媒を冷媒経路L32に流出させる。また、油分離器114には、油経路L7と接続される油排出口が設けられている。冷媒から分離された油は、油排出口を通じて油経路L7に流出し、油経路L7及び冷媒経路L22を通じて圧縮機113に戻される。
【0042】
室外熱交換器115は、外気と内部を通過する冷媒との間で熱交換を行う。室外熱交換器115には、ファン115Aが併設される。室外熱交換器115は、ファン115Aにより送風される外気と内部を通流する冷媒との間で熱交換を行う。
【0043】
空気調和機100の冷房運転時において、室外熱交換器115は、冷媒経路L4から流入する、圧縮機113で圧縮された高温高圧の冷媒に外気への放熱を行わせ、凝縮及び液化した冷媒(液冷媒)を冷媒経路L5に流出させる。
【0044】
また、空気調和機100の暖房運転時において、室外熱交換器115は、冷媒経路L5から流入する低温低圧の液冷媒に外気から吸熱を行わせ、蒸発した冷媒を冷媒経路L4に流出させる。
【0045】
室外膨張弁116は、空気調和機100の暖房運転時において、所定の開度に閉じられており、冷媒経路L6から流入する冷媒(液冷媒)を所定の圧力に減圧させる。一方、室外膨張弁116は、空気調和機100の冷房運転時において、全開状態にされており、冷媒経路L5から冷媒経路L6に冷媒(液冷媒)を通過させる。室外膨張弁116は、例えば電磁弁である。
【0046】
室内機120は、室内膨張弁121と、室内熱交換器122と、制御装置123とを含む。室内膨張弁121は、空気調和機100の冷房運転時において、所定の開度に閉じられており、冷媒経路140から流入する過冷却状態の液冷媒を所定の圧力に減圧させる。一方、室内膨張弁121は、空気調和機100の暖房運転時において、全開状態にされており、室内熱交換器122から流出する冷媒(液冷媒)を冷媒経路140に向かって通過させる。室内膨張弁121は、例えば電磁弁である。
【0047】
室内熱交換器122は、室内空気と内部を通過する冷媒との間で熱交換を行う。具体的には、室内機120に搭載されるファン122Aの作用で、室内熱交換器122の周囲を室内空気が通過し、室内熱交換器122の内部の冷媒との間で熱交換が促進される。室内熱交換器122の内部の冷媒との間の熱交換が行われた室内空気がファン122Aの作用で室内機120の外部に送り出されることにより、室内の冷房或いは暖房が実現される。
【0048】
空気調和機100の冷房運転時において、室内熱交換器122は、室内膨張弁121により減圧された低温低圧の液冷媒に室内空気から吸熱させ、室内空気の温度を下げる。一方、空気調和機100の暖房運転時において、室内熱交換器122は、冷媒経路130を通じて室外機110から流入する高温高圧の冷媒に室内空気への放熱を行わせ、室内空気の温度を上げる。制御装置123は、例えば、室内膨張弁121又はファン122A等を直接の制御対象として、室内機120の動作を制御する。
【0049】
駆動装置117は、所定の電源から供給される電力を用いて、電動機113Aを駆動する。例えば、駆動装置117は、所定の電源から供給される電力を用いて、所定の周波数及び所定の電圧の三相交流の電力を生成し、電動機113Aに供給することにより、電動機113Aを駆動するインバータ装置である。
【0050】
センサ群118は、室外機110に搭載され、空気調和機100の制御等に利用される複数のセンサの一例である。センサ群118の出力は、制御装置119及び制御部220に取り込まれる。図1のセンサ群118は、電流センサ118Aと、温度センサ118Bと、圧力センサ118Cとを含む。電流センサ118Aは、電動機113Aの電流に関する情報を取得し、その情報を表す信号を検出する。例えば、温度センサ118Bは、圧縮機113の出口の冷媒の温度を配管内で直接計測してもよいし、圧縮機113の出口から流出する冷媒が流れる配管の温度を外部から計測してもよい。温度センサ118Bは、圧縮機113の出口の冷媒の温度(高圧冷媒の温度)又は入口の冷媒の温度(低圧冷媒の温度)等を検出する。温度センサ118Bは、例えばサーミスタである。圧力センサ118Cは、圧縮機113の出口又は入口の冷媒の圧力に関する情報を取得し、その情報を表す信号を出力する。
【0051】
制御装置119は、センサ群118の出力に基づき、例えば、四方切換弁111や圧縮機113(駆動装置117)や室外膨張弁116等を直接の制御対象として、室外機110の動作を制御する。例えば、制御装置119は、駆動装置117と別に設けられてもよいし、駆動装置117と一体化されていてもよい。
【0052】
制御部220は機械学習を利用して空気調和機100の診断を行う。制御部220が行う空気調和機100の診断には、診断対象の状態の診断が含まれる。診断対象の状態の診断には、例えば空気調和機100の異常の診断が含まれる。
【0053】
制御部220は、診断対象の空気調和機100に含まれていてもよいし、空気調和機100の外部に設けられてもよい。例えば制御部220は、空気調和機100の動作を制御する制御装置の一機能として実現してもよい。この場合、空気調和機100の動作を制御する制御装置は、空気調和機100の動作を制御する機能と、空気調和機100の診断を行う機能とに兼用される。
【0054】
また、制御部220は、空気調和機100の動作を制御する制御装置とは別に設けられてもよい。この場合、制御部220は、空気調和機100の診断を行う機能の専用であってもよいし、他の機能との兼用であってもよい。例えば制御部220は空気調和機100の駆動装置117の一機能として実現してもよい。
【0055】
診断対象の空気調和機100の外部に設けられる場合、制御部220は、例えば空気調和機100の管理用の端末装置やエッジコントローラやエッジサーバの一機能として実現してもよい。制御部220はオンプレミスサーバやクラウドサーバの一機能として実現してもよい。また、制御部220は、可搬型の端末装置(携帯端末)であってもよい。携帯端末は、例えば、空気調和機100のリモコン等の専用の携帯端末であってもよいし、スマートフォン、タブレット端末、又はPC(Personal Computer)等であってもよい。制御部220は、複数の空気調和機100の診断を行うようにしてもよい。
【0056】
制御部220の機能は、任意のハードウェア及びソフトウェアが協働することにより実現される。例えば図2に示すように、制御部220は、外部インタフェース201と、補助記憶装置202と、メモリ装置203と、CPU204と、高速演算装置205と、通信インタフェース206と、入力装置207と、出力装置208とを含むように構成される。
【0057】
また、外部インタフェース201、補助記憶装置202、メモリ装置203、CPU204、高速演算装置205、通信インタフェース206、入力装置207、及び出力装置208は、バスBS2により接続される。
【0058】
外部インタフェース201は、記録媒体201Aからデータの読み取りや記録媒体201Aへのデータの書き込みのためのインタフェースとして機能する。記録媒体201Aには、例えば、フレキシブルディスク、CD(Compact Disc)、DVD(Digital Versatile Disc)、BD(Blu-ray(登録商標) Disc)、SDメモリカード、USBメモリ等の汎用の記録媒体が含まれる。また、記録媒体201Aには、例えば、空気調和機100の製造工場や修理施設等において利用される専用の記録媒体であってもよい。
【0059】
これにより、制御部220は、記録媒体201Aを通じて、処理で利用する各種データを読み込み、補助記憶装置202に格納したり、各種機能を実現するプログラムをインストールしたりすることができる。制御部220は通信インタフェース206を通じて、処理で利用する各種データやプログラムを外部装置から取得してもよい。
【0060】
補助記憶装置202は、インストールされた各種プログラムを格納すると共に、各種処理に必要なファイルやデータ等を格納する。補助記憶装置202は、例えば、HDD(Hard Disc Drive)やSSD(Solid State Disc)やフラッシュメモリ等を含む。
【0061】
メモリ装置203は、プログラムの起動指示があった場合に、補助記憶装置202からプログラムを読み出して格納する。メモリ装置203は、例えば、DRAM(Dynamic Random Access Memory)やSRAM(Static Random Access Memory)を含む。
【0062】
CPU204は、補助記憶装置202からメモリ装置203にロードされた各種プログラムを実行し、プログラムに従って制御部220に関する各種機能を実現する。高速演算装置205は、CPU204と連動し、CPU204よりも高い速度で演算処理を行う。高速演算装置205は、例えば、GPU(Graphics Processing Unit)やASIC(Application Specific Integrated Circuit)やFPGA(Field-Programmable Gate Array)等を含む。
【0063】
なお、高速演算装置205は、必要な演算処理の速度に応じて省略されてもよい。通信インタフェース206は、外部機器と通信可能に接続するためのインタフェースとして用いられる。これにより、制御部220は、通信インタフェース206を通じて、例えば、センサ群118の出力データを取得することができる。また、通信インタフェース206は接続される機器との間の通信方式等によって、複数の種類の通信インタフェースを有してもよい。
【0064】
制御部220が空気調和機100に含まれる場合、通信インタフェース206は例えば空気調和機100に含まれる他の機器との間での通信のみを行うインタフェースである。制御部220が空気調和機100に含まれる場合、通信インタフェース206は、空気調和機100に含まれる他の機器との通信を行うインタフェース、及び空気調和機100の外部の機器との通信を行うインタフェースの双方を含んでもよい。
【0065】
入力装置207は、ユーザからの操作入力を受け付ける。入力装置207は、例えばボタン、トグル、レバー、キーボード、マウス、タッチパネル、タッチパッド等を含む。また、入力装置207は、ユーザからの音声入力を受付可能であってもよい。ユーザからの音声入力を受付可能な入力装置207は、ユーザの音声を集音可能なマイクロフォン等である。
【0066】
入力装置207は、ユーザからのジェスチャ入力を受付可能であってもよい。ユーザからのジェスチャ入力を受付可能な入力装置207は、ユーザのジェスチャの様子を撮像可能なカメラ等である。入力装置207は、ユーザからの生体入力を受付可能であってもよい。ユーザからの生体入力を受付可能な入力装置207は、ユーザの指紋や虹彩に関する情報を内包する画像データを取得可能なカメラを含む。
【0067】
出力装置208は、制御部220のユーザに向けて情報を出力する。出力装置208は、例えば、視覚的に情報を出力する照明装置や表示装置である。照明装置は、例えば、インジケータランプ等である。表示装置は、例えば、液晶ディスプレイや有機ELディスプレイ等である。また、出力装置208は、聴覚的な情報を出力する、ブザー、アラーム、スピーカ等であってもよい。
【0068】
なお、制御部220が空気調和機100に含まれる場合、入力装置207及び出力装置208は、省略されてもよい。空気調和機100に搭載される各種の入力装置や出力装置を制御部220に関する用途に兼用可能な場合もあるからである。
【0069】
[処理]
次に、機械学習を利用した空気調和機100の診断処理について説明する。制御部220は、機械学習モデル(以下、単にモデルと呼ぶ)に学習させる学習モード処理及び学習済みモデルを用いて推論を行う推論モード処理を含む空気調和機100の診断処理を実行する。学習モード処理には、モデルの初期学習の他、学習済みモデルの精度向上の為の再学習が含まれていてもよい。制御部220が実行する空気調和機100の診断処理は、例えば補助記憶装置202に格納されるプログラムをメモリ装置203にロードし、CPU204で実行されることにより実現される。以下では、機械学習の手法として、教師あり学習、強化学習、及び教師なし学習を利用する例を説明する。
【0070】
<教師あり学習>
本実施形態に係る制御部220は、図3及び図4に示すように、教師あり学習を利用して、機械学習の学習モード処理及び推論モード処理を含む空気調和機100の診断処理を実行する。図3は、教師あり学習を利用した機械学習の学習モード処理の一例の説明図である。図4は、教師あり学習を利用した機械学習の推論モード処理の一例の説明図である。
【0071】
図3の制御部220は、流体搬送機の第1の状態量取得部300、流体関連機器の第2の状態量取得部302、流体関連機器の状態取得部304、教師データ蓄積部306、学習部308、及び推論部310の処理を含んだ、機械学習の学習モード処理を実行する。機械学習の学習モード処理は、例えば補助記憶装置202に格納されるプログラムをメモリ装置203にロードし、CPU204で実行されることにより実現される。
【0072】
流体搬送機は、電動機113A、及び電動機113Aにより駆動される負荷である。電動機113Aにより駆動される負荷は、圧縮機113、ファン115A、又はポンプである。ポンプは、例えば油圧機器又は水に関わる機器等で動作する。流体搬送機は、空気調和機100に含まれ、空気調和機100の内部で冷媒などの流体を搬送する。また、流体搬送機の一例であるポンプは、例えば機械油(潤滑油、作動油、又は切削油など)又は水などの流体を搬送する。
【0073】
流体関連機器は、流体搬送機に接続される配管を含み、流体搬送機に繋がっている機器である。流体関連機器は、空気調和機100に含まれ、内部を流体が流通する。流体関連機器は、配管、電磁弁、蒸発器、凝縮器、センサ等である。
【0074】
例えば流体関連機器は、配管としての冷媒経路130、冷媒経路140、及び冷媒経路L1~L6を含む。また、例えば冷媒関連機器は、配管に設置される室外膨張弁116等の電磁弁を含む。また、例えば冷媒関連機器は、温度センサ118B及び圧力センサ118C等のセンサが含まれる。
【0075】
流体搬送機の第1の状態量取得部300は空気調和機100に含まれる流体搬送機の第1の状態量を取得する。例えば流体搬送機の第1の状態量は電動機113Aの電流検出値に基づく状態量である。電動機113Aの電流検出値は、電流センサ118Aの出力に基づき取得される。
【0076】
例えば、流体搬送機の第1の状態量は、電動機113Aの電流ベクトルの大きさ(振幅)の1次の高調波成分(以下、電流ベクトル1次成分と呼ぶ)である。圧縮機113の圧縮室の油シール性が低下する異常が生じると、圧縮室の気密性が不足し、冷媒ガスが漏れることで、圧縮室の油シール性が十分な正常時と比較して電流ベクトル1次成分が相対的に小さくなる。また、液相の冷媒(以下、液冷媒と呼ぶ)が圧縮機113の圧縮室に入り込み、液冷媒が圧縮される異常状態(以下、液圧縮と呼ぶ)が生じると、圧縮室の異常昇圧によって、液圧縮が生じていない正常時と比較して電流ベクトル1次成分が相対的に大きくなる。
【0077】
流体搬送機の第1の状態量は、圧縮機113の電流に相関する物理量として、電流ベクトル1次成分とは異なる状態量であってもよい。例えば流体搬送機の第1の状態量は、電流ベクトル1次成分に代えて、或いは、加えて、電流ベクトルの大きさの整数次の高調波成分(即ち、機械角での回転周波数の整数倍の周波数成分)が使用されてもよい。また、流体搬送機の第1の状態量は、電流に相関する物理量に代えて、或いは、加えて、圧縮機113の電圧、電力、振動、音、超音波、磁束、温度、トルク等に相関する物理量が使用されてもよい。また、流体搬送機の第1の状態量は、周波数成分に代えて、時間領域の状態量が使用されてもよい。時間領域の状態量は、例えば、電動機113Aの相電流の、機械角或いは電気角での1周期分の正弦波状時間波形等である。
【0078】
電動機113Aの電流ベクトルの大きさは、電動機113Aの3相の電流検出値の2乗値の総和の平方根で表される。電流ベクトル1次成分は、電流ベクトルの大きさの周波数成分のうち、圧縮機113の機械角での回転周波数の周波数成分を表す。
【0079】
また、流体関連機器の第2の状態量取得部302は空気調和機100に含まれる流体関連機器の第2の状態量を取得する。例えば流体関連機器の第2の状態量は、流体関連機器の内部に流通する流体に関する状態量であって、圧力、温度、飽和温度、流速、又は流量である。流体関連機器の第2の状態量は、室外膨張弁116等の開度を表すパルス数などが含まれていてもよい。
【0080】
例えば流体関連機器の第2の状態量取得部302は、圧縮機113の出口の高圧冷媒の温度及び高圧冷媒の圧力、圧縮機113の入口の低圧冷媒の温度及び低圧冷媒の圧力を流体関連機器の第2の状態量として取得する。流体関連機器の第2の状態量は、圧縮機113の出口の高圧冷媒の過熱度(スーパーヒート)を含んでもよい。圧縮機113の出口の高圧冷媒の過熱度は、圧縮機113の出口の高圧冷媒の温度と飽和温度(蒸発温度)との差である。圧縮機113の出口の高圧冷媒の飽和温度は、圧縮機113の出口の高圧冷媒の圧力から決まる。流体関連機器の第2の状態量は、圧縮機113の入口の低圧冷媒の過冷却度(サブクール)を含んでもよい。圧縮機113の入口の低圧冷媒の過冷却度は、圧縮機113の入口の低圧冷媒の飽和温度(凝縮温度)と温度との差である。圧縮機113の入口の低圧冷媒の飽和温度は、圧縮機113の入口の低圧冷媒の圧力から決まる。
【0081】
また、流体関連機器の状態取得部304は、空気調和機100に含まれる流体関連機器の状態を取得する。なお、流体関連機器の状態取得部304はユーザから流体関連機器の状態の入力を受け付けてもよいし、空気調和機100から得られる情報から流体関連機器の状態を判定してもよい。流体関連機器の状態取得部304が取得する流体関連機器の状態は、教師データに必要なラベルとなる。
【0082】
例えば流体関連機器の状態は、流体関連機器の異常を示す状態のことであり、例えば、油回路の詰まり、湿り運転原因部品の故障、温度センサ118Bの故障、冷媒漏洩、室外熱交換器115等の熱交換器(凝縮器又は蒸発器)の故障などの状態が含まれている。また、流体関連機器の状態は、冷媒回路の詰まり、ファンの故障(例えばファンの変形、破損、又は回転軸のゆるみ)などの状態が含まれていてもよい。また、流体関連機器の状態は、冷媒回路の配管途中に塵収集用のストレーナや冷媒乾燥用のドライヤが設けられている場合、塵収集用のストレーナや冷媒乾燥用のドライヤの詰まりの状態が含まれていてもよい。
【0083】
なお、湿り運転原因部品は、冷媒関連機器において湿り運転の原因となる特定の部品であり、冷媒回路の電磁弁である。冷媒回路の電磁弁は、室外膨張弁116又は室内膨張弁121等である。
【0084】
教師データ蓄積部306は、流体搬送機の第1の状態量取得部300が取得した流体搬送機の第1の状態量、流体関連機器の第2の状態量取得部302が取得した流体関連機器の第2の状態量、及び流体関連機器の状態取得部304が取得した流体関連機器の状態を対応付けて、教師データとして蓄積する。教師データは、市場で収集したデータでもいいし、ラボで実験したデータでもいいし、シミュレーションで得たデータでもいいし、単独でもいいし組み合わせてもよい。
【0085】
学習部308は、教師データ蓄積部306に蓄積された教師データを、教師あり学習することで、モデルのパラメータを調整する。具体的に、学習部308は教師データの流体搬送機の第1の状態量及び流体関連機器の第2の状態量と流体関連機器の状態との対応を学習する。学習済みモデルは、教師データの流体搬送機の第1の状態量及び流体関連機器の第2の状態量が入力されたときに、その流体搬送機の第1の状態量及び流体関連機器の第2の状態量と対応する流体関連機器の状態が出力されるように、パラメータが調整されている。学習部308は、学習済みモデルを推論部310に提供する。
【0086】
例えば学習部308は、流体搬送機の第1の状態量の一例である電動機113Aの電流ベクトルの機械角周波数1次成分と、流体関連機器の第2の状態量の一例である高圧冷媒の飽和温度及び高圧冷媒の温度とが入力されたときに、流体関連機器の状態の一例である油回路の詰まりの状態(正常又は異常)が診断結果として出力されるように、モデルのパラメータを調整する。
【0087】
また、例えば学習部308は、流体搬送機の第1の状態量の一例である電動機113Aの電流ベクトルの機械角周波数1次成分と、流体関連機器の第2の状態量の一例である高圧冷媒の飽和温度及び高圧冷媒の温度とが入力されたときに、流体関連機器の状態の一例である温度センサ118Bの故障の状態(正常又は異常)が診断結果として出力されるように、モデルのパラメータを調整する。
【0088】
また、例えば学習部308は、冷媒漏洩の場合、以下のような流体搬送機の第1の状態量と、流体関連機器の第2の状態量と、が入力されたときに、流体関連機器の状態が診断結果として出力されるように、モデルのパラメータを調整する。図14は、流体搬送機の第1の状態及び流体関連機器の第2の状態と、空気調和機100の異常箇所との関係を示した一例の図である。例えば、図14に示すように、流体搬送機の第1の状態と、流体関連機器の第2の状態との組み合わせに対して、流体搬送機及び流体関連機器の異常の有無及び異常箇所が一義的に決定される。例えば流体搬送機の第1の状態は、電流の実効値による圧縮機113の異常診断の結果である。また、流体関連機器の第2の状態は、冷媒のサブクールによる温度範囲逸脱診断の結果である。
【0089】
具体的には、制御部220は、流体搬送機の第1の状態が正常な状態を表し、流体関連機器の第2の状態が異常な状態を表す場合、温度センサの故障と診断してよい。制御部220は、流体搬送機の第1の状態が異常な状態を表し、流体関連機器の第2の状態が正常な状態を表す場合、軸受摩耗などの流体搬送機の異常と診断してよい。また、制御部220は、流体搬送機の第1の状態が異常な状態を表し、流体関連機器の第2の状態が異常な状態を表す場合、冷媒漏洩、又は温度センサの故障と流体搬送機の異常の同時発生と診断してよい。
【0090】
流体搬送機の第1の状態量取得部300は空気調和機100に含まれる流体搬送機の第1の状態量を取得する。例えば流体搬送機の第1の状態量は電動機113Aの電流検出値に基づく状態量である。電動機113Aの電流検出値は、電流センサ118Aの出力に基づき取得される。
【0091】
流体搬送機の第1の状態量は、圧縮機113の電流に相関する物理量として、圧縮機113の電圧、電力、振動、音、超音波、磁束、温度、トルク等に相関する物理量が使用されてもよい。
【0092】
また、流体関連機器の第2の状態量取得部302は空気調和機100に含まれる流体関連機器の第2の状態量を取得する。例えば流体関連機器の第2の状態量は、流体関連機器の内部に流通する流体に関する状態量であって、圧力、温度、又は飽和温度である。
【0093】
例えば流体関連機器の第2の状態量取得部302は、圧縮機113の入口の低圧冷媒の温度、圧縮機113の入口の低圧冷媒の圧力、及び圧縮機113の入口の低圧冷媒の飽和温度を流体関連機器の第2の状態量として取得する。
【0094】
また、流体関連機器の状態取得部304は、空気調和機100に含まれる流体関連機器の状態を取得する。なお、流体関連機器の状態取得部304はユーザから流体関連機器の状態の入力を受け付けてもよいし、空気調和機100から得られる情報から流体関連機器の状態を判定してもよい。流体関連機器の状態取得部304が取得する流体関連機器の状態は、教師データに必要なラベルとなる。
【0095】
例えば流体関連機器の状態は、正常、冷媒漏洩、又は温度センサ118Bの故障などの状態が含まれている。教師データ蓄積部306は、流体搬送機の第1の状態量取得部300が取得した流体搬送機の第1の状態量、流体関連機器の第2の状態量取得部302が取得した流体関連機器の第2の状態量、及び流体関連機器の状態取得部304が取得した流体関連機器の状態を対応付けて、教師データとして蓄積する。教師データは、市場で収集したデータでもいいし、ラボで実験したデータでもいいし、シミュレーションで得たデータでもいいし、単独でもいいし組み合わせてもよい。
【0096】
学習部308は、教師データ蓄積部306に蓄積された教師データを、教師あり学習することで、モデルのパラメータを調整する。具体的に、学習部308は教師データの流体搬送機の第1の状態量及び流体関連機器の第2の状態量と流体関連機器の状態との対応を学習する。学習済みモデルは、教師データの流体搬送機の第1の状態量及び流体関連機器の第2の状態量が入力されたときに、その流体搬送機の第1の状態量及び流体関連機器の第2の状態量と対応する流体関連機器の状態が出力されるように、パラメータが調整されている。学習部308は、学習済みモデルを推論部310に提供する。
【0097】
例えば学習部308は、流体搬送機の第1の状態量と、流体関連機器の第2の状態量とが入力されたときに、正常運転、流体関連機器の状態の一例である温度センサ118Bの故障、又は冷媒漏洩を診断結果として出力するように、モデルのパラメータを調整してもよい。
【0098】
また、例えば学習部308は、ファンの故障の場合、以下のような流体搬送機の第1の状態量と、流体関連機器の第2の状態量と、が入力されたときに、流体関連機器の状態が診断結果として出力されるように、モデルのパラメータを調整する。図15は、流体搬送機の第1の状態及び流体関連機器の第2の状態と、空気調和機100の異常箇所との関係を示した一例の図である。例えば、図15に示すように、流体搬送機の第1の状態と、流体関連機器の第2の状態との組み合わせに対して、流体搬送機及び流体関連機器の異常の有無及び異常箇所が一義的に決定される。例えば流体搬送機の第1の状態は、熱交換器のファンモータ電流の電流ベクトルの機械角周波数×プロペラファン羽枚数の周波数成分による擾乱診断と機械角周波数成分によるファン故障診断の結果である。また、流体関連機器の第2の状態は、熱交換器の温度による凝縮器(蒸発器)の温度範囲逸脱診断の結果である。
【0099】
具体的には、制御部220は、流体搬送機の第1の状態が正常な状態を表し、流体関連機器の第2の状態が異常な状態を表す場合、冷媒漏洩又は温度センサの故障と診断してよい。制御部220は、流体搬送機の第1の状態が擾乱な状態を表し、流体関連機器の第2の状態が正常な状態を表す場合、熱交換器は正常であり、ファンに対する逆風に起因する擾乱と診断してよい。また、制御部220は、流体搬送機の第1の状態が擾乱及びファン故障の状態を表し、流体関連機器の第2の状態が正常な状態を表す場合、異物付き又は霜付きなどのファンのアンバランスと診断してよい。また、制御部220は、流体搬送機の第1の状態が擾乱の状態を表し、流体関連機器の第2の状態が異常な状態を表す場合、目詰まりなどの熱交換器の異常と診断してよい。また、制御部220は、流体搬送機の第1の状態が擾乱及びファン故障の状態を表し、流体関連機器の第2の状態が異常な状態を表す場合、破損又は軸受摩耗などのファンの故障と診断してよい。
【0100】
流体搬送機の第1の状態量取得部300は空気調和機100に含まれる流体搬送機の第1の状態量を取得する。例えば流体搬送機の第1の状態量は、ファン115Aの電流検出値に基づく状態量である。ファン115Aの電流検出値は、電流センサ118Aの出力に基づき取得される。
【0101】
流体搬送機の第1の状態量は、ファン115Aの電流に相関する物理量として、ファン115Aの電圧、電力、振動、音、超音波、磁束、温度、トルク等に相関する物理量が使用されてもよい。
【0102】
また、流体関連機器の第2の状態量取得部302は空気調和機100に含まれる流体関連機器の第2の状態量を取得する。例えば流体関連機器の第2の状態量は、流体関連機器の内部に流通する流体に関する状態量であって、室外熱交換器115等の熱交換器(凝縮器又は蒸発器)の温度である。
【0103】
例えば流体関連機器の第2の状態量取得部302は、室外熱交換器115等の熱交換器(凝縮器又は蒸発器)の温度を流体関連機器の第2の状態量として取得する。
【0104】
また、流体関連機器の状態取得部304は、空気調和機100に含まれる流体関連機器の状態を取得する。なお、流体関連機器の状態取得部304はユーザから流体関連機器の状態の入力を受け付けてもよいし、空気調和機100から得られる情報から流体関連機器の状態を判定してもよい。流体関連機器の状態取得部304が取得する流体関連機器の状態は、教師データに必要なラベルとなる。
【0105】
例えば流体関連機器の状態は、冷媒漏洩、熱交換器(凝縮器又は蒸発器)の異常、又は正常などの状態が含まれている。教師データ蓄積部306は、流体搬送機の第1の状態量取得部300が取得した流体搬送機の第1の状態量、流体関連機器の第2の状態量取得部302が取得した流体関連機器の第2の状態量、及び流体関連機器の状態取得部304が取得した流体関連機器の状態を対応付けて、教師データとして蓄積する。教師データは、市場で収集したデータでもいいし、ラボで実験したデータでもいいし、シミュレーションで得たデータでもいいし、単独でもいいし組み合わせてもよい。
【0106】
学習部308は、教師データ蓄積部306に蓄積された教師データを、教師あり学習することで、モデルのパラメータを調整する。具体的に、学習部308は教師データの流体搬送機の第1の状態量及び流体関連機器の第2の状態量と流体関連機器の状態との対応を学習する。学習済みモデルは、教師データの流体搬送機の第1の状態量及び流体関連機器の第2の状態量が入力されたときに、その流体搬送機の第1の状態量及び流体関連機器の第2の状態量と対応する流体関連機器の状態が出力されるように、パラメータが調整されている。学習部308は、学習済みモデルを推論部310に提供する。
【0107】
例えば学習部308は、流体搬送機の第1の状態量と、流体関連機器の第2の状態量とが入力されたときに、正常運転、熱交換器(凝縮器又は蒸発器)の異常、又は冷媒漏洩を診断結果として出力するように、モデルのパラメータを調整してもよい。
【0108】
また、例えば学習部308は、ポンプの故障の場合、以下のような流体搬送機の第1の状態量と、流体関連機器の第2の状態量と、が入力されたときに、流体関連機器の状態が診断結果として出力されるように、モデルのパラメータを調整する。図16は、流体搬送機の第1の状態及び流体関連機器の第2の状態と、空気調和機100の異常箇所との関係を示した一例の図である。例えば、図16に示すように、流体搬送機の第1の状態と、流体関連機器の第2の状態との組み合わせに対して、流体搬送機及び流体関連機器の異常の有無及び異常箇所が一義的に決定される。例えば流体搬送機の第1の状態は、ポンプの振動の機械角周波数成分によるポンプの異常診断の結果である。また、流体関連機器の第2の状態は、ポンプで循環する流体の流速または流量による正常範囲逸脱診断の結果である。
【0109】
具体的には、制御部220は、流体搬送機の第1の状態が正常な状態を表し、流体関連機器の第2の状態が異常な状態を表す場合、ポンプ外の流体関連機器の流路の目詰まりと診断してよい。制御部220は、流体搬送機の第1の状態が異常な状態を表し、流体関連機器の第2の状態が正常な状態を表す場合、軸受摩耗、軸の偏心、又は軸のミスアライメントなどのポンプの異常と診断してよい。また、制御部220は、流体搬送機の第1の状態が異常の状態を表し、流体関連機器の第2の状態が異常な状態を表す場合、ポンプ内の流路の目詰まりと診断してよい。
【0110】
流体搬送機の第1の状態量取得部300は空気調和機100に含まれる流体搬送機の第1の状態量を取得する。例えば流体搬送機の第1の状態量は、ポンプの電流検出値に基づく状態量である。ポンプの電流検出値は、電流センサ118Aの出力に基づき取得される。
【0111】
流体搬送機の第1の状態量は、ポンプの電流に相関する物理量として、ポンプの電圧、電力、振動、音、超音波、磁束、温度、トルク等に相関する物理量が使用されてもよい。
【0112】
また、流体関連機器の第2の状態量取得部302は空気調和機100に含まれる流体関連機器の第2の状態量を取得する。例えば流体関連機器の第2の状態量は、流体関連機器の内部に流通する流体に関する状態量であって、流体の流速又は流量である。
【0113】
例えば流体関連機器の第2の状態量取得部302は、流体関連機器の内部に流通する流体の流速又は流量を流体関連機器の第2の状態量として取得する。
【0114】
また、流体関連機器の状態取得部304は、空気調和機100に含まれる流体関連機器の状態を取得する。なお、流体関連機器の状態取得部304はユーザから流体関連機器の状態の入力を受け付けてもよいし、空気調和機100から得られる情報から流体関連機器の状態を判定してもよい。流体関連機器の状態取得部304が取得する流体関連機器の状態は、教師データに必要なラベルとなる。
【0115】
例えば流体関連機器の状態は、ポンプ外の流体関連機器の流路の目詰まりなどの状態が含まれている。教師データ蓄積部306は、流体搬送機の第1の状態量取得部300が取得した流体搬送機の第1の状態量、流体関連機器の第2の状態量取得部302が取得した流体関連機器の第2の状態量、及び流体関連機器の状態取得部304が取得した流体関連機器の状態を対応付けて、教師データとして蓄積する。教師データは、市場で収集したデータでもいいし、ラボで実験したデータでもいいし、シミュレーションで得たデータでもいいし、単独でもいいし組み合わせてもよい。
【0116】
学習部308は、教師データ蓄積部306に蓄積された教師データを、教師あり学習することで、モデルのパラメータを調整する。具体的に、学習部308は教師データの流体搬送機の第1の状態量及び流体関連機器の第2の状態量と流体関連機器の状態との対応を学習する。学習済みモデルは、教師データの流体搬送機の第1の状態量及び流体関連機器の第2の状態量が入力されたときに、その流体搬送機の第1の状態量及び流体関連機器の第2の状態量と対応する流体関連機器の状態が出力されるように、パラメータが調整されている。学習部308は、学習済みモデルを推論部310に提供する。
【0117】
例えば学習部308は、流体搬送機の第1の状態量と、流体関連機器の第2の状態量とが入力されたときに、正常運転、又はポンプ外の流体関連機器の流路の目詰まりを診断結果として出力するように、モデルのパラメータを調整してもよい。
【0118】
図4の制御部220は、流体搬送機の第1の状態量取得部300、流体関連機器の第2の状態量取得部302、及び推論部310の処理を含んだ、機械学習の推論モード処理を実行する。機械学習の推論モード処理は、例えば補助記憶装置202に格納されるプログラムをメモリ装置203にロードし、CPU204で実行されることにより実現される。
【0119】
流体搬送機の第1の状態量取得部300は空気調和機100に含まれる流体搬送機の第1の状態量を新たに取得する。また、流体関連機器の第2の状態量取得部302は空気調和機100に含まれる流体関連機器の第2の状態量を新たに取得する。
【0120】
推論部310は、流体搬送機の第1の状態量取得部300が新たに取得した流体搬送機の第1の状態量と流体関連機器の第2の状態量取得部302が新たに取得した流体関連機器の第2の状態量とを学習済みモデルに入力することで、学習済みモデルから出力される流体関連機器の状態を推論できる。
【0121】
<強化学習>
本実施形態に係る制御部220は、図5及び図6に示すように、強化学習を利用して、機械学習の学習モード処理及び推論モード処理を含む空気調和機100の診断処理を実行する。なお、教師あり学習と同様な部分についての説明は適宜省略する。図5は強化学習を利用した機械学習の学習モード処理の一例の説明図である。図6は強化学習を利用した機械学習の推論モード処理の一例の説明図である。
【0122】
図5の制御部220は、流体搬送機の第1の状態量取得部300、流体関連機器の第2の状態量取得部302、流体関連機器の状態取得部304、学習部308、推論部310、及び報酬算出部312の処理を含んだ、機械学習の学習モード処理を実行する。機械学習の学習モード処理は、例えば補助記憶装置202に格納されるプログラムをメモリ装置203にロードし、CPU204で実行されることにより実現される。
【0123】
流体搬送機の第1の状態量取得部300は空気調和機100に含まれる流体搬送機の第1の状態量を取得する。また、流体関連機器の第2の状態量取得部302は空気調和機100に含まれる流体関連機器の第2の状態量を取得する。また、流体関連機器の状態取得部304は、空気調和機100に含まれる流体関連機器の状態を取得し、報酬算出部312に提供する。
【0124】
推論部310は、流体搬送機の第1の状態量取得部300が取得した流体搬送機の第1の状態量と流体関連機器の第2の状態量取得部302が取得した流体関連機器の第2の状態量とをモデルに入力し、モデルから出力される流体関連機器の状態を得る。推論部310は、推論した流体関連機器の状態を報酬算出部312に提供する。
【0125】
報酬算出部312は、流体関連機器の状態取得部304から提供された流体関連機器の状態と、推論部310が推論した流体関連機器の状態と、に基づいて報酬を算出し、学習部308に出力する。報酬算出部312は、流体関連機器の状態取得部304から提供された流体関連機器の状態と、推論部310が推論した流体関連機器の状態と、が近いほど多い報酬を算出する。
【0126】
学習部308は、報酬算出部312が算出する報酬を最大化するように、推論部310が使用するモデルのパラメータの調整を繰り返す。具体的に、学習部308は流体搬送機の第1の状態量及び流体関連機器の第2の状態量と、流体関連機器の状態との対応を学習する。学習部308は、流体搬送機の第1の状態量及び流体関連機器の第2の状態量が入力されたときに、その流体搬送機の第1の状態量及び流体関連機器の第2の状態量と対応する流体関連機器の状態が出力されるように、モデルのパラメータを調整する。
【0127】
図6の制御部220は、流体搬送機の第1の状態量取得部300、流体関連機器の第2の状態量取得部302、及び推論部310の処理を含んだ、機械学習の推論モード処理を実行する。機械学習の推論モード処理は、例えば補助記憶装置202に格納されるプログラムをメモリ装置203にロードし、CPU204で実行されることにより実現される。
【0128】
流体搬送機の第1の状態量取得部300は空気調和機100に含まれる流体搬送機の第1の状態量を新たに取得する。また、流体関連機器の第2の状態量取得部302は空気調和機100に含まれる流体関連機器の第2の状態量を新たに取得する。
【0129】
推論部310は、流体搬送機の第1の状態量取得部300が新たに取得した流体搬送機の第1の状態量と流体関連機器の第2の状態量取得部302が新たに取得した流体関連機器の第2の状態量とを学習済みモデルに入力することで、学習済みモデルから出力される流体関連機器の状態を推論できる。
【0130】
<教師なし学習>
本実施形態に係る制御部220は、図7及び図8に示すように、教師なし学習を利用して、機械学習の学習モード処理及び推論モード処理を含む空気調和機100の診断処理を実行する。なお、教師あり学習と同様な部分についての説明は適宜省略する。図7は教師なし学習を利用した機械学習の学習モード処理の一例の説明図である。図8は教師なし学習を利用した機械学習の推論モード処理の一例の説明図である。
【0131】
図7の制御部220は、流体搬送機の第1の状態量取得部300、流体関連機器の第2の状態量取得部302、学習部308、推論部310、データ蓄積部320、及び流体関連機器の状態入力受付部322の処理を含んだ、機械学習の学習モード処理を実行する。機械学習の学習モード処理は、例えば補助記憶装置202に格納されるプログラムをメモリ装置203にロードし、CPU204で実行されることにより実現される。
【0132】
流体搬送機の第1の状態量取得部300は空気調和機100に含まれる流体搬送機の第1の状態量を取得する。また、流体関連機器の第2の状態量取得部302は空気調和機100に含まれる流体関連機器の第2の状態量を取得する。
【0133】
データ蓄積部320は、流体搬送機の第1の状態量取得部300が取得した流体搬送機の第1の状態量、及び流体関連機器の第2の状態量取得部302が取得した流体関連機器の第2の状態量を対応付けて蓄積する。
【0134】
学習部308は、教師データ蓄積部306に蓄積されたデータを、教師なし学習することでクラスタリングする。クラスタリングは、データの特徴からグルーピング(分類)することである。具体的に、学習部308は流体搬送機の第1の状態量及び流体関連機器の第2の状態量の分類を学習する。教師データ蓄積部306に蓄積されたデータは、市場で収集したデータでもいいし、ラボで実験したデータでもいいし、シミュレーションで得たデータでもいいし、単独でもいいし組み合わせてもよい。
【0135】
流体関連機器の状態入力受付部322は、学習部308によりクラスタリングされた分類の種類と対応付ける情報(流体関連機器の状態)の入力をユーザから受け付ける。学習部308は、モデルのパラメータを調整し、流体搬送機の第1の状態量及び流体関連機器の第2の状態量が入力されたときに、その流体搬送機の第1の状態量及び流体関連機器の第2の状態量をクラスタリングする。また、学習部308は、流体搬送機の第1の状態量及び流体関連機器の第2の状態量をクラスタリングした学習結果と、入力されたクラスタリングした分類の種類と流体関連機器の状態とが対応付けられた情報を用いて、新たに取得した流体搬送機の第1の状態量及び流体関連機器の第2の状態量の分類の種類に基づいた流体関連機器の状態が出力されるように、学習する。学習部308は、学習済みモデルを含む学習の結果を推論部310に提供する。
【0136】
図8の制御部220は、流体搬送機の第1の状態量取得部300、流体関連機器の第2の状態量取得部302、及び推論部310の処理を含んだ、機械学習の推論モード処理を実行する。機械学習の推論モード処理は、例えば補助記憶装置202に格納されるプログラムをメモリ装置203にロードし、CPU204で実行されることにより実現される。
【0137】
流体搬送機の第1の状態量取得部300は空気調和機100に含まれる流体搬送機の第1の状態量を新たに取得する。また、流体関連機器の第2の状態量取得部302は空気調和機100に含まれる流体関連機器の第2の状態量を新たに取得する。
【0138】
推論部310は、流体搬送機の第1の状態量取得部300が新たに取得した流体搬送機の第1の状態量と流体関連機器の第2の状態量取得部302が新たに取得した流体関連機器の第2の状態量とを学習済みモデルに入力することで、新たに取得した流体搬送機の第1の状態量及び流体関連機器の第2の状態量をクラスタリングする。推論部310はクラスタリングした分類の種類に基づき、その分類の種類と対応付けられた流体関連機器の状態を推論できる。
【0139】
<機械学習を利用した他の診断処理>
本実施形態に係る制御部220は、例えば図9図12に示すように、教師あり学習を利用して、機械学習の学習モード処理及び推論モード処理を含む空気調和機100の診断処理を実行するようにしてもよい。図9図11は教師あり学習を利用した機械学習の学習モード処理の一例の説明図である。図12は教師あり学習を利用した機械学習の推論モード処理の一例の説明図である。なお、上記した内容と同様な部分についての説明は適宜省略する。
【0140】
図9の制御部220は、流体搬送機の第1の状態量取得部300、教師データ蓄積部306、第1の状態取得部330、第1の学習部332、及び第1の推論部334の処理を含んだ、機械学習の学習モード処理を実行する。機械学習の学習モード処理は、例えば補助記憶装置202に格納されるプログラムをメモリ装置203にロードし、CPU204で実行されることにより実現される。
【0141】
流体搬送機の第1の状態量取得部300は空気調和機100に含まれる流体搬送機の第1の状態量を取得する。また、第1の状態取得部330は、空気調和機100の内部で流体を搬送する流体搬送機の第1の状態を取得する。
【0142】
例えば流体搬送機の第1の状態は、圧縮機113又はファン115Aの内部の状態である。圧縮機113の内部の状態には、圧縮機113の内部の油シール性の低下が生じている異常な状態と、圧縮機113の内部で液圧縮が生じている異常な状態と、圧縮機113の内部にこれらの異常が生じていない正常な状態とが含まれる。
【0143】
なお、第1の状態取得部330はユーザから流体搬送機の第1の状態の入力を受け付けてもよいし、空気調和機100から得られる情報から流体搬送機の第1の状態を判定してもよい。第1の状態取得部330が取得する流体搬送機の第1の状態は、教師データに必要なラベルとなる。
【0144】
教師データ蓄積部306は、流体搬送機の第1の状態量取得部300が取得した流体搬送機の第1の状態量、及び第1の状態取得部330が取得した流体搬送機の第1の状態を対応付けて、教師データとして蓄積する。教師データは、市場で収集したデータでもいいし、ラボで実験したデータでもいいし、シミュレーションで得たデータでもいいし、単独でもいいし組み合わせてもよい。
【0145】
第1の学習部332は、教師データ蓄積部306に蓄積された教師データを、教師あり学習することで、モデルのパラメータを調整する。具体的に、第1の学習部332は教師データの流体搬送機の第1の状態量と流体搬送機の第1の状態との対応を学習する。学習済みモデルは、教師データの流体搬送機の第1の状態量が入力されたときに、その流体搬送機の第1の状態量と対応する流体搬送機の第1の状態が出力されるように、パラメータが調整されている。第1の学習部332は、学習済みモデルを推論部310に提供する。
【0146】
また、図10の制御部220は、流体関連機器の第2の状態量取得部302、教師データ蓄積部306、第2の状態取得部336、第2の学習部338、及び第2の推論部340の処理を含んだ、機械学習の学習モード処理を実行する。
【0147】
流体関連機器の第2の状態量取得部302は空気調和機100に含まれる流体関連機器の第2の状態量を取得する。また、第2の状態取得部336は、空気調和機100に含まれる流体関連機器の第2の状態を取得する。なお、第2の状態取得部336はユーザから流体関連機器の第2の状態の入力を受け付けてもよいし、空気調和機100から得られる情報から流体関連機器の第2の状態を判定してもよい。第2の状態取得部336が取得する流体関連機器の第2の状態は、教師データに必要なラベルとなる。
【0148】
流体関連機器の第2の状態は、冷媒回路を含む冷媒関連機器の運転状態である。冷媒関連機器の運転状態とは、例えば、圧縮機113により搬送される、冷媒関連機器の内部を通流する冷媒の運転状態である。冷媒関連機器の運転状態には、湿り運転の状態と、過熱運転の状態とが含まれる。
【0149】
湿り運転の状態とは、圧縮機113の出口の高圧冷媒が、運転条件等から想定される所定基準を超える液冷媒を含む異常な運転状態を意味する。圧縮機113の出口の冷媒が湿り運転の状態であるか否かは、圧縮機113の出口(吐出側)の冷媒のスーパーヒートに基づいて判定してもよい。過熱運転の状態とは、湿り運転の状態にない正常な運転状態を意味する。流体関連機器の第2の状態は、室外熱交換器115等の熱交換器(凝縮器又は蒸発器)の温度が上昇又は減少した運転状態を意味してもよい。
【0150】
冷媒関連機器の運転状態とは、例えば、圧縮機113により搬送される、冷媒関連機器の内部を通流する冷媒の運転状態である。冷媒関連機器の運転状態には、所定の湿り運転の状態と、過熱運転の状態とが含まれる。所定の湿り運転の状態とは、圧縮機113の出口の冷媒のスーパーヒート(過熱度)が、運転条件等から想定される所定基準に対して相対的に小さい運転状態を意味し、過熱運転の状態とは、所定の湿り運転の状態にない運転状態を意味する。
【0151】
教師データ蓄積部306は、流体関連機器の第2の状態量取得部302が取得した流体関連機器の第2の状態量、及び第2の状態取得部336が取得した流体関連機器の第2の状態を対応付けて、教師データとして蓄積する。教師データは、市場で収集したデータでもいいし、ラボで実験したデータでもいいし、シミュレーションで得たデータでもいいし、単独でもいいし組み合わせてもよい。
【0152】
第2の学習部338は、教師データ蓄積部306に蓄積された教師データを、教師あり学習することで、モデルのパラメータを調整する。具体的に、第2の学習部338は教師データの流体関連機器の第2の状態量と流体関連機器の第2の状態との対応を学習する。学習済みモデルは、教師データの流体関連機器の第2の状態量が入力されたときに、その流体関連機器の第2の状態量と対応する流体関連機器の第2の状態が出力されるように、パラメータが調整されている。第2の学習部338は、学習済みモデルを推論部310に提供する。
【0153】
また、図11の制御部220は、第1の推論部334、第2の推論部340、第3の状態取得部342、第3の学習部344、及び第3の推論部346の処理を含んだ、機械学習の学習モード処理を実行する。
【0154】
第3の状態取得部342は、流体搬送機及び流体関連機器の第3の状態を取得する。なお、第3の状態取得部342はユーザから流体搬送機及び流体関連機器の第3の状態の入力を受け付けてもよいし、空気調和機100から得られる情報から流体搬送機及び流体関連機器の第3の状態を判定してもよい。第3の状態取得部342が取得する流体搬送機及び流体関連機器の第3の状態は、教師データに必要なラベルとなる。
【0155】
例えば流体搬送機及び流体関連機器の第3の状態は、油回路の詰まり、湿り運転原因部品の故障、温度センサ118Bの故障、冷媒漏洩、室外熱交換器115等の熱交換器(凝縮器又は蒸発器)の故障、正常などの状態が含まれている。また、流体搬送機及び流体関連機器の第3の状態は、冷媒回路の詰まり、ポンプの故障(軸受摩耗、軸の偏心、軸のミスアラインメント)、ファンの故障などの状態が含まれていてもよい。
【0156】
流体搬送機及び流体関連機器の第3の状態は、圧縮機113への冷媒液バック、圧縮機113の内部の油枯渇又は劣化、圧縮機113の軸受け異常、圧縮機113の揺れ回り異常、圧縮機113のモータ異常、圧縮機113の弁やスクロール、ロータなどの圧縮室構成部品の破損、圧縮機の歯あたりなどの圧縮機113の関連故障事象であってもよい。
【0157】
また、流体搬送機及び流体関連機器の第3の状態は、圧縮機113の寿命による劣化又は液バック、凝縮器又は蒸発器の汚れ又は破損、凝縮器の送風装置又は蒸発器の送風装置の劣化又は故障、冷媒回路の配管途中に設けた塵収集用のストレーナ又は冷媒乾燥用のドライヤの詰まり、圧縮機113に使用される油の劣化(配管の詰まり、圧縮機113の潤滑不良、伝熱量の変化などで検知)などの状態が含まれていてもよい。
【0158】
第3の学習部344は、第1の推論部334が推論した流体搬送機の第1の状態、第2の推論部340が推論した流体関連機器の第2の状態、及び第3の状態取得部342が取得した流体搬送機及び流体関連機器の第3の状態を教師データとして、教師あり学習することで、モデルのパラメータを調整する。具体的に、第3の学習部344は教師データの流体搬送機の第1の状態及び流体関連機器の第2の状態と、流体搬送機及び流体関連機器の第3の状態との対応を学習する。学習済みモデルは、教師データの流体搬送機の第1の状態及び流体関連機器の第2の状態が入力されたときに、その流体搬送機の第1の状態及び流体関連機器の第2の状態に対応する流体搬送機及び流体関連機器の第3の状態が出力されるように、パラメータが調整されている。第3の学習部344は、学習済みモデルを第3の推論部346に提供する。
【0159】
図12の制御部220は、流体搬送機の第1の状態量取得部300、流体関連機器の第2の状態量取得部302、第1の推論部334、第2の推論部340、及び第3の推論部346の処理を含んだ、機械学習の推論モード処理を実行する。図12の機械学習の推論モード処理は、例えば補助記憶装置202に格納されるプログラムをメモリ装置203にロードし、CPU204で実行されることにより実現される。
【0160】
流体搬送機の第1の状態量取得部300は空気調和機100に含まれる流体搬送機の第1の状態量を新たに取得する。また、流体関連機器の第2の状態量取得部302は空気調和機100に含まれる流体関連機器の第2の状態量を新たに取得する。
【0161】
第1の推論部334は、流体搬送機の第1の状態量取得部300が新たに取得した流体搬送機の第1の状態量を学習済みモデルに入力することで、学習済みモデルから出力される流体搬送機の第1の状態を推論する。
【0162】
第2の推論部340は、流体関連機器の第2の状態量取得部302が新たに取得した流体関連機器の第2の状態量を学習済みモデルに入力することで、学習済みモデルから出力される流体関連機器の第2の状態を推論する。第3の推論部346は、第1の推論部334が推論した流体搬送機の第1の状態と第2の推論部340が推論した流体関連機器の第2の状態とを学習済みモデルに入力することで、学習済みモデルから出力される流体搬送機及び流体関連機器の第3の状態を推論できる。
【0163】
また、第3の推論部346が推論する流体搬送機及び流体関連機器の第3の状態は例えば空気調和機100の異常箇所を推定してもよい。図13は、流体搬送機の第1の状態及び流体関連機器の第2の状態と、空気調和機100の異常箇所との関係を示した一例の図である。
【0164】
例えば、図13に示すように、流体搬送機の第1の状態と、流体関連機器の第2の状態との組み合わせに対して、流体搬送機及び流体関連機器の異常の有無及び異常箇所が一義的に決定される。
【0165】
制御部220は、流体搬送機の第1の状態と流体関連機器の第2の状態とが共に正常な状態を表している場合、流体搬送機及び流体関連機器が正常であると診断する。
【0166】
一方、制御部220は、流体搬送機の第1の状態と流体関連機器の第2の状態のうちの少なくとも一方が異常な状態を表している場合、流体搬送機及び流体関連機器が異常であると診断する。
【0167】
具体的には、制御部220は、流体搬送機の第1の状態が正常な状態を表し、流体関連機器の第2の状態が異常な湿り運転状態を表す場合、湿り運転原因部品が故障していると診断してよい。湿り運転原因部品は湿り運転の原因となる特定の部品であり、例えば冷媒回路の電磁弁である。湿り運転の原因となる特定の部品としての電磁弁は、例えば室外膨張弁116や室内膨張弁121等を含む。
【0168】
また、制御部220は、流体搬送機の第1の状態が圧縮機113の油シール性の低下の異常状態を表し、流体関連機器の第2の状態が正常な過熱運転の状態を表す場合、油回路(油経路L7又は油経路L8)の詰まりが生じていると診断してよい。
【0169】
また、制御部220は、流体搬送機の第1の状態が圧縮機113の油シール性の低下の異常状態を表し、流体関連機器の第2の状態が異常な湿り運転状態を表す場合、湿り運転原因部品が故障していると診断してよい。
【0170】
また、制御部220は、流体搬送機の第1の状態が圧縮機113の液圧縮の異常状態を表し、流体関連機器の第2の状態が正常な過熱運転の状態を表す場合、温度センサ118Bが故障していると診断してよい。
【0171】
また、制御部220は、流体搬送機の第1の状態が圧縮機113の液圧縮の異常状態を表し、流体関連機器の第2の状態が異常な湿り運転の状態を表す場合、湿り運転原因部品が故障していると診断してよい。
【0172】
制御部220は機械学習装置の一例である。また、制御部220を有する空気調和機100、制御部220として機能する端末装置、携帯端末、エッジコントローラ、エッジサーバ、オンプレミスサーバ、又はクラウドサーバも機械学習装置の一例である。
【0173】
例えば空気調和機100の駆動装置117に含まれている制御部220は、学習モード処理及び推論モード処理を含む空気調和機100の診断処理を実行してもよい。なお、学習モード処理はモデルの初期学習を含む。学習モード処理は、学習済みモデルの精度向上の為の再学習が含まれていてもよい。
【0174】
また、例えば空気調和機100の動作を制御する制御装置に含まれている制御部220は、学習モード処理及び推論モード処理を含む空気調和機100の診断処理を実行してもよい。なお、学習モード処理はモデルの初期学習を含む。学習モード処理は、学習済みモデルの精度向上の為の再学習が含まれていてもよい。
【0175】
また、例えば空気調和機100の端末装置、携帯端末、エッジコントローラ、エッジサーバ、又はオンプレミスサーバに含まれている制御部220は、学習モード処理及び推論モード処理を含む空気調和機100の診断処理を実行してもよい。なお、学習モード処理はモデルの初期学習を含む。学習モード処理は、学習済みモデルの精度向上の為の再学習が含まれていてもよい。
【0176】
また、例えばクラウドサーバに含まれている制御部220は、学習モード処理及び推論モード処理を含む空気調和機100の診断処理を実行してもよい。なお、学習モード処理はモデルの初期学習を含む。学習モード処理は、学習済みモデルの精度向上の為の再学習が含まれていてもよい。
【0177】
また、例えば空気調和機100の端末装置、携帯端末、エッジコントローラ、エッジサーバ、又はオンプレミスサーバに含まれている制御部220は、学習モード処理を実行するようにしてもよい。この場合、例えば空気調和機100の動作を制御する制御装置に含まれている制御部220は、推論モード処理を実行する。学習済みモデルの精度向上の為の再学習は含まれていてもよいし、含まれていなくてもよい。
【0178】
また、例えば空気調和機100の端末装置、携帯端末、エッジコントローラ、エッジサーバ、又はオンプレミスサーバに含まれている制御部220は、学習モード処理を実行するようにしてもよい。この場合、例えば空気調和機100の駆動装置117に含まれている制御部220は、推論モード処理を実行する。学習済みモデルの精度向上の為の再学習は含まれていてもよいし、含まれていなくてもよい。
【0179】
また、例えばクラウドサーバに含まれている制御部220は、学習モード処理を実行するようにしてもよい。この場合、例えば空気調和機100の動作を制御する制御装置に含まれている制御部220は、推論モード処理を実行する。学習済みモデルの精度向上の為の再学習は含まれていてもよいし、含まれていなくてもよい。
【0180】
また、例えばクラウドサーバに含まれている制御部220は、学習モード処理を実行するようにしてもよい。この場合、例えば空気調和機100の駆動装置117に含まれている制御部220は、推論モード処理を実行する。学習済みモデルの精度向上の為の再学習は含まれていてもよいし、含まれていなくてもよい。
【0181】
制御部220は、例えば、診断結果を補助記憶装置や記録媒体201A等に記録し蓄積させる。これにより、診断システム1のユーザは、制御部220の補助記憶装置202や記録媒体201Aから蓄積されたデータを取り出して、空気調和機100の診断結果を時系列で確認することができる。
【0182】
また、制御部220は、出力装置208を通じて、診断結果をユーザに向けて出力してもよい。これにより、診断システム1のユーザは、空気調和機100の診断結果を出力装置208からの視覚的或いは聴覚的な情報によって確認することができる。
【0183】
また、制御部220は、通信インタフェース206を通じて、診断結果を外部機器に送信してもよい。これにより、外部機器は、制御部220から受信される診断結果を蓄積することができる。外部機器は、例えば、診断システム1のユーザが利用する端末装置である。
【0184】
これにより、診断システム1のユーザは、自身が利用する端末装置を通じて、空気調和機100の診断結果を時系列で確認することができる。制御部220が空気調和機100に含まれる場合、外部機器は、空気調和機100の管理用の端末装置、エッジコントローラ、エッジサーバ、オンプレミスサーバ、クラウドサーバ等であってもよい。
【0185】
[他の実施形態]
上述の実施形態は、適宜、変形や変更が加えられてもよい。
【0186】
例えば、上述の実施形態において、診断対象は、空気調和機100とは異なる冷凍サイクルを有する機器やシステム等であってもよい。診断対象は、冷凍サイクル装置、流体機械、オイルコン、及びエアハンドリングユニット等を含む。
【0187】
また、診断対象は、冷凍サイクルを有する機器とは異なる機器やシステム等であってもよい。具体的には、診断対象は、内部に通流する流体を搬送する流体搬送機と、流体搬送機により搬送される流体が内部に通流する流体関連機器とを含む機器やシステムであればよい。これにより、上記と同様の方法によって、診断対象の機器やシステム等を診断することができる。
【0188】
また、教師データは複数の診断対象、又は診断対象のマイコンから各種データを収集するエッジコントローラ、エッジサーバ、オンプレミスサーバ、クラウドサーバ等に蓄積して利用するようにしてもよい。
【0189】
以上、本実施形態について説明したが、特許請求の範囲の趣旨及び範囲から逸脱することなく、形態や詳細の多様な変更が可能なことが理解されるであろう。なお、本実施形態において「A又はB」は「Aのみ、Bのみ」と「A及びB」との両方の意味を含む場合がある。
【符号の説明】
【0190】
1 診断システム
100 空気調和機
110 室外機
113 圧縮機
120 室内機
130、140、L1~L6 冷媒経路
220 制御部
L7~L8 油経路
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
【手続補正書】
【提出日】2024-07-22
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
制御部を有する機械学習装置であって、
前記制御部は、
診断対象に含まれ、前記診断対象の内部で流体を搬送する流体搬送機の第1の状態量を取得し、
前記診断対象に含まれ、前記流体搬送機に接続される配管を含む流体関連機器の内部に通流する前記流体に関する第2の状態量を取得し、
前記流体関連機器の正常又は異常の状態を取得し、
取得した前記流体搬送機の第1の状態量、前記流体関連機器の第2の状態量、及び前記流体関連機器の正常又は異常の状態を関連付けて学習し、
前記流体関連機器の異常の状態は、油回路の詰まり、室外膨張弁の故障、室内膨張弁の故障、温度センサの故障、熱交換器の故障、冷媒回路の詰まり、ファンの故障、塵収集用のストレーナの詰まり、冷媒乾燥用のドライヤの詰まり、又はポンプ外の流体関連機器の流路の目詰まりである
機械学習装置。
【請求項2】
前記制御部は、
前記流体搬送機の第1の状態量、前記流体関連機器の第2の状態量、及び前記流体関連機器の正常又は異常の状態を教師データとして学習する
請求項1記載の機械学習装置。
【請求項3】
前記制御部は、
取得した前記流体関連機器の正常又は異常の状態と、推論した前記流体関連機器の正常又は異常の状態と、に基づいて報酬を算出し、
前記報酬を用いて学習する
請求項1記載の機械学習装置。
【請求項4】
前記制御部は、
前記学習の結果に基づき、新たに取得した前記流体搬送機の第1の状態量及び前記流体関連機器の第2の状態量から前記流体関連機器の正常又は異常の状態を推論する
請求項1乃至3の何れか一項に記載の機械学習装置。
【請求項5】
制御部を有する機械学習装置であって、
前記制御部は、
診断対象に含まれ、前記診断対象の内部で流体を搬送する流体搬送機の第1の状態量を取得し、
前記診断対象に含まれ、前記流体搬送機に接続される配管を含む流体関連機器の内部に通流する前記流体に関する第2の状態量を取得し、
取得した前記流体搬送機の第1の状態量及び前記流体関連機器の第2の状態量を分類するように学習し、
前記学習の結果に基づき、新たに取得した前記流体搬送機の第1の状態量及び前記流体関連機器の第2の状態量を分類し、
前記分類の種類と前記流体関連機器の正常又は異常の状態とを対応付ける情報の入力を受け付け
前記流体関連機器の異常の状態は、油回路の詰まり、室外膨張弁の故障、室内膨張弁の故障、温度センサの故障、熱交換器の故障、冷媒回路の詰まり、ファンの故障、塵収集用のストレーナの詰まり、冷媒乾燥用のドライヤの詰まり、又はポンプ外の流体関連機器の流路の目詰まりである
機械学習装置。
【請求項6】
前記制御部は、
前記分類の種類と前記流体関連機器の正常又は異常の状態とが対応付けられた情報を用いて、新たに取得した前記流体搬送機の第1の状態量及び前記流体関連機器の第2の状態量の前記分類の結果に基づき、前記分類の種類から前記流体関連機器の正常又は異常の状態を推論する
請求項5記載の機械学習装置。
【請求項7】
制御部を有する機械学習装置であって、
前記制御部は、
診断対象に含まれ、前記診断対象の内部で流体を搬送する流体搬送機の第1の状態量を取得し、
前記診断対象に含まれ、前記流体搬送機に接続される配管を含む流体関連機器の内部に通流する前記流体に関する第2の状態量を取得し、
前記流体搬送機の第1の正常又は異常の状態を取得し、
前記流体関連機器の第2の正常又は異常の状態を取得し、
前記流体搬送機と前記流体関連機器の第3の正常又は異常の状態を取得し、
取得した前記流体搬送機の第1の状態量及び前記流体搬送機の第1の正常又は異常の状態を関連付けて第1の学習をし、
取得した前記流体関連機器の第2の状態量及び前記流体関連機器の第2の正常又は異常の状態を関連付けて第2の学習をし、
前記第1の学習の結果、前記第2の学習の結果、及び前記流体搬送機と前記流体関連機器の第3の正常又は異常の状態を関連付けて第3の学習をし、
前記流体搬送機と前記流体関連機器の第3の異常の状態は、油回路の詰まり、室外膨張弁の故障、室内膨張弁の故障、温度センサの故障、熱交換器の故障、冷媒回路の詰まり、ファンの故障、塵収集用のストレーナの詰まり、冷媒乾燥用のドライヤの詰まり、又はポンプ外の流体関連機器の流路の目詰まりである
機械学習装置。
【請求項8】
前記制御部は、
前記第1の学習の結果に基づき、新たに取得した前記流体搬送機の第1の状態量から前記流体搬送機の第1の正常又は異常の状態を推論し、
前記第2の学習の結果に基づき、新たに取得した前記流体関連機器の第2の状態量から前記流体関連機器の第2の正常又は異常の状態を推論し、
前記第3の学習の結果に基づき、推論した前記流体搬送機の第1の正常又は異常の状態及び前記流体関連機器の第2の正常又は異常の状態から前記流体搬送機と前記流体関連機器の第3の正常又は異常の状態を推論する
請求項7記載の機械学習装置。
【請求項9】
前記流体搬送機は、電動機、及び前記電動機により駆動される負荷である
請求項1、2、3、5、6、7、又は8の何れか一項に記載の機械学習装置。
【請求項10】
前記電動機により駆動される負荷は、圧縮機、ファン、又はポンプである
請求項9記載の機械学習装置。
【請求項11】
前記診断対象は、空気調和機、冷凍サイクル装置、流体機械、オイルコン、又はエアハンドリングユニットである
請求項1、2、3、5、6、7、又は8の何れか一項に記載の機械学習装置。
【請求項12】
請求項1、2、3、5、6、7、又は8の何れか一項に記載の機械学習装置を用いて、前記診断対象を診断する診断システム。
【請求項13】
請求項1、2、3、5、6、7、又は8の何れか一項に記載の機械学習装置を用いて前記流体関連機器の正常又は異常の状態又は前記流体搬送機と前記流体関連機器の第3の正常又は異常の状態を診断する機器。
【請求項14】
機械学習装置が有する制御部に、
診断対象に含まれ、前記診断対象の内部で流体を搬送する流体搬送機の第1の状態量を取得し、
前記診断対象に含まれ、前記流体搬送機に接続される配管を含む流体関連機器の内部に通流する前記流体に関する第2の状態量を取得し、
前記流体関連機器の正常又は異常の状態を取得し、
取得した前記流体搬送機の第1の状態量、前記流体関連機器の第2の状態量、及び前記流体関連機器の正常又は異常の状態を関連付けて学習する
処理を実行させ
前記流体関連機器の異常の状態は、油回路の詰まり、室外膨張弁の故障、室内膨張弁の故障、温度センサの故障、熱交換器の故障、冷媒回路の詰まり、ファンの故障、塵収集用のストレーナの詰まり、冷媒乾燥用のドライヤの詰まり、又はポンプ外の流体関連機器の流路の目詰まりである
プログラム。