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特開2024-146268機器、代理応答方法、及び通信システム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024146268
(43)【公開日】2024-10-15
(54)【発明の名称】機器、代理応答方法、及び通信システム
(51)【国際特許分類】
   H04L 43/10 20220101AFI20241004BHJP
   H04L 12/417 20060101ALI20241004BHJP
【FI】
H04L43/10
H04L12/417
【審査請求】未請求
【請求項の数】12
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023059065
(22)【出願日】2023-03-31
(71)【出願人】
【識別番号】000002853
【氏名又は名称】ダイキン工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(72)【発明者】
【氏名】祝 建俊
(72)【発明者】
【氏名】呼元 文数
【テーマコード(参考)】
5K032
【Fターム(参考)】
5K032AA03
5K032BA08
5K032CA17
5K032DB28
(57)【要約】
【課題】通信アドレスが設定された複数の通信機器がトークンパッシング方式で通信するネットワークにおいて通信効率を向上させる機器、代理応答方法、及び通信システムを提供すること。
【解決手段】制御部を有する機器であって、制御部は、通信アドレスが設定された複数の通信機器がトークンパッシング方式で通信するネットワークにおいて、複数の通信機器間の通信状況を監視し、複数の通信機器で使用されている通信アドレスを収集し、複数の通信機器で使用されていない通信アドレスを代理応答対象の通信アドレスと決定し、送信権を持った第1の通信機器から送信される存在確認コマンドを取得し、存在確認コマンドの送信先の通信アドレスが、自機の保持する代理応答対象の通信アドレスに含まれていた場合、第1の通信機器に存在応答し、第1の通信機器から前記送信権を受領する機器により上記課題を解決する。
【選択図】 図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
制御部を有する機器であって、
前記制御部は、
通信アドレスが設定された複数の通信機器がトークンパッシング方式で通信するネットワークにおいて、
前記複数の通信機器間の通信状況を監視し、前記複数の通信機器で使用されている通信アドレスを収集し、
前記複数の通信機器で使用されていない通信アドレスを代理応答対象の通信アドレスと決定し、
送信権を持った第1の通信機器から送信される存在確認コマンドを取得し、
前記存在確認コマンドの送信先の通信アドレスが、自機の保持する代理応答対象の通信アドレスに含まれていた場合、前記第1の通信機器に存在応答し、
前記第1の通信機器から前記送信権を受領する
機器。
【請求項2】
前記制御部は、前記代理応答対象の通信アドレスに対する存在確認コマンドを送信し、前記存在確認コマンドに対する存在応答を受信した場合、前記存在応答を行った通信機器の通信アドレスを前記代理応答対象の通信アドレスから削除する
請求項1記載の機器。
【請求項3】
前記制御部は、前記代理応答対象の通信アドレスのうち、最も小さい番号の通信アドレスに対し、前記存在確認コマンドを送信する
請求項2記載の機器。
【請求項4】
前記制御部は、前記代理応答対象の通信アドレスのうち、機器種別に割り当てた範囲内の通信アドレスに対し、前記存在確認コマンドを送信する
請求項2記載の機器。
【請求項5】
前記制御部は、前記代理応答対象の通信アドレスのうち、連なる番号の範囲内の通信アドレスに対し、前記存在確認コマンドを送信する
請求項2記載の機器。
【請求項6】
前記制御部は、前記代理応答対象の通信アドレスに基づき、前記送信権を移譲する通信機器を決定し、
前記送信権を移譲する
請求項1乃至5の何れか一項に記載の機器。
【請求項7】
前記制御部は、前記複数の通信機器に対して前記送信権を利用してデータ取得要求又は設定変更指令を送信する
請求項1乃至5の何れか一項に記載の機器。
【請求項8】
前記制御部は、前記複数の通信機器ごとに、前記送信権を取得した際の通信状況を分析し、
前記送信権を移譲する前記通信機器を決定する
請求項6記載の機器。
【請求項9】
前記制御部は、所定期間内に受領した前記送信権に基づき、前記ネットワークにおける通信状況を出力する
請求項1乃至5の何れか一項に記載の機器。
【請求項10】
前記通信機器は、空調機である
請求項1乃至5の何れか一項に記載の機器。
【請求項11】
制御部を有する機器の前記制御部が実行する代理応答方法であって、
通信アドレスが設定された複数の通信機器がトークンパッシング方式で通信するネットワークにおいて、
前記複数の通信機器間の通信状況を監視し、前記複数の通信機器で使用されている通信アドレスを収集し、
前記複数の通信機器で使用されていない通信アドレスを代理応答対象の通信アドレスと決定し、
送信権を持った第1の通信機器から送信される存在確認コマンドを取得し、
前記存在確認コマンドの送信先の通信アドレスが、自機の保持する代理応答対象の通信アドレスに含まれていた場合、前記第1の通信機器に存在応答し、
前記第1の通信機器から前記送信権を受領する
代理応答方法。
【請求項12】
制御部を有する機器と、通信アドレスが設定された複数の通信機器とがネットワークを介してトークンパッシング方式で通信する通信システムにおいて、
前記制御部は、
通信アドレスが設定された複数の通信機器がトークンパッシング方式で通信するネットワークにおいて、
前記複数の通信機器間の通信状況を監視し、前記複数の通信機器で使用されている通信アドレスを収集し、
前記複数の通信機器で使用されていない通信アドレスを代理応答対象の通信アドレスと決定し、
送信権を持った第1の通信機器から送信される存在確認コマンドを取得し、
前記存在確認コマンドの送信先の通信アドレスが、自機の保持する代理応答対象の通信アドレスに含まれていた場合、前記第1の通信機器に存在応答し、
前記第1の通信機器から前記送信権を受領する
通信システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、機器、代理応答方法、及び通信システムに関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、トークン(送信権)を巡回させて通信を行うトークンパッシング方式の通信プロトコルが利用されている。従来のトークンパッシング方式の通信プロトコルでは、異常が発生したときに、通信効率の低下を未然に防ぐ技術が知られていた(例えば特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2007-318593号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
例えば、BACnet MS/TPは、トークンパッシング方式の通信プロトコルの一例である。BACnetは、Building Automation and Control Networkの略称である。MS/TPは、マスタスレーブ方式及びトークンパッシング方式の2つの通信方式の略称である。
【0005】
BACnet MS/TPの通信プロトコルは、トークンを持った通信機器のみがリクエスト可能である。BACnet MS/TPの通信プロトコルでは、ネットワークに接続された通信機器の検知を、トークンを持った通信機器が特定の通信アドレスを送信先とした存在確認コマンドを送信し、特定の通信アドレスが設定されている他の通信機器が存在確認コマンドに応答することで実現していた。
【0006】
存在確認コマンドを送信した通信機器は、所定のタイムアウト時間が経過しても存在確認コマンドに対する応答を受信しなければ、その存在確認コマンドに設定されている特定の通信アドレスの通信機器がネットワークに接続されていないと判断する。なお、BACnet MS/TPの通信プロトコルでは、タイムアウト時間の経過を待つ間、存在確認コマンドを送信した通信機器がトークンを持ち続けるため、他の通信機器がリクエストを行うこともできない。
【0007】
したがって、BACnet MS/TPの通信プロトコルでは、ネットワークに接続されている通信機器が少ないほど、存在確認コマンドに対するタイムアウト時間の発生頻度が高くなり、通信効率が低下するという問題があった。
【0008】
本開示は、通信アドレスが設定された複数の通信機器がトークンパッシング方式で通信するネットワークにおいて通信効率を向上させる機器、代理応答方法、及び通信システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本開示の第1の態様は、制御部を有する機器であって、前記制御部は、通信アドレスが設定された複数の通信機器がトークンパッシング方式で通信するネットワークにおいて、前記複数の通信機器間の通信状況を監視し、前記複数の通信機器で使用されている通信アドレスを収集し、前記複数の通信機器で使用されていない通信アドレスを代理応答対象の通信アドレスと決定し、送信権を持った第1の通信機器から送信される存在確認コマンドを取得し、前記存在確認コマンドの送信先の通信アドレスが、自機の保持する代理応答対象の通信アドレスに含まれていた場合、前記第1の通信機器に存在応答し、前記第1の通信機器から前記送信権を受領する機器である。
【0010】
本開示の第1の態様によれば、通信アドレスが設定された複数の通信機器がトークンパッシング方式で通信するネットワークにおいて通信効率を向上させる機器を提供することができる。
【0011】
本開示の第2の態様は、第1の態様の機器であって、前記制御部は、前記代理応答対象の通信アドレスに対する存在確認コマンドを送信し、前記存在確認コマンドに対する存在応答を受信した場合、前記存在応答を行った通信機器の通信アドレスを前記代理応答対象の通信アドレスから削除する。
【0012】
本開示の第2の態様によれば、自機の保持する代理応答対象の通信アドレスから、存在応答を行った通信機器の通信アドレスを削除することができる。
【0013】
本開示の第3の態様は、第2の態様の機器であって、前記制御部は、前記代理応答対象の通信アドレスのうち、最も小さい番号の通信アドレスに対し、前記存在確認コマンドを送信する。
【0014】
本開示の第3の態様によれば、代理応答対象の通信アドレスのうち、最も小さい番号の通信アドレスに対し、存在確認コマンドを送信することができる。
【0015】
本開示の第4の態様は、第2の態様の機器であって、前記制御部は、前記代理応答対象の通信アドレスのうち、機器種別に割り当てた範囲内の通信アドレスに対し、前記存在確認コマンドを送信する。
【0016】
本開示の第4の態様によれば、代理応答対象の通信アドレスのうち、機器種別に割り当てた範囲内の通信アドレスに対し、存在確認コマンドを送信することができる。
【0017】
本開示の第5の態様は、第2の態様の機器であって、前記制御部は、前記代理応答対象の通信アドレスのうち、連なる番号の範囲内の通信アドレスに対し、前記存在確認コマンドを送信する。
【0018】
本開示の第5の態様によれば、代理応答対象の通信アドレスのうち、連なる番号の範囲内の通信アドレスに対し、存在確認コマンドを送信することができる。
【0019】
本開示の第6の態様は、第1の態様から第5の態様の何れか1つに記載の機器であって、前記制御部は、前記代理応答対象の通信アドレスに基づき、前記送信権を移譲する通信機器を決定し、前記送信権を移譲する。
【0020】
本開示の第6の態様によれば、代理応答対象の通信アドレスに基づき、送信権を移譲する通信機器を決定し、送信権を移譲することができる。
【0021】
本開示の第7の態様は、第1の態様から第6の態様の何れか1つに記載の機器であって、前記制御部は、前記複数の通信機器に対して前記送信権を利用してデータ取得要求又は設定変更指令を送信する。
【0022】
本開示の第7の態様によれば、複数の通信機器に対して送信権を利用してデータ取得要求又は設定変更指令を送信することができる。
【0023】
本開示の第8の態様は、第6の態様の機器であって、前記制御部は、前記複数の通信機器ごとに、前記送信権を取得した際の通信状況を分析し、前記送信権を移譲する前記通信機器を決定する。
【0024】
本開示の第8の態様によれば、複数の通信機器ごとに、送信権を取得した際の通信状況を分析し、送信権を移譲する通信機器を決定することができる。
【0025】
本開示の第9の態様は、第1の態様から第6の態様の何れか1つに記載の機器であって、所定期間内に受領した前記送信権に基づき、前記ネットワークにおける通信状況を出力する。
【0026】
本開示の第9の態様によれば、所定期間内に受領した送信権に基づき、ネットワークにおける通信状況を出力することができる。
【0027】
本開示の第10の態様は、第1の態様から第9の態様の何れか1つに記載の機器であって、前記通信機器は、空調機である。
【0028】
本開示の第10の態様によれば、通信アドレスが設定された複数の空調機がトークンパッシング方式で通信するネットワークにおいて通信効率を向上させる機器を提供することができる。
【0029】
本開示の第11の態様は、制御部を有する機器の前記制御部が実行する代理応答方法であって、通信アドレスが設定された複数の通信機器がトークンパッシング方式で通信するネットワークにおいて、前記複数の通信機器間の通信状況を監視し、前記複数の通信機器で使用されている通信アドレスを収集し、前記複数の通信機器で使用されていない通信アドレスを代理応答対象の通信アドレスと決定し、送信権を持った第1の通信機器から送信される存在確認コマンドを取得し、前記存在確認コマンドの送信先の通信アドレスが、自機の保持する代理応答対象の通信アドレスに含まれていた場合、前記第1の通信機器に存在応答し、前記第1の通信機器から前記送信権を受領する代理応答方法である。
【0030】
本開示の第11の態様によれば、通信アドレスが設定された複数の通信機器がトークンパッシング方式で通信するネットワークにおいて通信効率を向上させる代理応答方法を提供することができる。
【0031】
本開示の第12の態様は、制御部を有する機器と、通信アドレスが設定された複数の通信機器とがネットワークを介してトークンパッシング方式で通信する通信システムにおいて、前記制御部は、通信アドレスが設定された複数の通信機器がトークンパッシング方式で通信するネットワークにおいて、前記複数の通信機器間の通信状況を監視し、前記複数の通信機器で使用されている通信アドレスを収集し、前記複数の通信機器で使用されていない通信アドレスを代理応答対象の通信アドレスと決定し、送信権を持った第1の通信機器から送信される存在確認コマンドを取得し、前記存在確認コマンドの送信先の通信アドレスが、自機の保持する代理応答対象の通信アドレスに含まれていた場合、前記第1の通信機器に存在応答し、前記第1の通信機器から前記送信権を受領する通信システムである。
【0032】
本開示の第12の態様によれば、通信アドレスが設定された複数の通信機器がトークンパッシング方式で通信するネットワークにおいて通信効率を向上させる通信システムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0033】
図1】BACnet MS/TPによる通信のトポロジーの一例について説明する図である。
図2】BACnet MS/TPによる通信の一例について示したシーケンス図である。
図3】本実施形態に係るBACnet MS/TPによる通信のトポロジーの一例について説明する図である。
図4】本実施形態に係るBACnet MS/TPによる通信の一例について示したシーケンス図である。
図5】本実施形態に係る通信システムの一例の構成図である。
図6】本実施形態に係るコンピュータの一例のハードウェア構成図である。
図7】本実施形態に係る代理応答する機器が行う処理の一例のフローチャートである。
図8】BACnet MS/TPの通信プロトコルで通信する既存の通信システムの一例の構成図である。
図9】既存の通信システムの通信のトポロジーの一例について説明する図である。
図10】疑似Masterの機能を入れ込んだ通信システムの一例の構成図である。
図11】疑似Masterの機能を入れ込んだ通信システムの通信のトポロジーの一例について説明する図である。
図12】疑似Masterを入れ込んだ通信システムの一例の構成図である。
図13】ある通信機器のリクエストを出す頻度を時間ごとに表した一例の説明図である。
図14】代理応答する機器が一定時間内にトークンを渡された回数の統計で示されたトレンドデータの一例の説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0034】
次に、本開示の実施形態について詳細に説明する。なお、本実施形態に記載された「又は」は「Aのみ、Bのみ」と「A及びB」との両方の意味を含むものとする。
【0035】
<BACnet MS/TPについて>
図1は、BACnet MS/TPによる通信のトポロジーの一例について説明する図である。図2は、BACnet MS/TPによる通信の一例について示したシーケンス図である。BACnet MS/TPは、トークンパッシング方式の通信プロトコルの一例である。
【0036】
図1及び図2では、BACnet MS/TPでトークンを渡され、リクエストできる権限を持つ通信機器をMasterと記載している。また、図1及び図2において括弧で示された数字は、通信機器に設定された通信アドレス(アドレス番地)であって、0~127である。BACnet MS/TPの通信プロトコルは、トークンを持った通信機器のみがリクエスト可能である。図1及び図2ではトークンをTokenと記載している。例えば他の通信機器から情報を取得する場合、トークンを持った通信機器はリードプロパティ(Read Property)リクエストを送信する。また、他の通信機器に情報を送信する場合、トークンを持った通信機器はライトプロパティ(Write Property)リクエストを送信する。
【0037】
BACnet MS/TPの通信プロトコルは、通信アドレスが若い順でトークンが渡される。例えばトークンは、通信アドレス「0」の通信機器から通信アドレス「1」の通信機器、通信アドレス「1」の通信機器から通信アドレス「2」の通信機器というように通信アドレスが若い順で渡される。
【0038】
BACnet MS/TPの通信プロトコルで通信するネットワークでは、一部の通信アドレスが使用されていない場合がある。図1及び図2は、通信アドレス「5」から「127」が使用されていない例を示している。通信アドレス「4」の通信機器は、次の通信機器の通信アドレスが「0」と把握しており、通信アドレスが「0」の通信機器にトークンを渡すことができる。
【0039】
BACnet MS/TPの通信プロトコルは、新しくネットワークに接続した通信機器を検知する仕組みを有している。新しくネットワークに接続した通信機器を検知する仕組みでは、トークンを所定回数(例えば50回など)渡された通信機器が、特定の通信アドレスを引数にする存在確認コマンドを送信し、特定の通信アドレスが設定されている他の通信機器が存在確認コマンドに応答することで実現していた。
【0040】
存在確認コマンドは、例えばPoll for Masterのリクエストである。存在確認コマンドに対する応答は、存在応答であり、例えばReply to Poll for Masterのレスポンスである。
【0041】
例えば図1及び図2では、通信アドレス「4」の通信機器が使用されていない通信アドレス「5」から「127」の通信機器に対して存在確認コマンドを送信する。存在確認コマンドを送信した通信機器は、存在確認コマンドに対する応答があった場合、把握している次の通信機器の通信アドレスを、存在確認コマンドに対する応答を行った通信機器の通信アドレスに更新し、トークンを渡す。例えば通信アドレス「4」の通信機器は、通信アドレス「5」の通信機器に送信した存在確認コマンドに対する応答があった場合、把握していた通信アドレス「0」を通信アドレス「5」に更新し、通信アドレス「5」の通信機器にトークンを渡す。
【0042】
存在確認コマンドを送信した通信機器は、存在確認コマンドに対する応答が無かった場合、把握している次の通信アドレスの通信機器にトークンを渡す。例えば図1及び図2の通信アドレス「4」の通信機器は、存在確認コマンドに対する応答が無いため、把握していた通信アドレス「0」の通信機器にトークンを渡す。
【0043】
存在確認コマンドを送信した通信機器は、所定のタイムアウト時間が経過しても存在確認コマンドに対する応答を受信しなければ、存在確認コマンドに対する応答が無いと判断する。また、存在確認コマンドを送信した通信機器は、存在確認コマンドに対する応答が無ければ、存在確認コマンドに設定した特定の通信アドレスの通信機器がネットワークに接続されていないと判断できる。
【0044】
しかしながら、BACnet MS/TPの通信プロトコルでは、タイムアウト時間の経過を待つ間、存在確認コマンドを送信した通信機器がトークンを持ち続けるため、他の通信機器がリクエストを行うこともできない。したがって、BACnet MS/TPの通信プロトコルでは、ネットワークに接続されている通信機器が少ないほど、存在確認コマンドに対するタイムアウト時間の発生頻度が高くなり、通信効率が低下する。
【0045】
そこで、本実施形態ではBACnet MS/TPの通信プロトコルで通信するネットワークにおいて以下のようにタイムアウト時間を削減し、通信機器にトークンが渡される周期を短くすることで、通信効率を向上させる。
【0046】
図3は、本実施形態に係るBACnet MS/TPによる通信のトポロジーの一例について説明する図である。図4は、本実施形態に係るBACnet MS/TPによる通信の一例について示したシーケンス図である。
【0047】
図3及び図4は、ネットワークで使用されていない通信アドレスを引数とした存在確認コマンドに代理応答する機器をネットワークに接続することにより、存在確認コマンドのタイムアウト時間を削減する。図3及び図4では、ネットワークで使用されていない通信アドレスを引数とした存在確認コマンドに代理応答する機器を疑似Masterと記載している。存在確認コマンドの引数の通信アドレスは、存在確認コマンドの送信先となる。
【0048】
代理応答する機器は、複数の通信機器間の通信状況を監視することで、複数の通信機器で使用されている通信アドレスの情報を収集し、複数の通信機器で使用されていない通信アドレスの情報を、代理応答対象の通信アドレスとして保持する。
【0049】
代理応答する機器は、トークンを持った通信機器から送信される存在確認コマンドを取得し、存在確認コマンドの送信アドレスが、自機の保持する代理応答対象の通信アドレスに含まれている場合、存在確認コマンドに代理応答(代理で存在応答)する。存在確認コマンドを送信した通信機器は、ネットワークで使用されていない通信機器の通信アドレスに対する存在確認コマンドであっても、代理応答する機器から、存在確認コマンドに対する代理応答を受信できる。
【0050】
存在確認コマンドを送信した通信機器は、存在確認コマンドに対する代理応答を受信すると、把握している次の通信機器の通信アドレスを、代理応答する機器の通信アドレスに更新する。例えば図3及び図4では、通信アドレス「4」の通信機器が、把握していた通信アドレス「0」を、次の通信機器の通信アドレス「5」に更新した後、トークンを送信する。代理応答する機器は、通信アドレス「4」の通信機器からトークンを受領する。
【0051】
通信アドレス「4」の通信機器は、代理応答する機器を、通信アドレス「4」の次の通信アドレス「5」の通信機器と把握しているため、次回から存在確認コマンドを送信しなくなり、存在確認コマンドのタイムアウト時間を削減できる。
【0052】
また、代理応答する機器はネットワークで使用されていない通信アドレスを、代理応答対象の通信アドレスとして保持しているため、次の通信機器の通信アドレス「0」を把握することができる。したがって、代理応答する機器は存在確認コマンドを送信せず、通信アドレス「0」の通信機器にトークンを渡すことができる。
【0053】
また、本実施形態では、代理応答する機器が、新しくネットワークに接続した通信機器を検知するため、トークンを所定回数(例えば50回など)渡される度に、保持する代理応答対象の通信アドレスに対して存在確認コマンドを送信する。代理応答対象の通信アドレスに対して送信した存在確認コマンドに対する応答があった場合、代理応答する機器は応答のあった通信アドレスを、代理応答対象の通信アドレスから削除する。
【0054】
したがって、代理応答する機器は、新しくネットワークに接続した通信機器の通信アドレスを代理応答対象の通信アドレスから削除して、応答のあった通信機器に成りすまして行っていた代理応答を停止することができる。
【0055】
なお、代理応答する機器は、保持する代理応答対象の通信アドレスに対して存在確認コマンドを送信する場合、最も小さい番号、機器種別に割り当てた範囲内、又は連なる番号の範囲内の通信アドレスに対し、存在確認コマンドを送信してもよい。
【0056】
<通信システム構成>
図5は、本実施形態に係る通信システム1の一例の構成図である。図5に示した通信システム1は、制御部12を有する機器10と、通信アドレスが設定された複数の通信機器20-0~20―4とがネットワーク30を介してトークンパッシング方式で通信する通信システムの一例である。
【0057】
図5の通信システム1は、BACnet MS/TPでトークンを渡され、リクエストできる権限を持つ通信機器20-0~20-4をMaster(0)~(4)と記載している。なお、図5において括弧で示されている数字「0」~「4」は、通信機器20-0~20-4に設定されている通信アドレス(アドレス番地)である。通信機器20-0~20-4は例えば空調機である。
【0058】
また、図5の通信システム1は、使用されていない通信アドレスを引数とした存在確認コマンドに代理応答する機器10を疑似Masterと記載している。代理応答する機器10は、通信機器20-0~20-4の通信状況を監視することで、使用されている通信アドレスの情報を収集し、通信機器20-0~20-4で使用されていない通信アドレスの情報を、代理応答対象の通信アドレスとして保持する。
【0059】
代理応答する機器10は、例えばPC(Personal Computer)などの情報処理装置により実現される。代理応答する機器10は、制御部12を有する。制御部12は、プログラムを実行するハード構成であって、CPU(Central Processing Unit)、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)、又はFPGA(Field Programmable Gate Array)等である。例えば代理応答する機器10はCPUがプログラムを実行することで、後述の各種処理を実行できる。
【0060】
図5の代理応答する機器10の構成は一例である。例えば代理相当する機器10は1台以上のコンピュータにより実現するようにしてもよい。図5の通信システム1の構成は用途や目的に応じて様々なシステム構成例があることは言うまでもない。
【0061】
<ハードウェア構成>
図5の代理応答する機器10は、例えば図6に示したハードウェア構成のコンピュータ500により実現する。図6は、本実施形態に係るコンピュータ500の一例のハードウェア構成図である。
【0062】
コンピュータ500は、入力装置501、表示装置502、外部I/F503、RAM(Random Access Memory)504、ROM(Read Only Memory)505、CPU506、通信I/F507、及びHDD(Hard Disk Drive)508などを備えており、それぞれがバスBで相互に接続されている。なお、入力装置501及び表示装置502は必要なときに接続して利用する形態であってもよい。
【0063】
入力装置501は、ユーザが各種信号を入力するのに用いるタッチパネル、操作キーやボタン、キーボードやマウスなどである。表示装置502は、画面を表示する液晶や有機ELなどのディスプレイ、音声や音楽などの音データを出力するスピーカ等で構成されている。通信I/F507は、コンピュータ500がネットワークを介してデータ通信を行うためのインターフェースである。
【0064】
また、HDD508は、プログラムやデータを格納している不揮発性の記憶装置の一例である。格納されるプログラムやデータには、コンピュータ500全体を制御する基本ソフトウェアであるOS(Operating System)、及びOS上において各種機能を提供するアプリケーションなどがある。なお、コンピュータ500はHDD508に替えて、記憶媒体としてフラッシュメモリを用いるドライブ装置(例えばソリッドステートドライブ:SSDなど)を利用するものであってもよい。
【0065】
外部I/F503は、外部装置とのインターフェースである。外部装置には、記録媒体503aなどがある。これにより、コンピュータ500は外部I/F503を介して記録媒体503aの読み取り及び書き込みを行うことができる。記録媒体503aにはフレキシブルディスク、CD(Compact Disc)、DVD(Digital Versatile Disc)、SD(Secure Digital)メモリカード、USB(Universal Serial Bus)メモリなどがある。
【0066】
ROM505は、電源を切ってもプログラムやデータを保持することができる不揮発性の半導体メモリ(記憶装置)の一例である。ROM505にはコンピュータ500の起動時に実行されるBIOS(Basic Input Output System)、OS設定、及びネットワーク設定などのプログラムやデータが格納されている。RAM504はプログラムやデータを一時保持する揮発性の半導体メモリ(記憶装置)の一例である。
【0067】
CPU506は、ROM505やHDD508などの記憶装置からプログラムやデータをRAM504上に読み出し、処理を実行することで、コンピュータ500全体の制御や機能を実現する演算装置であり、制御部12の一例である。
【0068】
<処理>
図5の代理応答する機器10は、図7に示す手順で処理を行う。図7は、本実施形態に係る代理応答する機器10が行う処理の一例のフローチャートである。ステップS10において、代理応答する機器10の制御部12は、複数の通信機器20-0~20-4の間の通信状況を監視する。具体的に、制御部12はネットワーク30に送信される存在確認コマンドを監視する。なお、通信機器20-0~20-4の何れかを指す場合は、単に通信機器20と呼ぶことがある。
【0069】
ステップS12において、代理応答する機器10の制御部12はネットワーク30に送信された存在確認コマンドを取得したか否かを判定する。制御部12は、存在確認コマンドを取得したと判断するまでステップS10~S12の処理を繰り返す。存在確認コマンドを取得したと判断すると、制御部12はステップS14の処理に進む。
【0070】
ステップS14において、代理応答する機器10の制御部12は、自機が保持する代理応答対象の通信アドレスを参照する。自機が保持する代理応答対象の通信アドレスは、通信機器20-0~20-4で使用されていない通信アドレスである。
【0071】
ステップS16において、代理応答する機器10の制御部12は、存在確認コマンドの通信アドレスが、ステップS14で参照した代理応答対象の通信アドレスに含まれているか否かを判定する。存在確認コマンドの通信アドレスが、ステップS14で参照した代理応答対象の通信アドレスに含まれていなければ、制御部12はステップS10の処理に戻る。存在確認コマンドの通信アドレスが、ステップS14で参照した代理応答対象の通信アドレスに含まれていれば、制御部12はステップS18の処理に進む。
【0072】
ステップS18において、代理応答する機器10の制御部12は、ステップS12で取得した存在確認コマンドに代理で存在応答する。したがって、存在確認コマンドを送信した通信機器20は、ネットワーク30で使用されていない通信機器20の通信アドレスに対する存在確認コマンドを送信した場合であっても、代理応答する機器10から、存在確認コマンドに対する存在応答を受信できる。
【0073】
存在確認コマンドに対する存在応答を受信した通信機器20は、受信した存在応答に応じて、把握している次の通信機器20の通信アドレスを更新したあと、トークンを代理応答する機器10に送信する。代理応答する機器10の制御部12は、存在確認コマンドを送信した通信機器20からトークンを受領する。
【0074】
ステップS20において、代理応答する機器10の制御部12は、代理応答対象の通信機器20への存在確認コマンドの送信が必要か否かを判定する。具体的に、制御部12は例えばークンを所定回数(例えば50回など)渡されたなど、新しくネットワーク30に接続した通信機器20を検知するタイミングであれば、代理応答対象の通信機器20への存在確認コマンドの送信が必要と判定する。
【0075】
代理応答する機器10の制御部12は、代理応答対象の通信機器20への存在確認コマンドの送信が必要と判定した場合、ステップS22の処理に進み、代理応答対象の通信アドレスに存在確認コマンドを送信する。
【0076】
ステップS24において、代理応答する機器10の制御部12は、代理応答対象の通信アドレスに対して送信した存在確認コマンドに対する存在応答があった場合、存在応答のあった通信アドレスを、代理応答対象の通信アドレスから削除する。したがって、代理応答する機器10の制御部12は、新しくネットワーク30に接続した通信機器20の通信アドレスを代理応答対象の通信アドレスから削除して、存在応答のあった通信機器20に成りすまして行っていた代理応答を停止することができる。
【0077】
なお、ステップS20において代理応答対象の通信機器20への存在確認コマンドの送信が必要と判定しなければ、代理応答する機器10の制御部12はステップS22及びS24の処理をスキップする。
【0078】
ステップS26において、代理応答する機器10の制御部12は代理応答対象の通信アドレスに基づいてトークンを委譲する通信機器20の通信アドレスを決定し、その通信アドレスの通信機器20にトークンを委譲したあと、ステップS10の処理に戻る。
【0079】
このように、本実施形態に係る通信システム1では、ネットワーク30に接続されている通信機器が少なくても、存在確認コマンドに対するタイムアウト時間の発生頻度が高くなることを抑制できる。本実施形態に係る通信システム1によれば、ネットワーク30においてタイムアウト時間を削減し、通信機器20にトークンが渡される周期を短くすることで通信効率を向上させることができる。
【0080】
したがって、本実施形態よれば、複数の通信機器20がトークンパッシング方式で通信するネットワーク30において通信効率を向上させる機器10、代理応答方法、及び通信システム1を提供できる。
【0081】
<代理応答を使ったサービス例>
図8は、BACnet MS/TPの通信プロトコルで通信する既存の通信システム100の一例の構成図である。図9は、既存の通信システム100の通信のトポロジーの一例について説明する図である。
【0082】
図8に示した通信システム100は、監視制御対象の複数の通信機器102-1~102-4と、BAS104とがネットワーク110を介して通信する。BAS104は、ビルディングオートメーションシステムであり、建物内の空調機器などの設備機器をネットワーク110経由で管理及び制御する。また、図8及び図9では、監視制御対象の複数の通信機器102-1~102-4を、Master(1)~(4)と記載している。図8及び図9において括弧で示されている数字「1」~「4」は、通信機器102-1~102-4に設定されている通信アドレス(アドレス番地)である。監視制御対象の複数の通信機器102-1~102-4は、建物内の空調機器などの設備機器である。図9に示したように、トークンは、BAS→Master(1)→Master(2)→Master(3)→Master(4)→BASの順番に渡される。
【0083】
例えば図8の既存の通信システム100から情報を取り出す為には、通信機器を追加する必要がある。しかしながら、既存の通信システム100に通信機器を追加すると、通信機器102-1~102-4がトークンを受け取る周期が長くなる。このため、通信機器102-1~102-4は、リクエストを行う機会が減少してしまう。
【0084】
そこで、図10及び図11に示すように、追加する通信機器102-5に疑似Masterの機能を入れ込むことにより、存在確認コマンドに対するタイムアウト時間の発生を抑制して、既存の通信システム100と同等、又は既存の通信システム100以上に通信効率を向上させることができる。
【0085】
図10は、疑似Masterの機能を入れ込んだ通信システム100の一例の構成図である。図11は、疑似Masterの機能を入れ込んだ通信システム100の通信のトポロジーの一例について説明する図である。したがって、本実施形態によれば、既存の通信システム100よりも負荷を上げずに、監視制御対象からデータを収集し、活用することができる。
【0086】
例えば、図10及び図11に示した通信システム100は、疑似Masterの機能を入れ込んだ通信機器102-5から取得した詳細な機器情報(例えばセンサー値、機器の発停回数、機器内部の電流値など)に基づいて、データ分析を行い、故障予知、又は省エネルギー制御に繋がる機器最適制御などのサービス提供ができる。また、図10及び図11に示した通信システム100は、取得した機器情報をクラウドに蓄積しておき、故障が起こった場合に、蓄積しておいた機器情報を解析することで、故障の原因の追求に必要な時間が短くなるといった効果も期待できる。
【0087】
<代理応答とトークンの以上とを使ったサービス例>
図8及び図9に示した既存の通信システム100は、ネットワーク110に代理応答する機器10を例えば図12に示すように接続することで、存在確認コマンドに対するタイムアウト時間の発生を抑制して、既存の通信システム100以上に通信効率を向上させることができる。図12は、疑似Masterを入れ込んだ通信システム100の一例の構成図である。
【0088】
また、図8及び図9に示した既存の通信システム100は、ネットワーク110の通信機器102-1~102-4ごとに、トークンを必要とする周期が異なる。トークンを必要とする周期は、リクエストを出す頻度に対応する。
【0089】
図13は、ある通信機器102のリクエストを出す頻度を時間ごとに表した一例の説明図である。例えば図13は、システム制御用の環境監視センサー(温度、湿度、又はCO2など)から取得するデータが昼間に多いことを示している。また、図13は、夜間にシステム制御の頻度が減少し、環境監視センサーから取得するデータが少ないことを示している。
【0090】
既存の通信システム100は、図13に示した通信の需要を問わず、ネットワーク110の通信機器102-1~102-4にトークンを渡している。そこで、図12に示したようにネットワーク110に接続された代理応答する機器10は、ネットワーク110の通信状況を監視することで、通信機器102-1~102-4の通信の需要(トークンを渡された際にリクエストを出した頻度の統計)を把握する。なお、以下では、通信機器102-1~102-4の何れかを指す場合、単に通信機器102と呼ぶことがある。
【0091】
代理応答する機器10は、通信の需要が少ない通信機器102に対し、トークンを渡す頻度が少なくなるように制御することで、他の通信機器102にトークンを渡す頻度を増加させることができる。したがって、代理応答する機器10は既存の通信システム100の通信効率を最適化できる。
【0092】
また、図8及び図9に示した既存の通信システム100は、昼間と夜間とで通信状況が変動している場合があるため、日々の通信状況を把握したい場合、又は新たな通信機器102の追加が可能であるかを調べたい場合などに、通信状況のトレンドデータの取得が必要となる。そこで、図12に示したようにネットワーク110に接続された代理応答する機器10は、図14に示すように、一定期間内にトークンを渡された回数の統計で示されたトレンドデータを監視し、定量的に通信システム100の通信状況が把握できる。図14は、代理応答する機器10が一定時間内にトークンを渡された回数の統計で示されたトレンドデータの一例の説明図である。
【0093】
したがって、本実施形態よれば、複数の通信機器20がトークンパッシング方式で通信するネットワーク30において、通信状況の監視及び通信効率の改善が可能となる。
【0094】
[作用]
本実施形態は、制御部12を有する機器10であって、制御部12は、通信アドレスが設定された複数の通信機器20がトークンパッシング方式で通信するネットワーク30において、複数の通信機器20間の通信状況を監視し、複数の通信機器20で使用されている通信アドレスを収集し、複数の通信機器20で使用されていない通信アドレスを代理応答対象の通信アドレスと決定し、送信権を持った第1の通信機器20から送信される存在確認コマンドを取得し、存在確認コマンドの送信先の通信アドレスが、自機の保持する代理応答対象の通信アドレスに含まれていた場合、第1の通信機器20に存在応答し、第1の通信機器20から送信権を受領する機器である。
【0095】
本実施形態によればネットワーク30で使用されていない通信機器20の通信アドレスに対する存在確認コマンドを第1の通信機器20が送信した場合であっても、代理応答する機器10から存在確認コマンドに対する存在応答を受信できる。したがって、通信アドレスが設定された複数の通信機器20がトークンパッシング方式で通信するネットワーク30において通信効率を向上させる機器10を提供することができる。
【0096】
また、本実施形態では、制御部12は、代理応答対象の通信アドレスに対する存在確認コマンドを送信し、存在確認コマンドに対する存在応答を受信した場合、存在応答を行った通信機器20の通信アドレスを代理応答対象の通信アドレスから削除する。
【0097】
本実施形態によれば、代理応答する機器10が、自機の保持する代理応答対象の通信アドレスから、存在応答を行った通信機器の通信アドレスを削除することができる。
【0098】
また、本実施形態では、制御部12は、代理応答対象の通信アドレスのうち、最も小さい番号の通信アドレスに対し、存在確認コマンドを送信する。
【0099】
本実施形態によれば、代理応答対象の通信アドレスのうち、最も小さい番号の通信アドレスに対し、存在確認コマンドを送信することができる。
【0100】
また、本実施形態では、制御部12は、代理応答対象の通信アドレスのうち、機器種別に割り当てた範囲内の通信アドレスに対し、存在確認コマンドを送信する。
【0101】
本実施形態によれば、代理応答対象の通信アドレスのうち、機器種別に割り当てた範囲内の通信アドレスに対し、存在確認コマンドを送信することができる。
【0102】
また、本実施形態では、制御部12は、代理応答対象の通信アドレスのうち、連なる番号の範囲内の通信アドレスに対し、存在確認コマンドを送信する。
【0103】
本実施形態によれば、代理応答対象の通信アドレスのうち、連なる番号の範囲内の通信アドレスに対し、存在確認コマンドを送信することができる。
【0104】
また、本実施形態では、制御部12は、代理応答対象の通信アドレスに基づき、送信権を移譲する通信機器20を決定し、送信権を移譲する。
【0105】
本実施形態によれば、代理応答対象の通信アドレスに基づき、送信権を移譲する通信機器20を決定し、送信権を移譲することができる。
【0106】
また、本実施形態では、制御部12は、複数の通信機器20に対して送信権を利用してデータ取得要求又は設定変更指令を送信する。
【0107】
本実施形態によれば、複数の通信機器20に対して送信権を利用してデータ取得要求又は設定変更指令を送信することができる。
【0108】
また、本実施形態では、制御部12は、複数の通信機器20ごとに、送信権を取得した際の通信状況を分析し、送信権を移譲する通信機器20を決定する。
【0109】
本実施形態によれば、複数の通信機器20ごとに、送信権を取得した際の通信状況を分析し、送信権を移譲する通信機器20を決定することができる。
【0110】
また、本実施形態では、所定期間内に受領した送信権に基づき、ネットワーク30における通信状況を出力する。
【0111】
本実施形態によれば、所定期間内に受領した送信権に基づき、ネットワーク30における通信状況を出力することができる。
【0112】
また、本実施形態では、通信機器20は、空調機である。
【0113】
本実施形態によれば、通信アドレスが設定された複数の空調機がトークンパッシング方式で通信するネットワーク30において通信効率を向上させる機器10を提供することができる。
【0114】
また、本実施形態は、制御部12を有する機器10の制御部12が実行する代理応答方法であって、通信アドレスが設定された複数の通信機器20がトークンパッシング方式で通信するネットワーク30において、複数の通信機器20間の通信状況を監視し、複数の通信機器20で使用されている通信アドレスを収集し、複数の通信機器20で使用されていない通信アドレスを代理応答対象の通信アドレスと決定し、送信権を持った第1の通信機器20から送信される存在確認コマンドを取得し、存在確認コマンドの送信先の通信アドレスが、自機の保持する代理応答対象の通信アドレスに含まれていた場合、第1の通信機器20に存在応答し、第1の通信機器20から送信権を受領する代理応答方法である。
【0115】
本実施形態によればネットワーク30で使用されていない通信機器20の通信アドレスに対する存在確認コマンドを第1の通信機器20が送信した場合であっても、代理応答する機器10から存在確認コマンドに対する存在応答を受信できる。したがって、通信アドレスが設定された複数の通信機器20がトークンパッシング方式で通信するネットワーク30において通信効率を向上させる代理応答方法を提供することができる。
【0116】
また、本実施形態は、制御部12を有する機器10と、通信アドレスが設定された複数の通信機器20とがネットワーク30を介してトークンパッシング方式で通信する通信システム1において、制御部12は、通信アドレスが設定された複数の通信機器20がトークンパッシング方式で通信するネットワーク30において、複数の通信機器20間の通信状況を監視し、複数の通信機器20で使用されている通信アドレスを収集し、複数の通信機器20で使用されていない通信アドレスを代理応答対象の通信アドレスと決定し、送信権を持った第1の通信機器20から送信される存在確認コマンドを取得し、存在確認コマンドの送信先の通信アドレスが、自機の保持する代理応答対象の通信アドレスに含まれていた場合、第1の通信機器20に存在応答し、第1の通信機器20から送信権を受領する通信システム1である。
【0117】
本実施形態によればネットワーク30で使用されていない通信機器20の通信アドレスに対する存在確認コマンドを第1の通信機器20が送信した場合であっても、代理応答する機器10から存在確認コマンドに対する存在応答を受信できる。したがって、通信アドレスが設定された複数の通信機器20がトークンパッシング方式で通信するネットワーク30において通信効率を向上させる通信システム1を提供することができる。
【0118】
以上、本実施形態について説明したが、特許請求の範囲の趣旨及び範囲から逸脱することなく、形態や詳細の多様な変更が可能なことが理解されるであろう。
【符号の説明】
【0119】
1、100 通信システム
10 代理応答する機器
12 制御部
20、20-0~20-4、102、102-1~102-4 通信機器
506 CPU
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14