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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024146272
(43)【公開日】2024-10-15
(54)【発明の名称】距離算出精度確認方法
(51)【国際特許分類】
   G01S 11/08 20060101AFI20241004BHJP
【FI】
G01S11/08
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023059069
(22)【出願日】2023-03-31
(71)【出願人】
【識別番号】000211307
【氏名又は名称】中国電力株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001782
【氏名又は名称】弁理士法人ライトハウス国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】福原 洋地
(72)【発明者】
【氏名】鎌田 涼介
(72)【発明者】
【氏名】田辺 亮太
(72)【発明者】
【氏名】高野 智央
(72)【発明者】
【氏名】豊田 充生
(72)【発明者】
【氏名】多喜 義彦
(57)【要約】
【課題】
無線装置間の通信の伝搬時間を基に算出された無線装置間の距離が、正しいか否かを確認するための方法を提供する。
【解決手段】
無線装置間の物理的な距離を取得し、取得した物理的な距離と理論上の距離とが所定の条件を満たすか否かを判定するための方法であって、コンピュータ装置に、無線装置間の通信の伝搬時間を基に、無線装置間の理論上の距離を算出する距離算出ステップを実行させる、方法。
【選択図】 図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
無線装置間の物理的な距離を取得し、取得した物理的な距離と理論上の距離とが所定の条件を満たすか否かを判定するための方法であって、
コンピュータ装置に、
無線装置間の通信の伝搬時間を基に、無線装置間の理論上の距離を算出する距離算出ステップ
を実行させる、
方法。
【請求項2】
距離算出ステップが、無線装置間の内部時計の時刻のずれを基に距離を算出するものである、
請求項1に記載の方法。
【請求項3】
コンピュータ装置に、
無線装置間で信号の送受信を行うことにより、無線装置間の内部時計の時刻のずれを算出する時刻ずれ算出ステップと、
算出された時刻のずれを基に、無線装置間の内部時計の時刻のずれを補正する時刻ずれ補正ステップと
を実行させ、
距離算出ステップが、時刻ずれ補正手段が時刻のずれを補正した後に、距離を算出するものである、
請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
コンピュータ装置に、
無線装置間で信号の送受信を行うことにより、無線装置間の内部時計の位相のずれを算出する位相ずれ算出ステップと、
算出された位相のずれを基に、無線装置間の内部時計の位相のずれを補正する位相ずれ補正ステップと
を実行させ、
時刻ずれ算出ステップが、位相ずれ補正ステップが位相のずれを補正した後に、時刻のずれを算出するものである、
請求項3に記載の方法。
【請求項5】
無線装置に、
他の無線装置と通信する通信ステップ
を実行させ、
通信ステップが、電波暗室内で行われるものである、
請求項1又は2に記載の方法。
【請求項6】
無線装置に、
他の無線装置と通信する通信ステップ
を実行させ、
通信ステップが、無線装置の少なくとも一部を被覆する被覆部の一部が、他の無線装置の方向に向かって開口している状態で通信するものであり、
被覆部が、通信ステップにより送受信される電波を吸収する機能及び/又は反射する機能を有するものである、
請求項1又は2に記載の方法。
【請求項7】
2つの無線装置を、物理的な距離が特定された2点のそれぞれに配置する配置ステップ
を有する、
請求項1又は2に記載の方法。
【請求項8】
無線装置を、スライドレールに沿って移動させる移動ステップ
を有する、
請求項1又は2に記載の方法。
【請求項9】
請求項8に記載の方法を実行するための装置であって、
上面が平面上の定盤と、
定盤の上面に設けられたスライドレールと、
を備える、
装置。
【請求項10】
少なくとも2つの無線装置を備えるシステムであって、
無線装置間の通信の伝搬時間を基に、無線装置間の理論上の距離を算出する距離算出手段と、
無線装置間の物理的な距離と、距離算出手段により算出された理論上の距離とが、所定の条件を満たすか否かを判定する判定手段と
を備える、
システム。
【請求項11】
無線装置間の物理的な距離を取得する距離取得手段
を備える、
請求項10に記載のシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、方法、装置、及びシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、2つの無線装置の間の距離を算出するために、2つの無線装置の間で信号の送受信を行い、信号の伝搬時間に信号の伝搬速度を乗じる方法が採用されている。
【0003】
このような方法で算出された無線装置間の距離は、理論上の距離であり、実際の、物理的な距離とは異なる場合がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の目的は、無線装置間の通信の伝搬時間を基に算出された無線装置間の距離が、正しいか否かを確認するための方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明によれば、上記目的は、
[1]無線装置間の物理的な距離を取得し、取得した物理的な距離と理論上の距離とが所定の条件を満たすか否かを判定するための方法であって、コンピュータ装置に、無線装置間の通信の伝搬時間を基に、無線装置間の理論上の距離を算出する距離算出ステップを実行させる、方法;
[2]距離算出ステップが、無線装置間の内部時計の時刻のずれを基に距離を算出するものである、[1]に記載の方法;
[3]コンピュータ装置に、無線装置間で信号の送受信を行うことにより、無線装置間の内部時計の時刻のずれを算出する時刻ずれ算出ステップと、算出された時刻のずれを基に、無線装置間の内部時計の時刻のずれを補正する時刻ずれ補正ステップとを実行させ、距離算出ステップが、時刻ずれ補正手段が時刻のずれを補正した後に、距離を算出するものである、[1]又は[2]に記載の方法;
[4]コンピュータ装置に、無線装置間で信号の送受信を行うことにより、無線装置間の内部時計の位相のずれを算出する位相ずれ算出ステップと、算出された位相のずれを基に、無線装置間の内部時計の位相のずれを補正する位相ずれ補正ステップとを実行させ、時刻ずれ算出ステップが、位相ずれ補正ステップが位相のずれを補正した後に、時刻のずれを算出するものである、[3]に記載の方法;
[5]無線装置に、他の無線装置と通信する通信ステップを実行させ、通信ステップが、電波暗室内で行われるものである、[1]~[4]のいずれかに記載の方法;
[6]無線装置に、他の無線装置と通信する通信ステップを実行させ、通信ステップが、無線装置の少なくとも一部を被覆する被覆部の一部が、他の無線装置の方向に向かって開口している状態で通信するものであり、被覆部が、通信ステップにより送受信される電波を吸収する機能及び/又は反射する機能を有するものである、[1]~[5]のいずれかに記載の方法;
[7]2つの無線装置を、物理的な距離が特定された2点のそれぞれに配置する配置ステップを有する、[1]~[6]のいずれかに記載の方法;
[8]無線装置を、スライドレールに沿って移動させる移動ステップを有する、[1]~[7]のいずれかに記載の方法;
[9][8]に記載の方法を実行するための装置であって、上面が平面上の定盤と、定盤の上面に設けられたスライドレールと、を備える、装置;
[10]少なくとも2つの無線装置を備えるシステムであって、無線装置間の通信の伝搬時間を基に、無線装置間の理論上の距離を算出する距離算出手段と、無線装置間の物理的な距離と、距離算出手段により算出された理論上の距離とが、所定の条件を満たすか否かを判定する判定手段とを備える、システム;
[11]無線装置間の物理的な距離を取得する距離取得手段を備える、[10]に記載のシステム;
により達成することができる。
【発明の効果】
【0006】
本発明によれば、無線装置間の通信の伝搬時間を基に算出された無線装置間の距離が、正しいか否かを確認するための方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】本発明の実施の形態にかかる、システムの構成を示すブロック図である。
図2】本発明の実施の形態にかかる、無線装置のハードウェア構成を示すブロック図である。
図3】本発明の実施の形態にかかる、コンピュータ装置のハードウェア構成を示すブロック図である。
図4】本発明の実施の形態にかかる、システムの使用例を示す図である。
図5】本発明の実施の形態にかかる、距離算出処理のフローチャートを示す図である。
図6】本発明の実施の形態にかかる、判定処理のフローチャートを示す図である。
図7】本発明の実施の形態にかかる、無線装置の例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、本発明の実施の形態について説明をするが、本発明の趣旨に反しない限り、本発明は、以下の実施の形態に限定されない。以下で説明するフローチャートを構成する各処理の順序は、処理内容に矛盾や不整合が生じない範囲で順不同であり、また、処理内容に矛盾や不整合が生じない範囲で、フローチャートを構成する各処理の一部を省略することや、フローチャートを構成する各処理に新たな処理を追加することも可能である。また、フローチャートを構成する各処理を実行する主体となる装置は、本発明の趣旨に反しない限り、他の装置へ変更することが可能である。その際、処理内容に矛盾や不整合が生じないように、処理内容を変更することが可能である。
【0009】
図1は、本発明の実施の形態にかかる、システムの構成を示すブロック図である。図1に示すように、システム10は、少なくとも2つの無線装置1(1a及び1b)を備える。無線装置1aと1bとは、無線通信により、直接的に、相互に接続することが可能であってよい。また、システム10は、コンピュータ装置3を備えていてもよい。コンピュータ装置3は、少なくとも1の無線装置1と通信ネットワーク2を介して通信接続が可能であってよい。
【0010】
図2は、本発明の実施の形態にかかる、無線装置のハードウェア構成を示すブロック図である。無線装置1は、制御部11、RFチップ12、発振器13、時計14、及び位相検出器15を備えている。RFチップ12には、時計14、及び位相検出器15が備えられている。無線装置1は、必要に応じて、制御部11、RFチップ12、発振器13、時計14、及び位相検出器15以外の要素を備えていてもよい。
【0011】
制御部11としては、特に限定されないが、例えば、マイコン(マイクロコントローラ)を使用することができる。制御部11では、プログラム及びデータをもとに、プログラム実行処理を行う。RFチップ12は、無線信号の受信及び送信の処理を行う。RFチップ12にて受信したデータは、制御部11にて演算処理の対象となる。
【0012】
発振器13は、所定の周波数で発振し、装置各部の動作タイミングを与えるための信号を出力する。発振器13としては、原子発振器や水晶発振器を用いることができる。時計14は、発振器13の出力信号を源振として刻時し、時刻を出力する。時計14で刻時された時刻は、制御部11により、RFチップ12を介して他の無線装置1へ送信するよう制御される。位相検出器15では、他の無線装置1から受信した情報を構成する搬送波の位相を検出し、無線装置1における発振器13により発振される信号の位相を検出する。
【0013】
以下、無線装置1が備える時計14を、無線装置1の内部時計ともいう。
【0014】
なお、無線装置1は、入力、制御、記憶、演算、及び出力の処理を実行する機能を有しており、コンピュータ装置であるとも言える。
【0015】
図3は、本発明の実施の形態にかかる、コンピュータ装置のハードウェア構成を示すブロック図である。コンピュータ装置3は、制御部31、RAM32、ストレージ部33、入力部34、表示部35及び通信インタフェース36を備え、それぞれバスにより接続されている。
【0016】
制御部31は、CPUやROMから構成される。制御部31は、ストレージ部33に格納されたプログラムを実行し、コンピュータ装置3の制御を行う。RAM32は、制御部31のワークエリアである。ストレージ部33は、プログラムやデータを保存するための記憶領域である。つまり、ストレージ部33は、プログラムを記憶した記録媒体として機能する。制御部31は、RAM32から読み出したプログラム及びデータ、並びに、入力部34にて入力されたデータをもとに、演算処理を行う。
【0017】
表示部35は表示画面を有している。制御部31は、演算処理の結果に応じて、表示画面に画像を表示するためのビデオ信号を出力する。ここで、表示部35の表示画面はタッチセンサを備えるタッチパネルであってもよい。この場合、タッチパネルが入力部34として機能する。
【0018】
通信インタフェース36は無線又は有線により通信ネットワーク2に接続が可能であり、通信ネットワーク2を介して、無線装置1及び/又は他のコンピュータ装置とデータを送受信することが可能である。通信インタフェース36を介して受信したデータは、RAM32にロードされ、制御部31により演算処理が行われる。
【0019】
なお、プログラムは、CD-ROMなどの記録媒体に記憶されていてもよい。この場合、記録媒体に記憶されたプログラムが、無線装置1又はコンピュータ装置3にインストールされて、所定の機能を実行することとしてもよい。
【0020】
あるいは、プログラムは、システム外部のコンピュータ装置から配信されてもよい。この場合、システム外部のコンピュータ装置から配信されたプログラムが、無線装置1又はコンピュータ装置3にインストールされて、所定の機能を実行することとしてもよい。
【0021】
以下、本発明のシステム10によって、無線装置1間の物理的な距離を取得し、取得した物理的な距離と理論上の距離とが所定の条件を満たすか否かを判定する態様について説明する。
【0022】
図4は、本発明の実施の形態にかかる、システムの使用例を示す図である。システム10は、図4に示すように、上面が平面上の定盤20と、定盤20の上面に設けられたスライドレール21とを備えていてもよい。そして、無線装置1を、スライドレール21に沿って移動させることで、2つの無線装置1(1a及び1b)を、物理的な距離が特定された2点のそれぞれに配置してもよい。
【0023】
定盤20は、上面が平面上であればよく、特に限定されない。定盤20の素材は特に限定されず、適宜設計可能である。定盤20は、例えば、金属製でも、石製でもよい。また、定盤20の形状は特に限定されず、適宜設計可能である。定盤20は、例えば、上面が長方形でも、上面が正方形でもよい。さらに、定盤20の大きさは特に限定されず、適宜設計可能である。例えば、定盤20の上面の長手方向の長さは、1m以上であることが好ましく、3m以上であることがより好ましい。また、例えば、定盤20の上面の長手方向の長さは、10m以下であることが好ましく、8m以下であることがより好ましい。
【0024】
スライドレール21は、スライドレール21上で無線装置1を移動させることが可能であればよく、特に限定されない。スライドレール21としては、例えば、ローラータイプのスライドレールやベアリングタイプのスライドレールなど、公知のものを用いることができる。スライドレール21の素材は特に限定されず、適宜設計可能である。スライドレール21は、例えば、鋼鉄製でも、ステンレス製でも、アルミニウム製でもよい。また、スライドレール21の長手方向の長さは特に限定されず、適宜設計可能である。例えば、スライドレール21の長手方向の長さは、1m以上であることが好ましく、3m以上であることがより好ましい。また、例えば、スライドレール21の長手方向の長さは、10m以下であることが好ましく、8m以下であることがより好ましい。
【0025】
スライドレール21には、又は、スライドレール21の近傍には、目盛りが付されていてもよい。スライドレール21又はスライドレール21の近傍に目盛りが付されていることで、スライドレール21上に配置された、無線装置1間の物理的な距離を、目視により把握することが容易となる。
【0026】
また、定盤20及び/又はスライドレール21に制御部が備えられており、スライドレール21上に配置された、無線装置1間の物理的な距離を測定することが可能であってもよい。測定された無線装置1間の物理的な距離に関する情報は、コンピュータ装置3などへ送信されてもよい。
【0027】
無線装置1を、スライドレール21に沿って移動させる態様は特に限定されず、適宜設計可能である。例えば、スライドレール21の固定部材(例えば、アウターレール)を定盤20に固定し、無線装置1をスライドレール21の可動部材(例えば、インナーレールレール)に固定した上で、スライドレール21の可動部材を移動させることで、無線装置1を、スライドレール21に沿って移動させてもよい。無線装置1を、スライドレール21に沿って移動させることで、物理的な距離が特定された2点のそれぞれに、2つの無線装置を配置することができる。
【0028】
無線装置1を移動させる際には、自動で無線装置1を移動してもよく、手動で無線装置1を移動してもよい。自動で無線装置1を移動する場合には、定盤20及び/又はスライドレール21に、モータ、ギア、ベルトなどの駆動部が備えられていてもよい。そして、コンピュータ装置3などからの制御信号にしたがって、駆動部がスライドレール21の可動部材を移動させることで、無線装置1を移動してもよい。
【0029】
また、自動で無線装置1を移動する場合、物理的な距離が特定された2点のそれぞれに、2つの無線装置を配置するよう、コンピュータ装置3などから制御することが可能であってもよい。例えば、コンピュータ装置3に、2つの無線装置の物理的な距離を入力することで、駆動部が、2つの無線装置の物理的な距離が入力された距離と等しくなるように、無線装置1を移動してもよい。
【0030】
図4(A)、及び(B)においては、無線装置1aがスライドレール21上の端部に固定され、無線装置1bがスライドレール21上を移動する例が示されているが、無線装置1aがスライドレール21上を移動し、無線装置1bがスライドレール21上に固定されてもよく、無線装置1aと1bの両方がスライドレール21上を移動してもよい。また、無線装置1a又は1bがスライドレール21上に固定される場合、無線装置1a又は1bは、スライドレール21上のいずれの位置に固定されてもよい。
【0031】
例えば、図4に示されたスライドレール21に付された目盛りが10cm間隔である場合、図4(A)における無線装置1間の物理的な距離は4mである。無線装置1間の物理的な距離が4mである状態で、無線装置1a及び1bの間で通信を行い、該通信の伝搬時間を基に無線装置1間の理論上の距離を算出することで、無線装置1間の物理的な距離と理論上の距離とが所定の条件を満たすか否かを判定することができる。
【0032】
そして、無線装置1bをスライドレール21に沿って移動させ、図4(B)のように無線装置1a及び1bを配置した場合、無線装置1間の物理的な距離は8mとなる。無線装置1間の物理的な距離が8mである状態で、無線装置1a及び1bの間で通信を行い、該通信の伝搬時間を基に無線装置1間の理論上の距離を算出することで、無線装置1間の物理的な距離と理論上の距離とが所定の条件を満たすか否かを判定することができる。
【0033】
このように、システム10は、無線装置1間の物理的な距離を変化させ、無線装置1間の物理的な距離が特定された状態で、無線装置1間の理論上の距離を算出することができる。
【0034】
なお、上記においては、無線装置1をスライドレール21に沿って移動させることで、2つの無線装置1(1a及び1b)を、物理的な距離が特定された2点のそれぞれに配置する例について説明したが、他の方法により、2つの無線装置1(1a及び1b)を、物理的な距離が特定された2点のそれぞれに配置してもよい。例えば、物理的な距離が特定された2点に無線装置1を固定してもよい。この場合、物理的な距離が特定された2点に、無線装置1を固定するための固定部材が備えられていてもよい。また、物理的な距離が特定された、複数の点のそれぞれに固定部材を備えることで、無線装置1間の物理的な距離を変化させ、無線装置1間の物理的な距離が特定された状態で、無線装置1間の理論上の距離を算出することができる。
【0035】
無線装置1間の理論上の距離は、無線装置1間の通信の伝搬時間を基に算出される。例えば、無線装置1間の通信の伝搬時間に、該通信の伝搬速度を乗ずることで、無線装置1間の距離を算出することができる。
【0036】
無線装置1間の通信の伝搬時間、すなわち信号の伝搬時間は、無線装置1間で信号の送受信を行い、信号の送信時刻と、該信号の受信時刻との差を求めることにより算出できる。信号の送信時刻、及び該信号の受信時刻は、無線装置1が備える内部時計により刻時されるものである。そのため、無線装置1間の内部時計の時刻のずれが小さいほど、より正確な伝搬時間を算出することができる。
【0037】
また、無線装置1が備える内部時計の位相、つまり、無線装置1における発振器13により発振される信号の位相についても、無線装置1間でずれが生じていることがある。以下、無線装置1が備える内部時計の位相を、無線装置1の位相ともいう。また、無線装置1間の内部時計の位相のずれを、無線装置1間の位相のずれともいう。
【0038】
なお、無線装置1における発振器13により発振される信号の位相と、無線装置1が送信した情報を構成する搬送波の位相とは、ほぼ等しいと考えられる。
【0039】
以下、無線装置1間の内部時計の位相のずれを補正し、無線装置1間の内部時計の時刻のずれを補正した後に、無線装置1間の距離の算出を行う例について説明する。ここでは、信号の送受信を行う無線装置1を、第1無線装置1と第2無線装置1とする。無線装置1a及び1bのいずれが第1無線装置1として機能してもよい。ここでは、第1無線装置1において、第1無線装置1と第2無線装置1との間の距離を算出することとする。
【0040】
図5は、本発明の実施の形態にかかる、距離算出処理のフローチャートを示す図である。
【0041】
まず、第1無線装置1から第2無線装置1へ、信号が送信される(ステップS101)。そして、第2無線装置1において、送信された信号が受信される(ステップS102)。次に、第2無線装置1から第1無線装置1へ、信号が送信される(ステップS103)。そして、第1無線装置1において、送信された信号が受信される(ステップS104)。
【0042】
ステップS103が行われた後、第2無線装置1から第1無線装置1へ、第2無線装置1の位相に関する情報が送信される(ステップS105)。そして、第1無線装置1において、送信された位相に関する情報が受信される(ステップS106)。第1無線装置1において、第1無線装置1と第2無線装置1との間の位相のずれが算出される(ステップS107)。次に、第1無線装置1から第2無線装置1へ、第2無線装置1の位相のずれを補正する指示(以下、位相のずれの補正指示ともいう)が送信される(ステップS108)。第2無線装置1において、送信された位相のずれの補正指示が受信される(ステップS109)。そして、第2無線装置1において、第2無線装置1の位相のずれが補正される(ステップS110)。
【0043】
ステップS101における信号には、該信号を送信した第1無線装置1へ信号を送信することを要求する信号送信要求が含まれていてもよい。
【0044】
また、ステップS101において第1無線装置1が信号を送信した際には、第1無線装置1は、該信号を送信した時の位相を計測し、第1無線装置1の制御部11内のメモリに記憶することとしてもよい。信号を送信した時の位相は、送信した信号を構成する搬送波の位相であってよい。
【0045】
さらに、ステップS102において第2無線装置1が信号を受信した際には、第2無線装置1は、該信号を受信した時の位相を計測し、第2無線装置1の制御部11内のメモリに記憶することとしてもよい。信号を受信した時の位相は、信号を受信した時に第2無線装置1の発振器13により発振される信号の位相であってよい。
【0046】
また、ステップS103において第2無線装置1が信号を送信した際には、第2無線装置1は、該信号を送信した時の位相を計測し、第2無線装置1の制御部11内のメモリに記憶することとしてもよい。信号を送信した時の位相は、送信した信号を構成する搬送波の位相であってよい。
【0047】
さらに、ステップS104において第1無線装置1が信号を受信した際には、第1無線装置1は、該信号を受信した時の位相を計測し、第1無線装置1の制御部11内のメモリに記憶することとしてもよい。信号を受信した時の位相は、信号を受信した時に第1無線装置1の時計の発振器13により発振される信号の位相であってよい。
【0048】
ステップS105において第1無線装置1へ送信される第2無線装置1の位相に関する情報には、ステップS102において第2無線装置1が信号を受信した時の位相に関する情報、及び、ステップS103において第2無線装置1が信号を送信した時の位相に関する情報が含まれてもよい。
【0049】
ステップS107においては、第1無線装置1から第2無線装置1へ送信した信号を構成する搬送波の位相と、第2無線装置1において該信号を受信した時に第2無線装置1の発振器13により発振される信号の位相との位相差、及び、第2無線装置1から第1無線装置1へ送信した信号を構成する搬送波の位相と、第1無線装置1において該信号を受信した時に第1無線装置1の時計の発振器13により発振される信号の位相との位相差をもとに、位相のずれを算出することができる。
【0050】
第1無線装置1から第2無線装置1へ送信した信号を構成する搬送波の位相とは、ステップS101にて送信した信号の位相である。第2無線装置1において信号を受信した時に第2無線装置1の発振器13により発振される信号の位相とは、ステップS102にて受信した信号の位相である。第2無線装置1から第1無線装置1へ送信した信号を構成する搬送波の位相とは、ステップS103にて送信した信号の位相である。第1無線装置1において信号を受信した時に第1無線装置1の時計の発振器13により発振される信号の位相とは、ステップS104にて受信した信号の位相である。
【0051】
第1無線装置1から第2無線装置1へ送信した信号を構成する搬送波の位相と、第2無線装置1において該信号を受信した時に第2無線装置1の発振器13により発振される信号の位相との位相差をΔΦと定義し、第2無線装置1から第1無線装置1へ送信した信号を構成する搬送波の位相と、第1無線装置1において該信号を受信した時に第1無線装置1の発振器13により発振される信号の位相との位相差をΔΦと定義すると、位相差ΔΦと位相差ΔΦとの相加平均から、第1無線装置1及び第2無線装置1間を信号が伝搬することにより生じる位相差ΔΦを算出することができる。つまり、式(1):ΔΦ=1/2×(ΔΦ+ΔΦ)により、位相差ΔΦを算出できる。
【0052】
第1無線装置1と第2無線装置1との間の位相のずれをΔΦと定義すると、式(2):ΔΦ=ΔΦ+(-ΔΦ)で示す関係が成立するから、位相のずれΔΦは、位相差ΔΦから位相差ΔΦを差し引くことで算出することができる。つまり、式(2):ΔΦ=1/2×(ΔΦ-ΔΦ)により、位相差ΔΦを算出できる。ステップS107では、式(2)を利用して、第1無線装置1と第2無線装置1との間の位相のずれを算出してもよい。
【0053】
なお、ここでは、位相のずれΔΦを式(2)により算出することとしたが、算出すべき位相のずれΔΦが、さらに2πや4π、つまり2nπを差し引いたものである場合もある。nは0又は正の整数を取りうる。そのため、後述する伝搬時間や、第1無線装置1と第2無線装置1との間の時刻のずれをもとに、nが0であるのか、1や2であるのか(つまり、式(2)より求められる位相差ΔΦからさらに2nπを差し引いた値が、本来の位相のずれであるのか、差し引かない値が、本来の位相のずれであるのか)を特定することもできる。
【0054】
第1無線装置1から第2無線装置1へ送信した信号、及び、第2無線装置1から第1無線装置1へ送信した信号は、送信開始時における出力が0ではなく、任意の値をもった状態から始まる場合がある。このような場合は、送信開始時の位相及び送信時刻を計測して、位相のずれΔΦを補正する必要がある。なお、送信開始時の位相を常にある一定とし、所定の時刻に送信することで、送信開始時の位相及び送信時刻を計測したうえでΔΦを補正するといった処理を省略することが可能となる。
【0055】
ステップS108における位相のずれの補正指示は、第1無線装置1の位相と同期するように、第2無線装置1の位相を補正する指示であってもよい。
【0056】
そして、ステップS110において、第2無線装置1は、算出された位相のずれΔΦに基づいて、第1無線装置1の位相と同期するように、第2無線装置1の位相を補正してもよい。すなわち、第2無線装置1は、算出された位相のずれΔΦに基づいて、第1無線装置1の発振器13により発生する信号と同期するように、第2無線装置1の発振器13により発生する信号の位相を補正してもよい。ステップS110における位相の補正は、第2無線装置1の制御部11により制御され、実行される。
【0057】
このように、第2無線装置1の位相を第1無線装置1の位相に合わせるように補正がなされることで、第2無線装置1の時計14と第1無線装置1の時計14の周波数も調整される。すなわち、位相がロックされる。位相ロックが成立すると、第2無線装置1の時計14と第1無線装置1の時計14は、同じ周波数で時を刻むようになる。ここでは、位相ロックが成立した状態で、第2無線装置1と第1無線装置1の間で時刻のずれを算出し、補正する例について説明する。位相ロックが続いている間は、第2無線装置1の時計14と第1無線装置1の時計14の時刻の差は変わらないため、正確に時刻を比較することが可能となる。
【0058】
ステップS110において第2無線装置1の位相のずれが補正された後、第2無線装置1から第1無線装置1へ、信号が送信される(ステップS111)。そして、第1無線装置1において、送信された信号が受信される(ステップS112)。次に、第1無線装置1から第2無線装置1へ、信号が送信される(ステップS113)。そして、第2無線装置1において、送信された信号が受信される(ステップS114)。
【0059】
次に、第2無線装置1から第1無線装置1へ、第2無線装置1の時刻に関する情報が送信される(ステップS115)。そして、第1無線装置1において、送信された時刻に関する情報が受信される(ステップS116)。第1無線装置1において、第1無線装置1と第2無線装置1の時刻のずれが算出される(ステップS117)。次に、第1無線装置1から第2無線装置1へ、第2無線装置1の時刻のずれを補正する指示(以下、時刻のずれの補正指示ともいう)が送信される(ステップS118)。第2無線装置1において、送信された時刻のずれの補正指示が受信される(ステップS119)。そして、第2無線装置1において、第2無線装置1の時刻のずれが補正される(ステップS120)。
【0060】
ステップS111における信号には、該信号を送信した第2無線装置1へ信号を送信することを要求する信号送信要求が含まれていてもよい。
【0061】
また、ステップS111において第2無線装置1が信号を送信した際には、第2無線装置1は、該信号を送信した時刻を刻時し、第2無線装置1の制御部11内のメモリに記憶することとしてもよい。
【0062】
さらに、ステップS112において第1無線装置1が信号を受信した際には、第1無線装置1は、該信号を受信した時刻を刻時し、第1無線装置1の制御部11内のメモリに記憶することとしてもよい。
【0063】
また、ステップS113において第1無線装置1が信号を送信した際には、第1無線装置1は、該信号を送信した時刻を刻時し、第1無線装置1の制御部11内のメモリに記憶することとしてもよい。
【0064】
さらに、ステップS114において第2無線装置1が信号を受信した際には、第2無線装置1は、該信号を受信した時刻を刻時し、第2無線装置1の制御部11内のメモリに記憶することとしてもよい。
【0065】
ステップS115において第1無線装置1へ送信される第2無線装置1の時刻に関する情報には、ステップS111において第2無線装置1が信号を送信した時の時刻に関する情報、及び、ステップS114において第2無線装置1が信号を受信した時の時刻に関する情報が含まれてもよい。
【0066】
ステップS107においては、第2無線装置1から第1無線装置1へ信号を送信した時刻、第1無線装置1において該信号を受信した時刻、第1無線装置1から第2無線装置1へ信号を送信した時刻、及び、第2無線装置1において該信号を受信した時刻をもとに、時刻のずれを算出することができる。
【0067】
第1無線装置1から第2無線装置1へ信号を送信した時刻とは、ステップS111にて信号を送信した時刻である。第1無線装置1において信号を受信した時刻とは、ステップS112にて信号を受信した時刻である。第1無線装置1から第2無線装置1へ信号を送信した時刻とは、ステップS113にて信号を送信した時刻である。第2無線装置1において信号を受信した時刻とは、ステップS114にて信号を受信した時刻である。
【0068】
第2無線装置1から第1無線装置1へ信号を送信した時刻をTと定義し、第1無線装置1において該信号を受信した時刻をTMFと定義し、第1無線装置1から第2無線装置1へ信号を送信した時刻をTと定義し、第1無線装置1において該信号を受信した時刻をTFMと定義すると、第1無線装置1と第2無線装置1との間の時刻のずれTは、式(3):T=1/2×((TMF-T)-(TFM-T))により算出できる。ステップS117では、式(3)により、第1無線装置1と第2無線装置1との間の時刻のずれTを算出してもよい。
【0069】
ステップS118における時刻のずれの補正指示は、第1無線装置1の時刻に同期するように、第2無線装置1の時刻を補正する指示であってもよい。
【0070】
そして、ステップS120において、第2無線装置1は、算出された時刻のずれTに基づいて、第1無線装置1の時刻に同期するように、第2無線装置1の時刻を補正してもよい。
【0071】
ステップS120において第2無線装置1の時刻のずれが補正された後、第2無線装置1から第1無線装置1へ、第2無線装置1の時刻に関する情報が送信される(ステップS121)。そして、第1無線装置1において、送信された時刻に関する情報が受信される(ステップS122)。次に、第1無線装置1において、第1無線装置1と第2無線装置1との間の通信の伝搬時間が算出される(ステップS123)。そして、第1無線装置1において、第1無線装置1と第2無線装置1との間の距離が算出され(ステップS124)、距離算出処理は終了する。
【0072】
ステップS121における第2無線装置1の時刻に関する情報には、第2無線装置1が該情報を送信した時刻に関する情報が含まれていてもよい。
【0073】
ステップS123においては、第1無線装置1は、ステップS121において第2無線装置1が情報を送信した時刻と、ステップS122において第1無線装置1が該情報を受信した時刻との差によって、第2無線装置1と第1無線装置1との間の通信の伝搬時間を算出することができる。
【0074】
ステップS124においては、第1無線装置1は、ステップS123において算出された伝搬時間に、通信の伝搬速度(例えば、光速)を乗ずることで、第2無線装置1と第1無線装置1との間の距離を算出することができる。
【0075】
なお、上記においては、第1無線装置1において、位相のずれの算出、位相のずれの補正指示、時刻のずれの算出、時刻のずれの補正指示、伝搬時間の算出、及び距離の算出が実行される態様について説明したが、位相のずれの算出、位相のずれの補正指示、時刻のずれの算出、時刻のずれの補正指示、伝搬時間の算出、及び/又は距離の算出は、第2無線装置1、及び/又はコンピュータ装置3において実行されてもよい。その場合、それぞれの処理に必要な情報が、それぞれの処理を実行する装置に送信されてもよい。
【0076】
例えば、第2無線装置1において、第2無線装置1と第1無線装置1との間の距離の算出が行われてもよい。
【0077】
なお、第2無線装置1と第1無線装置1との間の位相のずれ及び時刻のずれの算出方法は、上記の記載に依らず、適宜設計可能である。つまり、第2無線装置1と第1無線装置1との間の信号の送受信の回数や、第2無線装置1と第1無線装置1との間で送受信される情報の内容は、特に限定されない。第2無線装置1と第1無線装置1との間の位相のずれ及び時刻のずれを算出することができればよい。
【0078】
また、上記においては、第2無線装置1と第1無線装置1との間の位相のずれ及び時刻のずれを補正した後に距離を算出する態様について説明したが、距離の算出は、第2無線装置1と第1無線装置1との間の位相のずれ及び/又は時刻のずれを補正せずに行われてもよい。
【0079】
例えば、第2無線装置1と第1無線装置1との間の位相のずれは補正せずに、第2無線装置1と第1無線装置1との間の時刻のずれを補正して、距離を算出してもよい。この場合、ステップS103~ステップS110は行われなくともよい。
【0080】
あるいは、例えば、第2無線装置1と第1無線装置1との間の位相のずれ及び時刻のずれを補正せずに、距離を算出してもよい。具体的には、例えば、第2無線装置1と第1無線装置1との間の位相のずれ及び時刻のずれを補正した後、所定の時間内は、再度、位相のずれ及び時刻のずれを補正せずに、距離を算出してもよい。あるいは、例えば、実際には第2無線装置1と第1無線装置1との間の位相のずれ及び時刻のずれを補正せずに、理論上、位相のずれ及び時刻のずれを補正した場合の伝搬時間を基に、距離を算出してもよい。
【0081】
一般的な時計における時刻のずれは、1日あたり1秒未満であると言われている。そのため、第2無線装置1と第1無線装置1との間の位相のずれ及び時刻のずれを補正した後、所定の時間内は、第2無線装置1が備える内部時計の位相及び時刻と、第1無線装置1が備える内部時計の位相及び時刻は、位相のずれ及び時刻のずれを補正したときと同等の位相及び時刻であると考えられる。
【0082】
そのため、第2無線装置1と第1無線装置1との間の位相のずれ及び時刻のずれを補正した後、所定の時間内は、再度、ステップS103~ステップS120により位相のずれ及び時刻のずれを補正しなくても、ステップS121~ステップS123により、位相のずれ及び時刻のずれを補正したときの伝搬時間を算出することができる。
【0083】
所定の時間は、1分としてもよく、5分としてもよく、10分としてもよく、20分としてもよく、30分としてもよい。
【0084】
また、実際には第2無線装置1と第1無線装置1との間の位相のずれ及び時刻のずれの補正を行わずに、算出された位相のずれ及び時刻のずれを基に、理論上で位相のずれ及び時刻のずれを補正した場合の伝搬時間を算出し、距離を算出してもよい。この場合、ステップS101~ステップS104において信号を送信及び/又は受信した時刻を刻時及び記憶し、ステップS105において時刻に関する情報を送信することで、ステップS108~ステップS116、及びステップS118~ステップS122を省略することができる。
【0085】
つまり、第2無線装置1と第1無線装置1との間の距離が、第2無線装置1が備える内部時計と、第1無線装置1が備える内部時計との時刻のずれを基に算出されていれば、第2無線装置1と第1無線装置1との間の位相のずれ及び時刻のずれは、補正されても、補正されなくてもよい。
【0086】
また、上記においては、第2無線装置1と第1無線装置1との間の通信の伝搬時間を算出し、算出された伝搬時間に、通信の伝搬速度を乗ずることで、第2無線装置1と第1無線装置1との間の距離を算出する例について説明したが、第2無線装置1と第1無線装置1との間の距離を算出する態様は、これに限定されない。
【0087】
例えば、第2無線装置1と第1無線装置1との間の通信の伝搬時間を算出する処理を行わずに、第2無線装置1と第1無線装置1との間で信号の送受信を行い、信号の送信時刻と、該信号の受信時刻と、該信号の伝搬速度とから、第2無線装置1と第1無線装置1との間の距離を算出してもよい。この場合、ステップS123は行われず、ステップS121における情報の送信時刻とステップS122における情報の受信時刻と、該情報の伝搬速度とを基に、ステップS124において第2無線装置1と第1無線装置1との間の距離が算出されてもよい。
【0088】
つまり、第2無線装置1と第1無線装置1との間の距離は、第2無線装置1が備える内部時計と、第1無線装置1が備える内部時計との時刻のずれに基づいた伝搬時間を基に、算出されればよい。
【0089】
また、上記においては、第2無線装置1が備える内部時計の位相及び時刻を、第1無線装置1が備える内部時計の位相及び時刻に同期させるように補正を行う例について説明したが、位相のずれ及び時刻のずれの補正の態様は、これに限定されない。第2無線装置1が備える内部時計と第1無線装置1が備える内部時計との間における、位相のずれ及び時刻のずれが補正されればよい。例えば、第1無線装置1が備える内部時計の位相及び時刻を、第2無線装置1が備える内部時計の位相及び時刻に同期させるように補正を行ってもよく、第1無線装置1が備える内部時計と第2無線装置1が備える内部時計とを共に、互いに同期するように補正してもよい。
【0090】
上記のような距離算出処理により算出された距離を無線装置1間の理論上の距離として、無線装置1間の物理的な距離と理論上の距離とが、所定の条件を満たすか否かを判定することができる。図6は、本発明の実施の形態にかかる、判定処理のフローチャートを示す図である。
【0091】
まず、第1無線装置1からコンピュータ装置3へ、無線装置1間の理論上の距離に関する情報が送信される(ステップS201)。コンピュータ装置3において、送信された、無線装置1間の理論上の距離に関する情報が受信される(ステップS202)。また、コンピュータ装置3において、無線装置1間の物理的な距離に関する情報が取得される(ステップS203)。コンピュータ装置3において、ステップS203において取得した無線装置1間の物理的な距離と、ステップS202において受信した無線装置1間の理論上の距離とが、所定の条件を満たすか否かが判定される(ステップS204)。
【0092】
無線装置1間の物理的な距離と理論上の距離とが所定の条件を満たすと判定された場合(ステップS204にてYES)、コンピュータ装置3において、所定の条件を満たす旨が出力され(ステップS205)、距離算出処理は終了する。
【0093】
一方、無線装置1間の物理的な距離と理論上の距離とが所定の条件を満たすと判定されなかった場合(ステップS204にてNO)、コンピュータ装置3において、所定の条件を満たさない旨が出力され(ステップS205)、距離算出処理は終了する。
【0094】
上記においては、ステップS201において、第1無線装置1からコンピュータ装置3へ、無線装置1間の理論上の距離に関する情報が送信される例を挙げたが、無線装置1間の理論上の距離に関する情報を送信する主体となる装置、及び受信する装置は、適宜、変更が可能である。例えば、第2無線装置1が無線装置1間の理論上の距離を算出した場合には、第2無線装置1がコンピュータ装置3へ、無線装置1間の理論上の距離に関する情報を送信してもよい。あるいは、例えば、コンピュータ装置3が無線装置1間の理論上の距離を算出した場合には、無線装置1間の理論上の距離に関する情報は、他の装置へ送信されなくともよい。つまり、無線装置1間の物理的な距離と理論上の距離とが所定の条件を満たすか否かを判定する装置が、無線装置1間の理論上の距離に関する情報を取得できればよい。
【0095】
無線装置1間の理論上の距離に関する情報には、距離算出処理のステップS124において算出された無線装置1間の理論上の距離、該距離を算出した時刻などが含まれ得る。
【0096】
ステップS203において、コンピュータ装置3が無線装置1間の物理的な距離に関する情報を取得する方法は、特に限定されない。例えば、人間が目視により読み取った無線装置1間の物理的な距離を、コンピュータ装置3に入力してもよく、定盤20及び/又はスライドレール21が測定した無線装置1間の物理的な距離に関する情報が、コンピュータ装置3へ送信されてもよい。あるいは、例えば、無線装置1の物理的な距離をコンピュータ装置3から制御することが可能である場合には、コンピュータ装置3に入力された、2つの無線装置1の物理的な距離に関する情報を読み出してもよい。
【0097】
無線装置1間の物理的な距離に関する情報には、無線装置1間の物理的な距離、該距離を取得した時刻などが含まれ得る。
【0098】
なお、無線装置1間の理論上の距離に関する情報の受信(取得)と、無線装置1間の物理的な距離に関する情報の取得は、どちらが先に行われてもよい。無線装置1間の理論上の距離に関する情報の受信(取得)と、無線装置1間の物理的な距離に関する情報の取得とは、ステップS204における判定の前に取得されていればよい。
【0099】
ステップS204において判定の対象とする無線装置1間の理論上の距離は、ステップS204において判定の対象とする無線装置1間の物理的な距離に対応するものである。つまり、ステップS204において判定の対象とする無線装置1間の理論上の距離は、無線装置1間の物理的な距離が、ステップS203にて取得した距離である場合に、無線装置1間で信号の送受信を行うことで、算出した距離である。
【0100】
ステップS204における所定の条件は、特に限定されず、適宜設計可能である。所定の条件は、無線装置1間の通信の伝搬時間を基に算出された無線装置間の距離が、正しいと考えられる条件であってもよい。例えば、所定の条件は、無線装置1間の理論上の距離と無線装置1間の物理的な距離とが等しいことであってもよく、無線装置1間の理論上の距離と無線装置1間の物理的な距離との差が所定の範囲内であることであってもよい。
【0101】
無線装置1間の理論上の距離と無線装置1間の物理的な距離との差が所定の範囲内であるか否かは、例えば、パーセント誤差により判定されてもよい。パーセント誤差は、例えば、無線装置1間の理論上の距離から無線装置1間の物理的な距離を減じた数値を、無線装置1間の物理的な距離で除し、百分率とする({(無線装置1間の理論上の距離-無線装置1間の物理的な距離)}/(無線装置1間の物理的な距離)の百分率)ことで算出してもよい。所定の条件は、例えば、無線装置1間の理論上の距離と無線装置1間の物理的な距離とのパーセント誤差が±1%以内であることであってもよく、無線装置1間の理論上の距離と無線装置1間の物理的な距離とのパーセント誤差が±0.5%以内であることであってもよく、無線装置1間の理論上の距離と無線装置1間の物理的な距離とのパーセント誤差が±0.1%以内であることであってもよい。
【0102】
ステップS205における出力の方法は、特に限定されず、適宜設計可能である。例えば、所定の条件を満たす旨がコンピュータ装置3の表示画面に表示されてもよく、所定の条件を満たすことを示す音声がコンピュータ装置3のスピーカから出力されてもよい。その際、併せて、無線装置1間の理論上の距離に関する情報、無線装置1間の物理的な距離に関する情報、所定の条件を満たすか否かの判定に用いた情報(例えば、パーセント誤差など)などが出力されてもよい。
【0103】
ステップS206における出力の方法は、ステップS205における出力の方法についての記載を、必要な範囲で採用できる。
【0104】
なお、図示しないが、無線装置1間の理論上の距離に関する情報、無線装置1間の物理的な距離に関する情報、所定の条件を満たすか否かの判定に用いた情報、該判定を行った時刻などの情報は、コンピュータ装置3のストレージ部33に記憶されてもよい。
【0105】
また、上記の判定処理においては、無線装置1間の物理的な距離に関する情報の取得、及び所定の条件を満たすか否かの判定をコンピュータ装置3において行う態様について説明したが、無線装置1間の物理的な距離に関する情報の取得、及び/又は、所定の条件を満たすか否かの判定は、コンピュータ装置3において行わなくともよい。例えば、人間が、スライドレール21の目盛りを目視で読み取ることにより無線装置1間の物理的な距離を把握し、無線装置1が算出した無線装置1間の理論上の距離と比較することで、所定の条件を満たすか否かの判定を行ってもよい。また、例えば、コンピュータ装置3により無線装置1間の理論上の距離に関する情報と無線装置1間の物理的な距離に関する情報を取得し、所定の条件を満たすか否かの判定に用いる情報(例えば、パーセント誤差など)を出力した上で、人間が、所定の条件を満たすか否かの判定を行ってもよい。
【0106】
つまり、無線装置1間の物理的な距離を取得し、取得した物理的な距離と理論上の距離とが所定の条件を満たすか否かを判定するための方法は、少なくとも一部がシステム10により実行されればよい。
【0107】
このように、無線装置間の物理的な距離を取得し、取得した物理的な距離と理論上の距離とが所定の条件を満たすか否かを判定するために、コンピュータ装置に、無線装置間の通信の伝搬時間を基に、無線装置間の理論上の距離を算出する距離算出ステップを実行させることで、無線装置間の通信の伝搬時間を基に算出された無線装置間の距離が、正しいか否かを確認するための方法を提供することができる。この方法は、無線装置の製造初期に行ってもよく、無線装置の使用期間中に定期的に行ってもよい。
【0108】
また、このように、距離算出ステップが、無線装置間の内部時計の時刻のずれを基に距離を算出するものであることで、無線装置間の理論上の距離をより正確に算出することができる。
【0109】
また、このように、コンピュータ装置に、無線装置間で信号の送受信を行うことにより、無線装置間の内部時計の時刻のずれを算出する時刻ずれ算出ステップと、算出された時刻のずれを基に、無線装置間の内部時計の時刻のずれを補正する時刻ずれ補正ステップとを実行させ、距離算出ステップが、時刻ずれ補正手段が時刻のずれを補正した後に、距離を算出するものであることで、無線装置間の理論上の距離をより正確に算出することができる。
【0110】
また、このように、コンピュータ装置に、無線装置間で信号の送受信を行うことにより、無線装置間の内部時計の位相のずれを算出する位相ずれ算出ステップと、算出された位相のずれを基に、無線装置間の内部時計の位相のずれを補正する位相ずれ補正ステップとを実行させ、時刻ずれ算出ステップが、位相ずれ補正ステップが位相のずれを補正した後に、時刻のずれを算出するものであることで、無線装置間の理論上の距離をさらに正確に算出することができる。
【0111】
また、このように、2つの無線装置を、物理的な距離が特定された2点のそれぞれに配置する配置ステップを有することで、取得した物理的な距離と理論上の距離とが所定の条件を満たすか否かを判定することが容易となる。
【0112】
また、このように、無線装置を、スライドレールに沿って移動させる移動ステップを有することで、異なる2つ以上の距離において、取得した物理的な距離と理論上の距離とが所定の条件を満たすか否かを判定することが容易となる。また、無線装置間の物理的な距離を、任意に設定することが容易となる。
【0113】
また、このように、少なくとも2つの無線装置を備えるシステムが、無線装置間の通信の伝搬時間を基に、無線装置間の理論上の距離を算出する距離算出手段と、無線装置間の物理的な距離と、距離算出手段により算出された理論上の距離とが、所定の条件を満たすか否かを判定する判定手段とを備えることで、無線装置間の通信の伝搬時間を基に算出された無線装置間の距離が、正しいか否かを確認するためのシステムを提供することができる。
【0114】
また、このように、システムが、無線装置間の物理的な距離を取得する距離取得手段を備えることで、無線装置間の物理的な距離を取得することが容易となる。
【0115】
無線装置1間で信号を送受信する場合、無線装置1から送信された電波の一部は、壁などの障害物に当たることで反射する。そのため、一般的な屋内施設で、上記のように、第1無線装置1から第2無線装置1へ信号を送信すると、屋内の壁によって反射せずに、直接、第2無線装置1に受信される電波(以下、直接波ともいう)と、屋内の壁によって反射した後に、第2無線装置1に受信される電波(以下、反射波ともいう)とが混在することとなる。反射波が通信ノイズとなった場合、無線装置1間の理論上の距離が正確に算出できなくなる可能性がある。
【0116】
そのため、無線装置1間で信号を送受信する際には、電波暗室内で信号の送受信を行ってもよい。例えば、上述の距離算出処理における、ステップS101~S104及び/又はS111~S114は、電波暗室内で行われてもよい。
【0117】
電波暗室とは、外部からの電磁波の影響を受けず、外部に電磁波を漏らさず、内部で電磁波が反射しないようにシールドされた部屋のことを指す。電波暗室としては、公知のものを用いることができる。
【0118】
このように、無線装置に、他の無線装置と通信する通信ステップを実行させ、通信ステップが、電波暗室内で行われるものであることで、反射波を少なくすることができるため、無線装置間で通信を行う際に発生し得る、通信ノイズを低減させることができる。
【0119】
また、無線装置1が電波の送受信を行う通信部を、電波を吸収する機能及び/又は反射する機能を有する被覆部により被覆することで、通信ノイズを低減させてもよい。図7は、本発明の実施の形態にかかる、無線装置の例を示す図である。
【0120】
図7(A)~(C)に示すように、無線装置1は、本体部41と、他の無線装置1と通信する通信部42とを備えている。また、無線装置1は、無線装置1の少なくとも一部を被覆する被覆部43を備える。例えば、図7(A)においては、被覆部43は、通信部42を被覆しており、図7(B)においては、被覆部43は、通信部42を内部に備える本体部41を被覆しており、図7(C)においては、被覆部43は、本体部41及び通信部42を含む無線装置1の全体を被覆している。つまり、被覆部43は、無線装置1及び/又は通信部42を被覆していればよい。
【0121】
被覆部43は、通信部42により送受信される電波を、吸収する機能、及び/又は、反射する機能を有している。
【0122】
被覆部43は、電波を吸収、及び/又は反射する素材を含有することで、通信部42により送受信される電波を吸収、及び/又は反射してもよい。電波を吸収、及び/又は反射する素材としては、特に限定されず、公知のものを用いることができる。例えば、電波を吸収、及び/又は反射する素材として、銀、銅、ニッケル、亜鉛、スズ、金、鉄などの金属や、カーボン、グラファイトなどの導電性物質を用いてもよい。電波を吸収、及び/又は反射する素材の形状は、粉末状でも、ワイヤー状でも、シート状でも、板状でもよい。被覆部3は、電波を吸収、及び/又は反射する素材を含有する樹脂などにより構成されてもよく、電波を吸収、及び/又は反射する素材により構成されてもよい。
【0123】
あるいは、被覆部43は、被覆部43の構造によって、通信部42により送受信される電波を吸収、及び/又は反射してもよい。
【0124】
また、被覆部43の内側と被覆部43の外側とで、異なる機能を有していてもよい。例えば、被覆部43の内側は、通信部42により送受信される電波を吸収する機能を有しており、被覆部43の外側は、通信部42により送受信される電波を吸収する機能及び/又は反射する機能を有していてもよい。このように、被覆部43の内側が電波を吸収する機能を有し、被覆部43の外側が電波を吸収する機能及び/又は反射する機能を有することで、通信ノイズを低減することができる。
【0125】
図7(A)~(C)において、無線装置1は、略直方体の形状の本体部41を備えている。以下、無線装置1の略直方体の形状の本体部41のうち、図7(A)~(C)において広く見えている面を、無線装置1の正面とする。
【0126】
図7(A)においては、無線装置1は、無線装置1の上部に棒状の通信部42を備えている。被覆部43は、通信部42を被覆している。被覆部43は、一部が開口した、中空の棒状の形状を有している。また、被覆部43は、無線装置1の正面の方向に向かって、通信部42の長手方向に沿って開口している。被覆部43の開口部からは、通信部42の正面の一部が視認可能となっている。
【0127】
図7(B)においては、無線装置1は、本体部の内部に通信部(不図示)を備えている。被覆部43は、無線装置1を被覆している。被覆部43は、一部が開口した、中空の略直方体の形状を有している。また、被覆部43は、無線装置1の正面の方向に向かって、無線装置1の長手方向に沿って開口している。被覆部43の開口部からは、無線装置1の正面の一部が視認可能となっている。
【0128】
図7(C)においては、無線装置1は、無線装置1の上部に棒状の通信部42を備えている。被覆部43は、通信部42を含む、無線装置1全体を被覆している。被覆部43は、一部が開口した、略円筒状の形状を有している。また、被覆部43は、無線装置1の正面の方向に向かって、無線装置1の長手方向に沿って開口している。被覆部43の開口部からは、無線装置1の正面が視認可能となっている。
【0129】
無線装置1が他の無線装置1と通信する際には、被覆部43の一部が、他の無線装置1の方向に向かって開口している状態で通信することが好ましい。
【0130】
このように、無線装置に、他の無線装置と通信する通信ステップを実行させ、通信ステップが、無線装置の少なくとも一部を被覆する被覆部の一部が、他の無線装置の方向に向かって開口している状態で通信するものであり、被覆部が、通信ステップにより送受信される電波を吸収する機能及び/又は反射する機能を有するものであることで、通信部において直接波を受信しつつ、通信部に到達する反射波を少なくすることができるため、通信ノイズを低減することが可能となる。
【0131】
なお、図7(A)及び(B)においては、無線装置1及び/又は通信部42と被覆部43とが一体として構成されているため、無線装置1が通信部42と被覆部43とを備えていると言える。一方、図7(C)においては、無線装置1及び/又は通信部42と被覆部43とは一体として構成されていない。しかし、システム10が備える無線装置1が、図7(C)に示すように被覆部43に被覆されている場合には、システム10として、無線装置1と被覆部43とを備えていると言える。システム10は、少なくとも1の被覆部43を備えていればよい。つまり、無線装置1が通信する「他の無線装置1」は、無線装置1及び/又は通信部42が被覆されていないものでもよく、無線装置1及び/又は通信部42が被覆されているものでもよい。
【0132】
また、システム10は、被覆部43が開口する方向を変更する開口方向変更部を備えてもよい。被覆部43が開口する方向を変更する方法は、特に限定されず、適宜設計可能である。
【0133】
例えば、開口方向変更部が被覆部43と物理的に接続されており、開口方向変更部を回転させることで被覆部43を回転させ、被覆部43が開口する方向を変更してもよい。あるいは、例えば、開口方向変更部が無線装置1及び被覆部43と物理的に接続されており、開口方向変更部を回転させることで無線装置1及び被覆部43を回転させ、被覆部43が開口する方向を変更してもよい。また、あるいは、例えば、開口方向変更部が被覆部43と物理的に接続されており、被覆部43の一部を開閉させることで、被覆部43が開口する方向を変更してもよい。「物理的に接続」とは、開口方向変更部の運動が、接続する無線装置1及び/又は被覆部43に伝わるように接続することを表す。例えば、溶接などにより一体的に構成されるように接続してもよく、別体として係合させることで接続してもよい。
【0134】
開口方向変更部には、公知の部材を用いることができる。開口方向変更部は、モータやスライドレールなどを備えていてもよい。また、開口方向変更部は、公知の方法で回転、及び/又は開閉させることができる。
【0135】
開口方向変更部が回転する場合、少なくとも1の回転の軸を有していればよい。開口方向変更部の回転の軸が2以上である場合、開口する方向を2以上の軸に沿って変更することができる。
【0136】
図7(A)においては、被覆部43の下部に、開口方向変更部44が備えられている。開口方向変更部44は、リング状の形状であってもよい。開口方向変更部44は、一部が開口した被覆部43を、通信部42を中心軸として回転させることで、被覆部43が開口する方向を変更することができる。
【0137】
図7(B)においては、無線装置1、及び被覆部43の下部に、開口方向変更部44が備えられている。開口方向変更部44は、円盤状の形状であってもよい。開口方向変更部44は、無線装置1、及び一部が開口した被覆部43を、無線装置1の正中を中心軸として回転させることで、被覆部43が開口する方向を変更することができる。
【0138】
図7(C)においては、円筒状の被覆部43の下部に開口方向変更部44aが備えられ、円筒状の被覆部43の上部に開口方向変更部44bが備えられている。開口方向変更部44a及び44bが被覆部43の側面と接続されており、開口方向変更部44a及び/又は44bが回転することにより、被覆部43が開口する方向を変更してもよい。あるいは、被覆部43の側面が、複数の縦長パーツにより構成されており、縦長パーツの少なくとも一部を、開口方向変更部44a及び/又は44bに沿って円周上にスライドさせることで、被覆部43の側面の開口部の方向を変更してもよい。
【0139】
被覆部43が開口する方向を変更する際には、自動で開口する方向を変更してもよく、手動で開口する方向を変更してもよい。自動で開口する方向を変更する場合には、開口方向変更部44は、コンピュータ装置3などからの制御信号にしたがって、被覆部43が開口する方向を変更してもよい。
【符号の説明】
【0140】
1 無線装置
2 通信ネットワーク
3 コンピュータ装置
11 制御部
12 RFチップ
13 発振器
14 時計
15 位相検出器
31 制御部
32 RAM
33 ストレージ部
34 入力部
35 表示部
36 通信インタフェース
41 本体部
42 通信部
43 被覆部
44 開口方向変更部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7