(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024146274
(43)【公開日】2024-10-15
(54)【発明の名称】空気調和システム
(51)【国際特許分類】
F24F 11/36 20180101AFI20241004BHJP
F24F 11/38 20180101ALI20241004BHJP
F24F 11/49 20180101ALI20241004BHJP
F24F 11/67 20180101ALI20241004BHJP
F25B 49/02 20060101ALI20241004BHJP
F24F 110/10 20180101ALN20241004BHJP
F24F 110/12 20180101ALN20241004BHJP
【FI】
F24F11/36
F24F11/38
F24F11/49
F24F11/67
F25B49/02 520E
F24F110:10
F24F110:12
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023059071
(22)【出願日】2023-03-31
(71)【出願人】
【識別番号】314012076
【氏名又は名称】パナソニックIPマネジメント株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001081
【氏名又は名称】弁理士法人クシブチ国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】渡部 岳志
(72)【発明者】
【氏名】持田 尚之
【テーマコード(参考)】
3L260
【Fターム(参考)】
3L260AB03
3L260BA01
3L260BA52
3L260CA12
3L260CA32
3L260DA11
3L260EA07
3L260FA02
3L260FB01
3L260GA17
3L260HA06
(57)【要約】
【課題】本開示は、快適性が損なわれることを抑制しつつ、冷媒漏洩診断を行うことのできる空気調和システムを提供する。
【解決手段】本開示による空気調和システムは、空気調和装置の強制運転を行い、当該強制運転結果に基づいて冷媒漏洩の有無を診断する空気調和システムにおいて、被空調空間内の許容温度範囲を取得し、前記被空調空間の室温と、前記許容温度範囲に基づいて、前記強制運転として暖房運転を実行するか冷房運転とするかを決定する。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
空気調和装置の強制運転を行い、当該強制運転結果に基づいて冷媒漏洩の有無を診断する空気調和システムにおいて、
被空調空間内の許容温度範囲を取得し、
前記被空調空間の室温と、前記許容温度範囲に基づいて、前記強制運転として暖房運転を実行するか冷房運転とするかを決定する、
空気調和システム。
【請求項2】
前記許容温度範囲の下限である許容下限温度を取得し、前記室温が前記許容下限温度よりも低い場合、または、室温が前記許容下限温度に所定温度加算した温度よりも低い場合、暖房運転で前記強制運転を実行する、
請求項1に記載の空気調和システム。
【請求項3】
前記許容温度範囲の上限である許容上限温度を取得し、
前記室温が前記許容上限温度よりも高い場合、または、室温が前記許容上限温度に所定温度を減算した温度よりも高い場合、冷房運転で前記強制運転を実行する、
請求項1に記載の空気調和システム。
【請求項4】
前記室温が前記許容下限温度と前記許容上限温度の範囲内にある場合、外気温度に基づいて、冷房運転と暖房運転とのいずれで前記強制運転を実行するかを決定する、
請求項2および請求項3に記載の空気調和システム。
【請求項5】
冷房運転で前記強制運転が行われている場合、前記室温が前記許容下限温度を下回った場合に前記強制運転を終了し、
暖房運転で前記強制運転が行われている場合、前記室温が前記許容上限温度を上回った場合に、前記強制運転を終了する、
請求項2および請求項3に記載の空気調和システム。
【請求項6】
前記許容上限温度と前記許容下限温度が入力されていない場合、外気温度に基づいて、冷房運転と暖房運転のいずれで運転するかを決定する、
請求項2および請求項3に記載の空気調和システム。
【請求項7】
前記許容上限温度と前記許容下限温度の差が所定温度以下の場合、エラーメッセージを報知する、
請求項2および請求項3に記載の空気調和システム。
【請求項8】
前記強制運転として、試運転モードで前記強制運転を行う、
請求項1に記載の空気調和システム。
【請求項9】
冷媒漏洩の有無を診断できない状態が所定期間継続した場合、その旨を管理者端末に通知する、
請求項1に記載の空気調和システム。
【請求項10】
前記室温と前記許容温度範囲に基づいて、前記強制運転の設定温度が変更される、
請求項1に記載の空気調和システム。
【請求項11】
冷房運転で強制運転を行っている状態で許容下限温まで達した場合でも冷媒漏洩診断を行うデータが十分揃っていない場合、暖房運転に切り替えて強制運転を行い、
暖房運転で強制運転を行っている状態で許容上限温まで達した場合でも冷媒漏洩診断を行うデータが十分揃っていない場合、冷房運転に切り替えて強制運転を行う、
請求項1に記載の空気調和システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、空気調和システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、特許文献1は、冷媒回路と、第1検知部と、制御部と、を備え、第1検知部は、冷媒回路の冷媒の温度又は圧力を検知し、制御部は、圧縮機の運転停止中に、圧縮機を起動させ、第1検知部の検知値に基づき、冷媒回路からの冷媒漏洩の有無を判定する判定モードを実行する冷凍サイクル装置を開示する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本開示は、快適性が損なわれることを抑制しつつ、冷媒漏洩診断を行うことのできる空気調和システムを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示による空気調和システムは、空気調和装置の強制運転を行い、当該強制運転結果に基づいて冷媒漏洩の有無を診断する空気調和システムにおいて、被空調空間内の許容温度範囲を取得し、前記被空調空間の室温と、前記許容温度範囲に基づいて、前記強制運転として暖房運転を実行するか冷房運転とするかを決定する。
【発明の効果】
【0006】
本開示によれば、許容温度範囲に基づいて強制運転の空調運転モードを決定することにより、快適性が損なわれることを抑制しつつ、冷媒漏洩診断を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】実施の形態1における空気調和システムが適用される空気調和装置を示す冷凍サイクル図
【
図2】実施の形態1における制御構成を示すブロック図
【発明を実施するための形態】
【0008】
(本開示の基礎となった知見等)
発明者らが本開示に想到するに至った当時、空調の運転データを用いて、空調システム内の冷媒漏洩診断を実行するシステムが開示されている。また、1日に1回の冷媒漏洩診断ができない場合、空調システムを強制的に運転させ、運転の結果を用いて、冷媒漏洩診断する技術があった。
【0009】
しかしながら、従来の技術では、空調システムを強制運転した場合、使用者の意図しない室温となり、使用者の快適性が損なわれる可能性があるという課題を発明者らは発見し、その課題を解決するために、本開示の主題を構成するに至った。
本開示は、快適性が損なわれることを抑制しつつ、冷媒漏洩診断を行うことのできる空気調和システムを提供する。
【0010】
以下、図面を参照しながら、実施の形態を詳細に説明する。但し、必要以上に詳細な説明は省略する場合がある。例えば、既によく知られた事項の詳細説明、または、実質的に同一の構成に対する重複説明を省略する場合がある。これは、以下の説明が必要以上に冗長になるのを避け、当業者の理解を容易にするためである。
なお、添付図面および以下の説明は、当業者が本開示を十分に理解するために提供されるのであって、これらにより特許請求の範囲に記載の主題を限定することを意図していない。
【0011】
(実施の形態1)
以下、
図1および
図2を用いて、実施の形態1を説明する。
[1-1.構成]
まず、空気調和システムの構成について説明する。
図1は、本開示の空気調和システムが適用される空気調和装置の構成を示す冷凍サイクル図である。
図1に示すように、空気調和装置1は、室外機10と、室内機20とを備えている。室外機10には、圧縮機11、冷媒流路を切り替える四方弁12、室外熱交換器13、室外ファン14、室外絞り装置15が収容されている。
【0012】
室内機20には、室内熱交換器21、室内絞り装置22、室内ファン23がそれぞれ収容されている。
室外機10の圧縮機11、四方弁12、室外熱交換器13、室外絞り装置15、室内機20の室内熱交換器21および室内絞り装置22は、冷媒配管24を介して順次接続され、冷凍サイクルを構成している。
【0013】
室内機には、空気調和装置1のON・OFF、冷房運転や暖房運転の切り換え、被空調空間の室内温度の設定などの操作を行うリモコン25が接続されている。
リモコン25は、各種操作を行う操作部26と、運転状況などを表示する表示部27とを備えている。
【0014】
室内機20には、被空調空間の室内温度を検出する室温センサ30が設けられている。
室外機10には、外気温を検出する外気温センサ31が設けられている。
【0015】
[1-2.制御構成]
次に、本実施の形態の制御構成について説明する。
図2は、本実施の形態の制御構成を示すブロック図である。
図2に示すように、空気調和装置1は、制御装置40を備えている。制御装置40は、制御部41と、記憶部42と、を備えている。
制御部41は、例えば、CPUやMPUなどのプログラムを実行するプロセッサおよびROM、RAMなどのメモリを備え、プロセッサが、メモリに記憶された制御プログラムを読み出して処理を実行するように、ハードウェア及びソフトウェアの協働により各種処理を実行する。
【0016】
記憶部42は、圧縮機11、室外絞り装置15、室外ファン14、室内絞り装置22、室内ファン23などの動作状態を記憶する。
制御装置40には、室温センサ30、外気温センサ31による検出信号が入力される。
【0017】
制御部41は、制御プログラムに基づいて、各種センサの検出信号を入力し、圧縮機11、室外絞り装置15、室外ファン14、室内絞り装置22、室内ファン23などを駆動制御する。
【0018】
冷媒漏洩に関するガイドラインでは、1日に1回冷媒漏洩の診断を行うことが要求されている。冷媒漏洩の診断は、空気調和装置1の運転中に、空気調和装置1の吐出過熱度、吸入過熱度、高圧飽和温度、低圧飽和温度などの運転状況に基づいて冷媒量を推定することで行う。例えば、推論された冷媒量が、所定値(例えば、70%)を上回る場合は「正常」と診断し、所定値未満の場合は「冷媒漏洩(異常)」と診断する。
【0019】
この場合に、例えば、1日中空気調和装置1の運転が行われていない場合には、冷媒漏洩の判断をすることができなくなる。
そのため、本実施の形態においては、制御部41は、少なくとも1日1回の冷媒漏洩診断が行われていない場合、強制運転モードによる運転制御を行う。
強制運転を行う場合、空気調和装置1の1日の運転サイクルは以下の通りである。
午前5時から翌日午前2時:通常の運転データの蓄積。
午前2時から午前3時:通常の運転データを用いた冷媒漏洩診断。
午前3時から午前4時:強制運転(空気調和装置1が停止して通常の運転データが取得できない場合、または、7日連続で冷媒漏洩診断ができない場合)。
午前4時から午前5時:再診断。
午前5時:冷媒の漏洩診断。
【0020】
これらの時間は、一例であり、空気調和装置1が設置される環境、運転時間帯などに応じて適宜変更が可能である。
また、強制運転モードでの運転時刻を任意に設定することができる。この場合に、強制運転時刻に合わせて他の運転サイクルも変更する。
また、強制運転モードによる運転が終了すると、強制運転を開始する前の空調動作モードに戻る。すなわち、例えば、所定の設定温度で暖房運転を行っている場合に、強制運転モードに移行した場合には、強制運転モードによる運転終了後、暖房運転モードに戻る。
なお、強制運転モードで強制運転を行う場合、試運転モードにより運転を行うようにしてもよいし、冷媒漏洩診断に適した空調運転を使用してもよい。
試運転モードは、設定温度と被空調空間内の室温との差温に関わらず最大の差があるとみなして運転するモードである。
【0021】
[1-2.動作]
次に、本実施の形態の動作について説明する。
強制運転モードによる強制運転を行う際に、強制運転を行う場合の許容温度範囲を空気調和装置1の管理者があらかじめ設定することができる。強制運転を行う場合の許容温度範囲は、例えば、事務所、スーパーマーケット、コンビニエンスストア、病院、飲食店など空気調和装置1が設置される場所によって異なるため、管理者に許容温度範囲を設定させることで、空気調和装置1の設置場所に応じた条件で強制運転を行うことができる。
【0022】
また、管理者が温度設定を行った場合には、制御部41は、管理者の許容温度範囲に基づいて、強制運転を冷房運転で行うか、暖房運転で行うかを決定する。
例えば、室温の上限温度(x℃)、および下限温度(y℃)を設定をした場合には、制御部41は、以下の条件に基づいて、強制運転を冷房運転で行うか、暖房運転で行うかの決定をする。
冷房運転=暖房運転条件以外の場合。
暖房運転=Aor(BandC)。
ここで、
Aの条件は、(運転前平均室温Tin)<y+3。
Bの条件は、y+3≦(運転前平均室温Tin)<x-3。
Cの条件は、(外気温度T0)<10℃。
である。
【0023】
すなわち、運転前平均室温Tinが(y+3)未満の場合、または、運転前平均室温Tinが(y+3)以上、(x-3)未満であって、外気温度T0が10℃未満の場合には、強制運転を暖房運転で行い、それ以外の場合には、強制運転を冷房運転で行う。
ここで、運転前平均室温Tinは、例えば、室内機が複数運転されている場合に、各室内機における室温センサ30により検出されるそれぞれの室温の平均値である。
また、外気温度T0のしきい値である10℃は、一例であり、任意に変更が可能である。
【0024】
また、本実施の形態においては、許容温度範囲を設定した場合に、許容上限温度と許容下限温度との差が所定温度以下の場合には、制御部41は、エラーメッセージを報知する。エラーメッセージの報知は、例えば、リモコン25の表示部27にエラーメッセージを表示することで行われる。
例えば、許容上限温度と許容下限温度との差が所定温度(例えば、10℃)未満の場合、強制運転時間が短くなり、適切に冷媒漏洩診断できないおそれがある。そこで、その旨を通知することで、適切な冷媒漏洩診断を行えるよう促すことが可能となる。
【0025】
また、強制運転が行われている間は、制御部41により、利用者による設定温度の変更は受け付けないように制御される。この場合に、例えば、リモコン25の表示部27に、リモコン25を操作すると冷媒漏洩診断できない可能性がある旨を表示するようにしてもよい。
なお、利用者がリモコン25により空気調和装置1の運転を停止させた場合には、強制運転は中断され、強制運転時間内に再度運転が開始されると、再度強制運転を行う。また、強制運転時に何らかの警報が発生した場合、強制運転を終了する。
【0026】
また、制御部41は、冷媒漏洩の有無を診断できない状態が所定期間(例えば、1ヶ月)継続した場合、その旨を管理者の端末装置(図示せず)に通知する。ここで、管理者とは、空気調和装置1を管理する者であり、例えば、空気調和装置1が設置されるビルの管理者などである。
【0027】
また、室温と許容温度範囲に基づいて、強制運転の設定温度を変更するようにしてもよい。
強制運転を行う場合に、室温が許容温度範囲の上限温度または下限温度近くの場合、すぐに強制運転が終了するおそれがある。そのため、空調負荷が小さくなる設定温度とすることで、空調運転時間が長くなり、冷媒漏洩診断の精度が向上する。
これにより、利用者の快適性と冷媒漏洩診断の精度向上とを図ることが可能となる。
【0028】
また、冷房運転で強制運転を行っている状態で許容下限温度まで達した場合でも、冷媒漏洩診断を行うために必要なデータが十分揃っていない場合、暖房運転に切り替えて強制運転を行い、暖房運転で強制運転を行っている状態で許容上限温度まで達した場合でも、冷媒漏洩診断を行うために必要なデータが十分揃っていない場合、冷房運転に切り替えて強制運転を行うようにしてもよい。
冷房運転と暖房運転とを切り替えることで、強制運転時間が長くなり、冷媒漏洩診断の精度が向上する。
そして、冷房運転を行っている状態で、強制運転時間経過前に許容下限範囲を越えた場合には、暖房運転に切り替えて強制運転時間が経過するまで強制運転を再開する。
【0029】
そして、強制運転を開始した後、以下の条件に基づいて強制運転を終了する。
冷房運転の停止条件:min(全ての室内機の運転中室温Tin)≦y+1。
暖房運転の停止条件:max(全ての室内機の運転中室温Tin)≧x-1。
ここで、min(全ての室内機の運転中室温Tin)は、室内機が複数運転されている場合に、各室内機の室温センサ30により検出される室温のうち最も低い室温である。max(全ての室内機の運転中室温Tin)は、室内機が複数運転されている場合に、各室内機の室温センサ30により検出される室温のうち最も高い室温である。
【0030】
また、強制運転モードを行う際に、空気調和装置1の管理者が許容温度範囲を設定しない場合には、制御部41は、以下の条件に基づいて、冷房運転または暖房運転を決定する。
冷房運転=外気温度(T0)≧10℃
暖房運転=外気温度(T0)<10℃
すなわち、外気温度(T0)が10℃以上の場合には、冷房運転で強制運転モードを行い、外気温度(T0)が10℃未満の場合には、暖房運転で強制運転モードを行う。
なお、この例では、外気温度に基づいて、強制運転を冷房運転で行うか、暖房運転で行うかを決定しているが、この外気温の基準となる温度(10℃)は任意に設定することができる。
【0031】
[1-3.効果等]
以上説明したように、本実施の形態の空気調和システムは、被空調空間内の許容温度範囲を取得し、被空調空間の室温と、許容温度範囲に基づいて、強制運転として暖房運転を実行するか冷房運転とするかを決定する。
これにより、許容温度範囲に基づいて強制運転の空調運転モードを決定することにより、快適性が損なわれることを抑制しつつ、冷媒漏洩診断を行うことができる。
【0032】
また、本実施の形態によれば、許容温度範囲の下限である許容下限温度を取得し、室温が許容下限温度よりも低い場合、または、室温が許容下限温度に所定温度加算した温度よりも低い場合、暖房運転で強制運転を実行する。
これにより、許容温度範囲の許容下限温度に基づいて、暖房運転により強制運転を行うことができ、快適性が損なわれることを抑制しつつ、冷媒漏洩診断を行うことができる。
【0033】
また、本実施の形態によれば、許容温度範囲の上限である許容上限温度を取得し、室温が許容上限温度よりも高い場合、または、室温が許容上限温度に所定温度を減算した温度よりも低い場合、冷房運転で強制運転を実行する。
これにより、許容温度範囲の許容上限温度に基づいて、冷房運転により強制運転を行うことができ、快適性が損なわれることを抑制しつつ、冷媒漏洩診断を行うことができる。
【0034】
また、本実施の形態によれば、室温が許容下限温度と許容上限温度の範囲内にある場合、外気温度に基づいて、冷房運転と暖房運転とのいずれで強制運転を実行するかを決定する。
これにより、許容下限温度と前記許容上限温度の範囲内において、外気温度に基づいて強制運転の空調運転モードを決定することにより、季節に応じて快適性が損なわれることを抑制しつつ、冷媒漏洩診断を行うことができる。
【0035】
また、本実施の形態によれば、冷房運転で強制運転が行われている場合、室温が許容下限温度を下回った場合に強制運転を終了し、暖房運転で強制運転が行われている場合、室温が許容上限温度を上回った場合に、強制運転を終了する。
これにより、室温が許容温度範囲を超えた場合、強制運転を終了することにより、快適性が損なわれることを抑制しつつ、冷媒漏洩診断を行うことができる。
【0036】
また、本実施の形態によれば、許容上限温度と許容下限温度が入力されていない場合、外気温度に基づいて、冷房運転と暖房運転のいずれで運転するかを決定する。
これにより、許容上限温度と許容下限温度が入力されていない場合であっても、外気温度を判定することにより、冷房運転と暖房運転のいずれを実行するか判定することで、季節に応じた強制運転を行うことができる。
【0037】
また、本実施の形態によれば、許容上限温度と許容下限温度の差が所定温度以下の場合、エラーメッセージを報知する。
これにより、適切に冷媒漏洩診断を行うことができるように促すことができる。
【0038】
また、本実施の形態によれば、強制運転として、試運転モードで強制運転を行う。
これにより、試運転モードで強制運転を行うことで、冷媒漏洩診断の精度を向上させることができる。
【0039】
また、本実施の形態によれば、冷媒漏洩の有無を診断できない状態が所定期間継続した場合、その旨を管理者端末に通知する。
これにより、冷媒漏洩診断を行えない期間が継続した場合に、管理者にその旨を通知することで、安全性を確保することができる。
【0040】
また、本実施の形態によれば、室温と許容温度範囲に基づいて、強制運転の設定温度を変更してもよい。
これにより、室温と許容温度範囲に基づいて空調負荷が小さくなる設定温度とすることで、空調運転時間が長くなり、冷媒漏洩診断の精度が向上する。そのため、利用者の快適性と冷媒漏洩診断の精度向上とを図ることが可能となる。
【0041】
また、本実施の形態によれば、冷房運転で強制運転を行っている状態で許容下限温まで達した場合でも冷媒漏洩診断を行うデータが十分揃っていない場合、暖房運転に切り替えて強制運転を行い、暖房運転で強制運転を行っている状態で許容上限温まで達した場合でも冷媒漏洩診断を行うデータが十分揃っていない場合、冷房運転に切り替えて強制運転を行う。
これにより、冷房運転と暖房運転とを切り替えることで、強制運転時間が長くなり、冷媒漏洩診断の精度が向上する。
【0042】
(他の実施の形態)
以上のように、本出願において開示する技術の例示として、実施の形態1を説明した。しかしながら、本開示における技術は、これに限定されず、変更、置き換え、付加、省略などを行った実施の形態にも適用できる。また、上記実施の形態1で説明した各要素を組み合わせて、新たな実施の形態とすることも可能である。
【0043】
(付記)
以上の実施の形態の記載により、下記の技術が開示される。
(技術1)空気調和装置の強制運転を行い、当該強制運転結果に基づいて冷媒漏洩の有無を診断する空気調和システムにおいて、被空調空間内の許容温度範囲を取得し、前記被空調空間の室温と、前記許容温度範囲に基づいて、前記強制運転として暖房運転を実行するか冷房運転とするかを決定する空気調和システム。
この構成により、許容温度範囲に基づいて強制運転の空調運転モードを決定することにより、快適性が損なわれることを抑制しつつ、冷媒漏洩診断を行うことができる。
【0044】
(技術2)前記許容温度範囲の下限である許容下限温度を取得し、前記室温が前記許容下限温度よりも低い場合、または、室温が前記許容下限温度に所定温度加算した温度よりも低い場合、暖房運転で前記強制運転を実行する技術1に記載の空気調和システム。
この構成により、許容温度範囲の許容下限温度に基づいて、暖房運転により強制運転を行うことができ、快適性が損なわれることを抑制しつつ、冷媒漏洩診断を行うことができる。
【0045】
(技術3)前記許容温度範囲の上限である許容上限温度を取得し、前記室温が前記許容上限温度よりも高い場合、または、室温が前記許容上限温度に所定温度を減算した温度よりも高い場合、冷房運転で前記強制運転を実行する技術1に記載の空気調和システム。
この構成により、許容温度範囲の許容上限温度に基づいて、冷房運転により強制運転を行うことができ、快適性が損なわれることを抑制しつつ、冷媒漏洩診断を行うことができる。
【0046】
(技術4)前記室温が前記許容下限温度と前記許容上限温度の範囲内にある場合、外気温度に基づいて、冷房運転と暖房運転とのいずれで前記強制運転を実行するかを決定する技術2または技術3に記載の空気調和システム。
この構成により、許容下限温度と前記許容上限温度の範囲内において、外気温度に基づいて強制運転の空調運転モードを決定することにより、季節に応じて快適性が損なわれることを抑制しつつ、冷媒漏洩診断を行うことができる。
【0047】
(技術5)冷房運転で前記強制運転が行われている場合、前記室温が前記許容下限温度を下回った場合に前記強制運転を終了し、暖房運転で前記強制運転が行われている場合、前記室温が前記許容上限温度を上回った場合に、前記強制運転を終了する技術2または技術3に記載の空気調和システム。
この構成により、室温が許容温度範囲を超えた場合、強制運転を終了することにより、快適性が損なわれることを抑制しつつ、冷媒漏洩診断を行うことができる。
【0048】
(技術6)前記許容上限温度と前記許容下限温度が入力されていない場合、外気温度に基づいて、冷房運転と暖房運転のいずれで運転するかを決定する技術2または技術3に記載の空気調和システム。
この構成により、許容上限温度と許容下限温度が入力されていない場合であっても、外気温度を判定することにより、冷房運転と暖房運転のいずれを実行するか判定することで、季節に応じた強制運転を行うことができる。
【0049】
(技術7)前記許容上限温度と前記許容下限温度の差が所定温度以下の場合、エラーメッセージを報知する技術2または技術3に記載の空気調和システム。
この構成により、適切に冷媒漏洩診断を行うことができるように促すことができる。
【0050】
(技術8)前記強制運転として、試運転モードで前記強制運転を行う技術1に記載の空気調和システム。
この構成により、試運転モードで強制運転を行うことで、冷媒漏洩診断の精度を向上させることができる。
【0051】
(技術9)冷媒漏洩の有無を診断できない状態が所定期間継続した場合、その旨を管理者端末に通知する技術1に記載の空気調和システム。
この構成により、冷媒漏洩診断を行えない期間が継続した場合に、管理者にその旨を通知することで、安全性を確保することができる。
【0052】
(技術10)前記室温と前記許容温度範囲に基づいて、前記強制運転の設定温度が変更される技術1に記載の空気調和システム。
この構成により、室温と許容温度範囲に基づいて空調負荷が小さくなる設定温度とすることで、空調運転時間が長くなり、冷媒漏洩診断の精度が向上する。そのため、利用者の快適性と冷媒漏洩診断の精度向上とを図ることが可能となる。
【0053】
(技術11)冷房運転で強制運転を行っている状態で許容下限温まで達した場合でも冷媒漏洩診断を行うデータが十分揃っていない場合、暖房運転に切り替えて強制運転を行い、暖房運転で強制運転を行っている状態で許容上限温まで達した場合でも冷媒漏洩診断を行うデータが十分揃っていない場合、冷房運転に切り替えて強制運転を行う技術1に記載の空気調和システム。
この構成により、冷房運転と暖房運転とを切り替えることで、強制運転時間が長くなり、冷媒漏洩診断の精度が向上する。
【産業上の利用可能性】
【0054】
本開示に係る空気調和システムは、快適性が損なわれることを抑制しつつ、冷媒漏洩診断を行うことのできる空気調和システムとして好適に利用可能である。
【符号の説明】
【0055】
1 空気調和装置
10 室外機
11 圧縮機
12 四方弁
13 室外熱交換器
14 室外ファン
15 室外絞り装置
20 室内機
21 室内熱交換器
22 室内絞り装置
23 室内ファン
24 冷媒配管
25 リモコン
26 操作部
27 表示部
30 室温センサ
31 外気温センサ
40 制御装置
41 制御部
42 記憶部