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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024146275
(43)【公開日】2024-10-15
(54)【発明の名称】端子、電線、電気部品及び電気盤
(51)【国際特許分類】
   H01R 4/18 20060101AFI20241004BHJP
   H01R 9/22 20060101ALI20241004BHJP
【FI】
H01R4/18 A
H01R9/22
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023059072
(22)【出願日】2023-03-31
(71)【出願人】
【識別番号】000003078
【氏名又は名称】株式会社東芝
(71)【出願人】
【識別番号】598076591
【氏名又は名称】東芝インフラシステムズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003708
【氏名又は名称】弁理士法人鈴榮特許綜合事務所
(72)【発明者】
【氏名】西室 勇岐
【テーマコード(参考)】
5E085
5E086
【Fターム(参考)】
5E085BB01
5E085BB12
5E085BB15
5E085CC03
5E085DD09
5E085DD13
5E085JJ09
5E085JJ38
5E086CC46
5E086DD05
5E086DD33
5E086LL15
5E086LL16
(57)【要約】
【課題】挟み込み状態を電気的試験で検出できる端子、電線、電気部品及び電気盤を提供すること。
【解決手段】 実施形態に係る端子は、導線に接続される被接続部と、前記被接続部に連続する導体部及び先端側の一部に設けられる絶縁部を有し、固定部に固定され、前記固定部の軸部材が配置される開口が形成される先端部と、を備える。
【選択図】 図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
導線に接続される被接続部と、
前記被接続部に連続する導体部及び先端側の一部に設けられる絶縁部を有し、固定部に固定され、前記固定部の軸部材が配置される開口が形成される先端部と、
を備える、端子。
【請求項2】
前記絶縁部は、前記先端部の主面及び外周面の一部に設けられる、請求項1に記載の端子。
【請求項3】
前記軸部材が前記開口の所定の位置で、前記固定部に固定されたときに、前記導体部が前記固定部に接触し、
前記軸部材が前記開口の所定の位置からずれた位置で、前記固定部に固定されたときに、前記絶縁部が前記固定部に接触する、請求項2に記載の端子。
【請求項4】
前記絶縁部の主面及び前記導体部の主面は同一面上にある、請求項1に記載の端子。
【請求項5】
前記導体部は、前記導線に圧着される、請求項1に記載の端子。
【請求項6】
前記先端部は丸形である、請求項1に記載の端子。
【請求項7】
請求項1乃至請求項6のいずれかに記載の端子と、
前記端子に接続される導線と
を備える、電線。
【請求項8】
請求項7に記載の複数の電線と、
前記端子の前記開口に配置される前記軸部材を有し、前記端子の前記導体部と接触し電気的に接続される複数の前記固定部を有する端子台と、
を備える、電気部品。
【請求項9】
筐体と、
前記筐体の内部に設けられる請求項8に記載の電気部品と、
を備える、電気盤。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、端子、電線、電気部品及び電気盤に関する。
【背景技術】
【0002】
電気盤等の電気を使用する装置において、例えば、電線の端子を端子台等に固定することで、電線同士を電気的に接続する技術が知られている。例えば、端子の開口に端子台の端子ネジを配置した状態で端子ネジを締め付けることで、電線の端子が端子台の固定部に固定される。しかしながら、端子及び端子ネジの位置合わせが不十分な場合等、端子の開口に端子ネジが配置されていない状態で端子ネジを締結すると、端子の先端部分を端子ネジで挟み込んで締め付けた、所謂「挟み込み状態」が生じる虞がある。挟み込み状態の端子であっても、先端部分が端子台の導電部と接触するため、電気的試験では挟み込み状態の端子を発見することができず、目視により挟み込み状態の端子を発見する必要がある。また、例えば端子台の一箇所に二本の電線を接続する場合には、端子ネジの軸方向で下側の端子が挟み込み状態となっていても、上側の端子により下側の端子が覆われることから、目視により容易に確認することができず、目視による挟み込み状態の発見が困難である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2006-318875号公報
【特許文献2】特開2013-045736号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明が解決しようとする課題は、挟み込み状態を電気的試験で検出できる端子、電線、電気部品及び電気盤を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
実施形態に係る端子は、導線に接続される被接続部と、前記被接続部に連続する導体部及び先端側の一部に設けられる絶縁部を有し、固定部に固定され、前記固定部の軸部材が配置される開口が形成される先端部と、を備える。
【図面の簡単な説明】
【0006】
図1】第1実施形態に係る電気盤の概略構成を示す正面図。
図2】同実施形態に係る圧着端子及び端子台を示す斜視図。
図3】同実施形態に係る圧着端子及び端子台の一部の構成を示す説明図。
図4】同実施形態に係る圧着端子の平面図。
図5】同実施形態に係る圧着端子の側面図。
図6】第2実施形態に係る圧着端子の平面図。
図7】他の実施形態に係る圧着端子の側面図。
【発明を実施するための形態】
【0007】
なお、本実施形態において、端子は、圧着端子の例を用いて以下説明する。このため、以下の説明において、端子を圧着端子と称する。
以下、第1実施形態に係る電気盤1、端子台12、電線13及び圧着端子61の構成を図1乃至図5を用いて説明する。図1は、電気盤1の概略構成を示す正面図である。図2は、圧着端子61及び端子台12を示す斜視図である。図3は、圧着端子61及び端子台12の一部を示す説明図である。図4及び図5は、それぞれ圧着端子61の平面図及び側面図であり、一部を切断して断面を示す。
【0008】
図1乃至図3に示すように、電気盤1は、筐体11と、複数の端子台12と、各端子台12に接続される複数の電線13と、を備える。電気盤1は、例えば、受変電盤、制御盤、配電盤及び分電盤等である。電気盤1は、さらに、端子台12及び電線13の他に各種の電子部品及び電気部品を有する。
【0009】
筐体11は、複数の端子台12、複数の電線13、各種電子部品及び電気部品を収容する。なお、図1は、筐体11の側壁の一部を省略して示す。例えば、筐体11は、複数の端子台12並びに各種電子部品及び電気部品を固定するプレート21と、一部に開閉可能な扉22と、を有する。筐体11は、例えば、電気盤1の設置箇所に設けられたチャンネルベース上に固定される、自立型のキャビネットである。
【0010】
図2に示すように、端子台12は、ベース31と、複数の固定部32と、を備える。端子台12は、各固定部32に単数又は複数の電線13の圧着端子61を固定する。端子台12は、例えば、複数の固定部32に接続された複数の電線13のうち、対応する電線13同士を接続する。端子台12は、例えば、ねじアップ式の端子台である。なお、端子台12は、ねじアップ式の端子台に限定されず、セルフアップ式の端子台でもよい。また、例えば、端子台12は、2段端子台、断路端子台、コネクタ端子台、リレー端子台、コンデンサ内蔵端子台等の各種機能を有する端子台であってもよく、種々の構成に適用できる。
【0011】
端子台12は、端子ネジ53の軸方向(第1方向)に直交するとともに互いに直交する2方向(第2方向、第3方向)において、それぞれ複数の固定部32を有する。端子台12は、例えば、互いに対向する一対の固定部32が一方向に複数並ぶ。端子台12は、図2の例において、3行×2列の計6つの固定部32を有する。なお、端子台12に設けられる固定部32の数や配置は、これに限定されない。
【0012】
ベース31は、底板41と、一対の側板42と、第1仕切り板43と、複数の第2仕切り板44と、複数の台座部45と、を備える。ベース31は、絶縁材料で形成される。
【0013】
底板41は、例えば矩形状の板である。側板42は、底板41の両端に形成される。側板42は、底板41の面方向に直交して延びる。側板42には、端子台12を、例えば、筐体11のプレート21などの設置箇所に固定するための、固定レールなどの固定部材や締結部材用の孔などが設けられてもよい。また、側板42は、補強のためのリブなどを有していてもよい。
【0014】
第1仕切り板43及び第2仕切り板44は、底板41の一方側の領域を複数の領域に仕切る。具体的には、第1仕切り板43及び第2仕切り板44は、底板41の主面の一方側を、台座部45が配置される複数の領域に仕切る。複数の領域には、固定部32及び圧着端子61がそれぞれ配置される。
【0015】
第1仕切り板43は、底板41の面方向及び側板42の面方向に直交して延び、底板41の一方側の領域を対向方向(第2方向)に複数、本実施形態では2つに仕切る。第1仕切り板43は、両端部が一対の側板42にそれぞれ接続される。第1仕切り板43は、例えば、端子台12を識別するための記号や番号が付される記号板を有していてもよい。
【0016】
第2仕切り板44は、底板41の一方の主面から、底板41の主面と直交する方向に延びる板状に形成され、底板41の一方側の領域を並び方向(第3方向)に複数、本実施形態では3つに仕切る。第2仕切り板44は、隣り合う固定部32の間を仕切り、固定部32同士を絶縁する。一対の第2仕切り板44間の幅は、固定部32を配置可能かつ圧着端子61を挿入可能な幅に形成される。また、一対の第2仕切り板44間の幅は、圧着端子61の幅よりも若干大きい。第2仕切り板44は、端子台12に接続される圧着端子61の位置を規制する。
【0017】
台座部45は、底板41の主面の一方側において、第1仕切り板43及び第2仕切り板44で仕切られた領域にそれぞれ配置される。各台座部45は、各固定部32の一部を支持する。
【0018】
固定部32は、導電板51と、導電金具52と、軸部材の一例としての端子ネジ53と、スプリングワッシャ54と、取付座金55と、を有する。固定部32は、金属などの導電材料で形成される導電部である。図3に示すように、固定部32は、端子ネジ53の軸方向に、スプリングワッシャ54、取付座金55、導電板51及び導電金具52が順に並び、取付座金55と導電板51の間に、圧着端子61が配置される隙間を形成する。
【0019】
導電板51は、台座部45に設けられる。導電板51は、締結時に端子ネジ53の軸方向において、圧着端子61の主面に対向し、接触する。導電板51は、導電材料で形成される。導電板51は、例えば、矩形板状に形成される。導電板51には、端子ネジ53が挿入される貫通孔51aが形成される。貫通孔51aは、導電板51を厚さ方向に貫通し、円形に形成される。導電板51は、例えば、第1仕切り板43を挟んで対向する固定部32の導電板51に電気的に接続される。
【0020】
導電金具52は、例えば、台座部45に設けられる。導電金具52は、導電材料で形成される。導電金具52は、例えば、端子ネジ53が螺合する雌ねじを有するナットである。
【0021】
端子ネジ53は、例えば、軸部に雄ねじが形成されたビスである。端子ネジ53は、導電材料で形成される。端子ネジ53は、導電金具52と締結されていない状態で、取付座金55とともに、端子ネジ53の先端と導電板51との間に圧着端子61の先端部71を挿入できる隙間を構成する。端子ネジ53は、例えば、スプリングワッシャ54及び取付座金55とともに移動可能に構成され、導電金具52と締結されていない状態で、スプリングワッシャ54の開口54aと取付座金55の貫通孔55aとに挿入されている。
【0022】
スプリングワッシャ54は、端子ネジ53と取付座金55との間に設けられる。スプリングワッシャ54は、例えば、導電材料で形成される。スプリングワッシャ54は、中央に端子ネジ53の軸部が挿入される円形の開口54aを有する。スプリングワッシャ54は、例えば、切り欠きを有する円環状の板である。スプリングワッシャ54は、端子ネジ53を導電金具52に締結した状態で、端子ネジ53及び取付座金55に密着する。
【0023】
取付座金55は、スプリングワッシャ54と導電板51の間に設けられる。取付座金55は、導電材料で形成される。取付座金55は、例えば、第1仕切り板43及び一対の第2仕切り板44の間に配置できる大きさの矩形板状に形成される。取付座金55には、端子ネジ53の軸部が挿入される、円形の貫通孔55aが形成される。取付座金55は、端子ネジ53を締結した状態で圧着端子61と接触し、圧着端子61を挟んで導電板51と対向する。取付座金55は、導電板51と対向する面に、例えば、端子ネジ53の締結時に圧着端子61と接触する突起を有する。
【0024】
図4及び図5に示すように、電線13は、圧着端子61と、圧着端子61に固定された導線62と、圧着端子61及び導線62の接続部を被覆する絶縁被膜63と、を備える。
【0025】
圧着端子61は、一方向に長く形成され、長手方向の一端側である先端側に設けられ、固定部32に接続される先端部71と、長手方向の他端側である基端に設けられ、導線に接続される被接続部としての圧着部72と、を備える。先端部71及び圧着部72は、例えば、導電材料で一体に形成される。圧着端子61は、例えば、先端部71が円形に形成された丸形端子である。圧着端子61は、例えば、先端部71が固定部32の端子ネジ53の先端又は取付座金55と導電板51とが形成する隙間に挿入され、固定部32に締結されることで、固定部32と電気的に接続される。
【0026】
先端部71は、円形の板状である。先端部71は、端子ネジ53の軸部が配置される開口81を有する。開口81は、例えば、先端部71を厚さ方向に貫通する円形の孔である。先端部71は、導体部82及び絶縁部83を有する。
【0027】
導体部82は、金属などの導電材料で、開口81が形成された円板状に形成される。導体部82は、一端側の縁である先端縁において両主面が厚さ方向に凹み、絶縁部83が配置される段部82aを有する。段部82aは、例えば、導体部82の開口81の中心から先端側の部位において、外周から径方向内側に向けて所定幅を有する周縁領域に形成される。導体部82の基端側は、圧着部72に連続する。
【0028】
絶縁部83は、絶縁材料で形成され、先端部71の一部を構成する。絶縁部83は、例えば、先端部71の少なくとも先端側の表面の一部を構成する。絶縁部83は、例えば、導体部82の先端縁の外周面及び両主面の段部82aに配置される。絶縁部83は、例えば、導体部82の両主面上の同じ箇所に設けられる。
【0029】
絶縁部83は、例えば、先端部71のうち開口81の中心よりも先端側に設けられる。絶縁部83は、端子ネジ53が開口81に挿入されない状態など、端子ネジ53が開口81の所定の位置からずれた位置で端子ネジ53を締め付けた挟み込み状態において、固定部32が接触する範囲に設けられる。
【0030】
具体例として、絶縁部83は、先端部71の開口81の中心より先端側の外周面と、先端縁の両主面を構成する。例えば、絶縁部83は、導体部82の両主面の段部82aと外周面を覆う。絶縁部83は、先端部71の外周縁の一定の領域を構成する。具体的には、絶縁部83の径方向の幅は、導電板51の貫通孔51aの内周面から導電板51の外周面51bまでの径方向の距離以上であり、取付座金55の貫通孔55aの内周面から取付座金55の外周面55bまでの径方向の距離以上である。
【0031】
絶縁部83は、例えば、導体部82の先端部分に被覆して形成される。絶縁部83の厚さは、例えば、段部82aの深さ方向寸法と同等であり、絶縁部83の主面は、導体部82の主面と同一面上にある。つまり、絶縁部83が被覆された先端部71の厚さ方向の幅は、絶縁部83が設けられていない先端部71(導体部82)の厚さ方向の幅と同じである。
【0032】
圧着部72は、導体部82と一体に構成される。圧着部72は、導体部82と同じ材料で形成され、導体部82から基端側に延出する。圧着部72は、電線13に接続される被接続部である。圧着部72は、電線13の導線に圧着される。圧着部72は、導体部82と同じ材料で一体成形される。
【0033】
絶縁被膜63は、例えば、圧着部72の周囲を覆う。絶縁被膜63は、絶縁材料でチューブ状に形成される。絶縁被膜63は、圧着部72を絶縁する。なお、電線13は、絶縁被膜63を備えない構成でもよい。
【0034】
図5に示すように、導線62は、例えば、銅線91と、被覆92と、を備える。導線62は、圧着端子61に接続される。導線62は、圧着端子61と圧着する部分の銅線91が露出した状態で、圧着部72に圧着される。導線62の銅線91と圧着端子61が圧着されることにより、電線13と圧着端子61は導通する。
【0035】
端子台12及び複数の電線13は、例えば、電気部品を構成する。
【0036】
以上のように構成された圧着端子61は、先端部71側から、固定部32の端子ネジ53の先端又は取付座金55と導電板51とが形成する隙間に挿入される。例えば、圧着端子61は、該隙間に、第1仕切り板43に向かって、すなわち該圧着端子61が設けられる固定部32と対となる固定部32に向けて挿入される。そして、圧着端子61は、先端部71の開口81に端子ネジ53の軸部が挿入された状態で、端子ネジ53が締め付けられることで端子台12に固定され、取付座金55及び導電板51と接触する。この状態が正常な取付状態である。正常な取付状態では、圧着端子61の先端部71のうち、導体部82が取付座金55及び導電板51と接触し、圧着端子61は端子台12と電気的に接続される。
【0037】
なお、先端部71のうち、絶縁部83の主面と導体部82の主面とが同一面上にあるため、正常な取付状態において、絶縁部83が取付座金55及び導電板51に接触するが、導体部82も取付座金55及び導電板51に接触するため、圧着端子61と固定部32は電気的に接続される。
【0038】
しかし、圧着端子61の開口81に端子ネジの軸部が挿入されないまま、端子ネジ53が開口81の所定の位置からずれた位置で端子ネジ53を締め付けた場合に、図2の手前右側に示す圧着端子61のように、圧着端子61の先端部71のみが取付座金55及び導電板51に挟まれる状態になる。この状態を挟み込み状態と呼ぶ。挟み込み状態の場合、例えば、固定部32と圧着端子61との径方向の位置関係は図3のようになる。
【0039】
挟み込み状態とは、圧着端子61の先端部71が端子ネジ53の軸方向中心よりも挿入方向の一次側の位置で端子ネジ53を締め付けた状態である。本実施形態において、圧着端子61は丸形端子であるため、挟み込み状態とは、例えば、圧着端子61の先端部71が端子ネジ53の軸部に当接する位置や、先端部71が端子ネジ53の軸部よりも挿入方向一次側の位置で端子ネジ53を締め付けた状態である。
【0040】
本実施形態では、先端部71に絶縁部83が設けられるため、挟み込み状態では、取付座金55及び導電板51には絶縁部83のみが接触する。このため、圧着端子61及び固定部32は、電気的に非接続であり、電気的試験により挟み込み状態を検出できる。
【0041】
ここで、電気的試験とは、例えば、通電の可否の検査である。電気的試験の結果が、導通だった場合、圧着端子61の導体部82が固定部32に接触していることになり、正常状態を確認できる。電気的試験の結果が非導通だった場合、圧着端子61の絶縁部83のみが固定部32に接触していることになり、圧着端子61により、挟み込み状態を検出できる。
【0042】
以上のように構成された端子、電線、電気部品及び電気盤によれば、挟み込み状態を電気的試験で検出できる。すなわち、先端部71に絶縁部83を設けることにより、圧着端子61を端子台12に取り付ける際に、端子ネジ53が開口81の所定の位置からずれた位置で端子ネジ53を締め付けた場合(挟み込み状態)、固定部32は圧着端子61の絶縁部83のみに接触することにより、圧着端子61と端子台12は電気的に接続しないため、圧着端子61は、電気的試験によって挟み込み状態を検出することができる。
【0043】
また、端子ネジ53の軸部に圧着端子61の先端部71が当接した挟み込み状態では、圧着端子61の外周面が端子ネジ53に接触するが、絶縁部83は、外周面にも設けられているため、圧着端子61と端子ネジ53は電気的に非接続となり、電気的試験で挟み込み状態を検出できる。
【0044】
また、圧着端子61の先端部71に絶縁部83を設けることで電気的試験によって挟み込み状態を検出することができるため、端子台12を専用の端子台に交換する必要がなく、汎用性が高い。すなわち、既存の端子台に用いた場合も、挟み込み状態を検出できる。
【0045】
以上説明した第1実施形態によれば、圧着端子61は、先端部71の一部に設けられる絶縁部83を備えることにより、電気的試験で挟み込み状態を検出できる。
【0046】
本発明は、上記実施形態に限定されるものではなく、各部の構成を適宜変更して実施可能である。
【0047】
次に、第2実施形態に係る圧着端子100について、図6を参照して説明する。なお、第1実施形態と同様の機能を有する箇所には、第1実施形態と同じ符号を付し、詳細な説明は省略する。
【0048】
図6に示すように、圧着端子100は、例えば、Y型端子である。圧着端子100は、先端部71と、圧着部72と、を備える。
【0049】
先端部71は、先端側が二股に分かれているY字型の板状である。先端部71は、厚さ方向に貫通する開口101を有する。開口101は、長手方向先端側に開くU字状に形成される。開口101は、端子ネジ53の軸部が配置される。先端部71は、導体部102及び絶縁部103を有する。
【0050】
導体部102は、金属などの導電材料で、Y字型の板状に形成される。導体部102は、先端の両主面に段部を有する。導体部102は、一端側の縁である先端縁において両主面が厚さ方向に凹み、絶縁部103が配置される段部を有する。段部は、例えば、導体部102の開口101の中心から先端側の部位において、外周から径方向内側に向けて所定幅を有する周縁領域に形成される。導体部102の基端側は、圧着部72に連続する。
【0051】
絶縁部103は、絶縁材料で形成され、先端部71の一部を構成する。絶縁部103は、例えば、先端部71の少なくとも先端側の表面の一部を構成する。絶縁部103は、例えば、導体部102の先端縁の外周面及び両主面の段部に配置される。絶縁部103は、例えば、導体部102の両主面上の同じ箇所に設けられる。
【0052】
絶縁部103は、例えば、先端部71のうち開口101の中心よりも先端側に設けられる。絶縁部103は、端子ネジ53が開口101に挿入されない状態など、端子ネジ53が開口101の所定の位置からずれた位置で端子ネジ53を締め付けた挟み込み状態において、固定部32が接触する範囲に設けられる。
【0053】
具体例として、絶縁部103は、先端部71の開口101の中心より先端側の外周面と、先端縁の両主面を構成する。例えば、絶縁部103は、導体部102の両主面の段部と外周面を覆う。絶縁部103は、先端部71の外周縁の一定の領域を構成する。具体的には、絶縁部103の径方向の幅は、導電板51の貫通孔51aの内周面から導電板51の外周面51bまでの径方向の距離以上であり、取付座金55の貫通孔55aの内周面から取付座金55の外周面55bまでの径方向の距離以上である。
【0054】
絶縁部103は、例えば、導体部102の先端部分に被覆して形成される。絶縁部103の厚さは、例えば、段部の厚さ方向寸法と同等であり、絶縁部103の主面は、導体部102の主面と同一面上にある。つまり、絶縁部103が被覆された先端部71の厚さ方向の幅は、絶縁部103が被覆されていない先端部71の厚さ方向の幅と同じである。
【0055】
本実施形態において、挟み込み状態とは、圧着端子100はY型端子であるため、圧着端子100の先端部71が端子ネジ53の軸方向中心よりも挿入方向の一次側の位置で端子ネジ53を締め付けた状態である。
【0056】
本実施形態においても、第1実施形態と同様に、挟み込み状態では、絶縁部103のみが固定部32に接触することにより、圧着端子100と固定部32は電気的に非接続となる。このため、電気的試験により、挟み込み状態を検出できる。
【0057】
なお、絶縁部83、103の位置や形状は、上記の形状に限定されない。絶縁部83、103は、端子ネジ53が開口81、101の所定の位置からずれた位置で端子ネジ53を導電金具52に締結した際に固定部32に接触する部分に設けられていれば、上記と同じ効果が得られる。
【0058】
なお、第1実施形態及び第2実施形態では、圧着端子61、100の絶縁部83、103は、先端部71の両主面に設けられる例を説明したが、これに限定されない。図7に示すように、絶縁部83、103は、導体部82、102と同等の厚さを持つ絶縁材料で形成され、絶縁部83、103の形状を切り欠いた先端部71に固定してもよい。言い換えると、絶縁部83、103の厚さ方向の量や絶縁部83、103の取付方法に関係なく、先端部71の必要な箇所に絶縁部83、103が設けられていればよい。
【0059】
また、第1実施形態及び第2実施形態では、圧着端子61、100の絶縁部83の主面は、導体部82の主面と同一面上にある例を示したが、これに限定されない。絶縁部83、103が設けられる部分の厚さは、端子ネジ53を締め付けた際に導体部82、102が固定部32に接触して導電する厚さであれは、適宜変更できる。
【0060】
なお、一つの固定部32に二つ圧着端子61が取り付けられてもよい。その場合においても、挟み込み状態である圧着端子61は固定部32と電気的に非接続であるため、電気的試験によって挟み込み状態を検出できる。これにより、端子台12の固定部32の一箇所に二本の電線13を接続する場合など、圧着端子61の接続状態を目視で確認することが難しい場合に、挟み込み状態での接続を防止できる。
【0061】
なお、電線13は、端子台12に接続する例を説明したが、これに限定されず、端子台12ではない固定部にも用いることができる。電線13は、例えば、ボルト及びナットにより圧着端子61同士が直接接続されてもよく、絶縁部83の形状は使用状況に合わせて適宜変更できる。
【0062】
なお、固定部32の構成は上記に限定されない。固定部32は、挟み込み状態で圧着端子61の絶縁部83に接触する構成であれば、種々の固定部を適用できる。
【0063】
以上述べた少なくとも一つの実施形態に係る端子、電線、電気部品及び電気盤によれば、電気的試験により挟み込み状態を検出できる。
【0064】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0065】
1…電気盤、11…筐体、12…端子台、13…電線、21…プレート、22…扉、31…ベース、32…固定部、41…底板、42…側板、43…第1仕切り板、44…第2仕切り板、45…台座部、51…導電板、51a…貫通孔、51b…外周面、52…導電金具、53…端子ネジ、54…スプリングワッシャ、54a…開口、55…取付座金、55a…貫通孔、55b…外周面、61、100…圧着端子、62…導線、63…絶縁被膜、71…先端部、72…圧着部、81、101…開口、82、102…導体部、82a…段部、83、103…絶縁部、91…銅線、92…被覆。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7