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特開2024-146282サーバ装置、制御プログラム及び記録媒体
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024146282
(43)【公開日】2024-10-15
(54)【発明の名称】サーバ装置、制御プログラム及び記録媒体
(51)【国際特許分類】
   G06Q 50/10 20120101AFI20241004BHJP
【FI】
G06Q50/10
【審査請求】有
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023059082
(22)【出願日】2023-03-31
(71)【出願人】
【識別番号】506386837
【氏名又は名称】株式会社日本ブレーン
(74)【代理人】
【識別番号】110000338
【氏名又は名称】弁理士法人 HARAKENZO WORLD PATENT & TRADEMARK
(72)【発明者】
【氏名】小野寺 一孝
【テーマコード(参考)】
5L049
5L050
【Fターム(参考)】
5L049CC12
5L050CC12
(57)【要約】
【課題】与信情報を提供するサービスにおいて、不必要な個人情報の項目が参照されないようにし、個人情報の保護を促進する。
【解決手段】本発明の一態様に係るサーバ装置(10)は、外国人に関する個人情報を格納する記憶部(17)と、与信情報の利用目的を取得する取得部(13)と、前記個人情報の項目のうち、前記利用目的に応じた個人情報の項目のみを参照して、前記与信情報を生成する生成部(14)と、を備える。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
外国人に関する個人情報を記憶する記憶部と、
与信情報の利用目的を取得する取得部と、
前記個人情報の項目のうち、前記利用目的に応じた個人情報の項目のみを参照して、前記与信情報を生成する生成部と、
生成した前記与信情報を出力する出力部と、
を備えることを特徴とするサーバ装置。
【請求項2】
前記記憶部は、
前記与信情報の生成において参照可能とするか否かを規定するフラグを、前記個人情報の各項目に関連付けて記憶し、
前記個人情報の登録者が前記フラグの値を前記個人情報の項目毎に又は一括して設定する指示を受け付ける
ことを特徴とする請求項1に記載のサーバ装置。
【請求項3】
前記記憶部は、
前記フラグを、前記利用目的毎に前記個人情報の各項目に関連付けて記憶する
ことを特徴とする請求項2に記載のサーバ装置。
【請求項4】
前記出力部は、
与信情報の生成において参照することが要求された個人情報の項目に関連付けられたフラグが、当該項目の参照が可能ではないことを示している場合に、前記登録者が当該フラグの値を変更する手続きを行うための情報を出力する
ことを特徴とする請求項2又は3に記載のサーバ装置。
【請求項5】
前記生成部は、
前記与信情報の評価スコアを算出する
ことを特徴とする請求項1又は2に記載のサーバ装置。
【請求項6】
前記利用目的毎に規定される学習モデルであって、前記個人情報が入力され、前記評価スコアを出力する学習モデルに、前記個人情報と、登録者の行動に基づいて算出された前記評価スコアの組を教師データとして用いて学習させる学習部を更に備える
ことを特徴とする請求項5に記載のサーバ装置。
【請求項7】
当該サーバ装置のクライアントとなる端末装置からインターネットを介して前記与信情報の送信が要求された場合に、前記端末装置に対して所定の認証を要求する
ことを特徴とする請求項1又は2に記載のサーバ装置。
【請求項8】
前記個人情報は、前記外国人に関する在留資格情報、就労資格情報、及び就労履歴情報の少なくとも何れかを含む
ことを特徴とする請求項1又は2に記載のサーバ装置。
【請求項9】
請求項1に記載のサーバ装置としてコンピュータを機能させるための制御プログラムであって、前記記憶部、前記取得部、前記生成部および前記出力部としてコンピュータを機能させるための制御プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、サーバ装置、制御プログラム及び記録媒体に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、外国人就労者と受入希望企業との間での雇用前の就労支援を行う受入支援装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2021-68295号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
外国人等が登録した自身の個人情報をデータベースに登録する技術が実用化されはじめている。これに伴い、このような個人情報に基づいて生成された与信情報を、サービスの利用者である金融機関又は人材紹介会社等に提供するシステムが求められている。
【0005】
しかしながら、このようなシステムにおいては、個人情報の保護も重要になる。例えば、与信情報の利用目的に関わらず、与信情報の生成において個人情報の各項目が一律に参照される構成を採用した場合、個人情報の保護が不十分になる。
【0006】
本発明の一態様は、上記の問題に鑑みてなされたものであり、与信情報を提供するサービスにおいて、不必要な個人情報の項目が参照されないようにし、個人情報の保護を促進することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の課題を解決するために、本発明の一態様に係るサーバ装置は、外国人に関する個人情報を格納する記憶部と、与信情報の利用目的を取得する取得部と、前記個人情報の項目のうち、前記利用目的に応じた個人情報の項目のみを参照して、前記与信情報を生成する生成部と、を備える。
【0008】
本発明の各態様に係るサーバ装置は、コンピュータによって実現してもよく、この場合には、コンピュータを前記サーバ装置が備える各部(ソフトウェア要素)として動作させることにより前記サーバ装置をコンピュータにて実現させるサーバ装置の制御プログラム、およびそれを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体も、本発明の範疇に入る。
【発明の効果】
【0009】
本発明の一態様によれば、与信情報を提供するサービスにおいて、不必要な個人情報の項目が参照されないようにし、個人情報の保護を促進できる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】システムの構成例1に係るシステムの機能的構成を示すブロック図の一例である。
図2】システムの処理例1に係る処理の流れを示すシーケンス図の一例である。
図3】システムの構成例2に係るシステムの機能的構成を示すブロック図の一例である。
図4】システムの処理例2に係る処理の流れを示すシーケンス図の一例である。
図5】与信情報の生成例に係る表の一例である。
図6】システムの詳細を示す概念図である。
図7】HTTPリクエスト及びHTTPレスポンスのデータ構造の一例である。
図8】サーバ装置が提供するサービスの一例を示す表である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
〔1.システムの構成例1〕
本例においては、個人が金融機関に対して融資の申し込みを行う場合の構成について説明する。図1は、本例に係るシステム1の機能的構成を示すブロック図の一例である。システム1は、1又は複数のサーバ装置10、第1端末装置20及び第2端末装置22を備えている。
【0012】
サーバ装置10は、登録者によって入力された個人情報に基づいて与信情報を生成して金融機関等に提供するサービスを実行するための装置である。
【0013】
ここで、登録者には、個人情報によって特定される外国人等の個人本人に加え、例えば個人情報をシステム1に登録する了承を得た代行者又はシステム管理者が含まれる。なお、個人の了承を得ずに個人情報が登録される態様についても本開示に含まれる。
【0014】
また、本開示において与信情報とは、金融機関からの融資の審査等において用いられる、個人の信用度合を示す情報、又は個人の信用度合を求めるための情報であって、前記サービスの利用者に提示される情報を意味する。与信情報の利用目的としては、人材紹介、企業紹介、ローン審査、不動産審査、キャッシュカード発行審査、及びクレジットカード発行審査等が挙げられる。
【0015】
サーバ装置10は、制御部12、通信部16及び記憶部17を備えている。制御部12は、サーバ装置10全体を統括する制御装置であって、取得部13、生成部14及び学習部15としても機能する。
【0016】
取得部13は、サービスの利用者である金融機関等による与信情報の利用目的を示す情報を取得する。生成部14は、登録者の個人情報の項目のうち、与信情報の利用目的に応じた個人情報の項目のみを参照して、与信情報を生成する。学習部15は、後述する評価スコアを出力する学習モデルを学習させる処理を行う。
【0017】
通信部16は、ネットワーク3を介して接続された第1端末装置20等の外部装置との通信処理を行うインターフェースである。通信部16は、本開示における出力部の一例である。例えば通信部16は、生成部14が生成した与信情報を外部装置に出力する。なお、サーバ装置10が出力部としてディスプレイ又はプリンタを備え、生成部14が生成した情報がディスプレイ又はプリンタによって出力される構成についても本開示に含まれる。
【0018】
記憶部17は、各種情報を記憶する記憶装置であって、例えば第1端末装置20から送信された外国人等に関する個人情報、及び学習モデルを規定するパラメータセットを記憶する。
【0019】
第1端末装置20は、登録者によって使用される装置であって、サーバ装置10に対するクライアントとして機能する装置である。
【0020】
第2端末装置22は、サービスの利用者である金融機関等によって使用される装置であって、サーバ装置10に対するクライアントとして機能する装置である。
【0021】
第1端末装置20及び第2端末装置22は、多くの場合パソコンとして実現されるが、これに限定されず、特に第1端末装置20は、スマートフォン又はタブレット等であってもよい。また、インターネットを介してサーバ装置10に接続される第1端末装置20及び第2端末装置22の台数は、それぞれ何台であってもよい。
【0022】
〔2.システムの処理例1〕
続いて、システム1が実行する処理の流れについて一例を挙げて説明する。図2は、本例に係る処理の流れを示すシーケンス図の一例である。
【0023】
S101(ステップS101)において、第1端末装置20は、登録者自身によって自装置に入力された個人情報をサーバ装置10に送信する。また、第1端末装置20は、個人情報の各項目について、与信情報の生成において参照可能とするか否かを規定するフラグの値をサーバ装置10に送信する。前記のフラグの値は、登録者によって個人情報の項目毎に又は一括して設定される。換言するとサーバ装置10は、登録者がフラグの値を個人情報の項目毎に又は一括して設定する指示を受け付ける。
【0024】
S102において、サーバ装置10の制御部12は、第1端末装置20から送信された個人情報及びフラグを記憶部17に記憶させる。記憶部17は、フラグを個人情報の各項目に関連付けて記憶する。これにより、登録者が希望する個人情報の項目のみを与信情報の生成において用いることができる。なお、S101及びS102に相当する処理が、第1端末装置20とサーバ装置10との間で複数回の情報の送受信を行うことによって実現されてもよい。以降の各装置間の通信においても同様である。
【0025】
また、フラグは、与信情報の利用目的毎に個人情報の各項目に関連付けて記憶される構成であってもよい。即ち、対象となる個人情報の項目が、或る利用目的の場合には参照可能であり、他の利用目的の場合には参照不可能となる構成であってもよい。これにより、登録者が、与信情報の利用目的毎に個人情報の各項目の参照可否を制御することができる。
【0026】
S103において、第1端末装置20は、第2端末装置22からアクセス可能な金融機関のサーバ装置に対して、融資の申請を示す情報を送信する。また、第2端末装置22は、第1端末装置20から送信された情報を前記金融機関のサーバから取得する。
【0027】
上記のS103の説明に例示する通り、或る装置から他の装置に対して、図示しない別のサーバ装置等を介して情報が送信される場合、簡略化のため以下の説明においては、単に「或る装置から他の装置に情報を送信する」というように記載を行う。
【0028】
S104において、第2端末装置22は、融資の申請を行った登録者の与信情報の要求を示す情報と、与信情報の利用目的を示す情報とを、サーバ装置10に送信する。本例の場合、与信情報の利用目的は、融資の審査である。詳細は後述するが、与信情報の要求は、例えばサーバ装置10が提供するAPI(Application Programming Interface)を介して行われる。
【0029】
S105において、サーバ装置10の生成部14は、記憶部17に記憶している登録者の個人情報の項目のうち、第2端末装置22から取得部13が取得した与信情報の利用目的に応じた個人情報の項目のみを参照して与信情報を生成する。これにより、与信情報を提供するサービスにおいて、不必要な個人情報の項目が参照されないようにし、個人情報の保護を促進できる。また、制御部12は、生成した与信情報を、通信部16を介して第2端末装置22に送信する。
【0030】
S106において、第2端末装置22は、与信情報を参照して決定された、融資の審査結果を示す情報を、第1端末装置20に送信する。
【0031】
〔3.システムの構成例2〕
本例においては、登録者である求職者と、求人者とのマッチングが行われる場合の構成について説明する。図3は、本例に係るシステム1aの機能的構成を示すブロック図の一例である。システム1aは、図1のシステム1に加え、1又は複数の第3端末装置24を備えている。
【0032】
第3端末装置24は、求人者となる企業によって使用される、パソコン等の装置である。また、本例に係る第2端末装置22は、求職者と求人者とのマッチングを行う仲介業者となる企業によって使用される。
【0033】
〔4.システムの処理例2〕
続いて、システム1aが実行する処理の流れについて一例を挙げて説明する。図4は、本例に係る処理の流れを示すシーケンス図の一例である。
【0034】
S201において、第1端末装置20は、図2のS101と同様に、自装置に入力された個人情報及びフラグの値をサーバ装置10に送信する。加えて、第1端末装置20は、登録者が希望する仕事の条件を示す情報をサーバ装置10に送信する。
【0035】
S202において、サーバ装置10の制御部12は、図2のS102と同様に、第1端末装置20から送信された個人情報及びフラグを記憶部17に記憶させる。加えて、制御部12は、前記仕事の条件を示す情報を記憶部17に記憶させる。
【0036】
S203において、求人者の第3端末装置24は、求人情報を第2端末装置22に送信する。ここで、求人情報には、仕事の募集要項、及び求職者に求める条件が含まれる。
【0037】
S204において、第2端末装置22は、求職中の登録者の与信情報の要求を示す情報と、与信情報の利用目的を示す情報とを、サーバ装置10に送信する。本例の場合、与信情報の利用目的は、人材紹介である。
【0038】
また、S201及びS202の処理は、1又は複数の登録者についてそれぞれ実行され、S203及びS204の処理は、1又は複数の求人者についてそれぞれ実行される。
【0039】
S205において、サーバ装置10の生成部14は、記憶部17に記憶している1又は複数の登録者について、個人情報の項目のうち、第2端末装置22から取得部13が取得した与信情報の利用目的に応じた個人情報の項目のみを参照して与信情報を生成する。また、制御部12は、各登録者の与信情報及び前述した仕事の条件を、通信部16を介して第2端末装置22に送信する。
【0040】
S206において、第2端末装置22は、求職者に求める条件を与信情報が満たす登録者と、登録者の仕事の条件を仕事の募集要項が満たす求人者との組み合わせを特定する。
【0041】
S207において、第2端末装置22は、第1端末装置20に対して、求人者とのマッチングが成立したことを示す情報を送信し、第3端末装置24に対して、求職者とのマッチングが成立したことを示す情報を送信する。
【0042】
なお、別の態様として、S204の処理において第2端末装置22が更に求人情報をサーバ装置10に送信し、サーバ装置10が登録者と求人者との組み合わせを特定して、当該登録者の与信情報を第2端末装置22に送信する構成であってもよい。
【0043】
〔5.与信情報の生成例〕
続いて、与信情報の生成に関して例を挙げて補足する。図5の表31は、サービスの利用者、即ち与信情報の要求元となる金融機関等と、与信情報の利用目的との組み合わせの一例を示す表である。記憶部17は、図5の表31及び後述する表32に相当する情報を記憶する。
【0044】
図2のS104及び図4のS204においては、第2端末装置22が与信情報の利用目的を示す情報をサーバ装置10に送信していたが、これに限定されず、サービスの利用の際に利用者の事前登録及び認証が必要であり、業種の証明と与信情報の利用目的の登録とが予め必要な構成であってもよい。前記の構成においては、与信情報の利用目的が予め利用者毎に設定されているため、与信情報の要求の度に第2端末装置22から利用目的をサーバ装置10に送信することを要しない。サーバ装置10は、記憶部17に記憶する、表31に相当する情報を参照して、与信情報を要求してきた利用者の与信情報の利用目的を特定する。
【0045】
また、表31に示すように、各利用者の業種が記憶部17に登録される構成が望ましい。利用者の業種と、与信情報の利用目的の組み合わせは、例えば以下の通りである。
【0046】
(業種)クレジット事業:(利用目的)クレジットカード等の申込み審査
リース事業:物件納入先の与信審査
保証事業:保証先の与信審査
不動産業:賃貸申込み時の与信審査
貸金業:貸付先の与信審査
人材紹介:人材採用又は紹介時の経歴や保有技能等の確認
利用者のその他の業種としては、信用情報の照会を伴う各種業種が挙げられる。また、図5の表32は、或る個人の個人情報の項目と、与信情報の生成において当該項目を参照可能とするか否かを規定するフラグの値との組み合わせの一例を示す表である。表32に相当する情報は、登録者の個人毎に互いに異なり得る。
【0047】
表32の「利用目的パターンによる照会可能項目」においては、「〇」の値が、与信情報の生成において、対応する項目を参照可能とすることを規定するフラグを示しており、「×」の値が、与信情報の生成において、対応する項目を参照不可能とすることを規定するフラグを示している。例えば利用目的が(4)である場合、与信情報の生成において個人情報の「項目5」は参照可能であるが、項目の一種である「レポートA」は、参照が許可されない。ここで、レポートとは、与信情報の利用目的に応じて、個人情報が分析又は加工された統計等の情報である。表31及び表32に示す構成によって、与信情報の利用目的に応じて、参照可能な項目の制限及び制御が可能となる。なお、フラグの値は、「〇」「×」に替わって、多くの場合「1」「0」の数値が用いられる。
【0048】
また、フラグの値は、サーバ装置10が第1端末装置20に対して、個人情報の項目を参照することを一括して許可するか否かを尋ねるダイアログ画面を示す情報を送信し、そのダイアログ画面での選択に応じて設定される構成であってもよい。また、フラグの値は、個人単位で、個人情報の項目毎に又は一括して設定されてもよいし、個人の個人情報の利用目的単位で、個人情報の項目毎に又は一括して設定されてもよい。
【0049】
また、例えば、個人情報を登録する対象となる個人から書面で同意を得ている場合は、システム管理者等の登録者が前記ダイアログ画面での選択を行い、個人情報の各項目を参照することを許可してもよい。
【0050】
また、生成部14は、与信情報の評価スコアを算出してもよい。ここで、与信情報の評価スコアとは、例えば登録者の信用度合を示す数値である。これにより、利用者が登録者の信用度合を迅速且つ容易に把握することができる。例えば、或る個人が融資の返済に遅延があった場合、少なくとも融資に関係する与信情報の利用目的に対応する評価スコアは低下する方向に作用する。また、評価スコアは、1又は複数の数値であってもよいし、利用目的毎に規定される値であってもよい。
【0051】
また、評価スコアの算出においては機械学習が用いられる構成であってもよい。前記の構成において学習部15は、利用目的毎に規定される学習モデルであって、個人情報が入力され、評価スコアを出力する学習モデルに、個人情報と、登録者の行動に基づいて算出された評価スコアの組を教師データとして用いて学習させる。これにより、学習モデルから出力される評価スコアの精度を向上させることができる。また、登録者の行動に基づいて算出された評価スコアとは、例えば前述したような融資の返済における実際の遅延の有無に応じて上下する値である。
【0052】
また、与信情報の生成に用いられ得る個人情報の項目としては、名前、年齢、連絡先情報、学歴、職歴、犯罪歴、納税の有無、保有資格、勤務先情報、雇用形態、給与及び雇用条件等に加え、特に外国人の場合、国籍・地域、在留資格、在留期間、就労資格、就労履歴、出生情報、旅券情報、在日親族情報等が含まれ得る。
【0053】
また、個人情報を参照することを登録者が一括して許可していたとしても、与信情報の利用目的によって、参照され得る個人情報の項目は互いに異なる。利用目的毎の前記項目は例えば以下の通りである。例えば利用目的がローン審査である場合には、職歴を参照することを登録者が許可していたとしても、与信情報の生成において職歴は参照されない。
【0054】
(利用目的)人材紹介:(個人情報の項目)在留資格情報、学歴、職歴、犯罪歴、納税の有無、資格の有無、勤務先情報、雇用形態、給与、雇用条件
企業紹介:在留資格情報、学歴、職歴、犯罪歴、納税の有無、資格の有無、勤務先情報、雇用形態、給与、雇用条件
ローン審査:出生情報、連絡先情報、旅券情報、在留資格情報、納税の有無、資格の有無、勤務先情報、雇用形態、給与、雇用条件
不動産審査:出生情報、連絡先情報、旅券情報、在留資格情報、納税の有無、資格の有無、勤務先情報、雇用形態、給与、雇用条件
キャッシュカード発行審査:出生情報、連絡先情報、旅券情報、在留資格情報、納税の有無、資格の有無、勤務先情報、雇用形態、給与、雇用条件
クレジットカード発行審査:出生情報、連絡先情報、旅券情報、在留資格情報、職歴、納税の有無、資格の有無、勤務先情報、雇用形態、給与、雇用条件
〔6.システムの詳細〕
続いて、システム1(1a)の構成例について、より詳細に説明する。図6は、システム1の詳細を示す概念図である。図6の構成において、サーバ装置10の機能は、在留資格情報連携サービス40及び情報格納先システム/サービス42として実現される。
【0055】
在留資格情報連携サービス40は、金融機関等である利用者に対して、外国人である登録者の在留資格情報を含む与信情報を提供するサービスである。なお、本例の構成は、在留資格情報を含まない与信情報を提供する場合にも同様に適用できる。
【0056】
在留資格情報連携サービス40では、クラウド上のAWS(Amazon Web Services、登録商標)等のSaas(Software as a Service)ネット基盤上に、ソフトウェア層・コンテナ層の機能が実装され、更にその上の階層にアプリケーション層の機能が実装されている。
【0057】
加えて、在留資格情報連携サービス40では、制御部12に対応するサービス・ロジック機能の制御に基づいて、記憶部17に対応する情報格納先システム/サービス42の在留資格情報データベースへのバックエンド・アダプタを介したアクセス、並びにAPI及び操作画面の利用者への提供が行われる。
【0058】
図6に示すように、利用者は、在留資格情報連携サービス40が提供するAPIを介して与信情報の要求を行う。
【0059】
図7の表51は、利用者がAPIを用いて与信情報を要求する場合におけるHTTPリクエストのデータ構造の一例を示している。表51に示すように、HTTPリクエストには、サーバ装置10が提供するサービスを特定する情報、及び登録者を特定する情報が含まれる。このように、利用者の第2端末装置22が、検索条件及び認証情報等のサービスの呼び出しに必要な情報をHTTPリクエスト内にパラメータとして設定し、サービスの呼び出しを行う。表52は、HTTPリクエストに対してサーバ装置10から返却される、与信情報を示すHTTPレスポンスのデータ構造の一例を示している。表52に示すように、HTTPレスポンスには、在留資格認定番号及び就労資格等が含まれる。このように、在留資格情報連携サービス40は、リクエストパラメータに基づいて在留資格情報等を検索し、抽出された在留資格情報を含む与信情報を、必要に応じて加工又は編集してレスポンスデータとして第2端末装置22に送信する。
【0060】
また、在留資格情報連携サービス40は、与信情報の要求の受け付け及び提供を行うための操作画面を示す情報を利用者の第2端末装置22に送信してもよい。
【0061】
図8は、前述したサーバ装置10が提供するサービスの一例を示す表である。サービスには、サービス全般の管理者向けのもの、及び金融機関等である利用者向けのもの、並びに図示しない登録者向けのものが含まれる。
【0062】
図8の「会員情報管理機能」及び「在留者情報管理機能」は、管理者向けサービスの一例である。また「情報検索機能」「情報詳細閲覧機能」「情報ダウンロード機能」及び「データ連携機能」は、利用者向けのサービスの一例である。
【0063】
また、在留資格情報連携サービス40と利用者が用いる第2端末装置22とは、専用線又はVPN(Virtual Private Network)を介して接続される構成であってもよいが、インターネットを介して接続されて、ゼロトラストセキュリティモデルに立脚した認証・認可が行われる構成が望ましい。即ち、在留資格情報連携サービス40に対応するサーバ装置10は、サーバ装置10のクライアントとなる第2端末装置22からインターネットを介して与信情報の送信が要求された場合に、第2端末装置22に対して所定の認証を要求する構成が望ましい。これにより、個人情報の保護を促進することに寄与する。また、サーバ装置10の制御部12は、与信情報の送信が要求された履歴を記憶部17に保存してもよい。
【0064】
例えば、在留資格情報連携サービス40においては、認証・認可技術基盤としてIDaas(IDentity as a service)が用いられて、以下のセキュリティ機能が提供される構成であってもよい。
認証:ID・パスワード、多要素認証、ワンタイムパスワード
認可:認可ポリシー管理、権限管理、ロール管理
ID管理:システム境界間ID連携
データ保護:監査・ロギング、通信暗号化、データ暗号化
また、WAF(Web Application Firewall)等の個別のアクセスセキュリティ要素の利用若しくは組み合わせによる実装、又は既存のIDaaSサービスとの連携を行ってもよい。
【0065】
また、情報格納先システム/サービス42の在留資格情報データベースは、在留資格情報を含む個人情報を記憶するデータベースである。登録者は、所定の手段によって在留資格情報データベースにアクセスし、自身の個人情報の登録及び更新等を行う。
【0066】
ダイアログ画面46は、個人情報の項目を参照することを一括して許可するか否かを尋ねる、前述したダイアログ画面である。登録者は、自身の個人情報の登録及び更新を行った場合に、情報格納先システム/サービス42から送信されたダイアログ画面に対する操作を行い、個人情報の各項目を参照することを一括して許可するか否かを選択する。
【0067】
個人情報を参照することを登録者が許可することによって、在留資格情報連携サービス40は、サービスの利用者が与信情報を要求する度に登録者の許可を得る必要が無くなる。
【0068】
また、登録者によって参照が許可されていない個人情報の項目を参照したい場合には、当該項目の参照が許可されていないことを利用者に通知し、その場で登録者の許可を得るための処理を行う。その場で登録者の許可を得るための処理とは、例えば、サーバ装置10が、登録者の第1端末装置20に対して、ダイアログ画面46に例示する画面、又は前記画面にアクセスするためのURLを送信する処理が挙げられる。
【0069】
即ち、サーバ装置10の制御部12は、与信情報の生成において参照することが要求された個人情報の項目に関連付けられたフラグが、当該項目の参照が可能ではないことを示している場合に、登録者が当該フラグの値を変更する手続きを行うための情報を、通信部16を介して出力する構成であってもよい。
【0070】
或いは、登録者が利用者である金融機関の窓口に来ている場合のために、登録者の許可を示すサインを第2端末装置22から所定のURLにアップロードすることによって、対象となる個人情報の項目が参照可能となる構成であってもよい。これらの構成により、登録者が必要に応じて、個人情報の対象となる項目を与信情報の生成に用いることを迅速に許可することができる。
【0071】
〔ソフトウェアによる実現例〕
サーバ装置10及び第1~第3端末装置(以下、「装置」と呼ぶ)の機能は、当該装置としてコンピュータを機能させるためのプログラムであって、当該装置の各制御ブロックとしてコンピュータを機能させるためのプログラムにより実現することができる。
【0072】
この場合、上記装置は、上記プログラムを実行するためのハードウェアとして、少なくとも1つの制御装置(例えばプロセッサ)と少なくとも1つの記憶装置(例えばメモリ)を有するコンピュータを備えている。この制御装置と記憶装置により上記プログラムを実行することにより、上記各実施形態で説明した各機能が実現される。
【0073】
上記プログラムは、一時的ではなく、コンピュータ読み取り可能な、1または複数の記録媒体に記録されていてもよい。この記録媒体は、上記装置が備えていてもよいし、備えていなくてもよい。後者の場合、上記プログラムは、有線または無線の任意の伝送媒体を介して上記装置に供給されてもよい。
【0074】
また、上記各制御ブロックの機能の一部または全部は、論理回路により実現することも可能である。例えば、上記各制御ブロックとして機能する論理回路が形成された集積回路も本発明の範疇に含まれる。この他にも、例えば量子コンピュータにより上記各制御ブロックの機能を実現することも可能である。
【0075】
また、上記各実施形態で説明した各処理は、AI(Artificial Intelligence:人工知能)に実行させてもよい。この場合、AIは上記制御装置で動作するものであってもよいし、他の装置(例えばエッジコンピュータまたはクラウドサーバ等)で動作するものであってもよい。
【0076】
〔まとめ〕
本発明の態様1に係るサーバ装置(10)は、外国人に関する個人情報を記憶する記憶部(17)と、与信情報の利用目的を取得する取得部(13)と、前記個人情報の項目のうち、前記利用目的に応じた個人情報の項目のみを参照して、前記与信情報を生成する生成部(14)と、生成した前記与信情報を出力する出力部(16)と、を備える構成である。
【0077】
本発明の態様2に係るサーバ装置は、上記の態様1において、前記記憶部は、前記与信情報の生成において参照可能とするか否かを規定するフラグを、前記個人情報の各項目に関連付けて記憶し、前記個人情報の登録者が前記フラグの値を前記個人情報の項目毎に又は一括して設定する指示を受け付ける構成としてもよい。
【0078】
本発明の態様3に係るサーバ装置は、上記の態様2において、前記記憶部は、前記フラグを、前記利用目的毎に前記個人情報の各項目に関連付けて記憶する構成としてもよい。
【0079】
本発明の態様4に係るサーバ装置は、上記の態様2又は3において、前記出力部は、与信情報の生成において参照することが要求された個人情報の項目に関連付けられたフラグが、当該項目の参照が可能ではないことを示している場合に、前記登録者が当該フラグの値を変更する手続きを行うための情報を出力する構成としてもよい。
【0080】
本発明の態様5に係るサーバ装置は、上記の態様1から4までの何れかにおいて、前記生成部は、前記与信情報の評価スコアを算出する構成としてもよい。
【0081】
本発明の態様6に係るサーバ装置は、上記の態様5において、前記利用目的毎に規定される学習モデルであって、前記個人情報が入力され、前記評価スコアを出力する学習モデルに、前記個人情報と、登録者の行動に基づいて算出された前記評価スコアの組を教師データとして用いて学習させる学習部(15)を更に備える構成としてもよい。
【0082】
本発明の態様7に係るサーバ装置は、上記の態様1から6までの何れかにおいて、当該サーバ装置のクライアントとなる端末装置からインターネットを介して前記与信情報の送信が要求された場合に、前記端末装置に対して所定の認証を要求する構成としてもよい。
【0083】
本発明の態様8に係るサーバ装置は、上記の態様1から7までの何れかにおいて、前記個人情報は、前記外国人に関する在留資格情報、就労資格情報、及び就労履歴情報の少なくとも何れかを含む構成としてもよい。
【0084】
本発明の態様9に係る制御プログラムは、上記の態様1から8までの何れかに記載のサーバ装置としてコンピュータを機能させるための制御プログラムであって、前記記憶部、前記取得部、前記生成部および前記出力部としてコンピュータを機能させるための制御プログラムである。
【0085】
本発明は上述した各実施形態に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能であり、異なる実施形態にそれぞれ開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施形態についても本発明の技術的範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0086】
1、1a システム
10 サーバ装置
12 制御部
13 取得部
14 生成部
15 学習部
16 通信部(出力部)
17 記憶部
20 第1端末装置
22 第2端末装置
24 第3端末装置
40 在留資格情報連携サービス
42 情報格納先システム/サービス
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
【手続補正書】
【提出日】2023-10-30
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
在留資格情報データベースから取得した外国人に関する個人情報を記憶する記憶部と、
サービス利用者が操作する端末装置から与信情報の利用目的を取得する取得部と、
前記個人情報の項目のうち、前記利用目的に応じた個人情報の項目のみを参照して、前記与信情報を生成する生成部と、
生成した前記与信情報を前記端末装置に出力する出力部と、を備え、
前記取得部が前記端末装置から前記利用目的を取得してから、前記出力部が前記端末装置に前記与信情報を出力するまでの間、前記外国人が操作する端末装置との間で通信を行わない、
ことを特徴とするサーバ装置。
【請求項2】
前記記憶部は、
前記与信情報の生成において参照可能とするか否かを規定するフラグを、前記個人情報の各項目に関連付けて記憶し、
前記個人情報の登録者が前記フラグの値を前記個人情報の項目毎に又は一括して設定する指示を受け付ける
ことを特徴とする請求項1に記載のサーバ装置。
【請求項3】
前記記憶部は、
前記フラグを、前記利用目的毎に前記個人情報の各項目に関連付けて記憶する
ことを特徴とする請求項2に記載のサーバ装置。
【請求項4】
前記出力部は、
与信情報の生成において参照することが要求された個人情報の項目に関連付けられたフラグが、当該項目の参照が可能ではないことを示している場合に、前記登録者が当該フラグの値を変更する手続きを行うための情報を出力する
ことを特徴とする請求項2又は3に記載のサーバ装置。
【請求項5】
前記生成部は、
前記与信情報の評価スコアを算出する
ことを特徴とする請求項1又は2に記載のサーバ装置。
【請求項6】
前記利用目的毎に規定される学習モデルであって、前記個人情報が入力され、前記評価スコアを出力する学習モデルに、前記個人情報と、登録者の行動に基づいて算出された前記評価スコアの組を教師データとして用いて学習させる学習部を更に備える
ことを特徴とする請求項5に記載のサーバ装置。
【請求項7】
前記端末装置からインターネットを介して前記与信情報の送信が要求された場合に、前記端末装置に対して所定の認証を要求する
ことを特徴とする請求項1又は2に記載のサーバ装置。
【請求項8】
前記個人情報は、前記外国人に関する在留資格情報、就労資格情報、及び就労履歴情報の少なくとも何れかを含む
ことを特徴とする請求項1又は2に記載のサーバ装置。
【請求項9】
請求項1に記載のサーバ装置としてコンピュータを機能させるための制御プログラムであって、前記記憶部、前記取得部、前記生成部および前記出力部としてコンピュータを機能させるための制御プログラム。