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特開2024-146283運転支援装置、運転支援方法およびコンピュータプログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024146283
(43)【公開日】2024-10-15
(54)【発明の名称】運転支援装置、運転支援方法およびコンピュータプログラム
(51)【国際特許分類】
   G05B 23/02 20060101AFI20241004BHJP
【FI】
G05B23/02 X
G05B23/02 301Q
【審査請求】未請求
【請求項の数】12
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023059083
(22)【出願日】2023-03-31
(71)【出願人】
【識別番号】000003078
【氏名又は名称】株式会社東芝
(71)【出願人】
【識別番号】598076591
【氏名又は名称】東芝インフラシステムズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003708
【氏名又は名称】弁理士法人鈴榮特許綜合事務所
(72)【発明者】
【氏名】松本 隼
(72)【発明者】
【氏名】小原 卓巳
(72)【発明者】
【氏名】若江 智秀
(72)【発明者】
【氏名】横山 雄
(72)【発明者】
【氏名】毛受 卓
(72)【発明者】
【氏名】山中 理
(72)【発明者】
【氏名】松代 武士
【テーマコード(参考)】
3C223
【Fターム(参考)】
3C223AA01
3C223AA06
3C223BA03
3C223BB02
3C223BB12
3C223CC02
3C223DD03
3C223EB01
3C223EB07
3C223FF02
3C223FF12
3C223FF13
3C223FF17
3C223FF42
3C223GG01
3C223HH03
3C223HH17
3C223HH29
(57)【要約】

【課題】 過去の運転実績を活用した運転の省力化と最適化を実現する運転支援装置を提供することができる。
【解決手段】 実施形態による運転支援装置1は、監視対象に対する操作量を含む過去運転データの時系列情報を格納する過去運転データ格納部12と、ユーザの入力による入力情報に基づく又は予め設定された、過去運転データの選択情報を格納する選択情報格納部11と、過去運転データを用いて操作適切度を演算する操作適切度演算部15と、過去運転データを用いて全体類似度を演算する類似度演算部16と、操作適切度と全体類似度とを示す散布図を表示する表示データと、過去運転データの時系列情報と選択情報とに基づき操作量のトレンドグラフを表示する表示データとを生成する表示部18、19と、表示データを用いて生成した支援情報を出力する出力部17と、を備える。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
監視対象に対する操作量と前記監視対象に設置された一又は複数のセンサの検出値とを含む過去運転データの時系列情報を用いて、前記過去運転データの各々について操作適切度と全体類似度とを演算する演算部と、
ユーザの入力による入力情報に基づく又は予め設定された、前記過去運転データの選択情報を格納する選択情報格納部と、
前記過去運転データの前記操作適切度と前記全体類似度とを示す散布図を表示する第1表示データを生成する散布図表示部と、
前記過去運転データの時系列情報と前記選択情報とを用いて前記操作量のトレンドグラフを表示する第2表示データを生成する操作量トレンド表示部と、
前記第1表示データと、前記第2表示データとを用いて生成した支援情報を出力する出力部と、を備えた運転支援装置。
【請求項2】
前記選択情報格納部は、前記選択情報と、前記入力情報に基づく前記過去運転データの仮選択情報とを格納し、前記仮選択情報を前記選択情報とする前記入力情報に基づき前記仮選択情報を前記選択情報とし、
前記散布図表示部は、前記過去運転データの時系列情報、前記選択情報および前記仮選択情報を用いて、前記散布図を表示するように前記第1表示データを生成する、請求項1記載の運転支援装置。
【請求項3】
前記操作量トレンド表示部は、前記選択情報に対応する前記過去運転データを含む所定期間の前記過去運転データの前記操作量のトレンドグラフと、現在時刻を含む前記所定期間の前記過去運転データの前記操作量のトレンドグラフとを表示するように前記第2表示データを生成する、請求項1記載の運転支援装置。
【請求項4】
前記選択情報格納部に複数の選択情報が格納され、
前記操作量トレンド表示部は、前記選択情報を含む所定期間の前記過去運転データの前記操作量のトレンドグラフを複数合成したグラフを表示するように前記第2表示データを生成する、請求項1記載の運転支援装置。
【請求項5】
前記散布図表示部は、選択された日時範囲を示す前記入力情報に基づき若しくは予め設定された日時範囲の、前記過去運転データの前記操作適切度と前記全体類似度とを示す前記散布図を表示するように前記第2表示データを生成する、請求項1記載の運転支援装置。
【請求項6】
前記散布図表示部は、前記散布図が表示された表示画面の領域に対するユーザの操作による前記入力情報に基づき、前記散布図の表示範囲を変更するように前記第1表示データを生成する、請求項1に記載の運転支援装置。
【請求項7】
前記散布図表示部は、ユーザが予め設定された操作を行ったことによる前記入力情報に基づいて、ユーザが前記選択情報として選択可能な前記過去運転データを制限するように前記第1表示データを生成する、請求項1記載の運転支援装置。
【請求項8】
前記選択情報格納部は、前記入力情報に基づくセンサ値表示選択情報を更に格納し、
現在時刻から過去の所定期間における前記センサの検出値のトレンドと、前記センサ値表示選択情報に対応する日時から過去の前記所定期間の前記センサの検出値のトレンドとの類似度を表示する第3表示データを生成するセンサ値類似度表示部を更に備え、
前記支援情報は、前記第3表示データを更に用いて生成される、請求項1記載の運転支援装置。
【請求項9】
前記過去運転データの時系列情報と前記センサ値表示選択情報とに基づき前記センサの検出値のトレンドグラフを表示する第4表示データを生成するセンサ値トレンド表示部を更に備え、
前記支援情報は、前記第4表示データを更に用いて生成される、請求項8記載の運転支援装置。
【請求項10】
前記操作適切度および前記全体類似度に基づいて、前記第1表示データの生成に用いられる前記過去運転データを自動抽出する自動抽出部を更に備えた、請求項1に記載の運転支援装置。
【請求項11】
監視対象に対する操作量と前記監視対象に設置された一又は複数のセンサの検出値とを含む過去運転データの時系列情報を用いて、前記過去運転データの操作適切度および全体類似度を演算し、
前記過去運転データの前記操作適切度と前記全体類似度とを示す散布図を表示する第1表示データを生成し、
ユーザの入力による入力情報に基づく又は予め設定された前記過去運転データの選択情報と、前記過去運転データの時系列情報とに基づき前記操作量のトレンドグラフを表示する第2表示データを生成し、
前記第1表示データおよび前記第2表示データを用いて生成した支援情報を出力する、運転支援方法。
【請求項12】
コンピュータに、請求項11に記載の運転支援方法を実行させるコンピュータプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、運転支援装置、運転支援方法およびコンピュータプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
上下水道プラントでは、人工減少に伴う給水収入の減少や運転員数の減少に伴い、データ活用による運転の省力化と最適化へのニーズが高まっている。例えば、プラント運転自動化を目的に、最適運転操作量決定技術の確立が望まれている。機械学習モデルベースでの操作量決定手法では、大量の過去データを用いた学習が必要となるが、非定常時は参考となる過去データが比較的少なく、モデル構築が困難であった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2021-107962号公報
【特許文献2】特開2021-60749号公報
【特許文献3】特許第6701421号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
浄水場等のプラント運用において運転員が操作量を決定する際、過去の実績に対する信頼度は高く、現在でも多くのプラントにおいて参考として用いられている。運転員は、例えば以下の2点に着目して過去の運転データを参考とすることが想定される。
(1)どれだけ似ているかどうか(類似度):過去の各センサ値の示す値が現在のものと似ている度合いを示す指標
(2)どれだけ良い運転であったかどうか(操作適切度):コスト最適性などの観点から、過去の運転員が実施した操作量が適切であったかを示す指標
しかしながら、従来のプラント運転時のユーザ支援は、異常予兆検知やデータ分析を行うものが主であり、上記(1)(2)の指標を運転員に示すことによる操作量決定の支援は実現されていなかった。
【0005】
本発明の実施形態は上記事情を鑑みて成されたものであって、運転員による操作量決定を支援する運転支援装置、運転支援方法およびコンピュータプログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
実施形態による運転支援装置は、監視対象に対する操作量を含む過去運転データの時系列情報を格納する過去運転データ格納部と、ユーザの入力による入力情報を取得する入力情報取得部と、前記入力情報に基づく又は予め設定された、前記過去運転データの選択情報を格納する選択情報格納部と、前記過去運転データを用いて操作適切度を演算する操作適切度演算部と、前記過去運転データを用いて全体類似度を演算する類似度演算部と、前記過去運転データの前記操作適切度と前記全体類似度とを示す散布図を表示する表示データを生成する散布図表示部と、前記過去運転データの時系列情報と前記選択情報とに基づき前記操作量のトレンドグラフを表示する表示データを生成する操作量トレンド表示部と、前記散布図表示部により生成された表示データと、操作量トレンド表示部により生成された表示データとを用いて生成した支援情報を出力する出力部と、を備える。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1図1は、第1実施形態の運転支援装置を含むプラント制御システムの一構成例を概略的に示す図である。
図2図2は、第1実施形態の運転支援装置の一構成例を概略的に示すブロック図である。
図3図3は、図2に示す過去運転データ格納部に格納される過去運転データの一例を示す図である。
図4図4は、第1実施形態の運転支援装置による運転支援情報の画面構成例を示す図である。
図5図5は、第1実施形態の運転支援装置による運転支援情報の画面構成の他の例を示す図である。
図6図6は、第1実施形態の運転支援装置による運転支援情報の画面構成の他の例を示す図である。
図7図7は、第2実施形態の運転支援装置の一構成例を概略的に示すブロック図である。
図8図8は、第2実施形態の運転支援装置におけるセンサ値トレンドおよび類似度表示の一例を示す図である。
図9図9は、第3実施形態の運転支援装置の一構成例を概略的に示すブロック図である。
図10図10は、第4実施形態の運転支援装置の一構成例を概略的に示すブロック図である。
図11図11は、第4実施形態の運転支援装置におけるフィルタリング機能の一例について説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、実施形態の運転支援装置、運転支援方法およびコンピュータプログラムについて、図面を参照して説明する。
図1は、第1実施形態の運転支援装置を含むプラント制御システムの一構成例を概略的に示す図である。
【0009】
プラント制御システム100は、運転支援装置1と、監視制御システム3と、1以上の計測装置4とを備え、監視対象である上下水道プラント5に流入する流入水6が処理水7として排出されるまでの処理の操作量を制御する。上下水道プラント5が上水道施設の場合は河川からの流入水6が処理された後に配水場や需要家へ処理水7として供給され、下水道施設の場合は下水管網からの流入水6が処理された後に河川へ処理水7として供給される。
【0010】
運転支援装置1は、監視制御システム3から送信される過去運転データおよびユーザにより入力される選択情報を元に運転支援情報を生成し、ユーザに提供する。ユーザは、運転支援情報に必要となる選択情報を運転支援装置1に入力し、運転支援情報を取得する。ユーザは、運転支援情報を元に操作量を決定し、監視制御システム3に操作量指令を入力する。本実施形態の運転支援装置1において、操作量とは、例えば上下水道プラント5が上水道施設の場合は、塩素注入率や凝集剤注入率などが該当し、上下水道プラント5が下水道施設の場合は、曝気風量や汚泥返送率などが該当する。操作量情報の入力と運転支援情報の出力とはユーザが操作量を決定するまで繰り返し実行可能である。
【0011】
監視制御システム3は、上下水道プラント5を監視および制御する機能を有し、ユーザからの操作量指令に応じて、制御情報を上下水道プラント5に送信する機能を有する。また、計測装置4を介して計測された計測情報を取得し、過去運転データを運転支援装置1に送信する機能を有する。計測情報とは、例えば上水道施設の場合は、原水濁度や残留塩素濃度、下水道施設の場合は、水温やリン濃度などが該当する。計測情報には、監視対象であるプラントに設置された一又は複数のセンサにより計測された現在の(最新の)管理値(流量など、処理水質値以外の種々のセンサ検出値)と処理水質値とが含まれる。過去運転データには、加工あるいは未加工の過去の計測情報に加え操作量が含まれ、監視制御システム3には現在時刻までの過去運転データ(時系列情報)が記録されている。
【0012】
図2は、第1実施形態の運転支援装置の一構成例を概略的に示すブロック図である。
運転支援装置1は、CPU(Central Processing Unit)などのプロセッサを少なくとも一つと、プロセッサにより実行されるプログラムが記録されたメモリや補助記憶装置などとを備えている。プロセッサ、メモリおよび補助記憶装置はバスで接続されている。また、運転支援装置1は、キーボード、マウス、およびそれに準ずる入力デバイス、画面表示出力可能なモニタなどの出力デバイスを備えていてもよい。
【0013】
運転支援装置1は、ソフトウェアにより、又は、ソフトウェアとハードウェアとの組み合わせにより以下に説明する種々の機能を実現することができる。すなわち、運転支援装置1は、プログラムを実行することにより、選択情報格納部11、過去運転データ格納部12、入力情報取得部13、過去運転データ取得部14、操作適切度演算部15、類似度演算部16、画面出力部17、散布図表示部18、操作量トレンド表示部19を備える装置として機能する。
【0014】
なお、運転支援装置1の各機能の全てあるいは一部は、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)、PLD(Programmable Logic Device)、FPGA(Field Programmable Gate Array)等のハードウェアを用いて実現されてもよい。プログラムは、コンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録されてもよい。コンピュータ読み取り可能な記録媒体とは、例えばフレキシブルディスク、光磁気ディスク、ROM、CDROM等の可搬媒体、コンピュータシステムに内蔵されるハードディスク等の記憶装置である。
【0015】
入力情報取得部13は、例えばキーボードやマウスなどの入力デバイスをユーザが操作することにより入力された入力情報を取得する。入力情報は、マウスのカーソル位置やクリック、キーボード入力値が含まれる。入力情報は、画面出力部17、散布図表示部18、操作量トレンド表示部19に出力され各機能における処理時の入力に用いることができる。
【0016】
過去運転データ取得部14は、通信インタフェースを含んで構成され、通信インタフェースを介して監視制御システムと通信する。過去運転データ取得部14は、監視制御システムから得られた過去運転データを過去運転データ格納部12に記憶させる。過去運転データ取得部14は、過去運転データの取得を所定のタイミングで繰り返し実行することにより、過去運転データを過去運転データ格納部12に蓄積する。
【0017】
過去運転データ格納部12および選択情報格納部11は、磁気ハードディスク装置や半導体記憶装置などの記憶装置を用いて構成される。過去運転データ格納部12は過去運転データ取得部14を介して得られた過去運転データを時系列データ(時系列情報)として記憶する。選択情報格納部11は選択情報を記憶し、選択情報には例えば操作量トレンド上に詳細表示したい過去運転データの日時情報が含まれる。選択情報は、ユーザが入力した入力情報に基づいていてもよく、予め設定された情報であってもよい。
【0018】
図3は、図2に示す過去運転データ格納部に格納される過去運転データの一例を示す図である。
本実施形態では、例として、過去運転データ格納部12には、操作量のデータと、センサS1からセンサS9までの検出値のデータとが時刻により関連付けられ、現在時刻と仮定する1/30 14:15(1月30日の14時15分)から過去に渡って15分間隔で過去運転データが保存されている。なお、現在時刻は、例えば最新のデータが検出された時刻であってもよい。
【0019】
操作適切度演算部15は、過去運転データ格納部12に保存されたデータから所定のデータを読み出して、操作適切度を演算する。例えば、操作適切度演算部15は、基準時刻の例として1/2 0:00(1月2日の0時)について、基準時刻から操作適切度評価時間窓分(例えば12時間分)未来の操作量の値(基準時刻の操作量の値を含む)V1を元に操作適切度を演算する。操作適切度演算部15は、過去運転データ格納部12に保存されたデータの中から、全過去時刻を基準時刻として操作適切度を算出する。なお、図3に示す例にでは、操作適切度演算部15は、基準時刻より操作適切度評価時間窓分未来のデータを用いて操作適切度を計算しているが、本実施形態はこの例に限定されるものではなく、操作適切度の計算に用いられるデータは基準時刻よりも過去のデータを含んでもよい。
【0020】
操作適切度演算部15は、過去運転データについて、各基準時刻より操作適切度評価時間窓分未来までの操作適切度を演算する。ここで、操作適切度評価時間窓とは、操作適切度の評価対象となる、基準時刻から未来方向への所定の時間幅のことを示す。演算結果は、各基準時刻の過去運転データと関連付けられて、操作適切度として過去運転データ格納部12に記録される。操作適切度は、コスト最適性の観点から操作量の大小に基づき設定してもよいし、操作量の安定性など一定のルールに基づきユーザが独自の計算式を設定してもよい。例えば、塩素注入率を対象とした、操作量の大小に基づく操作適切度は(1)式で示される。
【数1】
【0021】
(1)式において、ytは時刻tにおける塩素注入率、yminおよびymaxは過去データにおける塩素注入率の最小値および最大値である。(1)式によれば、同量の原水流量に対し塩素注入率が高いほどよりコストがかかるため、操作適切度が低くなる。
【0022】
類似度演算部16は、過去運転データ格納部12に保存されたデータから所定のデータを読み出して、類似度を演算する。例えば、類似度演算部16は、時刻基準時刻の例として1/2 0:00(1月2日の0時)について、類似度評価時間窓分(例えば24時間分)過去のセンサS1~S9の検出値(基準時刻における検出値を含む)V2と、現在時刻1/30 14:15(1月30日の14時15分)から類似度評価時間窓分過去のセンサS1~S9の検出値(現在時刻における検出値を含む)V3との比較を元に類似度を演算する。類似度演算部16は、過去運転データ格納部12に保存されたデータの中から、基準時刻の全過去時刻のデータについて類似度を算出する。
【0023】
類似度演算部16は、過去の基準時刻に対応する過去運転データについて、現在時刻から類似度評価時間窓分過去のデータと、過去の各基準時刻より類似度評価時間窓分過去のデータとの類似度を演算する。類似度評価時間窓とは、類似度の評価対象となる、基準時刻から過去方向の時間幅のことを示す。演算結果は、各基準時刻の過去運転データと関連付けられて、類似度として過去運転データ格納部12に記録される。
【0024】
類似度は、センサ値毎にユークリッド距離などの手法により演算したセンサ値類似度と、そのセンサ値類似度の平均や重みづけ和により算出した全体類似度との2種類があり、それぞれがセンサ値に対応する過去運転データと関連付けられて、過去運転データ格納部12に記録される。あるいは、全センサ値をまとめて計算し全体類似度のみ算出した場合は、全体類似度のみが過去運転データ格納部12に記録される。例えば、類似度評価時間窓を24時間、過去運転データ保存粒度を1時間としたとき、現在時刻からt時間遡ったセンサkの過去運転データの、ユークリッド距離に基づくセンサ値類似度st kは以下で示される。
【数2】
【0025】
上記センサ値類似度st kの数式において、yi kは現在時刻からi時間過去のセンサkの過去運転データの値、δはゼロ除算を防ぐための微小量であり、yi kとyt+i kとが類似度評価時間窓分完全一致した場合にセンサ値類似度st k=1となる。このセンサ値類似度st kに基づく全体類似度stの計算例は以下となる。
【数3】
上記全体類似度stの数式において、ωはΣω=1となる重みである。重要なセンサ値類似度st kの重みωをより大きい値とすることで、全体類似度への影響を大きくすることができる。
【0026】
なお、操作適切度演算部15および類似度演算部16は、計算時間短縮のため、基準時刻の全過去時刻について操作適切度および類似度の演算を実施せずに、過去運転データ格納部12から一定の時間間隔(例えば1分を超える時間間隔)の過去運転データを取得して操作適切度および類似度を計算して演算負荷を抑制してもよいし、複数時刻の過去運転データの中央値などで時間粒度を荒くしたデータを用いて操作適切度および類似度を計算して演算負荷を抑制してもよい。
【0027】
散布図表示部18は、過去運転データ格納部12に記録された過去運転データを、操作適切度を縦軸、全体類似度を横軸とする散布図上に表示する表示データ(第1表示データ)を生成して、表示データを画面出力部17へ出力する。なお、散布図は、操作適切度が横軸で、全体類似度が縦軸であっても構わない。また、散布図表示部18は、散布図と併せて表示される凡例の表示データを生成してもよい。
【0028】
散布図表示部18は、散布図上で、時系列に応じて過去運転データの表示色がグラデーションとなるように表示データを生成してもよい。このことにより、ユーザは、散布図上の過去運転データの大まかな日時を視認することができる。その際、散布図表示部18は、夏季の過去運転データを暖色、冬季の過去運転データを寒色などとすることにより、ユーザが直感的に季節を認識する色と、過去運転データの表示色とを一致させてもよい。
【0029】
また、散布図表示部18は、選択情報格納部11に記録された選択情報に基づき、選択された過去運転データを強調して表示する表示データを生成してもよい。散布図上での過去運転データの選択は、例えば、ユーザがマウスでプロットの上にカーソルを配置した入力情報により、対象の過去運転データ日時情報が仮選択情報として選択され、仮選択情報を選択した状態でユーザがマウスをクリックあるいは他ボタン押下した入力情報により、仮選択情報が選択情報として選択情報格納部11に保存されることにより行われる。
【0030】
また、ユーザが選択情報として既に保存されている状態でクリックした入力情報が取得された場合、その選択情報は選択情報格納部11から削除されてもよい。なお、仮選択情報は省略されてもよい。散布図表示部18は、選択情報あるいは仮選択情報として選択された過去運転データについて、散布図上のデータのプロットから引き出される吹き出し等により、どの日時のデータかを表示するように表示データを生成してもよい。
【0031】
また、散布図表示部18は、散布図上に表示する過去運転データの日時範囲を選択可能とする表示データを生成する機能を備えてもよい。散布図表示部18は、ユーザが選択した日時範囲を取得して、当該日時範囲の過去運転データを散布図として表示する表示データを生成できる。
【0032】
また、散布図表示部18は、散布図が表示された表示画面の領域に対するユーザの操作による入力情報に基づき、散布図の表示範囲を変更する表示データを生成してもよい。例えば、散布図表示部18は、ユーザがマウスを操作することにより、散布図が表示された画面の領域にカーソルを配置させ、マウスホイールを上下方向に回転させる入力情報に基づいて、散布図の表示領域を変更(拡大、縮小、移動など)するように表示データを生成する機能を備えていてもよく、散布図上でカーソルをドラッグアンドドロップした入力情報に基づいて表示領域を上下左右方向に移動するように表示データを生成する機能を備えてもよい。
【0033】
また、散布図表示部18は、例えばユーザが特定のキーを押下した入力情報に基づいて、そのときの仮選択情報から前後の期間のデータのみを限定して散布図上に表示するとともに選択できるように表示データを生成する機能を備えてもよい。表示および選択可能な過去運転データを制限することにより、散布図上で過去運転データが密集している場合でも、ユーザが目的のデータを探索したり選択したりしやすくなる。その際、散布図表示部18は、キーの押下中は選択可能な過去運転データ以外のデータについては薄く(異なる色で)表示するなどして選択対象外であることを明示する表示データを生成してもよい。ユーザがキーを離す(押下を止める)ことにより、散布図表示部18は上記の制限を解除可能である。
【0034】
操作量トレンド表示部19は、過去運転データの時系列情報と、選択情報格納部11に記録された仮選択情報および選択情報とに基づき、選択情報に対応する過去運転データの操作量を含む所定期間の操作量のトレンドグラフを、現在時刻の(最新の)操作量を含む当該所定期間の過去運転データの操作量のトレンドグラフに重ねて表示する表示データ(第2表示データ)を生成して、表示データを画面出力部17へ出力する。操作量トレンドのグラフは、横軸が時刻、縦軸が操作量である。また、操作量トレンドグラフの時刻(横軸)の表示区間は、現在から類似度評価時間窓分過去から、現在から操作適切度評価時間窓分未来までである。操作量トレンドグラフとして類似度評価時間窓分と操作適切度評価時間窓分とを合わせて表示することにより、未来の操作量の参考情報として、ユーザの運転支援に用いることができる。
【0035】
また操作量トレンド表示部19は、散布図と操作量トレンドのグラフとの連携をユーザが容易に認識できるように、トレンドグラフの表示色と、散布図上で選択した過去運転データの表示色とが同じ色となるように表示データを生成してもよい。操作量トレンド表示部19は、仮選択情報のトレンドグラフが破線や薄い色で表示するなど、選択情報のトレンドグラフとの区別が容易になるように表示データを生成してもよい。また、複数の選択情報が存在する場合に、複数の過去運転データの平均値などの計算手法により、複数のトレンドグラフを合成したグラフを表示する表示データを生成してもよい。
【0036】
画面出力部17は、入力情報取得部13、散布図表示部18および操作量トレンド表示部19の出力情報(表示データ)に基づき、運転支援情報を生成してユーザ(運転員)にGUI表示を行う。画面出力部17は、入力情報取得部13、散布図表示部18および操作量トレンド表示部19の出力情報(表示データを含む)を用いて、運転支援情報を提示するためのデータ(例えば画像をGUI表示するためのデータや、音声によりユーザに運転支援情報を提示するデータ)を生成する。画面出力部17はGUI表示が行われるディスプレイを含んでいてもよい。また、画面出力部17は、画面出力部17の外部に接続されたディスプレイに運転支援情報のGUI表示用のデータを出力するように構成されてもよい。
【0037】
図4は、第1実施形態の運転支援装置による運転支援情報の一画面構成例を示す図である。
図4に示す画面構成例では、画面に向かって左側に散布図G1が表示され、右側に操作量トレンドのグラフG2が示されている。ユーザは、散布図のデータの中で操作適切度が高く、全体類似度が高い過去運転データを目視で確認し、マウスを操作して操作量トレンドのグラフG2に表示したい過去運転データのプロット(点)上にカーソルを位置させ、マウスをクリックすることにより過去運転データを選択情報として選択情報格納部11に格納することができる。
【0038】
なお図4では、散布図G1の点A、点B、点Cが選択情報として選択され、点Dが仮選択情報として選択されている。このとき、散布図表示部18は、それらの過去運転データ(選択情報および仮選択情報)に対応する散布図G1上の点を大きくして強調表示するように表示データを生成する。
【0039】
操作量トレンドグラフG2には、4つの点A-点Dに対応する過去運転データの日時における操作量のトレンドグラフ(線A-線D)に加え、選択情報として選択された過去運転データの操作量トレンドを合成した合成トレンドグラフ(線E)の、5つのトレンドグラフ(線A-線E)が表示されている。選択情報および仮選択情報のトレンドグラフ(線A-線D)は、選択された過去運転データの日時から類似度評価時間窓分(本図では24時間)過去から、現在時刻から操作適切度評価時間窓分(本図では12時間)未来までの操作量のトレンドグラフである。
合成トレンドグラフは、選択情報を含む所定期間の過去運転データの操作量のトレンドグラフを複数合成したグラフである。図4に示す合成トレンドグラフ(線E)は、4つの操作量トレンドグラフを合成したものであって、類似度評価時間窓と操作適切度評価時間窓との和(本図では36時間)の操作量のトレンドグラフである。
【0040】
このとき、操作量トレンドグラフG2上に、現在時刻から類似度評価時間窓分(本図では24時間)過去から、現在時刻から操作適切度評価時間窓分(本図では12時間)未来までの操作量のトレンドグラフを併せて表示している。このとき、4つのトレンドグラフ(線A-線D)は、選択された点A-点Dに対応する過去運転データの日時と現在時刻とが時間軸上で一致するように表示される。このことにより、現在以降にどのような操作量をとるべきか、過去の操作量実績をユーザに運転支援情報として提示することができる。
【0041】
図5は、第1実施形態の運転支援装置による運転支援情報の画面構成の他の例を示す図である。
図5では、図4に示す例に加え、散布図表示日時範囲選択機能および散布図拡大縮小移動表示機能を含む画面構成の例を示している。ユーザが散布図凡例上に表示された散布図表示日時範囲選択機能を用いて過去運転データの日時範囲を選択することにより、当該日時範囲を示す情報が入力情報取得部13に入力され、散布図表示部18は入力情報に基づき選択された日時範囲の過去運転データのみを散布図G1として表示する表示データを生成する。このことにより、散布図上で表示される過去運転データ数が少なくなり、視認性を高めることができる。
【0042】
また、散布図表示部18は、散布図G1内(例えば画面に向かって散布図G1内左下)に、全過去運転データの分布に対する表示範囲の枠を示すガイド表示G1Aを、散布図G1上に重ねて行う表示データを生成してもよい。散布図表示部18は、ユーザがマウスを操作して散布図上でカーソルをドラッグアンドドロップした入力情報に基づいて、散布図画面に表示される範囲を全過去運転データの分布の中で上下左右に移動させることができる。なお、散布図表示部18は、散布図G1の表示範囲を移動させる場合に、ユーザがガイド表示G1A上での表示範囲枠のドラッグアンドドロップした入力情報に基づいて、表示範囲の調整を実行する表示データを生成する機能を備えてもよい。また、散布図表示部18は、ユーザがマウスホイールの上下方向の回転を行った入力情報に基づいて、散布図G1の拡大・縮小表示を行うように表示データを生成してもよい。その場合、散布図表示部18は、表示範囲の拡大および縮小に合わせてガイド表示G1Aの表示範囲を示す枠も大小に変化させるように表示データを生成する。
【0043】
図6は、第1実施形態の運転支援装置による運転支援情報の画面構成の他の例を示す図である。
図6には、図5に示す画面構成の例に加え、仮選択情報の日時から前後数時間のみ選択できる機能の一例を示す。例えばユーザがキーボードの特定のキーを押した入力情報に基づいて、散布図表示部18は、選択可能な過去運転データを仮選択情報の日時に対応する時刻から前後数時間のデータのみに制限してもよい。このことにより、散布図G1上で過去運転データが密集している場合でも、ユーザが目的のデータを選択しやすくなる。その際、散布図表示部18は、選択可能な過去運転データ以外のデータのプロットについては薄く(透明度が高くなるように)表示する、あるいは非表示とすることにより、選択対象可能な過去運転データと選択対象外の過去運転データとを区別して表示してもよい。
【0044】
また、例えば図5のように散布図G1内にガイド表示G1Aを行う場合には、散布図表示部18は、ユーザが特定のキーを押下している間は、ガイド表示G1A内においても選択対象外の過去運転データのプロットを薄く(透明度が高くなるように)表示する、あるいは非表示とすることにより、ユーザが目的の過去運転データを選択しやすくなるよう支援してもよい。
【0045】
ここで、浄水場等のプラント運用において運転員(ユーザ)が操作量を決定する際、過去の実績に対する信頼度は高く、現在でも多くのプラントにおいて参考として用いられている。特に、過去の各センサ値の示す値が現在のものと似ているか否か(どれだけ似ているか(類似度))、および、コスト最適性などの観点から、過去の運転員が実施した操作量が適切であったか(どれだけ良い運転であったか(操作適切度))の視点は運転員が操作量を決定する際に有益な情報である。
【0046】
そこで、本実施形態の運転支援装置、運転支援方法およびコンピュータプログラムは、全体類似度および操作適切度という定量的指標で全過去運転データを1つの散布図G1上で可視化し、過去運転データを操作適切度および全体類似度の観点で視覚的に分かりやすくまとめてユーザに提示している。
【0047】
ユーザは、本実施形態の運転支援装置、運転支援方法およびコンピュータプログラムにより、現在の運転データとトレンドとを比較することにより、注目すべき過去運転データをインタラクティブに選択でき、ユーザは、参考にすべき過去運転データを的確かつ迅速に選択することが可能となる。
その結果、ユーザは、過去の運転実績の中で、現在の運転状況に最も適した操作量を抽出し、ノウハウに基づく運転指針によりフィルタリングすることにより、最適な運転操作量を的確かつ迅速に決定することができる。
すなわち、本実施形態によれば、過去の運転実績を活用した運転の省力化と最適化を実現する運転支援装置、運転支援方法およびコンピュータプログラムを提供することができる。
【0048】
次に、第2実施形態の運転支援装置、運転支援方法およびコンピュータプログラムについて図面を参照して詳細に説明する。
なお、以下の説明において、上述の第1実施形態と同様の構成については同一の符号を付して説明を省略する。
【0049】
図7は、第2実施形態の運転支援装置の一構成例を概略的に示すブロック図である。
本実施形態の運転支援装置1は、センサ値トレンド表示部20、およびセンサ値類似度表示部21を更に備える点において、第1実施形態の運転支援装置1と相違している。
【0050】
また、本実施形態の運転支援装置1において、例えばユーザが表示画面上で散布図G1のプロットやトレンドグラフG2のグラフにカーソルを合わせてマウスクリックすることにより選択されたプロットやグラフに対応する日時情報を、センサ値表示選択情報として選択情報格納部11に保存する機能を更に備えている点において、上述の第1実施形態の運転支援装置1と相違している。
【0051】
センサ値トレンド表示部20は、過去運転データ格納部12に保存された過去運転データおよび選択情報格納部11に保存されたセンサ値表示選択情報を元に、選択された過去日時のセンサ値のトレンドグラフを、現在時刻から過去に所定期間分のセンサ値のトレンドグラフと併せてセンサトレンドグラフG3として表示する表示データ(第4表示データ)を生成する。センサトレンドグラフG3は、横軸が時刻、縦軸がセンサ値であり、時刻の表示区間は、操作量トレンド表示部19と同様に現在から類似度評価時間窓分過去から現在から操作適切度評価時間窓分未来である。センサトレンドグラフG3に2つのセンサ値のトレンドグラフを併せて表示することにより、ユーザは対象とする過去運転データが現在と類似しているかどうかを1つのセンサ値に注目して確認することが可能になる。
【0052】
センサ値トレンド表示部20は、例えば、選択情報格納部11に1つ以上の選択情報が保存され、かつ、センサ値表示選択情報が保存されていないとき、選択情報の中からセンサ値表示選択情報を自動的に選択する機能を備えてもよい。なお、操作量トレンド表示部19は、センサ値表示選択情報として選択された日時の過去運転データの操作量に対応するトレンドグラフを、表示画面のトレンドグラフG2に太線や網掛けなどにより強調表示する表示データを生成してもよい。
【0053】
センサ値トレンド表示部20は、全センサ値のトレンドを表示する表示データを生成してもよく、全センサ値の一部のトレンドを表示する表示データを生成してもよい。全センサ値の一部のみについてトレンドを表示する場合、どのセンサ値を表示するか事前にプログラムの内部で設定しておいてもよいし、表示画面のプルダウン等でユーザが選択できるようにしてもよい。また、センサ値トレンド表示部20は、ユーザのマウス操作により、表示画面の類似度表示G4上の類似度がクリック(選択)されたセンサ値に関して、センサトレンドグラフG3にセンサ値のトレンドを表示するように表示データを生成できるよう構成されてもよい。
【0054】
センサ値類似度表示部21は、過去運転データ格納部12に保存された過去運転データおよび選択情報格納部11に保存されたセンサ値表示選択情報に基づき、選択された過去日時(センサ値表示選択情報)に対応するセンサ値の類似度表示G4(図8に示す)の表示データ(第3表示データ)を生成する。類似度表示G4におけるセンサ値の類似度の表示形式は、数値、グラフ、あるいは、数値とグラフとの組み合わせである。センサ値類似度表示部21は、全センサ値に関して類似度表示G4の表示データを生成してもよく、全センサ値の一部に関して類似度表示G4の表示データを生成してもよい。全センサ値の一部の類似度表示G4が行われる場合、どのセンサ値を表示するか事前にプログラムの内部で設定しておいてもよいし、表示画面のプルダウン等でユーザがセンサ値を選択できるようにしてもよい。
【0055】
また、センサ値類似度表示部21は、ユーザのマウス操作により、センサトレンドグラフG3上でクリックされた(選択された)センサ値について、類似度表示G4の表示データを生成してもよい。
【0056】
図8は、第2実施形態の運転支援装置におけるセンサ値トレンドおよび類似度表示の一例を示す図である。
図8では、図5に示す例に加え、センサ値のトレンド表示機能および類似度表示機能を含む画面構成の例を示している。ここでは、操作量トレンドグラフG2に表示されている3つの選択情報の内、5/10 17:00(5月19日の17時)に関する選択情報がセンサ値表示選択情報として選択されている。センサ値トレンド表示部20およびセンサ値類似度表示部21は、センサ値表示選択情報に基づき、該当する日時のセンサ値類似度およびセンサ値トレンドを表示する表示データを生成する。センサ値類似度表示部21は、事前にプログラムに設定された、複数のセンサの中の4つのセンサの検出値(センサ値)について、センサ類似度を数値および円グラフを用いて表示する表示データを生成する。
【0057】
センサトレンドグラフG3には、ユーザの操作により類似度表示G4でクリックして選択されたセンサS1のセンサ値トレンドが、現在時刻および5/10 17:00について、それぞれ類似度評価時間窓および操作適切度評価時間窓分重ねて表示されている。両者のトレンドを比較することで、ユーザは、重要なセンサ値について、過去運転データが現在の状況とどれだけ類似しているかを目視で確認することが可能となる。
【0058】
上記のように、本実施形態の運転支援装置、運転支援方法およびコンピュータプログラムによれば、ユーザは、対象とする過去運転データが現在のデータ(最新のデータ)と類似しているかどうかを、1つのセンサ値に注目して確認することが可能になる。その結果、ユーザは、選択した過去運転データが参考となるかどうか精査することが容易となる。
すなわち、本実施形態によれば、過去の運転実績を活用した運転の省力化と最適化を実現する運転支援装置、運転支援方法およびコンピュータプログラムを提供することができる。
【0059】
次に、第3実施形態の運転支援装置、運転支援方法およびコンピュータプログラムについて図面を参照して詳細に説明する。
図9は、第3実施形態の運転支援装置の一構成例を概略的に示すブロック図である。
本実施形態の運転支援装置1は、過去運転データ自動抽出部22を備える点において上述の第2実施形態の運転支援装置1と相違している。
【0060】
過去運転データ自動抽出部22は、過去運転データ格納部12に保存された過去運転データに含まれる操作適切度および類似度を元に、ユーザに参考となる過去運転データを自動で抽出し選択情報として保存する機能を備える。具体的には、過去運転データ自動抽出部22は、操作適切度が高く、全体類似度が高い過去運転データを、両値の重みづけ和などにより順位付けをし、全ての(若しくは所定期間の)過去運転データから所定数分(例えば順位の高い方からユーザが指定する表示数分)抽出し、選択情報として保存する。過去運転データ自動抽出部22は、その際に、一定の制約条件を満たすもののみが抽出対象となるよう、制約条件を事前に設定可能に構成されてもよい。
【0061】
また、過去運転データ自動抽出部22は、既に他の選択情報が保存されている場合、それらを消去して自動抽出された過去運転データのみ保存してもよいし、重複しないものは消去せずに保存しておいてもよい。また、過去運転データ自動抽出部22は、ユーザが選択した過去運転データと自動抽出により保存された過去運転データとを区別して保存してもよい。このことにより、例えば操作量トレンド表示部19は、ユーザが選択した過去運転データに基づくトレンドグラフと自動抽出された過去運転データに基づくトレンドグラフとを、色や形状などを変えて表示することができる。
【0062】
以上、本実施形態の運転支援装置、運転支援方法およびコンピュータプログラムによれば、過去運転データの中から、ユーザに参考となる過去運転データを自動で抽出することができる。その結果、運転支援装置、運転支援方法およびコンピュータプログラムによれば、ユーザに参考となる過去運転データを迅速かつ的確に表示することが可能となる。
すなわち、本実施形態によれば、過去の運転実績を活用した運転の省力化と最適化を実現する運転支援装置、運転支援方法およびコンピュータプログラムを提供することができる。
【0063】
次に、第4実施形態の運転支援装置、運転支援方法およびコンピュータプログラムについて図面を参照して詳細に説明する。
図10は、第4実施形態の運転支援装置の一構成例を概略的に示すブロック図である。
本実施形態の運転支援装置1は、フィルタリング情報格納部23を更に備えている点において上述の第1実施形態の運転支援装置1と相違している。
【0064】
フィルタリング情報格納部23は、例えば「原水濁度○○mg/L以上」など、散布図G1に表示すべき過去運転データの条件(過去運転データをフィルタリングするための情報(フィルタリング情報))を格納している。フィルタリング情報格納部23は、ユーザにより事前に入力されたフィルタリング情報を格納することができる。フィルタリング情報格納部23に格納されるフィルタリング情報は複数であってもよく、ゼロであってもよい。
【0065】
散布図表示部18は、例えば図4の散布図G1の表示時に、フィルタリング情報格納部23に保存されたフィルタリング情報を元に、フィルタリングされた後の過去運転データの散布図を表示する表示データを生成する。フィルタリング情報格納部23に複数のフィルタリング情報が格納されている場合、フィルタリング条件は、全てのフィルタリング情報を満たすものを表示する機能としてもよいし、1つでも満たす場合に表示する機能としてもよい。またフィルタリングの有無を選択するチェックボックスを画面に表示してもよい。この場合、散布図表示部18は、入力情報取得部13から供給されるフィルタリングの有無を指示する情報に基づいて、散布図に用いる過去運転データにフィルタリングを行うか否か切り替えてもよい。
【0066】
なお、散布図表示部18は、既に格納されている選択情報のうち、フィルタリング条件を満たさないものについて、選択情報格納部11から自動的に削除してもよいし、残留させてもよい。また、散布図表示部18は、選択情報の削除あるいは残留問わず、警告などを画面上に表示する表示データを生成してもよい。
【0067】
図11は、第4実施形態の運転支援装置におけるフィルタリング機能の一例について説明するための図である。
ここでは、ユーザによりフィルタリング有のチェックボックスが選択され、散布図G1上での表示数が減少した表示例を示している。また、この例では、フィルタリングに伴い既に選択情報として格納されていた「12/8 15:00」の過去運転データがフィルタリング条件を満たさないため、自動的に選択が解除され(選択情報格納部11から自動的に削除され)、ダイアログとしてその旨をユーザに表示している。
【0068】
以上、本実施形態の運転支援装置、運転支援方法およびコンピュータプログラムによれば、過去運転データの中から、フィルタリング情報を元に表示数を限定することができる。その結果、ユーザに参考となる過去運転データを迅速かつ的確に表示することが可能となる。
すなわち、本実施形態によれば、過去の運転実績を活用した運転の省力化と最適化を実現する運転支援装置、運転支援方法およびコンピュータプログラムを提供することができる。
【0069】
本実施形態に係るプログラムは、電子機器に記憶された状態で譲渡されてよいし、電子機器に記憶されていない状態で譲渡されてもよい。後者の場合は、プログラムは、ネットワークを介して譲渡されてよいし、記憶媒体に記憶された状態で譲渡されてもよい。記憶媒体は、非一時的な有形の媒体である。記憶媒体は、コンピュータ可読媒体である。記憶媒体は、CD-ROM、メモリカード等のプログラムを記憶可能かつコンピュータで読取可能な媒体であればよく、その形態は問わない。
【0070】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0071】
1…運転支援装置、3…監視制御システム、4…計測装置、5…上下水道プラント、11…選択情報格納部、12…過去運転データ格納部、13…入力情報取得部、14…過去運転データ取得部、15…操作適切度演算部、16…類似度演算部、17…画面出力部、18…散布図表示部、19…操作量トレンド表示部、19…表示部、20…センサ値トレンド表示部、21…センサ値類似度表示部、22…過去運転データ自動抽出部、23…フィルタリング情報格納部、100…プラント制御システム
図1
図2
図3
図4
図5
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