(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024146292
(43)【公開日】2024-10-15
(54)【発明の名称】レーザ光照射装置
(51)【国際特許分類】
A61B 18/20 20060101AFI20241004BHJP
A61N 5/067 20060101ALI20241004BHJP
【FI】
A61B18/20
A61N5/067
【審査請求】未請求
【請求項の数】12
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023059095
(22)【出願日】2023-03-31
(71)【出願人】
【識別番号】000006091
【氏名又は名称】Meiji Seikaファルマ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000338
【氏名又は名称】弁理士法人 HARAKENZO WORLD PATENT & TRADEMARK
(72)【発明者】
【氏名】山下 正明
(72)【発明者】
【氏名】吉原 雅也
(72)【発明者】
【氏名】小田 光輝
(72)【発明者】
【氏名】金川 達彦
(72)【発明者】
【氏名】山田 新
(72)【発明者】
【氏名】安井 佳織
【テーマコード(参考)】
4C026
4C082
【Fターム(参考)】
4C026AA04
4C026FF34
4C026HH03
4C082RA02
4C082RE35
4C082RL03
(57)【要約】
【課題】新規なレーザ光照射装置を提供すること
【解決手段】腫瘍に光感受性物質を蓄積させ、レーザ光を照射することにより当該腫瘍を治療する治療法に用いるレーザ光照射装置(1)は、レーザ光を発生させるレーザ光源(10)及びレーザ光を患部に照射する照射ユニット(12)を備え、照射ユニット(12)は、光学的に前記レーザ光を走査する走査機構を有する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
腫瘍に光感受性物質を蓄積させ、レーザ光を照射することにより当該腫瘍を治療する治療法に用いるレーザ光照射装置であって、
レーザ光を発生させるレーザ光源、及び、
前記レーザ光を患部に照射する照射ユニットを備え、
前記照射ユニットは、光学的に前記レーザ光を走査する走査機構を有する、レーザ光照射装置。
【請求項2】
前記レーザ光の照射位置近傍を撮像する撮像部と、
前記撮像部が撮像した撮像画像を表示する表示部と、を備え、
前記照射ユニットは、前記患部に合焦させることにより、前記照射ユニットと前記レーザ光の照射位置との距離を調整するためのガイド光を照射するガイド光照射部を備えている、
請求項1に記載のレーザ光照射装置。
【請求項3】
ユーザ操作に基づいて、前記レーザ光を照射すべき患部領域と、前記レーザ光の照射方式と、前記照射方式に応じた形状を有する照射予定範囲とを設定し、
前記照射ユニットの位置を調整して前記ガイド光の合焦位置を調整することを指示する指示画像を、前記照射予定範囲に基づいて生成するとともに、
前記表示部に、前記患部領域、前記照射予定範囲及び前記指示画像を前記撮像画像に重畳して表示させる制御部を備えている、
請求項2に記載のレーザ光照射装置。
【請求項4】
前記照射方式は、少なくとも以下の照射方式から選択される、請求項3に記載のレーザ光照射装置:
単一の位置に所定時間照射する照射方式;
円内を等角速度で走査する照射方式;及び
矩形内を平行に等速で走査する照射方式。
【請求項5】
前記制御部は、前記表示部に、前記レーザ光が照射済みの範囲を前記撮像画像に重畳して表示させる、請求項3に記載のレーザ光照射装置。
【請求項6】
前記走査機構は、凸レンズ、凹レンズ、ならびに、前記凸レンズ及び前記凹レンズの一方を光軸に垂直な方向に駆動する駆動部を備える、請求項1に記載のレーザ光照射装置。
【請求項7】
前記走査機構は、角度の調整が可能なミラーを備えたMEMSデバイスである、請求項1に記載のレーザ光照射装置。
【請求項8】
前記照射ユニットは、レーザ光の照射スポット径を切り替える切り替え機構を有する、請求項1に記載のレーザ光照射装置。
【請求項9】
前記照射ユニットは、水平方向及び鉛直方向における任意の位置で保持固定する機構を備える保持固定器具に取り付けられる、請求項1に記載のレーザ光照射装置。
【請求項10】
前記照射ユニットは、内視鏡用プローブである、請求項1に記載のレーザ光照射装置。
【請求項11】
前記治療法は、光線力学的療法または光免疫療法である、請求項1に記載のレーザ光照射装置。
【請求項12】
前記腫瘍は、脳の腫瘍、脊髄の腫瘍、頭頚部に存在する腫瘍、又は、表在性の腫瘍である、請求項1に記載のレーザ光照射装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、レーザ光照射装置に関する。
【背景技術】
【0002】
レーザ光を患部に照射するレーザ治療法の一態様である光線力学的療法(Photodynamic Therapy:以下、「PDT」と記載する)は、光感受性物質が蓄積された腫瘍に対して、該光感受性物質特有の励起波長のレーザ光を照射することで腫瘍を死滅させる治療法である。PDTにおいては、腫瘍全体にレーザ光を満遍なく照射するために複数回の照射が必要となる場合が多く、PDTの実施には長時間を要する。
【0003】
PDTの実施にかかる時間としては、レーザ光の照射時間、レーザ光が照射済みの範囲にマーカを配置する作業に要する時間、及び、レーザ光の照射位置を移動させる作業に要する時間が挙げられる。
【0004】
PDTにおいてレーザ光を照射する装置としては、特許文献1に記載されているような手術用顕微鏡の鏡筒部にレーザ光照射部を取り付けて使用するレーザ光照射装置が知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1のように手術用顕微鏡の鏡筒部にレーザ光照射部を取り付けて使用するレーザ光照射装置の場合、レーザ光の照射位置を移動させるためには、手術用顕微鏡の鏡筒部自体を移動させる必要がある。しかしながら、手術用顕微鏡は大型の装置であるために細かい照射位置の調整が困難であり、レーザ光の照射位置を移動させる作業に時間を要する。また、1回の照射毎に照射位置を移動させる必要があるため、照射回数が多いPDTの場合には更に時間を要する。更に、細かい照射位置の調整が困難であるために、治療対象の腫瘍においてレーザ光が照射されていない照射漏れ領域が生じたり、照射位置が重なることで過剰に照射される過剰照射領域が発生したりするという問題が生じる。
【0007】
本発明の一態様は、上記の問題に鑑みてなされたものであり、その目的は、治療対象の腫瘍において、照射漏れ領域及び過剰照射領域が生じないように効率よく適切な位置にレーザ光を照射することができると共に、PDTの実施にかかる時間を短縮することができる新規なレーザ光照射装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記の課題を解決するために、本発明の一態様に係るレーザ光照射装置は、光感受性物質を蓄積させた腫瘍に対して、レーザ光を照射することにより当該腫瘍を治療する治療法に用いるレーザ光照射装置であって、レーザ光を発生させるレーザ光源、及び、前記レーザ光を患部に照射する照射ユニットを備え、前記照射ユニットは、光学的に前記レーザ光を走査する走査機構を有する。
【発明の効果】
【0009】
本発明の一態様によれば、新規なレーザ光照射装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】レーザ光照射システムの構成の一例を示す模式図である。
【
図2】レーザ光照射システムが備えているレーザ光照射装置の構成を示すブロック図である。
【
図3】レーザ光照射装置が備えている照射ユニットの構成を示す模式図である。
【
図4】レーザ光照射装置におけるレーザ光の照射方式の一例を示す模式図である。
【
図5】レーザ光照射装置におけるレーザ光の照射方式の他の例を示す模式図である。
【
図6】レーザ光照射装置の表示部に表示される表示画像の一例を示す模式図である。
【
図7】レーザ光照射装置が備えている照射ユニットの構成の一変形例を示す模式図である。
【
図8】
図7に図示する照射ユニットが備えているMEMSデバイスの構成の一例を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
〔実施形態1〕
以下、本発明の一実施形態について、
図1~
図8を参照しながら詳細に説明する。
【0012】
(レーザ光照射システム100の概要)
本開示の一実施形態に係るレーザ光照射システム100は、対象者W1の患部にレーザ光を照射する治療の一態様であるPDTにおいて使用されるレーザ光照射装置1を含んでいるレーザ光照射システムである。なお、レーザ光照射システム100は、腫瘍に集積している光に反応する抗体と光感受性物質との複合体に対してレーザ光を照射する光免疫療法(Photoimmunotherapy:以下、「PIT」と記載する)においても、その他のレーザ光を生体に照射して治療する治療においても使用することができる。PDT及びPITの治療対象である腫瘍としては、脳の腫瘍、脊髄の腫瘍、頭頚部に存在する腫瘍(例えば、頭頚部がん)、又は表在性の腫瘍(例えば、皮膚がん)等が挙げられる。なお、本実施形態においては、PDTを例にして、レーザ光照射システム100について説明する。
【0013】
本明細書において、「対象者」とは、典型的には、手術台に臥床する患者であり、レーザ光照射システムにより治療を受ける者である。「手術者」とは、対象者に対して治療を実施する者であり、典型的には、医療関係者(例えば、医師)である。
【0014】
本明細書において、「レーザ光」とは、腫瘍に蓄積されている光感受性物質を励起させ得るエネルギー密度を有していればよく、典型的には指向性や収束性の高い単一波長光であるが、例えば、可視光、赤外線、紫外線等であってもよい。レーザ光は、その指向性等も含め、腫瘍に蓄積されている光感受性物質に適していれば任意に選択することができる。また、エネルギーが光である場合には、光源は発光ダイオード(LED)等の半導体も選択し得る。
【0015】
従来のレーザ光照射装置では、手術用顕微鏡の鏡筒部にレーザ光照射部がとりつけられている。そのため、手術用顕微鏡の鏡筒部を移動させることにより照射位置の調整をする必要があり、適切な照射位置への移動に時間を要する。また、1回の照射毎に照射位置の移動が必要であるために更に時間を要することによりPDTの実施に長時間を要する。更に、細かい照射位置の調整が困難であるために、照射漏れ領域及び過剰照射領域が発生するという問題点が生じていた。
【0016】
これに対して、レーザ光照射システム100は、レーザ光照射装置1において患部にレーザ光を照射する照射ユニット12が、光学的にレーザ光を走査する走査機構を有する構成を採用することにより、照射位置を移動させる作業にかかる時間を削減することができ、かつ、照射漏れ領域及び過剰照射領域が生じないように、効率よく照射予定範囲内にレーザ光を照射することができるレーザ光照射システムを実現する。また、手術者W2に示す表示画面上にレーザ光が照射済みの範囲を表示するため、レーザ光を1回照射する度にレーザ光が照射済みの範囲を示すマーカを患部に配置する作業を削減することができるレーザ光照射システムを実現する。
【0017】
(レーザ光照射システム100の構成)
レーザ光照射システム100の概略構成について、
図1及び
図2を参照しながら説明する。
図1は、レーザ光照射システムの構成の一例を示す模式図である。
図2は、レーザ光照射装置1の構成を示すブロック図である。
【0018】
レーザ光照射システム100は、
図1に示すように、レーザ光照射装置1と、保持固定器具2とを含んでいる。
【0019】
[レーザ光照射装置1]
レーザ光照射装置1の構成について、
図1及び
図2を参照しながら説明する。レーザ光照射装置1は、
図1及び
図2に示すように、レーザ光源10、ケーブル11、照射ユニット12、撮像部13、表示部14、入力部15、制御部16、及び記憶部17を備えている。
【0020】
<レーザ光源10>
レーザ光源10は、レーザ光を発生させる。一例として、レーザ光源10は、PDTにおいて使用される光感受性物質特有の励起波長のレーザ光を発生させる。光感受性物質の具体例としては、タラポルフィンナトリウムが挙げられる。この場合、レーザ光源10は、664nmのレーザ光を発生させる。
【0021】
<ケーブル11>
ケーブル11は、レーザ光を伝送する。一例として、ケーブル11は、レーザ光源10と照射ユニット12とを接続するケーブルであり、レーザ光源10において発生されたレーザ光(例えば、664nmのレーザ光)を照射ユニット12に導光する。ケーブル11の具体例としては、光ファイバが挙げられる。なお、本実施形態においては、光ファイバと電気ケーブルとからなるケーブルをケーブル11として採用した。これにより、レーザ光源10の操作による照射ユニット12の制御が可能になる。
【0022】
<照射ユニット12>
照射ユニット12は、レーザ光を照射する。一例として、照射ユニット12は、レーザ光源10が発生させ、ケーブル11により伝送されたレーザ光を対象者W1の患部に照射する。また、照射ユニット12は、保持固定器具2に取り付けられている。照射ユニット12の詳細については、図面を代えて後述する。なお、本実施形態においては、照射ユニット12として、対象者W1の体外からレーザ光を照射する照射ユニットを想定するが、これに限定されない。例えば、照射ユニット12は、内視鏡用プローブであってもよく、対象者W1の体内に挿入され、患部近傍でレーザ光を照射する構成であってもよい。
【0023】
<撮像部13>
撮像部13は、画角に含まれる被写体を撮像する。一例として、撮像部13は、レーザ光の照射位置近傍を撮像する。撮像部13は、レーザ光の照射位置近傍を常に撮像するために、照射ユニット12と一体に可動するように設置されてもよいし、照射ユニット12とは独立して可動するように設置されていてもよい。また、撮像部13は、公知のカメラであってもよい。撮像した画像は、手術者W2がリアルタイムで閲覧しながらレーザ光照射システム100を操作してもよいし、手術の記録画像として保存してもよい。
【0024】
<表示部14>
表示部14は、制御部16から出力された各種画像を表示する。一例として、表示部14は、撮像部13が撮像したレーザ光を照射すべき患部近傍を撮像した撮像画像を表示する。本実施形態においては、表示部14として手術者W2の入力操作を受け付けるタッチパネル式のディスプレイを想定するが、これに限定されない。例えば、画像表示機能のみを有するディスプレイであってもよい。
【0025】
<入力部15>
入力部15は、レーザ光照射装置1に対する手術者W2の入力操作を受け付け、入力操作の内容を示す信号を制御部16に送信する。一例として、入力部15は、レーザ光の照射位置を調整するためのジョイスティックである。手術者W2は、ジョイスティックを操作することにより後述する走査機構123を操作し、レーザ光の照射位置が患部に位置するように調整する。なお、入力部15は、手術者W2が操作しやすい任意の形態であってよい。入力部15の他の例としては、移動ボタン(いわゆる矢印キー)等が挙げられる。
【0026】
<制御部16>
制御部16は、レーザ光照射装置1が備える各構成要素を制御する。一例として、制御部16は、記憶部17に格納されている制御プログラム(図示せず)を実行することにより、レーザ光照射装置1が備える各構成要素を制御する。また、制御部16は、設定部161、画像処理部162、表示制御部163、及び照射制御部164を備えている。
【0027】
設定部161は、レーザ光を照射すべき患部領域、レーザ光の照射方式、及び、照射方式に応じた形状を有する照射予定範囲を設定する。一例として、設定部161は、手術者W2の入力操作に基づいて、レーザ光を照射すべき患部領域、レーザ光の照射方式、及び、照射方式に応じた形状を有する照射予定範囲を設定する。
【0028】
画像処理部162は、表示部14に表示される画像を生成する。一例として、画像処理部162は、設定部161において設定されたレーザ光の照射予定範囲に基づいて、手術者W2に照射ユニット12の位置を調整して後述するガイド光の合焦位置を調整することを指示する指示画像を生成する。ここで指示画像は、照射予定範囲の大部分と患部領域とが重なるとき、ガイド光の合焦位置を置くべき範囲を示し、その範囲内にガイド光の合焦位置を移動させることを指示する。
【0029】
表示制御部163は、各種情報を表示部14に表示する。一例として、表示制御部163は、撮像部13により撮像されたレーザ光の照射位置近傍の撮像画像に設定部161において設定されたレーザ光を照射すべき患部領域、及び、レーザ光の照射予定範囲と、画像処理部162において生成された指示画像とを重畳した表示画像を表示部14に表示する。また、一例として、画像処理部162は、レーザ光が照射済みの範囲を撮像部13により撮像された撮像画像に重畳した表示画像を表示部14に表示する。
【0030】
照射制御部164は、照射ユニット12から照射されるレーザ光の照射を制御する。一例として、照射制御部164は、設定部161において設定された照射方式に応じたレーザ光を照射する。照射方式の具体例については、図面を代えて後述する。
【0031】
<記憶部17>
記憶部17には、各種情報が格納される。一例として、記憶部17には、上述した制御プログラムの他に、設定部161において設定された各種設定、撮像部13が撮像した画像、画像処理部162が生成した指示画像、表示部14に表示される表示画像等の各種画像、及び照射日時や照射履歴等の各種記録が格納されている。
【0032】
[保持固定器具2]
保持固定器具2は、照射ユニット12を水平方向及び鉛直方向における任意の位置で保持固定する機構を備えている。保持固定器具2の一例としては、手術用顕微鏡が挙げられる。照射ユニット12は、手術用顕微鏡の鏡筒部に接続され、当該鏡筒部の可動範囲内において、任意の位置で保持固定される。
【0033】
本実施形態においては、保持固定器具2として手術用顕微鏡を想定するがこれに限定されない。例えば、内視鏡固定具等の手術室において使用する一般的な器具を保持固定器具2として用いてもよい。
【0034】
また、保持固定器具2は、照射ユニット12を任意の位置で保持固定出来ればよく、保持固定器具2が備えている任意の位置で保持固定する機構は、限定されない。例えば、本実施形態において保持固定器具2として採用した手術用顕微鏡は、1又は複数の関節を有し、当該関節が手術用顕微鏡のアーム21の屈曲具合を調整し、且つ、保持する機構を備えている。
【0035】
また、保持固定器具2は、レーザ光源10を載置するための棚や表示部14を取り付けるための取付部を更に備えている(
図1を参照)。本実施形態においては、レーザ光源10及び表示部14を保持固定器具2に載置及び取り付けしているが、レーザ光源10及び表示部14の設置場所は限定されず任意の場所に設置することができる。
【0036】
(照射ユニット12の構成)
照射ユニット12の構成の一例について、
図3を参照しながら説明する。
図3は、レーザ光照射装置が備えている照射ユニットの構成を示す模式図である。
【0037】
照射ユニット12は、
図3に示すように、レーザ光照射部121、ガイド光照射部122、走査機構123、全反射ミラー124、及びハーフミラー125を備えている。
【0038】
レーザ光照射部121は、レーザ光を照射する。一例として、レーザ光照射部121は、レーザ光源10において発生され、ケーブル11を介して導光されるレーザ光を対象者W1の患部に照射する。本実施形態において、レーザ光照射部121から照射されたレーザ光は、走査機構123を透過し、全反射ミラーに反射されて患部に照射される。
【0039】
ガイド光照射部122は、ガイド光を照射する。ガイド光は、照射ユニット12の位置に対応するレーザ光の照射位置を示す。ここで照射ユニット12に対応するレーザ光の照射位置とは、照射ユニット12を動かすことなく照射可能な範囲の中心である。また、ガイド光は、レーザ光照射部121とレーザ光の照射位置との距離の調整に用いる。レーザ光を使用する治療において、レーザ光は、安全性および治療効果の面から一定のエネルギー密度で患部に照射される必要がある。すなわち、レーザ光照射部121とレーザ光の照射位置とは、予め定められた所定の距離を保つ必要があるためである。
【0040】
本実施形態において、ガイド光照射部122から照射されたガイド光は、ハーフミラーに反射された第1ガイド光と、ハーフミラーを透過して全反射ミラーに反射された第2ガイド光とに分岐する。第1ガイド光及び第2ガイド光は、レーザ光照射部121とレーザ光の照射位置との距離が所定の値である場合に一点で合焦する。よって手術者W2は、第1ガイド光及び第2ガイド光が対象者W1の患部で合焦するように照射ユニット12の位置を調整することにより、適切な距離から患部にレーザ光を照射することができる。なお、所定の値とは、レーザ光が照射される患部において治療に必要なエネルギー密度に基づいて任意に決定され得る。
【0041】
走査機構123は、光学的にレーザ光を走査する。一例として、走査機構123は、凸レンズ、凹レンズ、及び駆動部(図示せず)を備えている。
【0042】
走査機構123が備えている凸レンズ及び凹レンズは、公知の凸レンズ及び凹レンズであり、その各々の曲率半径及び設置位置は任意に定め得る。
【0043】
駆動部は、凸レンズ、凹レンズ、ならびに、凸レンズ及び凹レンズの一方を光軸に垂直な方向に駆動させることにより、後述するレーザ光の照射方式を実現する。本実施形態においては、駆動部としてXYステージを採用する。XYステージは、照射方式に応じて制御部16が制御するように構成されていてもよいし、手術者W2が入力部15(本実施形態においては、ジョイスティック)を操作することにより操作されるように構成されていてもよい。
【0044】
(レーザ光の照射方式)
制御部16の設定部161において設定される照射方式について、
図4及び
図5を参照しながら説明する。
図4は、レーザ光照射装置におけるレーザ光の照射方式の一例を示す模式図である。
図5は、レーザ光照射装置におけるレーザ光の照射方式の他の例を示す模式図である。
【0045】
制御部16の設定部161において設定される照射方式は、少なくとも以下の照射方式から選択される:
単一の位置に所定時間照射する照射方式;
円内を等角速度で走査する照射方式;及び
矩形内を平行に等速で走査する照射方式。
【0046】
単一の位置に所定時間照射する照射方式(以下、「単一照射」とも記載する)は、一例として、手術者W2の入力操作に基づいて設定された照射位置にレーザ光を所定時間照射する方式である。
【0047】
円内を等角速度で走査する照射方式(以下、「円形スキャン」とも記載する)の一例について、
図4を参照して説明する。
図4では、レーザ光の照射位置を実線の円形で示し、円形スキャンの照射予定範囲を破線の円形で示す。ここで照射予定範囲は、レーザ光の照射位置の2倍の直径を有する円形とする。
図4に示すように、円形スキャンでは、照射予定範囲内においてレーザ光の照射位置を照射予定範囲内の矢印1のように等角速度で所定時間かけて移動させ、レーザ光を照射する。その後、円周上に位置する2、3、及び4が示す位置の各々を中心に等角速度で所定時間かけて移動させ、レーザ光を照射する方式である。ここで「等角速度」は任意に定め得る。これにより、破線で示す円形の照射予定範囲内において、上述の単一照射を複数回実施するより、照射漏れ領域及び過剰照射領域が生じないように、効率よく照射予定範囲内にレーザ光を照射することができるため、PDTの実施において照射時間を短縮することに寄与する。
【0048】
矩形内を平行で等速に走査する照射方式(以下、「平行スキャン」とも記載する)の一例について、
図5を参照して説明する。
図5では、レーザ光の照射位置を実線の円形で示し、平行スキャンの照射予定範囲を破線の矩形で示す。
図5に示すように、平行スキャンでは、照射予定範囲内においてレーザ光の照射位置を矢印1の示す方向にレーザ光の照射位置を平行に等速で所定時間かけて移動させ、レーザ光を照射する。その後、矢印2が示すように次の行において同様にレーザ光の照射位置を平行に等速で所定時間かけて移動させ、レーザ光を照射する方式である。ここで「等速」は、任意に定め得るが、矢印1が示す行における照射位置と矢印2が示す行における照射位置の重なりは一定になるように設定されることが好ましい。これにより、破線で示す矩形の照射予定範囲内において、上述の単一照射を複数回実施するより、照射漏れ領域及び過剰照射領域が生じないように、効率よく照射予定範囲内にレーザ光を照射することができるため、PDTの実施において照射時間を短縮することに寄与する。
【0049】
上述した照射方式の各々において、「所定時間」は任意に定め得る。一例として、所定時間とは、レーザ光が照射された位置において、照射されたレーザ光のエネルギー量が治療効果を発揮するために十分な程高くなるために必要な時間である。
【0050】
なお、本実施形態においては、設定され得る照射方式として、単一の位置に所定時間照射する照射方式、円内を等角速度で走査する照射方式、及び矩形内を平行に等速で走査する照射方式を挙げたが、これに限定されない。例えば、上述した照射方式を任意に組み合わせた照射方式であってもよいし、ジグザグに走査する照射方式であってもよい。
【0051】
(レーザ光照射装置1の操作手順)
レーザ光照射装置1の操作手順について、
図6を参照しながら説明する。
図6は、以下の手順において表示される表示画像の一例を示す図である。
【0052】
手術者W2は、以下の操作手順でレーザ光照射装置1を操作する。
(1)患部領域を設定する。
(2)照射方式を設定する。
(3)照射ユニット12の位置を調整する。
(4)レーザ光を照射する。
(5)レーザ光が照射済みの範囲を確認する。
【0053】
まず、手術者W2は、表示部14に表示されている撮像画像上で患部領域を囲むようにマークすることにより患部領域を設定する(操作手順(1))。
図6(1)は、操作手順(1)により患部領域が設定されたときに表示される表示画像である。
図6(1)に示す破線で囲まれた領域が手術者W2によって設定された患部領域を示している。
【0054】
次に、手術者W2は、撮像画像に操作手順(1)で設定した患部領域を重畳した表示画像上に、各照射方式における照射予定範囲を表示しながら未照射領域が少ない、且つ、正常組織へのレーザ光の照射が少なくなるような照射方式を設定する(操作手順(2))。
図6(2)は、操作手順(2)において照射方式を設定するときに照射方式に対応する照射予定範囲を表示した表示画像である。
図6(2)に示す実線で囲まれている範囲が照射予定範囲であり、ここでは円形スキャンを選択した場合の照射予定範囲を示している。また、照射予定範囲の中心部にある点Xは、ガイド光の合焦位置を示している。
【0055】
次に、手術者W2は、操作手順(1)で設定した患部領域、操作手順(2)で設定した照射予定範囲及び操作手順(1)及び(2)で設定された患部領域及び照射予定範囲に基づいて生成された指示画像を撮像画像に重畳した表示画像において、ガイド光の合焦位置を置くべき範囲にガイド光の合焦位置が含まれるように照射ユニット12を移動させて位置を調整する(操作手順(3))。
図6(3)は、患部領域、照射予定範囲及び指示画像を撮像画像に重畳した表示画像である。
図6(3)に示す矩形の範囲Yがガイド光の合焦位置を置くべき範囲であり、手術者W2は、点Xが矩形の範囲Yの範囲内に位置するように照射ユニット12の位置を調整する。なお、操作手順(3)を実施したとき、表示画像上では、照射ユニット12の移動に対応して照射予定範囲及び患部領域が移動する。
【0056】
次に、手術者W2は、操作手順(3)において位置調整がなされた患部領域と照射予定範囲との重なりを確認して、レーザ光の照射を開始する。
図6(4)は、レーザ光の照射前に手術者W2が患部領域と照射予定範囲との重なりを確認するときに表示される表示画像である。
【0057】
手術者W2は、操作手順(4)においてレーザ光が照射された照射済みの範囲を示す表示画像において、患部領域全体にレーザ光が照射されたことが確認された場合には、レーザ光の照射を終了する。患部領域にレーザ光が照射されていない未照射領域が確認された場合には、操作手順(2)~(5)を未照射領域がなくなるまで繰り返す。
図6(5)は、設定された照射予定範囲でのレーザ光の照射が終了したあとに表示される表示画像である。
図6(5)に示す円形の範囲は、レーザ光が照射済みの範囲を示している。
【0058】
上述した操作手順では、照射方式として円形スキャンを選択した場合を例に挙げて説明したが、他の照射方式を選択した場合でも同様に操作手順(1)~(5)を実行する。平行スキャンを選択した場合には、
図6(2)~(5)において円形で示されている範囲が矩形の範囲に代わる。また、単一照射を選択した場合には、操作手順(3)において、照射ユニット12の移動による照射予定範囲の位置合わせに加えて、入力部15(本実施形態においては、ジョイスティック)を操作することにより走査機構123を操作して更なる位置合わせを実行してもよい。
【0059】
(レーザ光照射システム100の効果)
レーザ光照射システム100によれば、PDTの実施にかかる時間を短縮することができるレーザ光照射システムを実現することができる。
【0060】
特に、走査機構123を備えることにより、照射ユニット12を移動させることなくレーザ光を走査することができる。これにより、レーザ光を1回照射する度に照射ユニット12を移動させて照射位置の調整をする必要が無くなりPDTの実施において時間がかかる作業の1つである照射位置の移動にかかる時間を短縮することができる、かつ、照射漏れ領域及び過剰照射領域が生じないように、効率よく照射予定範囲内にレーザ光を照射することができる。
【0061】
また、レーザ光照射システム100は、レーザ光が照射済みの範囲を示した表示画像(
図6(5)を参照)を表示部14に表示することにより患部に照射済みの範囲を示すマーカを配置する必要が無くなりPDTの実施にPDTの実施において時間がかかる作業の1つであるマーカの配置にかかる時間を短縮することができる。
【0062】
更に、レーザ光照射システム100は、レーザ光の照射履歴や記録やレーザ光が照射済みの範囲を示した画像等のPDTの実施に関する種々の情報を記録することができる。
【0063】
このように、レーザ光照射システム100は、PDTの実施にかかる時間を短縮することができる、かつ、効率よく照射予定範囲内にレーザ光を照射することができるため、対象者W1及び手術者W2の双方の負担を軽減するという効果に加え、PDTの実施に関する種々の情報を記録することで、当該記録を用いたPDTの実施内容の検証(例えば、再発の原因追及等)や手術関係者以外への情報共有等、その他の用途に供することができるという副次的効果も奏する。
【0064】
(付加機能)
本実施形態にかかるレーザ光照射装置1は、更に、レーザ光の照射スポット径を切り替える機能を有していてもよい。レーザ光の照射スポットとは、1回の照射でレーザ光が照射される範囲である。レーザ光照射装置1は、
図3に示す照射ユニット12の構成において、レーザ光照射部121と走査機構123との間に切り替え機構を備えることによりレーザ光の照射スポット径を切り替える機能を実現する。一例として、切り替え機構は、凹レンズを備える機構である。凹レンズをレーザ光の光路上に挿入したときには、レーザ光の照射スポット径を拡大し、凹レンズをレーザ光の光路上から外したときには、元のレーザ光の照射スポット径に戻る。なお、凹レンズの曲率半径は、拡大したスポット径に対応して任意に決定することができ、曲率半径の異なる複数の凹レンズを用いて様々な大きさのスポット径に切り替えてもよい。レーザ光照射装置1はこのような切り替え機構を備えることにより、照射ユニット12の位置を移動させることなく照射可能範囲を拡大することができる。また、様々なスポット径を有するレーザ光を組み合わせることにより、患部領域の形状が複雑な場合であっても患部領域の形状に合わせて効率よくレーザ光を照射することができる。
【0065】
(照射ユニット12の変形例)
照射ユニットの変形例1(以下、「照射ユニット12a」と記載する)について
図7及び
図8を参照しながら説明する。
図7は、照射ユニット12aの構成の一例を示す模式図である。
図8は、照射ユニット12aが備えているMEMSデバイスの構成の一例を示す模式図である。なお、説明の便宜上、レーザ光照射システム100にて説明した部材と同じ機能を有する部材については、同じ符号を付記し、その説明を繰り返さない。
【0066】
照射ユニット12aは、
図7に示すように、走査機構123に代えて走査機構123aを備えており、走査機構123aが照射ユニット12においてレーザ光を患部に向けて反射している全反射ミラーの機能も兼ねている点において照射ユニット12と異なる。
【0067】
走査機構123aは、
図8に示すように、角度の調整が可能なミラー1231を備えたMEMSデバイスである。MEMSデバイスは、ミラー1231の軸a及び軸b周りにおける角度を調整することができ、更にMEMSデバイス自体の軸A及び軸B周りにおける角度を調整することができる。すなわち、MEMSデバイスは、ミラー1231及びMEMSデバイス自体の角度を調整することによりレーザ光を走査する。MEMSデバイスのミラー1231及びMEMSデバイス自体の角度は、照射方式に応じて制御部16が制御するように構成されていてもよいし、入力部15(本実施形態においては、ジョイスティック)の操作に対応するように構成されていてもよく、手術者W2は、ジョイスティックを操作することにより走査機構123を操作し、レーザ光の照射位置が患部に位置するように調整してもよい。
【0068】
〔付記事項〕
本発明は上述した各実施形態に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能であり、異なる実施形態にそれぞれ開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施形態についても本発明の技術的範囲に含まれる。
【0069】
〔まとめ〕
本実施形態の態様1に係るレーザ光照射装置は、腫瘍に光感受性物質を蓄積させ、レーザ光を照射することにより当該腫瘍を治療する治療法に用いるレーザ光照射装置であって、レーザ光を発生させるレーザ光源、及び、前記レーザ光を患部に照射する照射ユニットを備え、前記照射ユニットは、光学的に前記レーザ光を走査する走査機構を有する。
【0070】
上記の構成によれば、照射ユニットを移動させることなく光学的にレーザ光を走査することで、レーザ光を1回照射する度に照射ユニットを移動させて位置合わせする必要がなくなるため、治療にかかる時間を削減することができる。
【0071】
本実施形態の態様2に係るレーザ光照射装置は、上記態様1において、前記レーザ光の照射位置近傍を撮像する撮像部と、前記撮像部が撮像した撮像画像を表示する表示部と、を備え、前記照射ユニットは、前記患部に合焦させることにより、前記照射ユニットと前記レーザ光の照射位置との距離を調整するためのガイド光を照射するガイド光照射部を備えている。
【0072】
上記の構成によれば、手術者は、より簡単に照射ユニットとレーザ光の照射位置との距離を調整することができる。
【0073】
本実施形態の態様3に係るレーザ光照射装置は、上記態様1又は2において、ユーザ操作に基づいて、前記レーザ光を照射すべき患部領域と、前記レーザ光の照射方式と、前記照射方式に応じた形状を有する照射予定範囲とを設定し、前記照射ユニットの位置を調整して前記ガイド光の合焦位置を調整することを指示する指示画像を、前記照射予定範囲に基づいて生成するとともに、前記表示部に、前記患部領域、前記照射予定範囲及び前記指示画像を前記撮像画像に重畳して表示させる制御部を備えている。
【0074】
上記の構成によれば、手術者は表示部に表示される表示画像に従えばよく、より簡単に照射位置の調整を行うことができる。
【0075】
本実施形態の態様4に係るレーザ光照射装置は、上記態様1~3の何れか1つにおいて、前記照射方式は、少なくとも以下の照射方式から選択される、単一の位置に所定時間照射する照射方式、円内を等角速度で走査する照射方式、及び矩形内を平行に等速で走査する照射方式。
【0076】
上記の構成によれば、治療対象である腫瘍に好適な照射方式を選択して、その照射方式に基づいてレーザ光が照射されるため、より効率的に治療を実施することができる。
【0077】
本実施形態の態様5に係るレーザ光照射装置は、上記態様1~4の何れか1つにおいて、前記制御部は、前記表示部に、前記レーザ光が照射済みの範囲を前記撮像画像に重畳して表示させる。
【0078】
上記の構成によれば、レーザ光を照射すべき範囲において、レーザ光が照射されていない照射漏れ領域、及び、照射位置が重なることで過剰に照射される過剰照射領域の発生を防ぐことができる。
【0079】
本実施形態の態様6に係るレーザ光照射装置は、上記態様1~5の何れか1つにおいて、前記走査機構は、凸レンズ、凹レンズ、ならびに、前記凸レンズ及び前記凹レンズの一方を光軸に垂直な方向に駆動する駆動部を備える。
【0080】
上記の構成によれば、照射ユニットを移動させることなく光学的にレーザ光を走査することで、レーザ光を1回照射する度に照射ユニットを移動させて位置合わせする必要がなくなるため、治療にかかる時間を削減することができる。
【0081】
本実施形態の態様7に係るレーザ光照射装置は、上記態様1~6の何れか1つにおいて、前記走査機構は、角度の調整が可能なミラーを備えたMEMSデバイスである。
【0082】
上記の構成によれば、照射ユニットを移動させることなく光学的にレーザ光を走査することで、レーザ光を1回照射する度に照射ユニットを移動させて位置合わせする必要がなくなるため、治療にかかる時間を削減することができる。
【0083】
本実施形態の態様8に係るレーザ光照射装置は、上記態様1~7の何れか1つにおいて、前記照射ユニットは、レーザ光の照射スポット径を切り替える切り替え機構を有する。
【0084】
上記の構成によれば、異なる大きさのスポット径を有するレーザ光の照射を組み合わせることにより、患部領域の形状に適した照射方式を実行することができる。
【0085】
本実施形態の態様9に係るレーザ光照射装置は、上記態様1~8の何れか1つにおいて、前記照射ユニットは、水平方向及び鉛直方向における任意の位置で保持固定する機構を備える保持固定器具に取り付けられる。
【0086】
上記の構成によれば、照射ユニットを任意の位置で保持固定することができる。これにより操作性が向上し患部に精度良くレーザ光を照射することができる。
【0087】
本実施形態の態様10に係るレーザ光照射装置は、上記態様1~9の何れか1つにおいて、前記照射ユニットは、内視鏡用プローブである。
【0088】
上記の構成によれば、体内から患部にレーザ光を照射する場合においても、治療にかかる時間を短縮することができる。
【0089】
本実施形態の態様11に係るレーザ光照射装置は、上記態様1~10の何れか1つにおいて、前記治療法は、光線力学的療法または光免疫療法である。
【0090】
上記の構成によれば、光線力学的療法または光免疫療法の治療にかかる治療時間を削減することができる。
【0091】
本実施形態の態様12に係るレーザ光照射装置は、上記態様1~11の何れか1つにおいて、前記腫瘍は、脳の腫瘍、脊髄の腫瘍、頭頚部に存在する腫瘍、又は、表在性の腫瘍である。
【0092】
上記の構成によれば、前記腫瘍は、脳の腫瘍、脊髄の腫瘍、頭頚部に存在する腫瘍、又は、表在性の腫瘍に対する治療においても治療時間を短縮することができる。
【符号の説明】
【0093】
100 レーザ光照射システム
1 レーザ光照射装置
2 保持固定器具
10 レーザ光源
11 ケーブル
12 照射ユニット
13 撮像部
14 表示部
15 入力部
16 制御部
17 記憶部