(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024146294
(43)【公開日】2024-10-15
(54)【発明の名称】マルチコアファイバ、光デバイス、ファンイン/ファンアウトデバイス、及びマルチコアファイバ集合体
(51)【国際特許分類】
G02B 6/02 20060101AFI20241004BHJP
G02B 6/36 20060101ALI20241004BHJP
G02B 6/26 20060101ALI20241004BHJP
【FI】
G02B6/02 461
G02B6/02 421
G02B6/36
G02B6/26
【審査請求】有
【請求項の数】15
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023059097
(22)【出願日】2023-03-31
(71)【出願人】
【識別番号】000005186
【氏名又は名称】株式会社フジクラ
(74)【代理人】
【識別番号】110000338
【氏名又は名称】弁理士法人 HARAKENZO WORLD PATENT & TRADEMARK
(72)【発明者】
【氏名】小田 拓弥
【テーマコード(参考)】
2H036
2H137
2H250
【Fターム(参考)】
2H036JA00
2H036JA01
2H036QA01
2H036QA56
2H137AB01
2H137BA15
2H137BA18
2H137BA20
2H137CD38
2H250AB03
2H250AB05
2H250AC03
2H250AC64
2H250AC66
2H250AC83
2H250AC94
(57)【要約】
【課題】端面の傾斜方向が接続を考慮して適切に設定されたマルチコアファイバを実現する。
【解決手段】マルチコアファイバ(MF)において、第1端面(σ1)及び第2端面(σ2)の傾斜方向(v1,v2)は、第1端面(σ1)におけるコア(a1~an)の延在方向と第2端面(σ2)におけるコア(a1~an)の延在方向との成す角を最小化するように第1端面(σ1)と第2端面(σ2)とを面接触させた場合に、第1端面(σ1)におけるコア(a1~an)の各々が第2端面(σ2)におけるコア(a1~an)の何れかと少なくとも部分的に重なり合うように設定されている。各端面(σ1,σ2)において、コア(a1~an)は、略線対称に配置されており、略線対称の軸は、その端面の傾斜方向(v1,v2)に直交する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
クラッド、当該クラッド内に形成された複数のコア、並びに、当該複数のコアの延在方向と直交しないように傾斜した第1端面及び第2端面を有するマルチコアファイバにおいて、
前記第1端面における前記複数のコアの延在方向と前記第2端面における前記複数のコアの延在方向との成す角を最小化するように前記第1端面と前記第2端面とを面接触させた場合に、前記第1端面における前記複数のコアの各々が前記第2端面における前記複数のコアの何れかと少なくとも部分的に重なり合い、
前記第1端面において、前記複数のコアは、略線対称に配置されており、略線対称の軸になる仮想直線は、前記第1端面の傾斜方向に略直交する仮想直線のみであり、
前記第2端面において、前記複数のコアは、略線対称に配置されており、略線対称の軸になる仮想直線は、前記第2端面の傾斜方向に略直交する仮想直線のみである、
ことを特徴とするマルチコアファイバ。
【請求項2】
クラッド、当該クラッド内に形成された複数のコア、及び、当該複数のコアの延在方向と直交しないように傾斜した第1端面を有するマルチコアファイバであって、クラッド、当該クラッド内に形成された複数のコア、及び、当該複数のコアの延在方向と直交しないように傾斜した第2端面を有する他のマルチコアファイバと接続可能なマルチコアファイバにおいて、
前記第1端面における前記複数のコアの延在方向と前記第2端面における前記複数のコアの延在方向との成す角を最小化するように前記第1端面と前記第2端面とを面接触させた場合に、前記第1端面における前記複数のコアの各々が前記第2端面における前記複数のコアの何れかと少なくとも部分的に重なり合い、
前記第1端面において、前記複数のコアは、略線対称に配置されており、略線対称の軸になる仮想直線は、前記第1端面の傾斜方向に略直交する仮想直線のみであり、
前記第2端面において、前記複数のコアは、略線対称に配置されており、略線対称の軸になる仮想直線は、前記第2端面の傾斜方向に略直交する仮想直線のみである、
ことを特徴とするマルチコアファイバ。
【請求項3】
前記第1端面内の仮想直線であって、その仮想直線に対して前記第1端面を反転させた場合、前記複数のコアの各々が前記複数のコアの何れかと少なくとも部分的に重なり合うという条件を満たす仮想直線は、前記第1端面の傾斜方向との成す角が15°以下になる仮想直線のみであり、
前記第2端面内の仮想直線であって、その仮想直線に対して前記第2端面を反転させた場合、前記複数のコアの各々が前記複数のコアの何れかと少なくとも部分的に重なり合うという条件を満たす仮想直線は、前記第2端面の傾斜方向との成す角が15°以下になる仮想直線のみである、
ことを特徴とする請求項1に記載のマルチコアファイバ。
【請求項4】
前記第1端面において、前記複数のコアは、線対称に配置されており、線対称の軸になる仮想直線は、前記第1端面の傾斜方向に直交する仮想直線のみであり、
前記第2端面において、前記複数のコアは、線対称に配置されており、線対称の軸になる仮想直線は、前記第2端面の傾斜方向に直交する仮想直線のみである、
ことを特徴とする請求項1に記載のマルチコアファイバ。
【請求項5】
前記第1端面の傾斜角と前記第2端面の傾斜角とが実質的に等しい、
ことを特徴とする請求項1に記載のマルチコアファイバ。
【請求項6】
前記第1端面及び前記第2端面において前記複数のコアのコア番号を特定可能であり、
前記成す角を最小化するように前記第1端面と前記第2端面とを面接触させた場合に、少なくとも部分的に重なり合うコアの前記コア番号が一致する、
ことを特徴とする請求項1に記載のマルチコアファイバ。
【請求項7】
前記第1端面及び前記第2端面において前記複数のコアのコア番号を特定可能であり、
前記成す角を最小化するように前記第1端面と前記第2端面とを面接触させた場合に、少なくとも部分的に重なり合うコアの前記コア番号が相違する、
ことを特徴とする請求項2に記載のマルチコアファイバ。
【請求項8】
前記第1端面において前記略線対称の軸になる第1直線が前記複数のコアの何れとも交わらず、
前記第2端面において前記略線対称の軸になる第2直線が前記複数のコアの何れとも交わらない、
ことを特徴とする請求項1に記載のマルチコアファイバ。
【請求項9】
前記クラッド内に形成されたマーカを更に有し、
前記第1端面において、前記マーカの中心が、前記第1直線と、前記複数のコアのうち前記第1直線から最も遠いコアの中心を通り前記第1直線と平行な直線との間に含まれ、
前記第2端面において、前記マーカの中心が、前記第2直線と、前記複数のコアのうち前記第2直線から最も遠いコアの中心を通り前記第2直線と平行な直線との間に含まれる、
ことを特徴とする請求項8に記載のマルチコアファイバ。
【請求項10】
前記複数のコアには、前記第1端面において前記略線対称の軸になる第1直線と交わり、且つ、前記第2端面において前記略線対称の軸になる第2直線と交わる通信用のコアが含まれる、
ことを特徴とする請求項1に記載のマルチコアファイバ。
【請求項11】
複数のマルチコアファイバを束ねたマルチコアファイバ束と、前記マルチコアファイバ束の一端に設けられた多芯コネクタ又は一体化された単芯コネクタ群と、を備えており、
前記複数のマルチコアファイバの各々は、請求項1~10の何れか一項に記載のマルチコアファイバであり、前記第1端面及び前記第2端面のうち前記多芯コネクタ又は単芯コネクタ群が設けられる側の端面であるコネクタ側端面の傾斜方向が特定の方向に揃うように、前記多芯コネクタ又は単芯コネクタ群に固定されている、
ことを特徴とする光デバイス。
【請求項12】
光路変換部とマルチコアファイバとを有するファンイン/ファンアウトデバイスであって、
前記マルチコアファイバが請求項1~10の何れか一項に記載のマルチコアファイバであるか、又は、前記マルチコアファイバが請求項1~10の何れか一項に記載のマルチコアファイバと接続されている、
ことを特徴とするファンイン/ファンアウトデバイス。
【請求項13】
第1クラッド、当該第1クラッド内に形成された複数の第1コア、及び、当該複数の第1コアの延在方向と直交しないように傾斜した第1端面を有する第1マルチコアファイバと、第2クラッド、当該第2クラッド内に形成された複数の第2コア、及び、当該複数の第2コアの延在方向と直交しないように傾斜した第2端面を有する第2マルチコアファイバと、を含むマルチコアファイバ集合体において、
前記第1端面における前記複数の第1コアの延在方向と前記第2端面における前記複数の第2コアの延在方向との成す角を最小化するように前記第1端面と前記第2端面とを面接触させた場合に、前記第1端面における前記複数の第1コアの各々が前記第2端面における前記複数の第2コアの何れかと少なくとも部分的に重なり合い、
前記第1端面において、前記複数の第1コアは、略線対称に配置されており、略線対称の軸になる仮想直線は、前記第1端面の傾斜方向に略直交する仮想直線であり、
前記第2端面において、前記複数の第2コアは、略線対称に配置されており、略線対称の軸になる仮想直線は、前記第2端面の傾斜方向に略直交する仮想直線である、
ことを特徴とするマルチコアファイバ集合体。
【請求項14】
前記第1マルチコアファイバの前記第1端面と前記第2マルチコアファイバの前記第2端面とが、前記第1端面における前記複数の第1コアの延在方向と前記第2端面における前記複数の第2コアの延在方向との成す角を最小化するように接続されており、
前記第1端面及び前記第2端面において前記複数の第1コア及び第2コアのコア番号を特定可能であり、
各第1コアのコア番号と該第1コアと接続される第2コアのコア番号とが一致する、
ことを特徴とする請求項13に記載のマルチコアファイバ集合体。
【請求項15】
前記第1マルチコアファイバの前記第1端面と前記第2マルチコアファイバの前記第2端面とが、前記第1端面における前記複数の第1コアの延在方向と前記第2端面における前記複数の第2コアの延在方向との成す角を最小化するように接続されており、
前記第1端面及び前記第2端面において前記複数の第1コア及び第2コアのコア番号を特定可能であり、
各第1コアのコア番号と該第1コアと接続される第2コアのコア番号とが相違する、
ことを特徴とする請求項13に記載のマルチコアファイバ集合体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、マルチコアファイバに関する。また、本発明は、マルチコアファイバを含む光デバイス、ファンイン/ファンアウトデバイス、及びマルチコアファイバ集合体に関する。
【背景技術】
【0002】
光通信の分野においては、複数のコアを備えたマルチコアファイバが広く利用されている。マルチコアファイバを開示した文献としては、例えば、特許文献1が挙げられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
光ファイバにおいては、端面における反射を低減するために、コアの延在方向と直交しないように端面を傾斜させることが広く行われている。しかしながら、マルチコアファイバの端面を傾斜させる場合、例えば、以下のような問題を生じ得る。
【0005】
すなわち、端面が傾斜している2本のマルチコアファイバを、それぞれのマルチコアファイバの端面におけるコアの延在方向が一致するように接続しようとすると、一方のマルチコアファイバのコアを他方のマルチコアファイバのコアと重ね合わせることができない場合がある。これは、それぞれのマルチコアファイバの端面の傾斜方向が接続を考慮して適切に設定されていないためである。
【0006】
本発明の一態様は、上記の問題に鑑みてなされたものであり、その目的は、接続を考慮して端面の傾斜方向が適切に設定されたマルチコアファイバ、そのようなマルチコアファイバを含む光デバイス、そのようなマルチコアファイバを含むファンイン/ファンアウトデバイス、又は、そのようなマルチコアファイバを含むマルチコアファイバ集合体を実現することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
態様1に係るマルチコアファイバは、クラッド、当該クラッド内に形成された複数のコア、並びに、当該複数のコアの延在方向と直交しないように傾斜した第1端面及び第2端面を有するマルチコアファイバにおいて、前記第1端面における前記複数のコアの延在方向と前記第2端面における前記複数のコアの延在方向との成す角を最小化するように前記第1端面と前記第2端面とを面接触させた場合に、前記第1端面における前記複数のコアの各々が前記第2端面における前記複数のコアの何れかと少なくとも部分的に重なり合い、前記第1端面において、前記複数のコアは、略線対称に配置されており、略線対称の軸になる仮想直線は、前記第1端面の傾斜方向に略直交する仮想直線のみであり、前記第2端面において、前記複数のコアは、略線対称に配置されており、略線対称の軸になる仮想直線は、前記第2端面の傾斜方向に略直交する仮想直線のみである。
【0008】
態様2に係るマルチコアファイバは、クラッド、当該クラッド内に形成された複数のコア、及び、当該複数のコアの延在方向と直交しないように傾斜した第1端面を有するマルチコアファイバであって、クラッド、当該クラッド内に形成された複数のコア、及び、当該複数のコアの延在方向と直交しないように傾斜した第2端面を有する他のマルチコアファイバと接続可能なマルチコアファイバにおいて、前記第1端面における前記複数のコアの延在方向と前記第2端面における前記複数のコアの延在方向との成す角を最小化するように前記第1端面と前記第2端面とを面接触させた場合に、前記第1端面における前記複数のコアの各々が前記第2端面における前記複数のコアの何れかと少なくとも部分的に重なり合い、前記第1端面において、前記複数のコアは、略線対称に配置されており、略線対称の軸になる仮想直線は、前記第1端面の傾斜方向に略直交する仮想直線のみであり、前記第2端面において、前記複数のコアは、略線対称に配置されており、略線対称の軸になる仮想直線は、前記第2端面の傾斜方向に略直交する仮想直線のみである。
【0009】
態様3に係るマルチコアファイバは、態様1又は2に係るマルチコアファイバにおいて、前記第1端面内の仮想直線であって、その仮想直線に対して前記第1端面を反転させた場合、前記複数のコアの各々が前記複数のコアの何れかと少なくとも部分的に重なり合うという条件を満たす仮想直線は、前記第1端面の傾斜方向との成す角が15°以下になる仮想直線のみであり、前記第2端面内の仮想直線であって、その仮想直線に対して前記第2端面を反転させた場合、前記複数のコアの各々が前記複数のコアの何れかと少なくとも部分的に重なり合うという条件を満たす仮想直線は、前記第2端面の傾斜方向との成す角が15°以下になる仮想直線のみである。
【0010】
態様4に係るマルチコアファイバは、態様1~3の何れかに係るマルチコアファイバにおいて、前記第1端面において、前記複数のコアは、線対称に配置されており、線対称の軸になる仮想直線は、前記第1端面の傾斜方向に直交する仮想直線のみであり、前記第2端面において、前記複数のコアは、線対称に配置されており、線対称の軸になる仮想直線は、前記第2端面の傾斜方向に直交する仮想直線のみである。
【0011】
態様5に係るマルチコアファイバは、態様1~4の何れかに係るマルチコアファイバにおいて、前記第1端面の傾斜角と前記第2端面の傾斜角とが実質的に等しい。
【0012】
態様6に係るマルチコアファイバは、態様1~5の何れかに係るマルチコアファイバにおいて、前記第1端面及び前記第2端面において前記複数のコアのコア番号を特定可能であり、前記成す角を最小化するように前記第1端面と前記第2端面とを面接触させた場合に、少なくとも部分的に重なり合うコアの前記コア番号が一致する。
【0013】
態様7に係るマルチコアファイバは、態様2に係るマルチコアファイバ、又は、態様13に係るマルチコアファイバ集合体に含まれるマルチコアファイバにおいて、前記第1端面及び前記第2端面において前記複数のコアのコア番号を特定可能であり、前記成す角を最小化するように前記第1端面と前記第2端面とを面接触させた場合に、少なくとも部分的に重なり合うコアの前記コア番号が相違する。
【0014】
態様8に係るマルチコアファイバは、態様1~7の何れかに係るマルチコアファイバにおいて、前記第1端面において前記略線対称の軸になる第1直線が前記複数のコアの何れとも交わらず、前記第2端面において前記略線対称の軸になる第2直線が前記複数のコアの何れとも交わらない。
【0015】
態様9に係るマルチコアファイバは、態様8に係るマルチコアファイバにおいて、前記クラッド内に形成されたマーカを更に有し、前記第1端面において、前記マーカの中心が、前記第1直線と、前記複数のコアのうち前記第1直線から最も遠いコアの中心を通り前記第1直線と平行な直線との間に含まれ、前記第2端面において、前記マーカの中心が、前記第2直線と、前記複数のコアのうち前記第2直線から最も遠いコアの中心を通り前記第2直線と平行な直線との間に含まれる。
【0016】
態様10に係るマルチコアファイバは、態様1~9の何れかに係るマルチコアファイバにおいて、前記複数のコアには、前記第1端面において前記略線対称の軸になる前記第1直線と交わり、且つ、前記第2端面において前記略線対称の軸になる前記第2直線と交わる通信用のコアが含まれる。
【0017】
態様11に係る光デバイスは、複数のマルチコアファイバを束ねたマルチコアファイバ束と、前記マルチコアファイバ束の一端に設けられた多芯コネクタ又は一体化された単芯コネクタ群と、を備えており、前記複数のマルチコアファイバの各々は、態様1~10の何れかに係るマルチコアファイバであり、前記第1端面及び前記第2端面のうち前記多芯コネクタ又は単芯コネクタ群が設けられる側の端面であるコネクタ側端面の傾斜方向が特定の方向に揃うように、前記多芯コネクタ又は単芯コネクタ群に固定されている。
【0018】
態様12に係るファンイン/ファンアウトデバイスは、光路変換部とマルチコアファイバとを有するファンイン/ファンアウトデバイスであって、前記マルチコアファイバが態様1~10の何れかに係るマルチコアファイバであるか、又は、前記マルチコアファイバが態様1~10の何れかに係るマルチコアファイバと接続されている。
【0019】
態様13に係るマルチコアファイバ集合体は、第1クラッド、当該第1クラッド内に形成された複数の第1コア、及び、当該複数の第1コアの延在方向と直交しないように傾斜した第1端面を有する第1マルチコアファイバと、第2クラッド、当該第2クラッド内に形成された複数の第2コア、及び、当該複数の第2コアの延在方向と直交しないように傾斜した第2端面を有する第2マルチコアファイバと、を含むマルチコアファイバ集合体において、前記第1端面における前記複数の第1コアの延在方向と前記第2端面における前記複数の第2コアの延在方向との成す角を最小化するように前記第1端面と前記第2端面とを面接触させた場合に、前記第1端面における前記複数の第1コアの各々が前記第2端面における前記複数の第2コアの何れかと少なくとも部分的に重なり合い、前記第1端面において、前記複数のコアは、略線対称に配置されており、略線対称の軸になる仮想直線は、前記第1端面の傾斜方向に略直交する仮想直線であり、前記第2端面において、前記複数のコアは、略線対称に配置されており、略線対称の軸になる仮想直線は、前記第2端面の傾斜方向に略直交する仮想直線である。
【0020】
態様14に係るマルチコアファイバ集合体は、態様13に係るマルチコアファイバ集合体において、前記第1マルチコアファイバの前記第1端面と前記第2マルチコアファイバの前記第2端面とが、前記第1端面における前記複数の第1コアの延在方向と前記第2端面における前記複数の第2コアの延在方向との成す角を最小化するように接続されており、前記第1端面及び前記第2端面において前記複数のコアのコア番号を特定可能であり、各第1コアのコア番号と該第1コアと接続される第2コアのコア番号とが一致する。
【0021】
態様15に係るマルチコアファイバ集合体は、態様13に係るマルチコアファイバ集合体において、前記第1マルチコアファイバの前記第1端面と前記第2マルチコアファイバの前記第2端面とが、前記第1端面における前記複数の第1コアの延在方向と前記第2端面における前記複数の第2コアの延在方向との成す角を最小化するように接続されており、前記第1端面及び前記第2端面において前記複数のコアのコア番号を特定可能であり、各第1コアのコア番号と該第1コアと接続される第2コアのコア番号とが相違する。
【発明の効果】
【0022】
本発明の一態様によれば、接続を考慮して端面の傾斜方向が適切に設定されたマルチコアファイバ、そのようなマルチコアファイバを含む光デバイス、そのようなマルチコアファイバを含むファンイン/ファンアウトデバイス、又は、そのようなマルチコアファイバを含むマルチコアファイバ集合体を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【
図1】本発明の第1の実施形態に係るマルチコアファイバの構成を示す図である。(a)は、そのマルチコアファイバの側面図であり、(b)は、そのマルチコアファイバの一方の端面の正面図であり、(c)は、そのマルチコアファイバの他方の端面の正面図であり、(d)は、そのマルチコアファイバの斜視図である。
【
図2】
図1に示すマルチコアファイバの接続態様を示す図である。(a)は、異種端面接続される2本のマルチコアファイバの斜視図であり、(b)は、一方のマルチコアファイバの端面の正面図であり、(c)は、他方のマルチコアファイバの端面の正面図である。
【
図3】
図1に示すマルチコアファイバの接続態様を示す図である。(a)は、同種端面接続される2本のマルチコアファイバの斜視図であり、(b)は、一方のマルチコアファイバの端面の正面図であり、(c)は、他方のマルチコアファイバの端面の正面図である。
【
図4】
図1に示すマルチコアファイバの接続態様を示す図である。(a)は、同種端面接続される2本のマルチコアファイバの斜視図であり、(b)は、一方のマルチコアファイバの端面の正面図であり、(c)は、他方のマルチコアファイバの端面の正面図である。
【
図5】参考例に係るマルチコアファイバの接続対象を示す図である。(a)は、異種端面接続される2本のマルチコアファイバの端面の正面図であり、(b)は、同種端面接続される2本のマルチコアファイバの端面の正面図であり、(c)は、同種端面接続される2本のマルチコアファイバの端面の正面図である。
【
図6】
図1に示すマルチコアファイバの変形例を示す図である。(a)は、そのマルチコアファイバの側面図であり、(b)は、そのマルチコアファイバの一方の端面の正面図であり、(c)は、そのマルチコアファイバの他方の端面の正面図である。
【
図7】(a)は、
図1に示すマルチコアファイバであって、他のマルチコアファイバと接続可能なマルチコアファイバの側面図である。(b)は、
図1に示すマルチコアファイバを含むマルチコアファイバ集合体の側面図である。(c)は、
図1に示すマルチコアファイバを含むマルチコアファイバ接続体の側面図である。
【
図8】本発明の第2の実施形態に係る光デバイスの構成を示す図である。(a)は、その光デバイスの側面図であり、(b)は、その光デバイスの一方の端面の正面図であり、(c)は、その光デバイスの他方の端面の正面図である。
【
図9】本発明の第3の実施形態に係る光デバイスの構成を示す図である。(a)は、その光デバイスの側面図であり、(b)は、その光デバイスの一方の端面の正面図であり、(c)は、その光デバイスの他方の端面の正面図である。
【
図10】
図9に示す光デバイスに含まれ得るマルチコアファイバのバリエーションを示す図である。
【
図11】本発明の第4の実施形態に係るファンイン/ファンアウトデバイスのブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
〔第1の実施形態〕
(マルチコアファイバの構成)
本発明の第1の実施形態に係るマルチコアファイバMFの構成について、
図1を参照して説明する。
図1において、(a)は、マルチコアファイバMFの側面図である。また、(b)は、マルチコアファイバMFの一方の端面(以下、「第1端面」と記載する)σ1を視線E1方向から見た正面図である。また、(c)は、マルチコアファイバMFの他方の端面(以下、「第2端面」と記載する)σ2を視線E2方向から見た正面図である。また、(d)は、第1端面σ1と第2端面σ2とを突き合せた状態のマルチコアファイバMFの斜視図である。
【0025】
マルチコアファイバMFは、n個のコアa1~anと、クラッドbと、を備えている。ここで、nは、2以上の任意の自然数である(
図1においては、n=4の場合を例示)。クラッドbは、円柱状の部材である。クラッドbは、例えば、石英ガラスにより構成される。各コアai(iは1以上n以下の自然数)は、クラッドbの内部に設けられた、クラッドbよりも屈折率の高い、クラッドbと同一方向に延在する円柱状の領域である。各コアaiは、例えば、ゲルマニウムなどのアップドーパントが添加された石英ガラスにより構成さる。なお、クラッドbは、柱状であればよく、その断面形状は、任意である。クラッドbの断面形状は、例えば、四角形や六角形などの多角形状であってもよい。
【0026】
なお、マルチコアファイバMFは、本実施形態の構成として注目するn個のコアa1~an以外のコアを更に備えていてもよい。例えば、注目するn個のコアa1~an以外のコアとして、クラッドbの中心に設けられたコアを備えていてもよい。注目するn個のコアa1~anは、例えば、通信に用いるコアである。この場合、注目するn個のコアa1~anは、ITU-T、IEC等により定められた規格を満たすコアであってもよいし、規格を満たさないコアであってもよいが、規格を満たすコアであることが好ましい。この場合、注目するn個のコアa1~an以外のコアは、ITU-T、IEC等により定められた規格を満たすコアであってもよく、規格を満たさないコアであってもよい。また、注目するn個のコアa1~an以外のコアは、通信に用いるコアであってもよいし、通信に用いないコア(ダミーコア)であってもよい。この場合、注目するn個のコアa1~an以外のコアは、ITU-Tにより定められた規格を満たさないコアであってもよい。
【0027】
マルチコアファイバMFは、コアa1~anのコア番号1~nを識別するためのマーカcを更に備えている。マーカcは、クラッドbの内部に設けられた領域であって、クラッドbとは屈折率の異なる、クラッドbの長手方向と同一方向に延在する円柱状の領域である。なお、マーカcは、柱状であればよく、その断面形状は、任意である。マーカcの断面形状は、例えば、三角形、四角形などの多角形状であってもよい。マーカcは、例えば、フッ素やホウ素などのダウンドーパントが添加された石英ガラスにより構成される。この場合、マーカcの屈折率は、クラッドbの屈折率よりも低くなる。マーカcは、或いは、ゲルマニウム、アルミニウム、リン、塩素などのアップドーパントが添加された石英ガラスにより構成される。この場合、マーカcの屈折率は、クラッドbの屈折率よりも高くなる。マーカcの形成には、例えば、孔開法やスタック&ドロー法などを用いればよい。マーカcの外径は、通常、コアaiの外径よりも小さい。なお、マーカcは、空孔であってもよい。この場合、マーカcの屈折率は、クラッドbの屈折率よりも低くなる。また、マルチコアファイバMFは、本実施形態において注目するマーカc以外のマーカを更に備えていてもよい。
【0028】
コアa1~anのコア番号1~nは、マーカcからの距離に基づいて識別することが可能である。例えば、コアa1~anが円周上に配置されている場合、コアa1~anのコア番号1~nを、以下のように識別することが可能である。まず、マーカcに最も近いコアa1のコア番号を「1」とする。次に、マーカcに2番目に近いコアa2のコア番号を「2」とする。そして、コアa1及びコアa2をこの順に通るように上記の円周をトレースしたときに、3番目に通るコアa3のコア番号を「3」とし、4番目に通るコアa4のコア番号を「4」とし、…、n番目に通るコアanのコア番号を「n」とする。
【0029】
なお、本実施形態においては、マーカcを参照することによってコア番号1~nを特定する構成を採用しているが、コア番号1~nを特定するために参照する構造は、マーカcに限定されない。例えば、クラッドbの表面に形成されたマーク(例えば、記号や文字など)を参照することによってコア番号1~nを特定する構成を採用してもよい。また、マルチコアファイバMFが被覆に覆われている場合には、被覆の表面に形成されたマークを参照することによってコア番号1~nを特定してもよい。また、マルチコアファイバMFの端部にコネクタが取り付けられている場合には、コネクタに形成されたキー(例えば、突起)を参照してコア番号1~nを特定する構成を採用してもよい。また、例えば、クラッドbの断面形状が異方性のある形状(例えば、D型)になるよう、クラッドbの側面に平坦部を設ける場合には、平坦部を参照することによってコア番号1~nを特定してもよい。また、クラッドbの側面に切り欠きを設ける場合には、切り欠きを参照することによってコア番号1~nを特定してもよい。また、マルチコアファイバMFがトランシーバに接続される場合、各コアaiのコア番号を、そのコアaiに接続されるトランシーバのポート番号から特定してもよい。このように、マーカc以外の構成を用いてコア番号1~nを識別することが可能な場合には、マーカcを省略することができる。
【0030】
マルチコアファイバMFにおいて、第1端面σ1は、コアa1~anの延在方向と直交しないように傾斜している。以下、コアa1~anの延在方向と直交する平面を水平面と見做したときに、第1端面σ1の下り勾配が最大になる方向を第1端面σ1の傾斜方向v1と記載し、第1端面σ1の下り勾配の最大値を第1端面σ1の傾斜角θ1と記載する。第1端面σ1の傾斜角θ1は、2°以上88°度以下であることが好ましく、4°以上12°度以下であることが更に好ましく、7°以上9°以下が更に好ましく、7.8°以上8.2°以下が更に好ましい。第1端面σ1の傾斜角θ1は、例えば、8°、或いは、6°である。なお、非傾斜方向の勾配は、0°以上2°以下であることが好ましく、0°以上1°以下であることが更に好ましい。
【0031】
また、マルチコアファイバMFにおいて、第2端面σ2は、コアa1~anの延在方向と直交しないように傾斜している。以下、コアa1~anの延在方向と直交する平面を水平面と見做したときに、第2端面σ2の下り勾配が最大になる方向を第2端面σ2の傾斜方向v2と記載し、第2端面σ2の下り勾配の最大値を第2端面σ2の傾斜角θ2と記載する。第2端面σ2の傾斜角θ2は、2°以上88°度以下であることが好ましく、4°以上12°度以下であることが更に好ましく、7°以上9°以下が更に好ましく、7.8°以上8.2°以下が更に好ましい。第2端面σ2の傾斜角θ2は、例えば、8°、或いは、6°である。なお、非傾斜方向の勾配は、0°以上2°以下であることが好ましく、0°以上1°以下であることが更に好ましい。
【0032】
そして、第1端面σ1の傾斜方向v1及び第2端面σ2の傾斜方向v2は、下記の条件1を満たすように決められている。
【0033】
条件1:第1端面σ1におけるコアa1~anの延在方向と第2端面σ2におけるコアa1~anの延在方向との成す角を最小化するように第1端面σ1と第2端面σ2とを面接触させた場合、第1端面σ1におけるコアa1~anの各々が第2端面σ2におけるコアa1~anの何れかと少なくとも部分的に重なり合う。
【0034】
なお、2つのコアが少なくとも部分的に重なる態様には、一方のコアの一部のみが他方のコアの一部のみと重なり合う態様、一方のコアの一部のみが他方のコアの全部と重なり合う態様、及び、一方のコアの全部が他方のコアの全部と重なり合う態様(すなわち、2つのコアが互いに過不足なく重なり合う態様)が含まれる。
【0035】
これにより、2本のマルチコアファイバMFを接続する際に、セルフアライメントが可能になる。すなわち、一方のマルチコアファイバMFの第1端面σ1と他方のマルチコアファイバMFの第2端面σ2とを、2本のマルチコアファイバMFができるだけ一直線上に配置されるように接続した場合に、これら2本のマルチコアファイバMFのコアa1~anを光学的に結合させることが可能になる。ここで、「2本のマルチコアファイバMFができるだけ一直線上に配置されるように」第1端面σ1と第2端面σ2とを接続するとは、「一方のマルチコアファイバMFの第1端面σ1におけるコアa1~anの延在方向と他方のマルチコアファイバ第2端面σ2におけるMFのコアa1~anのコアの延在方向との成す角が最小になるように」第1端面σ1と第2端面σ2とを接続することを指す。
【0036】
この観点からすると、第1端面σ1の傾斜角θ1及び第2端面σ2のθ2は、それぞれ、45°以上であることが好ましく、60°以上であることが更に好ましく、70°以上であることが更に好ましい。傾斜角θ1,θ2を大きくするほど、2本のマルチコアファイバMFのコアa1~anを光学的に結合していない場合に2本のマルチコアファイバMFの接続点において生じる折れ曲がりを極端にすることができ、その結果、2本のマルチコアファイバMFを接続する際のセルフアライメントが容易になるからである。また、傾斜角θ1,θ2を大きくするほど、端面σ1,σ2の表面積を大きくすることができ、その結果、端面σ1,σ2の面接触をより安定にすると共に、端面σ1,σ2の接続をより強固にすることができるからである。
【0037】
なお、第1端面σ1の傾斜角θ1と第2端面σ2の傾斜角θ2とは、一致していてもよいし、一致していなくてもよい。ただし、第1端面σ1の傾斜角θ1と第2端面σ2の傾斜角θ2とは、実質的に一致していることが好ましく、一致している(完全に一致している)ことが更に好ましい。ここで、第1端面σ1の傾斜角θ1と第2端面σ2の傾斜角θ2とは、実質的に一致しているとは、例えば、差|θ1-θ2|が2°以下であること、又は、0.4°以下であることを指す。
【0038】
また、第1端面σ1及び第2端面σ2の各々において、コアa1~anから選択された2つのコアai,ajの中心を通るn×(n-1)/2本の直線を考える。これらの直線に平行な方向に対する第1端面σ及び第2端面σ2の勾配は、それぞれ、5°以下であることが好ましく、2°以下であることが更に好ましい。
【0039】
第1端面σ1の傾斜角θ1と第2端面σ2の傾斜角θ2とが一致している場合、第1端面σ1におけるコアa1~anの延在方向と第2端面σ2におけるコアa1~anの延在方向との成す角の最小値は0°である。すなわち、第1端面σ1におけるコアa1~anの延在方向と第2端面σ2におけるコアa1~anの延在方向との成す角を最小化することは、第1端面σ1におけるコアa1~anの延在方向と第2端面σ2におけるコアa1~anの延在方向とを一致させることと等価である。したがって、上記の条件1は、下記の条件1’と等価である。
【0040】
条件1’:第1端面σ1におけるコアa1~anの延在方向と第2端面σ2におけるコアa1~anの延在方向とが一致するように第1端面σ1と第2端面σ2とを面接触させた場合、第1端面σ1におけるコアa1~anの各々が第2端面σ2におけるコアa1~anの何れかと少なくとも部分的に重なり合う。
【0041】
これにより、2本のマルチコアファイバMFについて、一方のマルチコアファイバMFの第1端面σ1と他方のマルチコアファイバMFの第2端面σ2とを、これら2本のマルチコアファイバMFが一直線上に配置されるよう接続した場合に、これら2本のマルチコアファイバMFのコアa1~anを光学的に結合させることが可能になる。ここで、「2本のマルチコアファイバMFが一直線上に配置されるように」第1端面σ1と第2端面σ2とを接続するとは、「一方のマルチコアファイバMFのコアa1~anの延在方向と他方のマルチコアファイバMFのコアa1~anのコアの延在方向とが一致するように」第1端面σ1と第2端面σ2とを接続することを指す。なお、第1端面σ1の傾斜角θ1と第2端面σ2の傾斜角θ2とが厳密に一致していなくても、第1端面σ1の傾斜角θ1と第2端面σ2の傾斜角θ2とが実質的に一致していれば、これと同等の効果が得られる。
【0042】
本実施形態に係るマルチコアファイバMFでは、第1端面σ1の傾斜方向v1と第2端面σ2の傾斜方向v2とが、光軸L0に直交する平面への射影が互いに反対方向になるように決められている。このため、本実施形態に係るマルチコアファイバMFは、上記の条件1に加えて、下記の条件2を満たす。
【0043】
条件2:第1端面σ1におけるコアa1~anの延在方向と第2端面σ2におけるコアa1~anの延在方向との成す角を最小化するように第1端面σ1と第2端面σ2とを面接触させた場合、少なくとも部分的に重なり合うコアのコア番号が一致する。
【0044】
図1に示した例において、少なくとも部分的に重なり合うコアのペアは、(1)第1端面σ1におけるコアa1と第2端面σ2におけるコアa1とのペア、(2)第1端面σ1におけるコアa2と第2端面σ2におけるコアa2とのペア、(3)第1端面σ1におけるコアa3と第2端面σ2におけるコアa3とのペア、(4)第1端面σ1におけるコアa4と第2端面σ2におけるコアa4とのペアである。これら4つのペアの何れかについても、ペアを構成する2つのコアのコア番号が一致する。
【0045】
これにより、2本のマルチコアファイバMFについて、一方のマルチコアファイバMFの第1端面σ1と他方のマルチコアファイバMFの第2端面σ2とを、これら2本のマルチコアファイバMFができるだけ一直線上に配置されるように接続した場合に、コア番号が一致するコア同士を光学的に結合させることが可能になる。
【0046】
また、本実施形態に係るマルチコアファイバMFでは、第1端面σ1において、コアa1~anは、傾斜方向v1と直交する第1直線L1に対して略線対称(実質的に線対称)に配置されている。ここで、コアa1~anが第1直線L1に対して略線対称に配置されているとは、第1直線L1に対して第1端面σ1を反転させた場合、コアa1~anの各々がコアa1~anの何れかと少なくとも部分的に重なり合うことを指す。なお、本段落冒頭の「第1端面σ1において」という記載から明らかなように、第1直線L1は、第1端面σ1内の直線である。なお、第1直線L1は、物理的な実体を伴う対象ではなく、仮想的な対象である。
【0047】
これにより、2本のマルチコアファイバMFについて、一方のマルチコアファイバMFの第1端面σ1と他方のマルチコアファイバMFの第1端面σ1とを、これら2本のマルチコアファイバMFができるだけ一直線上に配置されるように接続した場合、これら2本のマルチコアファイバMFのコアa1~anを光学的に結合させることが可能になる。
【0048】
なお、第1端面σ1において、コアa1~anは、傾斜方向v1と直交する第1直線L1に対して線対称(完全に線対称)に配置されていることが更に好ましい。ここで、コアa1~anが第1直線L1に対して線対称に配置されているとは、第1直線L1に対して第1端面σ1を反転させた場合、コアa1~anの各々がコアa1~anの何れかと互いに過不足なく重なり合うことを指す。
【0049】
これにより、2本のマルチコアファイバMFについて、一方のマルチコアファイバMFの第1端面σ1と他方のマルチコアファイバMFの第1端面σ1とを、これら2本のマルチコアファイバMFができるだけ一直線上に配置されるように接続した場合、これら2本のマルチコアファイバMFのコアa1~anの結合効率を更に向上させることができる。
【0050】
また、本実施形態に係るマルチコアファイバMFでは、第1端面σ1において、上述した第1直線L1がコアa1~anの何れとも交わらない。
【0051】
このため、2本のマルチコアファイバMFについて、一方のマルチコアファイバMFの第1端面σ1と他方のマルチコアファイバMFの第1端面σ1とを、これら2本のマルチコアファイバMFができるだけ一直線上に配置されるように接続した場合、コア番号の異なるコア同士が接続される。
図1に示した例では、一方のマルチコアファイバMFのコアa1と他方のマルチコアファイバMFのコアa2とが接続され、一方のマルチコアファイバMFのコアa3と他方のマルチコアファイバMFのコアa4とが接続される。
【0052】
また、本実施形態に係るマルチコアファイバMFでは、第2端面σ2において、コアa1~anは、傾斜方向v2と直交する第2直線L2に対して略線対称(実質的に線対称)に配置されている。ここで、コアa1~anが第2直線L2に対して略線対称に配置されているとは、第2直線L2に対して第2端面σ2を反転させた場合、コアa1~anの各々がコアa1~anの何れかと少なくとも部分的に重なり合うことを指す。なお、本段落冒頭の「第2端面σ2において」という記載から明らかなように、第2直線L2は、第2端面σ2内の直線である。なお、第2直線L2は、物理的な実体を伴う対象ではなく、仮想的な対象である。
【0053】
これにより、2本のマルチコアファイバMFについて、一方のマルチコアファイバMFの第2端面σ2と他方のマルチコアファイバMFの第2端面σ2とを、これら2本のマルチコアファイバMFができるだけ一直線上に配置されるように接続した場合、これら2本のマルチコアファイバMFのコアa1~anを光学的に結合させることが可能になる。
【0054】
なお、第2端面σ2において、コアa1~anは、傾斜方向v2と直交する第2直線L2に対して線対称(完全に線対称)に配置されていることが更に好ましい。ここで、コアa1~anが第2直線L2に対して線対称に配置されているとは、第2直線L2に対して第2端面σ2を反転させた場合、コアa1~anの各々がコアa1~anの何れかと互いに過不足なく重なり合うことを指す。
【0055】
これにより、2本のマルチコアファイバMFについて、一方のマルチコアファイバMFの第2端面σ2と他方のマルチコアファイバMFの第2端面σ2とを、これら2本のマルチコアファイバMFができるだけ一直線上に配置されるように接続した場合、これら2本のマルチコアファイバMFのコアa1~anの結合効率を更に向上させることができる。
【0056】
また、本実施形態に係るマルチコアファイバMFでは、第2端面σ2において、上述した第2直線L2がコアa1~anの何れとも交わらない。
【0057】
このため、2本のマルチコアファイバMFについて、一方のマルチコアファイバMFの第2端面σ2と他方のマルチコアファイバMFの第2端面σ2とを、これら2本のマルチコアファイバMFができるだけ一直線上に配置されるように接続した場合、コア番号の異なるコア同士が接続される。
図1に示した例では、一方のマルチコアファイバMFのコアa1と他方のマルチコアファイバMFのコアa2とが接続され、一方のマルチコアファイバMFのコアa3と他方のマルチコアファイバMFのコアa4とが接続される。
【0058】
なお、
図1に示すマルチコアファイバMFでは、第1端面σ1において、マーカcに最も近いコアa1とマーカcに2番目に近いコアa2とが第1直線L1を挟むように配置されている。このため、マーカcが第1直線L1の近傍に配置されることになる。これにより、顕微鏡などを用いてマルチコアファイバMFの第1端面σ1を正面から観察する場合、コアa1~anと共にマーカcを観察することが容易になる。何故なら、マルチコアファイバMFの第1端面σ1を正面から撮影する場合、第1端面σ1が傾いていることにより、撮像装置(例えば、カメラ)のレンズからコアa1~anまでの距離にばらつきが生じる。このばらつきに起因するコアa1~anのデフォーカスの度合い差を小さく抑えるべく、対物レンズの焦点を第1直線L1上又は第1直線L1の近傍に設定した場合、マーカcのデフォーカスを小さく抑えることができるからである。
【0059】
同様に、
図1に示すマルチコアファイバMFでは、第2端面σ2において、マーカcに最も近いコアa1とマーカcに2番目に近いコアa2とが第2直線L2を挟むように配置されている。このため、マーカcが第2直線L2の近傍に配置されることになる。これにより、顕微鏡などを用いてマルチコアファイバMFの第2端面σ2を正面から観察する場合、コアa1~anと共にマーカcを観察することが容易になる。何故なら、マルチコアファイバMFの第2端面σ2を正面から撮影する場合、第2端面σ2が傾いていることにより、撮像装置(例えば、カメラ)のレンズからコアa1~anまでの距離にばらつきが生じる。このばらつきに起因するコアa1~anのデフォーカスの度合いの差を小さく抑えるべく、対物レンズの焦点を第2直線L2上又は第2直線L2の近傍に設定した場合、マーカcのデフォーカスを小さく抑えることができるからである。
【0060】
また、
図1に示すマルチコアファイバMFでは、第1端面σ1において、直線L1と、コアa1~anのうち直線L1から最も遠いコア(ここでは、コアa4)の中心を通り直線L1に平行な直線とに挟まれた領域に、マーカcの中心が含まれる。このため、顕微鏡などを用いてマルチコアファイバMFの第1端面σ1を正面から観察する場合、コアa1~anと共にマーカcを観察することが容易になる。何故なら、コアa1~anのデフォーカスの度合いを小さく抑えるべく、対物レンズの焦点を第1直線L1上又は第1直線L1近傍に設定した場合、マーカcのデフォーカスを小さく抑えることができるからである。
【0061】
また、
図1に示すマルチコアファイバMFでは、第2端面σ1において、直線L2と、コアa1~anのうち直線L2から最も遠いコア(ここでは、コアa4)の中心を通り直線L2に平行な直線とに挟まれた領域に、マーカcの中心が含まれる。このため、顕微鏡などを用いてマルチコアファイバMFの第2端面σ2を正面から観察する場合、コアa1~anと共にマーカcを観察することが容易になる。何故なら、コアa1~anのデフォーカスの度合いの差を小さく抑えるべく、対物レンズの焦点を第2直線L2上又は第2直線L2近傍に設定した場合、マーカcのデフォーカスを小さく抑えることができるからである。
【0062】
(コア配置の特徴と効果)
本実施形態に係るマルチコアファイバMFの第1端面σ1において、コアa1~anは、線対称に配置されており、線対称の軸となり得る直線は、第1端面σ1の傾斜方向v1に直交する直線L1のみである。より具体的に言えば、コアa1~anは、第1端面σ1の傾斜方向v1に直交する直線L1を中心軸とする等脚台形の頂点上に配置されている。
【0063】
同様に、本実施形態に係るマルチコアファイバMFの第2端面σ2において、コアa1~anは、線対称に配置されており、線対称の軸となり得る直線は、第2端面σ2の傾斜方向v2に直交する直線L2のみである。より具体的に言えば、コアa1~anは、第2端面σ2の傾斜方向v2に直交する直線L2を中心軸とする等脚台形の頂点上に配置されている。
【0064】
このことにより得られる効果について、
図2~
図4を参照して説明する。なお、以下の説明においては、2本のマルチコアファイバMF1,MF2を考える。これら2本のマルチコアファイバMF1,MF2は、何れも、本実施形態に係るマルチコアファイバMFである。
【0065】
まず、
図2の(a)に示すように、マルチコアファイバMF1の第1端面σ1とマルチコアファイバMF2の第2端面σ2とを、これら2本のマルチコアファイバMF1,MF2ができるだけ一直線上に配置されるように接続することを考える。この際、マルチコアファイバMF1の第1端面σ1を視線E1方向から見ると、
図2の(b)のようになり、マルチコアファイバMF2の端面σ2を視線E2方向から見ると、
図2の(c)のようになる。
【0066】
マルチコアファイバMF1とマルチコアファイバMF2とを以上のように接続した場合、マルチコアファイバMF1の各コアaiとマルチコアファイバMF2の何れかのコアajとを光学的に結合させることができる。この際、マルチコアファイバMF1のコアaiのコア番号と、マルチコアファイバMF2のコアajのコア番号とは、一致する。すなわち、マルチコアファイバMF1のコアa1、コアa2、コアa3、及びa4は、それぞれ、マルチコアファイバMF2のコアa1、コアa2、コアa3、及びコアa4に接続される。
【0067】
なお、マルチコアファイバMF1の第2端面σ2とマルチコアファイバMF2の第1端面σ1とを、これら2本のマルチコアファイバMF1,MF2ができるだけ一直線上に配置されるように接続する場合についても、同様のことが言える。
【0068】
2本のマルチコアファイバMF1,MF2を接続する接続態様のうち、(1)マルチコアファイバMF1の第1端面σ1とマルチコアファイバMF2の第2端面σ2とを接続する接続態様、及び、(2)マルチコアファイバMF1の第2端面σ2とマルチコアファイバMF2の第1端面σ1とを接続する接続態様のことを「異種端面接続」と呼ぶ。また、2本のマルチコアファイバMF1,MF2を接続する接続態様のうち、光学的に結合するコアai,ajのコア番号が一致する接続態様のことを「通常接続」と呼ぶ。本実施形態に係る2本のマルチコアファイバMF1,MF2を異種端面接続すると、通常接続が実現される。
【0069】
次に、
図3の(a)に示すように、マルチコアファイバMF1の第1端面σ1とマルチコアファイバMF2の第1端面σ1とを、これら2本のマルチコアファイバMF1,MF2ができるだけ一直線上に配置されるように接続することを考える。この際、マルチコアファイバMF1の第1端面σ1を視線E1方向から見ると、
図3の(b)のようになり、マルチコアファイバMF2の第1端面σ1を視線E2方向から見ると、
図3の(c)のようになる。
【0070】
マルチコアファイバMF1とマルチコアファイバMF2とを以上のように接続した場合、マルチコアファイバMF1の各コアaiとマルチコアファイバMF2の何れかのコアajとを光学的に結合させることができる。この際、マルチコアファイバMF1のコアiのコア番号と、マルチコアファイバMF2のコアajのコア番号とは、一致しない。すなわち、マルチコアファイバMF1のコアa1、コアa2、コアa3、及びa4は、それぞれ、マルチコアファイバMF2のコアa2、コアa1、コアa4、及びコアa3に接続される。
【0071】
また、
図4の(a)に示すように、マルチコアファイバMF1の第2端面σ2とマルチコアファイバMF2の第2端面σ2とを、これら2本のマルチコアファイバMF1,MF2ができるだけ一直線上に配置されるように接続することを考える。この際、マルチコアファイバMF1の第2端面σ2を視線E1方向から見ると、
図4の(b)のようになり、マルチコアファイバMF2の第2端面σ2を視線E2方向から見ると、
図4の(c)のようになる。
【0072】
マルチコアファイバMF1とマルチコアファイバMF2とを以上のように接続した場合、マルチコアファイバMF1の各コアaiとマルチコアファイバMF2の何れかのコアajとを光学的に結合させることができる。この際、マルチコアファイバMF1のコアiのコア番号と、マルチコアファイバMF2のコアajのコア番号とは、一致しない。すなわち、マルチコアファイバMF1のコアa1、コアa2、コアa3、及びa4は、それぞれ、マルチコアファイバMF2のコアa2、コアa1、コアa4、及びコアa3に接続される。
【0073】
2本のマルチコアファイバMF1,MF2を接続する接続態様のうち、(1)2本のマルチコアファイバMF1,MF2の第1端面σ1同士を接続する接続態様、及び、(2)2本のマルチコアファイバMF1,MF2の第2端面σ2同士を接続する接続態様のことを「同種端面接続」と呼ぶ。また、2本のマルチコアファイバMF1,MF2を接続する接続態様のうち、光学的に結合するコアai,ajのコア番号が一致しない接続態様のことを「反転接続」と呼ぶ。本実施形態に係る2本のマルチコアファイバMF1,MF2を同種端面接続すると、反転接続が実現される。
【0074】
以上のように、本実施形態に係るマルチコアファイバMFによれば、異種端面接続を行った場合に通常接続が実現され、同種端面接続を行った場合に反転接続が実現される、という効果を奏する。
【0075】
このよう効果を奏する理由は、マルチコアファイバMFの第1端面σ1及び第2端面σ2におけるコアa1~anの配置が本節冒頭に記載した条件を満たしているからである。このことを説明するために、参考形態に係るマルチコアファイバMF1’,MF2’を考える。マルチコアファイバMF1’,MF2’は、
図5の(a)~(c)に示すように、第1端面σ1においてコアa1~anの線対称の軸となり得る直線が第1端面σ1の傾斜方向v1に平行な直線L3であり、第2端面σ2においてコアa1~anの線対称の軸となり得る直線が第2端面σ2の傾斜方向v2に平行な直線L4であるマルチコアファイバである。
【0076】
図5の(a)は、参考形態に係る2本のマルチコアファイバMF1’,MF2’を異種端面接続する際に接続対象となるマルチコアファイバMF1’の端面σ1とマルチコアファイバMF2’の端面σ2とを示す図である。
図5の(a)から分かるように、参考形態に係る2本のマルチコアファイバMF1’,MF2’を異種端面接続すると、通常接続が実現される。
【0077】
図5の(b)は、参考形態に係る2本のマルチコアファイバMF1’,MF2’を同種端面接続する際に接続対象となるマルチコアファイバMF1’の端面σ1とマルチコアファイバMF2’の端面σ1とを示す図である。
図5の(b)から分かるように、参考形態に係る2本のマルチコアファイバMF1’,MF2’を同種端面接続すると、マルチコアファイバMF1’の各コアaiとマルチコアファイバMF2’の何れかのコアajとを光学的に結合させることができない。すなわち、通常接続も反転接続も実現されない。
【0078】
図5の(c)は、参考形態に係る2本のマルチコアファイバMF1’,MF2’を同種端面接続する際に接続対象となるマルチコアファイバMF1’の端面σ2とマルチコアファイバMF2’の端面σ2とを示す図である。
図5の(c)から分かるように、参考形態に係る2本のマルチコアファイバMF1’,MF2’を同種端面接続すると、マルチコアファイバMF1’の各コアaiとマルチコアファイバMF2’の何れかのコアajとを光学的に結合させることができない。すなわち、通常接続も反転接続も実現されない。
【0079】
なお、本実施形態に係るマルチコアファイバMFにおいては、コア番号の特定にマーカcを要さない。何故なら、第1端面σ1においては、コアa1~a4の唯一の対称軸である第1直線L1を参照して、コア番号を特定することができ、第2端面σ2においては、コアa1~a4の唯一の線対称の軸である第2直線L2を参照して、コア番号を特定することができるからである。例えば、第1端面σ1においては、第1直線L1に平行な2方向のうち、間隔の狭い2つのコアa1~a2の方を向く方向を特定する。次に、第1端面σ1の中心に立ち、特定した方向を見る観測者を考える。この観測者が第1端面σ1を時計回りに見回したときに、最初に見つけるコアa1のコア番号を「1」とし、この観測者が第1端面σ1を反時計回りに見回したときに、最初に見つけるコアa2のコア番号「2」とする。そして、この観測者が第1端面σ1を引き続き反時計回りに見回したときに、コアa2の次に見つけるコアa3のコア番号を「3」とし、コアa3の次に見つけるコアa4のコア番号を「4」とする。コアa1~anの個数nが4以上の場合も、このような操作を続けることで、全てのコアのコア番号を特定することができる。また、第2端面σ2においては、第2直線L2に平行な2方向のうち、間隔の狭い2つのコアa1~a2の方を向く方向を特定する。次に、第2端面σ2の中心に立ち、特定した方向を見る観測者を考える。この観測者が第2端面σ2を反時計回りに見回したときに、最初に見つけるコアa1のコア番号を「1」とし、この観測者が第2端面σ2を時計回りに見回したときに、最初に見つけるコアa2のコア番号「2」とする。そして、この観測者が第2端面σ2を引き続き時計回りに見回したときに、コアa2の次に見つけるコアa3のコア番号を「3」とし、コアa3の次に見つけるコアa4のコア番号を「4」とする。コアa1~anの個数nが4以上の場合も、このような操作を続けることで、全てのコアのコア番号を特定することができる。以上のように、本実施形態に係るマルチコアファイバMFにおいては、コア番号の特定にマーカcを要さない。したがって、マーカcを省略することが可能である。
【0080】
(コア配置の変形例)
なお、本実施形態においては、第1端面σ1において直線L1を交わらず、且つ、第2端面σ2において直線L2と交わらないコアa1~a4を有するマルチコアファイバMFについて説明したが、これに限定されない。すなわち、マルチコアファイバMFは、第1端面σ1において直線L1と交わり、且つ、第2端面σ2において直線L2と交わるコアを有していてもよい。そのようなマルチコアファイバMFの例を、
図6に示す。
図6において、(a)は、そのようなマルチコアファイバMFの側面図である。また、(b)は、そのようなマルチコアファイバMFの一方の端面(以下、「第1端面」と記載する)σ1を視線E1方向から見た正面図である。また、(c)は、そのようなマルチコアファイバMFの他方の端面(以下、「第2端面」と記載する)σ2を視線E2方向から見た正面図である。
【0081】
図6に示したマルチコアファイバMFは、
図1に示したマルチコアファイバMFにコアa5,a6を追加したものである。コアa5,a6は、第1端面σ1において直線L1と交わり、且つ、第2端面σ2において直線L2と交わるように配置されている。
【0082】
図6に示すマルチコアファイバMFにおいても、第1端面σ1において、コアa1~a6は、線対称に配置されており、線対称の軸となる直線は、第1端面σ1の傾斜方向v1に直交する直線L1のみである。また、第2端面σ2において、コアa1~a6は、線対称に配置されており、線対称の軸となる直線は、第2端面σ2の傾斜方向v2に直交する直線L2のみである。したがって、
図6に示すマルチコアファイバMFは、
図1に示すマルチコアファイバMFと同様、異種端面接続を行った場合に通常接続が実現され、同種端面接続を行った場合に反転接続が実現される。ただし、異種端面接続においてコア番号が相違するコアajと光学的に結合されるコアaiは、端面σ1,σ2において直線L1,L2と交わらないコアa1~a4である。端面σ1,σ2において直線L1,L2と交わるコアa5,a6は、異種端面接続においても、同種端面接続と同様、コア番号が一致するコアa5,a6と光学的に結合されることになる。このような性質をもつコアa5,a6は、通信用のコアとして、特に、双方向通信用のコアとしての利用に好適である。
【0083】
なお、第1端面σ1において第1直線L1と交わり、且つ、第2端面σ2において第2直線L2と交わるコアa5,a6の個数は、偶数個(本変形例では2個)であることが好ましい。これにより、コアa1~anの総数を偶数個にすることができ、コアa1~anをn/2個のペアに分けることができるのでその管理が容易になる。
【0084】
(コア配置に関する付記事項)
前節では、マルチコアファイバMFの第1端面σ1において、(1)コアa1~anは、線対称に配置されており、(2)線対称の軸になる直線は、傾斜方向v1に直交する直線のみであるという条件(以下、「条件A1」とも記載する)を仮定したが、本発明は、これに限定されない。すなわち、マルチコアファイバMFの第1端面σ1において、(1)コアa1~anは、略線対称に配置されており、(2)略線対称の軸になる直線は、傾斜方向v1に略直交する直線のみであるという条件(以下、「条件B1」とも記載する)を満たしていればよく、この場合、上述した効果と同様の効果を得ることができる。なお、線対称又は略線対称軸の軸になる直線は、物理的な実体を伴う対象ではなく、仮想的な対象であるため、「仮想直線」とも呼び得る。
【0085】
ここで、第1端面σ1内のある直線が「略線対称の軸」になるとは、その直線に対して第1端面σ1を反転させた場合、コアa1~anの各々がコアa1~anの何れかと少なくとも部分的に重なり合うことを指す。また、第1端面σ1内のある直線が傾斜方向v1に「略直交」するとは、その直線と傾斜方向v1との成す角をθ1とし、十分に小さい閾値をTh1として、|θ1-90°|≦Th1を満たすことを指す。
【0086】
閾値Th1は、90°と比べて十分に小さい値であればよいが、例えば、以下のように定義することが可能である。すなわち、第1端面σ1において、クラッドbの中心から、コアa1~anのうち、クラッドbの中心に最も近いコアの中心までの距離をd[μm]とし、そのコアの半径をr[μm]とする。このとき、閾値Th1を、Th1=arctan(r/d)により定義する。或いは、以下のように定義することも可能である。すなわち、第1端面σ1において、クラッドbの中心から、コアa1~anのうち、クラッドbの中心から最も遠いコアの中心までの距離をd[μm]とし、そのコアの半径をr[μm]とする。このとき、閾値Th1を、Th1=arctan(r/d)により定義する。また、コア位置の製造時の偏差量は大きくても1μm程度あることに鑑み、より簡易に、Th1=arctan(1/d)と定義したり、Th1=arctan(0.6/d)と定義したりしてもよい。例えば、閾値Th1は、0°<Th1≦0.3°、0°<Th1≦1°、0°<Th1≦2°、0°<Th1≦3°、0°<Th1≦5°、0°<Th1≦8°、又は0°<Th1≦15°の何れかの範囲から選択された任意の角度であり得る。例えば、Th1は、0.1°、0.2°、0.3°、0.4°、0.5°、0.6、0.7°、0.8°、0.9°のいずれかであってもよい。或いは、閾値Th1は、1°、2°、3°、4°、5°、6°、7°、8°、9°、10°、11°、12°、13°、14°、15°のいずれかであってもよい。
【0087】
また、前節では、マルチコアファイバMFの第2端面σ2において、(1)コアa1~anは、線対称に配置されており、(2)線対称の軸になる直線は、傾斜方向v2に直交する直線のみであるという条件(以下、「条件A2」とも記載する)を仮定したが、本発明は、これに限定されない。すなわち、マルチコアファイバMFの第2端面σ2において、(1)コアa1~anは、略線対称に配置されており、(2)略線対称の軸になる直線は、傾斜方向v2に略直交する直線のみであるという条件(以下、「条件B2」とも記載する)を満たしていればよく、この場合、上述した効果と同様の効果を得ることができる。なお、線対称又は略線対称軸の軸になる直線は、物理的な実体を伴う対象ではなく、仮想的な対象であるため、「仮想直線」とも呼び得る。
【0088】
ここで、第2端面σ2内のある直線が「略線対称の軸」になるとは、その直線に対して第2端面σ2を反転させた場合、コアa1~anの各々がコアa1~anの何れかと少なくとも部分的に重なり合うことを指す。また、第2端面σ2内のある直線が傾斜方向v2に「略直交」するとは、その直線と傾斜方向v2との成す角をθ2、十分に小さい閾値をTh2として、|θ2-90°|≦Th2を満たすことを指す。
【0089】
閾値Th2は、90°と比べて十分に小さい値であればよいが、例えば、以下のように定義することが可能である。すなわち、第2端面σ2において、クラッドbの中心から、コアa1~anのうち、クラッドbの中心に最も近いコアの中心までの距離をd[μm]とし、そのコアの半径をr[μm]とする。このとき、閾値Th2を、Th2=arctan(r/d)により定義する。或いは、以下のように定義することも可能である。すなわち、第2端面σ2において、クラッドbの中心から、コアa1~anのうち、クラッドbの中心から最も遠いコアの中心までの距離をd[μm]とし、そのコアの半径をr[μm]とする。このとき、閾値Th2を、Th2=arctan(r/d)により定義する。また、コア位置の製造時の偏差量は大きくても1μm程度あることに鑑み、より簡易に、Th2=arctan(1/d)と定義したり、Th2=arctan(0.6/d)と定義したりしてもよい。例えば、閾値Th2は、0°<Th2≦0.3°、0°<Th2≦1°、0°<Th2≦2°、0°<Th2≦3°、0°<Th2≦5°、0°<Th2≦8°、又は0°<Th2≦15°の何れかの範囲から選択された任意の角度であり得る。例えば、Th2は、0.1°、0.2°、0.3°、0.4°、0.5°、0.6、0.7°、0.8°、0.9°のいずれかであってもよい。或いは、閾値Th2は、1°、2°、3°、4°、5°、6°、7°、8°、9°、10°、11°、12°、13°、14°、15°のいずれかであってもよい。
【0090】
なお、本実施形態においては、第1端面σ1において条件A1又は条件B1を満たし、第2端面σ2において条件A2又は条件B2を満たすマルチコアファイバMFについて説明したが、本発明は、これに限定されない。
【0091】
例えば、
図7の(a)に示すように、第1端面Σ1において条件A1を満たすマルチコアファイバMF’は、第2端面Σ2において条件A2を満たすマルチコアファイバMF”と接続する用途に限定すれば、本実施形態に係るマルチコアファイバMFと同様の効果を奏する。また、第1端面Σ1において条件B1を満たすマルチコアファイバMF’は、第2端面Σ2において条件B2を満たすマルチコアファイバMF”と接続する用途に限定すれば、本実施形態に係るマルチコアファイバMFと同様の効果を奏する。これらの場合、マルチコアファイバMF’の第2端面Σ2は、傾斜していても傾斜していなくてもよく、傾斜している場合、その傾斜方向は任意である。すなわち、マルチコアファイバMF’は、第2端面Σ2において条件A2又は条件B2を満たすことを要さない。また、マルチコアファイバMF”の第1端面Σ1は、傾斜していても傾斜していなくてもよく、傾斜している場合、その傾斜方向は任意である。すなわち、マルチコアファイバMF”は、第1端面Σ1において条件A1又は条件B1を満たすことを要さない。
【0092】
この際、マルチコアファイバMF’の第1端面Σ1は、
図1に示すマルチコアファイバMFの第1端面σ1であってもよいし、第2端面σ2であってもよい。また、マルチコアファイバMF”の第2端面Σ2は、
図1に示すマルチコアファイバMFの第1端面σ1であってもよいし、第2端面σ2であってもよい。したがって、(1)マルチコアファイバMF’の第1端面Σ1がマルチコアファイバMFの第1端面σ1であり、マルチコアファイバMF”の第2端面Σ2がマルチコアファイバMFの第2端面σ2である場合、又は、(2)マルチコアファイバMF’の第1端面Σ1がマルチコアファイバMFの第2端面σ2であり、マルチコアファイバMF”の第2端面Σ2がマルチコアファイバMFの第1端面σ1である場合、マルチコアファイバMF’の第1端面Σ1とマルチコアファイバMF”の第2端面Σ2との接続は、通常接続(コア番号が一致する接続。
図2参照)となる。一方、(3)マルチコアファイバMF’の第1端面Σ1がマルチコアファイバMFの第1端面σ1であり、マルチコアファイバMF”の第2端面Σ2がマルチコアファイバMFの第1端面σ1である場合、又は、(4)マルチコアファイバMF’の第1端面Σ1がマルチコアファイバMFの第2端面σ2であり、マルチコアファイバMF”の第2端面Σ2がマルチコアファイバMFの第2端面σ2である場合、マルチコアファイバMF’の第1端面Σ1とマルチコアファイバMF”の第2端面Σ2との接続は、反転接続(コア番号が相違する接続。
図3,
図4参照)となる。なお、マルチコアファイバMF’の第1端面Σ1とマルチコアファイバMF”の第2端面Σ2とは、互いに接続されていてもよいし、互いに接続されていなくてもよい。
【0093】
また、
図7の(b)に示すように、上述したマルチコアファイバMF’とマルチコアファイバMF”とを含むマルチコアファイバ集合体MFSも本発明の範疇に含まれる。ここで、マルチコアファイバMF’の第1端面Σ1とマルチコアファイバMF”の第2端面Σ2とは、互いに接続されていてもよいし、互いに接続されていなくてもよい。なお、マルチコアファイバMF’は、第2端面Σ2において条件A2又は条件B2を満たすことを要さない。また、マルチコアファイバMF”は、第1端面Σ1において条件A1又は条件B1を満たすことを要さない。
【0094】
また、
図7の(c)に示すように、上述したマルチコアファイバMF’とマルチコアファイバMF”とを含むマルチコアファイバ接続体MFCも本発明の範疇に含まれる。ここで、マルチコアファイバMF’の第1端面Σ1とマルチコアファイバMF”の第2端面Σ2とは、第1端面Σ1におけるマルチコアファイバMF’のコアa1~anの延在方向と第2端面Σ2におけるマルチコアファイバMF”のコアa1~anの延在方向との成す角を最小化するように互いに接続(例えば、コネクタ接続)されている。なお、マルチコアファイバMF’は、第2端面Σ2において条件A2又は条件B2を満たすことを要さない。また、マルチコアファイバMF”は、第1端面Σ1において条件A1又は条件B1を満たすことを要さない。
【0095】
この際、マルチコアファイバMF’の第1端面Σ1は、
図1に示すマルチコアファイバMFの第1端面σ1であってもよいし、第2端面σ2であってもよい。また、マルチコアファイバMF”の第2端面Σ2は、
図1に示すマルチコアファイバMFの第1端面σ1であってもよいし、第2端面σ2であってもよい。したがって、(1)マルチコアファイバMF’の第1端面Σ1がマルチコアファイバMFの第1端面σ1であり、マルチコアファイバMF”の第2端面Σ2がマルチコアファイバMFの第2端面σ2である場合、又は、(2)マルチコアファイバMF’の第1端面Σ1がマルチコアファイバMFの第2端面σ2であり、マルチコアファイバMF”の第2端面Σ2がマルチコアファイバMFの第1端面σ1である場合、マルチコアファイバMF’の第1端面Σ1とマルチコアファイバMF”の第2端面Σ2との接続は、通常接続(コア番号が一致する接続。
図2参照)となる。一方、(3)マルチコアファイバMF’の第1端面Σ1がマルチコアファイバMFの第1端面σ1であり、マルチコアファイバMF”の第2端面Σ2がマルチコアファイバMFの第1端面σ1である場合、又は、(4)マルチコアファイバMF’の第1端面Σ1がマルチコアファイバMFの第2端面σ2であり、マルチコアファイバMF”の第2端面Σ2がマルチコアファイバMFの第2端面σ2である場合、マルチコアファイバMF’の第1端面Σ1とマルチコアファイバMF”の第2端面Σ2との接続は、反転接続(コア番号が相違する接続。
図3,
図4参照)となる。
【0096】
〔第2の実施形態〕
(光デバイスの構成)
本発明の第2の実施形態に係る光デバイスODの構成について、
図7を参照して説明する。
図7において、(a)は、光デバイスODの側面図である。また、(b)は、光デバイスODの一方の端面を視線E1方向から見た正面図である。また、(c)は、光デバイスODの他方の端面を視線E2方向から見た正面図である。
【0097】
光デバイスODは、第1の実施形態に係るマルチコアファイバMFと、マルチコアファイバMFの両端に設けられた単芯コネクタC1,C2と、を備えている。
図8においては、マルチコアファイバMFとして、
図1に示すマルチコアファイバMFを示している。
【0098】
第1単芯コネクタC1は、マルチコアファイバMFの一方の端部に設けられている。第1単芯コネクタC1の端面は、マルチコアファイバMFの第1端面σ1と面一になるように傾斜している。また、第1単芯コネクタC1の4つの側面のうちの1つには、キーK1が設けられている。キーK1が設けられる側面は、例えば、第1端面σ1の中心から見て、第1端面σ1の傾斜方向v1から反時計回りに90°回転した方向にある側面である。キーK1は、例えば、第1単芯コネクタC1の側面から突出する直方体状の凸部である。
【0099】
第2単芯コネクタC2は、マルチコアファイバMFの他方の端部に設けられている。第2単芯コネクタC2の端面は、マルチコアファイバMFの第2端面σ2と面一になるように傾斜している。また、第2単芯コネクタC2の4つの側面のうちの1つには、キーK2が設けられている。キーK2が設けられる側面は、例えば、第2端面の中心から見て、第2端面σ2の傾斜方向σ2の傾斜方向v2から反時計回りに90°回転した方向にある側面である。キーK2は、例えば、第2単芯コネクタC2の側面から突出する直方体状の凸部である。
【0100】
以下、2本の光デバイスOD1,OD2を考える。これら2本の光デバイスOD1,OD2は、何れも、本実施形態に係る光デバイスODである。
【0101】
2本の光デバイスOD1、OD2を異種端面接続する場合、すなわち、(1)光デバイスOD1の第1単芯コネクタC1と光デバイスOD2の第2単芯コネクタC2とを接続するか、又は、(2)光デバイスOD1の第2単芯コネクタC2と光デバイスOD2の第1単芯コネクタC1とを接続する場合、通常接続が実現される(
図2参照)。なお、前者の場合についても、後者の場合についても、コネクタ接続に際して第1単芯コネクタC1のキーK1と第2単芯コネクタC2のキーK2とは同一方向を向く。
【0102】
一方、2本の光デバイスOD1,OD2を同種端面接続する場合、すなわち、(1)光デバイスOD1の第1単芯コネクタC1と光デバイスOD2の第1単芯コネクタC1とを接続するか、又は、(2)光デバイスOD1の第2単芯コネクタC2と光デバイスOD2の第2単芯コネクタC2とを接続する場合、反転接続が実現される(
図3及び
図4参照)。なお、前者の場合について、コネクタ接続に際して、2つの第1単芯コネクタC1のキーK1は反対方向を向く。また、後者の場合について、コネクタ接続に際して、2つの第2単芯コネクタC2のキーK2は同一方向を向く。
【0103】
なお、ここでは、マルチコアファイバMFの両端に単芯コネクタを設ける構成について説明したが、本発明は、これに限定されない。すなわち、マルチコアファイバMFの一端に単芯コネクタを設ける構成についても、本発明の範疇に含まれる。すなわち、
図8に示す光デバイスOD1から第1単芯コネクタC1又は第2単芯コネクタC2の何れか一方を省略した構成についても、本発明の範疇に含まれる。この場合、マルチコアファイバMFの単芯コネクタが設けられない方の端面については、傾斜していてもよいし、傾斜していなくてもよい。
【0104】
〔第3の実施形態〕
(光デバイスの構成)
本発明の第3の実施形態に係る光デバイスOD’の構成について、
図9を参照して説明する。
図9において、(a)は、光デバイスOD’の側面図である。また、(b)は、光デバイスOD’の一方の端面を視線E1方向から見た正面図である。また、(c)は、光デバイスOD’の他方の端面を視線E2方向から見た正面図である。
【0105】
光デバイスOD’は、第1の実施形態に係る複数のマルチコアファイバMFからなるマルチコアファイバ束MFBと、マルチコアファイバ束MFBの両端に設けられた多芯コネクタC3,C4と、を備えている。
図9においては、マルチコアファイバ束MFBを構成するマルチコアファイバMFとして、
図1に示すマルチコアファイバMFを示している。
【0106】
第1多芯コネクタC3は、マルチコアファイバ束MFBの一方の端部に設けられている。マルチコアファイバ束MFBを構成する各マルチコアファイバMFは、第1端面σ1の傾斜方向v1が特定の方向に揃うように、且つ、第1端面σ1が面一になるように、一列に並んで第1多芯コネクタC3に固定されている。また、第1多芯コネクタC3の4つの側面のうち、マルチコアファイバ束MFBを構成する各マルチコアファイバMFの第1端面σ1の傾斜方向v1の先にある側面には、キーK3が設けられている。キーK3は、例えば、第1多芯コネクタC3の側面から突出する直方体状の凸部である。
【0107】
第2多芯コネクタC4は、マルチコアファイバ束MFBの他方の端部に設けられている。マルチコアファイバ束MFBを構成する各マルチコアファイバMFは、第2端面σ2の傾斜方向v2が特定の方向に揃うように、且つ、第2端面σ2が面一になるように、一列に並んで第2多芯コネクタC4に固定されている。また、第2多芯コネクタC4の4つの側面のうち、マルチコアファイバ束MFBを構成する各マルチコアファイバMFの第2端面σ2の傾斜方向v2の先にある側面には、キーK4が設けられている。キーK4は、例えば、第2多芯コネクタC4の側面から突出する直方体状の凸部である。
【0108】
以下、2本の光デバイスOD’1,OD’2を考える。これら2本の光デバイスOD’1,OD’2は、何れも、本実施形態に係る光デバイスOD’である。
【0109】
2本の光デバイスOD’1、OD’2を異種端面接続する場合、すなわち、(1)光デバイスOD’1の第1多芯コネクタC3と光デバイスOD’2の第2多芯コネクタC4とを接続するか、又は、(2)光デバイスOD’1の第2多芯コネクタC4と光デバイスOD’2の第1多芯コネクタC3とを接続する場合、通常接続が実現される(
図2参照)。なお、前者の場合についても、後者の場合についても、コネクタ接続に際して第1多芯コネクタC3のキーK3と第2多芯コネクタC4のキーK4とは反対方向を向く。
【0110】
一方、2本の光デバイスOD1,OD2を同種端面接続する場合、すなわち、(1)光デバイスOD’1の第1多芯コネクタC3と光デバイスOD’2の第1多芯コネクタC3とを接続するか、又は、(2)光デバイスOD’1の第2多芯コネクタC4と光デバイスOD’2の第2多芯コネクタC4とを接続する場合、反転接続が実現される(
図3及び
図4参照)。なお、前者の場合について、コネクタ接続に際して、2つの第1多芯コネクタC3のキーK3は反対方向を向く。また、後者の場合について、コネクタ接続に際して、2つの第2多芯コネクタC4のキーK4は反対方向を向く。
【0111】
なお、第1多芯コネクタC3の代わりに、各マルチコアファイバMFの一方の端部に単芯コネクタを設け、これらの単芯コネクタを一体化する構成を採用してもよい。同様に、第2多芯コネクタC4の代わりに、各マルチコアファイバMFの他方の端部に単芯コネクタを設け、これらの単芯コネクタを一体化する構成を採用してもよい。
【0112】
また、ここでは、マルチコアファイバ束MFBの両端に多芯コネクタを設ける構成について説明したが、本発明は、これに限定されない。すなわち、マルチコアファイバ束MFBの一端に多芯コネクタを設ける構成についても、本発明の範疇に含まれる。すなわち、
図9に示す光デバイスOD’から第1多芯コネクタC3又は第2多芯コネクタC4の何れか一方を省略した構成についても、本発明の範疇に含まれる。この場合、各マルチコアファイバMFの多芯コネクタが設けられない方の端面については、傾斜していてもよいし、傾斜していなくてもよい。
【0113】
なお、第1多芯コネクタC3において、マルチコアファイバ束MFBを構成するマルチコアファイバMFの並び方向は、任意である。ただし、マルチコアファイバ束MFBの並び方向は、
図9の(b)に示すように、第1多芯コネクタC3の端面の傾斜方向(すなわち、マルチコアファイバMFの第1端面σ1の傾斜方向v1)と垂直な方向であることが好ましい。特に、マルチコアファイバ束MFBが一列に配列している場合は、第1多芯コネクタC3の端面の傾斜方向と垂直な方向であることがより好ましい。第1多芯コネクタC3の端面を正面から撮影することを考えると、マルチコアファイバMFの並び方向が第1多芯コネクタC3の端面の傾斜方向と垂直である場合の方が、それ以外の場合(例えば、マルチコアファイバMFの並び方向が第1多芯コネクタC3の端面の傾斜方向と平行である場合)よりも、撮像装置(例えば、カメラ)のレンズから各マルチコアファイバMFの端面σ1までの距離のばらつきが小さくなる傾向にあり、その結果、各マルチコアファイバMFのデフォーカスの度合いの差を小さく抑えることができるからである。第2多芯コネクタC4においても、同様のことが言える。
【0114】
また、
図9に示す光デバイスOD’において、マルチコアファイバ束MFBには、
図10の(a)に示すように、第1端面σ1が第1多芯コネクタC3側に来るように、且つ、第2端面σ2が第2多芯コネクタC4側に来るように配置されたマルチコアファイバMFのみが含まれているが、これに限定されない。例えば、マルチコアファイバ束MFBには、
図10(a)に示すマルチコアファイバMFを両端が入れ替わるように反転させることにより得られるマルチコアファイバMF、すなわち、
図10の(b)に示すように、第2端面σ2が第1多芯コネクタC3側に来るように、且つ、第1端面σ1が第2多芯コネクタC4側に来るように配置されたマルチコアファイバMFが含まれていてもよい。また、マルチコアファイバ束MFBには、両端が第1端面σ1であるマルチコアファイバ接続体、すなわち、第1多芯コネクタC3に結合されるマルチコアファイバが
図10の(a)に示すマルチコアファイバMFであり、第2多芯コネクタC4に結合されるマルチコアファイバが
図10の(b)に示すマルチコアファイバMFであるマルチコアファイバ接続体が含まれていてもよい。このマルチコアファイバ接続体は、第2端面σ2同士が接続(例えば、コネクタ接続)された、これら2本のマルチコアファイバMFにより構成されていてもよいし、これら2本のマルチコアファイバMFの間に挿入された1本以上のマルチコアファイバを含む、3本以上のマルチコアファイバにより構成されていてもよい。また、マルチコアファイバ束MFBには、両端が第2端面σ2であるマルチコアファイバ接続体、すなわち、第1多芯コネクタC3に結合されるマルチコアファイバが
図10の(b)に示すマルチコアファイバMFであり、第2多芯コネクタC4に結合されるマルチコアファイバが
図10の(a)に示すマルチコアファイバMFであるマルチコアファイバ接続体が含まれていてもよい。このマルチコアファイバ接続体は、第1端面σ1同士が接続(例えば、コネクタ接続)された、これら2本のマルチコアファイバMFにより構成されていてもよいし、これら2本のマルチコアファイバMFの間に挿入された1本以上のマルチコアファイバを含む、3本以上のマルチコアファイバにより構成されていてもよい。
【0115】
また、
図9に示す光デバイスOD’において、マルチコアファイバ束MFBには、
図10の(a)に示すように、第1端面σ1において傾斜方向v1がコアa1とコアa4との間の方向を向き、第2端面σ2において傾斜方向v2がコアa2とコアa3との間の方向を向くマルチコアファイバMFのみが含まれているが、これに限定されない。例えば、マルチコアファイバMFBには、
図10の(a)に示すマルチコアファイバMFを、傾斜方向v1,v2を変えることなく180°回転(中心軸を回転軸とする回転)することによりマルチコアファイバMFx、すなわち、
図10の(c)に示すように、第1端面σ1において傾斜方向v1がコアa2とコアa3との間の方向を向き、第2端面σ2において傾斜方向v2がコアa1とコアa4との間の方向を向くマルチコアファイバMFxが含まれていてもよい。また、マルチコアファイバ束MFBには、
図10(c)に示すマルチコアファイバMFxを両端が入れ替わるように反転させることにより得られるマルチコアファイバMFx、すなわち、
図10の(d)に示すように、第2端面σ2が第1多芯コネクタC3側に来るように、且つ、第1端面σ1が第2多芯コネクタC4側に来るように配置されたマルチコアファイバMFxが含まれていてもよい。また、マルチコアファイバ束MFBには、両端が第1端面σ1であるマルチコアファイバ接続体、すなわち、第1多芯コネクタC3に結合されるマルチコアファイバが
図10の(c)に示すマルチコアファイバMFxであり、第2多芯コネクタC4に結合されるマルチコアファイバが
図10の(d)に示すマルチコアファイバMFxであるマルチコアファイバ接続体が含まれていてもよい。このマルチコアファイバ接続体は、第2端面σ2同士が接続(例えば、コネクタ接続)された、これら2本のマルチコアファイバMFxにより構成されていてもよいし、これら2本のマルチコアファイバMFxの間に挿入された1本以上のマルチコアファイバを含む、3本以上のマルチコアファイバにより構成されていてもよい。また、マルチコアファイバ束MFBには、両端が第2端面σ2であるマルチコアファイバ接続体、すなわち、第1多芯コネクタC3に結合されるマルチコアファイバが
図10の(d)に示すマルチコアファイバMFxであり、第2多芯コネクタC4に結合されるマルチコアファイバが
図10の(c)に示すマルチコアファイバMFxであるマルチコアファイバ接続体が含まれていてもよい。このマルチコアファイバ接続体は、第1端面σ1同士が接続(例えば、コネクタ接続)された、これら2本のマルチコアファイバMFxにより構成されていてもよいし、これら2本のマルチコアファイバMFの間に挿入された1本以上のマルチコアファイバを含む、3本以上のマルチコアファイバにより構成されていてもよい。
【0116】
なお、マルチコアファイバ束MFBは、
図10の(a)に示すマルチコアファイバMFのみにより構成されていてもよいし、
図10の(b)に示すマルチコアファイバMFのみにより構成されていてもよいし、
図10の(a)に示すマルチコアファイバMFと、
図10の(b)に示すマルチコアファイバMFとの両方により構成されていてもよい。何れの場合でも、光デバイスOD’は、異種端面接続(通常接続)及び同種端面接続(反転接続)の両方が可能である。両端にマルチコアファイバMFを含むファイバ接続体についても同様のことが言える。
【0117】
また、マルチコアファイバ束MFBは、
図10の(c)に示すマルチコアファイバMFxのみにより構成されていてもよいし、
図10の(d)に示すマルチコアファイバMFxのみにより構成されていてもよいし、
図10の(c)に示すマルチコアファイバMFxと、
図10の(d)に示すマルチコアファイバMFxとの両方により構成されていてもよい。何れの場合でも、光デバイスOD’は、異種端面接続(通常接続)及び同種端面接続(反転接続)の両方が可能である。両端にマルチコアファイバMFxを含むファイバ接続体についても同様のことが言える。
【0118】
また、マルチコアファイバ束MFBは、
図10の(a)又は(b)に示すマルチコアファイバMFのみにより構成されていてもよいし、
図10の(c)又は(d)に示すマルチコアファイバMFxのみにより構成されていてもよいし、
図10の(a)又は(b)に示すマルチコアファイバMFと、
図10の(c)又は(d)に示すマルチコアファイバMFxとの両方により構成されていてもよい。ただし、マルチコアファイバ束MFBは、
図10の(a)又は(b)に示すマルチコアファイバMFのみ、又は、
図10の(c)又は(d)に示すマルチコアファイバMFxのみにより構成されていることが好ましい。これにより、簡単な構成を実現することができるからである。また、
図10の(a)又は(b)に示すマルチコアファイバMFと、
図10の(c)又は(d)に示すマルチコアファイバMFxとが混在する場合、光デバイスOD’に複数の種類が生じることになり、接続可能な光デバイスOD’は、同じ種類の光デバイスOD’に限定されるからである。ここで、互いに異なる2本の光デバイスOD’が同じ種類であるとは、それら2本の光デバイスOD’がマルチコアファイバMFを同じ本数含み(したがって、マルチコアファイバMFxも同じ本数含み)、それら2本の光デバイスOD’において、第1多芯コネクタC3におけるマルチコアファイバMFとマルチコアファイバMFxとの並び順が一致する(したがって、第2多芯コネクタC4におけるマルチコアファイバMFとマルチコアファイバMFxとの並び順も一致する)ことを指す。
【0119】
なお、本実施形態においては、多芯コネクタC3,C4において、マルチコアファイバMFが1行4列に配列された構成について説明したが、本発明はこれに限定されない。一般に、多芯コネクタC3,C4において、マルチコアファイバMFがN行M列に配列された構成についても、本発明の範疇に含まれる。ここで、N及びMは、任意の自然数であり、ただし、N又はMの少なくとも何れか一方は2以上である。N<Mである場合、端面σ1,σ2の傾斜方向v1,v2は、マルチコアファイバMFの配列の各行に垂直(すなわち、各列に平行)であることが好ましい。この場合、多芯コネクタC3,C4の端面を正面から撮影することを考えると、端面σ1,σ2の傾斜方向v1,v2がマルチコアファイバMFの配列の各行に垂直である場合の方が、それ以外の場合よりも、撮像装置(例えば、カメラ)のレンズから各マルチコアファイバMFの端面σ1,σ2までの距離のばらつきが小さくなる傾向にあり、その結果、各マルチコアファイバMFのデフォーカスの度合いの差を小さく抑えることができるからである。一方、N>Mである場合、端面σ1,σ2の傾斜方向v1,v2は、マルチコアファイバMFの配列の各列に垂直(すなわち、各行に平行)であることが好ましい。この場合、多芯コネクタC3,C4の端面を正面から撮影することを考えると、端面σ1,σ2の傾斜方向v1,v2がマルチコアファイバMFの配列の各列に垂直である場合の方が、それ以外の場合よりも、撮像装置(例えば、カメラ)のレンズから各マルチコアファイバMFの端面σ1,σ2までの距離のばらつきが小さくなる傾向にあり、その結果、各マルチコアファイバMFのデフォーカスの度合いの差を小さく抑えることができるからである。
【0120】
〔第4の実施形態〕
本発明の第4の実施形態に係るファンイン/ファンアウト(Fan-In/Fan-Out)デバイスFDについて、
図11を参照して説明する。
図11の(a),(b)は、それぞれ、ファンイン/ファンアウトデバイスFD1,FD2の構成を示すブロック図である。
【0121】
図11の(a),(b)に示すファンイン/ファンアウトデバイスFD1,FD2は、それぞれ、光路変換部101と、光路変換部101の一方の側に設けられたシングルコアファイバ102a~102dと、光路変換部101の他方の側に設けられたマルチコアファイバ103と、を備えている。シングルコアファイバ102a~102dの個数は、マルチコアファイバ103のコアの個数と同数である。光路変換部101は、シングルコアファイバ102a~102dの各々を、マルチコアファイバ103のコアの何れかと光学結合する機能を有している。
【0122】
図11の(a)に示すファンイン/ファンアウトデバイスFD1においては、上述したマルチコアファイバ103が第1の実施形態に係るマルチコアファイバMFにより構成されている。この場合、光路変換部101のマルチコアファイバMF側の端面、及び、マルチコアファイバMFの光路変換部101側の端面は、それぞれ傾斜しており、
図2、
図3、又は
図4に示す接続態様で接続される。一方、
図11の(b)に示すファンインイン/ファンアウトデバイスFD2においては、上述したマルチコアファイバ103に、第1の実施形態に係るマルチコアファイバMFが接続されている。この場合、マルチコアファイバ103のマルチコアファイバMF側の端面、及び、マルチコアファイバMFのマルチコアファイバ103側の端面は、それぞれ傾斜しており、
図2、
図3、又は
図4に示す接続態様で接続される。なお、この場合、光路変換部101のマルチコアファイバMF側の端面、及び、マルチコアファイバMFの光路変換部101側の端面は、傾斜していてもよいし、傾斜していなくてもよい。
【0123】
何れの場合も、ファンイン/ファンアウトデバイスFD1,FD2を他のマルチコアファイバと接続するとき、当該他のマルチコアファイバと接続されるマルチコアファイバは、第1の実施形態に係るマルチコアファイバMFになる。したがって、当該他のマルチコアファイバが第1の実施形態に係るマルチコアファイバMFである場合、当該他のマルチコアファイバとファンイン/ファンアウトデバイスFD1,FD2との接続を、本実施形態に係るマルチコアファイバMF同士の接続と同じように行うことができる。
【0124】
〔付記事項〕
本発明は上述した実施形態に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能であり、上述した実施形態に開示された各技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施形態についても本発明の技術的範囲に含まれる。例えば、マルチコアファイバは、捩れていてもよい。捩れているかに否かに依らず、請求項に記載した条件を満たすマルチコアファイバは、本発明の技術的範囲に含まれる。また、コネクタの形状は、任意である。例えば、ファイバ穴にマルチコアファイバが挿入・固定されるタイプのコネクタを備えた光デバイスも、或いは、V溝にマルチコアファイバが収容・固定されるタイプのコネクタを備えた光デバイスも、本発明の技術的範疇に含まれる。また、マルチコアファイバの端面は、平坦面であってもよいし、平坦面により近似可能な曲面(例えば凸球面、或いは凹球面)であってもよい。
【符号の説明】
【0125】
MF,MF1,MF2 マルチコアファイバ
a1~an コア
b クラッド
c マーカ
σ1 第1端面
σ2 第2端面
v1,v2 傾斜方向
θ1,θ2 傾斜角
OD,OD’ 光デバイス
C1,C2 単芯コネクタ
C3,C4 多芯コネクタ
MFB マルチコアファイバ束
FD ファンイン/ファンアウトデバイス
【手続補正書】
【提出日】2024-07-19
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
クラッド、当該クラッド内に形成された複数のコアであって、特定の構造によりコア番号が識別可能となる複数のコア、並びに、当該複数のコアの延在方向と直交しないように傾斜した第1端面及び第2端面を有するマルチコアファイバにおいて、
前記第1端面における前記複数のコアの延在方向と前記第2端面における前記複数のコアの延在方向との成す角を最小化するように前記第1端面と前記第2端面とを面接触させた場合に、前記第1端面における前記複数のコアの各々が前記第2端面における前記複数のコアの何れかと少なくとも部分的に重なり合い、
前記第1端面において、前記複数のコアは、略線対称に配置されており、略線対称の軸になる仮想直線は、前記第1端面の傾斜方向に略直交する仮想直線のみであり、
前記第2端面において、前記複数のコアは、略線対称に配置されており、略線対称の軸になる仮想直線は、前記第2端面の傾斜方向に略直交する仮想直線のみである、
ことを特徴とするマルチコアファイバ。
【請求項2】
クラッド、当該クラッド内に形成された複数のコアであって、特定の構造によりコア番号が識別可能となる複数のコア、及び、当該複数のコアの延在方向と直交しないように傾斜した第1端面を有するマルチコアファイバであって、クラッド、当該クラッド内に形成された複数のコアであって、特定の構造によりコア番号が識別可能となる複数のコア、及び、当該複数のコアの延在方向と直交しないように傾斜した第2端面を有する他のマルチコアファイバと接続可能なマルチコアファイバにおいて、
前記第1端面における前記複数のコアの延在方向と前記第2端面における前記複数のコアの延在方向との成す角を最小化するように前記第1端面と前記第2端面とを面接触させた場合に、前記第1端面における前記複数のコアの各々が前記第2端面における前記複数のコアの何れかと少なくとも部分的に重なり合い、
前記第1端面において、前記複数のコアは、略線対称に配置されており、略線対称の軸になる仮想直線は、前記第1端面の傾斜方向に略直交する仮想直線のみであり、
前記第2端面において、前記複数のコアは、略線対称に配置されており、略線対称の軸になる仮想直線は、前記第2端面の傾斜方向に略直交する仮想直線のみである、
ことを特徴とするマルチコアファイバ。
【請求項3】
前記第1端面内の仮想直線であって、その仮想直線に対して前記第1端面を反転させた場合、前記複数のコアの各々が前記複数のコアの何れかと少なくとも部分的に重なり合うという条件を満たす仮想直線は、当該仮想直線と前記第1端面の傾斜方向との成す角をθ1とした場合、θ1から90°を引いた値の絶対値が15°以下になる仮想直線のみであり、
前記第2端面内の仮想直線であって、その仮想直線に対して前記第2端面を反転させた場合、前記複数のコアの各々が前記複数のコアの何れかと少なくとも部分的に重なり合うという条件を満たす仮想直線は、当該仮想直線と前記第2端面の傾斜方向との成す角をθ1とした場合、θ1から90°を引いた値の絶対値が15°以下になる仮想直線のみである、
ことを特徴とする請求項1に記載のマルチコアファイバ。
【請求項4】
前記第1端面において、前記複数のコアは、線対称に配置されており、線対称の軸になる仮想直線は、前記第1端面の傾斜方向に直交する仮想直線のみであり、
前記第2端面において、前記複数のコアは、線対称に配置されており、線対称の軸になる仮想直線は、前記第2端面の傾斜方向に直交する仮想直線のみである、
ことを特徴とする請求項1に記載のマルチコアファイバ。
【請求項5】
前記第1端面の傾斜角と前記第2端面の傾斜角とが実質的に等しい、
ことを特徴とする請求項1に記載のマルチコアファイバ。
【請求項6】
前記第1端面及び前記第2端面において前記複数のコアのコア番号を特定可能であり、
前記成す角を最小化するように前記第1端面と前記第2端面とを面接触させた場合に、少なくとも部分的に重なり合うコアの前記コア番号が一致する、
ことを特徴とする請求項1に記載のマルチコアファイバ。
【請求項7】
前記第1端面及び前記第2端面において前記複数のコアのコア番号を特定可能であり、
前記成す角を最小化するように前記第1端面と前記第2端面とを面接触させた場合に、少なくとも部分的に重なり合うコアの前記コア番号が相違する、
ことを特徴とする請求項2に記載のマルチコアファイバ。
【請求項8】
前記第1端面において前記略線対称の軸になる第1直線が前記複数のコアの何れとも交わらず、
前記第2端面において前記略線対称の軸になる第2直線が前記複数のコアの何れとも交わらない、
ことを特徴とする請求項1に記載のマルチコアファイバ。
【請求項9】
前記特定の構造として、前記クラッド内に形成されたマーカを更に有し、
前記第1端面において、前記マーカの中心が、前記第1直線と、前記複数のコアのうち前記第1直線から最も遠いコアの中心を通り前記第1直線と平行な直線との間に含まれ、
前記第2端面において、前記マーカの中心が、前記第2直線と、前記複数のコアのうち前記第2直線から最も遠いコアの中心を通り前記第2直線と平行な直線との間に含まれる、
ことを特徴とする請求項8に記載のマルチコアファイバ。
【請求項10】
前記複数のコアには、前記第1端面において前記略線対称の軸になる第1直線と交わり、且つ、前記第2端面において前記略線対称の軸になる第2直線と交わる通信用のコアが含まれる、
ことを特徴とする請求項1に記載のマルチコアファイバ。
【請求項11】
複数のマルチコアファイバを束ねたマルチコアファイバ束と、前記マルチコアファイバ束の一端に設けられた多芯コネクタ又は一体化された単芯コネクタ群と、を備えており、
前記複数のマルチコアファイバの各々は、請求項1~10の何れか一項に記載のマルチコアファイバであり、前記第1端面及び前記第2端面のうち前記多芯コネクタ又は単芯コネクタ群が設けられる側の端面であるコネクタ側端面の傾斜方向が特定の方向に揃うように、前記多芯コネクタ又は単芯コネクタ群に固定されている、
ことを特徴とする光デバイス。
【請求項12】
光路変換部とマルチコアファイバとを有するファンイン/ファンアウトデバイスであって、
前記マルチコアファイバが請求項1~10の何れか一項に記載のマルチコアファイバであるか、又は、前記マルチコアファイバが請求項1~10の何れか一項に記載のマルチコアファイバと接続されている、
ことを特徴とするファンイン/ファンアウトデバイス。
【請求項13】
第1クラッド、当該第1クラッド内に形成された複数の第1コアであって、特定の構造によりコア番号が識別可能となる複数の第1コア、及び、当該複数の第1コアの延在方向と直交しないように傾斜した第1端面を有する第1マルチコアファイバと、第2クラッド、当該第2クラッド内に形成された複数の第2コアであって、特定の構造によりコア番号が識別可能となる複数の第2コア、及び、当該複数の第2コアの延在方向と直交しないように傾斜した第2端面を有する第2マルチコアファイバと、を含むマルチコアファイバ集合体において、
前記第1端面における前記複数の第1コアの延在方向と前記第2端面における前記複数の第2コアの延在方向との成す角を最小化するように前記第1端面と前記第2端面とを面接触させた場合に、前記第1端面における前記複数の第1コアの各々が前記第2端面における前記複数の第2コアの何れかと少なくとも部分的に重なり合い、
前記第1端面において、前記複数の第1コアは、略線対称に配置されており、略線対称の軸になる仮想直線は、前記第1端面の傾斜方向に略直交する仮想直線であり、
前記第2端面において、前記複数の第2コアは、略線対称に配置されており、略線対称の軸になる仮想直線は、前記第2端面の傾斜方向に略直交する仮想直線である、
ことを特徴とするマルチコアファイバ集合体。
【請求項14】
前記第1マルチコアファイバの前記第1端面と前記第2マルチコアファイバの前記第2端面とが、前記第1端面における前記複数の第1コアの延在方向と前記第2端面における前記複数の第2コアの延在方向との成す角を最小化するように接続されており、
前記第1端面及び前記第2端面において前記複数の第1コア及び第2コアのコア番号を特定可能であり、
各第1コアのコア番号と該第1コアと接続される第2コアのコア番号とが一致する、
ことを特徴とする請求項13に記載のマルチコアファイバ集合体。
【請求項15】
前記第1マルチコアファイバの前記第1端面と前記第2マルチコアファイバの前記第2端面とが、前記第1端面における前記複数の第1コアの延在方向と前記第2端面における前記複数の第2コアの延在方向との成す角を最小化するように接続されており、
前記第1端面及び前記第2端面において前記複数の第1コア及び第2コアのコア番号を特定可能であり、
各第1コアのコア番号と該第1コアと接続される第2コアのコア番号とが相違する、
ことを特徴とする請求項13に記載のマルチコアファイバ集合体。