(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024146312
(43)【公開日】2024-10-15
(54)【発明の名称】運転支援装置、運転支援システム、プログラム、および運転支援方法
(51)【国際特許分類】
G08G 1/16 20060101AFI20241004BHJP
【FI】
G08G1/16 F
【審査請求】未請求
【請求項の数】13
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023059128
(22)【出願日】2023-03-31
(71)【出願人】
【識別番号】322003857
【氏名又は名称】パナソニックオートモーティブシステムズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】中嶋 悠
【テーマコード(参考)】
5H181
【Fターム(参考)】
5H181AA01
5H181BB04
5H181BB13
5H181CC04
5H181FF10
5H181FF13
5H181FF25
5H181FF27
5H181FF33
5H181FF35
5H181LL07
5H181LL08
5H181LL20
(57)【要約】
【課題】適切な運転支援を実現できる運転支援装置、運転支援システム、プログラム、および運転支援方法を提供する。
【解決手段】本開示に係る運転支援装置は、操作ログ取得部と、身体能力取得部と、推定部と、支援部と、を備える。操作ログ取得部は、車両の操作ログを取得する。身体能力取得部は、車両の運転者の身体能力を取得する。推定部は、操作ログおよび身体能力に基づいて、運転者の知能状態を推定する。支援部は、推定した知能状態に基づいて、運転者による車両の運転を支援する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両の操作ログを取得する操作ログ取得部と、
前記車両の運転者の身体能力を取得する身体能力取得部と、
前記操作ログおよび前記身体能力に基づいて、前記運転者の知能状態を推定する推定部と、
推定した前記知能状態に基づいて、前記運転者による前記車両の運転を支援する支援部と、
を備える運転支援装置。
【請求項2】
前記車両が走行している道路の道路情報を取得する道路情報取得部をさらに備え、
前記推定部は、前記道路情報、前記操作ログ、および前記身体能力に基づいて、前記知能状態を推定する、請求項1に記載の運転支援装置。
【請求項3】
前記推定部は、前記道路情報と前記操作ログに基づいて、前記知能状態を推定し、当該推定した知能状態を前記身体能力に基づいて補正する、請求項2に記載の運転支援装置。
【請求項4】
前記推定部は、前記身体能力が低くなるに従って、前記知能状態を、前記道路情報および前記操作ログに基づく知能状態の推定結果より良い知能状態に補正する、請求項3に記載の運転支援装置。
【請求項5】
前記身体能力取得部は、
前記車両の車室外から前記身体能力を得る場合には、腕時計型のウェアラブルデバイスまたはスマートフォンから得られる活動量に基づいて、前記身体能力を算出し、
前記車両の車室内から前記身体能力を得る場合には、前記車両の停車時のハンドル操作およびブレーキ操作の少なくとも一方の応答に基づいて、前記身体能力を算出する、請求項1から4のいずれか一に記載の運転支援装置。
【請求項6】
前記支援部は、ドライバモニタリングまたはウェアラブルデバイスから前記運転者を識別可能とする識別情報を受け取り、当該識別情報に基づいて前記運転者を特定し、当該特定した運転者の過去の前記知能状態の推定結果の経時変化を算出して表示する、請求項1から4のいずれか一に記載の運転支援装置。
【請求項7】
前記推定部は、前記知能状態としてTMT-AおよびTMT-Bの少なくとも1つを算出する、請求項1から4のいずれか一に記載の運転支援装置。
【請求項8】
前記支援部は、前記知能状態の推定結果を外部装置に出力する、請求項1から4のいずれか一に記載の運転支援装置。
【請求項9】
前記支援部は、前記知能状態が予め設定された知能状態より低い場合、前記車両の運転を簡単にするモードに切り替える、請求項1から4のいずれか一に記載の運転支援装置。
【請求項10】
前記支援部は、前記知能状態が予め設定された知能状態より低い場合、運転中における音声アシストを強化するモードに切り替える、請求項1から4のいずれか一に記載の運転支援装置。
【請求項11】
車両の操作ログを取得する操作ログ取得部と、
前記車両の運転者の身体能力を取得する身体能力取得部と、
前記操作ログおよび前記身体能力に基づいて、前記運転者の知能状態を推定する推定部と、
推定した前記知能状態に基づいて、前記運転者による前記車両の運転を支援する支援部と、
を備える運転支援システム。
【請求項12】
運転支援装置で実行される運転支援方法であって、
操作ログ取得部が、車両の操作ログを取得する工程と、
身体能力取得部が、前記車両の運転者の身体能力を取得する工程と、
推定部が、前記操作ログおよび前記身体能力に基づいて、前記運転者の知能状態を推定する工程と、
支援部が、推定した前記知能状態に基づいて、前記運転者による前記車両の運転を支援する工程と、
を含む運転支援方法。
【請求項13】
コンピュータを、
車両の操作ログを取得する操作ログ取得部と、
前記車両の運転者の身体能力を取得する身体能力取得部と、
前記操作ログおよび前記身体能力に基づいて、前記運転者の知能状態を推定する推定部と、
推定した前記知能状態に基づいて、前記運転者による前記車両の運転を支援する支援部と、
して機能させるためのプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、運転支援装置、運転支援システム、プログラム、および運転支援方法に関する。
【背景技術】
【0002】
注意機能の測定等に用いられる認知機能検査の一つとして、TMT-A(Trail Making Test Part A)がある。TMTは、25の数字を小さい方から順に線で結び、数字を結び終えるまでに要した時間(秒数)をスコアとし、当該スコアが大きい程、認知機能が低下していると評価する。また、TMTでは、空間性注意に基盤を置く視覚性探査能力、ペンを紙から離さずに持続して課題を遂行する持続性注意能力、これらの能力を素早く行う認知的処理速度等が要求される。
【0003】
例えば、特許文献1には、TMT-Aおよび歩行データを用いて認知症を検知する技術が開示されている。また、特許文献2には、運転行動から認知機能低下を算出する技術が開示されている。特許文献3には、ステアリングブレ量を用いてドライバの認知機能を推定する技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許第6207547号公報
【特許文献2】特開2021-163201号公報
【特許文献3】特開2022-147482号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1記載の技術では、TMT-Aを普段から個人的に毎日実施することは現実的ではない。また、特許文献2,3記載の技術は、運転中の行動から認知低下を算出するが、ハンドルやアクセルブレーキ等の操作には力が必要なため、身体的(筋肉的)な低下でTMT-Aの算出結果が変わってしまう可能性がある。
【0006】
本開示は、適切な運転支援を実現できる運転支援装置、運転支援システム、プログラム、および運転支援方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示に係る運転支援装置は、操作ログ取得部と、身体能力取得部と、推定部と、支援部と、を備える。操作ログ取得部は、車両の操作ログを取得する。身体能力取得部は、車両の運転者の身体能力を取得する。推定部は、操作ログおよび身体能力に基づいて、運転者の知能状態を推定する。支援部は、推定した知能状態に基づいて、運転者による車両の運転を支援する。
【発明の効果】
【0008】
本開示に係る運転支援装置、運転支援システム、プログラム、および運転支援方法によれば、適切な運転支援を実現できる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】
図1は、本実施形態にかかる運転支援装置が適用された運転支援システムの概略的な構成の一例を示す図である。
【
図2】
図2は、本実施形態にかかる運転支援システムにおける知能状態の推定処理の流れの一例を示すフローチャートである。
【
図3】
図3は、本実施形態にかかる運転支援システムにおける運転支援処理の一例を説明するための図である。
【
図4】
図4は、本実施形態にかかる運転支援システムにおける身体情報の取得処理の一例を説明するための図である。
【
図5】
図5は、本実施形態にかかる運転支援システムにおける知能状態の推定処理の一例を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、図面を参照しながら、本開示に係る運転支援装置、運転支援システム、プログラム、および運転支援方法の実施形態について説明する。
【0011】
まず、
図1を用いて、本実施形態にかかる運転支援システム100の構成の一例について説明する。
図1は、本実施形態にかかる運転支援装置が適用された運転支援システムの概略的な構成の一例を示す図である。
【0012】
図1に示すように、運転支援システム100は、車両特性取得部101、ハンドル102、ブレーキ103、アクセル104、ドライビングモニタ(以下、ドラモニと言う)105、IVI(In-Vehicle Infotainment)106、身体能力取得部107、TMT-A推定装置108、IVI制御部109、支援出力部110、スマートフォン(以下、スマホと言う)111、ウェアラブルデバイス112、および認知支援装置出力部113を有する。
【0013】
本実施形態では、車両特性取得部101、ハンドル102、ブレーキ103、アクセル104、ドラモニ105、IVI106、身体能力取得部107、TMT-A推定装置108、およびIVI制御部109は、運転支援システム100により運転を支援する車両の車室内に設けられている。また、本実施形態では、スマホ111、およびウェアラブルデバイス112は、当該車両の車室外に設けられている。
【0014】
車両特性取得部101は、車両の特性を取得する。ここで、車両の特性は、フルブレーキする際に必要なペダル踏力、ハンドルの操作に必要な腕力、アクセルの操作に必要なペダル踏力等、車両固有の特性である。
【0015】
ハンドル102は、当該ハンドル102の操作ログをTMT-A推定装置108に通知する。ブレーキ103は、当該ブレーキ103の操作ログをTMT-A推定装置108に通知する。アクセル104は、当該アクセル104の操作ログをTMT-A推定装置108に通知する。
【0016】
ドラモニ105は、車両の運転手の運転動作、わき見運転やながら運転等の不注意運転等を監視する。また、ドラモニ105は、運転動作および不注意運転等の監視結果をTMT-A推定装置108に通知する。
【0017】
IVI106は、地図情報等の各種情報の表示等を行う。
【0018】
身体能力取得部107は、車両の車室内から、ハンドル102を操作する運転者の腕力、運転者がブレーキ103を踏む圧力(以下、ペダル踏力という)等を、運転者の身体能力として取得する。ここで、運転者の身体能力は、運転者の筋肉(筋力)、関節の可動域等、運転者の物理的な動きの能力を含む。すなわち、車両の車室内から身体能力を得る場合には、身体能力取得部107は、車両の停車時のハンドル102の操作およびブレーキ103の操作の少なくとも一方の応答に基づいて、身体能力を算出しても良い。
【0019】
また、身体能力取得部107は、スマホ111を介して、車両の車室外から、運転者の活動量を取得し、当該活動量に基づいて身体能力を算出しても良い。または、身体能力取得部107は、腕時計型のウェアラブルデバイス112により計測される運転者の活動量、家電等により計測される運転者の家での活動量を取得し、当該取得した活動量に基づいて、身体能力を算出しても良い。すなわち、身体能力取得部107は、車両の車室外から身体能力を得る場合には、腕時計型のウェアラブルデバイス112またはスマートフォン111から得られる活動量に基づいて、身体能力を算出しても良い。
【0020】
スマホ111は、ウェアラブルデバイス112や家電等により計測される運転者の活動量を身体能力取得部107に送信する。また、スマホ111は、TMT-A推定装置108によるTMT-Aの推定結果を認知支援装置出力部113に送信する。認知支援装置出力部113は、TMT-Aの推定結果と、ウェアラブルデバイス112や家での活動データと、に基づいて、認知機能の支援を行う。
【0021】
TMT-A推定装置108は、ハンドル102、ブレーキ103、アクセル104等の運転者による操作ログを、車両の操作ログとして取得する操作ログ取得部の一例として機能する。また、TMT-A推定装置108は、IVI106等から、車両が走行する道路の道路情報(例えば、カーブを走っていること、直線を走っていること)を取得する道路情報取得部の一例として機能する。
【0022】
また、TMT-A推定装置108は、操作ログ、道路情報、および身体能力取得部107により取得される身体能力に基づいて、運転者のTMT-A等の知能(心理)状態を推定する推定部の一例として機能する。本実施形態では、TMT-A推定装置108は、運転者の知能状態としてTMT-Aを推定するが、これに限定するものではなく、TMT-B等であっても良い。また、本実施形態では、TMT-A推定装置108は、操作ログ、道路情報、および身体能力に基づいて、運転者の知能状態を推定しているが、少なくとも、操作ログおよび身体能力に基づいて、運転者の知能状態を推定するものであれば良い。
【0023】
具体的には、TMT-A推定装置108は、道路情報および操作ログに基づいて、運転者の一般的な知能状態を推定する。ここで、一般的な知能状態とは、運転者の身体能力を考慮せず、道路情報および操作ログに基づいて推定する知能状態である。次いで、TMT-A推定装置108は、当該推定した一般的な知能状態を、身体能力に基づいて補正する。例えば、TMT-A推定装置108は、身体能力が低くなるに従って、運転者の知能状態を、道路情報および操作ログに基づく一般的な知能状態より良い知能状態に補正する。
【0024】
IVI制御部109は、スマホ111や支援出力部110等に対して各種情報を表示する。具体的には、IVI制御部109は、運転者のTMT-A等の知能状態の推定結果に基づいて、運転者による車両の運転を支援する支援部の一例として機能する。本実施形態では、IVI制御部109は、知能状態の推定結果をスマホ111や、支援出力部110、認知支援装置出力部113等の外部装置に出力する。
【0025】
また、本実施形態では、IVI制御部109は、車両の運転前後等において、ドラモニ105またはウェアラブルデバイス112から運転者を識別可能とする識別情報(例えば、ドラモニ105等のカメラにより撮影した運転者の画像)を受け取り、当該識別情報に基づいて運転者を特定し、当該特定した運転者の過去の知能状態の推定結果の経時変化を算出して表示しても良い。
【0026】
また、本実施形態では、IVI制御部109は、TMT-A推定装置108により推定される知能状態が予め設定される知能状態より低い場合、運転前に、車両の運転を簡単にする簡単運転モードに切り替えても良い。また、本実施形態では、IVI制御部109は、TMT-A推定装置108により推定される知能状態が予め設定された知能状態より低い場合、車両の運転中、音声アシストを強化する音声アシスト強化モードに切り替えても良い。
【0027】
次に、
図2を用いて、本実施形態にかかる運転支援システム100における知能状態の推定処理の流れの一例について説明する。
図2は、本実施形態にかかる運転支援システムにおける知能状態の推定処理の流れの一例を示すフローチャートである。
【0028】
まず、ドラモニ105は、車室内に設置されたカメラ(例えば、ドラモニ105のカメラ)によって運転者の顔情報を解析し、運転者を識別する個人識別処理を実行する(ステップS201)。IVI制御部109は、ドラモニ105により識別された運転者の前回までの運転結果に基づくTMT-A等の知能状態の推定結果を取得する。
【0029】
次いで、IVI制御部109は、当該取得した知能状態に基づいて、現在から所定期間前(例えば、この3か月)までに注意力の低下がみられるか否かを判断する。そして、注意力の低下がみられる場合、IVI制御部109は、IVI106に対して、識別した運転者に注意力の低下がみられることを表示等して、注意喚起を行う(ステップS202)。
【0030】
また、身体能力取得部107は、ドラモニ105による運転者の識別結果に基づいて、車室外および車室内から、識別した運転者の身体能力を取得する(ステップS203)。また、TMT-A推定装置108は、IVI106により表示される地図情報から、車両が走行している道路の道路情報を取得する(ステップS204)。さらに、TMT-A推定装置108は、ハンドル102、ブレーキ103、およびアクセル104の操作ログを含む運転行動を取得する(ステップS205)。
【0031】
次に、TMT-A推定装置108は、道路情報、運転行動、および身体能力取得部107により取得される身体能力に基づいて、TMT-A等の運転者の知能状態を推定する(ステップS206)。例えば、TMT-A推定装置108は、車両の運転に必要な力(例えば、アクセル104の踏力)を表す自動車情報と、身体情報が表す筋力に基づく踏力と、を比較する。ここで、自動車情報は、車両特性取得部101により取得される車両の特性であっても良い。
【0032】
そして、自動車情報が表す力が身体能力より大きい場合、TMT-A推定装置108は、道路情報および運動行動に基づく一般的な知能状態を、より良い知能状態に補正する。
【0033】
IVI制御部109は、運転者の知能状態の推定結果が予め設定された知能状態より低い場合、IVI106等に対して運転者に注意力の低下がみられることを表示等して、注意喚起を行う(ステップS207)。
【0034】
次に、
図3を用いて、本実施形態にかかる運転支援システム100における運転支援処理の一例を説明するための図である。
図3は、本実施形態にかかる運転支援システムにおける運転支援処理の一例を説明するための図である。
【0035】
IVI制御部109は、運転者に注意力の低下がみられる場合、すなわち、運転者の知能状態の推定結果が予め設定された知能状態より低い場合、
図3(a)に示すように、車両の運転の前後において、IVI106およびスマホ111等に対して、注意力の低下がみられることを示すグラフ等を表示して、注意喚起を行っても良い。
【0036】
また、IVI制御部109は、運転者の知能状態の推定結果が予め設定された知能状態より低い場合、
図3(b)に示すように、運転前においては、車両のルートの選択を簡単運転モードに切り替えても良い。ここで、簡単運転モードは、運転者による車両の運転を簡単にするモードであり、例えば、交差点の少ないルートで案内したり、右折の少ないルートで案内したりするモードである。
【0037】
また、IVI制御部109は、運転者の知能状態の推定結果が予め設定された知能状態より低い場合、
図3(c)に示すように、運転中においては、音声アシスト強化モードに設定しても良い。ここで、音声アシスト強化モードは、運転者の知能状態の推定結果が予め設定された知能状態以上である場合よりも、音声アシストを強化するモードである。
【0038】
例えば、音声アシスト強化モードは、標識の内容を伝えるメッセージを出力したり、詳細なルートガイダンスを行ったり、早めのブレーキを推奨するメッセージを出力したり、運転環境または運転行動に係るガイダンスを出力したり、休憩を促すメッセージを出力したりする。運転環境または運転行動に係るガイダンスは、
図3(c)に示すように、「車間距離をもう少しとりましょう」、「まもなく交差点です。もう少し速度を落として下さい」、「ウィンカーを忘れずに」等であっても良い。
【0039】
次に、
図4を用いて、本実施形態にかかる運転支援システム100における身体情報の取得処理の一例を説明するための図である。
図4は、本実施形態にかかる運転支援システムにおける身体情報の取得処理の一例を説明するための図である。
【0040】
身体能力取得部107は、スマホ111または腕時計型のウェアラブルデバイス112により計測される活動量を取得し、当該活動量に基づいて、運転者の筋力等の身体能力を算出しても良い。また、身体能力取得部107は、停車時における、ハンドル102およびブレーキ103の操作の少なくとも一方に基づいて、ハンドル102を操作する腕力およびブレーキ103の踏力等の身体能力を算出しても良い。
【0041】
例えば、身体能力取得部107は、ブレーキ103に設けられるブレーキ圧センサを用いて、ブレーキ103の踏力を算出しても良い。その際、IVI制御部109は、
図4に示すように、IVI106に対して、「ハンドルを回して下さい」、「ブレーキを踏みこんでください」等のメッセージを表示しても良い。
【0042】
次に、
図5を用いて、本実施形態にかかる運転支援システム100における知能状態の推定処理の一例について説明する。
図5は、本実施形態にかかる運転支援システムにおける知能状態の推定処理の一例を説明するための図である。
図5において、縦軸は、運転者の知能状態の一例であるTMT-Aを表し、横軸は、運転者の操作ログの一例である、単位時間当たりのブレーキ踏み量を表す。
【0043】
本実施形態では、TMT-A推定装置108は、下記の式(1)に従って、TMT-Aを算出しても良い。
TMT-A=道路条件係数×単位時間当たりのブレーキ踏み量×自動車情報と身体能力の比較結果・・・(1)
ここで、道路条件係数は、取得した道路情報に基づく係数である。操作ログの一例である、単位時間当たりのブレーキ踏み量は、運転者がブレーキ103の操作が急激に変化したか否かを表すものである。ここでは、操作ログの一例として単位時間当たりのブレーキ踏み量を用いているが、取得した道路情報に応じて、車両の運転に必要な運動行動が変わるため、当該道路情報に応じてTMT-Aの推定に用いる操作ログを切り替えても良い。例えば、道路情報がカーブである場合、操作ログとして、ハンドル操作のブレ量を用いても良い。自動車情報と身体能力の比較結果は、自動車情報と身体能力の比較結果に基づく係数である。
【0044】
例えば、ブレーキ103をフルブレーキする時に必要な踏力が、運転者のブレーキ103のペダル踏力より小さい場合、TMT-A推定装置108は、運転者はブレーキ103を十分に押せる力があると判断して、自動車情報と身体能力の比較結果として「1」を用いる。
【0045】
また、例えば、ブレーキ103をフルブレーキする時に必要な踏力が、運転者のブレーキ103のペダル踏力を1.5倍した値より大きい場合、TMT-A推定装置108は、運転者はブレーキ103を押せる力が少し足らないと判断して、自動車情報と身体能力の比較結果として「0.75」を用いる。
【0046】
また、例えば、ブレーキ103をフルブレーキする時に必要な踏力が、運転者のブレーキ103のペダル踏力を2倍した値より大きい場合、TMT-A推定装置108は、運転者はブレーキ103を押せる力が足らないと判断して、自動車情報と身体能力の比較結果として「0.5」を用いる。
【0047】
このように、ブレーキ103をフルブレーキする時に必要な踏力に対して、運転者のブレーキ103のペダル踏力が足らない場合、TMT-A推定装置108は、
図5に示すように、一般的な知能状態の推定結果より、より良い知能状態となるように知能状態の推定結果に補正をかけることができる。これにより、運転者の身体能力の低下を考慮して知能状態を推定することができるので、運転者の知能状態に基づいて適切な運転支援を実現することができる。
【0048】
このように、本実施形態にかかる運転支援システム100によれば、操作ログ、道路情報、および運転者の身体能力に基づいて、運転者のTMT-A等の知能状態を推定することにより、転者の身体能力の低下を考慮して知能状態を推定することができるので、運転者の知能状態に基づいて適切な運転支援を実現することができる。
【0049】
本実施形態の運転支援システム100で実行されるプログラムは、ROM(Read Only Memory)等に予め組み込まれて提供される。本実施形態の運転支援システム100で実行されるプログラムは、インストール可能な形式又は実行可能な形式のファイルでCD-ROM、フレキシブルディスク(FD)、CD-R、DVD(Digital Versatile Disk)等のコンピュータで読み取り可能な記録媒体に記録して提供するように構成してもよい。
【0050】
さらに、本実施形態の運転支援システム100で実行されるプログラムを、インターネット等のネットワークに接続されたコンピュータ上に格納し、ネットワーク経由でダウンロードさせることにより提供するように構成しても良い。また、本実施形態の運転支援システム100で実行されるプログラムをインターネット等のネットワーク経由で提供または配布するように構成しても良い。
【0051】
また、本実施形態では、車両のECU(Engine Control Unit)において、CPU(Central Processing Unit)等のプロセッサの一例が、RAM(Random Access Memory)等を作業領域として、ROM等に記憶される各種プログラムを実行することにより、車両特性取得部101、身体能力取得部107、TMT-A推定装置108、およびIVI制御部109により実現しているが、これに限定するものではなく、複数の装置により、車両特性取得部101、身体能力取得部107、TMT-A推定装置108、およびIVI制御部109を実現することも可能である。
【0052】
例えば、車両のECUと外部サーバとにより、車両特性取得部101、身体能力取得部107、TMT-A推定装置108、およびIVI制御部109により実現しても良い。または、例えば、車両のECUとスマホ111等の外部端末とにより、車両特性取得部101、身体能力取得部107、TMT-A推定装置108、およびIVI制御部109により実現しても良い。または、例えば、車両のECUと外部サーバと外部端末とにより、車両特性取得部101、身体能力取得部107、TMT-A推定装置108、およびIVI制御部109により実現しても良い。
【0053】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これらの実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これらの実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。
【符号の説明】
【0054】
100 運転支援システム
101 車両特性取得部
102 ハンドル
103 ブレーキ
104 アクセル
105 ドラモニ
106 IVI
107 身体能力取得部
108 TMT-A推定装置
109 IVI制御部
110 支援出力部
111 スマホ
112 ウェアラブルデバイス
113 認知支援装置出力部