(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024146332
(43)【公開日】2024-10-15
(54)【発明の名称】気体流量調整機構
(51)【国際特許分類】
G01N 27/18 20060101AFI20241004BHJP
G01N 25/18 20060101ALN20241004BHJP
【FI】
G01N27/18
G01N25/18 K
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023059166
(22)【出願日】2023-03-31
(71)【出願人】
【識別番号】000133526
【氏名又は名称】株式会社チノー
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 翼
【テーマコード(参考)】
2G040
2G060
【Fターム(参考)】
2G040AA03
2G040AB09
2G040BA02
2G040BA23
2G040CA01
2G040DA01
2G040FA02
2G060AA01
2G060AE19
2G060AF07
2G060BA05
2G060BB02
2G060BC00
2G060KA01
(57)【要約】
【課題】熱伝導式のセンサでは、配管のガス流量が多くなると、センサの測定素子の温度低下が大きくなり、適切な測定ができないことが問題となっていた。
【解決手段】測定対象流体の物理量を測定する測定部と、測定対象流体が流れる本体流路管と、本体流路管から分岐し測定部へ測定対象流体を導入する導入管と、導入管内から本体流路管内にかけて設置され、導入管と平行する回転軸で回転することで、導入管への気体流量を増減させ、測定部へ導入される測定対象流体の流量を制御する流体導入量制御板と、からなる流体流量調整機構を提供する。
【選択図】
図1B
【特許請求の範囲】
【請求項1】
測定対象流体の物理量を測定する測定部と、
測定対象流体が流れる本体流路管と、
本体流路管から分岐し測定部へ測定対象流体を導入する導入管と、
導入管内から本体流路管内にかけて設置され、導入管と平行する回転軸で回転することで、導入管への気体流量を増減させ、測定部へ導入される測定対象流体の流量を制御する流体導入量制御板と、
からなる流体流量調整機構。
【請求項2】
前記流体導入量制御板は、先端部に屈曲部を有する請求項1に記載の流体流量調整機構。
【請求項3】
前記流体導入量制御盤は、本体流路管内の流体の圧損を減らすための流路孔を有する請求項1または2に記載の流体流量調整機構。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、熱伝導式センサへの気体流量を調整する機構に関する。
【背景技術】
【0002】
熱伝導を利用したセンサは、加熱した検知素子の近傍を流れる気体により、検知素子に生じた温度変化を計測することで、測定を行う。近年の半導体加工技術を利用したマイクロマシニング技術を利用することにより検知素子の小型化が可能になり、ガスセンサや湿度センサに利用されている。
【0003】
例えば、特開2008-233057(特許文献1)には、真空度、気体や液体の流量などの物理量を計測するための高感度、高精度、計測範囲拡大ができるような熱伝導型センサとこれを用いた熱伝導型計測装置が示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
熱伝導式センサでは、小型化した検知素子が採用されていることより、検知素子の近傍を流れる気体の流量が設計の想定より多くなると、検知素子の温度変化が大きくなり、正確な測定ができなくなる問題点があった。例えば、熱伝導式ガスセンサは、水素などの可燃性の気体を検出するために使われることが多く、熱伝導式ガスセンサの近傍では、気体が自然拡散状態で存在することが望ましい。
【課題を解決するための手段】
【0006】
そこで、配管から熱伝導式センサへの流れる気体流量を調節することで、熱伝導式センサを適切に動作できるようにする機構が必要となる。
【0007】
上記目的を達成するため、本発明の請求項1に記載された気体流量調整機構は、測定対象気体の物理量を測定する測定部と、測定対象気体が流れる本体流路管と、本体流路管から分岐し測定部へ測定対象流体を導入する導入管と、導入管内から本体流路管内にかけて設置され、導入管と平行する上下方向に可動し、本体流路管の流路断面の流路面積を増減させ、測定部へ導入される測定対象流体の流量を制御する気体導入量制御板と、からなることを特徴とする。
【0008】
本発明の請求項2に記載された、気体流量調整機構は、先端部に屈曲部を有することを特徴とする。
【0009】
本発明の請求項3に記載された、気体流量調整機構は、本体流路管内の流体の圧損を減らすための流路孔を有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明により、配管に大流量の気体が流れていても、その気体に関する物理量を測定する熱伝導式センサを設計値通りに動作させることを可能とする気体流量調整機構を提供する。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図2】気体導入量制御板による流速変化のシミュレーション結果
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下に、図を用いて本発明の実施の形態を説明する。なお、本発明はこれら実施形態に何ら限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲において、種々なる態様で実施しうる。
【0013】
本実施例では、熱伝導式ガスセンサで配管内の気体を分析する実施形態について説明する。本実施例においては、配管からの気体は図の左側方向から導入され、センサを経由して、右側方向に配管から出て行く構成で説明する。
【0014】
図1Aは本実施例の側面図である。具体的には、本体流路管内および導入管で気体が流れる方向に平行な面から見たときの概念図になる。ガスセンサやガスセンサの制御基板などを有する測定部101、配管から流れてきた気体を測定部101へ導入する測定気体導入管と、測定部101を通過した気体が導出される測定気体導出管を有する導入管102、配管から流れてきた気体が気体導入管から測定部へ向かう気体と、測定部に向かわずに通過する気体に分岐する本体流路管103、配管からの気体が入る導入口104、本体流路管103と測定部を通過した気体の両方が、配管へ戻る導出口105がある。なお、導入口104と導出口105は、配管と直接接続してもよいし、バイパス管を介して接続してもどちらでもよい。
【0015】
測定部101と導入管102、導入管102と本体流路管103、本体流路管と導入口104,導出口105は、継ぎ手などを介して、密閉性を確保した状態で接続される。
【0016】
図1Bは
図1Aの一部を断面にして、内部構造を示した図である。具体的には、測定部、導入管、本体流路管の中央の断面になっている。
図1Aと同じ符号は同じ物を示している。導入口104から入ってきた気体は、気体導入量制御板106によりせき止められ、測定気体導入口107を通って、測定室108へ入る。測定室108には、センサ109があり、センサを通過した気体は、測定気体導出管110を通り、導出口105より配管へ戻る構成となっている。
【0017】
図2は、本発明の気体流量制御板を回転させる効果をシミュレーションで確認した結果である。シミュレーションの条件は、「各継手を、φ3/4”T字管に接続した際、図中下から上に、10L/minの空気を導入」した結果である。
【0018】
表の上段は、導入管から気体導入量制御板が突き出した状態を表している。
図1Bで、aの方向から気体導入制御板106を見ている状態となる。表の下段は、導入管に設けられた測定気体導入管と測定気体導出管を示している。
図1Bで、bの方向から導入管102を見た状態となる。
図1と同様に、気体は図の左側から入り、測定気体導入管から測定部へ向かい、測定部を通過した気体が、測定気体導出管からでて、図の右側から配管へ向かうので、左側が測定気体導入管で、右側が測定気体導出管となる。
【0019】
(A)は気体流量制御板の屈曲部を気体の流通方向に向けた場合で、本体流路管の流量が多い場合に適した設定である。(B)は気体流量制御板の屈曲部を気体の流通方向と逆に向けた場合で、本体流路管の流量が少ない場合に適した設定である。測定気体導入管や測定気体導出管の内部の色が濃いほど、気体導入量制御板の内部の色が濃いほど、管内を流れる気体の流速が大きいことを示す。2つを比べると、(B)のように屈曲部が気体の流通方向と逆にすることで、屈曲部に当たった気体の流れが阻害され、導入管へ入る気体が多くなり、流速が高くなっている。
【0020】
図3は、配管に対する測定部の取り付け方の変形例である。
図1と同様に、気体が流れる方向に対して垂直の方向から見た図になる。本体流路管内の気体は、図の左から右に流れ、図中に矢印で示した。測定部301、導入管302、気体導入量制御板303、本体流路管304を簡易的に図示している。(A)は測定部301を本体流路管に対して斜めに配置することで、測定部を設置するスペースが少ない場合に有効である。(B)は測定部を本体流路管に対して下方に配置したもので、測定対象の気体の密度が高い場合に有効である。
【符号の説明】
【0021】
測定部101
導入管102
本体流路管103
導入口104
導出口105
気体導入量制御板106
測定気体導入口107
測定室108
センサ109
測定気体導出管110