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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024146334
(43)【公開日】2024-10-15
(54)【発明の名称】容器及びスパウト
(51)【国際特許分類】
   B65D 33/38 20060101AFI20241004BHJP
   B65D 33/00 20060101ALI20241004BHJP
   B65D 75/62 20060101ALI20241004BHJP
【FI】
B65D33/38
B65D33/00 C
B65D75/62 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023059169
(22)【出願日】2023-03-31
(71)【出願人】
【識別番号】502138359
【氏名又は名称】イーエヌ大塚製薬株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100104776
【弁理士】
【氏名又は名称】佐野 弘
(74)【代理人】
【識別番号】100119194
【弁理士】
【氏名又は名称】石井 明夫
(72)【発明者】
【氏名】相原 貴裕
(72)【発明者】
【氏名】石川 啓太
【テーマコード(参考)】
3E064
3E067
【Fターム(参考)】
3E064BA25
3E064BA30
3E064BC08
3E064FA05
3E064HM01
3E064HN05
3E064HN65
3E064HP02
3E064HS04
3E067AA04
3E067AB01
3E067BA12A
3E067BC07A
3E067CA04
3E067CA06
3E067EA06
3E067EB07
3E067EB27
3E067EE59
3E067FA01
3E067FC01
3E067GD01
(57)【要約】
【課題】スパウト付近に滞留する収容物が酸化されることを防止できる容器と、その容器に用いることができるスパウトと、を提供する。
【解決手段】ガスバリア性を有する可撓性の包材11により密封された内部に、酸化による変化を生じる収容物が収容されるとともに、立体形状のスパウト20が配置された容器であって、収容物は密封後に液体から半固形化する物質であり、スパウト20は両端が常時開口した貫通孔21を有するものである。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ガスバリア性を有する可撓性の包材により密封された内部に、酸化による変化を生じる収容物が収容されるとともに、立体形状のスパウトが配置された容器であって、
前記収容物は、密封後に液体から半固形化する物質であり、
前記スパウトは、両端が常時開口した貫通孔を有していることを特徴とする容器。
【請求項2】
前記スパウトが分離可能に構成されるとともに、それぞれの外周面に前記包材が周方向に連続して接合されていることを特徴とする請求項1に記載の容器。
【請求項3】
前記スパウトがスパウト本体と、該スパウト本体に分離可能に係止された分離体とを有し、前記包材が前記分離体とともに分離可能であることを特徴とする請求項2に記載の容器。
【請求項4】
前記分離体の前記貫通孔に、前記収容物を保持する保持部が前記貫通孔内に突出して設けられていることを特徴とする請求項3に記載の容器。
【請求項5】
前記スパウト本体には他の部材との連結部が設けられ、該連結部が前記分離体により液密に覆われていることを特徴とする請求項3に記載の容器。
【請求項6】
前記スパウト本体の外周面と前記分離体の外周面とが隣接配置されていることを特徴とする請求項3に記載の容器。
【請求項7】
前記スパウト本体の外周面における前記包材との接合部位と、前記分離体の外周面における前記包材との接合部位とが同じ外周形状を有することを特徴とする請求項6に記載の容器。
【請求項8】
容器内部に収容して配置されるように包材に接合されるスパウトであって、
一端側に配置されるスパウト本体と、
他端側に配置されて前記スパウト本体に分離可能に係止された分離体と、を有し、
前記スパウト本体と前記分離体とには、互いに連通した貫通孔が設けられ、
前記スパウト本体の外周面と前記分離体の外周面とには、同じ外周形状を有する前記包材との接合部位が設けられていることを特徴とするスパウト。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、内部にスパウトが配置された容器及びこの容器に用いるスパウトに関する。
【0002】
従来、収容物が収容されて密封される可撓性の容器として、密封される内部にスパウトが配置されたものが知られている。
例えば下記特許文献1には、バリア性フィルムからなる容器の内部に、内容物の収容部が仕切り融着部により形成され、仕切り融着部にスパウトが設けられて全体が密封された包装袋が提案されている。この包装袋ではスパウトの注出口側がさらにキャップにより密封されていて、バリア性フィルムを破断した後、キャップを外すことでスパウトを開口して使用されていた。
【0003】
また下記特許文献2では、収容物が収容される収容室と密封室とが区画接続部により区画され、区画接続部にスパウトが設けられていて、密封室を開封してスパウトの注出部を露出できるようにした包装袋が提案されている。この包装袋ではスパウトが一体的に成形された栓部により密封されていて、密封室を開封した後、栓部を除去することで注出部を開口して使用されていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2020-147308号公報
【特許文献2】特開2009-241995号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら従来の容器では、スパウトを容器内部に配置して全体をバリア性の包材で密封することで外部からの酸素の侵入を防止していても、収容物の収容部位と仕切られた状態でスパウトの吐出口が配置された空間が存在するため、当該空間内に酸素が残留していた。しかもスパウトの口が密封されているため、残留している酸素がスパウトを徐々に透過して収容部に侵入して、収容部位内の収容物が徐々に酸化されていた。そのため流動性のない収容物が収容されている場合、酸化により色調や呈味等が変化したり、成分が変化したりした収容物がスパウト付近に拡散されない状態で滞留するという問題点があった。
【0006】
そこで本発明では、スパウト付近に滞留する収容物が酸化されることを防止できる容器と、その容器に用いることができるスパウトと、を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決する本発明の容器は、ガスバリア性を有する可撓性の包材により密封された内部に、酸化による変化を生じる収容物が収容されるとともに、立体形状のスパウトが配置された容器であって、収容物は密封後に液体から半固形化する物質であり、スパウトは両端が常時開口した貫通孔を有していることを特徴としている。
このスパウトは分離可能に構成されていてもよい。
【0008】
本発明の容器によれば、両端が常時開口した立体形状のスパウトが容器内部に収容して配置されているので、収容物を収容して密封したとき、収容物に直接接触しない空間が容器内部に形成されない。そのため収容物が収容された収容部に当該空間からの酸素がスパウトを透過して徐々に侵入するようなことがない。
【0009】
この容器に密封後に液体から半固形化する物質が収容されると、密封後に半固形化する前には収容物が流動性を有するため、容器内に残留した空気中の酸素により収容物が酸化されても収容物中に拡散される。そのため、容器内に残留した空気中の酸素がすでに消費されているとともに、スパウトを透過して酸素が徐々に侵入するようなことがないため、収容物が酸化されることがない。その結果、スパウト付近に酸化された収容物が滞留することを防止できる。
従ってスパウト付近に滞留する収容物が酸化されることを防止できる容器を提供することが可能である。
【0010】
本発明の容器では、スパウトが分離可能に構成されるとともに、それぞれの外周面に包材が周方向に連続して接合されていてもよい。
このようにすれば、スパウトを分離して除去することで形状等を変化させることができるため、使用時に必要な各種の形状を実現し易く、設計の自由度を向上できる。
またスパウトを分離可能に構成していても、分割されるスパウトと包材との間に空気が残留したり、残留した空気が移動したりしないため、その空気中の酸素が収容部に侵入して収容物が酸化されることを防止できる。
【0011】
本発明の容器では、スパウトがスパウト本体と、スパウト本体に分離可能に係止された分離体とを有し、包材が分離体とともに分離可能であってもよい。
このようにすれば、スパウトの分離体を分離して除去することで、包材を一緒に除去することができる。そのため包材を破断して開封した後でスパウトを分離するような2段階の作業が不要で、一度の作業で包材の破断とスパウトの分離とを行うことができて容器を開封し易い。
【0012】
本発明の容器では、分離体の貫通孔に、収容物を保持する保持部が貫通孔内に突出して設けられていてもよい。
このようにすれば、開封時に分離体をスパウト本体から分離した際、分離体に接合された包材内に残留する収容物や分離体の貫通孔内に残留する収容物が分離後に分離体の貫通孔から漏れ出ることを防止できる。
【0013】
本発明の容器では、スパウト本体には他の部材との連結部が設けられ、連結部が分離体により液密に覆われていてもよい。
このようにすれば、容器の使用時まで収容物が連結部に接触しない。そのため使用時には連結部に収容物が付着していないため他の部材を連結部に連結し易く、また連結部に付着した収容物がさらに周囲に付着することもなくて衛生的である。
【0014】
本発明の容器では、スパウト本体の外周面と分離体の外周面とが隣接配置されていることがよい。特にスパウト本体の外周面における包材との接合部位と、分離体の外周面における包材との接合部位とが同じ外周形状を有しているのが好ましい。
このようにすれば、包材を両者に接合し易い。また接合後には、スパウト本体に接合された部分と分離体に接合された部分との間に包材の変形部分が生じないため、クラックなどの接合不良が生じることがない。またスパウト本体と分離体と包材との間に隙間が形成され難く、この部分に空気が残留し難い。
【0015】
本発明のスパウトは、容器内部に収容して配置されるように包材に接合されるスパウトであって、一端側に配置されるスパウト本体と、他端側に配置されてスパウト本体に分離可能に係止された分離体と、を有し、スパウト本体と分離体とには、互いに連通した貫通孔が設けられ、スパウト本体の外周面と分離体の外周面とには、同じ外周形状を有する包材との接合部位が設けられていることを特徴としている。
このようなスパウトであれば、包材に接合することで、上記のような効果を有する容器を製造し易い。
【発明の効果】
【0016】
本発明の容器及びスパウトによれば、スパウト付近に滞留する収容物が酸化されることを防止できる容器と、その容器に用いることができるスパウトと、を提供することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】本発明の実施形態に係る容器を示し、(a)は一部を省略して示す正面図、(b)は(a)のA-A断面図である。
図2】本発明の実施形態に係る容器のスパウトを示し、(a)は斜視図、(b)は縦断面図である。
図3】本発明の実施形態に係る容器のスパウトの構成部材を示す斜視図で、(a)はスパウト本体、(b)は分離体を示す。
図4】本発明の実施形態に係る容器のスパウトの構成部材を示す縦断面図で、(a)はスパウト本体、(b)は分離体を示す。
図5】本発明の実施形態に係る容器の使用状態を説明する正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明の実施形態について図を用いて詳細に説明する。
容器10は、図1(a)(b)に示すように、ガスバリア性を有する可撓性の包材11と、包材11の内部に収容された状態で配置される立体形状のスパウト20とを備えて構成されている。包材11の外周には内部を密封可能な周縁シール12が設けられている。またスパウト20は包材11の内面に周縁シール部12から連続して接合されている。これによりスパウト20の一方には収容物が収容される収容部13が形成され、他方には立体形状のスパウト20を収容することで生じる小空間14が形成されている。スパウト20には、両端が常時開口した貫通孔21が設けられていて、貫通孔21の一端が収容部13と連通し、他端が小空間14と連通している。
【0019】
包材11は、可撓性樹脂を用いたシートからなり、アルミニウム蒸着層等のガスバリア性を有する層が設けられた積層シートであってもよい。最内層には収容物を安定に収容できるとともにスパウト20を溶着可能な樹脂からなるシーラント層が設けられている。
【0020】
本実施形態のスパウト20は、図2乃至図4(a)(b)に示すように、収容部13側となる一端側に配置されるスパウト本体22と、他端側に配置されてスパウト本体22に分離可能に係止された分離体23と、を有している。
【0021】
スパウト本体22は、包材11に液密に接合される船形24aと、船形24aから外向きに突出した略円筒形状の突出部25と、を備えている。
船形24a及び突出部25の内部には、両端が常時開口した貫通孔21aが設けられている。貫通孔21aは、収容部13側に開口した中空部26aと、中空部26aより断面積が小さい円形孔部26bとを有する。
【0022】
船形24aの外周面には包材11との接合部位27aが設けられている。接合部位27aは船形24aの全周に連続するように船形形状に設けられている。
突出部25の外周面には他の部材との連結部28が設けられている。本実施形態では、連結部28として使用時にチューブを係止するための係止構造が設けられている。この係止構造はISO規格のチューブと接続することができるISO80369-3に準拠したものであってもよい。
【0023】
分離体23は、包材11に液密に接合される船形24bと、船形24bの内部に設けられてスパウト本体22に分離可能に係止される被係止部31と、を備えている。
船形24bの外周面には包材11との接合部位27bが設けられている。接合部位27bは船形24bの全周に連続するように船形形状に設けられていて、スパウト本体22の船形24aの接合部位27aの外周形状と同じ外周形状に形成されている。
被係止部31は、スパウト本体22の突出部25を挿入して係止する凹形状に形成され、本実施形態ではスパウト本体22の突出部25に設けられた連結部28に螺合等により係止可能な構造を有しており、連結部28に被係止部31を係止することで連結部28を液密に覆うことができる。
【0024】
また被係止部31の凹形状の内側には、スパウト本体22の貫通孔21aの円形孔部26bに挿入して液密に嵌合可能な略円筒形状の挿入突部32が設けられている。
挿入突部32には、被係止部31を貫通して両端が常時開口した貫通孔21bが設けられている。
貫通孔21bには、収容物を貫通孔21b内に保持することが可能な保持部33が設けられている。具体的には、貫通孔21bの一端側の開口に、貫通孔21bの断面積より開口面積を小さくする閉塞片が貫通孔21b内に突出して設けられている。
【0025】
スパウト本体22に分離体23を係止した状態では、スパウト本体22の突出部25の貫通孔21aに分離体23の被係止部31の挿入突部32が挿入して嵌合されるとともに、スパウト本体22の突出部25の連結部28が分離体23の被係止部31に係止されている。
この状態のスパウト20では、スパウト本体22の突出部25と分離体23の被係止部31とが液密に連結されるとともに、スパウト本体22の貫通孔21aと被係止部31の貫通孔21bとが連通することで、両端が常時開口した貫通孔21がスパウト20に形成されている。
またスパウト本体22の船形24aと分離体23の船形24bとが隣接配置されるとともに、船形24aの接合部位27aと船形24bの接合部位27bとが隣接して同じ向きで配置されている。
スパウト本体22及び分離体23は、包材の最内層と溶着可能な樹脂により形成された成形体からなり、例えばポリエチレン、ポリプロピレン等の樹脂からなる。
【0026】
容器10は、このようなスパウト20を包材11の内面に溶着するとともに、収容物を収容するための開口部分を設けて周縁シール部12を形成することで作製してもよい。
このときスパウト20はスパウト本体22と分離体23とが係止して一体化した状態であり、スパウト本体22の船形24aと分離体23の船形24bとが隣接し、接合部位27aと接合部位27bとが同じ向きで隣接している。
例えばスパウト20を互いに対向する包材11間に配置し、左右の周縁シール部12間を横断するとともに各周縁シール部12と連続するように、接合部位27a及び接合部位27bと包材11の内面とを溶着して接合する。さらにスパウト本体22の船形24aと分離体23の船形24bとの境に対応する位置に、包材11を破断し易くするためのノッチ15を設ける。これにより収容部13の底部が開口した状態で空の容器10を作製することができる。
なお容器10は他の方法で作製することも可能であり、例えば1枚の包材11を折り曲げて間にスパウト20を配置して溶着したり、チューブ状の包材11の内側にスパウト20を配置して溶着してもよい。
【0027】
次に、このような空の容器10を用いて収容物入り容器を製造する方法について説明する。
本実施形態で容器10に収容される収容物は、流動性を有する状態で収容されて密封後に流動性が低下して半固形化する物質で、酸化による変化を生じるものである。この物質は、低粘度の液体であっても、高粘度の粘調液であってもよく、各種の溶液、混合液、分散液、固液混合液など、収容時に流動性を有するものであればよい。
ここで密封後に流動性が低下するとは、拡散速度が収容時に比べて低下することであり、半固形化することで、外部から物理的作用が加わらない状態では収容部13内の一部に局在する収容物がほぼ同じ位置に滞留する程度となる。また酸化による変化を生じるとは、酸化されるに伴って色調や呈味等が変化したり成分が変化したりすることである。本実施形態の収容物は、酸化により色調の変化を伴うもので、半固形化した状態で一部が酸化されると、色調が変化した部分が拡散せずに滞留するものである。
【0028】
まず開口部分を設けた空の収容部13を有する容器10を準備する。この容器10は周縁シール部12を底部に形成しないことで、底部に収容部13の開口部分が設けられている。
容器10の底部を上向きにして、収容部13に収容物を開口部分から流動性のある液状の状態で収容し、開口部分に周縁シール部12を形成することで容器全体を密封する。
【0029】
このとき密封された容器10内には空気が残留するため、残留した空気に含有される酸素により収容物は酸化される。しかしながら、密封当初の段階では収容物が液状で流動性が高いため、酸化された収容物は収容物中に容易に拡散される。
【0030】
その後、収容部13内に密封された収容物は経時的に、或いは各種の処理により、流動性が低下し、液状の状態から半固形化する。本実施形態では、収容物を密封した容器10に所定の加熱処理を施すことで流動性が低下して半固形化する。これにより収容物入り容器が製造される。
この段階では、密封時に容器10内に残留していた空気中の酸素は既に収容物を酸化して消費されているため、容器10内に残留する酸素は大幅に減少しており、流動性が低下した後でも収容物が酸化しない。そのため収容物が酸化により局部的に変色するようなことがない状態で収容物入り容器を製造することができる。
【0031】
次に、収容物入り容器を使用する方法について説明する。
このような容器10を使用するには、図5に示すように、包材11の外部からスパウト20を把持し、スパウト本体22から分離体23を分離して除去する。
ここではスパウト本体22の突出部25と分離体23の被係止部31とが螺合しているため、スパウト本体22に対して被係止部31を捻ることで分離することができる。
このときスパウト本体22と分離体23との両方に包材11が接合されているため、スパウト本体22に対して分離体23を捻ると、包材11に剪断方向に力を作用させてノッチ15を起点にして包材11を破断でき、スパウト本体22に対して分離体23を分離させることで包材11を分離体23とともに分離して除去することができる。
【0032】
これによりスパウト本体22の突出部25に設けられた連結部28を露出させることができる。
そして、収容物の排出用のチューブ16端部を連結部28に連結した後、収容物をチューブ16から収容物を吐出させることで使用することができる。
【0033】
以上のような本実施形態の容器10によれば、両端が常時開口した立体形状のスパウト20が容器内部に収容して配置されているので、収容物を収容して密封したとき、収容物に直接接触しない大きな空間が容器内部に形成されない。そのため収容物が収容された収容部13に当該空間からの酸素がスパウト20を透過して徐々に侵入するようなことがない。これにより密封後に流動性が低下する物質であって酸化による変化を生じるものを収容した際、スパウト20付近の収容物が、流動性が低下した後で酸化されることを防止することができる。従ってスパウト20付近に滞留する収容物が酸化されることを確実に防止することが可能である。
【0034】
また本実施形態の容器10では、スパウト20が分離可能に構成されるとともに、それぞれの外周面に包材11が周方向に連続して接合されている。そのためスパウト20を分離して除去することで形状等を変化させることができるため、使用時に必要な各種の形状を実現し易く、設計の自由度を向上できる。
またスパウト20を分離可能に構成していても、分割されるスパウト20と包材11との間に空気が残留したり、残留した空気が移動したりしないため、その空気中の酸素が収容部13に侵入して収容物が酸化されることを防止できる。
【0035】
また本実施形態の容器10では、スパウト20がスパウト本体22と、スパウト本体22の一体側に分離可能に係止された分離体23とを有し、包材11が分離体23とともに分離可能である。そのためスパウト20の分離体23を分離して除去することで、分離体23を覆う包材11を一緒に除去することができる。そのため包材11を破断して開封した後でスパウト20の分離体23を分離するような2段階の作業を行う必要がなく、一度に包材11の破断と分離体23の分離とを行うことができ、容器を開封し易い。
【0036】
さらに本実施形態の容器10では、分離体23の貫通孔21に、収容物を保持する保持部33が貫通孔21内に突出して設けられている。そのため開封時に分離体23をスパウト本体22から分離した際、分離体23に接合された包材11内に残留する収容物や分離体23の貫通孔21内に残留する収容物が分離後に分離体23の貫通孔21から漏れ出ることを防止できる。
【0037】
また本実施形態の容器10では、スパウト本体22には他の部材との連結部28が設けられ、連結部28が分離体23により液密に覆われている。そのため容器の使用時まで収容物が連結部28に接触しない。そのため使用時には連結部28に収容物が付着していないため他の部材を連結部28に連結し易く、また連結部28に付着した収容物がさらに周囲に付着することもなくて衛生的である。
【0038】
更に本実施形態の容器10では、スパウト本体22の外周面における包材11との接合部位27aと、分離体23の外周面における包材11との接合部位27bとが同じ外周形状を有している。そのため包材11を両者に接合し易い。また接合後には、スパウト本体22に接合された部分と分離体23に接合された部分との間に包材11の変形部分が生じないため、クラックなどの接合不良が生じることがない。
しかもスパウト本体22と分離体23とを隣接して配置してそれぞれに包材11を接合しているため、スパウト本体22と分離体23と包材11との間に隙間が形成され難く、この部分に空気が残留し難い。
【0039】
なお上記実施形態は本発明の範囲内において適宜変更可能である。
例えば上記実施形態では、スパウト本体22の突出部25に分離体23の被係止部31を螺合させて係止したが、他の係止方法を採用することも可能である。さらにスパウト本体22と分離体23とが容易に破断可能な状態で一体に成形されていてもよい。
また上記実施形態では、スパウト本体22及び分離体23に船形24a及び船形24bを設けて包材11と接合したが、包材11を接合する部位は他の形状であってもよく、スパウト本体22と分離体23とのそれぞれに包材11が周方向に連続して接合できる形状であれば特に限定されない。
さらに上記実施形態では、スパウト本体の突出部25に連結部28を設け、チューブ16を連結して収容物を排出する例について説明したが、連結する部材はチューブ16に限定されるものではなく、適宜連結させることができる。またスパウト本体22の突出部25から収容物を直接排出するものであっても本発明を適用可能である。
【符号の説明】
【0040】
10 容器
11 包材
12 周縁シール部
13 収容部
14 小空間
15 ノッチ
16 チューブ
20 スパウト
21,21a,21b 貫通孔
22 スパウト本体
23 分離体
24a,24b 船形
25 突出部
26a 中空部
26b 円形孔部
27a,27b 接合部位
28 連結部
31 被係止部
32 挿入突部
33 保持部
図1
図2
図3
図4
図5