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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024146335
(43)【公開日】2024-10-15
(54)【発明の名称】冷凍サイクル装置
(51)【国際特許分類】
   F25B 1/00 20060101AFI20241004BHJP
   F25B 43/00 20060101ALI20241004BHJP
   F25B 1/053 20060101ALI20241004BHJP
【FI】
F25B1/00 391
F25B43/00 L
F25B1/053 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023059171
(22)【出願日】2023-03-31
(71)【出願人】
【識別番号】000006611
【氏名又は名称】株式会社富士通ゼネラル
(74)【代理人】
【識別番号】100103850
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 秀▲てつ▼
(74)【代理人】
【識別番号】100066980
【弁理士】
【氏名又は名称】森 哲也
(72)【発明者】
【氏名】工藤 康浩
(72)【発明者】
【氏名】豊島 瑞月
(57)【要約】
【課題】プレート式熱交換器からなる凝縮器を通過した低圧冷媒が完全に液化せずにガス冷媒が発生しても、ガス冷媒が膨張弁に流れるのを防止するとともに、ガス冷媒が凝縮器に逆流するのも防止する冷凍サイクル装置を提供する。
【解決手段】ターボ圧縮機2と、プレート式熱交換器で構成される凝縮器3と、レシーバータンク4と、膨張弁5と、蒸発器6とが順次配管に接続されて冷媒回路7が形成されており、冷媒回路に低圧冷媒を充填した冷凍サイクル装置1において、レシーバータンクの底部30に、膨張弁に冷媒が流出するタンク冷媒出口4bが形成され、レシーバータンクの底部30の近くの側壁にタンク冷媒入口4cが形成されており、レシーバータンクのタンク冷媒入口と、凝縮器の凝縮器冷媒出口とが、高低差Hを設けて第1の冷媒配管16に接続されている。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ターボ圧縮機と、プレート式熱交換器で構成される凝縮器と、レシーバータンクと、膨張弁と、蒸発器とが順次配管に接続されて冷媒回路が形成されており、前記冷媒回路に低圧冷媒を充填した冷凍サイクル装置において、
前記レシーバータンクの底部に、前記膨張弁に冷媒が流出するタンク冷媒出口が形成され、前記レシーバータンクの前記底部の近くの側壁にタンク冷媒入口が形成されており、
前記レシーバータンクの前記タンク冷媒入口と、前記凝縮器の凝縮器冷媒出口とが高低差を設けて第1の冷媒配管に接続されていることを特徴とする冷凍サイクル装置。
【請求項2】
前記高低差は、前記タンク冷媒入口が前記凝縮器冷媒出口に対して低い位置に配置されることで設けられることを特徴とする請求項1記載の冷凍サイクル装置。
【請求項3】
前記第1の冷媒配管は、
前記タンク冷媒入口に接続されて水平方向に延在する第1配管と、
前記凝縮器冷媒出口に接続され、前記第1配管の上方位置で水平方向に延在する第2配管と、
前記第1配管及び前記第2配管に接続して上下方向に延在する第3配管と、を備えた配管であることを特徴とする請求項1又は2記載の冷凍サイクル装置。
【請求項4】
前記第1の冷媒配管は、
前記タンク冷媒入口に接続されて水平方向に延在する第4配管と、
前記凝縮器冷媒出口に接続され、前記第4配管の上方位置で水平方向に延在する第5配管と、
前記第4配管及び前記第5配管に接続して下側に凸形状のU字配管と、を備えた配管であることを特徴とする請求項1又は2記載の冷凍サイクル装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、冷凍サイクル装置に関する。
【背景技術】
【0002】
冷凍サイクル装置として、ターボ圧縮機、凝縮器、膨張弁、蒸発器を配管で接続して冷媒回路を構成し、冷媒回路に、地球温暖化係数およびオゾン破壊係数が共に低い低圧冷媒であるR1233zd(E)冷媒を充填した装置が知られている(例えば、特許文献1)。
特許文献1のようなターボ圧縮機を使用した冷凍サイクル装置は、従来から大容量の熱源装置として用いられてきており、凝縮器として、多量の冷媒の熱交換に適したシェルアンドチューブ式の熱交換器が使用されてきた。
【0003】
ところで、昨今では製造技術の飛躍的な進歩に伴い、小型・小容量のターボ圧縮機が作れるようになっている。そのため、小型・小容量のターボ圧縮機を冷凍能力が小容量で冷媒の使用量も少ない冷凍サイクル装置に適用する検討が進められている。また従来の大型ターボ冷凍機ではシェルアンドチューブ式熱交換器が使用され、熱交換器内の下部に液冷媒を溜める構造になっているため、冷媒充填量を多くする必要がある。しかしこうした小容量の冷凍サイクル装置では、冷媒充填量の削減の観点から、シェルアンドチューブ式熱交換器より体積が小さいプレート式熱交換器を使用することで冷媒充填量を削減するようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2016-33348号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ここで低圧冷媒とは、高圧ガス保安法の適用を受けない圧力で利用されるものであって、例えば、地球温暖化係数(GWP)およびオゾン破壊係数(ODP)が共に低いものとしてR1233zd(E)冷媒やR-514A冷媒が知られている。ところで、低圧冷媒は、気液密度比(冷媒のガス密度と液密度の比)が大きいので液冷媒とガス冷媒の流速差が大きく、ガス冷媒もしくは二相冷媒が凝縮器で冷却されて凝縮し、冷媒が凝縮器の出口で過冷却液となる状態でも液冷媒に凝縮しないガス冷媒が発生しやすい。このため、凝縮器で凝縮されずに流出したガス冷媒の一部が膨張弁に流れると、膨張弁の開度制御が不安定となってターボ圧縮機の流量制御に悪影響を与えてしまうおそれがある。また、ガス冷媒が逆流してプレート式熱交換器からなる凝縮器に流入すると、凝縮器の性能が低下するおそれがある。
【0006】
そこで、本発明は、このような課題を解決するためになされたものであり、プレート式熱交換器からなる凝縮器を通過した低圧冷媒が完全に液化せずにガス冷媒が発生しても、ガス冷媒が膨張弁に流れるのを防止してターボ圧縮機の流量制御に影響を与えず、ガス冷媒が凝縮器に逆流するのも防止して凝縮能力の低下を防止することができる冷凍サイクル装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
発明の一態様は、ターボ圧縮機と、プレート式熱交換器で構成される凝縮器と、レシーバータンクと、膨張弁と、蒸発器とが順次配管で接続されて冷媒回路が形成されており、冷媒回路に低圧冷媒を充填した冷凍サイクル装置において、レシーバータンクの底部に、膨張弁に接続されるタンク冷媒出口が形成され、レシーバータンクの底部の近くの側壁に凝縮器に接続されるタンク冷媒入口が形成されており、レシーバータンクのタンク冷媒入口と、凝縮器の凝縮器冷媒出口とが高低差を設けて第1の冷媒配管に接続されていることを特徴とする冷凍サイクル装置である。
【発明の効果】
【0008】
本発明の冷凍サイクル装置によれば、ターボ圧縮機を用いた冷凍サイクルを小型化するためにプレート式熱交換器を用いた場合に、凝縮器を通過した低圧冷媒が完全に液化せずにガス冷媒が発生しても、ガス冷媒が膨張弁に流れるのを防止してターボ圧縮機の流量制御に影響を与えず、ガス冷媒が凝縮器に逆流するのも防止して凝縮能力の低下を防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本発明に係る第1実施形態の冷凍サイクル装置を示す回路図である。
図2】第1実施形態の冷凍サイクル装置においてプレート式熱交換器で構成した凝縮器の凝縮器冷媒出口とレシーバータンクのタンク冷媒入口との間に接続されている第1の冷媒配管の構造を示す図である。
図3】本発明に係る第2実施形態の冷凍サイクル装置を示す回路図である。
図4】凝縮器の凝縮器冷媒出口とレシーバータンクのタンク冷媒入口との間に接続されている第3実施形態の第1の冷媒配管の構造を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
次に、図面を参照して、本発明に係る実施形態を説明する。以下に示す実施形態は、本発明の技術的思想を具体化するための装置や方法を例示するものであって、本発明の技術的思想は、構成部品の材質、形状、構造、配置等を下記のものに特定するものでない。本発明の技術的思想は、特許請求の範囲に記載された請求項が規定する技術的範囲内において、種々の変更を加えることができる。
【0011】
[第1実施形態]
図1は、本発明に係る第1実施形態の冷凍サイクル装置1を示す回路図である。
冷凍サイクル装置1は、単段ターボ圧縮機2と、凝縮器3と、レシーバータンク4と、第1膨張弁5と、蒸発器6とが順次配管に接続されて冷媒回路7が形成されている。冷媒回路7を循環する冷媒は、例えばR1233zd(E)冷媒などの低圧冷媒が使用されている。
単段ターボ圧縮機2は流入したガス冷媒を第1羽根車(不図示)の回転により圧縮し、過熱状態の高圧ガス冷媒として凝縮器3に供給する。単段ターボ圧縮機2の流量調整は、第1膨張弁5の開度を制御することで行われる。なお、単段ターボ圧縮機2が、本発明に記載されているターボ圧縮機に対応している。
【0012】
凝縮器3は、単段ターボ圧縮機2から供給された高圧ガス冷媒と冷却水とを熱交換することで、ガス冷媒を凝縮させて液化させる。凝縮器3は、複数の冷媒流路が形成されたプレートと複数の被冷却媒体流路(水流路)が形成されたプレートを交互に積層したプレート式熱交換器であり、第1冷却水回路8が複数の被冷却媒体流路(水流路)に接続され、第1ポンプ9の駆動により冷却媒体(水)が循環する。第1冷却水回路8には、図示しない利用側熱交換器が設けられていれば良い。
蒸発器6は、第1膨張弁5から供給された二相冷媒と、冷却水とが熱交換することで、液冷媒を蒸発させてガス化させる。蒸発器6も凝縮器3と同様のプレート式熱交換器であり、第2冷却水回路10は第2ポンプ11の駆動により冷却水が循環する。第2冷却水回路10には、図示しない利用側熱交換器が設けられていれば良い。
【0013】
レシーバータンク4は、凝縮器3から流出する液冷媒及びガス冷媒を一時的に溜める装置である。レシーバータンク4は、冷凍サイクル装置1を設置したとき鉛直方向に中心軸を持つ円筒状の側壁と、上下の開口部を塞ぐ蓋部で構成されている。レシーバータンク4の図示しない天井部(上側の蓋部)にはガス冷媒出口4aが形成されており、底部30(下側の蓋部)には液冷媒出口4bが形成されている。そして、レシーバータンク4の底部側の側壁に、冷媒入口4cが形成されている。冷媒入口4cは、高低差Hを大きくするためできるだけ底部30に近い箇所に設けられれば良い。なお、液冷媒出口4bが、本発明に記載されているタンク冷媒出口に対応し、冷媒入口4cが、本発明に記載されているタンク冷媒入口に対応している。
【0014】
レシーバータンク4のガス冷媒出口4aには、第1ガス冷媒戻り配管12の一端が接続されており、第1ガス冷媒戻り配管12の他端は、冷媒回路7を構成する蒸発器6から単段ターボ圧縮機2にガス冷媒を供給する第1冷媒配管13に接続されている。そして、第1ガス冷媒戻り配管12には、第1ガス量調整弁14が接続されている。この第1ガス量調整弁14は、レシーバータンク4から第1冷媒配管13側に流れるガス冷媒の流量を制御する。
レシーバータンク4の液冷媒出口4bには、第1膨張弁5に液冷媒を供給する第2冷媒配管15が接続されている。第1膨張弁5の開度を制御あるいはターボ圧縮機2の回転数を制御することで、前述したように単段ターボ圧縮機2の流量調整を行う。なお、第1膨張弁5が、本発明に記載されている膨張弁に対応している。
また、レシーバータンク4の冷媒入口4cには、冷媒回路7を構成する第3冷媒配管16の一端が接続されており、第3冷媒配管16の他端は、凝縮器3の冷媒出口3aに接続されている。
【0015】
ここで、図2に示すように、凝縮器3の冷媒出口3aは、冷凍サイクル装置1を設置したときに、レシーバータンク4の冷媒入口4cに対して鉛直方向に高い位置になるように配置されており、これら冷媒出口3a及び冷媒入口4cが、高低差Hを設けて第3冷媒配管16に接続されている。
【0016】
第3冷媒配管16は、冷媒入口4cに接続されて水平方向に延在する第1直線配管16aと、冷媒出口3aに接続され、冷凍サイクル装置1を設置したときに、第1直線配管16aの上方位置で水平方向に延在する第2直線配管16bと、第1直線配管16a及び第2直線配管16bの開放端部に接続されて上下方向に延在する第3直線配管16cと、からなるクランク形状の配管で形成されている。クランク形状は配管を曲げることで形成されればよく、曲げ部にR形状が設けられていてもよい。また高低差Hを設けられる形状であればクランク形状に限らず、S字形状、U字形状などでも任意の形状が適用できる。なお、第3冷媒配管16が、本発明に記載されている第1の冷媒配管に対応し、第1直線配管16aが、本発明に記載されている第1配管に対応し、第2直線配管16bが、本発明に記載されている第2配管に対応し、第3直線配管16cが、本発明に記載されている第3配管に対応している。
【0017】
上記構成の冷凍サイクル装置1は、単段ターボ圧縮機2が駆動すると、蒸発器6で蒸発した低圧のガス冷媒が単段ターボ圧縮機2に流入する。低圧のガス冷媒は、単段ターボ圧縮機2で圧縮され、過熱状態の高圧ガス冷媒となって凝縮器3に流出する。プレート式熱交換器で構成されている凝縮器3は、単段ターボ圧縮機2から供給されたガス冷媒が、第1冷却水回路8を循環する冷却水と熱交換することで凝縮して高圧の液冷媒となる。凝縮器3から流出した高圧の液冷媒は、レシーバータンク4に一時的に溜められる。この時、上記のように凝縮器で液冷媒に凝縮されなかったガス冷媒が発生することがあり、凝縮器で凝縮されなかったガス冷媒の一部がレシーバータンク4へ流入することがある。レシーバータンク4に溜められた液冷媒は、第1膨張弁5を流れて低圧の二相冷媒(液冷媒及びガス冷媒)となり蒸発器6に流れる。蒸発器6に流れた二相冷媒は、第2冷却水回路10を循環する冷却水と熱交換することで低圧のガス冷媒となり、再び単段ターボ圧縮機2に吸込まれて圧縮される。冷凍サイクル装置1はこのような動作を繰り返す。ここで、レシーバータンク4に溜まっているガス冷媒は、第1ガス量調整弁14により流量が調整されながら第1ガス冷媒戻り配管12を通過して単段ターボ圧縮機2の流入側(第1冷媒配管13)に戻される。
【0018】
次に、本実施形態の作用効果について説明する。
本実施形態は、冷媒回路7を循環する冷媒として低圧冷媒が使用されているが、低圧冷媒は、気液密度比が大きいので液冷媒及びガス冷媒の流速に差が生じやすく、上記のように凝縮器3で液冷媒に凝縮されないガス冷媒が発生しやすい。このため、凝縮器3の冷媒出口3aから二相状態の冷媒(液冷媒及びガス冷媒)が流出し、第3冷媒配管16を通過して冷媒入口4cからレシーバータンク4の内部に流入していく。
【0019】
凝縮器3からレシーバータンク4に流入した二相状態の冷媒は、ガス冷媒と液冷媒に分離して、分離したガス冷媒がレシーバータンク4の上部に溜まり、液冷媒がレシーバータンク4の底部30側に溜まる。
第1膨張弁5には、レシーバータンク4の液冷媒が溜まっている底部30側に形成した液冷媒出口4bから第2冷媒配管15を通過して液冷媒のみが流れていく。
したがって、凝縮器3を通過した低圧冷媒にガス冷媒が発生しても、液冷媒のみが第1膨張弁5に流れるので、第1膨張弁5の安定した開度制御により、ターボ圧縮機の流量制御に高精度に行うことができる。
【0020】
一方、凝縮器3の冷媒出口3aとレシーバータンク4の冷媒入口4cとは、高低差Hを設けて第3冷媒配管16に接続されていることから、レシーバータンク4の上部に溜まったガス冷媒が、第3冷媒配管16から逆流して凝縮器3に戻ることがない。また、第3冷媒配管16はクランク形状に形成されていることから、レシーバータンク4側に流れた二相状態の冷媒が凝縮器3側に逆流するのも防止される。
レシーバータンク4内の冷媒液面Sの高さが冷媒入口4c以上である場合、ガス冷媒が第3冷媒配管16に流入することが無く、逆流を防止できる。レシーバータンク4内の冷媒液面Sの高さが冷媒入口4cより下になってしまうとガス冷媒が逆流する可能性があるため、例えば高低差Hを325mm以上に設定すると、凝縮器3から流出する液冷媒の慣性力と重力により、レシーバータンク4から冷媒入口4cへ流出するガス冷媒を押し戻せるため、ガス冷媒が凝縮器に逆流することを防ぐことができる。
したがって、ガス冷媒が凝縮器3に逆流するのを防止して凝縮能力の低下を防止することができる。
【0021】
[第2実施形態]
図3は、本発明に係る第2実施形態の冷凍サイクル装置20を示す回路図である。本実施形態の冷凍サイクル装置20と、第1実施形態の冷凍サイクル装置1が異なる構成は、単段ターボ圧縮機2の替わりに多段ターボ圧縮機21が使用されている。また、本実施形態の冷凍サイクル装置20は、第1実施形態の冷凍サイクル装置1で第2冷媒配管15に接続されていた第1膨張弁5を使用せず、第2冷媒配管15に、レシーバータンク4側から蒸発器6側に向う順で第2膨張弁22と、気液分離器23と、第3膨張弁24が接続されている。
【0022】
本実施形態の冷媒は、第1実施形態と同様に、例えばR1233zd(E)冷媒などの低圧冷媒が使用されている。
多段ターボ圧縮機21は、例えば、2段ターボ圧縮機であり、流入したガス冷媒を第1羽根車及び第2羽根車(不図示)の回転により圧縮し、過熱状態の高圧ガス冷媒として凝縮器3に供給する。この多段ターボ圧縮機21の流量調整は、第3膨張弁24の開度を制御することで行われる。なお、多段ターボ圧縮機21が、本発明に記載されているターボ圧縮機に対応し、第3膨張弁24が、本発明に記載されている膨張弁に対応している。
【0023】
レシーバータンク4のガス冷媒出口4aに接続している第1ガス冷媒戻り配管12は、多段ターボ圧縮機21の第1羽根車と第2羽根車との間に設けられた中間吸込み口21aに接続されている。そして、第1ガス冷媒戻り配管12には、第1ガス量調整弁14が接続されている。
また、気液分離器23と第1ガス冷媒戻り配管12との間には、気液分離器23に溜まったガス冷媒を多段ターボ圧縮機21の中間吸込み口21aに戻す第2ガス冷媒戻り配管25が接続されている。
【0024】
そして、本実施形態の冷凍サイクル装置20は、第1実施形態の冷凍サイクル装置20と同様に、凝縮器3の冷媒出口3aが、レシーバータンク4の冷媒入口4cに対して高い位置に配置されており、これら冷媒出口3a及び冷媒入口4cが、高低差Hを設けて第3冷媒配管16に接続されている。そして、第3冷媒配管16は、冷媒入口4cに接続されて水平方向に延在する第1直線配管16aと、冷媒出口3aに接続され、第1直線配管16aの上方位置で水平方向に延在する第2直線配管16bと、第1直線配管16a及び第2直線配管16bの開放端部に接続されて上下方向に延在する第3直線配管16cと、からなるクランク形状の配管で形成されている。クランク形状は配管を曲げることで形成されればよく、配管径に応じたR形状が設けられていても良い。また高低差Hを設けられる形状であればクランク形状に限らず、S字形状、U字形状などでも任意の形状が適用できる。
【0025】
上記構成の冷凍サイクル装置20は、多段ターボ圧縮機21が駆動すると、蒸発器6で蒸発した低圧のガス冷媒が多段ターボ圧縮機21に流入し、低圧のガス冷媒が、多段ターボ圧縮機21で圧縮され、過熱状態の高圧ガス冷媒とされて凝縮器3に流出する。プレート式熱交換器で構成されている凝縮器3は、多段ターボ圧縮機21から供給されたガス冷媒を、第1冷却水回路8を循環する冷却水とを熱交換することで凝縮して高圧の液冷媒となる。凝縮器3から流出した高圧の液冷媒は、レシーバータンク4に一時的に溜められる。この時、上記のように凝縮器で液冷媒に凝縮されなかったガス冷媒が発生することがあり、凝縮器で凝縮されなかったガス冷媒の一部がレシーバータンク4へ流入することがある。レシーバータンク4に溜められた液冷媒は、第2膨張弁22を流れ、次いで気液分離器23で低圧の二相冷媒(液冷媒及びガス冷媒)とされる。次いで、第3膨張弁24で流量が調整されて蒸発器6に流れる。蒸発器6に流れた二相冷媒は、第2冷却水回路10を循環する冷却水と熱交換することで低圧のガス冷媒となり、再び多段ターボ圧縮機21に吸込まれて圧縮される。冷凍サイクル装置20はこのような動作を繰り返す。ここで、レシーバータンク4に溜まっているガス冷媒は、第1ガス量調整弁14により流量が調整されながら第1ガス冷媒戻り配管12を通過して多段ターボ圧縮機21の中間吸込み口21aから第1羽根車と第2羽根車との間に戻される。
【0026】
本実施形態の冷凍サイクル装置20も、低圧冷媒を使用しているため、上記のように凝縮器3で液冷媒に凝縮されないガス冷媒が発生しやすい。このため、凝縮器3の冷媒出口3aから二相状態の冷媒(液冷媒及びガス冷媒)が流出し、第3冷媒配管16を通過して冷媒入口4cからレシーバータンク4に流入していく。
凝縮器3からレシーバータンク4に流入した二相状態の冷媒は、ガス冷媒と液冷媒に分離して、分離したガス冷媒がレシーバータンク4の上部に溜まり、液冷媒がレシーバータンク4の底部30側底部側に溜まる。そして、レシーバータンク4の液冷媒出口4bから第2膨張弁22に流れた冷媒は、気液分離器23でさらに液冷媒及びガス冷媒が分離される。液冷媒のみが流れ込む第3膨張弁24では安定した開度制御を行うことで、ターボ圧縮機の流量制御を高精度に行うことができる。
【0027】
また、本実施形態の冷凍サイクル装置20も、凝縮器3の冷媒出口3aとレシーバータンク4の冷媒入口4cとが高低差Hを設けて第3冷媒配管16に接続されており、第3冷媒配管16がクランク形状に形成されていることから、レシーバータンク4側に流れた二相状態の冷媒が凝縮器3側に逆流するのを防止して凝縮器3の凝縮能力の低下を防止することができる。
【0028】
[第3実施形態]
次に、図4は、第1及び第2実施形態で示した凝縮器3の冷媒出口3aとレシーバータンク4の冷媒入口4cとを接続する第3冷媒配管16とは異なる構造の第4冷媒配管26を示す第3実施形態である。
本実施形態の第4冷媒配管26は、高低差Hを設けている凝縮器3の冷媒出口3aとレシーバータンク4の冷媒入口4cとに接続されている。
【0029】
第4冷媒配管26は、レシーバータンク4の冷媒入口4cに接続されて水平方向に延在する第4直線配管26aと、凝縮器3の冷媒出口3aに接続され、第1直線配管16aの上方位置で水平方向に延在する第5直線配管26bと、第4直線配管26a及び第5直線配管26bの開放端部に接続されて下側に凸形状としたU字配管26cと、からなる配管で形成されている。なお、第4冷媒配管26が、本発明に記載されている第1の冷媒配管に対応し、第4直線配管26aが、本発明に記載されている第4配管に対応し、第5直線配管26bが、本発明に記載されている第5配管に対応し、U字配管26cが、本発明に記載されているU字配管に対応している。
【0030】
本実施形態の第4冷媒配管26はU字配管26cを設けていることから、レシーバータンク4側に流れた二相状態の冷媒が、凝縮器3側に逆流するのが防止され、凝縮器3の凝縮能力の低下を防止することができる。なおプレート式熱交換器に代えて、熱交換に使われる複数の冷媒流通路を経た冷媒が合流するヘッダ部分を内蔵している、いわゆる積層型マイクロチャンネル熱交換器やPFC熱交換器が用いられてもよい。
【符号の説明】
【0031】
1 冷凍サイクル装置
2 単段ターボ圧縮機
3 凝縮器
3a 冷媒出口
4 レシーバータンク
4a ガス冷媒出口
4b 液冷媒出口
4c 冷媒入口
5 第1膨張弁
6 蒸発器
7 冷媒回路
8 第1冷却水回路
9 第1ポンプ
10 第2冷却水回路
11 第2ポンプ
12 第1ガス冷媒戻り配管
13 第1冷媒配管
14 第1ガス量調整弁
15 第2冷媒配管
16 第3冷媒配管
16a 第1直線配管
16b 第2直線配管
16c 第3直線配管
20 冷凍サイクル装置
21 多段ターボ圧縮機
21a 中間吸込み口
22 第2膨張弁
23 気液分離器
24 第3膨張弁
25 第2ガス冷媒戻り配管
26 第4冷媒配管
26a 第4直線配管
26b 第5直線配管
26c U字配管
30 レシーバータンクの底部
H 高低差
S 冷媒液面
図1
図2
図3
図4