(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024014634
(43)【公開日】2024-02-01
(54)【発明の名称】傘収納具
(51)【国際特許分類】
A45B 25/24 20060101AFI20240125BHJP
A47G 25/12 20060101ALI20240125BHJP
【FI】
A45B25/24 A
A47G25/12 H
【審査請求】未請求
【請求項の数】34
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022117604
(22)【出願日】2022-07-22
(71)【出願人】
【識別番号】520024876
【氏名又は名称】千綿 和代
(74)【代理人】
【識別番号】100145861
【弁理士】
【氏名又は名称】木村 薫
(72)【発明者】
【氏名】千綿 和代
【テーマコード(参考)】
3B104
3K099
【Fターム(参考)】
3B104WA01
3B104WB01
3B104WB06
3K099AA24
3K099BA18
3K099CA36
3K099DA17
(57)【要約】 (修正有)
【課題】傘を容易に収納することができる傘収納具を提供する。
【解決手段】傘収納具1は、傘100を収納するための傘収納具1であって、傘100を収納するための収納部10を有するとともに、収納部10は、上端部側を開閉可能とし、上端部側に傘100を内部に挿入するための挿入口11を有し、挿入口11は、弾発性のある部材12により開閉する。弾発性のある部材12は、板バネ12とし、挿入口11は、一対の板バネ12を対向するように設け、一対の板バネ12は、合掌するように閉塞するとともに、一対の板バネ12の両端部12aを板バネ12の長さ方向に沿って内側に押圧することにより両端部を支点として湾曲し一対の板バネ12の中間部が相互に離間して開放する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
傘を収納するための傘収納具であって、
前記傘を収納するための収納部を有するとともに、前記収納部は、上端部側を開閉可能とし、前記上端部側に前記傘を内部に挿入するための挿入口を有し、
前記挿入口は、弾発性のある部材により開閉することを特徴とする傘収納具。
【請求項2】
前記弾発性のある部材は、板バネとし、前記挿入口は、一対の前記板バネを対向するように設け、前記一対の板バネは、合掌するように閉塞するとともに、前記一対の板バネの両端部を前記板バネの長さ方向に沿って内側に押圧することにより前記両端部を支点として湾曲し前記一対の板バネの中間部が相互に離間して開放することを特徴とする請求項1に記載の傘収納具。
【請求項3】
前記板バネの長さ寸法を8~12cmとすることを特徴とする請求項1に記載の傘収納具。
【請求項4】
前記収納部は、前記収納した傘と接触する裏面側に吸水性を有する生地を設けることを特徴とする請求項1に記載の傘収納具。
【請求項5】
前記吸水性を有する生地は、前記収納部の裏面側の下部側に設けることを特徴とする請求項4に記載の傘収納具。
【請求項6】
前記吸水性を有する生地は、ネル生地とすることを特徴とする請求項4に記載の傘収納具。
【請求項7】
前記ネル生地は、コットン製のネル生地とすることを特徴とする請求項6に記載の傘収納具。
【請求項8】
前記ネル生地は、片面起毛のネル生地とすることを特徴とする請求項7に記載の傘収納具。
【請求項9】
前記収納部は、表面側に撥水性または防水性を有する生地を設け、前記吸水性を有する生地は、前記撥水性または防水性を有する生地の裏面側に設けることを特徴とする請求項4に記載の傘収納具。
【請求項10】
前記吸水性を有する生地と前記撥水性または防水性を有する生地との間に更に吸水性を有する生地を設けることを特徴とする請求項9に記載の傘収納具。
【請求項11】
前記更に設けられた吸水性を有する生地は、ネル生地とすることを特徴とする請求項10に記載の傘収納具。
【請求項12】
前記更に設けられた吸水性を有する生地と前記撥水性または防止性を有する生地との間に更に撥水性または防水性を有する生地を設けることを特徴とする請求項10に記載の傘収納具。
【請求項13】
前記更に設けられた撥水性または防水性を有する生地は、透湿性を有することを特徴とする請求項12に記載の傘収納具。
【請求項14】
前記収納部は、下端部側に開口を設けることを特徴とする請求項1に記載の傘収納具。
【請求項15】
前記下端部側の開口を閉塞するための閉塞部を有し、前記閉塞部は、前記開口の端部の一部と連続するとともに、前記連続する部分を上方に折り返して折り返し部分の両側端部側を前記収納部に連結し、前記折り返し部分の上端部側は、前記収納部に対し連結しない非連結の状態として、前記開口を覆い隠すポケット状とすることを特徴とする請求項14に記載の傘収納具。
【請求項16】
前記収納部は、矩形状かつ長尺な第1の布片部と第2の布片部を有し、前記第2の布片部は、前記第1の布片部に対し短尺な寸法とし、前記第1の布片部と第2の布片部の上端部側の位置を相互に対応させ、更に、前記第1の布片部と第2の布片部の側端部側を連結しつつ上端部側および下端部側を非連結として開口を形成して、前記上端部側の開口は、前記挿入口とし、更に前記第2の布片部の下端部側から下方に延在する前記第1の布片部の部分を前記閉塞部として前記第2の布片部および下端部側の開口を挟み込むように折り返し、該折り返し部分の両側端部側を前記収納部に連結するとともに、前記折り返し部分の上端部側は、前記収納部に対し連結しない非連結の状態として開口させ、前記収納部の下端部側の開口を覆い隠すポケット状とすることを特徴とする請求項14に記載の傘収納具。
【請求項17】
前記閉塞部は、前記上端部側が前記収納部に対し連結しない非連結の状態とすることにより、両側端部を前記収納部に連結したままの状態で前記折り返しの方向と反対方向に捲り返し可能とし、前記捲り返すことにより前記下端部側の開口を前記閉塞部の上端部側の内側から外側に押し出して露出可能な構成とすることを特徴とする請求項14に記載の傘収納具。
【請求項18】
前記閉塞部の前記収納部に連結される両側端部側の連結長さの寸法の前記収納部の幅寸法に対する比を0.4~0.8とすることを特徴とする請求項1に記載の傘収納具。
【請求項19】
前記閉塞部の裏面側に、吸水性を有する生地を設けることを特徴とする請求項4に記載の傘収納具。
【請求項20】
前記閉塞部は、表面側に撥水性または防水性を有する生地を設け、前記吸水性を有する生地は、前記撥水性または防水性を有する生地の裏面側に設けることを特徴とする請求項14に記載の傘収納具。
【請求項21】
前記吸水性を有する生地は、ネル生地とすることを特徴とする請求項20に記載の傘収納具。
【請求項22】
前記ネル生地は、コットン製のネル生地とすることを特徴とする請求項21に記載の傘収納具。
【請求項23】
前記ネル生地は、片面起毛のネル生地とすることを特徴とする請求項21に記載の傘収納具。
【請求項24】
前記吸水性を有する生地と前記撥水性または防水性を有する生地との間に更に吸水性を有する生地を設けることを特徴とする請求項20に記載の傘収納具。
【請求項25】
前記更に設けられた吸水性を有する生地は、ネル生地とすることを特徴とする請求項24に記載の傘収納具。
【請求項26】
前記更に設けられた吸水性を有する生地と前記撥水性または防止性を有する生地との間に更に撥水性または防水性を有する生地を設けることを特徴とする請求項24に記載の傘収納具。
【請求項27】
前記更に設けられた撥水性または防水性を有する生地は、透湿性を有することを特徴とする請求項26に記載の傘収納具。
【請求項28】
前記収納部は、ロール状に丸めた状態とすることが可能な構成とし、前記ロール状に丸めた状態を保持するための保持部材を有することを特徴とする請求項1に記載の傘収納具。
【請求項29】
前記保持部材は、帯状をなす帯片と相互に係合する第1の係合部材および第2の係合部材を有し、前記帯片は、前記収納部における上端部側から上方に向かって延在し、前記帯片の先端部側に前記第1の係合部材を設け、前記収納部における上端部側に前記第2の係合部材を設け、前記収納部の下端部側が略中心となるように前記収納部の下端部側から上端部側に向かってロール状に丸めて行くことにより前記収納部の上端部側の第2の係合部材が外側を向いて、前記第2の係合部材と前記第1の係合部材を係合することにより前記第1の係合部材を設けた帯片が前記ロール状に丸めた部分を縛るように保持することを特徴とする請求項28に記載の傘収納具。
【請求項30】
前記収納部の上端部側から下端部側に向かって折り畳みを行い、前記折り畳みが前記収納部の下端部側に達したときに、前記ポケット状の閉塞部が前記折り畳んだ収納部を前記閉塞部の上端部側から収納することを特徴とする請求項15に記載の傘収納具。
【請求項31】
前記保持部材は、前記収納部における前記閉塞部の反対側に前記第1の係合部材と係合する第3の係合部材を設けるとともに、前記折り畳みは、前記収納部における上端部側が外側を向くように前記収納部の上端部側から下端部側に向かって行い、前記閉塞部に前記折り畳み部分を収納したときに前記第1の係合部材と前記第3の係合部材を係合させることにより前記第1の係合部材を設けた帯片が前記閉塞部側から前記閉塞部の反対側に達して前記折り畳み部分を挟むように保持することを特徴とする請求項28に記載の傘収納具。
【請求項32】
前記収納部の上部側にポケットを設けることを特徴とする請求項1に記載の傘収納具。
【請求項33】
前記ポケットは、両側端部側および上端部側を前記収納部に連結するとともに、下端部側を前記収納部に対し連結しない非連結の状態として開口させることを特徴とする請求項32に記載の傘収納具。
【請求項34】
前記収納部の下端部側から上端部側に向かって折り畳みを行い、前記折り畳みが前記収納部の上端部側に達したときに、前記折り畳んだ収納部を前記ポケットの下端部側から収納することを特徴とする請求項33に記載の傘収納具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、傘収納具に関し、特に傘を収納するための傘収納具に関する。
【背景技術】
【0002】
濡れた傘を収納するための各種の傘収納具が提案されている。例えば、特許文献1に開示されている傘収納具(濡れ傘収納ケース)は、濡れた傘を挿入するための挿入口が上端部に設けられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、濡れた傘を挿入口から挿入するときには、挿入口が水分で合掌するように閉塞することがある。このような場合には、合掌を解除するように両手で挿入口を開放した後、傘を石突から挿入する等するが、傘を挿入するときには水分により挿入口が再度合掌するように閉塞することがあり、合掌の解除と傘の挿入を繰り返すなど煩に堪えないことがあった。
このため、濡れた傘を容易に挿入することができる傘収納具の開発が望まれていた。
【0005】
本発明はこのような事情に鑑みてなされたものであり、傘を容易に収納することができる傘収納具を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するため、本発明に係る傘収納具は、傘を収納するための傘収納具であって、前記傘を収納するための収納部を有するとともに、前記収納部は、上端部側を開閉可能とし、前記上端部側に前記傘を内部に挿入するための挿入口を有し、前記挿入口は、弾発性のある部材により開閉することを特徴とする。
【0007】
本発明によれば、収納部は、上端部側を開閉可能とし、前記上端部側に前記傘を内部に挿入するための挿入口を有し、前記挿入口は、弾発性のある部材により開閉することとしたので、挿入口を確実に開放して傘を収納部に容易に収納することができる。
前記弾発性のある部材は、板バネとし、前記挿入口は、一対の前記板バネを対向するように設け、前記一対の板バネは、合掌するように閉塞するとともに、前記一対の板バネの両端部を前記板バネの長さ方向に沿って内側に押圧することにより前記両端部を支点として湾曲し前記一対の板バネの中間部が相互に離間して開放することとすれば、例えば、板バネの両端部を一方の手で押圧することにより挿入口を開放しながら、他方の手で傘を持って挿入口を介して挿入することができる等、傘を容易に素早く収納することができる。
【0008】
前記板バネの長さ寸法を8~12cmとすることとすれば、板バネの両端部を一方の手で容易に押圧することができる。相対的に手の小さい女性においては、特に好ましい長さとなる。また、安価な板バネの規格品を採用し易くなり製造コストの低減を図ることもできる。
【0009】
前記収納部は、前記収納した傘と接触する裏面側に吸水性を有する生地を設けることとすれば、傘に付着した水分を吸水することができ、外部に漏出することを防止することができる。
前記吸水性を有する生地は、前記収納部の裏面側の下部側に設けることとすれば、傘から下方に滴りながら落ちる水分を少ない生地量で効率よく吸水することができる。
前記吸水性を有する生地は、ネル生地とすることとすれば、傘に付着した水分を確実に吸水することができるとともに、嵩張らず容易に畳むことができる。
前記ネル生地は、コットン製のネル生地とすることが好ましい。
前記ネル生地は、片面起毛のネル生地とすることが好ましい。
【0010】
前記収納部は、表面側に撥水性または防水性を有する生地を設け、前記吸水性を有する生地は、前記撥水性または防水性を有する生地の裏面側に設けることとすれば、収納した傘に付着した水分が裏面側の吸水性を有する生地に吸水されるとともに、撥水性または防水性を有する生地により裏面側に弾くことができ、更に外部に漏出することを防止することができる。
【0011】
前記吸水性を有する生地と前記撥水性または防水性を有する生地との間に更に吸水性を有する生地を設けることとすれば、吸水性を有する生地に吸水された水分を更に設けられた吸水性を有する生地により吸水することができ、吸水性を有する生地の乾燥を早めることができる。
前記更に設けられた吸水性を有する生地は、ネル生地とすることとすれば、確実に吸水することができるとともに、嵩張らず容易に畳むことができる。
【0012】
前記更に設けられた吸水性を有する生地と前記撥水性または防止性を有する生地との間に更に撥水性または防水性を有する生地を設けることとすれば、更に設けられた撥水性または防水性を有する生地により水分を裏面側に弾くことができ、更に外部に漏出することを防止することができる。
【0013】
前記更に設けられた撥水性または防水性を有する生地は、透湿性を有することとすれば、収納部の裏面側が蒸れることを防止することが可能となる。
前記収納部は、下端部側に開口を設けることとすれば、傘に付着した水分を開口を介して外部に排出することができる。また、開口から傘の石突部分を露出させることができる。
【0014】
前記下端部側の開口を閉塞するための閉塞部を有し、前記閉塞部は、前記開口の端部の一部と連続するとともに、前記連続する部分を上方に折り返して折り返し部分の両側端部側を前記収納部に連結し、前記折り返し部分の上端部側は、前記収納部に対し連結しない非連結の状態として、前記開口を覆い隠すポケット状とすることとすれば、両側端部側から水分が漏出することを防止することができるとともに、開口を覆い隠すことができ美観を損ねることを少なくすることができる。
【0015】
前記収納部は、矩形状かつ長尺な第1の布片部と第2の布片部を有し、前記第2の布片部は、前記第1の布片部に対し短尺な寸法とし、前記第1の布片部と第2の布片部の上端部側の位置を相互に対応させ、更に、前記第1の布片部と第2の布片部の側端部側を連結しつつ上端部側および下端部側を非連結として開口を形成して、前記上端部側の開口は、前記挿入口とし、更に前記第2の布片部の下端部側から下方に延在する前記第1の布片部の部分を前記閉塞部として前記第2の布片部および下端部側の開口を挟み込むように折り返し、該折り返し部分の両側端部側を前記収納部に連結するとともに、前記折り返し部分の上端部側は、前記収納部に対し連結しない非連結の状態として、前記収納部の下端部側の開口を覆い隠すポケット状とすることができる。
【0016】
前記閉塞部は、前記上端部側が前記収納部に対し連結しない非連結の状態とすることにより、両側端部を前記収納部に連結したままの状態で前記折り返しの方向と反対方向に捲り返し可能とし、前記捲り返すことにより前記下端部側の開口を前記閉塞部の上端部側の内側から外側に押し出して露出可能な構成とすることとすれば、ファスナーな釦等の開閉部材を介さずに開口の開閉を行うことができ、開閉部材の腐食や損傷による製品寿命の低下を防止することができる。また、開閉部材を設けることによる美観の低下も防止することができる。更に、閉塞部は、両側端部が収納部に連結されているので閉塞部を捲り返して開口を露出したときにも閉塞部が下方に垂れ下がることがなく、閉塞部が地面等に触れて汚れることを防止することができる。
【0017】
前記閉塞部の前記収納部に連結される両側端部側の連結長さの寸法の前記収納部の幅寸法に対する比を0.4~0.8とすることとすれば、開口を露出する際に、両側端部が閉塞した閉塞部を捲り返し易くするとともに、閉塞部の上端部が閉塞時に水分で下方に垂れ下がる場合にあっても開口の閉塞状態を確実に維持することができる。
【0018】
前記閉塞部の裏面側に、吸水性を有する生地を設けることとすれば、吸水性を更に向上させることができる。
【0019】
前記閉塞部は、表面側に撥水性または防水性を有する生地を設け、前記吸水性を有する生地は、前記撥水性または防水性を有する生地の裏面側に設けることとすれば、裏面側の吸水性を有する生地により水分を吸水しながら、撥水性または防水性を有する生地により裏面側に弾くことができ、更に外部に漏出することを防止することができる。
【0020】
前記吸水性を有する生地と前記撥水性または防水性を有する生地との間に更に吸水性を有する生地を設けることとすれば、吸水性を有する生地に吸水された水分を更に設けられた吸水性を有する生地により吸水することができ、吸水性を有する生地の乾燥を早めることができる。
前記更に設けられた吸水性を有する生地は、ネル生地とすることとすれば、確実に吸水することができるとともに、嵩張らず容易に畳むことができる。
前記ネル生地は、コットン製のネル生地とすることが好ましい。
前記ネル生地は、片面起毛のネル生地とすることが好ましい。
【0021】
前記更に設けられた吸水性を有する生地と前記撥水性または防止性を有する生地との間に更に撥水性または防水性を有する生地を設けることとすれば、更に設けられた撥水性または防水性を有する生地により水分を裏面側に弾くことができ、更に外部に漏出することを防止することができる。
前記更に設けられた撥水性または防水性を有する生地は、透湿性を有することとすれば、収納部の裏面側が蒸れることを防止することが可能となる。
【0022】
前記収納部は、ロール状に丸めた状態とすることが可能な構成とし、前記ロール状に丸めた状態を保持するための保持部材を有することとすれば、収納部のロール状に丸めた状態を保持することができる。
【0023】
前記保持部材は、帯状をなす帯片と相互に係合する第1の係合部材および第2の係合部材を有し、前記帯片は、前記収納部における上端部側から上方に向かって延在し、前記帯片の先端部側に前記第1の係合部材を設け、前記収納部における上端部側に前記第2の係合部材を設け、前記収納部の下端部側が略中心となるように前記収納部の下端部側から上端部側に向かってロール状に丸めて行くことにより前記収納部の上端部側の第2の係合部材が外側を向いて、前記第2の係合部材と前記第1の係合部材を係合することにより前記第1の係合部材を設けた帯片が前記ロール状に丸めた部分を縛るように保持することができる。
【0024】
前記収納部の上端部側から下端部側に向かって折り畳みを行い、前記折り畳みが前記収納部の下端部側に達したときに、前記ポケット状の閉塞部が前記折り畳んだ収納部を前記閉塞部の上端部側から収納することとすれば、ポケット状の閉塞部を活用しつつ折り畳んだ状態を保持することができる。また、ロール状に丸めた状態と蛇腹状に折り畳んだ状態のいずれの保持も行うことができ、保持方法を適宜選択することができる。
【0025】
前記保持部材は、前記収納部における前記閉塞部の反対側に前記第1の係合部材と係合する第3の係合部材を設けるとともに、前記折り畳みは、前記収納部における上端部側が外側を向くように前記収納部の上端部側から下端部側に向かって行い、前記閉塞部に前記折り畳み部分を収納したときに前記第1の係合部材と前記第3の係合部材を係合させることにより前記第1の係合部材を設けた帯片が前記閉塞部側から前記閉塞部の反対側に達して前記折り畳み部分を挟むように保持することができる。
【0026】
前記収納部の上部側にポケットを設けることができ、前記ポケットは、両側端部側および上端部側を前記収納部に連結するとともに、下端部側を前記収納部に対し連結しない非連結の状態として開口させることができる。
【0027】
すなわち、前記収納部の下端部側から上端部側に向かって折り畳みを行い、前記折り畳みが前記収納部の上端部側に達したときに、前記折り畳んだ収納部を前記ポケットの下端部側から収納することができる。
【発明の効果】
【0028】
以上説明したように、本発明によれば、傘を容易に収納することができる傘収納具を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【
図1】本発明の傘収納具に傘を挿入した状態を示す正面図である。
【
図2】同傘収納具の構成を示す図で、(a)は正面図、(b)は背面図である。
【
図3】同傘収納具の断面の構成を拡大して示す図で、(a)は
図2(a)のAA拡大底面断面図,(b)は
図2(a)のBB拡大底面断面図、(c)は
図2(a)のCC拡大底面断面図である。
【
図4】同傘収納具の分解した状態を示す分解図である。
【
図5】同傘収納具をロール状に保持する方法を説明するための図である。
【
図6】同傘収納具をロール状に保持した状態を示す図である。
【
図7】同傘収納具の挿入口の構成を示す図で、(a)は挿入口を閉塞した状態示す上面図、(b)は挿入口を開放した状態を示す上面図である。
【
図8】同傘収納具の開口の構成を示す図で、(a)は閉塞部により開口を覆い隠した状態を示す斜視図、(b)は同底面図である。
【
図9】同傘収納具の開口の構成を示す別の図で、(a)は閉塞部を捲り返して開口を露出させた状態を示す斜視図、(b)は同底面図である。
【
図10】同傘収納具の閉塞部を捲り返した状態を示す背面図である。
【
図11】同傘収納具の閉塞部を捲り返した状態を示す別の図で、(a)は
図10のDD拡大底面断面図、(b)は
図10の底面図である。
【
図12】同傘収納具の閉塞部を捲り返して傘の石突部分を開口から露出させた状態を示す背面図である。
【
図13】同傘収納具の製造方法を説明するための図である。
【
図14】同傘収納具の製造方法を説明するための
図13に続く図である。
【
図15】同傘収納具の製造方法を説明するための
図14に続く図である。
【
図16】同傘収納具の製造方法を説明するための
図15に続く図である。
【
図17】同傘収納具の製造方法を説明するための
図16に続く図である。
【
図18】同傘収納具の製造方法を説明するための
図17に続く図である。
【
図19】同傘収納具の製造方法を説明するための
図18に続く図である。
【
図20】同傘収納具の製造方法を説明するための
図19に続く図である。
【
図21】同傘収納具の製造方法を説明するための
図20に続く図である。
【
図22】同傘収納具の製造方法を説明するための
図21に続く図である。
【
図23】同傘収納具の製造方法を説明するための
図22に続く図である。
【
図25】同変形例における収納部の折り畳み方法を説明するため図である。
【
図26】同変形例における収納部を折り畳んだ状態を示す図で、(a)は正面図、(b)は背面図である。
【
図27】本発明の他の変形例の構成を示す正面図である。
【
図28】本発明の別の変形例を示す図で、(a)は正面図、(b)は背面図である。
【
図29】同変形例の断面の構成を拡大して示す図で、(a)は
図28(a)のaa拡大底面断面図,(b)は
図28(a)のbb拡大底面断面図、(c)は
図28(a)のcc拡大底面断面図である。
【
図30】同変形例の断面の構成を拡大して示す
図28(a)のdd拡大底面断面図である。
【
図31】同変形例における収納部の折り畳み方法を説明するため図である。
【
図32】本発明の更に別の変形例の構成を示す正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0030】
本発明の実施形態を図面を参照して詳細に説明する。
図1は、本発明の傘収納具に傘を挿入した状態を示す正面図、
図2は、同傘収納具の構成を示す図、
図3は、同傘収納具の断面の構成を拡大して示す図、
図4は、同傘収納具の分解した状態を示す分解図、
図5は、同傘収納具をロール状に保持する方法を説明するための図、
図6は、同傘収納具をロール状に保持した状態を示す図、
図7は、同傘収納具の挿入口の構成を示す図、
図8は、同傘収納具の開口の構成を示す図、
図9は、同傘収納具の開口の構成を示す別の図、
図10は、同傘収納具の閉塞部を捲り返した状態を示す背面図、
図11は、同傘収納具の閉塞部を捲り返した状態を示す別の図、
図12は、同傘収納具の閉塞部を捲り返して傘の石突部分を開口から露出させた状態を示す背面図、なお、以下の説明においては、傘収納具1において保持部材16が設けられる側を上方、開口17が設けられる側を下方、板バネ12の軸体12´が設けられる側を側方、第2の布片部10b´´が設けられる側を正面、第1の布片部10a´´が設けられる側を背面とし、各方向を図において明示するものとする。
【0031】
図1乃至
図4を参照して本発明の傘収納具1の概要を説明すると、傘収納具1は、雨等で濡れた傘100を収納するためのものであり、収納部10および閉塞部20を有している。
【0032】
収納部10は、傘100を収納するための部位であり、収納部本体10´を有している。収納部本体10´は、矩形状より詳しくは長方形状で上下方向の長さ寸法を50~80cmとしている。収納部本体10´は、傘100より詳しくは長傘100(以下、長傘100は単に傘100とする)を閉じた状態で上下方向に立てて収納することができる。収納部本体10´は、内側に傘100を収納するための収納空間10´´を有している。
【0033】
収納部本体10´は、上端部10a´側を開閉可能としている。収納部本体10´は、上端部10a´側に傘100を内部に挿入するための挿入口11を有している。挿入口11は、弾発性のある部材12により開閉することができる。
【0034】
弾発性のある部材12は、板バネ12とすることができる。挿入口11は、一対の板バネ12を対向するように設けている。
一対の板バネ12は、合掌するように平行した状態で挿入口11を閉塞することができる(
図4(a))。また、一対の板バネ12は、両側端部12aを板バネ12の長さ方向に沿って内側に押圧することにより両側端部12aを支点として、くの字状に湾曲することができる。湾曲した状態では、一対の板バネ12の中間部12bが相互に離間して略ひし形に開放することができる(
図4(b))。
【0035】
すなわち、傘収納具1は、ユーザが板バネ12の両側端部12aを長さ方向に沿って内側に押圧することにより開放させることができる。板バネ12aを開放させた状態で挿入口11を介して収納部本体10´に傘100を挿入して収納することができる。なお、一対の板バネ12は、両側端部12aに軸体12´を有している。一対の板バネ12は、軸体12´を介して連結しており、軸体12´を支点として湾曲する構成となっている。
【0036】
収納部本体10´は、上端部10a´側に保持部13を有している。保持部13は、矩形状より詳しくは長方形状で袋状をなしている。すなわち、袋状の保持部13の内部空間に板バネ12を挿入して保持することができる。板バネ12の長さ寸法Lは、8~12cmとすることができる。板バネ12の長さ寸法Lを8~12cmとすることにより、板バネ12の両側端部12aを片手で容易に押圧することができる(片手で板バネ12を開放しながら他方の手で傘100を収納部本体10´の収納空間10´´に挿入することができる)。すなわち、板バネ12の長さ寸法Lを8~12cmとすると相対的に手の小さい女性や子供においても片手で押圧することができ、特に好ましい長さとなる。また、安価な板バネ12の規格品を採用し易くなり製造コストの低減を図ることもできる。
【0037】
ここで、収納部本体10´は、表面10A´側に撥水性または防水性を有する生地14を設けることとしている。撥水性または防止性を有する生地14は、例えばナイロン製の生地14とすることができる。ナイロン製の生地14は、例えばナイロンオックスとすることができる。ナイロンオックスは、表面に凹凸が形成されており、水が付着しても他の物品に付着し辛くなる。
【0038】
また、収納部本体10´は、撥水性または防水性を有する生地14の裏面10B´側すなわち収納部本体10´の裏面10B´側つまり収納した傘100と接触する裏面10B´側に吸水性を有する生地15を設けている。吸水性を有する生地15は、ネル生地15より詳しくはフランネル生地15とすることができる(以下、フランネル生地15は単にネル生地15とする)。ネル生地15には、例えばコットン製のネル生地15やウール製のネル生地15があるがコットン製のネル生地15の方がウール製のネル生地15よりも吸水性に優れより好ましい(ウール製のネル生地15は、動物性の脂分を含んでいるため、コットン製のネル生地15よりも水を弾く撥水性があるものと考えられる)。また、ネル生地15には、例えば片面のみが起毛している片面起毛のネル生地15と両面が起毛している両面起毛のネル生地15があるが吸水性および嵩張りの観点から片面起毛のネル生地15とすることが好ましい。
【0039】
ネル生地15は、収納部本体10´の裏面10B´側の下部側にのみ設けられている。ネル生地15は、収納部本体10´の下端部10b´から10~20cmの高さ寸法の範囲にのみ設けられている。ネル生地15は、起毛している側の面15aを収納部本体10´の内側に向けて設けることができる。すなわち、収納部本体10´は、下部側にネル生地15を設けることで吸水性を保持しつつ傘100を収納しない状態において嵩張ることなくロール状にコンパクトに丸めた状態とすることが可能に構成されている(
図5、
図6)。
【0040】
更に、収納部10は、保持部材16を有している。保持部材16は、収納部本体10´のロール状に丸めた状態を保持するためのものである。保持部材16は、帯状をなす帯片16aと所定の係合部材16bを有している。係合部材16bは、相互に係合する第1の係合部材16b1および第2の係合部材16b2を有している。
【0041】
すなわち、帯片16aは、基端部16a1側を収納部本体10´の上端部10a´側に固着して設けられている。帯片16aは、収納部本体10´における正面10α´側の上端部10a´側から上方に向かって延在し、先端部16a2側に第1の係合部材16b1が設けられている。また、収納部本体10´における正面10α´側の上端部10a´側には第1の係合部材16b1と係合する第2の係合部材16b2が設けられている。
【0042】
つまり、収納部本体10´の下端部10b´側が略中心となるようにかつ収納部本体10´の背面10β´側が内側となり第2の係合部材16b2が設けられる収納部本体10´の正面10α´側が外側となるように収納部本体10´の下端部10b´側から上端部10a´側に向かってロール状に丸めて行く。これにより収納部本体10´の上端部10a´側の第2の係合部材16b2が外側を向いて、第2の係合部材16b2と第1の係合部材16b1を係合することにより第1の係合部材16b1を設けた帯片16aがロール状に丸めた部分を縛るように保持することができる。なお、第1の係合部材16b1および第2の係合部材16b2は、相互に係合する雌雄のスナップ釦とすることができる。
【0043】
ここで、収納部本体10´には、下端部10b´側に開口17が設けられている。すなわち、収納部本体10´の下端部10b´側に開口17を設けることで、傘100に付着した水分を開口17を介して外部に排出することができる。また、開口17から傘100の石突部分100aを露出させることができる。開口17から石突部分100aを露出させたときには、収納部10の下端部10b´が床面や地面に触れることを防止することができ、収納部10の下端部10b´を汚すことを少なくすることができる。
【0044】
閉塞部20は、収納部本体10´の下端部10b´側の開口17を閉塞するためのものである。つまり、傘収納具1は、通常は開口17を閉塞部20により閉塞し覆い隠した状態で使用し、水分を外部に排出する場合や傘100の石突部分100aを露出させる場合は、
図7乃至
図12に示すように、閉塞部20による閉塞状態を解除して開口17を露出させた状態で使用する。
【0045】
閉塞部20は、開口17を形成する収納部本体10´の下端部10b´の一部と連続している。より詳しくは、閉塞部20は、収納部本体10´の正面10α´側および背面10β´側のいずれか一方の下端部10b´と連続している。
【0046】
すなわち、閉塞部20は、開口17を形成する収納部本体10´の一部と連続する部分21より詳しくは収納部本体10´の背面10β´側の下端部10b´と連続する部分21を収納部本体10´の正面10α´側の下端部10b´を挟むように上方に折り返して折り返し部分22の両側端部22a側を収納部本体10´に縫合することにより連結して構成される。
【0047】
そして、閉塞部20は、折り返し部分22の上端部22b側は、収納部本体10´より詳しくは収納部本体10´の正面10α´側に対し連結しない非連結の状態とする。これにより、閉塞部20の内側に一定の空間20´を有するとともに、開口17を覆い隠すポケット状とすることができる。
【0048】
閉塞部20は、折り返し部分22の上端部22a側が収納部本体10´に対し連結しない非連結の状態とすることにより、折り返し部分22の両側端部22´を収納部本体10´に連結したままの状態で折り返しの方向と反対方向つまり背面10β´に捲り返し可能となっている。そして、閉塞部20は、捲り返すことにより収納部本体10´の下端部10b´側の開口17を折り返し部分22の上端部22a側の内側から外側に押し出して露出可能な構成とすることができる。閉塞部20は、数1に示す収納部本体10´に縫合して連結される両側端部22a側の連結長さの寸法Aの収納部本体10´の幅寸法B(閉塞部20の幅寸法B)に対する比Cを0.4~0.8とすることとしている。なお、閉塞部20の裏面20b側にも吸水性を有する生地15つまりネル生地15が設けられている。ネル生地15には、例えばコットン製のネル生地15やウール製のネル生地15があるがコットン製のネル生地15の方がウール製のネル生地15よりも吸水性に優れより好ましい(ウール製のネル生地15は、動物性の脂分を含んでいるため、コットン製のネル生地15よりも水を弾く撥水性があるものと考えられる)。また、ネル生地15には、例えば片面のみが起毛している片面起毛のネル生地15と両面が起毛している両面起毛のネル生地15があるが吸水性および嵩張りの観点から片面起毛のネル生地15とすることが好ましい。
[数1]
C=A/B
【0049】
以上のように構成された傘収納具1は次の工程により製造することができる。
まず
図13に示すように、矩形状より詳しくは長方形状かつ長尺な第1の布片部10a´´と吸水性を有する生地15つまりネル生地15を用意する(工程1)。第1の布片部10a´´は、収納部本体10´の背面10β´側を構成する生地となる。
【0050】
次いで、
図14に示すように、第1の布片部10a´´の裏面10a2´´側の下部側にネル生地15を重ねてネル生地15の端部を第1の布片部10a´´の裏面10a2´´側に縫合する(工程2、以下縫合線を一点鎖線で示す)。
【0051】
続いて、
図15に示すように、第1の布片部10a´´のネル生地15を重ねた下部側を折り返しラインMに沿って表面10a1´´側に折り返す(工程3)。
【0052】
次に、
図16に示すように、矩形状より詳しくは長方形状かつ長尺な第2の布片部10b´´と吸水性を有する生地15つまりネル生地15を用意する。第2の布片部10b´´は、第1の布片部10a´´に対し短尺な寸法(第2の布片部10b´´は、第1の布片部10a´´よりも10~13cm短い)とし、第2の布片部10b´´に用いられるネル生地15は、第1の布片部10a´´に用いられるネル生地15の2/3程度の長さとする(工程4)。第2の布片部10b´´は、収納部本体10´の正面10α´側を構成する生地となる。
【0053】
次いで、
図17に示すように、第2の布片部10b´´の裏面10b2´´側の下部側にネル生地15を重ねてネル生地15の端部を第2の布片部10b´´の裏面10b2´´側に縫合する(工程5)。
【0054】
続いて、
図18に示すように、第1の布片部10a´´と第2の布片部10b´´を上端部10a側の位置を相互に対応させる。そして、第1の布片部10a´´と第2の布片部10b´´の表面10a1´´,10b1´´同士が合掌するようにつまり表面10a1´´,10b1´´同士が内側となるように重ね合わせる(工程6)。この状態では、第1の布片部10a´´の収納部本体10´の下端部10b´と連続する部分21が第1の布片部10aの下端部10b´側と第2の布片部10b´´の下端部10b´側との間に挟まれた状態となる。
【0055】
次いで、
図19に示すように、第1の布片部10a´´と第2の布片部10b´´の両側端部10c´側を縫合して連結する。この両側端部10c´の連結は、第1の布片部10a´´と第2の布片部10b´´の上端部10a´側および下端部10b´側を非連結として開口を形成して、上端部10a´側の開口は、挿入口11とする(工程7)。
【0056】
続いて、
図20に示すように、
図19で縫合した第1の布片部10a´´と第2の布片部10b´´を表面10a1´´,10b1´´が内側から外側となるように上端部10a´の挿入口11若しくは下端部10b´の開口17を介して捲り返す。この捲り返しは、第1の布片部10a´´と第2の布片部10b´´の裏面10a2´´,10b2´´側同士が合掌するようにつまり裏面10a2´´,10b2´´側同士が内側となるように行う。また、この捲り返しは、第1の布片部10a´´の下端部10b´側と閉塞部20との間に第2の布片部10b´´の下端部10b´側が挟み込まれるように行う。この捲り返しにより、収納部本体10´が形成されるとともに、開口17が収納部本体10´の下端部10b´に閉塞部20に閉塞されつつ形成される(工程8)。
【0057】
すなわち、以上の工程1~工程8により、収納部本体10´は、矩形状かつ長尺な第1の布片部10a´´と第2の布片部10b´´を有することとなる。そして、第2の布片部10b´´の下端部10b´´側と対応する位置から下方に延在する第1の布片部10a´´の部分21を閉塞部20として第2の布片部10b´´の下部側および下端部10b´側の開口17を挟み込むように折り返し、該折り返し部分22の両側端部22a側を収納部本体10´に縫合して連結するとともに、折り返し部分22の上端部22b側は、収納部本体10´に対し連結しない非連結の状態として、収納部本体10´の下端部10b´側の開口17を覆い隠すポケット状とすることができる。このような構成とすることで、折り返し部分22の両側端部22a側から水分が漏出することを防止することができるとともに、開口17を覆い隠すことができ美観を損ねることを少なくすることができる。
【0058】
次いで、
図21に示すように、収納部本体10´の上端部10a´に保持部13を設ける(工程9)。続いて、
図22に示すように、保持部13に板バネ12を挿入して保持し(工程10)、次に、
図23に示すように、保持部材16を収納部本体10´の上端部10a´に設ける(工程11)。以上の工程1~工程11により傘収納具1を製造することができる。
【0059】
以上説明したように、本発明によれば、収納部10は、上端部10a´側を開閉可能とし、上端部10a´側に傘100を内部に挿入するための挿入口11を有し、挿入口11は、弾発性のある部材12により開閉することとしたので、挿入口11を確実に開放して傘100を収納部10に容易に収納することができる。
【0060】
また、弾発性のある部材12は、板バネ12とし、挿入口11は、一対の板バネ12を対向するように設け、一対の板バネ12は、合掌するように閉塞するとともに、一対の板バネ12の両端部12aを板バネ12の長さ方向に沿って内側に押圧することにより両端部12aを支点として湾曲し一対の板バネ12の中間部12bが相互に離間して開放することとしたので、例えば、板バネ12の両端部12aを片手で押圧することにより挿入口11を開放しながら、他方の手で傘を持って挿入口11を介して挿入することができる等、傘100を容易に収納することができる。
【0061】
更に、収納部10は、収納した傘100と接触する裏面10B´側に吸水性を有する生地15を設けることとしたので、傘100に付着した水分を吸水することができ、外部に漏出することを防止することができる。
【0062】
更にまた、吸水性を有する生地15は、ネル生地15とすることとしたので、傘100に付着した水分を確実に吸水することができるとともに、嵩張らず容易に畳むことができる。
【0063】
また更に、ネル生地15は、収納部10の裏面10B´側の下部側に設けることとしたので、撥水性または防水性を有する生地14を伝って傘100から下方に滴りながら落ちる水分を少ない生地量で効率よく吸水することができ、製造コストの低減を図ることができるとともに、更に嵩張らず容易に畳むことができる。
【0064】
また、収納部10は、表面10A´側に撥水性または防水性を有する生地14を設け、吸水性を有する生地15は、撥水性または防水性を有する生地14の裏面10B´側に設けることとしたので、収納した傘100に付着した水分が裏面10B´側の吸水性を有する生地15に吸水されるとともに、撥水性または防水性を有する生地14により裏面10B´側に弾くことができ、更に外部に漏出することを防止することができる。
【0065】
更に、収納部10は、下端部10b´側に開口17を設けることとしたので、傘100に付着した水分を開口17を介して外部に排出することができる。また、開口17から傘100の石突部分100aを露出させることができる。
【0066】
更にまた、閉塞部20は、開口17の端部の一部と連続するとともに、連続する部分21を上方に折り返して折り返し部分22の両側端部22a側を収納部10に連結し、折り返し部分22の上端部22b側は、収納部10に対し連結しない非連結の状態として、開口17を覆い隠すポケット状とすることとしたので、両側端部22a側から水分が漏出することを防止することができるとともに、開口17を覆い隠すことができ美観を損ねることを少なくすることができる。
【0067】
また更に、閉塞部20は、上端部20a側が収納部10に対し連結しない非連結の状態とすることにより、両側端20b部を収納部20に連結したままの状態で折り返しの方向と反対方向に捲り返し可能とし、捲り返すことにより下端部10b´側の開口17を閉塞部20の上端部20a側の内側から外側に押し出して露出可能な構成とすることとしたので、ファスナーな釦等の開閉部材を介さずに開口の開閉を行うことができ、開閉部材の腐食や損傷による製品寿命の低下を防止することができる。また、開閉部材を設けることによる美観の低下も防止することができる。更に、閉塞部20は、両側端部20bが収納部20に連結されているので閉塞部20を捲り返して開口17を露出したときにも閉塞部20が下方に垂れ下がることがなく、閉塞部20が地面等に触れて汚れることを防止することができる。
【0068】
また、閉塞部20の収納部10に連結される両側端部20b側の連結長さの寸法Aの収納部10の幅寸法Bに対する比Cを0.4~0.8とすることとしたので、開口17を露出する際に、両側端部20bが閉塞したままの状態でも閉塞部20を捲り返すことを可能とするとともに、閉塞部20の上端部20aが閉塞時に水分で下方に垂れ下がる場合にあっても開口17の閉塞状態を確実に維持することができる(比Cを0.4よりも小さくすると閉塞部20の上端部20aが水分で下方に垂れ下がる場合に開口17が露出することがあり、Cを0.8よりも大きくすると開口17を露出する際に、両側端部20bが閉塞したままの状態では閉塞部20を捲り返すことが難しくなる)。
【0069】
更に、閉塞部20の裏面20b側に、更に吸水性を有する生地15より詳しくはネル生地15を設けることとしたので、吸水性を更に向上させることができる。
【0070】
更にまた、閉塞部20は、表面10A´側に撥水性または防水性を有する生地14を設け、吸水性を有する生地15は、撥水性または防水性を有する生地14の裏面10B´側に設けることとしたので、裏面10B´側の吸水性を有する生地15により水分を吸水しながら、撥水性または防水性を有する生地14により裏面10B´側に弾くことができ、更に外部に漏出することを防止することができる。
【0071】
[試験例1]
上述した傘収納具1において収納部本体10´の裏面10B´側に設ける吸水性を有する生地15の各種試験を行った。吸水性を有する生地15は、マイクロファイバー生地、ネル生地、コールテン生地、フェルト生地、フリース生地の5種類の生地とした。ネル生地は、コットン製で両面起毛のネル生地15とした。
これら5種類の生地において、吸水度を評価するとともに、実用性を考慮し、乾燥速度(乾燥時間)、ロール状に丸めた時の嵩張り度について評価を行った。
吸水度の評価は、4cm四方の生地を用意し大さじ2杯の水を吸わせ目視により水の広がる面積の大きさを把握し手の触感により漏れ具合の少ないものを高順位とした(水が広がる面積が大きいと濡れたという感触も少なくなる)。乾燥速度の評価は、手の触感により乾燥の有無を評価して行った。嵩張り度は目視観察による評価とした。
【0072】
その結果、吸水度については、マイクロファイバー生地が最もよく、次いでネル生地が良好であった。以下、吸水度は、フェルト生地、フリース生地、コールテン生地の順であった。乾燥速度(乾燥時間)については、ネル生地が最もよく、次いでコールテン生地が良好であった。以下、乾燥速度は、マイクロファイバー生地、フリース生地、フェルト生地の順であった。嵩張り度については、コールテン生地が最もよく(最も嵩張らない)、次いでネル生地が嵩張らず良好であった。以下、嵩張り度は、フェルト生地、マイクロファイバー生地(タオル生地→分厚い)、フリース生地の順であった。以上より、吸水度、乾燥速度、嵩張り度を総合的に見たときにネル生地およびコールテン生地が良好という結果が得られた。ネル生地は吸水度に関しコールテン生地よりも優れており、傘収納具1に採用するに際し最も好ましいという評価となった。
【0073】
[試験例2]
ネル生地において片面起毛と両面起毛の比較試験を行った。すなわち、これらネル生地において、吸水度を評価するとともに、実用性を考慮し、乾燥速度(乾燥時間)、ロール状に丸めた時の嵩張り度について評価を行った。
吸水度の評価は、4cm四方の生地を用意し大さじ2杯の水を吸わせ目視により水の広がる面積の大きさを把握し手の触感により漏れ具合の少ないものを高順位とした(水が広がる面積が大きいと濡れたという感触も少なくなる)。乾燥速度の評価は、手の触感により乾燥の有無を評価して行った。嵩張り度は目視観察による評価とした。
その結果、吸水度、乾燥速度(乾燥時間)については片面起毛および両面起毛のいずれにおいても大差はなく同等の結果が得られた。一方、嵩張り度については、片面起毛の方が両面起毛よりも嵩張らず良好な結果が得られた。
以上より、吸水度、乾燥速度、嵩張り度を総合的に見たときにネル生地においては片面起毛が良好という結果が得られた。
【0074】
なお、本発明は上述した実施形態に限定されることなく種々の変形実施、応用実施が可能であることは勿論である。
例えば、上述した実施形態にあっては収納部本体10´をロール状に丸めた状態として保持することとしているが、
図24乃至
図26に示すように折り畳んだ状態として保持することとしてもよい。
【0075】
すなわち、
図24乃至
図26に示すように、収納部本体10´の上端部10a´側から下端部10b´側に向かって収納部本体が蛇腹状となるように順次折り畳みを行い、折り畳みが収納部本体10´の下端部10b´側に達したときに、ポケット状の閉塞部20が折り畳んだ収納部本体10´を閉塞部20の上端部22b側から挿入しつつその空間20´に収納することができる。
【0076】
より詳しくは、保持部材16は、収納部本体10´における第1の布片部10a´´(背面10β´側)の下端部10b´側であって閉塞部20の反対側に第1の係合部材16b1と係合する第3の係合部材16b3を設ける。そして、折り畳みは、収納部本体10´における第2の布片部10b´´の上端部10a´側が外側を向くように収納部本体10´の上端部10a´側から下端部10b´側に向かって行い、閉塞部20に折り畳み部分を挿入しつつ収納する。続いて、閉塞部20に折り畳み部分を収納したときに第1の係合部材16b1と第3の係合部材16b3を係合させる。これにより第1の係合部材16b1を設けた帯片16aが閉塞部20側から閉塞部20の反対側に達して折り畳み部分を挟むように保持することができる。第3の係合部材16b3は、スナップ釦とすることができる。
【0077】
このように第3の係合部材16b3を設けることで、ポケット状の閉塞部20を活用しつつ折り畳んだ状態を保持することができる。また、ロール状に丸めた状態と蛇腹状に折り畳んだ状態のいずれの保持も行うことができ、保持方法を適宜選択することができる。
なお、
図27に示すように、収納部本体10´の幅寸法Bを中間部から上方に行くにしたがって漸次減少させ略台形形状とすることとすれば、蛇腹状に折り畳んだ収納部本体10´をポケット状の閉塞部20に挿入し易くすることができ、より好ましい実施形態となる(蛇腹状とせずに収納部10の上端部10a´側から下端部10b´側に向かって単に折り畳んで挿入し収納することも可能)。収納部本体10´の幅寸法Bは、下端部10b´の幅寸法Bが、上端部10a´の幅寸法Bよりも両側端部c´側がそれぞれ5mm(合計10mm)程度小さく設定されている。
【0078】
また、
図28~
図30に示すように、収納部本体10´において、吸水性を有する生地15と撥水性または防水性を有する生地15との間に更に吸水性を有する生地15´を設けることとしてもよく、これにより、吸水性を有する生地15に吸水された水分を更に設けられた吸水性を有する生地15´により吸水することができ、外側の吸水性を有する生地15の乾燥を早めることができる。更に設けられた吸水性を有する生地15´は、例えばポリエステル天竺等のポリエステルの糸で製造されたシート状の生地とすることができる。
【0079】
また、
図28~
図30に示すように、収納部本体10´において、更に設けられた吸水性を有する生地15´と撥水性または防止性を有する生地14との間に更に撥水性または防水性を有する生地14´を設けることとしてもよく、更に設けられた撥水性または防水性を有する生地14´により水分を裏面10B´側(内側)に弾くことができ、更に水分が外部に漏出することを防止することができる。更に設けられた撥水性または防水性を有する生地14´は、水蒸気を透過させる透湿性を有することとしてもよく、収納部10の裏面10B´側が蒸れることを防止することが可能となる。更に設けられた撥水性または防水性を有する生地14´は、例えば透湿ポリウレタンフィルム等のシート状の生地とすることができる。更に設けられた吸水性を有する生地15´と撥水性または防水性を有する生地15´は貼り合わせて一体のシート状の生地として吸水性を有する生地15と撥水性または防水性を有する生地14との間に設けることとしてもよい。
【0080】
また、
図28~
図30に示すように、閉塞部20において、吸水性を有する生地15と撥水性または防水性を有する生地14との間に更に吸水性を有する生地15´を設けることとしてもよい。これにより、吸水性を有する生地15に吸水された水分を更に設けられた吸水性を有する生地15´により吸水することができ、吸水性を有する生地15の乾燥を早めることができる。更に設けられた吸水性を有する生地15´は、例えばポリエステル天竺等のポリエステルの糸で製造されたシート状の生地とすることができる。
【0081】
また、
図28~
図30に示すように、閉塞部20において、更に設けられた吸水性を有する生地15´と撥水性または防止性を有する生地14との間に更に撥水性または防水性を有する生地14´を設けることとしてもよい。更に設けられた撥水性または防水性を有する生地14´により水分を裏面10B´側(内側)に弾くことができ、更に水分が外部に漏出することを防止することができる。更に設けられた撥水性または防水性を有する生地14´は、水蒸気を透過させる透湿性を有することとすれば、収納部10の裏面10B´側が蒸れることを防止することが可能となる。更に設けられた撥水性または防水性を有する生地14´は、例えば例えば透湿ポリウレタンフィルム等のシート状の生地とすることができる。更に設けられた吸水性を有する生地15´と撥水性または防水性を有する生地15´は貼り合わせて一体のシート状の生地として吸水性を有する生地15と撥水性または防水性を有する生地14との間に設けることとしてもよい。
【0082】
なお、上述した
図28~
図30の変形例においては、収納部本体10´および閉塞部20において、表面10A´側から裏面側10B´側にかけて撥水性または防水性を有する生地14、更に設けられた撥水性または防水性を有する生地14´、更に設けられた吸水性を有する生地15´、吸水性を有する生地15の順に設けることとしているが、本発明者が行った確認によれば表面10A´側から裏面10B´側にかけて撥水性または防水性を有する生地14、更に設けられた吸水性を有する生地15´、更に設けられた撥水性または防水性を有する生地14´、吸水性を有する生地15の順に設けた場合には水切れが悪くなり好ましくない結果となった(本発明者が行った確認により表面10A´側から裏面側10B´側にかけて撥水性または防水性を有する生地14、更に設けられた撥水性または防水性を有する生地14´、更に設けられた吸水性を有する生地15´、吸水性を有する生地15の順に設けることが最適な結果となった)。
【0083】
また、更に設けられた撥水性または防水性を有する生地14´、更に設けられた吸水性を有する生地15´はそれぞれ連続して複数設けることとしてもよい(表面10A´側から裏面側10B´側にかけて撥水性または防水性を有する生地14、更に設けられた撥水性または防水性を有する生地14´を連続して複数枚、更に設けられた吸水性を有する生地15´を連続して複数枚、吸水性を有する生地15)。
【0084】
また、
図28~
図30に示すように、収納部10の上部側にポケット30を設けることとしてもよく、ポケット30は、両側端部30a側および上端部30b側を収納部10に連結するとともに、下端部30c側を収納部10に対し連結しない非連結の状態として開口させることとしてもよい。
【0085】
すなわち、
図31に示すように、収納部10の下端部10b´側から上端部10a´側に向かって折り畳みを行い、折り畳みが収納部10の上端部10a´側に達したときに、折り畳んだ収納部10をポケット30の下端部30c側から収納することができる(単に折り畳む他、
図27のように蛇腹状に折り畳んで挿入し収納することも可能)。
【0086】
なお、
図32に示すように、収納部本体10´の幅寸法Bを上部から下方に行くにしたがって漸次減少させ略台形形状とすることとすれば、折り畳んだ収納部本体10´をポケット30に挿入し易くすることができ、より好ましい実施形態となる。収納部本体10´の幅寸法Bは、下端部10b´の幅寸法Bが、上端部10a´の幅寸法Bよりも両側端部c´側がそれぞれ5mm(合計10mm)程度小さく設定されている。
【0087】
また、上述した実施形態においては、傘100は長傘とすることとしているが相対的に短い折り畳み傘とすることとしても所要の効果を奏する。傘100を折り畳み傘とした場合には鞄等に横にした状態で収納することがあり、かかる場合にあっては、収納部10の裏面10B´側の下部側のみならず全面に吸水性を有する生地15,15´、撥水性または防水性を有する生地14´を設けることとしてもよい。
【符号の説明】
【0088】
A:連結長さの寸法
B:収納部本体の幅寸法
C:連結長さ寸法の収納部本体の幅寸法に対する比
L:板バネの長さ寸法
M:折り返しライン
1:傘収納具
10:収納部
10´:収納部本体
10A´:表面
10B´:裏面
10a´:上端部
10a´´:第1の布片部
10a1´´:表面
10a2´´:裏面
10b´:下端部
10b´´:第2の布片部
10b1´´:表面
10b2´´:裏面
10c´:側端部
10α´:正面
10β´:背面
10´´:収納空間
11:挿入口
12:弾発性のある部材(板バネ)
12a:側端部
12b中間部
12´:軸体
13:保持部
14:撥水性または防水性を有する生地
14´:撥水性または防水性を有する生地
15:吸水性を有する生地(ネル生地)
15a:起毛している面
15´:吸水性を有する生地
16:保持部材
16a:帯片
16a1:基端部
16a2:先端部
16b:係合部材
16b1:第1の係合部材
16b2:第2の係合部材
17:開口
20:閉塞部
20b:裏面
20´:空間
21:収納部本体と連続する部分
22:折り返し部分
22a:側端部
22b:上端部
30:ポケット
30a:側端部
30b:上端部
30c:下端部
100:傘
100a:石突部分