(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024146344
(43)【公開日】2024-10-15
(54)【発明の名称】アルミナ系複合酸化物、及び、アルミナ系複合酸化物の製造方法
(51)【国際特許分類】
B01J 23/63 20060101AFI20241004BHJP
B01J 37/03 20060101ALI20241004BHJP
B01J 37/08 20060101ALI20241004BHJP
C01G 25/00 20060101ALI20241004BHJP
B01J 32/00 20060101ALI20241004BHJP
【FI】
B01J23/63 A
B01J37/03 Z ZAB
B01J37/08
C01G25/00
B01J32/00
【審査請求】有
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023059185
(22)【出願日】2023-03-31
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2024-07-30
(71)【出願人】
【識別番号】000208662
【氏名又は名称】第一稀元素化学工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000729
【氏名又は名称】弁理士法人ユニアス国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】廣瀬 慶計
(72)【発明者】
【氏名】明石 陵
【テーマコード(参考)】
4G048
4G169
【Fターム(参考)】
4G048AB02
4G048AC08
4G048AD03
4G048AE05
4G169AA01
4G169AA03
4G169AA08
4G169BA01A
4G169BA01B
4G169BA05A
4G169BA05B
4G169BA42C
4G169BB01C
4G169BB04A
4G169BB04B
4G169BB06A
4G169BB06B
4G169BC02C
4G169BC16A
4G169BC16B
4G169BC40B
4G169BC42B
4G169BC43A
4G169BC43B
4G169BC44B
4G169BC51A
4G169BC51B
4G169BC71B
4G169CA02
4G169CA03
4G169DA05
4G169EB18X
4G169EB18Y
4G169EC06X
4G169EC06Y
4G169EC07X
4G169EC07Y
4G169EC25
4G169FB06
4G169FB08
4G169FB29
4G169FB78
4G169FC04
4G169FC08
4G169FC09
(57)【要約】
【課題】 高温域に長時間曝された際の触媒金属元素の凝集をより抑制することが可能なアルミナ含有複合酸化物を提供すること。
【解決手段】 アルミナと、セリア及び/又はジルコニアとを含有し、エネルギー分散型X線分光法を用いた合計50点の点分析において、以下の(1)~(4)の全てを満たすアルミナ系複合酸化物。
(1)アルミナ含有率が50質量%以上99質量%以下、アルミナ以外の元素酸化物含有率が1質量%以上50質量%以下の測定点が50点のうち1点以上存在し、
(2)アルミナ含有率が1質量%以上50質量%未満、アルミナ以外の元素酸化物含有率が50質量%超99質量%以下の測定点が50点のうち1点以上存在し、
(3)測定点50点のアルミナ含有率の最大値と最小値の差が20以上95以下であり、
(4)測定点50点のアルミナ以外の元素酸化物含有率の最大値と最小値の差が20以上95以下である。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
アルミナと、
セリア及び/又はジルコニアと
を含有し、
エネルギー分散型X線分光法を用いた以下のa~cの手順による合計50点の点分析において、以下の(1)~(4)の全てを満たすことを特徴とするアルミナ系複合酸化物。
(1)アルミナ含有率が50質量%以上99質量%以下、アルミナ以外の元素酸化物含有率が1質量%以上50質量%以下の測定点が50点のうち1点以上存在し、
(2)アルミナ含有率が1質量%以上50質量%未満、アルミナ以外の元素酸化物含有率が50質量%超99質量%以下の測定点が50点のうち1点以上存在し、
(3)測定点50点のアルミナ含有率の最大値と最小値の差が20以上95以下であり、
(4)測定点50点のアルミナ以外の元素酸化物含有率の最大値と最小値の差が20以上95以下である。
<手順>
a:走査型電子顕微鏡にて観察される粒子画像の中から、縦4μm以上横4μm以上の断面を有する粒子画像1つを選択する。
b:選択した前記粒子画像の縦4μm横4μmの範囲内を、1μm間隔、25か所の測定点において、組成分析を行う。
c:手順aで選択したのとは別の粒子画像をもう1つ選択し、手順bと同じ組成分析を行う。
【請求項2】
前記50点の点分析において、さらに、以下の(5)~(6)の全てを満たすことを特徴とする請求項1に記載のアルミナ系複合酸化物。
(5)アルミナ含有率が55質量%以上99質量%以下、アルミナ以外の元素酸化物含有率が1質量%以上45質量%以下の測定点が50点のうち1点以上存在し、
(6)アルミナ含有率が1質量%以上45質量%以下、アルミナ以外の元素酸化物含有率が55質量%以上99質量%以下の測定点が50点のうち1点以上存在する。
【請求項3】
前記50点の点分析において、さらに、以下の(7)~(8)の全てを満たすことを特徴とする請求項1に記載のアルミナ系複合酸化物。
(7)アルミナ含有率が50質量%以上99質量%以下、アルミナ以外の元素酸化物含有率が1質量%以上50質量%以下の測定点が50点のうち10点以上存在し、
(8)アルミナ含有率が1質量%以上50質量%未満、アルミナ以外の元素酸化物含有率が50質量%超99質量%以下の測定点が50点のうち10点以上存在する。
【請求項4】
前記50点の点分析において、さらに、以下の(9)~(10)の全てを満たすことを特徴とする請求項2に記載のアルミナ系複合酸化物。
(9)アルミナ含有率が55質量%以上99質量%以下、アルミナ以外の元素酸化物含有率が1質量%以上45質量%以下の測定点が50点のうち5点以上存在し、
(10)アルミナ含有率が1質量%以上45質量%以下、アルミナ以外の元素酸化物含有率が55質量%以上99質量%以下の測定点が50点のうち5点以上存在する。
【請求項5】
蛍光X線法により得られる組成分析において、アルミナの含有率が15質量%以上80質量%以下であることを特徴とする請求項1~4のいずれか1に記載のアルミナ系複合酸化物。
【請求項6】
蛍光X線法により得られる組成分析において、セリア及び/又はジルコニアの含有率が、0.1質量%以上85質量%以下であることを特徴とする請求項1~4のいずれか1に記載のアルミナ系複合酸化物。
【請求項7】
アルミナ、セリア、及び、ジルコニア以外の酸化物として、希土類元素(セリウム、プロメチウムを除く)の酸化物のいずれか一種以上を含むことを特徴とする請求項1~4のいずれか1に記載のアルミナ系複合酸化物。
【請求項8】
請求項1~4のいずれか1に記載のアルミナ系複合酸化物の製造方法であって、
アルミン酸ソーダに酸を添加し、水和アルミナ懸濁液Aを得る工程1、
セリウム及び/又はジルコニウムを含有する原料塩の水溶液B-1、及び/又は、セリウム及び/又はジルコニウムを含有する原料塩の懸濁液B-2を準備する工程2、
前記懸濁液Aと、前記水溶液B-1及び/又は懸濁液B-2とを混合することによりアルミニウム系複合前駆体の沈殿物を得る工程3、及び、
前記沈殿物を熱処理することによりアルミナ系複合酸化物を得る工程4
を含むことを特徴とするアルミナ系複合酸化物の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、アルミナ系複合酸化物、及び、アルミナ系複合酸化物の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年の排ガス規制のモードにも組み込まれるように、高速域、及び、超高速域での走行では、排ガス温度が著しく上昇する。そのため、排ガス浄化用触媒の使用温度も従来に比べて大きく上昇し、触媒金属元素のシンタリングによる凝集を抑制することが困難となっている。
【0003】
特許文献1には、触媒担体として有用な複合金属酸化物多孔体として、アルミナを含有する第一の超微粒子とジルコニアを含有する第二の超微粒子との混合物である複合金属酸化物多孔体であって、前記多孔体に0.1質量%以上含有されるすべての金属元素について、球面収差補正機能付き走査透過型電子顕微鏡を用いたエネルギー分散型X線分光分析により20nm角の微小分析範囲における前記金属元素の含有率(質量%)を100箇所の測定点で測定して得られた各金属元素の含有率の標準偏差が10以下となる条件を満たすように、前記第一の超微粒子と前記第二の超微粒子とが均一に分散している複合金属酸化物多孔体、が開示されている(請求項1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従来、触媒金属元素を担持するためのアルミナ含有複合酸化物では、高温域に長時間曝された際の触媒金属元素の凝集を抑制するため、特許文献1に例示されるように、均一な元素分布を有する材料が使用されている。
【0006】
しかしながら、本発明者らは、アルミナ含有複合酸化物の元素分布が極度に均一であると、高温域に長時間曝された際に、金属触媒元素が、アルミナ含有複合酸化物の不活性となりやすい元素上に凝集する可能性があることを見出した。
【0007】
本発明は、上述した課題に鑑みてなされたものであり、その目的は、高温域に長時間曝された際の触媒金属元素の凝集をより抑制することが可能なアルミナ含有複合酸化物を提供することにある。また、当該アルミナ系複合酸化物を得ることが可能なアルミナ系複合酸化物の製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明者らは、上述した課題に対して、アルミナ含有複合酸化物に関して、鋭意研究を行った。その結果、アルミナ含有複合酸化物の元素分布を高精度に適切に制御することにより、高温域に長時間曝された際の触媒金属元素の凝集をより抑制することが可能であることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0009】
すなわち、本発明は、以下を提供する。
[1] アルミナと、
セリア及び/又はジルコニアと
を含有し、
エネルギー分散型X線分光法を用いた以下のa~cの手順による合計50点の点分析において、以下の(1)~(4)の全てを満たすことを特徴とするアルミナ系複合酸化物。
(1)アルミナ含有率が50質量%以上99質量%以下、アルミナ以外の元素酸化物含有率が1質量%以上50質量%以下の測定点が50点のうち1点以上存在し、
(2)アルミナ含有率が1質量%以上50質量%未満、アルミナ以外の元素酸化物含有率が50質量%超99質量%以下の測定点が50点のうち1点以上存在し、
(3)測定点50点のアルミナ含有率の最大値と最小値の差が20以上95以下であり、
(4)測定点50点のアルミナ以外の元素酸化物含有率の最大値と最小値の差が20以上95以下である。
<手順>
a:走査型電子顕微鏡にて観察される粒子画像の中から、縦4μm以上横4μm以上の断面を有する粒子画像1つを選択する。
b:選択した前記粒子画像の縦4μm横4μmの範囲内を、1μm間隔、25か所の測定点において、組成分析を行う。
c:手順aで選択したのとは別の粒子画像をもう1つ選択し、手順bと同じ組成分析を行う。
【0010】
前記構成によれば、縦4μm以上横4μm以上の断面を有する粒子内において、元素分布に、上記(1)~上記(4)を満たすようなばらつきがある。すなわち、アルミナ系複合酸化物を構成する3次粒子内において、元素分布にある程度のばらつきがある。従って、当該アルミナ系複合酸化物に金属触媒元素を担持させると、金属触媒元素は親和性の高い元素上に優先的に担持されることになる。担体との親和性が高い場合、高温域に長時間曝された際においても、アンカー効果等により、金属触媒元素同士の凝集が抑制され、金属触媒として、より活性な状態が維持されることとなる。また、金属触媒元素との親和性が高い元素は、助触媒として働く場合が多く存在する。従って、金属触媒元素が助触媒の近傍に優先的に担持されることで、触媒活性の向上が期待される。加えて、アルミナと添加金属元素が同一3次粒子内に存在するため、高温域における長時間曝された際に、アルミナと添加金属元素がそれぞれお互いに拡散障壁として作用し、触媒の劣化が抑制される。
【0011】
さらに、本発明は、以下を提供する。
[2] 前記50点の点分析において、さらに、以下の(5)~(6)の全てを満たす前記[1]に記載のアルミナ系複合酸化物。
(5)アルミナ含有率が55質量%以上99質量%以下、アルミナ以外の元素酸化物含有率が1質量%以上45質量%以下の測定点が50点のうち1点以上存在し、
(6)アルミナ含有率が1質量%以上45質量%以下、アルミナ以外の元素酸化物含有率が55質量%以上99質量%以下の測定点が50点のうち1点以上存在する。
【0012】
アルミナ系複合酸化物を構成する3次粒子内において、上記(1)~上記(4)に加えて、さらに、上記(5)~上記(6)を満たすようなばらつきがあると、金属触媒元素の凝集がさらに抑制される。
【0013】
さらに、本発明は、以下を提供する。
[3] 前記50点の点分析において、さらに、以下の(7)~(8)の全てを満たす前記[1]に記載のアルミナ系複合酸化物。
(7)アルミナ含有率が50質量%以上99質量%以下、アルミナ以外の元素酸化物含有率が1質量%以上50質量%以下の測定点が50点のうち10点以上存在し、
(8)アルミナ含有率が1質量%以上50質量%未満、アルミナ以外の元素酸化物含有率が50質量%超99質量%以下の測定点が50点のうち10点以上存在する。
【0014】
前記[3]の発明によれば、金属触媒元素同士の凝集がより抑制される。
【0015】
さらに、本発明は、以下を提供する。
[4] 前記50点の点分析において、さらに、以下の(9)~(10)の全てを満たす前記[2]に記載のアルミナ系複合酸化物。
(9)アルミナ含有率が55質量%以上99質量%以下、アルミナ以外の元素酸化物含有率が1質量%以上45質量%以下の測定点が50点のうち5点以上存在し、
(10)アルミナ含有率が1質量%以上45質量%以下、アルミナ以外の元素酸化物含有率が55質量%以上99質量%以下の測定点が50点のうち5点以上存在する。
【0016】
アルミナ系複合酸化物を構成する3次粒子内において、上記(1)~上記(4)に加えて、さらに、上記(9)~上記(10)を満たすようなばらつきがあると、金属触媒元素の凝集がさらに抑制される。
【0017】
さらに、本発明は、以下を提供する。
[5] 蛍光X線法により得られる組成分析において、アルミナの含有率が15質量%以上80質量%以下である前記[1]~[4]に記載のアルミナ系複合酸化物。
【0018】
蛍光X線法により得られる組成分析において、アルミナの含有量が15質量%以上80質量%以下であると、当該アルミナ系複合酸化物に金属触媒元素を担持させた際に、金属触媒元素の凝集がさらに抑制される。
【0019】
なお、蛍光X線法により得られる組成分析では、アルミナ系複合酸化物全体に含まれる各酸化物の含有率が得られる。一方、エネルギー分散型X線分光法を用いた点分析(上記[1]、上記[2])では、アルミナ系複合酸化物全体ではなく、分析対象となる表面の測定点での各酸化物の含有率が得られる。
【0020】
さらに、本発明は、以下を提供する。
[6] 蛍光X線法により得られる組成分析において、セリア及び/又はジルコニアの含有率が、0.1質量%以上85質量%以下である前記[1]~[5]のいずれか1に記載のアルミナ系複合酸化物。
【0021】
セリア及び/又はジルコニアは助触媒として機能するため、セリア及び/又はジルコニアの含有率が0.1質量%以上であると、触媒担体として好適である。また、セリア及び/又はジルコニアの含有率が85質量%以下であると、熱劣化を抑制することができる。
【0022】
さらに、本発明は、以下を提供する。
[7] アルミナ、セリア、及び、ジルコニア以外の酸化物として、希土類元素(セリウム、プロメチウムを除く)の酸化物のいずれか一種以上を含む前記[1]~[6]のいずれか1に記載のアルミナ系複合酸化物。
【0023】
希土類元素(セリウム、プロメチウムを除く)の酸化物のいずれか一種以上を含むと、アルミナ、セリア、ジルコニアの結晶相が安定化し、触媒の劣化がより抑制される。
【0024】
さらに、本発明は、以下を提供する。
[8] 前記[1]~[7]のいずれか1に記載のアルミナ系複合酸化物の製造方法であって、
アルミン酸ソーダに酸を添加し、水和アルミナ懸濁液Aを得る工程1、
セリウム及び/又はジルコニウムを含有する原料塩の水溶液B-1、及び/又は、セリウム及び/又はジルコニウムを含有する原料塩の懸濁液B-2を準備する工程2、
前記懸濁液Aと、前記水溶液B-1及び/又は懸濁液B-2とを混合することによりアルミニウム系複合前駆体の沈殿物を得る工程3、及び、
前記沈殿物を熱処理することによりアルミナ系複合酸化物を得る工程4
を含むアルミナ系複合酸化物の製造方法。
【0025】
一般的な共沈法は、均一な元素分布を有する複合酸化物の作製に対しては有効であるが、沈殿の溶解度積差以外で元素分布を制御することは困難である。一方で、結晶化したアルミナと、結晶化したセリア、ジルコニアとを混合する混合法では、個々の3次粒子の構成元素は混合前と同一であり、アルミナとセリア、ジルコニアとの複合化による特性は発現しづらい元素分布となる。
上記のような問題に対して、前記[8]の発明によれば、水和アルミナ懸濁液Aと、セリウム及び/又はジルコニウムを含有する原料塩の水溶液B-1及び/又は懸濁液B-2とを混合することにより、水和アルミナ表面及び/又は内部にセリア、ジルコニアの前駆体を配置させることができる。これにより、アルミナ系複合酸化物の3次粒子内に、セリア、ジルコニアを含有するアルミナ2次粒子と、アルミナを含有するセリア、ジルコニアの2次粒子とを共存させることが可能である。加えて、水和アルミナおよびセリア、ジルコニアの前駆体の凝集制御により、複合酸化物3次粒子内の元素分布を制御することが可能である。
このような製造方法により上記[1]の上記(1)~(4)の特性を有するアルミナ系複合酸化物を得ることが可能となる
【発明の効果】
【0026】
本発明によれば、高温域に長時間曝された際の触媒金属元素の凝集をより抑制することが可能なアルミナ含有複合酸化物を提供することにある。また、当該アルミナ系複合酸化物を得ることが可能なアルミナ系複合酸化物の製造方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【
図1】実施例1~実施例34のアルミナ系複合酸化物の3次粒子のモデル図である。
【
図2】比較例1、比較例3-比較例5、比較例7、比較例9、比較例12、比較例13のアルミナ系複合酸化物の3次粒子のモデル図である。
【
図3】比較例2、比較例6、比較例8、比較例10、比較例14のアルミナ系複合酸化物の3次粒子のモデル図である。
【
図4】比較例11のアルミナ系複合酸化物の3次粒子のモデル図である。
【
図5】実施例1のアルミナ系複合酸化物のX線回折スペクトルである。
【発明を実施するための形態】
【0028】
以下、本発明の実施形態について説明する。ただし、本発明はこれらの実施形態のみに限定されるものではない。なお、本明細書において、アルミナ系複合酸化物とは一般的なものであり、ハフニウムを含めた10質量%以下の不純物金属化合物を含むものである。また、本明細書において、「含有」及び「含む」なる表現については、「含有」、「含む」、「実質的にからなる」及び「のみからなる」という概念を含む。
【0029】
以下で示される各成分の含有量の最大値、最小値は、他の成分の含有量に関係なく、それぞれ独立して本発明の好ましい最小値、好ましい最大値である。
また、以下で示される各種パラメータ(測定値等)の最大値、最小値は、各成分の含有量(組成)に関係なく、それぞれ独立して本発明の好ましい最小値、最大値である。
【0030】
[アルミナ系複合酸化物]
本実施形態に係るアルミナ系複合酸化物は、
アルミナと、
セリア及び/又はジルコニアと
を含有し、
エネルギー分散型X線分光法を用いた以下のa~cの手順による合計50点の点分析において、以下の(1)~(4)の全てを満たすことを特徴とするアルミナ系複合酸化物。
(1)アルミナ含有率が50質量%以上99質量%以下、アルミナ以外の元素酸化物含有率が1質量%以上50質量%以下の測定点が50点のうち1点以上存在し、
(2)アルミナ含有率が1質量%以上50質量%未満、アルミナ以外の元素酸化物含有率が50質量%超99質量%以下の測定点が50点のうち1点以上存在し、
(3)測定点50点のアルミナ含有率の最大値と最小値の差が20以上95以下であり、
(4)測定点50点のアルミナ以外の元素酸化物含有率の最大値と最小値の差が20以上95以下である。
<手順>
a:走査型電子顕微鏡にて観察される粒子画像の中から、縦4μm以上横4μm以上の断面を有する粒子画像1つを選択する。
b:選択した前記粒子画像の縦4μm横4μmの範囲内を、1μm間隔、25か所の測定点において、組成分析を行う。
c:手順aで選択したのとは別の粒子画像をもう1つ選択し、手順bと同じ組成分析を行う。
【0031】
前記アルミナ系複合酸化物によれば、縦4μm以上横4μm以上の断面を有する粒子内において、元素分布に、上記(1)~上記(4)を満たすようなばらつきがある。すなわち、アルミナ系複合酸化物を構成する3次粒子内において、元素分布にある程度のばらつきがある。従って、当該アルミナ系複合酸化物に金属触媒元素を担持させると、金属触媒元素は親和性の高い元素上に優先的に担持されることになる。担体との親和性が高い場合、高温域に長時間曝された際においても、アンカー効果等により、金属触媒元素同士の凝集が抑制され、金属触媒として、より活性な状態が維持されることとなる。また、金属触媒元素との親和性が高い元素は、助触媒として働く場合が多く存在する。従って、金属触媒元素が助触媒の近傍に優先的に担持されることで、触媒活性の向上が期待される。加えて、アルミナと添加金属元素が同一3次粒子内に存在するため、高温域における長時間曝された際に、それぞれが拡散障壁として作用し、触媒の劣化が抑制される。
【0032】
ここで、本明細書において、3次粒子とは2次粒子が凝集した粒子をいい、2次粒子とは結晶子(1次粒子)が凝集した粒子をいう。
【0033】
前記(1)を満たす測定点は、金属触媒元素の凝集抑制の観点から、2点以上存在することが好ましく、4点以上存在することがより好ましく、7点以上存在することがさらに好ましく、10点以上存在することが特に好ましい。
前記(1)を満たす測定点は、金属触媒元素の凝集抑制の観点から、48点以下存在することが好ましく、46点以下存在することがより好ましく、43点以下存在することがさらに好ましく、40点以下存在することが特に好ましい。
前記(1)を満たす測定点は、金属触媒元素の凝集抑制の観点から、2点以上48点以下存在することが好ましく、4点以上46点以下存在することがより好ましく、7点以上43点以下存在することがさらに好ましく、10点以上40点以下存在することが特に好ましい。
【0034】
前記(2)を満たす測定点は、金属触媒元素の凝集抑制の観点から、2点以上存在することが好ましく、4点以上存在することがより好ましく、7点以上存在することがさらに好ましく、10点以上存在することが特に好ましい。
前記(2)を満たす測定点は、金属触媒元素の凝集抑制の観点から、48点以下存在することが好ましく、46点以下存在することがより好ましく、43点以下存在することがさらに好ましく、40点以下存在することが特に好ましい。
前記(2)を満たす測定点は、金属触媒元素の凝集抑制の観点から、2点以上48点以下存在することが好ましく、4点以上46点以下存在することがより好ましく、7点以上43点以下存在することがさらに好ましく、10点以上40点以下存在することが特に好ましい。
前記(1)を満たす測定点と前記(2)を満たす測定点との合計は、50点であることが好ましい。すなわち、測定点50点のすべてが、前記(1)、前記(2)のいずれかを満たすことが好ましい。
【0035】
特に、前記アルミナ系複合酸化物は、さらに、以下の(7)~(8)の全てを満たすことが好ましい。
(7)アルミナ含有率が50質量%以上99質量%以下、アルミナ以外の元素酸化物含有率が1質量%以上50質量%以下の測定点が50点のうち10点以上存在し、
(8)アルミナ含有率が1質量%以上50質量%未満、アルミナ以外の元素酸化物含有率が50質量%超99質量%以下の測定点が50点のうち10点以上存在する。
【0036】
前記(3)で規定する測定点50点のアルミナ含有率の最大値と最小値の差は、金属触媒元素の凝集抑制の観点から、21以上が好ましく、23以上がより好ましく、25以上がさらに好ましい。
前記(3)で規定する測定点50点のアルミナ含有率の最大値と最小値の差は、触媒担体の劣化抑制(もしくは金属触媒元素の凝集抑制)の観点から、94以下が好ましく、92以下がより好ましく、90以下がさらに好ましい。
前記(3)で規定する測定点50点のアルミナ含有率の最大値と最小値の差は、金属触媒元素の凝集抑制の観点から、21以上94以下が好ましく、23以上92以下がより好ましく、25以上90以下がさらに好ましい。
【0037】
前記(4)で規定する測定点50点のアルミナ以外の元素酸化物含有率の最大値と最小値の差は、金属触媒元素の凝集抑制の観点から、21以上が好ましく、23以上がより好ましく、25以上がさらに好ましい。
前記(4)で規定する測定点50点のアルミナ以外の元素酸化物含有率の最大値と最小値の差は、触媒担体の劣化抑制(もしくは金属触媒元素の凝集抑制)の観点から、94以下が好ましく、92以下がより好ましく、90以下がさらに好ましい。
前記(4)で規定する測定点50点のアルミナ以外の元素酸化物含有率の最大値と最小値の差は、金属触媒元素の凝集抑制の観点から、21以上94以下が好ましく、23以上92以下がより好ましく、25以上90以下がさらに好ましい。
【0038】
前記アルミナ系複合酸化物は、さらに、以下の(5)~(6)の全てを満たすことが好ましい。
(5)アルミナ含有率が55質量%以上99質量%以下、アルミナ以外の元素酸化物含有率が1質量%以上45質量%以下の測定点が50点のうち1点以上存在し、
(6)アルミナ含有率が1質量%以上45質量%以下、アルミナ以外の元素酸化物含有率が55質量%以上99質量%以下の測定点が50点のうち1点以上存在する。
【0039】
アルミナ系複合酸化物を構成する3次粒子内において、上記(1)~上記(4)に加えて、さらに、上記(5)~上記(6)を満たすようなばらつきがあると、金属触媒元素の凝集がさらに抑制される。
【0040】
前記(5)を満たす測定点は、金属触媒元素の凝集抑制の観点から、2点以上存在することが好ましく、3点以上存在することがより好ましく、5点以上存在することがさらに好ましい。
前記(5)を満たす測定点は、金属触媒元素の凝集抑制の観点から、48点以下存在することが好ましく、47点以下存在することがより好ましく、45点以下存在することがさらに好ましい。
前記(5)を満たす測定点は、金属触媒元素の凝集抑制の観点から、2点以上48点以下存在することが好ましく、3点以上47点以下存在することがより好ましく、5点以上45点以下存在することがさらに好ましい。
【0041】
前記(6)を満たす測定点は、金属触媒元素の凝集抑制の観点から、2点以上存在することが好ましく、3点以上存在することがより好ましく、5点以上存在することがさらに好ましい。
前記(6)を満たす測定点は、金属触媒元素の凝集抑制の観点から、48点以下存在することが好ましく、47点以下存在することがより好ましく、45点以下存在することがさらに好ましい。
前記(6)を満たす測定点は、金属触媒元素の凝集抑制の観点から、2点以上48点以下存在することが好ましく、3点以上47点以下存在することがより好ましく、5点以上45点以下存在することがさらに好ましい。
【0042】
特に、前記アルミナ系複合酸化物は、さらに、以下の(9)~(10)の全てを満たすことが好ましい。
(9)アルミナ含有率が55質量%以上99質量%以下、アルミナ以外の元素酸化物含有率が1質量%以上45質量%以下の測定点が50点のうち5点以上存在し、
(10)アルミナ含有率が1質量%以上45質量%以下、アルミナ以外の元素酸化物含有率が55質量%以上99質量%以下の測定点が50点のうち5点以上存在する。
【0043】
前記アルミナ系複合酸化物は、さらに、以下の(a)~(b)の全てを満たすことが好ましい。
(a)アルミナ含有率が60質量%以上99質量%以下、アルミナ以外の元素酸化物含有率が1質量%以上40質量%以下の測定点が50点のうち1点以上存在し、
(b)アルミナ含有率が1質量%以上40質量%以下、アルミナ以外の元素酸化物含有率が60質量%以上99質量%以下の測定点が50点のうち1点以上存在する。
【0044】
アルミナ系複合酸化物を構成する3次粒子内において、上記(1)~上記(6)に加えて、さらに、上記(a)~上記(b)を満たすようなばらつきがあると、金属触媒元素の凝集がさらに抑制される。
【0045】
前記(a)を満たす測定点は、金属触媒元素の凝集抑制の観点から、2点以上存在することが好ましく、3点以上存在することがより好ましく、4点以上存在することがさらに好ましい。
前記(a)を満たす測定点は、金属触媒元素の凝集抑制の観点から、48点以下存在することが好ましく、47点以下存在することがより好ましく、46点以下存在することがさらに好ましい。
前記(a)を満たす測定点は、金属触媒元素の凝集抑制の観点から、2点以上48点以下存在することが好ましく、3点以上47点以下存在することがより好ましく、4点以上46点以下存在することがさらに好ましい。
【0046】
前記(b)を満たす測定点は、金属触媒元素の凝集抑制の観点から、2点以上存在することが好ましく、3点以上存在することがより好ましく、4点以上存在することがさらに好ましい。
前記(b)を満たす測定点は、金属触媒元素の凝集抑制の観点から、48点以下存在することが好ましく、47点以下存在することがより好ましく、46点以下存在することがさらに好ましい。
前記(b)を満たす測定点は、金属触媒元素の凝集抑制の観点から、2点以上48点以下存在することが好ましく、3点以上47点以下存在することがより好ましく、4点以上46点以下存在することがさらに好ましい。
【0047】
前記(1)~前記(10)、前記(a)~前記(b)は、製造方法によりコントロールすることができる。具体的には、後述する以下の製造方法によりコントロールすることができる。
アルミン酸ソーダに酸を添加し、水和アルミナ懸濁液Aを得る工程1、
セリウム及び/又はジルコニウムを含有する原料塩の水溶液B-1、及び/又は、セリウム及び/又はジルコニウムを含有する原料塩の懸濁液B-2を準備する工程2、
前記懸濁液Aと、前記水溶液B-1及び/又は懸濁液B-2とを混合することによりアルミニウム系複合前駆体の沈殿物を得る工程3、及び、
前記沈殿物を熱処理することによりアルミナ系複合酸化物を得る工程4
を含むアルミナ系複合酸化物の製造方法。
【0048】
<粒子径D50>
前記アルミナ系複合酸化物の粒子径D50は、3.0μm以上200μm以下であることが好ましい。前記粒子径D50が200μm以下であると、任意の粒子径に粉砕した際に粗粒が残らない。前記粒子径D50が3.0μm以上であると、同一3次粒子内に元素分布のばらつきをもたせることができる。
【0049】
前記粒子径D50は、より好ましくは3.5μm以上、さらに好ましくは4.0μm以上である。前記粒子径D50は、より好ましくは150μm以下、さらに好ましくは120μm以下である。前記粒子径D50は、実施例に記載の方法により得られた値をいう。
【0050】
<粒子径D90>
前記アルミナ系複合酸化物の粒子径D90は、4.0μm以上300μm以下であることが好ましい。前記粒子径D90が300μm以下であると、任意の粒子径に粉砕した際に粗粒が残らない。前記粒子径D90が4.0μm以上であると、同一3次粒子内に元素分布のばらつきをもたせることができる。
【0051】
前記粒子径D90は、より好ましくは6.0μm以上、さらに好ましくは8.0μm以上である。前記粒子径D90は、より好ましくは250μm以下、さらに好ましくは220μm以下である。前記粒子径D90は、実施例に記載の方法により得られた値をいう。
【0052】
なお、前記粒子径D50は、測定する際に、3次粒子のみならず、凝集していない2次粒子も含まれ得るが、前記アルミナ系複合酸化物に含まれ得る凝集していない2次粒子の量はごく微量である。従って、前記粒子径D50は、3次粒子の粒子径D50を表しているとみなしてよい。
【0053】
前記アルミナ系複合酸化物は、窒素吸脱着法により求められる細孔直径分布の全範囲(細孔直径3nm以上200nm未満)での細孔容積が、0.10mL/g以上1.0mL/g以下であることが好ましい。
前記細孔容積が0.10mL/g以上であると、細孔内にも金属触媒元素が担持されるため、担持されなかった金属触媒元素による偏析が生じづらい。
前記細孔容積が1.0mL/g以下であると、同一3次粒子内に存在する2次粒子同士の凝集が密になり、元素分布にばらつきを持った3次粒子を形成することができる。
前記細孔容積は、より好ましくは0.15mL/g以上、さらに好ましくは0.20mL/g以上である。
前記細孔容積は、より好ましくは0.90mL/g以下、さらに好ましくは0.80mL/g以下である。
前記細孔容積は、より好ましくは0.15mL/g以上0.90mL/g以下、さらに好ましくは0.20mL/g以上0.80mL/g以下である。
【0054】
[Rhを担持させ、熱処理した後のRh粒子径]
前記アルミナ系複合酸化物は、アルミナ含有率が50質量%以上80質量%以下の場合、下記担持条件にてRhを担持し、下記熱処理条件にて熱処理を行った後のRh粒子径が、90μm以下であることが好ましい。
前記アルミナ系複合酸化物は、アルミナ含有率が30質量%以上50質量%未満の場合、下記担持条件にてRhを担持し、下記熱処理条件にて熱処理を行った後のRh粒子径が、95μm以下であることが好ましい。
前記アルミナ系複合酸化物は、アルミナ含有率が15質量%以上30質量%未満の場合、下記担持条件にてRhを担持し、下記熱処理条件にて熱処理を行った後のRh粒子径が、110μm以下であることが好ましい。
熱処理を行った後のRh粒子径が前記の粒子径以下であると、高温域に長時間曝された際の触媒金属元素の凝集がより抑制されているといえる。
<担持条件>
8%硝酸Rh溶液をRh換算でアルミナ系複合酸化物100質量%に対して2質量%含浸させ、100℃で乾燥後、500℃で5時間焼成することによりRh担持粉末を得る。
<熱処理条件>
得られたRh担持粉末を、大気下、1200℃、12時間熱処理を行い、熱処理後サンプルを得る。
【0055】
アルミナ含有率が50質量%以上80質量%以下の場合、前記Rh粒子径は、より好ましくは85μm以下、さらに好ましくは80μm以下である。
アルミナ含有率が30質量%以上50質量%未満の場合、前記Rh粒子径は、より好ましくは90μm以下、さらに好ましくは85μm以下である。
アルミナ含有率が15質量%以上30質量%未満の場合、前記Rh粒子径は、より好ましくは105μm以下であることがより好ましく、さらに好ましくは100μm以下である。
前記Rh粒子径が、小さいほど好ましいが、アルミナ含有率に関わらず、例えば、20μm以上、30μm以上等である。
【0056】
前記Rh粒子径は、実施例に記載の方法により得られた値をいう。
【0057】
前記アルミナ系複合酸化物は、アルミナを含む。前記アルミナ系複合酸化物がアルミナを含むため、触媒担体として好適に使用できる。
【0058】
前記アルミナの含有量は、蛍光X線法により得られる組成分析において、15質量%以上80質量%以下であることが好ましい。アルミナの含有量が15質量%以上80質量%以下であると、触媒の熱劣化が抑制されるため、当該アルミナ系複合酸化物に金属触媒元素を担持させた際に、金属触媒元素の凝集がさらに抑制される。
【0059】
前記アルミナの含有量は、より好ましくは20質量%以上、さらに好ましくは25質量%以上である。また、前記アルミナの含有量は、より好ましくは75質量%以下、さらに好ましくは70質量%以下である。
【0060】
前記アルミナ系複合酸化物は、セリア及び/又はジルコニアを含む。前記アルミナ系複合酸化物がセリア及び/又はジルコニアを含むため、触媒担体として好適に使用できる。
【0061】
前記セリア及び/又はジルコニアの含有率は、蛍光X線法により得られる組成分析において、0.1質量%以上85質量%以下であることが好ましい。セリア及び/又はジルコニアは助触媒として機能するため、セリア及び/又はジルコニアの含有率が0.1質量%以上であると、触媒担体として好適である。また、セリア及び/又はジルコニアの含有率が85質量%以下であると、熱劣化を抑制することができる。
【0062】
前記アルミナ系複合酸化物がセリアを含む場合、前記セリアの含有量は、蛍光X線法により得られる組成分析において、1質量%以上80質量%以下であることが好ましい。
前記セリアの含有量は、より好ましくは3質量%以上、さらに好ましくは6質量%以上である。また、前記セリアの含有量は、より好ましくは75質量%以下、さらに好ましくは70質量%以下である。
【0063】
前記アルミナ系複合酸化物がジルコニアを含む場合、前記ジルコニアの含有量は、蛍光X線法により得られる組成分析において、1質量%以上75質量%以下であることが好ましい。
前記ジルコニアの含有量は、より好ましくは5質量%以上、さらに好ましくは10質量%以上である。また、前記ジルコニアの含有量は、より好ましくは70質量%以下、さらに好ましくは65質量%以下である。
【0064】
前記アルミナ系複合酸化物において、セリアとジルコニアとの両方を含む場合、アルミナとセリアとジルコニアとの合計含有量は、蛍光X線法により得られる組成分析において、前記アルミナ系複合酸化物全体を100質量%としたときに、70質量%以上98質量%以下が好ましい。アルミナとセリアとジルコニアとの合計含有量を70質量%以上98質量%以下とすることにより、触媒担体としてより好適に使用することができる。
【0065】
セリアとジルコニアとの両方を含む場合、アルミナとセリアとジルコニアとの合計含有量は、蛍光X線法により得られる組成分析において、前記アルミナ系複合酸化物全体を100質量%としたときに、75質量%以上がより好ましく、80質量%以上がさらに好ましい。セリアとジルコニアとの両方を含む場合、アルミナとセリアとジルコニアとの合計含有量は、前記アルミナ系複合酸化物全体を100質量%としたときに、97質量%以下がより好ましく、96質量%以下がさらに好ましい。
【0066】
前記アルミナ系複合酸化物において、セリアを含みジルコニアを含まない場合、アルミナとセリアとの合計含有量は、蛍光X線法により得られる組成分析において、前記アルミナ系複合酸化物全体を100質量%としたときに、70質量%以上96質量%以下が好ましい。アルミナとセリアとの合計含有量を70質量%以上96質量%以下とすることにより、触媒担体としてより好適に使用することができる。
【0067】
セリアを含みジルコニアを含まない場合、アルミナとセリアとの合計含有量は、前記アルミナ系複合酸化物全体を100質量%としたときに、75質量%以上がより好ましく、
80質量%以上がさらに好ましい。セリアを含みジルコニアを含まない場合、アルミナとセリアとの合計含有量は、前記アルミナ系複合酸化物全体を100質量%としたときに、
95質量%以下がより好ましく、94質量%以下がさらに好ましい。
【0068】
前記アルミナ系複合酸化物において、ジルコニアを含みセリアを含まない場合、アルミナとジルコニアとの合計含有量は、蛍光X線法により得られる組成分析において、前記アルミナ系複合酸化物全体を100質量%としたときに、70質量%以上96質量%以下が好ましい。アルミナとジルコニアとの合計含有量を70質量%以上96質量%以下とすることにより、触媒担体としてより好適に使用することができる。
【0069】
ジルコニアを含みセリアを含まない場合、アルミナとジルコニアとの合計含有量は、前記アルミナ系複合酸化物全体を100質量%としたときに、75質量%以上がより好ましく、80質量%以上がさらに好ましい。ジルコニアを含みセリアを含まない場合、アルミナとジルコニアとの合計含有量は、前記アルミナ系複合酸化物全体を100質量%としたときに、95質量%以下がより好ましく、94質量%以下がさらに好ましい。
【0070】
前記アルミナ系複合酸化物は、アルミナ、セリア、及び、ジルコニア以外の酸化物として、希土類元素(セリウム、プロメチウムを除く)の酸化物のいずれか一種以上を含むことが好ましい。セリウム、及び、プロメチウム以外の希土類元素の酸化物を含むと、金属触媒元素の凝集がさらに抑制される。
【0071】
前記アルミナ系複合酸化物は、セリウム、及び、プロメチウム以外の希土類元素の酸化物の中でも、La、Nd、Pr、Yの酸化物を含むことが好ましい。前記アルミナ系複合酸化物がLa、Nd、Pr、Yの酸化物を含むと、金属触媒元素の凝集がさらに抑制される。
【0072】
セリウム、及び、プロメチウム以外の希土類元素の酸化物を含有させる場合、セリウム、及び、プロメチウム以外の希土類元素の酸化物の含有量は、蛍光X線法により得られる組成分析において、前記アルミナ系複合酸化物全体を100質量%としたときに、2質量%以上20質量%以下が好ましい。セリウム、及び、プロメチウム以外の希土類元素の酸化物の含有量が2質量%以上20質量%以下であると、金属触媒元素の凝集がさらに抑制される。
【0073】
セリウム、及び、プロメチウム以外の希土類元素の酸化物の含有量は、蛍光X線法により得られる組成分析において、前記アルミナ系複合酸化物全体を100質量%としたときに、3質量%以上がより好ましく、4質量%以上がさらに好ましい。セリウム、及び、プロメチウム以外の希土類元素の酸化物の含有量は、蛍光X線法により得られる組成分析において、前記アルミナ系複合酸化物全体を100質量%としたときに、18質量%以下がより好ましく、16質量%以下がさらに好ましい。
【0074】
アルミナ系複合酸化物は、(A)In、Si、Sn、Bi、P、及び、Znからなる群から選択される少なくとも一種の元素の酸化物、(B)遷移金属酸化物(但し、希土類元素の酸化物を除く)、並びに、(C)アルカリ土類金属酸化物、から選ばれる1種以上を含んでも構わない。これらの(A)~(C)の成分は、以下において「その他の酸化物」とも記載する。
【0075】
前記遷移金属酸化物としては、例えば、Ti、V、Cr、Mn、Fe、Co、Ni、Cu、Nb、Mo、Ta及びWからなる群から選択される一種以上の酸化物が挙げられる。また、前記アルカリ土類金属酸化物としては、Mg、Ca、Sr及びBaからなる群から選択される一種以上の酸化物が挙げられる。
【0076】
前記アルミナ系複合酸化物が前記その他の酸化物を含む場合、前記その他の酸化物の含有量は、前記アルミナ系複合酸化物全体を100質量%としたときに、0.1質量%以上30質量%以下が好ましい。前記その他の酸化物の含有量は、前記アルミナ系複合酸化物全体を100質量%としたときに、0.3質量%以上がより好ましく、0.5質量%以上がさらに好ましい。前記その他の酸化物の含有量は、前記アルミナ系複合酸化物全体を100質量%としたときに、25質量%以下がより好ましく、20質量%以下がさらに好ましい。
【0077】
前記アルミナ系複合酸化物の好ましい組成比率は、下記に例示される合計100質量%を超えない組合せ(合計100質量%となる組合せ)が挙げられる。
(1)
アルミナ ;40%以上80%以下
ジルコニア ;1%以上30%以下
セリア ;1%以上30%以下
希土類元素(セリウム、プロメチウムを除く)の酸化物;1%以上15%以下
その他の酸化物 ;0%以上10%以下
(2)
アルミナ ;20%以上60%以下
ジルコニア ;20%以上70%以下
セリア ;1%以上40%以下
希土類元素(セリウム、プロメチウムを除く)の酸化物;1%以上15%以下
その他の酸化物 ;0%以上10%以下
(3)
アルミナ ;20%以上60%以下
ジルコニア ;20%以上75%以下
セリア ;0%以上30%以下
希土類元素(セリウム、プロメチウムを除く)の酸化物;1%以上15%以下
その他の酸化物 ;0%以上10%以下
(4)
アルミナ ;20%以上60%以下
ジルコニア ;0%以上20%以下
セリア ;20%以上70%以下
希土類元素(セリウム、プロメチウムを除く)の酸化物;5%以上20%以下
その他の酸化物 ;0%以上20%以下
(5)
アルミナ ;20%以上60%以下
ジルコニア ;10%以上60%以下
セリア ;0%以上40%以下
希土類元素(セリウム、プロメチウムを除く)の酸化物;1%以上15%以下
その他の酸化物 ;1%以上20%以下
【0078】
前記アルミナ系複合酸化物の用途は、特に限定されないが、触媒担体の用途が好適であり、特に、排ガス浄化用触媒の触媒担体(排ガス浄化用触媒担体)の用途が好適である。
【0079】
前記アルミナ系複合酸化物に担持させる金属触媒元素としては、特に限定されないが、例えば、Rh、Pt、Pd、Au、Ru、Ag、Ni、Co、Mn、Cu、Feが好ましい。
なお、前記アルミナ系複合酸化物に担持させる金属触媒元素は、前記アルミナ系複合酸化物に含まれる元素と重複してもよい。例えば、前記アルミナ系複合酸化物にFeが含まれている場合に、前記アルミナ系複合酸化物に担持させる金属触媒元素としてFeを採用してもよい。
【0080】
[アルミナ系複合酸化物の製造方法]
以下、アルミナ系複合酸化物の製造方法の一例について説明する。ただし、本発明のアルミナ系複合酸化物の製造方法は、以下の例示に限定されない。
【0081】
本実施形態に係るアルミナ系複合酸化物の製造方法は、
アルミン酸ソーダに酸を添加し、水和アルミナ懸濁液Aを得る工程1、
セリウム及び/又はジルコニウムを含有する原料塩の水溶液B-1、及び/又は、セリウム及び/又はジルコニウムを含有する原料塩の懸濁液B-2を準備する工程2、
前記懸濁液Aと、前記水溶液B-1及び/又は懸濁液B-2とを混合することによりアルミニウム系複合前駆体の沈殿物を得る工程3、及び、
前記沈殿物を熱処理することによりアルミナ系複合酸化物を得る工程4
を含むアルミナ系複合酸化物の製造方法である。
【0082】
以下、本実施形態に係るアルミナ系複合酸化物の製造方法の各工程について説明する。
【0083】
(1)工程1
工程1では、アルミン酸ソーダ(NaAl(OH)4)に酸を添加し、水和アルミナ懸濁液Aを得る。
【0084】
前記アルミン酸ソーダは、液体であっても粉末であってもよいが、前記酸として気体を用いる場合には、液体を用いることが好ましい。
【0085】
前記アルミン酸ソーダとして液体を用いる場合、前記アルミン酸ソーダの濃度としては、酸化アルミニウム換算で1質量%以上20質量%以下が好ましい。
【0086】
前記アルミン酸ソーダの温度としては、20℃以上90℃以下が好ましい。前記アルミン酸ソーダの温度は、より好ましくは25℃以上、さらに好ましくは30℃以上である。
前記アルミン酸ソーダの温度は、より好ましくは85℃以下、さらに好ましくは80℃以下である。
前記アルミン酸ソーダの温度を前記数値範囲内とすることにより、上記(1)~(8)を満たす元素分布を有するアルミナ系複合酸化物が得られやすくなる。具体的に、前記アルミン酸ソーダの温度を高くするほど、上記(1)~(6)を満たす範囲内において、元素分布のばらつきが大きくなる傾向となる。
【0087】
前記アルミン酸ソーダに添加する酸の形態は、気体(ガス)であってもよく液体(溶液)であってもよい。前記酸としては、具体的には、二酸化炭素、塩酸、硝酸、硫酸、カルボン酸などが挙げられる。なかでも、不純物が少ない観点から、二酸化炭素ガスが好ましい。
【0088】
前記アルミン酸ソーダに二酸化炭素ガスを吹き込む場合、二酸化炭素ガスを吹き込む際の流速は、1.7×10-7m3/s以上1.7×10-5m3/s以下が好ましく、5.0×10-7m3/s以上5.0×10-6m3/s以下がより好ましい。
前記アルミン酸ソーダに二酸化炭素ガスを吹き込む場合、二酸化炭素ガスを吹き込む時間は6時間以上48時間以下が好ましく、12時間以上36時間以下がより好ましい。
前記アルミン酸ソーダに二酸化炭素ガスを前記条件にて吹き込むことにより、好適な懸濁液Aを得ることができる。
【0089】
(2)工程2
工程2では、セリウム及び/又はジルコニウムを含有する原料塩の水溶液B-1、及び/又は、セリウム及び/又はジルコニウムを含有する原料塩の懸濁液B-2を準備する。工程2では、セリウム及び/又はジルコニウムを含有する原料塩の水溶液B-1のみを準備してもよく、セリウム及び/又はジルコニウムを含有する原料塩の懸濁液B-2のみを準備してもよく、セリウム及び/又はジルコニウムを含有する原料塩の水溶液B-1と、セリウム及び/又はジルコニウムを含有する原料塩の懸濁液B-2との両方を準備してもよい。
【0090】
前記水溶液B-1は、下記にて説明する各種の原料塩を混合することにより得られる。
【0091】
前記懸濁液B-2は、前記水溶液B-1を熱処理することにより得られる。熱処理の温度としては140℃以上250℃以下が好ましく、160℃以上200℃以下がより好ましい。熱処理の時間としては、1時間以上10時間以下が好ましく、2時間以上5時間以下が好ましい。懸濁液B-2を用いると、水溶液B-1の場合と比較して、上記(1)~(6)を満たす範囲内において、元素分布のばらつきが大きくなる傾向となる。
【0092】
前記水溶液B-1と前記懸濁液B-2との両方を用いる場合、前記水溶液B-1と前記懸濁液B-2との両方を準備し、これらを混合して用いればよい。
【0093】
セリウムを含む原料塩としては、例えば、硝酸セリウム、塩化セリウム、酢酸セリウム等の少なくとも一種が例示される。この中でも、硝酸塩系である硝酸セリウムが好ましい。
【0094】
ジルコニウムを含む原料塩としては、ジルコニウムイオンを供給するものであればよく、例えば、オキシ硝酸ジルコニウム、オキシ塩化ジルコニウム、硝酸ジルコニウム等の少なくとも一種が例示される。この中でも、硝酸塩系のオキシ硝酸ジルコニウムが好ましい。
【0095】
前記水溶液B-1、前記懸濁液B-2は、希土類元素(セリウム、プロメチウムを除く)を含む原料塩を含んでもよい。
【0096】
希土類元素(セリウム、プロメチウムを除く)としては、Sc、Y、La、Nd、Pr、Sm、Eu、Gd、Tb、Dy、Ho、Er、Tm及びLuの少なくとも一種が例示される。中でも、Y、La、Nd、Prが好ましい。
【0097】
前記水溶液B-1、前記懸濁液B-2は、上記以外に、(A)In、Si、Sn、Bi、P、及び、Znからなる群から選択される少なくとも一種の元素、(B)遷移金属元素(但し、希土類元素及び貴金属元素を除く)、並びに、(C)アルカリ土類金属元素、から選ばれる1種以上を含有させることもできる。
【0098】
希土類元素、遷移金属元素(但し、希土類元素及び貴金属元素を除く)、アルカリ土類金属、In、Si、Sn、Bi及びPの原料としては、水溶性のものであれば特に限定されない。硝酸塩、硫酸塩、酢酸塩、塩化物、臭化物等が例示されるが、不純物の残存が抑制できる点で原料塩としては硝酸塩系が好ましい。これらの原料の純度は95%以上が好ましく、98%以上がなお好ましい。
【0099】
前記水溶液B-1を調製するための溶媒としては原料塩の種類等に応じて適宜選択すればよいが、通常は水(純水、イオン交換水等:以下同様)を用いることが望ましい。
【0100】
前記水溶液B-1中の金属塩濃度は、酸化物換算で1%以上15%以下が好ましい。1%以上とすることにより、濃度をある程度濃くすることができ、処理の時間を好適とすることができる。また、15%以下とすることにより、中和時の粘性上昇を抑制することができ、複合化を好適に行うことができる。
【0101】
(3)工程3
工程3では前記懸濁液Aと、前記水溶液B-1及び/又は前記懸濁液B-2とを混合することによりアルミニウム系複合前駆体の沈殿物を得る。
【0102】
具体的に、工程3では、まず、工程1で得られた懸濁液Aと工程2で得られた水溶液B-1及び/又は懸濁液B-2とを混合し、アルカリを添加して、アルミナ系複合酸化物の前駆体沈殿物を得る。混合は特に制限されるものではないが、次工程のろ過性などの生産性の観点から、工程2で調製した水溶液B-1及び/又は懸濁液B-2を工程1で調整した懸濁液Aに添加することが好ましい。
【0103】
アルカリとしては限定されず、例えば、水酸化アンモニウム、重炭酸アンモニウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等が使用できる。この中でも、工業的なコスト面から水酸化ナトリウムが好ましい。
【0104】
アルカリの添加量は、塩沈殿物としてアルミナ系複合酸化物の前駆体沈殿物を生成させることができれば特に限定されない。通常は上記溶液のpHが8.0以上11.0以下、好ましくは9.0以上10.0以下となるように添加する。
【0105】
次に、生成したアルミニウム系複合前駆体の沈殿物を固液分離法により回収する。固液分離法は、例えば濾過、遠心分離、デカンテーション等の公知の方法に従えば良い。
【0106】
回収後、必要に応じて得られたアルミナ系複合水酸化物を水洗し、付着している不純物を除去することが好ましい。
【0107】
なお、得られたアルミナ系複合水酸化物は、さらに必要に応じて乾燥させても良い。乾燥方法は、公知の方法に従えば良く、例えば自然乾燥、加熱乾燥等のいずれであってもよい。又、必要であれば、乾燥処理後に粉砕処理、分級処理等を実施してもよい。
【0108】
(4)工程4
工程4では、前記沈殿物(回収物)を熱処理することによりアルミナ系複合酸化物を得る。
【0109】
熱処理温度は、特に限定されないが、通常は500℃以上1200℃以下、2時間以上10時間以下の範囲で行う。熱処理雰囲気は、特に限定されないが、大気中又は酸化性雰囲気中とすればよい。
【0110】
なお、熱処理により得られたアルミナ系複合酸化物は、必要に応じて、粉砕することができる。粉砕については、特に限定されないが、遊星ミル、ボールミル、ハンマーミルまたはジェットミル等の一般の粉砕機で粉砕することができる。
【0111】
上述したアルミナ系複合酸化物の製造方法では、水和アルミナ懸濁液Aと、セリウム及び/又はジルコニウムを含有する原料塩の水溶液B-1及び/又は懸濁液B-2とを混合することにより、水和アルミナ表面及び/又は内部にセリア、ジルコニアの前駆体を配置させることができる。これにより、アルミナ系複合酸化物の3次粒子内に、セリア、ジルコニアを含有するアルミナ2次粒子と、アルミナを含有するセリア、ジルコニアの2次粒子とを共存させることが可能である。加えて、水和アルミナおよびセリア、ジルコニアの前駆体の凝集制御により、複合酸化物3次粒子内の元素分布を制御することが可能である。
このような製造方法により上記(1)~(8)の特性を有するアルミナ系複合酸化物を得ることが可能となる。
【実施例0112】
以下、本発明に関し実施例を用いて詳細に説明するが、本発明はその要旨を超えない限り、以下の実施例に限定されるものではない。なお、実施例及び比較例において得られたアルミナ系複合酸化物中には、不可避不純物としてハフニウムがジルコニウムに対して1~3質量%含まれる(下記式(X)にて算出)。
<式(X)>
([ハフニウムの質量]/([ジルコニウムの質量]+[ハフニウムの質量]))×100(%)
【0113】
以下の実施例で示される各成分の含有量の最大値、最小値は、他の成分の含有量に関係なく、本発明の好ましい最小値、好ましい最大値と考慮されるべきである。
また、以下の実施例で示される測定値の最大値、最小値は、各成分の含有量(組成)に関係なく、本発明の好ましい最小値、最大値であると考慮されるべきである。
【0114】
[アルミナ系複合酸化物の作製]
(実施例1)
アルミン酸ソーダ(浅田化学工業、#2019、酸化アルミニウム換算で78g)を酸化物換算で5%になるようイオン交換水で希釈後、50℃に加熱し、ろ過板付きガス噴射管を用いて二酸化炭素ガスを100sccm(1.7×10-6m3/s)の流速で24時間吹き込みながら保持することで水和アルミナ懸濁液(懸濁液A)を調製した。
オキシ硝酸ジルコニウム(三津和化学、試薬特級、酸化ジルコニウム換算で8g)、硝酸セリウム(III)6水和物(和光純薬、試薬特級、酸化セリウム換算で8g)、硝酸ランタン6水和物(和光純薬、試薬特級、酸化ランタン換算で2g)、硝酸ネオジム(III)6水和物(和光純薬、試薬特級、酸化ネオジム換算で2g)、及び、硝酸イットリウム(III)6水和物(和光純薬、試薬特級、酸化イットリウム換算で2g)を酸化物換算で5%になるようにイオン交換水に溶解することにより硝酸塩水溶液(水溶液B-1)を調製した。
懸濁液Aと水溶液B-1とを混合し、pHが9となるまで濃度25質量%の水酸化ナトリウム水溶液を添加することにより、アルミナ系複合酸化物の前駆体沈殿物を得た。
次いで、前記前駆体沈殿物を固液分離により回収、洗浄し、固形分を電気炉で大気中900℃、5時間焼成することによりアルミナ系複合酸化物を得た。前記アルミナ系複合酸化物をハンマーミルで粉砕し、実施例1に係るアルミナ系複合酸化物とした。
【0115】
(実施例2)
アルミン酸ソーダ(浅田化学工業、#2019、酸化アルミニウム換算で78g)を酸化物換算で5%になるようイオン交換水で希釈後、70℃に加熱し、ろ過板付きガス噴射管を用いて二酸化炭素ガスを100sccm(1.7×10-6m3/s)の流速で24時間吹き込みながら保持することで水和アルミナ懸濁液(懸濁液A)を調製した。
オキシ硝酸ジルコニウム(三津和化学、試薬特級、酸化ジルコニウム換算で8g)、硝酸セリウム(III)6水和物(和光純薬、試薬特級、酸化セリウム換算で8g)、硝酸ランタン6水和物(和光純薬、試薬特級、酸化ランタン換算で2g)、硝酸ネオジム(III)6水和物(和光純薬、試薬特級、酸化ネオジム換算で2g)、及び、硝酸イットリウム(III)6水和物(和光純薬、試薬特級、酸化イットリウム換算で2g)を酸化物換算で5%になるようにイオン交換水に溶解することにより硝酸塩水溶液(水溶液B-1)を調製した。
懸濁液Aと水溶液B-1とを混合し、pHが9となるまで濃度25質量%の水酸化ナトリウム水溶液を添加することにより、アルミナ系複合酸化物の前駆体沈殿物を得た。
次いで、前記前駆体沈殿物を固液分離により回収、洗浄し、固形分を電気炉で大気中900℃、5時間焼成することによりアルミナ系複合酸化物を得た。前記アルミナ系複合酸化物をハンマーミルで粉砕し、実施例2に係るアルミナ系複合酸化物とした。
【0116】
(実施例3)
アルミン酸ソーダ(浅田化学工業、#2019、酸化アルミニウム換算で78g)を酸化物換算で5%になるようイオン交換水で希釈後、50℃に加熱し、ろ過板付きガス噴射管を用いて二酸化炭素ガスを100sccm(1.7×10-6m3/s)の流速で24時間吹き込みながら保持することで水和アルミナ懸濁液(懸濁液A)を調製した。
オキシ硝酸ジルコニウム(三津和化学、試薬特級、酸化ジルコニウム換算で8g)、硝酸セリウム(III)6水和物(和光純薬、試薬特級、酸化セリウム換算で8g)、硝酸ランタン6水和物(和光純薬、試薬特級、酸化ランタン換算で2g)、硝酸ネオジム(III)6水和物(和光純薬、試薬特級、酸化ネオジム換算で2g)、及び、硝酸イットリウム(III)6水和物(和光純薬、試薬特級、酸化イットリウム換算で2g)を酸化物換算で5%になるようにイオン交換水に溶解することにより硝酸塩水溶液(水溶液B-1)を調製した。
この水溶液B-1をオートクレーブ中、180℃で2時間保持することで複合金属塩懸濁液(懸濁液B-2)を調製した。
懸濁液Aと懸濁液B-2とを混合し、pHが9となるまで濃度25質量%の水酸化ナトリウム水溶液を添加することにより、アルミナ系複合酸化物の前駆体沈殿物を得た。
次いで、前記前駆体沈殿物を固液分離により回収、洗浄し、固形分を電気炉で大気中900℃、5時間焼成することによりアルミナ系複合酸化物を得た。前記アルミナ系複合酸化物をハンマーミルで粉砕し、実施例3に係るアルミナ系複合酸化物とした。
【0117】
(実施例4)
アルミン酸ソーダ(浅田化学工業、#2019、酸化アルミニウム換算で69g)を酸化物換算で5%になるようイオン交換水で希釈後、70℃に加熱し、ろ過板付きガス噴射管を用いて二酸化炭素ガスを100sccm(1.7×10-6m3/s)の流速で24時間吹き込みながら保持することで水和アルミナ懸濁液(懸濁液A)を調製した。
オキシ硝酸ジルコニウム(三津和化学、試薬特級、酸化ジルコニウム換算で15g)、硝酸セリウム(III)6水和物(和光純薬、試薬特級、酸化セリウム換算で10g)、硝酸ランタン6水和物(和光純薬、試薬特級、酸化ランタン換算で2g)、硝酸プラセオジム(III)6水和物(和光純薬、試薬特級、酸化プラセオジム換算で2g)、及び、硝酸イットリウム(III)6水和物(和光純薬、試薬特級、酸化イットリウム換算で2g)を酸化物換算で5%になるようにイオン交換水に溶解することにより硝酸塩水溶液(水溶液B-1)を調製した。
懸濁液Aと水溶液B-1とを混合し、pHが9となるまで濃度25質量%の水酸化ナトリウム水溶液を添加することにより、アルミナ系複合酸化物の前駆体沈殿物を得た。
次いで、前記前駆体沈殿物を固液分離により回収、洗浄し、固形分を電気炉で大気中900℃、5時間焼成することによりアルミナ系複合酸化物を得た。前記アルミナ系複合酸化物をハンマーミルで粉砕し、実施例4に係るアルミナ系複合酸化物とした。
【0118】
(実施例5)
アルミン酸ソーダ(浅田化学工業、#2019、酸化アルミニウム換算で54g)を酸化物換算で5%になるようイオン交換水で希釈後、35℃に加熱し、ろ過板付きガス噴射管を用いて二酸化炭素ガスを100sccm(1.7×10-6m3/s)の流速で24時間吹き込みながら保持することで水和アルミナ懸濁液(懸濁液A)を調製した。
オキシ硝酸ジルコニウム(三津和化学、試薬特級、酸化ジルコニウム換算で20g)、硝酸セリウム(III)6水和物(和光純薬、試薬特級、酸化セリウム換算で10g)、硝酸ランタン6水和物(和光純薬、試薬特級、酸化ランタン換算で4g)、硝酸ネオジム(III)6水和物(和光純薬、試薬特級、酸化ネオジム換算で4g)、硝酸プラセオジム(III)6水和物(和光純薬、試薬特級、酸化プラセオジム換算で4g)、及び、硝酸イットリウム(III)6水和物(和光純薬、試薬特級、酸化イットリウム換算で4g)を酸化物換算で5%になるようにイオン交換水に溶解することにより硝酸塩水溶液(水溶液B-1)を調製した。
懸濁液Aと水溶液B-1とを混合し、pHが9となるまで濃度25質量%の水酸化ナトリウム水溶液を添加することにより、アルミナ系複合酸化物の前駆体沈殿物を得た。
次いで、前記前駆体沈殿物を固液分離により回収、洗浄し、固形分を電気炉で大気中900℃、5時間焼成することによりアルミナ系複合酸化物を得た。前記アルミナ系複合酸化物をハンマーミルで粉砕し、実施例5に係るアルミナ系複合酸化物とした。
【0119】
(実施例6)
アルミン酸ソーダ(浅田化学工業、#2019、酸化アルミニウム換算で54g)を酸化物換算で5%になるようイオン交換水で希釈後、50℃に加熱し、ろ過板付きガス噴射管を用いて二酸化炭素ガスを100sccm(1.7×10-6m3/s)の流速で24時間吹き込みながら保持することで水和アルミナ懸濁液(懸濁液A)を調製した。
オキシ硝酸ジルコニウム(三津和化学、試薬特級、酸化ジルコニウム換算で20g)、硝酸セリウム(III)6水和物(和光純薬、試薬特級、酸化セリウム換算で10g)、硝酸ランタン6水和物(和光純薬、試薬特級、酸化ランタン換算で4g)、硝酸ネオジム(III)6水和物(和光純薬、試薬特級、酸化ネオジム換算で4g)、硝酸プラセオジム(III)6水和物(和光純薬、試薬特級、酸化プラセオジム換算で4g)、及び、硝酸イットリウム(III)6水和物(和光純薬、試薬特級、酸化イットリウム換算で4g)を酸化物換算で5%になるようにイオン交換水に溶解することにより硝酸塩水溶液(水溶液B-1)を調製した。
懸濁液Aと水溶液B-1とを混合し、pHが9となるまで濃度25質量%の水酸化ナトリウム水溶液を添加することにより、アルミナ系複合酸化物の前駆体沈殿物を得た。
次いで、前記前駆体沈殿物を固液分離により回収、洗浄し、固形分を電気炉で大気中900℃、5時間焼成することによりアルミナ系複合酸化物を得た。前記アルミナ系複合酸化物をハンマーミルで粉砕し、実施例6に係るアルミナ系複合酸化物とした。
【0120】
(実施例7)
アルミン酸ソーダ(浅田化学工業、#2019、酸化アルミニウム換算で54g)を酸化物換算で5%になるようイオン交換水で希釈後、70℃に加熱し、ろ過板付きガス噴射管を用いて二酸化炭素ガスを100sccm(1.7×10-6m3/s)の流速で24時間吹き込みながら保持することで水和アルミナ懸濁液(懸濁液A)を調製した。
オキシ硝酸ジルコニウム(三津和化学、試薬特級、酸化ジルコニウム換算で20g)、硝酸セリウム(III)6水和物(和光純薬、試薬特級、酸化セリウム換算で10g)、硝酸ランタン6水和物(和光純薬、試薬特級、酸化ランタン換算で4g)、硝酸ネオジム(III)6水和物(和光純薬、試薬特級、酸化ネオジム換算で4g)、硝酸プラセオジム(III)6水和物(和光純薬、試薬特級、酸化プラセオジム換算で4g)、及び、硝酸イットリウム(III)6水和物(和光純薬、試薬特級、酸化イットリウム換算で4g)を酸化物換算で5%になるようにイオン交換水に溶解することにより硝酸塩水溶液(水溶液B-1)を調製した。
懸濁液Aと水溶液B-1とを混合し、pHが9となるまで濃度25質量%の水酸化ナトリウム水溶液を添加することにより、アルミナ系複合酸化物の前駆体沈殿物を得た。
次いで、前記前駆体沈殿物を固液分離により回収、洗浄し、固形分を電気炉で大気中900℃、5時間焼成することによりアルミナ系複合酸化物を得た。前記アルミナ系複合酸化物をハンマーミルで粉砕し、実施例7に係るアルミナ系複合酸化物とした。
【0121】
(実施例8)
アルミン酸ソーダ(浅田化学工業、#2019、酸化アルミニウム換算で42g)を酸化物換算で5%になるようイオン交換水で希釈後、50℃に加熱し、ろ過板付きガス噴射管を用いて二酸化炭素ガスを100sccm(1.7×10-6m3/s)の流速で24時間吹き込みながら保持することで水和アルミナ懸濁液(懸濁液A)を調製した。
オキシ硝酸ジルコニウム(三津和化学、試薬特級、酸化ジルコニウム換算で50g)、硝酸ランタン6水和物(和光純薬、試薬特級、酸化ランタン換算で4g)、及び、硝酸イットリウム(III)6水和物(和光純薬、試薬特級、酸化イットリウム換算で4g)を酸化物換算で5%になるようにイオン交換水に溶解することにより硝酸塩水溶液(水溶液B-1)を調製した。
懸濁液Aと水溶液B-1とを混合し、pHが9となるまで濃度25質量%の水酸化ナトリウム水溶液を添加することにより、アルミナ系複合酸化物の前駆体沈殿物を得た。
次いで、前記前駆体沈殿物を固液分離により回収、洗浄し、固形分を電気炉で大気中900℃、5時間焼成することによりアルミナ系複合酸化物を得た。前記アルミナ系複合酸化物をハンマーミルで粉砕し、実施例8に係るアルミナ系複合酸化物とした。
【0122】
(実施例9)
アルミン酸ソーダ(浅田化学工業、#2019、酸化アルミニウム換算で42g)を酸化物換算で5%になるようイオン交換水で希釈後、70℃に加熱し、ろ過板付きガス噴射管を用いて二酸化炭素ガスを100sccm(1.7×10-6m3/s)の流速で24時間吹き込みながら保持することで水和アルミナ懸濁液(懸濁液A)を調製した。
オキシ硝酸ジルコニウム(三津和化学、試薬特級、酸化ジルコニウム換算で50g)、硝酸ランタン6水和物(和光純薬、試薬特級、酸化ランタン換算で4g)、及び、硝酸イットリウム(III)6水和物(和光純薬、試薬特級、酸化イットリウム換算で4g)を酸化物換算で5%になるようにイオン交換水に溶解することにより硝酸塩水溶液(水溶液B-1)を調製した。
懸濁液Aと水溶液B-1とを混合し、pHが9となるまで濃度25質量%の水酸化ナトリウム水溶液を添加することにより、アルミナ系複合酸化物の前駆体沈殿物を得た。
次いで、前記前駆体沈殿物を固液分離により回収、洗浄し、固形分を電気炉で大気中900℃、5時間焼成することによりアルミナ系複合酸化物を得た。前記アルミナ系複合酸化物をハンマーミルで粉砕し、実施例9に係るアルミナ系複合酸化物とした。
【0123】
(実施例10)
アルミン酸ソーダ(浅田化学工業、#2019、酸化アルミニウム換算で42g)を酸化物換算で5%になるようイオン交換水で希釈後、50℃に加熱し、ろ過板付きガス噴射管を用いて二酸化炭素ガスを100sccm(1.7×10-6m3/s)の流速で24時間吹き込みながら保持することで水和アルミナ懸濁液(懸濁液A)を調製した。
オキシ硝酸ジルコニウム(三津和化学、試薬特級、酸化ジルコニウム換算で50g)、硝酸ランタン6水和物(和光純薬、試薬特級、酸化ランタン換算で4g)、及び、硝酸イットリウム(III)6水和物(和光純薬、試薬特級、酸化イットリウム換算で4g)を酸化物換算で5%になるようにイオン交換水に溶解することにより硝酸塩水溶液(水溶液B-1)を調製した。
この水溶液B-1をオートクレーブ中、180℃で2時間保持することで複合金属塩懸濁液(懸濁液B-2)を調製した。
懸濁液Aと懸濁液B-2とを混合し、pHが9となるまで濃度25質量%の水酸化ナトリウム水溶液を添加することにより、アルミナ系複合酸化物の前駆体沈殿物を得た。
次いで、前記前駆体沈殿物を固液分離により回収、洗浄し、固形分を電気炉で大気中900℃、5時間焼成することによりアルミナ系複合酸化物を得た。前記アルミナ系複合酸化物をハンマーミルで粉砕し、実施例10に係るアルミナ系複合酸化物とした。
【0124】
(実施例11)
アルミン酸ソーダ(浅田化学工業、#2019、酸化アルミニウム換算で42g)を酸化物換算で5%になるようイオン交換水で希釈後、50℃に加熱し、ろ過板付きガス噴射管を用いて二酸化炭素ガスを100sccm(1.7×10-6m3/s)の流速で24時間吹き込みながら保持することで水和アルミナ懸濁液(懸濁液A)を調製した。
硝酸セリウム(III)6水和物(和光純薬、試薬特級、酸化セリウム換算で50g)、硝酸ランタン6水和物(和光純薬、試薬特級、酸化ランタン換算で4g)、及び、硝酸イットリウム(III)6水和物(和光純薬、試薬特級、酸化イットリウム換算で4g)を酸化物換算で5%になるようにイオン交換水に溶解することにより硝酸塩水溶液(水溶液B-1)を調製した。
懸濁液Aと水溶液B-1とを混合し、pHが9となるまで濃度25質量%の水酸化ナトリウム水溶液を添加することにより、アルミナ系複合酸化物の前駆体沈殿物を得た。
次いで、前記前駆体沈殿物を固液分離により回収、洗浄し、固形分を電気炉で大気中900℃、5時間焼成することによりアルミナ系複合酸化物を得た。前記アルミナ系複合酸化物をハンマーミルで粉砕し、実施例11に係るアルミナ系複合酸化物とした。
【0125】
(実施例12)
アルミン酸ソーダ(浅田化学工業、#2019、酸化アルミニウム換算で42g)を酸化物換算で5%になるようイオン交換水で希釈後、70℃に加熱し、ろ過板付きガス噴射管を用いて二酸化炭素ガスを100sccm(1.7×10-6m3/s)の流速で24時間吹き込みながら保持することで水和アルミナ懸濁液(懸濁液A)を調製した。
硝酸セリウム(III)6水和物(和光純薬、試薬特級、酸化セリウム換算で50g)、硝酸ランタン6水和物(和光純薬、試薬特級、酸化ランタン換算で4g)、及び、硝酸イットリウム(III)6水和物(和光純薬、試薬特級、酸化イットリウム換算で4g)を酸化物換算で5%になるようにイオン交換水に溶解することにより硝酸塩水溶液(水溶液B-1)を調製した。
懸濁液Aと水溶液B-1とを混合し、pHが9となるまで濃度25質量%の水酸化ナトリウム水溶液を添加することにより、アルミナ系複合酸化物の前駆体沈殿物を得た。
次いで、前記前駆体沈殿物を固液分離により回収、洗浄し、固形分を電気炉で大気中900℃、5時間焼成することによりアルミナ系複合酸化物を得た。前記アルミナ系複合酸化物をハンマーミルで粉砕し、実施例12に係るアルミナ系複合酸化物とした。
【0126】
(実施例13)
アルミン酸ソーダ(浅田化学工業、#2019、酸化アルミニウム換算で42g)を酸化物換算で5%になるようイオン交換水で希釈後、50℃に加熱し、ろ過板付きガス噴射管を用いて二酸化炭素ガスを100sccm(1.7×10-6m3/s)の流速で24時間吹き込みながら保持することで水和アルミナ懸濁液(懸濁液A)を調製した。
硝酸二アンモニウムセリウム(IV)(和光純薬、試薬特級、酸化セリウム換算で50g)、硝酸ランタン6水和物(和光純薬、試薬特級、酸化ランタン換算で4g)、及び、硝酸イットリウム(III)6水和物(和光純薬、試薬特級、酸化イットリウム換算で4g)を酸化物換算で5%になるようにイオン交換水に溶解することにより硝酸塩水溶液(水溶液B-1)を調製した。
この水溶液B-1をオートクレーブ中、180℃で2時間保持することで複合金属塩懸濁液(懸濁液B-2)を調製した。
懸濁液Aと懸濁液B-2とを混合し、pHが9となるまで濃度25質量%の水酸化ナトリウム水溶液を添加することにより、アルミナ系複合酸化物の前駆体沈殿物を得た。
次いで、前記前駆体沈殿物を固液分離により回収、洗浄し、固形分を電気炉で大気中900℃、5時間焼成することによりアルミナ系複合酸化物を得た。前記アルミナ系複合酸化物をハンマーミルで粉砕し、実施例13に係るアルミナ系複合酸化物とした。
【0127】
(実施例14)
アルミン酸ソーダ(浅田化学工業、#2019、酸化アルミニウム換算で30g)を酸化物換算で5%になるようイオン交換水で希釈後、70℃に加熱し、ろ過板付きガス噴射管を用いて二酸化炭素ガスを100sccm(1.7×10-6m3/s)の流速で24時間吹き込みながら保持することで水和アルミナ懸濁液(懸濁液A)を調製した。
オキシ硝酸ジルコニウム(三津和化学、試薬特級、酸化ジルコニウム換算で44g)、硝酸セリウム(III)6水和物(和光純薬、試薬特級、酸化セリウム換算で20g)、硝酸ランタン6水和物(和光純薬、試薬特級、酸化ランタン換算で2g)、硝酸ネオジム(III)6水和物(和光純薬、試薬特級、酸化ネオジム換算で2g)、及び、硝酸イットリウム(III)6水和物(和光純薬、試薬特級、酸化イットリウム換算で2g)を酸化物換算で5%になるようにイオン交換水に溶解することにより硝酸塩水溶液(水溶液B-1)を調製した。
懸濁液Aと水溶液B-1とを混合し、pHが9となるまで濃度25質量%の水酸化ナトリウム水溶液を添加することにより、アルミナ系複合酸化物の前駆体沈殿物を得た。
次いで、前記前駆体沈殿物を固液分離により回収、洗浄し、固形分を電気炉で大気中900℃、5時間焼成することによりアルミナ系複合酸化物を得た。前記アルミナ系複合酸化物をハンマーミルで粉砕し、実施例14に係るアルミナ系複合酸化物とした。
【0128】
(実施例15)
アルミン酸ソーダ(浅田化学工業、#2019、酸化アルミニウム換算で30g)を酸化物換算で5%になるようイオン交換水で希釈後、50℃に加熱し、ろ過板付きガス噴射管を用いて二酸化炭素ガスを100sccm(1.7×10-6m3/s)の流速で24時間吹き込みながら保持することで水和アルミナ懸濁液(懸濁液A)を調製した。
オキシ硝酸ジルコニウム(三津和化学、試薬特級、酸化ジルコニウム換算で44g)、硝酸セリウム(III)6水和物(和光純薬、試薬特級、酸化セリウム換算で20g)、硝酸ランタン6水和物(和光純薬、試薬特級、酸化ランタン換算で2g)、硝酸ネオジム(III)6水和物(和光純薬、試薬特級、酸化ネオジム換算で2g)、及び、硝酸イットリウム(III)6水和物(和光純薬、試薬特級、酸化イットリウム換算で2g)を酸化物換算で5%になるようにイオン交換水に溶解することにより硝酸塩水溶液(水溶液B-1)を調製した。
この水溶液B-1をオートクレーブ中、180℃で2時間保持することで複合金属塩懸濁液(懸濁液B-2)を調製した。
懸濁液Aと懸濁液B-2とを混合し、pHが9となるまで濃度25質量%の水酸化ナトリウム水溶液を添加することにより、アルミナ系複合酸化物の前駆体沈殿物を得た。
次いで、前記前駆体沈殿物を固液分離により回収、洗浄し、固形分を電気炉で大気中900℃、5時間焼成することによりアルミナ系複合酸化物を得た。前記アルミナ系複合酸化物をハンマーミルで粉砕し、実施例15に係るアルミナ系複合酸化物とした。
【0129】
(実施例16)
アルミン酸ソーダ(浅田化学工業、#2019、酸化アルミニウム換算で30g)を酸化物換算で5%になるようイオン交換水で希釈後、50℃に加熱し、ろ過板付きガス噴射管を用いて二酸化炭素ガスを100sccm(1.7×10-6m3/s)の流速で24時間吹き込みながら保持することで水和アルミナ懸濁液(懸濁液A)を調製した。
オキシ塩化ジルコニウム8水和物(三津和化学、試薬特級、酸化ジルコニウム換算で44g)をイオン交換水に溶解し、次に35%塩酸及びイオン交換水により酸濃度が0.67N、ZrO2濃度が4wt/vol%となるように調整した。前記水溶液を、オートクレーブ型反応器を用いて、温度を120℃、圧力を2×105Paに調整した後、5%硫酸ナトリウム水溶液650gを添加し、更に15分間保持した。その後、室温になるまで放冷し、塩基性硫酸ジルコニウム含有スラリーを得た。
次いで、塩基性硫酸ジルコニウム含有スラリーに硝酸セリウム(III)6水和物(和光純薬、試薬特級、酸化セリウム換算で20g)、硝酸ランタン6水和物(和光純薬、試薬特級、酸化ランタン換算で2g)、硝酸ネオジム(III)6水和物(和光純薬、試薬特級、酸化ネオジム換算で2g)、及び、硝酸イットリウム(III)6水和物(和光純薬、試薬特級、酸化イットリウム換算で2g)を加え、25%水酸化ナトリウム水溶液をpHが9となるまで添加し、複合金属塩懸濁液(懸濁液B)を調製した。懸濁液Aと懸濁液Bとを混合し、アルミナ系複合酸化物の前駆体沈殿物を得た。
次いで、前記前駆体沈殿物を固液分離により回収、洗浄し、固形分を電気炉で大気中900℃、5時間焼成することによりアルミナ系複合酸化物を得た。前記アルミナ系複合酸化物をハンマーミルで粉砕し、実施例16に係るアルミナ系複合酸化物とした。
【0130】
(実施例17)
アルミン酸ソーダ(浅田化学工業、#2019、酸化アルミニウム換算で20g)を酸化物換算で5%になるようイオン交換水で希釈後、50℃に加熱し、ろ過板付きガス噴射管を用いて二酸化炭素ガスを100sccm(1.7×10-6m3/s)の流速で24時間吹き込みながら保持することで水和アルミナ懸濁液(懸濁液A)を調製した。
オキシ硝酸ジルコニウム(三津和化学、試薬特級、酸化ジルコニウム換算で60g)、硝酸セリウム(III)6水和物(和光純薬、試薬特級、酸化セリウム換算で10g)、硝酸ランタン6水和物(和光純薬、試薬特級、酸化ランタン換算で4g)、硝酸ネオジム(III)6水和物(和光純薬、試薬特級、酸化ネオジム換算で2g)、及び、硝酸イットリウム(III)6水和物(和光純薬、試薬特級、酸化イットリウム換算で4g)を酸化物換算で5%になるようにイオン交換水に溶解することにより硝酸塩水溶液(水溶液B-1)を調製した。
懸濁液Aと水溶液B-1とを混合し、pHが9となるまで濃度25質量%の水酸化ナトリウム水溶液を添加することにより、アルミナ系複合酸化物の前駆体沈殿物を得た。
次いで、前記前駆体沈殿物を固液分離により回収、洗浄し、固形分を電気炉で大気中900℃、5時間焼成することによりアルミナ系複合酸化物を得た。前記アルミナ系複合酸化物をハンマーミルで粉砕し、実施例17に係るアルミナ系複合酸化物とした。
【0131】
(実施例18)
アルミン酸ソーダ(浅田化学工業、#2019、酸化アルミニウム換算で20g)を酸化物換算で5%になるようイオン交換水で希釈後、70℃に加熱し、ろ過板付きガス噴射管を用いて二酸化炭素ガスを100sccm(1.7×10-6m3/s)の流速で24時間吹き込みながら保持することで水和アルミナ懸濁液(懸濁液A)を調製した。
オキシ硝酸ジルコニウム(三津和化学、試薬特級、酸化ジルコニウム換算で60g)、硝酸セリウム(III)6水和物(和光純薬、試薬特級、酸化セリウム換算で10g)、硝酸ランタン6水和物(和光純薬、試薬特級、酸化ランタン換算で4g)、硝酸ネオジム(III)6水和物(和光純薬、試薬特級、酸化ネオジム換算で2g)、及び、硝酸イットリウム(III)6水和物(和光純薬、試薬特級、酸化イットリウム換算で4g)を酸化物換算で5%になるようにイオン交換水に溶解することにより硝酸塩水溶液(水溶液B-1)を調製した。
懸濁液Aと水溶液B-1とを混合し、pHが9となるまで濃度25質量%の水酸化ナトリウム水溶液を添加することにより、アルミナ系複合酸化物の前駆体沈殿物を得た。
次いで、前記前駆体沈殿物を固液分離により回収、洗浄し、固形分を電気炉で大気中900℃、5時間焼成することによりアルミナ系複合酸化物を得た。前記アルミナ系複合酸化物をハンマーミルで粉砕し、実施例18に係るアルミナ系複合酸化物とした。
【0132】
(実施例19)
アルミン酸ソーダ(浅田化学工業、#2019、酸化アルミニウム換算で20g)を酸化物換算で5%になるようイオン交換水で希釈後、50℃に加熱し、ろ過板付きガス噴射管を用いて二酸化炭素ガスを100sccm(1.7×10-6m3/s)の流速で24時間吹き込みながら保持することで水和アルミナ懸濁液(懸濁液A)を調製した。
オキシ硝酸ジルコニウム(三津和化学、試薬特級、酸化ジルコニウム換算で70g)、硝酸ランタン6水和物(和光純薬、試薬特級、酸化ランタン換算で4g)、硝酸ネオジム(III)6水和物(和光純薬、試薬特級、酸化ネオジム換算で2g)、及び、硝酸イットリウム(III)6水和物(和光純薬、試薬特級、酸化イットリウム換算で4g)を酸化物換算で5%になるようにイオン交換水に溶解することにより硝酸塩水溶液(水溶液B-1)を調製した。
懸濁液Aと水溶液B-1とを混合し、pHが9となるまで濃度25質量%の水酸化ナトリウム水溶液を添加することにより、アルミナ系複合酸化物の前駆体沈殿物を得た。
次いで、前記前駆体沈殿物を固液分離により回収、洗浄し、固形分を電気炉で大気中900℃、5時間焼成することによりアルミナ系複合酸化物を得た。前記アルミナ系複合酸化物をハンマーミルで粉砕し、実施例19に係るアルミナ系複合酸化物とした。
【0133】
(実施例20)
アルミン酸ソーダ(浅田化学工業、#2019、酸化アルミニウム換算で20g)を酸化物換算で5%になるようイオン交換水で希釈後、70℃に加熱し、ろ過板付きガス噴射管を用いて二酸化炭素ガスを100sccm(1.7×10-6m3/s)の流速で24時間吹き込みながら保持することで水和アルミナ懸濁液(懸濁液A)を調製した。
オキシ硝酸ジルコニウム(三津和化学、試薬特級、酸化ジルコニウム換算で70g)、硝酸ランタン6水和物(和光純薬、試薬特級、酸化ランタン換算で4g)、硝酸ネオジム(III)6水和物(和光純薬、試薬特級、酸化ネオジム換算で2g)、及び、硝酸イットリウム(III)6水和物(和光純薬、試薬特級、酸化イットリウム換算で4g)を酸化物換算で5%になるようにイオン交換水に溶解することにより硝酸塩水溶液(水溶液B-1)を調製した。
懸濁液Aと水溶液B-1とを混合し、pHが9となるまで濃度25質量%の水酸化ナトリウム水溶液を添加することにより、アルミナ系複合酸化物の前駆体沈殿物を得た。
次いで、前記前駆体沈殿物を固液分離により回収、洗浄し、固形分を電気炉で大気中900℃、5時間焼成することによりアルミナ系複合酸化物を得た。前記アルミナ系複合酸化物をハンマーミルで粉砕し、実施例20に係るアルミナ系複合酸化物とした。
【0134】
(実施例21)
アルミン酸ソーダ(浅田化学工業、#2019、酸化アルミニウム換算で20g)を酸化物換算で5%になるようイオン交換水で希釈後、50℃に加熱し、ろ過板付きガス噴射管を用いて二酸化炭素ガスを100sccm(1.7×10-6m3/s)の流速で24時間吹き込みながら保持することで水和アルミナ懸濁液(懸濁液A)を調製した。
オキシ硝酸ジルコニウム(三津和化学、試薬特級、酸化ジルコニウム換算で70g)、硝酸ランタン6水和物(和光純薬、試薬特級、酸化ランタン換算で4g)、硝酸ネオジム(III)6水和物(和光純薬、試薬特級、酸化ネオジム換算で2g)、及び、硝酸イットリウム(III)6水和物(和光純薬、試薬特級、酸化イットリウム換算で4g)を酸化物換算で5%になるようにイオン交換水に溶解することにより硝酸塩水溶液(水溶液B-1)を調製した。
この水溶液B-1をオートクレーブ中、180℃で2時間保持することで複合金属塩懸濁液(懸濁液B-2)を調製した。
懸濁液Aと懸濁液B-2とを混合し、pHが9となるまで濃度25質量%の水酸化ナトリウム水溶液を添加することにより、アルミナ系複合酸化物の前駆体沈殿物を得た。
次いで、前記前駆体沈殿物を固液分離により回収、洗浄し、固形分を電気炉で大気中900℃、5時間焼成することによりアルミナ系複合酸化物を得た。前記アルミナ系複合酸化物をハンマーミルで粉砕し、実施例21に係るアルミナ系複合酸化物とした。
【0135】
(実施例22)
アルミン酸ソーダ(浅田化学工業、#2019、酸化アルミニウム換算で20g)を酸化物換算で5%になるようイオン交換水で希釈後、50℃に加熱し、ろ過板付きガス噴射管を用いて二酸化炭素ガスを100sccm(1.7×10-6m3/s)の流速で24時間吹き込みながら保持することで水和アルミナ懸濁液(懸濁液A)を調製した。
硝酸セリウム(III)6水和物(和光純薬、試薬特級、酸化セリウム換算で70g)、硝酸ランタン6水和物(和光純薬、試薬特級、酸化ランタン換算で4g)、硝酸ネオジム(III)6水和物(和光純薬、試薬特級、酸化ネオジム換算で2g)、及び、硝酸イットリウム(III)6水和物(和光純薬、試薬特級、酸化イットリウム換算で4g)を酸化物換算で5%になるようにイオン交換水に溶解することにより硝酸塩水溶液(水溶液B-1)を調製した。
懸濁液Aと水溶液B-1とを混合し、pHが9となるまで濃度25質量%の水酸化ナトリウム水溶液を添加することにより、アルミナ系複合酸化物の前駆体沈殿物を得た。
次いで、前記前駆体沈殿物を固液分離により回収、洗浄し、固形分を電気炉で大気中900℃、5時間焼成することによりアルミナ系複合酸化物を得た。前記アルミナ系複合酸化物をハンマーミルで粉砕し、実施例22に係るアルミナ系複合酸化物とした。
【0136】
(実施例23)
アルミン酸ソーダ(浅田化学工業、#2019、酸化アルミニウム換算で20g)を酸化物換算で5%になるようイオン交換水で希釈後、70℃に加熱し、ろ過板付きガス噴射管を用いて二酸化炭素ガスを100sccm(1.7×10-6m3/s)の流速で24時間吹き込みながら保持することで水和アルミナ懸濁液(懸濁液A)を調製した。
硝酸セリウム(III)6水和物(和光純薬、試薬特級、酸化セリウム換算で70g)、硝酸ランタン6水和物(和光純薬、試薬特級、酸化ランタン換算で4g)、硝酸ネオジム(III)6水和物(和光純薬、試薬特級、酸化ネオジム換算で2g)、及び、硝酸イットリウム(III)6水和物(和光純薬、試薬特級、酸化イットリウム換算で4g)を酸化物換算で5%になるようにイオン交換水に溶解することにより硝酸塩水溶液(水溶液B-1)を調製した。
懸濁液Aと水溶液B-1とを混合し、pHが9となるまで濃度25質量%の水酸化ナトリウム水溶液を添加することにより、アルミナ系複合酸化物の前駆体沈殿物を得た。
次いで、前記前駆体沈殿物を固液分離により回収、洗浄し、固形分を電気炉で大気中900℃、5時間焼成することによりアルミナ系複合酸化物を得た。前記アルミナ系複合酸化物をハンマーミルで粉砕し、実施例23に係るアルミナ系複合酸化物とした。
【0137】
(実施例24)
アルミン酸ソーダ(浅田化学工業、#2019、酸化アルミニウム換算で15g)を酸化物換算で5%になるようイオン交換水で希釈後、50℃に加熱し、ろ過板付きガス噴射管を用いて二酸化炭素ガスを100sccm(1.7×10-6m3/s)の流速で24時間吹き込みながら保持することで水和アルミナ懸濁液(懸濁液A)を調製した。
オキシ硝酸ジルコニウム(三津和化学、試薬特級、酸化ジルコニウム換算で59g)、硝酸セリウム(III)6水和物(和光純薬、試薬特級、酸化セリウム換算で20g)、硝酸ランタン6水和物(和光純薬、試薬特級、酸化ランタン換算で2g)、硝酸ネオジム(III)6水和物(和光純薬、試薬特級、酸化ネオジム換算で2g)、及び、硝酸イットリウム(III)6水和物(和光純薬、試薬特級、酸化イットリウム換算で2g)を酸化物換算で5%になるようにイオン交換水に溶解することにより硝酸塩水溶液(水溶液B-1)を調製した。
懸濁液Aと水溶液B-1とを混合し、pHが9となるまで濃度25質量%の水酸化ナトリウム水溶液を添加することにより、アルミナ系複合酸化物の前駆体沈殿物を得た。
次いで、前記前駆体沈殿物を固液分離により回収、洗浄し、固形分を電気炉で大気中900℃、5時間焼成することによりアルミナ系複合酸化物を得た。前記アルミナ系複合酸化物をハンマーミルで粉砕し、実施例24に係るアルミナ系複合酸化物とした。
【0138】
(実施例25)
アルミン酸ソーダ(浅田化学工業、#2019、酸化アルミニウム換算で15g)を酸化物換算で5%になるようイオン交換水で希釈後、70℃に加熱し、ろ過板付きガス噴射管を用いて二酸化炭素ガスを100sccm(1.7×10-6m3/s)の流速で24時間吹き込みながら保持することで水和アルミナ懸濁液(懸濁液A)を調製した。
オキシ硝酸ジルコニウム(三津和化学、試薬特級、酸化ジルコニウム換算で59g)、硝酸セリウム(III)6水和物(和光純薬、試薬特級、酸化セリウム換算で20g)、硝酸ランタン6水和物(和光純薬、試薬特級、酸化ランタン換算で2g)、硝酸ネオジム(III)6水和物(和光純薬、試薬特級、酸化ネオジム換算で2g)、及び、硝酸イットリウム(III)6水和物(和光純薬、試薬特級、酸化イットリウム換算で2g)を酸化物換算で5%になるようにイオン交換水に溶解することにより硝酸塩水溶液(水溶液B-1)を調製した。
懸濁液Aと水溶液B-1とを混合し、pHが9となるまで濃度25質量%の水酸化ナトリウム水溶液を添加することにより、アルミナ系複合酸化物の前駆体沈殿物を得た。
次いで、前記前駆体沈殿物を固液分離により回収、洗浄し、固形分を電気炉で大気中900℃、5時間焼成することによりアルミナ系複合酸化物を得た。前記アルミナ系複合酸化物をハンマーミルで粉砕し、実施例25に係るアルミナ系複合酸化物とした。
【0139】
(実施例26)
アルミン酸ソーダ(浅田化学工業、#2019、酸化アルミニウム換算で30g)を酸化物換算で5%になるようイオン交換水で希釈後、50℃に加熱し、ろ過板付きガス噴射管を用いて二酸化炭素ガスを100sccm(1.7×10-6m3/s)の流速で24時間吹き込みながら保持することで水和アルミナ懸濁液(懸濁液A)を調製した。
オキシ硝酸ジルコニウム(三津和化学、試薬特級、酸化ジルコニウム換算で40g)、硝酸セリウム(III)6水和物(和光純薬、試薬特級、酸化セリウム換算で20g)、硝酸ランタン6水和物(和光純薬、試薬特級、酸化ランタン換算で2g)、硝酸ネオジム(III)6水和物(和光純薬、試薬特級、酸化ネオジム換算で2g)、硝酸イットリウム(III)6水和物(和光純薬、試薬特級、酸化イットリウム換算で2g)、及び、四塩化チタン(IV)(和光純薬、酸化チタン換算で4.0g)を酸化物換算で5%になるようにイオン交換水に溶解することにより硝酸塩水溶液(水溶液B-1)を調製した。
懸濁液Aと水溶液B-1とを混合し、pHが9となるまで濃度25質量%の水酸化ナトリウム水溶液を添加することにより、アルミナ系複合酸化物の前駆体沈殿物を得た。
次いで、前記前駆体沈殿物を固液分離により回収、洗浄し、固形分を電気炉で大気中900℃、5時間焼成することによりアルミナ系複合酸化物を得た。前記アルミナ系複合酸化物をハンマーミルで粉砕し、実施例26に係るアルミナ系複合酸化物とした。
【0140】
(実施例27)
アルミン酸ソーダ(浅田化学工業、#2019、酸化アルミニウム換算で30g)を酸化物換算で5%になるようイオン交換水で希釈後、50℃に加熱し、ろ過板付きガス噴射管を用いて二酸化炭素ガスを100sccm(1.7×10-6m3/s)の流速で24時間吹き込みながら保持することで水和アルミナ懸濁液(懸濁液A)を調製した。
オキシ硝酸ジルコニウム(三津和化学、試薬特級、酸化ジルコニウム換算で40g)、硝酸セリウム(III)6水和物(和光純薬、試薬特級、酸化セリウム換算で20g)、硝酸ランタン6水和物(和光純薬、試薬特級、酸化ランタン換算で2g)、硝酸ネオジム(III)6水和物(和光純薬、試薬特級、酸化ネオジム換算で2g)、硝酸イットリウム(III)6水和物(和光純薬、試薬特級、酸化イットリウム換算で2g)、及び、リン酸一アンモニウム(和光試薬、試薬特級、リン酸塩換算で4.0g)を酸化物換算で5%になるようにイオン交換水に溶解することにより硝酸塩水溶液(水溶液B-1)を調製した。
懸濁液Aと水溶液B-1とを混合し、pHが9となるまで濃度25質量%の水酸化ナトリウム水溶液を添加することにより、アルミナ系複合酸化物の前駆体沈殿物を得た。
次いで、前記前駆体沈殿物を固液分離により回収、洗浄し、固形分を電気炉で大気中900℃、5時間焼成することによりアルミナ系複合酸化物を得た。前記アルミナ系複合酸化物をハンマーミルで粉砕し、実施例27に係るアルミナ系複合酸化物とした。
【0141】
(実施例28)
アルミン酸ソーダ(浅田化学工業、#2019、酸化アルミニウム換算で30g)を酸化物換算で5%になるようイオン交換水で希釈後、50℃に加熱し、ろ過板付きガス噴射管を用いて二酸化炭素ガスを100sccm(1.7×10-6m3/s)の流速で24時間吹き込みながら保持することで水和アルミナ懸濁液(懸濁液A)を調製した。
オキシ硝酸ジルコニウム(三津和化学、試薬特級、酸化ジルコニウム換算で40g)、硝酸セリウム(III)6水和物(和光純薬、試薬特級、酸化セリウム換算で20g)、硝酸ランタン6水和物(和光純薬、試薬特級、酸化ランタン換算で2g)、硝酸ネオジム(III)6水和物(和光純薬、試薬特級、酸化ネオジム換算で2g)、硝酸イットリウム(III)6水和物(和光純薬、試薬特級、酸化イットリウム換算で2g)、及び、フュームドシリカ AEROSIL(日本アエロジル、酸化ケイ素換算で4.0g)を酸化物換算で5%になるようにイオン交換水に溶解することにより硝酸塩水溶液(水溶液B-1)を調製した。
懸濁液Aと水溶液B-1とを混合し、pHが9となるまで濃度25質量%の水酸化ナトリウム水溶液を添加することにより、アルミナ系複合酸化物の前駆体沈殿物を得た。
次いで、前記前駆体沈殿物を固液分離により回収、洗浄し、固形分を電気炉で大気中900℃、5時間焼成することによりアルミナ系複合酸化物を得た。前記アルミナ系複合酸化物をハンマーミルで粉砕し、実施例28に係るアルミナ系複合酸化物とした。
【0142】
(実施例29)
アルミン酸ソーダ(浅田化学工業、#2019、酸化アルミニウム換算で30g)を酸化物換算で5%になるようイオン交換水で希釈後、50℃に加熱し、ろ過板付きガス噴射管を用いて二酸化炭素ガスを100sccm(1.7×10-6m3/s)の流速で24時間吹き込みながら保持することで水和アルミナ懸濁液(懸濁液A)を調製した。
オキシ硝酸ジルコニウム(三津和化学、試薬特級、酸化ジルコニウム換算で40g)、硝酸セリウム(III)6水和物(和光純薬、試薬特級、酸化セリウム換算で20g)、硝酸ランタン6水和物(和光純薬、試薬特級、酸化ランタン換算で2g)、硝酸ネオジム(III)6水和物(和光純薬、試薬特級、酸化ネオジム換算で2g)、硝酸イットリウム(III)6水和物(和光純薬、試薬特級、酸化イットリウム換算で2g)、及び、メタタングステン酸アンモニウム水和物(和光試薬、酸化タングステン換算で4.0g)を酸化物換算で5%になるようにイオン交換水に溶解することにより硝酸塩水溶液(水溶液B-1)を調製した。
懸濁液Aと水溶液B-1とを混合し、pHが9となるまで濃度25質量%の水酸化ナトリウム水溶液を添加することにより、アルミナ系複合酸化物の前駆体沈殿物を得た。
次いで、前記前駆体沈殿物を固液分離により回収、洗浄し、固形分を電気炉で大気中900℃、5時間焼成することによりアルミナ系複合酸化物を得た。前記アルミナ系複合酸化物をハンマーミルで粉砕し、実施例29に係るアルミナ系複合酸化物とした。
【0143】
(実施例30)
アルミン酸ソーダ(浅田化学工業、#2019、酸化アルミニウム換算で30g)を酸化物換算で5%になるようイオン交換水で希釈後、50℃に加熱し、ろ過板付きガス噴射管を用いて二酸化炭素ガスを100sccm(1.7×10-6m3/s)の流速で24時間吹き込みながら保持することで水和アルミナ懸濁液(懸濁液A)を調製した。
オキシ硝酸ジルコニウム(三津和化学、試薬特級、酸化ジルコニウム換算で40g)、硝酸セリウム(III)6水和物(和光純薬、試薬特級、酸化セリウム換算で20g)、硝酸ランタン6水和物(和光純薬、試薬特級、酸化ランタン換算で2g)、硝酸ネオジム(III)6水和物(和光純薬、試薬特級、酸化ネオジム換算で2g)、硝酸イットリウム(III)6水和物(和光純薬、試薬特級、酸化イットリウム換算で2g)、及び、硝酸マグネシウム6水和物(和光試薬、試薬特級、酸化マグネシウム換算で4.0g)を酸化物換算で5%になるようにイオン交換水に溶解することにより硝酸塩水溶液(水溶液B-1)を調製した。
懸濁液Aと水溶液B-1とを混合し、pHが9となるまで濃度25質量%の水酸化ナトリウム水溶液を添加することにより、アルミナ系複合酸化物の前駆体沈殿物を得た。
次いで、前記前駆体沈殿物を固液分離により回収、洗浄し、固形分を電気炉で大気中900℃、5時間焼成することによりアルミナ系複合酸化物を得た。前記アルミナ系複合酸化物をハンマーミルで粉砕し、実施例30に係るアルミナ系複合酸化物とした。
【0144】
(実施例31)
アルミン酸ソーダ(浅田化学工業、#2019、酸化アルミニウム換算で30g)を酸化物換算で5%になるようイオン交換水で希釈後、50℃に加熱し、ろ過板付きガス噴射管を用いて二酸化炭素ガスを100sccm(1.7×10-6m3/s)の流速で24時間吹き込みながら保持することで水和アルミナ懸濁液(懸濁液A)を調製した。
オキシ硝酸ジルコニウム(三津和化学、試薬特級、酸化ジルコニウム換算で40g)、硝酸セリウム(III)6水和物(和光純薬、試薬特級、酸化セリウム換算で20g)、硝酸ランタン6水和物(和光純薬、試薬特級、酸化ランタン換算で2g)、硝酸ネオジム(III)6水和物(和光純薬、試薬特級、酸化ネオジム換算で2g)、硝酸イットリウム(III)6水和物(和光純薬、試薬特級、酸化イットリウム換算で2g)、及び、硝酸カルシウム6水和物(和光試薬、試薬特級、酸化カルシウム換算で4.0g)を酸化物換算で5%になるようにイオン交換水に溶解することにより硝酸塩水溶液(水溶液B-1)を調製した。
懸濁液Aと水溶液B-1とを混合し、pHが9となるまで濃度25質量%の水酸化ナトリウム水溶液を添加することにより、アルミナ系複合酸化物の前駆体沈殿物を得た。
次いで、前記前駆体沈殿物を固液分離により回収、洗浄し、固形分を電気炉で大気中900℃、5時間焼成することによりアルミナ系複合酸化物を得た。前記アルミナ系複合酸化物をハンマーミルで粉砕し、実施例31に係るアルミナ系複合酸化物とした。
【0145】
(実施例32)
アルミン酸ソーダ(浅田化学工業、#2019、酸化アルミニウム換算で30g)を酸化物換算で5%になるようイオン交換水で希釈後、50℃に加熱し、ろ過板付きガス噴射管を用いて二酸化炭素ガスを100sccm(1.7×10-6m3/s)の流速で24時間吹き込みながら保持することで水和アルミナ懸濁液(懸濁液A)を調製した。
オキシ硝酸ジルコニウム(三津和化学、試薬特級、酸化ジルコニウム換算で40g)、硝酸セリウム(III)6水和物(和光純薬、試薬特級、酸化セリウム換算で20g)、硝酸ランタン6水和物(和光純薬、試薬特級、酸化ランタン換算で2g)、硝酸ネオジム(III)6水和物(和光純薬、試薬特級、酸化ネオジム換算で2g)、硝酸イットリウム(III)6水和物(和光純薬、試薬特級、酸化イットリウム換算で2g)、及び、硝酸ストロンチウム6水和物(和光試薬、試薬特級、酸化ストロンチウム換算で4.0g)を酸化物換算で5%になるようにイオン交換水に溶解することにより硝酸塩水溶液(水溶液B-1)を調製した。
懸濁液Aと水溶液B-1とを混合し、pHが9となるまで濃度25質量%の水酸化ナトリウム水溶液を添加することにより、アルミナ系複合酸化物の前駆体沈殿物を得た。
次いで、前記前駆体沈殿物を固液分離により回収、洗浄し、固形分を電気炉で大気中900℃、5時間焼成することによりアルミナ系複合酸化物を得た。前記アルミナ系複合酸化物をハンマーミルで粉砕し、実施例32に係るアルミナ系複合酸化物とした。
【0146】
(実施例33)
アルミン酸ソーダ(浅田化学工業、#2019、酸化アルミニウム換算で30g)を酸化物換算で5%になるようイオン交換水で希釈後、50℃に加熱し、ろ過板付きガス噴射管を用いて二酸化炭素ガスを100sccm(1.7×10-6m3/s)の流速で24時間吹き込みながら保持することで水和アルミナ懸濁液(懸濁液A)を調製した。
オキシ硝酸ジルコニウム(三津和化学、試薬特級、酸化ジルコニウム換算で40g)、硝酸セリウム(III)6水和物(和光純薬、試薬特級、酸化セリウム換算で20g)、硝酸ランタン6水和物(和光純薬、試薬特級、酸化ランタン換算で2g)、硝酸ネオジム(III)6水和物(和光純薬、試薬特級、酸化ネオジム換算で2g)、硝酸イットリウム(III)6水和物(和光純薬、試薬特級、酸化イットリウム換算で2g)、及び、硝酸バリウム6水和物(和光試薬、試薬特級、酸化バリウム換算で4.0g)を酸化物換算で5%になるようにイオン交換水に溶解することにより硝酸塩水溶液(水溶液B-1)を調製した。
懸濁液Aと水溶液B-1とを混合し、pHが9となるまで濃度25質量%の水酸化ナトリウム水溶液を添加することにより、アルミナ系複合酸化物の前駆体沈殿物を得た。
次いで、前記前駆体沈殿物を固液分離により回収、洗浄し、固形分を電気炉で大気中900℃、5時間焼成することによりアルミナ系複合酸化物を得た。前記アルミナ系複合酸化物をハンマーミルで粉砕し、実施例33に係るアルミナ系複合酸化物とした。
【0147】
(実施例34)
アルミン酸ソーダ(浅田化学工業、#2019、酸化アルミニウム換算で30g)を酸化物換算で5%になるようイオン交換水で希釈後、50℃に加熱し、ろ過板付きガス噴射管を用いて二酸化炭素ガスを100sccm(1.7×10-6m3/s)の流速で24時間吹き込みながら保持することで水和アルミナ懸濁液(懸濁液A)を調製した。
オキシ硝酸ジルコニウム(三津和化学、試薬特級、酸化ジルコニウム換算で43g)、硝酸セリウム(III)6水和物(和光純薬、試薬特級、酸化セリウム換算で20g)、硝酸ランタン6水和物(和光純薬、試薬特級、酸化ランタン換算で2g)、硝酸ネオジム(III)6水和物(和光純薬、試薬特級、酸化ネオジム換算で2g)、硝酸イットリウム(III)6水和物(和光純薬、試薬特級、酸化イットリウム換算で2g)、及び、硝酸鉄(III)9水和物(和光試薬、試薬特級、酸化鉄換算で1.0g)を酸化物換算で5%になるようにイオン交換水に溶解することにより硝酸塩水溶液(水溶液B-1)を調製した。
懸濁液Aと水溶液B-1とを混合し、pHが9となるまで濃度25質量%の水酸化ナトリウム水溶液を添加することにより、アルミナ系複合酸化物の前駆体沈殿物を得た。
次いで、前記前駆体沈殿物を固液分離により回収、洗浄し、固形分を電気炉で大気中900℃、5時間焼成することによりアルミナ系複合酸化物を得た。前記アルミナ系複合酸化物をハンマーミルで粉砕し、実施例34に係るアルミナ系複合酸化物とした。
【0148】
(比較例1)
硝酸アルミニウム9水和物(和光純薬、試薬特級、酸化アルミニウム換算で78g)、オキシ硝酸ジルコニウム(三津和化学、試薬特級、酸化ジルコニウム換算で8g)、硝酸セリウム(III)6水和物(和光純薬、試薬特級、酸化セリウム換算で8g)、硝酸ランタン6水和物(和光純薬、試薬特級、酸化ランタン換算で2g)、硝酸ネオジム(III)6水和物(和光純薬、試薬特級、酸化ネオジム換算で2g)、及び、硝酸イットリウム(III)6水和物(和光純薬、試薬特級、酸化イットリウム換算で2g)を酸化物換算で3%になるようにイオン交換水に溶解することにより硝酸塩水溶液を調整した。
次いで重炭酸アンモニウム400gをイオン交換水7600gに溶解することにより5%重炭酸アンモニウム水溶液を調製した。次いで前記硝酸塩水溶液を前記重炭酸アンモニウム水溶液に添加することによりアルミナ系複合酸化物の前駆体沈殿物を得た。
次いで前記沈殿物を固液分離により回収、洗浄を行った。固形分を電気炉で大気中900℃、5時間焼成することによりアルミナ系複合酸化物を得た。前記アルミナ系複合酸化物をハンマーミルで粉砕し、比較例1に係るアルミナ系複合酸化物とした。
【0149】
(比較例2)
オキシ硝酸ジルコニウム(三津和化学、試薬特級、酸化ジルコニウム換算で8g)、硝酸セリウム(III)6水和物(和光純薬、試薬特級、酸化セリウム換算で8g)、硝酸ランタン6水和物(和光純薬、試薬特級、酸化ランタン換算で2g)、硝酸ネオジム(III)6水和物(和光純薬、試薬特級、酸化ネオジム換算で2g)、及び、硝酸イットリウム(III)6水和物(和光純薬、試薬特級、酸化イットリウム換算で2g)を酸化物換算で5%になるようにイオン交換水に溶解することにより硝酸塩水溶液を調製した。この水溶液をオートクレーブ中、180℃で2時間保持した後、pHが9となるまで濃度25質量%の水酸化ナトリウム水溶液を添加することにより、セリアジルコニア系複合酸化物の前駆体沈殿物を得た。
次いで前記沈殿物を固液分離により回収、洗浄を行った。固形分を電気炉で大気中900℃、5時間焼成することによりセリアジルコニア系複合酸化物を得た。前記、セリアおよびジルコニア系複合酸化物とアルミナ(住友化学、AKP-G07、酸化アルミニウム換算で78g)を混合し、ハンマーミルで粉砕し、比較例2に係るアルミナ系複合酸化物とした。
【0150】
(比較例3)
硝酸アルミニウム9水和物(和光純薬、試薬特級、酸化アルミニウム換算で69g)、オキシ硝酸ジルコニウム(三津和化学、試薬特級、酸化ジルコニウム換算で15g)、硝酸セリウム(III)6水和物(和光純薬、試薬特級、酸化セリウム換算で10g)、硝酸ランタン6水和物(和光純薬、試薬特級、酸化ランタン換算で2g)、硝酸プラセオジム(III)6水和物(和光純薬、試薬特級、酸化プラセオジム換算で2g)、及び、硝酸イットリウム(III)6水和物(和光純薬、試薬特級、酸化イットリウム換算で2g)を酸化物換算で3%になるようにイオン交換水に溶解することにより硝酸塩水溶液を調整した。
次いで重炭酸アンモニウム400gをイオン交換水7600gに溶解することにより5%重炭酸アンモニウム水溶液を調製した。次いで前記硝酸塩水溶液を前記重炭酸アンモニウム水溶液に添加することによりアルミナ系複合酸化物の前駆体沈殿物を得た。
次いで前記沈殿物を固液分離により回収、洗浄を行った。固形分を電気炉で大気中900℃、5時間焼成することによりアルミナ系複合酸化物を得た。前記アルミナ系複合酸化物をハンマーミルで粉砕し、比較例3に係るアルミナ系複合酸化物とした。
【0151】
(比較例4)
硝酸アルミニウム9水和物(和光純薬、試薬特級、酸化アルミニウム換算で54g)、オキシ硝酸ジルコニウム(三津和化学、試薬特級、酸化ジルコニウム換算で20g)、硝酸セリウム(III)6水和物(和光純薬、試薬特級、酸化セリウム換算で10g)、硝酸ランタン6水和物(和光純薬、試薬特級、酸化ランタン換算で4g)、硝酸ネオジム(III)6水和物(和光純薬、試薬特級、酸化ネオジム換算で4g)、硝酸プラセオジム(III)6水和物(和光純薬、試薬特級、酸化プラセオジム換算で4g)、及び、硝酸イットリウム(III)6水和物(和光純薬、試薬特級、酸化イットリウム換算で4g)を酸化物換算で3%になるようにイオン交換水に溶解することにより硝酸塩水溶液を調整した。
次いで重炭酸アンモニウム400gをイオン交換水7600gに溶解することにより5%重炭酸アンモニウム水溶液を調製した。次いで前記硝酸塩水溶液を前記重炭酸アンモニウム水溶液に添加することによりアルミナ系複合酸化物の前駆体沈殿物を得た。
次いで前記沈殿物を固液分離により回収、洗浄を行った。固形分を電気炉で大気中900℃、5時間焼成することによりアルミナ系複合酸化物を得た。前記アルミナ系複合酸化物をハンマーミルで粉砕し、比較例4に係るアルミナ系複合酸化物とした。
【0152】
(比較例5)
硝酸アルミニウム9水和物(和光純薬、試薬特級、酸化アルミニウム換算で42g)、オキシ硝酸ジルコニウム(三津和化学、試薬特級、酸化ジルコニウム換算で50g)、硝酸ランタン6水和物(和光純薬、試薬特級、酸化ランタン換算で4g)、及び、硝酸イットリウム(III)6水和物(和光純薬、試薬特級、酸化イットリウム換算で4g)を酸化物換算で3%になるようにイオン交換水に溶解することにより硝酸塩水溶液を調整した。
次いで重炭酸アンモニウム400gをイオン交換水7600gに溶解することにより5%重炭酸アンモニウム水溶液を調製した。次いで前記硝酸塩水溶液を前記重炭酸アンモニウム水溶液に添加することによりアルミナ系複合酸化物の前駆体沈殿物を得た。
次いで前記沈殿物を固液分離により回収、洗浄を行った。固形分を電気炉で大気中900℃、5時間焼成することによりアルミナ系複合酸化物を得た。前記アルミナ系複合酸化物をハンマーミルで粉砕し、比較例5に係るアルミナ系複合酸化物とした。
【0153】
(比較例6)
オキシ硝酸ジルコニウム(三津和化学、試薬特級、酸化ジルコニウム換算で50g)、硝酸ランタン6水和物(和光純薬、試薬特級、酸化ランタン換算で4g)、及び、硝酸イットリウム(III)6水和物(和光純薬、試薬特級、酸化イットリウム換算で4g)を酸化物換算で5%になるようにイオン交換水に溶解することにより硝酸塩水溶液を調製した。この水溶液をオートクレーブ中、180℃で2時間保持した後、pHが9となるまで濃度25質量%の水酸化ナトリウム水溶液を添加することにより、セリアジルコニア系複合酸化物の前駆体沈殿物を得た。
次いで前記沈殿物を固液分離により回収、洗浄を行った。固形分を電気炉で大気中900℃、5時間焼成することによりセリアジルコニア系複合酸化物を得た。前記、セリアおよびジルコニア系複合酸化物とアルミナ(住友化学、AKP-G07、酸化アルミニウム換算で42g)を混合し、ハンマーミルで粉砕し、比較例6に係るアルミナ系複合酸化物とした。
【0154】
(比較例7)
硝酸アルミニウム9水和物(和光純薬、試薬特級、酸化アルミニウム換算で42g)、硝酸セリウム(III)6水和物(和光純薬、試薬特級、酸化セリウム換算で50g)、硝酸ランタン6水和物(和光純薬、試薬特級、酸化ランタン換算で4g)、及び、硝酸イットリウム(III)6水和物(和光純薬、試薬特級、酸化イットリウム換算で4g)を酸化物換算で3%になるようにイオン交換水に溶解することにより硝酸塩水溶液を調整した。
次いで重炭酸アンモニウム400gをイオン交換水7600gに溶解することにより5%重炭酸アンモニウム水溶液を調製した。次いで前記硝酸塩水溶液を前記重炭酸アンモニウム水溶液に添加することによりアルミナ系複合酸化物の前駆体沈殿物を得た。
次いで前記沈殿物を固液分離により回収、洗浄を行った。固形分を電気炉で大気中900℃、5時間焼成することによりアルミナ系複合酸化物を得た。前記アルミナ系複合酸化物をハンマーミルで粉砕し、比較例7に係るアルミナ系複合酸化物とした。
【0155】
(比較例8)
硝酸二アンモニウムセリウム(IV)(和光純薬、試薬特級、酸化セリウム換算で50g)、硝酸ランタン6水和物(和光純薬、試薬特級、酸化ランタン換算で4g)、及び、硝酸イットリウム(III)6水和物(和光純薬、試薬特級、酸化イットリウム換算で4g)を酸化物換算で5%になるようにイオン交換水に溶解することにより硝酸塩水溶液を調製した。この水溶液をオートクレーブ中、180℃で2時間保持した後、pHが9となるまで濃度25質量%の水酸化ナトリウム水溶液を添加することにより、セリアジルコニア系複合酸化物の前駆体沈殿物を得た。
次いで前記沈殿物を固液分離により回収、洗浄を行った。固形分を電気炉で大気中900℃、5時間焼成することによりセリアジルコニア系複合酸化物を得た。前記、セリアおよびジルコニア系複合酸化物とアルミナ(住友化学、AKP-G07、酸化アルミニウム換算で42g)を混合し、ハンマーミルで粉砕し、比較例8に係るアルミナ系複合酸化物とした。
【0156】
(比較例9)
硝酸アルミニウム9水和物(和光純薬、試薬特級、酸化アルミニウム換算で30g)、オキシ硝酸ジルコニウム(三津和化学、試薬特級、酸化ジルコニウム換算で44g)、硝酸セリウム(III)6水和物(和光純薬、試薬特級、酸化セリウム換算で20g)、硝酸ランタン6水和物(和光純薬、試薬特級、酸化ランタン換算で2g)、硝酸ネオジム(III)6水和物(和光純薬、試薬特級、酸化ネオジム換算で2g)、及び、硝酸イットリウム(III)6水和物(和光純薬、試薬特級、酸化イットリウム換算で2g)を酸化物換算で3%になるようにイオン交換水に溶解することにより硝酸塩水溶液を調整した。
次いで重炭酸アンモニウム400gをイオン交換水7600gに溶解することにより5%重炭酸アンモニウム水溶液を調製した。次いで前記硝酸塩水溶液を前記重炭酸アンモニウム水溶液に添加することによりアルミナ系複合酸化物の前駆体沈殿物を得た。
次いで前記沈殿物を固液分離により回収、洗浄を行った。固形分を電気炉で大気中900℃、5時間焼成することによりアルミナ系複合酸化物を得た。前記アルミナ系複合酸化物をハンマーミルで粉砕し、比較例9に係るアルミナ系複合酸化物とした。
【0157】
(比較例10)
オキシ塩化ジルコニウム8水和物(三津和化学、試薬特級、酸化ジルコニウム換算で44g)をイオン交換水に溶解し、次に35%塩酸及びイオン交換水により酸濃度が0.67N、ZrO2濃度が4wt/vol%となるように調整した。前記水溶液を、オートクレーブ型反応器を用いて、温度を120℃、圧力を2×105Paに調整した後、5%硫酸ナトリウム水溶液650gを添加し、更に15分間保持した。その後、室温になるまで放冷し、塩基性硫酸ジルコニウム含有スラリーを得た。
次いで、塩基性硫酸ジルコニウム含有スラリーに硝酸セリウム(III)6水和物(和光純薬、試薬特級、酸化セリウム換算で20g)、硝酸ランタン6水和物(和光純薬、試薬特級、酸化ランタン換算で2g)、硝酸ネオジム(III)6水和物(和光純薬、試薬特級、酸化ネオジム換算で2g)、及び、硝酸イットリウム(III)6水和物(和光純薬、試薬特級、酸化イットリウム換算で2g)を加え、25%水酸化ナトリウム水溶液をpHが13となるまで添加し、沈殿物を得た。前記沈殿物を固液分離により回収、洗浄を行った。
固形分を電気炉で大気中900℃、5時間焼成することによりセリアジルコニア系複合酸化物を得た。前記、セリアおよびジルコニア系複合酸化物とアルミナ(住友化学、AKP-G07、酸化アルミニウム換算で30g)を混合し、ハンマーミルで粉砕し、比較例10に係るアルミナ系複合酸化物とした。
【0158】
(比較例11)
オキシ硝酸ジルコニウム(三津和化学、試薬特級、酸化ジルコニウム換算で44g)、硝酸セリウム(III)6水和物(和光純薬、試薬特級、酸化セリウム換算で20g)、硝酸ランタン6水和物(和光純薬、試薬特級、酸化ランタン換算で2g)、硝酸ネオジム(III)6水和物(和光純薬、試薬特級、酸化ネオジム換算で2g)および硝酸イットリウム(III)6水和物(和光純薬、試薬特級、酸化ネオジム換算で2g)をイオン交換水に溶解させ、硝酸セリウム中のセリウム量に対して1.2倍モル量の過酸化水素水を加え撹拌し、原料溶液を得た。この水溶液を金属カチオンに対する中和等量の1.2倍量のアンモニア水に撹拌しながら加え、セリアジルコニア系複合酸化物の前駆体沈殿物を得た。次いで前記沈殿物を遠心分離にかけて十分に洗浄した後、大気中、150℃の温度雰囲気下で7時間乾燥させ、330℃で5時間仮焼成を行うことで成型体を得た。前記成型体を粉砕機で粉砕した後、大気中、800℃で5時間焼成することによりセリアジルコニア系複合酸化物を得た。
硝酸アルミニウム9水和物(和光純薬、試薬特級、酸化アルミニウム換算で30g)をイオン交換水に溶解した。前記セリアおよびジルコニア系複合酸化物を、前記硝酸アルミニウム水溶液に懸濁させ、3時間撹拌した。さらに撹拌しながら過熱し水分を蒸発させた。残った固形物を大気下、110℃で40時間保持した後、800℃で5時間焼成し、比較例11に係るアルミナ系複合酸化物とした。
【0159】
(比較例12)
硝酸アルミニウム9水和物(和光純薬、試薬特級、酸化アルミニウム換算で20g)、オキシ硝酸ジルコニウム(三津和化学、試薬特級、酸化ジルコニウム換算で60g)、硝酸セリウム(III)6水和物(和光純薬、試薬特級、酸化セリウム換算で10g)、硝酸ランタン6水和物(和光純薬、試薬特級、酸化ランタン換算で4g)、硝酸ネオジム(III)6水和物(和光純薬、試薬特級、酸化ネオジム換算で2g)、及び、硝酸イットリウム(III)6水和物(和光純薬、試薬特級、酸化イットリウム換算で4g)を酸化物換算で3%になるようにイオン交換水に溶解することにより硝酸塩水溶液を調整した。
次いで重炭酸アンモニウム400gをイオン交換水7600gに溶解することにより5%重炭酸アンモニウム水溶液を調製した。次いで前記硝酸塩水溶液を前記重炭酸アンモニウム水溶液に添加することによりアルミナ系複合酸化物の前駆体沈殿物を得た。
次いで前記沈殿物を固液分離により回収、洗浄を行った。固形分を電気炉で大気中900℃、5時間焼成することによりアルミナ系複合酸化物を得た。前記アルミナ系複合酸化物をハンマーミルで粉砕し、比較例12に係るアルミナ系複合酸化物とした。
【0160】
(比較例13)
硝酸アルミニウム9水和物(和光純薬、試薬特級、酸化アルミニウム換算で20g)、オキシ硝酸ジルコニウム(三津和化学、試薬特級、酸化ジルコニウム換算で70g)、硝酸ランタン6水和物(和光純薬、試薬特級、酸化ランタン換算で4g)、硝酸ネオジム(III)6水和物(和光純薬、試薬特級、酸化ネオジム換算で2g)、及び、硝酸イットリウム(III)6水和物(和光純薬、試薬特級、酸化イットリウム換算で4g)を酸化物換算で3%になるようにイオン交換水に溶解することにより硝酸塩水溶液を調整した。
次いで重炭酸アンモニウム400gをイオン交換水7600gに溶解することにより5%重炭酸アンモニウム水溶液を調製した。次いで前記硝酸塩水溶液を前記重炭酸アンモニウム水溶液に添加することによりアルミナ系複合酸化物の前駆体沈殿物を得た。
次いで前記沈殿物を固液分離により回収、洗浄を行った。固形分を電気炉で大気中900℃、5時間焼成することによりアルミナ系複合酸化物を得た。前記アルミナ系複合酸化物をハンマーミルで粉砕し、比較例13に係るアルミナ系複合酸化物とした。
【0161】
(比較例14)
オキシ硝酸ジルコニウム(三津和化学、試薬特級、酸化ジルコニウム換算で70g)、硝酸ランタン6水和物(和光純薬、試薬特級、酸化ランタン換算で4g)、硝酸ネオジム(III)6水和物(和光純薬、試薬特級、酸化ネオジム換算で2g)、及び、硝酸イットリウム(III)6水和物(和光純薬、試薬特級、酸化イットリウム換算で4g)を酸化物換算で5%になるようにイオン交換水に溶解することにより硝酸塩水溶液を調製した。この水溶液をオートクレーブ中、180℃で2時間保持した後、pHが9となるまで濃度25質量%の水酸化ナトリウム水溶液を添加することにより、セリアジルコニア系複合酸化物の前駆体沈殿物を得た。
次いで前記沈殿物を固液分離により回収、洗浄を行った。固形分を電気炉で大気中900℃、5時間焼成することによりセリアジルコニア系複合酸化物を得た。前記、セリアおよびジルコニア系複合酸化物とアルミナ(住友化学、AKP-G07、酸化アルミニウム換算で20g)を混合し、ハンマーミルで粉砕し、比較例14に係るアルミナ系複合酸化物とした。
【0162】
[組成測定]
実施例、比較例のアルミナ系複合酸化物の組成(酸化物換算)を、波長分散型蛍光X線分光分析装置(「ZSX PrimusII」リガク製)を用いて分析した。結果を表1-表6に示す。
【0163】
[エネルギー分散型X線分光法を用いた点分析]
実施例、比較例のアルミナ系複合酸化物について、エネルギー分散型X線分光法を用いて、点分析を行った。具体的には、まず、サンプルを樹脂に埋没させ表面を研磨した。その後、以下のa~cの手順により、合計50点の点分析を行った。
<手順>
a:走査型電子顕微鏡(JEOL製JSM-6700F)にて観察される粒子画像の中から、縦4μm以上横4μm以上の断面を有する粒子画像1つを選択した。
b:選択した前記粒子画像の縦4μm横4μmの範囲内を、1μm間隔、25か所の測定点において、組成分析を行った。
c:手順aで選択したのとは別の粒子画像をもう1つ選択し、手順bと同じ組成分析を行った。
【0164】
測定した50点を、以下のように分類し、各点数を表にまとめた。結果を表1-表6に示す。
なお、比較例の中には、粒子がコアシェル構造となる例があった。この例の場合、粒子画像における粒子端部から1μm以上粒子中心部に向かった領域をコア部(粒子部分)とみなして点分析を行った。
<分類>
・アルミナ含有率が1質量%未満の点数
・アルミナ含有率が1質量%以上50質量%未満、アルミナ以外の元素酸化物含有率が50質量%超99質量%以下の測定点の点数
・アルミナ含有率が50質量%以上99質量%以下、アルミナ以外の元素酸化物含有率が1質量%以上50質量%以下の測定点の点数
・アルミナ含有率が99質量%超の点数
・アルミナ含有率が1質量%以上45質量%以下、アルミナ以外の元素酸化物含有率が55質量%以上99質量%以下の測定点の点数
・アルミナ含有率が55質量%以上99質量%以下、アルミナ以外の元素酸化物含有率が1質量%以上45質量%以下の測定点の点数
・アルミナ含有率が1質量%以上40質量%以下、アルミナ以外の元素酸化物含有率が60質量%以上99質量%以下の測定点の点数
・アルミナ含有率が60質量%以上99質量%以下、アルミナ以外の元素酸化物含有率が1質量%以上40質量%以下の測定点の点数
【0165】
なお、測定点50点のアルミナ含有率の最大値、最小値、及び、最大値と最小値の差についても表1-表6に示した。
また、測定点50点のアルミナ以外の元素酸化物含有率の最大値、最小値、及び、最大値と最小値の差についても表1-表6に示した。
【0166】
[細孔容積の測定]
実施例、比較例のアルミナ系複合酸化物について、細孔分布測定装置(「BELSOAP Mini II」マイクロトラック・ベル製)を用い、窒素吸脱着等温線を得たのち、BJH法を用いて脱離過程から細孔分布を算出した。測定条件は下記の通りとした。その後、細孔直径分布の全範囲(細孔直径3nm以上200nm未満)での細孔容積を求めた。結果を表に示す。
<測定条件>
測定装置:細孔分布測定装置(マイクロトラック・ベル製BELSOAP Mini II)
測定範囲:Pe/P0=0~1
吸着温度:77K
測定点数:吸着側10点、脱離側25点
【0167】
[Rh粒子径(触媒粒子経)の測定]
実施例、比較例のアルミナ系複合酸化物に、8%硝酸Rh溶液(田中貴金属工業製)をRh換算で2重量%含浸させ、100℃で乾燥後、500℃で5時間焼成することによりRh担持粉末を得た。次いで、大気下、1200℃、12時間熱処理を行い、熱処理後サンプルを得た。このサンプル0.2gをセルに測り取り、マイクロトラック・ベル社製BELCAT Bを用いてCOパルス法によりRh粒子径を測定した。結果を表1-表6に示す。
表1-表6から分かるように、実施例のアルミナ系複合酸化物を用いた場合、Rh(触媒金属元素)の凝集が抑制されている。
【0168】
ここで、理解を容易とするために、実施例のアルミナ系複合酸化物の3次粒子、及び、比較例のアルミナ系複合酸化物の3次粒子のモデル図を
図1~
図4に示す。
図1に示すように、実施例1~実施例34のアルミナ系複合酸化物1は、3次粒子の形態をしており、元素分布の異なる2種の2次粒子、すなわち、
アルミナ含有率が50質量%以上99質量%以下の2次粒子2(アルミナ以外の元素酸化物含有率が1質量%以上50質量%以下の2次粒子2)と、
アルミナ以外の元素酸化物含有率が50質量%超99質量%以下の2次粒子3(アルミナ含有率が1質量%以上50質量%未満の2次粒子3)とで構成されている。
そのため、高温域に長時間曝されても、触媒金属元素の凝集が抑制されている。
【0169】
図2に示すように、比較例1、比較例3-比較例5、比較例7、比較例9、比較例12、比較例13のアルミナ系複合酸化物4は、3次粒子の形態をしているが、互いに元素分布の偏りの少ない2次粒子5のみで構成されている。つまり、比較例1、比較例3-比較例5、比較例7、比較例9、比較例12、比較例13のアルミナ系複合酸化物4は、2次粒子の間で、アルミナ含有率の最大値と最小値の差が小さい。そのため、高温域に長時間曝されると、触媒金属元素が凝集してしまうこととなる。
【0170】
図3に示すように、比較例2、比較例6、比較例8、比較例10、比較例14のアルミナ系複合酸化物6は、3次粒子の形態をしているが、互いに元素分布のかたよりが著しく大きい2次粒子7と2次粒子8とで構成されている。比較例2、比較例6、比較例8、比較例10、比較例14のアルミナ系複合酸化物4は、2次粒子の間で、アルミナ含有率の最大値と最小値の差が著しく大きい。つまり、比較例2、比較例6、比較例8、比較例10、比較例14のアルミナ系複合酸化物6は、アルミナ粒子とアルミナ以外の元素酸化物との混合物としての3次粒子であり、アルミナとアルミナ以外の元素酸化物との複合化による特性は発現しづらい元素分布となっている。そのため、高温域に長時間曝されると、触媒金属元素が凝集してしまうこととなる。
【0171】
図4に示すように、比較例11のアルミナ系複合酸化物9は、3次粒子の形態をしており、シェル部を構成する2次粒子10とコア部を構成する2次粒子11とで構成されている。
2次粒子10と2次粒子11とは、互いに元素分布のかたよりが著しく大きい2次粒子7と2次粒子8とで構成されている。つまり、比較例11のアルミナ系複合酸化物9は、アルミナ粒子とアルミナ以外の元素酸化物との混合物としての3次粒子であり、アルミナとアルミナ以外の元素酸化物との複合化による特性は発現しづらい元素分布となっている。そのため、高温域に長時間曝されると、触媒金属元素が凝集してしまうこととなる。
【0172】
[粒子径D50、粒子径D90の測定]
実施例、比較例のアルミナ系複合酸化物0.15gと40mlの0.2%ヘキサメタリン酸ナトリウム水溶液とを50mlビーカーに投入し、超音波ホモジナイザー「ソニファイアーS-450D」(日本エマソン株式会社)で2分間分散した後、装置(レーザー回折式粒子径分布測定装置(「LA-950」堀場製作所製))に投入し測定した。結果を表1に示す。
【0173】
[X線回折スペクトル]
実施例1のアルミナ系複合酸化物について、X線回折装置(「Ultima IV」リガク製)を用い、X線回折スペクトルを得た。測定条件は下記の通りとした。結果を
図5に示す。
<測定条件>
測定装置:X線回折装置(リガク製、Ultima IV)
線源:CuKα線源
管電圧:50kV
管電流:30mA
走査速度:2θ=20~65°:4°/分
【0174】
【0175】
【0176】
【0177】
【0178】
【0179】
蛍光X線法により得られる組成分析において、アルミナの含有率が15質量%以上80質量%以下であることを特徴とする請求項1~4のいずれか1に記載のアルミナ系複合酸化物。
蛍光X線法により得られる組成分析において、セリア及び/又はジルコニアの含有率が、0.1質量%以上85質量%以下であることを特徴とする請求項1~4のいずれか1に記載のアルミナ系複合酸化物。
アルミナ、セリア、及び、ジルコニア以外の酸化物として、希土類元素(セリウム、プロメチウムを除く)の酸化物のいずれか一種以上を含むことを特徴とする請求項1~4のいずれか1に記載のアルミナ系複合酸化物。
蛍光X線法により得られる組成分析において、アルミナの含有率が15質量%以上80質量%以下であることを特徴とする請求項1~4のいずれか1に記載のアルミナ系複合酸化物。
蛍光X線法により得られる組成分析において、セリア及び/又はジルコニアの含有率が、0.1質量%以上85質量%以下であることを特徴とする請求項1~4のいずれか1に記載のアルミナ系複合酸化物。
アルミナ、セリア、及び、ジルコニア以外の酸化物として、希土類元素(セリウム、プロメチウムを除く)の酸化物のいずれか一種以上を含むことを特徴とする請求項1~4のいずれか1に記載のアルミナ系複合酸化物。