(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024146348
(43)【公開日】2024-10-15
(54)【発明の名称】被載置物の姿勢制御装置
(51)【国際特許分類】
A21C 9/08 20060101AFI20241004BHJP
B65G 47/248 20060101ALI20241004BHJP
【FI】
A21C9/08 A
B65G47/248 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】15
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023059189
(22)【出願日】2023-03-31
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.テフロン
(71)【出願人】
【識別番号】510202167
【氏名又は名称】Next Innovation合同会社
(72)【発明者】
【氏名】道脇 裕
【テーマコード(参考)】
3F081
4B031
【Fターム(参考)】
3F081AA46
3F081AA47
3F081BC01
3F081BE03
3F081BF15
3F081CA01
3F081CA04
3F081CA41
3F081CC08
3F081CE10
3F081CE20
3F081EA15
3F081FA01
3F081FB01
4B031CA09
4B031CA15
4B031CA16
4B031CL01
4B031CL19
4B031CL20
(57)【要約】
【課題】天板等の載置体に移送された被載置物を、所望の姿勢に変位させる姿勢制御装置を提供する。
【解決手段】被載置物が載置される載置体と、前記載置体に振動を与えることで、前記被載置物の姿勢を変位させる姿勢変位手段と、を有し、前記姿勢変位手段は、前記載置体に前記被載置物を載置した状態で、前記被載置物を所望の姿勢に変位させることを特徴とする姿勢制御装置。
【選択図】
図6
【特許請求の範囲】
【請求項1】
被載置物が載置される載置体と、
前記載置体に振動を与えることで、前記被載置物の姿勢を変位させる姿勢変位手段と、を有し、
前記姿勢変位手段は、前記載置体に前記被載置物を載置した状態で、前記被載置物を所望の姿勢に変位させることを特徴とする姿勢制御装置。
【請求項2】
前記載置体を搬送軌道に沿って搬送する搬送手段を有し、
前記姿勢変位手段は、前記搬送軌道を介して、前記載置体に振動を与えることで、前記被載置物を所望の姿勢に変位させることを特徴とする請求項1記載の姿勢制御装置。
【請求項3】
前記載置体を固定する固定手段を有し、
前記姿勢変位手段は、前記固定手段を介して、前記載置体に振動を与えることで、前記被載置物を所望の姿勢に変位させることを特徴とする請求項1記載の姿勢制御装置。
【請求項4】
前記載置体を搬送軌道に沿って搬送する搬送手段と、前記姿勢変位手段を移動させる移動手段を有し、
前記移動手段は、前記載置体との相対位置が維持されるように、前記姿勢変位手段を前記載置体に追従させて移動させることを特徴とする請求項1記載の姿勢制御装置。
【請求項5】
前記載置体を所定の角度に傾斜させる傾斜手段を有し、前記載置体が傾斜された状態で、前記姿勢変位手段によって前記載置体に振動を与えることで、前記被載置物を所望の姿勢に変位させることを特徴とする請求項1記載の姿勢制御装置。
【請求項6】
前記被載置物の姿勢を変位させる動きを補助する変位補助手段を有することを特徴とする請求項1記載の姿勢制御装置。
【請求項7】
前記変位補助手段は、ローラ及び/又はベルトを有して成ることを特徴とする請求項6記載の姿勢制御装置。
【請求項8】
前記ローラ及び/又は前記ベルトの駆動、停止を制御する駆動制御手段を有することを特徴とする請求項7記載の姿勢制御装置
【請求項9】
前記駆動制御手段は、前記ローラ及び/又は前記ベルトの駆動を停止させ、且つ前記ローラ及び/又はベルトを前記被載置物に接触させることにより、前記被載置物の姿勢の変位を固定することを特徴とする請求項8記載の姿勢制御装置。
【請求項10】
前記変位補助手段がローラを有する場合、前記ローラは、糸巻形状、丸棒形状、樽形状の内、何れかの形状を有することを特徴とする請求項7記載の姿勢制御装置。
【請求項11】
前記変位補助手段がベルトを有する場合、前記ベルトは、前記載置体の上方に延設されることを特徴とする請求項7記載の姿勢制御装置。
【請求項12】
前記被載置物の姿勢を特定する姿勢特定手段を有し、前記姿勢特定手段による特定結果に応じて、前記被載置物が所望の姿勢であると判断することを特徴とする請求項1記載の姿勢制御装置。
【請求項13】
前記姿勢特定手段は、前記被載置物の端縁部を特定し、被載置物の姿勢を特定することを特徴とする請求項12記載の姿勢制御装置。
【請求項14】
前記移動手段は、前記載置体との相対位置が維持されるように、前記変位補助手段を前記載置体に追従させて移動させることを特徴とする請求項4記載の姿勢制御装置。
【請求項15】
前記載置体には、前記被載置物を載置する箇所を含む領域に凹状部が形成されており、
前記姿勢変位手段によって前記載置体に振動を与えることで、前記凹状部に載置された前記被載置物を所望の姿勢に変位させることを特徴とする請求項1乃至13記載の姿勢制御装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、被載置物の姿勢制御装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、製パン工程や製菓工程等において、焼成等の加熱処理を行う場合、生地成形装置にて所定の形状に成形されたパン生地や菓子生地等を、天板やトレイ等の載置体に移送し、加熱処理を施す。
例えば、ロールパンの場合、特許文献1に開示されるように、生地成形装置において、楕円形のシート状パン生地は、紡錘形状にロールされ、さらにこの紡錘形状のパン生地が転圧されながら転動され円柱形状に延ばされる。そして、円柱形状のパン生地は、天板の上方位置に設けられた生地供給装置から、焼成用の天板上に落とし込むように移送され、オーブンで焼成される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、天板等の載置体に移送された、パン生地等の被載置物の姿勢状態によっては、被載置物の見た目が悪くなったり、被載置物に対する後工程で品質にばらつきが生じたりする虞がある。
例えば、後工程で加熱処理をする場合、被載置物の姿勢状態によって、被載置物の焼き上がりの見た目にばらつきが生じる。具体的には、ロールパンのように巻き終わり(所謂、巻尻)があるパン生地の場合、パン生地が生地供給装置から天板に移送された結果、天板上方に向けて巻尻が位置する姿勢状態で、パン生地が天板に載置されることがある。この姿勢状態のままオーブンで焼成されると、巻尻周辺において焼きムラが生じ易く、焼き上がりの見た目が良いとは言えない。一方で、天板の載置面に向けて巻尻が位置する姿勢状態で、オーブンで焼成されると、巻尻周辺において焼きムラは生じ難い。このように、被載置物の姿勢状態によって、後工程で品質にばらつきが生じ得る。
本発明は、上記の点を鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、天板等の載置体に移送された被載置物を、所望の姿勢に変位させる姿勢制御装置を提供することになる。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の姿勢制御装置は、被載置物が載置される載置体と、前記載置体に振動を与えることで、前記被載置物の姿勢を変位させる姿勢変位手段と、を有し、前記姿勢変位手段は、前記載置体に前記被載置物を載置した状態で、前記被載置物を所望の姿勢に変位させることを特徴とする。
【0006】
また、本発明の姿勢制御装置は、前記載置体を搬送軌道に沿って搬送する搬送手段を有し、前記姿勢変位手段は、前記搬送軌道を介して、前記載置体に振動を与えることで、前記被載置物を所望の姿勢に変位させることを特徴とする。
【0007】
また、本発明の姿勢制御装置は、前記載置体を固定する固定手段を有し、前記姿勢変位手段は、前記固定手段を介して、前記載置体に振動を与えることで、前記被載置物を所望の姿勢に変位させることを特徴とする。
【0008】
また、本発明の姿勢制御装置は、前記載置体を搬送軌道に沿って搬送する搬送手段と、前記姿勢変位手段を移動させる移動手段を有し、
前記移動手段は、前記載置体との相対位置が維持されるように、前記姿勢変位手段を前記載置体に追従させて移動させることを特徴とする。
【0009】
また、本発明の姿勢制御装置は、前記載置体を所定の角度に傾斜させる傾斜手段を有し、前記載置体が傾斜された状態で、前記姿勢変位手段によって前記載置体に振動を与えることで、前記被載置物を所望の姿勢に変位させることを特徴とする。
【0010】
また、本発明の姿勢制御装置は、前記被載置物の姿勢を変位させる動きを補助する変位補助手段を有することを特徴とする。
【0011】
また、本発明の姿勢制御装置は、前記変位補助手段は、ローラ及び/又はベルトを有して成ることを特徴とする。
【0012】
また、本発明の姿勢制御装置は、前記ローラ及び/又は前記ベルトの駆動、停止を制御する駆動制御手段を有することを特徴とする。
【0013】
また、本発明の姿勢制御装置は、前記ローラ及び/又は前記ベルトの駆動を停止させ、且つ前記ローラ及び/又はベルトを前記被載置物に接触させることにより、前記被載置物の姿勢の変位を固定することを特徴とする。
【0014】
また、本発明の姿勢制御装置は、前記変位補助手段がローラを有する場合、前記ローラは、糸巻形状、丸棒形状、樽形状の内、何れかの形状を有することを特徴とする。
【0015】
また、本発明の姿勢制御装置は、前記変位補助手段がベルトを有する場合、前記ベルトは、前記載置体の上方に延設されることを特徴とする。
【0016】
また、本発明の姿勢制御装置は、前記被載置物の姿勢を特定する姿勢特定手段を有し、前記姿勢特定手段による特定結果に応じて、前記被載置物が所望の姿勢であると判断することを特徴とする。
【0017】
また、本発明の姿勢制御装置は、前記姿勢特定手段は、前記被載置物の端縁部を特定し、被載置物の姿勢を特定することを特徴とする。
【0018】
また、本発明の姿勢制御装置は、前記移動手段は、前記載置体との相対位置が維持されるように、前記変位補助手段を前記載置体に追従させて移動させることを特徴とする。
【0019】
また、本発明の姿勢制御装置は、前記載置体には、前記被載置物を載置する箇所を含む領域に凹状部が形成されており、前記姿勢変位手段によって前記載置体に振動を与えることで、前記凹状部に載置された前記被載置物を所望の姿勢に変位させることを特徴とする。
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、天板等の載置体に移送された被載置物を、所望の姿勢に変位させることが出来る。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【
図1】パン生地が生地供給装置から姿勢制御装置に搬送される工程の一例を示す図である。
【
図2】姿勢制御装置における姿勢制御される工程の一例を示す図であり、(A)(B)(C)は正面図であり、(D)(E)(F)は上面図である。
【
図3】被載置物を示す(A)は正面図、(B)は側面図である。
【
図4】載置体を示す(A)は平面図、(B)は正面図、(C)は(A)のA-A´矢視断面図である。
【
図6】振動による被載置物の姿勢変位を示し、(A)(B)(C)は側面図である。
【
図7】被載置物の姿勢の変位を示し、(A)(B)(C)(D)は側面図である。
【
図8】第2実施形態に係る姿勢制御装置と製パン工程の一部を実施する装置の概略構成を示す図である。
【
図9】第2実施形態に係る姿勢制御装置を示すブロック図である。
【
図10】第2実施形態である姿勢制御装置の動作を示し、(A)(B)(C)は正面図である。
【
図11】第2実施形態の変形例に係る姿勢制御装置の概略構成を示す図である。
【
図12】第3実施形態に係る姿勢制御装置の概略構成を示す図である。
【
図13】第3実施形態に係る姿勢制御装置を示すブロック図である。
【
図14】変位補助ユニットの概略構成を示す図である。
【
図16】天板に対する加振方向の一例を示す図である。
【
図17】第3実施形態に係る姿勢制御装置の撮像、姿勢の判断及び変位補助処理を示すフローチャートである。
【
図19】第3実施形態の第1変形例に係る姿勢制御装置を示す図である。
【
図20】第3実施形態の第1変形例に係る姿勢制御装置を示す図である。
【
図21】第3実施形態の第2変形例に係る姿勢制御装置を示す図である。
【
図22】第3実施形態の第2変形例に係る姿勢制御装置を示すブロック図である。
【
図23】第3実施形態の第2変形例に係る姿勢制御装置による管理処理を示すフローチャートである。
【
図24】第3実施形態の第2変形例に係る姿勢制御装置による初期状態確認処理を示すフローチャートである。
【
図25】第3実施形態の第2変形例に係る姿勢制御装置による変位補助処理を示すフローチャートである。
【
図26】第3実施形態の第3変形例に係る変位補助ユニットの概略構成を示す図である。
【
図29】第4実施形態に係る姿勢制御装置の概略構成を示し、(A)は正面図、(B)(C)は側面図を示す。
【
図30】第4実施形態の第1変形例に係る姿勢制御装置を示す図である。
【
図31】第4実施形態の第2変形例に係る姿勢制御装置の概略構成を示し、(A)(B)は正面図、(C)(D)は側面図である。
【
図32】第4実施形態の第3変形例に係る姿勢制御装置の概略構成を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下に本発明の実施形態に係る姿勢制御装置10について、図面を参照して説明する。姿勢制御装置10は、載置体12に振動を与えることにより、載置体12に載置された被載置物1を所望の姿勢となるように姿勢制御を行う。
以下の説明では、被載置物1をパン生地Dとし、製パン工程において、姿勢制御装置10をパン生地Dの姿勢制御に適用した形態を例示して説明する。
勿論、姿勢制御の対象である被載置物1は、パン生地Dに限定されるものではない。例えば被載置物1を、菓子生地等の可食生地、粘土等の材料、農産物、機械部品、電気部品、医薬品等に適用し得る。当然ながら、姿勢制御装置10は、製パン工程への適用に限定されるものではなく、姿勢制御の対象となる被載置物1に応じて、製菓工程、製造工程、仕分工程などの各種工程において、姿勢制御装置10は適用され得る。
また、本実施形態における被載置物1の所望の姿勢を、
図6(C)に示すように、パン生地Dの巻尻Deの位置が、載置体12の載置面側に存在する場合を例示する。
勿論、被載置物1における所望の姿勢も、巻尻Deの位置が載置体12の載置面側に存在する姿勢に限定されることはない。
【0023】
尚、実施形態として記載され又は図面に示された構成部品の寸法、材質、形状、その相対的配置等は、本発明の範囲を上記内容に限定する趣旨ではなく、単なる説明例に過ぎない。例えば、「ある方向に」、「ある方向に沿って」、「ある方向に向かって」「平行」、「直交」、「垂直」、「中心」、「同心」或いは「同軸」等の相対的或いは一義的な配置を表す表現は、厳密にそのような配置を表すのみならず、公差、若しくは、同じ機能が得られる程度の角度及び距離をもって相対的に変位した状態も表すものとする。例えば、「同一」、「等しい」、「均等」及び「等密度」等の物事が等しい状態であることを表す表現は、厳密に等しい状態を表すのみならず、公差、若しくは、同じ機能が得られる程度の差、又は、比率が存在した状態も表すものとする。例えば、三角錐、円錐、三角柱及び円柱等の形状を表す表現は、幾何学的に厳密な意味での三角錐、円錐、三角柱及び円柱等の形状を表すのみならず、同じ効果が得られる範囲で、凹凸部及び面取り部、湾曲部、R形状部等を含む形状も表すものとする。一方、一の構成要素を「備える」、「形成される」、「具える」、「具備する」、「含む」、又は、「有する」という表現は、他の構成要素の存在を除外する排他的な表現ではない。
【0024】
また、図面においては、適宜三次元直交座標系としてXYZ座標系を示す。この直交座標系を参照しつつ、各部材の位置関係等について説明する。
図1及び
図2に示すように、X軸は搬送コンベア2による搬送向きに平行となるよう設定されている。Y軸は搬送コンベア2の幅方向と平行となるように設定されている。Z軸は、XY平面に直交する方向と平行となるように設定されている。図中のXYZ直交座標系は、実際にはXY平面を水平面に平行な面に設定し、Z軸を鉛直上方向に設定する。尚、載置体12に載置されるパン生地Dは、パン生地Dのロールの軸方向adをY軸と略平行となすように向きが設定される。
【0025】
また、以下の説明においては、Z軸方向を上下方向とし、Z軸方向の正の側(+Z側)を「上方(Z軸方向上側)」と記し、Z軸方向の負の側(-Z側)を「下方(Z軸方向下側)」と記す。X軸方向を前後方向(長さ方向)とし、X軸方向の正の側(+X側)を「前方」と記し、X軸方向の負の側(-X側)を「後方」と記す。Y軸方向を幅方向とする。又はY軸方向を「側方」と記す。尚、上下方向、上側および下側、前後方向(長さ方向)、前方および後方、幅方向、側方とは、単に説明の為に用いられる名称であって、実際の位置関係及び方向を限定しない。
【0026】
尚、本明細書において、延びる、とは、厳密に軸方向に延びる場合に加えて、軸方向に対して、45°以下の範囲で傾いた方向に延びる場合も含む。また、本明細書において、径方向に延びる、とは、厳密に径方向、即ち、X軸方向に対して垂直な方向に延びる場合に加えて、径方向に対して、45°以下の範囲で傾いた方向に延びる場合も含む。
【0027】
図1から
図7を参照して、本実施の形態に係る姿勢制御装置10について説明する。
図1は、姿勢制御装置10と製パン工程の一部を実施する装置を示した図である。
図1に示すように、姿勢制御装置10の上流側から順に、不図示のコンベアや該コンベアのベルト上方で間隙を存して対向配置される不図示の転圧板(或いは転圧ベルト等)によって構成された転圧装置7と、不図示の一定温度に保たれた室内において、パン生地Dを一定時間かけて移送する発酵装置8と、パン生地Dが載置された載置体12を、姿勢制御装置10に搬送する搬送装置9と、載置体12に振動を与えることにより、パン生地Dを所望の姿勢に変位させる姿勢制御装置10とが配されている。
【0028】
尚、転圧装置7、発酵装置8、搬送装置9は、何れも必須の構成ではない。例えば不図示の生地供給装置を設け、生地供給装置から搬送装置9に存する載置体12へパン生地Dを移送し、搬送装置9から姿勢制御装置10に載置体12を搬送してもよい。他の例として、搬送装置9を設けずに、転圧装置7等から姿勢制御装置10に存する載置体12へ直接パン生地Dを移送してもよい。
【0029】
[パン生地の構成]
パン生地Dは、
図3に示すように、楕円形や円形のシート状のパン生地が、巻き上げられロール形状に成形され、その巻き終わりに巻尻Deが存在する。このロール形状のパン生地Dは、転圧装置7等の生地成形装置で成形される。
【0030】
図3(A)は、パン生地Dのロールの軸方向adと直交する方向からみた正面図である。
図3(B)は、パン生地Dのロールの軸方向adからみた側面図である。
図3(A)に示すように、パン生地Dの巻尻Deは、理想的にはロールの軸方向adにおいて、パン生地Dの外表面の略中央に存在することとなる。また、
図3(B)に示すように、パン生地Dは、側面からみると、略渦巻き形状となっており、最も外側の渦巻きの端部に巻尻Deが存在する。
しかしながら、特に過熱処理前のパン生地Dは柔らかく、不均等な粘着質であり、実際の製パン工程では、巻尻Deの位置は、個々のパン生地Dにおける生地成形工程や、パン生地Dを天板12に移送した時の衝撃等で異なっている。例えば巻尻Deの位置は、パン生地Dの外表面の中央位置から右側に位置したり、左に位置したりする。また、個々のパン生地Dにおける、巻尻Deの略舌状の生地形状は、幅wの広狭、長さlの長短、厚さdの厚薄等に違いが生じ得る。
【0031】
本実施形態のパン生地Dにおける所望の姿勢は、
図6(C)に示すように、パン生地Dの巻尻Deの位置が、載置体12の載置面側に存在する状態をいう。特に巻尻Deの位置が、載置体12と接触している状態をいうが、これに限定されない。例えばパン生地Dを上方(Z軸上側)からみたときに、巻尻Deが見えない状態であればよい。
ここでパン生地Dと載置体12との接触する点をt1、巻尻Deと載置体12との接触点をt2とする。この場合、巻尻Deが載置体12と接触している状態において、パン生地Dは載置体12に対し、t1とt2の二か所で接触する。一方で、
図6(A)(B)に示すパン生地Dの姿勢状態では、パン生地Dは載置体12に対し、t1で接触する。
その為、一般的には、
図6(C)のパン生地Dにおける姿勢状態は、
図6(A)(B)のパン生地Dのものと比較して、載置体12との接触箇所が多くなり、また接触面積も大きくなり易くなり、安定しているといえる。ここで姿勢状態が安定しているとは、載置体12に振動を与えても、パン生地Dが転動等し難いことをいう。
【0032】
[載置体の構成]
載置体12は、
図6に示すように、平板状を成し表面部に被載置物1を載置する。本実施形態においては、載置体12を平板状の天板12として説明するが、勿論これに限定するものではない。少なくとも被載置物1を所定位置で受け止め得るものであれば、略皿状、略トレイ状(盆状)、略盤状等のものであってもよい。載置体12の形状、サイズ、材質等は、被載置物1の形状、サイズ、材質等に応じて適宜決定され得る。
【0033】
また、姿勢制御装置10が、後述する天板12に振動を与えてパン生地Dを所望の姿勢に変位させるに当り、天板12に凹状部を形成し、この凹状部内において、パン生地Dの姿勢制御をしてもよい。パン生地Dは、振動により浮き上がっても、凹状部の段差(深さ)を乗り越え難くなる。即ち、天板12からパン生地Dが飛び出し難くなる。
例えば、
図4に示す、天板30は、平板状の表面部の中央部を窪ませて成る凹状部32を設けた点が天板12と相違する。凹状部32は、その縁部によって囲繞される空間にパン生地Dが収まり且つ該空間内でパン生地Dが転動し得るような広さを有する。この場合、後述する発酵装置8から排出されたパン生地Dは、凹状部32によって画定される領域内に載置されるようにする。
【0034】
天板30は、その中央部に略平坦状の底面を具える凹状部32が形成され、凹状部32の底面よりも高い位置(Z軸方向上側)にツバ状の外縁部33が形成されている。外縁部33は、
図4(C)に示すように、凹状部32の底面から所定の高さhの位置にあり、後述する固定部15(クランプ部等)に掴まれ易くなっている。ここで、底面は略平坦上としているが、その表面は平滑状であっても摩擦性を有していてもよく、例えば微妙な凸凹を有するものであってもよい。こうすることでパン生地Dと天板30の底面との接触面積を低減したり、パン生地Dの滑りを抑制して姿勢を変異させ易くしたりすることが出来るようになる。
【0035】
尚、載置体12に設ける凹状部32は一つに限定されず、複数の凹状部を載置体12に設けてもよい。例えば
図18は、凹状部32を複数有する天板40を示す図であり、天板40は、複数の凹状部32を有し、各凹状部32にパン生地Dを載置させることが出来る。
【0036】
尚、凹状部32の凹状の深さ、形状、サイズ等は、被載置物1の形状やサイズ、振動発生部5が与える振動の大きさ(振幅)や周波数、加振方向等に応じて適宜設定することが出来る。尚、載置体30の凹状部32の深さが既に決まっている場合や、凹状部32の深さに制限がある場合には、後述する姿勢変位部50b等は、振動により浮き上がる被載置物1が、少なくとも凹状部32を乗り越えない程度の振動になるよう、振動発生部5を制御する必要がある。
【0037】
図1に戻り、天板12は、鉄製の芯材の表面にテフロン加工を施すことで、パン生地Dの粘着が抑制される。特に製パン工程等において、焼成等の加熱処理が施される前の状態、例えば発酵工程等の段階におけるパン生地Dは、粘着性が高く、柔らかい場合が多い。その為、天板12の載置面に付着し易くなっている。従って、天板12の載置面は、パン生地Dとの付着性を低減し、或いは剥離性を向上させる加工が施されていることが好ましい。
【0038】
天板12は、パン生地Dを姿勢制御装置10に搬送する為のコンベア等の搬送手段上に存しており、発酵装置8から排出されたパン生地Dを受け止め可能な位置に配される。
【0039】
[転圧装置の構成]
転圧装置7は、楕円形や円形のシート状パン生地を搬送しつつ、転圧回転させてロール状に成形する装置である。転圧装置7は、ロール状にしたパン生地Dを、発酵装置8のバケットbtに排出する。パン生地Dの排出方法としては、例えば転圧装置7から発酵装置8のバケットbtに落下させる等の方法があり得る。
【0040】
[発酵装置の構成]
発酵装置8は、パン生地Dの発酵を促進等させる装置である。発酵装置8は、バケットbtにパン生地Dを収容した状態で、コンベア等によりバケットbtを移送し、搬送装置9の搬送コンベア24或いはローラ上に存する天板12にパン生地Dを排出する。パン生地Dの排出方法としては、例えば底部に開閉機構が設けられたバケットbtを用いて、排出位置に到達した時に、バケットbtの底部を解放し、パン生地Dを天板12に落下させる等の方法があり得る。
【0041】
[搬送装置の構成]
搬送装置9は、パン生地Dを載置する天板12を、コンベア等により姿勢制御装置10に搬送する装置である。搬送装置9は、発酵装置8から排出されたパン生地Dを受け止め可能な位置に天板12を配している。搬送装置9は、不図示の検知センサ等を用いて、天板12にパン生地Dが移送されたことを検知して、コンベアにより天板12を姿勢制御装置10に搬送する。
【0042】
[姿勢制御装置の構成]
姿勢制御装置10は、
図2に示すように、天板12を搬送する搬送コンベア2等の搬送部と、天板12に振動を与える振動発生部5と、振動発生部5を昇降駆動する昇降ユニット55と、天板12の有無を検知するセンサs1、s2と、パン生地Dを撮像する撮像部45を有する。又、詳細は後述するが、姿勢制御装置10は、
図5に示すように、装置全体を統括的に制御する制御ユニット50により搬送コンベア2、振動発生部5、昇降ユニット55等は制御される。
【0043】
姿勢制御装置10は、搬送コンベア2により、パン生地Dが載置された天板12を、振動発生部5が配された位置に搬送し、パン生地Dを所望の姿勢に変位させた後、後工程を実施する装置に搬送する。
【0044】
[搬送コンベアの構成]
図2(A)及び(D)に示すように、搬送コンベア2(搬送手段)は、チェーンコンベアであり、駆動ユニット28と、該駆動ユニット28等の支持や天板12の搬送軌道26を構成するフレーム25を有する。駆動ユニット28は、無端状の一対のチェーン27(27a、27b)と、駆動スプロケット28a及び従動スプロケット28bと、駆動スプロケット28aを駆動及び停止させる駆動モータMを有する。チェーン27は樹脂製やスチール製等を用いるが、これに限定されない。尚、搬送コンベア2は、チェーンコンベアに限定されない。例えばベルトコンベア方式であってもよい。この場合、駆動ユニット28は、無端状の一対の搬送ベルトと、駆動用のプーリ及び従動用のプーリと、駆動用のプーリを駆動及び停止する駆動モータMとなる。搬送ベルトは、樹脂製、スチール製、ゴム製等を用いることが出来る。
詳細は後述するが、搬送コンベア2の駆動ユニット28は、制御ユニット50(制御部50d)からの駆動指示に従い、駆動モータMを駆動及び停止させる。
【0045】
尚、例えば、チェーン27や搬送ベルトに、天板12を固定する係合フック等の係合部を設けてもよい。これにより、天板12を固定した状態で振動を与えることが出来る。
【0046】
[振動発生部の構成]
振動発生部5は、天板12に振動を与える為に、搬送コンベア2の上面側(即ち、天板12が搬送される搬送軌道26)において、チェーン27aと27bとの間に配されている。振動発生部5は、例えば磁界中でコイルに電流を流すことにより生じる力を利用し、振動を発生させる導電型の振動発生器を用いることが出来る。
【0047】
振動発生部5は、水平方向、垂直方向の二軸に加振することが出来、例えば天板12に対し楕円振動や正円振動を与えることが可能である。振動発生部5の加振の方向は、パン生地Dのロールの軸方向adを中心に転動し易くする方向に適宜設定されることとなる。
【0048】
例えば、パン生地Dのロールの軸方向adが、搬送向き(X軸)と直交して天板12に載置されている場合、振動発生部5の加振の方向を、水平方向をX軸方向とし、垂直方向をZ軸方向とするのが好ましい。
他の例として、パン生地Dのロールの軸方向adが、搬送向き(X軸)と平行して天板12に載置されている場合、振動発生部5の加振の方向を、水平方向をY軸方向とし、垂直方向をZ軸方向とするのが好ましい。
【0049】
尚、振動発生部5の加振の方向は二軸に限定されない。一軸や三軸等に加振可能な振動発生部5を用いてもよい。例えば加振方向が一軸の場合は、加振方向を水平方向(X方向又はY方向)、鉛直方向(Z方向)、天板12に対して垂直方向等に設定することが出来る。
【0050】
尚、加振方向が一軸の場合は、例えば振動発生器5を傾斜させて、天板12に対し、平行方向の成分及び垂直方向の成分を与えるように加振することが好ましい。例えばパン生地Dのロールの軸方向adが、搬送向き(X軸)と直交して天板12に載置されている場合、天板12を、その搬送向き(X軸)の斜め前方(X軸方向の正の側且つZ軸方向)又は斜め後方(X軸方向の負の側且つZ軸方向)に加振することにより、パン生地Dのロールの軸方向adを中心に転動し易くなる。例えば、
図16に示すように、天板12に載置されたパン生地Dを、後述する変位補助ユニット6に当接するように、X軸方向の正の側且つZ軸方向の正の側に加振させる。
勿論、振動発生器5を傾斜させずに、天板12等を傾斜させることで、天板12に対し、平行方向の成分及び垂直方向の成分を与えるように加振してもよい。
【0051】
尚、振動発生部5は、導電型振動発生器に限らず、カムやクランク機構を介したモータを使用したり、偏芯したおもりをつけたモータを回転し、その遠心力によって振動を発生させるタイプアンバランスマス型、ピストンを油圧によって駆動し、振動を発生させる油圧型等を用いることが出来るが、これに限られない。
【0052】
振動発生部5は、制御ユニット50(姿勢変位部50b)からの指示に応じて、正弦波、ランダム波、ショック波などの種々の形式で振動を与えることが可能である。詳細は後述するが、振動発生部5は、天板12に対し楕円振動等を与える。尚、振動には、揺動(振動と比較して、長い周期と大きな振幅)を含むものとする。
【0053】
[昇降ユニットの構成]
昇降ユニット55は、振動発生部5を昇降駆動する機構である。例えば昇降駆動方式として、電動式や油圧シリンダ式を用いることが出来るが、これに限らない。
電動式の昇降ユニット55として、例えば電動スクリューシリンダ式を用いる場合は、制御ユニット50(制御部50d)からの駆動指示に従い、不図示のボールネジをモータで回転させ、ナットを移動させる。このナットの移動により、振動発生部5を昇降させる。
【0054】
昇降ユニット55は、制御ユニット50(制御部50d)からの上昇駆動の指示により、振動発生部5を上昇させ天板12に接する状態とする。また、制御ユニット50(制御部50d)からの下降駆動の指示により、振動発生部5を天板12から離間させる状態とする。
尚、必ずしも昇降ユニット55は必要ではない。例えば搬送軌道26において振動発生部5が配された場所に、天板12が位置する状態で、振動発生部5と天板12は接するように構成してもよい。
【0055】
他にも、電動式の昇降ユニット55として、例えば油圧シリンダ式を用いる場合、制御ユニット50(制御部50d)からの上昇駆動の指示により、ポンプを用いて高圧の作動油をシリンダに送り込み、シリンダの推力によって振動発生部5を上昇させ、天板12と接する状態とする。また、制御ユニット50(制御部50d)からの下降駆動の指示により、電磁弁を解放し、シリンダ内の作動油を抜き振動発生部5の質量等で振動発生部5を下降させ、振動発生部5を天板12から離間させる状態にさせてもよい。
【0056】
[検知センサの構成]
検知センサs(s1、s2)は、天板12等の有無を検知するセンサである。検知センサsとして反射型の光電センサを用いているが、透過型の光電センサを用いてもよく、また、光電センサに代えて、近接センサなどを用いることも出来る。
検知センサs1は、パン生地Dを載置した天板12が、搬送装置9から姿勢制御装置10に搬送されたことを検知する為に用いる。その為、搬送コンベア2の入り口(上流側)の近辺に配される。尚、検知センサs1を搬送装置9の出口(下流側)に配してもよい。また、検知センサs2は、パン生地Dを載置した天板12が、振動発生部5の位置に存することを検知する為に用いる。その為、振動発生部5の位置の近辺に配される。
【0057】
検知センサs1、s2は、それぞれ配された位置で、天板12を検知すると、制御ユニット50(制御部50d)にその旨を通知する。
【0058】
尚、後述する撮像部45を配する場合は、検知センサs1及び又はs2を用いずに、撮像部45の画像データに基づいて、振動発生部5の位置にパン生地D等が存することを検知してもよい。
【0059】
尚、搬送コンベア2の出口(下流側)に、不図示のセンサs3を配してもよい。例えば検知センサs3で天板12を検知したことを条件に、搬送装置9から次の天板12を受け入れる為の準備ができたと判断してもよい。他にも天板12等の有無を検知する検知センサの個数や、検知センサの設置場所は、特に限定されない。
【0060】
[撮像部の構成]
撮像部45は、パン生地Dが所望の姿勢に変位したか否かを判断する為に用いることが出来る。撮像部45は、レーザーやCCD、カメラ等の光学受像装置であり、
図2に示すように、パン生地Dを上方(Z軸方向上側)から撮影し得るように、撮像部45をパン生地Dに対しZ軸方向の延長線上で、光軸をZ軸と略平行となるように配置する。
本実施形態においては、振動発生部5の上方(Z軸方向上側)に天板12を位置させて、パン生地Dを所望の姿勢に変位させる。その為振動発生部5の上方に撮像部45を配し、パン生地の姿勢の状態を撮像する構成を採用している。しかしながら、撮像部45の配置場所は、振動発生部5の配置場所に限定されることはない。撮像部45の配置は、少なくともパン生地Dを所望の姿勢に変位する状況を撮像出来る場所であればよい。
【0061】
また、撮像部45の配置場所は、パン生地Dの上方に限定されることはない。パン生地Dの所望の姿勢を画像認識するのに適した画像データを取得出来る場所に配置すればよい。例えば、パン生地Dのロールの軸方向(
図3(B))の画像データを用いて、画像認識する場合には、パン生地Dのロールの軸方向adが、搬送向き(X軸)と直交して天板30に載置されている場合、Y軸方向から撮像し得るように、撮像部45をパン生地Dに対してY軸方向の延長線上で、光軸をY軸に略平行となるように配置すればよい。又は、パン生地Dのロールの軸方向adが、搬送向き(X軸)に平行して天板12に載置されている場合、撮像部45をパン生地Dに対してX軸方向の延長線上で、光軸をX軸に略平行となるように配置すればよい。
【0062】
尚、撮像部45の向きは、少なくともパン生地Dを所望の姿勢に変位する状況を撮像し得るように設置されていればよい。従って撮像部45の光軸をX軸、Y軸或いはZ軸に対して傾斜させた向きに撮像部45を配することもあり得る。
【0063】
また、パン生地Dを撮像する為の撮像部45の個数は、一台に限定されるものではなく適宜設定し得る。従って、複数台の撮像部45によって種々の方向から撮像するようにすることもあり得、パン生地Dを上方及び側方から撮像するように、複数の撮像部45を配してもよい。
【0064】
尚、撮像部45は、常に撮像状態を維持していても良いし、姿勢変位するパン生地Dが存する場合のみ撮像開始し、パン生地Dが存しない場合は撮像を停止しても良い。又、センサ等を用いて、姿勢変位対象となるパン生地Dが接近したことを検知した時に、撮像を開始しても良い。
【0065】
撮像部45から出力される画像は、巻尻を確実に検出する為にカラー画像とするが、勿論これに限定されるものでは無い。少なくとも巻尻Deを検知し得るものであれば、グレースケール画像やモノクロ画像等であってもよい。
【0066】
[パン生地を所望の姿勢に変位させる制御例]
図2及び
図6を用いて姿勢制御装置10の動作を説明する。
姿勢制御装置10(制御部50d)は、搬送コンベア2により、パン生地Dを載置した天板12を搬送し、センサ等により振動発生部5の位置に存することを検知すると、天板12の搬送を停止させる(
図2(A)(D))。
【0067】
姿勢制御装置10(制御部50d)は、昇降ユニット55に上昇駆動を指示し、振動発生部5を天板12に接する状態にする(
図6(A))。この状態で、振動制御装置10(姿勢変位部50b)は、振動発生部5に対し、天板12に対し楕円振動等を与える指示を出す(
図2(B)(E))。
【0068】
振動発生部5は、所定の時間、天板12に対して楕円振動等を与えることにより、パン生地Dは徐々に転動する(
図6(B))。
【0069】
パン生地Dが所望の姿勢となった時は、これ以上の振動が加えられても安定した姿勢(例えば巻尻Deが天板12に当接している姿勢)なので、転動しない(
図6(C))。
尚、被載置体が、稀に継続的に姿勢を変位させてしまう様な転動傾向がある場合には、所望の姿勢であると判断した時点で、後述する姿勢変位固定手段によって、姿勢を固定するように構成してもよい。
尚、姿勢制御装置10(姿勢特定部50c及び制御部50d)は、撮像部45が撮像したパン生地Dの画像データから、巻尻Deの位置が天板12の載置面側に在るかを判断してもよい。この場合、姿勢制御装置10(制御部50d)は、巻尻Deの位置が天板12の載置面側に在ると判断した場合には、振動発生部5への振動動作を停止させる。
【0070】
姿勢制御装置10(姿勢変位部50b及び制御部50d)は、後述する姿勢変位時間の間、振動動作をさせ又は巻尻Deの位置が天板12の載置面側に在ると判断した場合、昇降ユニット55に下降駆動を指示し、振動発生部5と天板12を離間する状態にし、パン生地Dを載置した天板12の搬送を再開する(
図2(C)(D))。
【0071】
[姿勢制御装置の制御構成]
図5は、姿勢制御装置10の制御系のブロック図であり、姿勢制御装置10は、装置全体を統括的に制御する制御ユニット50を具え、制御ユニット50には振動発生部5と、昇降ユニット55と,搬送コンベア2と、検知センサsと、撮像部45等が接続される。
【0072】
[制御ユニットの構成]
制御ユニット50は、CPU、RAM、ROM等の記憶装置、及び入出力インターフェース等により構成されている。制御ユニット50は、記憶部50aと、姿勢変位部50b(姿勢変位手段)と、姿勢特定部50c(姿勢特定手段)と、制御部50d(制御手段)とを有している。
【0073】
尚、姿勢制御装置10が姿勢制御の対象として、例えば
図18に示す天板40に載置される複数のパン生地Dとする場合、姿勢制御装置10の姿勢特定部50c等は、撮像部45で撮像された画像データに対して、短時間でAIによる画像認識等の処理を実行する必要がある。その為、エッジコンピューティングの環境を構築してもよい。この場合、通信負荷や遅延の発生を軽減する為に、撮像部45等の装置の近い場所にエッジサーバを分散配置し、各エッジサーバにおいて姿勢特定部50c等で行う処理を実行させてもよい。この場合、画像データや機械学習による学習済みモデル等はエッジサーバの記憶部50a等に格納される。
【0074】
[記憶部の構成]
記憶部50aは、記憶装置によって構成され、制御部50を動作させる為の命令を含む各種制御プログラムや学習済みモデル等(後述する姿勢特定部50c)の設定を行う為の学習結果データ、及び制御部50dによる制御結果等を記憶している。
【0075】
[姿勢変位部の構成]
姿勢変位部50bは、振動発生部5に対し振動動作を指示することで、天板12に対し、振動を与え、天板12に載置されたパン生地Dを所望の姿勢に変位させる。振動発生部5は、姿勢変位部50bからの指示に基づき、例えば天板12に対して楕円振動を与えることとなる。尚、天板12に対して与える振動は、楕円振動に限らない。例えば鉛直方向の振動、正円振動、天板12のパン生地Dを載置する面と直交方向の振動の何れかの振動を与えてもよく、これらの何れかを組合わせた振動等を与えてもよい。尚、振動には、揺動(振動と比較して、長い周期と大きな振幅)を含むものとする。
【0076】
姿勢変位部50bは、制御部50dから振動動作の開始指示を受け付けると、振動発生部5に対して振動動作を開始する。また、姿勢変位部50bは、制御部50dから振動動作の停止指示を受け付けると、振動発生部5に対して振動動作を停止させる。
【0077】
尚、本実施形態において、撮像部45により撮像された画像データを用いて、パン生地Dが所望の姿勢に変位したか否かを判断したが、必ずしもこの判断は必要でなはない。
例えば、予め、パン生地Dが所望の姿勢に変位するのに要する時間を調べ、該時間を姿勢変位時間として記憶部50a等に記憶しておく。制御部50dは、制御信号により、姿勢変位部50bに対し、振動動作の開始を指示し、姿勢変位時間に達した時に振動動作の停止を指示してもよい。
例えば、この姿勢変位時間中に、振動発生部5の振動動作により、パン生地Dが所望の姿勢(例えば
図6(C)に示す巻尻Deが天板12に当接している姿勢)になった時は、以降、振動が加えられても安定した姿勢(パン生地Dの転動しない姿勢)で維持される。従って、画像データを用いて、パン生地Dが所望の姿勢に変位したか否かを判断する必要はなくなる。
【0078】
[姿勢特定部の構成]
姿勢特定部50cは、天板12に載置されたパン生地Dが所望の姿勢に変位したか否かを判断する為に、撮像部45により撮像された処理対象領域の画像データに基づき、該処理対象領域内に存するパン生地Dの巻尻Deを特定するように構成されている。
図2に示すように、パン生地Dを上方(Z軸上側)から撮影した場合に、制御部50dが、撮像部45から、例えば
図3(A)に示されるパン生地Dを含む画像データを取得したとする。姿勢特定部50cは、この画像データから、DL(Deep Learning)等のAIを用いた画像認識により略舌形状の巻尻Deを抽出する。姿勢特定部50cは、巻尻Deを抽出の有無について、制御部50dに伝える。尚、姿勢特定部50cは、巻尻Deを抽出した又は否かの一方の結果だけを制御部50dに伝えてもよい。
【0079】
尚、上記検知センサs1、s2の代わりとして、撮像部45により撮像された画像データを用いることが出来る。例えば撮像部45により撮像された処理対象領域の画像データに基づき、該処理対象領域内にパン生地Dが存するか否を特定し、パン生地Dの有無について、制御部50dに伝えてもよい。
【0080】
[制御部の構成]
[搬送コンベアの駆動制御]
制御部50dは、搬送コンベア2の駆動ユニット28に対し、駆動指示をすることにより、駆動モータMを駆動及び停止させる。
制御部50dは、センサs1から天板12を検知した旨の通知を受けると、駆動ユニット28の駆動モータMに駆動指示を出し、パン生地Dを載置した天板12を搬送する(
図2(A)(D))。
次に、制御部50dは、センサs2から天板12を検知した旨の通知を受けると、駆動ユニット28の駆動モータMに停止指示を出し、天板12を振動発生部5の位置で停止させる(
図2(B)(E))。
そして、制御部50dは、パン生地Dを所望の姿勢に変位する制御が完了すると、駆動ユニット28の駆動モータMに駆動指示を出し、所望の姿勢に変位したパン生地Dを載置した天板12を、姿勢制御装置10から後工程の装置へ搬送する(
図2(C)(F))。
【0081】
[昇降ユニットの駆動制御]
制御部50dは、昇降ユニット55に対し、駆動指示を出し、振動発生部5を昇降させる。制御部50dは、センサs2から天板12を検知した旨の通知を受けると、昇降ユニット55に対し上昇駆動の指示を出し、振動発生部5を上昇させる。これにより、振動発生部5は、天板12と接する状態になる。
【0082】
制御部50dは、後述する姿勢変位部50bによる振動発生部5への振動動作を停止させた後や振動発生部5の位置に天板12が存しない場合(センサs2が天板12を検知していない状態に変化した場合)には、昇降ユニット55に対し、下降駆動の指示を出し、振動発生部5を下降させ、振動発生部5を天板12の搬送の邪魔にならないようにする。
【0083】
[所望の姿勢か否かの判断制御]
制御部50dは、姿勢特定部50cによる巻尻Deの抽出結果に応じた制御を行う。例えば、パン生地Dの所望の姿勢として、パン生地Dの巻尻Deが、天板12の載置面側に位置している状態とする。また、パン生地Dの上方(Z軸上側)に配した一台の撮像部45からの画像データを用いて、所望の姿勢か否かを判断する場合は、パン生地Dを上方(Z軸上側)から視た時に、巻尻Deが見えない位置にあるか否かで判断又は推定することが出来る。
この場合、制御部50dは、姿勢特定部50cから、巻尻Deを抽出した旨の結果を受けた時は、巻尻Deは上方(Z軸上側)に位置しており、巻尻Deが載置面側に位置していないといえる。従って、制御部50dは、パン生地Deが所望の姿勢ではないと判断し、姿勢変位部50bによる振動発生部5への振動動作を継続させる。
一方、制御部50dは、姿勢特定部50cから、巻尻Deを抽出しなかった旨の結果を受けた時は、巻尻Deが載置面側に位置しているものと推定出来る。従って、制御部50dは、パン生地Deが所望の姿勢であると判断し、姿勢変位部50bによる振動発生部5への振動動作を停止させる。
【0084】
尚、他の例として、パン生地Dの側面(Y軸方向)から撮影した画像データから巻尻Deを抽出してもよい。この場合、例えば、
図7に示されるパン生地Dを含む画像データを取得したとする。姿勢特定部50cは、この画像データから上述と同様に、AI画像認識により、パン生地の最も外側に形成された渦巻きの端部に巻尻Deを抽出し、パン生地Dの巻尻Deが所望の位置に存在するか否かを特定する。
そして、制御部50dは、姿勢特定部50cからパン生地Dの巻尻Deが所望の位置に存する旨の結果を受けた時にパン生地Dは所望の姿勢であると判断する。
【0085】
この場合、パン生地Dを、そのロールの軸方向に沿った縦断方向からパン生地Dを撮像するので、転動するパン生地Dの巻尻Deを略常時撮像出来る。従って、転動させながらも巻尻Deの位置を略正確に把握出来る為、巻尻Deが所望の位置に存在するか否かをより精確に判断することが出来る。
【0086】
パン生地Dの巻尻Deが所望の位置に存するか否かは、例えば天板12からの巻尻Deの高さhで判断してもよい。この場合、予め基準の高さhrを設定しておく。姿勢制御部50cは、巻尻Deの高さhが、hrより小さければ、巻尻Deが所望の位置に存在すると判断する。
例えば、
図7に示されるパン生地DをAI画像認識した結果、巻尻Deの高さhと基準hrの関係が、h4<h3<hr<h2<h1であった場合は、
図7(C)と(D)におけるパン生地Dの巻尻Deは、所望の位置に存すると判断されることになる。
【0087】
制御部50dは、姿勢特定部50cからの特定結果を受け、パン生地Dが所望の姿勢に変位したと判断した場合には、姿勢変位部50bによる振動発生部5への振動動作を停止させる。一方、制御部50dは、姿勢特定部50cからの特定結果を受け、パン生地Dが所望の姿勢に変位していないと判断した場合には、姿勢変位部50bによる振動発生部5への駆動動作を継続させる。
【0088】
尚、上記巻尻Deが所望の位置に存するか判断する他の例として、姿勢制御部50cは、天板12からパン生地Dの高さHを特定し、その半分の高さRを算出する。そして姿勢制御部50cは、天板12からの巻尻Deの高さhが、高さRより小さければ、巻尻Deが所望の位置に存すると判断してもよい。
図7に示されるパン生地DをAI画像認識した結果、巻尻Deの高さhと高さRの関係が、h3,h4<Rであった場合は、
図7(C)と(D)におけるパン生地Dの巻尻の位置が、所望の位置に判断されることになる。
【0089】
尚、巻尻Deが所望の位置に存在するか否かを判断する方法は、上記方法に限定されることなはない。被載置物1の形状や、被載置物1の所望の姿勢の状態等に応じて、適宜判断方法を決めることが出来る。勿論、撮像部45の数等を増やすことにより、判断精度を高めることも出来る。
【0090】
[第2実施形態]
図8は、第2実施形態に係る姿勢制御装置210と製パン工程の一部を実施する装置の概略構成を示す図である。
【0091】
本発明の第2実施形態である姿勢制御装置210について説明する。
第1実施形態と同様に、被載置物1をパン生地Dとし、製パン工程において、姿勢制御装置210をパン生地Dの姿勢制御に適用した形態を例示して説明する。勿論、第1実施形態と同様に姿勢制御の対象である被載置物1は、パン生地Dに限定されるものではない。以下、詳細を説明する。
尚、第2実施形態では、第1実施形態と同様の構成要素には第1実施形態と同一の符号を付して詳細な説明を省略する。
【0092】
第1実施形態と異なる点は、第1実施形態における姿勢制御装置10は、搬送コンベアを有していたが、第2実施形態における姿勢制御装置210は、姿勢制御装置自体に搬送コンベアを有しない点である。また、第2実施形態では天板30を用いている点で異なる。
【0093】
図8に示すように、後工程を実施する装置に天板30を搬送する搬送装置9と、パン生地Dを所望の姿勢に変位させる姿勢制御装置210とが配される。第2実施形態における姿勢制御装置210は、例えば工場に設置済みの搬送装置9等で搬送される天板30上のパン生地Dに対して姿勢制御を行うこと可能である。
【0094】
[搬送装置の構成]
搬送装置9は、第1実施形態と同様に、上流に配された前工程の装置(例えば、不図示の生地供給装置等)から排出されたパン生地Dを受け止めた天板30を、下流に配された後工程の装置に搬送する。
姿勢制御装置210は、搬送装置9の上方(Z軸方向上側)に配されており、上方から天板30を固定部15で固定し、天板30に振動を与えることにより、パン生地Dを所望の姿勢に制御する。
【0095】
[姿勢制御装置の構成]
姿勢制御装置210は、
図8に示すように、姿勢変位ユニット3と、天板30の有無を検知するセンサs(s201)と、パン生地Dを撮像する撮像部45を有する。
【0096】
[姿勢制御装置の制御構成]
図9は、姿勢制御装置210の制御系のブロック図であり、姿勢制御装置210は、装置全体を統括的に制御する制御ユニット250を具え、制御ユニット250には姿勢変位ユニット3、検知センサs、撮像部45等が接続される。また、姿勢変位ユニット3を介して、振動発生部205、固定部15、伸縮部19a、可動部18(移動手段)が接続される。
【0097】
制御ユニット250は、第1実施形態と同様、CPU、RAM、ROM等の記憶装置、及び入出力インターフェース等により構成されている。制御ユニット250は、記憶部250aと、姿勢変位部250b(姿勢変位手段)と、姿勢特定部250c(姿勢特定手段)と、制御部250d(制御手段)とを有している。
【0098】
[姿勢変位ユニットの構成]
姿勢変位ユニット3は、
図8に示すように、本体部17、天板30に振動を与える振動発生部205、天板30を固定する固定部15、固定部15を天板30に接近離間可能とする伸縮部19(19a)、搬送コンベア200と平行して延在するレール14、レール14に沿って移動可能な可動部18等を有する。また、姿勢変位ユニット3には、制御ユニット250(制御部250d)からの制御信号に従って可動部18を移動させる移動機構等が含まれる。このような可動部18によって、姿勢変位ユニット3のX方向に沿ったスライド移動を行うことが出来る。
【0099】
姿勢変位ユニット3は、搬送コンベア200の上方(Z軸方向上側)に配されている。姿勢変位ユニット3は、搬送コンベア200に存する、パン生地Dを載置する天板30に対して振動を与えることにより、パン生地Dを所望の姿勢に変位させる。
【0100】
尚、本実施形態においては、姿勢変位ユニット3を搬送コンベア200の上方(Z軸方向上側)に配しているがこれに限定されない。例えば搬送コンベア200の側方や、搬送コンベア200の下方(Z軸方向下側)に配してもよい。
【0101】
[振動発生部の構成]
振動発生部205は、本体部17に設けられ、例えば磁界中でコイルに電流を流すことにより生じる力を利用し、振動を発生させる導電型の振動発生器を用いることが出来る。振動発生部205は、第1実施形態の振動発生部5と同様に、姿勢変位部250bからの指示に応じて、正弦波、ランダム波、ショック波などの種々の形式で振動を与えることが可能である。振動発生部205は、水平方向、垂直方向、鉛直方向、楕円振動、正円振動、天板12のパン生地Dの載置面と直交方向の振動の何れかの振動を与え、又はこれらの何れかを組み合わせた振動等を与える。尚、振動発生部205は導電型に限らず、タイプアンバランスマス型、油圧型、その他の振動機構を含めて用いることが出来る。
尚、姿勢変位部250bは、制御部250dから振動動作の開始指示を受け付けると、振動発生部205に対して振動動作を開始する。また、姿勢変位部250bは、制御部250dから振動動作の停止指示を受け付けると、振動発生部205に対して振動動作を停止させる。
【0102】
[固定部の構成]
固定部15(固定手段)は、例えばクランプ部であり、天板30の外縁部33を固定する。固定部15は、制御ユニット250(制御部250d)からの制御信号に応じて、モータ等を駆動し、クランプ部の開閉を行う。
尚、固定部15は、天板30の外縁部33を爪状部材やロボットハンド等でクランプやチャック等により掴むものや、真空吸着や永久磁石・電磁石によるマグネットグリッパー等で天板30を吸着するものであってもよい。駆動源は、電動、圧縮エアー、真空エアー、油圧、ロボット動作等を用いることが出来る。
尚、固定部15により、天板30が固定される場所は、外縁部33に限らずパン生地Dを載置する場所以外の表面部であれば特に限定されない。
尚、固定部15は、少なくとも天板30に対して、振動を与えることが出来る程度に固定できていればよい。
尚、振動発生部205による振動を、天板30に対して与える為に、必ずしも固定部15を用いる必要はない。例えば、姿勢ユニット3に、天板30と接する接触部材を設け、該接触部材により天板30に対し、振動発生部205による振動を与えてもよい。
【0103】
[伸縮部の構成]
伸縮部19(19a)は、例えばモータ等で伸縮駆動するアーム部である。伸縮部19aは、Z方向に伸縮し得ることで固定部15を移動させる昇降機構として機能する。伸縮部19aは、その基端側に本体部17が接続されており、先端側に固定部15が接続されている。
伸縮部19aは、制御ユニット250(制御部250d)からの制御信号に応じて、伸縮する。伸縮部19aが伸びる時は、固定部15は天板30に接近し、伸縮部19aが縮む時は、固定部15は天板30から離間する。
伸縮部19aは、固定部15が、パン生地Dに接触しないようにパン生地Dの高さよりも上方で待機する(待機状態)。
駆動方式はモータ等の電動式に限らず、油圧式など伸縮駆動する方式であればよい。
尚、本実施形態においては、伸縮部19aは、Z方向に伸縮し得るが、伸縮方向はZ方向に限らない。例えば、天板30を側方(Y方向)から固定する為に、固定部15をY方向に移動させる伸縮機構としてもよい。
【0104】
[レールの構成]
レール14は、搬送コンベア200と平行して延在する。レール14は、搬送コンベア200の上方(Z軸方向上側)に配されているが、これに限らない。例えば、搬送コンベア2の側方(Y軸方向)であって、搬送コンベア200と平行(X軸方向)して延在させてもよい。また、搬送コンベア200の下方(Z軸方向下側)に配してもよい。
【0105】
[可動部の構成]
可動部18は、本体部17に設けられ、姿勢変位ユニット3をレール14に沿って変位可能に保持する。可動部18は、姿勢制御装置210(制御部250d)からの制御信号に応じて、搬送コンベア200によって搬送される天板12に対して相対位置を維持しながら移動し得る。尚、可動部18は、必須の構成ではない。この場合、レール14も不要となる。
【0106】
[検知センサの構成]
検知センサs(s201)は、第1実施形態と同様に、天板12等の有無を検知するセンサである。本実施形態においては、検知センサs201は、姿勢変位ユニット3の下方(Z軸方向下側)に、パン生地Dが載置された天板12が存するか否かを検知し、その検知結果を姿勢制御装置210(制御部250d)に通知する。
尚、検知センサs201の配置場所は、特に限定されず、例えば搬送装置9に配置してもよい。又、天板12等の有無を検知する検知センサの個数は、1つに限らず、必要に応じて配置することが出来る。
尚、後述する撮像部45を配する場合は、検知センサs201を用いずに、撮像部45の画像データに基づいて、姿勢変位ユニット3の下方に、パン生地D等が存することを検知してもよい。
【0107】
[撮像部の構成]
撮像部45は、第1実施形態と同様に、パン生地Dが所望の姿勢に変位したか否かを判断する為に用いることが出来る。本実施形態においては、パン生地Dのロールの軸方向adから撮像し得るよう、パン生地Dに対してY軸方向の延長線上で、光軸をY軸に略平行となるように配置されている。撮像部45は、姿勢変位ユニット3に設けられおり、姿勢変位ユニット3と共にレール14に沿って変位し、パン生地Dの姿勢状態を撮像する。尚、撮像部45を姿勢変位ユニット3に設けない場合には、撮像部45の配置場所を調整したり、複数の撮像部45を用いたりすることで、パン生地Dの姿勢が変位している状態を撮像してもよい。
【0108】
[パン生地を所望の姿勢に変位させる制御例]
図8、
図9及び
図10を用いて姿勢制御装置210の動作を説明する。
制御ユニット250(制御部250d)は、
図8に示すように、搬送コンベア200上のパン生地Dを載置した天板30をセンサs201等により所定の位置に存することを検知すると、伸縮部19aに指示し、伸縮部19aであるアーム部を伸ばし、固定部15であるクランプ部を天板30に近づける。
【0109】
制御ユニット250(制御部250d)は、
図10(A)に示すように、クランプ部の開閉を指示し、天板30を掴む。
【0110】
制御ユニット250(制御部250d)は、
図10(B)に示すように、可動部18の移動機構に移動を指示し、姿勢変位ユニット3を、搬送コンベア200によって搬送される天板30に対して相対位置を維持しながら所定の位置まで移動させる。
この姿勢変位ユニット3の移動中において、姿勢制御装置210(姿勢変位部250b)は、振動発生部205に対し、天板30に対して楕円振動等を与える指示を出す。姿勢変位ユニット3が、搬送コンベア200の所定位置に到達するまでに、天板30に載置されたパン生地Dは徐々に転動し、パン生地Dが所望の姿勢となった時は、これ以上の振動が加えられても安定した姿勢なので転動しない。
尚、被載置体が、稀に継続的に姿勢を変位させてしまう様な転動傾向がある場合には、所望の姿勢であると判断した時点で、後述する姿勢変位固定手段によって、姿勢を固定するように構成してもよい。
【0111】
制御ユニット250(制御部250d)は、
図10(C)に示すように、姿勢変位ユニット3が搬送コンベア200の所定位置に達した時は、固定部15であるクランプ部の開閉を指示し、クランプ部により掴まれた天板30を解放する。制御ユニット250(制御部250d)は、伸縮部19aに指示し、伸縮部19aであるアーム部を縮めて固定部15をパン生地Dと接触しない位置(例えばパン生地Dの上方)に待機させる(待機状態)。
【0112】
制御ユニット250(制御部250d)は、
図8に示すように、可動部18の移動機構に移動を指示し、姿勢変位ユニット3を、次の天板30を固定する為の位置(初期位置)に戻し、次のパン生地Dを所望の姿勢に変位させる為の準備をする。
【0113】
[第2実施形態の変形例]
図11は、第2実施形態の変形例に係る姿勢制御装置210を示す図である。
第1実施形態及び第2実施形態と同様の構成要素には第1実施形態及び第2実施形態と同一の符号を付して詳細な説明を省略する。
【0114】
本実施形態の変形例における姿勢制御装置210について説明する。
図11に示すように、姿勢制御装置210の姿勢変位ユニット3は、制御部250dの指示により、天板30を固定部15であるクランプ部で掴み、伸縮部19aであるアーム部を縮める。姿勢変位ユニット3は、天板30を搬送コンベア200から持ち上げた状態で、姿勢変位部250bの指示により、天板30に振動を与えることにより、パン生地Dを所望の姿勢に変位させる点で、第2実施形態の姿勢制御装置210と相違する。
また、パン生地Dを所望の姿勢に変位させた後に、姿勢制御装置210の姿勢変位ユニット3は、制御部250dの指示により、再び、伸縮部19aであるアーム部を伸ばし、天板30を搬送コンベア200に置いた状態で、天板30を掴んだクランプ部を解放し、天板30を搬送コンベア200に戻す。
【0115】
本変形例における姿勢制御装置210によれば、搬送コンベア200上の天板30を持ち上げた位置で、パン生地Dを所望の姿勢に変位させることが可能となる。
【0116】
[第3実施形態]
図12は、第3実施形態に係る姿勢制御装置310の概略構成を示す図である。
【0117】
本発明の第3実施形態である姿勢制御装置310について説明する。第2実施形態と異なる点は、姿勢変位ユニット3は、変位補助ユニット6(変位補助手段)を更に具えた点である。
尚、第1実施形態及び第2実施形態と同様の構成要素には第1実施形態及び第2実施形態と同一の符号を付して詳細な説明を省略する。
【0118】
[姿勢制御装置の制御構成]
図13は、姿勢制御装置310の制御系のブロック図であり、姿勢制御装置310は、装置全体を統括的に制御する制御ユニット350を具える。制御ユニット350は、変位補助ユニット6(変位補助手段)と接続されている。制御ユニット350は、この変位補助ユニット6を介してトルク伝達機構61や変位機構62と接続される。また、変位補助ユニット6は、伸縮部19bであるアーム部に接続されている。制御部350dは、伸縮部19bに指示し、伸縮部19bであるアーム部を伸ばし、変位補助ユニット6をパン生地D(又は天板30)に近づける。制御部350dは、転動ベルト22を駆動することで、パン生地Dの転動を補助する。パン生地Dが所望の姿勢に変位すると、制御部350dは、転動ベルト22の駆動を停止し、パン生地Dの姿勢変位を固定する。その後、制御部350dは、伸縮部19bに指示し、伸縮部19bであるアーム部を縮め、変位補助ユニット6をパン生地Dと接触しない位置(例えばパン生地Dの上方)に離間させる。
【0119】
制御ユニット350は、第2実施形態と同様、CPU、RAM、ROM等の記憶装置、及び入出力インターフェース等により構成されている。制御ユニット350は、記憶部350aと、姿勢変位部350b(姿勢変位手段)と、姿勢特定部350c(姿勢特定手段)と、制御部350d(制御手段)とを有している。
【0120】
[変位補助ユニットの構成]
変位補助ユニット6は、パン生地Dを所望の姿勢に変位させる為に、パン生地Dの転動を補助するユニットである。変位補助ユニット6は、転動ベルト22と、駆動用のプーリ22aと、従動用のプーリ22bと、これらのプーリ(22a、22b)を支持する支持部材20と、駆動用のプーリ22aを駆動及び停止するトルク伝達機構61と、パン生地Dと接触するように転動ベルト22を変位させる変位機構62等が含まれる。
【0121】
図14に示すように、転動ベルト22は、パン生地Dを、そのロール方向に沿って転動させ得るように、Y方向で対向するように配される。また転動ベルト22は、駆動用のプーリ22a及び従動用のプーリ22b等によって張架される。
尚、転動ベルト22とパン生地Dの対向方向は、Y方向に限らない。転動ベルト22は、パン生地Dを転動させ得るように、パン生地Dと対向するように配すればよい。
【0122】
また、転動ベルト22の駆動用のプーリ22a、従動用のプーリ22bの形状は、パン生地Dに当接する転動ベルト22の当接面の形状に応じて適宜設定し得る。当接面は、パン生地Dに対し平坦状の面(平坦面)や、パン生地Dに対して凹状に湾曲した面(凹状面)や、パン生地Dに対して凸状に湾曲した面(凸状面)等があり得る。
【0123】
転動ベルト22の当接面を平坦面にする場合、駆動用のプーリ22a、従動用のプーリ22bは、例えば
図15(A)に示す径が軸方向に沿って略一定の略丸棒形状(ストレート形状ともいう)等が有り得る。
また、転動ベルト22の当接面を凹状面にする場合、駆動用のプーリ22a、従動用のプーリ22bは、例えば
図15(B)に示す中央部の径が最も小さく両端部に向かって漸次拡径する糸巻形状等があり得る。
また、転動ベルト22の当接面を凸状面にする場合、駆動用のプーリ22a、従動用のプーリ22bは、例えば
図15(C)に示す中央部の径が最も大きく両端部に向かって漸次縮径する樽形状等があり得る。
また、上述の転動ベルトをパン生地Dの長手方向(ロール軸)に沿って、転動ベルト22を複数配してもよい。
【0124】
制御ユニット350(制御部350d)は、トルク伝達機構61に指示し、駆動用のプーリ22aを駆動及び停止させる。
転動ベルト22は、トルク伝達機構61から駆動用のプーリ22aにトルクが伝達されることで回転する。
尚、各プーリ22a、22bの配設数は、少なくとも転動ベルト22を張架し得ればよく、一つの駆動用のプーリ22aと複数の従動用のプーリ22bとにより張架する等、特に限定するものではない。
【0125】
また、転動ベルト22は、変位機構62によって、パン生地Dの姿勢変位を補助し得る第一状態と、パン生地Dの姿勢変位を固定させる第二状態との間で状態が遷移させてもよい。制御ユニット350(制御部350d)の指示により、第一状態においては、振動発生部205が与える振動によりパン生地Dを所望の姿勢に変位させと共に、転動ベルト22によりパン生地Dの姿勢変位を補助し、第二状態は、パン生地Dが所望の姿勢に変位した場合に、パン生地Dの転動を停止させる。これによりパン生地Dの姿勢の変位を固定する。
【0126】
尚、第一状態は、少なくとも、転動ベルト22又は後述するローラ21とパン生地Dとが接触することで、パン生地Dの転動を補助し得る状態をいう。尚、転動ベルト22又はローラ21は、パン生地Dと必ずしも常時接触する状態でなくてもよく、例えば、振動発生部205により振動が与えられることで、パン生地Dと転動ベルト22又はローラ21と接触し得る状態であってもよい。
【0127】
また、第二状態は、少なくとも、転動ベルト22又はローラ21により、パン生地Dの転動を停止させる状態であればよい。従って、転動ベルト22又はローラ21に駆動機能を持たせている場合は、駆動を停止させる必要がある。
例えば、転動ベルト22の駆動を停止させた状態、且つ、転動ベルト22をパン生地Dに接触させることにより、パン生地Dの転動を停止させる。
また、転動ベルト22又はローラ21に駆動機能を持たせていない場合は、転動ベルト22をパン生地Dに接触させ、パン生地Dの転動を停止させる。これにより、パン生地Dの姿勢の変位を固定する。
【0128】
尚、転動ベルト22又はローラ21とは別に、パン生地Dの転動を停止させるための転動停止部材を設け、この転動停止部材をパン生地Dと接触させることで、パン生地Dの転動を停止させてもよい。転動停止部材は、板状部材、棒状部材、網状部材等を用いることができ、特に形状、材質に限定されることはない。この転動停止部材は、アーム等の先端部に設けられる。パン生地Dが所望の姿勢に変位した場合に、制御ユニット350(制御部350d)の指示により、アームが伸縮等し、転動停止部材をパン生地Dに接触させ、パン生地Dの転動を停止させる。これによりパン生地Dの姿勢の変位を固定する。
これらの転動ベルト22、ローラ21及び転動停止部材は、姿勢変位固定手段として機能する。
【0129】
尚、一のみのパン生地Dを所望の姿勢に変位させる場合は、必ずしも転動ベルト22を第一状態から第二状態に遷移させる必要はない。例えば制御ユニット350(姿勢変位部350b)は、振動発生部205への振動を停止すれば、パン生地Dは所望の姿勢で維持される。一方、後述するように、
図18の天板40を用いて複数のパン生地Dを所望の姿勢に変位させる場合は、転動ベルト22を第一状態から第二状態に遷移させることが好ましい。複数のそれぞれのパン生地Dを所望の姿勢に変位させる場合は、全てのパン生地Dを所望の姿勢に変位させるまで、天板40に対し振動を与えることとなる。この場合、それぞれのパン生地Dに対応する変位補助ユニット6を設けておき、パン生地Dが所望の姿勢に変位した場合に、当該パン生地Dの転動を停止させることで、天板40に対し振動が与えられても、当該パン生地Dが所望の姿勢から他の姿勢に変位することを防ぐことが可能となる。即ち、当該パン生地Dの姿勢の変位を固定することが可能となる。
【0130】
トルク伝達機構には、転動ベルト22に掛るトルク抵抗が一定値以上の時に伝達機構からプーリ22aへの動力伝達を切断するトルクリミッタ機能が組み込まれる。従って所望の姿勢となったパン生地Dに転動ベルト22からトルクが伝達しない。具体的には、パン生地Dの巻尻Deが天板30表面に係合したとき、パン生地Dと天板30との間の摩擦抵抗が大きくなる。その為、転動ベルト22に掛かるトルク抵抗が増してトルク抵抗が一定値以上となり、転動ベルト22がトルク伝達機構の駆動軸に対して空転し、結果パン生地Dが所定の姿勢のまま無転動状態となる。
尚、無転動状態にならない被載置物、即ち転動ベルト22が空転せず、継続的に姿勢が変位してしまうような転動傾向がある被載置物の場合、好適な姿勢が観測された時点で姿勢変位固定手段によって姿勢変位を固定するように構成してもよい。このとき姿勢の観測は、カメラ、光学センサ等を設けることで実現し得る。また姿勢変位固定手段としては、転動ベルト22や転動ベルト22とは別の部材(例えば上述の転動停止部材)を被載置物に接触させて被載置物の姿勢変位を固定する方法等があり得る。
これにより、巻尻Deが天板30近傍に位置したパン生地Dに接触している転動ベルト22に対してトルクを印加しないようにすることが出来る。即ち、巻尻Dが天板12表面に係合してパン生地Dから転動ベルト22に掛かるトルク抵抗が増してトルク抵抗が一定値以上になった時に転動ベルト22がトルク伝達機構の駆動軸に対して空転し、結果パン生地Dが所定の姿勢のまま無転動状態となる。
【0131】
各プーリ22a、22bの配設数は、少なくとも転動ベルト22を張架し得ればよく、一つの駆動用のプーリ22aと複数の従動用のプーリ22bとにより張架する等、特に限定するものではない。また転動ベルト22は、複数の駆動用のプーリ22aによって張架されてしてもよい。また転動ベルト22がZ方向に延設されるように、プーリ22a、22bはZ方向に並べて配設される。
【0132】
変位機構62は、例えば、
図14に示すプーリ22a、22bの両軸を回転可能に支持する支持部材20をパン生地Dに覆い被さるように、上下方向(Z方向)に変位させる様な機構を有し得る。従って、転動ベルト22をパン生地Dに接触させ、パン生地Dから離間させることが出来る。
尚、変位機構62による変位方向は、転動ベルト22をパン生地Dに近づけたり遠ざけたりする方向であればよく、上下方向(Z方向)に限定されることはない。例えば、変位機構62による変位方向は、前後方向(X方向)、側方方向(Y方向)等であってもよい。
このような変位機構62によって、パン生地Dの転動を補助し得る第一状態と、パン生地Dの転動を停止させる第二状態とを作出させてもよい。
尚、第一状態は、例えば転動ベルト22とパン生地Dと接触する又は接触し得る状態であり、第二状態として、例えば転動ベルト22とパン生地Dと接触する状態である。勿論、変位機構62は上記構成に限定されるものではなく、適宜設定し得る。
【0133】
また、転動ベルト22は、パン生地Dの粘着を抑える表面を有する。例えば、転動ベルト22自体をシリコーン樹脂、フッ素樹脂、ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、或いはこれらを混合した樹脂材料によって構成することがあり得る。また、転動ベルト22のパン生地Dに接する表面に、上記の樹脂材料を一種類以上含んで成る非粘着層を形成することもあり得、表面を凹凸面(粗面)とすることもあり得る。
【0134】
[姿勢制御装置による変位補助処理]
姿勢制御装置310における制御ユニット350(制御部350d)は、搬送コンベア200による天板30の搬送タイミングに対応させて伸縮部19bを伸長させる。これにより、転動ベルト22は、パン生地Dと接触しない待機状態から、パン生地Dの姿勢変位を補助し得る第一状態に遷移する。伸縮部19bの伸長させるタイミングは、適宜設定し得るが、例えば、不図示の検知センサを用い、天板30が転動ベルト22の下方(Z軸方向下側)に到達する時に合わせた設定があり得る。尚、天板12に載置されたパン生地Dの搬送時間に応じて伸縮部19bの伸長タイミングを設定する等の方法もあり得る。
【0135】
制御ユニット350(制御部350d)は、伸縮部19bを伸長させて、転動ベルト22をパン生地Dと接触しない待機状態の位置から第一状態の位置に下降させる。例えば、第一状態の位置として、転動ベルト22を、パン生地Dが載置されている凹状部32近辺に位置させる。これによって
図12に示すよう制御ユニット350に、転動ベルト22は、パン生地Dと対向配置される。尚、この対向配置された状態において、転動ベルト22とパン生地Dとは必ずしも接している状態でなくてよい。この場合、パン生地Dを転動ベルト22に当接させるような振動を与えればよい。
【0136】
尚、制御ユニット350(制御部350d)は、伸縮部19bの動作と共に、搬送されている天板30及びパン生地Dに対する相対位置が維持されるように可動部18を移動させる。従って転動ベルト22は、以降の処理においても搬送されているパン生地Dに隣接した状態を維持しながら追従する。
【0137】
制御ユニット350(制御部350d)は、トルク伝達機構61に指示し、転動ベルト22を回転駆動させる。姿勢制御装置310は、天板30に振動を与えている状態において、転動ベルト22とパン生地Dとを接触させ、転動ベルト22の回転駆動により、パン生地Dの転動を補助し、パン生地Dを所望の姿勢に変位させる(第一状態)。また、制御ユニット350(制御部350d)は、トルク伝達機構61に指示し、転動ベルト22の回転駆動を停止し、且つ、パン生地Dと接触するように転動ベルト22を、変位機構62により、変位させることでパン生地Dの転動を停止させることが出来る(第二状態)。
【0138】
尚、パン生地Dを、
図16に示すように、積極的に変位補助ユニット6に接触させることで、パン生地Dを所望の姿勢に変位させてもよい。制御ユニット350(姿勢変位部350b)は、振動発生部205に対し、パン生地Dを変位補助ユニット6に当接させるように振動を与えている。これにより、パン生地Dの姿勢は変位し易くなる。
【0139】
尚、転動ベルト22を反時計回りに回転させた場合、パン生地Dは時計回りに転動する。即ち、
図12に示す状態において、パン生地Dは、右側(X軸方向の正の側)の転動ベルト22と接した場合には、転動ベルト22の下向きの外力を受け、結果、パン生地には、時計回りのモーメントが作用する。
尚、パン生地Dを転動させる回転向きは、パン生地Dのロールの巻き終わりとなる巻尻部分Deが天板30の載置面に引っ掛かる向きとすることが望ましい。従って、転動ベルト22の回転向きは、パン生地Dのロール向きに対する逆向き、例えば、パン生地Dのロールの巻き方向が中心から外側に向かって時計回りであれば、転動の方向を反時計回りとすることが望ましい。
【0140】
尚、制御ユニット350(制御部350d)は、対象とするパン生地D個体が所望の姿勢に変位したか否かについて、後述する画像認識の結果を用いて判断してもよいし、又は、対象とするパン生地D個体が所定の姿勢となる十分な時間で転動ベルト22を回転させたことにより判断してもよい。
【0141】
尚、必ずしも転動ベルト22を第二状態にすることで、パン生地Dの転動を停止させる必要はない。例えば制御ユニット350(姿勢変位部350b)は、振動発生部205への振動を停止すれば、被載置物は所望の姿勢で維持される。また他の例として、事前の検証等で被載置物が所望の姿勢に変位した後に、載置体に振動を与えても、被載置物の特性上、被載置物が所望の姿勢から他の姿勢に変位しないことがわかっている場合は、転動ベルト22によりパン生地Dの転動を停止させる必要はない。
【0142】
制御ユニット350(制御部350d)は、パン生地Dが所望の姿勢に変位した後、転動ベルト22の回転を停止させ、且つ、パン生地Dと接触するように転動ベルト22を、変位機構62により、変位させることでパン生地Dの転動を停止させる(第二状態)。
その後、制御ユニット350(制御部350d)は、転動ベルト22をY方向に回動させ、第二状態から第一状態に遷移させ、伸縮部19bの収縮によって転動ベルト22を上昇させてパン生地Dと接触しない位置(例えばパン生地Dの上方)で待機させる(待機状態)。
【0143】
制御ユニット350(制御部350d)は、可動部18を初期位置に移動させ、変位補助処理を終了する。尚、所望の姿勢に変位したパン生地Dは、搬送コンベア200によって天板30と共に、パン生地焼成用の焼成装置等に搬送される。
【0144】
以上説明したように、姿勢制御装置310は、変位補助ユニット6を設けることにより、パン生地Dを所望の姿勢に変位させる為に、パン生地Dの転動を補助することが出来る。従ってロール状に巻回させたパン生地Dの巻尻が天板30の表面近傍に位置するようにパン生地Dの姿勢を変化させることが出来る。
【0145】
[撮像、姿勢の判断及び変位補助処理]
図17のフローチャートを参照して姿勢制御装置310における制御ユニット350による撮像、パン生地Dの姿勢の判断及びパン生地Dの変位補助処理について説明する。先ず姿勢制御装置310において、姿勢変位ユニット3の可動部18がレール14上の初期位置で待機し、また搬送されて来るパン生地Dに接触しないように固定部15及び転動ベルト22がパン生地の高さよりも上方で待機する(待機状態)。
【0146】
制御ユニット350(制御部350d)は、搬送されているパン生地Dが固定部15及び変位補助ユニット6の下方に位置する時に合わせ、姿勢変位ユニット3の可動部18を、天板30に追従するようにレール14上を移動させる(ステップS1)。即ち、姿勢変位ユニット3は、固定部15及び変位補助ユニット6と天板30との相対距離が維持されるように、搬送コンベア200による搬送速度に相当する速度で可動部18を移動させる。
【0147】
制御ユニット350(制御部350d)は、撮像部45によるパン生地Dの撮像を開始する(ステップS2)。
制御ユニット350(姿勢特定部350c)は、撮像部45から出力される画像データに対し、画像認識を行い、巻尻Deを抽出する(ステップS3)。
【0148】
制御ユニット350(制御部350d)は、画像の認識結果から、パン生地Dが所望の姿勢に変位したか否かを判断する(ステップS4)。具体的には本実施形態のように、パン生地Dの鉛直上方(Z軸上方)から撮像部45が撮像を行っている場合、撮像された画像に映る巻尻Deはパン生地Dの上部側に位置しているものであり、そのような画像が得られた時のパン生地Dの姿勢は、所望の姿勢に変位していない(即ち、不良)とする。また画像に映っていない巻尻Deは、パン生地Dの略下面側に位置するもの、即ち天板30表面近傍に位置しているものである為、そのような画像が得られた時のパン生地Dの姿勢は、所望の姿勢である(即ち、良好)とする。
従って、画像の認識結果から、パン生地Dの巻尻Deが映っていない時は、姿勢が良好であると判断(ステップS4、Yes)し、後述するステップS11に移行する。一方で巻尻Deが映っている時は、姿勢が不良であると判断(ステップS4、No)し、ステップS5に移行する。
【0149】
制御ユニット350(制御部350d)は、ステップS4で姿勢が不良であると判断した時、固定部15及び変位補助ユニット6の伸縮部(19a、19b)を伸長させ転動ベルト22を下降させる(ステップS5)。これにより、固定部15であるクランプ部は、天板30を固定出来るように外縁部33の近くに位置することとなる。
また転動ベルト22は天板30上のパン生地Dに対向するように位置することとなる(第一状態)。これにより、パン生地Dが、姿勢変位制御されている期間中において、転動ベルト22に当接し易くなる。
【0150】
制御ユニット350(制御部350d)は、固定部15であるクランプ部を開閉駆動し、天板30の外縁部33を掴む(ステップS6)。
【0151】
制御ユニット350(制御部350d)は、制御信号により、姿勢変位部350bに対して、姿勢変位制御を開始する旨の指示を出す。姿勢変位部350bは、振動発生部205に対し、天板30に楕円振動等を与える指示を出し、パン生地Dを所望の姿勢に変位させる制御(姿勢変位制御)を開始する(ステップS7)。また制御ユニット350(制御部350d)は、パン生地Dの転動を補助すべく、転動ベルト22を駆動させる(ステップS8)。この時、制御ユニット350(姿勢特定部350c)は、撮像部45から出力される画像データに対し、画像認識を行い、巻尻Deを抽出する(ステップS9)。
制御ユニット350(制御部350d)は、上記ステップS4と同様にして、画像認識の結果から巻尻Deの有無によるパン生地Dの姿勢の良不良を判断し(ステップS10)、姿勢が不良であると判断した時(ステップS10、No)、パン生地Dの姿勢変位制御及び転動ベルト22による転動の補助を継続する(ステップS9に戻る)。
【0152】
制御ユニット350(制御部350d)は、上記ステップS10で姿勢が良好であると判断した時(ステップS10、Yes)、制御信号により、転動ベルト22の回転駆動を停止し、且つ、変位補助ユニット6の変位機構に対し転動ベルト22を第二状態に遷移させる。これにより、パン生地Dの姿勢変位を固定する(ステップS11)。
【0153】
制御ユニット350(制御部350d)は、制御信号により、姿勢変位部350bに対して、姿勢変位制御を終了させる旨の指示を出す。姿勢変位部350bは、振動発生部205に対して振動動作を停止させる(ステップS12)。
制御ユニット350(制御部350d)は、固定部15であるクランプ部に掴まれた天板30を解放し(ステップS13)、次に、伸縮部19(19a、19b)の収縮によって固定部15及び転動ベルト22を上昇させ(ステップS14)、固定部15及び転動ベルト22を天板30及びパン生地Dと接触しない位置で待機させる(待機状態)。
【0154】
姿勢制御装置310(制御部350d)は、固定部15及び転動ベルト22を上昇させた後、或いは上記ステップS4で姿勢が良好と判断した時、可動部18を初期位置に移動させて、撮像、姿勢の判断及び変位補助処理を終了する(ステップS15)。
【0155】
以上、説明したように、振動によりパン生地Dを所望の姿勢に変位させると共に、パン生地Dの姿勢の変位を補助することが出来る。更に撮像部45で撮像したパン生地Dの画像中の巻尻の有無によって、パン生地の姿勢の良不良を判断するので、該判断に基づいて姿勢変位を制御することが出来る。
【0156】
[第3実施形態の第1変形例]
例えば、
図18に示す天板40には、複数のパン生地Dが載置され得る。このような複数のパン生地Dが載置される天板40に対し、一又は複数の変位補助ユニット6を天板40上でXY平面と平行に移動させ、各凹状部32内のパン生地Dを順次所望の姿勢に変位させるような構成があり得る。
例えば、一つの可動部18に、複数の変位補助ユニット6を設けてもよい。これによると、複数の変移補助ユニット6によって順次パン生地Dの転動を補助するような構成もあり得る。例えば、
図19に示すように天板40のY方向に配列された凹状部32に対応させて、Y方向に一列に複数の変位補助ユニット6を設けると共に、可動部18をX方向に移動し得る変位補助ユニット6を構成する。このようにすれば、可動部18がX方向に沿って天板40上を移動しつつ、各変位補助ユニット6は、対応する各凹状部32内のパン生地Dに対し、順次転動を補助することとなる。この場合、各変位補助ユニット6には、それぞれパン生地Dを撮像する撮像部45が具えらえるが、これに限定されない。例えば複数の変位補助ユニット6により、1つの撮像部45を用いてもよい。
【0157】
勿論、X方向に配列された凹状部32に対応させて、X方向に一列に複数の変位補助ユニット6を設けるようにしてもよく、その場合は可動部18をX方向及びY方向にスライド可能に構成する(
図20参照)。また、上記の
図19、
図20においては一列に変位補助ユニット6を設けた状態を示しているが、変位補助ユニット6を複数列設けてもよい。
【0158】
また、天板40が有する凹状部32の数に相当する数量の変位補助ユニット6を設け、全変位補助ユニット6によって殆ど同時に全ての凹状部32内のパン生地Dの姿勢変位を転動により補助し得るようにしてもよいことは言うまでもない。
【0159】
[第3実施形態の第2変形例]
次に第3実施形態の第2変形例に係る姿勢制御装置320について説明する。本実施形態の姿勢制御装置320は、複数のパン生地Dの撮像と姿勢の判断、パン生地Dの姿勢変位等の処理を略同時に行うものである。
【0160】
図21は、本変形例に係る姿勢制御装置320を示す概略構成を示す図であり、姿勢制御装置320は、姿勢変位ユニット303、天板40(
図18参照)の有無を検知するセンサs(不図示)、パン生地Dを撮像する撮像部345(不図示)を有する。姿勢変位ユニット303は、本体部317、天板40に振動を与える振動発生部305、天板40を固定する固定部315(不図示)、固定部315を天板40に接近離間を可能とする伸縮部319a(不図示)、複数の変位補助ユニット306、搬送コンベア(200)と平行して延在するレール14,レール14に沿って移動可能な可動部318等を有する。
【0161】
[姿勢制御装置の制御構成]
図22は、本変形例に係る姿勢制御装置320の制御系のブロック図であり、姿勢制御装置320は、装置全体を統括的に制御する制御ユニット350を具え、制御ユニット350には、姿勢変位ユニット303、可動部318(移動手段)の他、姿勢管理ユニット120が複数 (凹状部32の数に相当する数量)接続される。
【0162】
[制御ユニットの構成]
制御ユニット350は、記憶部350a、姿勢変位部350b、制御部350d(制御ユニット側制御手段)を有する。これらの構成は、上記の第1実施形態乃至第3実施形態と同様の構成であり、詳細な説明は省略する。尚、制御部350d(制御ユニット側制御手段)は、姿勢管理ユニット120で実施する制御機能について、制御部351d(管理ユニット側制御手段)に移譲している。
【0163】
[姿勢変位ユニットの構成]
姿勢変位ユニット303は、振動発生部305,固定部315(固定手段),伸縮部319aを有する。これらの構成は、上記の第1実施形態乃至第3実施形態と同様の構成であり、詳細な説明は省略する。尚、本実施形態においては、変位補助ユニットを昇降させる伸縮部と姿勢特定部で実現する機能を、姿勢管理ユニット120に移譲している点が、これまでの実施形態と異なる。
【0164】
[固定部の構成]
固定部315は、伸縮部319aの先端に設けられ、上記の第2実施形態乃至第3実施形態と同様の機能を有する。固定部315は、制御ユニット350(制御部350d)からの制御信号に応じて、モータ等を駆動し、固定部に対応するクランプ部の開閉を行う。これにより、固定部315は、天板40の外縁部33を掴んだり、解放したりする。
【0165】
[固定部における伸縮部の構成]
伸縮部319aは、その基端側に本体部317が接続され、先端側に固定部315が接続されており、上記の第2実施形態乃至第3実施形態と同様の機能を有する。伸縮部319aは、制御ユニット350(制御部350d)からの制御信号に応じて、伸縮する。伸縮部319aが伸びる時は、固定部315は天板40に接近し、伸縮部319aが縮む時は、固定部315は天板40から離間する。
【0166】
[振動発生部の構成]
振動発生部305は、本体部317に設けられ、上記の第1実施形態乃至第3実施形態と同様の機能を有する。尚、必ずしも本体部317に振動発生部305を設ける必要はない。例えば、第1実施形態で説明したように、振動発生部305を搬送コンベア200の搬送軌道26に設けてもよい。尚、姿勢変位ユニット303に振動発生部305を設けない場合には、姿勢変位ユニット303に固定部15は不要となる。
【0167】
[可動部の構成]
可動部318は、本体部317に設けられ、上記の第2実施形態乃至第3実施形態と同様の機能を有する。可動部318は、姿勢変位ユニット3をレール14に沿って変位可能に保持する。可動部318は、姿勢制御装置350(制御部350d)からの制御信号に応じて、搬送コンベア200によって搬送される天板40に対して相対位置を維持しながら移動し得る。尚、レール上を移動しながら、姿勢変位制御を行わない場合には、可動部318は、必須の構成ではない。この場合、レール14も不要となる。
【0168】
[姿勢管理ユニットの構成]
姿勢管理ユニット120は、CPUやメモリ等を有する管理制御部122を有し、管理制御部122には、記憶部351a、姿勢特定部351c(姿勢特定手段)、制御部351d(管理ユニット側制御手段)、撮像部345、検知センサs、変位補助ユニット306(変位補助手段)、伸縮部319b等が接続される。即ち、管理制御部122は、変位補助ユニット306、撮像部345、姿勢特定部351c、制御部351d等に対して処理実行を指示する。
これらの構成は、管理制御部122を除き、第1実施形態乃至第3実施形態と同様の構成であり、詳細な説明は省略する。
【0169】
[記憶部の構成]
記憶部350aは、管理制御部122から出力された処理結果を集めて各凹状部32内のパン生地Dの姿勢の良不良を管理するテーブルを記憶する。例えば、記憶部350aのテーブルは、予め設定された姿勢管理ユニット120ごとのユニットID(識別子)に、姿勢管理ユニット120に対応する凹状部32内のパン生地Dの姿勢情報を関連付けて記憶するように構成することが出来る。
【0170】
[姿勢特定部の構成]
姿勢特定部351cは、各姿勢管理ユニット120に設けられ、上記の第1実施形態乃至第3実施形態と同様の機能を有する。
姿勢特定部351cは、姿勢特定の対象となる、天板40に載置された一個のパン生地Dが所望の姿勢に変位したか否かを判断する為に、撮像部345により撮像された処理対象領域の画像データに基づき、該処理対象領域内に存するパン生地Dの巻尻Deを特定するように構成されている。
尚、本変形例においては、姿勢特定部351cは、姿勢管理ユニット120にユニット単位で設け、対応する一個のパン生地Dの姿勢を特定しているが、これに限定されることはない。例えば第3実施形態の
図13に示すように、姿勢特定部を制御ユニット350に設け、全てのパン生地Dの姿勢特定を実施してもよい。勿論、一つの姿勢特定部により、所定個数のパン生地Dについて姿勢特定を実施してもよい。
【0171】
[管理ユニットにおける制御部の構成]
制御部351d(管理ユニット側制御手段)は、各姿勢管理ユニット120に設けられている。制御部351は、姿勢管理ユニット120で実施する制御機能を担う。実施する機能としては、例えば、画像認識の結果から巻尻Deの有無によるパン生地Dの姿勢の良不良を判断したり、変位補助ユニット6における転動ベルト22の回転駆動を開始・停止したり、パン生地Dの姿勢変位を固定すべく転動ベルト22、ローラ21及び転動停止部材を姿勢変位固定手段として機能させるために制御する等がある。
尚、制御部351dは、上記の第1実施形態乃至第3実施形態における制御部で実施する制御機能について、姿勢管理ユニット120で実施する制御機能を担うこととなる。
【0172】
[撮像部の構成]
撮像部345は、変位補助ユニット306と同様に凹状部32に相当する数量で、凹状部32毎に対応するように、変位補助ユニット306と共に可動部318に配されている。
撮像部345は、上記の第1実施形態乃至第3実施形態における撮像部と同様の機能を有する。
尚、本変形例においては、撮像部345は、姿勢変位の対象となるパン生地Dの数(凹状部32に相当する数量)を設けたが、これに限定されることはない。例えば、一つの撮像部345により、姿勢変位の対象となる、全パン生地Dを撮像対象としてもよい。勿論、所定個数のパン生地Dを撮像対象としてもよい。
【0173】
[変位補助ユニットの構成]
変位補助ユニット306は、第3実施形態における変位補助ユニット6と同様に、パン生地Dを所望の姿勢に変位させる為に、パン生地Dの転動を補助するユニットである。変位補助ユニット306は、不図示の転動ベルト22と、駆動用のプーリ22aと、従動用のプーリ22bと、これらのプーリ(22a、22b)を支持する支持部材20と、駆動用のプーリ22aを駆動及び停止するトルク伝達機構61と、パン生地Dと接触するように転動ベルト22を変位させる変位機構62等が含まれる。
【0174】
変位補助ユニット306は、天板40に設けられた凹状部32の数に相当する数量が、本体部317に設けられる。全ての変位補助ユニット6は、対応する凹状部32が設定される。即ち変位補助ユニット306の配置は、凹状部32の配置に対応しており、天板40と可動部318とがZ方向に対向している時に、変位補助ユニット306は、対応する凹状部32に対してZ方向に対向する。
【0175】
例えば、
図21に示す向きの天板40において、複数の凹状部32の内、一番左上の凹状部32aには、複数の変位補助ユニット306の内、一番左上に配された変位補助ユニット306aが対応する。同様に天板40の一番右下の凹状部32bには、一番右下に配された変位補助ユニット306bが対応する。
【0176】
また、図示していないが撮像部345は、変位補助ユニット306と同様に凹状部32に相当する数量で、凹状部32毎に対応するように、変位補助ユニット306と共に可動部318に配されているものとする。
【0177】
[変位補助ユニットにおける伸縮部の構成]
伸縮部319bは、基端側に本体部317が接続され、先端側に変位補助ユニット306が接続されており、上記第3実施形態と同様の機能を有する。伸縮部319bは、変位補助ユニット単位で設けられる。伸縮部319bは、姿勢管理ユニット120(制御部351d)からの制御信号に応じて、伸縮する。伸縮部319bが伸びる時は、変位補助ユニット306はパン生地Dに接近し、伸縮部319bが縮む時は、変位補助ユニット306はパン生地Dから離間する。即ち、変位補助ユニット306は、ユニット単位で、伸縮部319bの伸縮が制御されることとなる。
【0178】
[管理処理]
ここで、
図23のフローチャートを参照して姿勢制御装置320(制御ユニット350)による管理処理について説明する。上述した各実施形態と同様に、可動部318はレール14上の初期位置で待機し、また搬送されて来るパン生地Dに接触しないように固定部315及び転動ベルト22がパン生地Dの高さよりも上方で待機する(待機状態)。
【0179】
制御ユニット350(制御部350d)は、上述したステップS1と同様に、姿勢変位ユニット303を、搬送されているパン生地Dが固定部315及び変位補助ユニット306の下方に位置する時に合わせ、天板40に追従するように移動させるべく、可動部318に対し指示を出す(ステップSA1)。即ち、制御ユニット350(制御部350d)は、固定部315及び変位補助ユニット6と天板40との相対距離が維持されるように、搬送コンベア200による搬送速度に相当する速度で可動部318を移動させる。
【0180】
制御ユニット350(制御部350d)は、固定部315であるクランプ部及び変位補助ユニット6の伸縮部(319a、319b)を伸長させ固定部315を下降させる(ステップSA2)。
制御ユニット350(制御部350d)は、伸縮部319aを下降させることにより、固定部315であるクランプ部は、天板40を固定出来るように外縁部33の近くに位置することとなる。
また、制御ユニット350(制御部350d)は、全ての管理ユニット120(管理制御部122)に対し、変位補助ユニット306の伸縮部319bを下降させる。従って各変位補助ユニット306の転動ベルト22は、それぞれの転動ベルトに対応する、天板40上のパン生地Dに対向するように位置することとなる。これにより、姿勢変位制御が開始されると、姿勢変位制御が終了するまでの期間において、パン生地Dは、転動ベルト22に当接し易くなり、パン生地Dの転動を補助する(第一状態)。一方、パン生地Dが所望の姿勢である場合には、転動ベルト22の駆動を停止させ、且つ、転動ベルト22をパン生地Dに当接させることで、パン生地Dの転動を停止させる(第二状態)ことが可能となる。
【0181】
制御ユニット350(制御部350d)は、固定部315であるクランプ部を開閉駆動し、天板40の外縁部33を掴む(SA3)。即ち姿勢変位ユニット303は、天板40を固定した状態で、搬送コンベア200による搬送速度に相当する速度でレール14を移動する。
【0182】
制御ユニット350(制御部350d)は、各姿勢管理ユニット120(管理制御部122)に対し、天板40に載置された、各姿勢管理ユニット120に対応するパン生地Dの姿勢状態を確認(初期状態確認処理)すべく処理実行指示を出す(SA4)。尚、初期状態確認処理の詳細は、
図24を参照して後述する。
【0183】
制御ユニット350(制御部350d)は、各姿勢管理ユニット120(管理制御部122)から姿勢情報を受信する(ステップSA5)。制御ユニット350(制御部350d)は、受信した姿勢情報の内容を記憶部350aのテーブルに記憶する(ステップSA6)。具体的に制御ユニット350(制御部350d)は、受信した姿勢情報のユニットIDに該当するテーブルの項目に、姿勢情報に含まれている姿勢の内容(良好或いは不良)を記憶部350aに記憶する。
尚、姿勢情報は、送信元である姿勢管理ユニット120のユニットIDと、パン生地Dの姿勢の良不良を示す情報とを含んでいる。
【0184】
制御ユニット350(350d)は、全ての姿勢管理ユニット120からパン生地Dの姿勢情報を受け取ると、記憶部350aのテーブルに記憶している全パン生地Dの姿勢が良好であるか否かを判断し(ステップSA7)、全パン生地Dの姿勢が良好であると判断したとき時(ステップSA7、Yes)、ステップSA8に進み、全パン生地Dの姿勢が良好ではないと判断したとき時(ステップSA7、No)、制御ユニット350(制御部350d)は、制御信号により、姿勢変位部350bに対し、振動動作の開始を指示する。姿勢変位部350bは、姿勢変位ユニット303(振動発生部305)に対し、天板40に楕円振動等を与える指示を出し、パン生地Dを所望の姿勢に変位させる制御(姿勢変位制御)を開始させる(ステップSA14)。そして制御ユニット350(制御部350d)は、姿勢内容が不良であるユニットIDの姿勢管理ユニット120(管理制御部122)に対し、変位補助処理を開始させる処理実行指示を出し(ステップSA15)、全てのパン生地Dを所望の姿勢に変位させる。尚、変位補助処理の詳細は、
図25を参照して後述する。
【0185】
全パン生地Dの姿勢が良好である場合は、ステップSA8に進み、初期状態確認処理の結果、全パン生地Dの姿勢が良好であった場合には(ステップSA8、Yes)、ステップSA9へ進み、一方、初期状態確認処理の結果、全パン生地Dの姿勢が良好ではなく、姿勢変位制御(ステップSA14)等を実施していた場合には(ステップSA8、No)、制御ユニット350(制御部350d)は、制御信号により、姿勢変位部350bに対し、振動動作の停止を指示する。姿勢変位部350bは、姿勢変位ユニット303(振動発生部305)に対し、姿勢変位制御を終了(ステップSA16)させてSA9へ進む。
【0186】
制御ユニット350(制御部350d)は、全ての管理ユニット120(管理制御部122)に対し、変位補助ユニット306の伸縮部319bを上昇させ、転動ベルト22を、パン生地Dと接触しない位置に移動させる(ステップSA9)。
【0187】
制御ユニット350(制御部350d)は、天板40を固定していた固定部315であるクランプ部に対し、天板40を解放する指示を出す。これにより、固定部315による天板40への固定は解除される(ステップSA10)。
【0188】
制御ユニット350(制御部350d)は、固定部315の伸縮部319aを上昇させ、固定部315を、パン生地Dと接触しない位置に移動させる(ステップSA11)。
【0189】
制御ユニット350(制御部350d)は、各姿勢管理ユニット120(管理制御部122)に対し、撮像を終了する指示を出す。これにより、各管理制御部122は、撮像部345の撮像を終了させる(ステップSA12)。
【0190】
制御ユニット350(制御部350d)は、次に搬送される天板40に対し、ステップSA1以降の処理実行の準備をすべく、可動部318に対し指示を出し、姿勢変位ユニット3030を初期位置に移動させる(SA13)。
【0191】
[初期状態確認処理]
ここで、
図24のフローチャートを参照して姿勢制御装置320(姿勢管理ユニット120)による初期状態確認処理について説明する。
各姿勢管理ユニット120(管理制御部122)は、対応する撮像部345によるパン生地Dの撮像を開始する(ステップSB1)。撮像部345は、凹状部32内のパン生地Dを撮像する。各姿勢管理ユニット120(管理制御部122)は、姿勢特定部351cによって撮像部345から出力されている画像データについて画像認識をする(ステップSB2)。
【0192】
各姿勢管理ユニット120(管理制御部122)は、画像認識の結果から、パン生地Dの姿勢が良好であるか否かを判断し(ステップSB3)、姿勢が不良であると判断した時(ステップSB3、No)、姿勢が不良である旨の内容にユニットIDを付した姿勢情報を作成して制御ユニット350に送信して初期状態確認処理を終了する(ステップSB5)。一方、姿勢が良好であると判断した時(ステップSB3、Yes)、変位補助ユニット6の変位機構に対し転動ベルト22を第二状態に遷移させる。これにより、パン生地Dの姿勢変位を固定する(ステップSB4)。更に姿勢が良好である旨の内容にユニットIDを付した姿勢情報を作成して制御ユニット350に送信して初期状態確認処理を終了する(ステップSB5)。
尚、姿勢情報は送信元である姿勢管理ユニット120のユニットIDと、パン生地Dの姿勢の良不良を示す情報とを含んでいる。
【0193】
[変位補助処理]
次に
図25のフローチャートを参照して姿勢制御装置320(姿勢管理ユニット120)による変位補助処理について説明する。
姿勢管理ユニット120(管理制御部122)は、制御ユニット350(制御部350d)から変位補助処理開始の指示を受けると、パン生地Dの転動を補助すべく、転動ベルト22を駆動させる(ステップSC1)。これにより、パン生地Dの姿勢変位の補助を行う。
姿勢管理ユニット120(姿勢特定部351c)は、撮像部345から出力される画像データに対し、画像認識を行い、巻尻Deを抽出する(ステップSC2)。
姿勢管理ユニット120(制御部351d)は、上記のステップSB3と同様にして、画像認識の結果から巻尻Deの有無によるパン生地Dの姿勢の良不良を判断し(ステップSC3)、姿勢が不良であると判断した時(ステップSC3、No)、パン生地Dの姿勢変位制御及び転動ベルト22による転動の補助を継続する(ステップSC2に戻る)。
【0194】
姿勢管理ユニット120(制御部351d)は、上記ステップSC3で姿勢が良好であると判断した時(ステップSC3、Yes)、制御信号により、転動ベルト22の回転駆動を停止し、且つ、変位補助ユニット6の変位機構に対し転動ベルト22を第二状態に遷移させる。これにより、パン生地Dの姿勢変位を固定する(ステップSC4)。
更に姿勢が良好である旨の内容にユニットIDを付した姿勢情報を作成して制御ユニット350に送信する(ステップSC5)。
【0195】
以上、説明したように、複数のパン生地Dを天板40に載置している場合において、複数の姿勢管理ユニット120を並行して動作させるので、少ない処理負担で全パン生地Dに対する撮像、姿勢の判断、パン生地Dの変位補助処理を略同時に実行することが出来る。具体的には、パン生地Dは天板40と共に搬送コンベア200によって搬送されて姿勢制御にかける処理可能な時間(処理可能時間という。)が限られるところ、複数の姿勢管理ユニットを並行させて動作させる為、全パン生地Dの撮像、姿勢の判断、パン生地Dの変位補助処理完了に掛かる時間を短縮することが出来る。
また、姿勢管理ユニット毎に、対応するパン生地Dの撮像、姿勢の判断、パン生地Dの変位補助等の処理を行う為、仮に制御ユニット350が複数のパン生地Dの各々に対して撮像、姿勢の判断、パン生地Dの変位補助を行った場合に比して遥かに少ない負担でパン生地Dの姿勢制御を完了させることが出来る。よって同時に多数のパン生地Dの撮像、姿勢の判断、パン生地Dの変位補助処理を行う場合でもあっても、処理可能時間内での撮像、姿勢の判断、パン生地Dの変位補助処理を略確実に実行することが可能となる。
【0196】
尚、姿勢管理ユニット120は、撮像、姿勢の判断、パン生地Dの変位補助処理において、パン生地Dの姿勢が不良である時、不良である旨の姿勢情報を制御ユニット350に送信するものと説明したが、勿論、これに限定するものでは無い。例えば姿勢管理ユニット120は、不良である旨の姿勢情報を送信せず、パン生地Dが所定の姿勢となった時にだけ、姿勢が良好である旨の姿勢情報を送信するようにしてもよい。
【0197】
また、姿勢管理ユニット120がパン生地Dの撮像、姿勢の判断、パン生地Dの変位補助処理を実行するものとして説明したが、勿論、制御ユニット350が撮像、姿勢の判断、パン生地Dの変位補助処理に掛かる制御処理を実行し得る構成であってもよい。
【0198】
[第3実施形態の第3変形例]
図26は、変位補助ユニット6の変形例を示す。本変形例の変移補助ユニット6は、複数のローラ21とローラ21間を支持する支持部材20で構成される。第3実施形態の変移補助ユニット6は、トルク伝達機構61等により可動式であったが、本変形例の補助ユニット6は、トルク伝達機構61等を設けず可動式ではない点で相違する。
【0199】
ローラ21の形状は、
図27(A)に示すような径が軸方向に沿って略一定の丸棒形状(ストレート形状ともいう)、
図27(B)に示すような中央部の径が最も小さく両端部に向かって漸次拡径する糸巻形状、
図27(C)に示すような中央部の径が最も大きく両端部に向かって漸次縮径する樽形等があり得る。
また、
図28に示すように、パン生地Dのロール軸の方向(Y方向)に沿って、二つのローラ21を配してもよい。このとき、ローラ21は、幅方向(Y方向)に沿う長さが、パン生地DのY方向の長さの半分程度に設定し、且つ当接面を凸状面とする。勿論、ローラ21は、パン生地DのY方向の長さの半分以上(或いは半分以下)としてもよく、また、パン生地DのY方向の長さの相当以上(或いは相当未満)相当未満としてもよい。また、当接面は、凸状面に限らず、平坦面或いは凹状面としてもよい。また、ローラ21をパン生地Dと対向するように二対以上配してもよい。
【0200】
パン生地Dは、振動により、変位補助ユニット6のローラ21に接した時に、該ローラ21がパン生地Dの転動を補助することになる。
【0201】
以上説明したように、変位補助ユニット6の転動の補助により、パン生地Dを所望の姿勢に変位させ易くなる。
【0202】
[第4実施形態]
図29は、第4実施形態に係る姿勢制御装置410の概略構成を示す図である。
【0203】
本発明の第4実施形態である姿勢制御装置410について説明する。
第1実施形態と異なる点は、一つ目は、第4実施形態で用いる載置体は、凹状部32を有する天板30を用いている点と、二つ目は、第1実施形態では、振動発生部5と載置体(天板)12とは、搬送軌道上26において水平方向(XY方向)に接するのに対し、第4実施形態では、振動発生部405と載置体(天板)30とは、搬送軌道上26において傾斜した状態で接する点である。
尚、第1実施形態乃至第3実施形態と同様の構成要素には第1実施形態乃至第3実施形態と同一の符号を付して詳細な説明を省略する。
【0204】
パン生地Dは、天板30の凹状部32に載置される。その為、パン生地Dは、天板30が傾斜した状態でも、凹状部32の段差(深さ)を乗り越え難くなる。即ち、天板30からパン生地Dが飛び出し難くなる。
【0205】
図29(C)に示すように、振動発生部405における、天板30と接する側には、傾斜面405aが形成されている。この傾斜面405aは、X軸方向の正の側に進む従い、Z軸方向が負側に傾斜する(傾斜手段)。
傾斜面405aと天板30とが接すると、天板30は、X軸方向の正の側に傾斜し、凹状部32に載置されたパン生地DもX軸方向の正の側に転動し易くなっている。
【0206】
傾斜角度は、被載置物1の形状、重さやサイズ、振動発生部5が与える振動の大きさ(振幅)や周波数、加振方向等に応じて適宜設定することが出来る。
例えば、傾斜角度のパターンを用意しておき、傾斜角度を決めてもよい。予め、第一モード:傾斜無し、第2モード:0を超え10°以下の所定角度、第3モード:10°を超えて45°未満の所定角度の傾斜角度のパターンを用意しておき、被載置物1の姿勢の変移状況に応じてモードを決めてもよい。
【0207】
図29(A)に示すように、姿勢制御装置410は、パン生地Dが載置された天板30を、振動発生部405の位置に搬送する。
図29(B)は、天板30が振動発生部405の上方(X軸方向上側)に位置した状態を示す。尚、天板30の搬送軌道26における搬送の邪魔にならないよう、昇降ユニット55は、振動発生部405を下降させた状態であり、振動発生部405を天板30から離間させている。
図29(C)は、昇降ユニット55は、振動発生部405を上昇させ、傾斜面405aと天板30と接する状態とする。天板30を傾斜させた状態で、振動発生部405は、天板30に振動を与えて、パン生地Dを所望の姿勢に変位させる。
【0208】
本実施形態における姿勢制御装置410は、天板30を傾斜させることで、パン生地Dを転送し易くした状態で、振動を与えることが出来、パン生地Dを所望の姿勢に変位させ易くなる。
【0209】
[第4実施形態の第1変形例]
図30は、第4実施形態の第1変形例に係る姿勢制御装置410を示す図である。
【0210】
天板30を傾斜させる実施形態について、第4実施形態とは別の実施形態を示す。本変形例の姿勢制御装置410は、搬送コンベア2の搬送軌道426を傾斜させている点である。
図30に示すように、搬送コンベア2を構成するフレーム425を傾斜させることで(傾斜手段)、搬送軌道426を傾斜させている。尚、この場合、マグネットを埋め込んだ搬送ベルト427やチェーンにマグネットを用いたり、係合フックを設けたりすることで、天板30を固定した状態で振動を与えてもよい。
本変形例における姿勢制御装置410は、天板30を傾斜させることで、パン生地Dを転送し易くした状態で、振動を与えることが出来、パン生地Dを所望の姿勢に変位させ易くなる。
【0211】
[第4実施形態の第2変形例]
図31は、第4実施形態の第2変形例に係る姿勢制御装置420の概略構成を示す図である。
【0212】
本発明の第4実施形態の第2変形例である姿勢制御装置420について説明する。
第1実施形態乃至第4実施形態と同様の構成要素には第1実施形態乃至第4実施形態と同一の符号を付して詳細な説明を省略する。
【0213】
図31に示すように、天板30に載置されたパン生地Dは、ロールの軸adを搬送方向(X方向)と略平行になるように向きが設定されている。
図31(A)に示す、姿勢制御装置420の姿勢変位ユニット3は、搬送装置9の側方(Y軸方向正の側)に配されている。
図31(B)に示す、振動変位ユニット3は、伸縮部419であるアーム部をY軸方向の負の方向に向けて伸ばし、固定部415であるクランプ部を用いて天板30の外縁部33を掴む。
図31(C)に示す、振動変位ユニット3は、固定部415により固定した天板30に対し、伸縮部419であるアーム部Y軸方向(負の側)において、上方(Z軸上側)に向けて、天板30を傾斜させる。
図31(D)は、振動変位ユニット3は、天板30を傾斜させた状態を示した図である。
このように、パン生地Dを載置した天板30は、搬送装置9の搬送ベルト427上を搬送される。パン生地Dのロールの軸adは、搬送方向に向いて搬送される姿勢制御装置420を構成する振動変位ユニット3は、搬送装置9の側方(Y軸方向の正の側)に配されている。振動変位ユニット3は、Y軸方向の負の方向搬送ベルト427上に存する天板30を、固定部415(固定手段)であるクランプ部により掴み、伸縮部419であるアーム部により、天板30を傾斜させる。
【0214】
図31(A)に示すように、本変形例における姿勢制御装置420は、天板30を傾斜させることで、パン生地Dを転送し易くした状態で、振動を与えることが出来、パン生地Dを所望の姿勢に変位させ易くなる。
【0215】
[第4実施形態の第3変形例]
図32は、第4実施形態の第3変形例に係る姿勢制御装置430の概略構成を示す図である。
【0216】
本発明の第4実施形態の第3変形例である姿勢制御装置430について説明する。
第1実施形態乃至第4実施形態と同様の構成要素には第1実施形態乃至第4実施形態と同一の符号を付して詳細な説明を省略する。
【0217】
図32に示すように、変位補助ユニット6が存する側(X軸方向の正の側)に傾斜させている。天板30を傾斜させることにより、パン生地Dは、傾斜された天板30の凹状部32内にて変位補助ユニット6に向け転動し易くなると共に、変位補助ユニット6の転動の補助により、パン生地Dを所望の姿勢に変位させ易くなる。
【0218】
以上、上記に説明した第1実施形態乃至第4実施形態の構成要素は、矛盾の無い限り相互に組み合わせて実施することが出来る。
【符号の説明】
【0219】
1・・・被載置物、2、200・・・搬送コンベア、3、300・・・姿勢変位ユニット、5、205、405・・・振動発生部、6、306・・・変位補助ユニット、7・・・転圧装置、8・・・発酵装置、9・・・搬送装置、10、210、310、320,410、420、430・・・姿勢制御装置、12、30、40・・・載置体(天板)、14・・・レール、15,315,415・・・固定部、17・・・本体部、18、318・・・可動部
19、319、419・・・伸縮部、20・・・支持部材、21・・・ローラ、22・・・転動ベルト、22a・・・駆動用のプーリ、22b・・・従動用のプーリ、26、426・・・搬送軌道、27・・・チェーン、28・・・駆動ユニット、28a、228a・・・駆動スプロケット、28b、228b・・・従動スプロケット、32・・・凹状部、33・・・外縁部、45、345・・・撮像部、50、250、350・・・制御ユニット、50a、250a、350a、351a・・・記憶部、50b、250b、350b・・・姿勢変位部
50c、250c、350c、351c・・・姿勢特定部、50d、250d、350d、351d・・・制御部、55・・・昇降ユニット、61・・・トルク伝達機構、62・・・変位機構、120・・・姿勢管理ユニット、122・・・管理制御部、405a・・・傾斜面、425・・・フレーム、427・・・搬送ベルト