(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024146353
(43)【公開日】2024-10-15
(54)【発明の名称】フレキシブル表示装置用金属支持体及びフレキシブル表示装置
(51)【国際特許分類】
G09F 9/00 20060101AFI20241004BHJP
G09F 9/30 20060101ALI20241004BHJP
H10K 77/10 20230101ALI20241004BHJP
H10K 59/95 20230101ALI20241004BHJP
H10K 59/10 20230101ALI20241004BHJP
【FI】
G09F9/00 350Z
G09F9/30 365
H10K77/10
H10K59/95
H10K59/10
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023059198
(22)【出願日】2023-03-31
(71)【出願人】
【識別番号】000002897
【氏名又は名称】大日本印刷株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100120031
【弁理士】
【氏名又は名称】宮嶋 学
(74)【代理人】
【識別番号】100127465
【弁理士】
【氏名又は名称】堀田 幸裕
(74)【代理人】
【識別番号】100141830
【弁理士】
【氏名又は名称】村田 卓久
(72)【発明者】
【氏名】中野 雅允
(72)【発明者】
【氏名】藤田 善博
(72)【発明者】
【氏名】高橋 伸一郎
(72)【発明者】
【氏名】飯岡 秀俊
【テーマコード(参考)】
3K107
5C094
5G435
【Fターム(参考)】
3K107AA01
3K107BB01
3K107CC41
3K107DD17
3K107EE61
3K107FF15
5C094AA36
5C094BA03
5C094BA23
5C094BA27
5C094CA19
5C094DA06
5C094JA01
5C094JA08
5G435AA07
5G435BB04
5G435BB05
5G435CC09
5G435EE13
(57)【要約】
【課題】フレキシブル表示装置の表示部材と金属支持体との密着性を高めることが可能な、フレキシブル表示装置用金属支持体及びフレキシブル表示装置を提供する。
【解決手段】フレキシブル表示装置用金属支持体10の基材20は、第1面21と、第1面21の反対側の第2面22と、第2面22に形成された第1穴23と、第1面21に形成された第2穴24と、を備える。第1面21及び第2面22は、それぞれ第1方向D軸と第2方向D2軸とによって形成される平面に平行である。第2穴24の深さd2は、第1穴23の深さd1よりも浅い。
【選択図】
図7
【特許請求の範囲】
【請求項1】
基材を備えたフレキシブル表示装置用金属支持体において、
前記基材は、
第1面と、
前記第1面の反対側の第2面と、
前記第2面に形成された第1穴と、
前記第1面に形成された複数の第2穴と、を備え、
前記第1面及び前記第2面は、それぞれ第1方向軸と第2方向軸とによって形成される平面に平行であり、
前記第2穴の深さは、前記第1穴の深さよりも浅い、フレキシブル表示装置用金属支持体。
【請求項2】
少なくとも一部の前記第2穴は、平面視で前記第1穴に重なる位置に存在する、請求項1に記載のフレキシブル表示装置用金属支持体。
【請求項3】
少なくとも一部の前記第2穴は、平面視で前記第1穴に対して前記第1方向外側に位置する、請求項1に記載のフレキシブル表示装置用金属支持体。
【請求項4】
前記第1穴の深さは、前記基材の厚みの30%以上90%以下であり、前記第2穴の深さは、2μm以上20μm以下である、請求項1に記載のフレキシブル表示装置用金属支持体。
【請求項5】
前記第1穴の前記第1方向に沿う長さは、50μm以上1000μm以下であり、前記第2穴の前記第1方向に沿う長さは、5μm以上100μm以下である、請求項1に記載のフレキシブル表示装置用金属支持体。
【請求項6】
前記第2穴は、平面視でライン状又は千鳥状に配置される、請求項1に記載のフレキシブル表示装置用金属支持体。
【請求項7】
表示部材と、
前記表示部材を支持する、請求項1乃至6のいずれか一項に記載のフレキシブル表示装置用金属支持体と、を備えた、フレキシブル表示装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、フレキシブル表示装置用金属支持体及びフレキシブル表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、例えばスマートフォン、タブレット等の表示装置において、折り畳み可能なものが知られている。このような表示装置としては、その一部分に屈曲可能な屈曲部分を有する、フレキシブル表示装置が存在する(例えば特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
近年、フレキシブル表示装置を折り畳んだときの屈曲部分の形状をより小さくすることが求められている。すなわち、屈曲部分の曲率半径をより小さくすることが求められている。しかしながら、また、フレキシブル表示装置の表示部材と金属支持体とが十分に密着していない場合、金属支持体に対して表示部材が浮き上がる場合がある。この場合、フレキシブル表示装置の表示面に歪みが生じるおそれがある。
【0005】
本開示は、フレキシブル表示装置の表示部材と金属支持体との密着性を高めることが可能な、フレキシブル表示装置用金属支持体及びフレキシブル表示装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の実施の形態は、以下の[1]~[7]に関する。
【0007】
[1]基材を備えたフレキシブル表示装置用金属支持体において、前記基材は、第1面と、前記第1面の反対側の第2面と、前記第2面に形成された第1穴と、前記第1面に形成された複数の第2穴と、を備え、前記第1面及び前記第2面は、それぞれ第1方向軸と第2方向軸とによって形成される平面に平行であり、前記第2穴の深さは、前記第1穴の深さよりも浅い、フレキシブル表示装置用金属支持体。
【0008】
[2]少なくとも一部の前記第2穴は、平面視で前記第1穴に重なる位置に存在する、[1]に記載のフレキシブル表示装置用金属支持体。
【0009】
[3]少なくとも一部の前記第2穴は、平面視で前記第1穴に対して前記第1方向外側に位置する、[1]又は[2]に記載のフレキシブル表示装置用金属支持体。
【0010】
[4]前記第1穴の深さは、前記基材の厚みの30%以上90%以下であり、前記第2穴の深さは、2μm以上20μm以下である、[1]乃至[3]のいずれか1つに記載のフレキシブル表示装置用金属支持体。
【0011】
[5]前記第1穴の前記第1方向に沿う長さは、50μm以上1000μm以下であり、前記第2穴の前記第1方向に沿う長さは、5μm以上100μm以下である、[1]乃至[4]のいずれか1つに記載のフレキシブル表示装置用金属支持体。
【0012】
[6]前記第2穴は、平面視でライン状又は千鳥状に配置される、[1]乃至[5]のいずれか1つに記載のフレキシブル表示装置用金属支持体。
【0013】
[7]表示部材と、前記表示部材を支持する、[1]乃至[6]のいずれか1つに記載のフレキシブル表示装置用金属支持体、を備えた、フレキシブル表示装置。
【発明の効果】
【0014】
本開示によれば、フレキシブル表示装置の表示部材と金属支持体との密着性を高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】
図1は、一実施の形態によるフレキシブル表示装置を示す斜視図。
【
図2】
図2は、一実施の形態によるフレキシブル表示装置を示す平面図。
【
図3】
図3は、一実施の形態によるフレキシブル表示装置(展開状態)を示す断面図(
図2のIII-III線断面図)。
【
図4】
図4は、一実施の形態によるフレキシブル表示装置(折畳状態)を示す断面図。
【
図5】
図5は、一実施の形態によるフレキシブル表示装置用金属支持体を示す平面図。
【
図6】
図6は、一実施の形態によるフレキシブル表示装置用金属支持体を示す部分断面図(
図5のVI-VI線断面図)。
【
図7】
図7は、一実施の形態によるフレキシブル表示装置用金属支持体を示す部分拡大断面図(
図6のVII部拡大図)。
【
図8】
図8(a)-(d)は、一実施の形態によるフレキシブル表示装置用金属支持体の製造方法を示す断面図。
【
図9】
図9は、フレキシブル表示装置用金属支持体を屈曲させた状態を示す断面図。
【
図10】
図10は、第1変形例によるフレキシブル表示装置用金属支持体を示す断面図。
【
図11】
図11は、第2変形例によるフレキシブル表示装置用金属支持体を示す断面図。
【
図12】
図12は、第3変形例によるフレキシブル表示装置用金属支持体を示す平面図。
【発明を実施するための形態】
【0016】
本開示の実施の形態について、
図1乃至
図9を参照して説明する。なお、以下の各図において、同一部分には同一の符号を付しており、一部詳細な説明を省略する場合がある。
【0017】
本明細書中、第1方向D1とは、フレキシブル表示装置用金属支持体10又はフレキシブル表示装置70の主たる面に平行な平面上に位置し、かつ折り曲げ中心線FLに対して垂直な方向をいう。第2方向D2とは、フレキシブル表示装置用金属支持体10又はフレキシブル表示装置70の主たる面に平行な平面上に位置し、かつ折り曲げ中心線FLに対して平行な方向をいう。第1方向D1及び第2方向D2は、それぞれフレキシブル表示装置用金属支持体10又はフレキシブル表示装置70の各辺に平行な方向であっても良い。また第1方向D1と第2方向D2とは互いに直交する。第3方向D3は、第1方向D1及び第2方向D2の両方に対して垂直な方向であり、フレキシブル表示装置用金属支持体10又はフレキシブル表示装置70の厚み方向に平行な方向をいう。
【0018】
(フレキシブル表示装置用金属支持体の構成)
図1乃至
図4により、本実施の形態によるフレキシブル表示装置の概略について説明する。
図1乃至
図4は、本実施の形態によるフレキシブル表示装置を示す図である。
【0019】
図1及び
図2に示すフレキシブル表示装置70は、例えば有機EL表示装置であっても良い。フレキシブル表示装置70は、フレキシブルであり、折り曲げ可能な構造となっている。フレキシブル表示装置70は、折り曲げた状態の折曲状態(
図4参照)と、開いた状態の展開状態(
図2及び
図3参照)とをとることができる。折曲状態とは、フレキシブル表示装置70を、折り曲げ中心線FLを中心に折り曲げた状態である。折曲状態において、表示部材71の外面同士が接近する方向に折り曲げられる。なお、これに限らず、筐体78の外面同士が接近する方向に折り曲げられても良い。展開状態とは、フレキシブル表示装置70を、折り曲げることなく、開いた状態である。展開状態において、表示部材71の面は、その全体が実質的に同一平面上に位置する。フレキシブル表示装置70は、画像を表示する部分を有する薄型の電子機器であっても良い。このような電子機器は、例えばスマートフォン、タブレット等の携帯端末機器であっても良い。
【0020】
図3に示すように、フレキシブル表示装置70は、表示部材71と、フレキシブル表示装置用金属支持体10と、を備える。以下、フレキシブル表示装置用金属支持体10を、単に金属支持体10ともいう。金属支持体10は、表示部材71を支持する。表示部材71と金属支持体10との間には、クッションシート等の緩衝層76が設けられる。金属支持体10は、接着層79を介して緩衝層76に接着される。金属支持体10の、表示部材71の反対側の面には、放熱層77が配置される。さらに、表示部材71、緩衝層76、接着層79、金属支持体10及び放熱層77は、筐体78に支持される。
【0021】
表示部材71は、支持基材72と、薄膜トランジスタ(TFT)73と、有機EL素子74と、封止樹脂75とを有する。薄膜トランジスタ73は、支持基材72上に配置される。有機EL素子74は、薄膜トランジスタ73上に配置される。封止樹脂75は、有機EL素子74上に配置される。
【0022】
支持基材72は、表示部材71の全体を支持するものであり、可撓性を有するフィルムであっても良い。支持基材72としては、例えばポリエチレンテレフタレート等の合成樹脂材料を用いても良い。薄膜トランジスタ73は、有機EL素子74を駆動するためのものであり、有機EL素子74の電極に印加される電圧を制御する。有機EL素子74は、それ自体が発光することにより画像等を表示する。有機EL素子74は、薄膜トランジスタ73に電気的に接続されている。有機EL素子74は、発光部と称しても良い。有機EL素子74は、図示しない反射電極と、有機発光層と、透明電極とを有しても良い。封止樹脂75は、有機EL素子74を封止し、有機EL素子74を保護するためのものである。表示部材71は、有機EL表示装置に限られるものではない。例えば、表示部材71は、それ自体が発光する機能をもつ他の表示装置であっても良い。表示部材71は、マイクロLED素子(発光体)を含むマイクロLED表示装置であっても良い。
【0023】
緩衝層76は、フレキシブル表示装置70を折り曲げたときに表示部材71へ加わる応力を緩和する層である。緩衝層76は、シリコーン樹脂、ポリウレタン樹脂、エポキシ系樹脂等の弾力性をもつ樹脂材料の層であっても良い。金属支持体10は、フレキシブル表示装置70を折り曲げるときの屈曲強度を高める部材である。なお、金属支持体10の構成については後述する。
【0024】
放熱層77は、表示部材71からの熱を外部へ放出するための層である。放熱層77は、銅、ニッケル等の金属層であっても良い。放熱層77は、電解めっきにより作製されためっき層であっても良い。筐体78は、表示部材71、緩衝層76、金属支持体10及び放熱層77を収容して保護する。筐体78は、折り曲げ中心線FLを中心に折り曲げ可能な構造を有する。
【0025】
接着層79は、金属支持体10を表示部材71に直接的又は間接的に接着する層である。接着層79は、光学透明性を有していても良い。接着層79は、OCA(Optical Clear Adhesive)層であっても良い。OCA層は、例えば以下のようにして作製された層である。まずポリエチレンテレフタレート(PET)等の離型フィルム上に、重合性化合物を含む液状の硬化性接着層用組成物を塗布する。次に、硬化性接着層用組成物を例えば紫外線(UV)等を用いて硬化し、OCAシートを得る。このOCAシートを対象物に貼合した後、離型フィルムを剥離除去することにより、上記OCA層を得る。
【0026】
フレキシブル表示装置70は、屈曲領域BAと、非屈曲領域NAとを含む。屈曲領域BAは、フレキシブル表示装置70が折曲状態(
図4参照)をとるときに、物理的に変形する領域である。折り曲げ中心線FLは、屈曲領域BAの略中心に位置する。非屈曲領域NAは、フレキシブル表示装置70が折曲状態(
図4参照)をとるときに、実質的に変形しない領域である。第1方向D1において、屈曲領域BAの両側にそれぞれ非屈曲領域NAが存在する。2つの非屈曲領域NAの、第1方向D1に沿う長さは互いに略同一であっても良い。これに限らず、2つの非屈曲領域NAの、第1方向D1に沿う長さは互いに異なっても良い。また屈曲領域BAは、フレキシブル表示装置70の第1方向D1の中央に存在する。これに限らず、屈曲領域BAは、フレキシブル表示装置70の第1方向D1の中央以外の位置にあっても良い。
【0027】
(フレキシブル表示装置用金属支持体の構成)
図5乃至
図7により、本実施の形態によるフレキシブル表示装置用金属支持体の概略について説明する。
図5及び
図6は、本実施の形態によるフレキシブル表示装置用金属支持体を示す図である。
図7は、
図6の部分拡大図である。
【0028】
図5及び
図6に示すように、金属支持体10は、基材20を備える。基材20は、第1面21と、第2面22と、第1穴23と、第2穴24とを有する。第1面21は、フレキシブル表示装置70の表示部材71側を向く面である。第2面22は、フレキシブル表示装置70の放熱層77側を向く面である。第2面22は、第1面21の反対側に位置する。第1面21及び第2面22は、それぞれ第1方向D1軸と第2方向D2軸とによって形成される平面に平行である。第1穴23は、第2面22に形成されている。第2穴24は、第1面21に形成されている。第2穴24の深さd2は、第1穴23の深さd1よりも浅い。
【0029】
金属支持体10は、屈曲領域BAと、非屈曲領域NAとを含む。屈曲領域BAは、フレキシブル表示装置70が折曲状態(
図4参照)をとるときに物理的に変形する領域である。折り曲げ中心線FLは、屈曲領域BAの略中心に位置する。非屈曲領域NAは、フレキシブル表示装置70が折曲状態(
図4参照)をとるときに、実質的に変形しない領域である。屈曲領域BA及び非屈曲領域NAは、それぞれ上述したフレキシブル表示装置70の屈曲領域BA及び非屈曲領域NAに対応する。
【0030】
基材20は、フレキシブル表示装置70を折り曲げるときの屈曲強度を高める部材である。基材20は、平面視で長方形形状を有している。この長方形は、一対の長辺が第1方向D1に平行であり、一対の短辺が第2方向D2に平行である。なお、これに限らず、一対の短辺が第1方向D1に平行であり、一対の長辺が第2方向D2に平行であっても良い。長方形の各角部は丸みを帯びていても良い。基材20は、平面視で正方形、多角形、又は円形であっても良い。基材20の平面形状は、フレキシブル表示装置70の平面形状に対応していても良い。この場合、基材20の平面形状は、フレキシブル表示装置70の平面形状と同一であっても良い。あるいは、基材20の平面形状は、フレキシブル表示装置70の平面形状よりも小さくても良い。
【0031】
基材20は、フレキシブルで屈曲可能な薄板の形状を有する。なお、本明細書中、「フレキシブル」とは、「曲率半径を少なくとも5.0mm以下、好ましくは3.0mm以下に曲げることが可能であること」をいう。
【0032】
基材20の第1方向D1に沿う長さL1は、100mm以上としても良く、200mm以上としても良い。基材20の第1方向D1に沿う長さL1は、500mm以下としても良く、400mm以下としても良い。基材20の第2方向D2に沿う長さL2は、50mm以上としても良く、150mm以上としても良い。基材20の第2方向D2に沿う長さL2は、400mm以下としても良く、350mm以下としても良い。
【0033】
基材20の厚みT1は、50μm以上としても良く、75μm以上としても良い。基材20の厚みT1を50μm以上とすることにより、基材20の強度が弱く支持体として成り立たなくなることを抑制できる。基材20の厚みT1は、150μm以下としても良い。基材20の厚みT1を150μm以下とするにより、屈曲領域BAの曲率半径を小さくし、屈曲耐性を向上できる。また金属支持体10が過度に重くなることを抑制できる。
【0034】
基材20は、金属から構成される。基材20は、主たる金属材料を含む。基材20の主たる金属材料としては、ステンレス等の鉄合金、チタン、アルミニウム合金、又はマグネシウム合金を用いても良い。基材20の主たる金属材料としてステンレスを用いた場合、基材20が良好なバネ性を持つため、基材20を屈曲させ易い。本明細書中、「主たる金属材料」とは、ある部材に50質量%超、好ましくは80質量%超含まれる金属材料をいう。
【0035】
基材20は、複数の第1穴23を有する。複数の第1穴23は、屈曲領域BAに設けられている。複数の第1穴23は、ライン状に形成されても良い。複数の第1穴23は、互いに平行に配置されても良い。複数の第1穴23の平面形状は互いに同一であっても良く、互いに異なっても良い。複数の第1穴23の深さd1は互いに同一であっても良く、互いに異なっても良い。各第1穴23は、それぞれ第2方向D2に沿って直線状に延びる。各第1穴23は、平面視で長方形状であっても良い。これに限らず、各第1穴23は、平面視で例えば多角形形状又は円形形状を有していても良い。各第1穴23は、平面視で角部が丸められた長方形形状を有していても良い。各第1穴23は、基材20の第2方向D2の全体にわたって延びているが、基材20の第2方向D2の一部のみに存在しても良い。
【0036】
各第1穴23は、第2面22側から薄肉化されている。各第1穴23は、第1面21までは達していない。すなわち各第1穴23は、基材20を厚み方向に貫通しない非貫通孔である。本明細書中、「穴」とは、非貫通孔及び貫通孔の両方を含む概念である。各第1穴23は、ハーフエッチングにより形成されたものであっても良い。本明細書中、「ハーフエッチング」とは、被エッチング材料をその厚み方向に途中までエッチングすることをいう。ハーフエッチング後の被エッチング材料の厚みは、ハーフエッチング前の被エッチング材料の厚みの例えば30%以上90%以下、好ましくは40%以上80%以下となる。
図7に示すように、各第1穴23は、断面視で第1面21側に向けて湾曲した曲線から構成されていても良い。
【0037】
各第1穴23の第1方向D1に沿う長さL3は、50μm以上としても良く、100μm以上としても良い。各第1穴23の第1方向D1に沿う長さL3は、1000μm以下としても良く、500μm以下としても良い。各第1穴23の第1方向D1に沿う長さL3は、各第1穴23の幅と称しても良い。各第1穴23の第2方向D2に沿う長さL4は、50mm以上としても良く、100mm以上としても良い。各第1穴23の第2方向D2に沿う長さL4は、400mm以下としても良く、300mm以下としても良い。各第1穴23の第2方向D2に沿う長さL4は、基材20の第2方向D2に沿う長さL2と同一としても良い。なお、長さL3及び長さL4は、それぞれ第2面22における距離をいう。
【0038】
各第1穴23の深さd1は、基材20の厚みT1の30%以上としても良く、40%以上としても良く、50%以上としても良い。各第1穴23の深さd1は、基材20の厚みT1の90%以下としても良く、80%以下としても良く、70%以下としても良い。第1穴23の深さd1は、第1穴23のうち最も深い箇所(第2面22からの距離が遠い箇所)と、第2面22との距離をいう。各第1穴23の深さd1は、15μm以上としても良く、20μm以上としても良い。各第1穴23の深さd1は、135μm以下としても良く、120μm以下としても良い。また、第1穴23の最も深い箇所における基材20を厚みT2は、基材20の厚みT1の10%以上としても良く、20%以上としても良く、30%以上としても良い。第1穴23の最も深い箇所における基材20を厚みT2は、基材20の厚みT1の70%以下としても良く、60%以下としても良く、50%以下としても良い。なお、第1穴23の最も深い箇所における基材20を厚みT2とは、第1穴23のうち最も深い箇所(第2面22からの距離が遠い箇所)と、第1面21との距離をいう。
【0039】
基材20は、屈曲領域BAにおいて複数の第1土手部25を有する。各第1土手部25は、それぞれ第2方向D2に沿って直線状に延びる。複数の第1土手部25は、第1方向D1に互いに間隔を空けて配置されている。複数の第1土手部25の間には、それぞれ第1穴23が形成される。すなわち第1穴23と第1土手部25とは、第1方向D1に沿って交互に形成される。この場合、第1穴23と第1土手部25とが互い違いに配置されるので、フレキシブル表示装置70を折り曲げたときに屈曲領域BAの特定の箇所に応力が集中することを緩和できる。
【0040】
複数の第1土手部25は、互いに平行に配置される。複数の第1土手部25の形状は互いに同一であっても良く、異なっても良い。各第1土手部25は、それぞれ第2方向D2に沿って直線状に延びる。各第1土手部25は、平面視で長方形状であっても良い。これに限らず、各第1土手部25は、平面視で第1穴23の周囲を取り囲む形状を有していても良い。各第1土手部25は、基材20の第2方向D2の全体にわたって延びているが、基材20の第2方向D2の一部のみに存在しても良い。各第1土手部25は、少なくとも第2面22側からは薄肉化されていない。第2穴24が存在しない箇所における第1土手部25の厚みは、基材20の厚みT1と同一である。
【0041】
各第1土手部25の第1方向D1に沿う長さL5は、50μm以上としても良く、100μm以上としても良い。各第1土手部25の第1方向D1に沿う長さL5は、400μm以下としても良く、200μm以下としても良い。なお、長さL5は、第2面22における距離をいう。各第1土手部25の第2方向D2に沿う長さは、基材20の第2方向D2に沿う長さL2と同一としても良い。
【0042】
各第1土手部25の第1方向D1に沿う長さL5は、互いに同一であっても良い。あるいは、各第1土手部25の第1方向D1に沿う長さL5は、第1土手部25の場所によって変更しても良い。例えば、折り曲げ中心線FLに近い位置の第1土手部25の第1方向D1に沿う長さL5を、折り曲げ中心線FLから離れた位置の第1土手部25の第1方向D1に沿う長さL5よりも広くしても良い。これにより、金属支持体10を折り畳んだ際、屈曲領域BAのうち、折り曲げ中心線FLに近く、曲率半径が小さくなりやすい部分に負荷が加わることを抑制できる。
【0043】
基材20は、複数の第2穴24を有する。複数の第2穴24は、屈曲領域BAに設けられている。複数の第2穴24は、ライン状に形成されても良い。複数の第2穴24は、第1方向D1に互いに離間して配置されている。複数の第2穴24は、互いに平行に配置されても良い。複数の第2穴24の平面形状は互いに同一であるが、互いに異なっても良い。複数の第2穴24の深さは互いに同一であるが、互いに異なっても良い。各第2穴24は、それぞれ第2方向D2に沿って直線状に延びる。これにより、金属支持体10を、第2方向D2に延びる折り曲げ中心線FLに沿って屈曲しやすくすることができる。各第2穴24は、それぞれ第1方向D1に沿って延びていても良い。各第2穴24は、平面視で長方形状であっても良い。これに限らず、各第2穴24は、平面視で例えば多角形形状又は円形形状を有していても良い。各第2穴24は、平面視で角部が丸められた長方形形状を有していても良い。各第2穴24は、基材20の第2方向D2の一部に延びているが、基材20の第2方向D2の全体にわたって存在しても良い。
【0044】
各第2穴24は、第2面22に存在する。各第2穴24は、第2面22にのみ存在していても良い。各第2穴24は、第2面22側から薄肉化されている。各第2穴24は、第1面21までは達していない。すなわち各第2穴24は、基材20を厚み方向に貫通しない非貫通孔からなる。各第2穴24は、ハーフエッチングにより形成されたものであっても良い。
図7に示すように、各第2穴24は、断面視で第2面22側に向けて湾曲した曲線から構成されていても良い。各第2穴24は、断面視で半円形状又は半楕円形状を有していても良い。
【0045】
少なくとも一部の第2穴24は、平面視で第1穴23に重なる位置に存在する。1つの第1穴23に対して平面視で複数の第2穴24が重なっていても良い。例えば、1つの第1穴23に対して平面視で2本以上30本以下の第2穴24が重なっていても良い。一部の第2穴24は、第1土手部25に配置されている。1つの第1土手部25に対して複数の第2穴24が配置されていても良い。例えば、1つの第1土手部25に対して平面視で2本以上10本以下の第2穴24が配置されていても良い。
【0046】
各第2穴24の第1方向D1に沿う長さL6は、各第1穴23の第1方向D1に沿う長さL3よりも短い。各第2穴24の第1方向D1に沿う長さL6は、各第2穴24の幅と称しても良い。複数の第2穴24の第1方向D1に沿う長さL6は、互いに均一であるが、互いに異なっても良い。例えば、複数の第2穴24の第1方向D1に沿う長さL6は、折り曲げ中心線FLから遠ざかるに従って短くなっても良く、長くなっても良い。各第2穴24の長さL6は、各第1穴23の長さL3の1%以上としても良く、2.5%以上としても良い。各第2穴24の長さL6は、各第1穴23の長さL3の10%以下としても良く、5%以下としても良い。各第2穴24の第1方向D1に沿う長さL6は、それぞれ5μm以上としても良く、10μm以上としても良く、20μm以上としても良い。各第2穴24の第1方向D1に沿う長さL6は、それぞれ100μm以下としても良く、50μm以下としても良く、40μm以下としても良い。なお、長さL6は、それぞれ第1面21における距離をいう。
【0047】
第2穴24の第2方向D2に沿う長さL7は、第1穴23の第2方向D2に沿う長さL4と同一である。これに限らず、第2穴24の第2方向D2に沿う長さL7は、第1穴23の第2方向D2に沿う長さL4よりも短くても良く、長くても良い。第2穴24の第2方向D2に沿う長さL7は、基材20の第2方向D2に沿う長さL2と同一であってもよい。第2穴24の第2方向D2に沿う長さL7は、基材20の第2方向D2に沿う長さL2よりも短くても良い。複数の第2穴24の第2方向D2に沿う長さL7は、それぞれ100mm以上としても良く、200mm以上としても良い。各第2穴24の第2方向D2に沿う長さL7は、それぞれ400mm以下としても良く、300mm以下としても良い。なお、長さL7は、それぞれ第1面21における距離をいう。
【0048】
第2穴24の深さd2は、第1穴23の深さd1よりも浅い。複数の第2穴24の深さd2は、互いに均一であるが、互いに異なっても良い。例えば、複数の第2穴24の深さd2は、折り曲げ中心線FLから遠ざかるに従って短くなっても良く、長くなっても良い。各第2穴24の深さd2は、各第1穴23の深さd1の1%以上としても良く、2.5%以上としても良い。各第2穴24の深さd2は、各第1穴23の深さd1の10%以下としても良く、5%以下としても良い。各第2穴24の深さd2は、それぞれ2μm以上としても良く、5μm以上としても良い。各第2穴24の深さd2を2μm以上とすることにより、金属支持体10と接着層79との密着性を高められる。各第2穴24の深さd2は、それぞれ20μm以下としても良く、10μm以下としても良い。各第2穴24の深さd2を20μm以下とすることにより、金属支持体10の全体としての平坦性が損なわれることを抑制できる。なお、各第2穴24の深さd2とは、第2穴24のうち最も深い箇所(第1面21からの距離が遠い箇所)と、第1面21との距離をいう。各第2穴24の第1方向D1に沿う長さL6は、第2穴24の深さd2よりも長くても良い。
【0049】
基材20は、屈曲領域BAにおいて複数の第2土手部26を有する。各第2土手部26は、それぞれ第2方向D2に沿って直線状に延びる。複数の第2土手部26は、第1方向D1に互いに間隔を空けて配置されている。複数の第2土手部26の間には、それぞれ第2穴24が形成される。すなわち第2穴24と第2土手部26とは、第1方向D1に沿って交互に形成される。
【0050】
複数の第2土手部26は、互いに平行に配置される。複数の第2土手部26は、第2面22に存在する。複数の第2土手部26の形状は互いに同一であっても良く、異なっても良い。各第2土手部26は、それぞれ第2方向D2に沿って直線状に延びる。各第2土手部26は、平面視で長方形状であっても良い。これに限らず、各第2土手部26は、平面視で第2穴24の周囲を取り囲む形状を有していても良い。各第2土手部26は、基材20の第2方向D2の全体にわたって延びているが、基材20の第2方向D2の一部のみに存在しても良い。
【0051】
各第2土手部26の第1方向D1に沿う長さL8は、10μm以上としても良く、50μm以上としても良い。各第2土手部26の第1方向D1に沿う長さL8は、200μm以下としても良く、100μm以下としても良い。なお、長さL8は、第1面21における距離をいう。各第2土手部26の第1方向D1に沿う長さL8は、各第1土手部25の第1方向D1に沿う長さL5よりも短い。各第2土手部26の第1方向D1に沿う長さL8は、各第2土手部26の幅と称しても良い。複数の第2土手部26の第1方向D1に沿う長さL8は、互いに均一であるが、互いに異なっても良い。例えば、複数の第2土手部26の第1方向D1に沿う長さL8は、折り曲げ中心線FLから遠ざかるに従って短くなっても良く、長くなっても良い。各第2土手部26の第1方向D1に沿う長さL8は、それぞれ10μm以上としても良く、50μm以上としても良い。各第2土手部26の第1方向D1に沿う長さL8は、それぞれ200μm以下としても良く、100μm以下としても良い。なお、長さL8は、それぞれ第1面21における距離をいう。各第2土手部26の第2方向D2に沿う長さは、基材20の第2方向D2に沿う長さL2と同一としても良い。
【0052】
各第2土手部26の第1方向D1に沿う長さL8は、互いに同一であっても良い。あるいは、各第2土手部26の第1方向D1に沿う長さL8は、第2土手部26の場所によって変更しても良い。例えば、折り曲げ中心線FLに近い位置の第2土手部26の第1方向D1に沿う長さL8を、折り曲げ中心線FLから離れた位置の第2土手部26の第1方向D1に沿う長さL8よりも広くしても良い。
【0053】
(フレキシブル表示装置用金属支持体の製造方法)
次に、
図5及び
図6に示す金属支持体10の製造方法について、
図8(a)-(d)を用いて説明する。
【0054】
まず
図8(a)に示すように、エッチングされていない平板状の基材20Aを準備する。この基材20Aとしては、ステンレス等の鉄合金又はチタンを用いても良い。基材20Aは、第1面21と第2面22とを有する。なお基材20Aは、第1面21及び第2面22に対して脱脂等を行い、洗浄処理を施したものを使用することが好ましい。
【0055】
次に、
図8(b)に示すように、基材20A上に第1保護層51及び第2保護層52を設ける。具体的には、基材20Aの第1面21上に第1保護層開口51aを有する第1保護層51を設け、基材20Aの第2面22上に第2保護層開口52aを有する第2保護層52を設ける。第1保護層51及び第2保護層52は、それぞれレジスト層であっても良い。この際、まず基材20Aの第1面21及び第2面22の全体にそれぞれ感光性レジストを塗布し、乾燥する。続いて、基材20Aの第1面21及び第2面22上の感光性レジストに対してそれぞれフォトマスクを介して露光し、現像する。これにより、基材20Aの第1面21上に第1保護層開口51aを有する第1保護層51を形成し、第2面22上に第2保護層開口52aを有する第2保護層52を形成する。第1保護層開口51aの平面形状は、第2穴24の平面形状に対応する。第2保護層開口52aの平面形状は、第1穴23の平面形状に対応する。
【0056】
次いで、
図8(c)に示すように、第2保護層52を耐腐蝕膜として基材20Aの第2面22に腐蝕液でエッチングを施す。腐蝕液は、基材20Aの材質に応じて適宜選択できる。例えば、基材20Aとしてステンレスを用いる場合、腐蝕液として塩化第二鉄を主成分とする塩酸との混合液、またはこれに硝酸を加えた混合液を用いてもよい。上記腐蝕液は、基材20Aに対してスプレーエッチングしても良い。これにより、第1面21側から基材20Aがエッチングされ、基材20Aを貫通しない第2穴24が形成される。また第2面22側から基材20Aがエッチングされ、基材20Aを貫通しない第1穴23が形成される。上述したように、第2穴24の深さd2は、第1穴23の深さd1よりも浅い。第1穴23及び第2穴24は、一度のエッチングによって同時に形成される。これに限らず、第1穴23及び第2穴24のいずれか一方を先に形成し、他方を後に形成しても良い。
【0057】
その後、
図8(d)に示すように、基材20Aの第1面21上の第1保護層51と、基材20Aの第2面22上の第2保護層52とをそれぞれ剥離除去する。このようにして、
図5及び
図6に示す金属支持体10が得られる。
【0058】
このように本実施の形態によれば、基材20が第1穴23を有する。これにより、金属支持体10をフレキシブル表示装置70に組み込んだ際、フレキシブル表示装置70の屈曲領域BAの屈曲性を高めることができる。この結果、
図9に示すように、フレキシブル表示装置70を折り畳んだときに屈曲領域BAの曲率半径をより小さくできる。
【0059】
フレキシブル表示装置70においては、屈曲領域BAが繰り返し折り曲げられる。このとき、基材20と接着層79との密着性が不十分であると、金属支持体10と表示部材71とが互いに剥離するおそれがある。この場合、表示部材71が金属支持体10から浮き上がったり、フレキシブル表示装置70の表示面が歪んだりするおそれがある。これに対して本実施の形態によれば、第1面21に、第1穴23の深さよりも浅い複数の第2穴24が形成されている。これにより、第1面21の表面積を広げ、接着層79と第1面21とが広い面積で接着できる。また接着層79が第2穴24に進入することにより、アンカー効果を発揮できる。このため、基材20と接着層79との密着性を向上できる。この結果、フレキシブル表示装置70を繰り返し折り曲げたとき、金属支持体10と表示部材71とが互いに剥離することを抑制できる。
【0060】
またフレキシブル表示装置70においては、屈曲領域BAが繰り返し折り曲げられたとき、基材20の最も薄い箇所、すなわち第1穴23の最も深い箇所(
図9の丸囲み部分)に応力が集中しやすい。このため、屈曲領域BAを繰り返し折り曲げることにより、基材20の最も薄い箇所が劣化し、破断するおそれがある。これに対して本実施の形態によれば、第1面21に、第1穴23の深さよりも浅い複数の第2穴24が形成されている。これにより、フレキシブル表示装置70を繰り返し折り曲げたとき、基材20の最も薄い箇所に生じる応力を分散できる。この結果、屈曲領域BAを繰り返し折り曲げたときに、基材20の最も薄い箇所が劣化することを抑え、この部分の破断を抑制できる。
【0061】
また本実施の形態によれば、第2穴24の深さd2は、第1穴23の深さd1よりも浅い。具体的には、各第1穴23の第1方向D1に沿う長さL3は、50μm以上1000μm以下であり、各第2穴24の第1方向D1に沿う長さL6は、5μm以上100μm以下である。このとき、第1穴23の深さd1は、基材20の厚みT1の30%以上90%以下であり、第2穴24の深さd2は、2μm以上20μm以下である。また、各第1穴23の第1方向D1に沿う長さL3は、50μm以上1000μm以下であり、各第2穴24の第1方向D1に沿う長さL6は、5μm以上100μm以下である。このように、第2穴24の大きさが第1穴23の大きさよりも十分に小さい。このため、第2面22の第2穴24によって生じる凹凸が表示部材71に影響を及ぼすことを抑制できる。これにより、第2面22の全体としての平坦性が損なわれることないため、フレキシブル表示装置70の平坦性を維持できる。
【0062】
また本実施の形態によれば、少なくとも一部の第2穴24は、平面視で第1穴23に重なる位置に存在する。この場合、第1穴23が存在する屈曲領域BAにおいて、第2穴24が存在する第1面21と接着層79との密着性を向上できる。これにより、金属支持体10と表示部材71とが互いに剥離することを抑制できる。また、上述したように、フレキシブル表示装置70を繰り返し折り曲げたとき、第1穴23の最も深い箇所に応力が集中しやすい。本実施の形態によれば、平面視で第1穴23に重なる位置に第2穴24が形成されている。これにより、フレキシブル表示装置70を繰り返し折り曲げたとき、第1穴23の最も深い箇所に生じる応力を分散できる。
【0063】
また本実施の形態によれば、第2穴24は、平面視でライン状に配置される。これにより、フレキシブル表示装置70を折り曲げたときの屈曲性を向上できる。
【0064】
また本実施の形態によれば、基材20が第1穴23及び第2穴24を有することにより、金属支持体10を軽量化できる。
【0065】
(変形例)
次に、
図10乃至
図12を参照して、本実施の形態の各種変形例について説明する。
図10乃至
図12は、それぞれ本実施の形態の変形例を示す図である。
図10乃至
図12において、
図1乃至
図9に示す形態と同一部分には同一の符号を付して詳細な説明は省略する。
【0066】
(第1変形例)
図10は、第1変形例による金属支持体10を示す平面図である。
図10に示すように、本変形例による金属支持体10において、少なくとも一部の第2穴24は、平面視で第1穴23に対して第1方向D1外側に位置する。複数の第2穴24は、屈曲領域BAだけでなく非屈曲領域NAにも存在する。屈曲領域BA及び非屈曲領域NAの両方において、第2穴24と第2土手部26とは、第1方向D1に沿って交互に形成される。複数の第2穴24は、第1面21の全域にわたって存在しても良い。平面視において、第1面21の全面積に占める第2穴24の全面積の割合は、10%以上80%以下としても良く、30%以上60%以下とすることが好ましい。
【0067】
各第2穴24の第1方向D1に沿う長さL6、各第2穴24の深さd2、及び/又は、各第2土手部26の第1方向D1に沿う長さL8は、屈曲領域BAと非屈曲領域NAとで互いに異なっても良い。例えば、屈曲領域BAに存在する第2穴24の第1方向D1に沿う長さL6は、非屈曲領域NAに存在する第2穴24の第1方向D1に沿う長さL6よりも長くても良い。例えば、屈曲領域BAに存在する第2穴24の第1方向D1に沿う長さL6は、非屈曲領域NAに存在する第2穴24の第1方向D1に沿う長さL6よりも長くても良い。
【0068】
本変形例によれば、非屈曲領域NAにおいても基材20と接着層79との密着性を向上できる。また非屈曲領域NAに第2穴24が存在することにより、金属支持体10をより軽量化できる。
【0069】
(第2変形例)
図11は、第2変形例による金属支持体10を示す断面図である。
図11に示すように、本変形例による金属支持体10において、各第1穴23は、基材20を厚み方向に貫通する貫通孔となっている。各第2穴24の深さd2は、それぞれ第1穴23の深さd1よりも浅い。なお、貫通孔である第1穴23の深さd1は、基材20の厚みT1と等しい。第2穴24の第1方向D1に沿う長さL6は、第1穴23の第1方向D1に沿う長さL3よりも短い。第2穴24の第2方向D2に沿う長さは、第1穴23の第2方向D2に沿う長さと同一であっても良く、第1穴23の第2方向D2に沿う長さより長くても良い。なお、第1穴23の第2方向D2に沿う長さは、基材20の第2方向D2に沿う長さよりも短い。本変形例によれば、第1穴23が貫通孔であることにより、金属支持体10を折り畳んだ際、屈曲領域BAの曲率半径をより小さくできる。また、金属支持体10をより軽量化できる。
【0070】
(第3変形例)
図12は、第3変形例による金属支持体10を示す平面図である。
図12に示すように、本変形例による金属支持体10において、複数の第2穴24が互い違い(千鳥状)に配置されている。この場合、複数の第2穴24は、第1列R1の第2穴24と、第2列R2の第2穴24とを含む。第1列R1の第2穴24は、第2方向D2に沿って互いに間隔を空けて配置されている。第2列R2の第2穴24は、第2方向D2に沿って互いに間隔を空けて配置されている。第1列R1の第2穴24と第2列R2の第2穴24とは、第2方向D2にずれて配置されている。各第2穴24の深さd2は、それぞれ第1穴23の深さd1よりも浅い。各第2穴24の第1方向D1に沿う長さL6は、それぞれ第1穴23の第1方向D1に沿う長さL3よりも短い。各第2穴24の第2方向D2に沿う長さL7は、第1穴23の第2方向D2に沿う長さL4よりも短い。本変形例によれば、複数の第2穴24が互い違いになっていることにより、フレキシブル表示装置70を折り曲げたときに、第2穴24の周辺の特定箇所に応力が集中することを抑制できる。
【0071】
互いに第1方向D1に隣接する第2穴24同士の間隔P3は、20μm以上150μm以下としても良い。互いに第2方向D2に隣接する第2穴24同士の間隔P4は、100μm以上500μm以下としても良い。各第2穴24は、平面視で略長方形形状を有している。これに限らず、各第2穴24は、平面視で例えば多角形形状又は円形形状を有していても良い。各第2穴24は、平面視で角部が丸められた長方形形状を有していても良い。各第2穴24の第1方向D1に沿う長さL6は、50μm以上300μm以下としても良い。各第2穴24の第2方向D2に沿う長さL7は、50μm以上3000μm以下としても良い。
【0072】
上記各実施の形態及び変形例に開示されている複数の構成要素を必要に応じて適宜組合せることも可能である。あるいは、上記各実施の形態及び変形例に示される全構成要素から幾つかの構成要素を削除してもよい。
【符号の説明】
【0073】
10 フレキシブル表示装置用金属支持体
20 基材
21 第1面
22 第2面
23 第1穴
24 第2穴
25 第1土手部
26 第2土手部
70 フレキシブル表示装置
71 表示部材