(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024146355
(43)【公開日】2024-10-15
(54)【発明の名称】熱交換器及び熱交換器を備えた冷凍サイクル装置
(51)【国際特許分類】
F28F 9/26 20060101AFI20241004BHJP
F25B 39/02 20060101ALI20241004BHJP
F28F 1/02 20060101ALI20241004BHJP
F28F 27/02 20060101ALI20241004BHJP
F28D 1/047 20060101ALI20241004BHJP
【FI】
F28F9/26
F25B39/02 F
F28F1/02 B
F28F27/02 B
F28D1/047 C
【審査請求】有
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023059201
(22)【出願日】2023-03-31
(71)【出願人】
【識別番号】000002853
【氏名又は名称】ダイキン工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000202
【氏名又は名称】弁理士法人新樹グローバル・アイピー
(72)【発明者】
【氏名】山田 甲樹
(72)【発明者】
【氏名】鄭 晨
(72)【発明者】
【氏名】宇多 全史
(72)【発明者】
【氏名】松本 祥志
【テーマコード(参考)】
3L065
3L103
【Fターム(参考)】
3L065DA11
3L103AA50
3L103BB42
3L103BB43
3L103CC17
3L103CC18
3L103CC22
3L103DD04
3L103DD32
3L103DD33
3L103DD61
(57)【要約】
【課題】最下段の扁平多穴管の着霜を抑制可能な熱交換器、及び、この熱交換器を備えたな冷凍サイクル装置を提供する。
【解決手段】第1熱交換器11は、上下方向に並べて配置される複数の扁平多穴管110と、圧力損失部としての分流器170と、を備える。複数の扁平多穴管は、第1管群114の扁平多穴管と、第1管群の扁平多穴管以外の第2管群116の扁平多穴管と、を含む。第1管群は、第1パスP1を形成する。第1パスは、第1熱交換器の最下段に配置される扁平多穴管110Lを含む冷媒の流路である。第2管群は、冷媒の流路である第2パスP2を形成する。第1熱交換器が蒸発器として機能する際、第1熱交換器に供給される冷媒の少なくとも一部は、第1パスを流れた後に圧力損失部に流入し、圧力損失部から流出して第2パスに流入する。
【選択図】
図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
上下方向に並べて配置される複数の扁平多穴管(110)と、
冷媒が流れる圧力損失部(154,170,171a,173,174a,176a)と、
を備えた熱交換器であって、
前記複数の扁平多穴管は、前記熱交換器の最下段に配置される前記扁平多穴管を含む第1管群(114)の前記扁平多穴管と、前記第1管群の前記扁平多穴管以外の第2管群(116)の前記扁平多穴管と、を含み、
前記第1管群の前記扁平多穴管は、前記冷媒の流路である、第1パス(P1)を形成し、
前記第2管群の前記扁平多穴管は、前記冷媒の流路である第2パス(P2)を形成し、
前記熱交換器が蒸発器として機能する際、前記熱交換器に供給される前記冷媒の少なくとも一部は、前記第1パスを流れた後に前記圧力損失部に流入し、前記圧力損失部を流れた後に前記第2パスに流入する、
熱交換器(11)。
【請求項2】
前記熱交換器が蒸発器として機能する際に、前記熱交換器に供給される前記冷媒の全量が、前記第1パスを流れた後に前記圧力損失部に流入し、前記圧力損失部を流れた後に前記第2パスに流入する、
請求項1に記載の熱交換器。
【請求項3】
前記第1管群は、並列に配置される複数の前記扁平多穴管を含む、
請求項1又は2に記載の熱交換器。
【請求項4】
前記第1管群の前記扁平多穴管(110a)のそれぞれの流路面積は、前記第2管群の前記扁平多穴管(110)のそれぞれの流路面積よりも大きい、
請求項1又は2に記載の熱交換器。
【請求項5】
前記第1管群に含まれる前記扁平多穴管の数は、前記第2管群に含まれる前記扁平多穴管の数よりも少ない、
請求項1又は2に記載の熱交換器。
【請求項6】
前記圧力損失部は、前記第1パスと前記第2パスとの間の前記冷媒の流路に配置されるオリフィス(171a,173,174a,176a)である、
請求項1又は2に記載の熱交換器。
【請求項7】
前記圧力損失部は、前記第1パスと前記第2パスとの間の前記冷媒の流路に配置される分流器(170)である、
請求項1又は2に記載の熱交換器。
【請求項8】
前記第1パスと前記第2パスとの間の前記冷媒の流路に配置されるヘッダ(150)を更に備え、
前記圧力損失部は、前記ヘッダの内部に配置されるノズル(154)である、
請求項1又は2に記載の熱交換器。
【請求項9】
前記第1パスを流れずに前記第2パスに前記冷媒を導くバイパス経路(B)を更に備える、
請求項1に記載の熱交換器。
【請求項10】
前記扁平多穴管は、前記熱交換器に空気を送る送風機の生成する気流の方向(A)において、複数列配置され、
前記第1パスは、前記気流の方向における風上側にのみ配置される、
請求項1又は2に記載の熱交換器。
【請求項11】
熱源熱交換器としての請求項1又は2に記載の熱交換器と、前記冷媒を圧縮する圧縮機(8)と、を有する冷媒回路(6)と、
前記熱交換器に空気を送る送風機(15)と、
を備えた冷凍サイクル装置(1)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、扁平多穴管を用いる熱交換器及び熱交換器を備えた冷凍サイクル装置に関する。
【背景技術】
【0002】
扁平多穴管を用いる熱交換器を蒸発器として用い、低温の空気と冷媒とを熱交換させる際、熱交換器の最下段の扁平多穴管の着霜が問題になりやすい。
【0003】
熱交換器の最下段の扁平多穴管の着霜を抑制するため、特許文献1(特開2019-60596号公報)では、最下段の扁平多穴管を含む冷媒パスのパス長を、他の冷媒パスのパス長よりも長く取ることで、最下段の扁平多穴管に対する冷媒の着霜の抑制を図っている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、特許文献1(特開2019-60596号公報)の熱交換器では、最下段の扁平多穴管の着霜を十分に抑制できない場合があり、最下段の扁平多穴管の着霜抑制の観点からは改善の余地がある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
第1観点の熱交換器は、複数の扁平多穴管と、冷媒が流れる圧力損失部と、を備える。複数の扁平多穴管は、上下方向に並べて配置される。複数の扁平多穴管は、熱交換器の最下段に配置される扁平多穴管を含む第1管群の扁平多穴管と、第1管群の扁平多穴管以外の第2管群の扁平多穴管と、を含む。第1管群の扁平多穴管は、冷媒の流路である第1パスを形成する。第2管群は、冷媒の流路である第2パスを形成する。熱交換器が蒸発器として機能する際に、熱交換器に供給される冷媒の少なくとも一部は、第1パスを流れた後に圧力損失部に流入し、圧力損失部から流出して第2パスに流入する。
【0006】
第1観点の熱交換器では、蒸発器として使用される際の冷媒の流向において、第1パスの下流に圧力損失部が設けられる。そのため、第1観点の熱交換器では、第1パスに入ってから第2パスに入るまでの圧力差、言い換えれば、第1パスに入ってから第2パスに入るまでの温度差を大きく確保できる。そのため、第1観点の熱交換器では、熱交換器が蒸発器として機能する際の第1パスからの放熱量を確保し、第1パスへの着霜を抑制できる。
【0007】
第2観点の熱交換器は、第1観点の熱交換器であって、熱交換器が蒸発器として機能する際に、熱交換器に供給される冷媒の全量が、第1パスを流れた後に圧力損失部に流入し、圧力損失部を流れた後に第2パスに流入する。
【0008】
第2観点の熱交換器では、熱交換器が蒸発器として機能する際に、熱交換器に流入する冷媒の全量が第1パスを流れるので、熱交換器が蒸発器として機能する際の第1パスからの放熱量を大きく取ることができる。
【0009】
第3観点の熱交換器は、第1観点又は第2観点の熱交換器であって、第1管群は、並列に配置される複数の扁平多穴管を含む。
【0010】
第3観点の熱交換器では、第1パスにおける過大な圧力損失を抑制できる。
【0011】
第4観点の熱交換器は、第1観点又は第2観点の熱交換器であって、第1管群の扁平多穴管のそれぞれの流路面積は、第2管群の扁平多穴管のそれぞれの流路面積よりも大きい。
【0012】
第4観点の熱交換器では、第1パスにおける過大な圧力損失を抑制できる。
【0013】
第5観点の熱交換器は、第1観点から第4観点のいずれかの熱交換器であって、第1管群に含まれる扁平多穴管の数は、第2管群に含まれる扁平多穴管の数よりも少ない。
【0014】
第5観点の熱交換器では、第1パスの各扁平多穴管を流れる冷媒流量を大きくとることができ、熱交換器が蒸発器として機能する際の第1パスの各扁平多穴管からの放熱量を大きく取ることができる。
【0015】
第6観点の熱交換器は、第1観点から第5観点のいずれかの熱交換器であって、圧力損失部は、第1パスと第2パスとの間の冷媒の流路に配置されるオリフィスである。
【0016】
第6観点の熱交換器では、第1パスの後段にオリフィスを設けることで、第1パスに入ってから第2パスに入るまでの圧力差、言い換えれば、第1パスに入ってから第2パスに入るまでの温度差を大きく確保できる。そのため、第6観点の熱交換器では、熱交換器が蒸発器として機能する際に第1パスからの放熱量を大きく取ることができ、第1パスへの着霜を抑制できる。
【0017】
第7観点の熱交換器は、第1観点から第5観点のいずれかの熱交換器であって、圧力損失部は、第1パスと第2パスとの間の冷媒の流路に配置される分流器である。
【0018】
第7観点の熱交換器では、第1パスの通過後に第2管群の扁平多穴管に冷媒を分流させる分流器を用いて、第1パスに入ってから第2パスに入るまでの圧力差、言い換えれば、第1パスに入ってから第2パスに入るまでの温度差を大きく確保できる。そのため、第1観点の熱交換器では、熱交換器が蒸発器として機能する際に第1パスからの放熱量を大きく取ることができ、第1パスへの着霜を抑制できる。
【0019】
第8観点の熱交換器は、第1観点から第5観点のいずれかの熱交換器であって、第1パスと第2パスとの間の冷媒の流路に配置されるヘッダを更に備える。圧力損失部は、ヘッダの内部に配置されるノズルである。
【0020】
第8観点の熱交換器では、ヘッダ内に配置されるノズルを用いることで、第1パスに入ってから第2パスに入るまでの圧力差、言い換えれば、第1パスに入ってから第2パスに入るまでの温度差を大きく確保できる。そのため、第1観点の熱交換器では、熱交換器が蒸発器として機能する際に第1パスからの放熱量を大きく取ることができ、第1パスへの着霜を抑制できる。
【0021】
第9観点の熱交換器は、第1観点の熱交換器であって、第1パスを流れずに第2パスに冷媒を導くバイパス経路を更に備える。
【0022】
第9観点の熱交換器では、熱交換器に供給される冷媒量が極めて多い場合に、冷媒の全量が第1パスを流れることにより圧力損失が過大になり過ぎ、熱交換器を用いる冷凍サイクル装置の効率が低下する不具合の発生を抑制できる。
【0023】
第10観点の熱交換器は、第1観点から第9観点のいずれかの熱交換器であって、扁平多穴管は、熱交換器に空気を送る送風機の生成する気流の方向において、複数列配置される。第1パスは、気流の方向における風上側にのみ配置される。
【0024】
第10観点の熱交換器では、霜や氷の付着が問題になりやすい熱交換器の風上側かつ下部の扁平多穴管において、着霜を抑制することが容易である。
【0025】
第11観点の冷凍サイクル装置は、冷媒回路と、送風機と、を備える。冷媒回路は、熱源熱交換器としての第1観点から第10観点のいずれかの熱交換器と、冷媒を圧縮する圧縮機と、を有する。送風機は、熱交換器に空気を送る。
【0026】
第11観点の冷凍サイクル装置では、熱交換器の第1管群の扁平多穴管への着霜を抑制できるので、熱交換器を蒸発器として機能させる運転の中断時間を短縮できる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【
図1】本開示の冷凍サイクル装置の一実施形態に係る空気調和装置の概略構成図である。
【
図2】
図1の空気調和装置の熱源ユニットにおける、第1熱交換器の配置を説明するための、熱源ユニット内の概略平面図である。
【
図3】
図2の空気調和装置に使用される、本開示の第1実施形態に係る熱交換器の概略斜視図である。
【
図4】
図3の第1熱交換器の局所的な部分拡大斜視図である。
【
図5】
図3の第1熱交換器の構造を模式的に示すと共に、蒸発器として機能する際の、第1熱交換器における冷媒の流れを模式的に示す図である。
【
図6】
図3の第1熱交換器が蒸発器として機能する際の、第1熱交換器の第1パスにおける冷媒の流れを模式的に示す図である。
【
図7】他の例に係る第1熱交換器の構造を模式的に示すと共に、蒸発器として機能する際の、第1熱交換器における冷媒の流れを模式的に示す図である。
【
図8A】本開示の熱交換器における冷媒の流れと従来の熱交換器における冷媒の流れとの違いを説明するための図面であって、本開示の熱交換器における冷媒の流れを概念的に示す図である。
【
図8B】本開示の熱交換器における冷媒の流れと従来の熱交換器における冷媒の流れとの違いを説明するための図面であって、従来の熱交換器における冷媒の流れを概念的に示す図である。
【
図9】本開示の冷凍サイクル装置の一実施形態に係る空気調和装置が暖房運転を行う際のモリエル線図を概略的に示す図である。
【
図10】変形例Aに係る第1熱交換器の熱交換部の第1パスにおける冷媒の流れを概念的に示す図である。
【
図11】変形例Cに係る第1熱交換器を、扁平多穴管が延びる方向に直交する仮想平面で切断した概略断面図である。
【
図12】変形例Dに係る第1熱交換器の第1ヘッダの一部の内部構造を描画した図である。
【
図13】変形例Eに係る熱交換器における冷媒の流れを概念的に示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
本開示の熱交換器、及び、この熱交換器を有する冷凍サイクル装置の実施形態を、図面を参照しながら説明する。
【0029】
(1)全体構成
図1を参照しながら、本開示の冷凍サイクル装置の概要を説明する。
図1は、本開示の冷凍サイクル装置の一実施形態に係る空気調和装置1の概略構成図である。
【0030】
空気調和装置1は、蒸気圧縮式の冷凍サイクルを行うことで、空調対象空間の冷房及び暖房を行うことが可能な装置である。なお、本開示の冷凍サイクル装置の種類は、空気調和装置に限定されるものではなく、例えば、給湯装置等であってもよい。
【0031】
空気調和装置1は、
図1に示すように、熱源ユニット2と、利用ユニット3a,3bと、液冷媒連絡管4及びガス冷媒連絡管5と、制御部23と、を主に有する。制御部23は、熱源ユニット2及び利用ユニット3a,3bの構成機器の動作を制御する。
【0032】
液冷媒連絡管4及びガス冷媒連絡管5は、熱源ユニット2と、利用ユニット3a,3bとを接続する。空気調和装置1では、熱源ユニット2と利用ユニット3a,3bとが冷媒連絡管4,5を介して接続されることで、冷媒回路6が構成される(
図1参照)。冷媒回路6では、後述する圧縮機8、流向切換機構10、第1熱交換器11、第1膨張機構12、第1閉鎖弁13、第2閉鎖弁14、第2膨張機構31a,31b、及び第2熱交換器32a,32aが、
図1に示すように冷媒配管により接続されている。
【0033】
冷媒回路6には、例えばHFC冷媒であるR32が冷媒として封入されている。ただし、冷媒の種類は、R32に限定されるものではなく、冷媒は、例えば、R410A、R1234yf、R1234ze(E)、R290、CO2等であってもよい。
【0034】
なお、
図1では、空気調和装置1は、1台の熱源ユニット2と、2台の利用ユニット3a,3bとを有するが、台数は例示に過ぎない。空気調和装置1は、複数台の熱源ユニットを有してもよいし、1台又は3台以上の利用ユニットを有してもよい。
【0035】
(2)詳細構成
以下に、空気調和装置1の熱源ユニット2、利用ユニット3a,3b、液冷媒連絡管4及びガス冷媒連絡管5、及び制御部23について説明する。
【0036】
(2-1)熱源ユニット
熱源ユニット2は、限定するものではないが、例えば、空気調和装置1の設置される建物の屋上や建物の外壁回りなどの室外に設置される。
【0037】
本実施形態の熱源ユニット2は、熱源ユニット2の各種機器を収容する筐体2a(
図2参照)の側方(後方及び左側方)から冷媒と熱交換させる空気を取り込み、筐体2aの側方(前方)から冷媒と熱交換した空気吹き出す、横吹きタイプのユニットである(
図2参照)。ただし、熱源ユニット2のタイプは、横吹きタイプに限定されず、筐体2aの側方から冷媒と熱交換させる空気を取り込み、筐体2aの上部から、冷媒と熱交換した空気を上方に吹き出す、上吹きタイプのユニットであってもよい。
【0038】
熱源ユニット2は、主として、アキュムレータ7と、圧縮機8と、流向切換機構10と、第1熱交換器11と、第1膨張機構12と、第1閉鎖弁13と、第2閉鎖弁14と、第1ファン15と、を有している(
図1参照)。
【0039】
また、熱源ユニット2は、吸入管17と、吐出管18と、第1ガス冷媒管19と、液冷媒管20と、第2ガス冷媒管21と、を有する(
図1参照)。吸入管17は、流向切換機構10と圧縮機8の吸入側とを接続している。吸入管17には、アキュムレータ7が設けられている。吐出管18は、圧縮機8の吐出側と流向切換機構10とを接続している。第1ガス冷媒管19は、流向切換機構10と第1熱交換器11のガス端とを接続している。液冷媒管20は、第1熱交換器11の液端と第1閉鎖弁13とを接続している。第1膨張機構12は、液冷媒管20に設けられている。第2ガス冷媒管21は、流向切換機構10と第2閉鎖弁14とを接続している。
【0040】
(2-1-1)圧縮機
圧縮機8は、吸入管17から流入する冷凍サイクルにおける低圧の冷媒を吸入し、これを圧縮して冷凍サイクルにおける高圧まで昇圧し、吐出管18に冷凍サイクルにおける高圧の冷媒を吐出する装置である。圧縮機8は、図示を省略するモータがインバータ制御される。圧縮機8のモータの回転数は、運転状況に応じて制御部23により調節される。なお、圧縮機8は、モータの回転数が一定の圧縮機であってもよい。
【0041】
(2-1-2)流向切換機構
流向切換機構10は、指示を受けた運転モードに応じて、又は暖房運転中にデフロストを行うタイミングで、冷媒回路6における冷媒の流れ方向を切り換える機構である。本実施形態では、流向切換機構10は、四路切換弁である。
【0042】
冷房運転時(除湿運転時を含む)及びデフロスト運転時には、流向切換機構10は、吸入管17を第2ガス冷媒管21と連通させ、吐出管18を第1ガス冷媒管19と連通させることで(流向切換機構10によるこのような配管の接続状態を、第1状態と呼ぶ)、圧縮機8が吐出する冷媒が第1熱交換器11に送られるように、冷媒回路6における冷媒の流向を切り換える(
図1中の実線参照)。
【0043】
暖房運転時には、流向切換機構10は、吸入管17を第1ガス冷媒管19と連通させ、吐出管18を第2ガス冷媒管21と連通させることで(流向切換機構10によるこのような配管の接続状態を、第2状態と呼ぶ)、圧縮機8が吐出する冷媒が第2熱交換器32a,32bに送られるように、冷媒回路6における冷媒の流向を切り換える(
図1中の破線参照)。
【0044】
なお、流向切換機構10は、四路切換弁に限られるものではなく、複数の電磁弁及び冷媒管を組み合わせ、上記のような冷媒の流れ方向の切り換えを実現できるように構成されてもよい。
【0045】
(2-1-3)第1熱交換器
第1熱交換器11は、冷房運転時/デフロスト運転時に放熱器(凝縮器)として機能し、暖房運転時には蒸発器(吸熱器)として機能する熱交換器である。第1熱交換器11は、特許請求の範囲における熱交換器の一例である。
【0046】
第1熱交換器11の構造や、第1熱交換器11における冷媒の流れについては、後ほど説明する。
【0047】
(2-1-4)第1膨張機構
第1膨張機構12は、冷媒回路6において利用ユニット3a,3bの第2熱交換器32a,32bと第1熱交換器11との間を流れる冷媒を膨張させる機構である。第1膨張機構12は、例えば、開度調節可能な電子膨張弁である。第1膨張機構12の開度は、運転状況に応じて制御部23により調節される。
【0048】
(2-1-5)第1ファン
第1ファン15は、気流を生成し、第1熱交換器11に空気を供給する。第1ファン15は、筐体2aの外部から熱源ユニット2内に流入し、第1熱交換器11を通過し、筐体2a外へ流出する空気の流れを生成する。第1ファン15は、例えばプロペラファンである。ただし、第1ファン15の種類は、プロペラファンに限定されるものではなく、他のタイプのファンであってもよい。
【0049】
(2-2)利用ユニット
利用ユニット3a,3bは、空調対象空間や、空調対象空間の周辺(例えば、空調対象空間の天井裏空間等)に設置される。
【0050】
利用ユニット3aは、主として、第2膨張機構31aと、第2熱交換器32aと、第2ファン33aと、を有する(
図1参照)。利用ユニット3bは、主として、第2膨張機構31bと、第2熱交換器32bと、第2ファン33bと、を有する(
図1参照)。
【0051】
(2-2-1)第2膨張機構
第2膨張機構31a,31bは、冷媒回路6において利用ユニット3a,3bの第2熱交換器32a,32bと第1熱交換器11との間を流れる冷媒を膨張させる機構である。第2膨張機構31a,31bは、例えば、開度調節可能な電子膨張弁である。第2膨張機構31a,31bの開度は、運転状況に応じて制御部23により調節される。
【0052】
(2-2-2)第2熱交換器
第2熱交換器32a,32bは、冷房運転時には吸熱器(蒸発器)として機能して室内空気を冷却し、暖房運転時には冷媒の放熱器(凝縮器)として機能して室内空気を加熱する熱交換器である。
【0053】
第2熱交換器32a,32bの液側は、冷媒配管を介して液冷媒連絡管4に接続されており、第2熱交換器32a,32bのガス側は、冷媒配管を介してガス冷媒連絡管5に接続されている。第2熱交換器32a,32bは、例えば、複数の伝熱管(図示省略)と複数のフィン(図示省略)を有するクロスフィン式のフィン・アンド・チューブ型熱交換器である。
【0054】
(2-2-3)第2ファン
第2ファン33a,33bは、利用ユニット3a,3bの各種機器を内部に収容する筐体(図示省略)の外部(空調対象空間)から利用ユニット3a,3b内に流入し、第2熱交換器32a,32bを通過し、筐体外(空調対象空間)へ流出する空気の流れを生成する。第2ファン33a,33bは、例えば遠心ファンである。
【0055】
(2-3)冷媒連絡管
冷媒連絡管4、5は、空気調和装置1を設置する際に、現地で施工される冷媒配管である。液冷媒連絡管4の一端は、熱源ユニット2の第1閉鎖弁13に接続され、液冷媒連絡管4の他端は、利用ユニット3a,3bの第2熱交換器32a,32bの液側に接続される冷媒配管に接続されている(
図1参照)。ガス冷媒連絡管5の一端は、熱源ユニット2の第2閉鎖弁14に接続され、ガス冷媒連絡管5の他端は、利用ユニット3a,3bの第2熱交換器32a,32bのガス側に接続される冷媒配管に接続されている(
図1参照)。
【0056】
(2-4)制御部
制御部23は、熱源ユニット2や利用ユニット3a,3bに設けられた、CPU,ROM及びRAM等を有する制御基板(図示せず)が通信可能に接続されることによって構成されている。なお、
図1では、便宜上、制御部23を、熱源ユニット2や利用ユニット3a,3bとは離れた位置に図示している。
【0057】
制御部23は、
図1に破線で示すように、空気調和装置1の構成機器と電気的に接続されている。具体的には、制御部23は、例えば、圧縮機8、流向切換機構10、第1膨張機構12、第1ファン15、第2膨張機構31a,31b、及び第2ファン33a,33bと電気的に接続されている。また、制御部23は、熱源ユニット2及び利用ユニット3a,3bに設けられている、図示しない各種センサとも電気的に接続されている。
【0058】
制御部23は、空気調和装置1の制御のためのプログラムを実行することで(CPUがROMに記憶されているプログラムを実行することで)、図示しないリモコンからの操作や、図示しない各種センサの計測値等に基づき、空気調和装置1を構成する機器を制御する。
【0059】
制御部23は、空気調和装置1の構成機器を制御することで、空気調和装置1に冷房運転(除湿運転を含む)や、暖房運転を実行させる。また、制御部23は、空気調和装置1の暖房運転中に、所定の条件が成立すると、空気調和装置1の運転をデフロスト運転に切り換える。各運転時の空気調和装置1の動作について以下に示す。
【0060】
(3)空気調和装置の動作
空気調和装置1の、冷房運転(除湿運転を含む)、暖房運転、及びデフロスト運転について説明する。デフロスト運転は、暖房運転時に、暖房運転を一時的に中断して行う、第1熱交換器11に付着した霜や氷を融解させるための運転である。
【0061】
冷房運転中には、冷媒は、冷媒回路6を、圧縮機8、第1熱交換器11、第1膨張機構12、第2膨張機構31a、31b、第2熱交換器32a、32b、アキュムレータ7の順に循環する。
【0062】
暖房運転中には、冷媒は、冷媒回路6を、圧縮機8、第2熱交換器32a、32b、第2膨張機構31a、31b、第1膨張機構12、第1熱交換器11、アキュムレータ7の順に循環する。
【0063】
デフロスト運転時には、冷房運転時と同様に、冷媒は、冷媒回路6を、圧縮機8、第1熱交換器11、第1膨張機構12、第2膨張機構31a、31b、第2熱交換器32a、32b、アキュムレータ7の順に冷媒が循環する。言い換えれば、本実施形態の空気調和装置1では、冷媒回路6に暖房運転時と逆方向に冷媒を流すことで、第1熱交換器11に付着した霜や氷を融解させる。
【0064】
冷房運転時の、空気調和装置1の動作について説明する。
【0065】
冷房運転時には、流向切換機構10による配管の接続状態が、上述の第1状態に切り換えられる。そして、吸入管17から圧縮機8に吸入された冷凍サイクルにおける低圧(以後、単に低圧と呼ぶ)のガス冷媒は、圧縮機8で冷凍サイクルにおける高圧(以後、単に高圧と呼ぶ)になるまで圧縮された後、吐出管18に吐出される。吐出管18に吐出された高圧のガス冷媒は、流向切換機構10を通って、第1熱交換器11に送られる。第1熱交換器11に送られた高圧のガス冷媒は、冷媒の放熱器として機能する第1熱交換器11において、第1ファン15が供給する空気と熱交換を行って放熱し、高圧の液冷媒になる。第1熱交換器11において放熱した高圧の液冷媒は、第1膨張機構12、第1閉鎖弁13、液冷媒連絡管4を通って、第2膨張機構31a、31bに送られる。第2膨張機構31a、31bに送られた冷媒は、第2膨張機構31a、31bによって低圧まで減圧されて、低圧の気液二相状態の冷媒になる。第2膨張機構31a、31bで減圧された低圧の気液二相状態の冷媒は、第2熱交換器32a、32bに送られる。第2熱交換器32a、32bに送られた低圧の気液二相状態の冷媒は、第2熱交換器32a、32bにおいて、第2ファン33a、33bが供給する空気と熱交換して蒸発する。第2熱交換器32a、32bにおいて冷却された空気は、空調対象空間へと吹き出す。第2熱交換器32a、32bにおいて蒸発した低圧のガス冷媒は、ガス冷媒連絡管5、第2閉鎖弁14、流向切換機構10及びアキュムレータ7を通って、再び、圧縮機8に吸入される。
【0066】
冷房運転時には、制御部23は、例えば以下のような制御を行う。なお、ここに記載する制御部23による制御の態様は一例であって、これに限定されるものではない。
【0067】
制御部23は、図示しないセンサの計測値に基づいて、各第2熱交換器32a,32bの出口における冷媒の過熱度が目標過熱度になるように、各第2膨張機構31a,31bの一例としての電子膨張弁の開度を制御する。また、制御部23は、蒸発温度が目標蒸発温度に近づくように、圧縮機8の運転容量を制御する。
【0068】
暖房運転時の、空気調和装置1の動作について説明する。
【0069】
暖房運転時には、流向切換機構10による配管の接続状態が、上述の第2状態に切り換えられる。そして、吸入管17から圧縮機8に吸入された低圧のガス冷媒は、圧縮機8で高圧になるまで圧縮された後、吐出管18に吐出される。吐出管18に吐出された高圧のガス冷媒は、流向切換機構10、第2閉鎖弁14及びガス冷媒連絡管5を通って、第2熱交換器32a、32bに送られる。第2熱交換器32a、32bに送られた高圧のガス冷媒は、第2熱交換器32a、32bにおいて、第2ファン33a、33bが供給する空気と熱交換を行って放熱し、高圧の液冷媒又は気液二相の冷媒になる。第2熱交換器32a、32bにおいて冷媒と熱交換して加熱された空気は、空調対象空間へと吹き出す。第2熱交換器32a、32bで放熱した高圧の冷媒は、第2膨張機構31a、31b、液冷媒連絡管4及び第1閉鎖弁13を通って、第1膨張機構12に送られる。第1膨張機構12に送られた冷媒は、第1膨張機構12によって減圧されて、低圧の気液二相状態の冷媒になる。第1膨張機構12で減圧された低圧の気液二相状態の冷媒は、第1熱交換器11に送られる。第1熱交換器11に送られた低圧の気液二相状態の冷媒は、冷媒の蒸発器として機能する第1熱交換器11において、第1ファン15によって供給される空気と熱交換を行って蒸発して、低圧のガス冷媒になる。第1熱交換器11で蒸発した低圧の冷媒は、流向切換機構10及びアキュムレータ7を通って、再び、圧縮機8に吸入される。
【0070】
暖房運転時には、制御部23は、例えば以下のような制御を行う。なお、ここに記載する制御部23による制御の態様は一例であって、これに限定されるものではない。
【0071】
制御部23は、図示しないセンサの計測値に基づいて、第1熱交換器11の出口における冷媒の過熱度が目標過熱度になるように、第1膨張機構12の一例としての電子膨張弁の開度を制御する。また、制御部23は、蒸発温度が目標蒸発温度に近づくように、圧縮機8の運転容量を制御する。
【0072】
なお、制御部23は、暖房運転時にデフロスト運転の開始条件が成立すると、空気調和装置1の運転を、暖房運転から、デフロスト運転に切り換える。限定するものではないが、デフロスト運転の開始条件は、例えば、第1熱交換器11を流れる冷媒の温度が所定温度よりも低いという条件や、暖房運転の連続時間が所定時間を超えるという条件である。
【0073】
デフロスト運転は、冷房運転時と同様に、流向切換機構10による配管の接続状態上記の第1状態に切り換え、第1熱交換器11を冷媒の放熱器として機能させる運転である。デフロスト運転時に、空気調和装置1を冷媒がどのように流れるかについては説明を省略する。
【0074】
制御部23は、デフロスト運転終了条件が成立するまで(所定のデフロスト時間が経過したり、空気調和装置1に設けられた各種センサの計測値に基づき第1熱交換器11のデフロストが完了したと判定されたりするまで)、デフロスト運転を実行する。制御部23は、具体的には、例えば、第1ガス冷媒管19に設けられた温度センサ(図示せず)の計測値が所定温度よりも高い状態が所定時間継続すると、第1熱交換器11のデフロストが完了したと判定する。デフロスト運転終了条件が成立すると、制御部23は、デフロスト運転を終了し、空気調和装置1の暖房運転を再開する。
【0075】
(4)第1熱交換器
第1熱交換器11の形状や構造等について、
図2~
図6を更に参照して説明する。
【0076】
図2は、熱源ユニット2における、第1熱交換器11の配置を説明するための、熱源ユニット2内の概略平面図である。
図3は、第1熱交換器11の概略斜視図である。
図4は、第1熱交換器11の局所的な部分拡大斜視図である。
図5は、第1熱交換器11の構造を示すと共に、第1熱交換器11が蒸発器として機能する際の、第1熱交換器11における冷媒の流れを模式的に示す図である。
図6は、第1熱交換器11が蒸発器として機能する際の、第1熱交換器11の第1パスP1における冷媒の流れを模式的に示す図である。
図6は、後述する第1熱交換器11の第1管群114の扁平多穴管110の、後述する第1ヘッダ150側の端面を描画した図である。
【0077】
なお、
図5は、第1熱交換器11の構造を模式的に描画した図である。そのため、例えば、第1熱交換器11は、
図3に示すようにL字形状を有するが、
図5では直線形状(I字形状)に描画している。また、例えば、第1熱交換器11に記載されている扁平多穴管110(破線で示す)の数は、第1熱交換器11が実際に有する扁平多穴管110の数を描画したものではない。
【0078】
以下の説明では、方向や位置関係を説明するために、便宜上、「左」、「右」、「前」、「後」、「前面」、「背面」といった表現を用いる場合があるが、これらの表現が示す方向は、特に断りのない限り図面中に示された矢印の方向に従う。
【0079】
熱源ユニット2は、前述のように筐体2aを有し、筐体2aの内部に、アキュムレータ7、圧縮機8、流向切換機構10、第1熱交換器11、第1膨張機構12、第1閉鎖弁13、第2閉鎖弁14、及び第1ファン15を収容している。筐体2aの内部は、圧縮機8、アキュムレータ7、流向切換機構10、第1膨張機構12、第1閉鎖弁13、及び第2閉鎖弁14が主に配置される機械室R1と、第1熱交換器11及び第1ファン15が主に配置される送風機室R2と、に区画されている(
図2参照)。なお、
図2では、機械室R1に配置される機器の描画を省略している。
【0080】
本実施形態では、第1熱交換器11は、
図2及び
図3に示すように、略L字形状を有する。第1熱交換器11は、平面視において、
図2に示すように、筐体2aの後方右側(機械室R1の近傍)から、筐体2aの背面に沿って、筐体2aの後方左端部付近まで延び、筐体2aの後方左端部付近で方向を変えて前方左端部付近まで延びる。
【0081】
第1熱交換器11の前方には第1ファン15が配置される。第1ファン15が運転されると、筐体2aの背面及び左側面から空気が吸い込まれて第1熱交換器11を通過する(
図2中の矢印参照)。第1熱交換器11を通過した空気は、最終的に、筐体2aの前面から前方に吹き出す(
図2中の矢印参照)。
【0082】
第1熱交換器11は、
図3及び
図5に示すように、熱交換部100、第1ヘッダ150、第2ヘッダ160、分流器170、第1配管180、及び第2配管190を主に有する。
【0083】
限定するものではないが、第1熱交換器11の熱交換部100、第1ヘッダ150、第2ヘッダ160、分流器170、第1配管180、及び第2配管190は、アルミニウム製またはアルミニウム合金製である。熱交換部100、第1ヘッダ150、第2ヘッダ160、分流器170、第1配管180、及び第2配管190は、ロウ付け等によって互いに接合されている。
【0084】
(4-1)第1熱交換器の構成
第1熱交換器11が有する各種構成について説明する。
【0085】
(4-1-1)熱交換部
熱交換部100は、第1熱交換器11の主要部である。冷媒と空気との熱交換は、主に熱交換部100で行われる。熱交換部100は、上下方向に並べて配置される複数の扁平多穴管110と、扁平多穴管110に取り付けられる複数のフィン120と、を有する。なお、本実施形態では、熱交換部100に、73本の扁平多穴管110が上下方向に並べて配置されている。ただし、熱交換部100の扁平多穴管110の数は例示に過ぎず、適宜変更されればよい。
【0086】
本実施形態では、
図4に示すように、第1熱交換器11では、第1ファン15の生成する気流の方向(気流方向A)において、2列の熱交換部100が配置されている。言い換えれば、本実施形態の第1熱交換器11では、扁平多穴管110が、気流方向Aにおいて複数列配置される。
【0087】
以下では、2列の熱交換部100のうち、上流側に配置される熱交換部100を熱交換部100uと呼び、下流側に配置される熱交換部100を熱交換部100dと呼ぶ場合がある(
図4参照)。ただし、熱交換部100u,100dに共通の内容を説明する場合等、両者を呼び分ける必要が特段無い場合には、単に熱交換部100と呼ぶ場合もある。
【0088】
なお、ここでの気流方向Aは、熱交換部100の扁平多穴管110の並べられている上下方向に沿って熱交換部100を見た時の、熱交換部100を通過する気流の方向を意味する。言い換えれば、ここでは、気流方向Aは、熱交換部100を上方側から見た時の(平面視における)、熱交換部100を通過する空気の流れ方向を意味する。
【0089】
なお、本実施形態の第1熱交換器11では、気流方向Aに、2列の熱交換部100が並べられているが、第1熱交換器11は、熱交換部100を1列だけ有するものであってもよい。また、第1熱交換器11は、気流方向Aに3列以上の熱交換部100を有するものであってもよい。
【0090】
扁平多穴管110は、
図6に示すように、扁平形状の(伝熱管の断面において、厚み(上下方向の高さ)が幅に対して薄い)伝熱管である。各扁平多穴管110には、
図4及び
図6に示すように、扁平多穴管110の延びる方向に沿って互いに平行に延びる複数の穴112が形成されている。各扁平多穴管110の穴112は、冷媒の流路として機能する。
【0091】
各熱交換部100の各扁平多穴管110は、第1熱交換器11の形状と対応する略L字形状を有する。各扁平多穴管110の一端は、第1ヘッダ150に接続され、各扁平多穴管110の他端は、第2ヘッダ160に接続される。具体的には、各扁平多穴管110は、平面視において、筐体2aの後方右側の機械室R1の近傍に配置される第1ヘッダ150から、筐体2aの背面に沿って後方左端部付近まで延び、筐体2aの後方左端部付近で方向を変えて筐体2aの前方左端部付近に配置される第2ヘッダ160まで延びる。
【0092】
なお、扁平多穴管110の形状(言い換えれば、第1熱交換器11の形状)はL字形状に限定されない。熱源ユニット2のタイプや、求められる性能等に応じて、扁平多穴管110の形状には、直線形状(I字形状)や、U字形状や、四角形状等の、L字形状以外の形状が採用されてもよい。
【0093】
各熱交換部100の扁平多穴管110は、2つのグループ(第1管群114及び第2管群116)に分けられる。言い換えれば、複数の扁平多穴管110は、第1管群114の扁平多穴管110と、第2管群116の扁平多穴管110と、を含む。熱交換部100は、第2管群116の扁平多穴管110が、冷媒と空気との熱交換に主に寄与する。
【0094】
第1管群114は、1以上の扁平多穴管110を含む。第1管群114の扁平多穴管110には、第1熱交換器11の最下段に配置される(各熱交換部100の最下段に配置される)扁平多穴管110を含む。ここでは、第1熱交換器11の最下段に配置される扁平多穴管110を、符号「110L」で表す(
図5及び
図6参照)。
【0095】
本実施形態では、第1管群114は、熱交換部100u,100dのそれぞれの、最下段に配置される扁平多穴管110L、及び、下から2段目に配置される扁平多穴管110を含む。ただし、設計によっては、第1管群114は、熱交換部100u,100dのそれぞれの最下段に配置される扁平多穴管110Lだけを含むものであってもよいし、熱交換部100u,100dのそれぞれの、最下段及び下から2段目だけではなく、下から3段目以上に配置される扁平多穴管110も含むものであってもよい。
【0096】
第2管群116は、第1管群114の扁平多穴管110以外の扁平多穴管110を含む。特に、本実施形態では、第2管群116は、第1管群114の扁平多穴管110を除く扁平多穴管110は、全て第2管群116に属する。なお、第1管群114に含まれる扁平多穴管110の数は、第2管群116に含まれる扁平多穴管110の数よりも少ないことが好ましい。例えば、本実施形態であれば、第1管群114に含まれる扁平多穴管110の数は4本(2本×2列)であり、第2管群116に含まれる扁平多穴管110の数は142本(71本×2列)である。好ましくは、第1管群114に含まれる扁平多穴管110は、第1熱交換器11に含まれる扁平多穴管110の総数の10%以内、より好ましくは5%以内である。
【0097】
第1管群114の扁平多穴管110は、冷媒の流路である第1パスP1を形成する。
第2管群116の扁平多穴管110は、冷媒の流路である第2パスP2を形成する。
【0098】
第1熱交換器11は、放熱器及び蒸発器として機能する際に、それぞれ、以下のように冷媒が流れる。
【0099】
第1熱交換器11が蒸発器として機能する際には、冷媒は、第1パスP1を流れた後に、圧力損失部の一例としての分流器170に流入し、分流器170を流れた後に第2パスP2に流入する。特に、本実施形態では、第1熱交換器11が蒸発器として機能する際に、第1熱交換器11に供給される冷媒の全量が、第1パスP1を流れた後に分流器170に流入し、分流器170を流れた後に第2パスP2に流入する。第1熱交換器11が蒸発器として機能する際に、第1熱交換器11をどのように冷媒が流れるかの詳細については後述する。
【0100】
第1熱交換器11が放熱器として機能する際には、冷媒は、第1熱交換器11を、第1熱交換器11が蒸発器として機能する際とは逆向きに流れる。要するに、第1熱交換器11が放熱器として機能する際には、冷媒は、第2パスP2を流れた後に、分流器170に流入し、分流器170を流れた後に第1パスP1に流入する。特に、本実施形態では、第1熱交換器11が放熱器として機能する際に、第1熱交換器11に供給される冷媒の全量が、第2パスP2を流れた後に分流器170に流入し、分流器170を流れた後に第1パスP1に流入する。第1熱交換器11が放熱器として機能する際に、第1熱交換器11をどのように冷媒が流れるかの詳細については後述する。
【0101】
フィン120は、上下方向(扁平多穴管110の並べられている方向)において隣り合う扁平多穴管110の間を、空気が流れる複数の通風路に区画している。フィン120には、複数の扁平多穴管110を差し込めるように、水平に細長く延びる複数の切り欠き122が形成されている(
図4参照)。切り欠き122の延びる方向は、第1ファン15の生成する気流方向Aと略一致している。切り欠き122は、扁平多穴管110が通風方向の風下側から風上側に向かって挿入されるように風下側に開口している。フィン120の切り欠き122は、上下方向に所定の間隔を空けて形成されている。
【0102】
(4-1-2)第1ヘッダ
第1ヘッダ150は、上端及び下端が閉じられた縦長中空の筒状の部材である。第1ヘッダ150は、2列の熱交換部100の各々に対して1つ設けられている。ただし、第1ヘッダ150は、2列の熱交換部100で共用される単一の筒状の部材であって、内部が、2列の熱交換部100の各々と対応する空間に区画されていてもよい。
【0103】
2つの第1ヘッダ150は、筐体2aの後方右側の機械室R1の近傍に立てた状態で設置される(
図2参照)。各第1ヘッダ150には、対応する熱交換部100の複数の扁平多穴管110のそれぞれの一端が接続されている。
【0104】
なお、内部構造を限定するものではないが、本実施形態の第1熱交換器11では、各第1ヘッダ150の内部は、上下方向に、4つの独立した空間152a~152dに区画されている。第1ヘッダ150の内部には、下から順に、空間152a,152b,152c,152dが配置されている。
【0105】
最下段の空間152aには、
図5に示すように、第1配管180の一端が接続され、第1配管180と連通している。第1配管180の他端(第1ヘッダ150の空間152aに接続される側とは反対側の端部)には、
図5に示すように、液冷媒管20が接続される。また、各第1ヘッダ150の空間152aには、
図5に示すように、その第1ヘッダ150に対応する熱交換部100の最下段の扁平多穴管110Lの一端が接続され、空間152aと熱交換部100の最下段の扁平多穴管110Lとは連通している。
【0106】
空間152bは、
図5に示すように、分流器170の配管(主管)174と連通し、配管174を介して、分流器170の本体172と連通する。また、各第1ヘッダ150の空間152bには、その第1ヘッダ150に対応する熱交換部100の、下から2段目の扁平多穴管110(第1管群114の扁平多穴管110)の一端が接続され、空間152bと熱交換部100の下から2段目の扁平多穴管110とは連通している。
【0107】
空間152cは、
図5に示すように、分流器170の配管(キャピラリ)176と連通し、配管176を介して、分流器170の本体172と連通する。また、各第1ヘッダ150の空間152cには、例えば、その第1ヘッダ150に対応する熱交換部100の下から3段目~14段目の扁平多穴管110の一端が接続され、空間152cと熱交換部100の下から3段目~14段目の扁平多穴管110とは連通している。
【0108】
最上段の空間152dには、
図5に示すように、第2配管190の一端が接続され、第2配管190と連通している。第2配管190の他端(第1ヘッダ150の空間152dに接続される側とは反対側の端部)には、
図5に示すように、第1ガス冷媒管19が接続される。また、各第1ヘッダ150の空間152dには、例えば、その第1ヘッダ150に対応する熱交換部100の下から15段目~73段目の扁平多穴管110の一端が接続され、空間152dと熱交換部100の下から15段目~73段目の扁平多穴管110とは連通している。
【0109】
(4-1-3)第2ヘッダ
第2ヘッダ160は、上端及び下端が閉じた縦長中空の筒形状の部材である。第2ヘッダ160は、2列の熱交換部100の各々に対して1つ設けられている。ただし、第2ヘッダ160は、2列の熱交換部100で共用される単一の筒状の部材であって、内部が、2列の熱交換部100の各々と対応する空間に区画されていてもよい。
【0110】
2つの第2ヘッダ160は、熱源ユニット2の筐体2aの前方左端に、立てた状態で設置される(
図2参照)。各第2ヘッダ160には、対応する熱交換部100の複数の扁平多穴管110のそれぞれの一端(第1ヘッダ150とは接続されない側の端部)が接続されている。
【0111】
内部構造を限定するものではないが、本実施形態の第1熱交換器11では、各第2ヘッダ160の内部は、8つの独立した空間162a~162hに区画されている。第1ヘッダ150の内部には、下から順に、空間162a,162b,162c,162d,162e,162f,162g,162hが配置されている。
【0112】
空間162aには、その第1ヘッダ150に対応する熱交換部100の最下段及び下から2段目の扁平多穴管110(言い換えれば、第1管群114の扁平多穴管110)の一端が接続され、空間162aと第1管群114の扁平多穴管110とは連通している。
【0113】
空間162bは、複数の配管164により空間162c~162hのそれぞれと接続され、空間162bは、複数の空間162c~162hの全てと連通している。また、空間162bには、その第1ヘッダ150に対応する熱交換部100の、下から3段目~14段目の扁平多穴管110の一端が接続され、空間162bと熱交換部100の下から3段目~14段目の扁平多穴管110とは連通している。
【0114】
空間162c~162hについては同様であるので、簡略化して記載する。
【0115】
空間162cは、配管164により空間162bと接続されると共に、その第1ヘッダ150に対応する熱交換部100の、下から15段目~24段目の扁平多穴管110の一端が接続される。
【0116】
空間162dは、配管164により空間162bと接続されると共に、その第1ヘッダ150に対応する熱交換部100の、下から25段目~34段目の扁平多穴管110の一端が接続される。
【0117】
空間162eは、配管164により空間162bと接続されると共に、その第1ヘッダ150に対応する熱交換部100の、下から35段目~44段目の扁平多穴管110の一端が接続される。
【0118】
空間162fは、配管164により空間162bと接続されると共に、その第1ヘッダ150に対応する熱交換部100の、下から45段目~54段目の扁平多穴管110の一端が接続される。
【0119】
空間162fは、配管164により空間162bと接続されると共に、その第1ヘッダ150に対応する熱交換部100の、下から55段目~64段目の扁平多穴管110の一端が接続される。
【0120】
空間162hは、配管164により空間162bと接続されると共に、その第1ヘッダ150に対応する熱交換部100の、下から65段目~73段目の扁平多穴管110の一端が接続される。
【0121】
(4-1-4)分流器
分流器170は、第1熱交換器11が蒸発器として機能する際に、第1パスP1から流入する冷媒を、2つの第1ヘッダ150のそれぞれの、空間152cに分流させる装置である。
【0122】
分流器170は、分流器本体172と、配管(主管)174と、複数の配管(キャピラリ)176と、を有している。配管174は、分流器本体172と、2つの第1ヘッダ150のそれぞれの空間152bとを連通している。配管176は、分流器本体172と、2つの第1ヘッダ150のそれぞれの空間152cとを連通している。
【0123】
分流器本体172は、配管174から流入する冷媒を、複数の配管176に分流させる機構である。なお、ここでの分流器170は、分流器本体172に流入した冷媒を、2本の配管176に分流させるが、分流器170が冷媒をいくつの流路に分流するかは、第1熱交換器11のパス取り等に応じて適宜決定されればよい。
【0124】
ここでは分流器170は、本開示の圧力損失部の一例である。
【0125】
第1熱交換器11を蒸発器として利用する際に、所定量の冷媒(例えば、通常運転における規定の最大流量)を、圧力損失部として機能する分流器170、第2パスP2の順に流すと、圧力損失部における全圧力損失は、第2パスP2の全圧力損失より大きくなる。言い換えれば、ここでの圧力損失部とは、第1熱交換器11を蒸発器として利用する際に、所定量の冷媒(例えば、通常運転における規定の最大流量)を流した場合に、第2パスP2の全圧力損失より大きくなる部分と定義される。
【0126】
好ましくは、分流器170又は他の形態の圧力損失部の流路の最小断面積は、第1パスP1に含まれる最下段の扁平多穴管110の流路断面積の総和よりも小さく形成されている。なお、例えば、後述する変形例Aのように、第1パスP1に、最下段の扁平多穴管110と並列に接続される、最下段以外の扁平多穴管110が存在する場合には、圧力損失部の流路の最小断面積は、第1パスP1に含まれる最下段の扁平多穴管110、及び、この最下段の扁平多穴管110と並列に接続される扁平多穴管110の流路断面積の総和よりも小さく形成されている。
【0127】
このように、構成されることで、第1パスP1を流すだけでは不足する圧力の低下を、圧力損失部により補うことが容易である。
【0128】
具体例を挙げて説明すると、本実施形態では、第1パスP1には、並列に接続されている、2列の熱交換部100の扁平多穴管110が含まれるので、第1パスP1に含まれる最下段の扁平多穴管110の流路断面積の総和とは、2本の扁平多穴管110の穴112の流路断面積の総和を意味する。そして、分流器170又は他の形態の圧力損失部の流路の最小断面積は、2本の扁平多穴管110の穴112の流路断面積の総和より小さく形成されることが好ましい。
【0129】
なお、分流器170の圧力損失を大きくする手段としては、分流器本体172内の冷媒流路にオリフィス173を設けることで、分流器170における圧力損失を所望の大きさとすることが考えられる。
【0130】
また、分流器170において圧力損失を大きくする他の手段としては、分流器本体172内にオリフィス173を設けることに加えて、又は、分流器本体172内にオリフィス173を設けることに代えて、第1熱交換器11に流入する上記の冷媒の所定量に対して、配管174や配管176の配管径を適宜選択することが考えられる。
【0131】
また、分流器170において圧力損失を大きくする他の手段としては、上記の手段のいずれかに加えて、又は、上記の手段に代えて、配管174にオリフィス174aを設けたり、配管176にオリフィス176aを設けたりすることも考えられる。
【0132】
なお、
図5では、オリフィス173、オリフィス174a、オリフィス176aを全て図示しているが、これらは、オリフィス173、オリフィス174a、オリフィス176aの全ての設置が必要であることや意味するものではない。
【0133】
なお、ここでは、分流器170が圧力損失部として機能する例を説明しているが、圧力損失部以外を圧力損失部としてもよい。例えば、第1パスP1を流出した後に分流が必要ではないような場合には、
図7のように分流器170を省略して、第1ヘッダ150の空間152bと空間152cとを接続する配管171にオリフィス171aを設けてもよい。
【0134】
(5)第1熱交換器における冷媒の流れ
(5-1)本開示の熱交換器の特徴及び得られる効果
初めに、
図8~
図9を参照しながら、本開示の熱交換器の特徴、及び、本開示の熱交換器により得られる効果について説明する。
【0135】
図8Aは、本開示の熱交換器における冷媒の流れと従来の熱交換器における冷媒の流れとの違いを説明するための図面であって、蒸発器として機能する際の、本開示の熱交換器HEXにおける冷媒の流れを概念的に示す図である。
【0136】
図8Bは、本開示の熱交換器における冷媒の流れと従来の熱交換器における冷媒の流れとの違いを説明するための図面であって、蒸発器として機能する際の、従来の熱交換器HEX1における冷媒の流れを概念的に示す図である。
【0137】
なお、ここで説明に用いる
図8Aに描画した熱交換器HEXは、説明の理解の促進のため、本開示の熱交換器を単純化したものであり、以上で説明した第1熱交換器11とは構造が異なる。例えば、
図8Aに描画した熱交換器HEXでは、冷媒が、第1パスP1において、扁平多穴管110を折り返して流れる態様では描画していない。また、例えば、
図8Aに描画した熱交換器HEXでは、冷媒は、第2パスP2において、扁平多穴管110を折り返して流れる態様では描画していない。
【0138】
また、
図8Bの熱交換器HEX1については詳細な説明は省略するが、冷媒の流し方や、分流器DIVが圧力損失の付与を目的としない点以外は、本開示の熱交換器HEXと同様である。熱交換器HEX1も、熱交換器HEXと同様に、上下方向に複数の扁平多穴管110が配置されている熱交換器である。
【0139】
図9は、本開示の熱交換器HEXにより得られる効果を説明するための、熱交換器HEXを有する冷凍サイクル装置の一実施形態に係る空気調和装置が暖房運転を行う際のモリエル線図を概略的に示す図である。なお、
図9は、説明のための図面であって、本開示の空気調和装置の実際のモリエル線図を表したものではない。
【0140】
図8Bに示す、従来の熱交換器HEX1では、熱交換器HEX1が蒸発器として使用する際、冷媒は、その全量が分流器DIVに流入し、分流器DIVで分流されて熱交換器HEX1の熱交換部の各パスに流入した後に、熱交換器HEX1から流出する。熱交換器HEX1は、熱交換部の最下段の扁平伝熱管を含むパス(最下段パスと呼ぶ)のパス長が、他のパスのパス長より長い構造となっている。例えば、
図8Bの例では、熱交換部の最下段以外のパスでは、冷媒は折返しをせずにパスから流出するのに対し(パス長は、扁平多穴管1本分なのに対し)、熱交換部の最下段パスでは、2回折り返しをして3本分の長さの扁平管を流れた後に流出する。
図8Bの熱交換器HEX1では、熱交換部の最下段パスの圧力損失が他のパスより大きいので、熱交換部の最下段パスに流れる冷媒量が小さく、ほとんど熱交換しないため、熱交換部の最下段の扁平伝熱管には霜が付きにくい。
【0141】
しかし、従来の熱交換器HEX1では、本開示の熱交換器HEXのように熱交換部の最下段パスの圧力損失はそれほど大きくなく、なおかつ熱交換部の最下段パスにはほとんど冷媒が流れないので、外気温度が低くなると、熱交換部の最下段パスの扁平多穴管にも着霜しやすい。
【0142】
また、熱交換器HEX1では、熱交換部の最下段パスの圧力損失が他のパスに比べて大きいため、デフロスト運転の際に、熱交換器HEX1を凝縮器として利用する際にも、熱交換部の最下段パスを流れる冷媒量が少なくなりやすい。そのため、熱交換器HEX1では、最下段パスに霜や氷が一旦付着すると、霜や氷の除去に(デフロスト運転完了までに)時間がかかる。
【0143】
これに対し、
図8Aに示す、本開示の熱交換器HEXでは、熱交換器HEXを蒸発器として使用する際、冷媒は、熱交換部の第1パスP1(最下段の扁平多穴管110Lを含むパス)を通過して圧力損失部としての分流器170に流入した後に、第1パスP1を形成する第1管群114以外の(第2管群116の)扁平多穴管110により形成される第2パスP2に流入する。特に、第1実施形態で説明した第1熱交換器11では、第1熱交換器11を蒸発器として使用する際、第1熱交換器11に流入する冷媒の全量が、熱交換部の第1パスP1を通過して圧力損失部としての分流器170に流入した後、第2管群116の扁平多穴管110により形成される熱交換部の第2パスP2に流入する。
【0144】
本開示の熱交換器HEXでは、圧力損失部の一例としての分流器170により圧力損失を大きく取ることができるため、本開示の冷凍サイクル装置の一実施形態に係る空気調和装置に暖房運転を行わせた場合のモリエル線図は
図9に示すようになり、第1パスP1の入口と出口との温度差(Ta-Tb)を大きく取ることができる。さらに、第1実施形態の第1熱交換器11のように、熱交換器HEXに流入する冷媒の全量を第1パスP1に流す場合には、従来の熱交換器HEX1の最下段パスと比較して、多量の冷媒を第1パスP1に流すことができる。その結果、熱交換器HEXの第1パスP1では、流れる冷媒量と温度差(Ta-Tb)との積に比例した放熱が得られ、熱交換器HEXの第1パスP1では、熱交換する空気の温度が低い場合にも着霜が抑制されやすい。
【0145】
さらに、熱交換器HEXでは、デフロスト運転の際に、熱交換器HEXを凝縮器として利用する際に、熱交換器HEXに流入する全冷媒が第2パスP2及び分流器170を経た後、第1パスP1に流入する。そのため、熱交換器HEXでは、第1パスP1に霜が付着したり、第1パスP1の扁平多穴管110L等に氷が付着したりしても、これらの除去に要する時間(デフロスト運転時間)を短縮できる。
【0146】
なお、熱交換器HEX,HEX1が放熱器として機能する際の冷媒の流れについては、冷媒の流れ方向が蒸発器として機能する時とは逆向きになるだけなので、ここでは詳細な説明は省略する。
【0147】
(5-2)第1熱交換器における冷媒の流れ
次に、上記実施形態で説明した第1熱交換器11が蒸発器として機能する際の、第1熱交換器11における冷媒の流れを、
図5及び
図6を参照しながら説明する。なお、第1熱交換器11が放熱器として機能する際の冷媒の流れについては、冷媒の流れ方向が蒸発器として機能する時とは逆向きになるだけなので、ここでは詳細な説明は省略する。
【0148】
第1熱交換器11が蒸発器として機能する際には、液冷媒管20から第1配管180に冷媒が流入し、その後、2つの第1ヘッダ150の空間152aに冷媒が流入する。空間152aに流入した冷媒は、
図5及び
図6に示すように、その空間152と連通する熱交換部100の扁平多穴管110L(第1パスP1)を流れ、扁平多穴管110Lが連通する第2ヘッダ160の空間162aで折り返して、空間162aと連通する熱交換部100の下から2段目の扁平多穴管110(第1パスP1)を、その扁平多穴管110と連通する第1ヘッダ150の空間152bまで流れる。空間152bに流入した冷媒は、分流器170を、配管174、分流器本体172、配管176の順に通過し、分流されて2つの第1ヘッダ150の空間152cに流入する。各第1ヘッダ150の空間152cに流入した冷媒は、空間152cと連通している熱交換部100の扁平多穴管110(第2パスP2)を、第2ヘッダ160の空間162bまで流れる。各第2ヘッダ160の空間162bに流入した冷媒は、複数の配管164に分かれて流れ、その第2ヘッダ160の空間162c~162hに流入し、第2ヘッダ160の空間162c~162hと連通する扁平多穴管110(第2パスP2)を、第1ヘッダ150の空間152dまで流れる。2つの第1ヘッダ150の空間152dに流入した冷媒は、第2配管190を通って、第1ガス冷媒管19に流入する。
【0149】
なお、本実施形態では、第1管群114は、2つの熱交換部100を有し、並列に配置される(並列に接続されている)複数の扁平多穴管110を含む。このように並列に配置される複数の扁平多穴管110を含むことで、第1熱交換器11に流入する冷媒の全量が第1パスP1を流れる場合にも、第1パスP1の扁平多穴管110における圧力損失が過大となることを抑制できる。言い換えれば、単一の扁平多穴管110に第1熱交換器11に供給される冷媒の全量を流そうとすると、圧力損失が過大になり過ぎる可能性がある。これに対し、本実施形態の第1熱交換器11では、並列に配置される(並列に接続されている)複数の扁平多穴管110を含むため、このような過大な圧力損失の発生を抑制できる。
【0150】
なお、本実施形態では、冷媒は、第1パスP1において、扁平多穴管110Lを流れた後、下から2段目の扁平多穴管110を流れるが、本構成は一例に過ぎない。例えば、第1パスP1は、扁平多穴管110Lだけで構成されてもよく、2列の熱交換部100の扁平多穴管110Lを流れた冷媒は、すぐに分流器170に流入してもよい。ただし、このような構成を採用すると、第1熱交換器11の第2ヘッダ160側に第1配管180を接続することが必要になる可能性がある。しかし、第1熱交換器11の製造のしやすさの観点からは、第1配管180及び第2配管190は、同一のヘッダ(特に、本実施形態であれば、第1ヘッダ150)に接続されることが好ましい。
【0151】
(6)特徴
(6-1)
第1熱交換器11は、複数の扁平多穴管110と、冷媒が流れる圧力損失部と、を備える。
【0152】
圧力損失部は、例えば、分流器170である。圧力損失部は、例えば、分流器170内に設置されるオリフィス173,174a,176aである。また、圧力損失部は、配管171に設置されるオリフィス171aであってもよい。
【0153】
複数の扁平多穴管110は、上下方向に並べて配置される。複数の扁平多穴管110は、第1熱交換器11の最下段に配置される扁平多穴管110(110L)を含む第1管群114の扁平多穴管110と、第1管群114の扁平多穴管110以外の第2管群116の扁平多穴管110と、を含む。第1管群114の扁平多穴管110は、冷媒の流路である第1パスP1を形成する。第2管群116の扁平多穴管110は、冷媒の流路である第2パスP2を形成する。第1熱交換器11が蒸発器として機能する際に、第1熱交換器11に供給される冷媒の少なくとも一部は、第1パスP1を流れた後に圧力損失部に流入し、圧力損失部から流出して第2パスP2に流入する。
【0154】
第1熱交換器11では、蒸発器として使用される際の冷媒の流向において、第1パスP1の下流に圧力損失部が設けられる。そのため、第1熱交換器11では、第1パスP1に入ってから第2パスP2に入るまでの圧力差、言い換えれば、第1パスP1に入ってから第2パスP2に入るまでの温度差を大きく確保できる。そのため、第1熱交換器11では、第1熱交換器11が蒸発器として機能する際の第1パスP1からの放熱量を確保し、第1パスP1への着霜を抑制できる。
【0155】
(6-2)
第1熱交換器11では、第1熱交換器11が蒸発器として機能する際に、第1熱交換器11に供給される冷媒の全量が、第1パスP1を流れた後に圧力損失部に流入し、圧力損失部を流れた後に第2パスP2に流入する。
【0156】
第2観点の第1熱交換器11では、第1熱交換器11が蒸発器として機能する際、第1熱交換器11に流入する冷媒の全量が第1パスP1を流れるので、第1熱交換器11が蒸発器として機能する際の第1パスP1からの放熱量を大きく取ることができる。そのため、第1熱交換器11では、最下段の扁平多穴管110(110L)に着霜しにくい。
【0157】
また、第1熱交換器11では、第1熱交換器11が放熱器として機能する際、流入する冷媒の全量が、第2パスP2を通過後に第1パスP1に流入する。第1パスP1を全冷媒が流れることで、第1熱交換器11を放熱器として利用する逆サイクルデフロスト時に、第1管群114の扁平多穴管110に付着した霜や氷を溶かしてこれらを比較的短時間で除去することができる。
【0158】
例えば、除霜時に発生する水が、第1熱交換器11の最下段の扁平多穴管110L周りで凍結したような場合にも、逆サイクルデフロスト運転で、扁平多穴管110Lに付着した氷を溶かして比較的短時間で氷を除去することができる。
【0159】
(6-3)
第1熱交換器11では、第1管群114は、並列に配置される複数の扁平多穴管110を含む。
【0160】
具体的には、上記実施形態では、第1熱交換器11が蒸発器として機能する際に、第1パスP1では、冷媒は、2つの熱交換部100の最下段の扁平多穴管110Lを並列に流れた後、2つの熱交換部100の下から2段目の扁平多穴管110を並列に流れる。また、上記実施形態では、第1熱交換器11が放熱器として機能する際に、第1パスP1では、冷媒は、2つの熱交換部100の下から2番目の扁平多穴管110を並列に流れた後、2つの熱交換部100の最下段の扁平多穴管110Lを並列に流れる。
【0161】
第1熱交換器11では、第1パスP1における過大な圧力損失の発生を抑制できる。
【0162】
(6-4)
第1熱交換器11では、第1管群114に含まれる扁平多穴管110の数は、第2管群116に含まれる扁平多穴管110の数よりも少ない。
【0163】
第1熱交換器11では、第1パスP1の各扁平多穴管110あたりの冷媒流量を大きくとることができ、第1熱交換器11が蒸発器/放熱器として機能する際の第1パスP1の各扁平多穴管110からの放熱量を大きく取ることができる。
【0164】
(6-5)
空気調和装置1は、冷媒回路6と、送風機の一例としての第1ファン15と、を備える。冷媒回路6は、熱源熱交換器としての第1熱交換器11と、冷媒を圧縮する圧縮機8と、を有する。第1ファン15は、第1熱交換器11に空気を送る。
【0165】
空気調和装置1では、第1熱交換器11の第1管群114の扁平多穴管110への着霜を抑制できるので、第1熱交換器11を蒸発器として機能させる運転の中断時間を短縮できる。
【0166】
また、空気調和装置1では、上記のように第1熱交換器11の第1管群114の扁平多穴管110の除霜を短時間で完了できるので、第1熱交換器11を蒸発器として機能させる運転を中断して行うデフロスト運転を短時間で完了できる。
【0167】
(7)変形例
上記実施形態は、例えば以下の変形例に示すように、適宜変形が可能である。なお、各変形例は、互いに矛盾しない範囲で他の変形例と適宜組み合わされて適用されてもよい。
【0168】
(7-1)変形例A
上記実施形態では、第1パスP1において、冷媒は、2つの熱交換部100の並列に配置された最下段の扁平多穴管110Lを流れた後、2つの熱交換部100の並列に配置された下から2段目の扁平多穴管110を流れる。
【0169】
ただし、第1パスP1において、複数の並列に配置される(並列に接続される)扁平多穴管110に冷媒を流す構成は、上記の構成に限定されない。例えば、第1パスP1では、冷媒が、
図10に示すように、1の熱交換部100の並列に配置された最下段及び下から2段目の扁平多穴管110を流れた後、その熱交換部100の、並列に配置された下から3段目及び4段目の扁平多穴管110を流れてもよい。
【0170】
変形例Aの構成は、熱交換部100が複数列存在する場合だけではなく、例えば、熱交換部100が1列だけの場合にも適用できる。
【0171】
(7-2)変形例B
上記実施形態で説明した第1パスP1は、特に霜や氷が問題になりやすい気流方向Aにおける風上側のみ配置されてもよい。例えば、上記実施形態であれば、第1パスP1は、熱交換部100uのみに配置されてもよい。
【0172】
このように第1パスP1を熱交換部100uのみに配置する場合には、例えば、変形例Aで説明した熱交換部100の構成を適用できる。
【0173】
なお、熱交換部100uのみに第1パスP1を配置する場合、第1熱交換器11は、冷媒が、第1パスP1を流れた後に分流器170を流れ、その後に、熱交換部100dの全扁平多穴管110及び熱交換部100uの第1管群114以外の扁平多穴管110を含む第2パスP2を流れるよう設計されればよい。
【0174】
(7-3)変形例C
上記実施形態では、過大な圧力損失を抑制するため、第1パスP1において、冷媒が、並列に配置された複数の扁平多穴管110を流される。
【0175】
ただし、過大な圧力損失を抑制するための第1パスP1の構成は、このような構成に限定されない。例えば、第1パスP1において過大な圧力損失を抑制するためには、第1管群114の扁平多穴管110のそれぞれの流路面積を、第2管群116の扁平多穴管110のそれぞれの流路面積よりも大きくしてもよい。具体的には、第1パスP1を構成する扁平多穴管に、
図11の熱交換部100uの扁平多穴管110aのように、他の扁平多穴管110より、穴112のサイズが大きく、穴112の数が多い扁平多穴管が用いられてもよい。または、扁平多穴管110aでは、他の扁平多穴管110より穴112のサイズを大きくするという構成、及び、他の扁平多穴管110より穴112の数を多くするという構成の一方だけが採用されてもよい。
【0176】
なお、
図10では、熱交換部100uのみに第1パスP1を配置する場合を例に描画している。
【0177】
(7-4)変形例D
上記実施形態では、圧力損失部は、分流器170や、配管171に設置されるオリフィス171aであるが、圧力損失部は、ヘッダの内部に配置されるノズルであってもよい。具体的には、圧力損失部は、第1ヘッダ150の空間152c内に配置されるノズル154であってもよい。
【0178】
より具体的に説明すると、第1ヘッダ150の空間152c内には、
図12に示すように、第1熱交換器11が蒸発器として機能する際に、配管176から流入する冷媒をノズル154により上方に吹き上げ、上方の空間内で冷媒を矢印のように循環させながら、空間152cと連通する扁平多穴管110に分流させていく構造が設けられてもよい。そして、このノズル154により、所望の圧力損失が生じるように、第1熱交換器11は設計されてもよい。
【0179】
(7-5)変形例E
上記実施形態では、第1熱交換器11に流入する冷媒の全量を第1パスP1に流している。
【0180】
しかしながら、熱交換器の使用される冷凍サイクル装置が大型化したような場合には、熱交換器に流入する冷媒量が極めて多くなり、第1パスP1に全ての冷媒を流そうとすると、第1パスP1で生じる圧力損失が過大となる可能性がある。第1管群114の扁平多穴管110の本数を増やし、並列に接続される多数の扁平多穴管110に冷媒を流せば第1パスP1で生じる圧力損失を抑制できるが、このような構成では、熱交換に主に寄与する第2パスP2に属する扁平多穴管110の数が減ってしまい、冷凍サイクル装置の効率が低下するおそれがある。
【0181】
そのため、本開示の熱交換器HEXは、
図13に示すように、第1パスP1を流れずに第2パスP2に冷媒を導くバイパス経路を備えていてもよい。なお、
図13では、第1パスP1を流れた後に分流器170を通って第2パスP2へと流れる経路を主経路Mと呼び、第1パスP1を流れずに、分流器170を通って第2パスP2へと流れる経路をバイパス経路Bと呼んでいる。
【0182】
なお、第1パスP1における圧力損失の抑制の上では、第1パスP1に流す冷媒量を抑制した方がよいが、着霜の抑制等の観点からは、第1パスP1に流す冷媒量は多い方がよい。そのため、熱交換器HEXに供給される冷媒量の少なくとも5割は、第1パスP1に流されることが好ましい。さらに好ましくは、熱交換器HEXに供給される冷媒量の少なくとも7割は、第1パスP1に流されることが好ましい。
【0183】
この熱交換器HEXでは、熱交換器HEXに供給される冷媒量が極めて多い場合に、冷媒の全量が第1パスP1を流れることにより圧力損失が過大になり過ぎ、熱交換器HEXを用いる空気調和装置1の効率が低下する不具合の発生を抑制できる。
【0184】
<付記>
以上、本開示の実施形態及び変形例を説明したが、特許請求の範囲に記載された本開示の趣旨及び範囲から逸脱することなく、形態や詳細の多様な変更が可能なことが理解されるであろう。
【符号の説明】
【0185】
1 空気調和装置(冷凍サイクル装置)
6 冷媒回路
8 圧縮機
11 第1熱交換器(熱交換器)
15 第1ファン(送風機)
110 扁平多穴管
110a 扁平多穴管(第1管群の扁平多穴管)
110L 最下段に配置される扁平多穴管
114 第1管群
116 第2管群
150 第1ヘッダ(ヘッダ)
154 ノズル(圧力損失部)
170 分流器(圧力損失部)
171a オリフィス(圧力損失部)
173 オリフィス(圧力損失部)
174a オリフィス(圧力損失部)
176a オリフィス(圧力損失部)
A 気流方向
B バイパス経路
P1 第1パス
P2 第2パス
【先行技術文献】
【特許文献】
【0186】
【手続補正書】
【提出日】2024-07-22
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
上下方向に並べて配置される複数の扁平多穴管(110)と、
冷媒が流れる圧力損失部(154,170,171a,173,174a,176a)と、
を備えた熱交換器であって、
前記複数の扁平多穴管は、前記熱交換器の最下段に配置される前記扁平多穴管のみ又は前記熱交換器の最下段及び2段目に配置される前記扁平多穴管のみを含む第1管群(114)の前記扁平多穴管と、前記第1管群の前記扁平多穴管以外の第2管群(116)の前記扁平多穴管と、を含み、
前記第1管群の前記扁平多穴管は、前記冷媒の流路であり、前記最下段の前記扁平多穴管の着霜を抑制する第1パス(P1)を形成し、
前記第2管群の前記扁平多穴管は、前記冷媒の流路である第2パス(P2)を形成し、
前記熱交換器が蒸発器として機能する際、前記熱交換器に供給される前記冷媒の少なくとも一部は、前記第1パスを流れた後に前記圧力損失部に流入し、前記圧力損失部を流れた後に前記第2パスに流入する、
熱交換器(11)。
【請求項2】
前記熱交換器が蒸発器として機能する際に、前記熱交換器に供給される前記冷媒の全量が、前記第1パスを流れた後に前記圧力損失部に流入し、前記圧力損失部を流れた後に前記第2パスに流入する、
請求項1に記載の熱交換器。
【請求項3】
前記第1管群は、並列に配置される複数の前記扁平多穴管を含む、
請求項1又は2に記載の熱交換器。
【請求項4】
前記第1管群の前記扁平多穴管(110a)のそれぞれの流路面積は、前記第2管群の前記扁平多穴管(110)のそれぞれの流路面積よりも大きい、
請求項1又は2に記載の熱交換器。
【請求項5】
前記第1管群に含まれる前記扁平多穴管の数は、前記第2管群に含まれる前記扁平多穴管の数よりも少ない、
請求項1又は2に記載の熱交換器。
【請求項6】
前記圧力損失部は、前記第1パスと前記第2パスとの間の前記冷媒の流路に配置されるオリフィス(171a,173,174a,176a)である、
請求項1又は2に記載の熱交換器。
【請求項7】
前記圧力損失部は、前記第1パスと前記第2パスとの間の前記冷媒の流路に配置される分流器(170)である、
請求項1又は2に記載の熱交換器。
【請求項8】
前記第1パスと前記第2パスとの間の前記冷媒の流路に配置されるヘッダ(150)を更に備え、
前記圧力損失部は、前記ヘッダの内部に配置されるノズル(154)である、
請求項1又は2に記載の熱交換器。
【請求項9】
前記第1パスを流れずに前記第2パスに前記冷媒を導くバイパス経路(B)を更に備える、
請求項1に記載の熱交換器。
【請求項10】
前記扁平多穴管は、前記熱交換器に空気を送る送風機の生成する気流の方向(A)において、複数列配置され、
前記第1パスは、前記気流の方向における風上側にのみ配置される、
請求項1又は2に記載の熱交換器。
【請求項11】
熱源熱交換器としての請求項1又は2に記載の熱交換器と、前記冷媒を圧縮する圧縮機(8)と、を有する冷媒回路(6)と、
前記熱交換器に空気を送る送風機(15)と、
を備えた冷凍サイクル装置(1)。