(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024146356
(43)【公開日】2024-10-15
(54)【発明の名称】情報処理装置および測定システム
(51)【国際特許分類】
H04Q 9/00 20060101AFI20241004BHJP
H04L 67/12 20220101ALI20241004BHJP
G01N 5/02 20060101ALI20241004BHJP
【FI】
H04Q9/00 311L
H04L67/12
G01N5/02 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023059202
(22)【出願日】2023-03-31
(71)【出願人】
【識別番号】000204284
【氏名又は名称】太陽誘電株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】茂木 孝之
(72)【発明者】
【氏名】尾下 順二
【テーマコード(参考)】
5K048
【Fターム(参考)】
5K048BA34
5K048DA02
5K048EB10
(57)【要約】
【課題】利便性が高いメンテナンスサービスの実施が可能な情報処理装置および測定システムを提供すること。
【解決手段】情報処理装置は、複数の第1センサが出力した測定値データである複数の第1データと、前記複数の第1データと関連づけられたラベルである第2データと、を含む第1群のうちから選択されたデータの群である第2群を外部サーバから受信する受信部と、前記第2群に基づき、前記複数の第1センサのうちの少なくとも一の第1センサの状態を判定する判定部と、前記状態の判定結果を前記外部サーバの通知する通知部と、を備える。
【選択図】
図7
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の第1センサのそれぞれが出力した測定値データである複数の第1データと、前記複数の第1データと関連づけられたラベルである第2データと、を含む第1群のうちから選択されたデータの群である第2群を外部サーバから受信する受信部と、
前記第2群に基づき、前記複数の第1センサのうちの少なくとも一の第1センサの状態を判定する判定部と、
前記状態の判定結果を前記外部サーバの通知する通知部と、
を備える情報処理装置。
【請求項2】
前記受信部は、さらに、前記第1群のうち、いずれのデータを前記第2群として選択したかを示す提供可否情報を受信する
請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項3】
前記複数の第1センサは、それぞれは特定のガス分子の量を測定する複数の第2センサを含み、
前記複数の第1データは、それぞれは前記複数の第2センサのそれぞれ異なる第2センサによって得られた測定値データである複数の第3データを含み、
前記第2データは、前記複数の第3データと関連づけられたにおい種別を示すラベルである、
請求項1または2に記載の情報処理装置。
【請求項4】
前記状態は、少なくとも一の前記第2センサは交換が必要か否か、前記少なくとも一の前記第2センサは故障しているか否か、少なくとも一の前記第2センサはクリーニング不足であるか否か、または前記複数の第3データのうちの少なくとも一の前記第2センサから得られた第3データがにおい種別の推定に使用できるか否か、を含む、
請求項3に記載の情報処理装置。
【請求項5】
異なる感応膜が設けられた複数のにおいセンサと、このにおいセンサの補正用の温度センサおよび湿度センサと、このにおいセンサ、温度センサおよび前記湿度センサを管理・コントロールとする顧客側サーバと、この顧客側サーバとリンクする情報端末とを有する顧客システムと、この顧客システムとリンクする管理側サーバとを用意し、
前記顧客側の情報端末の画面に、前記複数のにおいセンサ、このにおいセンサの補正用の温度センサ、湿度センサ、測定対象のラベルおよび測定日時の選択画面を表示し、
顧客が、この選択画面で選択し、管理側に伝える機構を有する
においセンサの測定システム。
【請求項6】
前記複数のにおいセンサ、このにおいセンサの補正用の温度センサ、湿度センサの測定データに異常を検知したら、前記管理側サーバから前記顧客側サーバに、異常である旨をつたえる
請求項5に記載のにおいセンサの測定システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本実施形態は、情報処理装置および測定システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、においセンサの測定データをクラウドサーバにおいて分析する仕組みがある(例えば特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
顧客がにおいセンサなどセンサを用いたシステムを構築し、センサの状態監視などのメンテナンスを外部の業者に依頼するケースが考えられる。そのため、センサの測定データなどをメンテナンス業者に提供する場合がある。しかしながら、当該システムにおいて収集された測定データや当該測定データに基づく分析結果を含む全てのデータのうち、顧客は一部のデータの提供を望まない場合があり得る。
【0005】
一つの実施形態は、利便性が高いメンテナンスサービスの実施が可能な情報処理装置および測定システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
一つの実施形態によれば、情報処理装置は、複数の第1センサが出力した測定値データである複数の第1データと、前記複数の第1データと関連づけられたラベルである第2データと、を含む第1群のうちから選択されたデータの群である第2群を外部サーバから受信する受信部と、前記第2群に基づき、前記複数の第1センサのうちの少なくとも一の第1センサの状態を判定する判定部と、前記状態の判定結果を前記外部サーバの通知する通知部と、を備える。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、利便性が高いメンテナンスサービスの実施が可能な情報処理装置および測定システムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】
図1は、実施形態にかかる情報処理装置がメンテナンスサービスを実施する環境の一例を示す模式図である。
【
図2】
図2は、実施形態のにおいセンサユニットの構成の一例を示す模式的な図である。
【
図3】
図3は、実施形態のにおいセンサ素子の構成の一例を示す模式的な図である。
【
図4】
図4は、実施形態の管理側サーバのハードウェア構成の一例を示す模式的な図である。
【
図5】
図5は、実施形態の管理側サーバの機能構成の一例を示す模式的な図である。
【
図6】
図6は、実施形態の顧客側サーバにおいて実行される、メンテナンスサービスに関する設定の動作の一例を示すフローチャートである。
【
図7】
図7は、実施形態の選択画面の一例を示す模式的な図である。
【
図8】
図8は、実施形態の管理側サーバにおいて実行される動作の一例を示すフローチャートである。
【
図9】
図9は、実施形態のセンサの状態の判定の方法の一例を説明するための図である。
【
図10】
図10は、実施形態のセンサの状態の判定の方法の別の一例を説明するための図である。
【
図11】
図11は、実施形態のセンサの状態の判定の方法のさらに別の一例を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下に添付図面を参照して、実施形態にかかる情報処理装置および測定システムを詳細に説明する。なお、この実施形態により本発明が限定されるものではない。
【0010】
(実施形態)
図1は、実施形態にかかる情報処理装置がメンテナンスサービスを実施する環境の一例を示す模式図である。以降、説明を簡便化するため、センサシステムを構築する顧客と、センサのメンテナンスを行うサービス提供者と、の2者の関係において、実施形態を説明する。
【0011】
顧客は、複数のセンサを用いたシステムを構築する。顧客が構築したシステムを、顧客システム2と表記する。複数のセンサは、顧客側サーバ20と接続される。
【0012】
複数のセンサのうちの1以上のセンサのメンテナンスは、顧客とは異なる業者によって実施される。業者の一例は、業者から、顧客に対して業者の販売するセンサを提供し、そのセンサのメンテナンスサービスも併せて提供するメーカーである。以降、サービス提供者と呼ぶ。メンテナンス対象のセンサは、業者が販売するセンサでなくてもよい。メンテナンスサービスを実施するサービス提供者は、顧客システム2から種々のデータを管理側サーバ1に収集する。管理側サーバ1は、それに予め格納されたコンピュータプログラム(後述する管理プログラム51)に基づき、複数のセンサのうちの1以上のセンサのメンテナンスを実施する。
【0013】
管理側サーバ1は、本願発明の実施形態における情報処理装置である。
【0014】
図1に示される例では、顧客システム2は、複数のセンサとして、においセンサユニット22と環境センサユニット27とを備える。環境センサユニット27は、一例として、温度センサ23、湿度センサ24、CO
2センサ25、および埃センサ26を備える。
【0015】
においセンサユニット22、温度センサ23、湿度センサ24、CO2センサ25、および埃センサ26のそれぞれは、顧客側サーバ20と接続する。なお、においセンサユニット22は、複数のセンサを備える。具体的には、においセンサ素子31-1~31-16、温度センサ32、湿度センサ33、および気圧センサ34を備える。においセンサユニット22、温度センサ23、湿度センサ24、CO2センサ25、および埃センサ26のそれぞれのセンサの測定値は顧客側サーバ20に送信される。顧客側サーバ20は、記憶装置を有し、受信した各センサからの測定値を記憶装置に格納する。以降、省略して測定値が顧客側サーバ20に格納される、と表記する。
【0016】
また、単一のセンサから異なるタイミングで得られた測定値の群を、測定データ、と表記する。
【0017】
顧客側サーバ20は、1台のコンピュータで構成されてもよいし、複数台のコンピュータで構成されてもよい。顧客側サーバ20は、クラウドサーバであってもよい。
【0018】
センサ22~26と顧客側サーバ20との接続方法は任意である。センサ22~26と顧客側サーバ20とは、有線通信路で接続されていてもよいし、無線通信路で接続されていてもよいし、中継器または測定データの収集用のコンピュータなどを介して接続されていてもよいし、インターネット回線を介して接続されてもよい。
【0019】
顧客システム2は、情報端末21を備える。情報端末21は顧客側サーバ20に接続する。情報端末21は、例えば、PDA(Personal Digital Assistant)またはコンピュータなどである。顧客は、顧客側サーバ20に格納された測定値を、情報端末21に設けられた表示部などから確認することができる。また、情報端末21に設けられたキーボードなどの入力部を操作することによって、測定データに基づく分析を実行できる。
【0020】
顧客側サーバ20と情報端末21との接続方法は任意である。顧客側サーバ20と情報端末21とは、有線通信路で接続されていてもよいし、無線通信路で接続されていてもよいし、中継器を介して接続されていてもよい。また、情報端末21の使用は任意である。顧客側サーバ20にHMI(Human Machine Interface)が接続されている場合には、顧客は、HMIを介して顧客側サーバ20内の測定データにアクセスしてもよい。
【0021】
前述したように、顧客システム2は、複数のセンサ22~26を備え、複数のセンサ22~26のうちの1以上がサービス提供者によるメンテナンスサービスの対象とされる。以降では一例として、複数のセンサ22~26のうちのにおいセンサユニット22がメンテナンスサービスの対象とされることとして説明する。
【0022】
図2は、実施形態のにおいセンサユニット22の構成の一例を示す模式的な図である。
【0023】
においセンサユニット22は、1以上のにおいセンサ素子31を備える。ここでは一例として、においセンサユニット22は、16個のにおいセンサ素子31を備える。
【0024】
各においセンサ素子31には、チャネル番号ch1~ch16のうちのそれぞれ異なるチャネル番号が与えられている。chは、チャネル(Channel)の英語表記の頭文字2桁から名付けた。
図2では、チャネル番号X(ただしXは1から16までの整数)がchXと表記され、chXに対応するにおいセンサ素子31は、それぞれ、においセンサ素子31-Xと表記されている。
【0025】
においセンサ素子31-1~31-16は、気体中のそれぞれ異なる特定のガス分子の量を検出することができる。例えば、においセンサ素子31-1~31-16はにおいセンサユニット22が有するチャンバーに収容され、チャンバーにはにおいの検査対象の気体がポンプなどによって導入される。においセンサ素子31-1~31-16は、チャンバーに導入された気体に曝露されたとき、当該気体に含まれる特定のガス分子の量を検出する。
【0026】
においセンサユニット22は、16個のにおいセンサ素子31に加えて、温度センサ32、湿度センサ33、気圧センサ34、およびコントローラ35を備える。
【0027】
温度センサ32は、測定周囲環境の温度を検出する。湿度センサ33は、測定周囲環境の湿度を検出する。気圧センサ34は、測定周囲環境の気圧を検出する。温度センサ32、湿度センサ33、および気圧センサ34の測定データは、においセンサ素子31-1~31-16の測定データの補正に使用することができる。
【0028】
においセンサ素子31-1~31-16、温度センサ32、湿度センサ33、および気圧センサ34は、コントローラ35に接続されている。コントローラ35は、においセンサ素子31-1~31-16、温度センサ32、湿度センサ33、および気圧センサ34は、コントローラ35からの測定データの取得と、顧客側サーバ20との間の通信と、を含めたにおいセンサユニット22全体の制御を実行する。
【0029】
図3は、実施形態のにおいセンサ素子31の構成の一例を示す模式的な図である。
【0030】
においセンサ素子31は、水晶基板41、電極42、電極43、および感応膜44を備える。水晶基板41の厚み方向の或る面に電極42が形成されており、電極42が設けられた面とは反対側の面に電極43が形成されている。つまり、水晶基板41は、厚み方向において、電極42と電極43とに挟まれている。電極42上には、特定のガス分子を吸脱着する感応膜44が形成されている。
【0031】
コントローラ35は、電極42と電極43との間に電圧を印加する。水晶基板41は、電圧の印加に応じて固有の共振周波数で振動する。そして、感応膜44がガス分子を吸着した場合、その吸着されたガス分子の量に応じて全体の質量が増加し、これによって水晶基板41の共振周波数が低下する。
【0032】
感応膜44に吸着されるガス分子の量は、検査気体に含まれるガス分子の量と相関する。そして、感応膜44に吸着されたガス分子の量は、水晶基板41の共振周波数の変化量と相関する。これらの相関関係に基づき、水晶基板41の共振周波数の変化量から検査気体に含まれるガス分子の量が求められる。
コントローラ35は、発振回路によって、交流信号をにおいセンサ素子31に与え、においセンサ素子31を、共振周波数付近で発振させる。この発振周波数を、周波数カウンタによって測定し、測定データとする。ある任意の時点の発振周波数と、別の任意の時点の発振周波数とを測定すれば、共振周波数の変化を算出することができる。
【0033】
コントローラ35は、例えばポンプによって、感応膜44に吸着されるガス分子を低減したクリーンな気体をチャンバーに導入する。こうして、気体に感応膜44を曝露させ、感応膜44のクリーニングを行う。例えば、ガス分子を含む外気を、ポンプによって取り込み、活性炭などのフィルタを通過させることで、クリーンな気体を導入することができる。コントローラ35は、感応膜44の温度を上昇させることで、クリーニングを行ってもよい。クリーニングによって、感応膜44に吸着されていた特定のガス分子が感応膜44から脱着される。この、クリーンをしている期間を、以降、クリーニングのフェーズと呼ぶ。
クリーニングの完了後、コントローラ35は、感応膜44を検査対象の気体に曝露させる。
コントローラ35は、例えばポンプによって、感応膜44に吸着されるガス分子を含む気体をチャンバーに導入し、気体に感応膜44を曝露させ、感応膜44にガス分子を吸着させる。この期間において、周波数をカウントし、測定を行う。この測定している期間を、以降、測定フェーズと呼ぶ。
【0034】
コントローラ35は、においセンサ素子31に対し、クリーニングのフェーズと測定フェーズと、を含むサイクルを繰り返す。以降、コントローラ35は、各フェーズにおいて、発振周波数の測定を行う例で説明する。コントローラ35は、逐次得られる発振周波数の測定値を測定データとして逐次出力する。
【0035】
なお、
図3に示された例では、QCM(Quartz Crystal Microbalance)型のセンサ素子を示した。QCM型のセンサ素子だけでなく、他の種類のセンサ素子がにおいセンサ素子31として適用され得る。例えば、MEMS(Micro Electro Mechanical Systems)型のセンサ素子、FBAR(Film Bulk Acoustic Resonator)型のセンサ素子、または他の任意のセンサ素子が、においセンサ素子31として適用され得る。
【0036】
においセンサユニット22に具備されるにおいセンサ素子31-1~31-16は、それぞれ異なるガス分子が吸脱着可能なように、材質または構造がそれぞれ異なる感応膜44が設けられている。顧客は、においセンサユニット22から取得される16チャネル分の測定データに基づき、においの種別やにおいの強度などの分析を行う。
顧客は、においを測定したときに、においの種別のラベルを、例えば情報端末21に入力する。においセンサの測定値と、においの種別のラベルを関連付け、ニューラルネットワーク等の機械学習モデルに入力することで、においの種別とにおいの強度の学習を行うことができる。
【0037】
顧客は、情報端末21または顧客側サーバ20において、管理側サーバ1がメンテナンスサービスに利用できる全ての種別のデータのうち、所望のデータの種別を選択することができる。つまり、顧客は、管理側サーバ1がメンテナンスサービスに利用できる全ての種別のデータのうち、管理側サーバ1に送信するデータの種別と、管理側サーバ1に送信しないデータの種別と、を設定することができる。管理側サーバ1は、顧客によって選択された種別のデータを顧客側サーバ20から取得し、取得したデータに基づきにおいセンサユニット22のメンテナンスを実施する。データの種別は、においセンサ素子の測定データ、または測定データに関連するデータである。
【0038】
メンテナンスとは、具体的には、センサの状態を判定して、判定によって得られたセンサの状態を顧客側サーバ20に通知することである。センサの状態は、例えば、においセンサ素子31の交換が必要か否か、においセンサ素子31は故障しているか否か、においセンサ素子31はクリーニング不足であるか否か、または16チャネル分の測定データはにおい種別の推定に不適なデータを含んでいるか否か、などを含む。またデータによっては、センサのほこりを取り除く指示を顧客側にしたり、顧客ユニットに設けられた送風機構で埃の除去をしたりすることである。なお、判定内容は、管理側サーバ1を制御する管理プログラム51の設計者などが任意に設計することができる。
【0039】
図4は、実施形態の管理側サーバ1のハードウェア構成の一例を示す模式的な図である。
【0040】
管理側サーバ1は、プロセッサ11、RAM(Random Access Memory)12、インタフェース13、ROM(Read Only Memory)14、およびバス15を備える。プロセッサ11、RAM12、インタフェース13、およびROM14は、バス15に電気的に接続されている。
【0041】
インタフェース13は、外部の装置と通信を行うための装置である。この例では、インタフェース13には、顧客側サーバ20が接続される。なお、インタフェース13による顧客側サーバ20との接続は、有線通信路を介したものであってもよいし、無線通信路を介したものであってもよい。インタフェース13による顧客側サーバ20との接続は、インターネット回線を介したものであってもよい。
【0042】
プロセッサ11は、コンピュータプログラムを実行することができる回路である。プロセッサ11は、例えばCPU(Central Processing Unit)である。プロセッサ11は、予め所定位置(ここでは一例としてROM14)に格納されている管理プログラム51に基づいて、顧客システム2に設けられたにおいセンサユニット22のメンテナンスを実行したり、メンテナンスの指示を顧客側の端末に表示したりする。
【0043】
ROM14は、管理プログラム51が予め格納される。
【0044】
RAM12は、コンピュータプログラムがロードされるエリア、データのバッファ、またはデータのキャッシュなどとして使用される、高速な動作が可能な揮発性のメモリである。例えば、プロセッサ11は、ROM14からRAM12に管理プログラム51をロードして、RAM12内の管理プログラム51を実行する。
【0045】
図5は、実施形態の管理側サーバ1の機能構成の一例を示す模式的な図である。
【0046】
管理側サーバ1は、受信部101、判定部102、および通知部103を備える。受信部101および通知部103は、例えばインタフェース13によって構成される。判定部102は、例えばプロセッサ11によって構成される。
【0047】
受信部101は、複数のセンサ(即ち、においセンサ素子31-1~31-16、温度センサ32、湿度センサ33、および気圧センサ34、温度センサ23、湿度センサ24、CO2センサ25、および埃センサ26)によって得られた測定データおよびラベルを含む群のうちの、顧客によって選択された種別を示す情報である、提供可否情報を、顧客側サーバ20から受信する。
【0048】
また、受信部101は、顧客によって選択された種別のデータの群を、顧客側サーバ20から受信する。
【0049】
判定部102は、顧客側サーバ20から受信したデータの群に基づき、少なくとも一つのにおいセンサ素子31の状態を判定する。
【0050】
なお、判定部102によって状態が判定されるセンサは、においセンサ素子31に限定されない。ここでは一例として、判定部102は、においセンサ素子31-1~31-16の状態を判定することとする。
【0051】
通知部103は、状態の判定結果を顧客側サーバ20に通知する。
【0052】
図6は、実施形態の顧客側サーバ20において実行される、メンテナンスサービスに関する設定の動作の一例を示すフローチャートである。
【0053】
顧客は、メンテナンスサービスを利用するか否かの設定を顧客側サーバ20に入力することができる。顧客側サーバ20は、メンテナンスサービスを利用する旨が設定されているか否かを判定する(S101)。
【0054】
メンテナンスサービスを利用する旨が設定されていない場合(S101:No)、メンテナンスサービスに関する設定の動作が終了する。
【0055】
メンテナンスサービスを利用する旨が設定されている場合(S101:Yes)、顧客側サーバ20は、管理側サーバ1に提供するデータの種別を選択する入力を受け付ける(S102)。
【0056】
前述されたように、管理側サーバ1がメンテナンスサービスに使用できるデータは、複数種別、存在する。顧客は、情報端末21または管理側サーバ1を操作することによって、複数種別のうちから管理側サーバ1に提供するデータの種別を選択する。
【0057】
なお、選択された種別の設定入力を受け付ける方法は、特定の方法に限定されない。一例では、顧客側サーバ20は、自ら、または管理側サーバ1の制御下で、管理側サーバ1がメンテナンスサービスに使用できるデータの種別の一覧を顧客側サーバ20または情報端末21のHMIに表示する。顧客は、HMIを操作することによって、表示された一覧のうちから所望の種別を選択する。このHMIに表示される一覧の画面を、選択画面と表記する。
【0058】
図7は、実施形態の選択画面の一例を示す模式的な図である。
【0059】
図7に示される例では、選択画面60は、選択可能なデータの種別として、「ラベル」、「日時」、「チャネル1」~「チャネル16」、「温度」、「湿度」、「気圧」、「外付けセンサ温度」、「外付けセンサ湿度」、「CO
2」、および「埃」が表示され、左側には、選択するか、選択しないかをインプットするためのチェック画面がある。ここでは、クリックする事で、レ点が表示される。
【0060】
「ラベル」は、顧客側の情報端末またはサーバに保存されたにおいの種別を示す。「チャネル1」~「チャネル16」は、においセンサ素子31-1~31-16から取得された測定データを示す。「温度」は、温度センサ32から取得された測定データを示す。「湿度」は、湿度センサ33から取得された測定データを示す。「気圧」は、気圧センサ34から取得された測定データを示す。「外付けセンサ温度」は、温度センサ23から取得された測定データを示す。「外付けセンサ湿度」は、湿度センサ24から取得された測定データを示す。「CO2」は、CO2センサ25から取得された測定データを示す。「埃」は、埃センサ26から取得された測定データを示す。
【0061】
各種別の表記の左側には、顧客がHMIを介してチェックを入力することができるチェックボックスが設けられている。つまり、選択画面60は、各チェックボックスのチェックを入れることで種別を選択することが可能に構成されている。
【0062】
図7に示される例では、「日時」、「チャネル1」~「チャネル16」、「温度」、「湿度」、「気圧」、「外付けセンサ温度」、「外付けセンサ湿度」、「CO
2」、および「埃」のそれぞれの種別のデータが管理側サーバ1に提供されように設定され、「ラベル」の種別のデータは管理側サーバ1に提供されないように設定されている。
【0063】
図6に説明を戻す。
顧客側サーバ20は、ステップS102の処理によって選択された種別の一覧を、提供可否情報として管理側サーバ1に送信する(S103)。そして、メンテナンスサービスに関する設定の動作が終了する。
【0064】
このように、顧客は、管理側サーバ1に提供するデータの種別と、管理側サーバ1に提供しないデータの種別と、を選択することが可能である。
【0065】
例えば、におい種別を示すラベルはプライバシーに関わる情報であるため、顧客はラベルを外部へ提供することを望まないケースがある。
図7に示された動作によって、顧客は、外部への提供を望まない種別のデータが管理側サーバ1に送信されないようにすることが可能になる。
【0066】
なお、
図7に示された例では、顧客側サーバ20は、管理側サーバ1に提供可否情報を送信した。顧客側サーバ20は、必ずしも管理側サーバ1に提供可否情報を送信しなくてもよい。
【0067】
図8は、実施形態の管理側サーバ1において実行される動作の一例を示すフローチャートである。
【0068】
まず、受信部101は、提供可否情報を受信する(S201)。そして、受信部101は、提供可否情報が示す種別のデータを受信する(S202)。
【0069】
受信部101は、正しくデータを取得できたか否かを判定する(S203)。ここでは、例えば、受信部101は、提供可否情報が示す全ての種別のデータを欠損なく受信できたか否かを判定する。
【0070】
正しくデータを取得できなかった場合(S203:No)、通知部103は、接続不良を顧客側サーバ20に通知する(S204)。なお、接続不良とは、顧客システム2における各センサと顧客側サーバ20との接続の不良、または顧客側サーバ20と管理側サーバ1との接続の不良などである。ステップS204の後、制御がステップS202に遷移する。
【0071】
正しくデータを取得できた場合(S203:Yes)、判定部102は、受信したデータに基づきセンサの状態を判定する(S205)。ステップS205において、状態の判定の対象は、一例では、においセンサ素子31-1~31-16である。
【0072】
ステップS205の後、通知部103は、センサの状態の判定結果を顧客側サーバ20に通知する(S206)。そして、制御がステップS202に遷移する。
【0073】
以降、ステップS202~S206のループ処理が繰り返し実行されることで、においセンサ素子31-1~31-16に関する略リアルタイムのメンテナンスが実現する。
【0074】
続いて、センサの状態の判定の方法の具体例をいくつか説明する。
【0075】
図9は、実施形態のセンサの状態の判定の方法の一例を説明するための図である。
【0076】
図9に示される例では、においセンサ素子31-1~31-16の測定データ、温度センサ32の測定データ、湿度センサ33の測定データ、および気圧センサ34の測定データが提供可否情報において選択されており、受信部101は、これらの測定データを取得したものしている。そして、
図9には、これらの測定データの波形が描画されている。
【0077】
前述したように、コントローラ35は、においセンサ素子31-1~31-16に対し、クリーニングフェーズの動作および測定フェーズの動作を繰り返し実行する。従って、においセンサ素子31-1~31-16が正しく作動している場合には、においセンサ素子31-1~31-16の測定データは、クリーニングフェーズと測定フェーズとのサイクルの繰り返しに応じた略鋸歯状の波形で推移する。
【0078】
よって、判定部102は、一例として、においセンサ素子31-1~31-16の測定データがクリーニングフェーズと測定フェーズとのサイクルの繰り返しに応じた略鋸歯状の波形で推移しているか否かを判定する。そして、においセンサ素子31-1~31-16の全ての測定データが略鋸歯状の波形で推移している場合には、判定部102は、においセンサ素子31-1~31-16は正常に作動していると判定する。においセンサ素子31-1~31-16の一部の測定データが略鋸歯状の波形で推移していない場合には、判定部102は、略鋸歯状の波形で推移していない測定データが得られたにおいセンサ素子31は正常に動作していないと判定する。
【0079】
図9に示された波形の例では、時刻t0から時刻t1までの期間は、においセンサ素子31-1~31-16の全ての測定データが略鋸歯状の波形で推移している。そして、時刻t1以降においては、チャネル10、即ちにおいセンサ素子31-10から得られた測定データが、略鋸歯状から逸脱した波形で推移している(波形70参照)。よって、判定部102は、時刻t1以降は、においセンサ素子31-10が正常に作動していないと判定する。
【0080】
なお、測定データの波形が略鋸歯状であるか否かの判定方法は任意である。
【0081】
判定部102が上記のように判定を行った場合、通知部103は、判定結果として、例えば、時刻t1以降の測定データはにおい種別の推定には不適である旨、顧客側サーバ20に通知する。
【0082】
従来は、顧客側サーバ20では、16チャネル分の測定データが得られた場合、各測定データが正常であるか否かに関わらず、16チャネル分の測定データに基づくにおい種別の推定を実行する。においセンサ素子31-10が正常に作動していない時刻t1以降は、センサ素子31-10から得られた正常でないデータを含む16チャネル分の測定データに基づく推定が実行されることになり、推定の精度が劣化する課題があった。
【0083】
そこで、通知部103は、時刻t1以降の測定データはにおい種別の推定には不適である旨、顧客側サーバ20に通知する。これによって、顧客は、時刻t1以降のにおい種別の推定結果は信頼性が低いことを認識することが可能になる。
【0084】
なお、通知部103が通知する判定結果はこれに限定されない。通知部103は、時刻t1以降、センサ素子31-10が正常に作動していない旨や、センサ素子31-10のクリーニング、センサの交換を促す旨を、顧客側サーバ20に通知してもよい。顧客システムに、においセンサにクリーンなガスを送風する機構・このガスの 温度上昇、センサに付いたヒータなど接続されていれば、管理側で直接クリーニングが可能である。またクリーニングの指示により、顧客側が操作してクリーニングしても良い。更には、クリーニングでも復活しない場合は、管理側または顧客側でセンサ交換の指示も可能である。尚、湿度センサ、温度センサ、CO2センサ、埃センサも、データに基づいて、管理側から指示が可能で、管理側または顧客側でセンサ交換の指示も可能である。
【0085】
図10は、実施形態のセンサの状態の判定の方法の別の一例を説明するための図である。
【0086】
ここでは、或るチャネルのにおいセンサ素子31の測定データと、当該測定データから得られた共振周波数の変化量と、の時間推移が描画されている。
【0087】
前述したように、検査気体に含まれる特定のガス分子は、クリーニングフェーズにおいて感応膜44から脱着され、測定フェーズにおいて感応膜44に吸着される。よって、顧客の分析コンピュータは、クリーニングフェーズにおける測定周波数を基準とした測定フェーズにおける測定周波数の変化量に基づき、検査気体に含まれる特定のガス分子を計算する。
【0088】
しかしながら、クリーニング不足の場合には、
図10に示されるように、クリーニングフェーズにおける測定周波数がクリーニングフェーズと測定フェーズとのサイクル数に応じて徐々に低下してくる。クリーニング不足が長く続くと、感応膜44から脱着しきれなかったガス分子の量が多くなってくる。そして感応膜44から脱着しきれなかったガス分子の量が感応膜44の吸着量限界に近くなってくると、感応膜44は、測定フェーズにおいて感応膜44に吸着されたガス分子が飽和することで、測定精度が劣化してくる。
【0089】
そこで、判定部102は、測定データに含まれるクリーニングフェーズにおける測定周波数をモニタリングする。そして、クリーニングフェーズにおける測定周波数が、所定のレベル以下となったとき、判定部102は、においセンサ素子31はクリーニング不足であると判定する。そして、通知部103は、においセンサ素子31はクリーニング不足である旨、顧客側サーバ20に通知する。
【0090】
図11は、実施形態のセンサの状態の判定の方法のさらに別の一例を説明するための図である。
【0091】
図11の(A)は、或るチャネルのにおいセンサ素子31が正常に作動しているときの当該センサ素子31の測定データから得られた共振周波数の変化量の時間推移の波形を拡大したものである。
図11の(B)は、或るチャネルのセンサ素子31が正常に作動していないときの当該センサ素子31の測定データから得られた共振周波数の変化量の時間推移の波形を拡大したものである。
【0092】
図11の(A)と
図11の(B)との比較により、
図11の(B)に描画された波形には、例えばピーク80~87のように大きなノイズが多数含まれていることが読み取れる。判定部102は、このようなノイズを検出した場合、においセンサ素子31が正常に作動していないと判定する。
【0093】
このようなノイズの検出方法は、特定の方法に限定されない。判定部102は、例えば、測定データに対して時間微分を行い、時間微分によって得られた値の絶対値と所定のしきい値との比較によって、ノイズを検出してもよい。
【0094】
図9~
図11を用いて説明されたように、判定部102は、種々の方法でセンサの状態を判定し得る。
【0095】
以上述べたように、実施形態によれば、情報処理装置としての管理側サーバ1は、受信部101と、判定部102と、通知部103と、を備える。受信部は、複数のにおいセンサ素子31が出力した測定データと、複数の測定データに関連付けられたラベルと、を含む複数の種別のデータの群(第1群と表記する)のうちから顧客によって選択された種別のデータの群(第2群と表記する)と、第1群のうち、いずれの種別のデータが第2群として選択したかを示す提供可否情報と、を外部サーバとしての顧客側サーバ20から受信する。判定部102は、第2群に基づき、複数のにおいセンサ素子31の状態を判定する。通知部103は、状態の判定結果を顧客側サーバ20に通知する。
【0096】
よって、顧客は、管理側サーバ1がメンテナンスサービスに利用できる全ての種別のデータのうち、管理側サーバ1に送信するデータの種別と、管理側サーバ1に送信しないデータの種別と、を設定することができる。つまり、顧客にとって利便性が高いメンテナンスサービスの実施が可能になる。
【0097】
なお、以上の説明では、複数のにおいセンサ素子31がメンテナンス対象とされた。他のセンサをメンテナンス対象としてもよい。
【0098】
また、以上の説明では、顧客側サーバ20から受信されたデータに基づき、複数のにおいセンサ素子31について状態が判定された。状態の判定の対象は、顧客側サーバ20から受信されたデータの種別に応じて適宜変更できるように構成されてもよい。例えば、受信部101が、においセンサ素子31-1から取得された測定データを受信し、他のにおいセンサ素子31から取得された測定データを受信しなかった場合、判定部102は、においセンサ素子31-1から取得された測定データに基づき、においセンサ素子31-1の状態のみを判定してもよい。
【0099】
つまり、判定部102は、第2群に基づき、複数のセンサのうちの少なくとも一のセンサの状態を判定するよう、構成されていればよい。
【0100】
また、メンテナンスサービスにおいて使用可能なラベルは、におい種別を示す情報のみに限定されない。メンテナンスサービスにおいて使用可能なラベルは、顧客システム2において複数のセンサの測定データに基づいて推定された任意の情報であってもよい。
【0101】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0102】
1 管理側サーバ、2 顧客システム、11 プロセッサ、12 RAM、13 インタフェース、14 ROM、15 バス、20 顧客側サーバ、21 情報端末、22 においセンサユニット、23 温度センサ、24 湿度センサ、25 CO2センサ、26 埃センサ、27 環境センサユニット、31,31-1~31-16 においセンサ素子、32 温度センサ、33 湿度センサ、34 気圧センサ、35 コントローラ、41 水晶基板、42,43 電極、44 感応膜、51 管理プログラム、60 選択画面、70 波形、80~87 ピーク、101 受信部、102 判定部、103 通知部、1000 レーダーチャート、1001 におい測定データ。