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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024146369
(43)【公開日】2024-10-15
(54)【発明の名称】評価装置
(51)【国際特許分類】
   G01N 33/15 20060101AFI20241004BHJP
【FI】
G01N33/15 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023059219
(22)【出願日】2023-03-31
(71)【出願人】
【識別番号】504157024
【氏名又は名称】国立大学法人東北大学
(71)【出願人】
【識別番号】597128004
【氏名又は名称】国立医薬品食品衛生研究所長
(74)【代理人】
【識別番号】100131428
【弁理士】
【氏名又は名称】若山 剛
(72)【発明者】
【氏名】白石 泰之
(72)【発明者】
【氏名】深谷 碧
(72)【発明者】
【氏名】山家 智之
(72)【発明者】
【氏名】岡本 吉弘
(72)【発明者】
【氏名】迫田 秀行
(72)【発明者】
【氏名】野村 祐介
(72)【発明者】
【氏名】山本 栄一
(57)【要約】
【課題】シート状体が生体の器官又は器官の表層部を高い精度にて模擬することが可能な評価装置を提供すること。
【解決手段】評価装置1は、液体が収容されるとともに開口を有する容器部111と、開口を塞ぐようにシート状体123を張架する張架部121,122と、を備える。評価装置1は、容器部との間で移動可能である液体を収容する貯留室を有するとともに、シート状体123の変形に伴う、容器部と貯留室との間の液体の移動を制御する流動制御部を備える。
【選択図】図6

【特許請求の範囲】
【請求項1】
液体が収容されるとともに開口を有する容器部と、前記開口を塞ぐようにシート状体を張架する張架部と、を備える評価装置であって、
前記容器部との間で移動可能である液体を収容する貯留室を有するとともに、前記シート状体の変形に伴う、前記容器部と前記貯留室との間の前記液体の移動を制御する流動制御部を備える、評価装置。
【請求項2】
請求項1に記載の評価装置であって、
前記流動制御部は、前記容器部と前記貯留室との間の流路にて前記液体の流量を調整可能である、評価装置。
【請求項3】
請求項1又は請求項2に記載の評価装置であって、
前記流動制御部は、
前記貯留室を形成する壁の少なくとも一部である隔壁によって形成され、且つ、空気と液体とを収容し、且つ、前記貯留室から隔てられる隔室を有するとともに、
前記隔壁が変形可能であるとともに、前記隔室内の空気の圧力が調整可能である、評価装置。
【請求項4】
請求項1又は請求項2に記載の評価装置であって、
前記液体は、透明であり、
前記容器部の少なくとも一部は、透明であり、
前記評価装置は、前記容器部の外部から、前記容器部のうちの透明である部分を介して、前記シート状体の、前記容器部の内部側の面である内側面を撮影する撮影部を備える、評価装置。
【請求項5】
請求項4に記載の評価装置であって、
前記シート状体は、弾性体であり、
前記シート状体の前記内側面は、模様を有し、
前記撮影された前記模様の変化に基づいて前記シート状体の変形を表す情報を取得する処理部を備える、評価装置。
【請求項6】
請求項5に記載の評価装置であって、
前記模様は、スペックルパターン状であり、
前記撮影部は、ステレオカメラを備える、評価装置。
【請求項7】
請求項4に記載の評価装置であって、
前記撮影部と前記容器部との間の光路を媒体が満たすように、前記媒体と前記撮影部の少なくとも一部とを収容する媒体収容部を備え、
前記液体と前記媒体との間の屈折率の差の大きさは、前記液体と空気との間の屈折率の差の大きさよりも小さい、評価装置。
【請求項8】
請求項1又は請求項2に記載の評価装置であって、
前記シート状体は、前記物体を検出する試験片を備える、評価装置。
【請求項9】
請求項1又は請求項2に記載の評価装置であって、
前記液体の圧力を変動させる圧力変動部を備える、評価装置。
【請求項10】
請求項1又は請求項2に記載の評価装置であって、
前記張架部は、前記シート状体に加えられる張力を調整可能である、評価装置。
【請求項11】
請求項1又は請求項2に記載の評価装置であって、
前記評価装置の外部から前記シート状体にマイクロニードルが穿刺されることにより、前記物体の移動が行われる、評価装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、評価装置に関する。
【背景技術】
【0002】
生体の器官(例えば、皮膚、血管、消化管、又は、臓器等)の内部に医薬品等の物質を導入する場合、又は、生体の器官の内部から体液等の物質を採取する場合等において、生体の器官に対して針を穿刺することにより、器官の内部と器官の外部との間で物質の移動が行われることがある。例えば、直径が非常に小さいマイクロニードルと呼ばれる針は、器官に対する痛覚刺激を抑制できることが知られている。
【0003】
ところで、マイクロニードル等の針が生体の器官に対して穿刺された場合における器官の内部と器官の外部との間の物質の移動を十分に高い精度にて評価する方法は知られていない。
【0004】
そこで、フランツセル等の拡散セルと呼ばれる評価装置を用いて上記評価を行うことが考えられる。この種の評価装置の一つである、特許文献1に記載の評価装置は、器官の内部を模擬する液体が収容されるとともに開口を有する容器部と、器官又は器官の表層部を模擬するシート状体を張架することにより容器部の開口を塞ぐ張架部と、を備えるとともに、シート状体を介した物質の移動を評価する。これにより、シート状体を介した物質の移動を評価することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特表2013-512448号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、針の穿刺時等のように、シート状体が押圧される場合がある。この場合、シート状体が変形するので、容器部内の液体の圧力が過度に大きく変動する。従って、上記評価装置においては、シート状体が器官又は器官の表層部を高い精度にて模擬できない、という課題があった。なお、この種の課題は、針の穿刺による物質の移動に限られず、例えば、噴流等を用いた無針注射器による物質の移動においても同様に生じる。
【0007】
本発明の目的の一つは、シート状体が生体の器官又は器官の表層部を高い精度にて模擬することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
一つの側面では、評価装置は、液体が収容されるとともに開口を有する容器部と、開口を塞ぐようにシート状体を張架する張架部と、を備える。評価装置は、容器部との間で移動可能である液体を収容する貯留室を有するとともに、シート状体の変形に伴う、容器部と貯留室との間の液体の移動を制御する流動制御部を備える。
【発明の効果】
【0009】
シート状体が生体の器官又は器官の表層部を高い精度にて模擬することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】第1実施形態の評価装置の斜視図である。
図2】第1実施形態の評価装置の平面図である。
図3】第1実施形態の評価装置の側面図である。
図4】第1実施形態の評価装置の断面図である。
図5】第1実施形態の評価装置の部分拡大断面図である。
図6】第1実施形態の評価装置の断面図である。
図7】第1実施形態の評価装置の断面図である。
図8】第1実施形態の評価装置の部分拡大断面図である。
図9】第1実施形態の評価装置のうちの、充填液の移動に関する構成を表す図である。
図10】第1実施形態の評価装置のうちの、画像の処理に関する構成を表すブロック図である。
図11】第1実施形態の第2変形例の評価装置のうちの、充填液の移動に関する構成を表す図である。
図12】第2実施形態の評価装置の部分拡大断面図である。
図13】第3実施形態の評価装置の部分拡大断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の評価装置に関する各実施形態について図1乃至図13を参照しながら説明する。
【0012】
<第1実施形態>
(概要)
第1実施形態の評価装置は、液体が収容されるとともに開口を有する容器部と、開口を塞ぐようにシート状体を張架する張架部と、を備える。評価装置は、容器部との間で移動可能である液体を収容する貯留室を有するとともに、シート状体の変形に伴う、容器部と貯留室との間の液体の移動を制御する流動制御部を備える。
【0013】
これによれば、シート状体が外部から押圧された場合(例えば、針の穿刺時等)、シート状体が変形する。これにより、容器部と貯留室との間で液体が移動する。従って、容器部内の液体の圧力の変動を適切に抑制できる。更に、容器部と貯留室との間の液体の移動が制御される。従って、液体の移動を適切に制御することにより、シート状体が生体の器官又は器官の表層部を高い精度にて模擬することができる。
次に、第1実施形態の評価装置について、より詳細に説明する。
【0014】
(構成)
以下、図1乃至図8に表されるように、x軸、y軸、及び、z軸を有する右手系の直交座標系を用いて、第1実施形態の評価装置1を説明する。なお、本明細書において、後述の図12及び図13においても同様の座標系が用いられる。
【0015】
本例では、評価装置1は、生体の器官(例えば、皮膚、血管、消化管、又は、臓器等)の内部に医薬品等の物質を導入する場合、又は、生体の器官の内部から体液等の物質を採取する場合等において、生体の器官、又は、生体の器官の表層部の変形に伴って生じる現象を評価又は分析するために用いられる。例えば、評価装置1は、器官の内部と器官の外部との間で行われる物質の移動を評価するために用いられる。
【0016】
本例では、x軸方向、y軸方向、及び、z軸方向は、評価装置1の左右方向、評価装置1の前後方向、及び、評価装置1の上下方向とそれぞれ表されてもよい。また、本例では、x軸の正方向、x軸の負方向、y軸の正方向、y軸の負方向、z軸の正方向、及び、z軸の負方向は、評価装置1の左方向、評価装置1の右方向、評価装置1の後方向、評価装置1の前方向、評価装置1の上方向、及び、評価装置1の下方向とそれぞれ表されてもよい。
本例では、z軸の正方向、及び、z軸の負方向は、鉛直上方向、及び、鉛直下方向にそれぞれ一致する。
【0017】
図1乃至図7に表されるように、評価装置1は、本体11と、開口被覆部12と、撮影部13と、を備える。
【0018】
図1は、評価装置1の左方であり、評価装置1の前方であり、且つ、評価装置1の上方である位置から、評価装置1を見た図(換言すると、左前上方斜視図)である。図2は、評価装置1の上方から評価装置1を見た図(換言すると、平面図)である。図3は、評価装置1の右方へ向かって評価装置1を見た図(換言すると、右側面図)である。
【0019】
図4は、図2のIV-IV線により表される平面により切断された評価装置1の断面をx軸の負方向にて見た図である。図5は、図4の破線により囲まれた領域Vを拡大した図である。図6は、図3のVI-VI線により表される平面により切断された評価装置1の断面をz軸の負方向にて見た図である。図7は、図3のVII-VII線により表される平面により切断された評価装置1の断面をz軸の負方向にて見た図である。
【0020】
図1図4、及び、図6に表されるように、本体11は、x軸に直交する1対の端面と、y軸に直交する1対の端面と、z軸に直交する1対の端面と、を有する直方体状である。図4、及び、図6に表されるように、本体11は、被撮影室部111と、撮影部収容室部112と、を備える。本例では、本体11は、被撮影室部111と、撮影部収容室部112と、が一体である。なお、本体11は、被撮影室部111と、撮影部収容室部112と、が互いに独立した部品であってもよい。
【0021】
被撮影室部111は、x軸に直交する1対の端面と、y軸に直交する1対の端面と、z軸に直交する1対の端面と、を有する直方体状の空間である被撮影室SP1を形成する。本例では、被撮影室部111は、容器部に対応する。被撮影室部111は、本体11のうちの、y軸の負方向における端部を構成する。
【0022】
被撮影室部111は、開口部1111と、供給口部1112と、を備える。
図4、及び、図5に表されるように、開口部1111は、被撮影室部111のうちの、y軸の負方向における端面に位置する。開口部1111は、被撮影室SP1と、本体11の外部と、を連通する開口を形成する。本例では、開口部1111は、円形状である。なお、開口部1111は、円形状以外の形状(例えば、楕円形状、正方形状、又は、長方形状等)であってもよい。
【0023】
図1、及び、図7に表されるように、供給口部1112は、被撮影室部111のうちの、x軸の正方向における端面に位置する。なお、供給口部1112は、被撮影室部111のうちの、x軸の正方向における端面以外の端面に位置していてもよい。
供給口部1112は、被撮影室SP1と、本体11の外部と、を連通する流路を形成する。後述のように、被撮影室SP1には、供給口部1112を介して、液体である充填液が供給される。被撮影室SP1は、開口部1111、及び、供給口部1112を除いて、液体に対して密閉される。
【0024】
撮影部収容室部112は、x軸に直交する1対の端面と、y軸に直交する1対の端面と、z軸に直交する1対の端面と、を有する直方体状の空間である撮影部収容室SP2を形成する。本例では、撮影部収容室部112は、媒体収容部に対応する。撮影部収容室部112は、本体11のうちの、y軸の正方向における端部を構成する。被撮影室部111、及び、撮影部収容室部112は、y軸方向にて互いに隣接する。
【0025】
本例では、本体11は、被撮影室部111の一部であるとともに、撮影部収容室部112の一部でもある区画板11aを備える。区画板11aは、被撮影室SP1と撮影部収容室SP2とを区画する。換言すると、区画板11aは、被撮影室部111と撮影部収容室部112との間の境界を構成する。本例では、区画板11aは、y軸に直交する平面に沿って延在する平板状である。
【0026】
本例では、撮影部収容室部112の鉛直上方向における端面は、開放されている。なお、本体11は、撮影部収容室部112の鉛直上方向における端面を塞ぐとともに、撮影部収容室部112の鉛直上方向における端部に、取り外し可能に固定される蓋部を備えていてもよい。
【0027】
本例では、本体11は、透明な材料からなる。例えば、透明な材料は、ガラス、又は、樹脂である。なお、本体11は、区画板11aが透明な材料からなるとともに、本体11のうちの、区画板11a以外の部分の少なくとも一部が透明でない材料からなっていてもよい。
【0028】
図1図4、及び、図5に表されるように、開口被覆部12は、被撮影室部111の開口を被覆する。開口被覆部12は、本体11のうちの、y軸の負方向における端面にて、取り外し可能に本体11に固定される。
【0029】
図5に表されるように、開口被覆部12は、第1支持体121と、第2支持体122と、シート状体123と、を備える。
第1支持体121は、中心軸がy軸方向に沿って延在する円柱状である。第1支持体121の中心軸を通る直線は、開口部1111の中心を通る。
【0030】
第1支持体121は、第1穴部121aと、第2穴部121bと、を備える。
第1穴部121aは、中心軸がy軸方向に沿って延在する円柱状の穴を形成する。第1穴部121aの中心軸は、第1支持体121の中心軸と一致する。第1穴部121aは、第1支持体121のうちの、y軸の負方向における端部を構成する。第1穴部121aの直径は、開口部1111の直径よりも小さい。
【0031】
第2穴部121bは、中心軸がy軸方向に沿って延在する円柱状の穴を形成する。第2穴部121bの中心軸は、第1支持体121の中心軸と一致する。第2穴部121bは、第1支持体121のうちの、y軸の正方向における端部を構成する。第2穴部121bの直径は、第1穴部121aの直径よりも大きい。本例では、第2穴部121bの直径は、開口部1111の直径と略一致する。
【0032】
第1穴部121a、及び、第2穴部121bは、y軸方向にて互いに隣接する。従って、第1穴部121aにより形成される穴、及び、第2穴部121bにより形成される穴は、第1支持体121をy軸方向にて貫通する。
【0033】
第1支持体121は、本体11のうちの、y軸の負方向における端面にて、取り外し可能に本体11に固定される。
【0034】
第2支持体122は、円環状である。第2支持体122の中心軸は、第1支持体121の中心軸と一致する。第2支持体122の外径は、第2穴部121bの直径よりも僅かに小さい。第2支持体122の内径は、第1穴部121aの直径よりも大きい。第2支持体122は、第2穴部121bにより形成される穴にて、第1支持体121との間でシート状体123の外周部を挟持するように、取り外し可能に第1支持体121に固定される。
【0035】
このような構成により、第1支持体121、及び、第2支持体122は、シート状体123が被撮影室部111の開口を塞ぐ(本例では、封止する)ようにシート状体123を張架する。従って、本例では、第1支持体121、及び、第2支持体122は、張架部に対応する。
【0036】
シート状体123は、シート状の弾性体である。本例では、シート状体123は、高分子材料からなる。例えば、シート状体123は、ウレタン樹脂等の樹脂、天然ゴム、又は、合成ゴムからなる。なお、シート状体123は、多孔質構造を有していてもよい。また、シート状体123は、生体の皮膚、又は、人工皮膚であってもよい。例えば、生体の皮膚は、細胞を培養することにより製造されてよい。
【0037】
本例では、シート状体123は、生体の器官、又は、生体の器官の表層部を模擬するために用いられる。従って、シート状体123は、生体の器官、又は、生体の器官の表層部が有する物性(例えば、粘弾性、及び、化学物質の吸収特性等)に近い物性を有するように構成される。
【0038】
シート状体123は、シート状体123のうちの、被撮影室部111の内部側の面(本例では、y軸の正方向側の面)である内側面が模様を有する。本例では、模様は、スペックルパターン状である。例えば、スペックルパターン状の模様は、スプレーにより塗料が噴霧されることにより形成されてよい。なお、模様は、スペックルパターン状以外の模様(例えば、格子模様、又は、市松模様等)であってもよい。
【0039】
図8に表されるように、評価装置1は、押圧装置2の先端部がシート状体123をy軸の正方向へ押圧することにより、シート状体123を介した物質の移動が行われる。これにより、シート状体123は、中央部がy軸の正方向へ突出するように変形する。
図8は、押圧装置2がシート状体123を押圧している状態における評価装置1の、図5と同じ領域を拡大した断面図である。
【0040】
例えば、シート状体123を介した物質の移動は、押圧装置2からシート状体123の内部への移動、シート状体123の内部から押圧装置2への移動、押圧装置2から被撮影室SP1(換言すると、被撮影室部111の内部)への移動、又は、被撮影室SP1(換言すると、被撮影室部111の内部)から押圧装置2への移動である。
【0041】
本例では、押圧装置2は、複数のマイクロニードルを含むマイクロニードルアレイを備えるマイクロニードルアプリケータである。本例では、シート状体123にマイクロニードルが穿刺されることにより、押圧装置2からシート状体123の内部に物質が移動する。
【0042】
なお、シート状体123にマイクロニードルが穿刺されることにより、押圧装置2から被撮影室SP1に物質が移動してもよい。また、シート状体123にマイクロニードルが穿刺されることにより、シート状体123の内部から押圧装置2に物質が移動してもよい。また、シート状体123にマイクロニードルが穿刺されることにより、被撮影室SP1から押圧装置2に物質が移動してもよい。
【0043】
なお、押圧装置2は、バルーンカテーテル、内視鏡、有針注射器、又は、無針注射器であってもよい。また、評価装置1において、シート状体123を介した物質の移動が行われなくてもよい。
【0044】
図4、及び、図6に表されるように、撮影部13は、被撮影室部111の外部(本例では、撮影部収容室SP2)から、被撮影室部111のうちの透明である部分(本例では、区画板11a)を介して、シート状体123の内側面を撮影する。本例では、撮影部13は、一対のカメラにより構成されるステレオカメラを備える。本例では、一対のカメラは、z軸に直交する平面において、シート状体123の中心が中心である円弧上にそれぞれ位置するとともに、撮影される画像の中心がシート状体123の中心に略一致するように構成される。なお、撮影部13は、ステレオカメラに代えて、1つ、又は、3つ以上のカメラを備えていてもよい。
撮影部13は、撮影部収容室SP2にて本体11により支持される。
【0045】
更に、図9に表されるように、評価装置1は、貯留部15と、圧力調整部16と、流量調整弁17と、を備える。
【0046】
貯留部15は、充填液LQ1と空気ARとを収容する貯留室SP3を有する。例えば、充填液LQ1は、水、緩衝液、生理食塩水、又は、人工体液である。なお、充填液LQ1は、試薬を含んでいてもよい。例えば、試薬は、シート状体123を介して移動する物質を検出してよい。例えば、試薬は、抗原、又は、抗体を含んでいてもよい。
【0047】
貯留部15は、被撮影室SP1と貯留室SP3との間で充填液LQ1が移動可能であるように、流量調整弁17を介して、被撮影室部111の供給口部1112に接続される。貯留室SP3は、被撮影室SP1と貯留室SP3との間の流路を除いて、気体及び液体に対して密閉される。
【0048】
本例では、貯留室SP3に収容される充填液LQ1の量は、被撮影室SP1が充填液LQ1により充填されるように調整される。
なお、評価装置1は、被撮影室SP1内の充填液LQ1の温度を所定の目標温度に一致させるように構成されていてもよい。
【0049】
圧力調整部16は、貯留室SP3内の空気ARの圧力を調整可能である。本例では、圧力調整部16は、空気ポンプを備える。圧力調整部16は、空気を貯留室SP3に供給することにより、貯留室SP3内の空気の圧力を所定の目標圧力に一致させる。
【0050】
流量調整弁17は、シート状体123の変形に伴う、被撮影室SP1と貯留室SP3との間の充填液LQ1の移動を制御する。本例では、流量調整弁17は、被撮影室SP1と貯留室SP3との間の流路にて、充填液LQ1の流量を調整可能である。本例では、流量の調整は、流路の断面積(換言すると、流量調整弁17の開度)を変更することにより行われる。本例では、流量調整弁17は、流動制御部に対応する。
【0051】
このような構成により、貯留室SP3に収容される充填液LQ1の容積(換言すると、貯留室SP3に収容される空気ARの容積)、貯留室SP3内の空気の圧力、及び、流量調整弁17の開度が調整されることにより、シート状体123が生体の器官、又は、生体の器官の表層部を高い精度にて模擬するように、シート状体123の変形に伴う、被撮影室SP1と貯留室SP3との間の充填液の移動が制御される。
なお、図1乃至図8、並びに、後述の図12及び図13において、充填液は、図示が省略されている。
【0052】
本例では、撮影部収容室部112は、撮影部13と区画板11aとの間の光路を光路用媒体が満たすように、光路用媒体を収容する。換言すると、撮影部収容室SP2には、撮影部13が光路用媒体に埋没するように光路用媒体が収容される。
なお、図1乃至図8、並びに、後述の図12及び図13において、光路用媒体は、図示が省略されている。
また、撮影部13の一部は、光路用媒体よりも鉛直上方に位置することにより露出していてもよい。
【0053】
充填液と光路用媒体との間の屈折率の差の大きさは、充填液と空気との間の屈折率の差の大きさよりも小さい。例えば、光路用媒体は、水、緩衝液、生理食塩水、又は、人工体液である。本例では、光路用媒体は、充填液と同じ液体である。なお、光路用媒体は、充填液と異なる液体であってもよい。
なお、撮影部収容室部112は、光路用媒体を収容しなくてもよい。この場合、例えば、撮影部13と区画板11aとの間の光路は、空気により満たされていてよい。
【0054】
更に、図10に表されるように、評価装置1は、処理部14を備える。本例では、処理部14は、処理装置、及び、記憶装置を備えるコンピュータ(換言すると、情報処理装置)により構成される。処理部14は、記憶装置に記憶されているプログラムを処理装置が実行することにより、下記の機能を実現する。
【0055】
処理部14は、撮影部13によって撮影された画像を表す画像情報が入力される。
処理部14は、入力された画像情報が表す、シート状体123の内側面の模様の変化に基づいて、シート状体123の変形を表す変形情報を取得する。本例では、処理部14は、一対のカメラにより撮影された2つの画像において、互いに対応する領域の位置に基づいて視差を推定することにより変形情報を取得する。例えば、変形情報を取得する方法は、ステレオマッチングと呼ばれる方法であってよい。
【0056】
処理部14は、取得された変形情報を出力する(例えば、ディスプレイに表示する)。
なお、処理部14は、ステレオマッチングに代えて、単眼デプス(換言すると、深度)推定と呼ばれる方法を用いてもよい。この場合、処理部14は、機械学習、又は、Deep Learning等のAI(Artificial Intelligence)技術を用いてよい。
【0057】
(動作)
次に、評価装置1の動作について説明する。
先ず、評価装置1は、流量調整弁17の開度が調整される。次いで、評価装置1は、充填液LQ1を貯留室SP3に供給することにより、被撮影室SP1が充填液により充填される。次いで、評価装置1は、圧力調整部16が空気を貯留室SP3に供給することにより、貯留室SP3内の空気の圧力を所定の目標圧力に一致させる。
【0058】
次いで、評価装置1は、撮影部13によるシート状体123の内側面の撮影を開始する。
次いで、押圧装置2をy軸の正方向へ移動させることにより、押圧装置2の先端部がシート状体123を押圧する。これにより、シート状体123は、中央部がy軸の正方向へ突出するように変形するとともに、シート状体123を介した物質の移動が行われる。
【0059】
処理部14は、撮影部13によって撮影された画像を表す画像情報が入力され、入力された画像情報が表す、シート状体123の内側面の模様の変化に基づいて、シート状体123の変形を表す変形情報を取得する。次いで、処理部14は、取得された変形情報を出力する。
このようにして、第1実施形態の評価装置1によれば、シート状体123の変形が評価される。
【0060】
以上、説明したように、第1実施形態の評価装置1は、液体(本例では、充填液LQ1)が収容されるとともに開口を有する容器部(本例では、被撮影室部111)と、開口を塞ぐようにシート状体123を張架する張架部(本例では、第1支持体121、及び、第2支持体122)と、を備える。
【0061】
評価装置1は、容器部との間で移動可能である液体を収容する貯留室SP3を有するとともに、シート状体123の変形に伴う、容器部と貯留室SP3との間の液体の移動を制御する流動制御部(本例では、流量調整弁17)を備える。
【0062】
これによれば、シート状体123が外部から押圧された場合(例えば、針の穿刺時等)、シート状体123が変形する。これにより、容器部と貯留室SP3との間で液体が移動する。従って、容器部内の液体の圧力の変動を適切に抑制できる。更に、容器部と貯留室SP3との間の液体の移動が制御される。従って、液体の移動を適切に制御することにより、シート状体123が生体の器官又は器官の表層部を高い精度にて模擬することができる。
【0063】
更に、第1実施形態の評価装置1において、流動制御部は、容器部と貯留室SP3との間の流路にて液体の流量を調整可能である。
【0064】
これによれば、容器部と貯留室SP3との間の流路における液体の流量が調整される。従って、シート状体123の変形に伴って生じる、容器部と貯留室SP3との間の液体の移動を容易に制御することができる。この結果、シート状体123が生体の器官又は器官の表層部を高い精度にて模擬することができる。
【0065】
ところで、シート状体123の変形は、シート状体123を介した物質の移動に比較的大きな影響を及ぼす。しかしながら、例えば、特許文献1に記載の評価装置においては、シート状体の変形を高い精度にて評価することができない、という課題があった。
【0066】
これに対し、第1実施形態の評価装置1において、液体(本例では、充填液LQ1)は、透明である。容器部の少なくとも一部は、透明である。評価装置1は、容器部の外部から、容器部のうちの透明である部分を介して、シート状体123の、容器部の内部側の面である内側面を撮影する撮影部13を備える。
【0067】
これによれば、シート状体123の内側面が撮影される。これにより、シート状体123の変形を評価することができる。従って、例えば、マイクロニードル等の針によりシート状体が穿刺された場合において、シート状体123を介した物質の移動とともにシート状体123の変形を評価することができる。
【0068】
更に、第1実施形態の評価装置1において、シート状体123は、弾性体である。シート状体123の内側面は、模様を有する。評価装置1は、撮影された模様の変化に基づいてシート状体123の変形を表す情報を取得する処理部14を備える。
【0069】
これによれば、模様の変化に基づいてシート状体123の変形を高い精度にて評価することができる。
【0070】
更に、第1実施形態の評価装置1において、シート状体123の模様は、スペックルパターン状である。撮影部13は、ステレオカメラを備える。
【0071】
これによれば、模様の変化に基づいてシート状体123の変形をより一層高い精度にて評価することができる。
【0072】
更に、第1実施形態の評価装置1は、撮影部13と容器部(本例では、被撮影室部111)との間の光路を媒体(本例では、光路用媒体)が満たすように、媒体と撮影部13の少なくとも一部とを収容する媒体収容部(本例では、撮影部収容室部112)を備える。液体(本例では、充填液)と媒体との間の屈折率の差の大きさは、液体と空気との間の屈折率の差の大きさよりも小さい。
【0073】
これによれば、撮影部13と容器部との間の光路に空気が介在する場合と比較して、当該光路における光の屈折を抑制できる。従って、シート状体123の変形を高い精度にて評価することができる。
【0074】
ところで、例えば、マイクロニードルによる穿刺は、比較的大きな衝撃を伴う。このため、穿刺に伴う衝撃によって容器部が変形する虞がある。これに対し、評価装置1によれば、媒体によって衝撃が緩和されるので、容器部の変形を抑制することができる。
【0075】
更に、第1実施形態の評価装置1において、評価装置1の外部からシート状体123にマイクロニードルが穿刺されることにより、シート状体123を介して物質が移動する。
【0076】
ところで、マイクロニードルによる穿刺は、非常に高い速度にて行われることがある。この場合、レーザー等を用いてシート状体123の変形を測定すると、時間分解能が十分に高くないために、シート状体123の変形の時間に対する変化を十分に高い精度にて評価できない虞がある。
【0077】
これに対し、評価装置1によれば、レーザー等を用いる場合よりも時間分解能を高めることができる。従って、例えば、シート状体123を介した物質の移動とともにシート状体123の変形の時間に対する変化を十分に高い精度にて評価することができる。
【0078】
なお、評価装置1は、押圧装置2から被撮影室SP1への物質の移動が行われた場合、被撮影室SP1に充填されている充填液に含まれる物質を検出するように構成されていてもよい。
また、第1実施形態の評価装置1は、撮影部13を備えなくてもよい。
【0079】
また、第1実施形態の評価装置1によれば、例えば、下記の効果も奏され得る。
評価装置1においては、マイクロニードルによる穿刺が行われた場合、穿刺時の力学的負荷に対して、シート状体123が、力学的な整合性を有する状態で変形するため、生体の器官、又は、生体の器官の表層部を高い精度にて再現できる。
【0080】
例えば、前額部は、皮下組織の直下に前頭骨が存在する。従って、前額部の皮下組織は、比較的硬い骨格によって支持される。また、例えば、腹部は、皮下組織の直下に筋組織及び消化管等の臓器が存在する。例えば、皮下の筋組織の緊張は、皮膚の外部からの穿刺に対して機械的コンプライアンスの低下をもたらすことがある。また、例えば、皮膚が浮腫を有する場合、細胞組織の状態が変化するので、皮膚の物性が変化する。
【0081】
第1実施形態の評価装置1によれば、シート状体123の材料及び厚さと、被撮影室SP1内の充填液の圧力と、を調整することにより、種々の、生体の器官、又は、生体の器官の表層部の物性を高い精度にてシート状体123に反映することができる。
【0082】
また、第1実施形態の評価装置1によれば、生体の器官の内部を模擬する被撮影室SP1から、シート状体123の内側面の変形を評価できる。従って、押圧装置2の種類に依存することなく、押圧装置2による物質の移動に伴う、生体の器官、又は、生体の器官の表層部に対応するシート状体123の変形を評価できる。また、第1実施形態の評価装置1によれば、十分に高い時間分解能にて撮影できるので、比較的高い速度の変形も十分に高い精度にて評価できる。
【0083】
また、第1実施形態の第1変形例の評価装置1において、圧力調整部16が、貯留室SP3内の空気の圧力を時間の経過に伴って変動させることにより、被撮影室SP1内の充填液の圧力を時間の経過に伴って変動させるように構成されていてもよい。本例では、圧力調整部16は、圧力変動部に対応する。圧力調整部16は、充填液の圧力の変動が、器官の蠕動、脈動、又は、拍動を模擬するように構成されることが好適である。
【0084】
このように、第1実施形態の第1変形例の評価装置1は、液体(本例では、充填液)の圧力を変動させる圧力変動部(本例では、圧力調整部16)を備える。
【0085】
これによれば、器官の蠕動、脈動、又は、拍動が模擬される。従って、物質の移動、及び、シート状体123の変形に、器官の蠕動、脈動、又は、拍動を高い精度にて反映できる。
【0086】
また、第1実施形態の第1変形例の評価装置1によれば、例えば、下記の効果も奏され得る。
ところで、生体の器官、又は、生体の器官の表層部の物性は、時間の経過に伴って変化する。これに対し、第1実施形態の第1変形例の評価装置1によれば、生体の器官、又は、生体の器官の表層部に対応するシート状体123の物性を時間の経過に伴って変化させることができる。従って、種々の、生体の器官、又は、生体の器官の表層部の物性を高い精度にてシート状体123に反映することができる。
【0087】
また、図11に表されるように、第1実施形態の第2変形例の評価装置1は、第1実施形態の評価装置1が備える、貯留部15、及び、圧力調整部16に代えて、貯留部15Aと、第1圧力調整部16A1と、第2圧力調整部16A2と、を備える。
【0088】
貯留部15Aは、充填液LQ1と空気ARとを収容する貯留室SP3と、調整液LQ2と空気ARとを収容する隔室SP4と、を有する。例えば、調整液LQ2は、水、緩衝液、生理食塩水、又は、人工体液である。
【0089】
貯留部15Aは、被撮影室SP1と貯留室SP3との間で充填液LQ1が移動可能であるように、流量調整弁17を介して、被撮影室部111の供給口部1112に接続される。貯留室SP3は、被撮影室SP1と貯留室SP3との間の流路を除いて、気体及び液体に対して密閉される。
【0090】
本例では、貯留室SP3に収容される充填液LQ1の量は、被撮影室SP1が充填液LQ1により充填されるように調整される。
なお、評価装置1は、被撮影室SP1内の充填液LQ1の温度を所定の目標温度に一致させるように構成されていてもよい。
【0091】
隔室SP4は、貯留室SP3を形成する壁の一部である隔壁15A1によって形成される。本例では、隔壁15A1は、隔室SP4が貯留室SP3によって取り囲まれるように構成される。隔室SP4は、気体及び液体に対して密閉される。換言すると、隔室SP4は、貯留室SP3から隔てられる。
【0092】
隔壁15A1は、変形可能な材料からなる。本例では、隔壁15A1は、弾性変形可能な材料からなる。例えば、隔壁15A1は、ウレタン樹脂等の樹脂、天然ゴム、又は、合成ゴムからなる。
【0093】
第1圧力調整部16A1は、貯留室SP3内の空気ARの圧力を調整可能である。本例では、第1圧力調整部16A1は、空気ポンプを備える。第1圧力調整部16A1は、空気を貯留室SP3に供給することにより、貯留室SP3内の空気の圧力を所定の目標圧力に一致させる。
【0094】
第2圧力調整部16A2は、隔室SP4内の空気ARの圧力を調整可能である。本例では、第2圧力調整部16A2は、空気ポンプを備える。第2圧力調整部16A2は、空気を隔室SP4に供給することにより、隔室SP4内の空気の圧力を所定の目標圧力に一致させる。
本例では、貯留部15A、第2圧力調整部16A2、及び、流量調整弁17は、流動制御部に対応する。なお、評価装置1は、流量調整弁17を備えなくてもよい。
【0095】
このような構成により、貯留室SP3に収容される充填液LQ1の容積(換言すると、貯留室SP3に収容される空気ARの容積)、貯留室SP3内の空気の圧力、隔室SP4に収容される調整液LQ2の容積(換言すると、隔室SP4に収容される空気ARの容積)、隔室SP4内の空気の圧力、及び、流量調整弁17の開度が調整されることにより、シート状体123が生体の器官、又は、生体の器官の表層部を高い精度にて模擬するように、シート状体123の変形に伴う、被撮影室SP1と貯留室SP3との間の充填液の移動が制御される。
【0096】
このように、第1実施形態の第2変形例の評価装置1において、流動制御部は、貯留室SP3を形成する壁の少なくとも一部である隔壁15A1によって形成され、且つ、空気と液体(本例では、調整液LQ2)とを収容し、且つ、貯留室SP3から隔てられる隔室SP4を有し、隔壁15A1が変形可能であるとともに、隔室SP4内の空気の圧力が調整可能である。
【0097】
これによれば、隔室SP4における空気の量及び液体の量と、隔室SP4内の空気の圧力と、に応じて、隔壁15A1の変形が調整される。従って、シート状体123の変形に伴って生じる、容器部と貯留室SP3との間の液体の移動を容易に制御することができる。この結果、シート状体123が生体の器官又は器官の表層部を高い精度にて模擬することができる。
【0098】
<第2実施形態>
次に、第2実施形態の評価装置について説明する。第2実施形態の評価装置は、第1実施形態の評価装置に対して、シート状体が試験片を備える点において相違している。以下、相違点を中心として説明する。なお、第2実施形態の説明において、第1実施形態にて使用した符号と同じ符号を付したものは、同一又は略同様のものである。
【0099】
図12に表されるように、第2実施形態の評価装置1において、シート状体123は、基本体1231と、試験片1232と、を備える。
基本体1231は、第1実施形態のシート状体123と同様の構成を有する。
試験片1232は、押圧装置2からシート状体123を介して移動する物質を検出する。これによれば、例えば、押圧装置2から供給された物質が拡散する程度を測定できる。また、例えば、押圧装置2から供給された物質の量を測定できる。例えば、試験片1232は、生体の皮膚、又は、人工皮膚であってよい。また、例えば、試験片1232は、押圧装置2から供給された物質に接触した場合、又は、押圧装置2から供給された物質を吸収した場合に、色が変化してよい。これによれば、例えば、マイクロニードル等の針の先端が到達する位置を容易に測定できる。また、例えば、押圧装置2から供給された物質が吸収された量を測定できる。
【0100】
試験片1232は、基本体1231のうちの、評価装置1の外部側の面(本例では、y軸の負方向側の面)である外側面に貼付される。なお、試験片1232は、基本体1231に縫い付けられていてもよい。また、試験片1232は、基本体1231に接着されていてもよい。
シート状体123は、基本体1231の外周部が、第1支持体121と第2支持体122とに挟持されることにより、張架される。
【0101】
第2実施形態の評価装置1によれば、第1実施形態の評価装置1と同様の作用及び効果が奏される。
更に、第2実施形態の評価装置1において、シート状体123は、シート状体123を介して移動する物質を検出する試験片1232を備える。
【0102】
これによれば、シート状体123の変形の評価とともに、シート状体123の内部への物質の移動を検出することができる。
なお、第2実施形態の評価装置1は、撮影部13を備えなくてもよい。
【0103】
また、第2実施形態の評価装置1によれば、例えば、下記の効果も奏され得る。
第2実施形態の評価装置1において、生体の器官、又は、生体の器官の表層部に対応するシート状体123は、物質を検出する試験片1232を備える。従って、例えば、マイクロニードル等の針を備える押圧装置2によってシート状体123が穿刺された場合、シート状体123の変形とともに、医薬品等の物質がシート状体123に導入される深度及び領域等を評価できる。
【0104】
なお、第2実施形態の評価装置1において、試験片1232は、試験片1232のうちの、少なくとも一方の表面に、細胞保存液、又は、組織保存液を保持する膜状体を有していてもよい。
また、試験片1232は、基本体1231を備えなくてもよい。この場合、シート状体123は、試験片1232の外周部が、第1支持体121と第2支持体122とに挟持されることにより、張架される。更に、この場合、試験片1232は、試験片1232のうちの、少なくとも一方の表面に、細胞保存液、又は、組織保存液を保持する膜状体を有していてもよい。
【0105】
<第3実施形態>
次に、第3実施形態の評価装置について説明する。第3実施形態の評価装置は、第1実施形態の評価装置に対して、シート状体に加えられる張力を調整可能である点において相違している。以下、相違点を中心として説明する。なお、第3実施形態の説明において、第1実施形態にて使用した符号と同じ符号を付したものは、同一又は略同様のものである。
【0106】
図13に表されるように、第3実施形態の評価装置1において、開口被覆部12は、第1実施形態の開口被覆部12と同様に、第1支持体121と、第2支持体122と、シート状体123と、を備えるとともに、更に、張力調整体124を備える。本例では、第1支持体121、第2支持体122、及び、張力調整体124は、張架部に対応する。
【0107】
張力調整体124は、円環状である。張力調整体124の中心軸は、第1支持体121の中心軸と一致する。張力調整体124の外径は、第2支持体122の内径よりも小さい。張力調整体124の内径は、第1穴部121aの直径と略一致する。
【0108】
本例では、張力調整体124は、第2穴部121bにより形成される穴にて、第1支持体121とシート状体123とに挟持されることにより固定される。なお、張力調整体124は、取り外し可能に第1支持体121に固定されていてもよい。
【0109】
本例では、張力調整体124のy軸方向における長さ(換言すると、張力調整体124の厚さ)は、シート状体123に加えられる張力の目標値に応じて設定される。
【0110】
第3実施形態の評価装置1によれば、第1実施形態の評価装置1と同様の作用及び効果が奏される。
更に、第3実施形態の評価装置1において、張架部(本例では、第1支持体121、第2支持体122、及び、張力調整体124)は、シート状体123に加えられる張力を調整可能である。
【0111】
これによれば、シート状体123によって、生体の器官、又は、生体の器官の表層部の状態が高い精度にて模擬される。従って、物質の移動、及び、シート状体123の変形に、器官の表層部の状態を高い精度にて反映できる。
【0112】
なお、本発明は、上述した実施形態に限定されない。例えば、上述した実施形態に、本発明の趣旨を逸脱しない範囲内において当業者が理解し得る様々な変更が加えられてよい。
【符号の説明】
【0113】
1 評価装置
11 本体
11a 区画板
12 開口被覆部
13 撮影部
14 処理部
15,15A 貯留部
15A1 隔壁
16 圧力調整部
16A1 第1圧力調整部
16A2 第2圧力調整部
17 流量調整弁
111 被撮影室部
1111 開口部
1112 供給口部
112 撮影部収容室部
121 第1支持体
121a 第1穴部
121b 第2穴部
122 第2支持体
123 シート状体
1231 基本体
1232 試験片
124 張力調整体
2 押圧装置
LQ1 充填液
LQ2 調整液
SP1 被撮影室
SP2 撮影部収容室
SP3 貯留室
SP4 隔室

図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13