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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024146384
(43)【公開日】2024-10-15
(54)【発明の名称】包装装置
(51)【国際特許分類】
   B65B 9/02 20060101AFI20241004BHJP
【FI】
B65B9/02
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023059247
(22)【出願日】2023-03-31
(71)【出願人】
【識別番号】000109727
【氏名又は名称】株式会社デュプロ
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 行真
(72)【発明者】
【氏名】田代 裕之
【テーマコード(参考)】
3E050
【Fターム(参考)】
3E050AA02
3E050AB02
3E050AB05
3E050AB08
3E050BA04
3E050BA20
3E050CA01
3E050CB03
3E050DD03
3E050DE01
3E050DF01
3E050FA01
3E050FB07
3E050GB07
(57)【要約】
【課題】包装成果物における包装材の幅方向の両端側の接合部が幅方向内側に引っ張られることが防止でき、包装成果物の外観品質が低下することを防止できる包装装置を提供する。
【解決手段】包装装置1は、搬送手段(34、35)と、搬送方向前後接合手段5と、サイド押さえ部材43と、サイド接合手段41と、装置の各部の動作を制御する制御手段100と、を備え、制御手段100は、待機状態では、搬送方向の前側のみを接合した二枚の包装材(F1、F2)が予め設定された物品受入位置で停止し、サイド押さえ部材43とサイド押さえ対向部材とが、被包装物が通過できない程度の近接位置となるように各部を制御し、スタートボタン11が押下されると、二枚の包装材(F1、F2)にたいしてサイド接合手段41が幅方向の両端側を接合し、搬送方向前後接合手段5が搬送方向の後側を接合するように各部を制御する。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
帯状の二枚の包装材を重ねて搬送し、受入口から前記二枚の包装材の間に受け入れた被包装物に対して、搬送方向の前側及び後側と、幅方向の両端側と、で前記二枚の包装材同士を接合して前記被包装物を包装する包装装置において、
前記二枚の包装材を重ねて搬送する搬送手段と、
前記二枚の包装材における搬送方向の前側と後側とを接合する搬送方向前後接合手段と、
前記二枚の包装材の幅方向の端部を挟んでサイド押さえ対向部材と対向するサイド押さえ部材と、
前記二枚の包装材における幅方向の両端側を接合するサイド接合手段と、
装置の各部の動作を制御する制御手段と、を備え、
前記制御手段は、前記被包装物を受け入れるときには、搬送方向の前側のみを接合した前記二枚の包装材が予め設定された物品受入位置で停止し、
前記サイド押さえ部材と前記サイド押さえ対向部材とが、前記被包装物が通過できない程度の近接位置、または、前記二枚の包装材を挟んで接触する接触位置となるように各部を制御し、
前記被包装物を受け入れたときに入力される所定の包装開始信号が入力されると、前記サイド接合手段が前記二枚の包装材における前記幅方向の両端側を接合し、前記搬送方向前後接合手段が前記二枚の包装材における前記搬送方向の後側を接合するように各部を制御することを特徴とする包装装置。
【請求項2】
請求項1の包装装置において、
前記制御部は、前記被包装物を受け入れるときには、前記サイド押さえ部材と前記サイド押さえ対向部材とが前記近接位置に位置するように制御し、
前記包装開始信号を入力されると、前記サイド押さえ部材と前記サイド押さえ対向部材とが前記二枚の包装材を挟んで接触し、その後、前記サイド接合手段が前記二枚の包装材における前記幅方向の両端側を接合する制御を行うことを特徴とする包装装置。
【請求項3】
請求項2の包装装置において、
前記制御部は、前記サイド接合手段が前記二枚の包装材における前記幅方向の両端側を接合した後、前記サイド押さえ部材と前記サイド押さえ対向部材とが前記近接位置よりも十分に離れた離間位置に位置するように制御し、その後、前記搬送方向前後接合手段が前記二枚の包装材における前記搬送方向の後側を接合するように制御することを特徴とする包装装置。
【請求項4】
請求項1乃至3の何れか一項に記載の包装装置において、
前記搬送方向前後接合手段は、接合位置と退避位置との間で移動可能で前記接合位置では前記包装材に接触して前記二枚の包装材同士を接合する接合部材と、前記接合位置にある前記接合部材と前記二枚の包装材を挟んで接触する受部材と、を有し、
前記サイド接合手段は、サイド接合位置とサイド離間位置との間で移動可能であって、前記サイド接合位置では前記包装材に接触して前記二枚の包装材同士を接合するサイド接合部材と、前記サイド接合位置にある前記サイド接合部材と前記二枚の包装材を挟んで接触するサイド受部材と、を有し、
前記受部材は前記サイド受部材の前記搬送方向の上流側端部近傍に位置し、
前記接合部材の前記退避位置は前記接合位置よりも前記搬送方向の上流側であり、前記接合部材が前記退避位置から前記接合位置に移動するときには、前記搬送方向の上流側から下流側に向けて移動することを特徴とする包装装置。
【請求項5】
請求項4の包装装置において、
前記接合部材は、前記接合位置に対して前記搬送方向の上流側に位置する回動軸を中心に回動することで、前記退避位置と前記接合位置との間を移動することを特徴とする包装装置。
【請求項6】
帯状の二枚の包装材を重ねて搬送し、受入口から前記二枚の包装材の間に受け入れた被包装物に対して、搬送方向の前側及び後側と、幅方向の両端側と、で前記二枚の包装材同士を接合して前記被包装物を包装する包装装置において、
前記二枚の包装材を重ねて搬送する搬送手段と、
前記二枚の包装材における搬送方向の前側と後側とを接合する搬送方向前後接合手段と、
前記二枚の包装材の幅方向の端部を挟んでサイド押さえ対向部材と対向するサイド押さえ部材と、
前記二枚の包装材における幅方向の両端側を接合するサイド接合手段と、を備え、
前記サイド押さえ部材は、前記サイド押さえ対向部材との間で、前記被包装物が通過できない程度の近接位置と、前記近接位置に対して前記サイド押さえ対向部材との間で十分に離間した離間位置との間で変位可能であることを特徴とする包装装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、包装装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、帯状の二枚の包装材を重ねて搬送し、受入口から二枚の包装材の間に受け入れた被包装物に対して搬送方向の前側及び後側と、幅方向の両端側と、で二枚の包装材同士を接合して被包装物を包装する包装装置が知られている。
特許文献1には、重ねた二枚の包装フィルムの搬送方向の先端と幅方向の両端と接合し、先端が閉じられた筒状包装材を形成し、被包装物を供給した後、搬送方向の後方を接着して包装を行う包装装置が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特公昭49-9064号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載の包装装置のように、先端が閉じられた筒状包装材を形成して、被包装物を供給すると、被包装物が厚い場合に、包装材が幅方向内側に引っ張られて、包装成果物の包装材に皺が発生じたり、包装成果物の搬送方向における被包装物が位置する部分が幅方向に狭まったりして、包装成果物の外観品質が低下することがあった。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上述した課題を解決するために、本発明の一つの態様は、帯状の二枚の包装材を重ねて搬送し、受入口から前記二枚の包装材の間に受け入れた被包装物に対して、搬送方向の前側及び後側と、幅方向の両端側と、で前記二枚の包装材同士を接合して前記被包装物を包装する包装装置において、前記二枚の包装材を重ねて搬送する搬送手段と、前記二枚の包装材における搬送方向の前側と後側とを接合する搬送方向前後接合手段と、前記二枚の包装材の幅方向の端部を挟んでサイド押さえ対向部材と対向するサイド押さえ部材と、前記二枚の包装材における幅方向の両端側を接合するサイド接合手段と、装置の各部の動作を制御する制御手段と、を備え、前記制御手段は、前記被包装物を受け入れるときには、搬送方向の前側のみを接合した前記二枚の包装材が予め設定された物品受入位置で停止し、前記サイド押さえ部材と前記サイド押さえ対向部材とが、前記被包装物が通過できない程度の近接位置、または、前記二枚の包装材を挟んで接触する接触位置となるように各部を制御し、前記被包装物を受け入れたときに入力される所定の包装開始信号が入力されると、前記サイド接合手段が前記二枚の包装材における前記幅方向の両端側を接合し、前記搬送方向前後接合手段が前記二枚の包装材における前記搬送方向の後側を接合するように各部を制御することを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0006】
本発明によれば、包装成果物における包装材の幅方向の両端側の接合部が幅方向内側に引っ張られることが防止でき、包装成果物の外観品質が低下することを防止できる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】包装機の外観斜視図。
図2】待機状態の包装機の概略を示す側方断面図。
図3】正面外装カバーの内側の説明図。
図4】包装機の制御ブロック図。
図5】サイドヒータユニットとサイドヒータ受台との斜視説明図。
図6】サイドヒータユニットの一方側のサイドヒータ保持部材とサイド押さえ保持部材との動作説明図。
図7】包装機で作成する包装成果物の一例の説明図。
図8】入口閉鎖を実行したときの包装機を示す断面図。
図9】サイド溶着でサイドヒータがサイド溶着位置に移動した状態の包装機を示す断面図。
図10】サイド溶着でサイドヒータがサイド溶着位置から離間位置に移動したときの包装機を示す断面図。
図11】カットヒータがカット溶着位置に移動した状態の包装機を示す断面図。
図12】フィルムを所定量だけ繰り出した状態の包装機を示す断面図。
図13】離間位置にあったサイド押さえが待機状態と同様の近接位置まで移動した状態の包装機を示す断面図。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、各図面に示される同一または同等の構成要素、部材、処理には、同一の符号を付するものとし、適宜重複した説明は省略する。また、各図面における部材の寸法は、理解を容易にするために適宜拡大、縮小して示される。また、各図面において実施の形態を説明する上で重要ではない部材の一部は省略して表示する。
【0009】
以下、本発明に係る包装装置の一実施形態について説明する。
【0010】
図1は、本実施形態に係る包装機1の外観斜視図であり、図2は、図1に示す包装機1の概略を示す側方断面図である。
【0011】
包装機1は、被包装物である物品を二つのフィルムロールR(正面側フィルムロールR1、背面側フィルムロールR2)から供給される二枚のフィルムF(正面側フィルムF1、背面側フィルムF2)で挟んで、搬送方向の前後及び幅方向(搬送方向に直交し、図中のY軸方向に平行な方向)の左右で二枚のフィルムF同士を溶着することで包装成果物を作成するものである。
【0012】
包装機1は、投入口2から投入可能な様々な物品を包装するものであり、投入口2から投入可能であれば、厚みのある雑誌や複数個のネジなどを包装材であるフィルムFで包装することができる。投入口2は、投入口左壁2a、投入口右壁2b、投入口正面壁2c及び投入口背面壁2dによって形成された開口部である。
【0013】
包装機1は、各部材を支持する支持筐体として、筐体左側板50aと筐体右側板50bとを備える。筐体左側板50aと筐体右側板50bとの幅方向の内側には、上下方向に対して少し傾斜した搬送路形成板金部材53と、正面側ロール支持部材54Aと、背面側ロール支持部材54Bとを備える。筐体左側板50aと筐体右側板50bとの幅方向の外側には、筐体左側板50aの左外側に左外装カバー51aを備え、筐体右側板50bの右外側に右外装カバー51bを備える。筐体左側板50aと筐体右側板50bとの幅方向内側には、投入口2から投入された物品をフィルムFで挟んで包装処理を行い、排出口9から排出する搬送経路を形成する各部材が配置されている。また、筐体左側板50aと筐体右側板50bとの外側で、左外装カバー51aや右外装カバー51bで覆われた空間には不図示の駆動源や、この駆動源からの駆動力を各部材に伝達する駆動伝達機構が配置されている。
【0014】
包装機1の上面に幅方向左側である筐体左側板50aの上面には、操作パネル10とスタートボタン11とが設けられている。操作パネル10は包装機1を操作するためのユーザーの各種入力を受付ける入力部として機能し、かつ包装機1内の各種情報を表示する表示部として機能する。操作パネル10は後述する三つのヒータ部材(5、41a、41b)のそれぞれの温度を設定することができる。また、包装モードとして全シールモードと半シールモードとの切替設定が可能となっている。全シールモードは、包装成果物における両サイドの溶着部の上流側端部と搬送方向後側(上側)の溶着部とが重なる、または、近接するように溶着を行うモードである。半シールモードは、包装成果物における両サイドの溶着部の上流側端部と搬送方向後側(上側)の溶着部とが離れるように溶着を行うモードである。さらに、操作パネル10では、作成する包装成果物の搬送方向の長さを設定できる。二つのサイドヒータ41(41a、41b)同士の幅方向の距離が変更可能であれば、この幅方向の距離を操作パネル10で設定できるようにしてもよい。また、図2に示す状態(待機状態)で、近接位置にあるサイド押さえ43と搬送ガイド板20との隙間の距離も操作パネル10で設定可能となっている。
【0015】
包装機1の左外装カバー51aの正面には、包装機1に電源を投入する電源スイッチ46が設けられている。また、包装機1の正面側は、正面外装カバー52で覆われている。
【0016】
図3は、包装機1における正面外装カバー52によって覆われる部分を正面側から見た説明図である。図3は、正面側の水平方向よりも少し上方から見た図面であり、図2に示す搬送路形成板金部材53の正面側の面(少し上方を向いた傾斜面)の法線方向から見た図面である。
【0017】
図2及び図3に示すように、包装機1は、繰り出しローラ対(35、34)と、カットヒータ5と、サイド押さえ43(43a、43b)と、サイドヒータ41(41a、41b)と、制御部100とを備える。
【0018】
図4は、包装機1の制御ブロック図である。制御部100は、各種演算処理を実行するCPU、各種制御プログラムを格納するROM、データ格納やプログラム実行のためのワークエリアとして利用されるRAMを有する。制御部100には、各種センサの検知結果や操作パネル10での操作内容が入力される。また、制御部100は、各種モータの駆動制御や操作パネル10での表示内容の制御を行う。
【0019】
繰り出しローラ対は、正面側フィルムF1と背面側フィルムF2とを重ねて搬送する搬送手段であり、固定繰り出しローラ35と、可動繰り出しローラ34とから構成される。固定繰り出しローラ35は、装置本体に対する位置が固定であり、搬送ローラ駆動モータM3から駆動が伝達されることで回転駆動する。可動繰り出しローラ34は、ローラガイド長孔34hに沿って移動可能であり、搬送ローラ接離モータM4を駆動することで可動ローラ支持体がローラ接離回動軸341を中心に回動し、可動ローラ支持体に回転可能に支持された可動繰り出しローラ34が、固定繰り出しローラ35に接触して投入口2から内部に繋がる搬送路を閉鎖する閉鎖位置と、固定繰り出しローラ35から離間して搬送路を開放する開放位置と、の間で移動する。
【0020】
可動繰り出しローラ34の上方には正面側フィルム開口補助ガイド32が配置されている。正面側フィルム開口補助ガイド32は可動繰り出しローラ34と共通の可動ローラ支持体に回転可能に支持され、可動ローラ支持体が回動して、可動繰り出しローラ34がローラガイド長孔34hに沿って移動すると、正面側フィルム開口補助ガイド32がガイド軸ガイド長孔32hに沿って移動する。
【0021】
カットヒータ5は、幅方向に延在し、二枚のフィルムFにおける搬送方向の前側と後側とを溶着して接合する搬送方向前後接合手段である。カットヒータ接離モータM1を駆動することで、カットヒータ5を支持するカットヒータ支持部材5bがカットヒータ回動軸5aを中心に回動し、カットヒータ5がカットヒータ受台44に接触するカット溶着位置と、カットヒータ受台44から離間したカット退避位置との間をカットヒータガイド長孔5hに沿って移動する。カットヒータ5は、熱伝導率が良好で軽量のアルミニウムあるいはアルミニウム合金で形成され、カットヒータ受台44側の端部形状が鋭角に形成されている。カットヒータ5には不図示のラバーヒータが焼き付け固着されており、このラバーヒータに通電することによりカットヒータ5を加熱することができる。また、カットヒータ5の温度を計測するためのサーミスタが取り付けられている。
【0022】
カットヒータ支持部材5bは、スライド可能なカット押さえ部材501を有し、カットヒータ支持部材5bが回動したときのカット押さえ部材501の円弧状の軌跡の接線方向にスライド可能となっている。カット押さえ部材501は、カット押さえ付勢バネ502によってカットヒータ受台44の方向に付勢されている。カットヒータ支持部材5bが回動して、カット退避位置からカット溶着位置に向けてカットヒータ5が移動するときには、まず、カット押さえ部材501がフィルムFを挟んでカットヒータ受台44に当接する。そして、カットヒータ支持部材5bがさらに回動すると、カット押さえ付勢バネ502が縮んで、カットヒータ5がフィルムFを挟んでカットヒータ受台44に当接する。
【0023】
サイド押さえ43は、搬送方向に延在するように搬送路における幅方向の両端部に一個ずつ、計二個配置されている。サイド押さえ43は、カットヒータ5による溶着・切断位置を通過した二枚のフィルムFの幅方向の端部を挟んでサイド押さえ対向部材である搬送ガイド板20と対向するサイド押さえ部材である。
【0024】
サイドヒータ41は、搬送方向に延在するように搬送路における幅方向の両端部に一個ずつ、計二個配置されている。そして、サイド接合対向部材であるサイドヒータ受台42と二枚のフィルムFを介して接触し、二枚のフィルムFにおける幅方向の両端側を溶着して接合するサイド接合手段である。サイドヒータ41もカットヒータ5と同様に、ラバーヒータが焼き付け固定された軽量のアルミニウムあるいはアルミニウム合金で形成され、サイドヒータ受台42側の端部は矩形の平面となっている。また、温度を計測するためのサーミスタも取り付けられている。二つのサイドヒータ41同士の幅方向間隔は、二枚のフィルムF(F1、F2)の幅よりも短くなるように構成されている。
【0025】
図2に示すように、投入口2の正面側には正面側フィルムロールR1が配置され、投入口2の背面側には背面側フィルムロールR2が配置されている。以下、正面側フィルムロールR1について説明するが、背面側フィルムロールR2の構成とその支持構造も正面側フィルムロールR1と同一である。
【0026】
正面側フィルムロールR1は正面側紙管R1aに長尺のフィルム(正面側フィルムF1)を巻回したものである。正面側紙管軸6Aは正面側紙管R1aを内面側から同軸に支持している。正面側フィルムF1は幅方向の長さ(幅)を有し、正面側紙管R1aも正面側フィルムF1と同一の幅を有する。その幅は、投入口2の幅よりも若干長く形成されている。
【0027】
正面側フィルムロールR1の端面に幅方向に隣接して、正面側フィルムロールR1の端面と平行な板状に形成された正面側紙管ガイド7Aが立設されている。正面側紙管ガイド7Aには上端から下方に向かって延びる正面側ガイドスリット71Aが形成され、この正面側ガイドスリット71Aに正面側紙管軸6Aが挿通されている。さらに正面側フィルムロールR1を下方から支持する正面側フィルム支持ローラ8Aが設けられている。
【0028】
正面側紙管ガイド7Aは正面側フィルムロールR1の幅方向の両サイドに同形状のものが立設している。正面側紙管軸6Aの支持輪が正面側紙管R1aの内周面を支持することにより、正面側紙管軸6Aと正面側フィルムロールR1とが同軸となるように支持している。正面側紙管軸6Aは、二枚の正面側紙管ガイド7Aの間隔よりも幅方向に長く形成され、その両端部が正面側ガイドスリット71Aに挿通されている。正面側フィルムF1の消費によって正面側フィルムロールR1の残量が減少してロール径が小さくなると、正面側紙管軸6Aの位置が下降するが、正面側フィルムロールR1の外周面が正面側フィルム支持ローラ8Aに接触した状態を維持する構成となっている。
【0029】
包装機1は、背面側フィルムロールR2においても正面側フィルムロールR1における正面側紙管軸6A、正面側紙管ガイド7A及び正面側フィルム支持ローラ8Aと同様の構成として、背面側紙管軸6B、背面側紙管ガイド7B及び背面側フィルム支持ローラ8Bを備える。
【0030】
正面側フィルムロールR1からは正面側フィルムF1が引き出され、正面側フィルムガイド31及び正面側フィルム開口補助ガイド32に掛けられる。正面側フィルムF1の先端側は、サイド押さえ43の搬送方向上流側端部からはサイド押さえ43と搬送ガイド板20との間に位置し、その先端がサイド押さえ43の搬送方向下流側端部よりも上流側に位置する(図2中の「Fx」の位置)。背面側フィルムロールR2からは背面側フィルムF2が引き出され、背面側フィルムガイド33に掛けられて、その先端側は、サイド押さえ43の搬送方向上流側端部からは、サイド押さえ43と搬送ガイド板20との間に位置し、その先端がサイド押さえ43の搬送方向下流側端部よりも上流側に位置する(図2中の「Fx」の位置)。正面側と背面側との二枚のフィルム(F1、F2)は先端同士が予め前回の包装処理で溶着されており、溶着ラインFxを形成した状態になっている。
【0031】
包装機1は、不図示のブレーキ機構を備え、このブレーキ機構は、二つのフィルムロールR(R1、R2)のそれぞれの外周に当接するフィルム支持ローラ8(8A,8B)の回転に対してブレーキをかける機構である。ブレーキ機構がブレーキを解除するタイミングはフィルムブレーキ制御部104が制御する。
【0032】
サイド押さえ43とサイドヒータ41とはサイドヒータユニット40に支持されており、サイドヒータユニット40は、サイドヒータ接離モータM2が駆動することで搬送路形成板金部材53に対して法線方向に接離するように移動する。
【0033】
図5は、サイドヒータユニット40と、サイドヒータ受台42との斜視説明図である。サイドヒータ受台42はサイド受台固定部21がねじ等の固定部材によって搬送路形成板金部材53に固定されている。サイドヒータユニット40は、二つのサイドヒータ41(41a、41b)をそれぞれ保持する二つのサイドヒータ保持部材47(47a、47b)と、二つのサイド押さえ43をそれぞれ保持する二つのサイド押さえ保持部材49(49a、49b)とを備える。
【0034】
二つのサイド押さえ保持部材49(49a、49b)は、三つのユニット接続部材410によって搬送方向の三箇所で接続されている。ユニット接続部材410は、搬送ガイド板20に向けて傾斜するように配置された可撓性板部材411が配置されている。可撓性板部材411は、搬送ガイド板20と対向する位置に到達した二枚のフィルムFに接触することで、二枚のフィルムFが厚み方向に離れることを抑制しつつ、その可撓性によって、厚みがある物品が進入したときに、二枚のフィルムFが厚み方向に離れることを許容する。
【0035】
サイド押さえ保持部材49は、サイドヒータ保持部材47に対してサイドヒータユニット40の移動方向に平行な方向にスライド可能となるように、サイドヒータ保持部材47に保持されている。さらに、サイド押さえ保持部材49は押さえ付勢バネ48によって、サイドヒータ保持部材47に対して搬送路形成板金部材53に向かう方向に付勢されている。
【0036】
サイドヒータ保持部材47は、側板突出部401と、スライドガイドローラ402とを備える。筐体側板(50a、50b)の幅方向外側に配置され、サイドヒータ接離モータM2からの駆動を伝達する不図示の駆動伝達機構の移動部材が、側板突出部401を保持し、搬送路形成板金部材53の表面に直交する方向に移動することで、サイドヒータユニット40が搬送路形成板金部材53に対して接離する方向に移動する。スライドガイドローラ402は、サイドヒータユニット40に対して回転可能に支持され、その周面が筐体側板(50a、50b)の幅方向の内壁面に接触しており、サイドヒータユニット40が移動するときに、筐体側板(50a、50b)の壁面に沿って移動するように案内する。
【0037】
図6は、サイドヒータユニット40の一方側(左側)のサイドヒータ保持部材47とサイド押さえ保持部材49との動作説明図である。図6(a)は、サイドヒータ41がサイドヒータ受台42から離れたサイド退避位置にある状態を示し、図6(b)は、サイドヒータ41がサイドヒータ受台42に当接したサイド溶着位置にある状態を示している。
【0038】
図6(a)に示す退避状態では、押さえ付勢バネ48がサイド押さえ保持部材49を付勢することにより、サイド押さえ43がサイドヒータ41よりも搬送路形成板金部材53側に突き出している。離間状態からサイドヒータユニット40が搬送路形成板金部材53に向けて移動すると、サイド押さえ43が搬送ガイド板20に接触するまでは図6(a)に示す状態で搬送路形成板金部材53に向けて移動する。サイド押さえ43が搬送ガイド板20に接触した後、さらに、サイドヒータユニット40が搬送路形成板金部材53に向けて移動すると、押さえ付勢バネ48が縮み、サイド押さえ保持部材49は、サイド押さえ43が搬送ガイド板20に接触した位置で停止したままの状態で、サイドヒータ保持部材47が搬送路形成板金部材53に向けて移動する。その後、サイドヒータ41がサイドヒータ受台42に当接する位置まで移動し、図6(b)で示す溶着状態となる。
【0039】
なお、図2に示す断面のY軸方向の位置は、図1中のY軸方向における筐体左側板50aと装置左側の正面側紙管ガイド7A(図1中の「7Aa」)との間の位置である。
【0040】
図7は、包装機1で作成する包装成果物Pkの一例を示す。図7に示す包装成果物Pkは、被包装物である冊子Sを、正面側フィルムF1と背面側フィルムF2とで挟んだ状態で四辺を溶着することで形成する。四辺のうちの搬送方向の前側と後側との溶着部として、前回の包装処理の際にカットヒータ5によって形成された下流側溶着ラインFx1と、図7に示す冊子Sに対する包装処理の際にカットヒータ5によって形成された上流側溶着ラインFx2とがある。また、四辺のうちの幅方向両端の溶着部として、左側サイドヒータ41aによって形成された左側溶着ラインFwLと、右側サイドヒータ41bによって形成された右側溶着ラインFwRとがある。
【0041】
次に、包装機1における投入口2から投入された物品を包装する包装動作の説明を行う。
電源投入前の包装機1の各ヒータは常温となっているので、電源投入後、電源投入後はあらかじめ定めた設定温度まで加熱する「予熱」を行う。各ヒータ制御部(101、102、103)は、ヒータ(5、41a、41b)の温度を測定する温度センサ(サーミスタ等)を備え、温度センサの測定結果に基づいて各ヒータが備えるラバーヒータに印加する電流を制御し、各ヒータの温度が設定した温度となるように制御する。
【0042】
「予熱」が完了すると、投入口2から物品が投入可能な「待機状態」となり、使用者が投入口2から物品を投入し、スタートボタン11を押下することで、包装機1は、投入口2から投入された物品に対して包装処理を行い、包装成果物を排出口9から排出する。その後、待機状態となる。
詳しくは、「(1)待機状態」から「(2)物品投入」され、「(3)スタートボタン押下」されると、搬送路の投入口2側の「(4)入口閉鎖」して、「(5)サイド溶着」し、「(6)上部溶着及び切断」を行う。その後、「(7)フィルム繰り出し」、「(8)サイド押さえ近接」及び「(9)入口開放」を行い再び「(1)待機状態」となる。
以下、待機状態から包装処理を行い、再び待機状態となるまでの各部の動作について説明する。
【0043】
<(1)待機状態>
図2は待機状態を示している。
図2に示すように待機状態では、開口部ローラ対である繰り出しローラ対は、二つのローラは開放位置にあり、ローラは回転停止の状態である。具体的には、繰り出しローラ対のうちの可動繰り出しローラ34は、固定繰り出しローラ35から離間した開放位置に位置し、固定繰り出しローラ35は、搬送ローラ駆動モータM3を停止して回転停止する。
【0044】
待機状態では、カットヒータ5はカット退避位置に位置し、サイドヒータユニット40は、サイド押さえ43が搬送ガイド板20に対して非接触で近接したサイド押さえ近接位置となる位置で停止する。近接位置での搬送ガイド板20に対するサイド押さえ43との距離は、投入する物品が搬送ガイド板20とサイド押さえ43との隙間から漏れ出ない程度となるように設定するものであり、この距離は、投入する物品の厚みによって調整可能となっている。
【0045】
待機状態では、フィルムブレーキ制御部104は、ブレーキ機構がブレーキをかけた状態となるように制御し、二つのフィルムロールR(R1、R2)からフィルムFが引き出されない状態としている。
【0046】
待機状態では、一つ前の包装処理の「(6)上部溶着及び切断」でカットヒータ5によって溶着・切断されたフィルムFの切断部が、二枚のフィルムFが溶着された先端側の溶着ラインFxとなっている。そして、この先端側の溶着ラインFxが予め設定された包装成果物の搬送方向の長さの分だけカット位置(カットヒータ5によってフィルムFを切断する位置)よりも搬送方向下流側に移動した状態でフィルムFは停止している。そして、幅方向の端部である両サイドの厚み方向への移動が、サイド押さえ43と搬送ガイド板20とによって規制され、二枚のフィルムFの厚み方向への拡がりが規制された状態となる。
【0047】
<(2)物品投入>
図2に示す待機状態の包装機1の投入口2から被包装物の物品が投入されるのみでは、包装機1の各駆動部は駆動しないため、繰り出しローラ対(34、35)、カットヒータ5、サイドヒータユニット40及びブレーキ機構には変化はない。一方、フィルムFは、二枚のフィルムFの間に物品が進入し、先端側の溶着ラインFxで物品が突き当たり、溶着ラインFxよりも上方で物品を保持する。このとき、フィルムFの両サイドは溶着されておらずに隙間があるので物品の形状(厚み・数等)に応じてサイド押さえ43よりも幅方向外側のフィルムFが幅方向内側に移動し、サイド押さえ43よりも幅方向内側でフィルムFは厚み方向に広がることができる。また、近接位置での搬送ガイド板20に対するサイド押さえ43との距離は、投入する物品が搬送ガイド板20とサイド押さえ43との隙間から漏れ出ない程度となるように設定しているため、二枚のフィルムF同士の幅方向の両側が溶着されていなくても、投入した物品が幅方向の外側から漏れ出ることを防止できる。
【0048】
<(3)スタートボタン押下>
使用者によってスタートボタン11が押下されると、包装処理を行うための制御が開始される。
【0049】
<(4)入口閉鎖>
図8は、入口閉鎖を実行したときの包装機1を示す断面図である。
スタートボタン11が押下されると、繰り出しローラ対が開放位置から閉鎖位置へと変化する。詳しくは、搬送ローラ接離モータM4が駆動し、開放位置にあった可動繰り出しローラ34が、図8に示すように、固定繰り出しローラ35に接触する閉鎖位置に移動して搬送ローラ接離モータM4が停止する。このとき、正面側フィルム開口補助ガイド32は、図2に示すように投入口2の鉛直下方から正面側にずれた位置から図8に示すように投入口2の鉛直下方の位置に移動する。入口閉鎖の段階では、搬送ローラ駆動モータM3は駆動せず、回転が停止した状態の二つのローラで入口を閉鎖した状態となる。
【0050】
入口閉鎖の間は、カットヒータ5、サイドヒータユニット40及びブレーキ機構には変化はない。一方、フィルムFは、開口されていた上方が繰り出しローラ対によって閉じられた状態となる。
【0051】
<(5)サイド溶着>
図9は、サイド溶着でサイドヒータ41がサイド溶着位置に移動した状態の包装機1を示す断面図であり、図10は、サイド溶着でサイドヒータ41がサイド溶着位置から離間位置に移動したときの包装機1を示す断面図である。
【0052】
繰り出しローラ対による入口閉鎖がなされると、サイドヒータ接離モータM2を駆動し、サイドヒータ41がサイドヒータ受台42に当接するサイド溶着位置となるまでサイドヒータユニット40を搬送路形成板金部材53に向けて移動する。このとき、移動開始前に搬送ガイド板20に対して近接位置にあったサイド押さえ43が搬送ガイド板20に当接する。さらに、サイドヒータユニット40を搬送路形成板金部材53に向けて移動させると、押さえ付勢バネ48が縮み、サイド押さえ43が搬送ガイド板20に当接した位置で停止したまま、サイドヒータ41がサイドヒータ受台42に当接するサイド溶着位置まで移動し、図9で示す状態となる。サイドヒータ41がサイド溶着位置に到達してから設定された溶着に必要な所定時間が経過した後、サイドヒータ接離モータM2を逆転し、待機状態の近接位置よりもサイド押さえ43が搬送ガイド板20から離間する離間位置までサイドヒータユニット40を移動し、図10で示す状態となる。離間位置の一例として、スポンジからなるサイドヒータ受台42の表面からサイドヒータ41の先端までの距離を88[mm]とし、サイドヒータ受台42の表面とほぼ同一平面の搬送ガイド板20の表面からサイド押さえ43までの距離を60[mm]とすることが挙げられるがこれに限るものではない。
【0053】
上述したサイドヒータユニット40の接離動作により、二枚のフィルムFは、サイド押さえ43で両サイドを押さえられた後、サイドヒータ41で両サイドを溶着される(図7中の「FwL」、「FwR」で示す溶着部)。これにより、物品を覆う二枚のフィルムFが、上方の一辺(図7中の「Fx2」)以外の三辺(図7中の「Fx1」、「FwL」、「FwR」)が溶着された状態となる。また、上述した接触位置までの移動の際に、サイド押さえ43が二枚のフィルムFを挟んで搬送ガイド板20に接触した後、サイドヒータ41が二枚のフィルムFを挟んでサイドヒータ受台42に接触する。このため、投入された物品の厚みによって二枚のフィルムFが厚み方向に膨らむように離れて、その幅方向の端部でも背面側フィルムF2に対して正面側フィルムF1が浮き上がった状態となっていても、サイド押さえ43が正面側フィルムF1を押さえた後にサイドヒータ41を正面側フィルムF1に接触させることができる。これにより,二枚のフィルムFが接触して重なった部分にサイドヒータ41を正面側フィルムF1に接触させることができる。背面側フィルムF2に対して浮き上がった状態の正面側フィルムF1にサイドヒータ41が接触すると、正面側フィルムF1のみが溶融して穴が開くなどの不具合が生じる恐れがある。これに対して、二枚のフィルムFが接触して重なった部分にサイドヒータ41を接触させることで、二枚のフィルムFを同時に溶融させて接着することができ、一枚だけのフィルムFが溶融することに起因する不具合の発生を防止できる。
【0054】
サイド溶着の間は、カットヒータ5、繰り出しローラ対(34、35)及びブレーキ機構には変化はない。一方、フィルムFは、上述したように、上方以外の三辺が溶着された状態となる。
【0055】
<(6)上部溶着及び切断>
図11は、カットヒータ5がカット溶着位置に移動した状態の包装機1を示す断面図である。
サイド溶着後、サイドヒータ41が離間位置に移動すると、カットヒータ接離モータM1が駆動し、カットヒータ5がカットヒータ回動軸5aを中心に回動して、カット退避位置からカット溶着位置に移動して図11に示す状態となる。カットヒータ5がカット溶着位置に到達してから予め設定された所定時間が経過した後、カットヒータ接離モータM1を逆転してカットヒータ5をカット退避位置まで移動させて、図10に示す状態となる。
【0056】
上部溶着及び切断の間は、サイドヒータユニット40及びブレーキ機構には変化はない。一方、繰り出しローラ対(34、35)は、一時的にフィルム繰り出し時とは逆方向に回転する。具体的には、カットヒータ5がカット溶着位置にある切断中に、わずかな時間だけ搬送ローラ駆動モータM3をフィルム切り出し時とは逆方向に駆動し、固定繰り出しローラ35を図11中の反時計回り方向に回転させて、繰り出しローラ対(34、35)に挟持された二枚のフィルムFの先端側を上方に引っ張る。
【0057】
フィルムFは、カット溶着位置に到達したカットヒータ5によって、上方の一辺(図7中の「Fx2」)が溶着されることで四辺が溶着された状態となる。さらに、カットヒータ5の鋭角に形成された端部が当接して溶着する状態で、繰り出しローラ対(34、35)がフィルム繰り出し時とは逆方向に回転することで、フィルムFにおけるカットヒータ5とカットヒータ受台44とに挟まれた部分が、繰り出しローラ対(34、35)の逆回転によって上方に引っ張られ、物品の自重によって下方に引っ張られた状態となる。これにより、カットヒータ5とカットヒータ受台44とに挟まれた部分を挟んで、フィルムFを上下に引っ張る力を作用させ、カットヒータ5による切断を促すことができる。
【0058】
繰り出しローラ対(34、35)を逆方向に回転させるわずかな時間は、逆回転開始前にカットヒータ5とカットヒータ受台44とに挟まれていた部分が、逆回転によって繰り出しローラ対(34、25)の挟持部に到達しない範囲の時間である。
【0059】
カットヒータ5による切断によって、フィルムFにおける物品の上方での切断が行われる。上方が切断されることで、二枚のフィルムFによって物品を包装した包装成果物Pkが自重で落下し、下方の排出口9から排出される。カットヒータ5による上部溶着及び切断によって、二枚のフィルムFにおける次の包装処理で物品を包装する部分の先端同士が溶着された状態となる。
【0060】
図2及び図9図11に示すように、回動するカットヒータ5の回動軸であるカットヒータ回動軸5aは、カットヒータ5がフィルムFをカットするカット位置よりも搬送方向上流側に位置する。これにより、カット溶着位置にあるカットヒータ5がカット退避位置に移動するように回動すると、カットヒータ5は、搬送方向に直交する退避方向に移動しつつ、搬送方向の上流側に向かう方向にも移動する。これにより、カット退避位置に移動するときに、搬送方向下流側に位置する部材との干渉を防止することができる。
【0061】
包装機1では、図9に示すサイド溶着位置と図10に示す離間位置との間を移動するサイドヒータ41と共に移動する部材(サイドヒータ41も含む)の移動経路と、図10に示すカット退避位置と図11に示すカット溶着位置との間を移動するカットヒータ5と共に移動する部材(カットヒータ5も含む)の移動経路とが部分的に重なる配置となっている。このように、移動経路が部分的に重なる配置であっても、カットヒータ回動軸5aが、カット位置よりも搬送方向上流側に位置することにより、カットヒータ5と共に移動する部材とサイドヒータ41と共に移動する部材との部材同士の干渉を防止することができる。
【0062】
このように移動経路が部分的に重なる配置が可能となることで、搬送方向におけるカットヒータ5によるカット位置と、サイドヒータ41の上流側端部の位置とを、重ねる、または、近接させることができる。さらに、配置によっては、サイドヒータ41の上流側端部の位置をカット位置よりも上流側に配置することができる。
【0063】
上述したように、サイド溶着の後に、フィルムFの搬送を行うことなく、上部溶着及び切断を行う制御は、全シールモードの制御である。半シールモードでは、サイド溶着の後、搬送ローラ駆動モータM3を所定時間駆動して、溶着部同士の間に所望の隙間ができる分だけフィルムFを搬送した後、上部溶着及び切断を行うことで、両サイドの溶着部の上流側端部と搬送方向後側(上側)の溶着部とが離れるように溶着を行うことができる。
【0064】
図7に示す包装成果物Pkは、全シールモードで包装処理を行ったものであり、包装成果物Pkにおける両サイドの溶着部(FwL、FwR)の上流側端部と搬送方向後側(上側)の溶着部(Fx2)とが重なっておらず、近接するように溶着が成されている。このような近接するように溶着することで、両サイドの溶着部(FwL、FwR)と上側の溶着部(Fx2)との隙間から空気を抜くことが可能となる。
【0065】
なお、上述したように、包装機1はカットヒータ5と共に移動する部材とサイドヒータ41と共に移動する部材との移動経路が部分的に重なる配置であっても部材同士の干渉を防止することができるため、両サイドの溶着部(FwL、FwR)と上側の溶着部(Fx2)とが重なるように、カットヒータ5とサイドヒータ41とを配置してもよい。さらに、カットヒータ5とサイドヒータ41との少なくとも一方の搬送方向の位置を調整可能な調整機構を設け、両サイドの溶着部(FwL、FwR)と上側の溶着部(Fx2)とが、重なる状態と、近接する状態とを変更できる構成としてもよい。
【0066】
<(7)フィルム繰り出し>
図12は、繰り出しローラ対(34、35)の駆動により、フィルムFを所定量だけ繰り出した状態の包装機1を示す断面図である。
上部溶着及び切断後、カットヒータ5がカット退避位置に戻り、図7に示す状態と同様の状態となると、フィルムブレーキ制御部104は、ブレーキ機構がブレーキを解除した状態となるように制御する。次に、搬送ローラ駆動モータM3が駆動することで、固定繰り出しローラ35が図12中の時計回り方向に回転し、繰り出しローラ対(34、35)に挟持された二枚のフィルムFが、先端側の溶着ラインFxが下方に進出するように搬送する。このとき、ブレーキが解除されているため、二枚のフィルムFが下方に向けて搬送された分だけ、二つのフィルムロールRのそれぞれからフィルムFが繰り出される。
【0067】
そして、二枚のフィルムFの先端側の溶着ラインFxが、包装成果物の搬送方向の長さの分だけカット位置よりも搬送方向下流側に移動するまで搬送すると、搬送ローラ駆動モータM3の駆動を停止するとともに、フィルムブレーキ制御部104は、ブレーキ機構がブレーキをかけた状態となるように制御する。
【0068】
図12に示すように、フィルムFを繰り出すときに、サイドヒータ41及びサイド押さえ43が離間位置にあるため、下方に進出するフィルムFがサイドヒータ41やサイド押さえ43等のサイドヒータユニット40の構成部品に引っかかることを防止できる。
【0069】
フィルム繰り出しの間は、カットヒータ5及びサイドヒータユニット40には変化はない。一方、フィルムFは、上述したように、溶着ラインFxが、包装成果物の搬送方向の長さの分だけカット位置よりも搬送方向下流側の位置に到達するまで搬送される。
【0070】
<(8)サイド押さえ近接>
図13は、離間位置にあったサイド押さえ43が待機状態と同様の近接位置まで移動した状態の包装機1を示す断面図である。
フィルム繰り出し後は、固定繰り出しローラ35の回転を停止し、ブレーキ機構がブレーキをかけた状態となると、サイドヒータ接離モータM2を駆動し、サイド押さえ43が待機状態と同様の近接位置となるまでサイドヒータユニット40を移動させる。サイド押さえ43が近接位置に到達したらサイドヒータ接離モータM2を停止する。
【0071】
サイド押さえ近接の間は、カットヒータ5、繰り出しローラ対(34、35)及びブレーキ機構には変化はない。一方、フィルムFは、先端が溶着された状態で両サイドがサイド押さえ43によって厚み方向への拡がりが規制された状態となる。
【0072】
<(9)入口開放>
サイド押さえ近接後は、繰り出しローラ対(34、35)が閉鎖位置から解放位置へと変化する。詳しくは、搬送ローラ接離モータM4が駆動し、図13に示す閉鎖位置にあった可動繰り出しローラ34が、図2に示す開放位置に移動して搬送ローラ接離モータM4が停止する。このとき、正面側フィルム開口補助ガイド32は、図13に示す投入口2の鉛直下方の位置から図2に示す鉛直下方から正面側にずれた位置に移動する。これにより、繰り出しローラ対と投入口2との間の正面側フィルムF1を正面側フィルム開口補助ガイド32によって正面側に押し広げて、投入口2から繰り出しローラ対までの物品の通過経路を形成することができる。
【0073】
入口開放の間は、カットヒータ5、サイドヒータユニット40及びブレーキ機構には変化はない。一方、フィルムFは、投入口2の近傍が正面側フィルム開口補助ガイド32によって正面側に押し広げられて、投入口2から物品を投入し易い状態となる。本実施形態の包装機1では、繰り出しローラ対(34、35)によって入口の開放及び閉鎖を行っているが、上述した制御で、繰り出しローラ対(34、35)を開閉動作に合わせて投入口2をシャッタ部材で開閉するシャッタ機構を設けてもよい。
【0074】
包装機1では、操作パネル10で包装成果物Pkの搬送方向の長さを設定することで、「(7)フィルム繰り出し」でのフィルムFの繰り出し量を変更し、包装成果物Pkの長さを使用者の所望の長さに設定することができる。
しかし、上述した制御では、上部溶着及び切断の後は、自動的にフィルムの繰り出しを行っているため、待機状態では、溶着ラインFxは先の包装処理と同じ長さに対応した位置まで搬送されている。このため、包装成果物Pkの長さが先の包装処理の包装成果物Pkの長さと異なる場合は、投入前の設定処理で、既に繰り出されているフィルムFをカットヒータ5でカットし、カットしたフィルムFを排出口9から排出する。その後、新たに設定された包装成果物Pkの長さに応じた長さの分だけ搬送ローラ駆動モータM3を駆動して、先端側の溶着ラインFxを新たな設定に対応した位置まで搬送し、待機状態とする。
【0075】
包装成果物Pkの長さが変更されたときの制御としては上述の制御に限らず、新たに設定された包装成果物Pkの長さに応じて、先端側の溶着ラインFxの位置を移動させる制御を行ってもよい。具体的には、新たに設定された包装成果物Pkの長さが先の包装処理よりも長い場合は、繰り出しローラ対(34、35)を接触させ、ブレーキ機構のブレーキを解除して、前回の包装処理時との包装成果物Pkの長さの差分だけ繰り出しローラ対を回転駆動させて、先端側の溶着ラインFxをより下方に移動させる。一方、新たに設定された包装成果物Pkの長さが先の包装処理よりも短い場合は、長さの差分だけフィルムFを巻き取る必要がある。この場合は、正面側フィルムロールR1及び背面側フィルムロールR2を回転駆動する駆動源を設け、繰り出し時とは逆方向にフィルムロール(R1、R2)を回転させることで、フィルムFを巻き取ることができる。
【0076】
包装成果物Pkの長さを変更する構成としては、予め包装部数を設定し、設定された包装部数の最後の包装成果物Pkの上部溶着及び切断後は、「フィルムの繰り出し」以降の処理を行わず、長さ入力要求表示を行うようにしてもよい。そして、新たな包装成果物Pkの長さが入力されると、それに応じた分だけ繰り出しローラ対を回転させて、フィルムFを繰り出し、それ以降の待機状態までの処理を実行する。これにより、設定された包装部数までは投入された物品の連続的な包装処理ができ、設定された包装部数分の包装処理後、包装成果物Pkの長さを変更するときに、長さ変更のためにフィルムFの一部が破棄されることを防止できる。
【0077】
上述した包装機1では、サイドヒータ41がサイド押さえ43よりも幅方向外側に位置する。サイド押さえ43が近接位置にある状態では、サイド押さえ43によって物品がサイド押さえ43よりも外側に移動することを防止できるが、物品の一部がサイド押さえ43と搬送ガイド板20との間に挟まる可能性がある。この状態で、サイドヒータ41による溶着を行うと、サイド押さえ43と搬送ガイド板20との間に一部が挟まった物品よりも幅方向の外側が溶着部となる。このため、物品が溶着部の外側にはみ出したり、サイドヒータ41の溶着動作によって物品が損傷したりすることを防止できる。
【0078】
上述した実施形態では、包装機1は、使用者が被包装物である物品を投入口2から手動で投入する構成である。包装機1が被包装物を受け入れる構成としては手動投入に限るものではない。例えば、投入口2の上方に自動投入装置を配置し、包装機1から待機状態となったことを報知する報知信号を受信すると、自動投入装置が物品を自動投入する構成が挙げられる。この構成では、自動投入装置の投入が終わると、スタートボタン11を押下したときと同様の包装スタート信号を自動投入装置が包装機1に発信し、包装機1は包装スタート信号を受信すると、上述した制御でスタートボタン11が押下されたときと同様の処理を実行し、待機状態となったら自動投入装置にサイド報知信号を報知する。
【0079】
上述した包装機1では、各部材を移動させる駆動源をモータとしているが、駆動源はモータに限らずソレノイド等の他の駆動源でもよい。
【0080】
上述した包装機1は、包装材として樹脂フィルムからなるフィルムFを用いているが、被包装物を包装する包装材としては、樹脂フィルムに限るものではない。また、包装材同士を接合する方法も溶着に限るものではない。二枚の帯状の包装材を重ねて、搬送方向の前後と幅方向の両端を接合して被包装物を包装するものであればよい。
【0081】
例えば、連続した帯状の二枚のシート材の他方と対向する面に感圧接着剤を塗布し、上述した溶着部(Fx1、Fx2、FwL、FwR)に対応する部分を加圧し、上流側の溶着部(Fx1)に対応する部分を切断することで、被包装物を包装する構成としてもよい。また、他の構成として、帯状の包装材として、紙等の繊維によって形成されたシート材を重ねて、上述した溶着部(Fx1、Fx2、FwL、FwR)に対応する部分を針なしステープラーで用いられる圧着綴じと同様の接合手段で接合してもよい。この接合手段は、一対の歯型でシート材を挟み、加圧することでシート材を変形させ、二枚のシート材の繊維同士を潰して絡ませることでシートを接合するものである。さらに、溶着する場合も、上述したヒータを用いた熱溶着に限らず、超音波溶着等の他の溶着方式を用いてもよい。
【0082】
本発明の実施の形態は、上述した実施形態や構成例に限るものではなく、当業者の知識に基づいて各種の設計変更等の変形を実施形態に対して加えることも可能であり、そのような変形が加えられた実施形態も本発明の範囲に含まれ得る。
【0083】
以上に説明したものは一例であり、次の態様毎に特有の効果を奏する。
【0084】
〔態様1〕
態様1は、正面側フィルムF1及び背面側フィルムF2等の帯状の二枚の包装材を重ねて搬送し、投入口2等の受入口から二枚の包装材の間に受け入れた物品等の被包装物に対して、搬送方向の前側及び後側と、幅方向の両端側と、で二枚の包装材同士を接合(溶着等)して被包装物を包装する包装機1等の包装装置において、二枚の包装材を重ねて搬送する繰り出しローラ対(34、35)等の搬送手段と、二枚の包装材における搬送方向の前側と後側とを接合するカットヒータ5等の搬送方向前後接合手段と、二枚の包装材の幅方向の端部を挟んで搬送ガイド板20等のサイド押さえ対向部材と対向するサイド押さえ43等のサイド押さえ部材と、二枚の包装材における幅方向(搬送方向に直交する方向)の両端側を接合するサイドヒータ41等のサイド接合手段と、装置の各部の動作を制御する制御部100等の制御手段と、を備え、制御手段は、被包装物を受け入れるときには、搬送方向の前側(下流側溶着ラインFx1等)のみを接合した二枚の包装材が予め設定された物品受入位置(図2中の「Fx」の位置等)で停止し、サイド押さえ部材とサイド押さえ対向部材とが、被包装物が通過できない程度の近接位置、または、二枚の包装材を挟んで接触する接触位置となるように各部を制御し、被包装物を受け入れたときに入力される所定の包装開始信号(スタートボタン11を押下した信号等)が入力されると、サイド接合手段が二枚の包装材における幅方向の両端側(左側溶着ラインFwL及び右側溶着ラインFwR等)を接合し、搬送方向前後接合手段が二枚の包装材における搬送方向の後側(上流側溶着ラインFx2等)を接合するように各部を制御することを特徴とする包装装置に係るものである。
【0085】
態様1によれば、被包装物を受け入れるときには、二枚の包装材における幅方向の両端側は接合されていないが、サイド押さえ部材とサイド押さえ対向部材とが、近接位置または接触位置に位置するため、被包装物が幅方向の外側から外部に漏れ出ることを防止できる。そして、被包装物を受け入れるときには、二枚の包装材における幅方向の両端側は接合されていないため、被包装物を受け入れる前には、サイド接合手段よりも幅方向の外側にあった包装材における部分が、厚みのある被包装物を受け入れて包装材が厚み方向に引っ張られたときに、サイド接合手段よりも幅方向の内側に移動することが可能となる。そして、被包装物の厚みに応じて包装材が幅方向内側に引き寄せられた状態で、サイド接合手段が二枚の包装材における幅方向の両端側を接合するため、包装材の幅方向の両端側の接合部が幅方向内側に引っ張られることが防止できる。これにより、包装成果物の包装材に皺が発生じたり、包装成果物の搬送方向における被包装物が位置する部分が幅方向に狭まったりして、包装成果物の外観品質が低下することを防止できる。
【0086】
上述した包装機1では、搬送方向前後接合手段として、二枚の包装材における搬送方向の前側と後側の両方とを接合するカットヒータ5であるが、前側を接合する部材と、後側を接合する部材とが別部材でもよい。また、サイド押さえ部材とサイド接合手段とは別部材に限るものではなく、サイド接合手段がヒータのような加熱を用いるものではなく、圧着綴じの加圧部材や超音波溶着の振動子(超音波が印加されていない状態)のように、サイド接合手段が包装材と接触するだけでは包装材の特性が変化しないものであれば、サイド接合手段とサイド押さえ部材とを兼用する構成としてもよい。
【0087】
[態様2]
態様2は、態様1の包装装置において、制御部は、被包装物を受け入れるときには、サイド押さえ部材とサイド押さえ対向部材とが近接位置に位置するように制御し、包装開始信号を入力されると、サイド押さえ部材とサイド押さえ対向部材とが二枚の包装材を挟んで接触し、その後、サイド接合手段が二枚の包装材における幅方向の両端側を接合する制御を行うことを特徴とする包装装置に係るものである。
【0088】
態様2によれば、被包装物を受け入れるときにサイド押さえ部材とサイド押さえ対向部材とが近接位置にあることで、サイド接合手段よりも幅方向の外側にあった包装材における部分がサイド接合手段よりも内側に移動するときの摺動負荷が接触位置にある場合よりも軽減できる。これにより、より物品の形状に応じた状態で包装材同士を接合することができる。また、接合前に、サイド押さえ部材とサイド押さえ対向部材とが二枚の包装材を挟んで接触することで、包装材におけるサイド接合手段によって接合される部分に対応した一枚の包装材が他の包装材に対して浮き上がり、一枚だけの包装材がサイド接合手段に接触することを防止できる。
【0089】
[態様3]
態様3は、態様2の包装装置において、制御部は、サイド接合手段が二枚の包装材における幅方向の両端側を接合した後、サイド押さえ部材とサイド押さえ対向部材とが近接位置よりも十分に離れた離間位置に位置するように制御し、その後、搬送方向前後接合手段が二枚の包装材における搬送方向の後側を接合するように制御することを特徴とする包装装置に係るものである。
【0090】
態様3によれば、サイド押さえ部材とサイド押さえ対向部材とが離間位置に位置することで、二枚の包装材が搬送方向の後側を接合された包装成果物が、排出口9等の搬送方向下流側に移動することをサイド押さえ部材とサイド押さえ対向部材とが阻害することを防止できる。
【0091】
[態様4]
態様4は、態様1乃至3の何れか一項に記載の包装装置において、搬送方向前後接合手段は、カット溶着位置等の接合位置とカット退避位置等の退避位置との間で移動可能で接合位置では包装材に接触して二枚の包装材同士を接合するカットヒータ5等の接合部材と、接合位置にある接合部材と二枚の包装材を挟んで接触するカットヒータ受台44等の受部材と、を有し、サイド接合手段は、サイド溶着位置等のサイド接合位置と離間位置等のサイド離間位置との間で移動可能であって、サイド接合位置では包装材に接触して二枚の包装材同士を接合するサイドヒータ41等のサイド接合部材と、サイド接合位置にあるサイド接合部材と二枚の包装材を挟んで接触するサイドヒータ受台42等のサイド受部材と、を有し、受部材はサイド受部材の搬送方向の上流側端部近傍に位置し、接合部材の退避位置は接合位置よりも搬送方向の上流側であり、接合部材が退避位置から前記接合位置に移動するときには、搬送方向の上流側から下流側に向けて移動することを特徴とする包装装置に係るものである。
【0092】
態様4によれば、接合部材と共に移動する部材の移動経路とサイド接合部材と共に移動する部材の移動経路とが部分的に重なる配置であっても、退避位置に移動する接合部材は、サイド接合部材から離れる方向である搬送方向の上流側に移動するため、部材同士の干渉を防止することができる。
【0093】
[態様5]
態様5は、態様4の包装装置において、接合部材は、接合位置に対して搬送方向の上流側に位置するカットヒータ回動軸5a等の回動軸を中心に回動することで、退避位置と接合位置との間を移動することを特徴とする包装装置に係るものである。
接合位置から退避位置に向かう接合部材が接合位置よりも搬送方向の上流側に向かう構成としては、回動するものに限らず、搬送方向に対して斜め上流側に直線的に移動する構成でもよい。しかし、この構成では、退避位置から接合位置に向かう接合部材が接合位置にある包装材に対して斜め方向から近づくことになり、接合部材で包装材を切断するときに切断し難くなるという問題が生じる。これに対して、接合部材が接合位置よりも上流側の回動軸を中心に回動する構成であれば、退避位置から接合位置に向かう接合部材が接合位置にある包装材に対して直角に近い方向から近づくことになり、接合部材で包装材を切断するときに切断し易くなる。
【0094】
態様5によれば、接合位置に対して搬送方向の上流側に位置する回動軸を中心に回動することで、退避位置に移動する接合部材が、サイド接合部材から離れる方向である搬送方向の上流側に移動する構成を実現することができる。
【0095】
[態様6]
態様6は、正面側フィルムF1及び背面側フィルムF2等の帯状の二枚の包装材を重ねて搬送し、投入口2等の受入口から二枚の包装材の間に受け入れた物品等の被包装物に対して、搬送方向の前側及び後側と、幅方向の両端側と、で二枚の包装材同士を接合(溶着等)して被包装物を包装する包装機1等の包装装置において、二枚の包装材を重ねて搬送する繰り出しローラ対(34、35)等の搬送手段と、二枚の包装材における搬送方向の前側と後側とを接合するカットヒータ5等の搬送方向前後接合手段と、二枚の包装材の幅方向の端部を挟んで搬送ガイド板20等のサイド押さえ対向部材と対向するサイド押さえ43等のサイド押さえ部材と、二枚の包装材における幅方向(搬送方向に直交する方向)の両端側を接合するサイドヒータ41等のサイド接合手段と、を備え、サイド押さえ部材は、サイド押さえ対向部材との間で、被包装物が通過できない程度の近接位置と、近接位置に対して前記サイド押さえ対向部材との間で十分に離間した離間位置との間で変位可能であることを特徴とする包装装置に係るものである。
【0096】
態様5によれば、サイド接合手段で接合しない状態で、且つ、サイド押さえ部材が近接位置にある状態で被包装物を受け入れることで、被包装物が幅方向の外側から外部に漏れ出ることを防止できる。そして、被包装物を受け入れるときには、二枚の包装材における幅方向の両端側はサイド整合手段で接合されていない状態であるため、被包装物を受け入れる前には、サイド接合手段よりも幅方向の外側にあった包装材における部分が、厚みのある被包装物を受け入れて包装材が厚み方向に引っ張られたときに、サイド接合手段よりも幅方向の内側に移動することが可能となる。そして、被包装物の厚みに応じて包装材が幅方向内側に引き寄せられた状態で、サイド接合手段が二枚の包装材における幅方向の両端側を接合することで、包装材の幅方向の両端側の接合部が幅方向内側に引っ張られることが防止できる。これにより、包装成果物の包装材に皺が発生じたり、包装成果物の搬送方向における被包装物が位置する部分が幅方向に狭まったりして、包装成果物の外観品質が低下することを防止できる。
【符号の説明】
【0097】
1 :包装機
2 :投入口
5 :カットヒータ
9 :排出口
10 :操作パネル
11 :スタートボタン
20 :搬送ガイド板
32 :正面側フィルム開口補助ガイド
34 :可動繰り出しローラ
35 :固定繰り出しローラ
40 :サイドヒータユニット
41 :サイドヒータ
41a :左側サイドヒータ
41b :右側サイドヒータ
42 :サイドヒータ受台
43 :サイド押さえ
44 :カットヒータ受台
100 :制御部
104 :フィルムブレーキ制御部
F :フィルム
F1 :正面側フィルム
F2 :背面側フィルム
M1 :カットヒータ接離モータ
M2 :サイドヒータ接離モータ
M3 :搬送ローラ駆動モータ
M4 :搬送ローラ接離モータ
Pk :包装成果物
R :フィルムロール
R1 :正面側フィルムロール
R2 :背面側フィルムロール
図1
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