(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024146402
(43)【公開日】2024-10-15
(54)【発明の名称】推薦方法、推薦プログラム及び推薦装置
(51)【国際特許分類】
G06Q 10/20 20230101AFI20241004BHJP
【FI】
G06Q10/20
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023059268
(22)【出願日】2023-03-31
(71)【出願人】
【識別番号】000006507
【氏名又は名称】横河電機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】大石 憲児
(72)【発明者】
【氏名】ムスタファ・アンナーセル
(72)【発明者】
【氏名】アブラー・サイード・アルアモウディ
(72)【発明者】
【氏名】アブドラティフ・アブドラー・アンナージム
【テーマコード(参考)】
5L010
5L049
【Fターム(参考)】
5L010AA20
5L049AA20
(57)【要約】
【課題】ユーザの業務の効率を向上させること。
【解決手段】推薦装置は、取得部と、特定部と、決定部と、提示部と、を有する。取得部は、プラントで発生した不具合の情報である不具合情報を取得する。特定部は、不具合と対応付けられてあらかじめ蓄積された保全計画の情報の中から、不具合情報が示す不具合に類似する不具合に対応付けられた保全計画を、過去にユーザが選択した保全計画の傾向に基づいて特定する。提示部は、特定する処理によって特定された保全計画を提示する。
【選択図】
図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
コンピュータが、
プラントで発生した不具合の情報である不具合情報を取得し、
不具合と対応付けられてあらかじめ蓄積された保全計画の情報の中から、前記不具合情報が示す不具合に類似する不具合に対応付けられた保全計画を、過去にユーザが選択した保全計画の傾向に基づいて特定し、
前記特定する処理によって特定された保全計画を提示する
処理を実行することを特徴とする推薦方法。
【請求項2】
前記提示する処理によって提示された保全計画のうち、ユーザによって選択された保全計画の情報を記録する処理をさらに実行し、
前記特定する処理は、前記記録する処理によって記録された情報から得られる傾向に基づいて、保全計画を特定することを特徴とする請求項1に記載の推薦方法。
【請求項3】
前記特定する処理は、過去にユーザが選択した保全計画の要員数、許容時間及び費用の傾向に基づいて、保全計画を特定することを特徴とする請求項1に記載の推薦方法。
【請求項4】
前記特定する処理は、保全計画に対応付けられた危険度の傾向に基づいて、保全計画を特定することを特徴とする請求項1に記載の推薦方法。
【請求項5】
前記特定する処理は、過去に保全計画を選択したユーザの熟練度に基づいて、保全計画を特定することを特徴とする請求項1に記載の推薦方法。
【請求項6】
コンピュータに、
プラントで発生した不具合の情報である不具合情報を取得し、
不具合と対応付けられてあらかじめ蓄積された保全計画の情報の中から、前記不具合情報が示す不具合に類似する不具合に対応付けられた保全計画を、過去にユーザが選択した保全計画の傾向に基づいて特定し、
前記特定する処理によって特定された保全計画を提示する
処理を実行させることを特徴とする推薦プログラム。
【請求項7】
プラントで発生した不具合の情報である不具合情報を取得する取得部と、
不具合と対応付けられてあらかじめ蓄積された保全計画の情報の中から、前記不具合情報が示す不具合に類似する不具合に対応付けられた保全計画を、過去にユーザが選択した保全計画の傾向に基づいて特定する特定部と、
前記特定部によって特定された保全計画を提示する提示部と、
を有することを特徴とする推薦装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、推薦方法、推薦プログラム及び推薦装置に関する。
【背景技術】
【0002】
履歴に基づき、ユーザの意思決定を支援する技術が知られている。例えば、インターネットを介したコンテンツの配信の分野では、ユーザの視聴履歴を基に、当該ユーザが好むことが予想されるコンテンツが推薦する技術が用いられる。また、小売りの分野では、ユーザの購買履歴を基に、当該ユーザが購入する可能性が高い商品が推薦する技術が用いられる。
【0003】
このような履歴を基にユーザの意思決定を支援する技術は、工業の分野においても有用である。例えば、過去に行われた点検の結果を基に、プラントにおける産業用機械の保全計画を自動生成する技術が知られている。なお、プラントは、石油プラント、石油化学プラント、化学プラント、又はガスプラント等である。プラントでは、産業用機械等を含む設備が稼働し、化学製品等が生成される。
【0004】
さらに、過去に蓄積された保守事例情報から、機器の不具合を復旧するための保守部品の故障診断ルールを、新たに追加された保守事例を基に更新する技術が知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2022-19230号公報
【特許文献2】特開2011-170724号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、従来の技術には、ユーザの業務の効率を向上させることができない場合があるという問題がある。
【0007】
例えば、ある不具合に対して有効な複数の保全計画のうち、ユーザによって現実的に採用され得る保全計画を優先して推薦することで、ユーザはどの保全計画を採用するかの意思決定を迅速に行うことができる。
【0008】
逆に、不具合に対して有効ではあるが、現実的に実現が困難な保全計画が推薦された場合、ユーザは推薦された保全計画の絞り込みといった余計な作業を行う必要がある。
【0009】
一方で、従来の技術では、どのような保全計画を優先して推薦するかについてのルールを更新することはできない。
【0010】
一つの側面では、ユーザの業務の効率を向上させることができる推薦方法、推薦プログラム及び推薦装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
一側面にかかる推薦方法は、コンピュータが、プラントで発生した不具合の情報である不具合情報を取得し、不具合と対応付けられてあらかじめ蓄積された保全計画の情報の中から、前記不具合情報が示す不具合に類似する不具合に対応付けられた保全計画を、過去にユーザが選択した保全計画の傾向に基づいて特定し、前記特定する処理によって特定された保全計画を提示する処理を実行することを特徴とする。
【0012】
一側面にかかる推薦プログラムは、コンピュータに、プラントで発生した不具合の情報である不具合情報を取得し、不具合と対応付けられてあらかじめ蓄積された保全計画の情報の中から、前記不具合情報が示す不具合に類似する不具合に対応付けられた保全計画を、過去にユーザが選択した保全計画の傾向に基づいて特定し、前記特定する処理によって特定された保全計画を提示する処理を実行させることを特徴とする。
【0013】
一側面にかかる推薦装置は、プラントで発生した不具合の情報である不具合情報を取得する取得部と、不具合と対応付けられてあらかじめ蓄積された保全計画の情報の中から、前記不具合情報が示す不具合に類似する不具合に対応付けられた保全計画を、過去にユーザが選択した保全計画の傾向に基づいて特定する特定部と、前記特定部によって特定された保全計画を提示する提示部と、を有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0014】
一実施形態によれば、ユーザの業務の効率を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】第1の実施形態に係る推薦システムの構成例を示す図である。
【
図2】推薦システムの推薦処理の流れを示す図である。
【
図3】推薦システムの更新処理の流れを示す図である。
【
図11】レーティングテーブルの一例を示す図である。
【
図12】レーティングテーブルの一例を示す図である。
【
図16】推薦装置の推薦処理の流れを示すフローチャートである。
【
図17】推薦装置の更新処理の流れを示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下に、本願の開示する推薦方法、推薦プログラム及び推薦装置の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、ここで説明する実施形態により本願の発明が限定されるものではない。また、同一の要素には同一の符号を付し、重複する説明は適宜省略する。また、各実施形態は、矛盾のない範囲内で適宜組み合わせることができる。
【0017】
図1を用いて、第1の実施形態の推薦システムの構成を説明する。
図1は、第1の実施形態に係る推薦システムの構成例を示す図である。
【0018】
図1に示すように、推薦システム1は、推薦装置10、管理者用端末装置20、エンジニア用端末装置30、及び情報提供サーバ40を有する。推薦装置10及び情報提供サーバ40は、例えばサーバ装置である。また、管理者用端末装置20及びエンジニア用端末装置30は、例えばパーソナルコンピュータ及びスマートフォン等の、据え置き型又は携帯型の端末装置である。
【0019】
推薦装置10、管理者用端末装置20、エンジニア用端末装置30、及び情報提供サーバ40は、ネットワークNを介して互いに接続される。例えば、ネットワークNはインターネットである。また、ネットワークNは、プラント等の施設内に構築されたLAN(Local Area Network)であってもよい。
【0020】
ここで、推薦システム1は、プラントに関する保全計画の推薦を行うためのシステムである。例えば、推薦システム1は、プラントに関する不具合に対する複数の保全計画を提示する。その際、プラントの管理者は、提示された複数の保全計画のいずれかを実際に採用することができる。これにより、推薦システム1は、プラントの管理者の意思決定を支援し、管理者の業務の効率を向上させることができる。
【0021】
本実施形態におけるプラントは、例えば石油プラント、石油化学プラント、化学プラント、又はガスプラントである。プラントが稼働することで、LNG(液化天然ガス)、樹脂(プラスチック、ナイロン等)、化学製品といった生成物が得られる。
【0022】
また、プラントは、工場施設、機械施設、生産施設、発電施設、貯蔵施設、石油、天然ガス等を採掘する井戸元における施設等を有する。また、プラント内には、生成物を生成するための設備機器に加え、プラントの状態に関する情報を取得するためのフィールド機器が備えられる。
【0023】
フィールド機器は、センサ機器、操作機器及び警報機器を含む。例えば、センサ機器は、圧力センサ、温度センサ、pHセンサ、速度センサ、加速度センサ等である。例えば、操作機器は、バルブ、ポンプ及びファン等であり、モータ及びアクチュエータ等によって駆動される。例えば、警報機器は、ランプ及びスピーカ等である。
【0024】
ここで、プラントにおいては様々な不具合が発生する。不具合は、施設、設備機器、フィールド機器等の異常であって、プラントに悪影響を与える事象である。なお、悪影響には、生成物の生産の停止及び遅延、コスト(例えば、金銭的コスト、人的コスト、時間的コスト)の増加等が含まれる。
【0025】
プラントの管理者は、不具合が発生した場合、不具合を解消するための保全計画を立案する。保全計画は、例えば不具合が発生した設備機器の修繕、清掃、部品の交換等である。なお、保全計画は、不具合が発生しているか否かにかかわらず、不具合の予防のために実施される場合がある。
【0026】
図2は、推薦システムの推薦処理の流れを示す図である。
図2に示す管理者U2及びエンジニアU3はユーザである。管理者U2は、プラントの不具合に対する保全計画を立案する。エンジニアU3は、プラントの設備を操作する。また、エンジニアU3は、発見したプラントの不具合を報告する。
【0027】
推薦システム1は、エンジニアU3による不具合の報告を受け付ける。また、推薦システム1は、不具合の方向に応じて、管理者U2に対し保全計画の候補を提示する。
【0028】
図2に示すように、エンジニアU3は、エンジニア用端末装置30を介して、推薦装置10にプラントの不具合を報告する(ステップS1)。例えば、エンジニア用端末装置30は、エンジニアU3によって入力された不具合に関する情報を推薦装置10に送信する。
【0029】
なお、不具合の報告は、エンジニアU3に限らず、管理者U2を含む他のユーザによって行われてもよい。例えば、管理者U2は、管理者用端末装置20を介して、推薦装置10にプラントの不具合を報告することができる。
【0030】
管理者U2は、不具合の報告が行われた場合、管理者用端末装置20を介して付加情報を入力する(ステップS2)。付加情報は、推薦装置10によって提示される保全計画の候補の優先度を決定するための情報である。
【0031】
また、情報提供サーバ40は、不具合の報告が行われた場合、推薦装置10に付加情報を提供する(ステップS3)。例えば、情報提供サーバ40は、推薦装置10からの要求に応じて付加情報を提供する。
【0032】
例えば、管理者U2によって提供される付加情報は、保全計画に関するどのような情報を重視するかを示す情報である。例えば、管理者U2によって提供される付加情報は、保全計画に掛かる費用を重視するか否か、又はどの程度重視するかといった情報である。
【0033】
一方、情報提供サーバ40によって提供される付加情報は、保全計画とは直接関係がない外部の情報を含む。例えば、情報提供サーバ40によって提供される付加情報は、天気の情報、プラントの稼働計画に関する情報等を含む。
【0034】
続いて、推薦装置10は、選択履歴を基に、ための類似度の計算方法の調整を行う(ステップS4)。選択履歴は、推薦システム1によって推薦された保全計画のうち、どの保全計画が選択されたかを蓄積した情報である。例えば、推薦装置10は、選択履歴を基に、類似度を計算するための重みを更新する。類似度の計算方法及び調整方法の詳細については後述する。
【0035】
その後、推薦装置10は、調整済みの類似度の計算方法を用いて、報告された不具合に類似する保全計画を特定する(ステップS5)。まず、推薦装置10は、あらかじめ蓄積された不具合の情報と保全計画とを対応付けた情報の中から、報告された不具合に類似する不具合を抽出する。さらに、推薦装置10は、抽出した不具合に対応付けられた保全計画を特定する。
【0036】
なお、不具合の情報と保全計画とを対応付けた情報は、あらかじめ推薦装置10に蓄積されていてもよいし、ステップS4が実行される際に推薦装置10に入力されてもよい。
【0037】
ここで、推薦装置10は、管理者U2及び情報提供サーバ40から取得した付加情報を基に、特定した保全計画の優先度を決定する(ステップS6)。そして、推薦装置10は、優先度に応じて保全計画を提示する(ステップS7)。
【0038】
提示された保全計画は、ユーザ(例えば、管理者U2)によって選択される。推薦装置10は、保全計画の選択結果に応じて、選択履歴を更新する。
【0039】
図3は、推薦システムの更新処理の流れを示す図である。
図3に示すように、管理者U2は、提示された保全計画のいずれかを選択する(ステップS11)。例えば、管理者U2は、管理者用端末装置20に表示された保全計画のうちいずれかを選択する操作(例えば、選択肢のクリック)を行う。
【0040】
推薦装置10は、管理者U2による選択結果を選択履歴に反映させる(ステップS12)。例えば、推薦装置10は、選択結果を蓄積するテーブル等に、今回の選択結果を追加する。
【0041】
[機能構成]
図4を用いて、推薦装置10の構成を説明する。
図4は、推薦装置の構成例を示す図である。
図4に示すように、推薦装置10は、通信部11、記憶部12及び制御部13を有する。なお、推薦装置10が有する機能部は、図示したものに限らず、例えばディスプレイ及びスピーカ等の出力装置との間でデータを送受信するインタフェース等の機能部等を有していてもよい。
【0042】
通信部11は、他の装置との間の通信を制御する処理部であり、例えば通信インタフェース等により実現される。例えば、通信部11は、管理者用端末装置20、エンジニア用端末装置30、情報提供サーバ40との間の通信を制御する。
【0043】
記憶部12は、各種データ、及び制御部13が実行する各種プログラム等を記憶する処理部である。記憶部12は、例えばメモリ及びハードディスク等により実現される。この記憶部12は、制御部13が各種処理を実行する際の過程で得られるデータ、及び各種処理を実行したことで得られる処理結果等、推薦装置10が実行する処理で発生する各種データを記憶する。
【0044】
記憶部12は、不具合DB121、保全計画DB122、危険情報DB123及び選択履歴DB124を記憶する。
【0045】
不具合DB121は、発生した不具合の情報を蓄積する。
図5は、不具合DBの一例を示す図である。
図5に示すように、不具合DB121は、「不具合ID」、「日時」、「位置」、「チーム」、「重要度」、「問題」、「詳細情報」という項目を含む。
【0046】
項目「不具合ID」は、不具合を識別するための情報である。項目「日時」は、不具合が発生した日時、又は不具合の情報が不具合DB121に登録された日時である。項目「位置」は、不具合が発生したプラント内の位置を示す情報である。項目「チーム」は、不具合の対象の施設、設備又は機器の担当として紐づけられているチームを示す情報である。
【0047】
項目「重要度」は、不具合の重要度を示す情報である。例えば、「重要度」は、「超高」、「高」、「中」、「低」のいずれかである。
【0048】
項目「問題」は、不具合の概要を示す情報であり、不具合を登録する(又は報告する)ユーザによって記述される。項目「詳細情報」は、不具合の詳細情報であり、不具合を登録する(又は報告する)ユーザによって記述される。
【0049】
例えば、
図5には、「DF0151」で識別される不具合が、日時「2022/9/1 13:01」に「Area_1」という位置において発生したものであり、不具合の対象を担当するチームが「Team_1」であり、重要度が「低」であることが示されている。また、
図5には、「DF0151」で識別される不具合の概要が「ガス漏れ」であり、詳細情報が「Area_1のガス漏れ」であることが示されている。
【0050】
保全計画DB122は、実施済みの保全計画の情報を蓄積する。
図6は、保全計画DBの一例を示す図である。
図6に示すように、保全計画DB122は、「保全計画ID」、「日時」、「不具合の種類」、「発生要因」、「解決法」、「コンポーネント」、「必要な準備」、「安全要件」、「要員数」、「所要時間」、「費用」及び「不具合ID」という項目を含む。
【0051】
項目「保全計画ID」は、保全計画を識別するための情報である。項目「日時」は、保全計画が実施された日時(実施開始又は実施完了の日時)、又は保全計画の情報が保全計画DB122に登録された日時である。
【0052】
項目「不具合の種類」は、保全計画に対応する不具合の種類を示す情報である。例えば、保全計画に対応する不具合は、保全計画によって解消しようとしている不具合、又は保全計画によって発生が予防されることが期待される不具合である。項目「発生要因」は、保全計画に対応する不具合の発生要因を示す情報である。項目「解決法」は、保全計画に対応する不具合の具体的な解決法を示す情報である。項目「コンポーネント」は、保全計画、又は保全計画に対応する不具合との関係が深いコンポーネントである。
【0053】
項目「必要な準備」は、保全計画に必要な物品、スキル、手順等の情報である。項目「安全要件」は、保全計画において要求される安全に関する要件である。項目「要員数」は、保全計画の実施に要した人員の数(人的コスト)である。項目「所要時間」は、保全計画の実施に要した時間(時間的コスト)である。項目「費用」は、保全計画の実施に要した費用(金銭的コスト)である。項目「不具合ID」は、保全計画と不具合とを対応付けるための情報である。
【0054】
例えば、
図6には、「MT0211」で識別される保全計画が、日時「2022/9/1 14:21」に実施されたものであることが示されている。また、
図6には、「MT0211」で識別される保全計画には、「DF0151」で識別される不具合が対応していることが示されている。
【0055】
また、
図6には、「MT0211」で識別される保全計画に対応する不具合の種類が「漏出」であり、発生要因が「経年劣化」であり、解決法が「修復及び改善」であり、コンポーネントが「バルブ」であることが示されている。
【0056】
また、
図6には、「MT0211」で識別される保全計画に必要な準備が「足場設置、コンテナ」であり、安全要件が「ガス探知、ハーネス着用」であることが示されている。
【0057】
さらに、
図6には、「MT0211」で識別される保全計画に要した人員の数が「5名」であり、要した時間が「6時間」であり、費用が「¥1,500,000」であったことが示されている。
【0058】
危険情報DB123は、保全計画に関する対象についての危険性に関する情報を蓄積する。
図7は、危険情報DBの一例を示す図である。
図7に示すように、危険情報DB123は、「対象」、「危険度」、「危険の種類」及び「安全要件」という項目を含む。
【0059】
項目「対象」は、危険性を示す対象を識別するための情報である。例えば、項目「対象」は、プラントにおける、位置、施設、設備、機器、又はコンポーネント等を識別する情報である。
【0060】
項目「危険度」は、対象の危険性の大きさを示す情報である。例えば、「危険度」は、「高」、「中」、「低」のいずれかである。
【0061】
項目「危険の種類」は、対象において発生し得る危険の種類に関する情報である。また、項目「安全要件」は、危険の種類に応じて要求される安全に関する要件である。
【0062】
例えば、
図7には、「Area_1」の危険度は「中」であり、発生し得る危険の種類は「高所」に関するものであり、安全要件として「ハーネス着用」が要求されることが示されている。
【0063】
選択履歴DB124は、保全計画の選択結果を蓄積する。
図8は、選択履歴DBの一例を示す図である。
図8に示すように、選択履歴DB124は、「日時」、「保全計画ID」、「ユーザ熟練度」、「総合順位」、「要員数順位」、「所要時間順位」、「費用順位」という項目を含む。
【0064】
項目「日時」は、また、保全計画が選択された日時である。また、項目「保全計画ID」は、保全計画を識別するための情報である。
【0065】
「ユーザ熟練度」は、保全計画を選択したユーザの熟練度である。ここでの熟練度は、保全計画の立案に関する熟練度であり、例えばユーザの情報を管理するマスタテーブル等に別途保存されているものとする。
【0066】
また、「総合順位」、「要員数順位」、「所要時間順位」、「費用順位」は、保全計画が提示された際の順位である。
【0067】
後述の通り、推薦装置10は、特定した保全計画ごとの優先度を決定する。そして、推薦装置10は、決定した優先度に応じて保全計画を提示する。その際、優先度が大きい保全計画ほどユーザによって選択されやすくなる。例えば、推薦装置10は、保全計画のリストを提示する際に、優先度が大きい保全計画をリストのより上側に配置する。その結果、優先度が大きい保全計画ほどユーザに選択されやすくなる。
【0068】
「総合順位」は、優先度の順位である。優先度が大きいほど「総合順位」が上位になる。
【0069】
また、
図6で説明した通り、保全計画には「要員数」、「所要時間」、「費用」といった項目が含まれる。「要員数順位」、「所要時間順位」、「費用順位」は、それぞれ保全計画の「要員数」、「所要時間」、「費用」の、提示された保全計画の中の順位を示している。なお、「要員数順位」、「所要時間順位」、「費用順位」は、それぞれ保全計画の「要員数」、「所要時間」、「費用」が小さいほど高くなる(上位になる)。
【0070】
例えば、
図8には、「MT0211」で識別される保全計画が「2022/8/1 10:11」に、熟練度が「中」のユーザによって選択されたことが示されている。また、
図6には、保全計画「MT0211」の総合順位が「1位」であり、要員数順位が「1位」であり、所要時間順位が「2位」であり、費用順位が「1位」であったことが示されている。
【0071】
例えば、
図8には、「MT0215」で識別される保全計画が「2022/8/10 15:56」に、熟練度が「高」のユーザによって選択されたことが示されている。また、
図6には、保全計画「MT0215」の総合順位が「3位」であり、要員数順位が「3位」であり、所要時間順位が「5位」であり、費用順位が「1位」であったことが示されている。
【0072】
ここで、保全計画「MT0211」は、総合順位が「1位」であるためユーザによって順当に選択されたことが考えられる。一方で、保全計画「MT0215」は、総合順位は「5位」であるにもかかわらず選択されている。また、保全計画「MT0215」の費用順位は「1位」は、総合順位は「5位」であるにもかかわらず選択されている。これより、ユーザが、総合的な優先度よりも費用を重要視して保全計画「MT0215」を選択したことが考えられる。
【0073】
なお、
図8の例では、保全計画「MT0211」、「MT0213」、「MT0215」の選択結果が1件ずつ示されているが、選択履歴DB124には、各保全計画について複数の選択結果が登録され得る。
【0074】
図4に戻り、制御部13は、推薦装置10全体を司る処理部である。制御部13は、例えばプロセッサ等により実現される。制御部13は、表示制御部131、取得部132、特定部133、決定部134及び更新部135を有する。
【0075】
表示制御部131は、画面の表示を制御する。表示制御部131は、管理者用端末装置20及びエンジニア用端末装置30に画面を表示させることができる。
【0076】
例えば、表示制御部131は、Webサーバとして機能する。すなわち、表示制御部131は、画面を表示するためのデータ(例えば、HTMLファイル)を生成する。そして、表示制御部131は、生成したデータを管理者用端末装置20及びエンジニア用端末装置30に送信する。
【0077】
管理者用端末装置20及びエンジニア用端末装置30は、表示制御部131から受信したデータに基づく画面をWebブラウザ等に表示させる。
【0078】
なお、管理者用端末装置20及びエンジニア用端末装置30は、Webブラウザではなく推薦システム1の専用のアプリケーションにより画面を表示させてもよい。その際、表示制御部131は、アプリケーションに対応した形式のデータを送信する。
【0079】
取得部132は、プラントで発生した不具合の情報である不具合情報、及び不具合情報と異なる付加情報を取得する。
【0080】
不具合情報は、推薦システム1に報告される不具合の情報である。例えば、不具合情報は、表示制御部131がエンジニア用端末装置30に表示させる不具合報告画面を介して入力される。
【0081】
図9を用いて、不具合報告画面について説明する。
図9は、不具合報告画面の一例を示す図である。
【0082】
図9に示すように、不具合報告画面61には、プルダウンリスト61a、プルダウンリスト61b、プルダウンリスト61c、テキストボックス61d、テキストボックス61e及びボタン61fが表示される。
【0083】
プルダウンリストは、1つ以上の選択肢を表示する。また、プルダウンリストによって表示される候補のうちの1つがユーザによって選択される。
【0084】
プルダウンリスト61aは、あらかじめ定められたプラント内の位置の候補として「Area_1」、「Area_2」、「Area_3」及びArea_4」を表示する。
【0085】
プルダウンリスト61bは、あらかじめ定められたチームの候補として、「Team_1」、「Team_2」、「Team_3」及び「Team_4」を表示する。
【0086】
プルダウンリスト61cは、あらかじめ定められた重要度の候補として、「超高」、「高」、「中」及び「低」を表示する。
【0087】
テキストボックス61d及びテキストボックス61eは、ユーザによるテキストの入力を受け付ける。ただし、テキストボックス61dに入力可能な文字数は、テキストボックス61eに入力可能な文字数よりも少なく設定されているものとする。
【0088】
ボタン61fが押下されると、不具合報告画面61の各オブジェト(プルダウンリスト及びテキストボックス)に入力された内容が推薦装置10に送信される。これにより、取得部132は不具合情報を取得することができる。
【0089】
例えば、
図9に示す状態でボタン61fが押下された場合、取得部132は、位置が「Area_2」であり、チームが「Team_3」であり、重要度が「中」であり、問題が「ガス漏出」であり、詳細情報が「タンクから二酸化炭素が漏出」である不具合情報を取得する。
【0090】
取得部132は、不具合が報告されると、付加情報を取得する。付加情報は、推薦装置10によって提示される保全計画の候補の優先度を決定するための情報である。例えば、付加情報は、表示制御部131が管理者用端末装置20に表示させる保全計画検索画面を介して入力される。
【0091】
図10を用いて、保全計画検索画面について説明する。
図10は、保全計画検索画面の一例を示す図である。
【0092】
図10に示すように、保全計画検索画面62には、表示領域62a、テキストボックス621b、シークバー622b、テキストボックス621c、シークバー622c、テキストボックス621d、シークバー622d、チェックボックス62e、チェックボックス62f、チェックボックス62g及びボタン62hが表示される。
【0093】
シークバーは、バー上のボックスの位置によってパラメータを指定する。ユーザは、バー上のボックスの位置を調整することができる。
【0094】
テキストボックス621bには、付加情報「要員数」の指定値が入力される。シークバー622bは、付加情報「要員数」の重視の度合いを指定する。
【0095】
テキストボックス621cには、付加情報「許容時間」の指定値が入力される。シークバー622cは、付加情報「許容時間」の重視の度合いを指定する。
【0096】
テキストボックス621dには、付加情報「費用」の指定値が入力される。シークバー622dは、付加情報「費用」の重視の度合いを指定する。
【0097】
チェックボックス62eは、付加情報「危険情報」を考慮するか否かを指定する。チェックボックス62fは、付加情報「外部の情報」を考慮するか否かを指定する。チェックボックス62eは、付加情報「過去の選択履歴」を考慮するか否かを指定する。
【0098】
ボタン61fが押下されると、不具合情報、及び保全計画検索画面62に入力された付加情報を基に、保全計画を特定する処理及び提示する処理が開始される。
【0099】
例えば、
図10に示す状態でボタン62hが押下された場合、取得部132は、付加情報「要員数」、「許容時間」「費用」の指定値が未指定であり、重視の度合いが既定値(100%)であり、付加情報「危険情報」、「外部の情報」、「過去の選択履歴」を考慮しないという情報を取得する。
【0100】
特定部133は、不具合と対応付けられてあらかじめ蓄積された保全計画の情報の中から、不具合情報が示す不具合に類似する不具合に対応付けられた保全計画を特定する。
【0101】
ここで、特定部133は、選択履歴DB124を参照し、保全計画の「要員数」、「所要時間」、「費用」のそれぞれの重み(以降、項目スコア)を計算する。項目スコアは、類似度の計算に影響する。特定部133は、項目スコアの計算により、類似度の計算方法を調整する。
【0102】
まず、特定部133は、選択履歴DB124の「日時」で、項目スコアの計算に使用する選択結果を絞り込む。例えば、特定部133は、「日時」が現在日時から過去3か月までに含まれる選択結果を絞り込む。なお、特定部133は、全期間の選択結果を使用して項目スコアを計算してもよい。
【0103】
例えば、特定部133は、選択履歴DB124において、費用が重要視されている傾向が見られれば、費用の項目スコアを大きくする。また、特定部133は、保全計画を選択したユーザの熟練度が高いほど、選択結果の項目スコアへの影響を大きくする。
【0104】
例えば、特定部133は、選択結果(選択履歴DB124のレコード)を参照し、総合順位から各項目の順位を引いた値を、各項目の加算値として計算する。そして、特定部133は、ユーザ熟練度に応じて、加算値に係数を掛けて項目スコアを得る。例えば、特定部133は、ユーザ熟練度が「高」の場合は加算値に「2」を掛け、ユーザ熟練度が「中」の場合は加算値に「1.5」を掛け、ユーザ熟練度が「低」の場合は加算値に「1」を掛ける。
【0105】
例えば、特定部133は、
図8の1行目(保全計画「MT0211」)を基に、「要員数」の項目スコアを(1-1)×1.5=0と計算し、「所要時間」の項目スコアを(1-2)×1.5=-1.5と計算し、「所要時間」の項目スコアを(1-2)×1.5=-1.5と計算し、費用のスコアを(1-1)×1.5=0と計算する。
【0106】
例えば、特定部133は、
図8の2行目(保全計画「MT0213」)を基に、「要員数」の項目スコアを(1-2)×1=-1と計算し、「所要時間」の項目スコアを(1-2)×1.5=-1.5と計算し、「所要時間」の項目スコアを(1-2)×1.5=-1.5と計算し、費用のスコアを(1-1)×1.5=0と計算する。
【0107】
このように、特定部133は、過去にユーザが選択した保全計画の要員数、許容時間及び費用の傾向に基づいて、保全計画を特定することができる。また、特定部133は、過去に保全計画を選択したユーザの熟練度に基づいて、保全計画を特定することができる。
【0108】
続いて、特定部133は、不具合情報及び不具合DB121をレーティングテーブルに変換する。
図11及び
図12を用いて、レーティングテーブルについて説明する。
図11及び
図12は、レーティングテーブルの一例を示す図である。
【0109】
ここでは、不具合情報の位置が「Area_2」であり、チームが「Team_3」であり、重要度が「中」であり、問題が「ガス漏出」であり、詳細情報が「タンクから二酸化炭素が漏出」であるものとする。
【0110】
特定部133は、不具合情報を変換することで
図11に示すレーティングテーブルを得る。
図11に示すように、レーティングテーブルには、不具合情報に含まれる「場所」、「チーム」及び「重要度」が反映される。
【0111】
レーティングテーブルにおいては、不具合情報に含まれる項目の値は「5」であり、不具合情報に含まれない項目の値は「1」である。
【0112】
不具合情報の位置は「Area_2」であるため、レーティングテーブルにおける「Area_1」、「Area_3」、「Area_4」の値は「1」であり、「Area_2」の値は「5」である。
【0113】
レーティングテーブルは、ベクトルとして表される。例えば、
図11に示すレーティングテーブルはベクトル(1,5,1,1,1,1,5,1,1,1,5,1)に相当する。
【0114】
さらに、特定部133は、不具合DB121を変換することで
図12に示すレーティングテーブルを得る。
図12には、不具合「DF0151」及び「DF0152」のレーティングテーブルが示されている。
【0115】
不具合「DF0151」のレーティングテーブルはベクトル(5,1,1,1,5,1,1,1,1,1,1,5)に相当する。不具合「DF0152」のレーティングテーブルはベクトル(5,1,1,1,1,1,5,1,1,1,1,5)に相当する。
【0116】
特定部133は、不具合情報を変換して得たレーティングテーブルと、不具合DB121を変換して得たレーティングテーブルのそれぞれとの間の類似度を計算する。このとき、特定部133は、レーティングテーブルをベクトルとみなし、(1)式によりベクトル間のコサイン類似度を計算する。
【0117】
【0118】
ただし、A及びBは類似度を計算する対象のベクトルである。また、例えばA
iはベクトルAのi番目の要素である。また、nは、ベクトルの要素数である。
図11及び
図12の例によれば、n=12である。
【0119】
さらに、特定部133は、不具合情報及び不具合DB121に含まれる情報のうち、レーティングテーブルに変換されなかったテキストの情報である「問題」及び「詳細情報」の不具合間の類似度を、(2)式のようにTF-IDFによって計算する。ここでは、各不具合の「問題」及び「詳細情報」が文書とみなされる。
【0120】
【0121】
ただし、tは不具合情報の「問題」及び「詳細情報」における対象の単語の出現回数である。nは、不具合DB121に蓄積済みの文書の数である。dfは、不具合DB121に蓄積済みの文書のうち、対象の単語を含む文書の数である。
【0122】
(1)式によって計算された類似度をSim1とし、(2)式によって計算された類似度をSim2として、特定部133は、合計類似度SDを(3)式のように計算する。
【0123】
【0124】
ただし、wはあらかじめ設定される重みである。wは0以上1以下の間の値であり、例えば0.5であってもよい。
【0125】
なお、不具合間の類似度の計算方法はここで、説明したものに限られない。特定部133は、データ間の類似度を計算する既知の任意の方法により不具合間の類似度を計算することができる。
【0126】
さらに、特定部133は、SD及び事前に計算した項目スコアを基に最終的な類似度を計算する。例えば、特定部133は、項目スコアの合計値が大きい項目ほど、類似度への影響が大きくなるようにする。
【0127】
例えば、特定部133は、各項目について項目スコアを合計し、最も項目スコアの合計値が大きい項目を特定しておく。そして、特定した項目の値が小さいほど、類似度を大きくする。
【0128】
例えば、項目スコアの合計値が最も大きい項目が「費用」であった場合、特定部133は、各不具合のSDに、対応する保全計画の費用が小さいほど大きくなる係数(例えば費用の逆数)を掛けることで最終的な類似度を計算する。
【0129】
なお、ここで特定部133によって計算された類似度は、データ間の純粋な類似度ではないが、ここでは便宜上類似度と呼ぶ。
【0130】
特定部133は、類似度が大きい順に、不具合DB121から一定数の不具合を抽出する。例えば、特定部133は、3件から20件程度の不具合を抽出する。
【0131】
さらに、特定部133は、抽出した不具合に対応する保全計画を、保全計画DB122に蓄積された保全計画の中から特定する。例えば、特定部133は、保全計画DB122の項目「不具合ID」を基に、不具合に対応する保全計画を特定する。
【0132】
決定部134は、特定部133によって特定された保全計画のそれぞれの優先度を、付加情報に基づいて決定する。また、表示制御部131は、優先度に応じて保全計画を提示する。
【0133】
例えば、項目スコアの合計値が最も大きい項目が「費用」であった場合、SDが最大であった不具合であっても、対応する保全計画の「費用」が非常に大きい場合、特定部133によって抽出されない場合がある。逆に、SDがあまり大きくなり不具合であっても、対応する保全計画の「費用」が非常に小さい場合、特定部133によって抽出される場合がある。
【0134】
また、ユーザの選択傾向を考慮する項目は、「要員数」、「所要時間」、「費用」に限られない。
【0135】
例えば、特定部133は、保全計画に対応付けられた危険度の傾向に基づいて、保全計画を特定する。特定部133は、危険情報DB123を参照することで、不具合に対応する保全計画の危険度を取得することができる。
【0136】
また、特定部133は、保全計画DB122及び選択履歴DBを参照し、総合順位と危険度の順位を比較することで、「危険度」についての項目スコアを計算することができる。そして、ユーザが危険度を重視する傾向が見られれば、特定部133は、危険度を類似度の計算に反映させることができる。
【0137】
保全計画の実施中における事故は特にリスクが大きいため、特定部133は、危険度の大きさを常に類似度の計算に反映させ、危険度が高い保全計画はユーザに提示されにくくしてもよい。この場合、特定部133は、他の項目の選択傾向を無視して危険度の大きさに応じて類似度を極端に小さくしてもよい。
【0138】
決定部134によって優先度が決定されると、
図13に示すように、表示制御部131は、保全計画検索画面62にボタン62i及び検索結果62jを表示させる。
図13は、保全計画検索画面の一例を示す図である。
【0139】
検索結果62jには、特定部133によって特定された保全計画が、決定部134によって決定された優先度が高い順に表示される。
図13の例では、特定部133は、保全計画「MT0213」、「MT0211」、「MT0215」を特定した。また、決定部134は、「MT0213」に対して最も高い優先度を決定し、続いて「MT0211」、「MT0215」の順で高い優先度を決定した。
【0140】
取得部132は、取得する処理は、ユーザによって入力された要望、又は要望を基に生成された制約条件を付加情報として取得する。ユーザは、保全計画検索画面62を介して要望を入力することができる。取得部132は、保全計画検索画面62の入力内容を基に制約条件を生成する。
【0141】
例えば、取得部132は、保全計画に対応付けられた要員数、許容時間及び費用のそれぞれを重視する度合いを付加情報として取得する。なお、要員数、許容時間及び費用は、いずれも小さい方が望ましいものとする。
【0142】
例えば、決定部134は、保全計画の値(要員数、許容時間又は費用)が保全計画検索画面62において入力された指定値を超える場合、当該保全計画の優先度を小さくする。その際、決定部134は、シークバーによって示される値が大きいほど、優先度をより小さくする。
【0143】
ここで、ある保全計画の要員数をa1、所要時間をa2、費用をa3とする。決定部134は、この保全計画の優先度を1/((w1×a1)×(w2×a2)×(w3×a3))のように計算する。
【0144】
シークバーは、0%から200%(0から2)までの値を表示する。決定部134は、重みw1、w3、w3を、シークバーによって示される値と等しくする。ただし、決定部134は、a1、a2、a3が指定値を超えていない場合、重みw1、w3、w3を1以下に制限し、a1、a2、a3が指定値を超えた場合、重みw1、w3、w3をさらに増加させてもよい。すなわち、決定部134は、指定値を上限値とみなし、項目の値が上限値を超えている場合、重みにペナルティを与える(例えば、増加の度合いを大きくする)。
【0145】
すなわち、決定部134は、指定値が指定された場合、保全計画の要員数、許容時間又は費用のうち、指定値を超えていない項目については優先度の低下を抑止し、指定値を超えた項目についてはより大幅に優先度を低下させる。
【0146】
図13の例では、費用の指定値「1000000」が入力されている。また、要員数及び許容時間のシークバーの値は「100%」である。また、費用のシークバーの値は「200%」である。
【0147】
例えば、保全計画「MT0123」の各項目の値は(a
1,a
2,a
3)=(4,8,800000)である。このため、
図13の例では、決定部134は、(w
1,w
2,w
3)=(1,1,1)と設定して優先度を計算する。この場合、費用が指定値を超えていないため、決定部134は、費用の重みw
3を上限値の「1」に設定する。
【0148】
例えば、保全計画「MT0121」の各項目の値は(a
1,a
2,a
3)=(5,6,1500000)である。このため、
図13の例では、決定部134は、(w
1,w
2,w
3)=(1,1,4)と設定して優先度を計算する。この場合、費用が指定値を超えているため、決定部134は、費用の重みw
3を「2」の2倍の「4」に設定する。
【0149】
また、決定部134は、指定値が入力されている場合、ユーザの重視の度合い(シークバーの値)によって上限値を変化させてもよい。例えば、シークバーの値が「100%」である場合、決定部134は、これまでに説明したように、指定値をそのまま上限値として用いる。
【0150】
一方、決定部134は、シークバーの値に応じて上限値を変化させてもよい。例えば、決定部134は、シークバーの値が大きいほど上限値を小さくする(ペナルティを大きくする)。例えば、シークバーの値をr(0≦r2)とすると、決定部134は、上限値を「指定値×(1+0.2×(1-r))」のように計算する。この場合、上限値は指定値の0.8倍から1.2倍の間で変化する。
【0151】
例えば、所要時間の指定値が「10時間」であり、シークバーの値が「0%」である場合、r=0なので、決定部134は、上限値を「10時間×(1+(0.2×(1-0%)))=12時間」のように計算する。
【0152】
例えば、費用の指定値が「1000000」であり、シークバーの値が「200%」である場合、r=2なので、決定部134は、上限値を「1000000×(1+(0.2×(1-2)))=800000」のように計算する。
【0153】
決定部134は、危険に関する情報を考慮して優先度を決定することができる。取得部132は、保全計画に対応付けられた危険に関する情報を付加情報として取得する。
【0154】
チェックボックス62eがチェックされている場合、取得部132は、危険情報DB123を参照し、保全計画に対応する危険度を取得する。例えば、保全計画「MT0123」に対応する不具合「DF0151」の位置は「Area_1」である。このため、決定部134は、危険情報DB123から、保全計画「MT0123」の危険度として「中」を取得する。決定部134は、取得した危険度が高いほど保全計画の優先度を小さくする。
【0155】
決定部134は、保全計画ごとの過去に採用された回数及び採用したユーザの熟練度に基づいて優先度を決定することができる。この場合、取得部132は、保全計画ごとの過去に採用された回数及び採用したユーザの熟練度に基づく情報を付加情報として取得する。
【0156】
チェックボックス62fがチェックされている場合、取得部132は、選択履歴DB124から保全計画ごとの選択履歴を取得する。
【0157】
決定部134は、熟練度が「高」のユーザに選択された回数又は割合が多い保全計画ほど、優先度を大きくする。
【0158】
さらに、決定部134は、ユーザからだけではなく、外部から付加情報を取得することができる。例えば、取得部132は、情報提供サーバ40から、天気に関する情報又はプラントの運用計画を付加情報として取得する。
【0159】
例えば、決定部134は、天気に関する情報が雨又は台風になることを示している場合、屋外での作業を伴う保全計画の優先度を小さくする。また、その場合、決定部134は、雨又は台風が始める前に完了する保全計画の優先度を大きくしてもよい。
【0160】
また、例えば、決定部134は、プラントの運用計画が、一定の日数以内にプラント全体の保全計画が行われることを示している場合、当該全体の保全計画に含まれる内容と同様の保全計画の優先度を小さくする。
【0161】
また、例えば、決定部134は、プラントの運用計画とともに交換部品の在庫状況に応じて、一定の期間におけるプラントの縮退運転が許可されるか否かを判定する。また、決定部134は、情報提供サーバ40から、プラントの縮退運転が許可されている期間及び許可されていない期間を取得してもよい。そして、決定部134は、縮退運転が許可されていない期間においては、縮退運転を伴う保全計画の優先度を小さくする。
【0162】
また、例えば、決定部134は、プラントの運用計画により、生成物の生産を止めることができないことが示されている場合、プラントの稼働を止める必要がない保全計画の優先度を大きくする。なお、決定部134は、プラントの稼働を止める必要があるか否かを、保全計画の「必要な準備」、「安全要件」といった項目から判断する。
【0163】
また、例えば、決定部134は、プラントの停止及び縮退運転が許可されていない期間においては、応急的な保全計画の優先度を大きくする。例えば、決定部134は、ユーザの入力にかかわらず、所要時間を重視して優先度を決定することで、応急的な保全計画の優先度を大きくする。
【0164】
このように、決定部134は、保全計画検索画面62を介してユーザの要望を取得する。シークバーの値及び指定値がユーザの要望に取得する。また、決定部134は、取得したユーザの要望に基づいて制約条件を生成する。制約条件は、ユーザの要望に応じた優先度を決定するための条件である。
【0165】
なお、決定部134は、特定部133によって計算された項目スコアに応じて、優先度を変化させてもよい。例えば、決定部134は、項目スコアの合計値が大きい項目ほど、重みw1、w3、w3類を小さくすることで、優先度を大きくする。これにより、ユーザが重視する傾向にある項目が優先度に大きく影響を与えるようになる。
【0166】
図14は、保全計画検索画面の一例を示す図である。
図14に示すように、
図13と異なる付加情報が入力された場合、決定部134によって計算される優先度が変化し、検索結果62jにおける保全計画の表示順序が変化する。
【0167】
このように、表示制御部131は、優先度に応じて保全計画を提示する。表示制御部131は、優先度が大きい保全計画ほど、リストの上側に表示する。また、表示制御部131は、優先度が基準値以下の保全計画を非表示にしてもよい。また、表示制御部131は、優先度が上位の一定数の保全計画をフォント及びスタイルの差別化により強調して表示してもよい。
【0168】
図13及び
図14に示すボタン62iが押下されると、表示制御部131は、管理者用端末装置20にグラフ表示画面を表示させる。
図15は、グラフ表示画面の一例を示す図である。
【0169】
図15に示すように、グラフ表示画面63においては、2つの軸で表現される座標平面に、「MT0211」、「MT0213」、「MT0215」といった保全計画を表す図形が配置される。
【0170】
グラフ表示画面63における横軸は保全計画の費用である。グラフ表示画面63における縦軸は保全計画の要員数と所要時間を掛けて得られる工数である。許容値は、付加情報を基に計算された値である。表示制御部131は、保全計画検索画面62に入力される指定値を許容値としてもよいし、指定値から計算された値を許容値としてもよい。
【0171】
また、保全計画を表す各図形のパターンの密度は、危険度を表している。表示制御部131は、危険情報DB123に基づく危険度が大きい保全計画ほど、パターンの密度を濃く表示する。
【0172】
グラフ表示画面63によれば、ユーザは、優先度にかかわらず、要員数、所要時間、費用といった項目の値が最も小さい保全計画を把握することができる。また、表示制御部131は、保全計画検索画面62において、検索結果62jとは別に、要員数、所要時間、費用といった項目の値が最も小さい保全計画を表示してもよい。
【0173】
更新部135は、提示する処理によって提示された保全計画のうち、ユーザによって選択された保全計画の情報を記録する。具体的には、更新部135は、選択結果に応じて選択履歴DB124を更新する。
【0174】
例えば、
図13の検索結果62jの優先順位は総合順位に相当する。また、「MT0211」、「MT0213」、「MT0215」の3件が特定部133によって特定されたものとする。
【0175】
例えば、
図13において「MT0211」が選択された場合、更新部135は、「保全計画ID」が「MT0211」、「総合順位」が「2位」、「要員数順位」が「2位」、「所要時間順位」が「1位」、「費用順位」が「2位」のレコードを選択履歴DB124に追加する。
【0176】
[処理の流れ]
図16は、推薦装置の推薦処理の流れを示すフローチャートである。
図16に示すように、まず、推薦装置10は、不具合情報を取得する(ステップS101)。不具合情報は、例えばエンジニア用端末装置30を介して入力される。
【0177】
次に、推薦装置10は、付加情報を取得する(ステップS102)。例えば、ステップS102以降の処理は、管理者用端末装置20からの要求に応じて開始される。
【0178】
推薦装置10は、取得した不具合及び蓄積済みの保全計画の履歴をレーティングテーブルに変換する(ステップS103)。
【0179】
ここで、推薦装置10は、選択履歴DB124を基に、類似度の計算対象の各要素の重み(例えば、項目ごとの項目スコア)を計算する(ステップS104)。そして、推薦装置10は、レーティングテーブルを基に、不具合情報が示す不具合に類似する不具合を抽出する(ステップS105)。さらに、推薦装置10は、抽出した不具合に対応付けられた保全計画を特定する(ステップS106)。
【0180】
ここで、推薦装置10は、特定した保全計画のそれぞれの優先度を、付加情報を基に決定する(ステップS107)。例えば、推薦装置10は、保全計画の要員数、所要時間及び費用に基づいて優先度を決定する。
【0181】
そして、推薦装置10は、特定した保全計画を優先度に応じて提示する(ステップS108)。例えば、推薦装置10は、優先度が大きい保全計画ほど、画面に表示されるリストの上の方に掲載する。
【0182】
図17は、推薦装置の推薦処理の流れを示すフローチャートである。
図17に示すように、まず、推薦装置10は、保全計画の選択結果を受け付ける(ステップS201)。例えば、推薦装置10は、保全計画検索画面62を介して選択結果を受け付ける。
【0183】
次に、推薦装置10は、選択結果を選択履歴DBに追加する(ステップS202)。これにより、保全計画の選択結果が、次回以降推薦される保全計画に影響を与えるようになる。
【0184】
[効果]
これまで説明してきたように、実施形態の推薦装置10は、取得部132、特定部133、及び決定部134を有する。取得部132は、プラントで発生した不具合の情報である不具合情報、及び不具合情報と異なる付加情報を取得する。特定部133は、不具合と対応付けられてあらかじめ蓄積された保全計画の情報の中から、不具合情報が示す不具合に類似する不具合に対応付けられた保全計画を特定する。決定部134は、特定された保全計画のそれぞれの優先度を、付加情報に基づいて決定する。
【0185】
このように、推薦装置10は、複数の保全計画のうち、ユーザによって現実的に採用され得る保全計画を優先して推薦することができる。その結果、本実施形態によれば、ユーザの業務の効率が向上する。
【0186】
また、取得部132は、取得する処理は、ユーザによって入力された要望、又は要望を基に生成された制約条件である付加情報を取得する。これにより、推薦装置10は、提示する保全計画にユーザの意向を反映させることができる。
【0187】
取得部132は、保全計画に対応付けられた要員数、許容時間及び費用のそれぞれを重視する度合いを付加情報として取得する。これにより、推薦装置10は、人的コスト、時間的コスト及び金銭的コストの観点から、ユーザに有利な保全計画を提示することができる。
【0188】
取得部132は、保全計画に対応付けられた危険に関する情報を付加情報として取得する。これにより、推薦装置10は、危険を回避可能な保全計画を優先して提示することができる。
【0189】
取得部132は、保全計画ごとの過去に採用された回数及び採用したユーザの熟練度に基づく情報を付加情報として取得する。これにより、推薦装置10は、過去に熟練度の高いユーザに選択された実績のある保全計画を提案することができる。
【0190】
取得部132は、天気に関する情報を付加情報として取得する。これにより、推薦装置10は、天気の影響により保全計画が実施できなくなることを防止することができる。
【0191】
取得部132は、プラントの運用計画を付加情報として取得する。これにより、推薦装置10は、ユーザが、不具合の対応だけでなくプラント全体の運用に適合した保全計画を選択することを支援することができる。
【0192】
これまで説明してきたように、実施形態の推薦装置10は、表示制御部131、取得部132、特定部133、決定部134及び更新部135を有する。取得部132は、プラントで発生した不具合の情報である不具合情報を取得する。特定部133は、不具合と対応付けられてあらかじめ蓄積された保全計画の情報の中から、不具合情報が示す不具合に類似する不具合に対応付けられた保全計画を、過去にユーザが選択した保全計画の傾向に基づいて特定する。表示制御部131は、特定する処理によって特定された保全計画を提示する。
【0193】
このように、推薦装置10は、過去にユーザが選択した保全計画の傾向を考慮して保全計画を提示することができる。その結果、本実施形態によれば、よりユーザの意向に合った保全計画を提示できるため、ユーザの業務の効率が向上する。
【0194】
更新部135は、提示する処理によって提示された保全計画のうち、ユーザによって選択された保全計画の情報を記録する。特定部133は、特定する処理は、記録する処理によって記録された情報から得られる傾向に基づいて、保全計画を特定する。このように、推薦装置10は、ユーザの選択結果をフィードバックとして取得し、そのフィードバックを蓄積していくことで、ユーザの意向に合った保全計画の推薦精度を向上させることができる。
【0195】
特定部133は、過去にユーザが選択した保全計画の要員数、許容時間及び費用の傾向に基づいて、保全計画を特定する。これにより、推薦装置10は、人的コスト、時間的コスト及び金銭的コストをユーザがどの程度重要視するか考慮して保全計画を提示することができる。
【0196】
特定部133は、保全計画に対応付けられた危険度の傾向に基づいて、保全計画を特定する。これにより、推薦装置10は、より安全な保全計画を選択したいというユーザの意向に合った保全計画を提示することができる。
【0197】
特定部133は、過去に保全計画を選択したユーザの熟練度に基づいて、保全計画を特定する。これにより、推薦装置10は、過去に熟練度の高いユーザに選択された実績のある保全計画を提示することができる。
【0198】
[システム]
上記文書中や図面中で示した処理手順、制御手順、具体的名称、各種のデータやパラメータを含む情報については、特記する場合を除いて任意に変更することができる。
【0199】
また、図示した各装置の各構成要素は機能概念的なものであり、必ずしも物理的に図示の如く構成されていることを要しない。すなわち、各装置の分散や統合の具体的形態は図示のものに限られない。つまり、その全部又は一部を、各種の負荷や使用状況等に応じて、任意の単位で機能的又は物理的に分散・統合して構成することができる。
【0200】
さらに、各装置にて行なわれる各処理機能は、その全部又は任意の一部が、CPU及び当該CPUにて解析実行されるプログラムにて実現され、あるいは、ワイヤードロジックによるハードウェアとして実現され得る。
【0201】
[ハードウェア]
次に、推薦装置10のハードウェア構成例を説明する。
図18は、ハードウェア構成例を説明する図である。
図18に示すように、推薦装置10は、通信装置10a、HDD(Hard Disk Drive)10b、メモリ10c、プロセッサ10dを有する。また、
図18に示した各部は、バス等で相互に接続される。
【0202】
通信装置10aは、ネットワークインタフェースカード等であり、他のサーバとの通信を行う。HDD10bは、
図4に示した機能を動作させるプログラムやDBを記憶する。
【0203】
プロセッサ10dは、
図4に示した各処理部と同様の処理を実行するプログラムをHDD10b等から読み出してメモリ10cに展開することで、
図2等で説明した各機能を実行するプロセスを動作させる。例えば、このプロセスは、推薦装置10が有する各処理部と同様の機能を実行する。具体的には、プロセッサ10dは、表示制御部131、取得部132、特定部133、決定部134及び更新部135等と同様の機能を有するプログラムをHDD10b等から読み出す。そして、プロセッサ10dは、表示制御部131、取得部132、特定部133、決定部134及び更新部135等と同様の処理を実行するプロセスを実行する。
【0204】
このように、推薦装置10は、プログラムを読み出して実行することで推薦方法を実行する推薦装置として動作する。また、推薦装置10は、媒体読取装置によって記録媒体から上記プログラムを読み出し、読み出された上記プログラムを実行することで上記した実施例と同様の機能を実現することもできる。なお、この他の実施例でいうプログラムは、推薦装置10によって実行されることに限定されるものではない。例えば、他のコンピュータ又はサーバがプログラムを実行する場合や、これらが協働してプログラムを実行するような場合にも、本発明を同様に適用することができる。
【0205】
このプログラムは、インターネット等のネットワークを介して配布することができる。また、このプログラムは、ハードディスク、フレキシブルディスク(FD)、CD-ROM、MO(Magneto-Optical disk)、DVD(Digital Versatile Disc)等のコンピュータで読み取り可能な記録媒体に記録され、コンピュータによって記録媒体から読み出されることによって実行することができる。
【0206】
開示される技術的特徴の組合せのいくつかの例を以下に記載する。
【0207】
(1)
コンピュータが、
プラントで発生した不具合の情報である不具合情報を取得し、
不具合と対応付けられてあらかじめ蓄積された保全計画の情報の中から、前記不具合情報が示す不具合に類似する不具合に対応付けられた保全計画を、過去にユーザが選択した保全計画の傾向に基づいて特定し、
前記特定する処理によって特定された保全計画を提示する
処理を実行することを特徴とする推薦方法。
(2)
前記提示する処理によって提示された保全計画のうち、ユーザによって選択された保全計画の情報を記録する処理をさらに実行し、
前記特定する処理は、前記記録する処理によって記録された情報から得られる傾向に基づいて、保全計画を特定することを特徴とする(1)に記載の推薦方法。
(3)
前記特定する処理は、過去にユーザが選択した保全計画の要員数、許容時間及び費用の傾向に基づいて、保全計画を特定することを特徴とする(1)又は(2)に記載の推薦方法。
(4)
前記特定する処理は、保全計画に対応付けられた危険度の傾向に基づいて、保全計画を特定することを特徴とする(1)~(3)のいずれか1つに記載の推薦方法。
(5)
前記特定する処理は、過去に保全計画を選択したユーザの熟練度に基づいて、保全計画を特定することを特徴とする(1)~(4)のいずれか1つに記載の推薦方法。
(6)
コンピュータに、
プラントで発生した不具合の情報である不具合情報を取得し、
不具合と対応付けられてあらかじめ蓄積された保全計画の情報の中から、前記不具合情報が示す不具合に類似する不具合に対応付けられた保全計画を、過去にユーザが選択した保全計画の傾向に基づいて特定し、
前記特定する処理によって特定された保全計画を提示する
処理を実行させることを特徴とする推薦プログラム。
(7)
プラントで発生した不具合の情報である不具合情報を取得する取得部と、
不具合と対応付けられてあらかじめ蓄積された保全計画の情報の中から、前記不具合情報が示す不具合に類似する不具合に対応付けられた保全計画を、過去にユーザが選択した保全計画の傾向に基づいて特定する特定部と、
前記特定部によって特定された保全計画を提示する提示部と、
を有することを特徴とする推薦装置。
【符号の説明】
【0208】
10 推薦装置
11 通信部
12 記憶部
13 制御部
61 不具合報告画面
62 保全計画検索画面
63 グラフ表示画面
61a、61b、61c プルダウンリスト
61d、61e、621b、621c、621d テキストボックス
61f、62h、62i ボタン
62e、62f、62g チェックボックス
622b、622c、622d シークバー
62j 検索結果
121 不具合DB
122 保全計画DB
123 危険情報DB
124 選択履歴DB
131 表示制御部
132 取得部
133 特定部
134 決定部
135 更新部