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特開2024-146410二酸化炭素回収システム装置、及び二酸化炭素回収方法
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  • 特開-二酸化炭素回収システム装置、及び二酸化炭素回収方法 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024146410
(43)【公開日】2024-10-15
(54)【発明の名称】二酸化炭素回収システム装置、及び二酸化炭素回収方法
(51)【国際特許分類】
   B01D 53/06 20060101AFI20241004BHJP
   C01B 32/50 20170101ALI20241004BHJP
【FI】
B01D53/06 100
C01B32/50
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023059277
(22)【出願日】2023-03-31
(71)【出願人】
【識別番号】000001834
【氏名又は名称】三機工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003199
【氏名又は名称】弁理士法人高田・高橋国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】富田 弘明
(72)【発明者】
【氏名】定塚 徹治
【テーマコード(参考)】
4D012
4G146
【Fターム(参考)】
4D012CA03
4D012CC04
4D012CC05
4D012CD01
4D012CE02
4D012CF08
4D012CH06
4D012CK01
4D012CK03
4G146JA02
4G146JC08
4G146JC35
4G146JC36
(57)【要約】
【課題】ロータを用いて二酸化炭素の回収量を向上させることができる技術を提供する。
【解決手段】二酸化炭素回収システム1は、処理対象空気に含まれる二酸化炭素を濃縮するロータ2と、ロータ2で濃縮された二酸化炭素を含む空気を摂氏0℃以上で冷却して大気圧の膨張により液化二酸化炭素が得られる圧力まで圧縮するコンプレッサ20と、コンプレッサ20で圧縮された二酸化炭素を含む空気を冷却して貯蔵しながら液化二酸化炭素を分離する冷却貯蔵装置30と、コンプレッサ20にて圧縮された高温高圧空気の熱を処理対象空気と同じ濃度の二酸化炭素を含む空気を加熱するのに用いられ、ロータを加熱再生するヒーター部50と、を備える。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
処理対象空気に含まれる二酸化炭素を濃縮するロータと、
前記ロータで濃縮された二酸化炭素を含む空気を摂氏0℃以上で冷却して大気圧下での膨張により液化二酸化炭素が得られる温度になる圧力まで圧縮するコンプレッサと、
前記コンプレッサで圧縮された二酸化炭素を含む空気を冷却して貯蔵しながら前記液化二酸化炭素を分離する冷却貯蔵装置と、
前記コンプレッサにて圧縮された高温高圧空気の熱を前記処理対象空気と同じ濃度の二酸化炭素を含む空気を加熱するのに用いられ、前記ロータを加熱再生するヒーター部と、
を備える
ことを特徴とする二酸化炭素回収システム。
【請求項2】
請求項1に記載の二酸化炭素回収システムであって、
前記ロータは、二酸化炭素を吸着する第1エリアと、前記第1エリアで吸着された二酸化炭素を脱離する第2エリアとを含み、
二酸化炭素を吸着する前記第1エリアの温度は基準温度未満であり、二酸化炭素を脱離する前記第2エリアの温度は前記基準温度よりも高い所定温度以上であり、
前記ヒーター部は、前記第2エリアの入力側に設けられている
ことを特徴とする二酸化炭素回収システム。
【請求項3】
請求項1に記載の二酸化炭素回収システムであって、
前記冷却貯蔵装置の冷却に用いられる冷熱媒を冷却する冷却装置と、
再生空気をロータに流入するダクトにおいて前記ロータの出口と前記コンプレッサの入口との間に設置され、前記冷却装置で冷却された冷熱媒を流出する配管を分岐した分岐配管に接続され、前記冷熱媒の熱を再生空気に与えるクーラー部と、
前記コンプレッサの出口と前記冷却貯蔵装置の入口とを繋ぐダクトにおける前記冷却貯蔵装置の入口前に設置され、前記液化二酸化炭素を分離して除去した後の加圧空気を前記冷却貯蔵装置から膨張機に流出する配管に接続され、前記冷却貯蔵装置に流入される液化前の二酸化炭素を含む再生空気を冷却する熱回収熱交換器と、
を更に備える
ことを特徴とする二酸化炭素回収システム。
【請求項4】
請求項2に記載の二酸化炭素回収システムであって、
前記第2エリアから脱離された二酸化炭素を吸着する第3エリアと前記第3エリアに吸着された二酸化炭素を脱離する第4エリアとを有し、前記ロータで濃縮された二酸化炭素を更に濃縮する第1ロータと、
前記第3エリアを通り、且つ、一方が前記第2エリアの出力側と接続され、且つ、他方が前記第2エリアの入力側に設けられた配管と接続される第1の配管と、
前記第1の配管上に設けられ、前記第3エリアを冷却する第1冷却装置と、
前記第1の配管上に設けられ、前記第3エリアから排出される空気を用いて前記第4エリアを加熱する第1加熱装置と、
一方が前記第1の配管における前記第1加熱装置の出力側と接続され、他方が前記第4エリアの入力側と接続される第2の配管と、
前記第2の配管上に設けられ、少なくとも前記コンプレッサから排出される熱を用いて前記第4エリアを加熱する第1ヒーター部と、
一方が前記第1ヒーター部の冷却側と接続され、他方が前記コンプレッサの出力側に設けられた配管と接続される第3の配管と、
一方が前記第1ヒーター部と接続され、他方が前記ヒーター部で加熱された空気を前記冷却貯蔵装置に向かって送る配管と接続される第4の配管と、
を更に備える
ことを特徴とする二酸化炭素回収システム。
【請求項5】
請求項4に記載の二酸化炭素回収システムであって、
二酸化炭素を吸着する前記第3エリアの温度は第1基準温度未満であり、二酸化炭素を脱離する前記第4エリアの温度は前記第1基準温度よりも高い第1所定温度以上である
ことを特徴とする二酸化炭素回収システム。
【請求項6】
請求項4に記載の二酸化炭素回収システムであって、
前記第4エリアから脱離された二酸化炭素を吸着する第5エリアと前記第5エリアに吸着された二酸化炭素を脱離する第6エリアとを有し、前記第1ロータで濃縮された二酸化炭素を更に濃縮する第2ロータと、
前記第5エリアを通り、且つ、一方が前記第4エリアの出力側と接続され、且つ、他方が前記第4エリアの入力側に設けられた前記第2の配管と接続される第5の配管と、
前記第5の配管上に設けられ、前記第5エリアを冷却する第2冷却装置と、
前記第5の配管上に設けられ、前記第5エリアから排出される空気を用いて前記第6エリアを加熱する第2加熱装置と、
一方が前記第5の配管における前記第2加熱装置の出力側と接続され、他方が前記第6エリアの入力側と接続される第6の配管と、
前記第6の配管上に設けられ、少なくとも前記コンプレッサから排出される熱を用いて前記第6エリアを加熱する第2ヒーター部と、
一方が前記第2ヒーター部の冷却側と接続され、他方が前記コンプレッサの出力側に設けられた配管と接続される第7の配管と、
一方が前記第2ヒーター部と接続され、他方が前記ヒーター部で加熱された空気を前記冷却貯蔵装置に向かって送る配管と接続される第8の配管と、
を更に備える
ことを特徴とする二酸化炭素回収システム。
【請求項7】
請求項6に記載の二酸化炭素回収システムであって、
二酸化炭素を吸着する前記第5エリアの温度は第2基準温度未満であり、二酸化炭素を脱離する前記第6エリアの温度は前記第2基準温度よりも高い第2所定温度以上である
ことを特徴とする二酸化炭素回収システム。
【請求項8】
請求項6に記載の二酸化炭素回収システムであって、
前記第2エリア、前記第4エリア、及び前記第6エリアを更に加熱するヒートポンプを更に備える
ことを特徴とする二酸化炭素回収システム。
【請求項9】
処理対象空気に含まれる二酸化炭素をロータで吸収した後に高温空気の間接熱交換で加熱再生して濃縮して取り出すことと、
前記ロータで濃縮された二酸化炭素を含む空気をコンプレッサで圧縮して加圧加熱空気として冷却貯蔵装置に圧送することと、
前記コンプレッサで圧縮され圧送された二酸化炭素を含む加圧空気を冷却貯蔵装置で冷却して液化二酸化炭素を分離することと、
少なくとも前記コンプレッサで圧縮された二酸化炭素を含む空気の保有する熱を用いて前記ロータを加熱再生することと、
を含む
ことを特徴とする二酸化炭素回収方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、空気中の低濃度の二酸化炭素を回収する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1は、ロータを用いてボイラや燃焼炉などからの排ガス中の二酸化炭素を回収する技術を開示する。この技術では、ガスが流れる方向に貫通孔を有し、且つ、ガスの触れる面に二酸化炭素吸収剤を保持するロータを用いたTSA(Thermal Swing Adsorption)法と呼ばれる手法により二酸化炭素が回収される。具体的には、一つのロータの通気部の中に高温部と低温部とが設けられ、ロータを回転させることにより低温部において二酸化炭素が吸収(吸着)され、高温部において吸着された二酸化炭素が分離(脱着)される。これにより、ボイラや燃焼炉などからの排ガス中の二酸化炭素が効率よく脱着される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2001-116476号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、近年、地球温暖化の観点から、温室効果ガスに含まれる大気中の二酸化炭素を削減する方法として、大気中の二酸化炭素を回収及び利用するCCU(Carbon dioxide Capture and Utilization)の取り組みが期待されている。しかし、特許文献1の技術で想定されている排ガス中の二酸化炭素は10%以上と高濃度であり、そこから二酸化炭素濃度100%のガスが発生する。この場合、ロータを用いて二酸化炭素を同じ比率で濃縮できたとしても、大気中の低濃度の二酸化炭素(400~500ppm)からは、数%程度の二酸化炭素濃度のガスしか得られない。このため、大気中の二酸化炭素を高濃度で回収することは難しい。
【0005】
更に、ロータにより分離された二酸化炭素ガスを気体として回収する場合、二酸化炭素ガスが利用されるまでの期間はガスタンクで保管することとなり、莫大なタンクスペースの確保が必要とされる。
【0006】
本開示の1つの目的は、ロータを用いて二酸化炭素を回収するにあたり、さらなる濃縮分離のための空気圧縮による液化二酸化炭素の取り出しと、圧縮された高温高圧の空気の保有熱をロータの再生に用いることができる技術を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示の第1の観点は、二酸化炭素回収システムに関連する。二酸化炭素回収システムは、処理対象空気に含まれる二酸化炭素を濃縮するロータと、ロータで濃縮された二酸化炭素を含む空気を摂氏0℃以上で冷却して大気圧下での膨張により液化二酸化炭素が得られる温度になる圧力まで圧縮するコンプレッサと、コンプレッサで圧縮された二酸化炭素を含む空気を冷却して貯蔵しながら前記液化二酸化炭素を分離する冷却貯蔵装置と、コンプレッサにて圧縮された高温高圧空気の熱を処理対象空気と同じ濃度の二酸化炭素を含む空気を加熱するのに用いられ、当該ロータを加熱再生するヒーター部と、を備える。
【0008】
本開示の第2の観点は、第1の観点に加えて、次の特徴を更に有する二酸化炭素回収システムに関連する。ロータは、二酸化炭素を吸着する第1エリアと、第1エリアで吸着された二酸化炭素を脱離する第2エリアとを含む。また、二酸化炭素を吸着する第1エリアの温度は基準温度未満であり、二酸化炭素を脱離する第2エリアの温度は基準温度よりも高い所定温度以上である。更に、ヒーター部は、第2エリアの入力側に設けられている。
【0009】
本開示の第3の観点は、第1の観点に加えて、次の特徴を更に有する二酸化炭素回収システムに関連する。二酸化炭素回収システムは、冷却貯蔵装置の冷却に用いられる冷熱媒を冷却する冷却装置と、再生空気をロータに流入するダクトにおいてロータの出口とコンプレッサの入口との間に設置され、冷却装置で冷却された冷熱媒を流出する配管を分岐した分岐配管に接続され、冷熱媒の熱を再生空気に与えるクーラー部と、コンプレッサの出口と冷却貯蔵装置の入口との間をつなぐダクトにおける冷却貯蔵装置の入口前に設置され、液化二酸化炭素を分離して除去した後の加圧空気を冷却貯蔵装置から膨張機に流出する配管に接続され、冷却貯蔵装置に流入される液化前の二酸化炭素を含む再生空気を冷却する熱回収熱交換器と、を更に備える。
【0010】
本開示の第4の観点は、第1の観点に加えて、次の特徴を更に有する二酸化炭素回収システムに関連する。二酸化炭素回収システムは、第2エリアから脱離された二酸化炭素を吸着する第3エリアと第3エリアに吸着された二酸化炭素を脱離する第4エリアとを有し、ロータで濃縮された二酸化炭素を更に濃縮する第1ロータと、第3エリアを通り且つ一方が第2エリアの出力側と接続され且つ他方が第2エリアの入力側に設けられた配管と接続される第1の配管と、第1の配管上に設けられ第3エリアを冷却する第1冷却装置と、第1の配管上に設けられ第3エリアから排出される空気を用いて第4エリアを加熱する第1加熱装置と、一方が第1の配管における第1加熱装置の出力側と接続され他方が前記第4エリアの入力側と接続される第2の配管と、第2の配管上に設けられ少なくともコンプレッサから排出される熱を用いて第4エリアを加熱する第1ヒーター部と、一方が前記第1ヒーター部の冷却側と接続され他方がコンプレッサの出力側に設けられた配管と接続される第3の配管と、一方が第1ヒーター部と接続され他方がヒーター部で加熱された空気を冷却貯蔵装置に向かって送る配管と接続される第4の配管と、を更に備える。
【0011】
本開示の第5の観点は、第4の観点に加えて、次の特徴を更に有する二酸化炭素回収システムに関連する。二酸化炭素回収システムは、二酸化炭素を吸着する第3エリアの温度は第1基準温度未満であり、二酸化炭素を脱離する第4エリアの温度は第1基準温度よりも高い第1所定温度以上である。
【0012】
本開示の第6の観点は、第4の観点に加えて、次の特徴を更に有する二酸化炭素回収システムに関連する。二酸化炭素回収システムは、第4エリアから脱離された二酸化炭素を吸着する第5エリアと第5エリアに吸着された二酸化炭素を脱離する第6エリアとを有し、第1ロータで濃縮された二酸化炭素を更に濃縮する第2ロータと、第5エリアを通り且つ一方が第4エリアの出力側と接続され且つ他方が第4エリアの入力側に設けられた第2の配管と接続される第5の配管と、第5の配管上に設けられ第5エリアを冷却する第2冷却装置と、第5の配管上に設けられ第5エリアから排出される空気を用いて第6エリアを加熱する第2加熱装置と、一方が第5の配管における第2加熱装置の出力側と接続され他方が第6エリアの入力側と接続される第6の配管と、第6の配管上に設けられ少なくともコンプレッサから排出される熱を用いて第6エリアを加熱する第2ヒーター部と、一方が第2ヒーター部の冷却側と接続され他方がコンプレッサの出力側に設けられた配管と接続される第7の配管と、一方が第2ヒーター部と接続され他方がヒーター部で加熱された空気を冷却貯蔵装置に向かって送る配管と接続される第8の配管と、を更に備える。
【0013】
本開示の第7の観点は、第6の観点に加えて、次の特徴を更に有する二酸化炭素回収システムに関連する。二酸化炭素回収システムは、二酸化炭素を吸着する第5エリアの温度は第2基準温度未満であり、二酸化炭素を脱離する第6エリアの温度は第2基準温度よりも高い第2所定温度以上である。
【0014】
本開示の第8の観点は、第6の観点に加えて、次の特徴を更に有する二酸化炭素回収システムに関連する。二酸化炭素回収システムは、第2エリア、第4エリア、及び第6エリアを更に加熱するヒートポンプを更に備える。
【0015】
本開示の第9の観点は、二酸化炭素回収方法に関連する。二酸化炭素回収方法は、処理対象空気に含まれる二酸化炭素をロータで吸収した後に高温空気の間接熱交換で加熱再生して濃縮して取り出すことと、ロータで濃縮された二酸化炭素を含む空気をコンプレッサで圧縮して加圧加熱空気として冷却貯蔵装置に圧送することと、コンプレッサで圧縮され圧送された二酸化炭素を含む加圧空気を冷却貯蔵装置で冷却して液化二酸化炭素を分離することと、少なくともコンプレッサで圧縮された二酸化炭素を含む空気の保有する熱を用いてロータを加熱再生することと、を含む。
【発明の効果】
【0016】
本開示の技術によれば、ロータを用いて二酸化炭素を回収するにあたり、さらなる濃縮分離のための空気圧縮による液化二酸化炭素が取り出される。更に、コンプレッサにより圧縮された高温高圧の空気の保有熱がロータの再生に用いられる。これにより、ロータを用いて二酸化炭素を利用しやすい形で行いながら、二酸化炭素の回収量を向上させることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】実施の形態1に係る二酸化炭素回収システムの構成例を示す図である。
図2】実施の形態1に係る二酸化炭素回収システムの具体例を示す図である。
図3】実施の形態1に係る二酸化炭素回収システムの具体例を示す図である。
図4】実施の形態2に係る二酸化炭素回収システムの構成例を示す図である。
図5】実施の形態3に係る二酸化炭素回収システムの構成例を示す図である。
図6】実施の形態4に係る二酸化炭素回収システムの構成例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
添付図面を参照して、本開示の実施の形態に係る二酸化炭素回収システム、及び二酸化炭素回収方法について説明する。
【0019】
1.実施の形態1
1-1.二酸化炭素回収システムの構成例
図1は、実施の形態1に係る二酸化炭素回収システム1の構成例を示す図である。二酸化炭素回収システム1は、ロータ2、コンプレッサ20、冷却貯蔵装置30、膨張機40、ヒーター部50、クーラー部60、冷却装置70、及び熱回収熱交換器80を含んでいる。また、二酸化炭素回収システム1は、空気や液化二酸化炭素を通す配管6A,6B,6C,6D,6E,6F,6G,6Hを含んでいる。二酸化炭素回収システム1は、図1に示すように、当該配管6A,6B,6C,6D,6E,6F,6G,6Hを用いて、ロータ2、コンプレッサ20、冷却貯蔵装置30、膨張機40、ヒーター部50、クーラー部60、及び熱回収熱交換器80のそれぞれの気体側を接続している。具体的には、ロータ2は、二酸化炭素の吸収元としての処理対象空気をロータ2の低温側に通してロータ2に吸着して分離された空気中の二酸化炭素の一部をそのまま排気する配管6Aと、再生空気としての処理対象空気をヒーター部50の加熱側、ロータ2の高温側、クーラー部60の気体側、コンプレッサ20の順に送る配管6Bとに接続されている。尚、ヒーター部50としては、気体-気体熱交換器が例示される。また、配管6A、配管6Bは、例えば、空気を流入するダクトである。更に、配管6Dは、例えば、コンプレッサ20の出口と冷却貯蔵装置30の入口とを繋ぐダクトであってもよい。
【0020】
コンプレッサ20は、低圧空気を流入する入力側が配管6Bに接続され、コンプレッサ20で圧縮された高圧高温空気を流出する出力側が配管6Cに接続されている。配管6Cとは、コンプレッサ20で圧縮された高圧高温空気をヒーター部50の冷却側まで送る配管のことである。
【0021】
ヒーター部50は、加熱側が配管6Bに接続され、冷却側が配管6Cに接続され、冷却側で処理対象空気に熱を与えることで冷却された高圧中温空気を冷却側から熱回収熱交換器80の冷却側まで送る配管6Dに接続されている。また、ヒーター部50は、ロータ2を加熱再生する。
【0022】
熱回収熱交換器80は、冷却側が配管6Dに接続され、熱回収熱交換器80で冷却された高圧空気を冷却貯蔵装置30まで送る配管6Eに接続され、冷却貯蔵装置30において高圧下で冷却され液化二酸化炭素が分離されて含まなくなった加圧空気を熱回収熱交換器80の加熱側へ送る配管6Fに接続され、熱回収熱交換器80の加熱側から膨張機40に至る配管6Gに接続されている。つまり、熱回収熱交換器80は、コンプレッサ20の出口と冷却貯蔵装置30の入口とを繋ぐダクトにおける冷却貯蔵装置30の入口前に設置され、液化CO2を分離して除去した後の加圧空気を冷却貯蔵装置30から膨張機40に流出する配管に接続され、冷却貯蔵装置30に流入される液化前の二酸化炭素を含む再生空気を冷却する。
【0023】
冷却貯蔵装置30は、上述した配管6E及び配管6Fに加えて、更に、配管6Hと、配管7Aとに接続されている。配管6Hとは、冷却貯蔵装置30から分離された液化二酸化炭素を回収する配管のことである。また、配管7Aとは、冷却装置70により冷却される冷熱媒を、冷却装置70と冷却貯蔵装置30の間と、冷却装置70とクーラー部60の間とに循環させるための配管のことである。つまり、クーラー部60は、冷却装置70で冷却された冷熱媒を流出する配管を分岐した分岐配管に接続されている。これにより、冷却貯蔵装置30に高圧空気に同伴されてもたらされる熱を、加圧状態で常温よりも低く、摂氏0℃よりも高い温度まで冷却することができる。尚、冷却装置70としては、冷凍機が例示される。
【0024】
この状態でロータ2を回転させることにより、配管6Aに流入された処理対象空気に含まれる二酸化炭素が回収される。二酸化炭素回収システム1は、屋外に設置されてもよいし、屋内に設置されてもよい。尚、処理対象空気とは、二酸化炭素を含む空気であり、且つ、二酸化炭素回収システム1に流入される空気を意味する。処理対象空気としては、大気中の空気、1%未満の低濃度の二酸化炭素を含有する排ガス、等が例示される。以下、各構成の詳細について説明する。
【0025】
ロータ2は、ガスが流れる方向に貫通孔を有し、且つ、ガスの触れる面に二酸化炭素吸収剤を保持した装置であり、処理対象空気に含まれる二酸化炭素を濃縮する。ロータ2は、一方向に回転する回転機構を有しており、任意の回転速度で回転を行う。回転速度は、例えば、ロータに接続された制御装置等により任意の速度が設定される。ロータとしては、ハニカム構造を有するロータ、等が例示される。
【0026】
また、ロータ2は、二酸化炭素を吸着する第1エリア11と、第1エリア11で吸着された二酸化炭素を前述した処理対象空気とは別の加熱された空気へ脱離する第2エリア12とを含んでいる。第1エリア11と第2エリア12のそれぞれの位置は、ロータ2の静止時とロータ2の回転時とで変わらないものとする。つまり、第1エリア11で吸着された二酸化炭素の位置が、ロータ2の回転により、図1に示す第2エリア12の位置となった場合、第1エリア11で吸着された二酸化炭素の位置が第2エリア12に存在するということを意味する。これを踏まえ、ロータ2の回転時における第1エリア11と第2エリア12のそれぞれの温度が所定の温度条件を満たす場合、ロータ2は、二酸化炭素の吸着及び脱離を行う。具体的には、第1エリア11の温度が基準温度(例えば、20℃)未満である場合、ロータ2は、第1エリア11で二酸化炭素の吸着を行う。一方、第2エリア12の温度が基準温度よりも高い所定温度(例えば、160℃)以上である場合、ロータ2は、二酸化炭素を吸着した第1エリア11の位置が第2エリア12の位置となっときに二酸化炭素の脱離を行う。これにより、処理対象空気に含まれる二酸化炭素を別の空気に濃縮させて回収することが可能となる。尚、第1エリア11及び第2エリア12の温度は、例えば、ロータ2の内部に設けられた温度センサから取得した温度であってもよいし、ロータ2と接続された配管6Aと配管6Bの配管上に設けられた温度センサから取得した温度であってもよい。
【0027】
ここで、ロータ2で濃縮された二酸化炭素を回収するときの二酸化炭素の状態について考える。二酸化炭素の回収量としては多い方が望ましい。回収された二酸化炭素を気体のまま貯蔵する場合、例えば、液化天然ガスのように莫大なガスタンクのスペースが必要とされる。また、回収された二酸化炭素を気体のまま搬送する場合、小分けにして搬送する必要があることから非効率である。従って、回収された二酸化炭素を貯蔵するときの二酸化炭素の状態としては、気体よりも体積の小さい液体の状態であることが望まれる。ゆえに、二酸化炭素回収システム1では、圧力を変化させて二酸化炭素の状態を気体から液体にすることが可能なコンプレッサ20が使用される。
【0028】
コンプレッサ20は、ロータ2により濃縮された二酸化炭素を含む空気(以降、第1空気と称す)を圧縮する装置である。具体的には、コンプレッサ20は、ロータ2で濃縮された二酸化炭素を気体から液体に変化させるために高温高圧の気体への圧縮を行う。尚、コンプレッサ20による第1空気の圧縮を行う場合、コンプレッサ20に入力される第1空気の温度を常温に近い温度にして、圧縮後の空気温度をなるべく下げる必要がある。しかし、ロータ2から出力された第1空気は、ロータ2の第2エリア12の温度が所定温度以上の状態で出力されていることから、第1温度の空気は所定温度に近い温度であることが想定される。このため、二酸化炭素回収システム1では、クーラー部60により第1空気の温度が冷却される。クーラー部60は、例えば、クーラー部60に取り付けられた位置の配管7Aの2本のうちクーラー部60の出口側の配管7Aの温度を計測できる温度センサと、温度センサの計測値と設定値との偏差に基づいて冷却装置70からクーラー部60に流入される冷熱媒の量を制御する制御弁とを含んでいる。クーラー部60は、温度センサにより取得した温度が閾値以上の場合、クーラー部60が取り付けられた位置の配管6Cの温度が閾値未満となるように制御弁の開度を開ける制御をおこなってもよい。
【0029】
冷却貯蔵装置30は、コンプレッサ20により高圧された空気を貯蔵しつつ周囲のジャケット等で冷却し、高圧圧力下の二酸化炭素凝縮温度まで冷却して液化された二酸化炭素(以降、液化CO2と称す)を底部で分離する装置である。冷却貯蔵装置30の周囲ジャケットには、冷却装置70で冷却された冷熱媒が多量に循環され、その循環量を制御することにより、液化CO2として底部にて分離できる凝縮温度以下を保つのに適した温度が冷熱媒に設定されている。例えば、冷却貯蔵装置30では、コンプレッサ20と冷却貯蔵装置30の冷却ジャケットにより内部空気の状態は、圧力が4MPaで設定され、温度が5℃で設定されている。
【0030】
膨張機40は、系統内の高圧を保ちながら大気圧下へ膨張させつつ、冷却貯蔵装置30で液化CO2を分離した後の高圧低温空気を外部へ排出する。具体的には、コンプレッサ20により圧縮されて高温高圧になった空気が、冷却貯蔵装置30の前段のヒーター部50で処理対象空気を加熱することで冷却される。そして、冷却貯蔵装置30の手前まで来た高圧中温空気が冷却貯蔵装置30のエネルギーにより冷却され、冷却貯蔵装置30から出てくる出口空気の冷熱を熱回収熱交換器80に与える、逆に言えば、冷却貯蔵装置30から出てくる高圧低温空気を、冷却貯蔵装置30に入ってくる高圧中温空気により加熱することで、膨張機前の空気温度が上昇される。これにより、断熱膨張での排出空気の低温化を防止することができる。このように、膨張機40を用いることで、高圧下の冷却貯蔵装置30から液化CO2のみを高圧で回収することが可能となる。
【0031】
ヒーター部50は、第2エリア12を加熱するための装置である。ヒーター部50は、加熱側の配管6Bも、コンプレッサ20の出口高温高圧空気が流れる冷却側の配管6Cも全量の空気が流れるので流量制御を行わない。
【0032】
また、ヒーター部50は、図1に示すように、ヒーター部50の冷却側である入力側とコンプレッサ20の出力側が配管6Cで接続されている。つまり、ヒーター部50は、コンプレッサ20から排出される高温高圧空気が保有する圧縮機の仕事からくる熱を利用してロータ2を加熱している。これにより、これにより確実な再生が行われ、二酸化炭素の回収量が向上される。
【0033】
このように、実施の形態1に係る二酸化炭素回収システム1によれば、処理対象空気に含まれる二酸化炭素がロータ2で濃縮される。次に、ロータ2で濃縮された二酸化炭素を含む空気をコンプレッサ20で圧縮することにより摂氏0℃以上の温度場で二酸化炭素が液化可能なまで加圧され高圧になる。更に、冷却貯蔵装置30を用いることによりコンプレッサ20で高圧化された空気を貯蔵して冷却することから凝縮温度以下になって液化された二酸化炭素が分離回収される。また更に、ヒーター部50において、少なくともコンプレッサ20から排出される高温高圧空気の保有する熱を利用してロータ2が加熱される。
【0034】
つまり、実施の形態1に係る二酸化炭素回収システム1では、処理対象空気に含まれる二酸化炭素がロータ2で吸収した後に高温空気の間接熱交換で加熱再生して濃縮して取り出される。そして、ロータで濃縮された二酸化炭素を含む空気をコンプレッサで圧縮して加圧加熱空気として冷却貯蔵装置30に圧送される。その後、コンプレッサ20で圧縮され圧送された二酸化炭素を含む加圧空気を冷却貯蔵装置30で冷却して液化CO2が分離される。更には、少なくともコンプレッサ20で圧縮された二酸化炭素を含む空気の保有する熱を用いてロータ2が加熱再生される。これにより、ロータを用いた二酸化炭素の回収量を向上させることが可能となる。
【0035】
1-2.ロータ使用台数の具体例1
図2は、実施の形態1に係る二酸化炭素回収システム1の具体例を示す図である。具体的には、ロータ2の使用台数ごとにおけるロータ2で濃縮された二酸化炭素の濃度(以下、CO2濃度と称す)の状態が示されている。図2に示すように、ロータ2の使用台数が1台の場合、CO2濃度は最も低くなり、ロータ2の使用台数が2台の場合、CO2濃度はロータ2の使用台数が1台のときのCO2濃度よりも高くなる。また、ロータ2の使用台数が3台の場合、CO2濃度はロータ2の使用台数が2台のときのCO2濃度よりも高くなり、ロータ2の使用台数が4台の場合、CO2濃度はロータ2の使用台数が3台のときのCO2濃度よりも高くなる。つまり、ロータ2で濃縮されたCO2濃度は、ロータ2の使用台数を増やすほど高くなることが言える。例えば、CO2濃度を6倍に濃縮することが可能なロータ2を使用する場合、ロータ2の使用台数が1台増すごとにCO2濃度が6倍ずつ増えていく。従って、二酸化炭素の回収量を増やすには、ロータ2の使用台数は1台に限られず複数台であってもよい。
【0036】
しかしながら、ロータ2の使用台数を複数台にする場合、ロータ2の周辺に存在する装置も増設され、二酸化炭素回収システム1を稼働させる電力量が増大することが想定される。この場合、二酸化炭素回収システム1を稼働させたときの消費電力から換算される二酸化炭素の排出量が二酸化炭素の回収量を上回る可能性がある。従って、ロータ2の使用台数を複数台にする場合、二酸化炭素の回収量が最適となるようにロータ2の使用台数を決定するのが望ましい。
【0037】
1-3.ロータ使用台数の具体例2
図3は、実施の形態1に係る二酸化炭素回収システム1の具体例を示す図である。具体的には、ロータ2の使用台数ごとにおける二酸化炭素回収システム1の性能として、ケース(A)~(C)の3つが示されている。以下、各ケースの詳細を説明する。
【0038】
図3に示すケース(A)では、ロータ2の使用台数における二酸化炭素回収量(以下、CO2回収量と称す)が示されている。ケース(A)に示すように、ロータ2の使用台数が1台の場合、CO2回収量は最も少なくなり、ロータ2の使用台数が2台の場合、CO2回収量はロータ2の使用台数が1台のときのCO2回収量よりも多くなる。また、ロータ2の使用台数が3台の場合、CO2回収量はロータ2の使用台数が2台のときのCO2回収量よりも多くなり、ロータ2の使用台数が4台の場合、CO2回収量はロータ2の使用台数が3台のときのCO2回収量よりも多くなる。つまり、ロータ2の使用台数が1台増すごとにCO2回収量が多くなることが言える。尚、ロータ2の使用台数が1台増すごとに増大するCO2回収量は、例えば、上述したCO2濃度と同様の6倍とされる。
【0039】
図3に示すケース(B)では、ロータ2の使用台数における消費電力が示されている。ケース(B)に示すように、ロータ2の使用台数が1台の場合、消費電力は最も小さくなり、ロータ2の使用台数が2台の場合、消費電力はロータ2の使用台数が1台のときの消費電力よりも大きくなる。また、ロータ2の使用台数が3台の場合、消費電力はロータ2の使用台数が2台のときの消費電力よりも大きくなり、ロータ2の使用台数が4台の場合、消費電力はロータ2の使用台数が3台のときの消費電力よりも大きくなる。つまり、ロータ2の使用台数が1台増すごとに消費電力が大きくなることが言える。尚、ロータ2の使用台数が1台増すごとに増大する消費電力は、例えば、上述したCO2濃度と同様の6倍とされる。
【0040】
図3に示すケース(C)では、ロータ2の使用台数における二酸化炭素の回収効率(以下、CO2回収効率と称す)が示されている。ケース(C)に示すように、ロータ2の使用台数が1台の場合、CO2回収効率は最も低くなり、ロータ2の使用台数が2台の場合、CO2回収効率はロータ2の使用台数が1台のときのCO2回収効率よりも高くなる。また、ロータ2の使用台数が3台の場合、CO2回収効率はロータ2の使用台数が2台のときのCO2回収効率よりも高くなり、ロータ2の使用台数が4台の場合、CO2回収効率はロータ2の使用台数が3台のときのCO2回収効率よりも高くなる。つまり、ロータ2の使用台数が1台増すごとにCO2回収効率が高くなることが言える。尚、ケース(C)では、上述したケース(A)及びケース(B)と異なり、ロータ2の使用台数が1台増やごとに増大するCO2回収効率は、上述したCO2濃度と同様の6倍とならない。
【0041】
より具体的には、ケース(C)では、1段目のロータ2で回収される二酸化炭素のCO2回収効率は85%となり、1段目のロータ2で回収されなかった残りの15%に基づいて、後段のロータ2により回収されることが示されている。つまり、ロータ2の使用台数を4台にする場合、1段目のロータ2で回収されなかった二酸化炭素が2段目のロータ2で回収され、2段目のロータ2で回収されなかった二酸化炭素が3段目のロータ2で回収され、3段目のロータ2で回収されなかった二酸化炭素が4段目のロータ2で回収される。すなわち、ロータ2の使用台数を複数台にする場合、二酸化炭素が数珠つなぎで回収される。
【0042】
更に、ケース(C)では、ロータ2の使用台数を2台以上にする場合、CO2回収効率は100%に近い値となる。つまり、ロータ2の使用台数をある台数以上にした場合、CO2回収効率は飽和状態となる。一方、ケース(B)に示す例では、消費電力は、ロータ2の使用台数が1台増すごとに6倍ずつ増大していく。従って、CO2回収効率が第1所定値以上であり、且つ、消費電力が第2所定値未満である条件を満たすロータ2の使用台数の構成にすることが望ましい。
【0043】
本実施の形態に係る二酸化炭素回収システム1によれば、ロータ2の使用台数が1台または複数台で構成される。尚、ロータ2の使用台数を複数台にする場合の構成例として、ロータ2の使用台数を2台にする構成例を実施の形態2とし、ロータ2の使用台数を3台にする構成例を実施の形態3とする。以下、実施の形態2及び実施の形態3についての詳細を説明する。尚、実施の形態1と重複する部分の説明は省略する。
【0044】
2.実施の形態2
図4は、実施の形態2に係る二酸化炭素回収システム1Aの構成例を示す図である。実施の形態2に係る二酸化炭素回収システム1Aは、第1ロータ3、第1ヒーター部51、第1加熱装置90、及び第1冷却装置100を更に含んでいる。
【0045】
第1ロータ3は、ガスが流れる方向に貫通孔を有し、且つ、ガスの触れる面に二酸化炭素吸収剤を保持した装置であり、ロータ2で濃縮された二酸化炭素を更に濃縮する。第1ロータ3は、ロータ2と同一の機能及び性能を有するロータである。第1ロータ3は、二酸化炭素を吸着する第3エリア13と、第3エリア13に吸着された二酸化炭素を第3エリア13から出てくる排気を加熱した空気と配管6Bに入ってくる処理対象空気を加熱した空気とが混合された空気(第1混合空気)へ脱離する第4エリア14とを含んでいる。第3エリア13と第4エリア14のそれぞれの位置は、第1ロータ3の静止時と第1ロータ3の回転時とで変わらないものとする。第1ロータ3の回転時における第3エリア13と第4エリア14のそれぞれの温度が所定の温度条件を満たす場合、第1ロータ3は、二酸化炭素の吸着及び脱離を行う。具体的には、第3エリア13の温度が第1基準温度未満である場合、第1ロータ3は、第3エリア13で二酸化炭素の吸着を行う。一方、第4エリア14の温度が第1基準温度よりも高い第1所定温度以上である場合、第1ロータ3は、二酸化炭素を吸着した第3エリア13の位置が第4エリア14の位置となったときに二酸化炭素の脱離を行う。これにより、処理対象空気に含まれる二酸化炭素を回収することが可能となる。尚、第1基準温度は、上述した実施の形態1における基準温度と同じであってもよいし、異なっていてもよい。また、第1所定温度は、上述した実施の形態1における所定温度と同じであってもよいし、異なっていてもよい。更に、第3エリア13及び第4エリア14の温度は、例えば、第1ロータ3の内部に設けられた温度センサから取得した温度であってもよいし、第1ロータ3と接続された第1追加配管8Aと第1追加配管8Bの配管上に設けられた温度センサから取得した温度であってもよい。
【0046】
また、第1ロータ3は、第1追加配管8Aと第1追加配管8Bとを用いてロータ2と接続される。第1追加配管8Aとは、第3エリア13を通り、且つ、一方が第2エリア12の出力側と接続され、且つ、他方が第2エリア12の入力側に設けられた配管6Bと接続される配管のことである。第1追加配管8Bとは、一方が第1追加配管8Aにおける第1加熱装置90の出力側と接続され、他方が第4エリア14の入力側と接続される配管のことである。図4に示す例では、配管6Bの間にロータ2と第1ロータ3が設けられている。尚、「第1追加配管8A」は「第1の配管」の一例であり、「第1追加配管8B」は「第2の配管」の一例である。
【0047】
第1ヒーター部51は、第4エリア14を加熱するための装置である。第1ヒーター部51は、第4エリア14の入力側に設けられている。具体的には、第1ヒーター部51は、第1追加配管8B上に設けられている。また、第1ヒーター部51は、加熱側が第1追加配管8Bに接続され、冷却側が第1追加配管8Cの一方に接続されている。第1追加配管8Cの他方は、コンプレッサ20の出力側と繋がる配管6Cに接続されている。これにより、コンプレッサ20で圧縮された高圧高温空気を第1ヒーター部51の冷却側まで送ることができる。更に、第1ヒーター部51は、第1追加配管8Dの一方に接続されている。第1追加配管8Dの他方は、配管6Dに接続されている。これにより、第1ヒーター部51の冷却側で第1混合空気に熱を与えることで冷却された高圧中温空気を冷却側から熱回収熱交換器80の冷却側まで送ることができる。尚、「第1追加配管8C」は「第3の配管」の一例であり、「第1追加配管8D」は「第4の配管」の一例である。
【0048】
第1ヒーター部51は、加熱側の第1追加配管8Bも、コンプレッサ20の出口高温高圧空気が流れる冷却側の配管6Cに接続された第1追加配管8Cも全量の空気が流れるので流量制御を行わない。また、第1ヒーター部51は、図4に示すように、第1ヒーター部51の冷却側である入力側と、他方がコンプレッサ20の出力側に接続された配管6Cとが第1追加配管8Cで接続されている。これにより、確実な再生が行われ、二酸化炭素の回収量が向上される。
【0049】
第1加熱装置90は、第2エリア12を加熱するための装置である。第1加熱装置90は、第1追加配管8A上に設けられている。具体的には、第1加熱装置90は、第2エリア12の入力側に設けられた配管6Bと第3エリア13の出力側との間の第1追加配管8A上に設けられている。第1加熱装置90は、例えば、第1加熱装置90が取り付けられた位置の第1追加配管8Aの温度を計測できる温度センサと、第1追加配管8Aを加熱する配管加熱器とを含んでいる。第1加熱装置90は、温度センサにより取得した温度が閾値未満の場合、第1加熱装置90が取り付けられた位置の第1追加配管8Aの温度が所定温度以上となるように配管加熱器の温度を上げる制御をおこなってもよい。尚、配管加熱器としては、加熱コイル、全熱交換器、等が例示される。
【0050】
第1冷却装置100は、第3エリア13を冷却するための装置である。第1冷却装置100は、第1追加配管8A上に設けられている。具体的には、第1冷却装置100は、第2エリア12の出力側と第3エリア13の入力側との間の第1追加配管8A上に設けられている。第1冷却装置100は、例えば、第1冷却装置100が取り付けられた位置の第1追加配管8Aの温度を計測できる温度センサと、第1追加配管8Aを冷却する配管冷却器とを含んでいる。第1冷却装置100は、温度センサにより取得した温度が閾値以上の場合、第1冷却装置100が取り付けられた位置の第1追加配管8Aの温度が所定温度未満となるように配管冷却器の温度を下げる制御をおこなってもよい。尚、配管冷却器としては、冷却コイル、全熱交換器、等が例示される。
【0051】
このように、実施の形態2に係る二酸化炭素回収システム1Aでは、第1ロータ3を更に設けることで、ロータ2で濃縮された二酸化炭素を更に濃縮することが可能となる。更に、二酸化炭素回収システム1Aによれば、ロータ2の第2エリア12と第1ロータ3の第3エリア13とを第1追加配管8Aを用いて環状に接続される。これにより、第1ロータ3で回収されなかった二酸化炭素が第3エリア13から出力された後に再び第3エリア13に入力される。従って、二酸化炭素の回収量をより向上させることが可能となる。
【0052】
更に、二酸化炭素回収システム1Aは、一方が第1追加配管8Aにおける第1加熱装置90の出力側と接続され、他方が第1ロータ3の第4エリア14の入力側と接続される第1追加配管8Bを含んでいる。これにより、第1ロータ3で回収されなかった二酸化炭素の一部が第1追加配管8Bを通ってコンプレッサ20に入力される。これにより、確実な再生が行われ、上述した実施の形態1よりも更に二酸化炭素の回収量を向上させることが可能となる。
【0053】
3.実施の形態3
図5は、実施の形態3に係る二酸化炭素回収システム1Bの構成例を示す図である。実施の形態3に係る二酸化炭素回収システム1Bは、第2ロータ4、第2ヒーター部52、第2加熱装置91、及び第2冷却装置101を更に含んでいる。
【0054】
第2ロータ4は、ガスが流れる方向に貫通孔を有し、且つ、ガスの触れる面に二酸化炭素吸収剤を保持した装置であり、第1ロータ3で濃縮された二酸化炭素を更に濃縮する。第2ロータ4は、ロータ2及び第1ロータ3と同一の機能及び性能を有するロータである。第2ロータ4は、二酸化炭素を吸着する第5エリア15と、吸着された二酸化炭素を第5エリア15から出てくる排気を加熱した空気と第3エリア13から出てくる排気を加熱した空気と配管6Bに入ってくる処理対象空気を加熱した空気とが混合された空気(第2混合空気)へ脱離する第6エリア16とを含んでいる。第5エリア15と第6エリア16のそれぞれの位置は、第2ロータ4の静止時と第2ロータ4の回転時とで変わらないものとする。第2ロータ4の回転時における第5エリア15と第6エリア16のそれぞれの温度が所定の温度条件を満たす場合、第2ロータ4は、二酸化炭素の吸着及び脱離を行う。具体的には、第5エリア15の温度が第2基準温度未満である場合、第2ロータ4は、第5エリア15で二酸化炭素の吸着を行う。一方、第6エリア16の温度が第2基準温度よりも高い第2所定温度以上である場合、第2ロータ4は、二酸化炭素を吸着した第5エリア15の位置が第6エリア16の位置となったときに二酸化炭素の脱離を行う。これにより、処理対象空気に含まれる二酸化炭素を回収することが可能となる。尚、第2基準温度は、上述した実施の形態1における基準温度と同じであってもよいし、異なっていてもよい。また、第2所定温度は、上述した実施の形態1における所定温度と同じであってもよいし、異なっていてもよい。更に、第5エリア15及び第6エリア16の温度は、例えば、第2ロータ4の内部に設けられた温度センサから取得した温度であってもよいし、第2ロータ4と接続された第2追加配管9Aと第2追加配管9Bの配管上に設けられた温度センサから取得した温度であってもよい。
【0055】
また、第2ロータ4は、第2追加配管9Aと第2追加配管9Bとを用いて第1ロータ3と接続される。第2追加配管9Aとは、第5エリア15を通り、且つ、一方が第4エリア14の出力側と接続され、且つ、他方が第4エリア14の入力側に設けられた第1追加配管8Bと接続される配管のことである。第2追加配管9Bとは、一方が第2追加配管9Aにおける第2加熱装置91の出力側と接続され、他方が第6エリア16の入力側と接続される配管のことである。図5に示す例では、配管6Bの間にロータ2と第1ロータ3と第2ロータ4が設けられている。尚、「第2追加配管9A」は「第5の配管」の一例であり、「第2追加配管9B」は「第6の配管」の一例である。
【0056】
第2ヒーター部52は、第6エリア16を加熱するための装置である。第1ヒーター部51は、第6エリア16の入力側、且つ、第2追加配管9B上に設けられている。また、第2ヒーター部52は、加熱側が第2追加配管9Bに接続され、冷却側が第2追加配管9Cの一方に接続されている。第2追加配管9Cの他方は、配管6Cに接続されている。これにより、コンプレッサ20で圧縮された高圧高温空気を第2ヒーター部52の冷却側まで送ることができる。更に、第2ヒーター部52は、第2追加配管9Dの一方に接続されている。第2追加配管9Dの他方は、配管6Dに接続されている。これにより、第2ヒーター部52の冷却側で第2混合空気に熱を与えることで冷却された高圧中温空気を冷却側から熱回収熱交換器80の冷却側まで送ることができる。尚、「第2追加配管9C」は「第7の配管」の一例であり、「第2追加配管9D」は「第8の配管」の一例である。
【0057】
第2ヒーター部52は、加熱側の第2追加配管9Bも、コンプレッサ20の出口高温高圧空気が流れる冷却側の配管6Cに接続された第2追加配管9Cも全量の空気が流れるので流量制御を行わない。また、第2ヒーター部52は、図5に示すように、第2ヒーター部52の冷却側である入力側と、他方がコンプレッサ20の出力側に接続された配管6Cとが第2追加配管9Cで接続されている。これにより、確実な再生が行われ、二酸化炭素の回収量が向上される。
【0058】
第2加熱装置91は、第4エリア14を加熱するための装置である。第2加熱装置91は、第2追加配管9A上に設けられている。具体的には、第2加熱装置91は、第4エリア14の入力側に設けられた第1追加配管8Bと第5エリア15の出力側との間の第2追加配管9A上に設けられている。第2加熱装置91は、例えば、第2追加配管9Aの温度を計測できる温度センサと、第2追加配管9Aを加熱する配管加熱器とを含んでいる。第2加熱装置91は、温度センサにより取得した温度が閾値未満の場合、第2加熱装置91が取り付けられた位置の第2追加配管9Aの温度が所定温度以上となるように配管加熱器の温度を上げる制御をおこなってもよい。尚、配管加熱器としては、加熱コイル、全熱交換器、等が例示される。
【0059】
第2冷却装置101は、第5エリア15を冷却するための装置である。第2冷却装置101は、第4エリア14の出力側と第5エリア15の入力側との間の第2追加配管9A上に設けられている。第2冷却装置101は、例えば、第2追加配管9Aの温度を計測できる温度センサと、第2追加配管9Aを冷却する配管冷却器とを含んでいる。第2冷却装置101は、温度センサにより取得した温度が閾値以上の場合、第2冷却装置101が取り付けられた位置の第2追加配管9Aの温度が所定温度未満となるように配管冷却器の温度を下げる制御をおこなってもよい。尚、配管冷却器としては、冷却コイル、全熱交換器、等が例示される。
【0060】
このように、実施の形態3に係る二酸化炭素回収システム1Bでは、第2ロータ4を更に設けることで、第1ロータ3で濃縮された二酸化炭素を更に濃縮することが可能となる。更に、二酸化炭素回収システム1Bによれば、第1ロータ3の第4エリア14と第2ロータ4の第5エリア15とを第2追加配管9Aを用いて環状に接続される。これにより、第2ロータ4で回収されなかった二酸化炭素が第5エリア15から出力されて再び第5エリア15に入力される。従って、二酸化炭素の回収量をより向上させることが可能となる。
【0061】
更に、二酸化炭素回収システム1Bは、一方が第5エリア15の出力側における第2追加配管9Aと接続され、他方が第2ロータ4の第6エリア16の入力側と接続される第2追加配管9Bを含んでいる。これにより、第2ロータ4で回収されなかった二酸化炭素の一部が第2追加配管9Bを通ってコンプレッサ20に入力される。これにより、確実な再生が行われ、上述した実施の形態1及び実施の形態2よりも更に二酸化炭素の回収量を向上させることが可能となる。
【0062】
4.実施の形態4
図6は、実施の形態4に係る二酸化炭素回収システム1Cの構成例を示す図である。実施の形態4に係る二酸化炭素回収システム1Cは、実施の形態3に係る二酸化炭素回収システム1Bにおいて更に第3ヒーター部53と、第4ヒーター部54と、第5ヒーター部55と、ヒートポンプ110とを含んでいる。ヒートポンプ110は、第3ヒーター部53、第4ヒーター部54、及び第5ヒーター部55を加熱する装置である。尚、第3ヒーター部53、第4ヒーター部54、及び第5ヒーター部55のそれぞれは、上述したヒーター部50と同じ機能及び性能を有する装置であってもよい。
【0063】
ヒートポンプ110は、第3ヒーター部53と、第4ヒーター部54と、第5ヒーター部55とにそれぞれ接続される。また、ヒートポンプ110は、例えば、配管6Bを介して処理対象空気が流入される。これにより、コンプレッサ20から排出される高温高圧空気の保有する熱よりも高い温度で各ロータが加熱される。従って、少なくとも上述した実施の形態3と同様の効果が得られる。
【符号の説明】
【0064】
1、1A、1B、1C…二酸化炭素回収システム, 2…ロータ, 3…第1ロータ, 4…第2ロータ, 6A、6B、6C、6D…配管, 8A,8B,8C,8D…第1追加配管, 9A,9B,9C,9D…第2追加配管, 11…第1エリア, 12…第2エリア, 13…第3エリア, 14…第4エリア, 15…第5エリア, 16…第6エリア, 20…コンプレッサ, 30…冷却貯蔵装置, 40…膨張機, 50…ヒーター部, 51…第1ヒーター部, 52…第2ヒーター部, 53…第3ヒーター部, 54…第4ヒーター部, 55…第5ヒーター部, 60…クーラー部, 70…冷却装置, 80…熱回収熱交換器, 90…第1加熱装置, 91…第2加熱装置, 100…第1冷却装置, 101…第2冷却装置, 110…ヒートポンプ
図1
図2
図3
図4
図5
図6