IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ ダイキン工業株式会社の特許一覧

<>
  • 特開-圧縮機および冷凍機 図1
  • 特開-圧縮機および冷凍機 図2
  • 特開-圧縮機および冷凍機 図3
  • 特開-圧縮機および冷凍機 図4
  • 特開-圧縮機および冷凍機 図5
  • 特開-圧縮機および冷凍機 図6
  • 特開-圧縮機および冷凍機 図7
  • 特開-圧縮機および冷凍機 図8
  • 特開-圧縮機および冷凍機 図9
  • 特開-圧縮機および冷凍機 図10
  • 特開-圧縮機および冷凍機 図11
  • 特開-圧縮機および冷凍機 図12
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024146413
(43)【公開日】2024-10-15
(54)【発明の名称】圧縮機および冷凍機
(51)【国際特許分類】
   F04B 39/02 20060101AFI20241004BHJP
   F04C 29/02 20060101ALI20241004BHJP
【FI】
F04B39/02 G
F04C29/02 311E
【審査請求】未請求
【請求項の数】13
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023059285
(22)【出願日】2023-03-31
(71)【出願人】
【識別番号】000002853
【氏名又は名称】ダイキン工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(72)【発明者】
【氏名】土川 翔伍
(72)【発明者】
【氏名】諸江 将吾
(72)【発明者】
【氏名】西出 洋平
(72)【発明者】
【氏名】岡本 大輔
【テーマコード(参考)】
3H003
3H129
【Fターム(参考)】
3H003AA05
3H003AB05
3H003AC03
3H003BD05
3H003BD06
3H003BD09
3H003BH07
3H003CF04
3H129AA04
3H129AA15
3H129AB03
3H129BB35
3H129BB44
3H129CC16
3H129CC22
3H129CC45
(57)【要約】
【課題】遠心流路を有する差圧発生機構の大径化を抑制する。
【解決手段】圧縮機は、ケーシングと、ケーシングの内部に配置された回転軸と、回転軸による回転駆動力を用いて冷媒を圧縮する圧縮機構と、回転軸による回転駆動力を生じさせる電動機と、回転軸を回転可能に支持する軸受と、ケーシングの内部に配置され、軸受に供給される油を貯留する貯留部と、回転軸の内部に形成され、油を軸受に供給する給油路と、給油路に連通し回転軸の径方向に延びる複数段の遠心流路を有し、給油路の内部に差圧を生じさせる差圧発生機構と、を備え、遠心流路は、回転軸の径方向において軸心から外周に向かうガスの流れを形成し、ガスを昇圧する第1昇圧流路と、回転軸の径方向において軸心から外周に向かうガスの流れを形成し、第1昇圧流路を通過したガスを昇圧する第2昇圧流路と、第1昇圧流路と第2昇圧流路との間の流路を含み、回転軸の径方向において外周から軸心に向かうガスの流れを形成する中間流路と、を含む。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ケーシングと、
前記ケーシングの内部に配置された回転軸と、
前記回転軸による回転駆動力を用いてガスを圧縮する圧縮機構と、
前記回転軸による回転駆動力を生じさせる電動機と、
前記回転軸を回転可能に支持する軸受と、
前記ケーシングの内部に配置され、前記軸受に供給される油を貯留する貯留部と、
前記回転軸の内部に形成され、前記油を前記軸受に供給する給油路と、
前記給油路に連通し前記回転軸の径方向に延びる複数段の遠心流路を有し、前記給油路の内部に差圧を生じさせる差圧発生機構と、を備え、
前記遠心流路は、
前記回転軸の径方向において軸心から外周に向かう前記ガスの流れを形成し、前記ガスを昇圧する第1昇圧流路と、
前記回転軸の径方向において軸心から外周に向かう前記ガスの流れを形成し、前記第1昇圧流路を通過した前記ガスを昇圧する第2昇圧流路と、
前記第1昇圧流路と前記第2昇圧流路との間の流路を含み、前記回転軸の径方向において外周から前記軸心に向かう前記ガスの流れを形成する中間流路と、を含む、圧縮機。
【請求項2】
前記差圧発生機構は、
前記回転軸の径方向に延び、前記第1昇圧流路を流れる前記ガスを、前記回転軸の回転方向に押し出す第1壁と、
前記回転軸の径方向に延び、前記第2昇圧流路を流れる前記ガスを、前記回転軸の回転方向に押し出す第2壁と、を備える、請求項1に記載の圧縮機。
【請求項3】
前記差圧発生機構は、
前記第1昇圧流路を形成する凹部が形成された第1回転体と、
前記第1回転体の前記凹部を覆う第1蓋と、
前記第2昇圧流路を形成する凹部が形成された第2回転体と、
前記第2回転体の前記凹部を覆う第2蓋と、
前記中間流路を形成する凹部が形成された第3回転体と、
前記第3回転体の前記凹部を覆う第3蓋と、
を備える、請求項2に記載の圧縮機。
【請求項4】
前記第3蓋は、前記第1蓋または前記第1回転体と一体として形成され、
前記第3回転体は、前記第2蓋または前記第2回転体と一体として形成されている、請求項3に記載の圧縮機。
【請求項5】
前記第3蓋は、前記第2蓋または前記第2回転体と一体として形成され、
前記第3回転体は、前記第1蓋または前記第1回転体と一体として形成されている、
請求項3に記載の圧縮機。
【請求項6】
前記電動機は、前記回転軸とともに回転する回転子を備え、
前記差圧発生機構は、前記回転子の軸方向の端部に取り付けられている、請求項1~5の何れか一項に記載の圧縮機。
【請求項7】
前記差圧発生機構は、前記回転軸の回転つりあわせ機能を有する、請求項1~5の何れか一項に記載の圧縮機。
【請求項8】
前記第1回転体、前記第2回転体、および前記第3回転体は、焼結によって形成されている請求項3~5の何れか一項に記載の圧縮機。
【請求項9】
前記回転軸は、軸方向において、前記貯留部に近い方の第1端部と、前記貯留部から遠い方の第2端部と、を有し、
前記軸受は、前記回転軸の軸方向において、前記差圧発生機構に対して、前記第1端部に近い方に配置されている、請求項1~5の何れか一項に記載の圧縮機。
【請求項10】
横置きタイプの圧縮機である、請求項1~5の何れか一項に記載の圧縮機。
【請求項11】
前記ケーシングの内部に配置され、前記圧縮機構が配置される第1空間と、前記電動機が配置された第2空間と、を区切る仕切板と、
前記ケーシングに接続され、前記ケーシングの内部と連通する吐出管と、を備え、
前記圧縮機構は、ロータリ式の圧縮機構を含み、
前記貯留部は、前記第1空間の内部に形成され、
前記回転軸は、前記仕切板を貫通し、
前記回転軸の軸方向において、前記回転軸の第1端部は、前記第1空間の内部に配置され、
前記回転軸の第2端部は、前記第2空間の内部に配置され、
前記回転軸の前記第1端部には、前記給油路に前記油を注入する注入口が形成され、
前記回転軸の前記第2端部には、前記給油路と前記第1昇圧流路とを連通する開口が形成され、
前記差圧発生機構は、前記第2空間の内部に配置され、
前記仕切板には、前記第1空間と前記第2空間とを連通する開口が形成されている、請求項10に記載の圧縮機。
【請求項12】
前記ガスは、冷媒であり、
前記冷媒は、
炭化水素系冷媒、または、アンモニア冷媒、または、HFO冷媒、または、HFC冷媒、または、二酸化炭素冷媒である、請求項1~5の何れか一項に記載の圧縮機。
【請求項13】
請求項1~5の何れか一項に記載の圧縮機と、
前記圧縮機で圧縮された冷媒を凝縮する凝縮器と、
前記凝縮器で凝縮された前記冷媒を膨張させる膨張弁と、
前記膨張弁で膨張した前記冷媒を蒸発させる蒸発器と、を備えた冷凍機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、圧縮機および冷凍機に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば空気調和装置に適用される冷凍機は、圧縮機、凝縮器、膨張弁、および蒸発器を備える。特許文献1,2に記載の圧縮機は、ケーシングと、ケーシングの内部に配置された電動機と、電動機の回転駆動力を受けて気体を圧縮する圧縮機構と、を備える。ケーシングの内部には、電動機の回転駆動力を圧縮機構に伝達する駆動軸が設けられている。
【0003】
ケーシングの内部には、駆動軸を回転可能に支持する軸受、軸受に油を供給するための給油路、および油を貯留する貯留部が設けられている。給油路は、駆動軸の内部に設けられている。貯留部の油は、駆動軸の内部の給油路を流れて、軸受に供給される。駆動軸の端部には、給油路の内部に圧力差を生じさせるための差圧発生機構が設けられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】中国特許第101624987号明細書
【特許文献1】中国特許第102022337号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
差圧発生機構には、駆動軸の径方向に延びる遠心流路が形成されている。遠心流路は、駆動軸の内部の給油路に連通する。駆動軸の回転にともなって圧力差発生機構が回転し、遠心流路内の流体が径方向外側に流出する。これにより、駆動軸の内部の給油路の圧力差が生じ、貯留部の油が吸引されて、給油路に流れ込む。このような差圧発生機構において、圧力差を増やすために、遠心流路を径方向に長くすると、圧縮機の大型化につながる。
【0006】
本開示は、遠心流路を有する差圧発生機構の大径化を抑制することが可能な圧縮機および冷凍機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示の一態様に係る圧縮機は、ケーシングと、ケーシングの内部に配置された回転軸と、回転軸による回転駆動力を用いて冷媒を圧縮する圧縮機構と、回転軸による回転駆動力を生じさせる電動機と、回転軸を回転可能に支持する軸受と、ケーシングの内部に配置され、軸受に供給される油を貯留する貯留部と、回転軸の内部に形成され、油を軸受に供給する給油路と、給油路に連通し回転軸の径方向に延びる複数段の遠心流路を有し、給油路の内部に差圧を生じさせる差圧発生機構と、を備え、遠心流路は、回転軸の径方向において軸心から外周に向かうガスの流れを形成し、ガスを昇圧する第1昇圧流路と、回転軸の径方向において軸心から外周に向かうガスの流れを形成し、第1昇圧流路を通過したガスを昇圧する第2昇圧流路と、第1昇圧流路と第2昇圧流路との間の流路を含み、回転軸の径方向において外周から軸心に向かうガスの流れを形成する中間流路と、を含む。
【0008】
本態様の圧縮機は、複数段の遠心流路を有する。複数段の遠心流路は、軸心から外周に向かうガスの流れを形成する第1昇圧流路と、外周から軸心に向かうガスの流れを形成する中間流路と、軸心から外周に向かうガスの流れを形成する第2昇圧流路と、を含む。これにより、径方向に延びる遠心流路の長さを短くでき、差圧発生機構の大径化を抑制することができる。
【0009】
本開示の一形態に係る圧縮機において、差圧発生機構は、回転軸の径方向に延び、第1昇圧流路を流れるガスを、回転軸の回転方向に押し出す第1壁と、回転軸の径方向に延び、第2昇圧流路を流れるガスを、回転軸の回転方向に押し出す第2壁と、を備える。
【0010】
本態様の圧縮機では、第1昇圧流路を流れるガスは、第1壁によって回転軸の回転方向に押されて昇圧される。第1昇圧流路を流れて昇圧されたガスは、中間流路を流れた後に、第2昇圧流路に流入する。第2昇圧流路を流れるガスは、第2壁によって回転軸の回転方向に押されて昇圧される。
【0011】
本開示の一形態に係る圧縮機において、差圧発生機構は、第1昇圧流路を形成する凹部が形成された第1回転体と、第1回転体の凹部を覆う第1蓋と、第2昇圧流路を形成する凹部が形成された第2回転体と、第2回転体の凹部を覆う第2蓋と、中間流路を形成する凹部が形成された第3回転体と、第3回転体の凹部を覆う第3蓋と、を備える。
【0012】
本態様の圧縮機では、第1回転体に形成された凹部を第1蓋によって覆うことにより、第1昇圧流路が形成される。本態様の圧縮機では、第2回転体に形成された凹部を第2蓋によって覆うことにより、第2昇圧流路が形成される。本態様の圧縮機では、第3回転体に形成された凹部を第3蓋によって覆うことにより、中間流路が形成される。
【0013】
本開示の一形態に係る圧縮機において、第3蓋は、第1蓋または第1回転体と一体として形成され、第3回転体は、第2蓋または第2回転体と一体として形成されている。この構成の圧縮機によれば、差圧発生機構の部品点数の削減を図ることができる。また、この構成の圧縮機によれば、差圧発生機構を組み付ける際の工数の削減を図ることができる。
【0014】
本開示の一形態に係る圧縮機において、第3蓋は、第2蓋または第2回転体と一体として形成され、第3回転体は、第1蓋または第1回転体と一体として形成されている。この構成の圧縮機によれば、差圧発生機構の部品点数の削減を図ることができる。また、この構成の圧縮機によれば、差圧発生機構を組み付ける際の工数の削減を図ることができる。
【0015】
本開示の一形態に係る圧縮機において、電動機は、回転軸とともに回転する回転子を備え、差圧発生機構は、回転子の軸方向の端部に取り付けられている。この構成の圧縮機では、回転子を介して、差圧発生機構を回転軸に固定することができる。回転子は、回転軸と比較して、径方向に大きく、差圧発生機構を固定しやすい。また、この構成の圧縮機では、差圧発生機構を回転軸に取り付けるためのその他の取り付け部品を使用しなくてもよい。例えば、回転軸の軸方向に、取り付け部品を介して、差圧発生機構を取り付ける場合と比較して、軸方向における圧縮機の長さを短くすることができる。
【0016】
本開示の一形態に係る圧縮機において、差圧発生機構は、回転軸の回転つりあわせ機能を有する。この構成の圧縮機では、差圧発生機構に回転つりあわせ機能を持たせることにより、回転軸におけるつりあいを調整することができる。また、この構成の圧縮機では、差圧発生機構以外の部分に取り付けられるカウンターウエイトの小型化を図ることができる。または、差圧発生機構以外の部分に取り付けられるカウンターウエイトを無くすことができる。
【0017】
本開示の一形態に係る圧縮機において、第1回転体、第2回転体、および第3回転体は、焼結によって形成されている。この構成の圧縮機によれば、焼結によって、第1回転体、第2回転体、および第3回転体を形成することにより、低コスト化を図ることができる。また、この構成の圧縮機では、第1回転体、第2回転体、および第3回転体における寸法精度の向上を図ることができる。
【0018】
本開示の一形態に係る圧縮機では、回転軸は、軸方向において、貯留部に近い方の第1端部と、貯留部から遠い方の第2端部と、を有し、軸受は、回転軸の軸方向において、差圧発生機構に対して、第1端部に近い方に配置されている。
【0019】
本開示の一形態に係る圧縮機は、横置きタイプの圧縮機でもよい。なお、横置きタイプの圧縮機とは、例えば、回転軸が水平方向に沿うように配置されるタイプの圧縮機でもよい。
【0020】
本開示の一形態に係る圧縮機は、ケーシングの内部に配置され、圧縮機構が配置される第1空間と、電動機が配置された第2空間と、を区切る仕切板と、ケーシングに接続され、ケーシングの内部と連通する吐出管と、を備え、圧縮機構は、ロータリ式の圧縮機構を含み、貯留部は、第1空間の内部に形成され、回転軸は、仕切板を貫通し、回転軸の軸方向において、回転軸の第1端部は、第1空間の内部に配置され、回転軸の第2端部は、第2空間の内部に配置され、回転軸の第1端部には、給油路に油を注入する注入口が形成され、回転軸の第2端部には、給油路と第1昇圧流路とを連通する開口が形成され、差圧発生機構は、第2空間の内部に配置され、仕切板には、第1空間と第2空間とを連通する開口が形成されている。
【0021】
本態様の圧縮機では、ケーシングの内部は、仕切板によって第1空間と第2空間とに区切られる。第1空間には圧縮機構が配置され、第2空間には電動機が配置されている。圧縮機構によって圧縮されたガスは、第2空間に排出される。第2空間に存在する圧縮後のガスは、仕切板に形成された開口を通じて、第1空間に流入する。第1空間に流入したガスは、吐出管の内部を流れて、ケーシングの外部に吐出される。
【0022】
本開示の一形態に係る圧縮機において、ガスは、冷媒であり、冷媒は、炭化水素系冷媒、または、アンモニア冷媒、または、HFO冷媒、または、HFC冷媒、または、二酸化炭素冷媒でもよい。
【0023】
本開示の一形態に係る冷凍機は、上記の圧縮機と、圧縮機で圧縮された冷媒を凝縮する凝縮器と、凝縮器で凝縮された冷媒を膨張させる膨張弁と、膨張弁で膨張した冷媒を蒸発させる蒸発器と、を備える。
【0024】
本態様の冷凍機では、圧縮機によって冷媒ガスを圧縮し、圧縮された冷媒ガスを凝縮器で凝縮し、凝縮した冷媒を膨張弁で膨張させ、蒸発器で冷媒ガスを蒸発させることができる。本態様の冷凍機では、冷凍サイクルを実行することができる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
図1】第1実施形態に係るロータリ圧縮機を備える冷凍機を示す概略図である。
図2】第1実施形態に係るロータリ圧縮機を示す断面図である。
図3】ロータリ圧縮機の要部を拡大して示す断面図である。
図4】差圧発生機構を示す断面図である。
図5】第1回転体を示す平面図である。
図6】第1回転体を示す斜視図である。
図7】第1回転ユニットを示す斜視図である。
図8】中間ユニットを示す斜視図である。
図9】中間回転体を示す斜視図である。
図10】第2回転体を示す斜視図である。
図11】第2回転ユニットを示す斜視図である。
図12】第2実施形態に係るロータリ圧縮機の差圧発生機構を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
添付図面を参照しながら、本発明の限定的でない実施例について説明する。なお、添付図面では同一または対応する部材または部品には同一または対応する参照符号が付される。また、以下では同一または対応する部材または部品の重複する説明を省略する。また、図面では部材または部品は必ずしも縮尺通りには描かれていない。従って、当業者は、以下の限定的でない実施例を参照して具体的な寸法を任意に決定できる。また、以下の実施例は発明を限定するものではなく例示するものである。また、実施例に記述される特徴やその組み合わせは必ずしも発明の本質的なものであるとは限らない。
【0027】
[第1実施形態に係る冷凍機の概要]
図1を参照して、第1実施形態に係るロータリ圧縮機10を備える冷凍機100について説明する。図1は、第1実施形態に係るロータリ圧縮機10を備える冷凍機100を示す概略図である。図1に示される冷凍機100は、例えば、空気調和装置、冷凍機器、および冷蔵機器に利用される。冷凍機100は、その他の機器に利用されてもよい。冷凍機100は冷凍サイクルを実行する。冷凍機100の冷凍サイクルは、蒸気圧縮式冷凍サイクルである。冷凍機100は、ロータリ圧縮機10、凝縮器2、膨張弁3、および蒸発器4を備える。ロータリ圧縮機10は、圧縮機の一例である。
【0028】
冷凍機100の作動流体である冷媒は、特に限定されない。ロータリ圧縮機10は、冷媒ガスを圧縮する。凝縮器2は、ロータリ圧縮機10によって圧縮された冷媒ガスを凝縮する。膨張弁3は、凝縮器2によって凝縮された冷媒を膨張させる。蒸発器4は、膨張弁3によって膨張された冷媒を蒸発させる。蒸発器4で蒸発した冷媒ガスは、ロータリ圧縮機10に吸入される。
【0029】
ロータリ圧縮機10は、冷媒ガスを圧縮する。凝縮器2に供給された冷媒ガスは、定圧で放熱して液化する。液化した冷媒は、膨張弁3でエンタルピー一定で不可逆膨張して、冷媒の一部が蒸発する。冷媒は、蒸発器4において定圧で吸熱する。
【0030】
冷凍機100は、冷媒が流れる配管L11~L14を備える。配管L11は、蒸発器4とロータリ圧縮機10とを接続する吸入配管である。配管L12は、ロータリ圧縮機10と凝縮器2とを接続する。配管L13は、凝縮器2と膨張弁3とを接続する。配管L14は、膨張弁3と蒸発器4と接続する。
【0031】
冷媒ガスは、配管L11を流れて、ロータリ圧縮機10に吸入される。ロータリ圧縮機10で圧縮された冷媒ガスは、配管L12を流れて、凝縮器2に供給される。凝縮器2で液化した冷媒液は、配管L13を流れて、膨張弁3に流入する。膨張弁3で膨張した冷媒は、配管L14を流れて、蒸発器4に供給される。蒸発器4で吸熱した冷媒ガスは、配管L11を流れて、ロータリ圧縮機10に供給される。
【0032】
[第1実施形態に係るスクロール圧縮機]
次に、図2図11を参照して、ロータリ圧縮機10について説明する。図2は、第1実施形態に係るロータリ圧縮機10を示す断面図である。図2に示されるロータリ圧縮機10は、ケーシング20、電動機30、駆動軸11、および圧縮機構40を備える。ケーシング20は、電動機30、駆動軸11、および圧縮機構40を収容する。本明細書において、「上」および「下」を用いるが、これは、ロータリ圧縮機10を設置した状態における「上」および「下」である。ロータリ圧縮機10は、水平面に設置してもよく、傾斜した面に設置してもよい。図2では、例えば水平面に設置した場合を図示する。
【0033】
ロータリ圧縮機10は、駆動軸11が水平方向に沿って延びる横置きタイプの圧縮機である。ロータリ圧縮機10は、駆動軸11が鉛直方向に沿って延びる縦置きタイプの圧縮機でもよい。駆動軸11は、水平面に対して傾斜するように配置されていてもよい。駆動軸11の水平面に対する傾斜角は、例えば15度以内でもよい。駆動軸11の傾斜角が15度以内の場合を、横置きタイプの圧縮機としてもよい。
【0034】
[ケーシング]
ケーシング20は、円筒状の密閉容器である。ケーシング20は、貯留部21を含む。貯留部21は、ケーシング20の底部に形成されている。貯留部21は、潤滑油を貯留する。潤滑油は、冷凍機油である。ケーシング20には、吸入管12および吐出管13が接続されている。吸入管12は、例えばケーシング20の底部に接続されている。吐出管13は、ケーシング20の上部に接続されている。
【0035】
ロータリ圧縮機10は、例えば全密閉圧縮機である。全密閉圧縮機におけるケーシング20は、溶接により密閉されている。ロータリ圧縮機10は、全密閉圧縮機に限定されない。ロータリ圧縮機10は、例えば半密閉圧縮機でもよい。半密閉圧縮機におけるケーシングは、ボルト等を用いて、ケーシングの部分が接合されている。
【0036】
吸入管12は、吸入配管に接続されている。吸入配管は、図1に示す配管L11である。吸入管12の端部は、ケーシング20の内部において、圧縮機構40に接続されている。吸入配管である配管L11を流れた冷媒ガスは、吸入管12を流れて、圧縮機構40に流れ込む。
【0037】
吐出管13は、図1に示す配管L12に接続されている。ケーシング20の内部の圧縮後の冷媒ガスは、吐出管13を流れて、配管L12に流入する。
【0038】
[電動機]
図2に示す電動機30には、例えばインバータを介して電力が供給される。電動機30の周波数(回転数)は可変である。電動機30は、固定子32および回転子31を備える。固定子32は、ケーシング20の内壁に固定されている。回転子31は、ケーシング20の径方向において、固定子32の内側に配置されている。回転子31は、駆動軸11に固定されている。回転子31は、駆動軸11とともに回転する。
【0039】
[駆動軸]
図3は、ロータリ圧縮機10の要部を拡大して示す断面図である。図2および図3に示されるように、駆動軸11は、水平方向に延びる。駆動軸11は、主軸14および偏心軸15を有する。主軸14は、電動機30の回転軸である。偏心軸15は圧縮機構40の偏心軸である。偏心軸15は、複数の偏心部15a,15bを含む。偏心部15a,15bは、主軸14の軸心に対して偏心している。
【0040】
駆動軸11は、第1端部11aおよび第2端部11bを有する。第1端部11aおよび第2端部11bは、軸方向の端部である。軸方向は、駆動軸11の長手方向である。第1端部11aおよび第2端部11bは、軸方向に離れている。第1端部11aは、一方の端部であり、第2端部11bは、他方の端部である。圧縮機構40は、第1端部11aに近い方に配置され、電動機30は、第2端部11bに近い方に配置されている。第1端部11aは、軸方向において、圧縮機構40に対して、電動機30とは反対側に配置されている。第2端部11bは、軸方向において、電動機30に対して、圧縮機構40とは反対側に配置されている。偏心軸15は、第1端部11aを含む。主軸14は、第2端部11bを含む。
【0041】
ロータリ圧縮機10は、軸受22および軸受23を有する。軸受22および軸受23は、駆動軸11を回転可能に支持する。軸受22および軸受23は、ケーシング20の内部に配置されている。軸受22および軸受23は、ケーシング20に対して固定されている。
【0042】
軸受22は、軸方向において、駆動軸11の中間部分を支持する。軸受22は、主軸14と偏心軸15との境界部分を支持してもよい。軸受23は、第1端部11aを支持する。軸受23は、偏心軸15の一部を支持してもよい。
【0043】
軸受22,23は、例えばジャーナル軸受である。軸受22,23は、ラジアル軸受でもよい。軸受22,23は、すべり軸受でもよい。軸受22は、圧縮機構40の第1ヘッド46に保持されていてもよい。軸受23は、副軸受とも呼ばれる。軸受23は、駆動軸11の軸方向において、シリンダ41と副軸受マフラ47との間に配置されている。軸受23は、シリンダ41aと副軸受マフラ47との間に配置されている。第1ヘッド46および副軸受マフラ47は、圧縮機構40の軸方向における両端部に配置された部品である。
【0044】
[圧縮機構]
次に、圧縮機構40について説明する。圧縮機構40は、シリンダ41と、第1ヘッド46と、副軸受マフラ47と、ロータリピストン48,49と、を備える。シリンダ41は、円筒形の容器を含む。シリンダ41の中心線の方向は、駆動軸11の軸心に沿う。シリンダ41の内部には、シリンダ室42,43が形成されている。シリンダ室42は、低圧室でもよく、シリンダ室43は、高圧室でもよい。
【0045】
シリンダ41は、シリンダ41a,41bおよび中間プレート41cを含む。シリンダ41aは、シリンダ室42を形成する。シリンダ41bは、シリンダ室43を形成する。中間プレート41cは、シリンダ41aとシリンダ41bとの間に配置されている。
【0046】
第1ヘッド46および副軸受マフラ47は、駆動軸11の軸方向に離れて配置されている。第1ヘッド46は、電動機30に近い方に配置され、副軸受マフラ47は、駆動軸11の第1端部11aに近い方に配置されている。
【0047】
第1ヘッド46は、円盤状を成す。第1ヘッド46の厚さ方向は、駆動軸11の軸方向に沿う。第1ヘッド46には、駆動軸11を貫通させるための開口が形成されている。軸受22は、第1ヘッド46と一体成型されていてもよい。第1ヘッド46は、軸受22を保持してもよい。
【0048】
副軸受マフラ47は、円盤状を成す。副軸受マフラ47の厚さ方向は、駆動軸11の軸方向に沿う。副軸受マフラ47には、開口が形成されている。
【0049】
シリンダ室43は、軸方向において、第1ヘッド46と中間プレート41cとの間に配置されている。シリンダ室42は、軸方向において、軸受23とシリンダ41との間に配置されている。
【0050】
ロータリピストン48は、偏心軸15の偏心部15aに装着されている。ロータリピストン48は、リング状を成し、偏心部15aの外周面に装着されている。ロータリピストン48および偏心部15aは、シリンダ室42内に配置されている。ロータリピストン48は、偏心軸15とともに回転し、シリンダ室42の内部の冷媒ガスを圧縮する。
【0051】
ロータリピストン49は、偏心軸15の偏心部15bに装着されている。ロータリピストン49は、リング状を成し、偏心部15bの外周面に装着されている。ロータリピストン49および偏心部15bは、シリンダ室42内に配置されている。ロータリピストン49は、偏心軸15とともに回転し、シリンダ室43の内部の冷媒ガスを圧縮する。
【0052】
シリンダ室42およびシリンダ室43は、連通路45を介して連通する。シリンダ室42の内部の冷媒ガスは、連通路45を流れて、シリンダ室43に流入する。
【0053】
圧縮機構40は、シリンダ室43に連通する吐出口44を有する。吐出口44は、第1ヘッド46を貫通するように形成されている。吐出口44は、第1ヘッド46を軸方向に貫通する貫通孔を含む。シリンダ室43で圧縮された冷媒ガスは、吐出口44を流れて、ケーシング20の内部に吐出される。
【0054】
[給油機構]
ロータリ圧縮機10は、油を摺動面に供給するための給油機構60を備える。給油機構60は、給油路16、給油路17a~17d、給油管18、および差圧発生機構50を含む。油の供給先である摺動面は、軸受23の軸受面、ロータリピストン48の摺動面、ロータリピストン49の摺動面、および軸受22の軸受面を含む。油の供給先は、その他の摺動面を含んでもよい。油の供給先は、摺動面に接する隙間を含む。
【0055】
駆動軸11の内部には、給油路16が形成されている。給油路16は、駆動軸11を軸方向に貫通する。給油路16の内径は、軸方向において同一でもよく、異なっていてもよい。偏心軸15の内部の給油路16の内径は、主軸14の内部の給油路16の内径よりも大きくてもよい。駆動軸11の第2端部11bには、給油路16に連通する開口16aが形成されている。開口16aは、差圧発生機構50の内部の流路に連通する。
【0056】
駆動軸11の内部には、給油路17a~17dが形成されている。給油路17a~17dは、給油路16に連通する。給油路17a~17dは、駆動軸11の径方向に延びる。駆動軸11の外周面には、給油路17a~17dに連通する開口が形成されている。
【0057】
給油路17aは、軸受23の軸受面と駆動軸11の外周面との間の隙間に連通する。給油路16の内部の油は、給油路17aを流れて、軸受23の軸受面と駆動軸11の外周面との間の隙間に供給される。
【0058】
給油路17bは、ロータリピストン48の内周面と偏心部15aの外周面との間の隙間に連通する。給油路16の内部の油は、給油路17bを流れて、ロータリピストン48の内周面と偏心部15aの外周面との間の隙間に供給される。給油路17bを流れた油は、シリンダ室42の内部に供給される。
【0059】
給油路17cは、ロータリピストン49の内周面と偏心部15bの外周面との間の隙間に連通する。給油路16の内部の油は、給油路17cを流れて、ロータリピストン49の内周面と偏心部15bの外周面との間の隙間に供給される。給油路17cを流れた油は、シリンダ室43の内部に供給される。
【0060】
給油路17dは、軸受22の軸受面と駆動軸11の外周面との間の隙間に連通する。給油路16の内部の油は、給油路17dを流れて、軸受22の軸受面と駆動軸11の外周面との間の隙間に供給される。
【0061】
駆動軸11の内部には、給油路16に連通し、径方向に延びるその他の給油路17が形成されていてもよい。駆動軸11の内部には、複数の給油路17a~17dが形成されていてもよい。例えば、複数の給油路17dは、駆動軸11の軸方向に異なる位置に形成されていてもよい。例えば、複数の給油路17b,17cは、駆動軸11の周方向において異なる位置に形成されていてもよい。
【0062】
給油管18は、給油路16に連通する。給油管18は副軸受マフラ47に固定されている。
【0063】
軸受23に供給された油は、例えば、副軸受マフラ47と駆動軸11の間の隙間を流れて給油路の端部16bから給油路16内に流入する。軸受22に供給された油は、例えば、軸受22の軸受面と駆動軸11の外周面との間の隙間を流れて、ケーシング20の底部である貯留部21に流れ落ちる。
【0064】
シリンダ室42,43内に供給された油は、冷媒ガスとともに吐出口44から吐出される。吐出口44を通じてケーシング20内に吐出された油は、貯留部21に流れ落ちる。このように、給油路16および給油路17を流れて、供給先に供給された油は、貯留部21に戻る。貯留部21の油は、循環して再利用可能である。
【0065】
給油管18は、駆動軸11の軸方向において、駆動軸11の第1端部11aから突出するとともに、屈曲されて下方に垂れ下がる。給油管18の下端部18aは、貯留部21に貯留された油に浸漬されている。貯留部21の油は、給油管18を通じて吸い上げられて、給油路16および給油路17に流入する。
【0066】
[差圧発生機構]
次に、図3図11を参照して、差圧発生機構50について説明する。図4は、差圧発生機構50を示す断面図である。図3および図4に示されるように、差圧発生機構50は、駆動軸11の第2端部11bに接続されている。駆動軸11の径方向において、差圧発生機構50の外径は、駆動軸11の外径よりも大きい。差圧発生機構50は、駆動軸11に固定された回転子31に取り付けられている。差圧発生機構50は、駆動軸11とともに回転し、駆動軸11の内部の給油路16に差圧を発生させる。差圧発生機構50は、給油路16の内の流体を差圧発生機構50に近い方に吸引することができる。
【0067】
図4に示されるように、差圧発生機構50の内部には、複数段の遠心流路が形成されている。複数段の遠心流路は、第1昇圧流路51、第2昇圧流路52、および中間流路53を含む。第1昇圧流路51は、1段目の遠心流路である。中間流路53は、2段目の遠心流路である。第2昇圧流路52は、3段目の遠心流路である。複数段の遠心流路は、4段以上の遠心流路を含んでもよい。
【0068】
第1昇圧流路51は、駆動軸11の内部の給油路16と連通する。中間流路53は、第1昇圧流路51に連通する。第2昇圧流路52は、中間流路53に連通する。給油路16の内部の冷媒ガスは、第1昇圧流路51、中間流路53、および第2昇圧流路52の順に流れる。
【0069】
なお、貯留部21に貯留する油には、液化した冷媒が含まれている。冷媒を含む油は、給油路16の内部に吸い上げられる。給油路16の内部は、差圧発生機構50により差圧が生じている。給油路16の第2端部11bに近い位置における圧力は、第1端部11aに近い位置における圧力よりも低い。給油路16の内部の油に含まれている冷媒の一部は、気化する。気化した冷媒ガスは、差圧発生機構50によって引き寄せられる。また、差圧発生機構50によって引き寄せられる冷媒ガスには、油の飛沫が同伴してもよい。油の一部は、冷媒ガスとともに、差圧発生機構50の内部に吸引される。
【0070】
第1昇圧流路51は、駆動軸11の径方向において軸心から外周に向かう冷媒ガスの流れを形成する。給油路16の開口16aは、駆動軸11の軸心に存在する。差圧発生機構50の外周において、第1昇圧流路51と中間流路53とが連通する。第1昇圧流路51を流れた冷媒ガスは、中間流路53に流入する。
【0071】
中間流路53は、軸方向において、第1昇圧流路51と第2昇圧流路52との間に形成されている。中間流路53は、第1昇圧流路51と第2昇圧流路52との間の流路を含む。中間流路53は、径方向において、外周から軸心に向かう冷媒ガスの流れを形成する。差圧発生機構50の軸心において、中間流路53と第2昇圧流路52とが連通する。中間流路53を流れた冷媒ガスは、第2昇圧流路52に流入する。
【0072】
第2昇圧流路52は、径方向において軸心から外周に向かう冷媒ガスの流れを形成する。第2昇圧流路52を流れた冷媒ガスは、差圧発生機構50の外周から径方向外側に吐出される。差圧発生機構50から吐出された冷媒ガスは、ケーシング20内に排出される。
【0073】
図3および図4に示されるように、差圧発生機構50は、第1回転ユニット54、第2回転ユニット55、および中間ユニット56を備える。第1回転ユニット54の内部には、第1昇圧流路51が形成されている。第2回転ユニット55の内部には、第2昇圧流路52が形成されている。中間ユニット56の内部には、中間流路53が形成されている。
【0074】
駆動軸11の軸方向において、第1回転ユニット54、中間ユニット56、および第2回転ユニット55の順に配置されている。第1回転ユニット54は、駆動軸11の第2端部11bに近い位置に配置されている。
【0075】
[第1回転ユニット]
次に、図4図7を参照して、第1回転ユニット54について説明する。図5は、第1回転体71を示す平面図である。図6は、第1回転体71を示す斜視図である。図7は、第1回転ユニット54を示す斜視図である。図4図5および図7に示されるように、第1回転ユニット54は、第1回転体71および第1蓋72を備える。第1回転体71および第1蓋72は、円盤状を成す。第1回転体71および第1蓋72の厚さ方向は、駆動軸11の軸方向に沿う。第1回転体71は、第1蓋72に対して、駆動軸11の第2端部11bに近い方に配置されている。
【0076】
軸方向に見た場合、第1回転体71の外径は、第1蓋72の外径よりも大きい。第1回転体71の中心には、厚さ方向に貫通する開口71aが形成されている。図5および図6に示されるように、第1回転体71には、第1昇圧流路51を形成する凹部71bが形成されている。凹部71bは、第1回転体71の厚さ方向において、第1蓋72とは反対側に凹む。
【0077】
第1回転体71は、凹部71bの底部を形成する基部71cと、第1回転体71の外周部を形成する側壁71dと、径方向において側壁71dから軸心に向かって張り出す張り出し部71e,71f,71gと、厚肉部71hとを有する。
【0078】
厚肉部71hは、基部71cよりも厚い部分である。厚肉部71hは、周方向において、部分的に形成されている。厚肉部71hは、軸方向に見た場合に、径方向において、所定の幅を有する。厚肉部71hは、径方向において、外周から軸心に向かって、形成されている。厚肉部71hは、駆動軸11の回転つりあわせ機能を有する。
【0079】
側壁71dは、軸方向において、基部71cの外周から張り出す。側壁71dは、径方向において、第1蓋72よりも外側に形成されている。
【0080】
張り出し部71e,71f,71gは、周方向に互いに離れている。張り出し部71fは、周方向において、張り出し部71eと、張り出し部71gとの間に形成されている。凹部71bの一部は、周方向において、厚肉部71hと張り出し部71eとの間に形成されている。凹部71bの一部は、周方向において、張り出し部71eと張り出し部71fとの間に形成されている。凹部71bの一部は、周方向において、張り出し部71fと張り出し部71gとの間に形成されている。凹部71bの一部は、周方向において、張り出し部71gと厚肉部71hとの間に形成されている。凹部71bの一部は、径方向において、張り出し部71e,71f,71g、および厚肉部71hの内側に形成されている。
【0081】
第1回転体71は、径方向に延びる複数の壁71i~71lを有する。複数の壁71i~71lは、周方向に互いに離れて形成されている。壁71i~71lは、第1壁の一例である。壁71i~71lは、羽根でもよい。壁71i~71lは、第1昇圧流路51に接するように形成されている。壁71i~71lは、第1昇圧流路51を流れる冷媒ガスを、駆動軸11の回転方向に押し出す。壁71i~71lは、周方向に交差する面を含む。
【0082】
壁71iは、厚肉部71hの側面である。壁71jは、張り出し部71eの側面である。壁71kは、張り出し部71fの側面である。壁71lは、張り出し部71gの側面である。
【0083】
第1回転体71には、厚さ方向に貫通する複数の取付穴71mが形成されている。複数の取付穴71mは、張り出し部71e,71gおよび厚肉部71hに形成されている。
【0084】
図7に示されるように、第1蓋72には、厚さ方向に貫通する複数の取付穴72mが形成されている。複数の取付穴72mは、第1回転体71に形成された複数の取付穴71mと同じ位置に形成されている。
【0085】
第1蓋72は、第1回転体71の凹部71bを覆うように配置されている。第1蓋72は、厚さ方向において、第1回転体71の厚肉部71hおよび複数の張り出し部71e~71gの表面に当接する。第1昇圧流路51は、第1回転体71と第1蓋72との間の空間を含む。上述したように、第1蓋72の外径は、第1回転体71の外径よりも小さい。第1回転体71の凹部71bの外周側の部分は、径方向において第1蓋72の外側に形成されている。凹部71bの外周側の部分は、第1蓋72によって覆われていない。第1蓋72によって覆われていない開口54aは、中間流路53に連通する。
【0086】
[中間ユニット]
次に、図4図8および図9を参照して、中間ユニット56について説明する。図8は、中間ユニット56を示す斜視図である。図9は、第3回転体75を示す斜視図である。図4および図8に示されるように、中間ユニット56は、第3回転体75および第3蓋76を備える。第3回転体75および第3蓋76は、円盤状を成す。第3回転体75および第3蓋76の厚さ方向は、駆動軸11の軸方向に沿う。第3蓋76は、第3回転体75に対して、第1回転ユニット54に近い方に配置されている。第3蓋76は、軸方向に第1蓋72と接するように配置されている。
【0087】
軸方向に見た場合、第3回転体75の外径は、第3蓋76の外径よりも大きい。図9に示されるように、第3回転体75の中心には、厚さ方向に貫通する開口75aが形成されている。第3回転体75には、中間流路53を形成する凹部75bが形成されている。凹部75bは、第3回転体75の厚さ方向において、第3蓋76とは反対側に凹む。
【0088】
第3回転体75は、凹部75bの底部を形成する基部75cと、第3回転体75の外周部を形成する側壁75dと、ボス75hとを有する。
【0089】
ボス75hは、基部75cから厚さ方向に張り出すように形成されている。ボス75hは筒状を成す。ボス75hの開口は、厚さ方向に貫通する取付穴75mである。取付穴75mは、取付穴71m,72mと同じ位置に設けられている。
【0090】
側壁75dは、軸方向において、基部75cの外周から張り出す。側壁71dは、径方向において、第3蓋76よりも外側に形成されている。
【0091】
第3回転体75の凹部71bには、ボス75h以外に、ガスの流れに妨げとなる壁は形成されていない。
【0092】
図8に示されるように、第3蓋76には、厚さ方向に貫通する複数の取付穴76mが形成されている。複数の取付穴76mは、第3回転体75に形成された複数の取付穴75mと同じ位置に形成されている。
【0093】
第3蓋76は、第3回転体75の凹部75bを覆うように配置されている。第3蓋76は、厚さ方向において、第3回転体75の複数のボス75hの端面に当接する。中間流路53は、第3回転体75と第3蓋76との間の空間を含む。上述したように、第3蓋76の外径は、第3回転体75の外径よりも小さい。第3回転体75の凹部75bの外周側の部分は、径方向において第3蓋76の外側に形成されている。凹部75bの外周側の部分は、第3蓋76によって覆われていない。第3蓋76によって覆われていない開口56aは、第1昇圧流路51に連通する。図9に示される開口75aは、後段の第2昇圧流路52に連通する。
【0094】
[第2回転ユニット]
次に、図4図10および図11を参照して、第2回転ユニット55について説明する。図10は、第2回転体73を示す斜視図である。図11は、第2回転ユニット55を示す斜視図である。図4および図11に示されるように、第2回転ユニット55は、第2回転体73および第2蓋74を備える。第2回転体73および第2蓋74は、円盤状を成す。第2回転体73および第2蓋74の厚さ方向は、駆動軸11の軸方向に沿う。第2回転体73は、第2蓋74に対して、中間ユニット56に近い方に配置されている。第3蓋76は、軸方向において、第2回転体73に対して、中間ユニット56とは反対側に配置されている。
【0095】
軸方向に見た場合、第2回転体73の外径は、第2蓋74の外径とほぼ同じである。第2回転体73の中心には、厚さ方向に貫通する開口73aが形成されている。図10に示されるように、第2回転体73には、第2昇圧流路52を形成する凹部73bが形成されている。凹部73bは、第2回転体73の厚さ方向において、第2蓋74とは反対側に凹む。
【0096】
第2回転体73は、凹部73bの底部を形成する基部73cと、第2回転体73の外周から径方向に軸心に向かって張り出す張り出し部73e,73f,73gと、厚肉部73hとを有する。
【0097】
厚肉部73hは、基部73cよりも厚い部分である。厚肉部73hは、周方向において、部分的に形成されている。厚肉部73hは、軸方向に見た場合に、径方向において、所定の幅を有する。厚肉部73hは、径方向において、外周から軸心に向かって、形成されている。厚肉部73hは、駆動軸11の回転つりあわせ機能を有する。
【0098】
張り出し部73e,73f,73gは、周方向に互いに離れている。張り出し部73fは、周方向において、張り出し部73eと、張り出し部73gとの間に形成されている。凹部73bの一部は、周方向において、厚肉部73hと張り出し部73eとの間に形成されている。凹部73bの一部は、周方向において、張り出し部73eと張り出し部73fとの間に形成されている。凹部73bの一部は、周方向において、張り出し部73fと張り出し部73gとの間に形成されている。凹部73bの一部は、周方向において、張り出し部73gと厚肉部73hとの間に形成されている。凹部73bの一部は、径方向において、張り出し部73e,73f,73g、および厚肉部73hの内側に形成されている。
【0099】
第2回転体73は、径方向に延びる複数の壁73i~73lを有する。複数の壁73i~73lは、周方向に互いに離れて形成されている。壁731i~73lは、第2壁の一例である。壁73i~73lは、羽根でもよい。壁73i~73lは、第2昇圧流路52に接するように形成されている。壁73i~73lは、第2昇圧流路52を流れる冷媒ガスを、駆動軸11の回転方向に押し出す。壁73i~73lは、周方向に交差する面を含む。
【0100】
壁73iは、厚肉部73hの側面である。壁73jは、張り出し部73eの側面である。壁73kは、張り出し部73fの側面である。壁73lは、張り出し部73gの側面である。
【0101】
第2回転体73には、厚さ方向に貫通する複数の取付穴73mが形成されている。複数の取付穴73mは、張り出し部73e,73gおよび厚肉部73hに形成されている。
【0102】
図11に示されるように、第2蓋74には、厚さ方向に貫通する複数の取付穴74mが形成されている。複数の取付穴74mは、第2回転体73に形成された複数の取付穴73mと同じ位置に形成されている。複数の取付穴71m,72m,73m,74m,75m,76mは、差圧発生機構50を貫通するように形成されている。
【0103】
第2蓋74は、第2回転体73の凹部73bを覆うように配置されている。第2蓋74は、厚さ方向において、第2回転体73の厚肉部73hおよび複数の張り出し部73e~73gの表面に当接する。第2昇圧流路52は、第2回転体73と第2蓋74との間の空間を含む。第2回転体73の凹部73bの外周側の部分は、径方向において開放されている。凹部73bの外周側の部分である開口55a(図4参照)は、差圧発生機構50の外部に対して開放されている。第2昇圧流路52を流れた冷媒ガスは、開口55aを通り、ケーシング20の内部に排出される。開口73aは中間流路53に連通する。
【0104】
第1回転体71、第2回転体73、および第3回転体75は、例えば焼結によって形成されている。
【0105】
差圧発生機構50は、例えばリベット締結によって、回転子31に固定されている。例えば、複数の取付穴71m,72m,73m,74m,75m,76mに棒状の部材が挿通されて、差圧発生機構50は、回転子31に固定されている。
【0106】
[仕切板]
次に、図3を参照して、仕切板90について説明する。ケーシング20の内部には、仕切板90が設置されている。仕切板90は、ケーシング20の内部空間を第1空間S1と第2空間S2とに仕切る。仕切板90は、例えば金属製である。仕切板90の板厚方向は、駆動軸11の軸方向に沿う。仕切板90には、駆動軸11を貫通させる貫通穴が形成されている。
【0107】
圧縮機構40は、第1空間S1に配置されている。電動機30は、第2空間S2に配置されている。駆動軸11は、仕切板90を貫通する。駆動軸11の第1端部11aは、第1空間S1に配置されている。駆動軸11の第2端部11bは、第2空間S2に配置されている。差圧発生機構50は、第2空間S2に配置されている。
【0108】
仕切板90は、例えば、第1ヘッド46の外面を覆うように配置されていてもよい。仕切板90は、第1ヘッド46の電動機30に近い方の面を覆うように配置されていてもよい。駆動軸11の軸方向において、第1ヘッド46と仕切板90との間に隙間が形成されていてもよい。
【0109】
圧縮機構40の吐出口44は、第2空間S2に連通する。圧縮機構40で圧縮された冷媒ガスは、吐出口44を流れて、第2空間S2に吐出される。吐出口44は、例えば、シリンダ室43と第2空間S2とを連通する配管を含んでもよい。吐出口44は、第1ヘッド46および仕切板90に形成された孔および溝を含んでもよい。
【0110】
仕切板90には、複数の開口91,92が形成されている。開口91,92は、仕切板90を板厚方向に貫通する小孔またはスリットでもよい。開口91,92の形状および数は、限定されない。仕切板90には、開口91,92が形成されていなくてもよい。例えば、仕切板90の上端と、ケーシング20との間に隙間を設けてもよい。例えば、仕切板90の下端と、ケーシング20との間に隙間を設けてもよい。ケーシング20の内部において、第1空間S1と第2空間S2とを連通する開口が形成されていればよい。
【0111】
開口91は、例えばケーシング20の底部に近い方に形成されている。開口91は、駆動軸11よりも低い位置に形成されている。開口91は、開口92よりも低い位置に形成されている。開口91は、油の通過を可能とする。例えば、第2空間S2の底部に貯留された油は、開口91を通じて、第1空間S1に流入できる。
【0112】
開口92は、例えばケーシング20の上部に近い位置に形成されている。開口92は、駆動軸11よりも高い位置に形成されている。開口92は、開口91よりも高い位置に形成されている。開口92は、圧縮後の冷媒ガスの通過を可能とする。例えば、第2空間S2の内部に吐出された圧縮後の冷媒ガスは、開口92を通じて、第1空間S1に流入できる。
【0113】
[吐出管]
吐出管13は、上述したように、ケーシング20の上部に設けられている。吐出管13は、第1空間S1に連通する。吐出管13の位置および数は限定されない。吐出管13は、第2空間S2に接続されていてもよい。吐出管13は、圧縮機構40が圧縮された冷媒ガスをロータリ圧縮機10の外部に吐出する流路を含む。
【0114】
圧縮機構40で圧縮された冷媒ガスは、第2空間S2に流入した後、第1空間S1に流入する。第1空間S1に流入した冷媒ガスは、吐出管13を流れて、ロータリ圧縮機10の外部に吐出される。
【0115】
[第1空間および第2空間の内部圧力]
ケーシング20の内部において、第1空間S1の内部圧力P1と、第2空間S2の内部圧力P2とは、異なっていてもよい。例えば、第2空間S2の内部圧力P2は、第1空間S1の内部圧力P1よりも高い。第2空間S2内の冷媒ガスは、開口92を通り、第1空間S1に流入する。冷媒ガスの圧力は、開口92を流れる際の流体抵抗によって減少する。開口92は、複数の小孔またはスリットを含む。開口92は、小孔のみでもよく、スリットのみでもよく、小孔およびスリットの両方でもよい。開口92の形状および数は限定されない。
【0116】
[第1空間および第2空間における油の液面]
ケーシング20の内部には、油が貯留される。貯留部21は、第1空間S1の内部に形成された第1貯留部と、第2空間S2の内部に形成された第2貯留部とを含んでもよい。ケーシング20の内部の油は、重力により底部に貯留される。上述したように、仕切板90に設けられた開口91は、第1空間S1と第2空間S2とを連通する。
【0117】
第1空間S1における油の液面LS1は、第2空間S2における油の液面LS2よりも高い。第1空間S1の内部圧力P1は、第2空間S2の内部圧力P2よりも低い。液面LS1と液面LS2との液面差Δhは、次式により算出できる。「ρ」は油の密度である。「g」は重力加速度である。
【0118】
Δh=(P2-P1)/ρg
【0119】
ロータリ圧縮機10では、第1空間S1の内部圧力P1を第2空間S2の内部圧力P2より低くし、第1空間S1の油の液面LS1を第2空間S2の油の液面LS2よりも高く設定することができる。横置きタイプのロータリ圧縮機10において、第2空間S2の油を第1空間S1に集めることができる。第1空間S1の内部の貯留部21における液面LS1を高くすることにより、給油管18によって油を吸引しやすくできる。
【0120】
[冷媒]
次にロータリ圧縮機10の内部流体として使用される冷媒について説明する。冷媒は冷凍機100に適用される冷媒である。冷媒は、例えば、炭化水素系冷媒、または、アンモニア冷媒、または、HFO冷媒、または、HFC冷媒、または、二酸化炭素冷媒である。冷媒は、その他の冷媒でもよい。「HFO」は、Hydrofluoroolefinの略称である。「HFC」は、「Hydrofluorocarbon」の略称である。
【0121】
炭化水素系冷媒は、例えばプロパンでもよく、イソブタンでもよい。HFO冷媒は、「R124yf」でもよく、「R1234ze」でもよい。HFC冷媒は、「R32」、「R134a」、「R410A」、「R404A」でもよい。
【0122】
ロータリ圧縮機10では、差圧発生機構50を軸回りに回転させることにより、遠心力を用いて、負圧を生じさせることにより、給油路16の内部に差圧を生じさせることができる。冷媒の密度が低い場合には、冷媒の密度が高い場合と比較して、差圧が生じにくい。差圧発生機構50では、複数段の遠心流路が形成されているので、差圧発生機構50の大径化を回避して、差圧の増大を図ることができる。ロータリ圧縮機10では、密度が低い冷媒を使用しても、給油路16に差圧を生じさせて、貯留部21から油を吸い上げることができる。例えば、従来技術のように、単段の遠心流路を有する差圧発生機構を備える場合には、差圧発生機構の外径が大きくなり、ケーシングが大型化するおそれがあった。ロータリ圧縮機10では、複数段の遠心流路を備えることにより、差圧発生機構50の大径化を回避できる。
【0123】
[第1実施形態に係るロータリ圧縮機の作用効果]
第1実施形態に係るロータリ圧縮機10は、ケーシング20と、ケーシング20の内部に配置された駆動軸11と、駆動軸11による回転駆動力を用いて冷媒を圧縮する圧縮機構40と、駆動軸11による回転駆動力を生じさせる電動機30と、駆動軸11を回転可能に支持する軸受22,23と、ケーシング20の内部に配置され、軸受22,23に供給される油を貯留する貯留部21と、駆動軸11の内部に形成され、油を軸受22,23に供給する給油路16と、給油路に連通し駆動軸11の径方向に延びる複数段の遠心流路を有し、給油路16の内部に差圧を生じさせる差圧発生機構50と、を備える。遠心流路は、駆動軸11の径方向において軸心から外周に向かう冷媒ガスの流れを形成し、冷媒ガスを昇圧する第1昇圧流路51と、駆動軸11の径方向において軸心から外周に向かうガスの流れを形成し、第1昇圧流路51を通過した冷媒ガスを昇圧する第2昇圧流路52と、第1昇圧流路51と第2昇圧流路52との間の流路を含み、駆動軸11の径方向において外周から軸心に向かう冷媒ガスの流れを形成する中間流路53と、を含む。
【0124】
本態様のロータリ圧縮機10は、複数段の遠心流路を有する。複数段の遠心流路は、軸心から外周に向かう冷媒ガスの流れを形成する第1昇圧流路51と、外周から軸心に向かうガスの流れを形成する中間流路53と、軸心から外周に向かうガスの流れを形成する第2昇圧流路52と、を含む。これにより、径方向に延びる遠心流路の長さを短くでき、差圧発生機構50の大径化を抑制することができる。差圧発生機構50の大型化を抑制することにより、ケーシング20の大型化を回避することができる。
【0125】
また、ロータリ圧縮機10では、第1昇圧流路51および第2昇圧流路52を含む遠心流路を延長することにより、給油路16における差圧を増大させて、油の吸引を促進することができる。また、ロータリ圧縮機10では、差圧発生機構50によって発生する差圧の増大を図ることができるので、従来と比較して、密度の低い冷媒を用いることができる。
【0126】
ロータリ圧縮機10において、差圧発生機構50は、駆動軸11の径方向に延び、第1昇圧流路51を流れる冷媒ガスを、駆動軸11の回転方向に押し出す第1壁(壁71i,71j,71k,71l)と、駆動軸11の径方向に延び、第2昇圧流路52を流れる冷媒ガスを、駆動軸11の回転方向に押し出す第2壁(壁73i,73j,73k,73l)と、を備える。
【0127】
本態様のロータリ圧縮機10では、第1昇圧流路51を流れる冷媒ガスは、壁71i,71j,71k,71lによって駆動軸11の回転方向に押されて昇圧される。第1昇圧流路51を流れて昇圧されたガスは、中間流路53を流れた後に、第2昇圧流路52に流入する。第2昇圧流路52を流れるガスは、壁73i,73j,73k,73lによって駆動軸11の回転方向に押されて昇圧される。
【0128】
ロータリ圧縮機10において、差圧発生機構50は、第1昇圧流路51を形成する凹部71bが形成された第1回転体71と、第1回転体71の凹部71bを覆う第1蓋72と、第2昇圧流路52を形成する凹部73bが形成された第2回転体73と、第2回転体73の凹部73bを覆う第2蓋74と、中間流路53を形成する凹部73bが形成された第3回転体75と、第3回転体75の凹部73bを覆う第3蓋76と、を備える。
【0129】
本態様のロータリ圧縮機10では、第1回転体71に形成された凹部71bを第1蓋72によって覆うことにより、第1昇圧流路51が形成される。本態様のロータリ圧縮機10では、第2回転体73に形成された凹部73bを第2蓋74によって覆うことにより、第2昇圧流路52が形成される。本態様のロータリ圧縮機10では、第3回転体75に形成された凹部75bを第3蓋76によって覆うことにより、中間流路53が形成される。
【0130】
ロータリ圧縮機10において、電動機30は、駆動軸11とともに回転する回転子31を備え、差圧発生機構50は、回転子31の軸方向の端部31aに取り付けられている。この構成のロータリ圧縮機10では、回転子31を介して、差圧発生機構50を駆動軸11に固定することができる。回転子31は、駆動軸11と比較して、径方向に大きく、差圧発生機構50を固定しやすい。また、この構成のロータリ圧縮機10では、差圧発生機構50を駆動軸11に取り付けるためのその他の取り付け部品を使用しなくてもよい。例えば、駆動軸11の軸方向に、取り付け部品を介して、差圧発生機構50を取り付ける場合と比較して、軸方向におけるロータリ圧縮機10の長さを短くすることができる。換言すれば、軸方向におけるケーシング20の長さを短くすることができる。
【0131】
ロータリ圧縮機10において、差圧発生機構50は、駆動軸11の回転つりあわせ機能を有する。差圧発生機構50において、第1回転体71および第2回転体73には、厚肉部71h,73hが形成されている。厚肉部71h,73hはカウンターウエイトとして機能する。厚肉部71h,73hは、差圧発生機構50の周方向において、例えば同じ位置に形成されている。
【0132】
この構成のロータリ圧縮機10では、差圧発生機構50に回転つりあわせ機能を持たせることにより、駆動軸11におけるつりあいを調整することができる。また、この構成のロータリ圧縮機10では、差圧発生機構50以外の部分に取り付けられるカウンターウエイトの小型化を図ることができる。また、ロータリ圧縮機10において、差圧発生機構50以外の部分に取り付けられるカウンターウエイトを無くしてもよい。例えば、従来技術では、回転子31の軸方向における端部に、カウンターウエイトが取り付けられている場合があった。ロータリ圧縮機10では、差圧発生機構50が回転つりあわせ機能を有するので、回転子31にカウンターウエイトを取り付けなくてもよい。
【0133】
ロータリ圧縮機10において、第1回転体71、第2回転体73、および第3回転体75は、焼結によって形成されている。この構成のロータリ圧縮機10によれば、焼結によって、第1回転体71、第2回転体73、および第3回転体75を形成することにより、低コスト化を図ることができる。また、この構成のロータリ圧縮機10では、第1回転体71、第2回転体73、および第3回転体75における寸法精度の向上を図ることができる。
【0134】
ロータリ圧縮機10では、駆動軸11は、軸方向において、貯留部21に近い方の第1端部11aと、貯留部21から遠い方の第2端部11bと、を有する。軸受22,23は、駆動軸11の軸方向において、差圧発生機構50に対して、第1端部11aに近い方に配置されている。ロータリ圧縮機10では、第1端部11aとは反対側の第2端部11bに差圧発生機構50が接続されている。第1端部11aには、貯留部21の油に浸漬する給油管18が接続されている。差圧発生機構50によって差圧を発生させて、第2端部11bから給油路16の内部の流体を引っ張ることにより、第1端部11aに接続された給油管18が油を吸引することができる。給油路16において、第1端部11aから第2端部11bへ向かう流体の流れを形成することができる。油の供給先となる軸受23,22は、第1端部11aと第2端部11bとの間に配置されているので、これらの供給先に油を供給することができる。
【0135】
ロータリ圧縮機10は、横置きタイプの圧縮機である。なお、横置きタイプの圧縮機とは、例えば、駆動軸11が水平方向に沿うように配置されるタイプの圧縮機である。駆動軸11の水平方向に対する角度は、-15°~+15°でもよい。
【0136】
ロータリ圧縮機10は、ケーシング20の内部に配置され、圧縮機構40が配置される第1空間S1と、電動機30が配置された第2空間S2と、を区切る仕切板90と、ケーシング20に接続され、ケーシング20の内部と連通する吐出管13と、を備える。圧縮機構40は、ロータリ式の圧縮機構である。貯留部21は、第1空間S1の内部に形成され、駆動軸11は、仕切板90を貫通し、駆動軸11の軸方向において、駆動軸11の第1端部11aは、第1空間S1の内部に配置され、駆動軸11の第2端部11bは、第2空間S2の内部に配置されている。駆動軸11の第1端部11aには、給油路16に油を注入する注入口16bが形成され、駆動軸11の第2端部11bには、給油路16と第1昇圧流路51とを連通する開口16aが形成されている。差圧発生機構50は、第2空間S2の内部に配置され、仕切板90には、第1空間S1と第2空間S2とを連通する開口91,92が形成されている。
【0137】
本態様のロータリ圧縮機10では、ケーシング20の内部は、仕切板90によって第1空間S1と第2空間S2とに区切られる。第1空間S1には圧縮機構40が配置され、第2空間S2には電動機30が配置されている。圧縮機構40によって圧縮された冷媒ガスは、第2空間S2に排出される。第2空間S2に存在する圧縮後の冷媒ガスは、仕切板90に形成された開口92を通じて、第1空間S1に流入する。第1空間S1に流入した冷媒ガスは、吐出管13の内部を流れて、ケーシング20の外部に吐出される。
【0138】
[第2実施形態に係るロータリ圧縮機]
次に第2実施形態に係るロータリ圧縮機10について説明する。図12は、第2実施形態に係るロータリ圧縮機10の差圧発生機構50Bを示す断面図である。第2実施形態に係るロータリ圧縮機10が、第1実施形態に係るロータリ圧縮機10と違う点は、図4に示す差圧発生機構50に代えて、図12に示す差圧発生機構50Bを備える点である。なお、第2実施形態の説明において、第1実施形態と同様の説明は省略する。
【0139】
図12に示す差圧発生機構50Bが、図4に示す差圧発生機構50と違う点は、中間流路53Bおよび第3昇圧流路58を備える点である。
【0140】
第3昇圧流路58は、第1昇圧流路51と第2昇圧流路52との間に配置された昇圧流路である。第3昇圧流路58は、駆動軸11の径方向において軸心から外周に向かう冷媒ガスの流れを形成し、冷媒ガスを昇圧する。中間流路53を流れた冷媒ガスは、第3昇圧流路58に流入して昇圧される。
【0141】
中間流路53Bは、第3昇圧流路58と第2昇圧流路との間の流路を含み、駆動軸11の径方向において外周から軸心に向かう冷媒ガスの流れを形成する中間流路である。中間流路53,53Bは、第1昇圧流路51と第2昇圧流路52との間の流路を含む。中間流路53Bを流れた冷媒ガスは、後段の第2昇圧流路52に流入する。
【0142】
差圧発生機構50Bは、第1回転ユニット54、中間ユニット56、第3回転ユニット59、中間ユニット56B、および第2回転ユニット55を備える。第3回転ユニット59は、中間ユニット56と中間ユニット56Bとの間に配置されている。中間ユニット56Bは、第3回転ユニット59と第2回転ユニット55との間に配置されている。第3回転ユニット59は、第1回転ユニット54と同様の構成である。中間ユニット56Bは、中間ユニット56と同様の構成である。
【0143】
このような第2実施形態に係るロータリ圧縮機10は、ロータリ圧縮機10と同様の作用効果を備える。差圧発生機構50Bは、第3昇圧流路58を有し、遠心流路を延長することができる。このように、第3昇圧流路58および中間流路53Bを追加して、遠心流路を延長することにより、差圧の増大を図ることができる。
【0144】
ロータリ圧縮機10は、第1昇圧流路51と第2昇圧流路52との間に複数の中間流路53,53Bを有する構成でもよい。ロータリ圧縮機10は、複数の中間流路53,53B間に、第3昇圧流路58を有する構成でもよい。ロータリ圧縮機10は、複数の第3昇圧流路58を有していてもよい。
【0145】
[第1変形例に係る差圧発生機構]
次に図4を参照して第1変形例に係る差圧発生機構50について説明する。第1変形例に係る差圧発生機構50において、第3蓋76は、第1蓋72と一体として形成されている。
【0146】
このように差圧発生機構50において、複数の部品が一体として形成されていてもよい。これにより、差圧発生機構50の部品点数の削減を図ることができる。また、この構成の差圧発生機構50によれば、差圧発生機構50を組み付ける際の工数の削減を図ることができる。
【0147】
[第2変形例に係る差圧発生機構]
第2変形例に係る差圧発生機構50において、第3回転体75は、第2回転体73と一体として形成されている。差圧発生機構50はこのような構成でもよい。なお、差圧発生機構50は、第1変形例と第2変形例とを組み合わせた形態でもよい。
【0148】
[第3変形例に係る差圧発生機構]
第3変形例に係る差圧発生機構50において、第1回転体71と第1蓋72との配置が逆でもよい。第1蓋72が駆動軸11の第1端部11aに近い位置に配置され、第1回転体71が、中間ユニット56に近い位置に配置されていてもよい。この場合、第1蓋72の軸心に開口が形成され、第1回転ユニット54の外周に、中間流路53に連通する開口が形成されている。また、このような構成において、軸方向に隣り合う第1回転体71と第3蓋76とが一体として構成されていてもよい。
【0149】
[第4変形例に係る差圧発生機構]
第4変形例に係る差圧発生機構50において、第2回転体73と第2蓋74との配置が逆でもよい。第2蓋74が中間ユニット56に近い位置に配置され、第2回転体73が中間ユニット56から遠い位置に配置されていてもよい。この場合に、第2蓋74の軸心に開口が形成されている。また、このような構成において、軸方向に隣り合う第2蓋74と第3回転体75とが一体として構成されていてもよい。
【0150】
[変形例に係る差圧発生機構]
同様に、中間ユニット56の第3回転体75と第3蓋76の配置が逆でもよい。この場合、第3回転体75の外周に、第1昇圧流路51に連通する開口が形成され、第3蓋76の軸心に第2昇圧流路52に連通する開口が形成されている。上述したように軸方向に隣り合う部品同士を一体として構成してもよい。差圧発生機構50において、適宜、部品の配置を変えてもよい。差圧発生機構50において、部品を一体化してもよい。
【0151】
[他の実施形態に係るロータリ圧縮機]
ロータリ圧縮機10は、横置きタイプのロータリ圧縮機に限定されない。ロータリ圧縮機10は、駆動軸11が上下方向に沿って配置された縦型のロータリ圧縮機でもよい。この場合、貯留部21は、ケーシング20の下部に配置され、差圧発生機構50は、ケーシング20の上部に配置される。
【0152】
[1軸2段ロータリ圧縮機]
ロータリ圧縮機10は、1軸2段ロータリ圧縮機に限定されない。1軸2段ロータリ圧縮機は、上述したように、1段目のシリンダ41aで圧縮した冷媒ガスを2段目のシリンダ41bで圧縮した後に吐出する。
【0153】
[単段圧縮機]
ロータリ圧縮機10は、複数段のシリンダ41a,41bを備えるものに限定されない。ロータリ圧縮機10は、単段で複数のシリンダを備えるものでもよい。ロータリ圧縮機10は、いわゆる2シリンダ圧縮機でもよい。ロータリ圧縮機10は、一つのシリンダを備えるものでもよい。ロータリ圧縮機10は、いわゆる1シリンダ圧縮機でもよい。なお、圧縮機において、シリンダの数量は特に限定されない。
【0154】
以上、本発明の好ましい実施形態について詳説した。しかしながら、本発明は、上述した実施形態に制限されることはない。上述した実施形態は、本発明の範囲を逸脱することなしに、種々の変形、置換等が適用され得る。また、別々に説明された特徴は、技術的な矛盾が生じない限り、組み合わせが可能である。
【0155】
上記の実施形態では、圧縮機としてロータリ圧縮機10を例示しているが、圧縮機は、ロータリ圧縮機10に限定されない。圧縮機は、ターボ形の圧縮機でもよく、容積形の圧縮機でもよい。ターボ形の圧縮機は、軸流式の圧縮機でもよく、遠心式の圧縮機でもよい。容積形の圧縮機は、回転式の圧縮機でもよく、往復式の圧縮機でもよい。回転式の圧縮機は、揺動式の圧縮機でもよい。回転式の圧縮機は、スクロール圧縮機でもよい。
【0156】
上記の実施形態では、圧縮機を備えた冷凍機100について例示しているが、圧縮機の用途は、冷凍機100に限定されない。圧縮機は冷凍サイクルの実行に利用されるものに限定されない。
【0157】
上記の実施形態において差圧発生機構50は駆動軸11の端部に設けられている場合について説明しているが、差圧発生機構50は、駆動軸11の端部に設けられているものに限定されない。差圧発生機構50は、駆動軸11の端部以外の場所(中間部)に配置されていてもよい。
【0158】
上記の実施形態では、ケーシング20の内部に仕切板90が設けられているロータリ圧縮機10について説明しているが、ケーシング20の内部に仕切板90が設けられていなくてもよい。また、仕切板90の配置は、適宜変更してもよい。ケーシング20の内部に複数の仕切板が設けられていてもよい。ケーシング20の内部は、3つ以上の空間に仕切られていてもよい。
【0159】
本発明の一態様は、以下のとおりでもよい。
【0160】
<1>
ケーシングと、
前記ケーシングの内部に配置された回転軸と、
前記回転軸による回転駆動力を用いてガスを圧縮する圧縮機構と、
前記回転軸による回転駆動力を生じさせる電動機と、
前記回転軸を回転可能に支持する軸受と、
前記ケーシングの内部に配置され、前記軸受に供給される油を貯留する貯留部と、
前記回転軸の内部に形成され、前記油を前記軸受に供給する給油路と、
前記給油路に連通し前記回転軸の径方向に延びる複数段の遠心流路を有し、前記給油路の内部に差圧を生じさせる差圧発生機構と、を備え、
前記遠心流路は、
前記回転軸の径方向において軸心から外周に向かう前記ガスの流れを形成し、前記ガスを昇圧する第1昇圧流路と、
前記回転軸の径方向において軸心から外周に向かう前記ガスの流れを形成し、前記第1昇圧流路を通過した前記ガスを昇圧する第2昇圧流路と、
前記第1昇圧流路と前記第2昇圧流路との間の流路を含み、前記回転軸の径方向において外周から前記軸心に向かう前記ガスの流れを形成する中間流路と、を含む、圧縮機。
【0161】
<2>
前記差圧発生機構は、
前記回転軸の径方向に延び、前記第1昇圧流路を流れる前記ガスを、前記回転軸の回転方向に押し出す第1壁と、
前記回転軸の径方向に延び、前記第2昇圧流路を流れる前記ガスを、前記回転軸の回転方向に押し出す第2壁と、を備える、上記の<1>に記載の圧縮機。
【0162】
<3>
前記差圧発生機構は、
前記第1昇圧流路を形成する凹部が形成された第1回転体と、
前記第1回転体の前記凹部を覆う第1蓋と、
前記第2昇圧流路を形成する凹部が形成された第2回転体と、
前記第2回転体の前記凹部を覆う第2蓋と、
前記中間流路を形成する凹部が形成された第3回転体と、
前記第3回転体の前記凹部を覆う第3蓋と、
を備える、上記の<2>に記載の圧縮機。
【0163】
<4>
前記第3蓋は、前記第1蓋または前記第1回転体と一体として形成され、
前記第3回転体は、前記第2蓋または前記第2回転体と一体として形成されている、上記の<3>に記載の圧縮機。
【0164】
<5>
前記第3蓋は、前記第2蓋または前記第2回転体と一体として形成され、
前記第3回転体は、前記第1蓋または前記第1回転体と一体として形成されている、
上記の<3>に記載の圧縮機。
【0165】
<6>
前記電動機は、前記回転軸とともに回転する回転子を備え、
前記差圧発生機構は、前記回転子の軸方向の端部に取り付けられている、上記の<1>~<5>の何れか一つに記載の圧縮機。
【0166】
<7>
前記差圧発生機構は、前記回転軸の回転つりあわせ機能を有する、上記の<1>~<6>の何れか一つに記載の圧縮機。
【0167】
<8>
前記第1回転体、前記第2回転体、および前記第3回転体は、焼結によって形成されている上記の<3>~<5>の何れか一つに記載の圧縮機。
【0168】
<9>
前記回転軸は、軸方向において、前記貯留部に近い方の第1端部と、前記貯留部から遠い方の第2端部と、を有し、
前記軸受は、前記回転軸の軸方向において、前記差圧発生機構に対して、前記第1端部に近い方に配置されている、上記の<1>~<8>の何れか一つに記載の圧縮機。
【0169】
<10>
横置きタイプの圧縮機である、上記の<1>~<9>の何れか一つに記載の圧縮機。
【0170】
<11>
前記ケーシングの内部に配置され、前記圧縮機構が配置される第1空間と、前記電動機が配置された第2空間と、を区切る仕切板と、
前記ケーシングに接続され、前記ケーシングの内部と連通する吐出管と、を備え、
前記圧縮機構は、ロータリ式の圧縮機構を含み、
前記貯留部は、前記第1空間の内部に形成され、
前記回転軸は、前記仕切板を貫通し、
前記回転軸の軸方向において、前記回転軸の第1端部は、前記第1空間の内部に配置され、
前記回転軸の第2端部は、前記第2空間の内部に配置され、
前記回転軸の前記第1端部には、前記給油路に前記油を注入する注入口が形成され、
前記回転軸の前記第2端部には、前記給油路と前記第1昇圧流路とを連通する開口が形成され、
前記差圧発生機構は、前記第2空間の内部に配置され、
前記仕切板には、前記第1空間と前記第2空間とを連通する開口が形成されている、請求項10に記載の圧縮機。
【0171】
<12>
前記ガスは、冷媒であり、
前記冷媒は、
炭化水素系冷媒、または、アンモニア冷媒、または、HFO冷媒、または、HFC冷媒、または、二酸化炭素冷媒である、上記の<1>~<11>の何れか一つに記載の圧縮機。
【0172】
<13>
上記の<1>~<12>の何れか一つに記載の圧縮機と、
前記圧縮機で圧縮された冷媒を凝縮する凝縮器と、
前記凝縮器で凝縮された前記冷媒を膨張させる膨張弁と、
前記膨張弁で膨張した前記冷媒を蒸発させる蒸発器と、を備えた冷凍機。
【符号の説明】
【0173】
10 ロータリ圧縮機
2 凝縮器
3 膨張弁
4 蒸発器
11 駆動軸(回転軸)
11a 第1端部
11b 第2端部
13 吐出管
16 給油路
16a 開口
16b 注入口
20 ケーシング
21 貯留部
22 軸受
23 軸受
30 電動機
31 回転子
31a 回転子の軸方向の端部
40 圧縮機構
50,50B 差圧発生機構
51 第1昇圧流路
52 第2昇圧流路
53 中間流路
71 第1回転体
71b 凹部
71i,71j,71k,71l 壁(第1壁)
72 第1蓋
73 第2回転体
73i,73j,73k,73l 壁(第2壁)
74 第2蓋74
75 第3回転体75
76 第3蓋
90 仕切板
91 開口
92 開口
100 冷凍機
S1 第1空間
S2 第2空間
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12