(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024146418
(43)【公開日】2024-10-15
(54)【発明の名称】圧縮処理装置、伸張処理装置、圧縮処理用プログラム、伸張処理用プログラム
(51)【国際特許分類】
H03M 7/30 20060101AFI20241004BHJP
H03M 7/40 20060101ALI20241004BHJP
【FI】
H03M7/30 Z
H03M7/40
【審査請求】有
【請求項の数】14
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023059298
(22)【出願日】2023-03-31
(71)【出願人】
【識別番号】391016358
【氏名又は名称】東芝情報システム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100156199
【弁理士】
【氏名又は名称】神崎 真
(74)【代理人】
【識別番号】100124497
【弁理士】
【氏名又は名称】小倉 洋樹
(74)【代理人】
【識別番号】100074147
【弁理士】
【氏名又は名称】本田 崇
(72)【発明者】
【氏名】岩野 隆
【テーマコード(参考)】
5J064
【Fターム(参考)】
5J064BA09
5J064BA10
5J064BB13
5J064BC03
5J064BC22
5J064BC28
(57)【要約】
【課題】高い圧縮率を得ることが可能な圧縮処理装置を提供する。
【解決手段】0から1までの横軸区間を圧縮処理する圧縮前の伸張コードデータを構成する符号の出現確率値Pにより2区間に区分し、0から前記出現確率値P未満までの第1の2次関数と、前記出現確率値P以上の第2の2次関数とにより構成される変形ロジスティック写像の式を生成する変形ロジスティック写像式生成手段101と、前記伸張コードの1単位データ毎に圧縮値の上限値と下限値とを算出し前記圧縮値の範囲を得る演算を反復して行う変形ロジスティック写像圧縮処理手段110と、前記変形ロジスティック写像圧縮処理手段により最終的に求められた圧縮値の範囲から圧縮コードを生成する変形ロジスティック写像圧縮コード生成手段120とを具備する。
【選択図】
図1A
【特許請求の範囲】
【請求項1】
0から1までの横軸区間を圧縮処理する圧縮前の伸張コードデータを構成する符号の出現確率値Pにより2区間に区分し、0から前記出現確率値P未満までの第1の2次関数と、前記出現確率値P以上の第2の2次関数とにより構成される変形ロジスティック写像の式を生成する変形ロジスティック写像式生成手段と、
前記伸張コードの1単位データ毎に圧縮値の上限値と下限値とを算出し前記圧縮値の範囲を得る演算を反復して行う変形ロジスティック写像圧縮処理手段と、
前記変形ロジスティック写像圧縮処理手段により最終的に求められた圧縮値の範囲から圧縮コードを生成する変形ロジスティック写像圧縮コード生成手段と
を具備することを特徴とする圧縮処理装置。
【請求項2】
前記変形ロジスティック写像圧縮処理手段は、1単位データ毎に圧縮値の上限値と下限値とを算出するに際し、2次方程式aX
2+bX+c=0の解を求める公式
【数1】
を用いて解を求め、この解を用いて計算を行うことを特徴とする請求項1に記載の圧縮処理装置。
【請求項3】
前記変形ロジスティック写像式生成手段は、前記出現確率値Pを複数用意し、この複数の前記出現確率値Pに基づき複数の変形ロジスティック写像の式を生成するものであり、
前記変形ロジスティック写像式生成手段が生成した複数の変形ロジスティック写像の式を用いて、前記伸張コードの最初の1単位データに対する圧縮値の上限値と下限値とを算出して初期値を得る変形ロジスティック写像初期値算出手段と、
前記変形ロジスティック写像初期値算出手段により得られる変形ロジスティック写像の式に対応する初期値のビット数を比較して最も小さいビット数の初期値をもたらした変形ロジスティック写像の式を求める変形ロジスティック写像最適式取得手段と、
を有し、
前記変形ロジスティック写像圧縮処理手段は、前記変形ロジスティック写像最適式取得手段により求められた前記変形ロジスティック写像の式を用いて演算を行うことを特徴とする請求項1に記載の圧縮処理装置。
【請求項4】
伸張コードデータをグレイコードに変換し、変換したグレイコードにより示される伸張コードデータを大きさにより複数の範囲に分け、範囲中の端側の伸張コードデータを範囲中の中央側の伸張コードデータに変更するコード変換を行うコード変換手段を備え、
前記変形ロジスティック写像式生成手段、前記変形ロジスティック写像圧縮処理手段、前記初期値処理手段、前記最適式取得手段は、前記コード変換手段による変更後のコードを用いて処理を行うことを特徴とする請求項3に記載の圧縮処理装置。
【請求項5】
0から1までの横軸区間を圧縮処理する圧縮前の伸張コードデータを構成する符号の出現確率値Pにより2区間に区分し、0から前記出現確率値P未満までの第1の2次関数と、前記出現確率値P以上の第2の2次関数とにより構成される変形ロジスティック写像の式を生成する変形ロジスティック写像式生成手段と、
前記伸張コードの1単位データ毎に圧縮値の上限値と下限値とを算出し前記圧縮値の範囲を得る演算を反復して行う変形ロジスティック写像圧縮処理手段と、
前記変形ロジスティック写像圧縮処理手段により最終的に求められた圧縮値の範囲から圧縮コードを生成する変形ロジスティック写像圧縮コード生成手段と
を有して構成される変形ロジスティック側処理部と、
0から1までの横軸区間を圧縮処理する圧縮前の伸張コードデータを構成する符号の出現確率値Pにより2区間に区分し、0から前記出現確率値P未満までの第1の一次関数と、前記出現確率値P以上の第2の一次関数とにより構成される変形テント写像の式を生成する変形テント写像式生成手段と、
前記伸張コードの1単位データ毎に圧縮値の上限値と下限値とを算出し前記圧縮値の範囲を得る演算を反復して行う変形テント写像圧縮処理手段と、
前記変形テント写像圧縮処理手段により最終的に求められた圧縮値の範囲から圧縮コードを生成する変形テント写像圧縮コード生成手段と
を有して構成される変形テント側処理部と、
を具備し、
前記変形ロジスティック写像式生成手段は、複数用意された前記出現確率値Pを用いて、この複数の前記出現確率値Pに基づき複数の変形ロジスティック写像の式を生成し、
前記変形テント写像式生成手段は、複数用意された前記出現確率値Pを用いて、この複数の前記出現確率値Pに基づき複数の変形テント写像の式を生成し、
前記変形ロジスティック側処理部には、
前記変形ロジスティック写像式生成手段が生成した複数の変形ロジスティック写像の式を用いて、前記伸張コードの最初の1単位データに対する圧縮値の上限値と下限値とを算出して初期値を得る変形ロジスティック写像初期値算出手段と、
前記変形ロジスティック写像初期値算出手段により得られる変形ロジスティック写像の式に対応する初期値のビット数を比較して最も小さいビット数の初期値をもたらした変形ロジスティック写像の式を求める変形ロジスティック写像最適式取得手段と、
が備えられ、
前記変形テント側処理部には、
前記変形テント写像式生成手段が生成した複数の変形テント写像の式を用いて、前記伸張コードの最初の1単位データに対する圧縮値の上限値と下限値とを算出して初期値を得る変形テント写像初期値算出手段と、
前記変形テント写像初期値算出手段により得られる変形テント写像の式に対応する初期値のビット数を比較して最も小さいビット数の初期値をもたらした変形テント写像の式を求める変形テント写像最適式取得手段と、
が備えられ、
前記変形ロジスティック写像初期値算出手段により得られる変形ロジスティック写像の式に対応する初期値のビット数中の最も小さいビット数の初期値と、前記変形テント写像初期値算出手段により得られる変形テント写像の式に対応する初期値のビット中の最も小さいビット数の初期値とを比較して、比較結果で小さい方の初期値をもたらした写像の式を求め、当該写像の式に対応する変形ロジスティック写像最適式取得手段または変形テント写像最適式取得手段により取得された写像の式を求める最適写像式比較結果取得手段、を有し、
前記最適写像式比較結果取得手段により求められた変形ロジスティック写像の式または変形テント写像の式を用いて演算を行うことを特徴とする圧縮処理装置。
【請求項6】
圧縮処理に用いられた出現確率値Pにより2区間に区分し、0から前記出現確率値P未満までの第1の2次関数と、前記出現確率値P以上の第2の2次関数とにより構成される変形ロジスティック写像の式を生成する変形ロジスティック写像式生成手段と、
圧縮コードに対し変形ロジスティック写像の式を用いた演算を施して、伸張コードの1単位データに対応する値を得る計算である1単位データ取得計算及び、この得られた値を前記変形ロジスティック写像の式を用いた演算に用いて次の1単位データを得る1単位データ取得計算を、所定回となるまで繰り返す反復計算を行う変形ロジスティック写像伸張処理手段と、
前記変形ロジスティック写像伸張処理手段の1単位データ取得計算毎に得られる値を、前記変形ロジスティック写像の式の係数に基づき伸張コードの1単位データに変換する変形ロジスティック写像伸張コード生成手段と
を具備することを特徴とする伸張処理装置。
【請求項7】
圧縮コードに含まれるPを取り出し、前記変形ロジスティック写像式生成手段へ送出する手段を有することを特徴とする請求項6に記載の伸張処理装置。
【請求項8】
データの圧縮処理を実現するコンピュータを、
0から1までの横軸区間を圧縮処理する圧縮前の伸張コードデータを構成する符号の出現確率値Pにより2区間に区分し、0から前記出現確率値P未満までの第1の2次関数と、前記出現確率値P以上の第2の2次関数とにより構成される変形ロジスティック写像の式を生成する変形ロジスティック写像式生成手段、
前記伸張コードの1単位データ毎に圧縮値の上限値と下限値とを算出し前記圧縮値の範囲を得る演算を反復して行う変形ロジスティック写像圧縮処理手段、
前記変形ロジスティック写像圧縮処理手段により最終的に求められた圧縮値の範囲から圧縮コードを生成する変形ロジスティック写像圧縮コード生成手段
として機能させることを特徴とする圧縮処理用プログラム。
【請求項9】
前記コンピュータが前記変形ロジスティック写像圧縮処理手段として、1単位データ毎に圧縮値の上限値と下限値とを算出するに際し、2次方程式aX
2+bX+c=0の解を求める公式
【数2】
を用いて解を求め、この解を用いて計算を行うように機能することを特徴とする請求項8に記載の圧縮処理用プログラム。
【請求項10】
前記コンピュータが、前記変形ロジスティック写像式生成手段として、前記出現確率値Pを複数用意し、この複数の前記出現確率値Pに基づき複数の変形ロジスティック写像の式を生成するように機能し、
前記コンピュータは、更に、
前記変形ロジスティック写像式生成手段が生成した複数の変形ロジスティック写像の式を用いて、前記伸張コードの最初の1単位データに対する圧縮値の上限値と下限値とを算出して初期値を得る変形ロジスティック写像初期値算出手段、
前記変形ロジスティック写像初期値算出手段により得られる変形ロジスティック写像の式に対応する初期値のビット数を比較して最も小さいビット数の初期値をもたらした変形ロジスティック写像の式を求める変形ロジスティック写像最適式取得手段、
として機能し、
前記コンピュータが、前記変形ロジスティック写像圧縮処理手段として、前記変形ロジスティック写像最適式取得手段により求められた前記変形ロジスティック写像の式を用いて演算を行うように機能することを特徴とする請求項8に記載の圧縮処理用プログラム。
【請求項11】
前記コンピュータは、
伸張コードデータをグレイコードに変換し、変換したグレイコードにより示される伸張コードデータを大きさにより複数の範囲に分け、範囲中の端側の伸張コードデータを範囲中の中央側の伸張コードデータに変更するコード変換を行うコード変換手段として機能し、
前記コンピュータが、前記変形ロジスティック写像式生成手段、前記変形ロジスティック写像圧縮処理手段、前記初期値処理手段、前記最適式取得手段として、前記コード変換手段による変更後のコードを用いて処理を行うように機能することを特徴とする請求項10に記載の圧縮処理用プログラム。
【請求項12】
データの圧縮処理を実現するコンピュータを、
0から1までの横軸区間を圧縮処理する圧縮前の伸張コードデータを構成する符号の出現確率値Pにより2区間に区分し、0から前記出現確率値P未満までの第1の2次関数と、前記出現確率値P以上の第2の2次関数とにより構成される変形ロジスティック写像の式を生成する変形ロジスティック写像式生成手段、
前記伸張コードの1単位データ毎に圧縮値の上限値と下限値とを算出し前記圧縮値の範囲を得る演算を反復して行う変形ロジスティック写像圧縮処理手段、
前記変形ロジスティック写像圧縮処理手段により最終的に求められた圧縮値の範囲から圧縮コードを生成する変形ロジスティック写像圧縮コード生成手段
として機能させて変形ロジスティック側処理部を実現するように機能させ、
更に上記コンピュータを、
0から1までの横軸区間を圧縮処理する圧縮前の伸張コードデータを構成する符号の出現確率値Pにより2区間に区分し、0から前記出現確率値P未満までの第1の一次関数と、前記出現確率値P以上の第2の一次関数とにより構成される変形テント写像の式を生成する変形テント写像式生成手段、
前記伸張コードの1単位データ毎に圧縮値の上限値と下限値とを算出し前記圧縮値の範囲を得る演算を反復して行う変形テント写像圧縮処理手段、
前記変形テント写像圧縮処理手段により最終的に求められた圧縮値の範囲から圧縮コードを生成する変形テント写像圧縮コード生成手段
として機能させて変形テント側処理部を実現するように機能させ、
前記コンピュータは、前記変形ロジスティック写像式生成手段を、複数用意された前記出現確率値Pを用いて、この複数の前記出現確率値Pに基づき複数の変形ロジスティック写像の式を生成するように機能させ、
前記コンピュータは、前記変形テント写像式生成手段を、複数用意された前記出現確率値Pを用いて、この複数の前記出現確率値Pに基づき複数の変形テント写像の式を生成するように機能させ、
前記コンピュータは、前記変形ロジスティック側処理部に、
前記変形ロジスティック写像式生成手段が生成した複数の変形ロジスティック写像の式を用いて、前記伸張コードの最初の1単位データに対する圧縮値の上限値と下限値とを算出して初期値を得る変形ロジスティック写像初期値算出手段、
前記変形ロジスティック写像初期値算出手段により得られる変形ロジスティック写像の式に対応する初期値のビット数を比較して最も小さいビット数の初期値をもたらした変形ロジスティック写像の式を求める変形ロジスティック写像最適式取得手段、
を有して構成されるように機能させ、
前記コンピュータは、前記変形テント側処理部に、
前記変形テント写像式生成手段が生成した複数の変形テント写像の式を用いて、前記伸張コードの最初の1単位データに対する圧縮値の上限値と下限値とを算出して初期値を得る変形テント写像初期値算出手段、
前記変形テント写像初期値算出手段により得られる変形テント写像の式に対応する初期値のビット数を比較して最も小さいビット数の初期値をもたらした変形テント写像の式を求める変形テント写像最適式取得手段、
を有して構成されるように機能させ、
前記コンピュータは、前記変形ロジスティック写像初期値算出手段により得られる変形ロジスティック写像の式に対応する初期値のビット数中の最も小さいビット数の初期値と、前記変形テント写像初期値算出手段により得られる変形テント写像の式に対応する初期値のビット中の最も小さいビット数の初期値とを比較して、比較結果で小さい方の初期値をもたらした写像の式を求め、当該写像の式に対応する変形ロジスティック写像最適式取得手段または変形テント写像最適式取得手段により取得された写像の式を求める最適写像式比較結果取得手段、として機能し、
前記コンピュータは、前記変形ロジスティック側処理部の各手段または前記変形テント側処理部の各手段を、前記最適写像式比較結果取得手段により求められた変形ロジスティック写像の式または変形テント写像の式を用いて演算を行うように機能させることを特徴とする圧縮処理用プログラム。
【請求項13】
圧縮処理されたデータを伸張するコンピュータを、
圧縮処理に用いられた出現確率値Pにより2区間に区分し、0から前記出現確率値P未満までの第1の2次関数と、前記出現確率値P以上の第2の2次関数とにより構成される変形ロジスティック写像の式を生成する変形ロジスティック写像式生成手段、
圧縮コードに対し変形ロジスティック写像の式を用いた演算を施して、伸張コードの1単位データに対応する値を得る計算である1単位データ取得計算及び、この得られた値を前記変形ロジスティック写像の式を用いた演算に用いて次の1単位データを得る1単位データ取得計算を、所定回となるまで繰り返す反復計算を行う変形ロジスティック写像伸張処理手段、
前記変形ロジスティック写像伸張処理手段の1単位データ取得計算毎に得られる値を、前記変形ロジスティック写像の式の係数に基づき伸張コードの1単位データに変換する変形ロジスティック写像伸張コード生成手段
として機能させることを特徴とする伸張処理用プログラム。
【請求項14】
前記コンピュータを、圧縮コードに含まれるPを取り出し、前記変形ロジスティック写像式生成手段へ送出する手段として機能させることを特徴とする請求項13に記載の伸張処理用プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、可逆の圧縮・伸張を行う圧縮処理装置、伸張処理装置、圧縮処理用プログラム、伸張処理用プログラムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、圧縮処理装置、伸張処理装置、圧縮処理用プログラム、伸張処理用プログラムが開示されている。この特許文献1では変形ベルヌーイシフト写像をさかのぼる圧縮手法が紹介されている。この手法はデータの出現確率を写像の傾き係数とし、従来の算術符号と同等な圧縮率が得られることが紹介されている。
【0003】
また、特許文献2には、乱数生成装置が開示されており、この特許文献2ではテント写像と位相共役の関係にあるロジスティック写像が出力した乱数を参照してさかのぼることで初期値X0の範囲を絞り込む手法が示されている。更に、この特許文献2では、テント写像とロジスティック写像から生成されるグレイコードの初期値X0の区間が示されている。
【0004】
特許文献3には、自然画像データ(静止画)の圧縮方法が開示されている。この特許文献3では、ビットマップ自然画像強度データをビットマップ階調値データに展開し、各層間の排他的論理和演算を求め、分布にもとづくコード変換を行い、カオスの圧縮展開テーブルを用いた圧縮を行って圧縮コードを得ることが示されている。更に、上記と逆の過程をたどり展開することも示されている。
【0005】
更に、特許文献4には、端末装置のエンコーダでドメインの元のデータにカオスを発生させるカオス写像を逐次適用し、クライテリオンを満足する圧縮結果とカオス写像を適用した適用回数とを取得することが示されている。一方、他の端末装置においては、圧縮結果とカオス写像を適用した適用回数を上記端末装置22から通信により取得し、当該他の端末装置は、デコーダでカオス逆写像を上記適用回数と同じ回数だけ圧縮結果に適用して解凍結果であるデータを得ることが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2019-047450号公報
【特許文献2】特開2019-168963号公報
【特許文献3】特開2004-129179号公報
【特許文献4】特開2009-33474号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上記に示したデータ圧縮においては、高い圧縮効率を得るという観点は特に示されておらず、また、そのような高圧縮率の圧縮データを伸張することも開示されていない。
【0008】
本発明はこのような従来のデータ圧縮処理及びデータ伸張処理の現状に鑑みなされたもので、高い圧縮率を得ることが可能な圧縮処理装置、伸張処理装置、圧縮処理用プログラム、伸張処理用プログラムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明に係る圧縮処理装置は、0から1までの横軸区間を圧縮処理する圧縮前の伸張コードデータを構成する符号の出現確率値Pにより2区間に区分し、0から前記出現確率値P未満までの第1の2次関数と、前記出現確率値P以上の第2の2次関数とにより構成される変形ロジスティック写像の式を生成する変形ロジスティック写像式生成手段と、前記伸張コードの1単位データ毎に圧縮値の上限値と下限値とを算出し前記圧縮値の範囲を得る演算を反復して行う変形ロジスティック写像圧縮処理手段と、前記変形ロジスティック写像圧縮処理手段により最終的に求められた圧縮値の範囲から圧縮コードを生成する変形ロジスティック写像圧縮コード生成手段とを具備することを特徴とする。
【0010】
本発明に係る圧縮処理装置では、前記変形ロジスティック写像圧縮処理手段は、1単位データ毎に圧縮値の上限値と下限値とを算出するに際し、2次方程式aX
2+bX+c=0の解を求める公式
【数1】
を用いて解を求め、この解を用いて計算を行うことを特徴とする。
【0011】
本発明に係る圧縮処理装置では、前記変形ロジスティック写像式生成手段は、前記出現確率値Pを複数用意し、この複数の前記出現確率値Pに基づき複数の変形ロジスティック写像の式を生成するものであり、前記変形ロジスティック写像式生成手段が生成した複数の変形ロジスティック写像の式を用いて、前記伸張コードの最初の1単位データに対する圧縮値の上限値と下限値とを算出して初期値を得る変形ロジスティック写像初期値算出手段と、前記変形ロジスティック写像初期値算出手段により得られる変形ロジスティック写像の式に対応する初期値のビット数を比較して最も小さいビット数の初期値をもたらした変形ロジスティック写像の式を求める変形ロジスティック写像最適式取得手段と、を有し、前記変形ロジスティック写像圧縮処理手段は、前記変形ロジスティック写像最適式取得手段により求められた前記変形ロジスティック写像の式を用いて演算を行うことを特徴とする。
【0012】
本発明に係る圧縮処理装置では、伸張コードデータをグレイコードに変換し、変換したグレイコードにより示される伸張コードデータを大きさにより複数の範囲に分け、範囲中の端側の伸張コードデータを範囲中の中央側の伸張コードデータに変更するコード変換を行うコード変換手段を備え、前記変形ロジスティック写像式生成手段、前記変形ロジスティック写像圧縮処理手段、前記初期値処理手段、前記最適式取得手段は、前記コード変換手段による変更後のコードを用いて処理を行うことを特徴とする。
【0013】
本発明に係る圧縮処理装置は、0から1までの横軸区間を圧縮処理する圧縮前の伸張コードデータを構成する符号の出現確率値Pにより2区間に区分し、0から前記出現確率値P未満までの第1の2次関数と、前記出現確率値P以上の第2の2次関数とにより構成される変形ロジスティック写像の式を生成する変形ロジスティック写像式生成手段と、前記伸張コードの1単位データ毎に圧縮値の上限値と下限値とを算出し前記圧縮値の範囲を得る演算を反復して行う変形ロジスティック写像圧縮処理手段と、前記変形ロジスティック写像圧縮処理手段により最終的に求められた圧縮値の範囲から圧縮コードを生成する変形ロジスティック写像圧縮コード生成手段とを有して構成される変形ロジスティック側処理部と、0から1までの横軸区間を圧縮処理する圧縮前の伸張コードデータを構成する符号の出現確率値Pにより2区間に区分し、0から前記出現確率値P未満までの第1の一次関数と、前記出現確率値P以上の第2の一次関数とにより構成される変形テント写像の式を生成する変形テント写像式生成手段と、前記伸張コードの1単位データ毎に圧縮値の上限値と下限値とを算出し前記圧縮値の範囲を得る演算を反復して行う変形テント写像圧縮処理手段と、前記変形テント写像圧縮処理手段により最終的に求められた圧縮値の範囲から圧縮コードを生成する変形テント写像圧縮コード生成手段とを有して構成される変形テント側処理部と、を具備し、前記変形ロジスティック写像式生成手段は、複数用意された前記出現確率値Pを用いて、この複数の前記出現確率値Pに基づき複数の変形ロジスティック写像の式を生成し、前記変形テント写像式生成手段は、複数用意された前記出現確率値Pを用いて、この複数の前記出現確率値Pに基づき複数の変形テント写像の式を生成し、前記変形ロジスティック側処理部には、前記変形ロジスティック写像式生成手段が生成した複数の変形ロジスティック写像の式を用いて、前記伸張コードの最初の1単位データに対する圧縮値の上限値と下限値とを算出して初期値を得る変形ロジスティック写像初期値算出手段と、前記変形ロジスティック写像初期値算出手段により得られる変形ロジスティック写像の式に対応する初期値のビット数を比較して最も小さいビット数の初期値をもたらした変形ロジスティック写像の式を求める変形ロジスティック写像最適式取得手段と、が備えられ、前記変形テント側処理部には、前記変形テント写像式生成手段が生成した複数の変形テント写像の式を用いて、前記伸張コードの最初の1単位データに対する圧縮値の上限値と下限値とを算出して初期値を得る変形テント写像初期値算出手段と、前記変形テント写像初期値算出手段により得られる変形テント写像の式に対応する初期値のビット数を比較して最も小さいビット数の初期値をもたらした変形テント写像の式を求める変形テント写像最適式取得手段と、が備えられ、前記変形ロジスティック写像初期値算出手段により得られる変形ロジスティック写像の式に対応する初期値のビット数中の最も小さいビット数の初期値と、前記変形テント写像初期値算出手段により得られる変形テント写像の式に対応する初期値のビット中の最も小さいビット数の初期値とを比較して、比較結果で小さい方の初期値をもたらした写像の式を求め、当該写像の式に対応する変形ロジスティック写像最適式取得手段または変形テント写像最適式取得手段により取得された写像の式を求める最適写像式比較結果取得手段、を有し、前記最適写像式比較結果取得手段により求められた変形ロジスティック写像の式または変形テント写像の式を用いて演算を行うことを特徴とする。
【0014】
本発明に係る伸張処理装置は、圧縮処理に用いられた出現確率値Pにより2区間に区分し、0から前記出現確率値P未満までの第1の2次関数と、前記出現確率値P以上の第2の2次関数とにより構成される変形ロジスティック写像の式を生成する変形ロジスティック写像式生成手段と、圧縮コードに対し変形ロジスティック写像の式を用いた演算を施して、伸張コードの1単位データに対応する値を得る計算である1単位データ取得計算及び、この得られた値を前記変形ロジスティック写像の式を用いた演算に用いて次の1単位データを得る1単位データ取得計算を、所定回となるまで繰り返す反復計算を行う変形ロジスティック写像伸張処理手段と、前記変形ロジスティック写像伸張処理手段の1単位データ取得計算毎に得られる値を、前記変形ロジスティック写像の式の係数に基づき伸張コードの1単位データに変換する変形ロジスティック写像伸張コード生成手段とを具備することを特徴とする。
【0015】
本発明に係る伸張処理装置では、圧縮コードに含まれるPを取り出し、前記変形ロジスティック写像式生成手段へ送出する手段を有することを特徴とする。
【0016】
本発明に係る圧縮処理用プログラムは、データの圧縮処理を実現するコンピュータを、0から1までの横軸区間を圧縮処理する圧縮前の伸張コードデータを構成する符号の出現確率値Pにより2区間に区分し、0から前記出現確率値P未満までの第1の2次関数と、前記出現確率値P以上の第2の2次関数とにより構成される変形ロジスティック写像の式を生成する変形ロジスティック写像式生成手段、前記伸張コードの1単位データ毎に圧縮値の上限値と下限値とを算出し前記圧縮値の範囲を得る演算を反復して行う変形ロジスティック写像圧縮処理手段、前記変形ロジスティック写像圧縮処理手段により最終的に求められた圧縮値の範囲から圧縮コードを生成する変形ロジスティック写像圧縮コード生成手段として機能させることを特徴とする。
【0017】
本発明に係る圧縮処理用プログラムでは、前記コンピュータが前記変形ロジスティック写像圧縮処理手段として、1単位データ毎に圧縮値の上限値と下限値とを算出するに際し、2次方程式aX
2+bX+c=0の解を求める公式
【数2】
を用いて解を求め、この解を用いて計算を行うように機能することを特徴とする。
【0018】
本発明に係る圧縮処理用プログラムでは、前記コンピュータが、前記変形ロジスティック写像式生成手段として、前記出現確率値Pを複数用意し、この複数の前記出現確率値Pに基づき複数の変形ロジスティック写像の式を生成するように機能し、前記コンピュータは、更に、前記変形ロジスティック写像式生成手段が生成した複数の変形ロジスティック写像の式を用いて、前記伸張コードの最初の1単位データに対する圧縮値の上限値と下限値とを算出して初期値を得る変形ロジスティック写像初期値算出手段、前記変形ロジスティック写像初期値算出手段により得られる変形ロジスティック写像の式に対応する初期値のビット数を比較して最も小さいビット数の初期値をもたらした変形ロジスティック写像の式を求める変形ロジスティック写像最適式取得手段、として機能し、前記コンピュータが、前記変形ロジスティック写像圧縮処理手段として、前記変形ロジスティック写像最適式取得手段により求められた前記変形ロジスティック写像の式を用いて演算を行うように機能することを特徴とする。
【0019】
本発明に係る圧縮処理用プログラムでは、前記コンピュータは、伸張コードデータをグレイコードに変換し、変換したグレイコードにより示される伸張コードデータを大きさにより複数の範囲に分け、範囲中の端側の伸張コードデータを範囲中の中央側の伸張コードデータに変更するコード変換を行うコード変換手段として機能し、前記コンピュータが、前記変形ロジスティック写像式生成手段、前記変形ロジスティック写像圧縮処理手段、前記初期値処理手段、前記最適式取得手段として、前記コード変換手段による変更後のコードを用いて処理を行うように機能することを特徴とする。
【0020】
本発明に係る圧縮処理用プログラムは、データの圧縮処理を実現するコンピュータを、0から1までの横軸区間を圧縮処理する圧縮前の伸張コードデータを構成する符号の出現確率値Pにより2区間に区分し、0から前記出現確率値P未満までの第1の2次関数と、前記出現確率値P以上の第2の2次関数とにより構成される変形ロジスティック写像の式を生成する変形ロジスティック写像式生成手段、前記伸張コードの1単位データ毎に圧縮値の上限値と下限値とを算出し前記圧縮値の範囲を得る演算を反復して行う変形ロジスティック写像圧縮処理手段、前記変形ロジスティック写像圧縮処理手段により最終的に求められた圧縮値の範囲から圧縮コードを生成する変形ロジスティック写像圧縮コード生成手段として機能させて変形ロジスティック側処理部を実現するように機能させ、更に上記コンピュータを、0から1までの横軸区間を圧縮処理する圧縮前の伸張コードデータを構成する符号の出現確率値Pにより2区間に区分し、0から前記出現確率値P未満までの第1の一次関数と、前記出現確率値P以上の第2の一次関数とにより構成される変形テント写像の式を生成する変形テント写像式生成手段、前記伸張コードの1単位データ毎に圧縮値の上限値と下限値とを算出し前記圧縮値の範囲を得る演算を反復して行う変形テント写像圧縮処理手段、前記変形テント写像圧縮処理手段により最終的に求められた圧縮値の範囲から圧縮コードを生成する変形テント写像圧縮コード生成手段として機能させて変形テント側処理部を実現するように機能させ、前記コンピュータは、前記変形ロジスティック写像式生成手段を、複数用意された前記出現確率値Pを用いて、この複数の前記出現確率値Pに基づき複数の変形ロジスティック写像の式を生成するように機能させ、前記コンピュータは、前記変形テント写像式生成手段を、複数用意された前記出現確率値Pを用いて、この複数の前記出現確率値Pに基づき複数の変形テント写像の式を生成するように機能させ、前記コンピュータは、前記変形ロジスティック側処理部に、前記変形ロジスティック写像式生成手段が生成した複数の変形ロジスティック写像の式を用いて、前記伸張コードの最初の1単位データに対する圧縮値の上限値と下限値とを算出して初期値を得る変形ロジスティック写像初期値算出手段、前記変形ロジスティック写像初期値算出手段により得られる変形ロジスティック写像の式に対応する初期値のビット数を比較して最も小さいビット数の初期値をもたらした変形ロジスティック写像の式を求める変形ロジスティック写像最適式取得手段、を有して構成されるように機能させ、前記コンピュータは、前記変形テント側処理部に、前記変形テント写像式生成手段が生成した複数の変形テント写像の式を用いて、前記伸張コードの最初の1単位データに対する圧縮値の上限値と下限値とを算出して初期値を得る変形テント写像初期値算出手段、前記変形テント写像初期値算出手段により得られる変形テント写像の式に対応する初期値のビット数を比較して最も小さいビット数の初期値をもたらした変形テント写像の式を求める変形テント写像最適式取得手段、を有して構成されるように機能させ、前記コンピュータは、前記変形ロジスティック写像初期値算出手段により得られる変形ロジスティック写像の式に対応する初期値のビット数中の最も小さいビット数の初期値と、前記変形テント写像初期値算出手段により得られる変形テント写像の式に対応する初期値のビット中の最も小さいビット数の初期値とを比較して、比較結果で小さい方の初期値をもたらした写像の式を求め、当該写像の式に対応する変形ロジスティック写像最適式取得手段または変形テント写像最適式取得手段により取得された写像の式を求める最適写像式比較結果取得手段、として機能し、前記コンピュータは、前記変形ロジスティック側処理部の各手段または前記変形テント側処理部の各手段を、前記最適写像式比較結果取得手段により求められた変形ロジスティック写像の式または変形テント写像の式を用いて演算を行うように機能させることを特徴とする。
【0021】
本発明に係る伸張処理用プログラムは、圧縮処理されたデータを伸張するコンピュータを、圧縮処理に用いられた出現確率値Pにより2区間に区分し、0から前記出現確率値P未満までの第1の2次関数と、前記出現確率値P以上の第2の2次関数とにより構成される変形ロジスティック写像の式を生成する変形ロジスティック写像式生成手段、圧縮コードに対し変形ロジスティック写像の式を用いた演算を施して、伸張コードの1単位データに対応する値を得る計算である1単位データ取得計算及び、この得られた値を前記変形ロジスティック写像の式を用いた演算に用いて次の1単位データを得る1単位データ取得計算を、所定回となるまで繰り返す反復計算を行う変形ロジスティック写像伸張処理手段、前記変形ロジスティック写像伸張処理手段の1単位データ取得計算毎に得られる値を、前記変形ロジスティック写像の式の係数に基づき伸張コードの1単位データに変換する変形ロジスティック写像伸張コード生成手段として機能させることを特徴とする。
【0022】
本発明に係る伸張処理用プログラムでは、前記コンピュータを、圧縮コードに含まれるPを取り出し、前記変形ロジスティック写像式生成手段へ送出する手段として機能させることを特徴とする。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【
図1A】本発明の実施形態1に係る圧縮処理装置と伸張処理装置との構成図。
【
図1B】本発明の実施形態2に係る圧縮処理装置と伸張処理装置との構成図。
【
図1C】本発明の実施形態3に係る圧縮処理装置と伸張処理装置との構成図。
【
図1D】本発明の実施形態4に係る圧縮処理装置と伸張処理装置との構成図。
【
図3】ロジスティック写像による時系列の値の変化を示す図。
【
図5】テント写像による時系列の値の変化を示す図。
【
図6】P=0.75の場合のテント写像マップを示す図。
【
図7】テント写像とロジスティック写像の初期値X
0区間と、各区間に対応して生成したグレイコードとバイナリコードの表記例を示す図。
【
図8】テント写像の式(4)に従って圧縮を行う場合の処理を示すフローチャートを示す図。
【
図9】テント写像の式を遡って圧縮を行う場合の初期値X
0区間を求めた遷移を示す図。
【
図10】テント写像の式に従って伸張を行う場合の処理を示すフローチャートを示す図。
【
図11】テント写像の式(3)に従って、圧縮コード(0.1011)
2を伸張した場合の過程を示す図。
【
図12】P=0.5のロジスティック写像の式を遡って圧縮を行う場合の初期値X
0区間を求めた遷移を示す図。
【
図13】P=0.75のときの変形テント写像に相似する変形ロジスティック写像を示す図。
【
図14】P=1/4のロジスティック写像の右半分をX軸方向にプラス1/2移動した場合の図。
【
図15】P=1/8,2/8,3/8,4/8,5/8,6/8,7/8の変形ロジスティック写像を示す図。
【
図16】本発明の実施形態1の圧縮処理装置の動作を示すフローチャート。
【
図17】P=0.75のときの変形ロジスティック写像を遡る圧縮処理の一例を示す図。
【
図18】本発明の実施形態1の伸張処理装置の動作を示すフローチャート。
【
図19】出現確率値P=0.75のデータを変形テント写像と変形ロジスティック写像の2通りで、圧縮処理を行い、初期値X
0を求めた結果を示す図。
【
図20】横軸にPを振り、Pを変化させて変形テント写像を求め、この各写像を用いて初期値X
0区間を求めて、これを縦軸に割り当てたグラフを示す図。
【
図21】横軸にPを振り、Pを変化させて変形ロジスティック写像を求め、この各写像を用いて初期値X
0区間を求めて、これを縦軸に割り当てたグラフを示す図。
【
図22】本発明の実施形態2の圧縮処理装置の動作を示すフローチャート。
【
図23】P=5/8(0.625)、初期値X
0=0.75の変形ロジスティック写像による伸張処理を示す図。
【
図24】8ビット全て“0”と全て“1”のデータを除いた254通りのパターンで実施形態1のPを“0”の出現確率として圧縮したものと、実施形態2によるPを変動して圧縮したものとを、比較した結果を示す図。
【
図25】本実施形態3によるコード変換(ビット反転)に係る処理例のフローチャートを示す図。
【
図26】本実施形態3により得られる圧縮コードの内容を示す図。
【
図27】ビット0のカウント数を出現確率値P(点線)とする変形ロジスティック写像で圧縮を行った初期値X
0の圧縮コードビット数(縦軸)、Pを変動(実線)する変形ロジスティック写像で圧縮を行った初期値X
0の圧縮コードビット数(縦軸)、についての比較結果を示す図。
【
図28】本発明の実施形態3の伸張処理装置の動作を示すフローチャート。
【
図29】本発明の実施形態4に係る圧縮処理装置が行う処理のフローチャート。
【
図30】8ビット(横軸)のデータを変形ロジスティック写像と変形テント写像で圧縮を行った圧縮後の初期値X
0ビット数(縦軸)の比較を示す図。
【
図31】本発明の実施形態4に係る伸張処理装置が行う処理のフローチャート。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下添付図面を参照して、本発明に係る圧縮処理装置、伸張処理装置、圧縮処理用プログラム、伸張処理用プログラムの実施形態を説明する。各図において同一の構成要素には、同一の符号を付して重複する説明を省略する。本発明の実施形態は、変形ロジスティック写像による圧縮率が高い可逆圧縮装置である。そこで、最初にロジスティック写像とテント写像についての説明から始めることにする。
【0025】
<ロジスティック写像について>
ロジスティック写像は、以下の式(1)で定義される。
【数3】
ロジスティック写像のマップを
図2に示し、横軸をi、縦軸をX
iとして、式(1)による時系列の値の変化を
図3に示す。
図3の時系列では、初期値X
0=0.3を設定し、式(1)の写像遷移は、X
1=4x0.3(1-0.3)=0.84であり、結果のX
1=0.84が反復入力され、X
2=4x0.84(1-0.84)=0.5376を得る。このように出力値が入力値として反復され、縦軸X
iが開区間(0,1)を遷移されて行く。
【0026】
<テント写像について>
テント写像は、次の式(2)で定義される
【数4】
テント写像のマップを
図4に示し、横軸をi、縦軸をX
i+1として、式(2)による時系列の値の変化を
図5に示す。
式(2)は傾き係数が2の一般的なテント写像であるが、この例では伸張処理に傾き係数をPとした変形テント写像を用いるため、次の式(3)に示す。
【数5】
例として、“P=0.75”としたときの変形テント写像のマップを
図6に示す。
【0027】
ここで、本実施形態に係る変形ロジスティック写像の式を用いた圧縮処理装置による可逆圧縮方法の効果について考察してみる。
前述の特許文献1では、変形ベルヌーイシフト写像をさかのぼる圧縮手法が紹介されており、従来の算術符号と同等の圧縮符号が得られることが記載されている。変形ベルヌーイシフト写像の傾き係数は線形であるため、同じく傾き係数Pが線形な変形テント写像で圧縮処理を行った場合と同等の圧縮率が得られると推測されるのである。
【0028】
一方、特許文献2の第23の
図11は、本願の
図7に示すものと同一である。この
図7には、テント写像とロジスティック写像から生成されるグレイコードの初期値X
0の区間が示されており、初期値X
0の区間を見比べると双方は異なることが確認できる。
このためロジスティック写像を圧縮関数として利用した場合、テント写像と異なる初期値X
0の区間が得られるため圧縮対象とするデータパターンによっては算術符号で得ることができない高い圧縮率を得ることが期待できる。
【0029】
変形テント写像による圧縮方法を説明する。
圧縮対象とするディジタルデータを2進数として“0”と“1”の頻度を出現確率値Pとし、式(3)の変形テント写像をさかのぼる圧縮を行う場合の式は、次の式(4)となる。
【数6】
【0030】
式(4)に従って圧縮を行う場合の処理を示すフローチャートを
図8に示す。例としてビットパターン“0100”である4ビット分をさかのぼり、初期値X
0区間を求めた遷移を
図9に示す。この場合ビット0の個数は3つのためP=3/4に設定し、下限X
3=0と上限X
3=1を与えて式(4)を用いて求めた初期値X
0の半開区間は[0.64453125,0.75)になる。
この圧縮コードはビット値で表すと区間[(0.10100101)
2,(0.11)
2)となり、圧縮コードはこの中で最も少ないビット数となる(0.1011)
2が十進数の0.6875となり圧縮値の初期値X
0となる。
【0031】
伸張処理を示すフローチャートを
図10に示す。また、具体的な伸張処理の例として、圧縮コード(0.1011)
2を伸張した場合の過程を
図11に示す。この
図11に示すように、式(3)に初期値X
0を設定して写像X
iが0.75未満のときビット“0”を出力し、0.75以上のときビット“1”を出力して4ビット分出力して終了するものである。
図11では、圧縮コードである“0100”が伸張ビットとして出力されている。
【0032】
<実施形態1>
次に、本発明の実施形態1を説明する。
図1Aに、本発明の実施形態1に係る圧縮処理装置100と伸張処理装置200との構成図を示す。圧縮処理装置100には、変形ロジスティック写像式生成手段101と変形ロジスティック写像圧縮処理手段110と変形ロジスティック写像圧縮コード生成手段120が備えられている。伸張処理装置200には、変形ロジスティック写像式生成手段201と変形ロジスティック写像伸張処理手段210と変形ロジスティック写像伸張コード生成手段220が備えられている。
【0033】
圧縮処理装置100と伸張処理装置200はそれぞれ別のコンピュータによって構成することができ、また、一台のコンピュータによって構成するようにしても良い。300は、伸張コードの格納部を示し、圧縮処理装置100や伸張処理装置200の内部にあっても良いし、外部の記憶装置や他のコンピュータにあっても良い。更に、400は、圧縮コードの格納部を示し、圧縮処理装置100や伸張処理装置200の内部にあっても良いし、外部の記憶装置や他のコンピュータにあっても良い。
【0034】
変形ロジスティック写像式生成手段101は、0から1までの横軸区間を圧縮処理する圧縮前の伸張コードデータを構成する符号の出現確率値Pにより2区間に区分し、0から上記出現確率値P未満までの第1の2次関数と、上記出現確率値P以上の第2の2次関数とにより構成される変形ロジスティック写像の式を生成するものである。
【0035】
変形ロジスティック写像圧縮処理手段110は、上記伸張コードの1単位データ毎に圧縮値の上限値と下限値とを算出し上記圧縮値の範囲を得る演算を反復して行うものである。ここに、圧縮値は圧縮コードに対応する初期値とこれを演算して得られるもので、以下では“Xi”として表記される値である。変形ロジスティック写像圧縮コード生成手段120は、上記変形ロジスティック写像圧縮処理手段110により最終的に求められた圧縮値の範囲から圧縮コードを生成するものである。伸張コードの1単位データとは、伸張コードが1と0の数値により構成されている場合には、この1と0を指す。また、伸張コードがabcd・・・のようにアルファベットから構成されているときには、a、b、c、d、・・・の1文字を指す。更に、後に説明するが、伸張コードが"Hello World!!\ "のような文字列(一般的には、データ列)を1つのコードとして構成されているときは、この"Hello World!!\ "のような文字列(一般的には、データ列)を指す。
【0036】
変形ロジスティック写像式生成手段201は、0から1までの横軸区間を圧縮処理する圧縮前の伸張コードデータを構成する符号の出現確率値Pにより2区間に区分し、0から上記出現確率値P未満までの第1の2次関数と、上記出現確率値P以上の第2の2次関数により構成される変形ロジスティック写像の式を生成するものである。従って、変形ロジスティック写像式生成手段201は、変形ロジスティック写像式生成手段101を共用するものであっても良い
【0037】
変形ロジスティック写像伸張処理手段210は、圧縮コードに対し変形ロジスティック写像の式を用いた演算を施して、伸張コードの1単位データに対応する値を得る計算である1単位データ取得計算及び、この得られた値を前記変形ロジスティック写像の式を用いた演算に用いて次の1単位データを得る1単位データ取得計算を、所定回となるまで繰り返す反復計算を行うものである。変形ロジスティック写像伸張コード生成手段220は、上記変形ロジスティック写像伸張処理手段の1単位データ取得計算毎に得られる値を、上記変形ロジスティック写像の式の係数に基づき伸張コードの1単位データに変換するものである。
【0038】
本実施形態では、式(1)のロジスティック写像の式を変形ロジスティック写像として、圧縮方法を示す。
変形ロジスティック写像から写像の度にX
i<0.5のとき、ビット0を取得し、0.5≦X
iのとき、ビット1を取得し連続してビット列を得る。そのビット列をさかのぼって初期値X
0の区間を求めることを考える。
図12に示すようにビット列が“0010”の場合にロジスティック写像をさかのぼる例を示す。
まず1番最後のビットは“0”であるため、X
3は必ず区間“0≦X
3<0.5”の値であることがわかる。
次に、“X
3=4X
2(1-X
2)”の式は2次方程式“4X
2
2-4X
2+X
3=0”に変形され、下限X
3=0を当てはめるとX
2=1もしくはX
2=-1が得られるが“X
i>0”であるため“X
2=1”であることがわかる。
上限X
3=0.5を当てはめると、4X
2
2-4X
2+0.5=0”となり
2次方程式aX
2+bX+c=0の解の公式
【数7】
を用いてX
2(ここでa=4,b=-4,c=0.5を与える)を求めると、X
2=0.146446609407もしくはX
2=0.853553390593が解(小数点は12桁まで表示)となる。しかしながら、X
2は観測されたビットが1のため区間“0.5≦X
2<1.0”からきていることは明らかであるため、X
2=0.853553390593を採用する。この結果、X
2の区間は“0.853553390593≦X
2<1”の範囲から計算されたことがわかる。
【0039】
次に、“X2=4X1(1-X1)”の式は2次方程式“4X1
2-4X1+X2=0”に変形され、同様に、先に求めたX2の区間から上限X2=1は“4X1
2-4X1+1=0”より2次方程式の解はX1=0.5が得られる。
下限X2=0.853553390593は“4X1
2-4X1-0.853553390593=0”から2次方程式の解より、X1=0.308658283817とX1=0.691341716183が得られ、X1は観測されたビットが0のため区間“0≦X1<0.5”であることからX1=0.308658283817であることがわかる。
結果としてX1の区間は”0.308658283817≦X1<0.5”から計算されていることがわかる。
最後に、“X1=4X0(1-X0)”は同様に“4X0
2-4X0-0.5=0”と“4X0
2-4X0-0.308658283817=0”に変形した2次方程式の解を求め、ビット0が観測されていることを考慮に入れると最終的に初期値X0の区間は“0.084265193849≦X0<0.146446609407”に絞り込める。
絞り込んだ範囲内から式(1)のロジスティック写像に初期値X0を与えて反復を行い、Xiが0.5以上のときビット“1”を取得し0.5未満のとき、ビット“0”を連続して4ビット分をとると必ずビット列“0010“が得られることを意味する。
【0040】
このように、上記変形ロジスティック写像圧縮処理手段110は、1単位データ毎に圧縮値の上限値と下限値とを算出するに際し、2次方程式aX
2+bX+c=0の解を求める公式
【数8】
を用いて解を求め、この解を用いて計算を行うものである。
【0041】
上記のように観測されたビット列からロジスティック写像の初期値X
0の区間を求める手順にて4ビット分(全16パターン)を求めた結果を
図7の表“ロジスティック写像の初期値X
0区間”(表では小数点は6桁まで)に示す。
図12の例は
図7の<4>の区間になっている。
図7の<1>~<16>の各初期値X
0の区間からロジスティック写像式(1)を反復演算し、X
iが0.5以上のときビット“1”を取得し0.5未満のとき、ビット“0”を連続して4ビット分をとると“グレイコード”の列にならったビット列が生成される。
【0042】
本実施形態で扱う変形ロジスティック写像を定義する。
式(1)はコントロールパラメータが4となる一般的なロジスティック写像の漸化式であり、2次の多項式となっている。上記例では、これを変形ロジスティック写像として扱った。本実施形態では式(3)の変形テント写像に倣い、式(4)のPのようにパラメータ変動可能な2次の多項式からなる変形ロジスティック写像を定義する。即ち、変形ロジスティック写像式生成手段101は、以下のようにして変形ロジスティック写像式を生成する。
【0043】
例として
図13に、
図6のP=0.75のときの変形テント写像に相似する変形ロジスティック写像を示す。
図13のP=3/4未満は次の2次の多項式(第1の2次関数)
【数9】
となっており。P=3/4以上は次の2次の多項式(第2の2次関数)で構成されている。
【数10】
上記の変形ロジスティック写像を構成する2次多項式の生成方法について説明する。
一般的な“x"を変数とする2次式は次の式(7)に表される。
【数11】
【0044】
ここで式(1)のようにx=0のとき、f(x)=0となる式では係数c=0になるため次の2次式となる。
【数12】
図13のP=3/4未満の多項式はx=3/4のときf(3/4)=1となるため、次の式(9)が成り立つ。
【数13】
また、xを2倍にしたx=6/4ではf(6/4)=0になることがわかるため、次の式(10)が成り立つ。
【数14】
式(9)と式(10)を代数的に解くことで係数a=-16/9、係数b=8/3、が求められる。
以上は代数的に解いたが係数aと係数bは2×2の逆行列を用いてプログラム実装し求めることができる。
【数15】
となるが左辺(1,0)をF、2×2の行列をX、係数aと係数bをAとすると式(11)は次の式で表せられる。
【数16】
上記の式の両辺に逆行列X
-1をかけることで係数aと係数bを求める。
【数17】
2×2の逆行列はXを
【数18】
とすると、2×2の逆行列の定義式は
【数19】
のため、式(12)に当てはめてPに応じた2次式の係数aと係数bの値を求めることができる。
【0045】
次に、式(6)のP=3/4以上の2次式を求める手法を説明する。
式(6)は
図13のP=3/4以上の部分の2次曲線はX-Y軸の原点(0,0)を通らないため、
図14に示すようにP=1/4としたときの2次曲線をX軸方向にプラス1/2移動した2次曲線の2次式の係数aと係数b、係数cを求めることを考える。
【0046】
x=1/4のとき、f(1/4)=1となるため、次の式(13)が成り立つ。
【数20】
また、xを2倍にしたx=2/4ではf(2/4)=0になることがわかるため、次の式(14)が成り立つ。
【数21】
式(13)と式(14)を代数的に解くことで係数a=-16、係数b=8、が求められ次式(15)が得られる。
【数22】
式(15)は
図14のようにX軸正方向に式(15)の変数xを1/2シフトする次の式(16)を構成する。
【数23】
式(16)を展開することで
図13のP=3/4以上の領域の曲線で示した式(6)になる。
つまり原点(0,0)を通らないP以上の2次式は原点(0,0)を通る2次式の係数aと係数bを求めてからx軸正方向に“1-2P”分シフトした2次式を求めればよいため、式(8)の形式より“x”をシフトする次の式(17)を構成する。
【数24】
式(17)を展開して式(7)の各係数(a,b,c)3つを持つ形式へ当てはめると
【数25】
と各係数が求まり、式(7)の係数を3つ持つ2次式を構成しプログラム実装することができる。
この手法にてプログラムを実装しP=1/8,2/8,3/8,4/8,5/8,6/8,7/8の7通りで式(7)の係数aとbとcを求めて2次の多項式を生成し、変数xを区間[0,1]に振り各々プロットしたものが
図15になる。
【0047】
以上のように本実施形態において用いる変形ロジスティック写像は、上記のように「0から1までの横軸区間を圧縮処理する圧縮前の伸張コードデータを構成する符号の出現確率値P」を変動パラメータとし、このPを境に2種類からなる2次の多項式であると定義することができる。
本実施形態の変形ロジスティック写像式生成手段101は、0から上記出現確率値P未満までの第1の2次関数と、上記出現確率値P以上の第2の2次関数とにより構成される変形ロジスティック写像の式を生成する。
【0048】
本実施形態では、
図2に示す式(1)の場合の初期値X
0の区間を求めたように2次方程式の解の公式を用いて変形ロジスティック写像の初期値X
0を求める変形ロジスティック写像初期値算出手段を備えている。
本実施形態の圧縮処理装置100は、
図16に示すフローチャートに対応するプログラムを実行することにより、変形ロジスティック写像をさかのぼる圧縮処理を実現する。このフローチャートにおいてP=3/4のときの式(5)と式(6)を用いてデータパターン(圧縮前データ)“0100”に対する初期値X
0を求めた例を
図17に示す。
【0049】
まず、圧縮前データを読み込みデータ容量Nを取り込む(S11)。ここでは、圧縮前データが“0100”であるからN=4となる。次に、Nビットのデータ中の0の数Cをカウントする(S12)。ここでは、C=3である。次に、初期値パラメータをセットする(S13)。ここでは、初期値パラメータの出現確率値Pは、P=C/N=3/4となり、また、i=(N-1)=3となる。
【0050】
また、ロジスティック写像の式についは、変形ロジスティック写像式生成手段101が次のように生成する。即ち、P=3/4未満の場合、係数a=-16/9、係数b=8/3、係数c=0を式(7)に当てはめ、式(5)が構成される。また、P=3/4以上の場合は係数a=-16、係数b=24、係数c=8を式(7)に当てはめて式(6)が構成される。
【0051】
次に、圧縮前データの1ビット目を取り出し(S15)、変形ロジスティック写像を遡る演算を実行する(S16)。前述の通りの変形ロジスティック写像の式である2次方程式の解から初期値X
0の区間を求めた結果は、小数点第8桁までで示し半開区間(0.57838655,0.75]となる。一方、
図9に示したP=3/4の変形テント写像をさかのぼる初期値X
0の半開区間が(0.64453125,0.75]となっており、本実施形態により
図17で変形ロジスティック写像をさかのぼり初期値X
0の区間を求めた値と異なっている。なお、これらの初期値X
0区間は、後述の実施形態2で説明するが
図20の縦両矢印が変形テント写像で求めた区間となっており、
図21の縦両矢印が変形ロジスティック写像で求めた区間となっている。
【0052】
初期値X0区間の幅は、変形テント写像では“0.75-0.64453125=0.10546875”となり、本実施形態の変形ロジスティック写像では“0.75-0.57838655=0.17161345”となり、本実施形態の変形ロジスティック写像で求めた初期値X0区間のほうが変形テント写像で求めた初期値X0区間より62.7%大きくなっていることがわかる。
【0053】
従来の算術符号はデータの出現確率値Pによって求めた初期値X0の区間が増減することに着目し、出現確率の偏りが大きいほど初期値X0区間が大きくとれるため、区間内で最もビット数が小さくなる初期値X0を圧縮コードとして採用する可逆圧縮手法となっている。
先に示した特許文献1に記載のベルヌーイシフト写像をさかのぼる圧縮手法では算術符号と圧縮率が同等になる旨が示されている。初期値X0区間を大きくとれるほど圧縮コードとなる初期値X0のビット数がより小さいものを採用できるため、データパターンによっては変形ロジスティック写像で初期値X0の区間を求めたほうが圧縮ビット数をより小さくできることが期待できる。
【0054】
1回目のステップS16において、初期値X0を求めた後は、遡り演算の回数iが0となることを検出し(S17)、NOとなるとステップS15へ戻り、ステップS15からステップS17を繰返す。ステップS17においてYESとなると、最終的に求められた半開区間[下限Xi、上限Xi)より圧縮コードを算出し(S18)、圧縮コードと辞書領域を出力して(S19)、終了となる。辞書領域には、圧縮前データの符号の出現確率値P、初期値X0が格納される。
【0055】
本実施形態の伸張処理装置200は、
図18に示す変形ロジスティック写像による伸張処理動作を実行する。即ち、圧縮データを取り込み、その圧縮データの辞書領域から出現確率値Pと初期値X
0を取り出す(S21)。上記Pから変形ロジスティック写像の式を生成し(S22)、変形ロジスティック写像の演算により、そのときの圧縮コードを得る処理を行うと共に、処理回数iを1歩進する(S23)。次に、得られた圧縮コードにより、X
i<Pのとき、伸張コードの1ビットを0として出力し、X
i≧Pのとき、伸張コードの1ビットを1として出力する(S24)。次に、処理回数iがN(伸張後のビット数)となったかを検出し(S25)、NOとなるとステップS23へ戻って処理を続ける。ステップS25においてYESへ分岐すると、終了となる。即ち、ステップS23~ステップ25の処理において、“X
i<P”のときビット“0”を出力し、“P≦X
i”のとき、ビット“1”を連続して出力し、伸張後のデータ量Nビット分を出力して伸張処理を終了する。
【0056】
具体例として、圧縮対象とするデータ容量を8ビットとして出現確率値P=0.75となるデータを
図8の変形テント写像と
図16の変形ロジスティック写像の2通りで、処理を行い、初期値X
0を求めてみた。8ビットのデータ“01000010”の圧縮処理を行った初期値X
0の範囲と圧縮ビットコードを、
図19に示す。
変形テント写像を用いた場合、初期値X
0区間は、[0.690673828125,0.701797485351562)であり、圧縮コードは“1011001”の7ビット分となり、変形ロジスティック写像を用いた場合、初期値X
0区間は、[0.683767000917306,0.702201771440963)であり、圧縮コードは“1011”の4ビット分となり、変形ロジスティック写像を用いた場合が3ビット分の圧縮コードを削減できるという結果となった。
【0057】
他の例として、出現確率値P=0.5となる8ビットのデータ“01010101”を圧縮する例を示す。テント写像による圧縮処理で求めた初期値X0区間は、[0.3984375,0.40234375]となり圧縮コードは“011110101”の9ビット分で初期値X0=0.478515625となった。同じデータを変形ロジスティック写像による圧縮処理で求めた初期値X0区間は、[0.343159129800554,0.348997025340386]となり、圧縮コードは”01011”の5ビット分となり初期値X0=0.34375となった。これらを比較すると、変形ロジスティック写像を用いたほうが、4ビット分のデータ量が小さくなり圧縮率が高い結果となった。
【0058】
2次方程式の解の公式では√を用いているが、
図12の変形ロジスティック写像をさかのぼる演算の場合、初期値X
0の区間の十進数小数表示は“0.084265193849≦X
0<0.146446609407”となっているが、√で表す場合では
【数26】
となる。ビット変換は、この両辺の解について最初に0.5(0.1)
2より大きいか小さいかを調べ、小さければビット“0”を出力する。次に0.25(0.01)
2との大小を比較することによって、ビット値に変換した区間を求めて行き、区間内の最小となるビット数の初期値X
0を圧縮値とすることができる。
【0059】
<実施形態2>
次に、本発明の実施形態2を説明する。
図1Bに、本発明の実施形態2に係る圧縮処理装置100Bと伸張処理装置200Bとの構成図を示す。圧縮処理装置100Bには、変形ロジスティック写像式生成手段101Bと変形ロジスティック写像圧縮処理手段110と変形ロジスティック写像圧縮コード生成手段120と変形ロジスティック写像初期値算出手段130と変形ロジスティック写像最適式取得手段140とが備えられている。
【0060】
本実施形態の変形ロジスティック写像式生成手段101Bは、上記出現確率値Pを複数用意し、この複数の前記出現確率値Pに基づき複数の変形ロジスティック写像の式を生成するものである。変形ロジスティック写像初期値算出手段130は、上記変形ロジスティック写像式生成手段101Bが生成した複数の変形ロジスティック写像の式を用いて、上記伸張コードの最初の1単位データに対する圧縮値の上限値と下限値とを算出して初期値を得るものである。
【0061】
変形ロジスティック写像最適式取得手段140は、上記変形ロジスティック写像初期値算出手段130により得られる変形ロジスティック写像の式に対応する初期値のビット数を比較して最も小さいビット数の初期値をもたらした変形ロジスティック写像の式を求めるものである。本実施形態の変形ロジスティック写像圧縮処理手段110は、上記変形ロジスティック写像最適式取得手段140により求められた上記変形ロジスティック写像の式を用いて演算を行うものである。
【0062】
本実施形態の変形ロジスティック写像圧縮処理手段110が行う演算は実施形態1のものと同じく、上記伸張コードの1単位データ毎に圧縮値の上限値と下限値とを算出し上記圧縮値の範囲を得る演算であり、この演算を変形ロジスティック写像圧縮処理手段110は反復して行うものである。また、変形ロジスティック写像圧縮コード生成手段120は実施形態1のものと等しい構成を有している。
【0063】
既に示した特許文献1の
図7には、4ビットのデータ16通りを、横軸の傾きPにより算出した初期値X
0区間を縦軸に割り当てたグラフが示されている。このグラフと同様に、横軸にPを振り、Pを変化させて変形テント写像を求め、この各写像を用いて初期値X
0区間を求めて、これを縦軸に割り当てたグラフを
図20に示す。また、横軸にPを振り、Pを変化させて変形ロジスティック写像を求め、この各写像を用いて初期値X
0区間を求めて、これを縦軸に割り当てたグラフを
図21に示す。
【0064】
図7に示す4ビットのグレイコード列を16通り用意し、変形テント写像をさかのぼる演算により圧縮処理を行って得られた初期値X
0区間を縦軸に割り当て、各Pを横軸に割り当てたグラフが
図20に示されている。例えば、
図20の<6>の領域内のPと初期値X
0の組み合わせによって、
図10に示されるフローチャートにて変形テント写像による伸張処理を行った場合は
図7における<6>のグレイコードビット列(0111)が必ず得られる。
【0065】
図16のフローチャートにてデータ量4ビット分の16通りデータに対し変形ロジスティック写像をさかのぼる演算を行った結果として得られた初期値X
0区間を縦軸に割り当て、各Pを横軸に割り当てたグラフが
図21に示されている。
図21における<6>の領域内の傾きPと初期値X
0の組み合わせによって、
図18に示されるフローチャートにて変形ロジスティック写像による演算を行った場合は<6>のビット列(0111)が必ず得られる。
【0066】
次に圧縮データの辞書領域と圧縮コードのファイル構成となるプロトコルを提示する。本実施形態では、データ量は8ビットを扱うものとし、最初の3ビットを辞書領域としてPを格納する。Pは、
図15の変形ロジスティック写像に示すようにP=1/8,2/8,3/8,4/8,5/8,6/8,7/8の7通りを使用する。
【0067】
例えば、8ビットのデータとして“11010010”の圧縮を行う場合、
図15に示した7通りのPを使用して圧縮処理を行って初期値X
0区間を算出する。7通りの中から最もビット数が小さくなる初期値X
0を圧縮コードとして採用する。この例で選ばれたPは5/8(=0.625)が選択されビット値は“101”となる。圧縮コードは“11”の2ビットとなり、初期値X
0=0.75となる。このため、辞書領域である3ビットのPの値“101”と圧縮コード“11”を連結することで圧縮データは“10111”となる。上記した圧縮前データの8ビットが、圧縮後に5ビットになるため圧縮率は5/8=0.625となる。
【0068】
前述の実施形態1で示した圧縮方法では、データ中において“1”か“0”のビットの出現確率値Pは0.5を採用するため、ビット列は“100”3ビット分となる。P=0.5としてデータ“11010010”について変形ロジスティックで初期値X0区間を求めると最もビット数が少なくなる初期値X0は“0.671875”となり、ビット列は“101011”の6ビットとなる。連結すると“100101011”の9ビットとなり圧縮率は9/8=1.125となっておりP=0.5のほうがP=0.625よりも圧縮したビット数が大きい結果となる。Pを、5/8(=0.625)に変更したほうが比較して4ビット分小さくなるため圧縮率が良い例となる。
【0069】
本実施形態2では、データ8ビットを圧縮する圧縮後ファイルの仕様は辞書領域としてPを格納する3ビット分を確保し、4ビット目以降は初期値X0のビットコードを格納するものとする。圧縮対象データの容量は、8ビット→16ビット→32ビット→…、というような2の乗数を取り扱う。
【0070】
Pの情報量は3ビット→4ビット→5ビット→…を用いるため、Pの情報量をEビットとする圧縮前データは2Eビットの容量となる。伸張する場合は、予め圧縮データのビット数は事前に定めておき、写像の回数は“2E-1”分行うことで伸張コードとして復元するものとする。
【0071】
他には、次の通り定める。圧縮対象のデータが全て“0”となる場合と全て“1”となるパターンについてである。例えばデータ容量8ビットの場合、Pを上記の通り7通りの値に定めてあることから、Pを格納する領域の3ビットは“000”が使用されない。このため、圧縮のヘッダ部は“000”とすることとし、4ビット以降の初期値X0はデータが全て“0”のとき“0”を格納し、データが全て“1”のとき1ビット分の“1”を格納するものと定める。
【0072】
図22に、圧縮処理装置100Bが行う処理のフローチャートを示す。このフローチャートには、変形ロジスティック写像のPを変更して最も小さいビット数となる初期値X
0を探索するという変形ロジスティック写像最適式取得手段140が行う圧縮処理の動作が含まれている。前述の通り、圧縮前データは全て“0”か“1”以外のデータの場合を対象とする。全て“0”か“1”の場合にPはEビット分の“0”を設定し、初期値X
0は全て“0”のときは1ビット分“0”を設定し、全て“1”のときは1ビット分“1”を設定し、圧縮ファイルとするルーチンを別に用意する。
【0073】
図22のフローチャートを用いて、圧縮処理装置100Bが行う処理を説明する。まず、圧縮前データを読み込みデータ容量Nを取り込むと共に、生成する変形ロジスティック写像の式の数kに1をセットし、最初の圧縮コードC
0に2
E+1をセットし、写像の遡り回数iに(N-1)をセットする(S31)。更に、出現確率値Pにk/2
Eをセットし(S32)、上記Pから変形ロジスティック写像を遡る2つの2次多項式を生成する(S33)。
【0074】
次に、圧縮前データの1ビット目を取り出し(S34)、変形ロジスティック写像を遡る演算を実行し、iを1歩進し(S35)、iが0となったのか検出する(S36)。ステップS36でNOとなると、ステップS34~S36を繰返す。ステップS36でYESとなると、半開区間[下限X0,上限X0)より、圧縮コード(初期値X0)を出力し、圧縮ビット数をCkとし(S37)、kを1歩進して(S38)、kが最終値Eとなるまで計算を進めたかを検出する(S39)。ステップS39においてNOとなるとステップS32へ戻って処理をつづけ、ステップS39においてYESとなるとステップS40へ進んでC0,C1,C2,・・・,CE中において最小であるの圧縮コード数Ckを検出して(S40)、この圧縮コード数Ckをもたらした変形ロジスティック写像の式により圧縮前データに基づき圧縮コードを求め、実質の圧縮コードと共に辞書領域に使用したP所要のデータを示すデータ等を格納した圧縮コードを出力する(S40A)。
【0075】
次に、伸張処理装置200Bを説明する。伸張処理装置200Bには、実施形態1の伸張処理装置200と同じく、変形ロジスティック写像式生成手段201と変形ロジスティック写像伸張処理手段210と変形ロジスティック写像伸張コード生成手段220が備えられている。伸張処理装置200Bは、既に説明した
図18に示すフローチャートに従って動作する。そこで、圧縮前データ“11010010”を圧縮処理した圧縮後データが“10111”の場合に伸張処理を行う例を説明する。
【0076】
圧縮コードの最初の3ビット分は、Pが設定されている。4ビット目以降は初期値X0が設定されている。ここで、Pのビットコードは“101”であるため、P=5/8(=0.625)を設定する。初期値X0は、“11”の2ビットとなり初期値X0=0.75を選択する。
【0077】
P=5/8のため、変形ロジスティック写像としては実施形態1と同様に、次の2つの式(18)が生成される。
【0078】
【数27】
式(18)による写像を7回繰返して“X
i<5/8”のときビット0を出力し、“5/8≦X
i”の時ビット0を出力すると、
図23のように“11010010”が伸張コードとして出力される。なお、前述のように伸張処理でPが“000”の時に初期値X
0が“0”の場合“0”を8回出力し、“1”の場合”1”を8回出力する別に用意したルーチンを使用する。以上、Pを変動する変形ロジスティック写像による圧縮処理と伸張処理の実施形態2を示した。
【0079】
Pを変動する圧縮の効果をみるため、圧縮対象のデータ量を8ビットとして全て0となる“00000000”と、全て1となる“11111111”のパターン2つを除いた254パターンで圧縮を行い、圧縮後データ量の平均値を取得する実験を行った。8ビット全て“0”と全て“1”のデータを除いた254通りのパターンで実施形態1のPを“0”の出現確率として圧縮したものと、実施形態2によるPを変動して圧縮したものとを、比較した結果を
図24のグラフに示す。この
図24は横軸が0から255までの8ビットデータを示し、縦軸は各8ビットデータを圧縮した後の初期値X
0のビット数を示している。
【0080】
ビット値が全て“0”のデータは
図24の「吹き出し」に示した“0”となり、上記のように圧縮コードは“0”として1ビットとしている。また、ビット値が全て“1”のデータは、
図24の「吹き出し」に示した“170”となり上記のように、圧縮コードは“1”として1ビットとしている。また、実線がPを変動した結果を示しており、点線が実施形態1で示したPを“0”の出現確率とした結果を示している。全体的に、Pを変動したほうが圧縮後のビット数が少ない傾向にあることが分り、圧縮率が高い結果となっている。
【0081】
圧縮後のビット数の平均値について調べる。
図24の点線により示した実施形態1の手法では初期値X
0の平均圧縮コードは、6.65ビットとなり、
図24の実線で示した本実施形態2の手法であるPを変動する手法では平均圧縮コードは5.33ビットとなった。比較して本実施形態が平均1.32ビット分少なくなり、Pを変動することで圧縮率が高くなる効果が確認された。なお、平均値の算出方法は、
図24の横軸のデータ各々の縦軸の圧縮ビット数に対し“圧縮ビット数の合計/256”とした。なお、平均圧縮コードのビット数については、ヘッダ部Pの3ビット分を抜いた初期値X
0のコードの容量のみを計算している。圧縮ファイル全体の平均ビット数は、3ビットプラスした容量となる。
【0082】
本実施形態2では、圧縮対象とするデータ量を8ビットとした。辞書領域のPが3ビット分であり、割合が3/8と37.5%を占めるため、大きな割合となる。圧縮するデータ量が16ビットである場合には4/16=0.25、32ビットである場合には、5/32=0.15625と、圧縮するデータ量が大きくなるほど辞書領域の割合が小さくなる傾向のため、圧縮の効果が高くなることが推測される。
【0083】
<実施形態3>
次に、本発明の実施形態3を説明する。実施形態2ではPの変動を行い、その中で最も情報量が小さくなる初期値X
0を取得する方法を示した。しかしながら、
図7で示すP=0.5のロジスティック写像の初期値X
0区間を観察すると、“0<1>”と“1<16>”に近い区間ほど初期値X
0区間が他に比べて小さくなっているため、初期値X
0のビット量が大きくなることが推察される。この現象は、
図21のグラフからも、“0<1>”と“1<16>”に近い領域ほど、初期値X
0の区間が狭くなっているため圧縮率が悪くなることが観測され、
図24の実験結果から0と255に近いほど圧縮値となる初期値X
0のビット量が大きい傾向にあることが分る。
【0084】
ここで、
図7の<1>~<4>の領域の先頭の2ビットが“00”と<13>~<16>の領域の“10”になるグレイコードに着目してみる。<1>~<4>の領域のビットを反転すると<9>~<12>の領域のビットになることがわかる。例えば、<3>のビット値“0011”は反転すると“1100”になり<9>と同じビット値となる。同様に、<13>~<16>の領域のビットを反転すると<5>~<8>の領域のビットになる。この点に着目して、圧縮コードの辞書領域としてビット反転して圧縮をするかしないかを判別するコードを1ビット分用意することを考える。
【0085】
圧縮するデータの最初の2ビットを検査して、“00”もしくは“10”の場合に、後に述べるように辞書領域の1ビットの反転判別コードを“1”とすることとし、データの反転を行った後に、圧縮を行う。このような処理を行って圧縮を行うことにより、圧縮後の初期値X
0コードは、
図7の<5>~<12>の区間が選択されるため、圧縮コードとなる初期値X
0の空間を広げることで圧縮率を高くすることが期待できる。
【0086】
図1Cに、本発明の実施形態3に係る圧縮処理装置100Cと伸張処理装置200Cとの構成図を示す。圧縮処理装置100Cには、変形ロジスティック写像式生成手段101Bと変形ロジスティック写像圧縮処理手段110と変形ロジスティック写像圧縮コード生成手段120と変形ロジスティック写像初期値算出手段130と変形ロジスティック写像最適式取得手段140とコード変換手段150とを備える。
【0087】
コード変換手段150は、伸張コードデータをグレイコードに変換し、変換したグレイコードにより示される伸張コードデータを大きさにより複数の範囲に分け、範囲中の端側の伸張コードデータを範囲中の中央側の伸張コードデータに変更するコード変換を行うものである。上記変形ロジスティック写像式生成手段101Bと上記変形ロジスティック写像圧縮処理手段110と上記変形ロジスティック写像圧縮コード生成手段120と上記変形ロジスティック写像初期値算出手段130と上記変形ロジスティック写像最適式取得手段140は、上記コード変換手段150による変更後のコードを用いて処理を行う。
【0088】
図25に、本実施形態3の上記コード変換手段150によるコード変換(ビット反転)に係る処理例のフローチャートを示す。グレイコードである圧縮前データ(2
Eビット)を取り出し(S41)、圧縮前データの先頭ビットが“00”か“10”を検出する(S42)。圧縮前データがバイナリコードの場合はグレイコートに変換する。先頭ビットが“00”か“10”のときに、この圧縮前データの1と0の反転処理を行う。反転処理を行った場合は“INV=1”を設定し、行わなかった場合は“INV=0”を圧縮コードの辞書領域に設定する(S43,S44)。
【0089】
上記のように、コード変換の処理を行った後の圧縮処理は、実施形態2と同様に
図22のフローチャートに示したように行われる。即ち、Pを変動させて実施形態2と同様の処理を行い、圧縮後は
図26に示したように先頭にINVの値を1ビットを配置し、2ビット目以降はEビット分のPの値を格納する辞書領域となっている。“E+2”ビット以降は、圧縮コードとして初期値X
0を格納し圧縮ファイル(圧縮コード)となるものである。
【0090】
先頭の2ビットを参照して圧縮前データについてビット反転を行うか否かを判別する本実施形態3の発明を、ビット量が8ビットの圧縮前データに適用して、圧縮後コードの平均値を取得する実験を行った。本実験では、“00000000”ように全ビットが“0”であるパターンの例と、“11111111”のように全ビットが“1”であるパターンの例との2通りを除いた254パターンで、Pを変動させて変形ロジスティック写像による圧縮を行い、圧縮後コードの平均値を取得することとした。上記実験の結果を
図27のグラフに示す。グラフの横軸が0から255までの8ビットデータを示し、縦軸は各8ビットデータを圧縮した後の初期値X
0のビット量を示している。
【0091】
図27には、反転処理を行った場合の結果を実線により示し、
図24の実線と同じくPを変動するのみで反転処理を行わなかった場合の結果を破線により示す。ビット値が全て“0”の場合は
図27の吹き出しに示した“0”部分となり、上記のように圧縮コードは“0”として1ビットとしている。また、ビット値が全て“1”は
図27の吹き出しに示した“170”の部分となり上記のように圧縮コードは“1”として1ビットとしている。また、
図27に示すように、“64~191”間は反転処理を行わないため同じ圧縮コードとなっている。反転処理を行った0~63間と192~255間では、反転しなかった場合より圧縮コード量が小さいことがわかり、圧縮の効果があることがわかる。
【0092】
上記実験の結果、圧縮後の初期値X0データ量の平均値は反転処理を行った場合が平均4.76ビットとなり、実施形態2と同様にPを変動するロジスティック写像による圧縮方法のみを採用した例では平均5.33ビットであった。反転処理を行うことで0.57ビット分の削減効果が生じることが分かった。実施形態2と比較して、辞書領域に1ビットの情報付加したため、平均値は5.76ビットになり、Pの変動より大きい結果となったが、本実施形態3は圧縮する情報量が8ビットと少ないため、辞書領域として1ビット分の割合が大きくなっている。前述したように、圧縮するデータの情報量が大きくなることで辞書領域の割合が小さくなるため、1ビットの追加で圧縮効果が得られることが期待できる。
【0093】
次に、伸張処理装置200Cを説明する。伸張処理装置200Cには、実施形態2の伸張処理装置200Bと同じく、変形ロジスティック写像式生成手段201と変形ロジスティック写像伸張処理手段210と変形ロジスティック写像伸張コード生成手段220が備えられている。伸張処理装置200Cは、
図28に示すフローチャートに従って動作する。
【0094】
図28に示すフローチャートに従って伸張処理の動作を説明する。まず、圧縮データを取り出し、この圧縮データの先頭から1ビット目の反転コードデータINVを取り出すと共に、次に続くPと更に次の初期値X
0を取り出す(S51)。次に、Pに対応する変形ロジスティック写像の式を生成し(S52)、上記初期値X
0に基づきNビット分の伸張処理を行う(S53)。ここに、Nは伸張後のデータのビット数を示す。
【0095】
上記のようにして実質的な伸張処理が終了すると、圧縮データの先頭の辞書領域からINVを取り出し、INVが“1”であるか否か検出する(S54)。ステップS54においてYESとなると、伸張データのビットを反転する(S55)。このステップS55が終了した場合、またはステップS54においてNOとなった場合には、伸張データを出力して(S56)、終了となる。
上記伸張処理に際して、
図26に示した圧縮ファイルのデータ形式により最初の1ビット目が“0”のときは、2ビット目からEビットを取り出し、“3+E”ビット目以降を初期値X
0として設定し、
図18に示したフローチャートに対応する処理を行って伸張を行う。最初の1ビット目が1の時は2ビット目からEビット分のPを取り出し、”3+E”ビット目以降を初期値X
0として設定し、
図18に示したフローチャートに対応する処理を行って伸張を行った後に、伸張したデータに対し反転処理を行う。
【0096】
<実施形態4>
次に、本発明の実施形態4を説明する。本実施例4では、変形ロジスティック写像を使用するか、変形テント写像を使用するか圧縮アルゴリズムを選択することで圧縮率を高くする手法である。
図1Dに、本発明の実施形態4に係る圧縮処理装置100Dと伸張処理装置200Dとの構成図を示す。実施形態4に係る圧縮処理装置100Dには、変形ロジスティック側処理部500と変形テント側処理部600と最適写像式比較結果取得手段700とが備えられている。
【0097】
変形ロジスティック側処理部500には、変形ロジスティック写像式生成手段101D、変形ロジスティック写像圧縮処理手段110、変形ロジスティック写像圧縮コード生成手段120、変形ロジスティック写像初期値算出手段130、変形ロジスティック写像最適式取得手段140が備えられる。
【0098】
変形ロジスティック写像式生成手段101Dは、0から1までの横軸区間を圧縮処理する圧縮前の伸張コードデータを構成する符号の出現確率値Pにより2区間に区分し、0から前記出現確率値P未満までの第1の2次関数と、上記出現確率値P以上の第2の2次関数とにより構成される変形ロジスティック写像の式を生成するものである。変形ロジスティック写像圧縮処理手段110は、上記伸張コードの1単位データ毎に圧縮値の上限値と下限値とを算出し上記圧縮値の範囲を得る演算を反復して行うものである。変形ロジスティック写像圧縮コード生成手段120は、上記変形ロジスティック写像圧縮処理手段により最終的に求められた圧縮値の範囲から圧縮コードを生成するものである。また、上記変形ロジスティック写像式生成手段101Dは、複数用意された上記出現確率値Pを用いて、この複数の上記出現確率値Pに基づき複数の変形ロジスティック写像の式を生成するものである。
【0099】
変形ロジスティック写像初期値算出手段130は、上記変形ロジスティック写像式生成手段101Dが生成した複数の変形ロジスティック写像の式を用いて、上記伸張コードの最初の1単位データに対する圧縮値の上限値と下限値とを算出して初期値を得るものである。変形ロジスティック写像最適式取得手段140は、上記変形ロジスティック写像初期値算出手段130により得られる変形ロジスティック写像の式に対応する初期値のビット数を比較して最も小さいビット数の初期値をもたらした変形ロジスティック写像の式を求めるものである。
【0100】
変形テント側処理部600には、変形テント写像式生成手段601、変形テント写像圧縮処理手段610、変形テント写像圧縮コード生成手段620、変形テント写像初期値算出手段630、変形テント写像最適式取得手段640が備えられる。
【0101】
変形テント写像式生成手段601は、0から1までの横軸区間を圧縮処理する圧縮前の伸張コードデータを構成する符号の出現確率値Pにより2区間に区分し、0から上記出現確率値P未満までの第1の一次関数と、上記出現確率値P以上の第2の一次関数とにより構成される変形テント写像の式を生成するものである。変形テント写像圧縮処理手段610は、上記伸張コードの1単位データ毎に圧縮値の上限値と下限値とを算出し上記圧縮値の範囲を得る演算を反復して行うものである。変形テント写像圧縮コード生成手段620は、上記変形テント写像圧縮処理手段により最終的に求められた圧縮値の範囲から圧縮コードを生成するものである。
【0102】
変形テント写像初期値算出手段630は、上記変形テント写像式生成手段601が生成した複数の変形テント写像の式を用いて、上記伸張コードの最初の1単位データに対する圧縮値の上限値と下限値とを算出して初期値を得るものである。変形テント写像最適式取得手段640は、上記変形テント写像初期値算出手段630により得られる変形テント写像の式に対応する初期値のビット数を比較して最も小さいビット数の初期値をもたらした変形テント写像の式を求めるものである。
【0103】
最適写像式比較結果取得手段700は、変形ロジスティック側処理部500と変形テント側処理部600のいずれにも属するものではない。しかし、最適写像式比較結果取得手段700は、変形ロジスティック側処理部500の上記変形ロジスティック写像初期値算出手段130による算出結果と変形テント側処理部600の変形テント写像初期値算出手段630による算出結果とを用いる。即ち、最適写像式比較結果取得手段700は、上記変形ロジスティック写像初期値算出手段130により得られる変形ロジスティック写像の式に対応する初期値のビット数中の最も小さいビット数の初期値と、上記変形テント写像初期値算出手段630により得られる変形テント写像の式に対応する初期値のビット中の最も小さいビット数の初期値とを比較して、比較結果で小さい方の初期値をもたらした写像の式を求め、当該写像の式に対応する変形ロジスティック写像最適式取得手段140または変形テント写像最適式取得手段640により取得された写像の式を求めるものである。
【0104】
そして、本発明の実施形態4に係る圧縮処理装置100Dは、上記最適写像式比較結果取得手段700により求められた変形ロジスティック写像の式または変形テント写像の式を用いて演算を行うのである。
【0105】
図29に、本発明の実施形態4に係る圧縮処理装置100Dが行う処理の、フローチャートを示し、処理の手順を説明する。まず、圧縮前ビットを取り出し、Pを変動して変形テント写像の式を生成し、この式を用いて圧縮処理を行い、最も小さいデータ量となる初期値TX
0とそのときのPの値TPを求める(S61)。次に、Pを変動して変形ロジスティック写像の式を生成し、この式を用いて上記圧縮前ビットを用いて圧縮処理を行い、最も小さいデータ量となる初期値LX
0とそのときのPの値LPを求める(S62)。勿論、ステップS61とステップS62は、どちらを先に行っても良い。
【0106】
ステップS61とステップS62が終了すると、TX0のデータ量とLX0のデータ量とを比較する(S63)。比較の結果、TX0のデータ量がLX0のデータ量より少ない場合は、変形テント写像の選択情報と、初期値までの圧縮コードを出力し(S64)、LX0のデータ量がTX0のデータ量より少ない場合は、変形ロジスティック写像の選択情報と、初期値までの圧縮コードを出力する(S65)。変形テント写像の選択情報と変形ロジスティック写像の選択情報とのいずれかが出ることは、辞書領域の先頭1ビットに“0”か“1”かによって書き込まれる。ステップS64またはステップS65の次には、変形テント写像の選択情報と変形ロジスティック写像の選択された写像により残りの圧縮前ビットについて圧縮が行われ、出力される(S66)。
【0107】
圧縮前ビットのビット容量を8ビットとし、“00000000”と“11111111”とを抜いた254通りのデータについて、実施形態4による圧縮を行い初期値X
0の圧縮ビット数の平均値を取得する実験を行った。実施形態4による圧縮とは、Pを変動する変形テント写像または変形ロジスティック写像による圧縮である。
図30に、結果のグラフを示す。横軸に、0から255までの8ビットデータをとり、縦軸は、各8ビットデータを圧縮した後の初期値X
0のビット量を示している。実線がPを変動する変形ロジスティック写像による圧縮結果であり、点線がPを変動する変形テント写像による圧縮結果である。
【0108】
図30の実線に該当するPを変動する変形ロジスティック写像による圧縮方法では、初期値X
0は平均5.33ビットであった。点線に該当するPを変動する変形テント写像による圧縮方法では、初期値X
0は平均5.73ビットであった。これらを比較すると、変形ロジスティック写像を用いたほうが0.4ビット分小さい結果となった。
【0109】
本実施形態4の変形ロジスティック写像と変形テント写像を競合させているプログラムによって、
図30におけるグラフ縦軸の2つの圧縮ビット数を比較し小さいビット数になるプログラムを採用するようにしても良い。この手法によって、初期値X
0の圧縮コードのビット長は平均4.63ビットとなった。実施形態3の反転処理の手法では、平均4.76ビットであった。このため、実施形態3より実施形態4が、0.13ビット分小さい結果となった。
【0110】
次に、伸張処理装置200Dを説明する。伸張処理装置200Dには、写像式決定部280、変形ロジスティック側伸張部800A、変形テント側伸張部800Bが備えられている。写像式決定部280は、辞書領域の1ビット目を参照して、変形ロジスティック写像か変形テント写像を用いるか判定し、更に2ビット目以降からEビット分によりPを特定し、圧縮処理に用いた写像の式を特定し、変形ロジスティック側伸張部800Aか変形テント側伸張部800Bへ送出する。即ち、辞書領域の1ビット目が、変形ロジスティック写像を示すときには変形ロジスティック側伸張部800Aへ送出し、辞書領域の1ビット目が、変形テント写像を示すときには変形テント側伸張部800Bへ送出する。
【0111】
変形ロジスティック側伸張部800Aと変形テント側伸張部800Bとでは、変形ロジスティック写像の式に基づき処理を行うか変形テント写像の式に基づき処理を行うかが異なるだけである。変形ロジスティック側伸張部800Aには、実施形態2の伸張処理装置200Bと同じく、変形ロジスティック写像式生成手段201と変形ロジスティック写像伸張処理手段210と変形ロジスティック写像伸張コード生成手段220が備えられている。変形テント側伸張部800Bには、変形テント写像式生成手段201と処理の写像式が異なる変形テント写像式生成手段801、変形ロジスティック写像伸張処理手段210と処理の写像式が異なる変形テント写像伸張処理手段810、変形ロジスティック写像伸張コード生成手段220と処理の写像式が異なる変形テント写像伸張コード生成手段820が備えられている。
【0112】
伸張処理装置200Dは、
図31に示すフローチャートに従って動作する。このフローチャートに基づき動作説明を行う。伸張処理では圧縮ファイルの初めの1ビット目を参照して変形ロジスティック写像か変形テント写像を用いるか判定する。2ビット目以降からEビット分にPが設定してあり、“2+E”ビット目以降からは初期値X
0が設定されている。そこで、圧縮データを取り出し、1ビット目を判別処理すると共にPの取り出し、初期値X
0の取出しを行う(S71)。そして、1ビット目が“1”であるかを検出する(S72)。
【0113】
ステップS72においてYESとなると、Pに対応する変形ロジスティック写像の式を生成し(S73)、初期値X0を設定して変形ロジスティック写像の式を用いて伸張後のデータのビット数N分の伸張処理を行う(S74)。一方、ステップS72においてNOとなると、Pに対応する変形テント写像の式を生成し(S75)、初期値X0を設定して変形テント写像の式を用いて伸張後のデータのビット数N分の伸張処理を行う(S76)。ステップS74とステップS76に続いて伸張後のNビット分の圧縮前データを出力する(S77)。
【0114】
以上を簡潔にまとめると、圧縮データの1ビット目が“0”のとき、Pを式(3)の変形テント写像に設定する。初期値X0を設定して伸張処理を行う。また、圧縮データの1ビット目が“1”のとき、Pから変形ロジスティック写像式を生成する。初期値X0を設定して伸張処理を行う、ということになる。この実施形態4は、圧縮対象のデータパターンによっては変形テント写像による圧縮率が変形ロジスティック写像の式を用いた場合の圧縮率より大きくなる場合を救済する。
【0115】
以上、本発明の各実施形態によれば、変形ロジスティック写像は非線形であり圧縮値となる初期値X0の区間が従来の算術符号と異なるため、データパターンによって圧縮率を高くすることができるものということができる。また、変形ロジスティック写像のコントロールパラメータPを変動する仕組みをとり入れることで、より高い圧縮率を持つことができるのである。符号化圧縮では情報エントロピーが1に近いデータは元のデータ量より圧縮できなくなるが、本発明の各実施形態は算術式のため圧縮の効果が期待できるのである。
【符号の説明】
【0116】
100、100B、100C、100D 圧縮処理装置
101、101B、101D 変形ロジスティック写像式生成手段
110 変形ロジスティック写像圧縮処理手段
120 変形ロジスティック写像圧縮コード生成手段
130 変形ロジスティック写像初期値算出手段
140 変形ロジスティック写像最適式取得手段
150 コード変換手段
200、200B、200C、200D 伸張処理装置
201 変形ロジスティック写像式生成手段
210 変形ロジスティック写像伸張処理手段
220 変形ロジスティック写像伸張コード生成手段
280 写像式決定部
300 伸張コードの格納部
400 圧縮コードの格納部
500 変形ロジスティック側処理部
600 変形テント側処理部
601 変形テント写像式生成手段
610 変形テント写像圧縮処理手段
620 変形テント写像圧縮コード生成手段
630 変形テント写像初期値算出手段
640 変形テント写像最適式取得手段
700 最適写像式比較結果取得手段
800A 変形ロジスティック側伸張部
800B 変形テント側伸張部
801 変形テント写像式生成手段
810 変形テント写像伸張処理手段
820 変形テント写像伸張コード生成手段
【手続補正書】
【提出日】2023-07-20
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
0から1までの横軸区間を圧縮処理する圧縮前の伸張コードデータを構成する符号の出現確率値Pにより2区間に区分し、0から前記出現確率値P未満までの第1の2次関数と、前記出現確率値P以上の第2の2次関数とにより構成される変形ロジスティック写像の式を生成する変形ロジスティック写像式生成手段と、
前記伸張コードの1単位データ毎に圧縮値の上限値と下限値とを算出し前記圧縮値の範囲を得る演算を反復して行う変形ロジスティック写像圧縮処理手段と、
前記変形ロジスティック写像圧縮処理手段により最終的に求められた圧縮値の範囲から圧縮コードを生成する変形ロジスティック写像圧縮コード生成手段と
を具備することを特徴とする圧縮処理装置。
【請求項2】
前記変形ロジスティック写像圧縮処理手段は、1単位データ毎に圧縮値の上限値と下限値とを算出するに際し、2次方程式aX
2+bX+c=0の解を求める公式
【数1】
を用いて解を求め、この解を用いて計算を行うことを特徴とする請求項1に記載の圧縮処理装置。
【請求項3】
前記変形ロジスティック写像式生成手段は、前記出現確率値Pを複数用意し、この複数の前記出現確率値Pに基づき複数の変形ロジスティック写像の式を生成するものであり、
前記変形ロジスティック写像式生成手段が生成した複数の変形ロジスティック写像の式を用いて、前記伸張コードの最初の1単位データに対する圧縮値の上限値と下限値とを算出して初期値を得る変形ロジスティック写像初期値算出手段と、
前記変形ロジスティック写像初期値算出手段により得られる変形ロジスティック写像の式に対応する初期値のビット数を比較して最も小さいビット数の初期値をもたらした変形ロジスティック写像の式を求める変形ロジスティック写像最適式取得手段と、
を有し、
前記変形ロジスティック写像圧縮処理手段は、前記変形ロジスティック写像最適式取得手段により求められた前記変形ロジスティック写像の式を用いて演算を行うことを特徴とする請求項1に記載の圧縮処理装置。
【請求項4】
伸張コードデータをグレイコードに変換し、変換したグレイコードにより示される伸張コードデータを大きさにより複数の範囲に分け、範囲中の端側の伸張コードデータを範囲中の中央側の伸張コードデータに変更するコード変換を行うコード変換手段を備え、
前記変形ロジスティック写像式生成手段、前記変形ロジスティック写像圧縮処理手段、前記変形ロジスティック写像初期値算出手段、前記変形ロジスティック写像最適式取得手段は、前記コード変換手段による変更後のコードを用いて処理を行うことを特徴とする請求項3に記載の圧縮処理装置。
【請求項5】
0から1までの横軸区間を圧縮処理する圧縮前の伸張コードデータを構成する符号の出現確率値Pにより2区間に区分し、0から前記出現確率値P未満までの第1の2次関数と、前記出現確率値P以上の第2の2次関数とにより構成される変形ロジスティック写像の式を生成する変形ロジスティック写像式生成手段と、
前記伸張コードの1単位データ毎に圧縮値の上限値と下限値とを算出し前記圧縮値の範囲を得る演算を反復して行う変形ロジスティック写像圧縮処理手段と、
前記変形ロジスティック写像圧縮処理手段により最終的に求められた圧縮値の範囲から圧縮コードを生成する変形ロジスティック写像圧縮コード生成手段と
を有して構成される変形ロジスティック側処理部と、
0から1までの横軸区間を圧縮処理する圧縮前の伸張コードデータを構成する符号の出現確率値Pにより2区間に区分し、0から前記出現確率値P未満までの第1の一次関数と、前記出現確率値P以上の第2の一次関数とにより構成される変形テント写像の式を生成する変形テント写像式生成手段と、
前記伸張コードの1単位データ毎に圧縮値の上限値と下限値とを算出し前記圧縮値の範囲を得る演算を反復して行う変形テント写像圧縮処理手段と、
前記変形テント写像圧縮処理手段により最終的に求められた圧縮値の範囲から圧縮コードを生成する変形テント写像圧縮コード生成手段と
を有して構成される変形テント側処理部と、
を具備し、
前記変形ロジスティック写像式生成手段は、複数用意された前記出現確率値Pを用いて、この複数の前記出現確率値Pに基づき複数の変形ロジスティック写像の式を生成し、
前記変形テント写像式生成手段は、複数用意された前記出現確率値Pを用いて、この複数の前記出現確率値Pに基づき複数の変形テント写像の式を生成し、
前記変形ロジスティック側処理部には、
前記変形ロジスティック写像式生成手段が生成した複数の変形ロジスティック写像の式を用いて、前記伸張コードの最初の1単位データに対する圧縮値の上限値と下限値とを算出して初期値を得る変形ロジスティック写像初期値算出手段と、
前記変形ロジスティック写像初期値算出手段により得られる変形ロジスティック写像の式に対応する初期値のビット数を比較して最も小さいビット数の初期値をもたらした変形ロジスティック写像の式を求める変形ロジスティック写像最適式取得手段と、
が備えられ、
前記変形テント側処理部には、
前記変形テント写像式生成手段が生成した複数の変形テント写像の式を用いて、前記伸張コードの最初の1単位データに対する圧縮値の上限値と下限値とを算出して初期値を得る変形テント写像初期値算出手段と、
前記変形テント写像初期値算出手段により得られる変形テント写像の式に対応する初期値のビット数を比較して最も小さいビット数の初期値をもたらした変形テント写像の式を求める変形テント写像最適式取得手段と、
が備えられ、
前記変形ロジスティック写像初期値算出手段により得られる変形ロジスティック写像の式に対応する初期値のビット数中の最も小さいビット数の初期値と、前記変形テント写像初期値算出手段により得られる変形テント写像の式に対応する初期値のビット中の最も小さいビット数の初期値とを比較して、比較結果で小さい方の初期値をもたらした写像の式を求め、当該写像の式に対応する変形ロジスティック写像最適式取得手段または変形テント写像最適式取得手段により取得された写像の式を求める最適写像式比較結果取得手段、を有し、
前記最適写像式比較結果取得手段により求められた変形ロジスティック写像の式または変形テント写像の式を用いて演算を行うことを特徴とする圧縮処理装置。
【請求項6】
圧縮処理に用いられた出現確率値Pにより2区間に区分し、0から前記出現確率値P未満までの第1の2次関数と、前記出現確率値P以上の第2の2次関数とにより構成される変形ロジスティック写像の式を生成する変形ロジスティック写像式生成手段と、
圧縮コードに対し変形ロジスティック写像の式を用いた演算を施して、伸張コードの1単位データに対応する値を得る計算である1単位データ取得計算及び、この得られた値を前記変形ロジスティック写像の式を用いた演算に用いて次の1単位データを得る1単位データ取得計算を、所定回となるまで繰り返す反復計算を行う変形ロジスティック写像伸張処理手段と、
前記変形ロジスティック写像伸張処理手段の1単位データ取得計算毎に得られる値を、前記変形ロジスティック写像の式の係数に基づき伸張コードの1単位データに変換する変形ロジスティック写像伸張コード生成手段と
を具備することを特徴とする伸張処理装置。
【請求項7】
圧縮コードに含まれるPを取り出し、前記変形ロジスティック写像式生成手段へ送出する手段を有することを特徴とする請求項6に記載の伸張処理装置。
【請求項8】
データの圧縮処理を実現するコンピュータを、
0から1までの横軸区間を圧縮処理する圧縮前の伸張コードデータを構成する符号の出現確率値Pにより2区間に区分し、0から前記出現確率値P未満までの第1の2次関数と、前記出現確率値P以上の第2の2次関数とにより構成される変形ロジスティック写像の式を生成する変形ロジスティック写像式生成手段、
前記伸張コードの1単位データ毎に圧縮値の上限値と下限値とを算出し前記圧縮値の範囲を得る演算を反復して行う変形ロジスティック写像圧縮処理手段、
前記変形ロジスティック写像圧縮処理手段により最終的に求められた圧縮値の範囲から圧縮コードを生成する変形ロジスティック写像圧縮コード生成手段
として機能させることを特徴とする圧縮処理用プログラム。
【請求項9】
前記コンピュータが前記変形ロジスティック写像圧縮処理手段として、1単位データ毎に圧縮値の上限値と下限値とを算出するに際し、2次方程式aX
2+bX+c=0の解を求める公式
【数2】
を用いて解を求め、この解を用いて計算を行うように機能することを特徴とする請求項8に記載の圧縮処理用プログラム。
【請求項10】
前記コンピュータが、前記変形ロジスティック写像式生成手段として、前記出現確率値Pを複数用意し、この複数の前記出現確率値Pに基づき複数の変形ロジスティック写像の式を生成するように機能し、
前記コンピュータは、更に、
前記変形ロジスティック写像式生成手段が生成した複数の変形ロジスティック写像の式を用いて、前記伸張コードの最初の1単位データに対する圧縮値の上限値と下限値とを算出して初期値を得る変形ロジスティック写像初期値算出手段、
前記変形ロジスティック写像初期値算出手段により得られる変形ロジスティック写像の式に対応する初期値のビット数を比較して最も小さいビット数の初期値をもたらした変形ロジスティック写像の式を求める変形ロジスティック写像最適式取得手段、
として機能し、
前記コンピュータが、前記変形ロジスティック写像圧縮処理手段として、前記変形ロジスティック写像最適式取得手段により求められた前記変形ロジスティック写像の式を用いて演算を行うように機能することを特徴とする請求項8に記載の圧縮処理用プログラム。
【請求項11】
前記コンピュータは、
伸張コードデータをグレイコードに変換し、変換したグレイコードにより示される伸張コードデータを大きさにより複数の範囲に分け、範囲中の端側の伸張コードデータを範囲中の中央側の伸張コードデータに変更するコード変換を行うコード変換手段として機能し、
前記コンピュータが、前記変形ロジスティック写像式生成手段、前記変形ロジスティック写像圧縮処理手段、前記変形ロジスティック写像初期値算出手段、前記変形ロジスティック写像最適式取得手段として、前記コード変換手段による変更後のコードを用いて処理を行うように機能することを特徴とする請求項10に記載の圧縮処理用プログラム。
【請求項12】
データの圧縮処理を実現するコンピュータを、
0から1までの横軸区間を圧縮処理する圧縮前の伸張コードデータを構成する符号の出現確率値Pにより2区間に区分し、0から前記出現確率値P未満までの第1の2次関数と、前記出現確率値P以上の第2の2次関数とにより構成される変形ロジスティック写像の式を生成する変形ロジスティック写像式生成手段、
前記伸張コードの1単位データ毎に圧縮値の上限値と下限値とを算出し前記圧縮値の範囲を得る演算を反復して行う変形ロジスティック写像圧縮処理手段、
前記変形ロジスティック写像圧縮処理手段により最終的に求められた圧縮値の範囲から圧縮コードを生成する変形ロジスティック写像圧縮コード生成手段
として機能させて変形ロジスティック側処理部を実現するように機能させ、
更に上記コンピュータを、
0から1までの横軸区間を圧縮処理する圧縮前の伸張コードデータを構成する符号の出現確率値Pにより2区間に区分し、0から前記出現確率値P未満までの第1の一次関数と、前記出現確率値P以上の第2の一次関数とにより構成される変形テント写像の式を生成する変形テント写像式生成手段、
前記伸張コードの1単位データ毎に圧縮値の上限値と下限値とを算出し前記圧縮値の範囲を得る演算を反復して行う変形テント写像圧縮処理手段、
前記変形テント写像圧縮処理手段により最終的に求められた圧縮値の範囲から圧縮コードを生成する変形テント写像圧縮コード生成手段
として機能させて変形テント側処理部を実現するように機能させ、
前記コンピュータは、前記変形ロジスティック写像式生成手段を、複数用意された前記出現確率値Pを用いて、この複数の前記出現確率値Pに基づき複数の変形ロジスティック写像の式を生成するように機能させ、
前記コンピュータは、前記変形テント写像式生成手段を、複数用意された前記出現確率値Pを用いて、この複数の前記出現確率値Pに基づき複数の変形テント写像の式を生成するように機能させ、
前記コンピュータは、前記変形ロジスティック側処理部に、
前記変形ロジスティック写像式生成手段が生成した複数の変形ロジスティック写像の式を用いて、前記伸張コードの最初の1単位データに対する圧縮値の上限値と下限値とを算出して初期値を得る変形ロジスティック写像初期値算出手段、
前記変形ロジスティック写像初期値算出手段により得られる変形ロジスティック写像の式に対応する初期値のビット数を比較して最も小さいビット数の初期値をもたらした変形ロジスティック写像の式を求める変形ロジスティック写像最適式取得手段、
を有して構成されるように機能させ、
前記コンピュータは、前記変形テント側処理部に、
前記変形テント写像式生成手段が生成した複数の変形テント写像の式を用いて、前記伸張コードの最初の1単位データに対する圧縮値の上限値と下限値とを算出して初期値を得る変形テント写像初期値算出手段、
前記変形テント写像初期値算出手段により得られる変形テント写像の式に対応する初期値のビット数を比較して最も小さいビット数の初期値をもたらした変形テント写像の式を求める変形テント写像最適式取得手段、
を有して構成されるように機能させ、
前記コンピュータは、前記変形ロジスティック写像初期値算出手段により得られる変形ロジスティック写像の式に対応する初期値のビット数中の最も小さいビット数の初期値と、前記変形テント写像初期値算出手段により得られる変形テント写像の式に対応する初期値のビット中の最も小さいビット数の初期値とを比較して、比較結果で小さい方の初期値をもたらした写像の式を求め、当該写像の式に対応する変形ロジスティック写像最適式取得手段または変形テント写像最適式取得手段により取得された写像の式を求める最適写像式比較結果取得手段、として機能し、
前記コンピュータは、前記変形ロジスティック側処理部の各手段または前記変形テント側処理部の各手段を、前記最適写像式比較結果取得手段により求められた変形ロジスティック写像の式または変形テント写像の式を用いて演算を行うように機能させることを特徴とする圧縮処理用プログラム。
【請求項13】
圧縮処理されたデータを伸張するコンピュータを、
圧縮処理に用いられた出現確率値Pにより2区間に区分し、0から前記出現確率値P未満までの第1の2次関数と、前記出現確率値P以上の第2の2次関数とにより構成される変形ロジスティック写像の式を生成する変形ロジスティック写像式生成手段、
圧縮コードに対し変形ロジスティック写像の式を用いた演算を施して、伸張コードの1単位データに対応する値を得る計算である1単位データ取得計算及び、この得られた値を前記変形ロジスティック写像の式を用いた演算に用いて次の1単位データを得る1単位データ取得計算を、所定回となるまで繰り返す反復計算を行う変形ロジスティック写像伸張処理手段、
前記変形ロジスティック写像伸張処理手段の1単位データ取得計算毎に得られる値を、前記変形ロジスティック写像の式の係数に基づき伸張コードの1単位データに変換する変形ロジスティック写像伸張コード生成手段
として機能させることを特徴とする伸張処理用プログラム。
【請求項14】
前記コンピュータを、圧縮コードに含まれるPを取り出し、前記変形ロジスティック写像式生成手段へ送出する手段として機能させることを特徴とする請求項13に記載の伸張処理用プログラム。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0012
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0012】
本発明に係る圧縮処理装置では、伸張コードデータをグレイコードに変換し、変換したグレイコードにより示される伸張コードデータを大きさにより複数の範囲に分け、範囲中の端側の伸張コードデータを範囲中の中央側の伸張コードデータに変更するコード変換を行うコード変換手段を備え、前記変形ロジスティック写像式生成手段、前記変形ロジスティック写像圧縮処理手段、前記変形ロジスティック写像初期値算出手段、前記変形ロジスティック写像最適式取得手段は、前記コード変換手段による変更後のコードを用いて処理を行うことを特徴とする。
【手続補正3】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0019
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0019】
本発明に係る圧縮処理用プログラムでは、前記コンピュータは、伸張コードデータをグレイコードに変換し、変換したグレイコードにより示される伸張コードデータを大きさにより複数の範囲に分け、範囲中の端側の伸張コードデータを範囲中の中央側の伸張コードデータに変更するコード変換を行うコード変換手段として機能し、前記コンピュータが、前記変形ロジスティック写像式生成手段、前記変形ロジスティック写像圧縮処理手段、前記変形ロジスティック写像初期値算出手段、前記変形ロジスティック写像最適式取得手段として、前記コード変換手段による変更後のコードを用いて処理を行うように機能することを特徴とする。
【手続補正書】
【提出日】2024-09-20
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
0から1までの横軸区間を圧縮処理する圧縮前の伸張コードデータを構成する符号の出現確率値Pにより2区間に区分し、0から前記出現確率値P未満までの第1の2次関数と、前記出現確率値P以上の第2の2次関数とにより構成される変形ロジスティック写像の式を生成する変形ロジスティック写像式生成手段と、
前記伸張コードデータの1単位データ毎に圧縮値の上限値と下限値とを算出し前記圧縮値の範囲を得る演算を反復して行う変形ロジスティック写像圧縮処理手段と、
前記変形ロジスティック写像圧縮処理手段により最終的に求められた圧縮値の範囲から圧縮コードを生成する変形ロジスティック写像圧縮コード生成手段と
を具備することを特徴とする圧縮処理装置。
【請求項2】
前記変形ロジスティック写像圧縮処理手段は、1単位データ毎に圧縮値の上限値と下限値とを算出するに際し、2次方程式aX
2+bX+c=0の解を求める公式
【数1】
を用いて解を求め、この解を用いて計算を行うことを特徴とする請求項1に記載の圧縮処理装置。
【請求項3】
前記変形ロジスティック写像式生成手段は、前記出現確率値Pを複数用意し、この複数の前記出現確率値Pに基づき複数の変形ロジスティック写像の式を生成するものであり、
前記変形ロジスティック写像式生成手段が生成した複数の変形ロジスティック写像の式を用いて、前記伸張コードデータの最初の1単位データに対する圧縮値の上限値と下限値とを算出して初期値を得る変形ロジスティック写像初期値算出手段と、
前記変形ロジスティック写像初期値算出手段により得られる変形ロジスティック写像の式に対応する初期値のビット数を比較して最も小さいビット数の初期値をもたらした変形ロジスティック写像の式を求める変形ロジスティック写像最適式取得手段と、
を有し、
前記変形ロジスティック写像圧縮処理手段は、前記変形ロジスティック写像最適式取得手段により求められた前記変形ロジスティック写像の式を用いて演算を行うことを特徴とする請求項1に記載の圧縮処理装置。
【請求項4】
伸張コードデータをグレイコードに変換し、変換したグレイコードにより示される伸張コードデータを大きさにより複数の範囲に分け、範囲中の端側の伸張コードデータを範囲中の中央側の伸張コードデータに変更するコード変換を行うコード変換手段を備え、
前記変形ロジスティック写像式生成手段、前記変形ロジスティック写像圧縮処理手段、前記変形ロジスティック写像初期値算出手段、前記変形ロジスティック写像最適式取得手段は、前記コード変換手段による変更後のコードを用いて処理を行うことを特徴とする請求項3に記載の圧縮処理装置。
【請求項5】
0から1までの横軸区間を圧縮処理する圧縮前の伸張コードデータを構成する符号の出現確率値Pにより2区間に区分し、0から前記出現確率値P未満までの第1の2次関数と、前記出現確率値P以上の第2の2次関数とにより構成される変形ロジスティック写像の式を生成する変形ロジスティック写像式生成手段と、
前記伸張コードデータの1単位データ毎に圧縮値の上限値と下限値とを算出し前記圧縮値の範囲を得る演算を反復して行う変形ロジスティック写像圧縮処理手段と、
前記変形ロジスティック写像圧縮処理手段により最終的に求められた圧縮値の範囲から圧縮コードを生成する変形ロジスティック写像圧縮コード生成手段と
を有して構成される変形ロジスティック側処理部と、
0から1までの横軸区間を圧縮処理する圧縮前の伸張コードデータを構成する符号の出現確率値Pにより2区間に区分し、0から前記出現確率値P未満までの第1の一次関数と、前記出現確率値P以上の第2の一次関数とにより構成される変形テント写像の式を生成する変形テント写像式生成手段と、
前記伸張コードデータの1単位データ毎に圧縮値の上限値と下限値とを算出し前記圧縮値の範囲を得る演算を反復して行う変形テント写像圧縮処理手段と、
前記変形テント写像圧縮処理手段により最終的に求められた圧縮値の範囲から圧縮コードを生成する変形テント写像圧縮コード生成手段と
を有して構成される変形テント側処理部と、
を具備し、
前記変形ロジスティック写像式生成手段は、複数用意された前記出現確率値Pを用いて、この複数の前記出現確率値Pに基づき複数の変形ロジスティック写像の式を生成し、
前記変形テント写像式生成手段は、複数用意された前記出現確率値Pを用いて、この複数の前記出現確率値Pに基づき複数の変形テント写像の式を生成し、
前記変形ロジスティック側処理部には、
前記変形ロジスティック写像式生成手段が生成した複数の変形ロジスティック写像の式を用いて、前記伸張コードデータの最初の1単位データに対する圧縮値の上限値と下限値とを算出して初期値を得る変形ロジスティック写像初期値算出手段と、
前記変形ロジスティック写像初期値算出手段により得られる変形ロジスティック写像の式に対応する初期値のビット数を比較して最も小さいビット数の初期値をもたらした変形ロジスティック写像の式を求める変形ロジスティック写像最適式取得手段と、
が備えられ、
前記変形テント側処理部には、
前記変形テント写像式生成手段が生成した複数の変形テント写像の式を用いて、前記伸張コードデータの最初の1単位データに対する圧縮値の上限値と下限値とを算出して初期値を得る変形テント写像初期値算出手段と、
前記変形テント写像初期値算出手段により得られる変形テント写像の式に対応する初期値のビット数を比較して最も小さいビット数の初期値をもたらした変形テント写像の式を求める変形テント写像最適式取得手段と、
が備えられ、
前記変形ロジスティック写像初期値算出手段により得られる変形ロジスティック写像の式に対応する初期値のビット数中の最も小さいビット数の初期値と、前記変形テント写像初期値算出手段により得られる変形テント写像の式に対応する初期値のビット中の最も小さいビット数の初期値とを比較して、比較結果で小さい方の初期値をもたらした写像の式を求め、当該写像の式に対応する変形ロジスティック写像最適式取得手段または変形テント写像最適式取得手段により取得された写像の式を求める最適写像式比較結果取得手段、を有し、
前記最適写像式比較結果取得手段により求められた変形ロジスティック写像の式または変形テント写像の式を用いて演算を行うことを特徴とする圧縮処理装置。
【請求項6】
圧縮処理に用いられた出現確率値Pにより2区間に区分し、0から前記出現確率値P未満までの第1の2次関数と、前記出現確率値P以上の第2の2次関数とにより構成される変形ロジスティック写像の式を生成する変形ロジスティック写像式生成手段と、
圧縮コードに対し変形ロジスティック写像の式を用いた演算を施して、伸張コードデータの1単位データに対応する値を得る計算である1単位データ取得計算及び、この得られた値を前記変形ロジスティック写像の式を用いた演算に用いて次の1単位データを得る1単位データ取得計算を、所定回となるまで繰り返す反復計算を行う変形ロジスティック写像伸張処理手段と、
前記変形ロジスティック写像伸張処理手段の1単位データ取得計算毎に得られる値を、前記変形ロジスティック写像の式の係数に基づき前記伸張コードデータの1単位データに変換する変形ロジスティック写像伸張コード生成手段と
を具備することを特徴とする伸張処理装置。
【請求項7】
圧縮コードに含まれるPを取り出し、前記変形ロジスティック写像式生成手段へ送出する手段を有することを特徴とする請求項6に記載の伸張処理装置。
【請求項8】
データの圧縮処理を実現するコンピュータを、
0から1までの横軸区間を圧縮処理する圧縮前の伸張コードデータを構成する符号の出現確率値Pにより2区間に区分し、0から前記出現確率値P未満までの第1の2次関数と、前記出現確率値P以上の第2の2次関数とにより構成される変形ロジスティック写像の式を生成する変形ロジスティック写像式生成手段、
前記伸張コードデータの1単位データ毎に圧縮値の上限値と下限値とを算出し前記圧縮値の範囲を得る演算を反復して行う変形ロジスティック写像圧縮処理手段、
前記変形ロジスティック写像圧縮処理手段により最終的に求められた圧縮値の範囲から圧縮コードを生成する変形ロジスティック写像圧縮コード生成手段
として機能させることを特徴とする圧縮処理用プログラム。
【請求項9】
前記コンピュータが前記変形ロジスティック写像圧縮処理手段として、1単位データ毎に圧縮値の上限値と下限値とを算出するに際し、2次方程式aX
2+bX+c=0の解を求める公式
【数2】
を用いて解を求め、この解を用いて計算を行うように機能することを特徴とする請求項8に記載の圧縮処理用プログラム。
【請求項10】
前記コンピュータが、前記変形ロジスティック写像式生成手段として、前記出現確率値Pを複数用意し、この複数の前記出現確率値Pに基づき複数の変形ロジスティック写像の式を生成するように機能し、
前記コンピュータは、更に、
前記変形ロジスティック写像式生成手段が生成した複数の変形ロジスティック写像の式を用いて、前記伸張コードデータの最初の1単位データに対する圧縮値の上限値と下限値とを算出して初期値を得る変形ロジスティック写像初期値算出手段、
前記変形ロジスティック写像初期値算出手段により得られる変形ロジスティック写像の式に対応する初期値のビット数を比較して最も小さいビット数の初期値をもたらした変形ロジスティック写像の式を求める変形ロジスティック写像最適式取得手段、
として機能し、
前記コンピュータが、前記変形ロジスティック写像圧縮処理手段として、前記変形ロジスティック写像最適式取得手段により求められた前記変形ロジスティック写像の式を用いて演算を行うように機能することを特徴とする請求項8に記載の圧縮処理用プログラム。
【請求項11】
前記コンピュータは、
伸張コードデータをグレイコードに変換し、変換したグレイコードにより示される伸張コードデータを大きさにより複数の範囲に分け、範囲中の端側の伸張コードデータを範囲中の中央側の伸張コードデータに変更するコード変換を行うコード変換手段として機能し、
前記コンピュータが、前記変形ロジスティック写像式生成手段、前記変形ロジスティック写像圧縮処理手段、前記変形ロジスティック写像初期値算出手段、前記変形ロジスティック写像最適式取得手段として、前記コード変換手段による変更後のコードを用いて処理を行うように機能することを特徴とする請求項10に記載の圧縮処理用プログラム。
【請求項12】
データの圧縮処理を実現するコンピュータを、
0から1までの横軸区間を圧縮処理する圧縮前の伸張コードデータを構成する符号の出現確率値Pにより2区間に区分し、0から前記出現確率値P未満までの第1の2次関数と、前記出現確率値P以上の第2の2次関数とにより構成される変形ロジスティック写像の式を生成する変形ロジスティック写像式生成手段、
前記伸張コードデータの1単位データ毎に圧縮値の上限値と下限値とを算出し前記圧縮値の範囲を得る演算を反復して行う変形ロジスティック写像圧縮処理手段、
前記変形ロジスティック写像圧縮処理手段により最終的に求められた圧縮値の範囲から圧縮コードを生成する変形ロジスティック写像圧縮コード生成手段
として機能させて変形ロジスティック側処理部を実現するように機能させ、
更に上記コンピュータを、
0から1までの横軸区間を圧縮処理する圧縮前の伸張コードデータを構成する符号の出現確率値Pにより2区間に区分し、0から前記出現確率値P未満までの第1の一次関数と、前記出現確率値P以上の第2の一次関数とにより構成される変形テント写像の式を生成する変形テント写像式生成手段、
前記伸張コードデータの1単位データ毎に圧縮値の上限値と下限値とを算出し前記圧縮値の範囲を得る演算を反復して行う変形テント写像圧縮処理手段、
前記変形テント写像圧縮処理手段により最終的に求められた圧縮値の範囲から圧縮コードを生成する変形テント写像圧縮コード生成手段
として機能させて変形テント側処理部を実現するように機能させ、
前記コンピュータは、前記変形ロジスティック写像式生成手段を、複数用意された前記出現確率値Pを用いて、この複数の前記出現確率値Pに基づき複数の変形ロジスティック写像の式を生成するように機能させ、
前記コンピュータは、前記変形テント写像式生成手段を、複数用意された前記出現確率値Pを用いて、この複数の前記出現確率値Pに基づき複数の変形テント写像の式を生成するように機能させ、
前記コンピュータは、前記変形ロジスティック側処理部に、
前記変形ロジスティック写像式生成手段が生成した複数の変形ロジスティック写像の式を用いて、前記伸張コードデータの最初の1単位データに対する圧縮値の上限値と下限値とを算出して初期値を得る変形ロジスティック写像初期値算出手段、
前記変形ロジスティック写像初期値算出手段により得られる変形ロジスティック写像の式に対応する初期値のビット数を比較して最も小さいビット数の初期値をもたらした変形ロジスティック写像の式を求める変形ロジスティック写像最適式取得手段、
を有して構成されるように機能させ、
前記コンピュータは、前記変形テント側処理部に、
前記変形テント写像式生成手段が生成した複数の変形テント写像の式を用いて、前記伸張コードデータの最初の1単位データに対する圧縮値の上限値と下限値とを算出して初期値を得る変形テント写像初期値算出手段、
前記変形テント写像初期値算出手段により得られる変形テント写像の式に対応する初期値のビット数を比較して最も小さいビット数の初期値をもたらした変形テント写像の式を求める変形テント写像最適式取得手段、
を有して構成されるように機能させ、
前記コンピュータは、前記変形ロジスティック写像初期値算出手段により得られる変形ロジスティック写像の式に対応する初期値のビット数中の最も小さいビット数の初期値と、前記変形テント写像初期値算出手段により得られる変形テント写像の式に対応する初期値のビット中の最も小さいビット数の初期値とを比較して、比較結果で小さい方の初期値をもたらした写像の式を求め、当該写像の式に対応する変形ロジスティック写像最適式取得手段または変形テント写像最適式取得手段により取得された写像の式を求める最適写像式比較結果取得手段、として機能し、
前記コンピュータは、前記変形ロジスティック側処理部の各手段または前記変形テント側処理部の各手段を、前記最適写像式比較結果取得手段により求められた変形ロジスティック写像の式または変形テント写像の式を用いて演算を行うように機能させることを特徴とする圧縮処理用プログラム。
【請求項13】
圧縮処理されたデータを伸張するコンピュータを、
圧縮処理に用いられた出現確率値Pにより2区間に区分し、0から前記出現確率値P未満までの第1の2次関数と、前記出現確率値P以上の第2の2次関数とにより構成される変形ロジスティック写像の式を生成する変形ロジスティック写像式生成手段、
圧縮コードに対し変形ロジスティック写像の式を用いた演算を施して、伸張コードデータの1単位データに対応する値を得る計算である1単位データ取得計算及び、この得られた値を前記変形ロジスティック写像の式を用いた演算に用いて次の1単位データを得る1単位データ取得計算を、所定回となるまで繰り返す反復計算を行う変形ロジスティック写像伸張処理手段、
前記変形ロジスティック写像伸張処理手段の1単位データ取得計算毎に得られる値を、前記変形ロジスティック写像の式の係数に基づき前記伸張コードデータの1単位データに変換する変形ロジスティック写像伸張コード生成手段
として機能させることを特徴とする伸張処理用プログラム。
【請求項14】
前記コンピュータを、圧縮コードに含まれるPを取り出し、前記変形ロジスティック写像式生成手段へ送出する手段として機能させることを特徴とする請求項13に記載の伸張処理用プログラム。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0009
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0009】
本発明に係る圧縮処理装置は、0から1までの横軸区間を圧縮処理する圧縮前の伸張コードデータを構成する符号の出現確率値Pにより2区間に区分し、0から前記出現確率値P未満までの第1の2次関数と、前記出現確率値P以上の第2の2次関数とにより構成される変形ロジスティック写像の式を生成する変形ロジスティック写像式生成手段と、前記伸張コードデータの1単位データ毎に圧縮値の上限値と下限値とを算出し前記圧縮値の範囲を得る演算を反復して行う変形ロジスティック写像圧縮処理手段と、前記変形ロジスティック写像圧縮処理手段により最終的に求められた圧縮値の範囲から圧縮コードを生成する変形ロジスティック写像圧縮コード生成手段とを具備することを特徴とする。
【手続補正3】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0011
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0011】
本発明に係る圧縮処理装置では、前記変形ロジスティック写像式生成手段は、前記出現確率値Pを複数用意し、この複数の前記出現確率値Pに基づき複数の変形ロジスティック写像の式を生成するものであり、前記変形ロジスティック写像式生成手段が生成した複数の変形ロジスティック写像の式を用いて、前記伸張コードデータの最初の1単位データに対する圧縮値の上限値と下限値とを算出して初期値を得る変形ロジスティック写像初期値算出手段と、前記変形ロジスティック写像初期値算出手段により得られる変形ロジスティック写像の式に対応する初期値のビット数を比較して最も小さいビット数の初期値をもたらした変形ロジスティック写像の式を求める変形ロジスティック写像最適式取得手段と、を有し、前記変形ロジスティック写像圧縮処理手段は、前記変形ロジスティック写像最適式取得手段により求められた前記変形ロジスティック写像の式を用いて演算を行うことを特徴とする。
【手続補正4】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0013
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0013】
本発明に係る圧縮処理装置は、0から1までの横軸区間を圧縮処理する圧縮前の伸張コードデータを構成する符号の出現確率値Pにより2区間に区分し、0から前記出現確率値P未満までの第1の2次関数と、前記出現確率値P以上の第2の2次関数とにより構成される変形ロジスティック写像の式を生成する変形ロジスティック写像式生成手段と、前記伸張コードデータの1単位データ毎に圧縮値の上限値と下限値とを算出し前記圧縮値の範囲を得る演算を反復して行う変形ロジスティック写像圧縮処理手段と、前記変形ロジスティック写像圧縮処理手段により最終的に求められた圧縮値の範囲から圧縮コードを生成する変形ロジスティック写像圧縮コード生成手段とを有して構成される変形ロジスティック側処理部と、0から1までの横軸区間を圧縮処理する圧縮前の伸張コードデータを構成する符号の出現確率値Pにより2区間に区分し、0から前記出現確率値P未満までの第1の一次関数と、前記出現確率値P以上の第2の一次関数とにより構成される変形テント写像の式を生成する変形テント写像式生成手段と、前記伸張コードデータの1単位データ毎に圧縮値の上限値と下限値とを算出し前記圧縮値の範囲を得る演算を反復して行う変形テント写像圧縮処理手段と、前記変形テント写像圧縮処理手段により最終的に求められた圧縮値の範囲から圧縮コードを生成する変形テント写像圧縮コード生成手段とを有して構成される変形テント側処理部と、を具備し、前記変形ロジスティック写像式生成手段は、複数用意された前記出現確率値Pを用いて、この複数の前記出現確率値Pに基づき複数の変形ロジスティック写像の式を生成し、前記変形テント写像式生成手段は、複数用意された前記出現確率値Pを用いて、この複数の前記出現確率値Pに基づき複数の変形テント写像の式を生成し、前記変形ロジスティック側処理部には、前記変形ロジスティック写像式生成手段が生成した複数の変形ロジスティック写像の式を用いて、前記伸張コードデータの最初の1単位データに対する圧縮値の上限値と下限値とを算出して初期値を得る変形ロジスティック写像初期値算出手段と、前記変形ロジスティック写像初期値算出手段により得られる変形ロジスティック写像の式に対応する初期値のビット数を比較して最も小さいビット数の初期値をもたらした変形ロジスティック写像の式を求める変形ロジスティック写像最適式取得手段と、が備えられ、前記変形テント側処理部には、前記変形テント写像式生成手段が生成した複数の変形テント写像の式を用いて、前記伸張コードデータの最初の1単位データに対する圧縮値の上限値と下限値とを算出して初期値を得る変形テント写像初期値算出手段と、前記変形テント写像初期値算出手段により得られる変形テント写像の式に対応する初期値のビット数を比較して最も小さいビット数の初期値をもたらした変形テント写像の式を求める変形テント写像最適式取得手段と、が備えられ、前記変形ロジスティック写像初期値算出手段により得られる変形ロジスティック写像の式に対応する初期値のビット数中の最も小さいビット数の初期値と、前記変形テント写像初期値算出手段により得られる変形テント写像の式に対応する初期値のビット中の最も小さいビット数の初期値とを比較して、比較結果で小さい方の初期値をもたらした写像の式を求め、当該写像の式に対応する変形ロジスティック写像最適式取得手段または変形テント写像最適式取得手段により取得された写像の式を求める最適写像式比較結果取得手段、を有し、前記最適写像式比較結果取得手段により求められた変形ロジスティック写像の式または変形テント写像の式を用いて演算を行うことを特徴とする。
【手続補正5】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0014
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0014】
本発明に係る伸張処理装置は、圧縮処理に用いられた出現確率値Pにより2区間に区分し、0から前記出現確率値P未満までの第1の2次関数と、前記出現確率値P以上の第2の2次関数とにより構成される変形ロジスティック写像の式を生成する変形ロジスティック写像式生成手段と、圧縮コードに対し変形ロジスティック写像の式を用いた演算を施して、伸張コードデータの1単位データに対応する値を得る計算である1単位データ取得計算及び、この得られた値を前記変形ロジスティック写像の式を用いた演算に用いて次の1単位データを得る1単位データ取得計算を、所定回となるまで繰り返す反復計算を行う変形ロジスティック写像伸張処理手段と、前記変形ロジスティック写像伸張処理手段の1単位データ取得計算毎に得られる値を、前記変形ロジスティック写像の式の係数に基づき前記伸張コードデータの1単位データに変換する変形ロジスティック写像伸張コード生成手段とを具備することを特徴とする。
【手続補正6】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0016
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0016】
本発明に係る圧縮処理用プログラムは、データの圧縮処理を実現するコンピュータを、0から1までの横軸区間を圧縮処理する圧縮前の伸張コードデータを構成する符号の出現確率値Pにより2区間に区分し、0から前記出現確率値P未満までの第1の2次関数と、前記出現確率値P以上の第2の2次関数とにより構成される変形ロジスティック写像の式を生成する変形ロジスティック写像式生成手段、前記伸張コードデータの1単位データ毎に圧縮値の上限値と下限値とを算出し前記圧縮値の範囲を得る演算を反復して行う変形ロジスティック写像圧縮処理手段、前記変形ロジスティック写像圧縮処理手段により最終的に求められた圧縮値の範囲から圧縮コードを生成する変形ロジスティック写像圧縮コード生成手段として機能させることを特徴とする。
【手続補正7】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0018
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0018】
本発明に係る圧縮処理用プログラムでは、前記コンピュータが、前記変形ロジスティック写像式生成手段として、前記出現確率値Pを複数用意し、この複数の前記出現確率値Pに基づき複数の変形ロジスティック写像の式を生成するように機能し、前記コンピュータは、更に、前記変形ロジスティック写像式生成手段が生成した複数の変形ロジスティック写像の式を用いて、前記伸張コードデータの最初の1単位データに対する圧縮値の上限値と下限値とを算出して初期値を得る変形ロジスティック写像初期値算出手段、前記変形ロジスティック写像初期値算出手段により得られる変形ロジスティック写像の式に対応する初期値のビット数を比較して最も小さいビット数の初期値をもたらした変形ロジスティック写像の式を求める変形ロジスティック写像最適式取得手段、として機能し、前記コンピュータが、前記変形ロジスティック写像圧縮処理手段として、前記変形ロジスティック写像最適式取得手段により求められた前記変形ロジスティック写像の式を用いて演算を行うように機能することを特徴とする。
【手続補正8】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0020
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0020】
本発明に係る圧縮処理用プログラムは、データの圧縮処理を実現するコンピュータを、0から1までの横軸区間を圧縮処理する圧縮前の伸張コードデータを構成する符号の出現確率値Pにより2区間に区分し、0から前記出現確率値P未満までの第1の2次関数と、前記出現確率値P以上の第2の2次関数とにより構成される変形ロジスティック写像の式を生成する変形ロジスティック写像式生成手段、前記伸張コードデータの1単位データ毎に圧縮値の上限値と下限値とを算出し前記圧縮値の範囲を得る演算を反復して行う変形ロジスティック写像圧縮処理手段、前記変形ロジスティック写像圧縮処理手段により最終的に求められた圧縮値の範囲から圧縮コードを生成する変形ロジスティック写像圧縮コード生成手段として機能させて変形ロジスティック側処理部を実現するように機能させ、更に上記コンピュータを、0から1までの横軸区間を圧縮処理する圧縮前の伸張コードデータを構成する符号の出現確率値Pにより2区間に区分し、0から前記出現確率値P未満までの第1の一次関数と、前記出現確率値P以上の第2の一次関数とにより構成される変形テント写像の式を生成する変形テント写像式生成手段、前記伸張コードデータの1単位データ毎に圧縮値の上限値と下限値とを算出し前記圧縮値の範囲を得る演算を反復して行う変形テント写像圧縮処理手段、前記変形テント写像圧縮処理手段により最終的に求められた圧縮値の範囲から圧縮コードを生成する変形テント写像圧縮コード生成手段として機能させて変形テント側処理部を実現するように機能させ、前記コンピュータは、前記変形ロジスティック写像式生成手段を、複数用意された前記出現確率値Pを用いて、この複数の前記出現確率値Pに基づき複数の変形ロジスティック写像の式を生成するように機能させ、前記コンピュータは、前記変形テント写像式生成手段を、複数用意された前記出現確率値Pを用いて、この複数の前記出現確率値Pに基づき複数の変形テント写像の式を生成するように機能させ、前記コンピュータは、前記変形ロジスティック側処理部に、前記変形ロジスティック写像式生成手段が生成した複数の変形ロジスティック写像の式を用いて、前記伸張コードデータの最初の1単位データに対する圧縮値の上限値と下限値とを算出して初期値を得る変形ロジスティック写像初期値算出手段、前記変形ロジスティック写像初期値算出手段により得られる変形ロジスティック写像の式に対応する初期値のビット数を比較して最も小さいビット数の初期値をもたらした変形ロジスティック写像の式を求める変形ロジスティック写像最適式取得手段、を有して構成されるように機能させ、前記コンピュータは、前記変形テント側処理部に、前記変形テント写像式生成手段が生成した複数の変形テント写像の式を用いて、前記伸張コードデータの最初の1単位データに対する圧縮値の上限値と下限値とを算出して初期値を得る変形テント写像初期値算出手段、前記変形テント写像初期値算出手段により得られる変形テント写像の式に対応する初期値のビット数を比較して最も小さいビット数の初期値をもたらした変形テント写像の式を求める変形テント写像最適式取得手段、を有して構成されるように機能させ、前記コンピュータは、前記変形ロジスティック写像初期値算出手段により得られる変形ロジスティック写像の式に対応する初期値のビット数中の最も小さいビット数の初期値と、前記変形テント写像初期値算出手段により得られる変形テント写像の式に対応する初期値のビット中の最も小さいビット数の初期値とを比較して、比較結果で小さい方の初期値をもたらした写像の式を求め、当該写像の式に対応する変形ロジスティック写像最適式取得手段または変形テント写像最適式取得手段により取得された写像の式を求める最適写像式比較結果取得手段、として機能し、前記コンピュータは、前記変形ロジスティック側処理部の各手段または前記変形テント側処理部の各手段を、前記最適写像式比較結果取得手段により求められた変形ロジスティック写像の式または変形テント写像の式を用いて演算を行うように機能させることを特徴とする。
【手続補正9】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0021
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0021】
本発明に係る伸張処理用プログラムは、圧縮処理されたデータを伸張するコンピュータを、圧縮処理に用いられた出現確率値Pにより2区間に区分し、0から前記出現確率値P未満までの第1の2次関数と、前記出現確率値P以上の第2の2次関数とにより構成される変形ロジスティック写像の式を生成する変形ロジスティック写像式生成手段、圧縮コードに対し変形ロジスティック写像の式を用いた演算を施して、伸張コードデータの1単位データに対応する値を得る計算である1単位データ取得計算及び、この得られた値を前記変形ロジスティック写像の式を用いた演算に用いて次の1単位データを得る1単位データ取得計算を、所定回となるまで繰り返す反復計算を行う変形ロジスティック写像伸張処理手段、前記変形ロジスティック写像伸張処理手段の1単位データ取得計算毎に得られる値を、前記変形ロジスティック写像の式の係数に基づき前記伸張コードデータの1単位データに変換する変形ロジスティック写像伸張コード生成手段として機能させることを特徴とする。