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  • 特開-積層装置および電極体の製造ライン 図1
  • 特開-積層装置および電極体の製造ライン 図2
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024146420
(43)【公開日】2024-10-15
(54)【発明の名称】積層装置および電極体の製造ライン
(51)【国際特許分類】
   H01M 10/04 20060101AFI20241004BHJP
【FI】
H01M10/04 Z
【審査請求】有
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023059305
(22)【出願日】2023-03-31
(71)【出願人】
【識別番号】000005326
【氏名又は名称】本田技研工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100165179
【弁理士】
【氏名又は名称】田▲崎▼ 聡
(74)【代理人】
【識別番号】100126664
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 慎吾
(74)【代理人】
【識別番号】100154852
【弁理士】
【氏名又は名称】酒井 太一
(74)【代理人】
【識別番号】100194087
【弁理士】
【氏名又は名称】渡辺 伸一
(72)【発明者】
【氏名】石川 翔大
【テーマコード(参考)】
5H028
【Fターム(参考)】
5H028AA05
5H028BB19
5H028CC08
5H028HH00
(57)【要約】
【課題】複数の電極体の積層に要する時間を短縮する積層装置および製造ラインを提供する。
【解決手段】複数の電極体30を搬送する搬送装置2の下流に配置され、複数の電極体30を積層する積層装置1であって、搬送装置2によって搬送されている電極体30に対し傾斜して配置され、複数の電極体30を積層する載置板10を備え、載置板10は、電極体30の搬送方向において、搬送装置2から離れるに従って下方に傾斜するとともに、電極体30の搬送方向に直交する直交方向において、搬送装置2から離れるに従って下方に傾斜し、載置板10は、電極体30の搬送方向および電極体30の搬送方向に直交する直交方向に対して傾斜する、積層装置1。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の電極体を搬送する搬送装置の下流に配置され、前記複数の電極体を積層する積層装置であって、
前記搬送装置によって搬送されている前記電極体に対し傾斜して配置され、前記複数の電極体を積層する載置板と、
前記載置板に立設され、前記電極体の搬送方向に沿う第1壁部と、
前記載置板に立設され、前記第1壁部と交差し、前記電極体の搬送方向における前記第1壁部の一端側に設けられる第2壁部と、
前記第2壁部に設けられ、若しくは、前記第2壁部とは異なる壁部に設けられ、前記複数が電極体の前記載置板から落下するのを防止する落下防止部と、を備え、
前記載置板は、前記電極体の搬送方向において、前記搬送装置から離れるに従って下方に傾斜するとともに、前記電極体の搬送方向に直交する直交方向において、前記搬送装置から離れるに従って下方に傾斜し、
前記載置板は、前記電極体の搬送方向および前記電極体の搬送方向に直交する直交方向に対して傾斜する、積層装置。
【請求項2】
前記載置板は、前記電極体の搬送方向に対する傾斜角度が10度以上25度以下、かつ前記電極体の搬送方向に直交する直交方向に対する傾斜角度が10度以上20度以下である、請求項1に記載の積層装置。
【請求項3】
前記第2壁部は、緩衝部材を備える、請求項1に記載の積層装置。
【請求項4】
前記落下防止部は、前記複数の電極体が有する集電箔を収める集電箔収容部を備える、請求項1に記載の積層装置。
【請求項5】
前記電極体は、第1の負極層と、第1の固体電解質層と、正極層と、第2の固体電解質層と、第2の負極層と、を含み、
前記電極体は、前記第1の負極層、前記正極層、および前記第2の負極層の積層方向における端部が銅からなる集電体を有する、請求項1に記載の積層装置。
【請求項6】
複数の電極体を搬送して積層する電極体の製造ラインであって、前記複数の電極体を搬送する搬送装置と、
請求項1~5のいずれか1項に記載の前記積層装置と、を備え、
前記積層装置は、複数設けられ、
前記電極体の製造ラインは、1つの前記積層装置に所定数の前記電極体が積層された場合に、他の前記積層装置に前記電極体を積層する、電極体の製造ライン。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、積層装置および電極体の製造ラインに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、より多くの人々が手ごろで信頼でき、持続可能かつ先進的なエネルギーへのアクセスを確保できるようにするため、エネルギーの効率化に貢献する二次電池に関する研究開発が行われている。
【0003】
二次電池として利用される、ラミネートセルおよび積層タイプの角型セルは、複数の電極体が積層されてラミネートフィルムまたはセル缶に収容された構造を有する。したがって、これらの電池セルを製造する工程には、複数の電極体を積層する工程が含まれる。
【0004】
例えば特許文献1は、アームを有する旋回ユニットの動作によって、正極シート、負極シートおよびセパレータ等を積層する技術を開示する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】国際公開第2013/125219号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1に開示された従来技術は、1つ1つをアームが把持して積層するため積層の完了までに時間がかかることがあり、改善の余地があった。
【0007】
本発明は、複数の電極体の積層に要する時間を短縮する積層装置および製造ラインを提供する。そして、延いてはエネルギーの効率化に寄与するものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するために、本発明は以下の手段を提供する。
[1]複数の電極体を搬送する搬送装置の下流に配置され、前記複数の電極体を積層する積層装置であって、
前記搬送装置によって搬送されている前記電極体に対し傾斜して配置され、前記複数の電極体を積層する載置板と、
前記載置板に立設され、前記電極体の搬送方向に沿う第1壁部と、
前記載置板に立設され、前記第1壁部と交差し、前記電極体の搬送方向における前記第1壁部の一端側に設けられる第2壁部と、
前記第2壁部に設けられ、若しくは、前記第2壁部とは異なる壁部に設けられ、前記複数が電極体の前記載置板から落下するのを防止する落下防止部と、を備え、
前記載置板は、前記電極体の搬送方向において、前記搬送装置から離れるに従って下方に傾斜するとともに、前記電極体の搬送方向に直交する直交方向において、前記搬送装置から離れるに従って下方に傾斜し、
前記載置板は、前記電極体の搬送方向および前記電極体の搬送方向に直交する直交方向に対して傾斜する、積層装置。
【0009】
本発明の積層装置によれば、搬送される電極体自体の運動を利用して積層を行うことができるので、積層の完了までに要する時間を短縮することができる。また、搬送されてきた電極体は第1壁部および第2壁部に当接するので第1壁部および第2壁部によってズレが防止される。また、載置板の落下防止部によって、載置板から電極体が落下するのを防止できる。
【0010】
[2]前記載置板は、前記電極体の搬送方向に対する傾斜角度が10度以上25度以下、かつ前記電極体の搬送方向に直交する直交方向に対する傾斜角度が10度以上20度以下である、[1]に記載の積層装置。
【0011】
本発明の積層装置によれば、搬送される電極体自体の運動を利用して積層を行うことができるので、積層の完了までに要する時間を短縮することができる。また、搬送されてきた電極体は第1壁部および第2壁部に当接するので第1壁部および第2壁部によってズレが防止される。また、載置板の落下防止部によって、載置板から電極体が落下するのを防止できる。
【0012】
[3]前記第2壁部は、緩衝部材を備える、[1]または[2]に記載の積層装置。
【0013】
本発明の積層装置によれば、電極体が第2壁部に衝突する際の衝撃を抑制することができるので、電極体の損傷を抑制できる。
【0014】
[4]前記落下防止部は、前記複数の電極体が有する集電箔を収める集電箔収容部を備える、[1]~[3]のいずれかに記載の積層装置。
【0015】
本発明の積層装置によれば、集電箔の損傷を防止できる。
【0016】
[5]前記電極体は、第1の負極層と、第1の固体電解質層と、正極層と、第2の固体電解質層と、第2の負極層と、を含み、
前記電極体は、前記第1の負極層、前記正極層、および前記第2の負極層の積層方向における端部が銅からなる集電体を有する、[1]~[4]のいずれかに記載の積層装置。
【0017】
本発明の積層装置によれば、液体やゲルではなく固体の電解質層を含む電極体であるので、第1壁部および第2壁部に衝突した際に電極体が損傷する可能性を低くすることができる。
【0018】
[6]複数の電極体を搬送して積層する電極体の製造ラインであって、前記複数の電極体を搬送する搬送装置と、
[1]~[5]のいずれかに記載の前記積層装置と、を備え、
前記積層装置は、複数設けられ、
前記電極体の製造ラインは、1つの前記積層装置に所定数の前記電極体が積層された場合に、他の前記積層装置に前記電極体を積層する、電極体の製造ライン。
【0019】
本発明の電極体の製造ラインによれば、連続して電極体を積層することができ、積層の完了までに要する時間を短縮することができる。
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、複数の電極体の積層に要する時間を短縮できる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1】本発明の実施形態に係る電極体の製造ラインを示す模式図である。
図2】本発明の実施形態に係る積層装置(ストッカ)を示す斜視図である。
図3】本発明の実施形態に係る積層装置(ストッカ)を示す平面図である。
図4】本発明の実施形態に係る電極体の製造ラインで製造されるラミネートセルを示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、本発明の実施形態について、図面を参照して詳細に説明する。
【0023】
[電極体の製造ライン、積層装置]
図1は、本発明の実施形態に係る電極体の製造ラインを示す模式図である。
図1に示すように、本実施形態の製造ライン100は、複数の電極体30を搬送する搬送装置2と、搬送装置2の下流に配置され、複数の電極体30を積層する積層装置(ストッカ)1と、を備える。
【0024】
搬送装置2には、負極の電極部材21が巻回された電極ロール81、83と、正極の電極部材22が巻回された電極ロール82とが設置されている。正極の電極部材22は、集電箔と、該集電箔に塗布された正極活物質とを含む。負極の電極部材21は、集電箔と、該集電箔に塗布された負極活物質とを含む。本実施形態における電池セルは固体電池であり、1対の負極の電極部材21(負極層)の間に正極の電極部材22(正極層)が配置される。正極の電極部材(正極層)と負極の電極部材(負極層)との間には固体電解質層が配置される。製造ライン100において、固体電解質層は、正極の電極部材22の両面に設けられていてもよく、負極の電極部材21の片面に設けられていてもよい。本明細書では、この負極の電極部材21の間に正極の電極部材22が配置されたものを電極体30と称する。
【0025】
複数の電極体30は、後の工程において、正極および負極の集電箔にそれぞれタブリードが接合されるとともに、タブリードが露出した状態でラミネートフィルムで覆われる。図4は、製造ライン100で製造された電極体30を用いた、ラミネートセル40を示す斜視図である。
【0026】
本実施形態における電極体30の搬送方向は、電極体30の長軸方向と一致する。負極の電極ロール81の電極部材21はロール装置71、72によりガイドされ、ロール装置61、62によって他の電極部材と重ね合わされる。正極の電極ロール82は、ロール装置61、62によってガイドされて他の電極部材と重ね合わされる。負極の電極ロール83の電極部材21はロール装置73、74によりガイドされ、ロール装置61、62によって他の電極部材と重ね合わされる。
【0027】
ロール装置61、62によって重ね合わされた3枚の電極部材は、ロールプレス51、52によって上方および下方から圧力を受けて一体化する。次に、搬送路の上方に設置されたレーザーカッター4が、レーザーを出射し、一体化した電極体30の外周部の端材に切り込みを入れる。例えば、ベルトコンベアである搬送装置2まで電極体30が運ばれると、切り込みが入れられた端材は、端材巻取装置3によって巻き取られる。
【0028】
搬送装置2は所定の速度(例えば、毎秒100メートル)で電極体30を搬送する。搬送装置2の端まで搬送された電極体30は慣性によって搬送装置2から飛び出し、ストッカ1の上に落下する。ストッカ1には、搬送装置2から送られてくる電極体30が順に積み重ねられる。ストッカ1は、搬送装置2の下流に搬送装置2に近接する位置(すなわち、搬送装置2から送られてくる電極体30を受け取り可能な位置)に配置される。
【0029】
図2は、本発明の実施形態に係る積層装置(ストッカ)を示す斜視図である。図3は、本発明の実施形態に係る積層装置(ストッカ)を示す平面図である。ストッカ1は、複数の電極体30が積み重ねられる載置板10を有する。載置板10は、第1壁部111と、第2壁部112とを有する。第1壁部111は、搬送方向に沿って、載置板10に立設されている。第2壁部112は、第1壁部111と交差し、搬送方向における第1壁部111の一端側にて、載置板10に立設されている。第2壁部112は、搬送方向に直交する一対の壁部112A,112Bを有する。一対の壁部112A,112Bは、間隔を置いて、載置板10における電極体30の搬送路を挟んで対向配置されている。第1壁部111と第2壁部112により、載置板10上に積み重ねられる複数の電極体30を整列させる(すなわち、積層方向視でのズレが無いようにする)。
【0030】
第1壁部111は、搬送方向に直交する方向であるY軸方向において搬送装置2と対向する面である。
【0031】
第2壁部112は、電極体30の搬送方向であるX軸方向において搬送装置2と対向する面であって、載置板10から電極体30が落下するのを防止する落下防止部13を有する。第2壁部112には、落下防止部13にY軸方向の中央に開口部14が設けられている。搬送方向に直交するY軸方向において、開口部14の幅は、電極体30から伸びる集電箔の幅よりも大きい。したがって、電極体30が第2壁部112(すなわち、落下防止部13)に到達した場合においても開口部14に集電箔が収まるので、第2壁部112は集電箔には干渉しない。
【0032】
ストッカ1の載置板10は、搬送方向(X軸方向)の上流側から下流側に向かうに従って、すなわち、搬送装置2から離れるに従って下方に傾斜する。したがって、ストッカ1に搬送される電極体30は、第2壁部112に向かって下方に移動し、第2壁部112(落下防止部13)に当接して停止する。また、ストッカ1の載置板10は、搬送方向に直交する直交方向(Y軸方向)において、搬送装置2から離れるに従って下方に傾斜する。したがって、ストッカ1に搬送される電極体30は、第1壁部111に向かって下方に移動し、第1壁部111に当接して停止する。
【0033】
これにより、搬送装置2から連続して搬送される複数の電極体30は、第1壁部111および第2壁部112(落下防止部13)に接した状態で積み重ねられ、整列のための機械的機構などが無くても整列する。
【0034】
載置板10は、電極体30の搬送方向(X軸方向)に対する傾斜角度が10度以上25度以下が好ましく、20度以上25度以下がより好ましい。また、載置板10は、電極体30の搬送方向に直交する直交方向(Y軸方向)に対する傾斜角度が10度以上20度以下が好ましく、15度以上20度以下がより好ましい。載置板10の前記X軸方向および前記Y軸方向に対する傾斜角度が前記範囲内であれば、整列のための機械的機構などが無くても、電極体30を整列して積み重ねることができる。
【0035】
第2壁部112は、電極体30と当接する面に緩衝部材16を備えていてもよい。緩衝部材16によれば、電極体30が第2壁部112に衝突する際の衝撃を抑制することができるので、電極体30の損傷を抑制できる。
【0036】
以上のように、本実施形態の積層装置1によれば、電極体30自体の運動(例えば、落下)を利用して複数の電極体30を積層することができるので、積層の完了までに要する時間を短縮することができる。
【0037】
また、複数の電極体30を積層した後の工程には、ラミネート加工等の工程がある。ズレがある状態で複数の電極体30が積層されると、後の工程を実施することができないため、ズレが無いように複数の電極体30を整列させることが重要である。本実施形態の積層装置1においては、載置板10が搬送方向の上流側から下流側に向かうに従って下方に傾斜し、搬送方向に直交する直交方向において、搬送装置2から離れるに従って下方に傾斜する。したがって、ストッカ1に搬送される電極体30は、第1壁部111および第2壁部112に向かって下方に移動し、第1壁部111および第2壁部112に当接して停止する。
【0038】
以上、図面を参照しながら各種の実施の形態について説明したが、本発明はかかる例に限定されないことは言うまでもない。当業者であれば、特許請求の範囲に記載された範疇内において、各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、それらについても当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。また、発明の趣旨を逸脱しない範囲において、上記実施の形態における各構成要素を任意に組み合わせてもよい。
【実施例0039】
以下、実験例により本発明をさらに具体的に説明するが、本発明は以下の実験例に限定されるものではない。
【0040】
[実験例]
図1図2および図3に示す電極体製造ラインおよび積層装置を用いて、電極体を製造し、得られた電極体を積層した。積層装置を用いて電極体を積層する際に、積層装置の載置板を、搬送方向(X軸方向)および搬送方向に直交する直交方向(Y軸方向)に対する傾斜させた。X軸方向およびY軸方向に対する載置板の傾斜角度を0度から30度に変化させた。
【0041】
その結果、X軸方向に対する載置板の傾斜角度が10度以上25度以下、かつ、Y軸方向に対する載置板の傾斜角度が10度以上20度以下の場合、複数の電極体を、ズレを抑制して積層するのに有効であった。
【符号の説明】
【0042】
1 積層装置(ストッカ)
2 搬送装置
10 載置板
13 落下防止部
14 開口部(集電箔収容部)
16 緩衝部材
30 電極体
100 製造ライン
111 第1壁部
112 第2壁部
図1
図2
図3
図4