(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024146436
(43)【公開日】2024-10-15
(54)【発明の名称】組立箱用ブランクシートおよび箱
(51)【国際特許分類】
B65D 5/22 20060101AFI20241004BHJP
B65D 5/66 20060101ALI20241004BHJP
【FI】
B65D5/22 F
B65D5/66 311Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023059332
(22)【出願日】2023-03-31
(71)【出願人】
【識別番号】000183484
【氏名又は名称】日本製紙株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100074181
【弁理士】
【氏名又は名称】大塚 明博
(74)【代理人】
【識別番号】100206139
【弁理士】
【氏名又は名称】大塚 匡
(72)【発明者】
【氏名】大根田 真也
【テーマコード(参考)】
3E060
【Fターム(参考)】
3E060AA03
3E060AB20
3E060BA03
3E060BB01
3E060BC02
3E060CD12
3E060DA12
3E060DA25
(57)【要約】
【課題】 一枚のブランクシートから箱を容易に組み立てられる組立箱用ブランクシートおよび組立箱用ブランクシートから組み立てられる箱を得る。
【解決手段】
底部2の対向する二辺に第1側壁部4を設け、他の対向する二辺に第2側壁部6を設け、第1側壁部4と第2側壁部6の間に、第2側壁部6の内面側又は外面側に折り込まれる折込部10を設け、折込部10には、第3折線7、第4折線8の間の対角線上に、下端から先端に達しない範囲で第5折線9を設け、第5折線9の先端から第4折線8に繋がる第1スリット11を設け、第4折線8上に第2スリット12を設け、折込部10の第1側壁部4側の開放辺に突片部13a、13bを設け、第2側壁部6の開放辺に係止片部17を設け、係止片部17と第2側壁部6の間に、第2側壁部6の内面側又は外面側に折り込まれた折込部10の係止片部13a,13bを嵌合する嵌合口18a,18bを形成した。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
左右一対の縦辺と上下一対の横辺とにより矩形状の外形をなす組立箱用ブランクシートであって、矩形状の底部の縦辺となる相対向する二辺にそれぞれ第1折線を介して連接する第1側壁部が設けられ、前記底部の横辺となる他の相対向する二辺にそれぞれ第2折線を介して連接する第2側壁部が設けられ、
隣り合う前記第1側壁部と前記第2側壁部の間には、両側端縁にそれぞれ第3折線、第4折線を介して連接し、前記両側端縁を2辺とする四角形に形成され、前記第2側壁部の内面側又は外面側に折り込まれる折込部が設けられ、前記折込部には、第3折線、第4折線の間の対角線上に、第3折線、第4折線の交点を対角線の下端としたとき、下端から先端に達しない範囲で第5折線が設けられ、さらに前記折込部には、第5折線の先端から第4折線に繋がる第1スリットが設けられ、また、第4折線上には、前記第1スリットの接続位置から第4折線の先端まで第2スリットが設けられ、前記折込部の2つの開放辺のうちの前記第1側壁部側の開放辺には突片部が設けられ、
前記第2側壁部の開放辺には第6折線を介して連接する係止片部が設けられ、前記係止片部と前記第2側壁部の間には前記折込部が第5折線から二つ折りされ第2側壁部の内面側又は外面側に折り込まれたとき、前記折込部の開放辺に設けられた前記係止片部を嵌合する嵌合口が形成されていることを特徴とする組立箱用ブランクシート。
【請求項2】
前記折込部の開放辺に設けられた前記突片部にあっては、シート厚を超える深さに切り取られて凹部が形成され、前記凹部の両側の突部をそれぞれ前記突片部としており、また、第2側壁部の開放辺に設けられている前記係止片部は、前記折込部の他の開放辺方向にある前記突片部が嵌合する穴状の前記嵌合口が形成され、その両側に第1側壁部方向にある前記突片部が嵌合する溝状の前記嵌合口が両側に形成され、穴状の前記嵌合口と溝状の前記嵌合口との間が前記第2側壁部に連接している連接部となり、前記連接部は前記折込部の開放辺に形成された前記凹部に嵌合可能な幅となっており、さらに前記第2側壁部には、前記凹部の深さを超えない範囲で前記連接部の一部を形成する切り込みが設けられ、前記切り込みの先端を結ぶ線が前記第6折線となっていることを特徴とする特徴とする請求項1に記載の組立箱用ブランクシート。
【請求項3】
請求項1に記載の組立箱用ブランクシートを用いて組み立てられた箱であって、
前記底部の相対向する二辺に設けられている前記第1側壁部が第1折線から谷折りされて立ち上げられ、前記底部の他の相対向する二辺に設けられている前記第2側壁部が第2折線から谷折りされて立ち上げられ、隣り合う前記第1側壁部と前記第2側壁部の間に設けられている前記折込部が、第5折線から山折りされ、そして第3折線、第4折線から谷折りされて前記第2側壁部の内面側に折り込まれ、
前記第2側壁部の開放辺に設けられている前記係止片部が前記第6折線から谷折りされて前記第2側壁部の内面側に折り込まれ、前記第2側壁部の内面側に折り込まれている前記折込部の開放辺に設けられた前記突片部が前記係止片部と前記第2側壁部の間に設けられた前記嵌合口に嵌合されてなることを特徴とする箱。
【請求項4】
請求項1に記載の組立箱用ブランクシートを用いて組み立てられた箱であって、
前記底部の相対向する二辺に設けられている前記第1側壁部が第1折線から谷折りされて立ち上げられ、前記底部の他の相対向する二辺に設けられている前記第2側壁部が第2折線から谷折りされて立ち上げられ、隣り合う前記第1側壁部と前記第2側壁部の間に設けられている前記折込部が、第5折線から谷折りされ、そして第3折線から谷折りされ第4折線から山折りされて前記第2側壁部の外面側に折り込まれ、
前記第2側壁部の開放辺に設けられている前記係止片部が前記第6折線から山折りされて前記第2側壁部の外面側に折り込まれ、第2側壁部の外面側に折り込まれている前記折込部の開放辺に設けられた前記突片部が前記係止片部と前記第2側壁部の間に設けられた前記嵌合口に嵌合されてなることを特徴とする箱。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、組立箱用ブランクシートおよび組立箱用ブランクシートから組み立てられる箱に関する。
【背景技術】
【0002】
一枚のシートから組み立てられる箱として、
図9に示すように、箱本体の四辺形の底壁50の四周側辺にそれぞれ側壁51、51、52、52が連接され、隣接する側壁51、52の側辺間に跨がって外方に2つ折りされる連結片53が連接され、箱本体の各側壁51、51、52、52の上縁および連結片53の外側片部上縁に外方に折り返される折り返し片54、55が連接されていると共に、この外側片部の折り返し片56が一対の対向側壁の折り返し片54の両端に連接され、他の一対の対向側壁の折り返し片55の先端に連結片と側壁との間に折り込まれる折り込み片57が連接され、この折り込み片57が折り返し片56、連結片53と側壁52との間に折り込まれた状態のもとで、一対の対向側壁上部に手掛け部が形成されるものとする段ボール箱が知られている(例えば特許文献1参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載されている段ボール箱は、底壁50の四周側辺から側壁51、51、52、52を立ち上げ、隣接する側壁51、52の側辺間に跨がって連接されている連結片53を外方に2つ折りし、各側壁51、51、の上縁に連接されている折り返し片54と、連結片53の外側片部上縁に連接されている折り返し片56を外方に折り返し、外方に2つ折りされた連結片53、53と、連結片53の外側片部上縁に連接され外方に折り返される折り返し片56を側壁52,52の外面に重ね、その上から側壁52、52の上縁に連接されている折り返し片55を外方に折り返して重ね、折り返し片55の先端に連接されている折り込み片57を折り返し片56、連結片53と側壁52との間に折り込むようにして組み立てられるので、組み立てが非常に面倒であるといった問題があった。
【0005】
本発明の目的は、一枚のブランクシートから箱を容易に組み立てられる組立箱用ブランクシートおよび組立箱用ブランクシートから組み立てられる箱を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の目的を達成するために、請求項1に記載の発明は、左右一対の縦辺と上下一対の横辺とにより矩形状の外形をなす組立箱用ブランクシートであって、矩形状の底部の縦辺となる相対向する二辺にそれぞれ第1折線を介して連接する第1側壁部が設けられ、前記底部の横辺となる他の相対向する二辺にそれぞれ第2折線を介して連接する第2側壁部が設けられ、隣り合う前記第1側壁部と前記第2側壁部の間には、両側端縁にそれぞれ第3折線、第4折線を介して連接し、前記両側端縁を2辺とする四角形に形成され、前記第2側壁部の内面側又は外面側に折り込まれる折込部が設けられ、前記折込部には、第3折線、第4折線の間の対角線上に、第3折線、第4折線の交点を対角線の下端としたとき、下端から先端に達しない範囲で第5折線が設けられ、さらに前記折込部には、第5折線の先端から第4折線に繋がる第1スリットが設けられ、また、第4折線上には、前記第1スリットの接続位置から第4折線の先端まで第2スリットが設けられ、前記折込部の2つの開放辺のうちの前記第1側壁部側の開放辺には突片部が設けられ、前記第2側壁部の開放辺には第6折線を介して連接する係止片部が設けられ、前記係止片部と前記第2側壁部の間には前記折込部が第5折線から二つ折りされ第2側壁部の内面側又は外面側に折り込まれたとき、前記折込部の開放辺に設けられた前記係止片部を嵌合する嵌合口が形成されていることを特徴とする。
【0007】
請求項1に記載の発明によれば、隣り合う前記第1側壁部と前記第2側壁部の間に設けられている前記折込部を、前記第3折線、前記第4折線から谷折りし前記第5折線から山折りして内方に二つ折りしながら、前記底部から前記第1側壁部と前記第2側壁部を前記第1折線、前記第2折線から谷折りして立ち上げ、二つ折りした前記折込部を前記第2側壁部の内面側に折り込み前記第2側壁部の内面に重ね、この状態から、前記第2側壁部の開放辺に設けられている前記係止片部を前記第6折線から谷折りして前記第2側壁部の内面側に折り込み、前記第2側壁部の内面側に折り込まれている前記折込部の開放辺に設けられた前記突片部を前記係止片部と前記第2側壁部の間に設けられた前記嵌合口に嵌合する、または、隣り合う前記第1側壁部と前記第2側壁部の間に設けられている前記折込部を、前記第3折線から谷折りし、前記第4折線から山折りし前記第5折線から谷折りして外方に二つ折りしながら、前記底部から前記第1側壁部と前記第2側壁部を前記第1折線、前記第2折線から谷折りして立ち上げ、二つ折りした前記折込部を前記第2側壁部の外面側に折り込み前記第2側壁部の外面に重ね、この状態から、前記第2側壁部の開放辺に設けられている前記係止片部を前記第6折線から山折りして前記第2側壁部の外面側に折り込み、第2側壁部の外面側に折り込まれている前記折込部の開放辺に設けられた前記突片部を前記係止片部と前記第2側壁部の間に設けられた前記嵌合口に嵌合する、といった簡単な作業で箱を組み立てることができる。
【0008】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の、前記折込部の開放辺に設けられた前記突片部にあっては、シート厚を超える深さに切り取られて凹部が形成され、前記凹部の両側の突部をそれぞれ前記突片部としており、また、第2側壁部の開放辺に設けられている前記係止片部は、前記折込部の他の開放辺方向にある前記突片部が嵌合する穴状の前記嵌合口が形成され、その両側に第1側壁部方向にある前記突片部が嵌合する溝状の前記嵌合口が両側に形成され、穴状の前記嵌合口と溝状の前記嵌合口との間が前記第2側壁部に連接している連接部となり、前記連接部は前記折込部の開放辺に形成された前記凹部に嵌合可能な幅となっており、さらに前記第2側壁部には、前記凹部の深さを超えない範囲で前記連接部の一部を形成する切り込みが設けられ、前記切り込みの先端を結ぶ線が前記第6折線となっていることを特徴とする。
【0009】
請求項2に記載の発明によれば、前記折込部の開放辺に形成された前記凹部の深さがシート厚を超える深さとなっているので、前記係止片部の前記連接部を前記第6折線から谷折りまたは山折りし、前記折込部の前記凹部に嵌合したとき、前記係止片部の前記連接部の谷折りまたは山折りによって前記係止片部に形成されている前記嵌合口に嵌合した前記折込部の前記突片部の先端が前記係止片部の上面から突出した状態となるので、前記突片部と前記係止片部との間に確実な係止状態が得られ、前記第2側壁部と、前記第2側壁部の内面側または外面側に折り込まれた前記折込部を確実に固定することができ、堅牢な箱を得ることができる。
【0010】
請求項3に記載の発明は、請求項1に記載の組立箱用ブランクシートを用いて組み立てられた箱であって、前記底部の相対向する二辺に設けられている前記第1側壁部が第1折線から谷折りされて立ち上げられ、前記底部の他の相対向する二辺に設けられている前記第2側壁部が第2折線から谷折りされて立ち上げられ、隣り合う前記第1側壁部と前記第2側壁部の間に設けられている前記折込部が、第5折線から山折りされ、そして第3折線、第4折線から谷折りされて前記第2側壁部の内面側に折り込まれ、前記第2側壁部の開放辺に設けられている前記係止片部が前記第6折線から谷折りされて前記第2側壁部の内面側に折り込まれ、前記第2側壁部の内面側に折り込まれている前記折込部の開放辺に設けられた前記突片部が前記係止片部と前記第2側壁部の間に設けられた前記嵌合口に嵌合されてなることを特徴とする。
【0011】
請求項3に記載の発明によれば、容易に組み立てられる箱を得ることができる。
また、組み立てられた箱は、前記第1側壁部と前記第2側壁部の外面は平滑面となっており出っ張り部が少ないので、積載や搬送の際に箱と箱の間隔を極小化することが可能となり、取り扱いに便利である。
また、組み立てられた箱にあって、前記折込部には、第3折線、第4折線の間の対角線上に、第3折線、第4折線の交点を対角線の下端としたとき、下端から先端に達しない範囲で第5折線が設けられ、さらに前記折込部には、第5折線の先端から第4折線に繋がる第1スリットが設けられ、また、第4折線上には、前記第1スリットの接続位置から第4折線の先端まで第2スリットが設けられているので、第5折線から山折りされ、そして第3折線、第4折線から谷折りされて前記第2側壁部の内面側に折り込まれた前記折込部は、前記第2スリットで前記第2側壁部から切り離された端辺が前記底部の位置となって、前記折込部が上側からの荷重強度を補強することになり、堅牢な箱を得ることができる。
【0012】
請求項4に記載の発明は、請求項1に記載の組立箱用ブランクシートを用いて組み立てられた箱であって、前記底部の相対向する二辺に設けられている前記第1側壁部が第1折線から谷折りされて立ち上げられ、前記底部の他の相対向する二辺に設けられている前記第2側壁部が第2折線から谷折りされて立ち上げられ、隣り合う前記第1側壁部と前記第2側壁部の間に設けられている前記折込部が、第5折線から谷折りされ、そして第3折線から谷折りされ第4折線から山折りされて前記第2側壁部の外面側に折り込まれ、前記第2側壁部の開放辺に設けられている前記係止片部が前記第6折線から山折りされて前記第2側壁部の外面側に折り込まれ、第2側壁部の外面側に折り込まれている前記折込部の開放辺に設けられた前記突片部が前記係止片部と前記第2側壁部の間に設けられた前記嵌合口に嵌合されてなることを特徴とする。
【0013】
請求項4に記載の発明によれば、容易に組み立てられる箱を得ることができる。
また、組み立てられた箱は、前記第1側壁部と前記第2側壁部の内面は平滑面となっており出っ張り部が少ないので、内容物の出し入れが容易であり、特に内容物が粉体や粒体である場合に好適である。
また、組み立てられた箱にあって、前記折込部には、第3折線、第4折線の間の対角線上に、第3折線、第4折線の交点を対角線の下端としたとき、下端から先端に達しない範囲で第5折線が設けられ、さらに前記折込部には、第5折線の先端から第4折線に繋がる第1スリットが設けられ、また、第4折線上には、前記第1スリットの接続位置から第4折線の先端まで第2スリットが設けられているので、第5折線から谷折りされ、そして第3折線から谷折りされ第4折線から山折りされて前記第2側壁部の外面側に折り込まれた前記折込部は、前記第2スリットで前記第2側壁部から切り離された端辺が前記底部の位置となって、前記折込部が上側からの荷重強度を補強することになり、堅牢な箱を得ることができる。
【発明の効果】
【0014】
以上のように、本発明に係る組立箱用ブランクシートによれば、一枚のブランクシートから箱を容易に組み立てることができる。また、本発明に係る箱によれば、一枚のブランクシートから組み立てられるので製造が容易である。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】本発明に係る組立箱用ブランクシートの実施の形態の第1例を示す平面図である。
【
図2】
図1に示す組立箱用ブランクシートの一部拡大図である。
【
図3】
図1に示す組立箱用ブランクシートを用いて箱を組み立てる過程の一例を示す説明図である。
【
図4】
図3に示す組立過程により組み立てられた箱を示す斜視図である。
【
図5】
図1に示す組立箱用ブランクシートを用いて箱を組み立てる過程の他例を示す説明図である。
【
図6】
図5に示す組立過程により組み立てられた箱を示す斜視図である。
【
図7】本発明に係る組立箱用ブランクシートの実施の形態の第2例を示す平面図である。
【
図8】
図7に示す組立過程により組み立てられた箱を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明に係る組立箱用ブランクシートおよび組み立てられた箱の実施形態の一例を、図面を参照して詳細に説明する。
図1~
図6は本発明に係る組立箱用ブランクシートおよび箱の実施の形態の第1例を示すものであり、
図1は第1例の組立箱用ブランクシートの平面図、
図2は
図1に示す組立箱用ブランクシートの一部拡大図、
図3は
図1に示す組立箱用ブランクシートを用いて箱を組み立てる過程の一例を示す説明図、
図4は
図3に示す組立過程により組み立てられた箱を示す斜視図、
図5は
図1に示す組立箱用ブランクシートを用いて箱を組み立てる過程の他例を示す説明図、
図6は
図5に示す組立過程により組み立てられた箱を示す斜視図である。
【0017】
第1例の組立箱用ブランクシート1Aは、一枚のシートから形成される。使用されるシートとしてはシート状の材料であれば特に限定されないが、例えば、紙製シート、プラスチック製シート等が使用される。紙製シートとしては厚紙シート、白板紙シート、紙段ボールシート等があり、またプラスチック製シートとしては、プラスチック板状シート、プラスチック段ボールシート等がある。
【0018】
また、シートには、少なくとも箱の内面となる一面に耐液体性加工が施されているものを使用することができる。耐液体性加工にあっては、厚紙シート、白板紙シート、紙段ボールシート等の紙製シートに、耐液体性のフィルムをラミネートし、或いは耐液体性の塗料をコーティングしてもよく、また、紙層に耐液性剤を含有させてもよい。本発明の箱において、防水性を重視する目的で紙製シートを用いる場合、少なくとも内面となる一面のコッブ吸水度が、120秒で3g/m2以下であるか、30分で25g/m2以下であるシートを用いることが好ましい。
【0019】
第1例の組立箱用ブランクシート1Aは、箱の内面となる一面に耐液体性の塗料がコーティングされた紙製の段ボールシートが使用されている。
なお、利用する用途に応じて箱の外面となる一面に耐液体性の塗料がコーティングされていてもよい。
【0020】
このような段ボールシートで形成される第1例の組立箱用ブランクシート1Aは、
図1に示すように、左右一対の縦辺と上下一対の横辺とにより矩形状の外形をなし、矩形状の底部2の縦辺となる相対向する二辺にそれぞれ第1折線3を介して連接する第1側壁部4が設けられ、底部2の横辺となる他の相対向する二辺にそれぞれ第2折線5を介して連接する第2側壁部6が設けられている。
【0021】
隣り合う第1側壁部4と第2側壁部6の間に、両側端縁にそれぞれ第3折線7、第4折線8を介して連接し、両側端縁を2辺とする四角形に形成され、第2側壁部6の内面側又は外面側に折り込まれる折込部10が設けられている。
【0022】
折込部10には、第3折線7、第4折線8の間の対角線上に、第3折線7、第4折線8の交点Xを対角線の下端としたとき、下端から先端に達しない範囲で第5折線9が設けられ、さらに折込部10には、第5折線9の先端から第4折線8に繋がる第1スリット11が設けられ、また、第4折線8上には、第1スリット11の接続位置から第4折線8の先端まで第2スリット12が設けられている。
【0023】
なお、第1スリット11にあっては、箱を確実に形成できる範囲であれば形状は特に限定されず、
図2に示した円弧状や、直線としてもよい。また、第2スリット12にあっては、第1例では第4折線8上に線状に設けているが、これに限らない。例えば、折込部10に第4折線8から少なくとも第5折線9の先端までの間で、第1スリット11から折込部10の側辺までを切り欠いて切欠き部を形成し、この切欠き部を第2スリットとしてもよい。
【0024】
折込部10の2つの開放辺のうちの第1側壁部4側の開放辺には突片部13a,13bが設けられている。第1例では、折込部10の開放辺の中央部位が、シート厚を超える深さに切り取られて凹部14が形成され、凹部14の両側の突部15a,15bを突片部13a,13bとしている。
【0025】
折込部10の開放辺の中央部位を切り取って形成される凹部14の切り取り深さは、シート厚の2倍から3倍の深さが好ましい。凹部14の切り取り深さがシート厚の2倍から3倍の深さであると、突片部13a,13bを後述する係止片部の嵌合口に嵌合したとき、突片部13a,13bの先端が係止片部の嵌合口から少なくともシート厚以上の幅で突出するので、突片部13a,13bと係止片部との間に確実な係止状態が得られる。また、後述する内蓋を組み立てられた箱の開口部にしっかりと被せることができる。第1例では、凹部12の切り取り深さはシート厚の3倍の深さとなっている。
【0026】
また、第2側壁部6の開放辺には、第6折線16を介して連接する係止片部17が設けられ、係止片部17と第2側壁部6の間に折込部10に設けられた突片部13a,13bが嵌合する嵌合口18a,18bが形成されており、係止片部17を第6折線16から谷折りすることにより、嵌合口18a,18bに第2側壁部6の内面側に折り込まれた折込部10に設けられた突片部13a,13bが嵌合するように(
図3,
図4参照)、また、係止片部17を第6折線16から山折りすることにより、嵌合口18a,18bに第2側壁部6の外面側に折り込まれた折込部10に設けられた突片部13a,13bが嵌合するように(
図5,
図6参照)なっている。
【0027】
第2側壁部6の開放辺に設けられている係止片部17にあっては、第1例では、係止片部17の中央に第2側壁部6の開放辺に沿って、突部15aからなる突片部13aが嵌合する穴状の嵌合口18aが中央に形成され、係止片部17の両側に第2側壁部6の開放辺に沿って、突部15bからなる突片部13bが嵌合する溝状の嵌合口18bが形成されている。
【0028】
そして、穴状の嵌合口18aと溝状の嵌合口18bとの間が第2側壁部6に連接している連接部19となり、連接部19は折込部10の開放辺に形成された凹部14に嵌合可能な幅となっている。さらに第2側壁部6には、凹部14の深さを超えない範囲で連接部19の一部を形成する切り込み20が設けられ、切り込み20の先端を結ぶ線が前記した第6折線16となっている。そして、連接部1との係止片部17との間に第7折線21が形成されている。
【0029】
なお、嵌合口18a,18bの高さ方向の間隔、すなわち係止片部17の第2側壁部6の開放辺側の辺と第2側壁部6の開放辺との間隔にあっては、嵌合口18a,18bへの突片部13a,13bの嵌合が確実に行われるのであれば特に限定されないが、箱の組み立てに際し、係止片部17を第6折線16から谷折りまたは山折りしたとき、第6折線16は第2側壁部6に設けられた連接部19の一部を形成する切り込み20の先端を結ぶ線となっていることから、この切り込み20の分だけ嵌合口18a,18bの高さ方向の間隔が広がるので、嵌合口18a,18bの高さ方向の間隔をシート厚さの2倍以下とすることが好ましい。
【0030】
次に、
図1に示す第1例の組立箱用ブランクシート1Aによる箱の組立を説明する。
図3は
図1に示す組立箱用ブランクシートを用いて箱を組み立てる過程の一例を示す説明図、
図4は
図3に示す組立過程により組み立てられた箱を示す斜視図である。
【0031】
図3に示す組立例では、先ず、隣り合う第1側壁部4と第2側壁部6の間に設けられている折込部10を、第3折線7、第4折線8から谷折りし第5折線9から山折りして内方に二つ折りしながら、底部2から第1側壁部4と第2側壁部6を第1折線3、第2折線5から谷折りして立ち上げ、二つ折りした折込部10を第2側壁部6の内面側に折り込み第2側壁部6の内面に重ねる。
【0032】
折込部10の二つ折りにあっては、折込部10には、第5折線9の先端から第4折線8に繋がる第1スリット11が設けられ、また、第4折線8上には、第1スリット11の接続位置から第4折線8の先端まで第2スリット12が設けられているので、折込部10は第5折線9から確実に二つ折りすることができる。
【0033】
次に、第2側壁部6の開放辺に設けられている係止片部17を第6折線16から谷折りして内方に倒し第2側壁部6の内面側に折り込み、係止片部17と第2側壁部6の間に形成されている嵌合口18a,18bに折込部10に設けられた突片部13a,13bを嵌合させる。
【0034】
第1例では、係止片部17にあっては、係止片部17の中央に第2側壁部6の開放辺に沿って、突部15aからなる一方の突片部13aが嵌合する穴状の嵌合口18aが係止片部17と第2側壁部6の間における中央に形成され、また、係止片部15の両側に第2側壁部6の開放辺に沿って、突部15bからなる他方の突片部13bが嵌合する溝状の嵌合口18bが形成されており、穴状の嵌合口18aと溝状の嵌合口18bとの間が第2側壁部6に連接している連接部19となり、連接部19は折込部10の開放辺に形成された凹部14に嵌合可能な幅となっており、さらに第2側壁部6には、凹部14の深さを超えない範囲で連接部19の一部を形成する切り込み20が設けられ、切り込み20の先端を結ぶ線が前記した第6折線16となっており、そして、連接部19と係止片部17との間に第7折線21が形成されており、係止片部17を第6折線16から谷折りして内方に倒し、連接部19を凹部14に嵌合することにより、折込部10に設けられた突片部13a,13bを係止片部17と第2側壁部6の間に形成されている嵌合口18a,18bに嵌合させ、さらに第7折線21から谷折りし第2側壁部6の内面と重ねる(
図3参照。)。
このようにして
図4に示す箱30Aの組み立てが完了する。
【0035】
図5は
図1に示す組立箱用ブランクシートを用いて箱を組み立てる過程の他例を示す説明図、
図6は
図5に示す組立過程により組み立てられた箱を示す斜視図である。
【0036】
図5に示す組立例では、先ず、隣り合う第1側壁部4と第2側壁部6の間に設けられている折込部10を、第3折線7から谷折りし、第4折線8から山折りし、第5折線9から谷折りして外方に二つ折りしながら、底部2から第1側壁部4と第2側壁部6を第1折線3、第2折線5から谷折りして立ち上げ、二つ折りした折込部10を第2側壁部6の外面側に折り込み第2側壁部6の外面に重ねる。
【0037】
折込部10の二つ折りにあっては、折込部10には、第5折線9の先端から第4折線8に繋がる第1スリット11が設けられ、また、第4折線8上には、第1スリット11の接続位置から第4折線8の先端まで第2スリット12が設けられているので、折込部10は第5折線9から確実に二つ折りすることができる。
【0038】
次に、第2側壁部6の開放辺に設けられている係止片部17を第6折線16から山折りして外方に倒し第2側壁部6の外面側に折り込み、係止片部17と第2側壁部6の間に形成されている嵌合口18a,18bに折込部10に設けられた突片部13a,13bを嵌合させ、さらに第7折線21から山折りし第2側壁部6の外面と重ねる(
図5参照。)。
このようにして
図6に示す箱30Bの組み立てが完了する。
【0039】
このように、第1例の組立箱用ブランクシート1Aによれば、隣り合う第1側壁部4と第2側壁部6の間に設けられている折込部10を、第3折線7、第4折線8から谷折りし第5折線9から山折りして内方に二つ折りしながら、底部2から第1側壁部4と第2側壁部6を第1折線3、第2折線5から谷折りして立ち上げ、二つ折りした折込部10を第2側壁部6の内面側に折り込み第2側壁部6の内面に重ね、この状態から、第2側壁部6の開放辺に設けられている係止片部17を第6折線16から谷折りして第2側壁部6の内面側に折り込み、第2側壁部6の内面側に折り込まれている折込部10の開放辺に設けられた突片部13a,13bを係止片部17と第2側壁部6との間に設けられた嵌合口18a,18bに嵌合する、といった簡単な作業で
図4に示す箱30Aを組み立てることができる。
【0040】
また、隣り合う第1側壁部4と第2側壁部6の間に設けられている折込部10を、第3折線7から谷折りし、第4折線8から山折りし、第5折線9から谷折りして外方に二つ折りしながら、底部2から第1側壁部4と第2側壁部6を第1折線3、第2折線5から谷折りして立ち上げ、二つ折りした折込部10を第2側壁部6の外面側に折り込み第2側壁部6の外面に重ね、この状態から、第2側壁部6の開放辺に設けられている係止片部17を第6折線16から山折りして第2側壁部6の外面側に折り込み、第2側壁部6の外面側に折り込まれている折込部10の開放辺に設けられた突片部13a,13bを係止片部17と第2側壁部6との間に設けられた嵌合口18a,18bに嵌合する、といった簡単な作業で
図6に示す箱30Bを組み立てることができる。
【0041】
また、第1例によれば、折込部10の開放辺に形成された凹部14の深さがシート厚を超える深さとなっているので、係止片部17の連接部19を第6折線16から谷折りまたは山折りし、折込部10の凹部14に嵌合したとき、係止片部17の連接部19の谷折りまたは山折りによって係止片部17に形成されている嵌合口18a,18bに嵌合した折込部10の突片部13a,13bの先端が係止片部17の上面から突出した状態となるので、突片部13a,13bと係止片部17との間に確実な係止状態が得られ、第2側壁部6と、第2側壁部6の内面側または外面側に折り込まれた折込部10を確実に固定することができ、堅牢な箱30A、30Bを得ることができる。
【0042】
また、組み立てられた箱30A、30Bにあっては、折込部10には、第3折線7、第4折線8の間の対角線上に、第3折線7、第4折線8の交点Xを対角線の下端としたとき、下端から先端に達しない範囲で第5折線9が設けられ、さらに折込部10には、第5折線9の先端から第4折線8に繋がる第1スリット11が設けられ、また、第4折線8上には、第1スリット11の接続位置から第4折線8の先端まで第2スリット12が設けられているので、第2側壁部6の内面側または外面側に折り込まれた折込部10は、第2スリット12で第2側壁部6から切り離された端辺22が底部2の位置となって、折込部10が上側からの荷重強度を補強することになり、一層堅牢な箱30A、30Bを得ることができる。
【0043】
上記のようにして、第1例の組立箱用ブランクシート1Aで組み立てられる箱には蓋体がない。第1例の組立箱用ブランクシート1Aに蓋体を形成できる構成が設けてあれば好適である。蓋体の構成としては特に限定されない。
以下に、特に好適な蓋体を備えた箱を組み立てることができる組立箱用ブランクシートを本発明の実施の形態の第2例として示す。
【0044】
図7、
図8は本発明に係る組立箱用ブランクシートの実施の形態の第2例を示すものであり、
図7は第2例の組立箱用ブランクシートの平面図、
図8は
図7に示す組立過程により組み立てられた箱を示す斜視図である。
【0045】
第2例の組立箱用ブランクシート1Bは、第1例の組立箱用ブランクシート1Aで組み立てられた箱30Aを箱本体23として、この箱本体23に蓋体24を一体に備える箱30Cを組み立てるものであって、第2例の組立箱用ブランクシート1Bは第1例の組立箱用ブランクシート1Aと同一の構成を有しており、第1例と同一の構成については同一の符号を付して説明する。
【0046】
第2例と第1例との違いは、第2例の組立箱用ブランクシート1Bは第1例の組立箱用ブランクシート1Aの構成にない蓋部25が設けられているところにある。
【0047】
第2例では、底部2の相対向する二辺にそれぞれ設けられた第1側壁部4の開放辺に、第8折線26を介して連接する蓋部25が設けられている。蓋部25は中央で2分割した形状となっている。また、蓋部25の第2側壁部6側の開放辺が、第1側壁部4より僅かに出ている。
その他の構成は、第1例と同様なので、第1例を援用し、その説明を省略する。
【0048】
このように構成された第2例の箱30Cは、第1例の箱1と同様に組み立てられる。そして、組み立てられた箱30Cの開口部を閉じる場合、蓋部25を第8折線26から谷折りして内方に折り曲げ、第2側壁部6側の開放辺を第2側壁部6の開放側先端に当接させる(
図8参照)。
【0049】
このようにして、それぞれの第1側壁部4の開放辺に設けられている蓋部25を内方へ折り曲げ、第2側壁部6側の開放辺を第2側壁部6の開放側先端に当接させることにより、箱30Cの開口部が閉じられる。
【0050】
このように第2例の箱30Cによれば、箱30Cの開口部を閉じる場合、それぞれの第1側壁部4の開放辺に設けられている蓋部25を内方へ折り曲げ、第2側壁部6側の開放辺を第2側壁部6の開放側先端に当接させるといった簡単な作業で箱30Cの開口部を閉じることができる。また、蓋部25は箱30Cと一体となって設けられているので、別途外蓋を用意する必要が無い。
【0051】
なお、第2例では、蓋部25はそれぞれの第1側壁部4に設けているが、図示しないが、いずれか一方の第1側壁部4に設けてもよい。この場合、蓋部25は
図9に示す蓋部25の2倍の大きさとする。
【0052】
また、第2例では蓋部25は中央部で2分割しているが、蓋の機能を損なわない範囲であれば分割する位置は特に限定されず、中央部以外の部分にて2分割してもよい。
その他の作用効果は第1例と同様である。
【符号の説明】
【0053】
1A、1B 組立用ブランクシート
2 底部
3 第1折線
4 第1側壁部
5 第2折線
6 第2側壁部
7 第3折線
8 第4折線
9 第5折線
10 折込部
11 第1スリット
12 第2スリット
13A,13B 突片部
14 凹部
15a,15b 突部
16 第6折線
17 係止片部
18a,18b 嵌合部
19 連接部
20 切り込み
21 第7折線
22 端辺
23 箱本体
24 蓋体
25 蓋部
26 第8折線
30A,30B,30C 箱
X 交点