(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024146457
(43)【公開日】2024-10-15
(54)【発明の名称】画像記録装置
(51)【国際特許分類】
B41J 2/165 20060101AFI20241004BHJP
【FI】
B41J2/165 301
B41J2/165 401
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023059361
(22)【出願日】2023-03-31
(71)【出願人】
【識別番号】000005267
【氏名又は名称】ブラザー工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100117101
【弁理士】
【氏名又は名称】西木 信夫
(74)【代理人】
【識別番号】100120318
【弁理士】
【氏名又は名称】松田 朋浩
(72)【発明者】
【氏名】増田 健宏
(72)【発明者】
【氏名】高橋 俊博
【テーマコード(参考)】
2C056
【Fターム(参考)】
2C056EA14
2C056EC04
2C056EC23
2C056EC53
2C056FA10
2C056JB04
2C056JB15
2C056JC23
2C056JC25
2C056KC02
(57)【要約】 (修正有)
【課題】ノズル面がワイピングされるときに、ノズル内へ洗浄液や気泡が逆流する。
【解決手段】画像記録装置は、第1方向9および交差する第2方向8に拡がるノズル面を有するヘッドと、ワイパユニットを第1方向9に沿って相対的に移動させる移動機構と、回転カムを備える。ワイパユニットは、第1ワイパを保持し、第2方向8に沿って延びる第1回転軸を中心に回転可能な第1保持部と、洗浄液Lを含浸する第2ワイパを保持し、第1回転軸に回転可能に支持された第2保持部を有する。第1保持部は、ヘッドおよびワイパユニットが第1方向9に沿って相対的に移動するときに、第1ワイパがノズル面に当接する第1位置に位置する。第2保持部は、回転カムの回転位置に応じて、第2ワイパがノズル面に当接可能な第2位置と、当接しない第3位置へ回転可能である。
【選択図】
図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1方向および上記第1方向に交差する第2方向に拡がるノズル面を有するヘッドと、
ワイパユニットと、
上記ヘッドおよび上記ワイパユニットを上記第1方向に沿って相対的に移動させる移動機構と、
回転カムと、を備えており、
上記ワイパユニットは、
第1ワイパと、
洗浄液を含浸する第2ワイパと、
上記第1ワイパを保持しており、上記第2方向に沿って延びる第1回転軸を中心に回転可能な第1保持部と、
上記第2ワイパを保持しており、上記第1回転軸に回転可能に支持されており、上記回転カムの回転によって上記第1回転軸を中心に回転するように上記回転カムに連結される第2保持部と、を有しており、
上記第1保持部は、上記ヘッドおよび上記ワイパユニットが上記第1方向に沿って相対的に移動するときに、上記第1ワイパが上記ノズル面に当接する第1位置に位置しており、
上記第2保持部は、上記回転カムの回転位置に応じて、上記第2ワイパが上記ノズル面に当接可能な第2位置と、上記第2ワイパが上記ノズル面に当接しない第3位置と、へ回転可能である画像記録装置。
【請求項2】
上記第1回転軸の一方端部に位置しており、上記第1回転軸を中心に上記第1回転軸と一体に回転する第1歯車と、
上記第2方向に沿って延びる第2回転軸に回転可能に支持されており、上記第1歯車と噛み合う第2歯車と、
上記第2回転軸と一体に回転する第3歯車と、
上記第3歯車の回転を上記第2歯車へ伝達するクラッチ機構と、
上記第3歯車に回転を伝達するモータと、
上記ワイパユニットの上記第1方向に隣接する当接壁と、をさらに備えており、
上記回転カムは、上記第2回転軸と一体に回転し、
上記クラッチ機構は、上記第3歯車の一方向きの回転を上記第2歯車に伝達し、かつ、上記第3歯車の他方向きの回転を止める力が所定以上になると、上記第3歯車の他方向きの回転の上記第2歯車への伝達を遮断するものであり、
上記第1保持部は、上記第3歯車の他方向きの回転が上記クラッチ機構によって遮断されることにより、上記第1位置において上記当接壁に押し付けられた状態に維持され、
上記第2保持部は、上記回転カムの回転に応じて移動するカムフォロワを有しており、 上記カムフォロワは、上記第3歯車の他方向きの回転により回転する上記回転カムにより移動する請求項1に記載の画像記録装置。
【請求項3】
上記回転カムは、
上記第2方向の一方を向くカム面と、
上記カム面から上記一方に向かって突出しており、上記第2回転軸に対して偏心する環状の突出部と、を有しており、
上記カムフォロワは、上記突出部の内周面に摺接する第1摺接部と、上記突出部の外周面に摺接する第2摺接部と、を有する請求項2に記載の画像記録装置。
【請求項4】
上方に開放しており、洗浄液を貯留可能な貯留槽を更に備えており、
上記ワイパユニットは、上記第1ワイパが上記貯留槽よりも上方に突出して上記第1保持部が上記第1位置に位置するように上記貯留槽内に位置しており、
上記第1回転軸は、上記貯留槽に回転可能に支持されており、
上記第1保持部および上記第2保持部は、上記第3歯車の一方向きの回転が上記第2歯車および上記第1歯車を介して上記第1回転軸に伝達されることにより、上記第1保持部が上記第2保持部を押圧して一体に回転することによって上記第1ワイパおよび上記第2ワイパを上記貯留槽の洗浄液に浸漬可能とする請求項3に記載の画像記録装置。
【請求項5】
一端部が上記第1保持部に連結され、かつ、他端部が上記第2保持部に連結された付勢部材をさらに備えており、
上記第1保持部は、上記第3歯車の他方向きの回転が上記第2歯車および上記第1歯車を介して上記第1回転軸に伝達されることにより、上記第1ワイパが上記貯留槽の洗浄液に浸漬可能な第4位置から上記当接壁に押し付けられる上記第1位置へ回転可能である請求項4に記載の画像記録装置。
【請求項6】
上記第2保持部は、上記第1回転軸に対して着脱可能である請求項5に記載の画像記録装置。
【請求項7】
上記モータは、ステッピングモータであり、
上記ステッピングモータは、上記回転カムを一定量回転させることにより、上記第2保持部に上記第2位置と上記第3位置との間を移動させる請求項2から6のいずれかに記載の画像記録装置。
【請求項8】
コントローラと、
センサと、を更に備えており、
上記回転カムは、切欠きを有しており、
上記センサは、上記第2保持部が上記第2位置に位置するときの上記切欠きを検知して第1信号を上記コントローラに出力し、上記切欠きを検知しないときに第2信号を上記コントローラに出力するものであり、
上記コントローラは、
上記第1信号を受信するまで上記ステッピングモータを駆動させることにより、上記第2保持部を上記第2位置に移動させ、その後、上記ステッピングモータを予め定められた回転量だけ駆動させることにより、上記第2保持部を上記第3位置へ移動させる請求項7に記載の画像記録装置。
【請求項9】
コントローラと、
センサと、を更に備えており、
上記回転カムは、切欠きを有しており、
上記センサは、上記第2保持部が上記第3位置に位置するときの上記切欠きを検知して第1信号を上記コントローラに出力し、上記切欠きを検知しないときに第2信号を上記コントローラに出力するものであり
上記コントローラは、上記第1信号を受信するまで上記ステッピングモータを駆動させることにより、上記第2保持部を上記第3位置に移動させ、その後、上記ステッピングモータを予め定められた回転量だけ駆動させることにより、上記第2保持部を上記第2位置へ移動させる請求項7に記載の画像記録装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液体をヘッドから吐出してシートに画像を記録する画像記録装置に関する。
【背景技術】
【0002】
液体をヘッドから吐出してシートに画像を記録する画像記録装置として、例えば、特許文献1に記載された画像記録装置が知られている。特許文献1の画像記録装置では、まず、キャリッジが右から左へ移動することにより、布ワイパがノズル面に当接してノズル面がドライワイピングされる。次いで、布ワイパ巻き取り駆動軸が駆動されることにより、布ワイパが、布ワイパ巻き取り駆動軸により巻き取られるとともに、布ワイパ巻軸から繰り出される。次に、キャリッジが右から左へさらに移動することにより、布ワイパが第一湿潤カートリッジに当接して、第一湿潤カートリッジから布ワイパへ水が供給される。これにより、布ワイパが水で湿潤される。その後、キャリッジが左から右へ移動することにより、布ワイパがノズル面に当接してノズル面がウェットワイピングされる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記画像記録装置では、1つの布ワイパによってドライワイピングとウェットワイピングとが行われるので、布ワイパが汚れやすく、布ワイパを頻繁に交換する必要がある。また、ウェットワイピングが行われるときに、水で湿潤された布ワイパによってノズル面が払拭されるので、ノズル内へ水と気泡が逆流しやすい。このため、ピン抜けが発生したり、ウェットワイピングの度に、パージによってノズル内から水や気泡を排出する必要があるので、パージの回数が増えたりする。
【0005】
本発明は、前述された事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、ノズル面がワイピングされるときに、ノズル内へ洗浄液や気泡が逆流することが抑制される画像記録装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
(1)本発明に係る画像記録装置は、第1方向および上記第1方向に交差する第2方向に拡がるノズル面を有するヘッドと、ワイパユニットと、上記ヘッドおよび上記ワイパユニットを上記第1方向に沿って相対的に移動させる移動機構と、回転カムと、を備えている。上記ワイパユニットは、第1ワイパと、洗浄液を含浸する第2ワイパと、上記第1ワイパを保持しており、上記第2方向に沿って延びる第1回転軸を中心に回転可能な第1保持部と、上記第2ワイパを保持しており、上記第1回転軸に回転可能に支持されており、上記回転カムの回転によって上記第1回転軸を中心に回転するように上記回転カムに連結される第2保持部と、を有している。上記第1保持部は、上記ヘッドおよび上記ワイパユニットが上記第1方向に沿って相対的に移動するときに、上記第1ワイパが上記ノズル面に当接する第1位置に位置している。上記第2保持部は、上記回転カムの回転位置に応じて、上記第2ワイパが上記ノズル面に当接可能な第2位置と、上記第2ワイパが上記ノズル面に当接しない第3位置と、へ回転可能である。
【0007】
回転カムの回転により、第1保持部が第1位置に位置し、かつ、第2保持部が第3位置に位置する第1状態と、第1保持部が第1位置に位置し、かつ、第2保持部が第2位置に位置する第2状態と、の間で第1ワイパおよび第2ワイパの状態を切り替えることができる。第1ワイパおよび第2ワイパが第1状態のとき、ノズル面が第1ワイパによって払拭されるドライワイピングが可能になる。第1ワイパおよび第2ワイパが第2状態のとき、ノズル面が第1ワイパおよび第2ワイパによって払拭されるウェットワイピングが可能になる。このため、例えば、ノズル面の汚れがひどいときにのみウェットワイピングを行うことによってウェットワイピングを必要最小限に抑えることができる。したがって、ノズル面がワイピングされるときに、ノズル内への洗浄液および気泡の逆流を抑制することができる。1つのワイパによってウェットワイピングとドライワイピングとが行われる場合に比べて、第1ワイパおよび第2ワイパが汚れにくい。
【0008】
(2)上記画像記録装置は、上記第1回転軸の一方端部に位置しており、上記第1回転軸を中心に上記第1回転軸と一体に回転する第1歯車と、上記第2方向に沿って延びる第2回転軸に回転可能に支持されており、上記第1歯車と噛み合う第2歯車と、上記第2回転軸と一体に回転する第3歯車と、上記第3歯車の回転を上記第2歯車へ伝達するクラッチ機構と、上記第3歯車に回転を伝達するモータと、上記ワイパユニットの上記第1方向に隣接する当接壁と、をさらに備えてもよい。上記回転カムは、上記第2回転軸と一体に回転しもよい。上記クラッチ機構は、上記第3歯車の一方向きの回転を上記第2歯車に伝達し、かつ、上記第3歯車の他方向きの回転を止める力が所定以上になると、上記第3歯車の他方向きの回転の上記第2歯車への伝達を遮断するものであってもよい。上記第1保持部は、上記第3歯車の他方向きの回転が上記クラッチ機構によって遮断されることにより、上記第1位置において上記当接壁に押し付けられた状態に維持されてもよい。上記第2保持部は、上記回転カムの回転に応じて移動するカムフォロワを有してもよい。上記カムフォロワは、上記第3歯車の他方向きの回転により回転する上記回転カムにより移動してもよい。
【0009】
第3歯車を一方向きに回転させる駆動力がモータから第3歯車へ伝達されると、第1保持部が当接壁に押し付けられる向きとは反対向き(第1ワイパが第2ワイパに近づく向き)に第1回転軸が回転するので、第1保持部が第2保持部を押圧して第1保持部と第2保持部とが一体に回転する。反対に、第3歯車を他方向きに回転させる駆動力がモータから第3歯車、第2歯車、および第1歯車を介して第1回転軸へ伝達されると、第1保持部が当接壁に当接するので、第1保持部の回転が止められる。このため、第3歯車の他方向きの回転を止める力が所定以上になり、第3歯車の他方向きの回転がクラッチ機構によって遮断されるので、第3歯車が他方向きに回転しつつ、第1保持部が第1位置に維持される。一方、第2保持部は、第3歯車の他方向きの回転により回転する回転カムによってカムフォロワが移動するので、第2位置と第3位置とへ容易に回転できる。このため、モータを駆動することにより、第1保持部が第1位置に位置し、かつ、第2保持部が第3位置に位置する第1状態と、第1保持部が第1位置に位置し、かつ、第2保持部が第2位置に位置する第2状態と、の間で第1ワイパおよび第2ワイパの状態を切り替えることが容易になる。
【0010】
(3)上記回転カムは、上記第2方向の一方を向くカム面と、上記カム面から上記一方に向かって突出しており、上記第2回転軸に対して偏心する環状の突出部と、を有してもよい。上記カムフォロワは、上記突出部の内周面に摺接する第1摺接部と、上記突出部の外周面に摺接する第2摺接部と、を有してもよい。
【0011】
回転カムの回転に応じて第2保持部を第2位置と第3位置との間で回転させることが容易になる。
【0012】
(4)上記画像記録装置は、上方に開放しており、洗浄液を貯留可能な貯留槽を更に備えてもよい。上記ワイパユニットは、上記第1ワイパが上記貯留槽よりも上方に突出して上記第1保持部が上記第1位置に位置するように上記貯留槽内に位置してもよい。上記第1回転軸は、上記貯留槽に回転可能に支持されてもよい。上記第1保持部および上記第2保持部は、上記第3歯車の一方向きの回転が上記第2歯車および上記第1歯車を介して上記第1回転軸に伝達されることにより、上記第1保持部が上記第2保持部を押圧して一体に回転することによって上記第1ワイパおよび上記第2ワイパを上記貯留槽の洗浄液に浸漬可能としてもよい。
【0013】
第3歯車の一方向きの回転が第1回転軸に伝達されることにより、第1ワイパおよび第2ワイパを貯留槽の洗浄液に容易に浸漬させることができる。
【0014】
(5)上記画像記録装置は、一端部が上記第1保持部に連結され、かつ、他端部が上記第2保持部に連結された付勢部材をさらに備えてもよい。上記第1保持部は、上記第3歯車の他方向きの回転が上記第2歯車および上記第1歯車を介して上記第1回転軸に伝達されることにより、上記第1ワイパが上記貯留槽の洗浄液に浸漬可能な第4位置から上記当接壁に押し付けられる上記第1位置へ回転可能であってもよい。
【0015】
付勢部材は、一端部が第1保持部に連結され、かつ、他端部が第2保持部に連結されているので、第1保持部が第4位置から第1位置へ回転するときに、第2保持部材は、付勢部材に引っ張られることによって第3位置へ向けて回転する。このため、第3歯車の他方向きの回転が第1回転軸に伝達されることにより、第1ワイパおよび第2ワイパを貯留槽の洗浄液に浸漬可能な位置からノズル面に当接可能な位置へ容易に戻すことができる。
【0016】
(6)上記第2保持部は、上記第1回転軸に対して着脱可能であってもよい。
【0017】
第2ワイパの交換が容易になる。
【0018】
(7)上記モータは、ステッピングモータであってもよい。上記ステッピングモータは、上記回転カムを一定量回転させることにより、上記第2保持部に上記第2位置と上記第3位置との間を移動させてもよい。
【0019】
第2保持部を第2位置と第3位置との間で容易に移動させることができる。
【0020】
(8)上記画像記録装置は、コントローラとセンサとを更に備えてもよい。上記回転カムは、切欠きを有してもよい。上記センサは、上記第2保持部が上記第2位置に位置するときの上記切欠きを検知して第1信号を上記コントローラに出力し、上記切欠きを検知しないときに第2信号を上記コントローラに出力するものであってもよい。上記コントローラは、上記第1信号を受信するまで上記ステッピングモータを駆動させることにより、上記第2保持部を上記第2位置に移動させ、その後、上記ステッピングモータを予め定められた回転量だけ駆動させることにより、上記第2保持部を上記第3位置へ移動させてもよい。
【0021】
第2保持部が第2位置と第3位置との間に位置しても、第2保持部を第2位置または第3位置に、より正確に位置させることができる。
【0022】
(9)上記画像記録装置は、コントローラとセンサとを更に備えてもよい。上記回転カムは、切欠きを有してもよい。上記センサは、上記第2保持部が上記第3位置に位置するときの上記切欠きを検知して第1信号を上記コントローラに出力し、上記切欠きを検知しないときに第2信号を上記コントローラに出力するものであってもよい。上記コントローラは、上記第1信号を受信するまで上記ステッピングモータを駆動させることにより、上記第2保持部を上記第3位置に移動させ、その後、上記ステッピングモータを予め定められた回転量だけ駆動させることにより、上記第2保持部を上記第2位置へ移動させてもよい。
【0023】
第2保持部が第2位置と第3位置との間に位置しても、第2保持部を第2位置または第3位置に、より正確に位置させることができる。
【発明の効果】
【0024】
本発明によれば、ノズル面がワイピングされるときに、ノズル内へ洗浄液や気泡が逆流することが抑制される。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【
図1】
図1は、本発明の実施形態に係るプリンタ10の内部構成を示す模式図である。
【
図2】
図2は、キャリッジ41の移動範囲を示す図である。
【
図3】
図3は、ヘッド42を含む周辺を下方から視た図である。
【
図4】
図4は、制御部100の構成、及び制御部100に接続される要素を示すブロック図である。
【
図5】
図5は、本発明の実施形態に係るメンテナンス装置50の外観斜視図である。
【
図6】
図6(A)は、ワイパユニット55が上向き位置にいる状態を示す図であり、
図6(B)は、ワイパユニット55が下向き位置にいる状態を示す図である。
【
図7】
図7は、フラッシングボックス51及び貯留槽54の内部を示す斜視図である。
【
図8】
図8は、カムフォロワ81Dが最遠位部20に位置するときにスポンジワイパ57が退避位置に位置することを示す図である。
【
図9】
図9は、カムフォロワ81Dが最近位部27に位置するときにスポンジワイパ57が当接位置に位置することを示す図である。
【
図10】
図10は、右保持部81が退避位置に位置するときのワイパユニット55を含む周辺の拡大図である。
【
図11】
図11は、
図8のカム軸60の中心を通るXI-XI線に沿って切断した断面図である。
【
図12】
図12は、右保持部81が当接位置に位置するときのワイパユニット55を含む周辺の拡大図である。
【
図14】
図14は、制御部100の画像記録処理を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下、本発明の実施形態に係るプリンタ10(画像記録装置の一例)について説明する。なお、以下に説明される実施形態は本発明の一例にすぎず、本発明の要旨を変更しない範囲で、本発明の実施形態を適宜変更できることは言うまでもない。以下の説明では、矢印の起点から終点に向かう進みが向きと表現され、矢印の起点と終点とを結ぶ線上の往来が方向と表現される。また、プリンタ10が使用可能に設置された状態(
図1の状態)を基準として上下方向7が定義され、排出口13が設けられている面を前面として前後方向8が定義され、プリンタ10を前方から視て左右方向9が定義される。上下方向7、前後方向8、及び左右方向9は、互いに直交している。前後方向8は、第2方向の一例である。左右方向9は、第1方向の一例である。
【0027】
[プリンタ10の全体構成]
図1に示されるプリンタ10は、インクジェット記録方式でシートSに画像を記録する画像記録装置である。シートSは、ロール状に巻かれた長尺の用紙である。シートSをプリンタ10に装着するために、シートSの巻回中心には貫通孔が形成されている。シートSとしては、例えば、シール紙、ファンフォールド紙、裁断紙、布地などを挙げることができる。
【0028】
プリンタ10は、概ね直方体状の筐体11を備えている。筐体11は、卓上、床上、又はラック等に載置可能なサイズを有する。筐体11の前壁12には、左右方向9に延伸するスリット状の排出口13が位置する。排出口13からは、プリンタ10により画像が記録されたシートSが排出される。排出されたシートSは、例えば、プリンタ10に取り付けられた巻取装置(図示せず)により巻き取られる。
【0029】
図1に示されるように、プリンタ10は、筐体11内に、ホルダ21、テンショナ22、搬送ローラ対23、排出ローラ対24、プラテン25、4個のタンク26A~26D、キャリッジ41、及びヘッド42を備えている。ヘッド42は、キャリッジ41に搭載されている。
図2に示されるように、プリンタ10は、筐体11内に、2本のガイドレール37、38、及びメンテナンス装置50をさらに備えている。
図4に示されるように、プリンタ10は、筐体11内に、制御部100、ホルダ駆動用モータ111、搬送用モータ112、キャリッジ駆動用モータ113、ワイパ駆動用モータ114、及びポンプ駆動用モータ115をさらに備えている。プリンタ10は、上述した要素以外に、各種センサやキャップ等をさらに備えていてもよい。
【0030】
[タンク26A~26D]
タンク26A~26Dは、それぞれ、イエロ、マゼンタ、シアン、及びブラックのインクを貯留する。インクは、所謂ラテックスインクであり、顔料、樹脂微粒子、及び添加剤を含有している。インクは、顔料及び樹脂微粒子を均一に分散させるに適した粘度を有している。顔料は、インクの色となるものである。樹脂微粒子は、シートSに顔料を付着させるためのものであり、例えばヒータ(図示せず)の加熱によってガラス転移温度を超える合成樹脂である。
【0031】
なお、プリンタ10は、少なくとも1個のタンクを備えていればよい。また、タンクは、インク以外の液体を貯留してもよい。タンクに貯留される液体には、例えば、前処理液がある。前処理液は、カチオン系高分子、多価金属塩(例えば、マグネシウム塩)等を含有してもよい。前処理液は、インク中の成分を凝集または析出させることにより、インクの滲みや裏抜けを防止する機能を有する。前処理液は、インクの発色性や速乾性を向上させる機能を有する場合もある。
【0032】
[シートSの搬送機構]
筐体11の内部には、上下方向7及び前後方向8に拡がる一対のサイドフレーム(図示せず)が位置する。ホルダ21は、シートSを支持する回転軸31を有する。回転軸31は左右方向9に延び、回転軸31の両端はサイドフレームに支持されている。回転軸31には、ホルダ駆動用モータ111(
図4参照)の動力が伝達される。この動力により、ホルダ21は回転軸31の周方向に回転する。
図1において、ホルダ21の回転方向は反時計回りである。ホルダ21の回転により、ホルダ21に支持されたロール体も回転する。シートSは、搬送ローラ対23及び排出ローラ対24が回転することにより、ロール体の後端から上方に引き出されテンショナ22へと案内される。
【0033】
テンショナ22、搬送ローラ対23、及び排出ローラ対24は、それぞれ、サイドフレームの間で左右方向9に延びている。テンショナ22、搬送ローラ対23、及び排出ローラ対24は、それぞれ、左右方向9に平行な回転軸の周方向に回転可能に一対のサイドフレームに取り付けられている。テンショナ22には、バネなどの付勢部材によって後向きの付勢力が加えられている。テンショナ22は、ロール体から引き出されたシートSと当接して、シートSを前方へ向かって湾曲するように案内する。
【0034】
搬送ローラ対23は、駆動ローラ32とピンチローラ33とを有し、テンショナ22の前方に位置する。排出ローラ対24は、駆動ローラ34とピンチローラ35とを有し、搬送ローラ対23のさらに前方に位置する。駆動ローラ32、34の下端位置は、上下方向7においてテンショナ22の上端位置に概ね一致する。ピンチローラ33は、駆動ローラ32に下方から当接する。ピンチローラ35は、駆動ローラ34に下方から当接する。
【0035】
駆動ローラ32、34には、搬送用モータ112(
図4参照)の動力が伝達される。この動力により、駆動ローラ32、34は回転する。これにより、駆動ローラ32、34は、ピンチローラ33、35との間にシートSをニップしながら搬送向き6へ搬送する。本実施形態では、搬送向き6は前向きである。
【0036】
[プラテン25]
プラテン25は、前後方向8において搬送ローラ対23及び排出ローラ対24の間の位置で、サイドフレームに取り付けられている。プラテン25は、サイドフレームの間で左右方向9に延び、前後方向8及び左右方向9に拡がるシートSの支持面36を有する。支持面36は、プラテン25の上端面である。支持面36の上下位置は、テンショナ22の上端位置と概ね一致する。プラテン25は、シートSを支持面36に吸着する吸着プラテンでもよい。
【0037】
[キャリッジ41]
図2に示されるように、ガイドレール37、38は、互いに平行に左右方向9に延在する。ガイドレール37、38の上下方向7の位置は同じである。ガイドレール38は、前後方向8においてガイドレール37の後方に位置する。ガイドレール37、38の両端は、サイドフレームに固定されている。キャリッジ41は、ガイドレール37、38によって支持されている。キャリッジ41は、キャリッジ移動機構120によって左右方向9に移動する。具体的には、キャリッジ移動機構120は、キャリッジ駆動用モータ113、駆動プーリ121、従動プーリ122、およびタイミングベルト123を有する。
【0038】
キャリッジ駆動用モータ113は、ガイドレール37の右端部の下方に位置している。キャリッジ駆動用モータ113は、上下方向7に沿って延びるモータ軸を有する。駆動プーリ121は、ガイドレール37の右側端部の上方に位置している。駆動プーリ121は、上下方向7に沿って延びる駆動プーリ軸を有する。駆動プーリ121の駆動プーリ軸は、キャリッジ駆動用モータ113のモータ軸と接続している。従動プーリ122は、ガイドレール37の左側端部の上方に位置している。従動プーリ122は、上下方向7に沿って延びる従動プーリ軸を有する。従動プーリ軸は、ガイドレール37の上面に回転自在に支持されている。タイミングベルト123は、ガイドレール37の上方に位置する。タイミングベルト123は、左右方向9に沿って延びる無端ベルトである。タイミングベルト123は、駆動プーリ121と従動プーリ122とに掛け渡されている。タイミングベルト123の一部は、キャリッジ41に固定されている。これにより、キャリッジ駆動用モータ113の正逆回転により、キャリッジ41が左右方向9に沿って往復移動する。キャリッジ駆動用モータ113の駆動は、制御部100によって制御される。キャリッジ移動機構120は、移動機構の一例である。
【0039】
[ヘッド42]
図1に示されるように、ヘッド42は、キャリッジ41に搭載されている。ヘッド42は、前後方向8および左右方向9に沿って拡がる平板状である。ヘッド42は、キャリッジ41に支持された状態においてキャリッジ41の下面よりも僅かに下方に突出する。ヘッド42の下面に複数のノズル44が開口する。ヘッド42の下面は、ノズル面43と称される。ノズル面43は、前後方向8および左右方向9に沿って拡がる面である。
図3に示されるように、複数のノズル44は、前後方向8および左右方向9に沿って並んでいる。複数のノズル44は、インクを吐出する。タンク26A~26Dとヘッド42とは、インク流路(図示せず)を介して接続されている。タンク26A~26Dに貯留されたインクは、インク流路を経由してヘッド42へ供給される。キャリッジ41が左右方向9に移動している間に、ヘッド42へ供給されたインクがノズル44から吐出される。これにより、シートSに画像記録が行われる。
【0040】
[制御部100]
図4に示されるように、制御部100は、CPU101、ROM102、RAM103、EEPROM104、及びASIC105を有する。ROM102は、制御部100の動作に必要な各種のデータ等を記憶している。RAM103は、CPU101の作業用メモリである。EEPROM104は、CPU101によって実行される制御プログラム等を記憶している。プリンタ10が画像記録を実行する前に、EEPROM104に記憶された制御プログラムはRAM103に複写される。CPU101は、RAM103に記憶された制御プログラムを実行する。これにより、制御部100は、後述する画像記録処理を実行する。
【0041】
制御部100は、ASIC105を介して、ホルダ駆動用モータ111、搬送用モータ112、キャリッジ駆動用モータ113、ワイパ駆動用モータ114、ポンプ駆動用モータ115、及びヘッド42に電気的に接続されている。ホルダ駆動用モータ111、搬送用モータ112、キャリッジ駆動用モータ113、ワイパ駆動用モータ114、及びポンプ駆動用モータ115は、制御部100からの制御に従い回転し、動力を発生させる。ヘッド42は、制御部100からの制御に従い、プラテン25上を搬送されるシートSに対してインクを吐出する。ワイパ駆動用モータ114は、制御部100からの制御に従い、後述の歯車伝達機構132に動力を伝達する。
【0042】
ホルダ21は、ホルダ駆動用モータ111からの動力によって回転する。駆動ローラ32、34は、搬送用モータ112からの動力によって回転する。シートSは、搬送用モータ112からの動力によって搬送向き6に搬送される。キャリッジ41は、キャリッジ駆動用モータ113からの動力によって、左右方向9に移動する。メンテナンス装置50に含まれるワイパユニット55は、ワイパ駆動用モータ114からの動力によって後述する動作を行う。メンテナンス装置50に含まれるポンプ129、126は、ポンプ駆動用モータ115からの動力によって後述する動作を行う。なお、ホルダ駆動用モータ111、搬送用モータ112、キャリッジ駆動用モータ113、ワイパ駆動用モータ114、及びポンプ駆動用モータ115の一部が、共通のモータで実現されていてもよい。また、ポンプ129を駆動するモータと、ポンプ126を駆動するモータとは、別でもよい。制御部100は、コントローラの一例である。
【0043】
[キャリッジ41の移動範囲]
図2に示されるように、プラテン25は、左右方向9に長い形状を有し、上下方向7においてキャリッジ41の下方に位置する(
図1参照)。プラテン25の左端は、左右方向9において、ガイドレール37、38の左端付近に位置する。プラテン25の右端は、左右方向9において、ガイドレール37、38の中央より右に位置する。メンテナンス装置50は、左右方向9においてプラテン25の右に位置する。プリンタ10が画像記録を実行している間、キャリッジ41は、プラテン25の範囲内で左右方向9に移動する。プリンタ10が画像記録を実行していない間、キャリッジ41は、メンテナンス装置50よりも右の位置(以下、待機位置と称される)に位置する。
【0044】
[メンテナンス装置50]
図5に示されるように、メンテナンス装置50は、フラッシングボックス51、フラッシングフォーム52、板状部材53、貯留槽54、ワイパユニット55を備えている。
図6(A)に示されるように、メンテナンス装置50は、ポンプ129、126、廃液タンク124、及び洗浄液タンク128をさらに備えている。
【0045】
[フラッシングボックス51]
フラッシングボックス51は、上面を有しない箱状の形状を有する。すなわち、フラッシングボックス51は上方が開口した箱型である。
図5、
図6に示されるように、フラッシングボックス51は、内部にフラッシングフォーム52を収容する。フラッシングフォーム52は、多孔性材料で形成されている。フラッシングフォーム52は、例えば、スポンジである。
【0046】
板状部材53は、フラッシングボックス51の上部を覆う。板状部材53は、フラッシングボックス51に係止されている。板状部材53は、フラッシングフォーム52の上面の一部を露出させる開口58を有する。開口58は、板状部材53の中央部分に位置する。板状部材53は、開口58の位置を除いて、フラッシングボックス51の上部の全体を覆う。板状部材53は、フラッシングボックス51に収容されたフラッシングフォーム52に下向きの力を作用させる。
【0047】
制御部100は、フラッシング処理を行うときに、キャリッジ41をフラッシングボックス51の上方へ移動する。開口58の形状およびサイズは、キャリッジ41がフラッシングボックス51の上方へ移動したときに、ヘッド42のすべてのノズル44がフラッシングフォーム52と上下方向7に対向するように設定される。開口58の形状は、ヘッド42におけるノズル44の配置領域の形状と同じであることが好ましい。開口58のサイズは、ヘッド42におけるノズル44の配置領域のサイズと同じであるか、或いはそれより少し大きいことが好ましい。フラッシングボックス51に収容されたフラッシングフォーム52は、フラッシング処理によってヘッド42のノズル44から吐出されたインクを吸収する。
【0048】
図7には、フラッシングフォーム52、板状部材53、ワイパユニット55を除いた状態で、フラッシングボックス51及び貯留槽54の内部が示されている。
図7に示されるように、フラッシングボックス51は、下壁61、前壁62、左壁63、後壁64、及び仕切壁65を有する。下壁61、前壁62、左壁63、後壁64、及び仕切壁65は、フラッシングボックス51の内部空間を区画する。
【0049】
前壁62は、フラッシングボックス51の内部空間に向かって突出する2個のリブ66a、66bを有する。後壁64は、フラッシングボックス51の内部空間に向かって突出する2個のリブ66c、66dを有する。リブ66a~66dの底面は、下壁61の内側面(フラッシングボックス51の内部空間側の面)に固定されている。
【0050】
下壁61の内側面の中央部分には、フラッシングボックス51の内部空間に向かって突出する、環状のリブ71が位置する。リブ71の平面形状は、概ね長方形である。板状部材53がフラッシングボックス51の上部を覆わない状態で、フラッシングフォーム52がフラッシングボックス51に位置すると、フラッシングフォーム52の底面は、変形することなく、リブ71の上面に当接する。その後、板状部材53がフラッシングボックス51の上部を覆う状態になると、板状部材53からの下向きの力によって、フラッシングボックス51に収容されたフラッシングフォーム52の底面のうちリブ71の上面に当接する部分が変形する。そして、リブ71の一部がフラッシングフォーム52に食い込む。この状態で、リブ71は、フラッシングフォーム52の底面を支持する。
【0051】
下壁61の内側面においてリブ71で囲まれた部分には、第1凹部72が位置する。第1凹部72は、中央に近いほどフラッシングボックス51の内部空間から下向きに離れる部分であり、4つの三角形の傾斜壁73によって形成される。第1凹部72の中央には、排出口74が位置する。
【0052】
[空間75とポンプ129]
図6及び
図7に示されるように、フラッシングフォーム52の底面、リブ71の内側の側面、及びフラッシングボックス51の下壁61の内側面のうちリブ71で囲まれた部分(4つの傾斜壁73を含む)によって、空間75が形成される。フラッシングフォーム52を1個の固体とみなしたとき、空間75は密閉空間である。
【0053】
[貯留槽54]
貯留槽54は、フラッシングボックス51の右側に隣接している。貯留槽54は、フラッシングボックス51と一体に形成されている。貯留槽54は、上方が開口している。貯留槽54は、洗浄液Lを貯留可能な箱状の形状を有する。洗浄液Lは、ヘッド42のノズル面43に付着した不要物を除去するのに適した液体である。洗浄液Lは、例えば、グリセリンを含んでいる。貯留槽54は、前壁90、後壁92、右壁98、仕切壁65、および下壁を有する。
【0054】
前壁90は、上下方向7および左右方向9に拡がる平板状である。前壁90の前面は、フラッシングボックス51の前壁62の前面と面一である。前壁90は、前支持部93を有する。前支持部93は、前壁90の上端から下向きに凹んだ形状を有する。前支持部93の内面は、前後方向8から視て円弧状である。後壁92は、前壁90の後方に位置する。後壁92は、上下方向7および左右方向9に拡がる平板状である。後壁92の後面は、フラッシングボックス51の後壁64の後面と面一である。後壁92は、後支持部94を有する。後支持部94は、後壁92の上端から下向きに凹んだ形状を有する。後支持部94の内面は、前後方向8から視て円弧状である。右壁98は、上下方向7および前後方向8に拡がる平板状である。右壁98は、前壁90の右端部と後壁92の右端部とを繋いでいる。
【0055】
仕切壁65は、貯留槽54とフラッシングボックス51とを仕切っている。仕切壁65は、上下方向7および前後方向8に拡がる略平板状である。仕切壁65は、前壁90の左端部と後壁92の左端部とを繋いでいる。仕切壁65は、中仕切壁65A、前仕切壁65B、および後仕切壁65Cを有する。中仕切壁65Aは、仕切壁65の前後方向8における中央よりも後方に位置する。中仕切壁65Aは、前壁90および後壁92よりも低い。前仕切壁65Bは、前壁90と中仕切壁65Aとの間に位置する。前仕切壁65Bは、前壁90と同じ高さである。前仕切壁65Bは、前仕切壁65Bの右面から右方に突出する前突出片68を有する。前突出片68は、前仕切壁65Bの上端から下端に亘って位置する。前突出片68は、前壁90の近傍に位置する。後仕切壁65Cは、後壁92と中仕切壁65Aとの間に位置する。後仕切壁65Cは、後壁92と同じ高さである。後仕切壁65Cは、後仕切壁65Cの右面から右方に突出する後突出片69を有する。前仕切壁65Bおよび後仕切壁65Cは、当接壁の一例である。
【0056】
下壁は、前壁90の下端部、後壁92の下端部、右壁98の下端部、および仕切壁65の下端部を繋いでいる。下壁は、2つの傾斜壁95、96からなる。傾斜壁95は、前後方向8に延在している。傾斜壁96は、傾斜壁95の右側に位置する。傾斜壁96は、前後方向8に延在している。傾斜壁95の右端と傾斜壁96の左端とは、同じ高さに位置する。傾斜壁95の右端と傾斜壁96の左端とは、洗浄液Lが漏れないように密着接続されている。傾斜壁95の左端は、傾斜壁95の右端より少し高い位置に位置する。傾斜壁96の右端は、傾斜壁96の左端より少し高い位置に位置する。傾斜壁95、96の接続部分において後壁92に近い位置には、洗浄液Lの供給口97が位置する。
【0057】
供給口97は、チューブ125を介してポンプ126の一端に接続されている。ポンプ126の他端は、チューブ127を介して洗浄液タンク128に接続されている。洗浄液タンク128は、未使用の洗浄液Lを貯留している。ポンプ126は、ポンプ駆動用モータ115(
図4参照)によって駆動されると、洗浄液タンク128に貯留された未使用の洗浄液Lを貯留槽54に供給する。洗浄液タンク128から貯留槽54に洗浄液Lが供給されると、貯留槽54に貯留された洗浄液Lの一部は、中仕切壁65Aを越えてフラッシングボックス51内に流入する。貯留槽54に貯留される洗浄液Lの最大高さは、中仕切壁65Aの上端の位置である。フラッシングボックス51内に流入した洗浄液Lは、リブ71の外側の空間を流れ、リブ71の外側を取り囲む。リブ71の外側に位置する洗浄液Lは、フラッシングフォーム52によって吸収され、フラッシングフォーム52内に拡散する。
【0058】
図5、
図8に示されるように、メンテナンス装置50の後方に回転カム18が配置されている。回転カム18は、前後方向8に沿って延びるカム軸60を中心に回転可能に支持板173に支持されている。カム軸60は、第2回転軸の一例である。支持板173は、貯留槽54の後壁92およびフラッシングボックス51の後壁64に固定されている。支持板173は、上下方向7および左右方向9に拡がる平板状である。
【0059】
回転カム18は、上下方向7および左右方向9に拡がる平板状である。回転カム18の前面および後面18Aは円形である。回転カム18は、回転カム18の後面18Aから後向きに突出する環状の突出部19を有する。突出部19は、カム軸60から半径方向に間隔を空けてカム軸60を囲んでいる。突出部19は、カム軸60に対して偏心している。具体的には、突出部19は、カム軸60を中心とする180度の位置に最遠位部20および最近位部27を有する。最遠位部20は、カム軸60の外周面から突出部19の内周面19Aまでの半径方向に沿った距離が最も遠くなる部位である。本実施形態では、最遠位部20は、回転カム18の後面18Aにおける外周部に位置する。最近位部27は、カム軸60の外周面から突出部19の内周面19Aまでの半径方向に沿った距離が最も近くなる部位である。本実施形態では、最近位部27は、回転カム18の後面18Aにおける外縁とカム軸60との間の半径方向における中間よりも僅かにカム軸60に対して離れた位置に位置する。突出部19は、最遠位部20から最近位部27へ向かうにつれて、カム軸60の外周面から突出部19の内周面19Aまでの距離が徐々に短くなるように環状に延びている。回転カム18の後面18Aは、カム面の一例である。
【0060】
回転カム18は、切欠き28を有する。切欠き28は、回転カム18の外周部に位置する。本実施形態では、切欠き28は、回転カム18の外周部において最近位部27の半径方向外向きに間隔を空けた位置に位置する。切欠き28は、回転カム18の外周縁から半径方向内側へ向かって切り欠かれた形状を有する。切欠き28は、回転カム18を前後方向8に沿って貫通している。切欠き28は、前後方向8から視て長方形状である。
【0061】
[ワイパユニット55]
図5、
図6、
図10に示されるように、ワイパユニット55は、貯留槽54内の上部に位置する。ワイパユニット55は、左保持部82(第1保持部の一例)、ゴムワイパ56(第1ワイパの一例)、右保持部81(第2保持部の一例)、スポンジワイパ57(第2ワイパの一例)、およびねじりコイルばね83を有する。
【0062】
左保持部82は、上方および右方に開口した箱状の形状を有する。左保持部82は、前壁82A、後壁82B、底壁82C、および左壁82Dを有する。前壁82Aは、前支持部93と前後方向8に対向している。前壁82Aは、上下方向7および左右方向9に拡がる略平板状である。前壁82Aの下面における右端部は、下向きに膨らむ円弧面である。
【0063】
後壁82Bは、前壁82Aの後方に間隔を空けて位置する。後壁82Bは、後支持部94と前後方向8に対向している。後壁82Bは、上下方向7および左右方向9に拡がる略平板状である。後壁82Bの下面における右端部は、下向きに膨らむ円弧面である。
【0064】
底壁82Cは、前後方向8および左右方向9に拡がる略平板状である。底壁82Cの右端部は、下向きに膨らむ円弧状に屈曲した凹部84を有する。凹部84は、底壁82前端から後端に亘って位置する。底壁82Cは、前壁82Aの下端部と後壁82Bの下端部とを繋いでいる。
【0065】
左壁82Dは、底壁82Cの左端部から上向きに延びている。左壁82Dは、上下方向7および前後方向8に拡がる平板状である。左壁82Dは、前壁82Aの左端部と後壁82Bの左端部とを繋いでいる。左壁82Dは、その左面から左向きに突出する2つの当接片80を有する。2つの当接片80は、前後方向8に間隔を空けて位置する。前方の当接片80は、前突出片68に当接している。後方の当接片80は、後突出片69に当接している。
【0066】
左保持部82は、前後方向8に沿って延びるワイパ回転軸59を中心にワイパ回転軸59と一体に回転可能である(
図5参照)。ワイパ回転軸59は、前壁82Aの前面に固定された前回転軸59Aと、後壁82Bの後面に固定された後回転軸59Bと、を有する。前回転軸59Aは、前壁82Aにおける右端部に位置する。前回転軸59Aは、前支持部93に回転可能に支持されている。後回転軸59Bは、後壁82Bにおける右端部に位置する。後回転軸59Bは、前回転軸59Aと同軸である。後回転軸59Bは、後支持部94に回転可能に支持されている。ワイパ回転軸59は、第1回転軸の一例である。
【0067】
図10に示されるように、左保持部82には、第1ワイパ取付具85が固定されている。第1ワイパ取付具85は、前壁82Aの後面から後壁82Bの前面に亘って延びる嵌合凹部70を有する。嵌合凹部70の内面は、前後方向8から視てU字状である。
【0068】
ゴムワイパ56は、ゴム製の材料によって形成されている。ゴムワイパ56は、洗浄液Lを含浸せず、外力に応じて形状をある程度保ちながら変形する。ゴムワイパ56は、上下方向7および前後方向8に拡がる平板状である。ゴムワイパ56の上半分は、上方に向かうにつれて厚みが小さくなるように形成されている。ゴムワイパ56の下半分は、上半分のように厚みが変化することなく、厚みが一定である。ゴムワイパ56の下半分の厚さは、ゴムワイパ56の上半分の平均の厚さよりも薄い。ゴムワイパ56の下半分の厚さは、嵌合凹部70内における左右方向9に沿った長さよりも僅かに大きい。ゴムワイパ56は、その下半分が嵌合凹部70内に圧入されることによって第1ワイパ取付具85に取り付けられている。これにより、ゴムワイパ56は、左保持部82に保持されている。
【0069】
ゴムワイパ56を保持した左保持部82は、突出位置に位置する。突出位置の左保持部82は、左壁82Dが前突出片68および後突出片69に左向きに当接した状態において、ゴムワイパ56の先端部を左保持部82の上端および貯留槽54の上端よりも上方に突出させる。突出位置は、ヘッド42が待機位置から左向きへ移動するときに、ゴムワイパ56の先端部がノズル面43に当接する位置である。本実施形態では、突出位置においてゴムワイパ56の左面および右面は、略垂直である。突出位置は、第1位置の一例である。
【0070】
右保持部81は、後方から視て略L字状を有する。
図5、
図10に示されるように、右保持部81は、右壁81A、底壁81B、支持片81C、およびカムフォロワ81Dを有する。右壁81Aは、左保持部82よりも右方に位置する。右壁81Aは、上下方向7および前後方向8に拡がる平板状である。底壁81Bは、左保持部82の底壁82Cの下側に位置する。底壁81Bは、前後方向8および左右方向9に拡がる略平板状である。底壁81Bは、右壁81Aの下端部に繋がっている。底壁81Bの上面は、下向きに膨らむ円弧面を有する。円弧面は、凹部84の下面に接触している。
【0071】
支持片81Cは、前支持片141および後支持片142を有する。前支持片141は、底壁81Bの前端から前支持部93を通して前向きに延びている。前支持片141は、前後方向8から視て下向きに膨らむ円弧状である。前支持片141の内面は、前回転軸59Aの外面に沿った円弧面である。前支持片141は、前支持部93に載置された状態で前回転軸59Aに回転可能に支持されている。前支持片141の上端開口は、前回転軸59Aの直径よりも僅かに大きい。これにより、前支持片141は、上端開口を通して前回転軸59Aに着脱可能である。
【0072】
後支持片142は、底壁81Bの後端から後支持部94を通して後向きに延びている。後支持片142の後端は、貯留槽54の外に位置する。後支持片142は、前後方向8から視て下向きに膨らむ円弧状である。後支持片142の内面は、後回転軸59Bの外面に沿った円弧面である。後支持片142は、後支持部94に載置された状態で後回転軸59Bに回転可能に支持されている。後支持片142の上端開口は、後回転軸59Bの直径よりも僅かに大きい。これにより、後支持片142は、上端開口を通して後回転軸59Bに着脱可能である。
【0073】
カムフォロワ81Dは、貯留槽54の外において後支持片142から左向きに延びている。カムフォロワ81Dは、回転カム18の突出部19に連結されている。具体的には、
図5、
図8、
図11に示されるように、カムフォロワ81Dは、第1摺接部151、第2摺接部152、および連結部153を有する。
【0074】
第1摺接部151は、突出部19の外周面19Bと回転カム18の半径方向に対向している。第1摺接部151の後端部は、突出部19の後端よりも後方に位置する。第2摺接部152は、突出部19の内周面19Aと回転カム18の半径方向に対向している。第2摺接部152の後端部は、突出部19の後端よりも後方に位置する。連結部153は、第1摺接部151の後端部と第2摺接部152の後端部とを回転カム18の半径方向に連結している。第1摺接部151と第2摺接部152との間の回転カム18の半径方向に沿った間隔は、突出部19における回転カム18の半径方向の長さよりも僅かに大きい。これにより、回転カム18の半径方向においてカムフォロワ81Dと突出部19との間に僅かな隙間が形成されている。これにより、回転カム18が円滑に回転できるようにしている。
【0075】
カムフォロワ81Dは、突出部19の最遠位部20に位置するとき、回転カム18の半径方向においてカム軸60から最も遠い位置に位置する(
図8参照)。このとき、右保持部81は退避位置に位置する。この状態で、回転カム18が回転すると、突出部19の内周面19Aが第2摺接部152を回転方向に滑りながら回転カム18の半径方向内向きに押圧する。これにより、カムフォロワ81Dは、回転カム18の半径方向内向きに移動する。
【0076】
一方、カムフォロワ81Dは、突出部19の最近位部27に位置するとき、回転カム18の半径方向においてカム軸60から最も近い位置に位置する(
図9参照)。このとき、右保持部81は当接位置に位置する。この状態で、回転カム18が回転すると、突出部19の外周面19Bが第1摺接部151を回転方向に滑りながら回転カム18の半径方向外向きに押圧する。これにより、カムフォロワ81Dは、回転カム18の半径方向外向きに移動する。このようにして、右保持部81は、回転カム18が回転することによってワイパ回転軸59を中心に回転することにより、当接位置と退避位置との間を往復移動する。
【0077】
スポンジワイパ57は、上下方向7よりも前後方向8に長い直方体状である。スポンジワイパ57は、多孔性材料によって形成されている。スポンジワイパ57は、例えば、スポンジである。スポンジワイパ57は、洗浄液Lを含浸する。スポンジワイパ57は、外力に応じて高い自由度で変形する。スポンジワイパ57は、右保持部81の右壁81Aに固定された第2ワイパ取付具86によって右壁81Aの左面に押し付けられることによって右保持部81に保持されている。スポンジワイパ57の先端部は、右保持部81の上端よりも上方へ突出している。
【0078】
図5、
図10、
図12に示されるように、スポンジワイパ57を保持した右保持部81は、ワイパ回転軸59を中心に回転することにより、当接位置と退避位置との間を移動可能である。当接位置の右保持部81は、スポンジワイパ57の先端部を貯留槽54の上端よりも上方に位置させる。当接位置の右保持部81は、右壁81Aが左保持部82の前壁82Aの右端および後壁82Bの右端に当接している。当接位置は、ヘッド42が待機位置から左向きへ移動するときに、スポンジワイパ57の先端部がノズル面43に当接する位置である。本実施形態では、当接位置においてスポンジワイパ57の左面および右面は、略垂直である。当接位置は、第2位置の一例である。
【0079】
退避位置の右保持部81は、スポンジワイパ57の先端部を貯留槽54の上端よりも下方に位置させる。退避位置は、ヘッド42が待機位置から左向きへ移動するときに、スポンジワイパ57の先端部がノズル面43に当接しない位置である。本実施形態では、退避位置のスポンジワイパ57は、左面が斜め上向きになる。退避位置は、第3位置の一例である。
【0080】
ねじりコイルばね83は、右保持部81の底壁81Bの上面において右壁81Aの近傍に位置する。ねじりコイルばね83は、底壁81Bの上面において前後方向8の前端部および後端部にそれぞれ設けられている。前方のねじりコイルばね83の一端部は、左保持部82における前壁82Aの右端面に係止されている。前方のねじりコイルばね83の他端部は、右保持部81における右壁81Aの左面に係止されている。後方のねじりコイルばね83の一端部は、左保持部82における後壁82Bの右端面に係止されている。後方のねじりコイルばね83の他端部は、右保持部81における右壁81Aの左面に係止されている。ねじりコイルばね83は、当接位置の右保持部81を突出位置の左保持部82に対して遠ざかる向きに付勢している。これにより、当接位置の右保持部81は、ねじりコイルばね83によって退避位置へ向けて付勢される。ねじりコイルばね83は、付勢部材の一例である。
【0081】
図5、
図8、
図13に示されるように、ワイパ回転軸59の後回転軸59Bにワイパ駆動機構131が接続されている。ワイパ駆動機構131は、メンテナンス装置50の後方に位置する。ワイパ駆動機構131は、歯車伝達機構132およびワイパ駆動用モータ114を有する。歯車伝達機構132は、第1歯車132A、第2歯車132B、第3歯車132E、第4歯車132C、第5歯車132D、およびクラッチ機構132Fを有する。
【0082】
第1歯車132Aは、ワイパ回転軸59の後回転軸59Bに固定されている。第1歯車132Aは、ワイパ回転軸59を中心にワイパ回転軸59と一体に回転する。第1歯車132Aは、複数の第1歯171を有する。複数の第1歯171は、第1歯車132Aの外周面から半径方向外向きに延びている。複数の第1歯171は、第1歯車132Aの回転方向に等間隔に並んでいる。
【0083】
第2歯車132Bは、第1歯車132Aの左方に位置する。第2歯車132Bは、回転カム18の後方に間隔を空けて位置する。第2歯車132Bは、カム軸60に回転可能に支持されている。第2歯車132Bは、複数の第2歯174を有する。複数の第2歯174は、第2歯車132Bの外周面から半径方向外向きに延びている。複数の第2歯174は、第2歯車132Bの回転方向に等間隔に並んでいる。複数の第2歯174は、複数の第1歯171と噛み合っている。
【0084】
第3歯車132Eは、回転カム18の前方に位置する。第3歯車132Eは、カム軸を中心にカム軸と一体に回転する。第3歯車132Eは、複数の第3歯180を有する。複数の第3歯180は、第3歯車132Eの外周面から半径方向外向きに延びている。複数の第3歯180は、第3歯車132Eの回転方向に等間隔に並んでいる。
【0085】
第4歯車132Cは、第3歯車132Eの下方に位置する。第4歯車132Cは、カム軸60と平行な伝達軸177を中心に回転可能である。伝達軸177は、支持板173に回転可能に支持されている。第4歯車132Cは、複数の第4歯178を有する。複数の第4歯178は、複数の第3歯180と噛み合っている。
【0086】
第5歯車132Dは、第4歯車132Cの左方に位置する。第5歯車132Dは、複数の第5歯179を有する。複数の第5歯179は、複数の第4歯178と噛み合っている。
【0087】
クラッチ機構132Fは、第2歯車132Bと第3歯車132Eとの前後方向8の間に位置する。本実施形態では、クラッチ機構132Fは、回転カム18と第2歯車132Bとの前後方向8の間に位置する。クラッチ機構132Fは、ばね支持部181および圧縮コイルばね182を有する。
【0088】
ばね支持部181は、カム軸60を中心にカム軸60と一体に回転する。ばね支持部181は、上下方向7および左右方向9に拡がる平板状である。ばね支持部181の前面および後面は、円形である。ばね支持部181の外周面は、突出部19の内周面19Aよりも半径方向内側に位置する。ばね支持部181の後面は、突出部19の後端および第2摺接部152の前端よりも前方に位置する(
図11参照)。これにより、回転カムが回転するときに、第2摺接部152がばね支持部181に接触することによって回転カム18の回転が阻害されることを防止している。
【0089】
圧縮コイルばね182は、ばね支持部181の後面と第2歯車132Bの前面との間に位置する。圧縮コイルばね182は、圧縮コイルばね182内にカム軸60が挿入されることによってカム軸60に取り付けられている。圧縮コイルばね182は、ばね支持部181の後面と第2歯車132Bの前面とに挟まれることによって前後方向8に圧縮した状態である。
【0090】
クラッチ機構132Fは、第3歯車132Eの回転によってカム軸60が回転すると、ばね支持部181がカム軸60と一体に回転する。このとき、第3歯車132Eの回転が、ばね支持部181の後面と圧縮コイルばね182との間に生じる摩擦力と、圧縮コイルばね182と第2歯車132Bの前面との間に作用する摩擦力と、によって第2歯車132Bに伝達される。第3歯車132Eの回転が第2歯車132Bに伝達されると、第2歯車132Bは、カム軸60と一体に回転する。
【0091】
一方、第2歯車132Bの回転が止められることにより、第3歯車132Eの回転を止めようとする力が第3歯車132Eに作用する。この力が所定以上になると、圧縮コイルばね182が第2歯車132Bの前面を滑りながら回転する。これにより、第3歯車132Eの回転が第2歯車132Bへ伝達されることが遮断される。
【0092】
ワイパ駆動用モータ114は、支持板173に固定されている。ワイパ駆動用モータ114は、ステッピングモータである。ワイパ駆動用モータ114は、伝達軸177と平行なモータ軸114Aを有する。モータ軸114Aには、第5歯車132Dが固定されている。これにより、第5歯車132Dは、モータ軸114Aを中心にモータ軸114Aと一体に回転する。ワイパ駆動用モータ114は、第5歯車132D、第4歯車132C、第3歯車132E、クラッチ機構132F、第2歯車132B、および第1歯車132Aを介してワイパ回転軸59に動力を伝達する。ワイパ駆動用モータ114の駆動は、制御部100によって制御される。
【0093】
左保持部82が突出位置に位置するとき、ゴムワイパ56がスポンジワイパ57に対して遠ざかる向きにワイパ回転軸59を回転する動力がワイパ駆動用モータ114からワイパ回転軸59へ伝達されると、左保持部82の左壁82Dが前突出片68および後突出片69に押し付けられる。これにより、ワイパ回転軸59の回転が止められるので、第1歯車132Aおよび第2歯車132Bの回転も止められる。その結果、第3歯車132Eの回転を止めようとする力が所定以上になり、第3歯車132Eの回転が第2歯車132Bへ伝達されることが遮断される。このとき、第3歯車132Eおよび回転カム18が他方向きに回転(
図8では、反時計回りの回転)し続けることにより、右保持部81が退避位置と当接位置との間を往復移動する。
【0094】
一方、左保持部82が突出位置に位置するとき、ゴムワイパ56がスポンジワイパ57に対して近づく向きにワイパ回転軸59を回転する動力がワイパ駆動用モータ114からワイパ回転軸59へ伝達されると、左保持部82は、右保持部81を押圧することによって右保持部81と一体に回転する。これにより、ゴムワイパ56の先端部およびスポンジワイパ57の先端部が、貯留槽54の洗浄液Lの最大高さよりも下方へ移動する(
図6参照)。このとき、第3歯車132Eおよび回転カム18が一方向きに回転(
図8では、時計回りの回転)し続けることにより、右保持部81がワイパ回転軸59を中心に往復回転する。その結果、ゴムワイパ56の先端部およびスポンジワイパ57の先端部は、貯留槽54に貯留された洗浄液Lに浸漬される(
図6B参照)。これにより、ゴムワイパ56の先端部が洗浄液Lによって洗浄されるとともに、洗浄液Lがスポンジワイパ57に吸収される。ゴムワイパ56の先端部が洗浄液Lに浸漬されるときの左保持部82の位置は、第4位置の一例である。なお、以下では、ゴムワイパ56の先端部およびスポンジワイパ57の先端部が貯留槽54に貯留された洗浄液Lに浸漬されるときのワイパユニット55の位置を下向き位置と称する。
【0095】
ワイパユニット55が下向き位置に位置するとき、ゴムワイパ56がスポンジワイパ57に対して遠ざかる向き(
図6では半時計回り)にワイパ回転軸59を回転する動力がワイパ駆動用モータ114からワイパ回転軸59へ伝達されると、左保持部82は、ワイパ回転軸59を中心に回転することによって突出位置へ向けて移動する。このとき、右保持部81は、ねじりコイルばね83に引っ張られることによって退避位置へ向けて移動する。その結果、ワイパユニット55は、左保持部82が突出位置に位置し、かつ、右保持部81が退避位置と当接位置との間に位置する上向き位置になる。
【0096】
図13に示されるように、支持板173にセンサ185が固定されている。センサ185は、回転カム18の外周部と前後方向8に対向している。センサ185は、右保持部81が退避位置に位置するときの回転カム18の切欠き28を検知するように支持板173に位置する。本実施形態では、センサ185は、回転カム18の左斜め下側に位置する。センサ185は、切欠き28を検知すると、第1信号を制御部100へ出力する。センサ185は、切欠き28を検知しないとき、第2信号を制御部100へ出力する。
【0097】
[画像記録処理]
図14が参照されて、制御部100による画像記録処理が説明される。制御部100がS11に到達した時点において、キャリッジ41は待機位置に位置し、ワイパユニット55は下向き位置に位置する。このとき、ゴムワイパ56の先端部、及びスポンジワイパ57の先端部は、貯留槽54に貯留された洗浄液Lに浸けられている。
【0098】
制御部100は、操作部(図示せず)から画像記録指示を受け取る(S11)。具体的には、制御部100は、画像記録指示を受け取るまで、S11で待機する。制御部100は、S11で画像記録指示を受け取ると、前回の画像記録指示を受け取ったときから所定時間(例えば、1時間以上)経過しているか否かを判断する(S12)。制御部100は、所定時間が経過していないと判断した場合(S12:No)、ドライワイピング処理を実行する(S13)。
【0099】
ドライワイピング処理では、まず、制御部100は、ワイパユニット55を上向き位置へ移動させる。具体的には、制御部100は、まず、予め定められた回転量だけワイパ駆動用モータ114を正回転させる。正回転は、ゴムワイパ56がスポンジワイパ57に対して遠ざかる向きにワイパ回転軸59を回転(
図6では、反時計回りの回転)させる。これにより、ワイパユニット55が下向き位置から上向き位置へ移動する。ワイパユニット55が上向き位置に到達すると、左保持部82は、ワイパ駆動用モータ114の動力によって前突出片68および後突出片69に押し付けられる。その結果、第3歯車132Eの回転が第2歯車132Bへ伝達されることがクラッチ機構132Fによって遮断されることにより、左保持部82が突出位置に維持される。
【0100】
次いで、制御部100は、センサ185から第1信号を受信するまでワイパ駆動用モータ114の正回転を維持する。制御部100は、センサ185から第1信号を受信すると、ワイパ駆動用モータ114を停止する。これにより、回転カム18の回転が停止することにより、右保持部81が退避位置に維持される。
【0101】
次に、制御部100は、予め定められた回転量だけキャリッジ駆動用モータ113を正回転させる。正回転は、キャリッジ41が左向きに移動する向きの回転である。これにより、キャリッジ41が、待機位置からワイパユニット55の上方へ向けて左向きに移動する。このとき、ゴムワイパ56がノズル面43に当接しつつ、キャリッジ41がワイパユニット55の上方へ到達する。さらに、キャリッジ41は、左向きに移動することにより、ゴムワイパ56がノズル面43に接触しない位置へ到達する。これにより、ノズル面43における左右方向9の全面がゴムワイパ56によって払拭される。この時点で、制御部100は、ドライワイピング処理を終了する。
【0102】
制御部100は、ドライワイピング処理を終了すると、ワイパユニット55を下向き位置へ移動させる(S14)。具体的には、制御部100は、まず、予め定められた回転量だけワイパ駆動用モータ114を逆回転させる。逆回転は、ゴムワイパ56がスポンジワイパ57に対して近づく向きにワイパ回転軸59を回転(
図6では、時計回りの回転)させる。これにより、ワイパユニット55が上向き位置から下向き位置へ移動する。その結果、ゴムワイパ56の先端部およびスポンジワイパ57の先端部は、貯留槽54に貯留された洗浄液Lに浸漬される。制御部100は、ワイパユニット55が下向き位置へ到達すると、処理をS17に進める。
【0103】
一方、制御部100は、S12において所定時間が経過していると判断した場合(S12:Yes)、ウェットワイピング処理を実行する(S15)。前回の画像記録指示を受け取ったときから所定時間が経過すると、ノズル面43に異物が付着していたり、ノズル面43に付着しているインクの多くが乾燥によって固化していたりする可能性が高いからである。
【0104】
ドライワイピング処理では、まず、制御部100は、予め定められた回転量だけワイパ駆動用モータ114を正回転させることにより、ワイパユニット55を上向き位置へ移動させる。次いで、制御部100は、センサ185から第1信号を受信するまでワイパ駆動用モータ114の正回転を維持する。制御部100は、センサ185から第1信号を受信すると、ワイパ駆動用モータ114を予め定められた回転量だけ正回転することにより、右保持部81を退避位置から当接位置へ移動させる。
【0105】
次に、予め定められた回転量だけキャリッジ駆動用モータ113を正回転させる。これにより、キャリッジ41が、待機位置からワイパユニット55の上方へ向けて左向きに移動する。このとき、スポンジワイパ57がノズル面43に当接し、続いて、ゴムワイパ56がノズル面43に当接しつつ、キャリッジ41がワイパユニット55の上方へ到達する。さらに、キャリッジ41が、左向きに移動することにより、スポンジワイパ57およびゴムワイパ56がノズル面43に接触しない位置へ到達する。これにより、ノズル面43における左右方向9の全面がスポンジワイパ57およびゴムワイパ56によって払拭される。この時点で、制御部100は、ウェットワイピング処理を終了する。
【0106】
制御部100は、ウェットワイピング処理を終了すると、ワイパユニット55を下向き位置へ移動させる(S16)。具体的には、制御部100は、まず、ワイパ駆動用モータ114を予め定められた回転量だけ正回転することにより、右保持部81を退避位置へ移動させる。次いで、制御部100は、ワイパ駆動用モータ114を予め定められた回転量だけ逆回転することにより、ワイパユニット55を上向き位置から下向き位置へ移動させる。その結果、ゴムワイパ56の先端部およびスポンジワイパ57の先端部は、貯留槽54に貯留された洗浄液Lに浸漬される。制御部100は、ワイパユニット55が下向き位置へ到達すると、処理をS17に進める。
【0107】
次に、制御部100は、フラッシング処理を実行する(S17)。具体的には、まず、制御部100は、予め定められた回転量だけキャリッジ駆動用モータ113を正回転させる。これにより、キャリッジ41がフラッシングボックス51の上方へ移動する。次いで、制御部100は、ヘッド42に対して、全てのノズル44から所定のインク量の複数のインク滴を複数個連続して吐出させる。これにより、ノズル面43に位置する、複数のノズル44の開口にメニスカスが適切に形成される。所定のインク量は、ノズル44から吐出するインク滴の大きさや数を変更することによって調節される。
【0108】
ノズル44から吐出されたインクは、フラッシングボックス51に収容されたフラッシングフォーム52に吸収される。フラッシングフォーム52に吸収されたインクは、フラッシングフォーム52内の洗浄液Lとともに下向きに移動し、フラッシングフォーム52の底面より下に形成された空間75に到達する。最後に、制御部100は、ポンプ駆動用モータ115(
図4参照)を駆動する。これにより、ポンプ129が動作して空間75が負圧になる。その結果、フラッシングフォーム52内のインクおよび洗浄液Lは、吸引されて下向きに速やかに移動して空間75に到達する。空間75に到達したインクは、排出口74を通して廃液タンク124に排出される。
【0109】
次に、制御部100は、予め定められた回転量だけキャリッジ駆動用モータ113を正回転させる。これにより、キャリッジ41が、記録開始位置へ向けて左向きに移動する(S18)。記録開始位置は、キャリッジ41がプラテン25に対向する所定の位置である。次に、制御部100は、ホルダ駆動用モータ111及び搬送用モータ112を予め定められた回転量だけ駆動する。これにより、シートSが記録開始位置まで搬送される(S19)。
【0110】
次に、制御部100は、シートSに対して画像記録を実行する(S20)。S20において、制御部100は、画像データに基づいてキャリッジ駆動用モータ113を制御することにより、キャリッジ41を左右方向9に(左向き又は右向きに)移動させる。制御部100は、キャリッジ41が左右方向9に移動している間に、ヘッド42を制御することにより、画像データに応じた量のインクをヘッド42のノズル44から吐出させる。
【0111】
次に、制御部100は、画像データが残っているかを判断する(S21)。制御部100は、S21において画像データが残っていると判断したことに応じて(S21:Yes)、S22へ進む。この場合、制御部100は、搬送用モータ112を制御することにより、シートSが所定量だけ搬送される(S22)。その後、制御部100はS20へ進む。
【0112】
制御部100は、S21において画像データが残っていないと判断したことに応じて(S21:No)、S23へ進む。この場合、制御部100は、搬送用モータ112を制御することにより、シートSが所定位置まで排出される(S23)。次に、制御部100は、キャリッジ駆動用モータ113を逆回転させることにより、キャリッジ41が、待機位置へ向けて右向きに移動する(S24)。その後、制御部100は、次の画像記録を実行するためにS11へ進む。
【0113】
[実施形態の作用効果]
プリンタ10では、回転カム18の回転により、左保持部82が突出位置に位置し、かつ、右保持部81が退避位置に位置する第1状態と、左保持部82が突出位置に位置し、かつ、右保持部81が当接位置に位置する第2状態と、の間でゴムワイパ56およびスポンジワイパ57の状態を切り替えることができる。ゴムワイパ56およびスポンジワイパ57が第1状態のとき、ノズル面43がゴムワイパ56によって払拭されるドライワイピングが可能になる。ゴムワイパ56およびスポンジワイパ57が第2状態のとき、ノズル面43がゴムワイパ56およびスポンジワイパ57によって払拭されるウェットワイピングが可能になる。このため、例えば、ノズル面43の汚れがひどいときにのみウェットワイピングを行うことによってウェットワイピングを必要最小限に抑えることができる。したがって、ノズル面43がワイピングされるときに、ノズル44内への洗浄液および気泡の逆流を抑制することができる。1つのワイパによってウェットワイピングとドライワイピングとが行われる場合に比べて、ゴムワイパ56およびスポンジワイパ57が汚れにくい。
【0114】
プリンタ10では、第3歯車132Eを一方向きに回転させる駆動力がワイパ駆動用モータ114から第3歯車132Eへ伝達されると、左保持部82が前突出片68および後突出片69に押し付けられる向きとは反対向き(ゴムワイパ56がスポンジワイパ57に近づく向き)にワイパ回転軸59が回転するので、左保持部82が右保持部81を押圧して左保持部82と右保持部81とが一体に回転する。反対に、第3歯車132Eを他方向きに回転させる駆動力がワイパ駆動用モータ114から第3歯車132E、第2歯車、および第1歯車を介して第1回転軸へ伝達されると、左保持部82が当接壁に当接するので、左保持部82の回転が止められる。このため、第3歯車132Eの他方向きの回転を止める力が所定以上になり、第3歯車132Eの他方向きの回転がクラッチ機構132Fによって遮断されるので、第3歯車132Eが他方向きに回転しつつ、左保持部82が突出位置に維持される。一方、右保持部81は、第3歯車132Eの他方向きの回転により回転する回転カム18によってカムフォロワ81Dが移動するので、当接位置と退避位置とへ容易に回転できる。このため、ワイパ駆動用モータ114を駆動することにより、左保持部82が突出位置に位置し、かつ、右保持部81が退避位置に位置する第1状態と、左保持部82が突出位置に位置し、かつ、右保持部81が当接位置に位置する第2状態と、の間でゴムワイパ56およびスポンジワイパ57の状態を切り替えることが容易になる。
【0115】
プリンタ10では、カムフォロワ81Dは、突出部19の外周面19Bに摺接する第1摺接部151と、突出部19の内周面19Aに摺接する第2摺接部152と、を有する。このため、回転カム18の回転に応じて右保持部81を当接位置と退避位置との間で回転させることが容易である。
【0116】
プリンタ10では、第3歯車132Eの一方向きの回転がワイパ回転軸59に伝達されることにより、ゴムワイパ56およびスポンジワイパ57を貯留槽54の洗浄液Lに容易に浸漬させることができる。
【0117】
プリンタ10では、ねじりコイルばね83は、一端部が左保持部82に連結され、かつ、他端部が右保持部81に連結されている。このため、左保持部82が、ゴムワイパ56が貯留槽54内の洗浄液Lに浸漬される位置から突出位置へ回転するときに、右保持部材81が、ねじりコイルばね83に引っ張られることによって退避位置へ向けて回転する。このため、第3歯車132Eの他方向きの回転がワイパ回転軸59に伝達されることにより、ゴムワイパ56およびスポンジワイパ57を貯留槽54の洗浄液Lに浸漬可能な位置からノズル面43に当接可能な位置へ容易に戻すことができる。
【0118】
プリンタ10では、右保持部81の前支持片141は、前支持片141の上端開口を通して前回転軸59Aに着脱可能である。右保持部81の後支持片142は、後支持片142の上端開口を通して後回転軸59Bに着脱可能である。これにより、右保持部81は、ワイパ回転軸59に着脱可能であるので、スポンジワイパ57の交換が容易である。
【0119】
プリンタ10では、ワイパ駆動用モータ114を予め定められた回転量だけ回転させることにより、右保持部81が当接位置と退避位置との間を移動する。このため、右保持部81を当接位置と退避位置との間で移動させることが容易である。
【0120】
プリンタ10では、制御部100は、第1信号を受信するまでワイパ駆動用モータ114を駆動することにより、右保持部81を退避位置に移動させ、その後、ワイパ駆動用モータ114を予め定められた回転量だけ駆動させることにより、右保持部81を当接位置へ移動させる。このため、右保持部81が当接位置と退避位置との間に位置しても、右保持部81を当接位置または退避位置に、より正確に位置させることができる。
【0121】
[変形例]
プリンタ10では、ゴムワイパ56は、左保持部82に固定された第1ワイパ取付具85の嵌合凹部70に圧入されることによって左保持部82に保持されたが、左保持部82がゴムワイパ56を保持する手段は、ワイパユニット55が下向き位置に位置するときに、スポンジワイパ57が左保持部82から容易に脱落しなければ、特に限定されない。例えば、左保持部82は、ゴムワイパ56を接着剤で左保持部82の左壁82Dに接着することによってゴムワイパ56を保持してもよい。また、第1ワイパ取付具85は省略されてもよい。
【0122】
プリンタ10では、スポンジワイパ57は、右保持部81の右壁81Aに固定された第2ワイパ取付具86に右壁81Aの左面に押し付けられることによって右保持部81に保持されたが、右保持部81がスポンジワイパ57を保持する手段は、ワイパユニット55が下向き位置に位置するときに、スポンジワイパ57が右保持部81から容易に脱落しなければ、特に限定されない。また、第2ワイパ取付具86は省略されてもよい。
【0123】
プリンタ10では、ヘッド42を搭載したキャリッジ41がゴムワイパ56およびスポンジワイパ57に対して移動することによってノズル面43がワイピングされたが、ゴムワイパ56およびスポンジワイパ57がノズル面43に対して移動することによってノズル面43がワイピングされてもよい。
【0124】
プリンタ10では、クラッチ機構132Fは、ばね支持部181および圧縮コイルばね182を有したが、第2歯車132Bの回転が止められることにより、第3歯車132Eの回転を止めようとする力が所定以上になったときに、第3歯車132Eの回転が第2歯車132Bへ伝達されることが遮断できれば、特に限定されない。
【0125】
プリンタ10では、右保持部81は、ワイパ回転軸59に着脱可能であったが、着脱可能でなくてもよい。
【0126】
プリンタ10では、当接位置の右保持部81は、ねじりコイルばね83によって退避位置へ向けて付勢されたが、ねじりコイルばね83が付勢する向きは、特に限定されない。例えば、ねじりコイルばね83は、退避位置の右保持部81を当接位置へ向けて付勢してもよく、退避位置の右保持部81を当接位置とは反対向きへ付勢してもよい。また、ねじりコイルばね83に代えて、圧縮コイルばね182が右保持部81および左保持部82に連結されてもよい。
【0127】
プリンタ10では、ワイパ駆動用モータ114としては、ステッピングモータが用いられたが、右保持部81が退避位置と当接位置との間で移動できれば、ステッピングモータに限定されない。
【0128】
プリンタ10では、センサ185は、右保持部81が退避位置に位置するとき、回転カム18の切欠き28を検知して制御部100へ第1信号を出力したが、右保持部81が当接位置に位置するとき、回転カム18の切欠き28を検知して制御部100へ第1信号を出力してもよい。この場合、制御部100は、第1信号を受信するまでワイパ駆動用モータ114を駆動することにより、右保持部81を当接位置に移動させ、その後、ワイパ駆動用モータ114を予め定められた回転量だけ駆動させることにより、左保持部82を退避位置へ移動させてもよい。このようにすると、右保持部81が当接位置と退避位置との間に位置しても、右保持部81を当接位置または退避位置に、より正確に位置させることができる。
【符号の説明】
【0129】
8・・・前後方向(第2方向)
9・・・左右方向(第1方向)
10・・・プリンタ(画像記録装置)
18・・・回転カム
18A・・・後面(カム面)
19・・・突出部
19A・・・内周面
19B・・・外周面
28・・・切欠き
42・・・ヘッド
43・・・ノズル面
54・・・貯留槽
55・・・ワイパユニット
56・・・ゴムワイパ(第1ワイパ)
57・・・スポンジワイパ(第2ワイパ)
59・・・ワイパ回転軸(第1回転軸)
60・・・カム軸(第2回転軸)
65B・・・前仕切壁(当接壁)
65C・・・後仕切壁(当接壁)
81・・・右保持部(第2保持部)
81D・・・カムフォロワ
82・・・左保持部(第1保持部)
83・・・ねじりコイルばね(付勢部材)
100・・・制御部
114・・・ワイパ駆動用モータ(ステッピングモータ)
120・・・キャリッジ移動機構(移動機構)
132A・・・第1歯車
132B・・・第2歯車
132E・・・第3歯車
132F・・・クラッチ機構
151・・・第1摺接部
152・・・第2摺接部
185・・・センサ
L・・・洗浄液