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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024146472
(43)【公開日】2024-10-15
(54)【発明の名称】フェノールフォーム積層板
(51)【国際特許分類】
B32B 27/42 20060101AFI20241004BHJP
B32B 5/18 20060101ALI20241004BHJP
E04B 1/94 20060101ALI20241004BHJP
【ＦＩ】
B32B27/42 101
B32B5/18
E04B1/94
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】ＯＬ
(21)【出願番号】P 2023059386
(22)【出願日】2023-03-31
(71)【出願人】
【識別番号】390018717
【氏名又は名称】旭化成建材株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100147485
【弁理士】
【氏名又は名称】杉村 憲司
(74)【代理人】
【識別番号】230118913
【弁護士】
【氏名又は名称】杉村 光嗣
(74)【代理人】
【識別番号】100165951
【弁理士】
【氏名又は名称】吉田 憲悟
(74)【代理人】
【識別番号】100196298
【弁理士】
【氏名又は名称】井上 高雄
(72)【発明者】
【氏名】小宮山 政美
(72)【発明者】
【氏名】北川 大輔
【テーマコード（参考）】
2E001
4F100
【Ｆターム（参考）】
2E001DE01
2E001GA12
2E001HA21
2E001HD02
2E001JA13
2E001JD04
4F100AA03B
4F100AA03C
4F100AK25B
4F100AK25C
4F100AK33A
4F100AK53
4F100BA02
4F100BA03
4F100BA05
4F100BA06
4F100BA10B
4F100BA10C
4F100CB00
4F100CC00B
4F100CC00C
4F100DG01D
4F100DG01E
4F100DJ01A
4F100EJ42
4F100EJ86
4F100JJ07
4F100JK06
4F100JL11
4F100YY00B
4F100YY00C
(57)【要約】
【課題】本発明の目的は、ＩＳＯ５６６０－１：２００２における不燃性材料としての基準を満たし、かつ、アクリル系ポリマーラテックス混合物層が高湿度の下であっても容易に剥離せず、長期に亘って不燃性能を維持し得るフェノールフォーム積層板を提供することにある。
【解決手段】本発明のフェノールフォーム積層板は、フェノールフォーム板の片面又は両面上に、ケイ酸マグネシウム及び／又はケイ酸カルシウムを含むボードが積層され、該ボードの外表面に、炭素数１２～１４のアルコールのうち少なくともいずれか２成分、ケイ素酸化物、マグネシウム酸化物、及びアクリル系ポリマーラテックスを含むアクリル系ポリマーラテックス混合物層が形成されていることを特徴としている。
【選択図】なし
【解決手段】本発明のフェノールフォーム積層板は、フェノールフォーム板の片面又は両面上に、ケイ酸マグネシウム及び／又はケイ酸カルシウムを含むボードが積層され、該ボードの外表面に、炭素数１２～１４のアルコールのうち少なくともいずれか２成分、ケイ素酸化物、マグネシウム酸化物、及びアクリル系ポリマーラテックスを含むアクリル系ポリマーラテックス混合物層が形成されていることを特徴としている。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
フェノールフォーム板の片面又は両面上に、ケイ酸マグネシウム及び／又はケイ酸カルシウムを含むボードが積層され、該ボードの外表面に、炭素数１２～１４のアルコールのうち少なくともいずれか２成分、ケイ素酸化物、マグネシウム酸化物、及びアクリル系ポリマーラテックスを含むアクリル系ポリマーラテックス混合物層が形成されている、フェノールフォーム積層板。
【請求項2】
前記フェノールフォーム板と、前記ボードとの間に樹脂繊維層が形成されている、請求項１に記載のフェノールフォーム積層板。
【請求項3】
前記アクリル系ポリマーラテックス混合物層に２ｍｍ間隔で６本の切込み線を縦横に形成して格子パターンを作り上げた後、常温で２時間水に接触させ、更に６０℃で３０分乾燥させた後に実施する、ＪＩＳＫ５６００－５－６：１９９９で定められた剥離試験で、試験後の該アクリル系ポリマーラテックス混合物層の付着性が５０％以上である、請求項１又は２に記載のフェノールフォーム積層板。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、不燃性のフェノールフォーム積層板に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、フェノールフォームはその高い断熱性能から建築用途を中心にその用途が広がりつつある。このような中、建築材料としての用途の中ではその防耐火性能が問われることが増えてきており、これまでもこれに対応した検討がなされてきた。
【0003】
例えば特許文献１には、フェノールフォーム板の両側面に、接着剤を介してセピオライト（含水ケイ酸マグネシウム）を主成分とする不燃性ボードを接着して構成した不燃断熱パネルが記載されている。
また、特許文献２には、含水ケイ酸マグネシウム、パルプ、ガラス繊維、及びバインダーを含有する不燃紙や、該不燃紙にバーミキュライト及びポリエーテル樹脂またはポリエステル樹脂を含有してなる不燃紙無機フィルム剤を塗布した複合紙が記載されている。
また、特許文献２には、含水ケイ酸マグネシウム、パルプ、ガラス繊維、及びバインダーを含有する不燃紙や、該不燃紙にバーミキュライト及びポリエーテル樹脂またはポリエステル樹脂を含有してなる不燃紙無機フィルム剤を塗布した複合紙が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開２００４－１００２２８号公報
【特許文献2】特開２００８－１６３５０８号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、これらはいずれもＩＳＯ５６６０－１：２００２に準拠したコーンカロリーメーターによる不燃性試験において、不燃性材料として認定されるに足る防耐火性能を有する材料とはなり得ていなかった。
特許文献１に記載の発明では、コーンカロリーメーターでパネルが加熱された際、不燃性ボードのみならずその内側を構成する接着剤やフォームの構成材料が高温となり、可燃性のガスが生じてくることがあるところ、不燃性ボードには微細な隙間が存在していることから、表面に湧き出てくる可燃性ガスに着火し、不燃性材料としての基準を満たすことができなかった。
また、特許文献２の無機フィルム剤を塗布した複合紙では不燃紙と無機フィルム剤との密着性が低く、実用性に問題があった。
特許文献１に記載の発明では、コーンカロリーメーターでパネルが加熱された際、不燃性ボードのみならずその内側を構成する接着剤やフォームの構成材料が高温となり、可燃性のガスが生じてくることがあるところ、不燃性ボードには微細な隙間が存在していることから、表面に湧き出てくる可燃性ガスに着火し、不燃性材料としての基準を満たすことができなかった。
また、特許文献２の無機フィルム剤を塗布した複合紙では不燃紙と無機フィルム剤との密着性が低く、実用性に問題があった。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者らは上記課題を解決すべく鋭意検討を重ねたところ、特定のポリマーラテックスに特定の添加成分を加えて、その混合物を、フェノールフォーム板上に設けたケイ酸マグネシウム及び／又はケイ酸カルシウムを含むボードの表面に塗工したところ、フェノールフォーム積層板としてＩＳＯ５６６０－１：２００２における不燃性材料としての基準を満たすばかりでなく、その塗工材料の付着性が、乾燥時だけでなく湿潤時にも高く、長期に亘って不燃性能を維持し得ることを見出し、本技術を完成させるに至った。
【0007】
即ち本発明は以下の通りである。
［１］
フェノールフォーム板の片面又は両面上に、ケイ酸マグネシウム及び／又はケイ酸カルシウムを含むボードが積層され、該ボードの外表面に、炭素数１２～１４のアルコールのうち少なくともいずれか２成分、ケイ素酸化物、マグネシウム酸化物、及びアクリル系ポリマーラテックスを含むアクリル系ポリマーラテックス混合物層が形成されている、フェノールフォーム積層板。
［２］
前記フェノールフォーム板と、前記ボードとの間に樹脂繊維層が形成されている、［１］に記載のフェノールフォーム積層板。
［３］
前記アクリル系ポリマーラテックス混合物層に２ｍｍ間隔で６本の切込み線を縦横に形成して格子パターンを作り上げた後、常温で２時間水に接触させ、更に６０℃で３０分乾燥させた後に実施する、ＪＩＳＫ５６００－５－６：１９９９で定められた剥離試験で、試験後の該アクリル系ポリマーラテックス混合物層の付着性が５０％以上である、［１］又は［２］に記載のフェノールフォーム積層板。
［１］
フェノールフォーム板の片面又は両面上に、ケイ酸マグネシウム及び／又はケイ酸カルシウムを含むボードが積層され、該ボードの外表面に、炭素数１２～１４のアルコールのうち少なくともいずれか２成分、ケイ素酸化物、マグネシウム酸化物、及びアクリル系ポリマーラテックスを含むアクリル系ポリマーラテックス混合物層が形成されている、フェノールフォーム積層板。
［２］
前記フェノールフォーム板と、前記ボードとの間に樹脂繊維層が形成されている、［１］に記載のフェノールフォーム積層板。
［３］
前記アクリル系ポリマーラテックス混合物層に２ｍｍ間隔で６本の切込み線を縦横に形成して格子パターンを作り上げた後、常温で２時間水に接触させ、更に６０℃で３０分乾燥させた後に実施する、ＪＩＳＫ５６００－５－６：１９９９で定められた剥離試験で、試験後の該アクリル系ポリマーラテックス混合物層の付着性が５０％以上である、［１］又は［２］に記載のフェノールフォーム積層板。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、ＩＳＯ５６６０－１：２００２における不燃性材料としての基準を満たし、かつ、アクリル系ポリマーラテックス混合物層が高湿度の下であっても容易に剥離せず、長期に亘って不燃性能を維持し得るフェノールフォーム積層板を提供することが可能となる。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本発明に係るフェノールフォーム積層板は前述の課題を改善した発明であって、フェノールフォームの片面又は両面上に、ケイ酸マグネシウム及び／又はケイ酸カルシウムを含むボードが積層され、該ボードの外表面に、炭素数１２～１４のアルコールのうち少なくともいずれか２成分、ケイ素酸化物、マグネシウム酸化物、及びアクリル系ポリマーラテックスを含むアクリル系ポリマーラテックス混合物層が形成されているフェノールフォーム積層板である。
なお、ボードの外表面とは、上記フェノールフォーム板が存在する側の表面とは反対側の表面をいう。
上記フェノールフォーム積層板は、上記フェノールフォーム板、上記ボード、上記アクリル系ポリマーラテックス混合物層がこの順に隣接して積層された積層構造、又は上記フェノールフォーム板、上記樹脂繊維層、上記ボード、上記アクリル系ポリマーラテックス混合物層がこの順に隣接して積層された積層構造を有していてよい。
上記アクリル系ポリマーラテックス混合物層は、上記フェノールフォーム積層板の表面に形成される層であってよい。
なお、ボードの外表面とは、上記フェノールフォーム板が存在する側の表面とは反対側の表面をいう。
上記フェノールフォーム積層板は、上記フェノールフォーム板、上記ボード、上記アクリル系ポリマーラテックス混合物層がこの順に隣接して積層された積層構造、又は上記フェノールフォーム板、上記樹脂繊維層、上記ボード、上記アクリル系ポリマーラテックス混合物層がこの順に隣接して積層された積層構造を有していてよい。
上記アクリル系ポリマーラテックス混合物層は、上記フェノールフォーム積層板の表面に形成される層であってよい。
【0010】
本発明に係るフェノールフォーム積層板は、ＩＳＯ５６６０－１：２００２における不燃性材料としての基準を満たし、かつ、上記アクリル系ポリマーラテックス混合物層が高湿度下であっても容易に剥離せず、長期に亘って不燃性能を維持し得る。本発明のフェノールフォーム積層板における塗工層の付着性は、非湿潤下では８０％以上が好ましく、９０％以上であるとより好ましい。更に湿潤下では５０％以上が好ましく、７０％以上であるとより好ましい。
【0011】
本発明に係るフェノールフォーム積層板において用いられるアクリル系ポリマーラテックスには、アクリル酸やそのエステル、メタクリル酸やそのエステルを共重合させた共重合体を用いることができる。より好ましいのはアクリル酸やそのエステルを共重合させた共重合体である。上記アクリル系ポリマーラテックスは、ポリマー成分、水分、及び添加剤を含んでいてよく、アクリル系ポリマーラテックス中に含まれるポリマー成分はアクリル酸やそのエステルを共重合させた共重合体が主成分であることが好ましい。
【0012】
上記アクリル系ポリマーラテックスの粘度は２３℃で１０～５００ｍＰａ・ｓであることが好ましく、より好ましくは３０～２００ｍＰａ・ｓである。固形分は３０～６０％であることが好ましい。最低成膜温度は不燃性の観点から２０℃以上４０℃以下であることが好ましい。
【0013】
上記アクリル系ポリマーラテックス混合物層は、不燃性発現効果の観点から、固形分で３０～３００ｇ／ｍ２が好ましく、７０～２００ｇ／ｍ２がより好ましい。
【0014】
本発明のフェノールフォーム積層板は、不燃性材料であるケイ素酸化物及びマグネシウム酸化物と、炭素数１２～１４のアルコールのうち少なくともいずれか２成分、並びにアクリル系ポリマーラテックスを含むアクリル系ポリマーラテックス混合物からなるアクリル系ポリマーラテックス混合物層が、ケイ酸マグネシウム及び／又はケイ酸カルシウムを含むボードが積層されたフェノールフォーム板に高い不燃性能を付与するとともに、高湿度環境下においてもアクリル系ポリマーラテックス混合物層が塗工後の状態で維持されることを特徴としている。
【0015】
上記炭素数１２～１４のアルコールとしては、いずれの２成分を選択してもよいが、付着性能の観点からより好ましいのは炭素数１２のドデカノールと炭素数１３のトリデカノールの併用である。なお、２つのアルコール成分の構成比は１：１０～１０：１を好ましい範囲として適宜調整可能であり、上記炭素数１２～１４のアルコールの合計添加量は、アクリル系ポリマーラテックス１００質量部に対して０．０５～２質量部とすることが好ましい。
【0016】
アクリル系ポリマーラテックス混合物層を構成する、不燃性材料であるケイ素酸化物、マグネシウム酸化物には、例えばバーミキュライトなどを用いることができる。バーミキュライトを用いる場合、その混合比率はアクリル系ポリマーラテックス１００質量部に対して２００～１０００質量部とすることが好ましい。
上記アクリル系ポリマーラテックス混合物層は、上記アクリル系ポリマーラテックスと上記炭素数１２～１４のアルコールのうち少なくともいずれか２成分とバーミキュライトとを含む層であってよい。
上記アクリル系ポリマーラテックス混合物層は、上記アクリル系ポリマーラテックスと上記炭素数１２～１４のアルコールのうち少なくともいずれか２成分とバーミキュライトとを含む層であってよい。
【0017】
また、上記アクリル系ポリマーラテックス混合物層は、上記不燃性材料として、ケイ素酸化物、マグネシウム酸化物の他に、さらにアルミニウム酸化物を混合してもよい。
【0018】
なお、アクリル系ポリマーラテックス混合物層には、本発明の効果を低減させない範囲内で、通常の水系塗料に添加配合される成分、例えば、水、溶剤、増粘剤、成膜助剤、可塑剤、凍結防止剤、消泡剤、分散剤、湿潤剤、染料、防腐剤、防黴剤、防藻剤、顔料、帯電防止剤、導電性材料、絶縁材料、紫外線吸収剤、光安定剤などを加えてもよい。
【0019】
上記アクリル系ポリマーラテックス混合物層１００質量％に対する、炭素数１２～１４のアルコールのうち少なくともいずれか上記２成分、上記ケイ素酸化物、上記マグネシウム酸化物、及び上記アクリル系ポリマーラテックスの合計質量割合は、３０～８０質量％であることが好ましく、より好ましくは４０～７０質量％である。
【0020】
本発明が優れているところは、フェノールフォーム板と、ケイ酸マグネシウム及び／又はケイ酸カルシウムを含むボードとの間に樹脂繊維層が形成されていても、不燃性能が維持できる点にもある。樹脂繊維層は空気層を抱え込むことができ、フェノールフォーム積層板の断熱性能を更に高めることに寄与するが、樹脂繊維は多くの場合熱可塑性樹脂であり、特にその嵩高さなどからポリエステル不織布が好ましく用いられるところ、ＩＳＯ５６６０－１：２００２の不燃性能試験においては容易に液化・蒸発して可燃性ガスを放出する。しかしながら本発明においてはこのような可燃性ガスの発生をも封じ込め、ＩＳＯ５６６０－１：２００２における不燃性材料としての基準を満足する。
【0021】
なお、本発明の効果を発現させるために適した樹脂繊維層の目付量は２０～１００ｇ／ｍ２が好ましく、２５～６０ｇ／ｍ２がより好ましい。
【0022】
本発明に係るフェノールフォーム積層板において用いられる、ケイ酸マグネシウム及び／又はケイ酸カルシウムを含むボードとしては、市販の耐火ボード、不燃ボードを用いることができるが、不燃性能の観点からケイ酸マグネシウムを含むボードが好ましい。
【0023】
上記フェノールフォーム板や上記フェノールフォーム板と上記樹脂繊維層との積層体への上記ボードの積層方法としては、接着剤を用いてもよいし、あるいは物理的に引っかけ部やビス等の部材を設けて配置してもよい。
【0024】
本発明に係るフェノールフォーム積層板において用いられるフェノールフォーム板は、原料フェノール樹脂に、界面活性剤、発泡剤、触媒を添加して混合し、加熱発泡硬化させて作製する。原料フェノール樹脂としてはノボラック型とレゾール型が存在するが、レゾール型が好適に用いられる。例えば、断熱性能に優れた旭化成建材株式会社製「ネオマフォーム」などが好ましく用いられる。
【0025】
本発明に係るフェノールフォーム積層板において、ケイ酸マグネシウム及び／又はケイ酸カルシウムを含むボードの表面に、アクリル系ポリマーラテックス混合物層を形成させる方法としては、ロールコート法、スプレー法、フローコート法等が選択でき、塗布後は、高温で塗工層を乾燥硬化させる。本発明の効果を発現させるために乾燥は高温かつ短時間で行うことが重要であり、好ましい条件は８０℃～１５０℃で２～１５分、より好ましい条件は１０５～１４０℃で２～１５分である。
【0026】
以下、実施例、比較例により本発明をさらに詳細に説明する。なお、不燃性評価、付着性評価は以下の手順で実施した。
【0027】
（試験体の準備）
フェノールフォーム板に旭化成建材株式会社製「ネオマフォーム」（厚み２５ｍｍ、密度４０Ｋｇ／ｍ３、品番２５－Ｈ６）を用い、ケイ酸マグネシウム及び／又はケイ酸カルシウムを含むボードとしてグランデックス社製「グランデックス紙」（厚さ１ｍｍ、セピオライト含有量７４ｗｔ％）を用いて、これらをエポキシ系接着剤にて貼り合わせた後、ケイ酸マグネシウム及び／又はケイ酸カルシウムを含むボードの外表面に、ロールコーターで実施例に記載の混合液を塗工し、乾燥させてフェノールフォーム積層板とした。
フェノールフォーム板に旭化成建材株式会社製「ネオマフォーム」（厚み２５ｍｍ、密度４０Ｋｇ／ｍ３、品番２５－Ｈ６）を用い、ケイ酸マグネシウム及び／又はケイ酸カルシウムを含むボードとしてグランデックス社製「グランデックス紙」（厚さ１ｍｍ、セピオライト含有量７４ｗｔ％）を用いて、これらをエポキシ系接着剤にて貼り合わせた後、ケイ酸マグネシウム及び／又はケイ酸カルシウムを含むボードの外表面に、ロールコーターで実施例に記載の混合液を塗工し、乾燥させてフェノールフォーム積層板とした。
【0028】
（不燃性評価）
フェノールフォーム積層板から、厚みそのままで１００ｍｍ×１００ｍｍの試験体を切り出し、アクリル系ポリマーラテックス混合物層表面に対してコーンカロリーメーター（東洋精機製作所製 Ｎｏ．６０７）を用いて、１２００秒間、５０ｋＷ／ｍ２の輻射熱を加えるとともに、放電プラグによる着火誘発を行い、総発熱量を測定して不燃性の評価とした。これら測定及び評価はＩＳＯ５６６０－１：２００２に準拠して実施しており、不燃性材料としての基準である、加熱時間２０分後に（１）総発熱量８ＭＪ／ｍ２以下、（２）最高発熱速度が１０秒を超えて連続して２００ｋＷ／ｍ２を超えていないこと、（３）防火上有害な裏面まで貫通する亀裂および穴がないこと、について確認した。
フェノールフォーム積層板から、厚みそのままで１００ｍｍ×１００ｍｍの試験体を切り出し、アクリル系ポリマーラテックス混合物層表面に対してコーンカロリーメーター（東洋精機製作所製 Ｎｏ．６０７）を用いて、１２００秒間、５０ｋＷ／ｍ２の輻射熱を加えるとともに、放電プラグによる着火誘発を行い、総発熱量を測定して不燃性の評価とした。これら測定及び評価はＩＳＯ５６６０－１：２００２に準拠して実施しており、不燃性材料としての基準である、加熱時間２０分後に（１）総発熱量８ＭＪ／ｍ２以下、（２）最高発熱速度が１０秒を超えて連続して２００ｋＷ／ｍ２を超えていないこと、（３）防火上有害な裏面まで貫通する亀裂および穴がないこと、について確認した。
【0029】
（付着性評価）
ＪＩＳＫ５６００－５－６：１９９９（塗膜付着性 クロスカット法）に準じて、非湿潤下及び湿潤下における評価を実施した。まず、フェノールフォーム積層板から、厚みはそのままとし１００ｍｍ×１００ｍｍの試験体を２体切り出し、それぞれカッターナイフによりアクリル系ポリマーラテックス混合物層表面に、２ｍｍ間隔で６本の切込みを、素地の表面まで貫通するよう、縦横格子状に入れ、５個×５個＝２５個の格子パターンを形成した後、一方の試験体の格子パターン形成部にセロテープ（登録商標）をしっかりと貼り付け、その後一気にはがして、２５個の格子パターンの内、剥離した升目の数をカウントし、剥離した面積の割合（％）を計算して、付着性（％）＝１００－剥離面積割合（％）とした（非湿潤下評価）。
ＪＩＳＫ５６００－５－６：１９９９（塗膜付着性 クロスカット法）に準じて、非湿潤下及び湿潤下における評価を実施した。まず、フェノールフォーム積層板から、厚みはそのままとし１００ｍｍ×１００ｍｍの試験体を２体切り出し、それぞれカッターナイフによりアクリル系ポリマーラテックス混合物層表面に、２ｍｍ間隔で６本の切込みを、素地の表面まで貫通するよう、縦横格子状に入れ、５個×５個＝２５個の格子パターンを形成した後、一方の試験体の格子パターン形成部にセロテープ（登録商標）をしっかりと貼り付け、その後一気にはがして、２５個の格子パターンの内、剥離した升目の数をカウントし、剥離した面積の割合（％）を計算して、付着性（％）＝１００－剥離面積割合（％）とした（非湿潤下評価）。
【0030】
次に、もう一方の試験体を、格子パターン形成面が水と接するように常温で２時間、試験体を水面に浮かべ、その後６０℃で３０分乾燥させた。その後、その試験体の格子パターン形成部にセロテープ（登録商標）をしっかりと貼り付け、その後一気にはがして、２５個の格子パターンのうち、塗膜が剥離した升目の数をカウントし、剥離した面積の割合（％）を計算して、付着性（％）＝１００－剥離面積割合（％）とした（湿潤下評価）。
【0031】
（実施例１）
アクリル系ポリマーラテックスとしてアクリル酸エステル共重合体ラテックス調合品（粘度１００ｍＰａ・ｓ（２３℃）、固形分は４０％、最低成膜温度２５℃）１００質量部と、ドデカノール、トリデカノールを質量比１：１で混合した混合物０．５質量部、ケイ素酸化物、マグネシウム酸化物としてバーミキュライトとを９００質量部混合して塗工液とした。塗工量は６０ｇ／ｍ２であり、１１０℃で１０分間加熱乾燥させて、フェノールフォーム積層板を得た。
アクリル系ポリマーラテックスとしてアクリル酸エステル共重合体ラテックス調合品（粘度１００ｍＰａ・ｓ（２３℃）、固形分は４０％、最低成膜温度２５℃）１００質量部と、ドデカノール、トリデカノールを質量比１：１で混合した混合物０．５質量部、ケイ素酸化物、マグネシウム酸化物としてバーミキュライトとを９００質量部混合して塗工液とした。塗工量は６０ｇ／ｍ２であり、１１０℃で１０分間加熱乾燥させて、フェノールフォーム積層板を得た。
【0032】
（実施例２）
実施例１の乾燥条件を８０℃、６分とした以外は実施例１と同様にしてフェノールフォーム積層板を得た。
実施例１の乾燥条件を８０℃、６分とした以外は実施例１と同様にしてフェノールフォーム積層板を得た。
【0033】
（比較例１）
実施例１のドデカノールとトリデカノールの質量比１：１の混合物０．５質量部に代えて、ドデカノール０．５質量部とした以外は実施例１と同様にしてフェノールフォーム積層板を得た。
実施例１のドデカノールとトリデカノールの質量比１：１の混合物０．５質量部に代えて、ドデカノール０．５質量部とした以外は実施例１と同様にしてフェノールフォーム積層板を得た。
【0034】
（比較例２）
実施例１のドデカノールとトリデカノールの質量比１：１の混合物０．５質量部に代えて、トリデカノール０．５質量部とした以外は実施例１と同様にしてフェノールフォーム積層板を得た。
実施例１のドデカノールとトリデカノールの質量比１：１の混合物０．５質量部に代えて、トリデカノール０．５質量部とした以外は実施例１と同様にしてフェノールフォーム積層板を得た。
【0035】
（比較例３）
ドデカノール、トリデカノールを混合しなかったこと以外は実施例１と同様にしてフェノールフォーム積層板を得た。
ドデカノール、トリデカノールを混合しなかったこと以外は実施例１と同様にしてフェノールフォーム積層板を得た。
【0036】
実施例及び比較例について評価した結果を表１にまとめた。
【0037】
【表1】
【産業上の利用可能性】
【0038】
本発明のフェノールフォーム積層板は、建築その他の各種産業分野において好適に利用できる。