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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024146480
(43)【公開日】2024-10-15
(54)【発明の名称】ロータリバルブ
(51)【国際特許分類】
   A61H 7/00 20060101AFI20241004BHJP
【FI】
A61H7/00 323L
A61H7/00 323U
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023059399
(22)【出願日】2023-03-31
(71)【出願人】
【識別番号】000000011
【氏名又は名称】株式会社アイシン
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 博宣
(72)【発明者】
【氏名】野末 勝也
(72)【発明者】
【氏名】増田 賢志
(72)【発明者】
【氏名】田中 新
【テーマコード(参考)】
4C100
【Fターム(参考)】
4C100AD02
4C100BA02
4C100BB05
4C100CA06
4C100CA12
4C100DA05
(57)【要約】
【課題】膨張及び収縮させる空気袋を変更できるロータリバルブを提供する。
【解決手段】ロータリバルブは、上下方向Zに延びる軸線回りに回転することにより、複数の接続流路の少なくとも1つを開閉する流路切換部210と、を備える。流路切換部210は、3つの接続流路を接続する第2切換位置と、5つの接続流路を接続する第3切換位置と、の間で回転する。
【選択図】図26
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の空気袋に対する空気の供給態様を切り換えることにより、前記複数の空気袋を順番に膨張及び収縮させるロータリバルブであって、
ポンプから空気が供給される空気室を有するロアケースと、
下流端が前記複数の空気袋にそれぞれ接続される複数の接続流路と、前記複数の接続流路の上流端が開口する開口面と、を有し、前記ロアケースの上部に積層されるアッパケースと、
前記アッパケースに収容され、前記空気室に接続される内部流路を有するロータリであって、前記空気室の圧力の増大及び減少に応じて、前記アッパケースの前記開口面に接した状態で上下方向に延びる軸線回りに回転することにより、前記内部流路に接続する前記接続流路を順番に切り換えるロータリと、
前記アッパケースに収容され、上下方向に延びる軸線回りに回転することにより、前記複数の接続流路の少なくとも1つを開閉する流路切換部と、を備え、
前記複数の接続流路のうちの1以上の前記接続流路を第1群に属する前記接続流路としたとき、
前記流路切換部は、前記第1群に属する前記接続流路を接続する一方で前記第1群に属しない前記接続流路を遮断する第1開放位置と、前記第1群とは属する前記接続流路が異なる第2群に属する前記接続流路を接続する一方で前記第2群に属しない前記接続流路を遮断する第2開放位置と、の間で回転する
ロータリバルブ。
【請求項2】
前記アッパケースは、前記複数の接続流路の一部をそれぞれ構成する複数の第1接続孔と、前記開口面と、を含む第1バルブケースと、前記複数の接続流路の一部をそれぞれ構成する複数の第2接続孔を有し、前記第1バルブケースに上方から積層される第2バルブケースと、を有し、
前記流路切換部は、上下方向において、前記第1バルブケース及び前記第2バルブケースの間に配置され、前記複数の第1接続孔及び前記第2接続孔を連通させる複数の連通孔を有し、
前記流路切換部は、前記複数の連通孔を介して、前記第1開放位置に位置する場合には、前記第1群に属する前記第1接続孔及び前記第2接続孔だけをそれぞれ連通させ、前記第2開放位置に位置する場合には、前記第2群に属する前記第1接続孔及び前記第2接続孔だけをそれぞれ連通させる
請求項1に記載のロータリバルブ。
【請求項3】
前記流路切換部は、上下方向と交差する方向に延びる操作レバーを有し、
前記操作レバーは、前記アッパケースを貫通している
請求項1又は請求項2に記載のロータリバルブ。
【請求項4】
前記アッパケースは、前記流路切換部を前記第1開放位置及び前記第2開放位置に位置決めする位置決め部を有する
請求項1又は請求項2に記載のロータリバルブ。
【請求項5】
前記第1群には、前記複数の接続流路のうちの一部の前記接続流路が属し、
前記第2群には、前記複数の接続流路のうち、前記第1群に属しない前記接続流路が属し、
前記流路切換部は、前記第1開放位置と、前記第2開放位置と、前記複数の接続流路のうちの全てを接続する全開放位置と、の間で回転する
請求項1又は請求項2に記載のロータリバルブ。
【請求項6】
前記第1バルブケース及び前記第2バルブケースと前記流路切換部との材質は、樹脂材料であって、
上下方向において、前記第1バルブケースと前記流路切換部との間に配置され、前記第1バルブケースと前記流路切換部との隙間を塞ぐ第1中間シールと、
上下方向において、前記第2バルブケースと前記流路切換部との間に配置され、前記第2バルブケースと前記流路切換部との隙間を塞ぐ第2中間シールと、を備える
請求項2に記載のロータリバルブ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ロータリバルブに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、着座するユーザの身体をマッサージするマッサージシートが記載されている。マッサージシートは、シートクッション及びシートバックに内蔵される複数の空気袋と、複数の空気袋に対する給気状態及び排気状態を切り換えるロータリバルブと、複数の空気袋に対する空気の供給源となるポンプと、を備える。
【0003】
ロータリバルブは、コア体と、ピストンと、カム体と、バルブ体と、アッパケースと、第1スプリング及び第2スプリングと、を備える。
コア体は、ピストンを昇降可能に支持するとともに、カム体を昇降可能かつ回転可能に支持している。コア体とピストンとの間にはポンプから供給される空気が流入する空気室が存在している。ピストンは、第1スプリングによって、下降方向に付勢されている。ピストンは、空気室の内圧の増大に伴いコア体に対して上昇し、空気室の内圧の減少に伴いコア体に対して下降する。カム体は、ピストンが上昇するときにピストンとともに上昇し、ピストンが下降するときにピストンとともに下降する。カム体は、上下方向における位置が基準位置よりも上方である場合には、上昇及び下降に伴い回転するが、上下方向における位置が基準位置よりも下方である場合には、上昇及び下降に伴い回転しない。バルブ体は、上下方向における位置が変化しないように、第2スプリングによって、アッパケースに押し付けられている。バルブ体は、空気を流出させる給気路及び排気路を有する。バルブ体は、カム体が回転するときにカム体とともに回転する。バルブ体には、コア体を介して、ポンプから空気が供給される。アッパケースは、同心円上に等間隔に並ぶ複数の連通孔を有する。複数の連通孔は、複数のホースを介して、複数の空気袋にそれぞれ接続されている。
【0004】
ポンプからロータリバルブに空気が供給されると、空気室の内圧が増大することによって、ピストンがカム体とともに上昇する。また、バルブ体の給気路及びアッパケースの連通孔を介して、当該連通孔に対応する空気袋に空気が供給される。つまり、複数の空気袋のうちの1つの空気袋が膨張する。その後、空気室の内圧の増大に伴い、ピストンとともに上昇するカム体の位置が基準位置を超えると、カム体がバルブ体とともに回転し始める。すると、バルブ体の給気路及び排気路とアッパケースの連通孔とを介して、当該連通孔に対応する空気袋が外気に接続される。つまり、膨張していた1つの空気袋が収縮する。また、空気室も外気に接続されるため、空気室の内圧も減少する。その結果、ピストンがカム体とともに下降する。カム体が下降するときには、カム体の上下方向における位置が基準位置よりも上方にあるため、カム体はバルブ体とともに回転を継続する。すると、バルブ体の給気路は、アッパケースの次の連通孔を介して、次の空気袋に接続する。このとき、バルブ体の給気路は排気路を介して外気に接続されなくなる。つまり、空気室も外気に接続されなくなる。
【0005】
こうして、ロータリバルブは、ポンプから継続的に給気されることにより、バルブ体を回転させる。そして、ロータリバルブは、バルブ体の回転位置に応じて、1つの空気袋に対する給気状態及び排気状態を切り換えることにより、1つの空気袋を膨張させた後に収縮させる。さらに、ロータリバルブは、1つの空気袋を膨張及び収縮させた後は、次の1つの空気袋を膨張及び収縮させる。こうして、ロータリバルブは、ポンプの駆動が継続されている状況下において、膨張及び収縮させる空気袋を順番に切り換える。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2018-15048号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上記のようなロータリバルブに空気が供給されている状況下では、全ての空気袋が順番に膨張及び収縮する。このため、マッサージシートは、ユーザの身体の特定部位に対応する空気袋のみを膨張及び収縮させることができない。例えば、マッサージシートは、シートクッションに内蔵される空気袋のみを膨張及び収縮させたり、シートバックに内蔵される空気袋のみを膨張及び収縮させたりすることはできない。
【課題を解決するための手段】
【0008】
以下、上記課題を解決するための手段及びその作用効果について記載する。
[態様1]複数の空気袋に対する空気の供給態様を切り換えることにより、前記複数の空気袋を順番に膨張及び収縮させるロータリバルブであって、ポンプから空気が供給される空気室を有するロアケースと、下流端が前記複数の空気袋にそれぞれ接続される複数の接続流路と、前記複数の接続流路の上流端が開口する開口面と、を有し、前記ロアケースの上部に積層されるアッパケースと、前記アッパケースに収容され、前記空気室に接続される内部流路を有するロータリであって、前記空気室の圧力の増大及び減少に応じて、前記アッパケースの前記開口面に接した状態で上下方向に延びる軸線回りに回転することにより、前記内部流路に接続する前記接続流路を順番に切り換えるロータリと、前記アッパケースに収容され、上下方向に延びる軸線回りに回転することにより、前記複数の接続流路の少なくとも1つを開閉する流路切換部と、を備え、前記複数の接続流路のうちの1以上の前記接続流路を第1群に属する前記接続流路としたとき、前記流路切換部は、前記第1群に属する前記接続流路を接続する一方で前記第1群に属しない前記接続流路を遮断する第1開放位置と、前記第1群とは属する前記接続流路が異なる第2群に属する前記接続流路を接続する一方で前記第2群に属しない前記接続流路を遮断する第2開放位置と、の間で回転するロータリバルブ。
【0009】
ロータリバルブは、空気室の圧力の増大及び減少に伴うロータリの回転により、ロータリの内部流路を接続させるアッパケースの接続流路を順番に切り換える。こうして、ロータリバルブは、空気の供給対象となる空気袋を順番に切り換えることで、複数の空気袋を順番に膨張及び収縮させる。
【0010】
ロータリバルブにおいて、流路切換部が第1開放位置に位置する場合には、第1群に属しない接続流路が遮断される。このため、第1群に属する接続流路に接続される空気袋(以下「第1群に属する空気袋」ともいう。)のみが膨張及び収縮する。一方、ロータリバルブにおいて、流路切換部が第2開放位置に位置する場合には、第2群に属しない接続流路が遮断される。このため、第2群に属する接続流路に接続される空気袋(以下「第2群に属する空気袋」ともいう。)のみが膨張及び収縮する。こうして、ロータリバルブは、流路切換部を第1開放位置及び第2開放位置の間で回転させることにより、膨張及び収縮させる空気袋が異なる2つの状態を選択できる。
【0011】
[態様2]前記アッパケースは、前記複数の接続流路の一部をそれぞれ構成する複数の第1接続孔と、前記開口面と、を含む第1バルブケースと、前記複数の接続流路の一部をそれぞれ構成する複数の第2接続孔を有し、前記第1バルブケースに上方から積層される第2バルブケースと、を有し、前記流路切換部は、上下方向において、前記第1バルブケース及び前記第2バルブケースの間に配置され、前記複数の第1接続孔及び前記第2接続孔を連通させる複数の連通孔を有し、前記流路切換部は、前記複数の連通孔を介して、前記第1開放位置に位置する場合には、前記第1群に属する前記第1接続孔及び前記第2接続孔だけをそれぞれ連通させ、前記第2開放位置に位置する場合には、前記第2群に属する前記第1接続孔及び前記第2接続孔だけをそれぞれ連通させる態様1に記載のロータリバルブ。
【0012】
ロータリバルブは、複数の連通孔を有する流路切換部の回転によって、複数の接続流路のうちの特定の接続流路のみを接続できる。この点で、ロータリバルブは、複数の接続流路の接続状態を切り換える流路切換部を簡易な構成で実現できる。
【0013】
[態様3]前記流路切換部は、上下方向と交差する方向に延びる操作レバーを有し、前記操作レバーは、前記アッパケースを貫通している態様1又は態様2に記載のロータリバルブ。
【0014】
ロータリバルブのユーザは、操作レバーを介して流路切換部を回転できる。このため、ユーザは、流路切換部の位置を容易に変更できる。
[態様4]前記アッパケースは、前記流路切換部を前記第1開放位置及び前記第2開放位置に位置決めする位置決め部を有する態様1~態様3の何れかに記載のロータリバルブ。
【0015】
ロータリバルブのユーザは、流路切換部を第1開放位置又は前記第2開放位置まで回転させる場合には、位置決め部に位置決めされるまで流路切換部を回転させればよい。このため、ロータリバルブは、ユーザが第1開放位置及び第2開放位置の間の中途位置で流路切換部の回転を停止させるおそれを低減できる。
【0016】
[態様5]前記第1群には、前記複数の接続流路のうちの一部の前記接続流路が属し、前記第2群には、前記複数の接続流路のうち、前記第1群に属しない前記接続流路が属し、前記流路切換部は、前記第1開放位置と、前記第2開放位置と、前記複数の接続流路のうちの全てを接続する全開放位置と、の間で回転する態様1~態様4の何れかに記載のロータリバルブ。
【0017】
ロータリバルブは、第1群に属する空気袋のみを順番に膨張及び収縮させる状態と、第2群に属する空気袋のみを順番に膨張及び収縮させる状態と、全ての空気袋を順番に膨張及び収縮させる状態と、を切り換えることができる。よって、ロータリバルブは、ユーザの利便性を高めることができる。
【0018】
[態様6]前記第1バルブケース及び前記第2バルブケースと前記流路切換部との材質は、樹脂材料であって、上下方向において、前記第1バルブケースと前記流路切換部との間に配置され、前記第1バルブケースと前記流路切換部との隙間を塞ぐ第1中間シールと、上下方向において、前記第2バルブケースと前記流路切換部との間に配置され、前記第2バルブケースと前記流路切換部との隙間を塞ぐ第2中間シールと、を備える態様2~態様5の何れかに記載のロータリバルブ。
【0019】
ロータリバルブは、第1バルブケースと流路切換部との隙間及び流路切換部と第2バルブケースとの隙間から空気が漏れることを抑制できる。
【発明の効果】
【0020】
ロータリバルブは、膨張及び収縮させる空気袋を変更できる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1図1は、ロータリバルブを備えるシートの模式図である。
図2図2は、ロータリバルブの斜視図である。
図3図3は、ロータリバルブの分解斜視図である。
図4図4は、ロータリバルブの分解斜視図である。
図5図5は、ロータリバルブの分解斜視図である。
図6図6は、ロータリバルブの分解斜視図である。
図7図7は、ロアシリンダの断面図である。
図8図8は、センターシリンダの断面図である。
図9図9は、ロアガイドの断面図である。
図10図10は、ロアガイドの断面図である。
図11図11は、アッパガイドの断面図である。
図12図12は、第1バルブケースの平面図である。
図13図13は、第1バルブケースの断面図である。
図14図14は、第2バルブケースの底面図である。
図15図15は、バルブカバーの側面図である。
図16図16は、ロアピストンの断面図である。
図17図17は、センターピストンの断面図である。
図18図18は、圧力調整部の側面図である。
図19図19は、押圧部の断面図である。
図20図20は、ロータリの断面図である。
図21図21は、ロータリの断面図である。
図22図22は、流路切換部の平面図である。
図23図23は、ロータリバルブの平面図である。
図24図24は、ロータリバルブのA-A線矢視端面図である。
図25図25は、ロアガイドと圧力調整部との係合関係を示す断面図である。
図26図26は、第1バルブケースと流量切換部との係合関係を示す断面図である。
図27図27は、ロータリバルブのB-B線矢視端面図である。
図28図28は、ロアガイドとアッパガイドとボスベースとの係合関係を示す模式図である。
図29図29は、ロータリと第1バルブケースとの係合関係を示す断面図である。
図30図30は、ロータリバルブのB-B線矢視端面図である。
図31図31は、ロータリバルブのB-B線矢視端面図である。
図32図32は、ロアガイドとアッパガイドとボスベースとの係合関係を示す模式図である。
図33図33は、ロータリと第1バルブケースとの係合関係を示す断面図である。
図34図34は、ロータリバルブのB-B線矢視端面図である。
図35図35は、ロアガイドとアッパガイドとボスベースとの係合関係を示す模式図である。
図36図36は、ロータリと第1バルブケースとの係合関係を示す断面図である。
図37図37は、ロータリバルブのC-C線矢視端面図である。
図38図38は、ロータリバルブのB-B線矢視端面図である。
図39図39は、ロータリバルブのB-B線矢視端面図である。
図40図40は、ロータリバルブの側面図である。
図41図41は、第1バルブケースと流量切換部との係合関係を示す断面図である。
図42図42は、第1バルブケースと流量切換部との係合関係を示す断面図である。
図43図43は、圧力調整部が第1調整位置に位置するときのロータリバルブのA-A線矢視端面図である。
図44図44は、圧力調整部が第2調整位置に位置するときのロータリバルブのA-A線矢視端面図である。
図45図45は、変更例のロータリバルブの斜視図である。
図46図46は、変更例のロータリバルブの側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、ロータリバルブを備えるシートについて図面を参照しつつ説明する。説明の容易のために、断面図及び端面図に用いるハッチングの線種は、部材の材質によらず金属用の線種を使用している。
【0023】
<本実施形態の構成>
図1に示すように、シート10は、シートクッション11と、シートバック12と、空気圧システム20と、を備える。シート10は、例えば、車両の運転席、助手席及び後部座席などの車両用シートである。他の実施形態において、シート10は、施設及び家庭などで使用されるマッサージシートであってもよい。
【0024】
<空気圧システム20>
図1に示すように、空気圧システム20は、8つの空気袋21(21a~21h)と、ポンプ22と、8つの接続チューブ23と、供給チューブ24と、ロータリバルブ30と、を備える。空気圧システム20は、シート10に内蔵されることが好ましい。ただし、ロータリバルブ30については、シート10に着座するユーザの手の届く範囲に配置されることが好ましい。
【0025】
8つの空気袋21は、シートクッション11及びシートバック12に内蔵されている。詳しくは、3つの空気袋21f~21hはシートクッション11に内蔵されている。5つの空気袋21a~21eはシートバック12に内蔵されている。3つの空気袋21f~21hは、シート10に着座するユーザの臀部及び脚部をマッサージするための構成である。一方、5つの空気袋21a~21eは、シート10に着座するユーザの背中をマッサージするための構成である。空気袋21は、空気が供給される場合に膨張し、空気が排出される場合に収縮する。例えば、空気袋21は、2枚の樹脂フィルムの外縁同士を溶着することにより構成すればよい。他の実施形態において、空気袋21の数は適宜に変更可能である。
【0026】
ポンプ22は、空気を送出可能なポンプであればよい。ポンプ22は、不図示のバッテリから給電されることにより駆動する。以降の説明では、ポンプ22が送出する空気の流れに従って、上流及び下流をいう。この点で、ポンプ22は、空気圧システム20において最も上流に位置している。
【0027】
8つの接続チューブ23は、8つの空気袋21とロータリバルブ30とを接続している。供給チューブ24は、ポンプ22とロータリバルブ30とを接続している。接続チューブ23及び供給チューブ24は、シート10の内部で取り回ししやすいように適度な弾性を有することが好ましい。他の実施形態において、接続チューブ23及び供給チューブ24は、樹脂管及び鋼管であってもよい。
【0028】
<ロータリバルブ30>
ロータリバルブ30は、8つの空気袋21a~21hに対する空気の供給態様を切り換えることにより、8つの空気袋21a~21hを順番に膨張及び収縮させる装置である。
【0029】
図2に示すように、ロータリバルブ30は、円柱状をなしている。以降の説明では、ロータリバルブ30の軸方向を上下方向Zともいう。また、上下方向Zと直交する方向を第1方向Xとし、上下方向Z及び第1方向Xの両方向と直交する方向を第2方向Yとする。第1方向X及び第2方向Yは、ロータリバルブ30の径方向ということもできる。さらに、ロータリバルブ30の周方向における一方向を第1周方向C1とし、第1周方向C1の逆方向を第2周方向C2とする。
【0030】
ロータリバルブ30の上下方向Zは、ロータリバルブ30の搭載対象であるシート10の上下方向Zとは無関係である。例えば、ロータリバルブ30をシート10に搭載した状況下において、ロータリバルブ30の上下方向Zは、シート10の前後方向となってもよいし、シート10の幅方向となってもよい。
【0031】
図2図6に示すように、ロータリバルブ30は、ロアケース31と、アッパケース32と、2つのクランプ110と、を備える。ロアケース31は、ロアシリンダ40、センターシリンダ50及びロアガイド60を有し、アッパケース32は、アッパガイド70、第1バルブケース80、第2バルブケース90及びバルブカバー100を有する。また、ロータリバルブ30は、ロアピストン120と、センターピストン130と、圧力調整部140と、ボスベース150と、ストッパリング160と、押圧部170と、ロータリ180と、流路切換部210と、を備える。さらに、ロータリバルブ30は、第1中間シール220及び第2中間シール230と、第1スプリング241と、第2スプリング242と、第3スプリング243と、を備える。
【0032】
<ロアシリンダ40>
図4図6図7に示すように、ロアシリンダ40は、底壁41と、周壁42と、ノズル43と、4つのロアクランプホルダ44と、4つのロアクランプガイド45と、を備える。ロアシリンダ40は、例えば、樹脂材料により成形されている。
【0033】
底壁41は、上下方向Zを軸方向とする円板状をなしている。周壁42は、上下方向Zを軸方向とする円筒状をなしている。周壁42は、底壁41の外縁から上方に延びている。周壁42は、径方向に貫通する複数の排気孔46を有する。径方向における側面視において、排気孔46は、周壁42の上縁から下方に凹んでいる。複数の排気孔46は、周壁42の周方向に等間隔に並んでいる。ノズル43は、底壁41の中央部であって底壁41の下面から下方に延びている。ノズル43には、供給チューブ24の下流端が接続される。
【0034】
4つのロアクランプホルダ44は、底壁41の下面に設けられている。底面視において、4つのロアクランプホルダ44は、第1方向X及び第2方向Yに2つずつ並んでいる。ロアクランプホルダ44は、底壁41の下面から下方に延びる2つのリブ44aを含む。2つのリブ44aは、第1方向Xに間隔をあけて位置している。
【0035】
4つのロアクランプガイド45は、4つのロアクランプホルダ44の近くにそれぞれ位置している。ロアクランプガイド45は、第1方向Xを板厚方向とする2つのガイドプレート45aを有する。2つのガイドプレート45aは、底壁41及び周壁42の境界部分から第2方向Yと直交する方向に延びている。2つのガイドプレート45aは、第2方向Yを板厚方向としている。2つのガイドプレート45aは、第2方向Yに間隔をあけて位置している。
【0036】
<センターシリンダ50>
図4図6図8に示すように、センターシリンダ50は、底壁51と、周壁52と、対向部53と、2つの係合片54と、を備える。センターシリンダ50は、例えば、樹脂材料により成形されている。
【0037】
底壁51は、上下方向Zを軸方向とする円板状をなしている。底壁51は、底壁51の中央部を板厚方向に貫通する貫通孔55を有する。周壁52は、上下方向Zを軸方向とする円筒状をなしている。周壁52は、底壁51の上面から上方に延びている。対向部53は、上下方向Zを軸方向とする円筒状をなしている。対向部53は、底壁51の下面から下方に延びている。対向部53の内径は、周壁52の内径よりも小さくなっている。上下方向Zにおいて、対向部53は周壁52よりも短くなっている。対向部53の先端面は、上下方向Zと直交する平面となっている。
【0038】
2つの係合片54は、上下方向Zを厚さ方向とする板状をなしている。2つの係合片54は、底壁51から径方向における外方に突出している。一方の係合片54の突出方向は、他方の係合片54の突出方向の逆方向となっている。係合片54の先端面の周方向における中央部は、当該先端面の周方向における両端部に対して凹んでいる。
【0039】
<ロアガイド60>
図4図6図9図10に示すように、ロアガイド60は、内周壁61と、外周壁62と、上壁63と、2つの係合片64と、を備える。ロアガイド60は、例えば、樹脂材料により成形されている。なお、図9に示す第1周方向C1及び第2周方向C2は、図9に図示される内周壁61を基準とする周方向であり、図10に示す第1周方向C1及び第2周方向C2は、図10に断面図示される外周壁62を基準とする周方向である。このため、図9及び図10は、第1周方向C1及び第2周方向C2の向きが異なっている。
【0040】
図4及び図6に示すように、内周壁61は、上下方向Zを軸方向とする円筒状をなしている。図9に示すように、内周壁61は、複数の第1摺動面61a、複数の第2摺動面61b及び複数のストッパ面61cを有する。第1摺動面61a、第2摺動面61b及びストッパ面61cの形成数は、いずれも空気袋21と同数の「8」である。第1摺動面61a、第2摺動面61b及びストッパ面61cは、内周壁61の内側において、上方を向く面である。8つの第1摺動面61a、8つの第2摺動面61b及び8つのストッパ面61cは、第2周方向C2に順番に並んでいる。第1摺動面61aは、第2周方向C2に進むにつれて上方に向かうように傾いている。第2摺動面61bは、第2周方向C2に進むにつれて下方に向かうように傾いている。ストッパ面61cは、上下方向Zに延びている。本実施形態において、第1摺動面61a及び第2摺動面61bは、上下方向Zに対して略45°の角度で傾いている。言い換えれば、第1摺動面61a及び第2摺動面61bの間をなす角度は、略90°である。周方向において、第1摺動面61aは、第2摺動面61bよりも長くなっている。ストッパ面61cは、第2摺動面61bの第2周方向C2における前端及び第1摺動面61aの第2周方向C2における後端を接続している。
【0041】
図6及び図10に示すように、外周壁62は、上下方向Zを軸方向とする円筒状をなしている。上下方向Zにおいて、外周壁62の長さは、内周壁61の長さよりも長くなっている。外周壁62の内径は内周壁61の外径よりも大きくなっているため、外周壁62と内周壁61との間には空間が存在している。外周壁62は、2つの開口部65を有する。2つの開口部65は、外周壁62の周方向に対して等間隔に位置している。開口部65は、径方向において、内周壁61の一部を露出させている。
【0042】
図4に示すように、上壁63は、上下方向Zにおける平面視において環状をなしている。上壁63は、内周壁61の上端及び外周壁62の上端を径方向に接続している。図10に示すように、上壁63は、複数の第1規制面63a、複数の案内面63b及び複数の第2規制面63cを有する。第1規制面63a、案内面63b及び第2規制面63cは、下方を向く面である。複数の第1規制面63a、複数の案内面63b及び複数の第2規制面63cは、第2周方向C2に順番に並んでいる。第1規制面63a及び第2規制面63cは、上下方向Zと直交する平面である。第1規制面63aは、第2規制面63cよりも上方に位置している。案内面63bは、第1規制面63a及び第2規制面63cを接続している。案内面63bは、第2周方向C2に進むにつれて下方に向かう第1案内面63b1と、上下方向Zと直交する第2案内面63b2と、第2周方向C2に進むにつれて上方に向かう第3案内面63b3と、を含む。第1案内面63b1、第2案内面63b2及び第3案内面63b3は、第2周方向C2に順番に並んでいる。周方向において、第1案内面63b1は、第2案内面63b2及び第3案内面63b3よりも長くなっている。周方向において、第2案内面63b2及び第3案内面63b3の長さは同程度である。第2案内面63b2は、第2規制面63cよりも下方に位置している。
【0043】
2つの係合片64は、上下方向Zを厚さ方向とする板状をなしている。2つの係合片64は、外周壁62から径方向に突出している。一方の係合片64の突出方向は、他方の係合片64の突出方向の逆方向となっている。係合片64の先端面の周方向における中央部は、当該先端面の周方向における両端部に対して凹んでいる。
【0044】
<アッパガイド70>
図3図5図11に示すように、アッパガイド70は、底壁71と、内周壁72と、外周壁73と、2つの係合片74と、を備える。アッパガイド70は、例えば、樹脂材料により成形されている。なお、図11に示す第2周方向C2及び第1周方向C1は、図11に図示される内周壁72を基準とした周方向である。
【0045】
底壁71は、上下方向Zにおける平面視において環状をなしている。底壁71は、板厚方向に貫通する4つの係止孔75を有する。4つの係止孔75は、底壁71の周方向に間隔をあけて位置している。
【0046】
内周壁72は、上下方向Zを軸方向とする円筒状をなしている。内周壁72は、底壁71の内端から上方及び下方に延びている。アッパガイド70の内周壁72の内径は、ロアガイド60の内周壁61の内径と等しくなっている。図11に示すように、内周壁72は、複数の第1摺動面72a、複数の第2摺動面72b及び複数のストッパ面72cを有する。第1摺動面72a、第2摺動面72b及びストッパ面72cの形成数は、いずれも空気袋21と同数の「8」である。第1摺動面72a、第2摺動面72b及びストッパ面72cは、内周壁72の内側において、下方を向く面である。8つの第1摺動面72a、8つの第2摺動面72b及び8つのストッパ面72cは、第2周方向C2に順番に並んでいる。第1摺動面72aは、第2周方向C2に進むにつれて下方に向かうように傾いている。第2摺動面72bは、第2周方向C2に進むにつれて上方に向かうように傾いている。ストッパ面72cは、上下方向Zに延びている。本実施形態において、第1摺動面72a及び第2摺動面72bは、上下方向Zに対して略45°の角度で傾いている。言い換えれば、第1摺動面72a及び第2摺動面72bの間をなす角度は、略90°である。周方向において、第1摺動面72aは、第2摺動面72bよりも長くなっている。ストッパ面72cは、第2摺動面72bの第2周方向C2における前端及び第1摺動面72aの第2周方向C2における後端を接続している。
【0047】
外周壁73は、上下方向Zを軸方向とする円筒状をなしている。外周壁73は、底壁71の外端から上方に延びている。外周壁73の内径は、内周壁72の外径よりも大きくなっている。外周壁73は、板厚方向に貫通する4つの規制孔76を有する。4つの規制孔76は、外周壁73の周方向に間隔をあけて位置している。4つの規制孔76は、外周壁73の上縁から下方に凹んでいる。
【0048】
2つの係合片74は、上下方向Zを厚さ方向とする板状をなしている。2つの係合片74は、外周壁73から径方向に突出している。詳しくは、2つの係合片74は、外周壁73の2つの規制孔76の下端からそれぞれ突出している。一方の係合片74の突出方向は、他方の係合片74の突出方向の逆方向となっている。係合片74の先端面の周方向における中央部は、当該先端面の周方向における両端部に対して凹んでいる。
【0049】
<第1バルブケース80>
図3図5図12図13に示すように、第1バルブケース80は、中間壁81と、周壁82と、2つの係合片83と、を備える。第1バルブケース80は、例えば、樹脂材料により成形されている。
【0050】
中間壁81は、上下方向Zを軸方向とする円板状をなしている。中間壁81は、第1環状凹部84と、8つの第1円形凹部85と、8つの第1接続孔86(86a~86h)と、第1支持孔87と、を有する。
【0051】
第1環状凹部84は、上下方向Zにおける平面視において、環状をなしている。第1環状凹部84は、中間壁81の上面から下方に凹んでいる。第1円形凹部85は、上下方向Zにおける平面視において、円形状をなしている。第1円形凹部85は、第1環状凹部84の上面から下方に凹んでいる。8つの第1円形凹部85は、第1円形凹部85の周方向に等間隔に並んでいる。
【0052】
8つの第1接続孔86及び第1支持孔87は、中間壁81を板厚方向に貫通している。8つの第1接続孔86及び第1支持孔87は、上下方向Zにおける平面視において、円形状をなしている。8つの第1接続孔86は、第1円形凹部85の周方向に等間隔に位置している。8つの第1接続孔86の下端、すなわち、8つの第1接続孔86の上流端は、中間壁81の下面に開口している。一方、8つの第1接続孔86の上端、すなわち、8つの第1接続孔86の下流端は、8つの第1円形凹部85にそれぞれ開口している。以降の説明では、第1バルブケース80の中間壁81の下面を「開口面81a」という。第1支持孔87は、中間壁81の中央部に位置している。
【0053】
周壁82は、上下方向Zを軸方向とする円筒状をなしている。周壁82は、中間壁81の外縁から上方及び下方に延びている。周壁82は、周壁82を径方向に貫通する開口部88を有する。また、周壁82は、開口部88を区画する第1端面88a、第2端面88b及び第3端面88cと、第3端面88cから突出する2つの隔離突起89と、を有する。
【0054】
開口部88は、周壁82において、中間壁81から上方に延びる部分に設けられている。第1端面88a及び第2端面88bは、周方向と直交する平面である。第3端面88cは、上下方向Zと直交する平面である。第3端面88cは第1端面88a及び第2端面88bの下端同士を接続している。2つの隔離突起89は、第3端面88cから上方に突出している。2つの隔離突起89は、周方向において、第1端面88a及び第2端面88bの間で間隔をあけて位置している。周方向において、2つの隔離突起89の形成位置は、第1端面88a及び第2端面88bの間をなす距離を3等分する位置である。第1端面88a及び第2端面88bと2つの隔離突起89とは「位置決め部」に相当している。
【0055】
図13に示すように、周壁82は、8つの第1内面82a、8つの第2内面82b、8つの第3内面82c及び8つの第4内面82dを有する。第1内面82a、第2内面82b、第3内面82c及び第4内面82dは、周壁82の内側の面である。8つの第1内面82a、8つの第2内面82b、8つの第3内面82c及び8つの第4内面82dは、第1周方向C1に順番に並んでいる。図13に示す断面視において、第1内面82a及び第3内面82cは、周壁82の中心軸線を中心とする円弧に沿って延びる面である。第1内面82aを構成する円弧の半径は、第3内面82cを構成する円弧の半径よりも大きくなっている。第2内面82bは、周壁82の周方向と交差する面である。第2内面82bは、第1周方向C1に進むにつれて、径方向における内方に向かっている。こうして、第2内面82bは、径方向にずれて位置する第1内面82a及び第3内面82cを接続している。第4内面82dは、周壁82の径方向に延びる面である。こうして、第4内面82dは、径方向にずれて位置する第3内面82c及び第1内面82aを接続している。
【0056】
2つの係合片83は、上下方向Zを厚さ方向とする板状をなしている。2つの係合片83は、周壁82から径方向に突出している。一方の係合片83の突出方向は、他方の係合片83の突出方向の逆方向となっている。係合片83の先端面の周方向における中央部は、当該先端面の周方向における両端部に対して凹んでいる。
【0057】
<第2バルブケース90>
図3図5図14に示すように、第2バルブケース90は、底壁91と、8つの円筒壁92と、を有する。第2バルブケース90は、例えば、樹脂材料により成形されている。
【0058】
底壁91は、上下方向Zを軸方向とする円板状をなしている。底壁91は、第2環状凹部94と、8つの第2円形凹部95と、8つの第2接続孔96(96a~96h)と、第2支持孔97と、を有する。
【0059】
第2環状凹部94は、上下方向Zにおける底面視において、環状をなしている。第2環状凹部94は、底壁91の下面から上方に凹んでいる。第2円形凹部95は、上下方向Zにおける底面視において、円形状をなしている。第2円形凹部95は、底壁91の第2環状凹部94の下面から上方に凹んでいる。8つの第2円形凹部95は、第2環状凹部94の周方向に等間隔に並んでいる。
【0060】
8つの第2接続孔96及び第2支持孔97は、底壁91を板厚方向に貫通している。8つの第2接続孔96及び第2支持孔97は、底面視において、円形状をなしている。8つの第2接続孔96は、第2環状凹部94の周方向に等間隔に位置している。8つの第2接続孔96の下端、すなわち、8つの第2接続孔96の上流端は、底壁91の下面に開口している。詳しくは、8つの第2接続孔96の上流端は、8つの第2円形凹部95にそれぞれ開口している。第2支持孔97は、底壁91の中央部に位置している。
【0061】
図3に示すように、円筒壁92は、上下方向Zを軸方向とする円筒状をなしている。円筒壁92は、底壁91から上方に延びている。上下方向Zにおける平面視において、8つの円筒壁92は、底壁91の周方向に等間隔に並んでいる。8つの円筒壁92の内部空間には、8つの第2接続孔96の上端、すなわち、8つの第2接続孔96の下流端がそれぞれ開口している。
【0062】
<バルブカバー100>
図3図5図15に示すように、バルブカバー100は、中間壁101と、上壁102と、周壁103と、8つの円筒壁104と、4つのアッパクランプホルダ105と、2つの係合片106と、を備える。バルブカバー100は、例えば、樹脂材料により成形されている。
【0063】
中間壁101及び上壁102は、上下方向Zを厚さ方向とする板状をなしている。上壁102は、中間壁101よりも上方に位置している。周壁103は、上下方向Zを軸方向とする円筒状をなしている。周壁103は、中間壁101の外縁から下方に延びている。円筒壁104は、上下方向Zを軸方向とする円筒状をなしている。円筒壁104は、上壁102から下方に延びている。また、円筒壁104の下端及び周壁103の上端は、中間壁101を介して接続している。
【0064】
4つのアッパクランプホルダ105は、周壁103から第1方向Xに突出している。4つのアッパクランプホルダ105は、第1方向X及び第2方向Yに2つずつ並んでいる。アッパクランプホルダ105は、第2方向Yを板厚方向とする2つのガイドプレート107と、2つのガイドプレート107を第2方向Yに接続する係合部108と、を有する。2つのガイドプレート107は、第2方向Yに間隔をあけて位置している。図15に示す側面視において、係合部108の外形線は、ガイドプレート107に隠れている。この点で、2つのガイドプレート107の間には溝が存在している。係合部108は、第1係合面108a、第2係合面108b及び第3係合面108cを有する。第1係合面108aは、上下方向Zに延びる平面である。第2係合面108bは、上方に進むにつれて、バルブカバー100の中央部に向かうように湾曲する曲面である。第3係合面108cは、バルブカバー100の中央部に向かうにつれて、下方に進むように傾く平面である。また、第2係合面108bは、第1係合面108a及び第2係合面108bを接続している。
【0065】
2つの係合片106は、上下方向Zを厚さ方向とする板状をなしている。2つの係合片106は、周壁103から径方向に突出している。一方の係合片106の突出方向は、他方の係合片106の突出方向の逆方向となっている。係合片106の先端面の周方向における中央部は、当該先端面の周方向における両端部に対して凹んでいる。
【0066】
<クランプ110>
図2に示すように、クランプ110は長尺な棒状をなしている。クランプ110は、例えば、弾性変形可能な金属線材を曲げ加工することにより成形されている。クランプ110の弾性率は、ロータリバルブ30の組立作業者がクランプ110を弾性変形させることができる程度の弾性率であることが好ましい。ここで、組立作業者は、人であってもよいしロボットであってもよい。クランプ110は、第1係止部111と、2つの第2係止部112と、2つの連結部113と、を備える。
【0067】
第1係止部111は、直線状をなしている。第1係止部111は、クランプ110の長手方向における中央部に相当している。第2係止部112は、C字状に湾曲している。第2係止部112は、第2方向Yにおける側面視において、第1係止部111に向かって凸となるように丸みを帯びる曲部112aを含む。第1係止部111に向かって凸とは、曲部112aの何れかの位置における法線方向の先に第1係止部111が存在していることをいう。2つの第2係止部112は、クランプ110の長手方向における両端部に相当している。
【0068】
2つの連結部113のうちの一方の連結部113は、第1係止部111の第1端と2つの第2係止部112のうちの一方の第2係止部112とを連結している。また、2つの連結部113のうちの他方の連結部113は、第1係止部111の第2端と2つの第2係止部112のうちの他方の第2係止部112とを連結している。この点で、2つの連結部113は、「第1連結部及び第2連結部」に相当している。
【0069】
連結部113は、第1部分113aと、第1部分113aから延びる第2部分113bと、第2部分113bから延びる第3部分113cと、第3部分113cから延びる第4部分113dと、を有する。第2部分113bは、第1部分113aに対して傾いた方向に延びている。第3部分113cは、第2部分113bに対して傾いた方向に延びている。第4部分113dは、第3部分113cに対して傾いた方向に延びている。つまり、第2部分113bは第1部分113aに対して屈曲し、第3部分113cは第2部分113bに対して屈曲し、第4部分113dは第3部分113cに対して屈曲している。本実施形態では、第2部分113bの長手方向及び第4部分113dの長手方向は同じ方向となっている。このように、連結部113は複数箇所にわたって屈曲している。このため、連結部113の長さは、第1係止部111及び第2係止部112を結ぶ線分よりも長くなっている。
【0070】
こうした点で、第2部分113b及び第3部分113cは「第1直線部及び第2直線部」に相当しているといえる。また、第3部分113c及び第4部分113dは「第1直線部及び第2直線部」に相当しているといえる。なお、第2部分113bは第1部分113aに対して湾曲していてもよい。つまり、図2に示す場合よりも、第1部分113a及び第2部分113bの接続部位における曲率半径は大きくてもよい。第2部分113b及び第3部分113cの接続部位並びに第3部分113c及び第4部分113dの接続部位についても同様である。
【0071】
<ロアピストン120>
図4図6及び図16に示すように、ロアピストン120は、本体部121と、第1シール122と、第2シール123と、を備える。本体部121は、例えば、樹脂材料により成形され、第1シール122及び第2シール123は、例えば、ゴムなどのエラストマーによって成形されている。
【0072】
本体部121は、底壁124と、第1周壁125と、第1支持壁126と、第1挟持壁127と、第2周壁128と、2つの第2挟持壁129と、を有する。
底壁124は、上下方向Zを軸方向とする円板状をなしている。底壁124は、底壁124の中央部を上下方向Zに貫通する連通路124aを有する。連通路124aの内径は、ロアシリンダ40のノズル43の内径よりも小さくなっている。言い換えれば、連通路124aは細孔となっている。連通路124aの形成位置及び連通路124aの形成数は、適宜に変更可能である。
【0073】
第1周壁125は、上下方向Zを軸方向とする円筒状をなしている。第1周壁125は、底壁124の外縁から上方に延びている。第1支持壁126及び第1挟持壁127は、上下方向Zを厚さ方向とする板状をなしている。第1支持壁126及び第1挟持壁127は、上下方向Zにおける平面視において、環状をなしている。第1支持壁126は、第1周壁125の上下方向Zにおける中央部から径方向における外方に向かって延びている。第1支持壁126は、上下方向Zと直交するシール支持面126aを有する。シール支持面126aは、第1支持壁126の上面である。第1挟持壁127は、第1周壁125の上端から径方向における外方に向かって延びている。この点で、第1挟持壁127は、第1支持壁126と上下方向Zに対向している。第1挟持壁127は「挟持部」に相当している。
【0074】
第2周壁128は、上下方向Zを軸方向とする円筒状をなしている。第2周壁128は、第1支持壁126の径方向における中央部から下方に延びている。2つの第2挟持壁129は、上下方向Zを厚さ方向とする板状をなしている。2つの第2挟持壁129は、上下方向Zにおける平面視において、環状をなしている。2つの挟持壁は、上下方向Zに間隔をあけた状態で、第2周壁128から径方向における外方に向かって延びている。
【0075】
第1シール122は「ロアシール」に相当している。第1シール122は環状をなすとともに、第1シール122の周方向と直交する断面形状はI字状をなしている。詳しくは、第1シール122は、径方向における内側部分である内径部122aと、径方向における外側部分である外径部122bと、内径部122a及び外径部122bを径方向に接続する中間部122cと、を有する。
【0076】
上下方向Zにおいて、内径部122a及び外径部122bの厚さは同等である。上下方向Zにおいて、中間部122cの厚さは、内径部122a及び外径部122bの厚さ未満である。よって、中間部122cは、内径部122a及び外径部122bよりも薄肉である。また、第1シール122は、上下対称な形状をなしている。このため、中間部122cの上面は内径部122a及び外径部122bに対して下方に凹んでいるとともに、中間部122cの下面は内径部122a及び外径部122bに対して上方に凹んでいる。言い換えれば、第1シール122の上面及び下面には、環状の凹部が設けられている。径方向において、中間部122cの長さは、内径部122a及び外径部122bの長さよりも長くなっている。また、径方向において、中間部122cの長さは、センターシリンダ50の対向部53の先端部の径方向における幅よりも長くなっている。詳しくは、中間部122cの内径は、センターシリンダ50の対向部53の内径よりも小さく、中間部122cの外径は、センターシリンダ50の対向部53の外径よりも大きくなっている。中間部122cは「たわみ部」に相当している。
【0077】
第1シール122は、本体部121の第1周壁125、第1支持壁126及び第1挟持壁127に支持されている。詳しくは、第1シール122には、第1周壁125が挿入されている。また、第1シール122は、第1支持壁126に載置されている。このとき、第1シール122の内径部122a及び外径部122bは、シール支持面126aに接しているが、第1シール122の中間部122cは、シール支持面126aに接していない。この点で、上下方向Zにおいて、第1シール122の中間部122cと第1支持壁126のシール支持面126aとの間には隙間が存在している。
【0078】
上下方向Zにおいて、第1シール122の内径部122aの厚さは、第1支持壁126及び第1挟持壁127の間隔よりも小さくなっている。このため、上下方向Zにおいて、第1挟持壁127と第1シール122の内径部122aとの間には隙間が存在している。本実施形態では、上下方向Zにおいて、シール支持面126aと第1挟持壁127との間に第1シール122の内径部122aが存在していることを、シール支持面126aと第1挟持壁127とが第1シール122を上下方向Zに挟んでいるという。つまり、第1支持壁126のシール支持面126aと第1挟持壁127とが第1シール122を上下方向Zに挟んでいる状態は、第1挟持壁127が第1シール122に接していない状態を含む。
【0079】
第1シール122の内径は、第1周壁125の外径よりも大きくなっている。このため、第1シール122の内端と第1周壁125との間には隙間が存在している。第1シール122の外径は、第1支持壁126の外径よりも小さくなっている。このため、上下方向Zにおける平面視において、第1シール122は、第1支持壁126から径方向における外方にはみ出ていない。
【0080】
第2シール123は、上下方向Zを軸方向とする環状をなしている。第2シール123の周方向と直交する断面形状は、V字状をなしている。第2シール123は、第2周壁128及び2つの第2挟持壁129に支持されている。詳しくは、第2シール123には、第2周壁128が挿入されている。また、第2シール123は、上下方向Zにおいて、2つの第2挟持壁129に挟まれている。
【0081】
<センターピストン130>
図4図6図17に示すように、センターピストン130は、本体部131と、軸部132と、フランジ133と、複数の補強リブ134と、2つの突出部135と、第3シール136と、を備える。また、センターピストン130は、内部流路137を有する。センターピストン130は第3シール136を除き、例えば、樹脂材料によって成形されている。第3シール136は、例えば、ゴムなどのエラストマーによって成形されている。
【0082】
本体部131は、上下方向Zを軸方向とする円板状をなしている。本体部131は、本体部131の外周面から本体部131の中心軸線に向かって凹む収容溝131aを有する。軸部132は、上下方向Zを軸方向とする円柱状をなしている。軸部132は、本体部131の中央部から上方に延びている。内部流路137は、本体部131と軸部132とを上下方向Zに貫通している。フランジ133は、上下方向Zを厚さ方向とする板状をなしている。フランジ133は、軸部132の上下方向Zにおける中央部から径方向における外方に向かって延びている。複数の補強リブ134は、上下方向Zと直交する方向を厚さ方向とする板状をなしている。複数の補強リブ134は、本体部131と軸部132とフランジ133とに接続している。2つの突出部135は、軸部132の先端から径方向における外方に突出している。一方の突出部135が軸部132に対して延びる方向は、他方の突出部135が軸部132に対して延びる方向の逆方向となっている。第3シール136は環状をなしている。第3シール136の周方向と直交する断面形状はV字状をなしている。第3シール136は、本体部131の収容溝131aに嵌っている。
【0083】
<圧力調整部140>
図4図6図18に示すように、圧力調整部140は、摺動リング141と、2つの操作レバー142と、を備える。圧力調整部140は、例えば、樹脂材料によって成形されている。なお、図18に示す第1周方向C1及び第2周方向C2は、図18に図示される摺動リング141の手前側の部分を基準とする周方向である。
【0084】
摺動リング141は、上下方向Zを板厚方向とする環状をなしている。摺動リング141は、上方を向く面として、複数の第1上面141a、複数の第2上面141b、複数の第3上面141c及び複数の第4上面141dを有する。第1上面141a、第2上面141b、第3上面141c及び第4上面141dの形成数は、ロアガイド60の第1規制面63a、案内面63b及び第2規制面63cの形成数と対応している。複数の第1上面141a、複数の第2上面141b、複数の第3上面141c及び複数の第4上面141dは、第2周方向C2に順番に並んでいる。第1上面141a及び第3上面141cは、上下方向Zと直交する面である。第1上面141aは、第3上面141cよりも上方に位置している。周方向において、第1上面141aは、第3上面141cよりも短くなっている。第2上面141b及び第4上面141dは、上下方向Zと交差する面である。第2上面141bは、第2周方向C2に進むにつれて下方に向かうように傾いている。第2上面141bは、第1上面141a及び第2上面141bを周方向に接続している。第4上面141dは、第2周方向C2に進むにつれて上方に向かうように傾いている。第4上面141dの上下方向Zに対する傾きは、第2上面141bの上下方向Zに対する傾きよりも急勾配となっている。第4上面141dは、第3上面141c及び第1上面141aを周方向に接続している。
【0085】
2つの操作レバー142は、摺動リング141から径方向における外方に延びている。摺動リング141に対する一方の操作レバー142の延びる方向は、摺動リング141に対する他方の操作レバー142の延びる方向の逆方向となっている。操作レバー142は、摺動リング141から径方向に延びるアーム143と、アーム143の先端から上下方向Zに延びる取手144と、を有する。本実施形態において、アーム143及び取手144は、直方体状をなしている。他の実施形態において、アーム143及び取手144は他の形状であってもよい。例えば、取手144はユーザの操作しやすい形状であればよい。
【0086】
<ボスベース150とストッパリング160>
図4図6に示すように、ボスベース150は、上下方向Zを軸方向とする円筒状をなしている。ボスベース150は、4つのボス151を有する。また、ボスベース150は、2つの係合凹部152を有する。ボスベース150は、例えば、樹脂材料によって成形されている。
【0087】
4つのボス151は、ボスベース150の外周面から径方向における外方に向かって突出している。4つのボス151は、ボスベース150の周方向に対して等間隔に位置している。4つのボス151の上下方向Zにおける形成位置は等しくなっている。1つのボス151を突出方向から正面視したとき、当該ボス151は台形状をなしている。このとき、ボス151の上底及び下底に相当する辺は上下方向Zに延びている。
【0088】
ボス151は、突出方向と直交する面として、第1カム面151a、第2カム面151b及び第3カム面151cを有する。第1カム面151aは、第2周方向C2に進むにつれて上方に向かうように傾いている。第2カム面151bは、第2周方向C2に進むにつれて下方に向かうように傾いている。第3カム面151cは、上下方向Zに延びている。第3カム面151cは、第1カム面151aの下端及び第2カム面151bの上端を接続している。第1カム面151aの上下方向Zに対する傾きは、ロアガイド60の第1摺動面61aの上下方向Zにおける傾きと同等となっている。同様に、第2カム面151bの上下方向Zに対する傾きは、アッパガイド70の第1摺動面72aの上下方向Zに対する傾きと同等となっている。
【0089】
2つの係合凹部152は、ボスベース150の外周面からボスベース150の中心軸線に向かって凹んでいる。2つの係合凹部152は、ボスベース150の上下方向Zにわたって設けられている。このため、ボスベース150の外周面は、周方向において、2つの係合凹部152によって分離している。2つの係合凹部152は、周方向に対して等間隔に位置している。
【0090】
図4図6に示すように、ストッパリング160は、上下方向Zを軸方向とする環状をなしている。ストッパリング160は、上下方向Zを板厚方向としている。ストッパリング160の板厚は一定となっている。ストッパリング160は、例えば、樹脂材料によって成形されている。
【0091】
<押圧部170>
図3図5図19に示すように押圧部170は、環状プレート171と、4つの係止部172と、2つの係合片173と、を備える。押圧部170は、例えば、金属材料又は樹脂材料によって成形されている。
【0092】
環状プレート171は、上下方向Zを厚さ方向とする板状をなしている。環状プレート171は、上下方向Zにおける平面視において、環状をなしている。環状プレート171は、上方に突出する摺動突起171aを有する。摺動突起171aは、上下方向Zにおける平面視において環状をなしている。つまり、摺動突起171aは周方向に対して一様な断面形状を有している。摺動突起171aの周方向と直交する断面形状は半円状をなしている。
【0093】
4つの係止部172は、環状プレート171の外縁から延びている。4つの係止部172は、環状プレート171の周方向に対して間隔をあけて並んでいる。係止部172は、環状プレート171の外縁から下方に進むにつれて径方向における外方に向かうように延びている。つまり、係止部172の延びる方向は、上下方向Z及び径方向の両方向に対して傾いている。係止部172の先端は、爪状をなしている。2つの係合片173は、上下方向Zを厚さ方向とする板状をなしている。2つの係合片173は、環状プレート171から径方向に突出している。一方の係合片173の突出方向は、他方の係合片173の突出方向の逆方向となっている。係合片173の先端面の周方向における中央部は、当該先端面の周方向における両端部に対して凹んでいる。4つの係止部172と2つの係合片74とは、上下方向Zと交差する方向に延びる「延設部」に相当している。
【0094】
<ロータリ180>
図3図5図20図21に示すように、ロータリ180は、回転部181と、切換弁190と、第4シール201と、第5シール202と、を備える。回転部181は、例えば、樹脂材料によって成形されている。第4シール201及び第5シール202は、例えば、ゴムなどのエラストマーによって成形されている。
【0095】
回転部181は、本体部182と、摺動軸183と、支持軸184と、2つの伝達軸185と、を有する。また、回転部181は、内部流路186を有する。
本体部182は、上下方向Zを軸方向とする円板状をなしている。本体部182は、収容凹部187と、保持溝188と、を有する。収容凹部187は、本体部182の外周面から本体部182の中心軸線に向かって凹んでいる。収容凹部187は、直方体状をなす空間である。保持溝188は、本体部182の上面から下方に凹んでいる。上下方向Zにおける平面視において、保持溝188は矩形状をなしている。保持溝188には、環状をなす第4シール201が嵌っている。
【0096】
摺動軸183は、上下方向Zを軸方向とする円柱状をなしている。摺動軸183は、本体部182の下面の中央部から下方に延びている。摺動軸183は、保持溝189を有する。保持溝189は、上下方向Zを軸方向とする環状をなしている。保持溝189は、摺動軸183の先端部に設けられている。保持溝189には、環状をなす第5シール202が嵌っている。支持軸184は、上下方向Zを軸方向とする円筒状をなしている。支持軸184は、本体部182の上面の中央部から上方に延びている。2つの伝達軸185は、径方向を厚さ方向とする板状をなしている。2つの伝達軸185は、本体部182の下面から下方に延びている。2つの伝達軸185は、回転部181の径方向に等間隔に位置している。
【0097】
内部流路186は、回転部181の内部に設けられている。内部流路186は、摺動軸183を上下方向Zに延びる部分と、本体部182を径方向に延びる部分と、本体部182を上下方向Zに延びる部分と、を有する。内部流路186は、摺動軸183の下端と保持溝188の内側と収容凹部187とに開口している。以降の説明では、内部流路186の摺動軸183の下端における開口を「給気口186a」といい、本体部182の保持溝188の内側における開口を「接続口186b」といい、本体部182の収容凹部187における開口を「排気口186c」という。
【0098】
切換弁190は、弁体191と、ホルダ192と、を有する。弁体191は、適度な弾性を有するゴム又は樹脂などのエラストマーであることが好ましい。ホルダ192は、径方向における外方に突出する摺動凸部193を含む。摺動凸部193は、突出方向と直交する断面形状が楕円状をなしている。摺動凸部193の先端面は、周方向に沿う第1外面193aと、周方向と交差する第2外面193bと、を含む。第2外面193bは、第1外面193aから第1周方向C1にずれて位置している。切換弁190は、弁体191を内部流路186の排気口186cに向けた状態で、本体部182の収容凹部187に収容されている。また、切換弁190は、本体部182の収容凹部187の内部で、本体部182の径方向に移動可能となっている。
【0099】
<流路切換部210>
図3図5図22に示すように、流路切換部210は、切換プレート211と、支持軸212と、操作レバー213と、を有する。流路切換部210は、例えば、樹脂材料によって成形されている。
【0100】
切換プレート211は、上下方向Zを軸方向とする円板状をなしている。切換プレート211は、8つの第1連通孔211a、3つの第2連通孔211b及び5つの第3連通孔211cと、を有する。8つの第1連通孔211a、3つの第2連通孔211b及び5つの第3連通孔211cは、切換プレート211を軸方向に貫通している。8つの第1連通孔211a、3つの第2連通孔211b及び5つの第3連通孔211cの中心から切換プレート211の中心までの距離は全て等しくなっている。8つの第1連通孔211a、3つの第2連通孔211b及び5つの第3連通孔211cは、同じ大きさの円孔である。
【0101】
8つの第1連通孔211aは、切換プレート211の周方向に等間隔に位置している。切換プレート211の中心軸線を基準とした8つの第1連通孔211aの周方向における形成間隔は45°である。
【0102】
3つの第2連通孔211bから第2周方向C2にずれた位置には3つの第1連通孔211aが位置している。これらの3つの第1連通孔211aから第2周方向C2に同じ距離だけずれた位置には孔が存在していない。切換プレート211の中心軸線を基準とした3つの第2連通孔211bの周方向における形成間隔は45°である。また、切換プレート211の中心軸線を基準とした隣り合う第1連通孔211a及び第2連通孔211bの周方向における形成間隔は15°である。
【0103】
5つの第3連通孔211cから第1周方向C1にずれた位置には5つの第1連通孔211aが位置している。これらの5つの第1連通孔211aから第1周方向C1に同じ距離だけずれた位置には孔が存在していない。切換プレート211の中心軸線を基準とした5つの第3連通孔211cの周方向における形成間隔は45°である。また、切換プレート211の中心軸線を基準とした隣り合う第1連通孔211a及び第3連通孔211cの周方向における形成間隔は15°である。以上より、8つの第1連通孔211aのうちの3つの第1連通孔211aは3つの第2連通孔211bと周方向に隣り合っている。また、8つの第1連通孔211aのうちの残りの5つの第1連通孔211aは5つの第3連通孔211cと周方向に隣り合っている。
【0104】
支持軸212は、上下方向Zを軸方向とする円柱状をなしている。支持軸212は、切換プレート211の中心部から上方及び下方に延びている。
2つの操作レバー213は、切換プレート211から径方向における外方に延びている。操作レバー213は、径方向に延びる延設部214と、延設部214の先端から上下方向Zに延びる取手215と、を有する。本実施形態において、延設部214及び取手215は、直方体状をなしている。他の実施形態において、延設部214及び取手215は、他の形状であってもよい。例えば、取手215はユーザの操作しやすい形状であればよい。
【0105】
<中間シール220,230>
図3図5に示すように、第1中間シール220及び第2中間シール230は、基部221と、8つの第1凸部222と、8つの第2凸部223と、を備える。また、第1中間シール220及び第2中間シール230は、8つの第3接続孔224を有する。本実施形態において、第1中間シール220及び第2中間シール230は同一の形状である。第1中間シール220及び第2中間シール230は、ゴムなどのエラストマーによって成形されている。
【0106】
基部221は、上下方向Zを軸方向とする環状をなしている。基部221の内径は、第1バルブケース80の第1環状凹部84及び第2バルブケース90の第2環状凹部94の内径と略等しくなっている。基部221の外径は、第1バルブケース80の第1環状凹部84及び第2バルブケース90の第2環状凹部94の外径と略等しくなっている。基部221の板厚は、第1バルブケース80の第1環状凹部84及び第2バルブケース90の第2環状凹部94の深さよりも厚くなっている。
【0107】
8つの第1凸部222は、基部221の板厚方向と直交する2つの端面のうちの一方の端面から突出し、8つの第2凸部223は、基部221の板厚方向と直交する端面のうちの他方の端面から突出している。第1凸部222及び第2凸部223の突出方向は、基部221の板厚方向と一致している。第1凸部222及び第2凸部223は、切換プレート211の板厚方向を軸方向とする円筒状をなしている。8つの第1凸部222及び8つの第2凸部223は、基部221の周方向に等間隔に並んでいる。基部221の板厚方向において、8つの第1凸部222の形成位置及び8つの第2凸部223の形成位置は、それぞれ一致している。第1凸部222の先端面は静的なシール面となるため、第1凸部222の先端部は平面状をなしていることが好ましい。第2凸部223の先端面は動的なシール面となるため、第2凸部223の先端部は曲面状をなしていることが好ましい。
【0108】
8つの第3接続孔224は、基部221を板厚方向に貫通している。また、8つの第3接続孔224は、8つの第1凸部222をそれぞれ貫通するとともに、8つの第2凸部223をそれぞれ貫通している。言い換えれば、8つの第3接続孔224の一方の開口は、8つの第1凸部222の先端面に開口し、8つの第3接続孔224の他方の開口は、8つの第2凸部223の先端面に開口している。
【0109】
<ロータリバルブ30の構成部品の係合関係>
図3図6図23図24を参照して、ロータリバルブ30の構成部品の係合関係について説明する。図23及び図24は、ロータリバルブ30の組立後の状態を示している。図24は、図23におけるA-A線矢視端面図である。
【0110】
ロータリバルブ30の外側の構成部品の係合関係について説明する。
図4図6図24に示すように、センターシリンダ50は、ロアシリンダ40の上部に積層されている。センターシリンダ50は、ロアシリンダ40に対して、上下方向Zに延びる軸線回りに回転不能となっている。センターシリンダ50の内部空間とロアシリンダ40の内部空間とは、センターシリンダ50の貫通孔55を介して接続している。図示を省略するが、ロアシリンダ40のノズル43は、供給チューブ24を介して、ポンプ22に接続される。
【0111】
ロアガイド60は、センターシリンダ50の上部に積層されている。ロアガイド60は、センターシリンダ50に対して、上下方向Zに延びる軸線回りに回転不能となっている。ロアガイド60の2つの係合片64は、センターシリンダ50の2つの係合片54と上下方向Zにそれぞれ並んでいる。
【0112】
図3図5図24に示すように、アッパガイド70は、ロアガイド60の上部に積層されている。アッパガイド70は、ロアガイド60に対して、上下方向Zに延びる軸線回りに回転不能となっている。図3図6に示すように、上下方向Zにおいて、アッパガイド70の複数の第1摺動面72a及び複数の第2摺動面72bは、ロアガイド60の複数の第1摺動面61a及び複数の第2摺動面61bと対向している。このとき、アッパガイド70の第1摺動面72aは、ロアガイド60の第1摺動面61aに対して周方向にずれている。つまり、上下方向Zにおいて、アッパガイド70の1つの第1摺動面72aは、ロアガイド60の2つの第1摺動面61aの一部と当該2つの第1摺動面61aの間に位置する1つの第2摺動面61bと対向している。アッパガイド70の2つの係合片74は、ロアガイド60の2つの係合片64と上下方向Zにそれぞれ並んでいる。
【0113】
図3図5図24に示すように、第1バルブケース80は、アッパガイド70の上部に積層されている。第1バルブケース80は、アッパガイド70に対して、上下方向Zに延びる軸線回りに回転不能となっている。第1バルブケース80の2つの係合片83は、アッパガイド70の2つの係合片74と上下方向Zにそれぞれ並んでいる。
【0114】
第2バルブケース90は、第1バルブケース80の上部に積層されている。第2バルブケース90は、第1バルブケース80に対して、上下方向Zに延びる軸線回りに回転不能となっている。このとき、第2バルブケース90の複数の第2接続孔96の中心軸線及び第1バルブケース80の複数の第1接続孔86の中心軸線は、それぞれ一致している。
【0115】
以降の説明では、第1バルブケース80の複数の第1接続孔86及び第2バルブケース90の複数の第2接続孔96を含んで構成される流路を接続流路33(33a~33h)という。本実施形態において、接続流路33の数は空気袋21の数と同数の8つである。また、第1バルブケース80の開口面81aは、8つの第1接続孔86の上流端が開口する面であるとともに、8つの接続流路33が開口する面でもある。
【0116】
バルブカバー100は、第2バルブケース90の上部に積層されている。バルブカバー100は、第2バルブケース90に対して、上下方向Zに延びる軸線回りに回転不能となっている。バルブカバー100の2つの係合片106は、アッパガイド70の2つの係合片74と上下方向Zにそれぞれ並んでいる。バルブカバー100の8つの円筒壁104には、8つの接続チューブ23がそれぞれ接続される。その結果、8つの接続チューブ23は、第2バルブケース90の8つの第2接続孔96とそれぞれ接続される。つまり、8つの接続流路33の下流端は、8つの接続チューブ23を介して、8つの空気袋21にそれぞれ接続される。
【0117】
図1に示すように、2つのクランプ110は、ロアケース31における最も下方に位置するロアシリンダ40と、アッパケース32における最も上方に位置するバルブカバー100と、に係止している。詳しくは、クランプ110の第1係止部111は、ロアシリンダ40の2つのロアクランプホルダ44に係止している。一方、クランプ110の2つの第2係止部112は、バルブカバー100の2つのアッパクランプホルダ105に係止している。こうして、2つのクランプ110は、積層されたロアケース31及びアッパケース32を上下方向Zに挟んでいる。
【0118】
ロータリバルブ30の内側の構成部品の係合関係について説明する。
図4図6図24に示すように、ロアピストン120は、上下方向Zに移動可能にロアシリンダ40に収容されている。ロアピストン120は、上下方向Zにおいて、ロアシリンダ40の底壁41及びセンターシリンダ50の底壁51の間に位置している。ロアピストン120の第2シール123は、ロアシリンダ40の周壁42に接している。こうして、ロアピストン120は、ロアシリンダ40とともに、第1空気室SP1を区画している。ロアピストン120の第1シール122は、上下方向Zにおいて、センターシリンダ50の対向部53と対向している。詳しくは、第1シール122の中間部122cは、上下方向Zにおいて、センターシリンダ50の対向部53と対向している。
【0119】
第1スプリング241は、ロアピストン120の底壁124とセンターシリンダ50の底壁51との間に、上下方向Zに圧縮した状態で配置されている。つまり、第1スプリング241は、ロアピストン120を下方に付勢している。言い換えれば、第1スプリング241は、第1空気室SP1の容積が減少する方向にロアピストン120を付勢している。
【0120】
センターピストン130は、上下方向Zに移動可能にセンターシリンダ50とロアガイド60とアッパガイド70とに収容されている。センターピストン130の第3シール136は、センターシリンダ50の周壁52に接している。こうして、センターピストン130は、ロアシリンダ40とセンターシリンダ50とロアピストン120とともに第2空気室SP2を区画している。第2空気室SP2は、ロアピストン120の連通路124aを介して、第1空気室SP1に接続している。図24に示すように、ロアピストン120が下降した状態では、第2空気室SP2はロアシリンダ40の排気孔46を介して外気に接続している。以降の説明では、図24に示すロアピストン120の位置を第2空気室SP2と排気孔46とを接続する「接続位置」という。
【0121】
図4図6図24に示すように、圧力調整部140は、上下方向Zに移動可能にロアガイド60に収容されている。詳しくは、圧力調整部140の摺動リング141は、ロアガイド60の内周壁61及び外周壁62の間に位置している。図24に示す圧力調整部140の位置は、上下方向Zにおける圧力調整部140の移動範囲において、最も上方の位置である「第1調整位置」である。
【0122】
図25に実線で示すように、圧力調整部140が第1調整位置に位置する場合、圧力調整部140の第1上面141aはロアガイド60の第1規制面63aに接し、圧力調整部140の第2上面141bはロアガイド60の第1案内面63b1に接している。図2に示すように、圧力調整部140の2つの操作レバー142は、ロアガイド60の2つの開口部65を介してそれぞれ露出している。言い換えれば、圧力調整部140の2つの操作レバー142は、ロアガイド60を貫通している。
【0123】
図4図6図24に示すように、第2スプリング242は、センターシリンダ50とロアガイド60とに収容されている。第2スプリング242は、センターピストン130と圧力調整部140との間に、上下方向Zに圧縮した状態で位置している。つまり、第2スプリング242は、センターピストン130を下方に付勢している。また、第2スプリング242がセンターピストン130を下方に押す力の反力は、圧力調整部140に作用している。第2スプリング242は「ピストンスプリング」に相当している。
【0124】
ボスベース150とストッパリング160とは、センターピストン130に支持されている。詳しくは、ボスベース150とストッパリング160とには、センターピストン130の軸部132が挿入されている。このとき、ストッパリング160は、センターピストン130の突出部135に係合している。こうして、ストッパリング160は、センターピストン130のフランジ133とともに、ボスベース150を上下方向Zに挟んでいる。その結果、ボスベース150は、センターピストン130に対して、上下方向Zに延びる軸線回りに相対回転可能となっている。一方、ボスベース150は、センターピストン130とともに上下方向Zに移動可能となっている。
【0125】
ボスベース150は、ロアガイド60とアッパガイド70との内側に位置している。図示されていないが、ボスベース150の4つのボス151は、上下方向Zにおいて、ロアガイド60の複数の第1摺動面61a及び複数の第2摺動面61bとアッパガイド70の複数の第1摺動面72a及び複数の第2摺動面72bとの間に位置している。
【0126】
押圧部170は、摺動突起171aを上方に向けた状態で、アッパガイド70と第1バルブケース80との間に配置されている。このとき、押圧部170の環状プレート171は、アッパガイド70の底壁71と上下方向Zに対向している。図1に示すように、押圧部170の4つの係止部172は、それぞれ4つの係止孔75を介して、アッパガイド70に係止している。このため、押圧部170の4つの係止部172の先端は、アッパガイド70を貫通している。図24に示すように、押圧部170の2つの係合片173は、アッパガイド70の2つの規制孔76を介して、アッパガイド70の外周壁73から径方向における外方に突出している。このため、押圧部170の2つの係合片173の先端は、アッパガイド70を貫通している。また、押圧部170の2つの係合片173は、アッパガイド70の2つの係合片74にそれぞれ重なっている。
【0127】
押圧部170は、4つの係止部172及び2つの係合片173がアッパガイド70に係合しているため、アッパガイド70に対して、上下方向Zに延びる軸線回りに回転できなくなっている。この点で、アッパガイド70の4つの係止孔75及び2つの規制孔76は、押圧部170の上下方向Zに延びる軸線回りの回転を規制する「回転規制部」に相当している。ここで、押圧部170の回転が規制されているとは、押圧部170が一切回転しないことを含むとともに、押圧部170が製造誤差などに起因して僅かに回転することを含むとする。押圧部170の係止部172をアッパガイド70に係止させる場合には、係止部172が一時的に弾性変形する。言い換えれば、押圧部170の係止部172は、スナップフィットにより、アッパガイド70に係止している。
【0128】
図3図5図24に示すように、第3スプリング243は、アッパガイド70に収容されている。詳しくは、第3スプリング243は、アッパガイド70の底壁71と押圧部170の環状プレート171との間に、上下方向Zに圧縮された状態で配置されている。つまり、第3スプリング243は、押圧部170を上方に付勢している。ロータリバルブ30の組立時には、アッパガイド70と押圧部170と第3スプリング243とが事前に一体化される。上述したように、押圧部170の4つの係止部172は、それぞれ4つの係止孔75を介して、アッパガイド70に係止している。このため、第3スプリング243の復元力が押圧部170に作用しても、押圧部170がアッパガイド70から脱落することが抑制される。こうした点で、押圧部170の4つの係止部172は、アッパガイド70に対して係止可能となっている。
【0129】
一体化されたアッパガイド70と押圧部170と第3スプリング243とにおいて、押圧部170は、押圧部170の係合片173がアッパガイド70の係合片74に接するまで、第3スプリング243を圧縮する方向に変位できる。一方、押圧部170は、アッパガイド70の係止孔75を通過する押圧部170の係止部172がアッパガイド70の底壁71に係止するまで、第3スプリング243が復元する方向に変位できる。
【0130】
ロータリ180は、上下方向Zに延びる軸線回りに回転可能にアッパガイド70と第1バルブケース80とに収容されている。以降の説明では、アッパガイド70と第1バルブケース80とにおけるロータリ180を収容する空間、つまり、アッパケース32におけるロータリ180を収容する空間を「収容室SP3」という。収容室SP3は、アッパガイド70の4つの係止孔75及び4つの規制孔76を介して、外気に接続している。
【0131】
ロータリ180の摺動軸183は、センターピストン130の軸部132に上方から挿入している。ロータリ180の第5シール202は、センターピストン130の軸部132の内周面に接している。こうして、ロータリ180の内部流路186は、センターピストン130の内部流路137を介して、第2空気室SP2に接続している。
【0132】
ロータリ180の支持軸184は、第1バルブケース80の第1支持孔87に挿入されている。こうして、ロータリ180は、センターピストン130と第1バルブケース80とに対して、上下方向Zに延びる軸線回りに回転可能となっている。図5に示すロータリ180の2つの伝達軸185は、図6に示すボスベース150の2つの係合凹部152にそれぞれ挿入している。このため、ロータリ180は、ボスベース150とともに、上下方向Zに延びる軸線回りに回転可能となっている。
【0133】
図3図5図24に示すように、ロータリ180の本体部182は、上下方向Zにおいて、第1バルブケース80の中間壁81と押圧部170との間に位置している。また、ロータリ180の本体部182は、径方向において、第1バルブケース80の周壁82の内側に位置している。ロータリ180は、第3スプリング243に付勢される押圧部170によって、第1バルブケース80の開口面81aに押し付けられている。このため、ロータリ180の第4シール201は、ロータリ180の保持溝188と第1バルブケース80の開口面81aとの間で圧縮変形している。ロータリ180が回転する場合には、ロータリ180が第1バルブケース80の開口面81aに押し付けられた状態で回転する。このとき、ロータリ180の第4シール201は、第1バルブケース80の開口面81aと摺動する。こうした点で、第3スプリング243は「ロータリスプリング」に相当している。また、図3及び図5に示すように、ロータリ180の摺動凸部193は、径方向において、第1バルブケース80の周壁82の内側面と対向する。
【0134】
図3図5図24に示すように、流路切換部210と第1中間シール220及び第2中間シール230とは、第1バルブケース80と第2バルブケース90との間に配置されている。つまり、流路切換部210と第1中間シール220及び第2中間シール230とは、アッパケース32に収容されている。
【0135】
第1中間シール220は、第1バルブケース80の第1環状凹部84に配置されている。このとき、第1中間シール220の8つの第1凸部222は、第1バルブケース80の8つの第1円形凹部85にそれぞれ嵌っている。こうして、第1中間シール220は、第1バルブケース80に対して、上下方向Zに延びる軸線回りに回転できなくなっている。同様に、第2中間シール230は、第2バルブケース90の第2環状凹部94に配置されている。このとき、第2中間シール230の8つの第1凸部222は、第2バルブケース90の8つの第2円形凹部95にそれぞれ嵌っている。こうして、第2中間シール230は、第2バルブケース90に対して、上下方向Zに延びる軸線回りに回転できなくなっている。以上より、第1中間シール220は、8つの第2凸部223が突出する面を上面とし、第2中間シール230は、8つの第2凸部223が突出する面を下面としている。
【0136】
流路切換部210は、第1中間シール220及び第2中間シール230の間に配置されている。流路切換部210の支持軸212は、第1バルブケース80の第1支持孔87及び第2バルブケース90の第2支持孔97に挿入している。こうして、流路切換部210は、第1中間シール220及び第2中間シール230に上下方向Zに挟まれた状態で、上下方向Zに延びる軸線回りに回転可能となっている。図2に示すように、流路切換部210の操作レバー213は、第1バルブケース80の開口部88を介して露出している。言い換えれば、流路切換部210の操作レバー213は、第1バルブケース80を貫通している。図24に示す流路切換部210の周方向における位置は、第1選択位置となっている。
【0137】
図26に示すように、流路切換部210が第1選択位置に位置する場合、流路切換部210の8つの第1連通孔211aを介して、第1中間シール220の8つの第3接続孔224及び第2中間シール230の8つの第3接続孔224がそれぞれ接続されている。つまり、流路切換部210が第1選択位置に位置する場合、流路切換部210の8つの第1連通孔211aを介して、第1バルブケース80の8つの第1接続孔86及び第2バルブケース90の8つの第2接続孔96がそれぞれ接続されている。つまり、圧力調整部140は、第1選択位置において、全ての接続流路33を接続している。この点で、第1選択位置は「全開放位置」に相当している。また、流路切換部210が第1選択位置に位置する場合、流路切換部210の操作レバー213の延設部214は、周方向において、第1バルブケース80の2つの隔離突起89の間に位置している。
【0138】
第1バルブケース80及び第2バルブケース90の間において、第1中間シール220及び第2中間シール230に作用する圧縮荷重が大きい場合を考える。この場合、流路切換部210が回転するときに、第1中間シール220及び第2中間シール230との間で発生する摩擦力が大きくなる。つまり、流路切換部210が円滑に回転できなくなるおそれがある。その一方で、第1バルブケース80及び第2バルブケース90の間において、第1中間シール220及び第2中間シール230に作用する圧縮荷重が小さい場合を考える。この場合、流路切換部210と第1中間シール220及び第2中間シール230との間に隙間が生じるおそれがある。こうした点で、第1中間シール220及び第2中間シール230に作用する圧縮荷重は、適正な圧縮荷重であることが好ましい。
【0139】
<本実施形態の作用>
<ロータリバルブ30の基本動作>
図27図37を参照して、ロータリバルブ30が図27に示す初期状態にある状況下において、ポンプ22の駆動が開始されるときのロータリバルブ30の基本動作について説明する。なお、図27に示すロータリバルブ30の初期状態は一例である。ポンプ22の駆動を開始する直前におけるロータリバルブ30の状態は、前回のポンプ22の駆動停止時におけるロータリバルブ30の状態によって変化し得る。また、ロータリバルブ30の基本動作の説明では、圧力調整部140は第1調整位置に位置するとともに、流路切換部210は第1選択位置に位置しているとする。図28図32図35は、ロアガイド60の内周壁61の一部とアッパガイド70の外周壁73の一部とボスベース150のボス151とを抜き出した模式図である。
【0140】
図27に示すように、初期状態において、ロアピストン120は、上下方向Zにおける移動範囲において、最も下降した接続位置に位置している。このため、センターシリンダ50の対向部53とロアピストン120の第1シール122との間には隙間が存在している。その結果、第2空気室SP2は、ロアシリンダ40の排気孔46を介して、外気に接続している。
【0141】
初期状態において、センターピストン130は、上下方向Zにおける移動範囲において、最も下降している。このため、センターピストン130に支持されるボスベース150も、上下方向Zにおける移動範囲において、最も下降している。図28に示すように、初期状態において、ボスベース150のボス151は、ロアガイド60の第1摺動面61a及びストッパ面61cの双方に接している。ボスベース150のボス151がロアガイド60の第1摺動面61a及びストッパ面61cの双方に接している場合、ロータリ180は、図29に示す位置に位置している。つまり、切換弁190の摺動凸部193は、第1バルブケース80の第3内面82cに接触している。このため、切換弁190は、ロータリ180の排気口186cを閉じる閉位置に位置している。
【0142】
初期状態において、第2空気室SP2は、センターピストン130の内部流路137と、ロータリ180の内部流路186と、第1バルブケース80の第1接続孔86dと、流路切換部210の第1連通孔211aと、第2バルブケース90の第2接続孔96dと、接続チューブ23と、を介して1つの空気袋21dに接続している。また、ロータリ180の切換弁190が閉位置に位置しているため、ロータリ180の内部流路186は、排気口186cを介して、外気に接続していない。ただし、ロアピストン120が接続位置に位置しているため、第2空気室SP2は、ロアシリンダ40の排気孔46を介して、外気に接続している。したがって、初期状態において、空気袋21dは外気に接続しているため、空気袋21dの圧力は大気圧と同等である。つまり、初期状態において、空気袋21dは収縮している。
【0143】
図27に実線矢印で示すように、ポンプ22が駆動されると、第1空気室SP1に空気が供給される。すると、ロアピストン120の連通路124aを介して、第1空気室SP1から第2空気室SP2に空気が供給される。ここで、ロアピストン120の連通路124aの内径は小さいため、第1空気室SP1から第2空気室SP2に流入する空気の流量は、ポンプ22から第1空気室SP1に流入する空気の流量よりも小さくなる。つまり、ロアピストン120の連通路124aは、第1空気室SP1から第2空気室SP2に対する空気の流量を制限する。このため、ポンプ22が駆動されてからの経過時間に応じて、第1空気室SP1の圧力が増大する。一方、第2空気室SP2に供給される空気は、ロアシリンダ40の排気孔46を介して、外気に排出される。このため、第2空気室SP2の圧力は略増大しない。
【0144】
その後、第1空気室SP1の圧力の増大に伴い、第1空気室SP1の圧力とロアピストン120の受圧面積との積が、第1スプリング241がロアピストン120を付勢する力よりも大きくなると、ロアピストン120が上昇し始める。つまり、ロアピストン120に上向きに作用する力がロアピストン120に下向きに作用する力よりも大きくなると、ロアピストン120が上昇し始める。
【0145】
図30に示すように、ロアピストン120が上昇すると、ロアピストン120の第1シール122がセンターシリンダ50の対向部53に接触する。このとき、センターシリンダ50の対向部53は、ロアピストン120の第1シール122の中間部122cに接触する。その後、ロアピストン120がさらに上昇すると、センターシリンダ50の対向部53に押されることにより、ロアピストン120の第1シール122の中間部122cが下方に弾性変形する。つまり、ロアピストン120の第1シール122とセンターシリンダ50の対向部53とが密着する。その結果、第2空気室SP2は、ロアシリンダ40の排気孔46を介して、外気に接続しなくなる。以降の説明では、図30に示すロアピストン120の位置を第2空気室SP2と外気とを遮断する「遮断位置」という。遮断位置は、ロアピストン120の上下方向Zにおける移動範囲において、最も上方の位置である。
【0146】
ロアピストン120が遮断位置に位置する場合には、第2空気室SP2に流入する空気がロアシリンダ40の排気孔46を介して外気に流出しなくなる。その結果、第2空気室SP2に流入する空気が、センターピストン130の内部流路137と、ロータリ180の内部流路186と、第1バルブケース80の第1接続孔86dと、流路切換部210の第1連通孔211aと、第2バルブケース90の第2接続孔96dと、接続チューブ23と、を介して1つの空気袋21dに供給される。つまり、空気袋21dが膨張する。その後、空気袋21dの膨張に伴い、第2空気室SP2の圧力及び第2空気室SP2に接続される空間及び流路の圧力が増大し始める。
【0147】
図31に示すように、第2空気室SP2の圧力の増大に伴い、第2空気室SP2の圧力とセンターピストン130の受圧面積との積が、第2スプリング242がセンターピストン130を付勢する力よりも大きくなると、センターピストン130が上昇する。つまり、センターピストン130に上向きに作用する力が、センターピストン130に下向きに作用する力よりも大きくなると、センターピストン130が上昇する。このとき、センターピストン130は、ボスベース150とともに上昇する。
【0148】
図32に示すように、ボスベース150が上昇する場合、ボスベース150のボス151がロアガイド60に係合する状態からアッパガイド70に係合する状態に移行する。詳しくは、図32に二点鎖線矢印で示すように、ボスベース150の第1カム面151aがロアガイド60の第1摺動面61aに接する状態から、ボスベース150の第2カム面151bがアッパガイド70の第1摺動面72aに接する状態となる。ボスベース150の第2カム面151bがアッパガイド70の第1摺動面72aに接した後も、センターピストン130が上昇し続けると、図32に実線矢印で示すように、ボスベース150の第2カム面151bがアッパガイド70の第2摺動面72bと摺動する。つまり、ボスベース150は、上昇しつつ第1周方向C1に回転する。
【0149】
ボスベース150が回転する場合、ロータリ180がボスベース150とともに回転する。図32に実線で示す位置までボス151が移動すると、図33に示す位置までロータリ180が回転する。こうして、ロータリ180は、第2空気室SP2の圧力の増大時に、第1周方向C1に回転する。
【0150】
図32に示すように、ボスベース150の第2カム面151bがアッパガイド70の第1摺動面72aと摺動するときには、図33に示すように、切換弁190の摺動凸部193と第1バルブケース80との係合関係が変化する。詳しくは、切換弁190の摺動凸部193が第1バルブケース80の第3内面82cと対向する状態から、当該第3内面82cから第1周方向C1にずれて位置する第1内面82aと対向する状態となる。このとき、切換弁190は、第1周方向C1の回転に伴い、径方向における外方に変位できる状態となる。
【0151】
図33に示す位置までロータリ180が回転する直前の状態では、切換弁190の摺動凸部193が第1バルブケース80の第3内面82cと摺動している点で、切換弁190が排気口186cを閉じる閉位置に位置している。このため、上記状態では、切換弁190は、ロータリ180の内部流路186の圧力に応じた力で径方向における外方に付勢されている。したがって、図33に示すように、径方向において、切換弁190の摺動凸部193が第3内面82cと摺動しなくなると、切換弁190が径方向における外方に変位する。つまり、切換弁190は閉位置から開位置に変位する。
【0152】
図31に示すように、切換弁190が開位置に位置しても、ロータリ180の内部流路186は、第1バルブケース80の第1接続孔86dに接続している。つまり、ロータリ180の内部流路186は、空気袋21dに接続している。このため、切換弁190が開位置に位置するときには、ロータリ180の内部流路186の排気口186cを介して、第2空気室SP2から外気に空気が排出されるとともに空気袋21dから外気に空気が排出される。詳しくは、ロータリ180の内部流路186の排気口186cを介して、第2空気室SP2及び空気袋21dから収容室SP3に空気が排出される。続いて、収容室SP3に排出された空気は、アッパガイド70の複数の係止孔75及び2つの規制孔76を介して、外気に排出される。また、収容室SP3に排出された空気は、アッパガイド70と第1バルブケース80との隙間からも外気に排出される。こうして、第2空気室SP2の圧力は減少し、空気袋21dは収縮する。
【0153】
図34に示すように、第2空気室SP2の圧力の減少に伴い、第2空気室SP2の圧力とセンターピストン130の受圧面積との積が、第2スプリング242がセンターピストン130を付勢する力よりも小さくなると、センターピストン130が下降する。つまり、センターピストン130に上方に作用する力が、センターピストン130に下方に作用する力よりも小さくなると、センターピストン130が下降する。このとき、センターピストン130は、ボスベース150とともに下降する。
【0154】
図35に示すように、ボスベース150が下降する場合、ボスベース150のボス151がアッパガイド70に係合する状態からロアガイド60に係合する状態に移行する。詳しくは、図35に二点鎖線矢印で示すように、ボスベース150の第2カム面151bがアッパガイド70の第1摺動面72aに接する状態から、ボスベース150の第1カム面151aがロアガイド60の第1摺動面61aに接する状態となる。ボスベース150の第1カム面151aがロアガイド60の第1摺動面61aに接した後も、センターピストン130が下降し続けると、図35に実線矢印で示すように、ボスベース150の第1カム面151aがロアガイド60の第1摺動面61aと摺動する。つまり、ボスベース150は、下降しつつ第1周方向C1に回転する。
【0155】
ボスベース150が回転する場合、ロータリ180がボスベース150とともに回転する。図35に示す位置までボス151が移動すると、図36に示す位置までロータリ180が回転する。こうして、ロータリ180は、第2空気室SP2の圧力の減少時に、第1周方向C1に回転する。
【0156】
図35に示すように、ボスベース150の第1カム面151aがロアガイド60の第1摺動面61aと摺動するときには、図36に示すように、切換弁190の摺動凸部193と第1バルブケース80との係合関係が変化する。詳しくは、切換弁190の摺動凸部193が第1バルブケース80の第1内面82aと対向する状態から、当該第1内面82aから第1周方向C1にずれて位置する第3内面82cと対向する状態となる。このとき、切換弁190の摺動凸部193は、第1周方向C1に回転するのに伴い、第1内面82a、第2内面82b及び第3内面82cと摺動する。このため、切換弁190の摺動凸部193は、ロータリ180の第1周方向C1への回転に伴い、径方向における内方に移動する。つまり、切換弁190は、開位置から閉位置に向かって変位する。
【0157】
ここで、切換弁190の摺動凸部193において、第2内面82bと摺動する部位は、第2内面82bと同様に周方向に対して傾く第2外面193bである。よって、切換弁190の摺動凸部193が第2内面82bと円滑に摺動するため、切換弁190が円滑に閉位置に向かって変位する。
【0158】
図35に実線で示す位置までボス151が移動すると、図34及び図36に示すように、ロータリ180の内部流路186が、ロータリ180の接続口186bを介して、第1バルブケース80の第1接続孔86dに接続しなくなる。つまり、ロータリ180の内部流路186が、空気袋21dに接続しなくなる。一方、図36及び図37に示すように、ロータリ180の内部流路186が、ロータリ180の接続口186bを介して、第1バルブケース80の第1接続孔86eに接続する。つまり、ロータリ180の内部流路186が、空気袋21eに接続する。
【0159】
図37に示す状態は、図27に示す状態からロータリ180が第1周方向C1に45°回転している点を除き、図27に示す状態と同じ状態である。このため、図37に示す状態において、ポンプ22の駆動が継続される場合には、空気袋21eが膨張した後に収縮する。その後もポンプ22の駆動が継続されると、空気袋21fが膨張した後に収縮する。このように、膨張及び収縮する空気袋21が順番に切り換わる。以上より、ロータリバルブ30は、ロータリ180が1回転する間に、8つの空気袋21に対する空気の給気状態及び排気状態を順に切り換える。
【0160】
<ポンプ22の駆動停止時の作用>
上述したように、ロータリバルブ30に対して、ポンプ22から空気が供給される状況では、切換弁190が閉位置及び開位置の間を往復する。このため、ポンプ22の駆動を停止するタイミングによっては、切換弁190が閉位置に位置する場合もあれば、切換弁190が開位置に位置する場合もある。なお、ポンプ22の駆動が停止されるタイミングとしては、ユーザが車両をイグニッションオフとするタイミング及びユーザが空気圧システム20によるマッサージを終了させるタイミングなどが挙げられる。
【0161】
例えば、切換弁190が閉位置に位置する場合にポンプ22からの空気の供給が停止されると、ロータリ180の内部流路186と連通している空気袋21から空気が排出されなくなる。つまり、ロータリ180の内部流路186と連通している空気袋21が膨張したままとなる。この場合、シート10に着座するユーザの座り心地が悪くなるおそれがある。また、空気袋21が膨張した状態が長期間にわたって継続されることにより、空気袋21の経年劣化が進みやすくなるおそれがある。そこで、ロータリバルブ30は、上記の場合には、次のように空気袋21から空気を排出させる。
【0162】
図38は、ロータリ180の切換弁190が閉位置に位置するとともに、ある空気袋21が膨張する状態で、ポンプ22の駆動が停止される状態を示している。ポンプ22の駆動が停止される直後は、第1空気室SP1の圧力が第2空気室SP2の圧力よりも高くなっている。また、ロアピストン120は、第2空気室SP2とロアシリンダ40の排気孔46とを遮断する遮断位置に位置している。
【0163】
ポンプ22の駆動が停止されてから僅かに時間が経過すると、図38に実線矢印で示すように、第1空気室SP1から第2空気室SP2に空気が流入する。すると、第1空気室SP1の圧力及び第2空気室SP2の圧力が略等しくなるため、第1スプリング241の復元力により、ロアピストン120が下降する。その結果、ロアピストン120は、第2空気室SP2とロアシリンダ40の排気孔46とを接続する接続位置に向かって下降し始める。
【0164】
図39に示すように、ロアピストン120が遮断位置から下降し始めると、センターシリンダ50の対向部53からロアピストン120の第1シール122が離れるため、第2空気室SP2が外気に接続される。このため、第2バルブケース90の第2接続孔96と、流路切換部210の第1連通孔211aと、第1バルブケース80の第1接続孔86と、ロータリ180の内部流路186と、センターピストン130の内部流路137と、第2空気室SP2と、ロアシリンダ40の排気孔46を介して、空気袋21から外気に空気が排出される。こうして、ロータリ180の切換弁190が閉位置に位置するとともに空気袋21が膨張する状態で、ポンプ22の駆動が停止される場合であっても、空気袋21が膨張したまま放置されることはない。なお、他の空気袋21についても同様である。また、第2空気室SP2の圧力が外気と等しくなるため、図39に白抜矢印で示すように、センターピストン130が下降する。その結果、ロータリバルブ30は、初期状態に復帰する。
【0165】
なお、ポンプ22の駆動が停止されるタイミングによっては、図32に示すように、上下方向Zにおいて、ボスベース150の第1カム面151aがロアガイド60の第1摺動面61a又は第2摺動面61bと対向している。ボスベース150の第1カム面151aの少なくとも一部がロアガイド60の第1摺動面61aと対向している場合には、センターピストン130の下降に伴い、ボスベース150はストッパ面61cに接するまで第1摺動面61aと摺動する。つまり、ボスベース150は第1周方向C1に回転する。一方、ボスベース150の第1カム面151aの全てがロアガイド60の第2摺動面61bと対向している場合には、センターピストン130の下降に伴い、ボスベース150は第2摺動面61bと摺動する。つまり、ボスベース150は第2周方向C2に回転する。このように、ポンプ22の駆動が停止されるタイミングによっては、ボスベース150は、第2周方向C2に回転する場合もあり得る。言い換えれば、ポンプ22の駆動が停止されるタイミングによっては、ロータリ180は、第2周方向C2に回転する場合もあり得る。
【0166】
<組立時の作用>
図3図6に示すように、ロータリバルブ30は、複数の構成部品を上下方向Zに積層することで組み立てられている。詳しくは、図2に示すように、ロータリバルブ30において、ロアシリンダ40、センターシリンダ50、ロアガイド60、アッパガイド70、押圧部170、第1バルブケース80、第2バルブケース90及びバルブカバー100は、上下方向Zに積層されている。このとき、2つの係合片54、2つの係合片64、2つの係合片74、2つの係合片173、2つの係合片83及び2つの係合片106は、上下方向Zにそれぞれ並んでいる。このため、2つの係合片を有する部品に関しては、ロータリバルブ30の組立時に、第1方向Xに間隔をあけて配置される2つの棒状の治具に、2つの係合片をそれぞれ係合させながら積層するとよい。
【0167】
図40に示すように、ロータリバルブ30の構成部品の積層後は、ロアシリンダ40とバルブカバー100とに2つのクランプ110が係止される。以下、クランプ110の装着態様について説明する。
【0168】
まず、クランプ110の第1係止部111がロアシリンダ40の2つのロアクランプホルダ44に保持される。このとき、クランプ110の第1係止部111は、2つのロアクランプホルダ44の2つのリブ44aの間に配置される。続いて、クランプ110の2つの連結部113の第1部分113aがロアシリンダ40の2つのロアクランプガイド45にそれぞれ位置合わせされる。このとき、クランプ110の連結部113の第1部分113aは、ロアクランプガイド45の2つのガイドプレート45aの間に配置される。こうして、クランプ110は、ロアシリンダ40に対して、第2方向Yに位置決めされる。
【0169】
その後、クランプ110の第1係止部111を回転中心として、クランプ110の2つの第2係止部112がバルブカバー100に接近する方向(以下、「装着方向」ともいう。)にクランプ110が回転される。すると、クランプ110の2つの第2係止部112がバルブカバー100のアッパクランプホルダ105に接触する。詳しくは、クランプ110の第2係止部112の曲部112aが、アッパクランプホルダ105の係合部108の第2係合面108bに接触する。クランプ110の回転を継続すると、クランプ110の第2係止部112の曲部112aが、弾性変形しながらアッパクランプホルダ105の第2係合面108bと摺動する。クランプ110の回転をさらに継続すると、クランプ110の第2係止部112の曲部112aは、第2係合面108bと摺動しなくなるとともに、第3係合面108cと摺動し始める。その後、クランプ110の連結部113の第4部分113dがアッパクランプホルダ105の第1係合面108aに接すると、クランプ110が装着方向に回転できなくなる。つまり、第2係止部112がアッパクランプホルダ105に対して位置決めされる。こうして、クランプ110は、ロアシリンダ40とバルブカバー100とに装着される。
【0170】
クランプ110がロアシリンダ40とバルブカバー100とに装着される状況下では、クランプ110が弾性変形している。このため、クランプ110の第1係止部111とロアシリンダ40のロアクランプホルダ44との接点において、クランプ110の復元力が上方に作用している。また、クランプ110の第2係止部112とアッパクランプホルダ105との接点において、クランプ110の復元力が下方に作用している。こうして、クランプ110は、上下方向Zに積層されたロータリバルブ30の複数の構成部品を上下方向Zに挟んでいる。クランプ110がロアシリンダ40とバルブカバー100とに装着される状況下では、第2係止部112が係合部108に係合することで、クランプ110の装着方向の逆方向である脱落方向への回転が規制されている。
【0171】
以上より、本実施形態では、ロアシリンダ40のロアクランプホルダ44が「第1クランプホルダ」に相当し、バルブカバー100のアッパクランプホルダ105が「第2クランプホルダ」に相当している。他の実施形態において、ロアシリンダ40は、アッパクランプホルダ105に相当する構成を備えてもよいし、バルブカバー100は、ロアクランプホルダ44に相当する構成を備えてもよい。また、本実施形態において、連結部113の長さは、クランプ110の組付前後に関わらず、第1係止部111及び第2係止部112を最短距離で結ぶ線分よりも長くなっている。
【0172】
クランプ110が装着される際に、クランプ110は、第1係止部111の中心軸線を回転軸線として回転される。この点で、第2係止部112の曲部112aは、クランプ110の装着時における回転軸線に向かって凸となるように湾曲しているといえる。
【0173】
<流路切換部210の作用>
図26及び図27に示すように、流路切換部210が第1選択位置に位置する場合、流路切換部210の8つの第1連通孔211aによって、第1バルブケース80の8つの第1接続孔86及び第2バルブケース90の8つの第2接続孔96がそれぞれ接続される。言い換えれば、流路切換部210が第1選択位置に位置する場合、流路切換部210は、アッパケース32の8つの接続流路33の全てを接続する。このため、上述したように、流路切換部210が第1選択位置に位置する状況下において、ポンプ22が駆動される場合には、ロータリバルブ30は、8つの空気袋21を順番に膨張及び収縮させる。詳しくは、ロータリバルブ30は、シートクッション11に内蔵される3つの空気袋21とシートバック12に内蔵される5つの空気袋21とを順番に膨張及び収縮させる。したがって、流路切換部210が第1選択位置に位置する場合、シート10は、シート10に着座するユーザの臀部及び脚部と背中とをマッサージする。このように、ユーザは、臀部及び脚部と背中とのマッサージを望む場合には、流路切換部210を第1選択位置にセットする。
【0174】
これに対し、ユーザが臀部及び脚部のみのマッサージを望む場合、ユーザは、流路切換部210の操作レバー213を操作する。詳しくは、図41に示すように、ユーザは、操作レバー213の延設部214が第1バルブケース80の第2端面88bに接するまで、流路切換部210を第2周方向C2に回転させる。操作レバー213の延設部214が第1バルブケース80の第2端面88bに接する場合には、操作レバー213の延設部214は、周方向において第2端面88bと隔離突起89との間に位置する。以降の説明では、図41に示す流路切換部210の位置を「第2選択位置」という。
【0175】
流路切換部210が第2選択位置に位置する場合、流路切換部210の3つの第2連通孔211bを介して、第1バルブケース80の3つの第1接続孔86f~86h及び第2バルブケース90の3つの第2接続孔96f~96hがそれぞれ接続される。一方、流路切換部210は、第1バルブケース80の残る5つの第1接続孔86a~86e及び第2バルブケース90の残る5つの第2接続孔96a~96eをそれぞれ接続しない。したがって、流路切換部210は、アッパケース32の8つの接続流路33のうち、3つの接続流路33f~33hを接続する一方で、5つの接続流路33a~33eを遮断する。このように、流路切換部210が第2選択位置に位置する場合に開閉される接続流路33f~33hは、流路切換部210が第1選択位置に位置する場合に開閉される接続流路33と異なる。3つの接続流路33f~33hは第1群に属する接続流路33に相当し、第2選択位置は「第1開放位置」に相当する。
【0176】
流路切換部210が第2選択位置に位置する場合、ロータリ180は、流路切換部210に遮断されない3つの接続流路33f~33hにそれぞれ接続する3つの空気袋21f~21hに対して、空気を供給したり排出したりできる。つまり、ロータリ180は、シートクッション11に内蔵される3つの空気袋21f~21hを順番に膨張及び収縮させる。一方、ロータリ180は、流路切換部210に遮断される5つの接続流路33a~33eにそれぞれ接続する5つの空気袋21a~21eに対して、空気を供給したり排出したりできない。つまり、ロータリ180は、シートバック12に内蔵される5つの空気袋21a~21eを膨張及び収縮させない。
【0177】
また、ユーザが背中のみのマッサージを望む場合、ユーザは、流路切換部210の操作レバー213を操作する。詳しくは、図42に示すように、ユーザは、操作レバー213の延設部214が第1バルブケース80の第1端面88aに接するまで、流路切換部210を第1周方向C1に回転させる。操作レバー213の延設部214が第1バルブケース80の第1端面88aに接する場合には、操作レバー213の延設部214は、周方向において第1端面88aと隔離突起89との間に位置する。以降の説明では、図42に示す流路切換部210の位置を「第3選択位置」という。
【0178】
流路切換部210が第3選択位置に位置する場合、流路切換部210の5つの第2連通孔211bを介して、第1バルブケース80の5つの第1接続孔86a~86e及び第2バルブケース90の5つの第2接続孔96a~96eがそれぞれ接続される。一方、流路切換部210は、第1バルブケース80の残る3つの第1接続孔86f~86h及び第2バルブケース90の残る3つの第2接続孔96f~96hをそれぞれ接続しない。したがって、流路切換部210は、アッパケース32の8つの接続流路33のうち、5つの接続流路33a~33eを接続する一方で、3つの接続流路33f~33hを遮断する。流路切換部210が第3選択位置に位置する場合に開閉される接続流路33a~33eは、流路切換部210が第1選択位置及び第2選択位置に位置する場合に開閉される接続流路33と異なる。5つの接続流路33a~33eは第2群に属する接続流路33に相当し、第3選択位置は「第2開放位置」に相当する。第2群に属する接続流路33a~33eは、第1群に属する接続流路33f~33hとは異なっている。
【0179】
流路切換部210が第3選択位置に位置する場合、ロータリ180は、流路切換部210に遮断されない5つの接続流路33a~33eにそれぞれ接続する5つの空気袋21a~21eに対しては、空気を供給したり排出したりできる。つまり、ロータリ180は、シートバック12に内蔵される5つの空気袋21a~21eを順番に膨張及び収縮させる。一方、ロータリ180は、流路切換部210に遮断される3つの接続流路33f~33hにそれぞれ接続する3つの空気袋21f~21hに対して、空気を供給したり排出したりできない。つまり、ロータリ180は、シートクッション11に内蔵される3つの空気袋21f~21hを膨張及び収縮させない。
【0180】
ところで、流路切換部210に遮断される接続流路33に対応する空気袋21に対して、ロータリバルブ30が空気を供給しようとする場合には、当該空気袋21の膨張を待つことなく、第2空気室SP2の圧力が増大する。つまり、ロータリバルブ30が空気を供給できない空気袋21に空気を供給しようとする場合には、第2空気室SP2の圧力の増大速度が通常よりも速くなる点で、センターピストン130の上昇速度が通常よりも速くなる。よって、ロータリバルブ30が空気を供給できない空気袋21に空気を供給しようとする場合には、ロータリ180が速やかに第1周方向C1に回転する。
【0181】
こうした点で、流路切換部210が第2選択位置に位置する場合には、流路切換部210が第3選択位置に位置する場合よりも、ロータリ180が1回転するのに要する経過時間が短くなる。また、流路切換部210が第3選択位置に位置する場合には、流路切換部210が第1選択位置に位置する場合よりも、ロータリ180が1回転するのに要する経過時間が短くなる。したがって、流路切換部210が第2選択位置に位置する場合において、空気袋21hの収縮が完了してから空気袋21fの膨張が開始するまでの時間は長くなりにくい。同様に、流路切換部210が第3選択位置に位置する場合において、空気袋21eの収縮が完了してから空気袋21aの膨張が開始するまでの時間は長くなりにくい。
【0182】
<圧力調整部140の作用>
空気圧システム20において、空気袋21は、給気量が多くなるほど空気袋21の内圧が高くなる。このため、空気袋21は、給気量が多くなるほど硬くなる。つまり、空気圧システム20において、空気袋21に対する給気量を調整できれば、空気袋21がユーザを押す力、言い換えれば、マッサージの強度を変更することが可能となる。以下、空気袋21に対する給気量の調整方法について説明する。
【0183】
図25に実線で示すように、圧力調整部140が第1調整位置に位置する場合、圧力調整部140の第1上面141aはロアガイド60の第1規制面63aに接し、圧力調整部140の第2上面141bはロアガイド60の第1案内面63b1に接している。このため、図43に示すように、圧力調整部140が第1調整位置に位置する場合には、上下方向Zにおいて、センターピストン130と圧力調整部140との間隔が比較的広くなっている。
【0184】
ロータリバルブ30の基本動作で述べたように、ロータリバルブ30を給気状態から排気状態に切り換える場合には、ロータリ180を図33に示す位置まで回転させる必要がある。つまり、ロータリバルブ30を給気状態から排気状態に切り換えるためには、センターピストン130を図43に二点鎖線で示す位置まで上昇させる必要がある。このため、圧力調整部140が第1調整位置に位置する場合には、センターピストン130で、第2スプリング242を第1長さL1になるまで圧縮させる必要がある。ここで、第2スプリング242のばね定数を「ks」とし、第2スプリング242の自然長を「Ln」とし、センターピストン130の受圧面積を「Ap」とし、第2空気室SP2の圧力を「P2」とする。ロータリバルブ30が給気状態から排気状態に切り換わるタイミングでは、ks・(Ln-L1)=P2・Apが成り立つ。
【0185】
マッサージの強度を高めたい場合には、ユーザは、圧力調整部140の操作レバー142を操作する。詳しくは、図25に二点鎖線で示すように、ユーザは、圧力調整部140を第2周方向C2に回転させる。
【0186】
圧力調整部140は第2スプリング242によって上方に付勢されているため、圧力調整部140が第2周方向C2に回転する場合には、圧力調整部140の第2上面141b及びロアガイド60の案内面63bが摺動する。圧力調整部140の第2上面141b及びロアガイド60の第1案内面63b1は、第2周方向C2に進むにつれて下方に向かうように傾いている。このため、圧力調整部140は、第2周方向C2に回転するにつれて下降する。圧力調整部140の第2上面141bがロアガイド60の第1案内面63b1と摺動し終わると、圧力調整部140の第1上面141aがロアガイド60の第2案内面63b2と摺動し始める。圧力調整部140の第1上面141a及びロアガイド60の第2案内面63b2は、第2周方向C2に沿う面である。このため、圧力調整部140は、第2周方向C2に回転しても、上下方向Zにおける位置が変化しない。圧力調整部140の第1上面141aがロアガイド60の第2案内面63b2と摺動し終わると、圧力調整部140が第2スプリング242の復元力によって僅かに上昇する。すると、圧力調整部140の第1上面141aがロアガイド60の第2規制面63cに接触する。こうして、圧力調整部140は、第1調整位置よりも下降した第2調整位置に変位する。
【0187】
このように、圧力調整部140は、ロアガイド60の上壁63の第1規制面63a、案内面63b及び第2規制面63cと摺動することにより、上下方向Zに延びる軸線回りの回転運動が上下方向Zの直線運動に変換される。こうした点で、ロアガイド60の上壁63は「案内部」に相当している。
【0188】
圧力調整部140が第2調整位置に位置する場合には、周方向において、圧力調整部140の第4上面141d及びロアガイド60の第3案内面63b3が対向している。つまり、圧力調整部140の第1周方向C1の回転が制限されているため、意図しない外力の作用により、圧力調整部140を第1周方向C1に回転させるトルクが発生しても、圧力調整部140が第1周方向C1に回転しにくくなっている。
【0189】
圧力調整部140が第2調整位置に位置する場合であっても、ロータリバルブ30を給気状態から排気状態に切り換える場合には、センターピストン130を図44に二点鎖線で示す位置まで上昇させる必要がある。このため、圧力調整部140が第2調整位置に位置する場合には、センターピストン130で、第2スプリング242を第1長さL1未満の第2長さL2になるまで圧縮させる必要がある。よって、ロータリバルブ30が給気状態から排気状態に切り換わるタイミングでは、ks・(Ln-L2)=P2・Apが成り立つ。
【0190】
以上より、圧力調整部140が第2調整位置に位置する場合には、圧力調整部140が第1調整位置に位置する場合よりも、ロータリバルブ30を給気状態から排気状態に切り換えるために、第2スプリング242を大きく圧縮させる必要がある。つまり、圧力調整部140が第2調整位置に位置する場合には、圧力調整部140が第1調整位置に位置する場合よりも、ロータリバルブ30を給気状態から排気状態に切り換えるために、第2空気室SP2の圧力を高くする必要がある。ロータリバルブ30が給気状態である場合、第2空気室SP2は給気対象の空気袋21と接続している。つまり、圧力調整部140が第2調整位置に位置する場合には、圧力調整部140が第1調整位置に位置する場合よりも、ロータリバルブ30の給気対象となる空気袋21の圧力が高くなる。したがって、圧力調整部140が第1調整位置に位置する場合には、空気袋21が比較的弱い力でユーザの身体部位を押圧する。一方、圧力調整部140が第2調整位置に位置する場合には、空気袋21が比較的強い力でユーザの身体部位を押圧する。
【0191】
なお、ユーザは、マッサージの強度を弱めたい場合には、圧力調整部140を第1周方向C1に回転させればよい。つまり、ユーザは、圧力調整部140を第2調整位置から第1調整位置に変位させればよい。圧力調整部140を第2調整位置から第1調整位置に変位させる場合の作用は、圧力調整部140を第1調整位置から第2調整位置に変位させる場合の作用と同等であるため、説明を省略する。
【0192】
<本実施形態の効果>
(1)ロアピストン120は、第1空気室SP1及び第2空気室SP2の圧力差に応じて、第2空気室SP2を外気に接続する接続位置及び第2空気室SP2を外気に接続しない遮断位置の間を変位する。このため、ロータリバルブ30は、空気袋21に対する給気状態であるときに、ポンプ22の駆動が停止される場合であっても、当該空気袋21を収縮させることができる。
【0193】
(2)ロアピストン120が遮断位置に位置する場合には、センターシリンダ50の対向部53がロアピストン120の第1シール122を押すことで、第2空気室SP2とロアシリンダ40の排気孔46とが遮断される。つまり、第2空気室SP2が外気に接続しなくなる。第1シール122において、対向部53に押される中間部122cは内径部122a及び外径部122bよりも変形しやすくなっている。このため、第1シール122は、対向部53との隙間をしっかりと塞ぐことができる。
【0194】
(3)第1シール122において、中間部122cは、内径部122a及び外径部122bよりも薄肉である。このため、ロータリバルブ30は、ロアピストン120が遮断位置に位置するときに、中間部122cを大きく変形させることができる。例えば、ロアピストン120がセンターシリンダ50に対して僅かに傾いていたとしても、第1シール122は、対向部53との隙間をしっかりと塞ぐことができる。
【0195】
(4)第1シール122の中間部122cとシール支持面126aとの間に隙間が存在しているため、ロアケース31の対向部53に押される場合に、中間部122cがシール支持面126aに向かってさらに変形しやすくなる。このため、ロータリバルブ30は、ロアピストン120が遮断位置に位置するときに、対向部53と第1シール122とをより密着させることができる。
【0196】
(5)ロータリバルブ30が使用される場合には、ロアピストン120が接続位置及び遮断位置の間を繰り返し変位することによって、第1シール122に繰り返し荷重が作用する。この点、ロアピストン120において、第1シール122の内径部122aは、シール支持面126aと第1挟持壁127とに挟まれている。よって、ロータリバルブ30は、第1シール122に繰り返し作用する荷重により、第1シール122がシール支持面126aからずれることを抑制できる。
【0197】
(6)第1シール122は、板厚方向に対して対称な形状をなしている。このため、ロータリバルブ30の組立作業者は、第1シール122を本体部121に組み付けるときに、第1シール122の向きを気にする必要がなくなる。
【0198】
(7)センターシリンダ50の対向部53の先端部の径方向における幅は、第1シール122の中間部122cの径方向における長さよりも短い。このため、ロータリバルブ30は、ロアピストン120が接続位置から遮断位置に変位する際に、センターシリンダ50の対向部53と第1シール122の中間部122cとを確実に接触させることができる。
【0199】
(8)ロータリバルブ30は、ロアケース31とアッパケース32との双方に係止するクランプ110で、ロアケース31とアッパケース32とを上下方向Zに挟むことにより構成されている。クランプ110は、自身の弾性変形に伴う復元力をロアケース31及びアッパケース32を上下方向Zに挟む力として作用させている。したがって、ロータリバルブ30は、ねじ及びボルトなどの締結部材を用いる場合と比較して、ロータリバルブ30の組立時における組立作業者の負荷を低減できる。その結果、ロータリバルブ30は、組立時の作業効率を高めることができる。
【0200】
(9)クランプ110は、ロータリバルブ30の組立時だけでなく、ロータリバルブ30の使用時においても弾性変形できる。例えば、第1空気室SP1及び第2空気室SP2の圧力が過度に上昇する場合には、クランプ110が弾性変形することにより、ロータリバルブ30の構成部品が上下方向Zに離れる方向に変位することが許容される。例えば、ロアシリンダ40とセンターシリンダ50との間に隙間が発生したり、ロータリ180と第1バルブケース80との間に隙間が発生したり、流路切換部210と第2バルブケース90との間に隙間が発生したりし得る。よって、ロータリバルブ30は、第1空気室SP1及び第2空気室SP2の圧力が過度に上昇する場合には、第1空気室SP1及び第2空気室SP2から空気を逃がすことができる。こうして、ロータリバルブ30は、ねじ及びボルトなどの締結部材を用いる場合と比較して、ロータリバルブ30の構成部品に過度な力が作用するおそれを低減できる。一例として、膨張している空気袋21が過度に圧縮される場合には、第1空気室SP1及び第2空気室SP2の圧力が過度に上昇する可能性がある。
【0201】
(10)クランプ110の連結部113の長さは、第1係止部111及び第2係止部112を最短距離で結ぶ線分よりも長くなっている。このため、ロータリバルブ30の組立作業者は、クランプ110でロアケース31及びアッパケース32を挟む際に、クランプ110の連結部113を弾性変形させやすくなる。また、クランプ110は、ロアケース31及びアッパケース32の上下方向Zにおける寸法のバラツキを適切に吸収できる。
【0202】
(11)ロータリバルブ30の組立作業者は、クランプ110を組み付ける場合、まず、ロアシリンダ40のロアクランプホルダ44にクランプ110の第1係止部111を保持させる。続いて、組立作業者は、第1係止部111を基準にクランプ110を装着方向に回転させる。その後、組立作業者は、クランプ110を弾性変形させつつ、第2係止部112をアッパクランプホルダ105に保持させる。つまり、組立作業者は、第2係止部112をアッパクランプホルダ105の係合部108に係合させる。こうして、ロータリバルブ30は、組立時の作業効率をより高めることができる。
【0203】
(12)ロータリバルブ30の組立作業者は、第1保持部に保持される第1係止部111を基準にクランプ110を回転させることにより、第2係止部112をアッパクランプホルダ105に保持させる。このとき、第2係止部112は、クランプ110の回転軸線に向かって凸となるように丸みを帯びているため、第2係止部112とアッパクランプホルダ105とが円滑に摺動する。こうして、ロータリバルブ30の組立作業者は、クランプ110の組み付けを容易に行うことができる。
【0204】
(13)クランプ110は、金属線材によって構成されている。このため、ロータリバルブ30は、クランプ110を軽量に構成できる。よって、組立作業者は、クランプ110の取り扱いが容易となる。
【0205】
(14)クランプ110は、第2方向Yを長手方向とする第1係止部111と、第2方向Yに間隔をあけて位置する2つの第2係止部112と、を有する。このため、ロータリバルブ30は、1つのクランプ110で、ロアケース31及びアッパケース32において、クランプ110の上下方向Zに挟む力が作用する範囲を広くすることができる。
【0206】
(15)ロータリ180は、第3スプリング243に直接的に付勢されるのではなく、押圧部170を介することで、第3スプリング243に間接的に付勢されている。このため、ロータリ180が回転する場合には、ロータリ180と押圧部170とが摺動するが、押圧部170と第3スプリング243とは摺動しない。こうして、ロータリバルブ30は、ロータリ180の回転時に、第3スプリング243にロータリ180の回転方向のトルクが作用することを抑制できる。よって、ロータリバルブ30は、第3スプリング243がロータリ180の回転に影響を与えることを抑制できる。詳しくは、第3スプリング243がロータリ180の回転方向に弾性変形したり、第3スプリング243がロータリ180の回転方向の逆方向に復元したりすることによって、ロータリ180の円滑な回転が妨げられることが抑制される。
【0207】
(16)ロータリバルブ30において、ロータリ180が回転する場合には、ロータリ180と押圧部170の摺動突起171aとが摺動する。つまり、ロータリ180と押圧部170の特定部位とが摺動する。その結果、ロータリバルブ30は、ロータリ180と押圧部170との摺動を安定させることができる。
【0208】
(17)押圧部170の摺動突起171aは、周方向に対して一様な断面形状を有する。このため、ロータリバルブ30は、ロータリ180の回転量に対するロータリ180と押圧部170との摺動抵抗の変動を抑制できる。
【0209】
(18)押圧部170の4つの係止部172は、アッパガイド70の4つの係止孔75を貫通している。押圧部170の2つの係合片173は、アッパガイド70の2つの規制孔76を貫通している。こうして、押圧部170は、アッパガイド70に対して、上下方向Zに延びる軸線回りの回転が規制されている。つまり、ロータリバルブ30は、簡易な構成で押圧部170の回転を規制できる。
【0210】
(19)押圧部170は、アッパガイド70との間に第3スプリング243を圧縮した状態でアッパガイド70に装着されている。ただし、押圧部170の4つの係止部172がアッパガイド70に係止することにより、第3スプリング243の復元力が作用しても押圧部170がアッパガイド70から脱落しないようになっている。このため、ロータリバルブ30の組立作業者は、押圧部170とアッパガイド70と第3スプリング243とを一体に扱うことができる。
【0211】
(20)ロータリバルブ30において、流路切換部210が第2選択位置に位置する場合には、接続流路33f~33hに接続される空気袋21f~21hのみが膨張及び収縮する。一方、ロータリバルブ30において、流路切換部210が第3選択位置に位置する場合には、接続流路33a~33eに接続される空気袋21a~21eのみが膨張及び収縮する。こうして、ロータリバルブ30は、流路切換部210を第2選択位置及び第3選択位置の間で回転させることにより、膨張及び収縮させる空気袋21が異なる2つのモードを選択できる。
【0212】
(21)ロータリバルブ30は、複数の第1連通孔211a、複数の第2連通孔211b及び複数の第3連通孔211cを有する流路切換部210の回転によって、複数の接続流路33のうちの特定の接続流路33のみを接続できる。この点で、ロータリバルブ30は、複数の接続流路33の接続状態を切り換える流路切換部210を簡易な構成で実現できる。
【0213】
(22)ロータリバルブ30のユーザは、操作レバー142を介して流路切換部210を回転できる。このため、ユーザは、膨張及び収縮させたい空気袋21の変更を容易に行うことができる。
【0214】
(23)ロータリバルブ30は、空気袋21f~21hのみを膨張及び収縮させるモードと、空気袋21a~21eのみを膨張及び収縮させるモードと、全ての空気袋21a~21hを膨張及び収縮させるモードと、を切り換えることができる。よって、ロータリバルブ30は、ユーザの利便性を高めることができる。
【0215】
(24)第1バルブケース80及び第2バルブケース90と流路切換部210との材質を硬質な樹脂材料とする場合には、第1バルブケース80と流路切換部210と第2バルブケース90との隙間から空気が漏れるおそれがある。この点、ロータリバルブ30は、第1バルブケース80と流路切換部210との隙間を塞ぐ第1中間シール220及び第2バルブケース90と流路切換部210との隙間を塞ぐ第2中間シール230を備える。このため、ロータリバルブ30は、これらの隙間から空気が漏れることを抑制できる。
【0216】
(25)第1中間シール220の8つの第1凸部222が、第1バルブケース80の8つの第1円形凹部85にそれぞれ嵌まることで、第1中間シール220は第1バルブケース80に位置決めされている。このため、流路切換部210の回転に伴う摩擦力が第1中間シール220に作用しても、第1中間シール220が周方向に回転しにくい。第2中間シール230についても同様である。
【0217】
(26)流路切換部210が回転する場合には、流路切換部210と第1中間シール220の8つの第2凸部223とが摺動する。つまり、第1中間シール220において、流路切換部210との摺動部位が8つの第2凸部223に限定されている。このため、ユーザは、流路切換部210を比較的少ない力で回転させることができる。
【0218】
(27)ロータリバルブ30は、上下方向Zにおける位置が異なる第1調整位置及び第2調整位置の間を変位する圧力調整部140を備える。圧力調整部140が第2調整位置に位置する場合には、圧力調整部140が第1調整位置に位置する場合よりも、第2スプリング242がセンターピストン130を付勢する力が強くなる。こうして、ロータリバルブ30は、圧力調整部140を第1調整位置に配置したり第2調整位置に配置したりすることにより、空気袋21に対する給気量を調整できる。つまり、ロータリバルブ30は、空気袋21がユーザをマッサージする力を調整できる。
【0219】
(28)圧力調整部140は、上下方向Zにおける軸線回りに回転することにより上下方向Zにおける位置が変化する。このため、ロータリバルブ30のユーザは、圧力調整部140を容易に上下方向Zに移動させることができる。
【0220】
(29)ロータリバルブ30は、圧力調整部140の摺動リング141をロアケース31の案内面63bと摺動させることにより、圧力調整部140の回転運動を圧力調整部140の上下方向Zにおける直線運動に変換できる。また、ロータリバルブ30は、圧力調整部140の摺動リング141を第1規制面63aに接触させることにより、圧力調整部140を第1調整位置に配置できる。同様に、ロータリバルブ30は、圧力調整部140の摺動リング141を第2規制面63cに接触させることにより、圧力調整部140を第2調整位置に配置できる。こうして、ロータリバルブ30は、簡易な構成で、圧力調整部140の回転運動を上下方向Zにおける直線運動に変換できるとともに、圧力調整部140を第1調整位置又は第2調整位置に位置決めできる。
【0221】
(30)第2規制面63cと案内面63bの最下端とが同じ高さに位置している場合には、圧力調整部140が第2調整位置に位置する状況下において、意図しない入力により、圧力調整部140が回転する可能性がある。つまり、圧力調整部140が第2調整位置から第1調整位置に向かって変位し得る。この点、ロータリバルブ30において、第2規制面63cは、案内面63bの最下端よりも上方に位置している。このため、ロータリバルブ30は、意図しない入力により、圧力調整部140が第2調整位置から第1調整位置に向かって変位することを抑制できる。
【0222】
(31)ロータリバルブ30のユーザは、操作レバー142を介して圧力調整部140を回転できる。このため、ユーザは、圧力調整部140の位置を容易に変更できる。
<変更例>
本実施形態は、以下のように変更して実施することができる。本実施形態及び以下の変更例は、技術的に矛盾しない範囲で互いに組み合わせて実施することができる。
【0223】
第1シール122に関する変更例について記載する。
・センターシリンダ50の対向部53の先端部の径方向における幅は、第1シール122の中間部122cの径方向における長さより長くてもよい。この場合、第1シール122の中間部122cの上面は、第1シール122の内径部122aの上面及び外径部122bの上面よりも上方に位置していることが好ましい。例えば、第1シール122の中間部122cは、第1シール122の内径部122a及び外径部122bに対して上方に凸となっていることが好ましい。これによれば、ロアピストン120が上昇するときに、センターシリンダ50の対向部53を第1シール122の中間部122cに接触させることができる。この場合、第1シール122は、厚さ方向において非対称な形状となる。
【0224】
・センターシリンダ50は、第1シール122と第1支持壁126と第1挟持壁127とに相当する構成を備えてもよい。この場合、ロアピストン120は、対向部53に相当する構成を備えることが好ましい。
【0225】
・第1シール122において、内径部122a、外径部122b及び中間部122cの上面は面一であってもよい。言い換えれば、内径部122aの高さ、外径部122bの高さ及び中間部122cの高さは一定であってもよい。この場合、第1シール122は、厚さ方向において非対称な形状となる。
【0226】
・第1シール122において、内径部122a、外径部122b及び中間部122cの上面は面一であってもよい。この場合、シール支持面126aにおいて、中間部122cと対向する部分は、内径部122a及び外径部122bと対向する部分よりも下方に凹んでいることが好ましい。これによれば、第1シール122の中間部122cとシール支持面126aとの間に隙間を設けることができる。
【0227】
・第1シール122において、中間部122cの材質と内径部122a及び外径部122bの材質を異ならせることにより、中間部122cを内径部122a及び外径部122bよりも変形しやすくしてもよい。この場合、第1シール122の板厚は、一定であってもよい。
【0228】
・ロアピストン120の第1挟持壁127は省略することができる。この場合、第1シール122は、ロアピストン120の本体部121に対して相対的に動きにくいことが好ましい。例えば、第1シール122の内周面とロアピストン120の第1周壁125の外周面との間隔を狭くすることが好ましい。
【0229】
・ロアピストン120の第1挟持壁127は、シール支持面126aとともに第1シール122の外径部122bを上下方向Zに挟む構成であってもよい。
・ロアピストン120の第1挟持壁127は、第1周壁125と別体であってもよい。例えば、ロアピストン120は、第1挟持壁127の代わりに、第1周壁125に装着され、第1シール122のシール支持面126aからの浮き上がりを抑制する止め輪を備えてもよい。
【0230】
・ロアピストン120の対向部53の上下方向Zと直交する断面形状は多角形状をなしていてもよい。
クランプ110に関する変更例について説明する。
【0231】
図45及び図46を参照して、クランプ110の変更例について説明する。変更例に係るロータリバルブ30Aは、上記実施形態に係るロータリバルブ30と比較して、ロアシリンダ40とクランプ110とバルブカバー100との構成が相違している。以降の説明では、上記実施形態と相違する構成について説明し、上記実施形態と共通する構成について同一の符号を付して説明を省略する。
【0232】
図45及び図46に示すように、ロータリバルブ30Aは、上記実施形態に係るロータリバルブ30と相違する構成として、ロアシリンダ40Aと、バルブカバー100Aと、クランプ110Aと、を備える。
【0233】
ロアシリンダ40Aは、2つのロアクランプホルダ47と、4つのロアクランプガイド48と、を備える。2つのロアクランプホルダ47は、第1方向Xに間隔をあけて位置している。2つのロアクランプホルダ47は、第1方向Xにおいて、ノズル43の両側に位置している。ロアクランプホルダ47は、リブ状をなしている。ロアクランプホルダ47は、ロアシリンダ40Aの底壁41から下方に延びている。ロアクランプホルダ47の突出方向と直交する断面形状は、第1方向Xを短手方向とし、第2方向Yを長手方向とする矩形状をなしている。4つのロアクランプガイド48は、底面視において、第1方向X及び第2方向Yに2つずつ並んでいる。ロアクランプガイド48は、ロアシリンダ40Aの周壁42から第1方向Xに延びるガイドプレート48aと、ガイドプレート48aと周壁42とを第2方向Yに接続する補強部48bと、を有する。
【0234】
バルブカバー100Aは、4つのアッパクランプホルダ105Aを備える。4つのアッパクランプホルダ105Aは、上下方向Zにおける平面視において、第1方向X及び第2方向Yに2つずつ並んでいる。アッパクランプホルダ105Aは、周壁103から第1方向Xに延びるガイドプレート107と、周壁103から第1方向Xに延びる係合部108と、を有する。ガイドプレート107と係合部108とは、第2方向Yに隣り合っている。第2方向Yにおいて、係合部108は、ガイドプレート107よりも係合片106の近くに位置している。係合部108は、第1係合面108a、第2係合面108b及び第3係合面108cを含む。
【0235】
クランプ110Aは、金属板材をプレス加工することにより成形されている。クランプ110Aは、第1係止部114と、2つの第2係止部115と、連結部116と、を備える。第1係止部114と、2つの第2係止部115と、連結部116は、何れも板状をなしている。第1係止部114は、第2方向Yを長手方向とする長孔114aを有する。2つの第2係止部115は、第2方向Yに間隔をあけて位置している。第2係止部115は、第1係止部114の長孔114aに向かって凸となる丸みを帯びる曲部115aを含む。連結部116は、クランプ110Aの大部分を占めている。連結部116は、下端に近い位置に湾曲部116aを有する。第2方向Yにおける側面視において、湾曲部116aは、上下方向Zに延びる部分と、上下方向Zと交差する方向に延びる部分と、を含む。こうした点で、連結部116の湾曲部116aは「第1直線部及び第2直線部」を含んでいるといえる。連結部116は、第1係止部114と2つの第2係止部115とを連結している。
【0236】
図46に示すように、ロータリバルブ30Aの構成部品の積層後は、ロアシリンダ40Aとバルブカバー100Aとに2つのクランプ110Aが装着される。以下、クランプ110Aの装着態様について説明する。
【0237】
まず、クランプ110Aの第1係止部114がロアシリンダ40Aのロアクランプホルダ47に保持される。このとき、クランプ110Aの第1係止部114の長孔114aに、ロアクランプホルダ47が挿入される。また、クランプ110Aの連結部116がロアシリンダ40Aの2つのロアクランプガイド48の間に配置される。
【0238】
その後、クランプ110Aの第1係止部114を回転中心として、クランプ110Aが装着方向に回転される。すると、クランプ110Aの2つの第2係止部115の曲部115aがバルブカバー100Aのアッパクランプホルダ105Aに接触する。クランプ110Aの回転を継続すると、クランプ110Aの第2係止部115の曲部115aがアッパクランプホルダ105Aの第2係合面108bと摺動する。このとき、第2係止部115は、弾性変形しながらアッパクランプホルダ105Aの第2係合面108bと摺動する。クランプ110Aの回転をさらに継続すると、クランプ110Aの第2係止部115の曲部115aは、第2係合面108bと摺動しなくなるとともに、第3係合面108cと摺動し始める。その後、クランプ110Aの連結部116がアッパクランプホルダ105Aの第1係合面108aに接すると、クランプ110Aの第2係止部115がアッパクランプホルダ105Aに対して位置決めされる。こうして、クランプ110Aは、ロアシリンダ40Aとバルブカバー100Aとに装着される。
【0239】
クランプ110Aが装着される状況下では、クランプ110Aが弾性変形している。このため、クランプ110Aの第1係止部114とロアシリンダ40Aのロアクランプホルダ47との接点において、クランプ110Aの復元力が上方に作用している。また、クランプ110Aの第2係止部115とアッパクランプホルダ105Aとの接点において、クランプ110Aの復元力が下方に作用している。こうして、クランプ110Aは、上下方向Zに積層されたロータリバルブ30Aの複数の構成部品を上下方向Zに挟んでいる。
【0240】
変更例に係るクランプ110Aは、板状をなしているため、変形量が少ない場合であっても復元力が大きくなりやすい。このため、変更例に係るクランプ110Aは、ロータリバルブ30Aの構成部品を上下方向Zにより強固に挟むことができる。
【0241】
・クランプ110は、1つの第1係止部111と1つの第2係止部112と1つの連結部113とで構成することもできる。例えば、上記実施形態のクランプ110は、第1係止部111の長手方向における中央部で分断される2つのクランプとすることもできる。
【0242】
・クランプ110の第2係止部112の曲部112aは、第1係止部111に向かって凸となるように湾曲していなくてもよい。例えば、第2係止部112の曲部112aは直角に折れ曲がっていてもよい。
【0243】
・クランプ110の形状は適宜に変更可能である。クランプ110は、少なくともロアシリンダ40に下方から接する部分としての第1係止部111と、バルブカバー100に上方から接する部分としての第2係止部112と、第1係止部111及び第2係止部112を連結する連結部113と、を備えていればよい。この場合、第1係止部111は、ロアシリンダ40のノズル43を避ける形状であることが好ましい。同様に、第2係止部112は、バルブカバー100の円筒壁104を避ける形状であることが好ましい。
【0244】
・クランプ110がロアシリンダ40に上向きの荷重を安定して作用させることができるのであれば、ロアシリンダ40のロアクランプホルダ44及びロアクランプガイド45は省略可能である。同様に、クランプ110がバルブカバー100に下向きの荷重を安定して作用させることができるのであれば、バルブカバー100のアッパクランプホルダ105は省略可能である。
【0245】
・クランプ110の連結部113及びクランプ110Aの連結部116は、第2方向Yにおける側面視において、一様の曲率で湾曲していてもよい。
押圧部170に関する変更例について説明する。
【0246】
・押圧部170は、上方に向かって膨らむ半球状をなす複数の摺動突起を有してもよい。この場合、複数の摺動突起は、周方向に並んでいることが好ましい。
・押圧部170は、直径の異なる複数の摺動突起171aを有してもよい。この場合、上下方向Zにおける平面視において、環状をなす複数の摺動突起171aが径方向に並ぶこととなる。
【0247】
・押圧部170の上下方向Zに延びる軸線回りの回転を規制する構成は適宜に変更可能である。
・例えば、押圧部170の環状プレート171は、外周面から中心軸線に向かって延びる複数のスリットを有してもよい。この場合、アッパガイド70の外周壁73は、内周面からアッパガイド70の中心軸線に向かって延びる複数のガイド壁を有することが好ましい。これによれば、押圧部170の複数のスリットにアッパガイド70の複数のガイド壁をそれぞれ差し込むことで、押圧部170は上下方向Zに移動可能である一方で上下方向Zに延びる軸線回りに回転不能となる。
【0248】
・また、上下方向Zにおける平面視において、押圧部170の環状プレート171の形状は円形でなくてもよい。例えば、押圧部170の環状プレート171の形状は多角形状であってもよい。この場合、上下方向Zにおける平面視において、アッパガイド70の外周壁73の形状は、環状プレート171に応じた多角形状であることが好ましい。これによれば、押圧部170の環状プレート171とアッパガイド70の外周壁73との係合により、押圧部170は上下方向Zに移動可能である一方で上下方向Zに延びる軸線回りに回転不能となる。
【0249】
・押圧部170は、4つの係止部172と2つの係合片173とのうちの少なくとも一つを有していれば、アッパガイド70に対して上下方向Zに延びる軸線回りに回転できなくなる。
【0250】
・押圧部170をアッパガイド70に装着する必要がない場合、押圧部170の4つの係止部172の先端部は爪状をなしていなくてもよい。
流路切換部210に関する変更例について説明する。
【0251】
・流路切換部210において、第1連通孔211aは、当該第1連通孔211aと第1周方向C1に隣り合う第2連通孔211bと周方向に繋がっていてもよい。同様に、第1連通孔211aは、当該第1連通孔211aと第2周方向C2に隣り合う第3連通孔211cと周方向に繋がっていてもよい。この場合、第1連通孔211a及び第2連通孔211bが長孔となったり、第1連通孔211a及び第3連通孔211cが長孔となったりする。
【0252】
・上記実施形態において、流路切換部210は、全ての空気袋21を膨張及び収縮させるモード、空気袋21f~21hを膨張及び収縮させるモード及び空気袋21a~21eを膨張及び収縮させるモードをユーザに選択させる。流路切換部210は、上記の3つのモードのうち、2つのモードを切換可能に構成されていてもよい。また、流路切換部210は、さらに別のモードも含めた4以上のモードを切換可能に構成されていてもよい。
【0253】
・例えば、流路切換部210が第1切換位置及び第2切換位置の間で回転可能に構成される場合、8つの接続流路33a~33hが第1群に属する接続流路33に相当し、3つの接続流路33f~33hが第2群に属する接続流路33に相当する。この場合、第1切換位置及び第2切換位置の一方の位置が「第1開放位置」に相当し、第1切換位置及び第2切換位置の他方の位置が「第2開放位置」に相当する。さらに、この場合には、第1群に属する接続流路33と第2群に属する接続流路33の一部が異なっている。このように、「第1群に属する接続流路と第2群に属する接続流路とが異なる」とは、第1群に属する接続流路33と第2群に属する接続流路33の少なくとも一部に違いがあることを意味している。このため、第1群が第2群に属しない接続流路33を1つでも含んでいれば、第1群は第2群に属する接続流路33の全てを含んでいてもよい。
【0254】
・流路切換部210の位置決めに関する構成である第1端面88a及び第2端面88bと2つの隔離突起89とは、第1バルブケース80から省略可能である。
・2つの隔離突起89は、ユーザが流路切換部210を回転させるときに、ユーザにクリック感を与えることで、流路切換部210が第1選択位置、第2選択位置及び第3選択位置の何れかの位置まで回転したことをユーザに知らせるための構成でもある。このため、こうした目的を達することができるのであれば、摺動突起171aの形状、数及び形成箇所などは適宜に変更することが可能である。例えば、流路切換部210の切換プレート211の外周面と第1バルブケース80の周壁82の内周面とに上記構成を設けることが可能である。
【0255】
・流路切換部210は、第1バルブケース80及び第2バルブケース90の間で弾性変形できる程度の弾性率であってもよい。この場合、第1中間シール220及び第2中間シール230を省略しても、流路切換部210の弾性変形により、第1バルブケース80及び第2バルブケース90との隙間が埋まる。
【0256】
・シートクッション11に内蔵される空気袋21の数とシートバック12に内蔵される空気袋21の数は同数であってもよい。例えば、シートクッション11に内蔵される空気袋21の数とシートバック12に内蔵される空気袋21の数がともに4つである場合、流路切換部210は、45°間隔で形成される4つの連通孔を有してもよい。この場合、流路切換部210は、ある回転位置において、4つの連通孔を介して、第1バルブケース80の4つの第1接続孔86a~86d及び第2バルブケース90の4つの第2接続孔96a~96dを連通させる。また、流路切換部210は、ある回転位置から180°回転した回転位置において、4つの連通孔を介して、第1バルブケース80の4つの第1接続孔86e~86h及び第2バルブケース90の4つの第2接続孔96e~96hを連通させる。こうして、流路切換部210の連通孔の数は適宜に変更可能である。
【0257】
圧力調整部140に関する変更例について説明する。
・圧力調整部140は、上下方向Zにおける位置が異なる3以上の位置に変位可能に構成してもよい。
【0258】
・圧力調整部140は、上下方向Zにおける位置を無段階に変更できるように構成してもよい。この場合、ロータリバルブ30は、空気袋21がユーザを押す力を無段階に変更できる。
【0259】
・ロアガイド60の案内面63bは、少なくとも第1案内面63b1を有していればよい。
・圧力調整部140の操作レバー142は省略可能である。この場合、圧力調整部140の摺動リング141の外周面にローレット加工などの滑り止めを設けることが好ましい。流路切換部210の操作レバー142についても同様である。
【0260】
・ユーザによる圧力調整部140の操作方法は適宜に変更可能である。例えば、圧力調整部140からケーブルを延ばすことにより、シート10に着座するユーザの手の届きやすい位置に圧力調整部140の位置調整用の操作部を配置してもよい。流路切換部210についても同様である。
【0261】
・圧力調整部140の周方向における回転運動を上下方向Zにおける直線運動に変換する機構は、適宜に変更可能である。
・例えば、圧力調整部140は雄ねじ部を有し、ロアガイド60は圧力調整部140の雄ねじ部に螺合する雌ねじ部を有してもよい。こうして、圧力調整部140を回転させることで、ロアガイド60に対して圧力調整部140を上下方向Zに変位させてもよい。この場合、摩擦角の設定により、第2スプリング242の復元力によって、圧力調整部140が上下方向Zに移動しないようにすることが好ましい。
【0262】
・圧力調整部140は、上下方向Zに延びる軸線回りに回転不能であって、上下方向に移動可能に構成してもよい。この場合、第2スプリング242の復元力に基づき、第2調整位置に位置する圧力調整部140が第1調整位置に移動しないように、ロータリバルブ30は、圧力調整部140を位置決めする構成を備えることが好ましい。
【0263】
その他の変更例について説明する。
・上述したように、ロータリバルブ30において、ある空気袋21に対して給気中であるときにポンプ22の駆動を停止すると、ロアピストン120が下降することにより、第2空気室SP2が外気に接続される。つまり、ロータリバルブ30は、ある空気袋21に対して給気中であるときにポンプ22の駆動を停止させることで、ある空気袋21を収縮させるとともに、次の空気袋21を膨張可能な状態となる。この点で、ポンプ22の駆動を停止するタイミングを制御すれば、空気袋21を任意のタイミングで収縮させることができる。この場合、ロータリ180の内部流路186の排気口186cから空気を排出させる必要がないため、当該排気口186cは不要となる。また、空気袋21に対する給気量は、ポンプ22の駆動時間に比例する。このため、ポンプ22の駆動時間を制御すれば、給気時における空気袋21の硬さ、すなわち、空気袋21がユーザの身体をマッサージする強さを変更できる。
【0264】
・ロアピストン120の連通路124aは、第1空気室SP1及び第2空気室SP2を接続する通路であればよい。例えば、連通路124aは、ロアシリンダ40とセンターシリンダ50とにわたって設けることも可能である。
【0265】
・空気圧システム20は、シート10の他、ベッド及びマットなどに搭載することもできる。
【符号の説明】
【0266】
10…シート、11…シートクッション、12…シートバック
20…空気圧システム、21(21a~21h)…空気袋、22…ポンプ
30,30A…ロータリバルブ、31…ロアケース、32…アッパケース、33(33a~33h)…接続流路
40,40A…ロアシリンダ、44,47…ロアクランプホルダ(第1クランプホルダ)、46…排気孔
50…センターシリンダ、53…対向部
60…ロアガイド、63a…第1規制面、63b(63b1,63b2,63b3)…案内面、63c…第2規制面
70…アッパガイド、75…係止孔(回転規制部)、76…規制孔(回転規制部)
80…第1バルブケース、81a…開口面、86(86a~86h)…第1接続孔
88a…第1端面(位置決め部)、88b…第2端面(位置決め部)、89…隔離突起(位置決め部)
90…第2バルブケース、96(96a~96h)…第2接続孔
100,100A…バルブカバー、105,105A…アッパクランプホルダ(第2クランプホルダ)、108…係合部
110,110A…クランプ、111,114…第1係止部、112,115…第2係止部、112a,115a…曲部、113、116…連結部(第1連結部及び第2連結部)、113a…第1部分、113b…第2部分(第1直線部、第2直線部)、113c…第3部分(第1直線部、第2直線部)、113d…第4部分(第1直線部、第2直線部)
120…ロアピストン、122…第1シール(ロアシール)、122a…内径部、122b…外径部、122c…中間部(たわみ部)、126…第1支持壁、126a…シール支持面、127…第1挟持壁(挟持部)
130…センターピストン、137…内部流路
140…圧力調整部、141…摺動リング(摺動部)、141a…第1上面、141b…第2上面、141c…第3上面、141d…第4上面、142…操作レバー
170…押圧部、171…環状プレート、171a…摺動突起、172…係止部(延設部)、173…係合片(延設部)
180…ロータリ、186…内部流路
190…切換弁
210…流路切換部、211…切換プレート、211a…第1連通孔(連通孔)、211b…第2連通孔(連通孔)、211c…第3連通孔(連通孔)、213…操作レバー
220…第1中間シール、230…第2中間シール
241…第1スプリング、242…第2スプリング(ピストンスプリング)、243…第3スプリング(ロータリスプリング)
SP1…第1空気室、SP2…第2空気室(空気室)
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