(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024146486
(43)【公開日】2024-10-15
(54)【発明の名称】電池ユニット
(51)【国際特許分類】
B60K 1/04 20190101AFI20241004BHJP
H01M 50/249 20210101ALI20241004BHJP
H01M 50/271 20210101ALI20241004BHJP
H01M 50/289 20210101ALI20241004BHJP
H01M 50/24 20210101ALI20241004BHJP
【FI】
B60K1/04 Z
H01M50/249
H01M50/271 B
H01M50/289 101
H01M50/271 S
H01M50/24
【審査請求】有
【請求項の数】2
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023059415
(22)【出願日】2023-03-31
(71)【出願人】
【識別番号】000002967
【氏名又は名称】ダイハツ工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】黒瀬 健介
【テーマコード(参考)】
3D235
5H040
【Fターム(参考)】
3D235AA02
3D235BB22
3D235BB25
3D235CC15
3D235DD24
3D235EE63
3D235FF06
3D235FF07
3D235FF12
5H040AA32
5H040AS07
5H040AT06
5H040AY04
5H040AY10
5H040CC05
5H040CC20
5H040CC33
(57)【要約】
【課題】電池ユニット内に外部から液体が進入するのを抑制する。
【解決手段】電池ユニットは、電池パックと、上方に開口し電池パックを収容し、電池パックの下方側で電池パックを覆う第1底壁と、電池パックの側方側で電池パックを覆う第1側壁と、を有したロアケースと、上方に開口しロアケースを収容し、ロアケースの下方側でロアケースを覆う第2底壁と、第2底壁から電池パックよりも上方まで延びロアケースの側方側でロアケースを覆う第2側壁と、を有した防水トレイと、第1側壁に締結され、第1側壁から上方に延びた嵩上げブラケットと、嵩上げブラケットに締結され、電池パックの上方側で電池パックを覆い、かつ防水トレイに対して第2側壁の外側に延びた保護カバーと、を備える。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両に搭載される電池ユニットであって、
前記車両に電気を供給する電池パックと、
上方に開口し前記電池パックを収容し、前記電池パックの下方側で前記電池パックを覆う第1底壁と、前記電池パックの側方側で前記電池パックを覆う第1側壁と、を有したロアケースと、
上方に開口し前記ロアケースを収容し、前記ロアケースの下方側で前記ロアケースを覆う第2底壁と、前記第2底壁から前記電池パックよりも上方まで延び前記ロアケースの側方側で前記ロアケースを覆う第2側壁と、を有した防水トレイと、
前記第1側壁に締結され、前記第1側壁から上方に延びた嵩上げブラケットと、
前記嵩上げブラケットに締結され、前記電池パックの上方側で前記電池パックを覆い、かつ前記防水トレイに対して前記第2側壁の外側に延びた保護カバーと、
を備えた電池ユニット。
【請求項2】
前記嵩上げブラケットに締結され、前記電池パックを下方へ押圧するダンパを備えた、
請求項1に記載の電池ユニット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両の電池ユニットに関する。
【背景技術】
【0002】
ハイブリッド車(HV:Hybrid Vehicle)や電気自動車(EV:Electric Vehicle)等の車両は、車両に電気を供給する電池ユニットを備える。電池ユニットは、電池パックを有する。この種の車両として、電池ユニットが室内におけるフロントシートの下方側に設けられているものが知られている(例えば、特許文献1,2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2008-280036号公報
【特許文献2】国際公開第2017/110138号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
電池ユニットをフロントシートの下方側に搭載する場合、室内へ進入した水や室内でこぼれた水等が電池パックにかかる可能性がある。すなわち、電池パックの被水の可能性がある。この被水を抑制するため、上方に開口し電池ユニットを収容する被水防水トレイの高さを浸水予測水位まで設定することが考えられる。しかしながら、このような構成においても、被水防水トレイは上方に開口しているため、電池ユニットの上方から落下する水が、電池ユニットにおける電池パックとカバーとの隙間から電池ユニット内に進入する可能性がある。
【0005】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、電池ユニット内に外部から液体が進入するのを抑制することを課題の一つとする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係る電池ユニットは、車両に搭載される電池ユニットであって、前記車両に電気を供給する電池パックと、上方に開口し前記電池パックを収容し、前記電池パックの下方側で前記電池パックを覆う第1底壁と、前記電池パックの側方側で前記電池パックを覆う第1側壁と、を有したロアケースと、上方に開口し前記ロアケースを収容し、前記ロアケースの下方側で前記ロアケースを覆う第2底壁と、前記第2底壁から前記電池パックよりも上方まで延び前記ロアケースの側方側で前記ロアケースを覆う第2側壁と、を有した防水トレイと、前記第1側壁に締結され、前記第1側壁から上方に延びた嵩上げブラケットと、前記嵩上げブラケットに締結され、前記電池パックの上方側で前記電池パックを覆い、かつ前記防水トレイに対して前記第2側壁の外側に延びた保護カバーと、を備える。
【0007】
このような構成によれば、電池パックの上方側で前記電池パックを覆う保護カバーが、嵩上げブラケットに締結されて、防水トレイに対して第2側壁の外側に延びているので、電池パックの上方から落下した液体は保護カバー上を流れて防水トレイの外側へ落下する。よって、電池ユニット内に外部から水等の液体が進入するのを抑制することができる。
【0008】
前記電池ユニットは、例えば、前記嵩上げブラケットに締結され、前記電池パックを下方へ押圧するダンパを備える。
【0009】
このような構成によれば、電池ユニット内で電池パックが動くのを抑制することができる。
【発明の効果】
【0010】
本発明にかかる電池ユニットは、電池ユニット内に外部から液体が進入するのを抑制することを課題の一つとする、という効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】
図1は、実施形態にかかる電池ユニットが搭載された車両の概形を示す図である。
【
図2】
図2は、実施形態にかかる車両の床及び電池ユニットを示す平面図である。
【
図4】
図4は、実施形態にかかる電池ユニットを示す平面図であって、保護カバーの一部が取り外された状態の図である。
【
図5】
図5は、実施形態にかかる電池ユニットにおける嵩上げブラケットを含む部分を示す斜視図である。
【
図6】
図6は、実施形態にかかる電池ユニットにおける嵩上げブラケットを含む部分を示す斜視図である。
【
図7】
図7は、実施形態にかかる嵩上げブラケットとフレームとの固定構造示す断面図である。
【
図8】
図8は、実施形態にかかる嵩上げブラケットを示す斜視図である。
【
図9】
図9は、実施形態にかかる嵩上げブラケットを示す平面図である。
【
図10】
図10は、実施形態にかかる嵩上げブラケットを示す側面図である。
【
図11】
図11は、実施形態にかかるダンパの一部を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下に、一つの実施形態について説明する。なお、図面は模式的なものであり、各要素の寸法の関係、各要素の比率等は、現実と異なる場合がある。また、図面の相互間においても、互いの寸法の関係や比率が異なる部分が含まれている場合がある。また、本明細書では、序数は、部品や、部材、部位、位置、方向等を区別するためだけに用いられており、順番や優先度を示すものではない。
【0013】
図1は、実施形態にかかる電池ユニット1が搭載される車両100の概形を示す図である。車両は、ハイブリッド車や電気自動車等の電動車である。車両100は、室内101の床102上に、フロントシート103、リアシート104、及び電池ユニット1を備える。電池ユニット1は、フロントシート103の下に設置されている。電池ユニット1は、給電ユニットとも称される。
【0014】
各図面には、三次元座標系が示されている。三次元座標系は、車両100及び電池ユニット1の前後方向をX軸方向、幅方向(左右方向)をY軸方向、上下方向(高さ方向)をZ軸方向とした。X軸の正方向は、前後方向の後方であり、X軸の負方向は、前後方向の前方である。Y軸の正方向は、右方であり、Y軸の負方向は、左方である。軸の正方向は、上方であり、Z軸の負方向は、下方である。また、以後、特に言及しない限り、前後方向は、車両100及び電池ユニット1の前後方向であり、幅方向は、車両100及び電池ユニット1の幅方向であり、上下方向は、車両100及び電池ユニット1の上下方向である。
【0015】
図2は、実施形態にかかる車両100の床102及び電池ユニット1を示す平面図である。
図2に示されるように、床102は、車両ボディーの一部であり、少なくとも、左サイドメンバ5L、右サイドメンバ5R、フロントクロスメンバ6F、及びリアクロスメンバ6Rを有する。床102は、フロアパネルとも称される。
【0016】
左サイドメンバ5Lと右サイドメンバ5Rとは、それぞれ前後方向に延び、互いに幅方向に間隔をあけて並べられている。フロントクロスメンバ6Fとリアクロスメンバ6Rとは、それぞれ幅方向に延び、互いに前後方向に間隔をあけて並べられている。フロントクロスメンバ6Fとリアクロスメンバ6Rとは、それぞれ、左サイドメンバ5Lと右サイドメンバ5Rとに亘って設けられている。床102において、左サイドメンバ5L、右サイドメンバ5R、フロントクロスメンバ6F、及びリアクロスメンバ6Rによって囲まれる領域は、板状のパネル部が設けられており、このパネル部の上方側に電池ユニット1が配置されている。
【0017】
図3は、
図2のIII-III断面図である。
図2及び
図3に示されるように、電池ユニット1は、ケース11、電池パック12、ブロワ13、制御装置14、防水トレイ15、及び嵩上げブラケット51A,51Bを備える。以後、嵩上げブラケット51A,51Bの総称として嵩上げブラケット51を用いる。ケース11は、電池パック12、ブロワ13、及び制御装置14を収容している。電池パック12、ブロワ13、及び制御装置14は、幅方向に並べられている。電池パック12の一方側(一例として右側)にブロワ13が配置され、電池パック12の他方側(一例として左側)に制御装置14が配置されている。防水トレイ15は、ケース11、電池パック12、ブロワ13、制御装置14、及び嵩上げブラケット51を収容している。
【0018】
電池パック12は、車両100のモータに電気を供給する二次電池(バッテリー)であって、例えばリチウムイオン電池である。電池パック12は、回生電力や充電器からの電力によって充電される。ブロワ3は、電池パック12を冷却するための空気を、保護カバー2内の電池パック12に吹き付ける。制御装置14は、電池パック12及びブロワ13を制御する。制御装置14は、例えば、バッテリーマネージメントシステムであり、複数の電子部品を有する。複数の電子部品のうちには、高電圧が印加される高電圧部品が含まれる。
【0019】
以下に、各部を詳細に説明する。
【0020】
図3に示されるように、防水トレイ15は、上方に開口しケース11のロアケース21を収容している。防水トレイ15は、介在部材81を介して床102に固定されている。防水トレイ15は、第2底壁15aと、第2側壁15bと、を有する。第2底壁15aは、ロアケース21の下方側でロアケース21を覆う。第2側壁15bは、第2底壁15aから電池パック12よりも上方まで延びロアケース21の側方側でロアケース21を覆う。
【0021】
図2及び
図3に示されるように、ケース11は、ロアケース21(
図3)と、保護カバー22とを有する。
【0022】
ロアケース21は、上方に開口しており、電池パック12、ブロワ13、及び制御装置14を内部に収容している。ロアケース21は、床102に固定されている。
【0023】
ロアケース21は、第1底壁21aと、第1側壁21bとを有する。第1底壁21aは、電池パック12の下方側で電池パック12を覆う。第1側壁21bは、電池パック12の側方側で電池パック12を覆う。第1側壁21bは、上端部に固定部21cを有する。固定部21cには、雌ネジ7cが設けられている。固定部21cには、嵩上げブラケット51が固定されている。具体的には、嵩上げブラケット51は、雌ネジ7cと結合したボルト71によって固定部21cに締結されている。ロアケース21は、例えば金属材料によって作られている。なお、ロアケース21の材料は上記に限定されない。
【0024】
嵩上げブラケット51は、第1側壁21bに締結され、第1側壁21bから上方に延びている。嵩上げブラケット51は、例えば合成樹脂材料によって作られている。なお、嵩上げブラケット51の材料は上記に限定されない。嵩上げブラケット51の詳細は後述する。
【0025】
図3に示されるように、保護カバー22は、ロアケース21の上方側に設けられ、ロアケース21の開口を覆っている。保護カバー22は、嵩上げブラケット51を介してロアケース21の第1側壁21bに締結されている。保護カバー22は、電池パック12、ブロワ13、及び制御装置14の上方側に設けられ、電池パック12、ブロワ13、及び制御装置14を覆っている。また、保護カバー22は、防水トレイ15に対して第2側壁15bの外側に延びている。
【0026】
保護カバー22は、ベース壁22aと、側壁22bとを有する。ベース壁22aは、電池パック12、ブロワ13、及び制御装置14の上方側に設けられ、電池パック12、ブロワ13、及び制御装置14を覆っている。側壁22bは、ベース壁22aの外縁から下方に延びている。側壁22bは、防水トレイ15に対して第2側壁15bの上端部15ba外側に間隔をあけて位置している。
【0027】
保護カバー22の側壁22bと防水トレイ15の第2側壁15bの上端部15baとは、上下方向と直交する方向に重ねられている。一例として、保護カバー22の側壁22bと防水トレイ15の第2側壁15bの上端部15baとは上下方向と直交する方向に間隔をあけて重ねられている。なお、保護カバー22の側壁22bと防水トレイ15の第2側壁15bの上端部15baとが接触していてもよい。
【0028】
保護カバー22の側壁22bと防水トレイ15の第2側壁15bの上端部15baとは、ラビリンス構造90を構成している。ラビリンス構造90は、保護カバー22の側壁22bと防水トレイ15の第2側壁15bの上端部15baとの間から、水等の液体がケース11の内部に進入するのを抑制する。なお、保護カバー22の側壁22bと防水トレイ15の第2側壁15bの上端部15baとの間をシール部材でシールしてもよい。
【0029】
保護カバー22は、複数の部材の組み合わせによって構成されている。例えば、
図2に示されるように、保護カバー22は、第1カバー部材23と、第2カバー部材24と、第3カバー部材25と、フレーム62(
図4)とを有する。保護カバー22は、ボルト27~29等によってフロントクロスメンバ6F及びリアクロスメンバ6Rに固定されている。
【0030】
第1カバー部材23は、少なくとも電池パック12の上方側に位置し、電池パック12を覆っている。第2カバー部材24は、少なくとも制御装置14の上方側に位置し、制御装置14を覆っている。第3カバー部材25は、少なくともブロワ13の上方側に位置し、ブロワ13を覆っている。フレーム62(
図4)は、第1カバー部材23の下面に固定されている。
【0031】
また、
図2に示されるように、保護カバー22には、複数(一例として二つ)の骨格フレーム26A,26Bが固定されている。骨格フレーム26Aは、第1カバー部材23に固定され、骨格フレーム26Bは、第2カバー部材24に固定されている。以後、複数の骨格フレーム26A,26Bの総称として骨格フレーム26を用いる。以下では、第1カバー部材23及び第2カバー部材24にそれぞれに一つの骨格フレーム26が設けられた例を説明するが、骨格フレーム26の数はこれに限定されない。例えば、第1カバー部材23及び第2カバー部材24とのそれぞれに複数の骨格フレーム26が設けられていてもよい。
【0032】
図4は、実施形態にかかる電池ユニット1を示す平面図であって、保護カバー22の一部が取り外された状態の図である。具体的には、
図4は、保護カバー22の第1カバー部材23と第2カバー部材24とが取り外された状態を示す。
【0033】
図4に示されるように、複数の骨格フレーム26は、それぞれ前後方向に延び、互いに幅方向に間隔をあけて並べられている。各骨格フレーム26は、フロントクロスメンバ6Fとリアクロスメンバ6Rとに亘って設けられ、フロントクロスメンバ6Fとリアクロスメンバ6Rとに固定されている。換言すると、各骨格フレーム26は、フロントクロスメンバ6Fとリアクロスメンバ6Rとを橋渡ししている。
【0034】
骨格フレーム26は、前後方向を長手方向とする板部材である。骨格フレーム26は、例えば、ハット形部材を加工して作られており、少なくとも一部の断面がハット形断面である。骨格フレーム26は、例えば、金属材料によって作られている。
【0035】
骨格フレーム26は、前端部26aと、前端部26aの反対側の後端部26bと、左端部26cと、左端部26cの反対側の右端部26dとを有する。
【0036】
図2に示されるように、骨格フレーム26の前端部26a及び後端部26bは、ボルト27によって、フロントクロスメンバ6F及びリアクロスメンバ6Rと締結されている。ボルト27は、ナット(不図示)と結合して、骨格フレーム26をフロントクロスメンバ6F及びリアクロスメンバ6Rに固定している。
【0037】
図4に示されるように、骨格フレーム26の左端部26c及び右端部26dには、凹凸部26eが設けられている。凹凸部26eは、前後方向に間隔をあけて並べられた複数の凸部26eaを有する。各凸部26eaは、保護カバー22と固定されている。具体的には、各凸部26eaは、保護カバー22に溶接されている。詳細には、骨格フレーム26Aの凸部26eaは、第1カバー部材23に溶接され、骨格フレーム26Bの凸部26eaは、第2カバー部材24に溶接されている。骨格フレーム26と保護カバー22との溶接は、例えば、スポット溶接であるがこれに限定されない。
図4には、骨格フレーム26における溶接個所26gが黒丸で示されている。なお、骨格フレーム26と保護カバー22との溶接個所26gは、上記に限定されない。
【0038】
図4に示されるように、骨格フレーム26Aには、突出部26iが設けられている。突出部26iは、電池パック12が何らかの原因で骨格フレーム26Aに向かって上方に移動した場合に、電池パック12の上部と接触する。この状態で、突出部26iは、電池パック12の上方への移動を制限する。
【0039】
図4に示されるように、骨格フレーム26Aには、固定部26hが設けられている。固定部26hには、ブロワ13が固定されている。換言すると、固定部26hには、ブロワ13が取り付けられている。固定部26hは、ブロワ取付部とも称される。固定部26hは、骨格フレーム26Aの右端部26dに複数(一例として二つ)設けられている。複数の固定部26hは、前後方向に間隔をあけて設けられている。複数の固定部26hは、左端部26cから右方、すなわち電池パック12とは反対側に突出している。固定部26hは、骨格フレーム26Aと一体形成されている。なお、固定部26hは、骨格フレーム26Aと別部材で設けられ、骨格フレーム26Aに締結等によって固定されていてもよい。
【0040】
次に、嵩上げブラケット51について
図3~
図10を参照して詳細に説明する。
図5は、実施形態にかかる電池ユニット1における嵩上げブラケット51を含む部分を示す斜視図である。
図6は、実施形態にかかる電池ユニット1における嵩上げブラケット51を含む部分を示す斜視図である。
図7は、実施形態にかかる嵩上げブラケット51とフレーム62との固定構造示す断面図である。
図8は、実施形態にかかる嵩上げブラケット51を示す斜視図である。
図9は、実施形態にかかる嵩上げブラケット51を示す平面図である。
図10は、実施形態にかかる嵩上げブラケット51を示す側面図である。
【0041】
図4に示されるように、嵩上げブラケット51は、前後方向に間隔をあけて二つ設けられている。
図3~
図6に示されるように、嵩上げブラケット51の下端部は、ボルト71と雌ネジ7cとによってロアケース21の第1側壁21bに締結されている。また、
図3~
図7に示されるように、嵩上げブラケット51の上端部は、ボルト73とナット74とによって保護カバー22のフレーム62に締結されている。
図3に示されるように、嵩上げブラケット51の上端の上下方向の位置は、防水トレイ15の上端の上下方向の位置と略同じである。
【0042】
図8~
図10に示されるように、嵩上げブラケット51は、下側の二つの固定部51aと、二つの傾斜部51bと、上側の一つの固定部51cと、重なり部51e,51dと、を有する。嵩上げブラケット51は、全体として、下方に開口した凹状に形成されている。
【0043】
二つの固定部51aは、幅方向に間隔をあけて設けられている。二つの固定部51aは、ロアケース21の第1側壁21bにおける固定部51cに締結されている。二つの傾斜部51bは、二つの固定部51cから上方に延びている。二つの傾斜部51bは、上方に向かうにつれて互いに近づくように上下方向に対して傾斜している。固定部51cは、二つの傾斜部51bの上端部に亘って設けられている。固定部51cには、ボルト73が固定されており、当該ボルト73とナット74とによって固定部51cが保護カバー22と締結されている。重なり部51dと重なり部51eとは、前後方向に重なり、互いに接合されている。重なり部51dは、固定部51aから延び、重なり部51eは、傾斜部51bから延びている。重なり部51d,51eは、固定部51aと傾斜部51bとの間に設けられている。これにより、固定部51aと傾斜部51bとの間が補強される。
【0044】
図11は、実施形態にかかるダンパ61の一部を示す断面図である。
図4及び
図11に示されるように、電池ユニット1は、ダンパ61を更に備える。ダンパ61は、嵩上げブラケット51に締結され、電池パック12を下方へ押圧する。詳細には、ダンパ61は、保護カバー22のフレーム62と、弾性部材63とを有する。すなわち、フレーム62は、保護カバー22とダンパ61とに共用されている。弾性部材63は、フレーム62の下面に固定され、フレーム62と電池パック12の上面に接触している。弾性部材63は、圧縮状態でフレーム62と電池パック12との間に介在しており、弾性力(復元力)によって電池パック12を下方に押圧している。弾性部材63は、例えば、ゴムやスポンジ等である。フレーム62は、セルダンパフレームとも称される。
【0045】
フレーム62は、例えば、第1カバー部材23に溶接されている。フレーム62と第1カバー部材23との溶接は、例えば、スポット溶接であるがこれに限定されない。
図4には、フレーム62における溶接個所62aが黒丸で示されている。なお、フレーム62と第1カバー部材23との溶接個所62aは、上記に限定されない。
【0046】
上記構成の電池ユニット1を備えた車両100において、例えば車内で乗員が飲み物等の液体をこぼしたりして、その液体が電池ユニット1の上方から電池ユニット1の保護カバー22におけるベース壁22aに落下した場合、液体は、例えば、
図3の太線の矢印で示す方向に流れる。すなわち、液体は、ベース壁22aの外面に沿ってベース壁22aの外周部に流れ、ベース壁22aの外周部から落下する。このとき、電池パック12の上方側で電池パック12を覆う保護カバー22が、防水トレイ15に対して第2側壁15bの外側に延びているので、電池パック12の上方から落下した液体は保護カバー22上を流れて防水トレイ15の外側へ落下する。よって、電池ユニット1内に外部から水等の液体が進入するのが抑制される。また、保護カバー22の側壁22bと防水トレイ15の第2側壁15bの上端部15baとが、ラビリンス構造90を構成しているので、電池ユニット1内に外部から水等の液体が進入するのがより一層抑制される。
【0047】
以上のように、本実施形態の電池ユニット1は、車両100に搭載される電池ユニット1である。電池ユニット1は、電池パック12と、ロアケース21と、防水トレイ15と、嵩上げブラケット51と、保護カバー22と、を備える。電池パック12は、車両100に電気を供給する。ロアケース21は、上方に開口し電池パック12を収容している。ロアケース21は、第1底壁21aと、第1側壁21bと、を有する。第1底壁21aは、電池パック12の下方側で電池パック12を覆う。第1側壁21bは、電池パック12の側方側で電池パック12を覆う。防水トレイ15は、上方に開口しロアケース21を収容している。防水トレイ15は、第2底壁15aと、第2側壁15bと、を有する。第2底壁15aは、ロアケース21の下方側でロアケース21を覆う。第2側壁15bは、第2底壁15aから電池パック12よりも上方まで延びロアケース21の側方側でロアケース21を覆う。嵩上げブラケット51は、第1側壁21bに締結され、第1側壁21bから上方に延びている。保護カバー22は、嵩上げブラケット51に締結され、電池パック12の上方側で電池パック12を覆い、かつ防水トレイ15に対して第2側壁15bの外側に延びている。
【0048】
このような構成によれば、電池パック12の上方側で電池パック12を覆う保護カバー22が、嵩上げブラケット51に締結されて、防水トレイ15に対して第2側壁15bの外側に延びているので、電池パック12の上方から落下した液体は保護カバー22上を流れて防水トレイ15の外側へ落下する。よって、電池ユニット1内に外部から水等の液体が進入するのを抑制することができる。すなわち、電池ユニット1の防水性を向上させることができる。よって、電池パック12及び制御装置14に液体がかかるのを抑制することができる。また、上記構成によれば、ロアケース21の高さを高くしなくて済む。よって、ロアケース21の軽量化及びコスト低減を図ることができる。
【0049】
また、電池ユニット1は、ダンパ61を備える。ダンパ61は、嵩上げブラケット51に締結され、電池パック12を下方へ押圧する。
【0050】
このような構成によれば、電池ユニット1内で電池パック12が動くのを抑制することができる。また、ダンパ61が嵩上げブラケット51に締結されているので、比較的少ない部品点数でダンパ61を嵩上げブラケット51に固定することができる。よって、コスト低減を図ることができる。
【0051】
本発明の実施形態について説明したが、上記実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。上記実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更、組み合わせを行うことができる。上記実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0052】
1…電池ユニット、12…電池パック、15…防水トレイ、15a…第2底壁、15b…第2側壁、21…ロアケース、21a…第1底壁、21b…第1側壁、22…保護カバー、51…嵩上げブラケット、61…ダンパ、100…車両。