IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ アイシン精機株式会社の特許一覧

<>
  • 特開-画像処理装置 図1
  • 特開-画像処理装置 図2
  • 特開-画像処理装置 図3
  • 特開-画像処理装置 図4
  • 特開-画像処理装置 図5
  • 特開-画像処理装置 図6
  • 特開-画像処理装置 図7
  • 特開-画像処理装置 図8
  • 特開-画像処理装置 図9
  • 特開-画像処理装置 図10
  • 特開-画像処理装置 図11
  • 特開-画像処理装置 図12
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024146487
(43)【公開日】2024-10-15
(54)【発明の名称】画像処理装置
(51)【国際特許分類】
   H04N 7/18 20060101AFI20241004BHJP
   B60R 1/27 20220101ALI20241004BHJP
   G06T 7/00 20170101ALI20241004BHJP
【FI】
H04N7/18 J
B60R1/27
G06T7/00 650Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023059416
(22)【出願日】2023-03-31
(71)【出願人】
【識別番号】000000011
【氏名又は名称】株式会社アイシン
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】渡邊 一矢
【テーマコード(参考)】
5C054
5L096
【Fターム(参考)】
5C054CA04
5C054CC02
5C054FC12
5C054FD03
5C054FD07
5C054FE18
5C054HA30
5L096BA04
5L096CA05
5L096DA02
5L096FA32
5L096FA77
5L096GA17
5L096GA43
(57)【要約】
【課題】比較的暗い環境で撮像された複数の画像を繋ぎ合わせて周辺画像を表示する場合であっても、画像が見づらくなるのを抑制することができる画像処理装置を得る。
【解決手段】画像処理装置は、隣接する二つの被撮像領域が重なる複数の重複領域に含まれる複数の関心領域を設定する関心領域設定部と、複数の画像の輝度を補正する補正値を第一の目標輝度に基づいて設定する第一の設定部と、を備え、第一の目標輝度は、全ての関心領域の輝度の平均値に第一の正の値を加えた値であって、かつ第一の正の値よりも大きい第一の閾値以下の値である。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両に設けられた複数の撮像部で、前記車両の周辺状況として撮像された、被撮像領域が一部重複する複数の画像を取得する取得部と、
隣接する二つの前記被撮像領域が重なる複数の重複領域に含まれる複数の関心領域を設定する関心領域設定部と、
前記複数の画像の輝度を補正する補正値を第一の目標輝度に基づいて設定する第一の設定部と、
を備え、
前記第一の目標輝度は、全ての前記関心領域の輝度の平均値に第一の正の値を加えた値であって、かつ前記第一の正の値よりも大きい第一の閾値以下の値である、
画像処理装置。
【請求項2】
明るさに関する情報に基づいて、第一のモードと第二のモードとを切り替えるモード切替部を備え、
前記第一の設定部は、前記第一のモードの場合、前記補正値を前記第一の目標輝度によって設定し、前記第二のモードの場合、前記補正値を前記第一の目標輝度以上の第二の目標輝度によって設定し、
前記第二の目標輝度は、前記第一の閾値である、
請求項1に記載の画像処理装置。
【請求項3】
第二の設定部を備え、
前記第一の設定部は、前記車両を挟んで離間する一対の前記被撮像領域のうち一方である第一の被撮像領域と当該第一の被撮像領域に隣接する一対の前記被撮像領域のうち一方である第二の被撮像領域とが重なる第一の前記重複領域に含まれる第一の前記関心領域の輝度を補正する第一の前記補正値と、前記第一の被撮像領域と当該第一の被撮像領域に隣接する他方の前記被撮像領域である第三の被撮像領域とが重なる第二の前記重複領域に含まれる第二の前記関心領域の輝度を補正する第二の前記補正値と、を前記第一の目標輝度によって設定し、
前記第二の設定部は、前記第一の前記補正値と前記第二の前記補正値とを用いて、前記第一の被撮像領域における少なくとも前記第一の前記関心領域と前記第二の前記関心領域との間の領域の輝度を補正する個別補正値を設定する、
請求項1に記載の画像処理装置。
【請求項4】
前記第二の設定部は、前記個別補正値を、前記第一の前記補正値と前記第二の前記補正値との間を線形補間する補間式に基づいて算出し、
前記補間式の傾きは、調整可能である、
請求項3に記載の画像処理装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、画像処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、車両に設けられた複数の撮像部(カメラ)により車両周囲の状況をそれぞれ異なる方向で撮像し、撮像した複数の画像の画像処理(例えば視点変換)を行うとともに、各画像を繋げて周辺画像(例えば俯瞰画像)を生成する画像処理装置が知られている。このような画像処理装置においては、撮像部の取付位置や撮像(撮影)方向、撮影時間帯、前照灯の点灯の有無、撮像部ごとの絞り調整の程度差等により各撮像部で撮像される画像に明るさ(輝度)にずれが生じる場合がある。その結果、繋ぎ合わせて生成した周辺画像が方向によって明るさが異なり、繋ぎ合わせた位置で輝度差が目立ち、違和感のある画像になってしまう場合があった。
【0003】
そこで、違和感等を抑制するために輝度を補正する技術が提案されている。例えば、複数の撮像部の画像を合成する際に、各撮像部によって撮像された複数の画像のそれぞれの平均の輝度のうち、全ての画像の輝度の平均値に最も近い輝度を、目標値として、輝度を補正する技術が提案されている(例えば、特許文献1参照)。また、複数の撮像部の画像を合成する際に、固定の目標値に合わせるように輝度を補正する技術が提案されている(例えば、特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許第3297040号公報
【特許文献2】特開2019-186620号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、各撮像部によって撮像された複数の画像のそれぞれの平均の輝度のうち、全ての画像の輝度の平均値に最も近い輝度を目標値として輝度を補正する場合、例えば、夜間等の暗い環境においては、目標値となる輝度が低くなってしまうため、補正後の画像が全体的に暗いものになってしまう。このため、補正後の画像が見づらいものとなってしまう。また、固定の目標値に合わせるように輝度を補正する場合、夜間等の暗い環境の目標値が昼間等の明るい環境の目標値と同じであるため、夜間等の暗い環境における撮像で発生するノイズ成分も明るくなうように補正されてしまう。このため、ノイズ成分が強調され、補正後の画像が見づらいものとなってしまう。
【0006】
そこで、本発明の実施形態は、比較的暗い環境で撮像された複数の画像を繋ぎ合わせて周辺画像を表示する場合であっても、画像が見づらくなるのを抑制することができる画像処理装置を得ることを課題の一つとする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の実施形態にかかる画像処理装置は、車両に設けられた複数の撮像部で、前記車両の周辺状況として撮像された、被撮像領域が一部重複する複数の画像を取得する取得部と、隣接する二つの前記被撮像領域が重なる複数の重複領域に含まれる複数の関心領域を設定する関心領域設定部と、前記複数の画像の輝度を補正する補正値を第一の目標輝度に基づいて設定する第一の設定部と、を備え、前記第一の目標輝度は、全ての前記関心領域の輝度の平均値に第一の正の値を加えた値であって、かつ前記第一の正の値よりも大きい第一の閾値以下の値である。
【0008】
このような構成によれば、例えば、第一の目標輝度が、全ての関心領域の輝度の平均値に第一の正の値を加えた値であって、かつ第一の正の値よりも大きい第一の閾値以下の値であるので、比較的暗い環境で撮像された画像の輝度を上げることができるとともに、当該画像のノイズ成分が強調されるのを抑制することができる。よって、比較的暗い環境で撮像された複数の画像を繋ぎ合わせて周辺画像を表示する場合であっても、画像が見づらくなるのを抑制することができる。
【0009】
前記画像処理装置は、例えば、明るさに関する情報に基づいて、第一のモードと第二のモードとを切り替えるモード切替部を備え、前記第一の設定部は、前記第一のモードの場合、前記補正値を前記第一の目標輝度によって設定し、前記第二のモードの場合、前記補正値を前記第一の目標輝度以上の第二の目標輝度によって設定し、前記第二の目標輝度は、前記第一の閾値である。
【0010】
このような構成によれば、第一のモードと第二のモードとに応じて目標輝度を設定することができる。また、このような構成によれば、第二の目標輝度が第一の閾値であるので、第一のモードにおいて補正される輝度が高くなりすぎるのを抑制することができる。
【0011】
前記画像処理装置は、例えば、第二の設定部を備え、前記第一の設定部は、前記車両を挟んで離間する一対の前記被撮像領域のうち一方である第一の被撮像領域と当該第一の被撮像領域に隣接する一対の前記被撮像領域のうち一方である第二の被撮像領域とが重なる第一の前記重複領域に含まれる第一の前記関心領域の輝度を補正する第一の前記補正値と、前記第一の被撮像領域と当該第一の被撮像領域に隣接する他方の前記被撮像領域である第三の被撮像領域とが重なる第二の前記重複領域に含まれる第二の前記関心領域の輝度を補正する第二の前記補正値と、を前記第一の目標輝度によって設定し、前記第二の設定部は、前記第一の前記補正値と前記第二の前記補正値とを用いて、前記第一の被撮像領域における少なくとも前記第一の前記関心領域と前記第二の前記関心領域との間の領域の輝度を補正する個別補正値を設定する。
【0012】
このような構成によれば、第一の関心領域と第二の関心領域との間の領域の輝度が、第一の補正値と第二の補正値とに基づく個別補正値によって補正されるので、第一の関心領域と第二の関心領域との間の領域において補正される輝度が高くなりすぎるのを抑制することができる。
【0013】
前記画像処理装置は、例えば、前記第二の設定部は、前記個別補正値を、前記第一の前記補正値と前記第二の前記補正値との間を線形補間する補間式に基づいて算出し、前記補間式の傾きは、調整可能である。
【0014】
この構成によれば、例えば、輝度が極端に大きく修正されることが抑制され、画像が不自然に明るくなりすぎたり、暗くなりすぎたりすることを抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1図1は、実施形態にかかる画像処理装置を搭載可能な車両の一例を示す模式的な平面図である。
図2図2は、実施形態にかかる画像処理装置を含む画像処理システムの構成の例示的なブロック図である。
図3図3は、実施形態にかかる画像処理装置のCPUの構成の例示的なブロック図である。
図4図4は、実施形態にかかる各撮像部により撮像される被撮像領域とその重複領域を説明する俯瞰的な模式図である。
図5図5は、実施形態にかかる画像処理装置で処理対象とする元画像の輝度分布と関心領域(ROI:Region of Interest)の設定位置の一例を示す模式図である。
図6図6は、実施形態にかかる暗モード用目標輝度を示す図である。
図7図7は、実施形態にかかる画像処理装置において、固定の目標輝度を用いて輝度修正を行う場合の処理の流れの一例を説明するフローチャートである。
図8図8は、実施形態にかかる像処理装置の処理の一部を例示的に説明する図であり、車両の前方の被撮像領域の関心領域の輝度を固定の目標輝度に補正し、その補正に対応する直線補間式を示す模式図である。
図9図9は、図8の直線補間式により設定された輝度による補正が実行される場合を説明する図であり、車両の前方の被撮像領域の補正前後の輝度状態の変化例を示す模式図である。
図10図10は、実施形態にかかる画像処理装置の処理の一部を例示的に説明する図であり、車両の側方の被撮像領域の関心領域の輝度を固定の目標輝度に補正し、その補正に対応する直線補間式を示す模式図である。
図11図11は、車両の周囲の被撮像領域に対して輝度補正を行った場合に生成される周辺画像の輝度状態の一例を示す模式図である。
図12図12は、実施形態にかかる補正上限値及び補正下限値に基づき補正量の制限を行う例を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の例示的な実施形態が開示される。以下に示される実施形態の構成、ならびに当該構成によってもたらされる作用、結果、及び効果は、一例である。本発明は、以下の実施形態に開示される構成以外によっても実現可能であるとともに、基本的な構成に基づく種々の効果や、派生的な効果のうち、少なくとも一つを得ることが可能である。
【0017】
図1は、本実施形態の画像処理装置が搭載される車両10の模式的な平面図である。車両10は、例えば、内燃機関(エンジン、図示されず)を駆動源とする自動車(内燃機関自動車)であってもよいし、電動機(モータ、図示されず)を駆動源とする自動車(電気自動車、燃料電池自動車等)であってもよいし、それらの双方を駆動源とする自動車(ハイブリッド自動車)であってもよい。また、車両10は、種々の変速装置を搭載することができるし、内燃機関や電動機を駆動するのに必要な種々の装置(システム、部品等)を搭載することができる。また、車両10における車輪12(前輪12F、後輪12R)の駆動に関わる装置の方式、個数、及び、レイアウト等は、種々に設定することができる。
【0018】
図1に例示されるように、車両10には、複数の撮像部14として、例えば四つの撮像部14a~14dが設けられている。撮像部14は、例えば、CCD(Charge Coupled Device)やCIS(CMOS Image Sensor)等の撮像素子を内蔵するデジタルカメラである。撮像部14は、所定のフレームレートで動画データ(撮像画像データ、画像情報)を出力することができる。撮像部14は、それぞれ、広角レンズ又は魚眼レンズを有し、水平方向には例えば140°~220°の範囲(被撮像領域)を撮影することができる。また、撮像部14の光軸は斜め下方に向けて設定され得る。よって、撮像部14は、車両10が移動可能な路面や路面に付されたマーク(矢印や区画線、駐車スペースを示す線、車線分離線等を含む)や物体(例えば、歩行者、車両等)を含む車両10の外部の周辺状況を逐次撮影し、撮像画像データとして出力する。
【0019】
撮像部14は、車両10の外周部に設けられている。撮像部14aは、例えば、車両10の前側、すなわち車両前後方向の前方側で車幅方向のほぼ中央の端部、例えばフロントバンパ10aやフロントグリル等に設けられて、車両10の前端部(例えばフロントバンパ10a)を含む前方画像(前方の被撮像領域)を撮像可能である。また、撮像部14bは、例えば、車両10の左側の端部、例えば左側のドアミラー10bに設けられて、車両10の左側方を中心とする領域(例えば左前方から左後方の領域)を含む左側方画像(左側方の被撮像領域)を撮像可能である。また、撮像部14cは、例えば、車両10の右側の端部、例えば右側のドアミラー10cに設けられて、車両10の右側方を中心とする領域(例えば右前方から右後方の領域)を含む右側方画像(右側方の被撮像領域)を撮像可能である。また、撮像部14dは、車両10の後側、すなわち車両前後方向の後方側で車幅方向のほぼ中央の端部、例えばリヤバンパ10dの上方位置に設けられて、車両10の後端部(例えばリヤバンパ10d)を含む後方画像(後方の被撮像領域)を撮像可能である。
【0020】
本実施形態の画像処理装置は、複数の撮像部14で得られた撮像画像データに基づいて、演算処理や画像処理を実行することで、より広い視野角の画像を生成したり、車両10を上方や前方、側方等から見た仮想的な画像(俯瞰画像(平面画像)や側方視画像、正面視画像等)を生成したりすることができる。なお、各撮像部14が撮像する撮像画像データ(画像)には、互いに重複する重複領域が設けられ、画像を繋ぎ合わせるときに欠落領域が生じないようにしている。例えば、撮像部14aの撮像した撮像画像データの車幅方向左側の端部領域と撮像部14bが撮像した撮像画像データの車両前後方向のうち前方側の端部領域とが重複する。そして、二つの画像を繋げる(合成する)処理が実行される。同様に、前方画像と右側方画像、左側方画像と後方画像、後方画像と右側方画像についても重複領域が設けられて二つの画像を繋げる(合成する)処理が実行される。
【0021】
図2は、車両10に搭載される画像処理装置を含む画像処理システム100の構成の例示的なブロック図である。車両10の車室内には、表示装置16や、音声出力装置18が設けられている。表示装置16は、例えば、LCD(Liquid Crystal Display)や、OELD(Organic Electroluminescent Display)等である。音声出力装置18は、例えば、スピーカである。また、表示装置16は、例えば、タッチパネル等、透明な操作入力部20で覆われている。乗員(例えば、運転者)は、操作入力部20を介して表示装置16の表示画面に表示される画像を視認することができる。また、乗員は、表示装置16の表示画面に表示される画像に対応した位置で、手指等で操作入力部20を触れたり押したり動かしたりして操作することで、操作入力を実行することができる。これら表示装置16や、音声出力装置18、操作入力部20等は、例えば、車両10のダッシュボードの車幅方向すなわち左右方向の中央部に位置されたモニタ装置22に設けられている。モニタ装置22は、スイッチや、ダイヤル、ジョイスティック、押しボタン等の不図示の操作入力部を有することができる。モニタ装置22は、例えば、ナビゲーションシステムやオーディオシステムと兼用されうる。
【0022】
また、図2に例示されるように、画像処理システム100は、撮像部14(14a~14d)やモニタ装置22に加え、ECU24(Electronic Control Unit)が含まれる。画像処理システム100では、ECU24やモニタ装置22は、電気通信回線としての車内ネットワーク26を介して電気的に接続されている。車内ネットワーク26は、例えば、CAN(Controller Area Network)として構成されている。ECU24は、車内ネットワーク26を通じて制御信号を送ることで、各種システムの制御が実行できる。また、ECU24は、車内ネットワーク26を介して、操作入力部20や各種スイッチの操作信号等や図示を省略している各種センサの検出信号等を、受け取ることができる。ECU24は、画像処理装置の一例である。
【0023】
ECU24は、撮像部14から取得した撮像画像データに基づいて生成した周辺画像や音声に関するデータをモニタ装置22へ送信する。ECU24は、例えば、CPU24a(Central Processing Unit)や、ROM24b(Read Only Memory)、RAM24c(Random Access Memory)、表示制御部24d、音声制御部24e、SSD24f(Solid State Drive、フラッシュメモリ)等を有している。
【0024】
CPU24aは、ROM24b等の不揮発性の記憶装置に記憶された(インストールされた)プログラムを読み出し、当該プログラムに従って演算処理を実行する。ROM24bは、各プログラム及びプログラムの実行に必要なパラメータ等を記憶する。CPU24aは、例えば、図3に示すような各種モジュールを備え、表示装置16で表示される画像に関連した処理を実行する。例えば、CPU24aは、処理の一例として、撮像部14が撮像した撮像画像データに補正処理や演算処理、画像処理等を実行して、複数の画像を繋ぎ合わせた周辺画像(例えば、俯瞰画像)を生成する。CPU24aの詳細は後述する。
【0025】
RAM24cは、CPU24aでの演算で用いられる各種のデータを一時的に記憶する。また、表示制御部24dは、ECU24での演算処理のうち、主として、表示装置16で表示させる表示用の画像のデータ変換等を実行する。また、音声制御部24eは、ECU24での演算処理のうち、主として、音声出力装置18で出力される音声データの処理を実行する。SSD24fは、書き換え可能な不揮発性の記憶部であって、ECU24の電源がオフされた場合にあってもデータを記憶することができる。なお、CPU24aや、ROM24b、RAM24c等は、同一パッケージ内に集積されうる。また、ECU24は、CPU24aに替えて、DSP(Digital Signal Processor)等の他の論理演算プロセッサや論理回路等が用いられる構成であってもよい。また、SSD24fに替えてHDD(Hard Disk Drive)が設けられてもよいし、SSD24fやHDDは、ECU24とは別に設けられてもよい。
【0026】
本実施形態では、ECU24は、ハードウェアとソフトウェア(制御プログラム)が協働することにより、表示装置16に表示する画像の画像生成処理を司る。ECU24は、撮像部14が撮像した撮像画像データ(画像)に画像処理、例えば視点変換処理等を施して表示装置16に表示させる際に、画像の輝度補正を行う。ECU24は、前後左右の画像を繋ぎ合わせた場合に、輝度差による画像間の連続性が低下する不都合や部分的又は全体的に画像が明るくなりすぎたり、逆に暗すぎたりすることを抑制し、画像全体(繋ぎ合わせることで生成する周辺画像、俯瞰画像)の視認性が低下することを抑制する。
【0027】
図3は、ECU24に含まれるCPU24aにおいて、本実施形態の画像処理を実現するための構成の例示的なブロック図である。なお、CPU24aにおいて、本実施形態の画像処理を実行する以外の構成は図示を省略している。CPU24aは、上述したような輝度補正を含む画像処理を実行するための各種モジュールを備える。各種モジュールは、CPU24aがROM24b等の記憶装置にインストールされ記憶されたプログラムを読み出し、それを実行することで実現される。例えば、CPU24aは、図3に示されるように、取得部28、モード切替部30、関心領域設定部31、第1設定部32(第一の設定部)、第2設定部34(第二の設定部)等を備える。また、第2設定部34は、線形補間部34a、傾き設定部34b、輝度設定部34c等を含む。
【0028】
取得部28は、各撮像部14が撮像した画像を表示制御部24dを介して取得する。各撮像部14(14a~14d)は、図4に示すような被撮像領域36を撮像可能である。そして、各被撮像領域36は、前述したように隣接する被撮像領域36とそれぞれ一部が重なった重複領域38を含む。被撮像領域36のうち車両10の前方の被撮像領域36Fの車幅方向左側と車両10の左側方の被撮像領域36SLの車両前方側とは、重複領域38FLを形成する。被撮像領域36のうち被撮像領域36SLの車両後方側と車両10の後方の被撮像領域36Rの車幅方向左側とは、重複領域38RLを形成する。被撮像領域36のうち被撮像領域36Rの車幅方向右側と車両10の右側方の被撮像領域36SRの車両後方側とは、重複領域38RRを形成する。そして、被撮像領域36のうち被撮像領域36SRの車両前方側と被撮像領域36Fの車幅方向右側とは、重複領域38FRを形成する。各撮像部14は、撮像した撮像画像データに撮像部14ごとの識別符号を添付して取得部28に出力してもよいし、取得部28側で取得した撮像画像データごとに出力元を識別する識別符号を添付するようにしてもよい。
【0029】
なお、本実施形態において、例えば、被撮像領域36Fに着目した処理を行う場合、車両10を挟んで離間する一対の被撮像領域36(例えば、被撮像領域36Fと被撮像領域36R)のうち一方(例えば被撮像領域36F)を第一の被撮像領域と称する場合がある。また、第一の被撮像領域に隣接する一対の被撮像領域36(例えば、被撮像領域36SLと被撮像領域36SR)のうち一方を第二の被撮像領域(例えば、被撮像領域36SL)と称する場合がある。そして、第一の被撮像領域と第二の被撮像領域とが重なる重複領域38(重複領域38FL)を第一の重複領域と称する場合がある。同様に、第一の被撮像領域に隣接する一対の被撮像領域36(例えば、被撮像領域36SLと被撮像領域36SR)のうち他方を第三の被撮像領域(例えば、被撮像領域36SR)と称する場合がある。そして、第一の被撮像領域と第三の被撮像領域とが重なる重複領域38(重複領域38FR)を第二の重複領域と称する場合がある。なお、車両10を挟んで離間する一対の被撮像領域36を例えば、被撮像領域36SLと被撮像領域36SRとすることもできる。この場合、第二の被撮像領域は、被撮像領域36Fと被撮像領域36Rとのいずれか一方、第三の被撮像領域が他方となる。
【0030】
モード切替部30は、明るさに関する情報(以後、明るさ情報とも称する)に基づいて、目標設定モードを切り替える(設定する)。目標設定モードは、例えば、明モードと暗モードとである。すなわち、モード切替部30は、明るさ情報に基づいて、明モードと暗モードとを切り替える。明モードは、第二のモードの一例であり、昼間モードとも称される。暗モードは、第一のモードの一例であり、夜間モードとも称される。
【0031】
明るさ情報は、例えば、撮像部14が撮像した画像であって取得部28によって取得された画像の輝度である。モード切替部30は、例えば、ECU24の起動時には、目標設定モードを明モードに設定する。モード切替部30は、目標設定モードが明モードに設定されている場合に、いずれかの撮像部によって撮像された画像の平均輝度が暗モード切替用閾値以下の場合に、目標設定モードを暗モードに切り替える。暗モード切替用閾値は、例えば80であるが、これに限定されない。また、モード切替部30は、目標設定モードが暗モードに設定されている場合に、全ての撮像部14によって撮像された各画像のそれぞれの平均輝度が明モード切替用閾値以上の場合に、目標設定モードを明モードに切り替える。明モード切替用閾値は、例えば120であるが、これに限定されない。
【0032】
関心領域設定部31は、図5に示すように、取得部28が取得した被撮像領域36の複数の重複領域38に、輝度調整を行う際に参照する複数の関心領域40(40FL,40RL,40RR,40FR)を設定する。一つの重複領域38に対して一つの関心領域40が設定される。関心領域40は、車両10の車幅方向及び前後方向に所定の長さを持つ、例えば矩形の領域で、関心領域40の輝度とは、関心領域40に含まれる各画素の輝度の例えば平均値である。また、本実施形態において関心領域40の位置を特定する場合、その位置は、例えば関心領域40の中心位置(車幅方向及び前後方向の中点)とする。
【0033】
なお、各撮像部14は、撮像時に自動的に絞り調整(ゲイン調整)が行われ、各被撮像領域36の明るさ調整(輝度調整)が成される。その結果、被撮像領域36に明るい領域が多く存在する場合、絞り値が大きくなり、明るさが抑えられた暗めの画像が撮像される。逆に被撮像領域36に暗い領域が多く存在する場合、絞り値が小さくなり、明るさが向上された明るめの画像が撮像される。したがって、図5に示すように、例えば重複領域38FLに含まれる関心領域40FLにおいて、被撮像領域36F側の関心領域40FLに対応する部分と被撮像領域36SL側の関心領域40FLに対応する部分で、明るさ(輝度)が異なる場合がある。例えば、図5において、輝度を0~255の256階調(「0」が暗く、「255」が明るい)で表した場合、例えば、重複領域38FLに含まれる関心領域40FLの場合、被撮像領域36F側の輝度は、「250」で明るく、被撮像領域36SL側の輝度は、「100」で被撮像領域36F側より暗い。なお、図5において、「100」等で標記された数字が輝度を示す。また、別の図においては、関心領域40の中に標記された数字が輝度を表す場合もある。なお、関心領域設定部31は、関心領域40の設定位置を予め定めた位置に設定してもよいし、被撮像領域36の輝度分布に応じて設定位置を変更するようにしてもよい。
【0034】
第1設定部32は、複数の画像の輝度を補正する補正値を第一の目標輝度に基づいて設定する。具体的には、第1設定部32は、関心領域40の輝度を所定の値によって補正する。例えば、車両10を挟んで離間する一対の被撮像領域36(例えば被撮像領域36Fと被撮像領域36R)のうち一方である第一の被撮像領域(例えば被撮像領域36F)を考える。第1設定部32は、第一の被撮像領域(例えば被撮像領域36F)と、当該第一の被撮像領域に隣接する一対の被撮像領域36のうち一方である第二の被撮像領域(例えば被撮像領域36SL)と、が重なる第一の重複領域(例えば重複領域38FL)に含まれる第一の関心領域(例えば関心領域40FL)の輝度を補正する。同様に、第1設定部32は、第一の被撮像領域(例えば被撮像領域36F)と当該第一の被撮像領域に隣接する他方の被撮像領域36である第三の被撮像領域(例えば被撮像領域36SR)とが重なる第二の重複領域(例えば重複領域38FR)に含まれる第二の関心領域(関心領域40FR)の輝度を補正する。同様に、第1設定部32は、関心領域40RL及び関心領域40RRの輝度を補正する。
【0035】
本実施形態の場合、第1設定部32は関心領域40の輝度を所定の値によって補正する場合、例えば、明モードと暗モードとに応じた目標輝度を用いて行うことができる。
【0036】
例えば、第1設定部32は、明モードの場合、所定の値として定めた明モード用の目標輝度である明モード用目標輝度値になるような補正値を決定して、輝度の補正を行う。第1設定部32は、例えば、明モードの場合、予め実験等で導き出した、比較的視認性がよいとされる明モード用目標輝度(例えば、256階調の「200」)に関心領域40の輝度がなるような補正値を用いて補正を行う。なお、明モード用目標輝度は、例えば、256階調の「200」に限定されず、「130」等であってもよい。
【0037】
また、第1設定部32は、暗モードの場合、関心領域40の輝度が、暗モード用の目標輝度である暗モード用目標輝度に関心領域40の輝度がなるような補正値を用いて補正を行う。図6に示すように、暗モード用目標輝度は、全ての関心領域40(40FL,40RL,40RR,40FR)の輝度の平均値(全関心領域平均輝度)に第一の正の値を加えた値であって、かつ第一の正の値よりも大きい第一の閾値以下の値である。暗モード用目標輝度は、明モード用目標輝度以下である。換言すると、明モード用目標輝度は、暗モード用目標輝度以上である。第一の正の値は、例えば「20」であるが、これに限定されない。なお、第1設定部32による補正の具体的な例は後述する。
【0038】
すなわち、第1設定部32は、暗モード(第一のモード)の場合、第一の補正値と二の補正値とを暗モード用目標輝度(第一の目標輝度)によって設定し、明モード(第二のモード)の場合、第一の補正値と第二の補正値とを暗モード用目標輝度以上の明モード用目標輝度(第二の目標輝度)によって設定する。
【0039】
第2設定部34は、隣り合う関心領域40のそれぞれの補正値に基づいて、少なくともその間の輝度を設定する。例えば、被撮像領域36Fの車幅方向左側の関心領域40FLを第一の関心領域とした場合、例えば、第1設定部32によって設定された固定の目標輝度に補正する補正値を第一の補正値とする。同様に、被撮像領域36Fの車幅方向右側の関心領域40FRを第二の関心領域とした場合、例えば、第1設定部32によって設定された固定の目標輝度に補正する補正値を第二の補正値とする。この場合、線形補間部34aは、第一の補正値と第二の補正値とを用いて、線形補間を行うための例えば直線補間式(第一の補正値と第二の補正値とを結ぶ直線)を生成する。そして、生成した線形補間式(例えば直線補間式)に基づいて、二つの関心領域40の間領域の輝度を補正する。すなわち、線形補間部34aは、一例として、隣接する二つの関心領域40に対する補正値を直線で結ぶことで、直線補間式を生成する。
【0040】
傾き設定部34bは、線形補間部34aで生成した線形補間式の傾きが所定の制限値以上の場合に、直線補間式の傾きを補正する。例えば、隣接する関心領域40の一方の輝度が第1設定部32で設定した目標輝度から大きく乖離していた場合、線形補間部34aが生成する直線補間式の傾きは大きくなる。その結果、例えば関心領域40の周辺で、関心領域40より暗い部分も関心領域40の輝度の補正の影響を受けてより明るい方向に補正されてしまうことがある。その結果、必要以上に輝度が高くなるような補正が行われ、いわゆる「白飛び」してしまう場合がある。傾き設定部34bは、線形補間部34aで生成した線形補間式の傾きを所定の倍率によって補正する。この倍率は、例えば、線形補間式の傾きが制限値より小さい場合は1とし、傾きが所定以上の場合に傾きを減少補正するために、0より大きい値であって1未満の値にする。
【0041】
輝度設定部34cは、線形補間部34aで生成された線形補間式(例えば、直線補間式)に基づき、少なくとも第一の関心領域(例えば、関心領域40FL)と第二の関心領域(例えば、関心領域40FR)の間の領域の輝度を補正する個別補正値を設定する。輝度設定部34cは、線形補間部34aで生成された線形補間式が、車両10の前方の被撮像領域36Fに関する線形補間式である場合、この線形補間式にしたがい、被撮像領域36Fにおける車両前後方向の領域に関しても同様に輝度補正を行う。したがって、被撮像領域36Fの場合、車両前後方向の領域は、同様な補正値(補正量)で輝度の補正が実行される。また、輝度設定部34cは、個別補正値に対して補正上限値と補正下限値とを設定する。
【0042】
このように構成される画像処理システム100(ECU24)の処理の一例について、図7のフローチャート及び図1図5に加え図8図12を用いて説明する。
【0043】
図7のフローチャートを用いて、第1設定部32により所定の値として、目標輝度(明モード用目標輝度、暗モード用目標輝度)が設定される場合に実行される輝度補正について説明する。
【0044】
まず、CPU24aは、車両10を中心とする俯瞰視の周辺画像を生成するタイミングであるかを判定する(S100)。この判定は、例えば、CPU24aが車両10の操作状態(例えば、シフトレバーが後退走行の位置に移動された場合等)や操作入力部20等を介して運転者の表示要求操作が行われた場合に肯定判定となる。CPU24aが、周辺画像を生成すると判定した場合(S100のYes)、取得部28は、各撮像部14が撮像する被撮像領域36の画像(画像情報)を取得する(S101)。なお、周辺画像を生成するタイミングではないと判定された場合(S100のNo)、一旦、図7のフローを終了する。
【0045】
続いて、モード切替部30がモード(目標設定モード)を設定する(S102)。モード切替部30は、明モードと暗モードとを上記の方法で選択的に設定する。
【0046】
続いて、関心領域設定部31は、取得した各画像の被撮像領域36に対して関心領域40の設定を行う(S103)。
【0047】
また、第1設定部32が、設定された目標設定モードに応じた目標輝度(明モード用目標輝度、暗モード用目標輝度)を設定する(S104)。以下では、S4以降の処理として、まずは、明モードの場合を説明する。
【0048】
明モードにおいて、各被撮像領域36の関心領域40における輝度が例えば、図5で示すような場合、第1設定部32は、各関心領域40に対して、所定の値として定めた明モード用目標輝度(例えば、256階調で「200」)を設定するとともに(S104)、関心領域40の輝度が目標輝度(例えば「200」)になるように補正するための補正値を設定する(S105)。図8は、車両10の前方の被撮像領域36Fの輝度を補正する例であって、明モードの場合の補正の例である。被撮像領域36Fの場合、車幅方向(X軸方向)左側の関心領域40FLの輝度が256階調で「250」であり、車幅方向右側の関心領域40FRの輝度が256階調で「150」となっている例である。これに対して、第1設定部32が設定した目標輝度が256階調で「200」の場合、被撮像領域36Fにおいて、関心領域40FLは、輝度値Mとして「-50」の補正値が設定され、関心領域40FRは、「+50」の補正値が設定される。
【0049】
線形補間部34aは、第1設定部32が設定した関心領域40FLの補正値(N=-50)と、関心領域40FRの補正値(N=+50)を用いて、直線補間式42(42F)を生成する(S106)。その結果、関心領域40FLと関心領域40FRとの間の車幅方向(X軸方向)の輝度の補正量が直線補間式42Fによって示される。そして、輝度設定部34cは、生成された直線補間式42Fで算出される補正値(個別補正値)に基づき、関心領域40FLと関心領域40FRとの間の領域の輝度を補正(設定)する。同様に、被撮像領域36Fにおいて、車両前後方向(Z軸方向)の領域の輝度を同様な補正値で設定(補正)する(S107)。その結果、図9に示すように、補正前の被撮像領域36Fは、車幅方向左側(関心領域40FLの部分)の輝度が例えば「250」から「200」に暗くなるように補正され、車幅方向右側(関心領域40FRの部分)の輝度が例えば「150」から「200」に明るくなるように補正される。
【0050】
CPU24aは、上述のような補正処理が全画面に対して完了したか否かを監視する(S108)。そして、補正処理が完了していない場合(S108のNo)、S101に戻り、関心領域設定部31、第1設定部32、第2設定部34は、上述した処理を、被撮像領域36R、被撮像領域36SL、被撮像領域36SRに対して実行する。
【0051】
例えば、関心領域設定部31、第1設定部32、第2設定部34は、車両10の後方の被撮像領域36Rに対して上述と同様な処理を実行する。その結果、補正前の被撮像領域36Rは、車幅方向左側(関心領域40RLの部分)の輝度が「50」から「200」に明るくなるように補正され、車幅方向右側(関心領域40RRの部分)の輝度が「50」から「200」に明るくなるように補正される。
【0052】
同様に、関心領域設定部31、第1設定部32、第2設定部34は、図10に示すように、車両10の左側方の被撮像領域36SL及び右側方の被撮像領域36SRについても同様な補正を行う。例えば、被撮像領域36SLの場合、車両前後方向(Z軸方向)の前方側の関心領域40FLの輝度が256階調で「100」であり、後方側の関心領域40RLの輝度が256階調で「50」である。これに対して、第1設定部32が設定した目標輝度が256階調で「200」の場合、第1設定部32において、関心領域40FLは、輝度値Mとして「+100」の補正値が設定され、後方側の関心領域40RLは、「+150」の補正値が設定される。線形補間部34aは、第1設定部32が設定した関心領域40FLの補正値(N=+100)と、関心領域40RLの補正値(N=+150)を用いて、直線補間式42Lを生成する。同様に、被撮像領域36SRの場合、車両前後方向(Z軸方向)の前方側の関心領域40FRの輝度が256階調で「100」であり、後方側の関心領域40RRの輝度が256階調で「50」である。これに対して、第1設定部32が設定した目標輝度が256階調で「200」の場合、第1設定部32において、関心領域40FRは、輝度値Mとして「+100」の補正値が設定され、後方側の関心領域40RRは、「+150」の補正値が設定される。線形補間部34aは、第1設定部32が設定した関心領域40FRの補正値(N=+100)と、関心領域40RRの補正値(N=+150)を用いて、直線補間式42Rを生成する。
【0053】
その結果、被撮像領域36SLにおける関心領域40FLと関心領域40RLとの間の車両前後方向(Z軸方向)の輝度の補正量が直線補間式42Lによって示され、被撮像領域36SRにおける関心領域40FRと関心領域40RRとの間の車両前後方向(Z軸方向)の輝度の個別補正量が直線補間式42Rによって示される。そして、輝度設定部34cは、直線補間式42Lに基づき、関心領域40FLと関心領域40RLの間の領域の輝度及び、被撮像領域36SLにおいて、車幅方向(X軸方向)の領域の輝度を同様な個別補正量で補正する。また、輝度設定部34cは、直線補間式42Rに基づき、関心領域40FRと関心領域40RRの間の領域の輝度及び、被撮像領域36SRにおいて、車幅方向(X軸方向)の領域の輝度を同様な個別補正量で補正する。
【0054】
CPU24aは、全ての画像(被撮像領域36F、被撮像領域36R、被撮像領域36SL、被撮像領域36SRの画像)に対して補正処理が完了すると(S108のYes)、表示制御部24dを用いて、各画像を繋ぎ合わせて俯瞰視の周辺画像を生成して、表示装置16に表示させて(S109)、次の処理周期でS100からの処理を繰り返すことで周辺画像の更新を行う。この場合、図11に示すように、各関心領域40(40FL,40RL,40RR,40FR)の輝度が256階調で「200」となり、各被撮像領域36(36F,36SL,36R,36SR)を繋ぎ合わせが滑らかに行われた周辺画像44を生成することができる。また、各関心領域40の間の輝度も直線補間式42によって補正されているため、明るすぎる部分や暗すぎる部分の生成が抑制され、周辺画像44のいずれの部分でも画像内容の認識がしやすくなる。
【0055】
上記の処理において、S102にて暗モードが設定された場合には、S104にて暗モード用目標輝度が設定され、この暗モード用目標輝度を用いてS105以降の処理が明モードの場合と同様に実行される。このとき、一例として、補正前の輝度の一例は下記の通りである。関心領域40FLにおいては、被撮像領域36F側の輝度は、「50」、被撮像領域36SL側の輝度は、「140」である。また、関心領域40FRにおいては、被撮像領域36F側の輝度は、「45」、被撮像領域36SR側の輝度は、「100」である。また、関心領域40RLにおいては、被撮像領域36SL側の輝度は、「35」、被撮像領域36R側の輝度は、「80」である。関心領域40RRにおいては、被撮像領域36SR側の輝度は、「70」、被撮像領域36R側の輝度は、「30」である。これらの輝度が暗モード用目標輝度を用いて補正される。なお、輝度は上記に限定されない。
【0056】
ところで、隣接する関心領域40の輝度差が元々大きい場合がある。このような場合に、上述した場合と同様に、第1設定部32が目標輝度を設定すると、傾きが大きな直線補間式42が生成されてしまう場合がある。この場合、例えば、画素が明るく補正されすぎて、いわゆる「白飛び」してしまう場合がある。そこで、傾き設定部34bは、線形補間部34aで生成した直線補間式42の傾きを、上記の所定の倍率によって補正することができる。
【0057】
また、実施形態においては、輝度設定部34cは、直線補間式42に基づいて輝度を補正する補正値(個別補正値)を設定する場合、補正値に制限を加えてもよい。例えば、図12に示すように、補正値に対して補正上限値と補正下限値を設定し、直線補間式42にしたがい、輝度の補正量が増加するのに伴い、設定する個別補正量が補正上限値と補正下限値との間に収まるようにする。この場合も、輝度の補正量が緩和され、「白飛び」を抑制することができる。図12では、一例として、Z1は関心領域40FLの座標を示し、Z2は関心領域40RRの座標を示し、F100は、関心領域40FLの補正前の輝度を示し、F101は、関心領域40RRの補正前の輝度を示している。なお、補正上限値及び下限補正値は、予め固定値で設定してもよいし、算出した直線補間式42の傾きに応じて、設定してもよい。
【0058】
以上のように、本実施形態では、暗モード用目標輝度(第一の目標輝度)は、全ての関心領域40の輝度の平均値に第一の正の値を加えた値であって、かつ第一の正の値よりも大きい第一の閾値以下の値である。
【0059】
このような構成によれば、例えば、第一の目標輝度が、全ての関心領域40の輝度の平均値に第一の正の値を加えた値であって、かつ第一の正の値よりも大きい第一の閾値以下の値であるので、比較的暗い環境で撮像された画像の輝度を上げることができるとともに、当該画像のノイズ成分が強調されるのを抑制することができる。よって、比較的暗い環境で撮像された複数の画像を繋ぎ合わせて周辺画像を表示する場合であっても、画像が見づらくなるのを抑制することができる。
【0060】
また、本実施形態では、モード切替部30が、明るさに関する情報に基づいて、暗モード(第一のモード)と明モード(第二のモード)とを切り替える。第1設定部32は、暗モードの場合、第一の補正値と第二の補正値とを暗モード用目標輝度によって設定し、明モードの場合、第一の補正値と第二の補正値とを暗モード用目標輝度以上の明モード用目標輝度によって設定する。
【0061】
このような構成によれば、暗モードと明モードとに応じて目標輝度を設定することができる。
【0062】
また、明モード用目標輝度は、第一の閾値である。
【0063】
このような構成によれば、明モード用輝度が第一の閾値であるので、暗モードにおいて補正される輝度が高くなりすぎるのを抑制することができる。
【0064】
また、第2設定部34は、個別補正値に対して補正上限値と補正下限値とを設定する。
【0065】
このような構成によれば、輝度が極端に大きく補正されることを抑制することができ、画像が不自然に明るくなりすぎたり、暗くなりすぎたりすることを抑制することができる。
【0066】
また、第2設定部34は、個別補正値を、第一の補正値と第二の補正値との間を線形補間する補間式に基づいて算出し、補間式の傾きは、調整可能である。
【0067】
この構成によれば、例えば、輝度が極端に大きく修正されることが抑制され、画像が不自然に明るくなりすぎたり、暗くなりすぎたりすることを抑制することができる。
【0068】
また、本実施形態の場合、撮像部14bは左のドアミラー10bに固定され、撮像部14cは右のドアミラー10cに固定されている。この場合、車両10のドアが閉まっている状態で撮影された画像を用いることで、撮像部14aや撮像部14dが撮像した画像との繋ぎ合わせが正確にできる。したがって、表示制御部24dは、ドアが開いている場合は、画像のつなぎ合わせが正確にできない。そのためCPU24aは、上述したような輝度の補正処理を実行せずに、参考としての周辺画像を生成するようにしてもよい。
【0069】
本実施形態のCPU24aで実行される画像処理のためのプログラムは、インストール可能な形式又は実行可能な形式のファイルでCD-ROM、フレキシブルディスク(FD)、CD-R、DVD(Digital Versatile Disk)等のコンピュータで読み取り可能な記録媒体に記録して提供するように構成してもよい。
【0070】
さらに、画像処理プログラムを、インターネット等のネットワークに接続されたコンピュータ上に格納し、ネットワーク経由でダウンロードさせることにより提供するように構成してもよい。また、本実施形態で実行される画像処理プログラムをインターネット等のネットワーク経由で提供又は配布するように構成してもよい。
【0071】
なお、上記実施形態では、明モード及び暗モードの切り替えに用いられる明るさに関する情報(明るさ情報)が画像の輝度である例が示されたが、これに限定されない。例えば、明るさに関する情報は、車両10のイルミネーションスイッチの状態(オン状態、オフ状態)を示す情報(イルミネーションスイッチ信号)や、コンライトセンサの検出結果(コンライトセンサ信号)であってもよい。例えば、明るさに関する情報がイルミネーションスイッチの場合には、モード切替部30は、イルミネーションスイッチがオフの場合に明モードを設定し、イルミネーションスイッチがオンの場合に暗モードを設定する。また、明るさに関する情報がコンライトセンサの場合には、モード切替部30は、コンライトセンサが検出する車両10の周辺の明るさが所定の閾値以上の場合に明モードを設定し、コンライトセンサが検出する車両10の周辺の明るさが所定の閾値未満の場合に暗モードを設定する。
【0072】
本発明の実施形態及び変形例を説明したが、これらの実施形態及び変形例は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0073】
10…車両、14,14a,14b,14c,14d…撮像部、16…表示装置、24…ECU(画像処理装置)、28…取得部、30…モード切替部、31…関心領域設定部、32…第1設定部(第一の設定部)、34…第2設定部(第二の設定部)、36,36F,36SL,36SR,36R…被撮像領域、38,38FL,38FR,38RL,38RR…重複領域、40、40FL,40FR,40RL,40RR…関心領域、42…直線補間式、44…周辺画像。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12