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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024001465
(43)【公開日】2024-01-10
(54)【発明の名称】電線の製造方法
(51)【国際特許分類】
   H01B 13/14 20060101AFI20231227BHJP
【FI】
H01B13/14 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】2
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022100140
(22)【出願日】2022-06-22
(71)【出願人】
【識別番号】501418498
【氏名又は名称】矢崎エナジーシステム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001771
【氏名又は名称】弁理士法人虎ノ門知的財産事務所
(72)【発明者】
【氏名】太田 信之
【テーマコード(参考)】
5G325
【Fターム(参考)】
5G325JB08
5G325JC06
5G325JD02
(57)【要約】
【課題】導体の外周に絶縁体を形成する際に、押出装置の口金に樹脂カスが付着することを抑制することができる電線の製造方法を提供することを目的とする。
【解決手段】電線1の製造方法は、絶縁体30によって導電性を有する導体10の外周を覆うことにより絶縁する絶縁工程(ステップS2)を含み、絶縁工程(ステップS2)は、導体10、導体10の外周面側に施され添加物を含む絶縁層31、及び、絶縁層31の外周面側に施され添加物を含まないスキン層32を押出装置Aの口金A1から同時に押し出す、押出工程(ステップS2A)を含む。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
絶縁体によって導電性を有する導体の外周を覆うことにより絶縁する絶縁工程を含み、
前記絶縁工程は、前記導体、前記導体の外周面側に施され添加物を含む絶縁層、及び、前記絶縁層の外周面側に施され前記添加物を含まないスキン層を押出装置の口金から同時に押し出す、押出工程を含むことを特徴とする、
電線の製造方法。
【請求項2】
前記スキン層の厚さは、0.02mm以上0.06mm以下である、
請求項1に記載の電線の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電線の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、導電性を有する導体の外周を、添加物を含む絶縁体によって覆うことにより絶縁した絶縁電線が知られている。このような電線は、例えば、特許文献1に記載された装置等によって押出成型されることで製造される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2002-42591号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、上述の特許文献1に記載された装置を用いて絶縁電線を製造する場合、押出しダイ(口金)から絶縁体を押し出すことにより、口金に一定量の樹脂カスが付着すると、絶縁体上の傷や付着した樹脂カスが突起となり、ケーブル通電時にそれらが原因で外導トリーが発生し、地絡事故が発生するリスクが高まる。そのため、改善の余地がある。
【0005】
本発明は、上記の事情に鑑みてなされたものであって、導体の外周に絶縁体を施す際に、押出装置の口金に樹脂カスが付着することを抑制することができる電線の製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、本発明に係る電線の製造方法は、絶縁体によって導電性を有する導体の外周を覆うことにより絶縁する絶縁工程を含み、前記絶縁工程は、前記導体、前記導体の外周面側に施され添加物を含む絶縁層、及び、前記絶縁層の外周面側に施され前記添加物を含まないスキン層を押出装置の口金から同時に押し出す、押出工程を含むことを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明に係る電線の製造方法は、導体の外周に絶縁体を形成する際に、押出装置の口金に樹脂カスが付着することを抑制することができる、という効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1図1は、実施形態に係る電線を示す模式的な断面図である。
図2図2は、実施形態に係る電線の製造方法を示すフローチャートである。
図3図3は、実施形態に係る電線の製造方法における押出工程を説明するための模式的な断面図である。
図4図4は、実施形態に係る電線の製造方法における押出工程を実施した後の電線を示す模式的な断面図である。
図5図5は、実施例に係る電線と比較例に係る電線の評価結果を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下に、本発明に係る実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、この実施形態によりこの発明が限定されるものではない。また、下記実施形態における構成要素には、当業者が置換可能かつ容易なもの、あるいは実質的に同一のものが含まれる。
【0010】
[実施形態]
図面を参照しながら実施形態に係る電線1、及び、電線1の製造方法について説明する。電線1は、例えば、高圧のCVケーブル(架橋ポリエチレン絶縁ビニルシースケーブル)であり、離間して配置された高圧電源と配電盤とを電気的に接続するものである。電線1は、図1に示すように、導体10と、内部半導電層20と、絶縁体30と、外部半導電層40と、金属テープとしての銅テープ50と、押え巻きテープ60と、シース70とを備える。
【0011】
導体10は、電流を流すものである。導体10は、導電性を有する金属線材、例えば、アルミニウム、アルミニウム合金、銅、銅合金等の素線(図示省略)を複数束ねて構成される。
【0012】
内部半導電層20は、電界を均一化するものである。内部半導電層20は、例えば、ポリエチレンにカーボンを混入して押出成型したものや、繊維質(布)テープに導電材料を塗布したもの、これらを組み合わせたもの等で構成され、半導電性を有している。内部半導電層20は、導体10に積層されることで、当該導体10の外周を覆うように形成されている。
【0013】
絶縁体30は、導体10を絶縁するものである。絶縁体30は、例えば、絶縁性を有する熱可塑性樹脂、例えば、ポリエチレン等から形成されている。絶縁体30は、内部半導電層20に積層されることで、当該内部半導電層20の外周を覆うように形成されている。絶縁体30は、内部半導電層20を介して導体10の外周を覆うことにより、導体10を絶縁することができる。
【0014】
外部半導電層40は、電界を均一化するものである。外部半導電層40は、例えば、ポリエチレンにカーボンを混入して押出成型したものや、繊維質(布)テープに導電材料を塗布したもの、これらを組み合わせたもの等で構成され、半導電性を有している。外部半導電層40は、絶縁体30に積層されることで、当該絶縁体30の外周を覆うように形成されている。
【0015】
銅テープ50は、短絡時に電流を接地(グランド)側へ流すためのものである。銅テープ50は、例えば、銅等で構成され、帯状に形成されている。銅テープ50は、外部半導電層40の外周を覆うように形成され、当該銅テープ50の一部が重なった状態で、隙間なく連続して螺旋状に巻かれている。
【0016】
押え巻きテープ60は、銅テープ50を絶縁体30側に押え付けるものである。押え巻きテープ60は、例えば、不織布等で構成され、帯状に形成されている。押え巻きテープ60は、銅テープ50の外周を覆うように形成され、当該押え巻きテープ60の一部が重なった状態で、隙間なく連続して螺旋状に巻かれている。そのため、押え巻きテープ60は、銅テープ50を外部半導電層40に押え付けることができる。
【0017】
シース70は、導体10等を保護するものである。シース70は、例えば、塩化ビニルやポリエチレン等から形成されている。シース70は、押え巻きテープ60に積層されることで、当該押え巻きテープ60の外周を覆うように形成されている。シース70は、押え巻きテープ60を被覆することにより、導体10、内部半導電層20、絶縁体30、外部半導電層40、銅テープ50、及び、押え巻きテープ60を保護することができる。
【0018】
次に、電線1の製造方法について説明する。図2に示すように、電線1の製造方法は、内部半導電層被覆工程(ステップS1)と、絶縁工程(ステップS2)と、外部半導電層被覆工程(ステップS3)と、銅テープ巻工程(ステップS4)と、押え巻きテープ巻工程(ステップS5)と、シース被覆工程(ステップS6)とを含む。各工程は、図3に示す押出装置A等を含む、電線製造装置(図示省略)によって実施される。
【0019】
まず、電線1の製造方法は、内部半導電層被覆工程において、内部半導電層20によって導体10の外周を覆う(ステップS1)。このとき、内部半導電層20は、押出成型等、種々の公知の方法で導体10の外周面側に施される。
【0020】
そして、絶縁工程において、絶縁体30によって導体10の外周を覆うことにより絶縁する(ステップS2)。なお、本実施形態の絶縁工程(ステップS2)は、図3を参照して後述する押出工程(ステップS2A)を含み、絶縁体30は、押出装置Aを用いた押出成型によって導体10の外周面側に施される。
【0021】
そして、外部半導電層被覆工程において、外部半導電層40によって導体10の外周を覆う(ステップS3)。このとき、外部半導電層40は、押出成型等、種々の公知の方法で導体10の外周面側に施される。
【0022】
そして、銅テープ巻工程において、絶縁工程で導体10を絶縁した絶縁体30に積層された外部半導電層40の外周に銅テープ50を螺旋状に巻く(ステップS4)。
【0023】
そして、押え巻きテープ巻工程において、銅テープ巻工程で巻いた銅テープ50の外周に押え巻きテープ60を螺旋状に巻くことにより銅テープ50を外部半導電層40に押え付ける(ステップS5)。
【0024】
そして、シース被覆工程において、シース70によって押え巻きテープ60巻工程で巻いた押え巻きテープ60を覆うことにより保護する(ステップS6)。
【0025】
ここで、絶縁工程(ステップS2)について、より詳しく説明する。絶縁工程(ステップS2)では、まず、図3に示す押出装置Aを用いて、内部半導電層20が積層された導体10と、内部半導電層20の外周面に施される絶縁体30を同時に押し出す、押出工程(ステップS2A)を実施する。そして、押出装置Aから押し出された絶縁体30を硬化させることによって、導体10の外周面側に絶縁体30を積層する。
【0026】
本実施形態の絶縁体30は、押出工程(ステップS2A)を実施した際に、絶縁体30が、導体10の外周面側に押し出される絶縁層31と、当該絶縁層31の外周面側に押し出されるスキン層32との2層に分かれている。絶縁層31やスキン層32は、押出装置Aの口金A1から導体10と同時に押し出されると、混ざりながら硬化し、一体となることで絶縁体30を形成する。
【0027】
絶縁層31は、添加物を含む絶縁層である。ここでいう添加物とは、例えば、親水性材料が混合する架橋剤等である。絶縁層31は、親水性を有することで水分を分散させやすくなる。そのため、絶縁層31は、添加物を含まない絶縁層よりもボイドを生成させにくく、当該ボイドを起点とした水トリーの発生を抑制することができる。
【0028】
スキン層32は、添加物を含まない層である。一般的に、導体10の外周面側に添加物を含む絶縁層のみを押出装置Aの口金A1から押し出した場合、口金A1の内面と絶縁層との間に摩擦が生じてしまい、絶縁層を構成する樹脂から添加物が分離してしまう。そのため、絶縁層から分離した添加物が口金A1の押出口に付着することにより、当該押出口に溶解樹脂としての樹脂カスが蓄積することが懸念される。
【0029】
これに対し、本実施形態の押出工程(ステップS2A)は、添加物を含む絶縁層31の外周面に添加物を含まないスキン層32を積層し、押出装置Aの口金A1から絶縁層31とスキン層32を同時に押し出すことで、口金A1の内面にスキン層32のみを押し当てることができる。したがって、押出工程(ステップS2A)は、絶縁層31に含まれる添加物が口金A1の押出口に付着することを抑制し、当該押出口に樹脂カスが蓄積することを抑制することができる。
【0030】
また、スキン層32は、押出装置Aの口金A1から押し出されて、その後、硬化する際に、絶縁層31から染み出た添加物が移行することで、当該添加物を含有することができる。一般的に、添加物を含む絶縁層と、添加物を含まない層がそれぞれ硬化した場合、各層が異なる構成材料で構成されていることにより、添加物を含む絶縁層と添加物を含まない層との間に界面が発生し、その界面から水トリーが発生することが懸念される。
【0031】
これに対し、本実施形態の押出工程(ステップS2A)は、押出装置Aの口金A1から押し出される際のスキン層32の厚さを、例えば、0.02mm以上、0.06mm以下に設定することで、絶縁層31に含まれる添加物をスキン層32に行き渡らせた状態で、各層を硬化させることができる。そのため、押出工程(ステップS2A)は、絶縁層31とスキン層32が硬化することで形成される絶縁体30の内部に界面が発生することを抑制し、当該界面を起点とした水トリーの発生を抑制することができる。
【0032】
なお、絶縁体30の厚さは、特に限定されないが、3mm程度とすることができる。
【0033】
また、絶縁体30が積層される導体10の外径は、特に限定されない。
【0034】
[評価試験]
次に、図5を参照して、電線1の実施例、及び、比較例に対して行った評価試験について説明する。
【0035】
本評価試験では、以上で説明した実施形態に係る電線1について実施例を実際に製造し、押出工程(ステップS2A)時に押出装置Aの口金A1に付着する樹脂カスの有無や、押出工程(ステップS2A)によって導体10の外周面側に積層された絶縁体30の性能についての評価を行った。
【0036】
[実施例]
[実施例1]
絶縁工程(ステップS2)において、押出装置Aの口金A1から押し出される際のスキン層32の厚さが、0.02mmとなるように押し出した。なお、導体10の外径は、7.18mmであり、絶縁層31とスキン層32が硬化することで形成される絶縁体30の厚さは3mmとなるように電線を作製した。
【0037】
[実施例2]
絶縁工程(ステップS2)において、押出装置Aの口金A1から押し出される際のスキン層32の厚さが、0.04mmとなるように押し出したこと以外は、実施例1と同様にして、電線を作製した。
【0038】
[実施例3]
絶縁工程(ステップS2)において、押出装置Aの口金A1から押し出される際のスキン層32の厚さが、0.06mmとなるように押し出したこと以外は、実施例1と同様にして、電線を作製した。
【0039】
[比較例]
[比較例1]
絶縁工程(ステップS2)において、押出装置Aの口金A1から押し出される際のスキン層32の厚さが、0.08mmとなるように押し出したこと以外は、実施例1と同様にして、電線を作製した。
【0040】
[比較例2]
絶縁工程(ステップS2)において、押出装置Aの口金A1から押し出される際のスキン層32の厚さが、0.10mmとなるように押し出したこと以外は、実施例1と同様にして、電線を作製した。
【0041】
[比較例3]
絶縁工程(ステップS2)において、押出装置Aの口金A1から押し出される際のスキン層32の厚さが、0.12mmとなるように押し出したこと以外は、実施例1と同様にして、電線を作製した。
【0042】
[測定方法]
[測定方法1]
押出装置Aの口金A1に付着する樹脂カスの有無については、次のように測定した。まず、導体10、絶縁層31、スキン層32を押出装置Aの口金A1から同時に押し出す、押出工程(ステップS2A)を実施する。そして、口金A1から一定の長さを押し出した後に、口金A1の押出口を目視で確認する。なお、ここでいう一定の長さとは、特に限定されないが、例えば、1500m~2000m程度とすることができる。
【0043】
[測定方法2]
絶縁体30に発生する水トリーの数については、次のように測定した。まず、上述した電線1の製造方法に沿って電線を作製する。そして、電線1に対して高周波加速劣化試験を実施し、所定の電圧を6か月間かける。そして、電線1から導体10等を抜き取り、絶縁体30を輪切りにすることで、0.5mm厚のサンプルを20枚作成する。そして、各サンプルを顕微鏡で観察し、水トリーの数を数えることで確認する。顕微鏡の倍率は、特に限定されないが、50倍以上であることが好ましい。
【0044】
[評価方法]
[評価方法1]
測定方法1によって測定される押出装置Aの口金A1に付着する樹脂カスの有無については、次のように評価した。口金A1の押出口を目視で確認した際に、口金A1に樹脂カスが付着していない場合を〇(合格)とし、口金A1に樹脂カスが付着している場合を×(不合格)とする(後述する[評価結果1]を参照)。
【0045】
[評価方法2]
測定方法2によって測定される絶縁体に発生する水トリーの数については、次のように評価した。絶縁層31側とスキン層32側をそれぞれ観察して水トリーの数を数えた際に、スキン層32側の水トリーの数が絶縁層31側の水トリーの数の平均に近似している場合を〇(合格)とし、スキン層32側の水トリーの数が絶縁層31側の水トリーの数の平均に近似している場合を×(不合格)とする(後述する[評価結果2]を参照)。なお、絶縁層31側の水トリーの数の平均とは、実施例1、実施例2、実施例3、比較例1、比較例2、比較例3でそれぞれ確認された水トリーの数の平均とする。
【0046】
[評価結果]
[評価結果1]
押出装置Aの口金A1に付着する樹脂カスの有無については、実施例1、実施例2、実施例3、比較例1、比較例2、比較例3では、樹脂カスが確認されず、いずれも〇(合格)であると評価された。したがって、押出工程(ステップS2A)において、絶縁層31の外周面にスキン層32を押し出し、絶縁層31とスキン層32を押出装置Aの口金A1から同時に押し出すことで、口金A1の押出口に樹脂カスが蓄積することを抑制することができることが確認された。
【0047】
[評価結果2]
また、絶縁体30に発生する水トリーの数については、実施例1、実施例2、実施例3は、スキン層32側の水トリーの数が絶縁層31側の水トリーの数に近似しているため、〇(合格)であると評価された。一方で、比較例1、比較例2、比較例3は、スキン層32側の水トリーの数が絶縁層31側の水トリーの数に近似せず、実施例1、実施例2、実施例3よりも多くの水トリーが確認されたため、×(不合格)であると評価された。
【0048】
したがって、押出工程(ステップS2A)では、押出装置Aの口金A1から押し出される際のスキン層32の厚さが0.02mm以上、0.06mm以下に設定されることで、水トリーの発生を抑制することができることが確認された。
【0049】
以上で説明した電線1の製造方法は、絶縁体30によって導電性を有する導体10の外周を覆うことにより絶縁する絶縁工程(ステップS2)を含み、絶縁工程(ステップS2)は、導体10、導体10の外周面側に施され添加物を含む絶縁層31、及び、絶縁層31の外周面側に施され添加物を含まないスキン層32を押出装置Aの口金A1から同時に押し出す、押出工程(ステップS2A)を含む。
【0050】
このような構成によれば、押出工程(ステップS2A)において、口金A1の内面に、添加物を含まない層であるスキン層32のみを当てて押し出すことができる。したがって、電線1の製造方法は、導体10の外周に絶縁体30を形成する際に、押出装置Aの口金A1に絶縁層31に含まれる添加物が付着することを抑制し、口金A1の押出口に樹脂カスが付着することを抑制することができる。
【0051】
さらに、以上で説明した電線1の製造方法は、スキン層32の厚さが、0.02mm以上0.06mm以下である。このような構成によれば、絶縁層31とスキン層32は、絶縁層31に含まれる添加物をスキン層32に行き渡らせた状態で、混ざりながら硬化し、一体となることで絶縁体30を形成する。したがって、電線1の製造方法は、絶縁体30の内部に界面が発生することを抑制し、当該界面を起点とした水トリーの発生を抑制することができる。
【符号の説明】
【0052】
1 電線
10 導体
20 内部半導電層
30 絶縁体
31 絶縁層
32 スキン層
40 外部半導電層
50 銅テープ
60 押え巻きテープ
70 シース
S2 絶縁工程
S2A 押出工程
図1
図2
図3
図4
図5