IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ ダイハツ工業株式会社の特許一覧

<>
  • 特開-電池ユニット 図1
  • 特開-電池ユニット 図2
  • 特開-電池ユニット 図3
  • 特開-電池ユニット 図4
  • 特開-電池ユニット 図5
  • 特開-電池ユニット 図6
  • 特開-電池ユニット 図7
  • 特開-電池ユニット 図8
  • 特開-電池ユニット 図9
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024146501
(43)【公開日】2024-10-15
(54)【発明の名称】電池ユニット
(51)【国際特許分類】
   B60K 1/04 20190101AFI20241004BHJP
   H01M 50/271 20210101ALI20241004BHJP
   H01M 50/249 20210101ALI20241004BHJP
   H01M 50/244 20210101ALI20241004BHJP
【FI】
B60K1/04 Z
H01M50/271 B
H01M50/249
H01M50/244 Z
H01M50/271 S
【審査請求】有
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023059451
(22)【出願日】2023-03-31
(71)【出願人】
【識別番号】000002967
【氏名又は名称】ダイハツ工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】黒瀬 健介
【テーマコード(参考)】
3D235
5H040
【Fターム(参考)】
3D235AA02
3D235BB22
3D235BB25
3D235CC15
3D235DD24
3D235EE63
3D235FF06
3D235FF07
3D235FF12
5H040AA14
5H040AS07
5H040AT06
5H040AY04
5H040CC05
5H040CC20
(57)【要約】
【課題】電池ユニットの上方からの衝撃に対する強度を向上させる。
【解決手段】電池ユニットは、車両に設けられた二つのサイドメンバと車両に設けられた二つのクロスメンバとの間に配置される。電池ユニットは、車両に電気を供給する電池パックと、電池パックの上方側で電池パックを覆う保護カバーと、保護カバーの下方側に位置し、二つのクロスメンバに亘り、保護カバーに溶接されるとともに二つのクロスメンバに締結された骨格フレームと、を備える。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両に設けられた二つのサイドメンバと前記車両に設けられた二つのクロスメンバとの間に配置される電池ユニットであって、
前記車両に電気を供給する電池パックと、
前記電池パックの上方側で前記電池パックを覆う保護カバーと、
前記保護カバーの下方側に位置し、前記二つのクロスメンバに亘り、前記保護カバーに溶接されるとともに前記二つのクロスメンバに締結された骨格フレームと、
を備えた電池ユニット。
【請求項2】
前記電池パックと上下方向と交差する方向に並べられ、前記電池パックを制御する制御装置を備え、
前記保護カバーは、
前記電池パックの上方側で前記電池パックを覆う第1カバー部材と、
前記制御装置の上方側で前記制御装置を覆う第2カバー部材と、
を有し、
前記第1カバー部材と前記第2カバー部材のそれぞれに、少なくとも一つの前記骨格フレームが設けられた、
請求項1に記載の電池ユニット。
【請求項3】
前記第1カバー部材の一部と前記第2カバー部材の一部とは、互いに重なってラビリンス構造を構成した、
請求項2に記載の電池ユニット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両の電池ユニットに関する。
【背景技術】
【0002】
ハイブリッド車(HV:Hybrid Vehicle)や電気自動車(EV:Electric Vehicle)等の車両は、車両に電気を供給する電池ユニットを備える。電池ユニットは、電池パックを有する。この種の車両として、電池パックに保護カバーが設けられているもの(例えば、特許文献1参照)や、二つのクロスメンバに亘る骨組み部材が設けられたものが知られている(例えば、特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2012-84340号公報
【特許文献2】特開2017-136909号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来技術では、電池パックをカバーで覆うだけの構成であるため、電池ユニットの上方からの衝撃に対する強度が弱いという問題がある。
【0005】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、電池ユニットの上方からの衝撃に対する強度を向上させることを課題の一つとする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係る電池ユニットは、車両に設けられた二つのサイドメンバと前記車両に設けられた二つのクロスメンバとの間に配置される電池ユニットであって、前記車両に電気を供給する電池パックと、前記電池パックの上方側で前記電池パックを覆う保護カバーと、前記保護カバーの下方側に位置し、前記二つのクロスメンバに亘り、前記保護カバーに溶接されるとともに前記二つのクロスメンバに締結された骨格フレームと、を備える。
【0007】
このような構成によれば、骨格フレームが、保護カバーに溶接されるとともに二つのクロスメンバに締結されているので、電池ユニットの上方からの衝撃に対する強度(耐力)を向上させることができる。
【0008】
前記電池ユニットは、例えば、前記電池パックと上下方向と交差する方向に並べられ、前記電池パックを制御する制御装置を備え、前記保護カバーは、前記電池パックの上方側で前記電池パックを覆う第1カバー部材と、前記制御装置の上方側で前記制御装置を覆う第2カバー部材と、を有し、前記第1カバー部材と前記第2カバー部材のそれぞれに、少なくとも一つの前記骨格フレームが設けられている。
【0009】
このような構成によれば、保護カバーが、少なくとも、電池パックを覆う第1カバー部材と、制御装置を覆う第2カバー部材とに分割されているので、制御装置の修理時には、第2カバー部材のみを外して作業することとができる。よって、電池ユニットに対する作業性を向上させることができる。
【0010】
前記電池ユニットでは、例えば、前記第1カバー部材の一部と前記第2カバー部材の一部とは、互いに重なってラビリンス構造を構成している。
【0011】
このような構成によれば、第1カバー部材と第2カバー部材との間から水等の液体が電池ユニット内に進入するのを抑制することができるので、電池ユニットの防水性を向上させることができる。
【発明の効果】
【0012】
本発明にかかる電池ユニットは、電池ユニットの上方からの衝撃に対する強度を向上させることができる、という効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1図1は、実施形態にかかる電池ユニットが搭載された車両の概形を示す図である。
図2図2は、実施形態にかかる車両の床及び電池ユニットを示す平面図である。
図3図3は、図2のIII-III断面図である。
図4図4は、実施形態にかかる電池ユニットの保護カバーにおけるラビリンス構造を示す断面図である。
図5図5は、実施形態にかかる電池ユニットを示す平面図であって、保護カバーの一部が取り外された状態の図である。
図6図6は、実施形態にかかる電池ユニットにおける骨格フレームの突出部を含む部分を示す断面図である。
図7図7は、実施形態にかかる電池ユニットにおけるブロワを含む部分を示す斜視図である。
図8図8は、実施形態にかかる電池ユニットにおけるブロワを含む部分を示す平面図である。
図9図9は、実施形態にかかる電池ユニットにおけるブロワの取付構造を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下に、一つの実施形態について説明する。なお、図面は模式的なものであり、各要素の寸法の関係、各要素の比率等は、現実と異なる場合がある。また、図面の相互間においても、互いの寸法の関係や比率が異なる部分が含まれている場合がある。また、本明細書では、序数は、部品や、部材、部位、位置、方向等を区別するためだけに用いられており、順番や優先度を示すものではない。
【0015】
図1は、実施形態にかかる電池ユニット1が搭載される車両100の概形を示す図である。車両は、ハイブリッド車や電気自動車等の電動車である。車両100は、室内101の床102上に、フロントシート103、リアシート104、及び電池ユニット1を備える。電池ユニット1は、フロントシート103の下に設置されている。電池ユニット1は、給電ユニットとも称される。
【0016】
各図面には、三次元座標系が示されている。三次元座標系は、車両100及び電池ユニット1の前後方向をX軸方向、幅方向(左右方向)をY軸方向、上下方向(高さ方向)をZ軸方向とした。X軸の正方向は、前後方向の後方であり、X軸の負方向は、前後方向の前方である。Y軸の正方向は、右方であり、Y軸の負方向は、左方である。軸の正方向は、上方であり、Z軸の負方向は、下方である。また、以後、特に言及しない限り、前後方向は、車両100及び電池ユニット1の前後方向であり、幅方向は、車両100及び電池ユニット1の幅方向であり、上下方向は、車両100及び電池ユニット1の上下方向である。
【0017】
図2は、実施形態にかかる車両100の床102及び電池ユニット1を示す平面図である。図2に示されるように、床102は、車両ボディーの一部であり、少なくとも、左サイドメンバ5L、右サイドメンバ5R、フロントクロスメンバ6F、及びリアクロスメンバ6Rを有する。床102は、フロアパネルとも称される。
【0018】
左サイドメンバ5Lと右サイドメンバ5Rとは、それぞれ前後方向に延び、互いに幅方向に間隔をあけて並べられている。フロントクロスメンバ6Fとリアクロスメンバ6Rとは、それぞれ幅方向に延び、互いに前後方向に間隔をあけて並べられている。フロントクロスメンバ6Fとリアクロスメンバ6Rとは、それぞれ、左サイドメンバ5Lと右サイドメンバ5Rとに亘って設けられている。床102において、左サイドメンバ5L、右サイドメンバ5R、フロントクロスメンバ6F、及びリアクロスメンバ6Rによって囲まれる領域は、板状のパネル部が設けられており、このパネル部の上方側に電池ユニット1が配置されている。
【0019】
図3は、図2のIII-III断面図である。図2及び図3に示されるように、電池ユニット1は、ケース11、電池パック12、ブロワ13(図2)、制御装置14(図2)、及び防水トレイ15(図3)を備える。ケース11は、電池パック12、ブロワ13、及び制御装置14を収容している。電池パック12、ブロワ13、及び制御装置14は、幅方向に並べられている。電池パック12の一方側(一例として右側)にブロワ13が配置され、電池パック12の他方側(一例として左側)に制御装置14が配置されている。防水トレイ15は、ケース11、電池パック12、ブロワ13、及び制御装置14を収容している。
【0020】
電池パック12は、車両100のモータに電気を供給する二次電池(バッテリー)であって、例えばリチウムイオン電池である。電池パック12は、回生電力や充電器からの電力によって充電される。ブロワ3は、電池パック12を冷却するための空気を、保護カバー2内の電池パック12に吹き付ける。制御装置14は、電池パック12及びブロワ13を制御する。制御装置14は、例えば、バッテリーマネージメントシステムであり、複数の電子部品を有する。複数の電子部品のうちには、高電圧が印加される高電圧部品が含まれる。
【0021】
以下に、各部を詳細に説明する。
【0022】
図3に示されるように、防水トレイ15は、上方に開口している。防水トレイ15は、例えば、ボルト27,28によって、複数のブラケット32を介してフロントクロスメンバ6F及びリアクロスメンバ6Rに締結によって固定されている。ブラケット32は、防水トレイブラケットとも称される。
【0023】
図2及び図3に示されるように、ケース11は、ロアケース21(図3)と、保護カバー22とを有する。
【0024】
ロアケース21は、上方に開口しており、電池パック12、ブロワ13、及び制御装置14を内部に収容している。ロアケース21は、床102に固定されている。例えば、ロアケース21は、ブラケット32を介してフロントクロスメンバ6F及びリアクロスメンバ6Rに締結によって固定されている。これにより、電池パック12が、ロアケース21およびブラケット32を介して、フロントクロスメンバ6F及びリアクロスメンバ6Rに締結によって固定されている。すなわち、ブラケット32は、電池パック12(ロアケース21)及び防水トレイ15をフロントクロスメンバ6F及びリアクロスメンバ6Rに固定している。
【0025】
保護カバー22は、ロアケース21の上方側に設けられ、ロアケース21の開口を覆っている。保護カバー22は、電池パック12、ブロワ13、及び制御装置14の上方側に設けられ、電池パック12、ブロワ13、及び制御装置14を覆っている。
【0026】
保護カバー22は、複数の部材の組み合わせによって構成されている。例えば、図2に示されるように、保護カバー22は、第1カバー部材23と、第2カバー部材24と、第3カバー部材25とを有する。保護カバー22は、ボルト27~29等によってフロントクロスメンバ6F及びリアクロスメンバ6Rに固定されている。
【0027】
第1カバー部材23は、少なくとも電池パック12の上方側に位置し、電池パック12を覆っている。第2カバー部材24は、少なくとも制御装置14の上方側に位置し、制御装置14を覆っている。第3カバー部材25は、少なくともブロワ13の上方側に位置し、ブロワ13を覆っている。
【0028】
図4は、実施形態にかかる電池ユニット1の保護カバー22におけるラビリンス構造22aを示す断面図である。図2及び図3に示されるように、第1カバー部材23と第2カバー部材24とは、それぞれの一部である重なり部23a,24aが上下方向に重ねられている。一例として、第1カバー部材23の重なり部23aの上方側に第2カバー部材24の重なり部24aが間隔をあけて重ねられている。なお、第1カバー部材23の重なり部23aの下方側に第2カバー部材24の重なり部24aが間隔をあけて重ねられていてもよい。また、第1カバー部材23の重なり部23aと第2カバー部材24の重なり部24aとが接触していてもよい。
【0029】
図4に示されるように、二つの重なり部23a,24aは、ラビリンス構造22aを構成している。詳細には、第1カバー部材23の重なり部23aは、第1部分23aaと、第2部分23abと、第3部分23acとを有する。第1部分23aaは、上下方向する直交する方向に広がっている。第2部分23abは、第1部分23aaの左端(Y軸の負方向)から、左方に向かうにつれて上方に向かうように延びている。換言すると、第2部分23abは、第1部分23aaから左斜め上方に向かって延びている。第2部分23abは、傾斜部とも称される。第3部分23acは、第2部分23abの左端(Y軸の負方向)から左方に延びている。
【0030】
第2カバー部材24の重なり部24aは、第1部分24aaと、第2部分24abと、第3部分24acとを有する。第1部分24aaは、上下方向する直交する方向に広がっている。第2部分24abは、第1部分23aaの右端(Y軸の正方向)から、右方に向かうにつれて下方に向かうように延びている。換言すると、第2部分24abは、第1部分24aaから右斜め下方に向かって延びている。第2部分24abは、傾斜部とも称される。第3部分24acは、第2部分24abの右端(Y軸の正方向)から右方に延びている。
【0031】
第1カバー部材23の重なり部23aの第1部分23aaの上方側に、第2カバー部材24の重なり部24aの第3部分24acが間隔をあけて位置している。第1カバー部材23の重なり部23aの第2部分23abの上方側に、第2カバー部材24の重なり部24aの第2部分24abが間隔をあけて位置している。第1カバー部材23の重なり部23aの第3部分23acの上方側に、第2カバー部材24の重なり部24aの第1部分24aaが間隔をあけて位置している。
【0032】
上記の構成のラビリンス構造22aは、第1カバー部材23の重なり部23aと第2カバー部材24の重なり部24aとの間から、水等の液体が保護カバー22の内部に進入するのを抑制する。なお、第1カバー部材23の重なり部23aと第2カバー部材24の重なり部24aとの間をシール部材でシールしてもよい。
【0033】
また、図2に示されるように、保護カバー22には、複数(一例として二つ)の骨格フレーム26A,26Bが固定されている。骨格フレーム26Aは、第1カバー部材23に固定され、骨格フレーム26Bは、第2カバー部材24に固定されている。以後、複数の骨格フレーム26A,26Bの総称として骨格フレーム26を用いる。以下では、第1カバー部材23および第2カバー部材24にそれぞれに一つの骨格フレーム26が設けられた例を説明するが、骨格フレーム26の数はこれに限定されない。例えば、第1カバー部材23および第2カバー部材24とのそれぞれに複数の骨格フレーム26が設けられていてもよい。
【0034】
図5は、実施形態にかかる電池ユニット1を示す平面図であって、保護カバー22の一部が取り外された状態の図である。具体的には、図5は、保護カバー22の第1カバー部材23と第2カバー部材24とが取り外された状態を示す。
【0035】
図5に示されるように、複数の骨格フレーム26は、それぞれ前後方向に延び、互いに幅方向に間隔をあけて並べられている。各骨格フレーム26は、フロントクロスメンバ6Fとリアクロスメンバ6Rとに亘って設けられ、フロントクロスメンバ6Fとリアクロスメンバ6Rとに固定されている。換言すると、各骨格フレーム26は、フロントクロスメンバ6Fとリアクロスメンバ6Rとを橋渡ししている。
【0036】
骨格フレーム26は、前後方向を長手方向とする板部材である。骨格フレーム26は、例えば、ハット形部材を加工して作られており、少なくとも一部の断面がハット形断面である。骨格フレーム26は、例えば、金属材料によって作られている。
【0037】
骨格フレーム26は、前端部26aと、前端部26aの反対側の後端部26bと、左端部26cと、左端部26cの反対側の右端部26dとを有する。
【0038】
図2及び図3に示されるように、骨格フレーム26の前端部26a及び後端部26bは、ボルト27によって、フロントクロスメンバ6F及びリアクロスメンバ6Rと締結されている。ボルト27は、ナット(不図示)と結合して、骨格フレーム26をフロントクロスメンバ6F及びリアクロスメンバ6Rに固定している。より詳細には、図3に示されるように、骨格フレーム26の前端部26a及び後端部26bは、ブラケット32と重ねれ、ブラケット32とともに、ボルト27によってフロントクロスメンバ6F及びリアクロスメンバ6Rに締結されている。すなわち、骨格フレーム26は、フロントクロスメンバ6F及びリアクロスメンバ6Rに対してブラケット32と共締めされている。ここで、骨格フレーム26Bをフロントクロスメンバ6F及びリアクロスメンバ6Rに固定しているブラケット32は、ボルト27の他にボルト28(図2)によってもフロントクロスメンバ6F及びリアクロスメンバ6Rに締結されている。ただし、ボルト28は、骨格フレーム26Bをフロントクロスメンバ6F及びリアクロスメンバ6Rに締結していない。すなわち、ボルト28は、ブラケット32を介して防水トレイ15をフロントクロスメンバ6F及びリアクロスメンバ6Rに締結しているが、骨格フレーム26Bは締結していない。このため、制御装置14をメンテナンスするときは、ボルト27を外して、第2カバー部材24のみを取り外してメンテナンスをすることが可能である。このとき、ボルト28が防水トレイ15とフロントクロスメンバ6F及びリアクロスメンバ6Rとを締結しているため、防水トレイ15(電池パック12)がフロントクロスメンバ6F及びリアクロスメンバ6Rから外れる虞がない。
【0039】
図5に示されるように、骨格フレーム26の左端部26c及び右端部26dには、凹凸部26eが設けられている。凹凸部26eは、前後方向に間隔をあけて並べられた複数の凸部26eaを有する。各凸部26eaは、保護カバー22と固定されている。具体的には、各凸部26eaは、保護カバー22に溶接されている。詳細には、骨格フレーム26Aの凸部26eaは、第1カバー部材23に溶接され、骨格フレーム26Bの凸部26eaは、第2カバー部材24に溶接されている。骨格フレーム26と保護カバー22との溶接は、例えば、スポット溶接であるがこれに限定されない。図5には、骨格フレーム26における溶接個所26gが黒丸で示されている。なお、骨格フレーム26と保護カバー22との溶接個所26gは、上記に限定されない。
【0040】
図6は、実施形態にかかる電池ユニット1における骨格フレーム26Aの突出部26iを含む部分を示す断面図である。図5及び図6に示されるように、骨格フレーム26Aには、突出部26iが設けられている。突出部26iは、骨格フレーム26Aの左端部26cに複数(一例として二つ)設けられている。複数の突出部26iは、前後方向に間隔をあけて設けられている。複数の突出部26iは、左端部26cから左方、すなわちブロワ13とは反対側に突出している。突出部26iは、骨格フレーム26Aと一体形成されている。なお、突出部26iは、骨格フレーム26Aと別部材で設けられ、骨格フレーム26Aに締結等によって固定されていてもよい。
【0041】
図6に示されるように、突出部26iは、電池パック12の上方側に位置している。突出部26iは、第1部分26iaと、第2部分26ibと、第3部分26icとを有する。第1部分26iaは、上下方向する直交する方向に広がっている。第2部分26ibは、第1部分26iaaの左端(Y軸の負方向)から、左方に向かうにつれて下方に向かうように延びている。換言すると、第2部分26ibは、第1部分26iaから左斜め下方に向かって延びている。第2部分26ibは、傾斜部とも称される。第3部分26icは、第2部分26ibの左端(Y軸の負方向)から左方に延びている。
【0042】
上記構成の突出部26iは、電池パック12が何らかの原因で骨格フレーム26Aに向かって上方に移動した場合に、第3部分26icに電池パック12の上部が接触する。この状態で、突出部26iは、電池パック12の上方への移動を制限する。
【0043】
図5に示されるように、骨格フレーム26Aには、固定部26hが設けられている。固定部26hには、ブロワ13が固定されている。換言すると、固定部26hには、ブロワ13が取り付けられている。固定部26hは、ブロワ取付部とも称される。固定部26hは、骨格フレーム26Aの右端部26dに複数(一例として二つ)設けられている。複数の固定部26hは、前後方向に間隔をあけて設けられている。複数の固定部26hは、左端部26cから右方、すなわち電池パック12とは反対側に突出している。固定部26hは、骨格フレーム26Aと一体形成されている。なお、固定部26hは、骨格フレーム26Aと別部材で設けられ、骨格フレーム26Aに締結等によって固定されていてもよい。固定部26hの形状の詳細は後述する。
【0044】
図3に示す、電池パック12は、複数の電池セル31と、ブラケット32とを有する。複数の電池セル31は、車両100のモータへ供給する電力を蓄電する。ブラケット32は、複数の電池セル31を支持している。ブラケット32は、骨格フレーム26とともに、ボルト27によってフロントクロスメンバ6F及びリアクロスメンバ6Rに締結されている。
【0045】
図7は、実施形態にかかる電池ユニット1におけるブロワ13を含む部分を示す斜視図である。図8は、実施形態にかかる電池ユニット1におけるブロワ13を含む部分を示す平面図である。
【0046】
図7及び図8に示されるように、ブロワ13は、ケース41を有する。ケース41は内には、羽根車と、羽根車を回転駆動するモータとが収容されている。ブロワ13は、モータによって羽根車を回転させることにより、ケース41の吸気口から空気を吸い込み、吸い込んだ空気をケース41の吹出口から電池パック12に吹き付け、当該空気の流れによって電池パック12を冷却する。すなわち、ブロワ13は電池パック12を冷却する空気流を発生させる。
【0047】
ケース41は、羽根車及びモータを収容したケース本体41aと、ケース本体41aから突出した複数の固定部41b,41cとを有する。
【0048】
次に、ブロワ13の固定構造について説明する。ブロワ13は、骨格フレーム26Aとロアケース21とに固定されている。詳細には、ケース41の固定部41bが、骨格フレーム26Aの固定部26hにボルト42によって締結され、固定部41cがロアケース21の固定部21bにボルト42によって締結されている。
【0049】
図9は、実施形態にかかる電池ユニット1におけるブロワ13の取付構造を示す断面図である。図9に示されるように、固定部41bは、骨格フレーム26Aの固定部21hの上側で当該固定部21hに重ねられて、ボルト42によって骨格フレーム26Aの固定部21hに締結されている。ボルト42は、ナット43と結合して、ブロワ13の固定部41bを骨格フレーム26Aの固定部26hに固定している。
【0050】
ここで、骨格フレーム26Aの固定部26hは、第1部分26haと、第2部分26hbと、第3部分26hcとを有する。第1部分26haは、上下方向する直交する方向に広がっている。第2部分26hbは、第1部分26aaの右端(Y軸の正方向)から、右方に向かうにつれて下方に向かうように延びている。換言すると、第2部分26hbは、第1部分26aaから右斜め下方に向かって延びている。第2部分26hbは、傾斜部とも称される。第3部分26hcは、第2部分26habの右端(Y軸の正方向)から右方に延びている。この第3部分26hcにブロワ13の固定部41bが締結されている。
【0051】
また、図8に示されるように、ロアケース21の固定部21bは、ロアケース21の内面から突出している。固定部21bには雌ネジが設けられている。ケース41の固定部41cは、ロアケース21の固定部21bの上側で固定部21bに重ねられて、固定部21bにボルト42によって締結されている。ボルト42は、雌ネジと結合して、ブロワ13の固定部41cをロアケース21の固定部21bに固定している。
【0052】
上記構成のブロワ13は、ケース本体41aの少なくとも一部が、固定部41b,41cを介して骨格フレーム26Aとロアケース21とに吊り下げられている固定されているとも言える。
【0053】
以上のように、本実施形態の電池ユニット1は、車両100に設けられた右サイドメンバ5R及び左サイドメンバ5L(二つのサイドメンバ)と車両100に設けられたフロントクロスメンバ6F及びリアクロスメンバ6R(二つのクロスメンバ)との間に配置される。電池ユニット1は、電池パック12と、保護カバー22と、骨格フレーム26と、を備える。電池パック12は、車両100に電気を供給する。保護カバー22は、電池パック12の上方側で電池パック12を覆う。骨格フレーム26は、保護カバー22の下方側に位置し、フロントクロスメンバ6F及びリアクロスメンバ6Rに亘り、保護カバー22に溶接されるとともに二つのフロントクロスメンバ6F及びリアクロスメンバ6Rに締結されている。
【0054】
このような構成によれば、骨格フレーム26が、保護カバー22に溶接されるとともにフロントクロスメンバ6F及びリアクロスメンバ6Rに締結されているので、電池ユニット1の上方からの衝撃に対する強度(耐力)を向上させることができる。よって、車室内の物体が電池ユニット1に落下した場合でも、電池ユニット1内の電池パック12や制御装置14(高電圧部品等)に衝撃が加わるのを抑制することができる。また、車両100の前後方向の衝突時に、床102におけるフロントクロスメンバ6F及びリアクロスメンバ6Rの間がつぶれて間隔が狭くなるのを骨格フレーム26によって抑制することができる。よって、上記構成によれば、電池ユニット1の安全性を向上させることができる。
【0055】
また、電池ユニット1は、例えば、電池パック12と上下方向と交差する方向に並べられ、電池パック12を制御する制御装置14を備える。保護カバー22は、電池パック12の上方側で電池パック12を覆う第1カバー部材23と、制御装置14の上方側で制御装置14を覆う第2カバー部材24と、を有する。第1カバー部材23と第2カバー部材24のそれぞれに、少なくとも一つの骨格フレーム26が設けられている。
【0056】
このような構成によれば、保護カバー22が、少なくとも、電池パック12を覆う第1カバー部材23と、制御装置14を覆う第2カバー部材24とに分割されているので、制御装置14の修理時には、第2カバー部材24のみを外して作業することができる。よって、電池ユニット1に対する作業性を向上させることができる。
【0057】
また、電池ユニット1では、例えば、第1カバー部材23の重なり部23a(一部)と第2カバー部材24の重なり部24a(一部)とは、互いに重なってラビリンス構造22aを構成している。
【0058】
このような構成によれば、第1カバー部材23と第2カバー部材24との間から水等の液体が電池ユニット1内に進入するのを抑制することができるので、電池ユニット1の防水性を向上させることができる。
【0059】
本発明の実施形態について説明したが、上記実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。上記実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更、組み合わせを行うことができる。上記実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0060】
1…電池ユニット、5L…左サイドメンバ(サイドメンバ)、5R…右サイドメンバ(サイドメンバ)、6F…フロントクロスメンバ(クロスメンバ)、6R…リアクロスメンバ(クロスメンバ)、12…電池パック、13…ブロワ、14…制御装置、21…ロアケース、22…保護カバー、22a…ラビリンス構造、23…第1カバー部材、23a…重なり部(一部)、24…第2カバー部材、24a…重なり部(一部)、26,26A,26B…骨格フレーム、26c…左端部(他端部)、26d…右端部(一端部)、26i…突出部、100…車両。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9