(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024014651
(43)【公開日】2024-02-01
(54)【発明の名称】ボート用加速型スクリュー
(51)【国際特許分類】
B63H 1/26 20060101AFI20240125BHJP
【FI】
B63H1/26 C
【審査請求】有
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022130422
(22)【出願日】2022-08-18
(31)【優先権主張番号】111127414
(32)【優先日】2022-07-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】TW
(71)【出願人】
【識別番号】502002773
【氏名又は名称】般若科技股▲分▼有限公司
(74)【代理人】
【識別番号】110000660
【氏名又は名称】Knowledge Partners弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】林 允進
(57)【要約】
【課題】ボート用加速型スクリューを提供する。
【解決手段】ボート用加速型スクリューはプロペラシャフト、複数の第一羽根および複数の第二羽根を備える。複数の第一羽根はプロペラシャフトの外周面に連結されることでプロペラシャフトとともに回転する。複数の第二羽根はプロペラシャフトの外周面に連結されることで複数の第一羽根と同じ方向に回転する。複数の第二羽根および複数の第一羽根は一つずつ相互に対応するように配置される。それぞれの第二羽根は第一羽根の前方に位置付けられ、サイズが第一羽根のサイズより小さく、回転方向が第一羽根の回転方向と同じである。上述した構造特徴により、本発明によるボート用加速型スクリューは第一羽根のサイズが増大せず、現状維持されたうえで高速航行中のボードの航行効率を上げることができる。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
プロペラシャフト、複数の第一羽根および複数の第二羽根を備える、
複数の前記第一羽根は前記プロペラシャフトの外周面に連結され、
複数の前記第二羽根は前記プロペラシャフトの外周面に連結されることで前記プロペラシャフトの回転に伴って複数の前記第一羽根と同じ方向に回転し、
複数の前記第二羽根および複数の前記第一羽根は一つずつ相互に対応するように配置され、
それぞれの前記第二羽根は前記第一羽根の前方に位置付けられ、サイズが前記第一羽根のサイズより小さく、回転方向が前記第一羽根の回転方向と同じであることを特徴とするボート用加速型スクリュー。
【請求項2】
それぞれの前記第二羽根は面積が前記第一羽根の三分の一であることを特徴とする請求項1に記載のボート用加速型スクリュー。
【請求項3】
それぞれの前記第二羽根は直径が前記第一羽根の70%であることを特徴とする請求項1に記載のボート用加速型スクリュー。
【請求項4】
前記プロペラシャフトの軸方向に平行の投影方向から見れば、それぞれの前記第二羽根の全体は対応する前記第一羽根の全体範囲内に収まることを特徴とする請求項1に記載のボート用加速型スクリュー。
【請求項5】
前記プロペラシャフトはシャフト本体および環状体から構成され、前記環状体は前記シャフト本体の前端に固定され、
複数の前記第一羽根は前記シャフト本体の外周面に連結され、
複数の前記第二羽根は前記環状体の外周面に連結されることを特徴とする請求項1に記載のボート用加速型スクリュー。
【請求項6】
それぞれの前記第二羽根は後縁が二つの隣り合う前記第一羽根の最先端の中間に位置することを特徴とする請求項1に記載のボート用加速型スクリュー。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ボート用スクリューに関し、詳しくはボート用加速型スクリューに関するものである。
【背景技術】
【0002】
ボートを加速させるために、比較的大きいサイズ(例えば16インチまたは17インチ)のスクリューを配置することは一般的であるが、コストを増加させる。比較的大きいサイズのスクリューは喫水が比較的深いため、浅い水路を航行する際、ボートの安全運航を維持することが難しい。言い換えれば、スクリューのサイズを増大させないことを前提として航行速度を高める方法は業界での課題となる。
【0003】
スクリューが回転すると同時に横方向の流れおよび縦方向の伴流を生じさせる。横方向の流れは抵抗を生じて推進効率に影響を与える。言い換えれば、横方向の流れを抑制し、縦方向の伴流を加速させれば、スクリューの推進効率を向上させることができる。それに対し、特許文献1により掲示されたスクリューは双方向の流れを生じる構造によって推進効率を向上させる。しかし、外側羽根および内側羽根は互いに対応せず、回転方向が逆である。また実際に使用して向上させた効率には限りがある。つまり、特許文献1の実用性はあまり高くないと思われる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、スクリューのサイズが増大せず現状維持されたうえで高速航行中のボートの航行効率を高めることができるボート用加速型スクリューを提供することを主な目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上述した課題を解決するため、ボート用加速型スクリューはプロペラシャフト、複数の第一羽根および複数の第二羽根を備える。複数の第一羽根はプロペラシャフトの外周面に連結されることでプロペラシャフトとともに回転する。複数の第二羽根はプロペラシャフトの外周面に連結されることでプロペラシャフトとともに回転すると同時に、プロペラシャフトを介して複数の第一羽根と同じ方向に回転する。複数の第二羽根および複数の第一羽根は一つずつ相互に対応するように配置される。それぞれの第二羽根は第一羽根の前方に位置付けられ、サイズが第一羽根のサイズより小さく、回転方向が第一羽根の回転方向と同じである。
【0007】
上述した構造特徴をまとめてみると、本発明によるボート用加速型スクリューは比較的小さいサイズの第二羽根によって横方向の流れを抑制し、縦方向の伴流を増大させるため、第一羽根のサイズが増大せず現状維持されたうえで高速航行中のボートの航行効率を高めることができる。
【0008】
比較的好ましい場合、それぞれの第二羽根は直径が第一羽根の70%である。
【0009】
比較的好ましい場合、それぞれの第二羽根は面積が第一羽根の三分の一である。
【0010】
比較的好ましい場合、プロペラシャフトの軸方向に平行の投影方向から見れば、第二羽根の全体は対応する第一羽根の全体範囲内に収まる。
【0011】
比較的好ましい場合、それぞれの第二羽根は後縁が二つの隣り合う第一羽根の最先端の中間に位置するため、乱流抑制効果を生じることができる。
【0012】
比較的好ましい場合、プロペラシャフトは一体式構造であるか、シャフト本体およびシャフト本体の前端に配置された環状体から構成される。複数の第一羽根はシャフト本体の外周面に連結される。複数の第二羽根は環状体の外周面に連結される。
【0013】
本発明によるボート用加速型スクリューの詳細な構造、特徴、組み立てまたは使用方法は、以下の実施形態の詳細な説明を通して明確にする。また、以下の詳細な説明および本発明により提示された実施形態は本発明を説明するための一例に過ぎず、本発明の請求範囲を限定できないことは、本発明にかかわる領域において常識がある人ならば理解できるはずである。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】本発明の第1実施形態によるボート用加速型スクリューを示す斜視図である。
【
図2】本発明の第1実施形態によるボート用加速型スクリューを示す分解斜視図である。
【
図3】本発明の第1実施形態によるボート用加速型スクリューを側面から見た平面図である。
【
図4】本発明の第1実施形態によるボート用加速型スクリューを一端から見た平面図である。
【
図5】本発明の第2実施形態によるボート用加速型スクリューを示す斜視図である。
【
図6】本発明によるボート用加速型スクリューの回転速度に対応するボードの速度および従来のスクリューの回転速度に対応するボードの速度を比較するグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明によるボート用加速型スクリューを図面に基づいて説明する。なお、明細書および図面において、方向性用語は図面中の方向に基づいて表現される。同じ符号は同じ部品または類似した部品の構造特徴を示す。
【0016】
(第1実施形態)
図1に示すように、本発明の第1実施形態によるスクリュー10はプロペラシャフト20、複数の第一羽根30および複数の第二羽根40を備える。
【0017】
本実施形態において、プロペラシャフト20はシャフト本体21および環状体23から構成されるツーピース構造である。
図2および
図3に示すように、シャフト本体21は先端部に連結部22を有する。環状体23は嵌合または溶接方式によってシャフト本体21の連結部22に固定される。
図2および
図4に示すように、プロペラシャフト20はシャフトスリーブ24を有する。シャフトスリーブ24はシャフト本体21内に装着され、三つのリブ25によってシャフト本体21の内周面に連結される。プロペラシャフト20はシャフトスリーブ24によって動力源(図中未表示)に接続されることで動力源の駆動力を受けて回転する。
【0018】
複数の第一羽根30はシャフト本体21の外周面に連結されることでプロペラシャフト20とともに回転する。
【0019】
複数の第二羽根40は環状体23の外周面に連結されることでプロペラシャフト20とともに回転すると同時に、プロペラシャフト20を介して複数の第一羽根30と同じ方向に回転することによって導流効果を生じる。
図3および
図4に示すように、複数の第二羽根40および複数の第一羽根30は一つずつ相互に対応するように配置される。それぞれの第二羽根40は第一羽根30の前方に位置付けられ、サイズが第一羽根30のサイズより小さい。本実施形態において、第二羽根40の直径は11インチである。第一羽根30の直径は15.5インチである。つまり、第二羽根40は直径が第一羽根の70%であり、面積が第一羽根30の三分の一である。第二羽根40の回転方向は第一羽根30の回転方向と同じである。
図4に示すように、プロペラシャフト20の軸方向に平行の投影方向から見れば、第二羽根40の全体は対応する第一羽根の全体範囲内に収まる。第二羽根40は後縁42(Trailing edge)が二つの隣り合う第一羽根30の最先端32(Leading edge)の中間に位置するため、乱流抑制効果を生じることができる。
【0020】
上述した構造特徴をまとめてみると、本発明によるスクリュー10はプロペラシャフト20を介して複数の第一羽根30および複数の第二羽根40を同じ方向に回転させ、同時に比較的小さいサイズの第二羽根40によって横方向の流れを抑制し、第一羽根30に向かって縦方向の伴流を増大させるため、航行中の抵抗を減少させ、推進効率を向上させることができる。第一羽根30のみを有する従来のスクリューに対し、本発明によるスクリュー10は第一羽根30および第二羽根40を有する。
図6に示すように、両者の回転速度を徐々に増大させて比べてみれば、本発明によるスクリュー10は従来のスクリューよりボードの速度を大幅に上げることができる。言い換えれば、第一羽根30のサイズが増大せず、15.5インチに維持されたうえで、本発明によるスクリュー10は高速航行中のボードの航行効率を上げることができる。
【0021】
(第2実施形態)
図5に示すように、ツーピース構造のプロペラシャフト20を採用する第1実施形態に対し、第2実施形態は一体成型されたプロペラシャフト20を採用し、第1実施形態と同じよう方式に複数の第一羽根30および複数の第二羽根40を配置するため、同様に高速航行中のボードの航行効率を上げることができる。
【符号の説明】
【0022】
10:スクリュー
20:プロペラシャフト
21:シャフト本体
22:連結部
23:環状体
24:シャフトスリーブ
25:リブ
30:第一羽根
32:前端辺縁部
40:第二羽根
42:後端辺縁部
【手続補正書】
【提出日】2023-12-14
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
プロペラシャフト、複数の第一羽根および複数の第二羽根を備え、
複数の前記第一羽根は前記プロペラシャフトの外周面に連結され、
複数の前記第二羽根は前記プロペラシャフトの外周面に連結されることで前記プロペラシャフトの回転に伴って複数の前記第一羽根と同じ方向に回転し、
複数の前記第二羽根および複数の前記第一羽根は一つずつ相互に対応するように配置され、
それぞれの前記第二羽根は前記第一羽根の前方である上流側に位置付けられ、サイズが前記第一羽根のサイズより小さく、回転方向が前記第一羽根の回転方向と同じであり、
それぞれの前記第二羽根は後縁が二つの隣り合う前記第一羽根の最先端の中間に位置することを特徴とするボート用加速型スクリュー。
【請求項2】
それぞれの前記第二羽根は面積が前記第一羽根の三分の一であることを特徴とする請求項1に記載のボート用加速型スクリュー。
【請求項3】
それぞれの前記第二羽根は直径が前記第一羽根の70%であることを特徴とする請求項1に記載のボート用加速型スクリュー。
【請求項4】
前記プロペラシャフトの軸方向に平行の投影方向から見れば、それぞれの前記第二羽根の全体は対応する前記第一羽根の全体範囲内に収まることを特徴とする請求項1に記載のボート用加速型スクリュー。
【請求項5】
前記プロペラシャフトはシャフト本体および環状体から構成され、前記環状体は前記シャフト本体の前端に固定され、
複数の前記第一羽根は前記シャフト本体の外周面に連結され、
複数の前記第二羽根は前記環状体の外周面に連結されることを特徴とする請求項1に記載のボート用加速型スクリュー。