IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 未来工業株式会社の特許一覧

<>
  • 特開-固定具及び固定具の設置方法 図1
  • 特開-固定具及び固定具の設置方法 図2
  • 特開-固定具及び固定具の設置方法 図3
  • 特開-固定具及び固定具の設置方法 図4
  • 特開-固定具及び固定具の設置方法 図5
  • 特開-固定具及び固定具の設置方法 図6
  • 特開-固定具及び固定具の設置方法 図7
  • 特開-固定具及び固定具の設置方法 図8
  • 特開-固定具及び固定具の設置方法 図9
  • 特開-固定具及び固定具の設置方法 図10
  • 特開-固定具及び固定具の設置方法 図11
  • 特開-固定具及び固定具の設置方法 図12
  • 特開-固定具及び固定具の設置方法 図13
  • 特開-固定具及び固定具の設置方法 図14
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024146524
(43)【公開日】2024-10-15
(54)【発明の名称】固定具及び固定具の設置方法
(51)【国際特許分類】
   F16B 47/00 20060101AFI20241004BHJP
   F16B 9/02 20060101ALI20241004BHJP
【FI】
F16B47/00 V
F16B9/02 C
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023059487
(22)【出願日】2023-03-31
(71)【出願人】
【識別番号】000243803
【氏名又は名称】未来工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 博宣
(72)【発明者】
【氏名】古田 建世
(72)【発明者】
【氏名】安田 真之
(72)【発明者】
【氏名】堀 信夫
【テーマコード(参考)】
3J023
3J038
【Fターム(参考)】
3J023AA01
3J023BA01
3J023BB01
3J023CA02
3J023DA06
3J023EA01
3J023FA01
3J023GA03
3J038DA01
(57)【要約】
【課題】対面する被貼着面の間に固定具を容易に設置できる固定具及び固定具の設置方法を提供すること。
【解決手段】固定具10は、第2貼着面13bを備えた固定体11を2つ備えるとともに、2つの固定体11は、それぞれの第2貼着面13bを反対側に向けた状態で、雄ねじ部22と雌ねじ部21とからなる螺合機構Rにより2つの固定体11の接離方向へ相対移動可能に連結されている。固定具10において、2つの固定体11の接近方向への相対移動によって、2つの固定体11は、マイナスドライバ80が備えた延在部80aを挟持する挟持位置に配置可能である。
【選択図】図7
【特許請求の範囲】
【請求項1】
対面する被貼着面の間に配置されるとともに前記被貼着面の各々に貼着される貼着面を備える固定具であって、
前記貼着面を備えた固定体を2つ備えるとともに、前記2つの固定体は、それぞれの前記貼着面を反対側に向けた状態で、雄ねじ部と雌ねじ部とからなる螺合機構により前記2つの固定体の接離方向へ相対移動可能に連結されており、
前記2つの固定体の接近方向への相対移動によって、前記2つの固定体は、工具が備えた一方向に延びる棒状又は板状の延在部を挟持する挟持位置に配置可能であることを特徴とする固定具。
【請求項2】
前記2つの固定体のうちの一方の固定体の前記貼着面を一方の前記被貼着面に貼着させたときの他方の固定体は、前記工具の先端を係合可能とする係合部を備え、当該係合部に係合させた前記工具の操作により、前記他方の固定体を前記一方の固定体に対して離間方向へ相対移動可能とした請求項1に記載の固定具。
【請求項3】
前記2つの固定体の各々は、前記接離方向に直交する方向に沿って前記貼着面よりも外方へ延出された本体部を備え、
前記他方の固定体に設けられた前記係合部は、前記他方の固定体の前記本体部の外縁部に複数形成されている請求項2に記載の固定具。
【請求項4】
前記固定具は、前記延在部に載置される載置部を備え、当該載置部は、前記接離方向に沿って延びる平面状の載置面を含む請求項1~請求項3のうちいずれか一項に記載の固定具。
【請求項5】
対面する被貼着面の間に配置されるとともに前記被貼着面の各々に貼着される貼着面を備える固定具の設置方法であって、
前記固定具は、前記貼着面を備えた固定体を2つ備えるとともに、
前記2つの固定体は、それぞれの前記貼着面を反対側に向けた状態で、前記2つの固定体の接離方向へ相対移動可能であり、
接近方向へ相対移動させた前記2つの固定体によって、工具が備えた一方向に延びる棒状又は板状の延在部を挟持した挟持位置にて当該工具に前記固定具を仮保持させ、
前記固定具を仮保持した前記工具を、前記対面する被貼着面の間に差し入れて前記固定具を設置位置に送り込むことを特徴とする固定具の設置方法。
【請求項6】
前記固定具は、2つの貼着面のうちの一方の貼着面と反対側の他方の貼着面よりも突出した位置に前記被貼着面に当接する当接部を備え、
前記2つの固定体を離間方向へ相対移動させる際に、前記当接部は、前記他方の貼着面に対して、当該他方の貼着面から突出しない控え位置へ相対移動するものであり、
前記対面する被貼着面の間に前記固定具を差し入れて送り込む際、前記当接部を前記対面する被貼着面に摺接させながら前記固定具を移動させる請求項5に記載の固定具の設置方法。
【請求項7】
前記一方の貼着面を前記被貼着面に貼着させた状態で、前記挟持位置で挟持された前記延在部を前記2つの固定体の間から引き抜く請求項6に記載の固定具の設置方法。
【請求項8】
前記一方の貼着面を、当該一方の貼着面の対面する前記被貼着面に貼着した後、
前記2つの固定体を離間方向へ相対移動させて前記他方の貼着面を、当該他方の貼着面の対面する前記被貼着面に押し付ける請求項7に記載の固定具の設置方法。
【請求項9】
前記対面する被貼着面の間に差し入れて前記固定具を送り込む前に、前記2つの固定体のうちの前記他方の貼着面に、当該他方の貼着面の貼着力を減少させる揮発性の剥離剤を塗布する請求項8に記載の固定具の設置方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、対面する被貼着面の間に配置されて、被貼着面のそれぞれに貼着される固定具、及び固定具の設置方法に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、特許文献1には、床面と固定対象物の下面との間に配置されて、床面と固定対象物の下面のそれぞれに貼着される粘着固定具が開示されている。特許文献1に開示された粘着固定具は、固定対象物の下面と床面のそれぞれに対し粘着マットによって貼着される。粘着固定具は、2つの固定部と、各固定部から突出するボルト状部材と、2つのボルト状部材が螺合される連結部材と、を有する。粘着マットは、厚さ方向の両面に粘着面を有する板状である。
【0003】
粘着固定具は、連結部材を操作することで、2つの固定部の距離を調節できる。各固定部には粘着マットが貼着されているため、連結部材を操作することで2つの粘着マットの距離を調節できる。これにより、床面と固定対象物の下面との間の高さに合わせて両粘着マットの距離を調整できる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2021-194384号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、特許文献1に開示の粘着固定具において、床面と、固定対象物の下面との間の隙間が十分に広い場合は問題ないが、作業者の手の入らないような狭い場合は、隙間の奥にある設置位置に固定具を配置することが困難であった。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記問題点を解決するための固定具は、対面する被貼着面の間に配置されるとともに前記被貼着面の各々に貼着される貼着面を備える固定具であって、前記貼着面を備えた固定体を2つ備えるとともに、前記2つの固定体は、それぞれの前記貼着面を反対側に向けた状態で、雄ねじ部と雌ねじ部とからなる螺合機構により前記2つの固定体の接離方向へ相対移動可能に連結されており、前記2つの固定体の接近方向への相対移動によって、前記2つの固定体は、工具が備えた一方向に延びる棒状又は板状の延在部を挟持する挟持位置に配置可能であることを要旨とする。
【0007】
固定具について、前記2つの固定体のうちの一方の固定体の前記貼着面を一方の前記被貼着面に貼着させたときの他方の固定体は、前記工具の先端を係合可能とする係合部を備え、当該係合部に係合させた前記工具の操作により、前記他方の固定体を前記一方の固定体に対して離間方向へ相対移動可能としてもよい。
【0008】
固定具について、前記2つの固定体の各々は、前記接離方向に直交する方向に沿って前記貼着面よりも外方へ延出された本体部を備え、前記他方の固定体に設けられた前記係合部は、前記他方の固定体の前記本体部の外縁部に複数形成されていてもよい。
【0009】
固定具について、前記固定具は、前記延在部に載置される載置部を備え、当該載置部は、前記接離方向に沿って延びる平面状の載置面を含んでいてもよい。
上記問題点を解決するための固定具の設置方法は、対面する被貼着面の間に配置されるとともに前記被貼着面の各々に貼着される貼着面を備える固定具の設置方法であって、前記固定具は、前記貼着面を備えた固定体を2つ備えるとともに、前記2つの固定体は、それぞれの前記貼着面を反対側に向けた状態で、前記2つの固定体の接離方向へ相対移動可能であり、接近方向へ相対移動させた前記2つの固定体によって、工具が備えた一方向に延びる棒状又は板状の延在部を挟持した挟持位置にて当該工具に前記固定具を仮保持させ、前記固定具を仮保持した前記工具を、前記対面する被貼着面の間に差し入れて前記固定具を設置位置に送り込むことを要旨とする。
【0010】
固定具の設置方法について、前記固定具は、2つの貼着面のうちの一方の貼着面と反対側の他方の貼着面よりも突出した位置に前記被貼着面に当接する当接部を備え、前記2つの固定体を離間方向へ相対移動させる際に、前記当接部は、前記他方の貼着面に対して、当該他方の貼着面から突出しない控え位置へ相対移動するものであり、前記対面する被貼着面の間に前記固定具を差し入れて送り込む際、前記当接部を前記対面する被貼着面に摺接させながら前記固定具を移動させてもよい。
【0011】
固定具の設置方法について、前記一方の貼着面を前記被貼着面に貼着させた状態で、前記挟持位置で挟持された前記延在部を前記2つの固定体の間から引き抜いてもよい。
固定具の設置方法について、前記一方の貼着面を、当該一方の貼着面の対面する前記被貼着面に貼着した後、前記2つの固定体を離間方向へ相対移動させて前記他方の貼着面を、当該他方の貼着面の対面する前記被貼着面に押し付けてもよい。
【0012】
固定具の設置方法について、前記対面する被貼着面の間に差し入れて前記固定具を送り込む前に、前記2つの固定体のうちの前記他方の貼着面に、当該他方の貼着面の貼着力を減少させる揮発性の剥離剤を塗布してもよい。
【発明の効果】
【0013】
本発明は、対面する被貼着面の間に固定具を容易に設置できる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1図1は、機器群を固定具で固定した状態を示す斜視図である。
図2図2は、固定具を示す分解斜視図である。
図3図3は、固定具を示す斜視図である。
図4図4は、固定具を示す側面図である。
図5図5は、固定具を雄ねじ部の第1端部から示す斜視図である。
図6図6は、固定具を示す斜視図である。
図7図7は、マイナスドライバに固定具を仮保持させた状態の斜視図である。
図8図8は、マイナスドライバに固定具を載置した状態を示す断面図である。
図9図9は、固定具の挟持位置を示す側面図である。
図10図10は、雄ねじ部を第2被貼着面に当接させた状態の図である。
図11図11は、第1貼着面を第1被貼着面に貼着した状態の図である。
図12図12は、先端部を係合部に係合した状態を示す図である。
図13図13は、固定具によって機器群を固定した状態の断面図である。
図14図14は、固定具の別例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、固定具及び固定具の設置方法を具体化した第1の実施形態を図1図13にしたがって説明する。
<固定具の設置位置>
図1に示すように、床面Fには7つの機器90が設置されている。7つの機器90は、上下に3つの機器90を積んだ第1機器群91と、上下に4つの機器90を積んだ第2機器群92とで構成されている。第1機器群91と第2機器群92は、互いに対向しつつ離れるように床面Fに並べて設置されている。第1機器群91において、第2機器群92への対面を第1被貼着面91aとする。第2機器群92において、第1機器群91への対面を第2被貼着面92aとする。第1被貼着面91a及び第2被貼着面92aは、固定具10の貼着される面である。第1被貼着面91aと第2被貼着面92aとの間には、隙間100が画定されている。第1被貼着面91aと第2被貼着面92aは、距離Kだけ離れている。
【0016】
第1機器群91の最下の機器90、及び第2機器群92の最下の機器90の各々は、第2固定部材94によって床面Fに固定されている。第1機器群91と第2機器群92とは、固定具10によって相互に固定されている。第1機器群91及び第2機器群92の傾倒は、固定具10によって抑制されている。なお、第1機器群91と第2機器群92の対面している面とは異なる面には、上下に隣り合う機器90同士が、上下方向へ離間しないように第1固定部材93が設けられている。
【0017】
<固定具>
図2図3図4及び図5に示すように、固定具10は、2つの固定体11と、2つの固定体11を相対移動可能に連結する螺合機構Rと、を備える。
【0018】
<固定体>
2つの固定体11の各々は円板状である。2つの固定体11は、共通の構成を備えるため、共通の構成においては、片方の固定体11だけ説明する。また、2つの固定体11において、共通の構成については、同じ部材番号を付す。
【0019】
固定体11は、円板状の本体部12と、円板状の粘着マット13と、を備える。本体部12は、金属板製である。本体部12の中央部には、貫通孔14が形成されている。本体部12は、板厚方向に互いに反対面となるマット貼着面12aと、マット非貼着面12bとを備える。
【0020】
本体部12の外縁部には、複数の係合部12cが形成されている。複数の係合部12cの各々は、本体部12の外縁部より内縁部に向けて三角形状に凹む。ただし、後述するマイナスドライバ80の先端部80bや、プラスドライバの先端部など、工具の先端部を係合できれば、係合部12cの凹み形状は、半円状や、四角形状など適宜変更してもよい。複数の係合部12cは、本体部12の周方向へ等間隔おきに形成されている。係合部12cは、工具としてのマイナスドライバ80の延在部80aの先端部80bに係合可能である。
【0021】
図6に示すように、延在部80aは、一方向に延びる棒状である。延在部80aの先端部80bは板状である。先端部80bは、延在部80aの基端側から先端に向かうに従い板厚を薄くする形状である。また、先端部80bは、先端に向かうに従い幅方向への寸法を狭くする形状である。図9に示すように、先端部80bの幅方向への寸法のうち、最大寸法を幅Wとする。
【0022】
粘着マット13は、粘着性を備えるゲル状の超軟質ウレタンにより形成されているとともに、板厚方向に圧縮変形可能である。
図3図6に示すように、粘着マット13の中央部には、円形状の孔131が形成されている。孔131は、粘着マット13を板厚方向に貫通する。孔131の直径は、貫通孔14の孔径より大きい。また、粘着マット13の外径は、本体部12の外径より小さい。粘着マット13の外周面は、本体部12の外周縁よりも中央部寄りに位置している。このため、本体部12の外周部は、粘着マット13の外周面よりも外方へ延出している。
【0023】
粘着マット13は、板厚方向に互いに反対面となる第1貼着面13aと、第2貼着面13bとを備える。粘着マット13の第1貼着面13aは、本体部12のマット貼着面12aに貼着されている。一方の固定体11における粘着マット13の第2貼着面13bは、第1機器群91の第1被貼着面91aに貼着されるとともに、他方の固定体11における粘着マット13の第2貼着面13bは、第2機器群92の第2被貼着面92aに貼着される。なお、各固定体11の本体部12は、後述する2つの固定体11の接離方向に直交する方向に沿って第2貼着面13b、ひいては粘着マット13の外周面よりも外方へ延出されている。
【0024】
粘着マット13は、当該粘着マット13の孔131が貫通孔14を囲むとともに、孔131の中心と貫通孔14の中心とが一致するように本体部12に貼着されている。孔131は、貫通孔14と同心円状に配置されている。粘着マット13の内周面13cは、貫通孔14の周縁から離れて貫通孔14を囲んでいる。固定体11には、移動空間Sが画定されている。移動空間Sは、マット貼着面12aにおける貫通孔14の周囲の部分と、粘着マット13の内周面13cとで画定された空間である。移動空間Sは、後に説明する。
【0025】
2つの固定体11のうち、第1被貼着面91aに貼着される一方の固定体11を第1固定体11Aとするとともに、第2被貼着面92aに貼着される他方の固定体11を第2固定体11Bとする。また、第1固定体11Aの粘着マット13を第1粘着マット13Aとするとともに、第2固定体11Bの粘着マット13を第2粘着マット13Bとする。
【0026】
第2固定体11Bの第2貼着面13bは、固定具10の設置直前に剥離剤19によって覆われる。剥離剤19は、第2貼着面13bの全面を覆っているが、第2貼着面13bの一部だけを覆っていてもよい。剥離剤19は、揮発性を有する。剥離剤19は、本実施形態ではエタノール又は水である。なお、揮発性を有し、かつ、揮発が完了するまでは貼着力を減少させるものであれば、剥離剤19は、粘着マット13の材質に応じて適宜変更すればよい。剥離剤19は、第2貼着面13bへの塗布によって第2貼着面13bを覆う。剥離剤19は、第2貼着面13bへの塗布直後は、第2貼着面13bの貼着力を減少させる。一方、剥離剤19は、第2貼着面13bへの塗布時点から経過した時間が長くなるほど揮発が進むため、剥離剤19による貼着力の減少機能が低下する。その結果として、剥離剤19は、第2貼着面13bへの塗布時点から経過した時間が長くなるほど、第2貼着面13bの貼着力を復帰させる。そして、剥離剤19の揮発が完了すると、第2貼着面13bの貼着力は、剥離剤19の塗布前に復帰する。
【0027】
<螺合機構>
図2に示すように、螺合機構Rは、雌ねじ部21と、雄ねじ部22と、を備える。雌ねじ部21は六角ナットによって形成されている。雌ねじ部21において、六つの側面21aの各々は、四角形状の平面である。雌ねじ部21の軸方向への寸法を雌ねじ部21の幅とする。
【0028】
雌ねじ部21は、第2固定体11Bのマット非貼着面12bに溶接によって固定されている。そして、雌ねじ部21は、本体部12の貫通孔14を囲むように第2固定体11Bに一体化されている。
【0029】
雄ねじ部22の両端部のうちの第1端部22a側は、雌ねじ部21に螺合されるため、雄ねじ部22は、雌ねじ部21に対し螺進又は螺退可能である。雄ねじ部22の両端部のうちの第2端部22bは、第1固定体11Aの貫通孔14に一部を挿通させた状態で本体部12に溶接されている。これにより、雄ねじ部22は、第1固定体11Aに一体化されている。雌ねじ部21及び雄ねじ部22は、粘着マット13よりも小径である。上記したように、各固定体11の本体部12は、2つの固定体11の接離方向に直交する方向に沿って粘着マット13の外周面よりも外方へ延出されている。このため、粘着マット13よりも小径の雌ねじ部21及び雄ねじ部22に対しても、本体部12は径方向外側に延出している。
【0030】
第2固定体11Bに一体の雌ねじ部21と、雄ねじ部22に一体の第1固定体11Aとは、雌ねじ部21と雄ねじ部22との螺合によって一体に連結されている。この雌ねじ部21と雄ねじ部22の連結によって、第1固定体11Aと第2固定体11Bとを備える固定具10が形成されている。
【0031】
<固定具の詳細>
図3図5に示すように、固定具10において、第1固定体11Aのマット非貼着面12bと、第2固定体11Bのマット非貼着面12bとは対面している。固定具10において、第1固定体11Aと第2固定体11Bとは、それぞれの第2貼着面13bを反対側に向けた状態で雌ねじ部21と雄ねじ部22とからなる螺合機構Rによって連結されている。第1固定体11Aの第2貼着面13bは固定具10の一端面であるとともに、第2固定体11Bの第2貼着面13bは固定具10の他端面である。
【0032】
雌ねじ部21に対する雄ねじ部22の螺進により、第1固定体11Aと第2固定体11Bとを接近方向へ相対移動させることができる。第1固定体11Aと第2固定体11Bとを接近方向へ相対移動させることにより、2つの第2貼着面13bは、相対的に接近移動するとともに、2つのマット非貼着面12bは、相対的に接近移動する。
【0033】
雌ねじ部21に対する雄ねじ部22の螺退により、第1固定体11Aと第2固定体11Bとを離間方向へ相対移動させることができる。第1固定体11Aと第2固定体11Bとを離間方向へ相対移動させることにより、2つの第2貼着面13bは、相対的に離間移動するとともに、2つのマット非貼着面12bは、相対的に離間移動する。第1固定体11Aと第2固定体11Bが離間移動する場合において、第1固定体11A及び第2固定体11Bが移動する方向を前進方向とする。第1固定体11Aと第2固定体11Bが接近移動する場合において、第1固定体11A及び第2固定体11Bが移動する方向は、前進方向と反対方向であるため、後退方向とする。
【0034】
上記のように、第1固定体11Aと第2固定体11Bとは、それぞれの第2貼着面13bを反対側に向けた状態で、当該2つの固定体11の接離方向へ相対移動可能に連結されている。より詳細には、第1固定体11Aと第2固定体11Bは、それぞれの第2貼着面13bを反対側に向けた状態で、第2固定体11Bに設けられた雌ねじ部21と、第1固定体11Aに設けられた雄ねじ部22とからなる螺合機構Rにより、2つの固定体11の接離方向へ相対移動可能に連結されている。
【0035】
固定具10において、雄ねじ部22の第1端部22aが、雌ねじ部21内に位置した状態から雄ねじ部22を雌ねじ部21に螺進させる。つまり、雌ねじ部21に対する雄ねじ部22の螺進により、第1固定体11Aと第2固定体11Bとを相対的に接近移動させる。雄ねじ部22の螺進に伴い、雄ねじ部22の第1端部22aは、雌ねじ部21から第2固定体11Bの貫通孔14に入り込む。さらに、螺進が進むと、雄ねじ部22の第1端部22aは、第2粘着マット13Bの孔131に入り込む。つまり、雄ねじ部22の第1端部22aは、移動空間Sに入り込む。さらに、螺進が進むと、雄ねじ部22の第1端部22aは、移動空間Sを通過して、第2固定体11Bの第2貼着面13bから徐々に突出していく。
【0036】
図4に示すように、雌ねじ部21に第1固定体11Aのマット非貼着面12bが接触すると、それ以上の螺進が不可能になる。このとき、2つのマット非貼着面12b間の距離は最短となるとともに、2つの第2貼着面13b間の距離は最短となる。雌ねじ部21に第1固定体11Aのマット非貼着面12bが接触した位置を、固定具10の初期位置とする。固定具10の初期位置では、雄ねじ部22の第1端部22aは、第2固定体11Bの第2貼着面13bから、第2固定体11Bの前進方向へ突出している。したがって、固定具10において、雄ねじ部22の第1端部22aは、第2固定体11Bの第2貼着面13bを超えた突出位置に配置可能である。
【0037】
固定具10の初期位置では、2つのマット非貼着面12b間の第1距離L1は最短となる。第1距離L1は、2つの固定体11の接離方向への雌ねじ部21の寸法である。第1距離L1、つまり雌ねじ部21の幅は、マイナスドライバ80の先端部80bにおける幅Wと同一又は僅かに小さい。
【0038】
固定具10の初期位置において、2つの固定体11の接離方向に沿った、第1端部22aから第1固定体11Aの第2貼着面13bまでの距離を第2距離L2とする。この第2距離L2は、第1被貼着面91aと第2被貼着面92aの間の距離Kより短い。したがって、初期位置の固定具10は、第1被貼着面91aと第2被貼着面92aの間に挿入可能である。
【0039】
図6及び図7に示すように、2つの固定体11は、マイナスドライバ80の先端部80bを幅方向の両側から挟み込むことができる。具体的には、固定具10は、第1固定体11Aのマット非貼着面12bと、第2固定体11Bのマット非貼着面12bとによって、マイナスドライバ80の先端部80bを幅方向の両側から挟み込むことができる。2つの固定体11によって先端部80bを挟み込んだ位置を固定具10の挟持位置とする。固定具10の挟持位置は、2つの固定体11を初期位置よりも僅かに離間させた位置である。そして、固定具10が挟持位置に位置すると、2つの本体部12によって先端部80bが挟持される。これにより、マイナスドライバ80の先端側には、固定具10が仮保持される。
【0040】
図9に示すように、挟持位置は、初期位置よりも僅かに2つの固定体11を離間させた位置である。このため、挟持位置では、第2固定体11Bの第2貼着面13bから雄ねじ部22の第1端部22aが突出している。
【0041】
よって、2つの固定体11の接近方向への相対移動によって、2つの固定体11は、マイナスドライバ80が備えた延在部80aを挟持する挟持位置に配置可能である。この挟持位置は、2つの固定体11における第2貼着面13bが形成された側の反対側の面、つまりマット非貼着面12bを相対的に接近させることによって配置される。その結果、固定具10は、マイナスドライバ80と一体に移動可能になる。
【0042】
図8に示すように、固定具10が挟持位置にあるとき、先端部80bの板厚方向の上面を、雌ねじ部21の下方に配置すると、先端部80bの上面に雌ねじ部21の下面が載置される。これにより、マイナスドライバ80によって固定具10を下方から支持できる。したがって、雌ねじ部21は、延在部80aに載置される載置部である。2つの固定体11のうちの第2固定体11Bは、延在部80aの先端部80bに載置される雌ねじ部21を備える。また、雌ねじ部21において、六つの側面21aは、2つの固定体11の接離方向に沿って平面状に幅を持って延びる。このため、雌ねじ部21の側面21aは、2つの固定体11の接離方向に直交する方向に沿っても平面状に延びる載置面である。
【0043】
<固定具の設置方法>
次に、第1機器群91の第1被貼着面91aと、第2機器群92の第2被貼着面92aに固定具10を貼着して、固定具10を設置する方法を説明する。
【0044】
先ず、作業者は、雌ねじ部21に対して雄ねじ部22を螺退させて、図3に示すように、第1固定体11Aと第2固定体11Bとを離間方向へ相対移動させる。これにより、対面するマット非貼着面12b間の距離が第1距離L1より大きくなる。つまり、マット非貼着面12b間の距離は、固定具10の挟持位置よりも大きくなる。
【0045】
次に、図6及び図8に示すように、作業者は、マイナスドライバ80の先端部80bの幅方向を、2つの固定体11の接離方向に一致させる。さらに、先端部80bの板厚方向の上面を、雌ねじ部21の下方に配置するとともに、雌ねじ部21の一つの側面21aを先端部80bの上面に接触させる。これにより、雌ねじ部21は、マイナスドライバ80の先端部80bに載置されるとともに、固定具10は、マイナスドライバ80の先端部80bに載置される。
【0046】
作業者は、雌ねじ部21に対して雄ねじ部22を螺進させて、第1固定体11Aと第2固定体11Bとを接近方向へ相対移動させる。すると、図7に示すように、第1固定体11Aの本体部12と、第2固定体11Bの本体部12との間に先端部80bが挟持されるとともに、マイナスドライバ80の先端側に固定具10が仮保持される。
【0047】
つまり、接近方向へ相対移動させた2つの固定体11によって延在部80aを挟持した挟持位置にて、マイナスドライバ80に固定具10が仮保持される。このとき、固定具10は、初期位置に近い形態である。このため、雄ねじ部22の第1端部22aは、第2固定体11Bの第2貼着面13bから突出している。
【0048】
次に、作業者は、第2固定体11Bの第2貼着面13bの全面に剥離剤19を塗布して、当該第2貼着面13bの全面を剥離剤19によって覆う。つまり、対面する第1被貼着面91aと第2被貼着面92aの間に差し入れて固定具10を送り込む前に、雄ねじ部22の第1端部22aの突出した第2固定体11Bの第2貼着面13bに剥離剤19を塗布する。この剥離剤19の塗布は、固定具10をマイナスドライバ80に仮保持する前でもよい。
【0049】
次に、図7に示すように、作業者は、マイナスドライバ80を動かして、マイナスドライバ80の先端側を第1被貼着面91aと第2被貼着面92aとの間に差し入れる。このとき、マイナスドライバ80の延在部80aは、第1被貼着面91aと第2被貼着面92aとの間の隙間100への差し入れ方向に延びる棒状となる。このため、マイナスドライバ80に載置された雌ねじ部21の側面21aは、2つの固定体11の接離方向に沿って平面状に幅を持って延びるとともに、差し入れ方向にも幅を持って延びる平面状である。
【0050】
そして、マイナスドライバ80の操作によって、対面する第1被貼着面91aと第2被貼着面92aとの間に固定具10が送り込まれる。このとき、第1固定体11Aの第2貼着面13bは、第1被貼着面91aに対面するとともに、第2固定体11Bの第2貼着面13bは、第2被貼着面92aに対面する。
【0051】
次に、図10に示すように、作業者は、第2固定体11Bの第2貼着面13bから突出した雄ねじ部22の第1端部22aを第2被貼着面92aに当接させる。すると、第2固定体11Bの第2貼着面13bは、第2貼着面13bからの雄ねじ部22の突出分だけ、第2被貼着面92aから離間する。これにより、第2固定体11Bの第2貼着面13bが第2被貼着面92aに接触することが抑制される。したがって、雄ねじ部22の第1端部22aは、第2貼着面13bよりも突出した位置にあり、かつ第2被貼着面92aに当接する当接部である。また、2つの固定体11のうち、第2固定体11Bは、当接部の突出した固定体11である。
【0052】
次に、作業者は、対面する第1被貼着面91aと第2被貼着面92aとの間に固定具10を差し入れた後、固定具10を設置位置に向けて送り込む際、雄ねじ部22の第1端部22aを第2被貼着面92aに摺接させるようにマイナスドライバ80を操作する。つまり、作業者は、雄ねじ部22の第1端部22aを第2被貼着面92aに摺接させながら固定具10を移動させて、固定具10を、当該固定具10の設置位置へ移動させる。
【0053】
固定具10を移動させる際、雄ねじ部22の第1端部22aが第2被貼着面92aに当接していても、その移動途中に固定具10が傾いて、第2固定体11Bの第2貼着面13bが第2被貼着面92aに接触してしまう場合がある。この場合、第2固定体11Bの第2貼着面13bを覆う剥離剤19は、第2被貼着面92aへの第2貼着面13bの貼着を抑制する。
【0054】
設置位置に固定具10が配置された状態において、作業者は、図11に示すように、第1固定体11Aの第2貼着面13bを第1被貼着面91aに押し付ける。すると、第1固定体11Aの第2貼着面13bは、第1被貼着面91aに貼着される。したがって、第1固定体11Aは、第2貼着面13bを、一方の被貼着面としての第1被貼着面91aに貼着させたときの一方の固定体11であるとともに、第2固定体11Bは、他方の固定体11である。そして、第1固定体11Aの第2貼着面13bは、一方の貼着面であるとともに、第2固定体11Bの第2貼着面13bは、他方の貼着面である。
【0055】
上記のように、第1端部22aの突出していない第2貼着面13bを第1被貼着面91aに貼着した後、作業者は、マイナスドライバ80を第1固定体11Aと第2固定体11Bの間から引き抜く。第1固定体11Aの第2貼着面13bが第1被貼着面91aに貼着されているため、固定具10は、第1機器群91から落下しない。
【0056】
第1固定体11Aの第2貼着面13bを、第1被貼着面91aに貼着した後、図12に示すように、作業者は、マイナスドライバ80の先端部80bを、上記した他方の固定体11である第2固定体11Bにおける本体部12の係合部12cに係合する。したがって、他方の固定体11である第2固定体11Bは、先端部80bを係合可能とする係合部12cを備える。
【0057】
そして、作業者は、係合部12cに係合させたマイナスドライバ80の操作により、第2固定体11Bを第1固定体11Aに対して回転させる。つまり、雌ねじ部21に対し、雄ねじ部22を相対的に螺退させると、雌ねじ部21は、雄ねじ部22から螺退される。すると、第2固定体11Bは、第1固定体11Aに対して離間方向へ相対移動するとともに、第2固定体11Bは第2被貼着面92aに接近していく。
【0058】
そして、第1固定体11Aと第2固定体11Bとの離間方向への相対移動に伴って、雄ねじ部22が第2固定体11Bの前進方向と反対方向、つまり後退方向へ相対移動する。すると、雄ねじ部22の第1端部22aは、第2粘着マット13Bの孔131に入り込んでいく。そして、雄ねじ部22の第1端部22aは、第2固定体11Bを第1固定体11Aに対して離間方向へ相対移動させる際に、第2固定体11Bの第2貼着面13bから突出しない控え位置へ当該第2貼着面13bに対して相対移動するものである。
【0059】
図13に示すように、雄ねじ部22の第1端部22aは、移動空間Sから雌ねじ部21に入り込むことで、第2固定体11Bの第2貼着面13bよりも後方へ移動する。その結果、雄ねじ部22の第1端部22aが第2貼着面13bから突出した状態が解除される。
【0060】
その後、第2固定体11Bの回転が進むと、第2固定体11Bの第2貼着面13bが第2被貼着面92aに到達する。さらに作業者が第2固定体11Bを回転させると、第2固定体11Bの剥離剤19が第2被貼着面92aに押し付けられる。つまり、2つの固定体11を離間方向へ相対移動させて、雄ねじ部22の第1端部22aの突出していた第2固定体11Bの第2貼着面13bを、剥離剤19を介して当該第2貼着面13bの対面する第2被貼着面92aに押し付ける。
【0061】
第2固定体11Bの第2貼着面13bが第2被貼着面92aに押し付けられた後も、剥離剤19が揮発していく。この剥離剤19の揮発に伴って、第2固定体11Bの第2貼着面13bの貼着力が徐々に復帰していく。その結果、第2固定体11Bの第2貼着面13bは、第2被貼着面92aに徐々に貼着されていく。そして、剥離剤19の揮発が完了すると、第2固定体11Bの第2貼着面13bは第2被貼着面92aに貼着される。
【0062】
その結果、固定具10は、第1被貼着面91a及び第2被貼着面92aに貼着されるとともに、固定具10によって第1機器群91と第2機器群92とが相互に固定される。
上記実施形態によれば、以下のような効果を得ることができる。
【0063】
(1)固定具10は、挟持位置においてマイナスドライバ80の先端部80bを挟持する。この挟持によって、固定具10は、マイナスドライバ80の先端部80bに仮保持される。そして、固定具10を仮保持したマイナスドライバ80を操作して、隙間100に差し入れて固定具10を設置位置に送り込むことで、狭くて手が入らない隙間100であっても、マイナスドライバ80を利用して固定具10を隙間100に送り込むことができる。これにより、狭い隙間100の奥にある設置位置にまで固定具10を配置できる。
【0064】
(2)作業者は、第1固定体11Aの第2貼着面13bを第1被貼着面91aに貼着した後、2つの固定体11の間からマイナスドライバ80を引き抜く。固定具10は、第1被貼着面91aに貼着されているため、マイナスドライバ80を固定具10から引き抜こうとする力は、第1固定体11Aの粘着マット13によって支承される。これにより、マイナスドライバ80を引き抜く作業が行いやすい。また、マイナスドライバ80を引き抜く操作だけで、固定具10からマイナスドライバ80を簡単に取り外すことができる。このため、固定具10の設置作業の作業性がよい。
【0065】
(3)本体部12には係合部12cが形成されている。係合部12cには、マイナスドライバ80の先端部80bを係合できる。そして、第1固定体11Aを第1被貼着面91aに貼着した後、第2固定体11Bの係合部12cに先端部80bを係合しつつ、マイナスドライバ80を操作することで、第2固定体11Bを回転させることができる。これにより、第2固定体11Bを第2被貼着面92aに接近させる操作を容易に行うことができる。その結果、固定具10を第1被貼着面91aと第2被貼着面92aに貼着する作業を容易に行うことができる。
【0066】
(4)先端部80bを係合部12cに係合させて第2固定体11Bを回転する際、第1固定体11Aの第2貼着面13bは、第1被貼着面91aに貼着されている。このため、第2固定体11Bを第1固定体11Aに対して容易に回転させることができる。これにより、第2固定体11Bを第2被貼着面92aに接近させる操作を容易に行うことができる。その結果、固定具10を第1被貼着面91aと第2被貼着面92aに貼着する作業を容易に行うことができる。
【0067】
(5)係合部12cは、本体部12の外縁部に複数形成されている。このため、隙間100の奥方にある固定具10の設置位置において、係合部12cを隙間100の入口側に配置できる。したがって、先端部80bを係合部12cに係合しやすく、かつ滑り難いため、マイナスドライバ80によって第2固定体11Bを回転する操作が行いやすい。さらに、マイナスドライバ80を隙間100の奥に向かって押すようにマイナスドライバ80を操作することで、先端部80bによって係合部12cを押すことができる。これらにより、マイナスドライバ80によって第2固定体11Bを回転させる作業が行いやすくなるため、作業効率が向上する。
【0068】
(6)係合部12cは、マイナスドライバ80の先端部80bを係合可能である。マイナスドライバ80は、隙間100に固定具10を送り込むために、固定具10が仮保持された工具である。このため、固定具10を隙間100に送り込むための工具をそのまま使用して第2固定体11Bを回転させることができる。したがって、第2固定体11Bを回転させるために工具を取り換える必要がないため、固定具10の設置作業を容易に行うことができる。
【0069】
(7)第2固定体11Bは、マイナスドライバ80の先端部80bに載置される雌ねじ部21を備える。先端部80bに雌ねじ部21が載置されることにより、2つの固定体11による先端部80bの挟持が不十分なとき、固定具10がマイナスドライバ80から滑り落ちることを抑制できる。特に、固定具10をマイナスドライバ80に仮保持した状態で送り込むとき、固定具10がマイナスドライバ80から脱落することを抑制できる。
【0070】
また、載置部が雄ねじ部22によって形成されて、載置部の外面が円柱の外面の場合、2つの固定体11による先端部80bの挟持が不十分のままだと、延在部80aの延在方向に固定具10が転がる可能性がある。しかし、載置部を六角ナット製の雌ねじ部21とし、かつ側面21aを平面状としたため、マイナスドライバ80の延在部80aや先端部80bに雌ねじ部21を載置しても、上記した転がりが発生しにくい。よって、固定具10の仮保持が安定して行われる。
【0071】
(8)固定具10において、雄ねじ部22の第1端部22aは、第2固定体11Bの第2貼着面13bよりも前方に配置される。この第1端部22aを第2被貼着面92aに当接させることにより、第2被貼着面92aから第2固定体11Bの第2貼着面13bを離間させることができる。これにより、第1被貼着面91aと第2被貼着面92aの間で固定具10を設置位置に向けて移動させる途中に、固定具10の設置位置以外で第2固定体11Bの第2貼着面13bが第2被貼着面92aに貼着してしまうことを抑制できる。よって、第1被貼着面91aと第2被貼着面92aとの間に固定具10を挿入して設置する際、慎重な作業を必要とせずに固定具10を設置できる。
【0072】
(9)第1固定体11Aと第2固定体11Bとは、雌ねじ部21と雄ねじ部22とからなる螺合機構Rによって連結されている。そして、雌ねじ部21に対し雄ねじ部22を螺退させることにより、第1固定体11Aと第2固定体11Bとを離間方向へ相対移動させることができる。各第2貼着面13bが各被貼着面91a,92aに接触した後は、第1固定体11Aと第2固定体11Bとのさらなる離間移動により、各第2貼着面13bを各被貼着面91a,92aに押し付けることができる。このため、固定具10によって第1機器群91と第2機器群92を相互に強固に固定できる。
【0073】
(10)第1固定体11Aと第2固定体11Bを離間方向へ相対移動させると、第2固定体11Bの第2貼着面13bから突出していた第1端部22aは、粘着マット13の内側にある移動空間Sに入り込んでいく。この移動空間Sへの第1端部22aの入り込みによって、第1端部22aを控え位置に後退させることができる。そして、移動空間Sは、第1固定体11Aと第2固定体11Bを離間方向へ相対移動させることによって粘着マット13の孔131を利用して形成される。したがって、2つの固定体11の相対移動によって形成された移動空間Sを有効に利用できる。
【0074】
(11)第2固定体11Bの第2貼着面13bを覆う剥離剤19によって、固定具10の移動途中で第2固定体11Bの第2貼着面13bが第2被貼着面92aに貼着することを抑制できる。各第2貼着面13bが各被貼着面91a,92aに接触した後は、第1固定体11Aと第2固定体11Bとのさらなる離間移動により、各第2貼着面13bを各被貼着面91a,92aに押し付ける。すると、剥離剤19は、時間の経過とともに第2貼着面13bから揮発する。そして、第2固定体11Bの第2貼着面13bを第2被貼着面92aに接触させた状態を維持しておくことで、剥離剤19の揮発が完了して第2貼着面13bの貼着力が復帰する。これにより、第2固定体11Bの第2貼着面13bを第2被貼着面92aに貼着できる。したがって、剥離剤19によって、第2固定体11Bの第2貼着面13bが、固定具10の移動の妨げになることを抑制しつつ、設置位置への移動後は、第2固定体11Bの第2貼着面13bを第2被貼着面92aに貼着できる。
【0075】
(12)第1端部22aの突出している第2貼着面13bは、剥離剤19で覆われている。このため、第1端部22aにより、第2被貼着面92aに対する第2貼着面13bの接触が抑制されていても、固定具10の移動途中で固定具10が傾いて、第2貼着面13bが第2被貼着面92aに接触してしまうことがある。このような場合でも、剥離剤19によって、第2貼着面13bが第2被貼着面92aに貼着することを抑制できる。その結果、固定具10が傾いても第2固定体11Bの第2貼着面13bが第2被貼着面92aに貼着しないように、雄ねじ部22を第2貼着面13bから過剰に突出させる必要がなくなる。その結果、初期位置での固定具10の第2距離L2が長くなることを抑制できるため、固定具10を狭い隙間100に配置できる。
【0076】
(13)第1固定体11Aの第2貼着面13bを第1被貼着面91aに貼着した後、第2固定体11Bは、雄ねじ部22に対する雌ねじ部21の螺退によって第2被貼着面92aに接近していく。そして、第2固定体11Bの第2貼着面13bが第2被貼着面92aに接触した後も、第2固定体11Bは回転する。このとき、揮発する前の剥離剤19によって、第2被貼着面92aに対する滑りが発生する。このため、第2固定体11Bの回転が許容されるため、第2固定体11Bの第2貼着面13bを第2被貼着面92aに押し付けながらの回転が可能になる。
【0077】
本実施形態は、以下のように変更して実施することができる。本実施形態及び以下の変更例は、技術的に矛盾しない範囲で互いに組み合わせて実施することができる。
図14に示すように、固定具10は、第1固定体11Aの本体部12におけるマット非貼着面12bにも雌ねじ部21が設けられていてもよい。この場合、雄ねじ部22は、第1固定体11Aの本体部12に溶接されていない。また、雄ねじ部22は、第1固定体11Aの雌ねじ部21及び第2固定体11Bの雌ねじ部21のそれぞれに螺着されている。このように構成した場合、一対の雌ねじ部21の間にマイナスドライバ80の先端部80bが挟持される。なお、図14は、マイナスドライバ80の先端部80bを挟持する状態よりも、2つの固定体11を接近させた状態を表している。つまり、一対の雌ねじ部21の間にマイナスドライバ80の先端部80bが挟持されたとき、雄ねじ部22の両端部は、各第2貼着面13bから突出しない状態となる。
【0078】
図14に示す固定具10において、本体部12によってマイナスドライバ80の先端部80bを挟持してもよい。この場合、2つの雌ねじ部21の両方が、マイナスドライバ80の先端部80bに載置される。したがって、2つの雌ねじ部21の側面21aによって載置面が形成される。
【0079】
○雌ねじ部21の幅は、延在部80aにおける先端部80bの幅Wと同一又は僅かに小さいに限らず、先端部80bの幅Wより狭い幅であったり、広い幅であってもよい。
○固定具10が挟持位置にあるとき、雄ねじ部22の第1端部22aは、第2固定体11Bの第2貼着面13bから突出しないように、実施形態より短くてもよい。
【0080】
○固定具10の2つの固定体11は、雌ねじ部21と雄ねじ部22以外の連結部によって、接離方向へ相対移動可能であってもよい。例えば、各固定体11において、粘着マット13の孔131と、本体部12の貫通孔14とに挿通された棒状部材によって、2つの固定体11が連結されている。また、棒状部材において、各第2貼着面13bから突出可能な部分には、棒状部材を径方向に貫通する挿通孔が形成されている。そして、2つの固定体11を挟持位置に配置した際、棒状部材の各挿通孔にロックピンを挿通して、2つの固定体11が離間方向へ移動しないようにロックする。これにより、マイナスドライバ80の先端部80bを2つの固定体11で挟持できる。
【0081】
○一方向に延びる板状の延在部を備える工具としては、雌ねじ部21の側面21aに係合可能な六角レンチであってもよい。この場合、六角レンチにおいて、雌ねじ部21の二面に係合する部位が係合部となる。また、雌ねじ部21の側面21aに下方から接触することで、雌ねじ部21が六角レンチに載置される。この場合、本体部12の外周縁に形成した係合部12cは無くてもよい。そして、六角レンチを操作して雌ねじ部21とともに第2固定体11Bを螺回動させて2つの固定体11を接離方向へ相対移動させてもよい。
【0082】
○第1固定体11Aの第2貼着面13bを第1被貼着面91aに貼着した後、隙間100に別の工具を挿入して第2固定体11Bを回転させる。そして、第2固定体11Bを第1固定体11Aから離間させて、2つの固定体11を挟持位置から変位させる。そして、2つの固定体11による挟持力が低下したら、マイナスドライバ80を2つの固定体11の間から引き抜いてもよい。
【符号の説明】
【0083】
R…螺合機構、10…固定具、11…固定体、11A…第1固定体、11B…第2固定体、12…本体部、12c…係合部、13b…第2貼着面、19…剥離剤、21…載置部としての雌ねじ部、21a…載置面としての側面、22…雄ねじ部、22a…当接部としての第1端部、80…工具としてのマイナスドライバ、80a…延在部、80b…先端部、91a…第1被貼着面、92a…第2被貼着面。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14