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特開2024-146528評価システム、評価方法、及びプログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024146528
(43)【公開日】2024-10-15
(54)【発明の名称】評価システム、評価方法、及びプログラム
(51)【国際特許分類】
   A61B 5/11 20060101AFI20241004BHJP
【FI】
A61B5/11
【審査請求】未請求
【請求項の数】13
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023059494
(22)【出願日】2023-03-31
(71)【出願人】
【識別番号】314012076
【氏名又は名称】パナソニックIPマネジメント株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002527
【氏名又は名称】弁理士法人北斗特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】西田 龍樹
(72)【発明者】
【氏名】稲葉 雄一
(72)【発明者】
【氏名】天沼 はるか
(72)【発明者】
【氏名】衞藤 文
(72)【発明者】
【氏名】小岩 弘子
【テーマコード(参考)】
4C038
【Fターム(参考)】
4C038VA12
4C038VB01
4C038VB02
4C038VB14
4C038VC05
(57)【要約】
【課題】ユーザの歩行状態を精度高く評価できる評価システム、評価方法、及びプログラムを提供すること。
【解決手段】評価システム100は、取得部2と、処理部3と、評価部4と、備える。取得部2は、収集部1から出力された収集情報Y1に基づいて、ユーザの歩行に関する歩行データY2を取得する。処理部3は、取得部2が取得した歩行データY2から、ユーザの歩行速度、歩幅、体軸の揺れ、及び首の傾きの少なくとも1つを含む歩行特徴量Y3を抽出する。評価部4は、処理部3が抽出した歩行特徴量Y3に基づいて、ユーザの歩行状態を評価する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
収集部から出力された収集情報に基づいて、ユーザの歩行に関する歩行データを取得する取得部と、
前記取得部が取得した前記歩行データから、前記ユーザの歩行速度、歩幅、体軸の揺れ、及び首の傾きの少なくとも1つを含む歩行特徴量を抽出する処理部と、
前記処理部が抽出した前記歩行特徴量に基づいて、前記ユーザの歩行状態を評価する評価部と、を備える、
評価システム。
【請求項2】
前記収集部は、前記ユーザの歩行を撮像する撮像装置と、前記ユーザの歩行に伴う加速度を計測する加速度センサと、の少なくとも一方を含む、
請求項1に記載の評価システム。
【請求項3】
前記評価部は、
前記歩行状態を前記ユーザの心身の状態、健康状態、及び歩行傾向の3つの種別に分類し、前記3つの種別のうち少なくとも1つを評価する、
請求項1に記載の評価システム。
【請求項4】
複数の利用モードのうちいずれかの利用モードを選択する選択部を更に備え、
前記評価部は、前記選択部が選択した前記利用モードに応じて、前記3つの種別のうち少なくとも1つを評価する、
請求項3に記載の評価システム。
【請求項5】
前記評価部は、候補歩行特徴量に対応付けられた候補歩行状態を用いて、前記歩行特徴量と一致する前記候補歩行特徴量に応じた前記候補歩行状態を、前記歩行状態として特定する、
請求項1に記載の評価システム。
【請求項6】
前記評価部は、前記ユーザの属性に関する属性情報と前記歩行特徴量との組み合わせに基づいて、前記歩行状態を評価する、
請求項1に記載の評価システム。
【請求項7】
前記属性情報は、前記ユーザの年齢、性別、及び体重の少なくとも1つを含む、
請求項6に記載の評価システム。
【請求項8】
前記評価部の評価結果を出力する出力部を更に備える、
請求項1に記載の評価システム。
【請求項9】
前記取得部は、
前記歩行データを履歴情報として蓄積する蓄積部と、
前記蓄積部に蓄積された前記履歴情報を用いて機械学習を行い、前記収集情報から前記歩行データを予測する機械学習部と、を有する、
請求項1に記載の評価システム。
【請求項10】
前記機械学習部は、
予め定められた所定期間内の複数の時点の各々において、前記収集情報を複数取得し、
前記複数の収集情報における変化値に基づいて、前記歩行データを予測する、
請求項9に記載の評価システム。
【請求項11】
前記収集部を更に備える、
請求項1に記載の評価システム。
【請求項12】
収集部から出力された収集情報に基づいて、ユーザの歩行に関する歩行データを取得する取得ステップと、
前記取得ステップで取得した前記歩行データから、前記ユーザの歩行速度、歩幅、体軸の揺れ、及び首の傾きの少なくとも1つを含む歩行特徴量を抽出する処理ステップと、
前記処理ステップで抽出した前記歩行特徴量に基づいて、前記ユーザの歩行状態を評価する評価ステップと、を含む、
評価方法。
【請求項13】
コンピュータシステムに、
請求項12に記載の評価方法を実行させるためのプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、一般に、評価システム、評価方法、及びプログラムに関する。より詳細には、本開示は、ユーザの歩行状態を評価する評価システム、評価方法、及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、物理量測定部と、評価スコア算出部と、活性度推定部と、を備える活性度推定装置が開示されている。物理量測定部は、車両の近傍にいる人の運動に基づく物理量を非接触で測定する。評価スコア算出部は、該物理量に基づき人の体調及び心的状態の少なくとも一方を表現する活性度を推定するための評価指標を選択し、該評価指標に関する評価スコアを算出する。活性度推定部は、該評価スコアに基づき活性度を推定する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2019-63335号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、近年では、ユーザの歩行状態を評価する評価システムも提供されているが、その精度を高めることが求められる。
【0005】
本開示の目的とするところは、ユーザの歩行状態を精度高く評価できる評価システム、評価方法、及びプログラムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の一態様に係る評価システムは、取得部と、処理部と、評価部と、備える。前記取得部は、収集部から出力された収集情報に基づいて、ユーザの歩行に関する歩行データを取得する。前記処理部は、前記取得部が取得した前記歩行データから、前記ユーザの歩行速度、歩幅、体軸の揺れ、及び首の傾きの少なくとも1つを含む歩行特徴量を抽出する。前記評価部は、前記処理部が抽出した前記歩行特徴量に基づいて、前記ユーザの歩行状態を評価する。
【0007】
本開示の一態様に係る評価方法は、取得ステップと、処理ステップと、評価ステップと、を含む。前記取得ステップでは、収集部から出力された収集情報に基づいて、ユーザの歩行に関する歩行データを取得する。前記処理ステップでは、前記取得ステップで取得した前記歩行データから、前記ユーザの歩行速度、歩幅、体軸の揺れ、及び首の傾きの少なくとも1つを含む歩行特徴量を抽出する。前記評価ステップでは、前記処理ステップで抽出した前記歩行特徴量に基づいて、前記ユーザの歩行状態を評価する。
【0008】
本開示の一態様に係るプログラムは、コンピュータシステムに、上記の評価方法を実行させるためのプログラムである。
【発明の効果】
【0009】
本開示によれば、ユーザの歩行状態を精度高く評価できるという利点がある。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1図1は、本実施形態に係る評価システムの概略構成を示すブロック図である。
図2図2は、同上の収集部がセキュリティカメラである場合に、評価システムが評価する対象を説明する説明図である。
図3図3は、同上の収集部が携帯端末である場合に、評価システムが評価する対象を説明する説明図である。
図4図4は、同上の評価システムがオフィスモードである場合に、出力部が出力する出力内容を説明する説明図である。
図5図5は、同上の評価システムがジムモードである場合に、出力部が出力する出力内容を説明する説明図である。
図6図6は、同上の評価システムがコンサルティングモードである場合に、出力部が出力する出力内容を説明する説明図である。
図7図7は、同上の評価方法を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0011】
(本実施形態)
(1)概要
以下、本実施形態に係る評価システム100の概要について、図1図3を参照して説明する。
【0012】
本実施形態に係る評価システム100は、ユーザX1(図2及び図3参照)の歩行状態を評価するシステムである。評価システム100は、図1に示すように、取得部2と、処理部3と、評価部4と、を備える。
【0013】
取得部2は、収集部1から出力された収集情報Y1に基づいて、ユーザX1の歩行に関する歩行データY2を取得する。処理部3は、取得部2が取得した歩行データY2から、ユーザX1の歩行速度、歩幅、体軸の揺れ、及び首の傾きの少なくとも1つを含む歩行特徴量Y3を抽出する。評価部4は、処理部3が抽出した歩行特徴量Y3に基づいて、ユーザX1の歩行状態を評価する。
【0014】
以上から、本実施形態の評価システム100は、歩行特徴量Y3の差異によるユーザX1の歩行状態の変化を評価しやすいという効果を奏する。すなわち、本実施形態の評価システム100は、ユーザの歩行状態を精度高く評価できるという利点がある。
【0015】
(2)詳細な構成
(2-1)評価システム
以下に、本実施形態の評価システム100の詳細な構成について、図1図6を参照して説明する。
【0016】
評価システム100は、施設Z1内を歩行するユーザX1(図2参照)の歩行状態を評価するシステムである。ここでいう施設Y1は、例えば、オフィスビル、ジム、学校、住宅施設、ホテル、運動施設、福祉施設、商業施設、テーマパーク、病院、又は工場等である。
【0017】
評価システム100は、図1に示すように、収集部1と、取得部2と、処理部3と、評価部4と、選択部5と、人物特定部6と、記憶部7と、出力部8と、を備える。
【0018】
評価システム100は、コンピュータシステムを備えることが好ましい。コンピュータシステムでは、CPU(Central Processing Unit)、又はMPU(Micro Processing Unit)などのプロセッサがメモリに記憶されているプログラムを読み出して実行することによって、取得部2、処理部3、評価部4、選択部5、人物特定部6、及び出力部8の各機能が実現される。コンピュータシステムは、プログラムに従って動作するプロセッサを主なハードウェア構成として備える。プロセッサは、プログラムを実行することによって機能を実現することができれば、その種類は問わない。プロセッサは、半導体集積回路(IC)、又はLSI(Large Scale Integration)を含む一つ又は複数の電子回路で構成される。ここでは、ICやLSIと呼んでいるが、集積の度合いによって呼び方が変わり、システムLSI、VLSI(Very Large Scale Integration)、若しくはULSI(Ultra Large Scale Integration)と呼ばれるものであってもよい。LSIの製造後にプログラムされる、フィールド・プログラマブル・ゲート・アレイ(FPGA)、又はLSI内部の接合関係の再構成又はLSI内部の回路区画のセットアップができる再構成可能な論理デバイスも同じ目的で使うことができる。複数の電子回路は、一つのチップに集積されてもよいし、複数のチップに設けられてもよい。複数のチップは一つの装置に集約されていてもよいし、複数の装置に備えられていてもよい。なお、プログラムは、電気通信回線を通じて提供されてもよいし、メモリカード等の記録媒体に記録されて提供されてもよい。
【0019】
(収集部)
収集部1は、施設Z1内を歩行するユーザX1の動作に関する情報を収集し、収集情報Y1として取得部2に出力する。収集部1は、ユーザX1の歩行を撮像する撮像装置と、ユーザX1の歩行に伴う加速度を計測する加速度センサと、の少なくとも一方を含む。ここでいう撮像装置は、例えば、施設Z1の天井Z11に設けられたセキュリティカメラZ12(図2参照)、又は、撮像機能を有する携帯端末X22(図3参照)等である。また、ここでいう加速度センサは、例えば、ユーザX1の身体の各々の部分に装着される複数のウェアラブルセンサである。上記の構成によると、ユーザX1の動作に関する情報を収集情報Y1としてより精度高く収集することができるという利点がある。
【0020】
収集部1が撮像装置を含む場合、収集部1は、ユーザX1が歩行している様子を撮像することで撮像データを収集し、当該撮像データを収集情報Y1として取得部2に出力する。すなわち、収集部1が撮像装置を含む場合、収集情報Y1は、ユーザX1が歩行している様子を収集部1が撮像した撮像データを含む。
【0021】
一方、収集部1が加速度センサを含む場合、収集部1は、ユーザX1が歩行している際に生じる加速度を検出することで検出データを収集し、当該検出データを収集情報Y1として取得部2に出力する。すなわち、収集部1が複数の加速度センサを含む場合、収集情報Y1は、ユーザX1が歩行している際に生じる加速度を検出した検出データを含む。
【0022】
(取得部)
取得部2は、収集部1から出力された収集情報Y1に基づいて、ユーザX1の歩行に関する歩行データY2を取得する。歩行データY2は、例えば、歩行しているユーザX1の骨格点の推移に関するデータである。具体的には、収集部1が撮像装置である場合、取得部2は、収集情報Y1である撮像データから歩行しているユーザX1の骨格点を抽出し、抽出したユーザX1の骨格点の推移を歩行データY2として取得する。一方、収集部1が複数の加速度センサである場合、収集部1は、収集情報Y1である検出データから歩行しているユーザX1の骨格点の推移を算出し、算出したユーザX1の骨格点の推移を歩行データY2として取得する。
【0023】
本実施形態の取得部2は、蓄積部21と、機械学習部22と、を有する。蓄積部21は、取得部2が取得した歩行データを履歴情報として蓄積する。機械学習部22は、蓄積部21に蓄積された履歴情報を用いて機械学習を行い、収集部1から出力された収集情報Y1から歩行データY2を予測する。より詳細には、機械学習部22は、蓄積部21に蓄積された履歴情報を用いて機械学習を行い、予め定められた所定期間内の複数の時点の各々において収集部1から収集情報Y1を複数取得し、複数の収集情報Y1における変化値に基づいて、歩行データを予測する。所定時間は、例えば、10秒~30分の間で定められることが望ましいが、限定されない。実施形態1では、所定時間は、10分であることを想定する。この構成によると、より精度高い歩行データY2を取得することができるという利点がある。
【0024】
取得部2は、取得した歩行データY2を処理部3に出力する。
【0025】
(処理部)
処理部3は、取得部2が取得した歩行データY2から、ユーザX1の歩行速度、歩幅、体軸の揺れ、及び首の傾きの少なくとも1つを含む歩行特徴量Y3を抽出する。本実施形態の処理部3は、取得部2が取得した歩行データY2から、ユーザX1の歩行速度、歩幅、体軸の揺れ、及び首の傾きの全てを含む歩行特徴量Y3を抽出する。
【0026】
処理部3は、取得部2が取得した歩行データY2から、予め定められた所定期間内の複数の時点の各々における歩行特徴量Y3を抽出する。すなわち、処理部3は、取得部2が取得した歩行データY2から、予め定められた所定期間内の複数の時点の各々における、ユーザX1の歩行速度、歩幅、体軸の揺れ、及び首の傾きを抽出する。所定時間は、例えば、10秒~30分の間で定められることが望ましいが、限定されない。実施形態1では、所定時間は、10分であることを想定する。また、ここでいう「体軸の揺れ」とは、進行方向に沿う前後揺れと、進行方向に交差(ここでは直交する)する左右揺れと、を含む。また、「首の傾き」は、歩行しているユーザX1の頭のうつむき度合いに相当する。
【0027】
処理部3は、抽出した歩行特徴量Y3を評価部4に出力する。
【0028】
(選択部)
選択部5は、複数の利用モードのうちいずれかの利用モードを選択する。本開示でいう「利用モード」とは、評価システム100が利用される場面、状況、又は用途が異なるモードである。
【0029】
本実施形態の複数の利用モードは、オフィスモード、ジムモード、及びコンサルティングモードを含む。オフィスモードとは、評価システム100がオフィスビルで利用されるモードであり、すなわち、施設Z1がオフィスビルであるモードである。本実施形態では、オフィスモードである評価システム100は、労働者であるユーザX1の心身の状態を評価するために用いられることを想定する。また、ジムモードとは、評価システム100がジムで利用されるモードであり、すなわち、施設Z1がジムであるモードである。本実施形態では、ジムモードである評価システム100は、ジム利用者であるユーザX1の健康状態を評価するために用いられることを想定する。本開示でいう「健康状態」とは、ユーザX1の肉体的な状態のことを示し、例えば、ユーザX1にける部位別筋肉量、及び身体の不調箇所の有無を含む。また、コンサルティングモードとは、歩行状態によって人に与える印象を改善させることを目的としたコンサルティングに評価システム100が利用されるモードである。本実施形態では、コンサルティングモードである評価システム100は、コンサルティングの受講者であるユーザX1の歩行の傾向を評価するために用いられることを想定する。
【0030】
本実施形態の選択部5は、評価システム100が利用される場面、状況、又は用途に関する利用情報に基づいて、複数の利用モードのうちいずれかの利用モードを選択する。利用情報は、外部から入力される。利用情報は、例えば、施設Z1の天井Z11に設けられたセキュリティカメラZ12(収集部1)がユーザX1の歩行を撮像する場合(図2参照)、又は、複数のウェアラブルセンサ(収集部1)がユーザX1の歩行に伴う加速度を計測する場合、取得部2が収集部1から収集情報Y1が出力される前に事前に入力される情報である。また、利用情報は、撮影者X2が携帯端末X22(収集部1)を使用してユーザX1の歩行を撮像する場合(図3参照)、撮像する前後において撮影者X2によって入力される情報である。
【0031】
(人物特定部)
人物特定部6は、施設Z1内を歩行するユーザX1を特定する。より詳細には、人物特定部6は、複数の候補ユーザの中から、施設Z1内を歩行するユーザX1を特定する。ここでいう「候補ユーザ」は、評価システム100の評価対象になる可能性がある人物である。
【0032】
以下、人物特定部6がユーザX1を特定する方法について、具体例を挙げて説明する。なお、人物特定部6がユーザX1を特定する方法は、下記のものに限定されない。
【0033】
収集部1が撮像装置を含む場合、人物特定部6は、収集部1が収集した撮像データに基づいて、ユーザX1を特定する。具体的には、人物特定部6は、収集部1が収集した撮像データに基づいて、ユーザX1の顔を認証し、ユーザX1を特定する。一方、収集部1が加速度センサを含む場合、人物特定部6は、加速度センサに割り当てられた識別情報に基づいて、ユーザX1を特定する。
【0034】
(記憶部)
記憶部7は、図1に示すように、分類記憶部71と、履歴記憶部72と、を有する。
【0035】
分類記憶部71は、評価部4がユーザX1の歩行状態を評価する際に使用する分類テーブルを記憶する。分類テーブルは、候補歩行特徴量Yc3の組み合わせが、複数の候補歩行状態に該当するか否かを示す。ここでいう「候補歩行特徴量Yc3」とは、処理部3により抽出される歩行特徴量Y3の候補量である。すなわち、本実施形態の「候補歩行特徴量Yc3」は、処理部3により抽出されるユーザX1の歩行速度、歩幅、体軸の揺れ、及び首の傾きの各々における候補値である。また、「候補歩行状態」とは、評価システム100により評価される歩行状態の候補である。
【0036】
本実施形態では、候補歩行特徴量Yc3は、平均値と同じであるか、平均値より大きいか、平均値より小さいか、によって区別される。すなわち、候補歩行特徴量Yc3に含まれるユーザX1の歩行速度の候補値は、平均値と同じであるか、平均値より速いか、平均値より遅いか、によって区別される。同様に、候補歩行特徴量Yc3に含まれるユーザX1の歩幅、体軸の揺れ、及び首の傾きの各々における候補値は、平均値と同じであるか、平均値より大きいか、平均値より小さいか、によって区別される。
【0037】
本実施形態では、分類記憶部71は、複数の利用モードに対応付けられた複数の分類テーブルを記憶する。以下、具体例を挙げて、複数の利用モードの各々に対応する分類テーブルについて説明する。
【0038】
まず、分類記憶部71がオフィスモードに対応づけて記憶する分類テーブルの一部を下記表1に示す。なお、下記表1には、候補歩行特徴量Yc3の組み合わせを4つ例示しているが、実際の候補歩行特徴量Yc3の組み合わせは4つ以上である。本実施形態では、オフィスモードに対応づけられた分類テーブルにおける候補歩行状態は、歩行しているユーザX1の心身がどのような状態であるかを示す。例えば、表1に示す分類テーブルは、歩行速度が平均値よりも速く、歩幅が平均値よりも大きく、体軸の前後揺れが平均値よりも大きく、体軸の左右揺れが平均値よりも小さく、首の傾きが平均値と同じである候補歩行特徴量Yc3の組み合わせの場合、「活力」及び「楽しい」という候補歩行状態に該当することを示す。
【0039】
【表1】
【0040】
次に、分類記憶部71がジムモードに対応づけて記憶する分類テーブルの一部を下記表2に示す。なお、下記表2には、候補歩行特徴量Yc3の組み合わせを4つ例示しているが、実際の候補歩行特徴量Yc3の組み合わせは4つ以上である。本実施形態では、ジムモードに対応づけられた分類テーブルにおける候補歩行状態は、歩行しているユーザX1がどのような健康状態であるかを示し、具体的には、歩行しているユーザX1のどの部位の筋肉量が不足している状態であるかを示す。例えば、表2に示す分類テーブルは、歩行速度が平均値と同じであり、歩幅が平均値と同じであり、体軸の前後揺れが平均値と同じであり、体軸の左右揺れが平均値と同じであり、首の傾きが平均値よりも大きい候補歩行特徴量Yc3の組み合わせの場合、「背筋が弱い」という候補歩行状態に該当することを示す。
【0041】
また、ジムモードに対応づけて記憶された分類テーブルには、候補歩行状態に対応した対策が紐付けられている。本実施形態では、「背筋が弱い」という候補歩行状態に対して「バックエクステンション」というトレーニングが紐付けられている。
【0042】
【表2】
【0043】
次に、分類記憶部71がコンサルティングモードに対応づけて記憶する分類テーブルの一部を下記表3に示す。なお、下記表3には、候補歩行特徴量Yc3の組み合わせを4つ例示しているが、実際の候補歩行特徴量Yc3の組み合わせは4つ以上である。本実施形態では、コンサルティングモードに対応づけられた分類テーブルにおける候補歩行状態は、歩行しているユーザX1がどのような歩行の傾向にあるかを示し、具体的には、歩行しているユーザX1が歩行状態によってどのような印象を人に与える状態であるかを示す。例えば、表2に示す分類テーブルは、歩行速度が平均値と同じであり、歩幅が平均値と同じであり、体軸の前後揺れが平均値より小さく、体軸の左右揺れが平均値より小さく、首の傾きが平均値と同じである候補歩行特徴量Yc3の組み合わせの場合、「綺麗な」という候補歩行状態に該当することを示す。
【0044】
また、コンサルティングモードに対応づけて記憶された分類テーブルには、候補歩行状態に対応した対策が紐付けられている。本実施形態では、「綺麗な」という候補歩行状態に対して「美しく歩けているので、このままの歩き方をキープしましょう。」という対策が紐付けられている。
【0045】
【表3】
【0046】
履歴記憶部72は、後述する評価部4の評価結果を記憶する。より詳細には、履歴記憶部72は、選択部5が選択した利用モードに応じて、評価部4が評価したユーザX1の歩行状態を記憶する。本実施形態の履歴記憶部72は、複数の候補ユーザのうちユーザX1毎の歩行状態を時系列で記憶する。
【0047】
以下、選択部5が利用モードとしてオフィスモードを選択した場合を具体例として挙げて、履歴記憶部72が記憶する内容について、説明する。この場合、一例として、履歴記憶部72は、下記表4に示すように、複数の候補ユーザのうちユーザX1毎の歩行状態を時系列で記憶する。より詳細には、履歴記憶部72は、施設Z1内を歩行するユーザX1を人物特定部6が特定した特定結果と、評価部4がユーザX1の歩行状態を評価した時間と、評価部4が評価したユーザX1の歩行状態と、を紐付けて、時系列で記憶する。
【0048】
【表4】
【0049】
記憶部7は、評価システム100の備えるコンピュータのメモリであり、例えば、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)、又はEEPROM(Electrically Erasable Programmable Read Only Memory)である。しかし、記憶部7は、評価システム100の備えるコンピュータとは別体の装置のメモリであってもよい。
【0050】
(評価部)
評価部4は、ユーザX1の歩行状態をユーザX1の心身の状態、健康状態、及び歩行傾向の3つの種別に分類し、当該3つの種別のうち少なくとも1つを評価する。言い換えれば、ユーザX1の歩行状態は、ユーザX1の心身の状態、健康状態、及び歩行傾向の3つの種別に分類され、評価部4は、当該3つの種別のうち少なくとも1つを評価する。この構成によると、ユーザX1の歩行状態を細分化して評価できるという利点がある。また、ユーザX1の歩行状態が具体的にどのような状態であるのか理解しやすいように評価できるという利点がある。
【0051】
評価部4は、分類記憶部71が記憶している分類テーブルを用いて、処理部3が抽出した歩行特徴量Y3に基づき、ユーザX1の歩行状態を評価する。評価部4は、選択部5が選択した利用モードに応じて、ユーザX1の心身の状態、健康状態、及び歩行傾向の3つの種別のうち少なくとも1つを評価する。この構成によると、評価システム100が利用される場面、状況、又は用途に応じてユーザX1の歩行状態を細分化して評価できるという利点がある。
【0052】
具体的には、評価部4は、選択部5が選択した利用モードに対応する分類テーブルを用いて、処理部3が抽出した歩行特徴量Y3の組み合わせに該当する候補歩行状態をユーザX1の歩行状態として特定し評価する。この構成によると、ユーザX1の歩行状態を評価する際の精度をより向上させることができる、という利点がある。
【0053】
以下、評価部4の評価内容について、選択部5が選択した利用モード毎に具体的に説明する。
【0054】
選択部5がオフィスモードを選択した場合、評価部4は、ユーザX1の歩行状態のうちユーザX1の心身の状態を評価する。具体的には、評価部4は、分類記憶部71がオフィスモードに対応づけて記憶する分類テーブルを用いて、処理部3が抽出した歩行特徴量Y3の組み合わせに該当する候補歩行状態をユーザX1の歩行状態として特定し評価する。具体例を挙げると、評価部4は、歩行速度が平均値よりも速く、歩幅が平均値よりも大きく、体軸の前後揺れが平均値よりも大きく、体軸の左右揺れが平均値よりも小さく、首の傾きが平均値と同じである候補歩行特徴量Yc3の組み合わせの場合、「活力」及び「楽しい」という候補歩行状態をユーザX1の歩行状態として特定し評価する。
【0055】
また、選択部5がジムモードを選択した場合、評価部4は、ユーザX1の歩行状態のうちユーザX1の健康状態を評価する。具体的には、評価部4は、分類記憶部71がジムモードに対応づけて記憶する分類テーブルを用いて、処理部3が抽出した歩行特徴量Y3の組み合わせに該当する候補歩行状態をユーザX1の歩行状態として特定し評価する。具体例を挙げると、評価部4は、歩行速度が平均値と同じであり、歩幅が平均値と同じであり、体軸の前後揺れが平均値と同じであり、体軸の左右揺れが平均値と同じであり、首の傾きが平均値よりも大きい候補歩行特徴量Yc3の組み合わせの場合、「背筋が弱い」という候補歩行状態をユーザX1の歩行状態として特定し評価する。
【0056】
また、選択部5がコンサルティングモードを選択した場合、評価部4は、ユーザX1の歩行状態のうちユーザX1の歩行傾向を評価する。具体的には、評価部4は、分類記憶部71がコンサルティングモードに対応づけて記憶する分類テーブルを用いて、処理部3が抽出した歩行特徴量Y3の組み合わせに該当する候補歩行状態をユーザX1の歩行状態として特定し評価する。具体例を挙げると、評価部4は、歩行速度が平均値と同じであり、歩幅が平均値と同じであり、体軸の前後揺れが平均値より小さく、体軸の左右揺れが平均値より小さく、首の傾きが平均値と同じである候補歩行特徴量Yc3の組み合わせの場合、「綺麗な」という候補歩行状態をユーザX1の歩行状態として特定し評価する。
【0057】
(出力部)
出力部8は、評価部4の評価結果を出力する。より詳細には、出力部8は、選択部5が選択した利用モードに応じて評価部4が評価したユーザX1の歩行状態を出力する。この構成によると、評価部4が評価したユーザX1の歩行状態を確認しやすくなる、という利点がある。
【0058】
実施形態1の出力部8の出力先は、外部装置A1の表示部A11(図1参照)である。外部装置A1は、例えば、ユーザX1が労働者である場合、ユーザX1の業務を監督する監督者の情報端末であり、ユーザX1が来客である場合、ユーザX1が歩行する施設Z1の管理者の情報端末である。ここでいう「情報端末」とは、例えば、コンピュータ、スマートフォン、タブレット型端末、又はスマートウォッチ等のウェアラブルデバイスである。なお、本実施形態では、外部装置A1は、収集部1である携帯端末X22(図3図示)とは異なる装置を想定しているが、同じ装置であってもよい。
【0059】
以下、出力部8の出力内容について、選択部5が選択した利用モード毎に具体的に説明する。
【0060】
選択部5がオフィスモードを選択した場合、出力部8は、図4に示すように、第1表示情報B11と、第2表示情報B12と、第3表示情報B13と、を表示部A11が表示するように出力する。第1表示情報B11は、施設Z1内を歩行するユーザX1を人物特定部6が特定した特定結果を示す情報である。第2表示情報B12は、評価部4がユーザX1の歩行状態を評価した時間を示す情報である。第3表示情報B13は、分類記憶部71がオフィスモードに対応づけて記憶する分類テーブルを用いて、評価部4が評価したユーザX1の歩行状態のうち心身の状態に関する情報である。図4では、施設Z1内を歩行するユーザX1が従業員Aであると人物特定部6が特定し、9:00において当該ユーザX1の歩行状態を「活力」及び「楽しい」と評価部4が評価した場合を例示する。すなわち、図4では、第1表示情報B11は「従業員:A」であり、第2表示情報B12は「時間:9:00」であり、第3表示情報B13は「分類結果:活力/楽しい」である。
【0061】
また、選択部5がジムモードを選択した場合、出力部8は、図5に示すように、第1表示情報B21と、第2表示情報B22と、を表示部A11が表示するように出力する。第1表示情報B21は、分類記憶部71がジムモードに対応づけて記憶する分類テーブルを用いて、評価部4が評価したユーザX1の歩行状態のうち健康状態に関する情報である。第2表示情報B22は、評価部4が評価したユーザX1の歩行状態に対応して紐付けられている対策を示す情報である。より詳細には、第2表示情報B22は、評価部4がユーザX1の歩行状態として特定した候補歩行状態に対応して紐付けられている対策を示す情報である。図5では、ユーザX1の歩行状態を「背筋が弱い」と評価部4が評価した場合を例示する。すなわち、図5では、第1表示情報B21は「分類結果:背筋が弱い」であり、第2表示情報B22は「おすすめ筋トレメニュー:バックエクステンション」である。
【0062】
また、選択部5がコンサルティングモードを選択した場合、出力部8は、図6に示すように、第1表示情報B31と、第2表示情報B32と、を表示部A11が表示するように出力する。第1表示情報B31は、分類記憶部71がコンサルティングモードに対応づけて記憶する分類テーブルを用いて、評価部4が評価したユーザX1の歩行状態のうち歩行傾向に関する情報である。第2表示情報B32は、評価部4が評価したユーザX1の歩行状態に対応して紐付けられている対策を示す情報である。より詳細には、第2表示情報B32は、評価部4がユーザX1の歩行状態として特定した候補歩行状態に対応して紐付けられている対策を示す情報である。図6では、ユーザX1の歩行状態を「綺麗」と評価部4が評価した場合を例示する。すなわち、図6では、第1表示情報B31は「分類結果:綺麗」であり、第2表示情報B32は「対策:美しく歩けているので、このままの歩き方をキープしましょう。」である。
【0063】
(2-2)評価方法
本実施形態において、施設Z1内を歩行するユーザX1の歩行状態を評価する評価方法について図7のフローチャートを用いて説明する。
【0064】
評価方法は、図7に示すように、選択ステップST1と、収集ステップST2と、人物特定ステップST3と、取得ステップST4と、処理ステップST5と、評価ステップST6と、出力ステップST7と、記憶ステップST8と、を含む。
【0065】
まず、選択ステップST1では、選択部5は、複数の利用モードのうちいずれかの利用モードを選択する。そして、収集ステップST2では、収集部1は、施設Z1内を歩行するユーザX1の動作に関する情報を収集し、収集情報Y1として取得部2に出力する。具体的には、収集ステップST2では、収集部1が撮像装置を含む場合、収集部1は、ユーザX1が歩行している様子を撮像することで撮像データを収集し、当該撮像データを収集情報Y1として取得部2に出力する。一方、収集ステップST2では、収集部1が加速度センサを含む場合、収集部1は、ユーザX1が歩行している際に生じる加速度を検出することで検出データを収集し、当該検出データを収集情報Y1として取得部2に出力する。人物特定ステップST3では、人物特定部6は、施設Z1内を歩行するユーザX1を特定する。より詳細には、人物特定ステップST3では、人物特定部6は、複数の候補ユーザの中から、施設Z1内を歩行するユーザX1を特定する。
【0066】
その後、取得ステップST4では、取得部2は、収集ステップST2で収集部1から出力された収集情報Y1に基づいて、ユーザX1の歩行に関する歩行データY2を取得する。具体的には、取得ステップST4では、収集部1が撮像装置である場合、取得部2は、収集情報Y1である撮像データから歩行しているユーザX1の骨格点を抽出し、抽出したユーザX1の骨格点の推移を歩行データY2として取得する。一方、収集部1が複数の加速度センサである場合、取得ステップST4では、収集部1は、収集情報Y1である検出データから歩行しているユーザX1の骨格点の推移を算出し、算出したユーザX1の骨格点の推移を歩行データY2として取得する。そして、処理ステップST5では、処理部3は、取得ステップST4で取得部2が取得した歩行データY2から、ユーザX1の歩行速度、歩幅、体軸の揺れ、及び首の傾きの少なくとも1つを含む歩行特徴量Y3を抽出する。
【0067】
処理ステップST5後、評価ステップST6では、評価部4は、処理ステップST5で処理部3が抽出した歩行特徴量Y3に基づいて、ユーザX1の歩行状態を評価する。本実施形態の評価ステップST6では、評価部4は、処理ステップST5で処理部3が抽出した歩行特徴量Y3に基づき、ユーザX1の歩行状態をユーザX1の心身の状態、健康状態、及び歩行傾向の3つの種別に分類し、3つの種別のうち少なくとも1つを評価する。また、本実施形態の評価ステップST6では、評価部4は、選択ステップST1で選択部5が選択した利用モードに応じて、ユーザX1の歩行状態をユーザX1の心身の状態、健康状態、及び歩行傾向の3つの種別に分類し、3つの種別のうち少なくとも1つを評価する。より詳細には、本実施形態の評価ステップST6では、評価部4は、選択部5が選択した利用モードに対応する分類テーブルを用いて、処理部3が抽出した歩行特徴量Y3の組み合わせに該当する候補歩行状態をユーザX1の歩行状態として特定し評価する。
【0068】
その後、出力ステップST7では、出力部8は、評価ステップST6での評価部4の評価結果を出力する。より詳細には、出力ステップST7では、出力部8は、選択ステップST1で選択部5が選択した利用モードに応じて、評価ステップST6で評価部4が評価したユーザX1の歩行状態を出力する。記憶ステップST8では、履歴記憶部72は、評価ステップST6での評価部4の評価結果を記憶する。より詳細には、記憶ステップST8では、履歴記憶部72は、選択ステップST1で選択部5が選択した利用モードに応じて、評価ステップST6で評価部4が評価したユーザX1の歩行状態を記憶する。本実施形態の記憶ステップST8では、履歴記憶部72は、複数の候補ユーザのうちユーザX1毎の歩行状態を時系列で記憶する。なお、出力ステップST7、及び記憶ステップST8の順序が適宜入れ替わっていてもよい。
【0069】
(3)変形例
上述の実施形態は、本開示の様々な実施形態の一つに過ぎない。上述の実施形態は、本開示の目的を達成できれば、設計等に応じて種々の変更が可能である。以下の変形例は、適宜組み合わせて実現されていてもよい。また、上述の実施形態1に係る評価システム100と同様の機能は、コンピュータプログラムであるプログラム、又はプログラムを記録した非一時的記録媒体等で具現化されてもよい。一態様に係るプログラムは、コンピュータシステムに、上述の実施形態1における評価方法を実行させるためのプログラムである。
【0070】
上述の実施形態では、評価部4は、処理部3が抽出した歩行特徴量Y3に基づき、ユーザX1の歩行状態を評価する。しかし、評価部4は、ユーザX1の属性に関する属性情報と、処理部3が抽出した歩行特徴量Y3と、の組み合わせに基づいて、ユーザX1の歩行状態を評価してもよい。本開示でいう「ユーザX1の属性情報」は、ユーザX1の年齢、性別、及び体重の少なくとも1つを含む。
【0071】
すなわち、上述の実施形態では、分類記憶部71は、複数の利用モードの各々に対応付けられた複数の分類テーブルを記憶するが、複数の利用モードの各々と、ユーザX1の属性情報と、の組み合わせに対応付けられた複数の分類テーブルを記憶してもよい。上記の場合、評価部4は、選択部5が選択した利用モードと、人物特定部6が特定したユーザX1の属性情報と、の組み合わせに対応づけて分類記憶部71が記憶する分類テーブルを用いて、処理部3が抽出した歩行特徴量Y3の組み合わせに該当する候補歩行状態をユーザX1の歩行状態として特定し評価する。この結果、評価部4は、ユーザX1の属性に関する属性情報と、処理部3が抽出した歩行特徴量Y3と、の組み合わせに基づいて、ユーザX1の歩行状態を評価することが可能になる。この結果、ユーザX1の属性による歩行状態の差異を考慮して、ユーザX1の歩行状態を評価することができる。すなわち、ユーザX1の歩行状態をより精度高く評価できるという利点がある。
【0072】
上述の実施形態では、人物特定部6は、収集部1が収集した撮像データに基づいて、ユーザX1を特定する。しかし、ユーザX1は、ユーザX1に割り当てられた識別情報を送信する送信装置を携帯しており、人物特定部6は、当該送信装置から受信した識別情報に基づいて、ユーザX1を特定してもよい。
【0073】
上述の実施形態では、評価部4は、ユーザX1の歩行状態をユーザX1の心身の状態、健康状態、及び歩行傾向の3つの種別に分類し、3つの種別のうち少なくとも1つを評価する。しかし、評価部4が分類する種別は、ユーザX1の心身の状態、健康状態、及び歩行傾向の3つの種別以外の種別でもよく、当該3つの種別に限定されない。
【0074】
(まとめ)
第1の態様の評価システム(100)は、取得部(2)と、処理部(3)と、評価部(4)と、備える。取得部(2)は、収集部(1)から出力された収集情報(Y1)に基づいて、ユーザ(X1)の歩行に関する歩行データ(Y2)を取得する。処理部(3)は、取得部(2)が取得した歩行データ(Y2)から、ユーザ(X1)の歩行速度、歩幅、体軸の揺れ、及び首の傾きの少なくとも1つを含む歩行特徴量(Y3)を抽出する。評価部(4)は、処理部(3)が抽出した歩行特徴量(Y3)に基づいて、ユーザ(X1)の歩行状態を評価する。
【0075】
この態様によれば、ユーザ(X1)の歩行状態を精度高く評価できる、という利点がある。
【0076】
第2の態様の評価システム(100)では、第1の態様において、収集部(1)は、ユーザ(X1)の歩行を撮像する撮像装置と、ユーザ(X1)の歩行に伴う加速度を計測する加速度センサと、の少なくとも一方を含む。
【0077】
この態様によれば、ユーザ(X1)の動作に関する情報を収集情報(Y1)としてより精度高く収集することができる、という利点がある。
【0078】
第3の態様の評価システム(100)では、第1又は第2の態様において、評価部(4)は、歩行状態をユーザ(X1)の心身の状態、健康状態、及び歩行傾向の3つの種別に分類し、3つの種別のうち少なくとも1つを評価する。
【0079】
この態様によれば、ユーザ(X1)の歩行状態を細分化して評価できる、という利点がある。
【0080】
第4の態様の評価システム(100)は、第3の態様において、選択部(5)を更に備える。選択部(5)は、複数の利用モードのうちいずれかの利用モードを選択する。評価部(4)は、選択部(5)が選択した利用モードに応じて、歩行状態を3つの種別のうち少なくとも1つを評価する。
【0081】
この態様によれば、評価システム(100)が利用される場面、状況、又は用途に応じてユーザ(X1)の歩行状態を細分化して評価できる、という利点がある。
【0082】
第5の態様の評価システム(100)では、第1~第4のいずれかの態様において、評価部(4)は、候補歩行特徴量(Yc3)に対応付けられた候補歩行状態を用いて、歩行特徴量(Y3)と一致する候補歩行特徴量(Yc3)に応じた候補歩行状態を、歩行状態として特定する。
【0083】
この態様によれば、ユーザ(X1)の歩行状態を評価する際の精度をより向上させることができる、という利点がある。
【0084】
第6の態様の評価システム(100)では、第1~第5のいずれかの態様において、評価部(4)は、ユーザ(X1)の属性に関する属性情報と歩行特徴量(Y3)との組み合わせに基づいて、歩行状態を評価する。
【0085】
この態様によれば、ユーザ(X1)の歩行状態をより精度高く評価できる、という利点がある。
【0086】
第7の態様の評価システム(100)では、第6の態様において、属性情報は、ユーザ(X1)の年齢、性別、及び体重の少なくとも1つを含む。
【0087】
この態様によれば、ユーザ(X1)の歩行状態をより精度高く評価できる、という利点がある。
【0088】
第8の態様の評価システム(100)は、第1~第7のいずれかの態様において、出力部(8)を更に備える。出力部(8)は、評価部(4)の評価結果を出力する。
【0089】
この態様によれば、ユーザ(X1)の歩行状態を確認しやすくなる、という利点がある。
【0090】
第9の態様の評価システム(100)では、第1~第8のいずれかの態様において、取得部(2)は、蓄積部(21)と、機械学習部(22)と、を有する。蓄積部(21)は、歩行データ(Y2)を履歴情報として蓄積する。機械学習部(22)は、蓄積部(21)に蓄積された履歴情報を用いて機械学習を行い、収集情報(Y1)から歩行データ(Y2)を予測する。
【0091】
この態様によれば、より精度高い歩行データ(Y2)を取得することができる、という利点がある。
【0092】
第10の態様の評価システム(100)では、第9の態様において、機械学習部(22)は、予め定められた所定期間内の複数の時点の各々において、収集情報(Y1)を複数取得し、複数の収集情報(Y1)における変化値に基づいて、歩行データ(Y2)を予測する。
【0093】
この態様によれば、より精度高い歩行データ(Y2)を取得することができる、という利点がある。
【0094】
第11の態様の評価システム(100)は、第1~第10のいずれかの態様において、収集部(1)を更に備える。
【0095】
この態様によれば、ユーザ(X1)の歩行状態を精度高く評価できる、という利点がある。
【0096】
第12の態様の評価方法は、取得ステップ(ST4)と、処理ステップ(ST5)と、評価ステップ(ST6)と、を含む。取得ステップ(ST4)では、収集部(1)から出力された収集情報(Y1)に基づいて、ユーザ(X1)の歩行に関する歩行データ(Y2)を取得する。処理ステップ(ST5)では、取得ステップ(ST4)で取得した歩行データ(Y2)から、ユーザ(X1)の歩行速度、歩幅、体軸の揺れ、及び首の傾きの少なくとも1つを含む歩行特徴量(Y3)を抽出する。評価ステップ(ST6)では、処理ステップ(ST5)で抽出した歩行特徴量(Y3)に基づいて、ユーザ(X1)の歩行状態を評価する。
【0097】
この態様によれば、ユーザ(X1)の歩行状態を精度高く評価できる、という利点がある。
【0098】
第13の態様のプログラムは、コンピュータシステムに、第10の態様の評価方法を実行させるためのプログラムである。
【0099】
この態様によれば、ユーザ(X1)の歩行状態を精度高く評価できる、という利点がある。
【符号の説明】
【0100】
100 評価システム
1 収集部
2 取得部
21 蓄積部
22 機械学習部
3 処理部
4 評価部
5 選択部
8 出力部
ST4 取得ステップ
ST5 処理ステップ
ST6 評価ステップ
X1 ユーザ
Y1 収集情報
Y2 歩行データ
Y3 歩行特徴量
Yc3 候補歩行特徴量
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7