(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024146532
(43)【公開日】2024-10-15
(54)【発明の名称】制御システム、気流発生装置、制御方法及びプログラム
(51)【国際特許分類】
F24F 9/00 20060101AFI20241004BHJP
F24F 7/007 20060101ALI20241004BHJP
F24F 11/74 20180101ALI20241004BHJP
F24F 13/26 20060101ALI20241004BHJP
F24F 110/70 20180101ALN20241004BHJP
F24F 120/10 20180101ALN20241004BHJP
【FI】
F24F9/00 J
F24F9/00 A
F24F9/00 Z
F24F7/007 B
F24F11/74
F24F13/26
F24F7/007 101
F24F110:70
F24F120:10
【審査請求】未請求
【請求項の数】13
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023059499
(22)【出願日】2023-03-31
(71)【出願人】
【識別番号】314012076
【氏名又は名称】パナソニックIPマネジメント株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002527
【氏名又は名称】弁理士法人北斗特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】高橋 勇人
(72)【発明者】
【氏名】薮ノ内 伸晃
(72)【発明者】
【氏名】井藤 好克
(72)【発明者】
【氏名】青木 基浩
(72)【発明者】
【氏名】澤田 樹来
(72)【発明者】
【氏名】脇山 雄多
(72)【発明者】
【氏名】勝又 慎介
【テーマコード(参考)】
3L056
3L260
【Fターム(参考)】
3L056BD01
3L056BD04
3L056BG02
3L260AB15
3L260BA12
3L260BA25
3L260BA73
3L260CA03
3L260CA17
3L260CB53
3L260CB54
3L260EA07
3L260FA07
3L260FC03
3L260FC04
(57)【要約】
【課題】人がいる空間に飛沫及びエアロゾルが落ちてくることを抑制する。
【解決手段】制御システム1は、エアカーテン装置5と、気流発生装置3と、を備える。エアカーテン装置5は、空気を上方に送ることでエアカーテンを発生させる。気流発生装置3は、エアカーテンの上部を通過し人が存在しない無人空間に届く気流を発生させる。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
空気を上方に送ることでエアカーテンを発生させるエアカーテン装置と、
前記エアカーテンの上部を通過し人が存在しない無人空間に届く気流を発生させる気流発生装置と、
を備える、
制御システム。
【請求項2】
前記気流発生装置は、施設の天井面の近傍空間内に配置される、
請求項1に記載の制御システム。
【請求項3】
前記エアカーテン装置は、前記近傍空間に届く前記エアカーテンを発生させる、
請求項2に記載の制御システム。
【請求項4】
前記無人空間に面した造営材には、排気口を有する排気装置が設置されている、
請求項1に記載の制御システム。
【請求項5】
前記気流発生装置は、前記気流発生装置と前記排気口との間の距離、及び、前記排気装置の排気風量の少なくとも一方に基づいて風量が制御された前記気流を発生させる、
請求項4に記載の制御システム。
【請求項6】
前記エアカーテン装置は、前記空気を吹き出す吹出口を有し、
前記気流発生装置は、吸気口及び吹出口を有し、前記吸気口から空気を吸い込み、吸い込んだ前記空気を前記気流発生装置の前記吹出口から吹き出すことで前記気流を発生させ、
前記エアカーテン装置の前記吹出口を施設の天井面に垂直投影させた投影領域の少なくとも一部は、前記気流発生装置の前記吸気口と前記無人空間との間にある、
請求項1に記載の制御システム。
【請求項7】
前記気流発生装置は、前記エアカーテン装置が送風を開始することに基づいて送風を開始し、前記エアカーテン装置が送風を停止することに基づいて送風を停止する、
請求項1に記載の制御システム。
【請求項8】
前記エアカーテン装置の近傍空間における二酸化炭素の濃度を示す濃度情報を取得する取得部と、
前記取得部により取得された前記濃度情報に基づいて、前記二酸化炭素の濃度が濃度閾値以上であるか否かを判断する判断部と、
を更に備え、
前記気流発生装置は、
前記二酸化炭素の濃度が第1濃度閾値以上であると前記判断部によって判断された場合に送風を開始し、
前記二酸化炭素の濃度が前記第1濃度閾値より小さい値である第2濃度閾値以上でないと前記判断部によって判断された場合に送風を停止する、
請求項1に記載の制御システム。
【請求項9】
前記エアカーテン装置の近傍空間に存在する人の検知情報を取得する取得部と、
前記取得部により取得された前記検知情報に基づいて、前記エアカーテン装置の前記近傍空間に存在する人の数が人数閾値以上であるか否かを判断する判断部と、
を更に備え、
前記気流発生装置は、
前記人の数が第1人数閾値以上であると前記判断部によって判断された場合に送風を開始し、
前記人の数が前記第1人数閾値より小さい値である第2人数閾値以上でないと前記判断部によって判断された場合に送風を停止する、
請求項1に記載の制御システム。
【請求項10】
前記気流発生装置を複数備え、
前記排気装置の排気風量を制御する風量制御部と、
前記複数の気流発生装置の動作状況を取得する状況取得部と、
を更に備え、
前記風量制御部は、前記状況取得部によって取得された前記動作状況に基づいて、前記複数の気流発生装置のうちの動作している気流発生装置の数が多い程、前記排気風量を増やすように制御する、
請求項4に記載の制御システム。
【請求項11】
請求項1に記載の制御システムに用いられ、
前記エアカーテンの前記上部を通過し前記無人空間に届く前記気流を発生させる、
気流発生装置。
【請求項12】
1以上のプロセッサにより実行される制御方法であって、
気流発生装置を制御して、エアカーテン装置が空気を上方に送ることで発生させるエアカーテンの上部を通過し、人が存在しない無人空間に届く気流を発生させる、
制御方法。
【請求項13】
請求項12に記載の制御方法を、1以上のプロセッサに実行させるための、
プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、一般に制御システム、気流発生装置、制御方法及びプログラムに関し、より詳細には、エアカーテンに関する制御システム、気流発生装置、制御方法及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、送風機を用いて垂直気流のエアカーテンを形成するエアカーテン発生装置が記載されている。
【0003】
エアカーテン発生装置は、例えばエアカーテンを挟んで会話をする人の口から発せられた飛沫及びエアロゾル等を、垂直気流によって上方に送る。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に記載されているようなエアカーテン発生装置を用いた場合、垂直気流により上方に送られた飛沫及びエアロゾル等が、人がいる空間に落ちてくることで、人が飛沫及びエアロゾル等を吸い込んでしまう可能性がある。
【0006】
本開示は上記事由に鑑みてなされており、人がいる空間に飛沫及びエアロゾルが落ちてくることを抑制することができる制御システム、気流発生装置、制御方法及びプログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示の一態様に係る制御システムは、エアカーテン装置と、気流発生装置と、を備える。前記エアカーテン装置は、空気を上方に送ることでエアカーテンを発生させる。前記気流発生装置は、前記エアカーテンの上部を通過し人が存在しない無人空間に届く気流を発生させる。
【0008】
本開示の一態様に係る気流発生装置は、前記制御システムに用いられる。前記気流発生装置は、前記エアカーテンの前記上部を通過し前記無人空間に届く前記気流を発生させる。
【0009】
本開示の一態様に係る制御方法は、1以上のプロセッサにより実行される。前記制御方法は、気流発生装置を制御して、エアカーテンの上部を通過し人が存在しない無人空間に届く気流を発生させる。前記エアカーテンは、エアカーテン装置が空気を上方に送ることで発生する。
【0010】
本開示の一態様に係るプログラムは、前記制御方法を、1以上のプロセッサに実行させるためのプログラムである。
【発明の効果】
【0011】
本開示の上記態様に係る制御システム、気流発生装置、制御方法及びプログラムによれば、人がいる空間に飛沫及びエアロゾルが落ちてくることを抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】
図1は、実施形態1に係る制御システムの構成を示すブロック図である。
【
図2】
図2は、同上の制御システムに含まれる装置の位置関係を示す説明図である。
【
図3】
図3は、同上の制御システムに含まれる装置の位置関係を示す別の説明図である。
【
図4】
図4は、同上の制御システムにおける気流発生装置の動作を示すフローチャートである。
【
図5】
図5は、同上の制御システムにおけるエアカーテン装置の動作を示すフローチャートである。
【
図6】
図6は、同上の制御システムにおける排気装置の動作を示すフローチャートである。
【
図7】
図7は、実施形態2に係る制御システムの構成を示すブロック図である。
【
図8】
図8は、同上の制御システムにおけるエアカーテン装置の動作を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本開示に関する好ましい実施形態について図面を参照しつつ詳細に説明する。なお、以下に説明する実施形態において互いに共通する要素には同一符号を付しており、共通する要素についての重複する説明は省略する場合がある。以下の実施形態は、本開示の様々な実施形態の一つに過ぎない。実施形態は、本開示の目的を達成できれば、設計等に応じて種々の変更が可能である。また、実施形態及び変形例は、適宜組み合わせて実現されてもよい。
【0014】
本開示において説明する各図は、模式的な図であり、各図中の各構成要素の大きさ及び厚さのそれぞれの比が、必ずしも実際の寸法比を反映しているとは限らない。
【0015】
なお、本開示でいう「直交(垂直)」は、二者間の角度が厳密に90度である状態だけでなく、二者がある程度の差の範囲内で交差する状態も含む意味である。つまり、直交する二者間の角度は、90度に対してある程度の差(一例として10度以下)の範囲内に収まる。すなわち、本開示でいう「直交」は、二者でなす角度が80度以上100度以下である場合を含む。本開示でいう「平行」についても同様に、厳密に二者が交わらない状態だけでなく、二者がある程度の差の範囲内で並ぶ状態も含む意味である。例えば、本開示でいう「平行」は、一方に対する他方の傾きが10度以下であることを含む。すなわち、本開示でいう「平行」は、一方と他方とでなす角度が-10度以上10度以下である場合を含む。
【0016】
(実施形態1)
(1)概要
まず、実施形態1に係る制御システム1(気流システム)の概要について、
図1~
図3を参照して説明する。
【0017】
図1に示すように、実施形態1の制御システム1は、施設100に設けられる。
【0018】
本開示でいう「施設」は、居住用途で用いられる住宅施設、並びに店舗、オフィス、福祉施設、教育施設、病院及び工場等の非住宅施設を含む。非住宅施設には、飲食店、遊技場、ホテル、旅館、幼稚園、保育所及び公民館等も含む。つまり、施設100は、マンション等の住宅施設であってもよいし、オフィス等の非住宅施設であってもよい。さらに、施設100は、例えば、低層階が店舗で高層階が住戸というように、住宅施設と非住宅施設とが混在する態様の施設も含む。実施形態1では、施設100が、オフィスである場合を想定する。
【0019】
制御システム1は、エアカーテン装置5と、気流発生装置3と、を備える。
【0020】
以下では一例として、
図2に示すように、互いに直交するX軸、Y軸、及びZ軸の3軸を設定して説明する。X軸及びY軸は水平方向に沿っており、Z軸は鉛直方向に沿っている。また、Z軸の正の方を「上方」、Z軸の負の方を「下方」と呼ぶことがある。X軸、Y軸、及びZ軸は、いずれも仮想的な軸であり、図面中の「X」、「Y」、「Z」を示す矢印は、説明のために表記しているに過ぎず、いずれも実体を伴わない。また、これらの方向は、制御システム1の使用時の方向を限定する趣旨で表記していない。
【0021】
図2に示すように、エアカーテン装置5は、空気を上方に送ることで、エアカーテンA1を発生させる。なお、
図2の例では1人の人H1しか図示していないが、実施形態1では、所定空間200内には複数の人H1が存在する。
【0022】
気流発生装置3は、エアカーテンA1の上部を通過し人H1が存在しない無人空間R1に届く気流A2を発生させる。
【0023】
ここで、本開示でいう「無人空間」は、通常、人H1が存在することは考えにくい空間である。また、「無人空間」は、人H1が一定時間以上滞在しない空間を含む。例えば、無人空間は、人H1の通路となるような移動空間を含む。また、「無人空間」は、所定空間200内に空気を給気する給気部と、所定空間200内の空気を排気する排気部との間の換気経路を含む。実施形態1の無人空間R1は、施設100の所定空間200に面した天井面201に設置される排気装置7が空気を吸い込むことができる空間である。排気装置7が空気を吸い込むことができる空間は、例えば排気装置7の排気口71の中心P1(
図3参照)からの距離が所定距離以下となる空間である。所定距離は例えば1mである。
【0024】
実施形態1の制御システム1によれば、エアカーテン装置5によって上方に送られた空気を気流発生装置3が無人空間R1に送るため、人がいる空間に飛沫及びエアロゾルが落ちてくることを抑制することができる。したがって、実施形態1の制御システム1によれば、人H1が飛沫及びエアロゾル等を吸い込むことを抑制することができる。
【0025】
(2)詳細
以下、実施形態1に係る制御システム1(気流システム)の詳細な構成について、
図1~
図3を参照して説明する。
【0026】
(2.1)制御システムの構成
図1に示すように、実施形態1の制御システム1は、複数の気流制御システム2と、排気装置7と、管理装置8と、を備える。
【0027】
(2.2)気流制御システムの構成
複数の気流制御システム2は、例えば施設100の所定空間200に設けられる。実施形態1では、所定空間200がABW(Activity based working)オフィス等の従業員の席が固定されていないフリーアドレスオフィスの1室である場合を例示する。ただし、所定空間200は、例えば会議室等であってもよい。
【0028】
図1に示すように、気流制御システム2は、気流発生装置3と、什器4と、を備える。
【0029】
(2.3)気流発生装置の構成
図2に示すように、実施形態1の気流発生装置3は所定空間200の天井面201に設置される。言い換えると、気流発生装置3は、天井面201の近傍空間R2内に配置される。
【0030】
近傍空間R2は、天井面201付近の領域である。より具体的には、近傍空間R2は、天井面201からの距離が所定距離Z1以内空間である。所定距離Z1は、例えば50cmである。ただし、所定距離Z1は、所定空間200の広さ、及び、床面203に対する天井面201の高さ等によって変わる。所定距離Z1は、例えば1mであってもよい。
【0031】
気流発生装置3が天井面201の近傍空間R2内に配置されることで、無人空間R1内にあり、かつ、天井面201に配置されている排気口71に向かう気流A2を発生させやすいという利点がある。
【0032】
また、実施形態1の気流発生装置3は、一のエアカーテン装置5に対応するように設置される。つまり、気流発生装置3は、対応するエアカーテン装置5が上方に送る空気を、無人空間R1に送る気流A2を発生させる。なお、一のエアカーテン装置5に複数の気流発生装置3が対応するように配置されてもよい。
【0033】
気流発生装置3は、アーム301と、本体部302と、を備える。アーム301の第1端は、例えば天井面201に設けられた配線ダクトに取り付けられる。また、アーム301の第2端は、本体部302と繋がっている。
【0034】
本体部302は、円筒状に形成されている。ただし。本体部302が円筒状に形成されていることは必須ではなく、本体部302は角筒状に形成されていてもよい。気流発生装置3は、本体部302の中心軸がX軸に沿うように配置される。本体部302は、ファン及び整流部材等を収容している。
【0035】
本体部302は、X軸方向における第1端部304及び第2端部305を有する。第1端部304は、本体部302のうち、排気口71の中心P1(
図3参照)から最も離れた部分である。第2端部305は、本体部302のうち、排気口71の中心P1に最も近い部分である。第1端部304の開口は吸気口32である。また、第2端部305の開口は吹出口31である。つまり、気流発生装置3は、吸気口32及び吹出口31を有する。
【0036】
図3に示すように、実施形態1の吹出口31は、上下方向から見て、排気口71の中心P1を向いている。つまり、上下方向から見て、吹出口31と排気口71の中心P1とを結ぶ仮想直線L1は、X軸に沿っている。実施形態1では、本体部302の向きは、気流A2がエアカーテンA1の上部を通過する向きに固定されている。
【0037】
気流発生装置3は、ファンを駆動させて吸気口32で空気を吸い吹出口31から空気を吹き出すことで、気流A2を発生させる。実施形態1の気流発生装置3が発生させる気流A2は、噴流であり、直進性を有する指向性気流である。また、実施形態1の気流A2は、天井面201に沿った気流である。指向性気流である気流A2は、エアカーテン装置5によって上方に送られた空気を、狙った領域に送りやすい。
【0038】
図1に示すように、実施形態1の気流発生装置3は、気流制御部33を更に備える。気流制御部33は、気流発生装置3の動作を制御する。実施形態1の気流制御部33は、対応するエアカーテン装置5が送風を開始することに基づいて送風を開始する。また、気流制御部33は、対応するエアカーテン装置5が送風を停止することに基づいて送風を停止する。つまり、実施形態1の気流発生装置3は、エアカーテン装置5が送風を開始することに基づいて送風を開始し、エアカーテン装置5が送風を停止することに基づいて送風を停止する。
【0039】
気流発生装置3の動作とエアカーテン装置5の動作とが連動しているため、エアカーテン装置5によって上方に送られる空気をより確実に無人空間R1に送り、かつ、気流発生装置3が無駄に動作することを抑制することができる。
【0040】
気流制御部33は、風量制御部331を有する。風量制御部331は、気流A2の風量を制御する。本開示でいう「風量を制御する」とは、「風速(流速)を制御する」ことを含む。実施形態1の風量制御部331は、気流A2が無人空間R1に届くように、気流A2の風量を制御する。なお、実施形態1の風量制御部331は、吹出口31から吹き出す空気の風量を制御する。
【0041】
また、実施形態1の風量制御部331は、気流発生装置3と排気口71との間の距離、及び、排気装置7の排気風量の少なくとも一方に基づいて、風量を制御する。言い換えると、気流発生装置3は、気流発生装置3と排気口71との間の距離、及び、排気装置7の排気風量の少なくとも一方に基づいて風量が制御された気流A2を発生させる。
【0042】
具体的には、風量制御部331は、気流発生装置3と排気口71との間の距離が遠くなる程、風量を大きくする制御を行う。また、実施形態1の風量制御部331は、気流発生装置3と排気口71との間の距離に関わらず排気口71の直下での気流A2の風速が一定になるように風量の制御を行う。また、実施形態1の風量制御部331は、X軸方向における気流発生装置3と排気口71との間の最短距離X2に基づいて、風量を制御する。
【0043】
気流発生装置3と排気口71との間の距離に基づいて風量制御部331が風量を制御することで、例えば気流発生装置3と排気口71との間の距離が遠い場合であっても、気流A2が排気口71まで届くようにすることができる。
【0044】
また、実施形態1の風量制御部331は、吹出口31から吹き出す空気の風量が排気装置7の排気風量よりも小さくなるように、風量の制御を行う。さらに、実施形態1の風量制御部331は、排気装置7の排気風量が大きくなる程、風量を大きくする制御を行う。
【0045】
排気装置7の排気風量に基づいて風量制御部331が風量を制御することで、気流A2によって送られる空気が排気装置7によって適切に排気されるようにすることができる。
【0046】
実施形態1の気流発生装置3は、管理装置8と通信可能に構成されている。なお、本開示でいう「通信可能」とは、有線通信又は無線通信の適宜の通信方式により、直接的、又はネットワーク若しくは中継器等を介して間接的に、情報を授受できることを意味する。気流制御部33は、例えば管理装置8と通信を行うことで、対応するエアカーテン装置5が送風を行っているか否かの情報、気流発生装置3と排気口71との間の距離の情報、及び、排気装置7の排気風量の情報を取得する。
【0047】
(2.4)什器の構成
本開示でいう「什器」は、住宅又は非住宅で使用される家具及び備品等の器具の総称である。什器の一例は、物を載せる台として使用される机、テーブル及び作業台等である。什器の別の一例は、棚、箱、ドレッサー、ベッド、ホワイトボード、間仕切り及び長椅子等である。
【0048】
図2に示すように、実施形態1の什器4は、エアカーテン装置5と、机部6と、を含んでいる。
【0049】
実施形態1のエアカーテン装置5は、机部6の天板上に設けられている。エアカーテン装置5は、送風ファンと、空気を吹き出す吹出口51と、を備える。エアカーテン装置5は、吹出口51から空気を上方に送ることでエアカーテンA1を発生させる。実施形態1のエアカーテンA1は、X-Z平面に平行な面状の上方気流である。
【0050】
ここで、エアカーテン装置5の吹出口51を天井面201に垂直投影させた領域を投影領域R3とする。
図2において、投影領域R3は、天井面201のうちの一点鎖線で挟まれた領域である。
図3に示すように、投影領域R3の少なくとも一部は、気流発生装置3の吸気口32と無人空間R1との間にある。
【0051】
投影領域R3の少なくとも一部が気流発生装置3の吸気口32と無人空間R1との間にあることで、気流A2によって、エアカーテン装置5が送った空気が無人空間R1により送られやすいという利点がある。
【0052】
さらに、
図3に示すように実施形態1では、投影領域R3の全体が、気流発生装置3の吹出口31と無人空間R1との間にある。気流A2によって、エアカーテン装置5が送った空気が無人空間R1により送られやすいという利点がある。
【0053】
図1に示すように、エアカーテン装置5は、エアカーテン制御部52を備える。エアカーテン制御部52は、エアカーテン装置5の動作を制御する。エアカーテン制御部52は、風量制御部521を有する。
【0054】
風量制御部521は、エアカーテンA1の風量を制御する。実施形態1の風量制御部521は、エアカーテンA1が天井面201の近傍空間R2(
図2参照)に届くように、エアカーテンA1の風量を制御する。つまり、エアカーテン装置5は、近傍空間R2に届くエアカーテンA1を発生させる。なお、風量制御部521は、エアカーテンA1が天井面201に届くように、エアカーテンA1の風量を制御してもよい。実施形態1の風量制御部521は、天井面201の高さが高い程、風量を大きくする制御を行う。
【0055】
エアカーテン装置5が天井面201の近傍空間R2に届くエアカーテンA1を発生させることで、例えば天井面201の近傍空間R2に設置されている気流発生装置3が発生させる気流A2によって、エアカーテン装置5が送った空気が無人空間R1により送られやすいという利点がある。
【0056】
本実施形態では、エアカーテンA1のうち近傍空間R2に届く部分はエアカーテンA1の上部である。また、エアカーテンA1の上部は、エアカーテンA1のうちの床面203からの高さが所定高さ以上である部分であってもよい。所定高さは、例えば3mである。
【0057】
実施形態1のエアカーテン装置5は、管理装置8と通信可能に構成されている。エアカーテン制御部52は、例えば管理装置8と通信を行うことで、天井面201及びエアカーテン装置5の高さの情報を取得する。
【0058】
(2.5)排気装置の構成
排気装置7は、所定空間200に面した造営材に設置される。造営材は、例えば天井、梁、又は壁等である。例えば、天井埋込形換気扇であり、通常換気及び熱交換気の少なくとも一方を行う。
図2に示すように、排気装置7は、施設100における所定空間200の天井に設けられている。排気装置7は、排気口71を有する。
【0059】
排気口71は、排気口71の周辺の空気を吸い込む。排気口71に吸い込まれた空気は、例えば屋外空間等の所定空間200と異なる空間に送られたり、除菌、脱臭、及びウイルスの不活性化が行われた後に所定空間200に送られたりする。
【0060】
実施形態1の排気口71は、無人空間R1に面する天井面201に配置される。排気口71が無人空間R1に面する造営材に設けられていることで、無人空間R1に送られた空気を排気することができる。
【0061】
図1に示すように、排気装置7は、排気制御部72を備える。排気制御部72は、排気装置7の動作を制御する。排気制御部72は、風量制御部721と、状況取得部722と、を有する。
【0062】
状況取得部722は、気流発生装置3の動作状況を取得する。実施形態1の制御システム1は、複数の気流制御システム2を備える。言い換えると、制御システム1は、複数の気流発生装置3と、複数のエアカーテン装置5と、を備える。したがって、実施形態1の状況取得部722は、複数の気流発生装置3の動作状況を取得する。
【0063】
実施形態1の排気装置7は、管理装置8と通信可能に構成されている。状況取得部722は、管理装置8と通信を行うことで、複数の気流発生装置3の動作状況を取得する。本開示でいう「気流発生装置3の動作状況」は、気流発生装置3が動作しているか否かの情報、及び、気流発生装置3の風量の情報を含む。
【0064】
風量制御部721は、排気装置7の排気風量を制御する。実施形態1の風量制御部721は、状況取得部722によって取得された動作状況に基づいて、排気装置7の排気風量を制御する。より具体的には、風量制御部721は、動作状況に基づいて、複数の気流発生装置3のうちの動作している気流発生装置3の数が多い程、排気風量を増やすように制御する。例えば、風量制御部721は、排気風量が複数の気流発生装置3の風量の総和よりも大きくなるように、排気風量を制御する。なお、実施形態1の風量制御部721は、所定時間毎に、気流発生装置3の動作状況を取得し、取得した動作状況に基づいて排気風量を制御する。
【0065】
1以上の気流発生装置3の動作状況に基づいて風量制御部721が排気風量を制御することで、1以上の気流発生装置3によって送られてくる空気をより確実に排気することができる。
【0066】
(2.6)管理装置の構成
管理装置8は、1以上のプロセッサ及び1以上のメモリを有するコンピュータシステムを主構成とする。管理装置8では、1以上のプロセッサがメモリに記録されているプログラムを実行することにより、管理装置8の各部の機能が実現される。プログラムはメモリに予め記録されていてもよいし、インターネット等の電気通信回線を通して提供されてもよく、メモリカード等の非一時的記録媒体に記録されて提供されてもよい。
【0067】
図1に示すように、管理装置8は、施設100内の例えば管理室に設置されている。ただし、管理装置8は、管理会社等、施設100の外部に設置されていてもよい。管理装置8は、例えばサーバ装置である。
【0068】
実施形態1の管理装置8は、気流発生装置3、エアカーテン装置5、及び排気装置7の各々と通信可能に構成されている。管理装置8は、気流発生装置3、エアカーテン装置5、及び排気装置7の各々と通信を行うことで、管理装置8は、気流発生装置3、エアカーテン装置5、及び排気装置7の各々の動作状況を取得し、例えば管理装置8が有する記憶部に各々の動作状況を記憶している。
【0069】
また、管理装置8は、施設100の空間情報を利用可能である。空間情報は、施設100の所定空間200の寸法設計情報、施設100のBIM(Building Information Modeling)データ等の3次元モデルデータ、気流発生装置3の位置情報、什器4の位置情報、及び、排気装置7の位置情報等を含む。管理装置8は、例えば管理装置8が有する記憶部に空間情報を記憶している。
【0070】
(3)制御システムの動作
次に、
図4~
図6を参照して制御システム1の動作について説明する。
【0071】
図4は、気流発生装置3の気流制御部33の動作を示すフローチャートである。
図4の処理は、例えば所定時間毎に行われる。まず、気流発生装置3の気流制御部33は、対応するエアカーテン装置5が送風を行っているか否かの情報、気流発生装置3と排気口71との間の距離の情報、及び、排気装置7の排気風量の情報を取得する(S1)。次に気流制御部33は、気流発生装置3が送風中であるか否かの判断を行う(S2)。気流発生装置3が送風中である場合(S2:Yes)、気流制御部33は、エアカーテン装置5が送風中であるか否かの判断を行う(S3)。エアカーテン装置5が送風中である場合(S3:Yes)、気流制御部33は、処理を終了する。一方、エアカーテン装置5が送風中でない場合(S3:No)、気流制御部33は、送風を停止し(S4)、処理を終了する。
【0072】
ステップS2の処理において、気流発生装置3が送風中でない場合(S2:No)、気流制御部33は、エアカーテン装置5が送風中であるか否かの判断を行う(S5)。エアカーテン装置5が送風中である場合(S5:Yes)、気流制御部33は、気流発生装置3と排気口71との間の距離、及び、排気装置7の排気風量の少なくとも一方に基づいて、風量を設定する(S6)。そして、気流制御部33は、送風を開始し(S7)、処理を終了する。一方、エアカーテン装置5が送風中でない場合(S5:No)、気流制御部33は、処理を終了する。
【0073】
図5は、エアカーテン装置5のエアカーテン制御部52の動作を示すフローチャートである。
図5の処理は、例えばエアカーテン装置5の電源がオンになった時に行われる。まず、エアカーテン制御部52は、天井面201及びエアカーテン装置5の高さの情報を取得する(S11)。次に、エアカーテン制御部52は、高さの情報に基づいて、風量を設定する(S12)。そして、エアカーテン制御部52は、送風を開始し(S13)、処理を終了する。
【0074】
図6は、排気装置7の排気制御部72の動作を示すフローチャートである。
図6の処理は、例えば排気装置7の動作時に所定時間毎に行われる。まず、排気制御部72は、複数の気流発生装置3の動作状況を取得する(S21)。次に、排気制御部72は、動作状況に基づいて、排気風量を設定し(S22)、処理を終了する。
【0075】
図4~
図6に示すフローチャートは、一例に過ぎず、処理の順番が適宜変更されてもよいし、処理が適宜追加又は削除されてもよい。
【0076】
(4)変形例
以下、実施形態1の変形例を列挙する。
【0077】
実施形態1に係る制御システム1と同等の機能は、制御方法、(コンピュータ)プログラム、又はプログラムを記録した非一時的記録媒体等で具現化されてもよい。一態様に係る制御方法は、1以上のプロセッサにより実行される。制御方法は、気流発生装置3を制御して、エアカーテンA1の上部を通過し人が存在しない無人空間R1に届く気流A2を発生させる。エアカーテンA1は、エアカーテン装置5が空気を上方に送ることで発生する。一態様に係るプログラムは、上記の制御方法を、1以上のプロセッサに実行させるためのプログラムである。
【0078】
本開示における制御システム1又は制御方法の実行主体は、コンピュータシステムを含んでいる。コンピュータシステムは、ハードウェアとしてのプロセッサ及びメモリを主構成とする。コンピュータシステムのメモリに記録されたプログラムをプロセッサが実行することによって、本開示における制御システム1又は制御方法の実行主体としての機能が実現される。プログラムは、コンピュータシステムのメモリに予め記録されてもよく、電気通信回線を通じて提供されてもよく、コンピュータシステムで読み取り可能なメモリカード、光学ディスク、ハードディスクドライブ等の非一時的記録媒体に記録されて提供されてもよい。コンピュータシステムのプロセッサは、半導体集積回路(IC)又は大規模集積回路(LSI)を含む1又は複数の電子回路で構成される。ここでいうIC又はLSI等の集積回路は、集積の度合いによって呼び方が異なっており、システムLSI、VLSI(Very Large Scale Integration)、又はULSI(Ultra Large Scale Integration)と呼ばれる集積回路を含む。さらに、LSIの製造後にプログラムされる、FPGA(Field-Programmable Gate Array)、又はLSI内部の接合関係の再構成若しくはLSI内部の回路区画の再構成が可能な論理デバイスについても、プロセッサとして採用することができる。複数の電子回路は、1つのチップに集約されていてもよいし、複数のチップに分散して設けられていてもよい。複数のチップは、1つの装置に集約されていてもよいし、複数の装置に分散して設けられていてもよい。ここでいうコンピュータシステムは、1以上のプロセッサ及び1以上のメモリを有するマイクロコントローラを含む。したがって、マイクロコントローラについても、半導体集積回路又は大規模集積回路を含む1又は複数の電子回路で構成される。
【0079】
また、制御システム1における複数の機能が、1つの筐体内に集約されていることは制御システム1に必須の構成ではなく、制御システムの構成要素は、複数の筐体に分散して設けられていてもよい。さらに、制御システム1の少なくとも一部の機能、例えば、気流発生装置3の気流制御部33等の一部の機能がクラウド(クラウドコンピューティング)等によって実現されてもよい。
【0080】
反対に、実施形態1において、複数の装置に分散されている制御システム1の少なくとも一部の機能が、1つの筐体内に集約されていてもよい。例えば、気流発生装置3と、エアカーテン装置5と、排気装置7と、に分散されている制御システム1の一部の機能が、1つの筐体内に集約されていてもよい。例えば、気流制御部33、エアカーテン制御部52、及び排気制御部72の少なくとも一部の機能は、管理装置8が備えていてもよい。
【0081】
気流制御システム2が気流発生装置3及び什器4を備えることは必須ではない。気流制御システム2は、気流発生装置3及びエアカーテン装置5を備えていればよい。また、制御システム1は、気流発生装置3及びエアカーテン装置5を備えていればよい。
【0082】
什器4がエアカーテン装置5及び机部6を備えることは必須ではない。什器4は、エアカーテン装置5と、ベッド部及び長椅子部等の什器部と、を備えていればよい。
【0083】
実施形態1では、気流発生装置3の本体部302の向きが固定である場合を例示したが、本体部302の向きは可変であってもよい。例えば、気流制御部33の制御によって本体部302の向きが変わってもよい。気流制御部33は、気流A2がエアカーテンA1の上部を通過し、かつ、無人空間R1に向かう向きになるように、本体部302の向きを制御する。
【0084】
気流発生装置3は、天井面201の近傍空間R2内に面する壁面202に設置されていてもよい。
【0085】
排気装置7の排気口71は、天井面201の近傍空間R2に面する壁面202に配置されていてもよい。
【0086】
無人空間R1は、例えば空気を排気可能な窓又は扉に面していてもよい。
【0087】
(実施形態2)
(1)制御システムの構成
次に、実施形態2に係る制御システム1について説明する。
図7に示すように、実施形態2の気流制御システム2は、検知部9を更に備えている。検知部9は、エアカーテン装置5、エアカーテン装置5の近傍空間R4内、又は近傍空間R4の上方等に配置されている。
【0088】
エアカーテン装置5の近傍空間R4は、エアカーテン装置5又は什器4からの距離が所定距離以内の空間である。所定距離は例えば2mである。
【0089】
実施形態2の検知部9は、二酸化炭素(CO2)センサである。検知部9は、エアカーテン装置5の近傍空間R4における空気中に含まれる二酸化炭素の濃度の値を検知する。実施形態2の検知部9は、管理装置8と通信可能に構成されている。検知部9は、近傍空間R4における二酸化炭素の濃度を示す濃度情報を管理装置8に送信する。なお、以下の説明では、濃度情報のことを検知情報と呼ぶことがある。
【0090】
図7に示すように、実施形態2のエアカーテン装置5のエアカーテン制御部52は、取得部522と、判断部523と、を更に有する。
【0091】
取得部522は、検知部9が検知した濃度情報を取得する。実施形態2の取得部522は、管理装置8と通信を行うことで、管理装置8から濃度情報を取得する。ただし、取得部522は、検知部9と通信を行うことで、検知部9から濃度情報を取得してもよい。
【0092】
判断部523は、取得部522により取得された濃度情報に基づいて、二酸化炭素の濃度が濃度閾値以上であるか否かを判断する。実施形態2の判断部523は、エアカーテン装置5が停止中の場合には二酸化炭素の濃度が第1濃度閾値以上であるか否かを判断し、エアカーテン装置5が送風中の場合には二酸化炭素の濃度が第2濃度閾値以上であるか否かを判断する。第2濃度閾値は、第1濃度閾値より小さい値である。実施形態2では第1濃度閾値は1000ppmであり、第2濃度閾値は700ppmである。ただし、第1濃度閾値及び第2濃度閾値の値は、適宜設定可能である。なお、以下の説明では、第1濃度閾値のことを第1閾値と呼び、第2濃度閾値のことを第2閾値と呼ぶことがある。
【0093】
実施形態2のエアカーテン制御部52は、二酸化炭素の濃度が第1濃度閾値以上であると判断部523によって判断された場合に、送風を開始する。また、エアカーテン制御部52は、二酸化炭素の濃度が第2閾値以上ではないと判断部523によって判断された場合に、送風を停止する。
【0094】
実施形態1と同様に気流発生装置3は、エアカーテン装置5が送風を開始することに基づいて送風を開始し、エアカーテン装置5が送風を停止することに基づいて送風を停止する。つまり、実施形態2の気流発生装置3は、二酸化炭素の濃度が第1濃度閾値以上であると判断部523によって判断された場合に送風を開始し、二酸化炭素の濃度が第2閾値以上ではないと判断部523によって判断された場合に送風を停止する。
【0095】
人体は二酸化炭素を発しており、感染症対策の観点、及び、倦怠感又は眠気等の人体への影響の観点から二酸化炭素濃度が一定以上の領域では換気を行うことが推奨される。実施形態2の制御システム1によれば、二酸化炭素濃度が第1濃度閾値以上の場合にエアカーテン装置5及び気流発生装置3が送風を開始するため、適切に換気を行うことができる。また、二酸化炭素濃度が第2濃度閾値以上ではない場合にエアカーテン装置5及び気流発生装置3が送風を停止するため、エアカーテン装置5及び気流発生装置3が無駄に動作することを抑制することができる。
【0096】
(2)制御システムの動作
次に、
図8を参照して実施形態2に係る制御システム1の動作について説明する。
【0097】
図8は、実施形態2に係るエアカーテン装置5のエアカーテン制御部52の動作を示すフローチャートである。
図8の処理は、例えば所定時間毎に行われる。まず、エアカーテン制御部52は、天井面201及びエアカーテン装置5の高さの情報、及び、検知部9の検知情報(濃度情報)を取得する(S31)。
【0098】
次に、エアカーテン制御部52は、エアカーテン装置5が送風中であるか否かを判断する(S32)。エアカーテン装置5が送風中である場合(S32:Yes)、エアカーテン制御部52は、濃度情報に基づいて、二酸化炭素の濃度が第2濃度閾値(第2閾値)以上であるか否かを判断する(S33)。二酸化炭素の濃度が第2閾値以上である場合(S33:Yes)、エアカーテン制御部52は処理を終了する。一方で、二酸化炭素の濃度が第2閾値以上でない場合(S33:No)、エアカーテン制御部52は、送風を停止し(S34)、処理を終了する。
【0099】
ステップS32の処理において、エアカーテン装置5が送風中でない場合(S32:No)、エアカーテン制御部52は、濃度情報に基づいて、二酸化炭素の濃度が第1濃度閾値(第1閾値)以上であるか否かを判断する(S35)。二酸化炭素の濃度が第1閾値以上である場合(S35:Yes)、エアカーテン制御部52は、高さの情報に基づいて、風量を設定して(S36)送風を開始し(S37)、処理を終了する。一方で、二酸化炭素の濃度が第1閾値以上でない場合(S35:No)、エアカーテン制御部52は、処理を終了する。
【0100】
図8に示すフローチャートは、一例に過ぎず、処理の順番が適宜変更されてもよいし、処理が適宜追加又は削除されてもよい。
【0101】
(3)変形例
以下、実施形態2の変形例を列挙する。
【0102】
(3.1)第1変形例
第1変形例の検知部9は、エアカーテン装置5の近傍空間R4に存在する人H1を検知する。第1変形例の検知部9は例えばカメラを含む。例えばカメラを含む検知部9は、エアカーテン装置5の近傍空間R4の全域を撮像範囲に含むように配置されている。第1変形例の検知部9は、エアカーテン装置5の近傍空間R4に存在する人H1の数を検知する。検知部9は、人H1の検知情報を管理装置8に送信する。なお、以下の説明では、人H1の検知情報のことを検知情報と呼ぶことがある。
【0103】
取得部522は、検知部9が検知した人H1の検知情報を取得する。
【0104】
判断部523は、取得部522により取得された検知情報に基づいて、エアカーテン装置5の近傍空間R4に存在する人H1の数が人数閾値以上であるか否かを判断する。第1変形例の判断部523は、エアカーテン装置5が停止中の場合には人H1の数が第1人数閾値以上であるか否かを判断し、エアカーテン装置5が送風中の場合には人H1の数が第2人数閾値以上であるか否かを判断する。第2人数閾値は、第1人数閾値より小さい値である。第1変形例では第1人数閾値は4人であり、第2濃度閾値は2人である。ただし、第1人数閾値及び第2人数閾値の値は、適宜設定可能である。なお、以下の説明では、第1人数閾値のことを第1閾値と呼び、第2人数閾値のことを第2閾値と呼ぶことがある。
【0105】
第1変形例のエアカーテン制御部52は、人H1の数が第1人数閾値以上であると判断部523によって判断された場合に、送風を開始する。また、エアカーテン制御部52は、人H1の数が第2閾値以上ではないと判断部523によって判断された場合に、送風を停止する。
【0106】
気流発生装置3は、エアカーテン装置5が送風を開始することに基づいて送風を開始し、エアカーテン装置5が送風を停止することに基づいて送風を停止する。つまり、実施形態2の気流発生装置3は、人H1の数が第1人数閾値以上であると判断部523によって判断された場合に送風を開始し、人H1の数が第2人数閾値以上ではないと判断部523によって判断された場合に送風を停止する。
【0107】
感染症対策の観点から人H1の数(密度)が一定以上の領域では換気を行うことが推奨される。第1変形例の制御システム1によれば、人H1の数が第1人数閾値以上の場合にエアカーテン装置5及び気流発生装置3が送風を開始するため、適切に換気を行うことができる。また、人H1の数が第2人数閾値以上ではない場合にエアカーテン装置5及び気流発生装置3が送風を停止するため、エアカーテン装置5及び気流発生装置3が無駄に動作することを抑制することができる。
【0108】
次に、
図8を参照して第1変形例に係る制御システム1の動作について説明する。
【0109】
図8に示すフローチャートは、第1変形例に係るエアカーテン装置5のエアカーテン制御部52の動作にも対応している。まず、エアカーテン制御部52は、天井面201及びエアカーテン装置5の高さの情報、及び、検知部9の検知情報(人H1の検知情報)を取得する(S31)。
【0110】
次に、エアカーテン制御部52は、エアカーテン装置5が送風中であるか否かを判断する(S32)。エアカーテン装置5が送風中である場合(S32:Yes)、エアカーテン制御部52は、人H1の検知情報に基づいて、人H1の数が第2人数閾値(第2閾値)以上であるか否かを判断する(S33)。人H1の数が第2閾値以上である場合(S33:Yes)、エアカーテン制御部52は処理を終了する。一方で、人H1の数が第2閾値以上でない場合(S33:No)、エアカーテン制御部52は、送風を停止し(S34)、処理を終了する。
【0111】
ステップS32の処理において、エアカーテン装置5が送風中でない場合(S32:No)、エアカーテン制御部52は、人H1の検知情報に基づいて、人H1の数が第1人数閾値(第1閾値)以上であるか否かを判断する(S35)。人H1の数が第1閾値以上である場合(S35:Yes)、エアカーテン制御部52は、高さの情報に基づいて、風量を設定して(S36)送風を開始し(S37)、処理を終了する。一方で、人H1の数が第1閾値以上でない場合(S35:No)、エアカーテン制御部52は、処理を終了する。
【0112】
(3.2)他の変形例
エアカーテン装置5は電源がオンの状態のときに常にエアカーテンA1を発生させていてもよい。例えばエアカーテン制御部52が取得部522及び判断部523を有する代わりに、気流制御部33が取得部522及び判断部523を有していてもよい。気流制御部33が取得部522及び判断部523を有する場合、気流制御部33は、エアカーテン装置5の動作とは無関係に、検知情報に基づいて送風を開始するか否か及び送風を停止するか否かを判断してもよい。
【0113】
(まとめ)
以上述べた実施形態から明らかなように、第1の態様に係る制御システム(1)は、エアカーテン装置(5)と、気流発生装置(3)と、を備える。エアカーテン装置(5)は、空気を上方に送ることでエアカーテン(A1)を発生させる。気流発生装置(3)は、エアカーテン(A1)の上部を通過し人(H1)が存在しない無人空間(R1)に届く気流(A2)を発生させる。
【0114】
この態様によれば、エアカーテン装置(5)によって上方に送られた空気を気流発生装置(3)が無人空間(R1)に送るため、人(H1)がいる空間に飛沫及びエアロゾルが落ちてくることを抑制することができる。
【0115】
第2の態様に係る制御システム(1)では、第1の態様において、気流発生装置(3)は、施設(100)の天井面(201)の近傍空間(R2)内に配置される。
【0116】
この態様によれば、例えば無人空間(R1)内にあり、かつ、天井面(201)に配置されている排気口(71)に向かう気流(A2)を発生させやすい。
【0117】
第3の態様に係る制御システム(1)では、第2の態様において、エアカーテン装置(5)は、近傍空間(R2)に届くエアカーテン(A1)を発生させる。
【0118】
この態様によれば、近傍空間(R2)に設置されている気流発生装置(3)が発生させる気流(A2)によって、エアカーテン装置(5)が送った空気がより無人空間(R1)に送られやすい。
【0119】
第4の態様に係る制御システム(1)では、第1から第3のいずれか1つの態様において、無人空間(R1)に面した造営材には、排気口(71)を有する排気装置(7)が設置されている。
【0120】
この態様によれば、排気装置(7)が無人空間(R1)に設けられていることで、無人空間(R1)に送られた空気を排気することができる。
【0121】
第5の態様に係る制御システム(1)では、第4の態様において、気流発生装置(3)は、気流発生装置(3)と排気口(71)との間の距離(最短距離X2)、及び、排気装置(7)の排気風量の少なくとも一方に基づいて風量が制御された気流(A2)を発生させる。
【0122】
この態様によれば、気流発生装置(3)と排気口(71)との間の距離(最短距離X2)に基づいて風量を制御することで、例えば気流発生装置(3)と排気口(71)との間の距離が遠い場合であっても、気流(A2)が排気口(71)まで届くようにすることができる。また、排気装置(7)の排気風量に基づいて風量を制御することで、気流(A2)によって送られる空気が排気装置(7)によって適切に排気されるようにすることができる。
【0123】
第6の態様に係る制御システム(1)では、第1から第5のいずれか1つの態様において、エアカーテン装置(5)は、空気を吹き出す吹出口(51)を有する。気流発生装置(3)は、吸気口(32)及び吹出口(31)を有する。気流発生装置(3)は、吸気口(32)から空気を吸い込み、吸い込んだ空気を吹出口(31)から吹き出すことで気流(A2)を発生させる。エアカーテン装置(5)の吹出口(51)を施設(100)の天井面(201)に垂直投影させた投影領域(R3)の少なくとも一部は、気流発生装置(3)の吸気口(32)と無人空間(R1)との間にある。
【0124】
この態様によれば、気流発生装置(3)が発生させる気流(A2)によって、エアカーテン装置(5)が送った空気がより無人空間(R1)に送られやすい。
【0125】
第7の態様に係る制御システム(1)では、第1から第6のいずれか1つの態様において、気流発生装置(3)は、エアカーテン装置(5)が送風を開始することに基づいて送風を開始し、エアカーテン装置(5)が送風を停止することに基づいて送風を停止する。
【0126】
この態様によれば、エアカーテン装置(5)によって上方に送られる空気をより確実に無人空間(R1)に送り、かつ、気流発生装置(3)が無駄に動作することを抑制することができる。
【0127】
第8の態様に係る制御システム(1)は、第1から第7のいずれか1つの態様において、取得部(522)と、判断部(523)と、を更に備える。取得部(522)は、エアカーテン装置(5)の近傍空間(R4)における二酸化炭素の濃度を示す濃度情報を取得する。判断部(523)は、取得部(522)により取得された濃度情報に基づいて、二酸化炭素の濃度が濃度閾値以上であるか否かを判断する。気流発生装置(3)は、二酸化炭素の濃度が第1濃度閾値以上であると判断部(523)によって判断された場合に送風を開始する。気流発生装置(3)は、二酸化炭素の濃度が第2濃度閾値以上でないと判断部(523)によって判断された場合に送風を停止する。第2濃度閾値は、第1濃度閾値より小さい値である。
【0128】
この態様によれば、二酸化炭素濃度が第1濃度閾値以上の場合に気流発生装置(3)が送風を開始するため、適切に換気を行うことができる。また、二酸化炭素濃度が第2濃度閾値以上ではない場合に気流発生装置(3)が送風を停止するため、気流発生装置(3)が無駄に動作することを抑制することができる。
【0129】
第9の態様に係る制御システム(1)は、第1から第8のいずれか1つの態様において、取得部(522)と、判断部(523)と、を更に備える。取得部(522)は、エアカーテン装置(5)の近傍空間(R4)に存在する人(H1)の検知情報を取得する。判断部(523)は、取得部(522)により取得された検知情報に基づいて、エアカーテン装置(5)の近傍空間(R4)に存在する人(H1)の数が人数閾値以上であるか否かを判断する。気流発生装置(3)は、人(H1)の数が第1人数閾値以上であると判断部(523)によって判断された場合に送風を開始する。人(H1)の数が第2人数閾値以上でないと判断部(523)によって判断された場合に送風を停止する。第2人数閾値は、第1人数閾値より小さい値である。
【0130】
この態様によれば、人(H1)の数が第1人数閾値以上の場合に気流発生装置(3)が送風を開始するため、適切に換気を行うことができる。また、人(H1)の数が第2人数閾値以上ではない場合に気流発生装置(3)が送風を停止するため、気流発生装置(3)が無駄に動作することを抑制することができる。
【0131】
第10の態様に係る制御システム(1)は、第1又は第4の態様において、気流発生装置(3)を複数備える。制御システム(1)は、風量制御部(721)と、状況取得部(722)と、を更に備える。風量制御部(721)は、排気装置(7)の排気風量を制御する。状況取得部(722)は、1以上の気流発生装置(3)の動作状況を取得する。風量制御部(721)は、状況取得部(722)によって取得された動作状況に基づいて、複数の気流発生装置(3)のうちの動作している気流発生装置(3)の数が多い程、排気風量を増やすように制御する。
【0132】
この態様によれば、複数の気流発生装置(3)の動作状況に基づいて風量制御部(721)が排気風量を制御することで、複数の気流発生装置(3)によって送られてくる空気をより確実に排気することができる。
【0133】
第1の態様以外の構成については、制御システム(1)に必須の構成ではなく、適宜省略可能である。
【0134】
第11の態様に係る気流発生装置(3)は、第1から第10のいずれかの態様の制御システム(1)に用いられる。気流発生装置(3)は、エアカーテン(A1)の上部を通過し無人空間(R1)に届く気流(A2)を発生させる。
【0135】
この態様によれば、エアカーテン装置(5)によって上方に送られた空気を気流発生装置(3)が無人空間(R1)に送るため、人(H1)がいる空間に飛沫及びエアロゾルが落ちてくることを抑制することができる。
【0136】
第12の態様に係る制御方法は、1以上のプロセッサにより実行される。制御方法は、気流発生装置(3)を制御して、エアカーテン(A1)の上部を通過し人が存在しない無人空間(R1)に届く気流(A2)を発生させる。エアカーテン(A1)は、エアカーテン装置(5)が空気を上方に送ることで発生する。
【0137】
この態様によれば、エアカーテン装置(5)によって上方に送られた空気を気流発生装置(3)が無人空間(R1)に送るため、人(H1)がいる空間に飛沫及びエアロゾルが落ちてくることを抑制することができる。
【0138】
第13の態様に係るプログラムは、第12の態様に係る制御方法を、1以上のプロセッサに実行させるためのプログラムである。
【0139】
この態様によれば、エアカーテン装置(5)によって上方に送られた空気を気流発生装置(3)が無人空間(R1)に送るため、人(H1)がいる空間に飛沫及びエアロゾルが落ちてくることを抑制することができる。
【符号の説明】
【0140】
1 制御システム
100 施設
201 天井面
3 気流発生装置
31 吹出口
32 吸気口
5 エアカーテン装置
51 吹出口
522 取得部
523 判断部
7 排気装置
71 排気口
721 風量制御部
722 状況取得部
A1 エアカーテン
A2 気流
H1 人
R1 無人空間
R2 近傍空間
R3 投影領域
R4 近傍空間