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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024146542
(43)【公開日】2024-10-15
(54)【発明の名称】スチレン系樹脂組成物
(51)【国際特許分類】
   C08L 25/04 20060101AFI20241004BHJP
   C08L 33/04 20060101ALI20241004BHJP
   C08L 25/08 20060101ALI20241004BHJP
   C08L 67/00 20060101ALI20241004BHJP
   C08J 9/12 20060101ALI20241004BHJP
   B65D 65/02 20060101ALI20241004BHJP
【FI】
C08L25/04
C08L33/04
C08L25/08
C08L67/00
C08J9/12 CET
B65D65/02 E
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023059514
(22)【出願日】2023-03-31
(71)【出願人】
【識別番号】399051593
【氏名又は名称】東洋スチレン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001139
【氏名又は名称】SK弁理士法人
(74)【代理人】
【識別番号】100130328
【弁理士】
【氏名又は名称】奥野 彰彦
(74)【代理人】
【識別番号】100130672
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 寛之
(72)【発明者】
【氏名】塚田 雅史
(72)【発明者】
【氏名】今野 勝典
(72)【発明者】
【氏名】植草 伸也
【テーマコード(参考)】
3E086
4F074
4J002
【Fターム(参考)】
3E086AA22
3E086AB03
3E086AD06
3E086BA16
3E086CA01
4F074AA32
4F074AA33A
4F074AA48A
4F074AA68
4F074AA98
4F074AB01
4F074BA32
4F074CA22
4F074DA12
4F074DA34
4F074DA47
4J002BC031
4J002BC072
4J002BG063
4J002CF182
4J002GC00
4J002GG01
4J002GG02
4J002GQ00
(57)【要約】
【課題】押出性、溶融張力及び発泡特性が優れたスチレン系樹脂組成物、並びに当該スチレン系樹脂組成物の発泡体である発泡シート及び発泡シートの成形体である食品容器を提供する。
【解決手段】スチレン系樹脂(A)、極性付与材(B)及びアクリル系樹脂(C)を含有したスチレン系樹脂組成物であり、上記スチレン系樹脂(A)、上記極性付与材(B)及び上記アクリル系樹脂(C)の合計を100質量部としたとき、上記スチレン系樹脂(A)80~90質量部、上記極性付与材(B)5~10質量部、上記アクリル系樹脂(C)5~10質量部を含有したスチレン系樹脂組成物であり、上記極性付与材(B)がポリエステル系樹脂及び/又はスチレン-メタクリル酸共重合体であることを特徴とする、スチレン系樹脂組成物。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
スチレン系樹脂(A)、極性付与材(B)及びアクリル系樹脂(C)を含有したスチレン系樹脂組成物であり、前記スチレン系樹脂(A)、前記極性付与材(B)及び前記アクリル系樹脂(C)の合計を100質量部としたとき、前記スチレン系樹脂(A)80~90質量部、前記極性付与材(B)5~10質量部、前記アクリル系樹脂(C)5~10質量部を含有したスチレン系樹脂組成物。
【請求項2】
前記極性付与材(B)がポリエステル系樹脂及び/又はスチレン-メタクリル酸共重合体であることを特徴とする請求項1記載のスチレン系樹脂組成物。
【請求項3】
前記スチレン系樹脂(A)がスチレンのホモポリマーからなる請求項1~請求項2のいずれか1項に記載のスチレン系樹脂組成物。
【請求項4】
前記アクリル系樹脂(C)の質量平均分子量(Mw)が150万以上600万以下であることを特徴とする請求項1~請求項3のいずれか1項に記載のスチレン系樹脂組成物。
【請求項5】
前記アクリル系樹脂(C)が構成単位としてメタクリル酸メチルを60質量%以上含有することを特徴とする請求項1~請求項4のいずれか1項に記載のスチレン系樹脂組成物。
【請求項6】
請求項1~5のいずれか1項に記載のスチレン系樹脂組成物の発泡体である発泡シート。
【請求項7】
請求項6に記載の発泡シートの成形体である食品容器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、極性付与材とアクリル系樹脂を含有するスチレン系樹脂組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
スチレン系樹脂の押出発泡シートは、軽量性、剛性、成形性に優れるため、食料品トレー、弁当箱、即席麺容器、納豆容器、カップ等の食品包装容器に広く使用されている。また、スチレン系樹脂の板状押出発泡体は、優れた断熱性及び機械的強度を有することから、一般建築物等の床材や壁材、天井材、畳の心材など様々な分野で使用されている。
【0003】
特許文献1には、ポリエステル系樹脂を含有する、耐熱性とシート強度のバランスに優れたスチレン系樹脂組成物が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】WO2021/039400
【特許文献2】WO2020/054536
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1及び2が開示するスチレン系樹脂組成物において、その押出が困難な場合や、その溶融張力が低下する場合、発泡特性が悪化する場合があり、高い押出性及び溶融張力を維持しつつ、発泡特性が良好なスチレン系樹脂組成物を製造する条件は不明であった。
【0006】
本発明の目的は、押出性、溶融張力及び発泡特性が優れたスチレン系樹脂組成物、並びに当該スチレン系樹脂組成物の発泡体である発泡シート及び発泡シートの成形体である食品容器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
(1)スチレン系樹脂(A)、極性付与材(B)及びアクリル系樹脂(C)を含有したスチレン系樹脂組成物であり、上記スチレン系樹脂(A)、上記極性付与材(B)及び上記アクリル系樹脂(C)の合計を100質量部としたとき、上記スチレン系樹脂(A)80~90質量部、上記極性付与材(B)5~10質量部、上記アクリル系樹脂(C)5~10質量部を含有したスチレン系樹脂組成物。
(2)上記極性付与材(B)がポリエステル系樹脂及び/又はスチレン-メタクリル酸共重合体であることを特徴とする(1)に記載のスチレン系樹脂組成物。
(3)上記スチレン系樹脂(A)がスチレンのホモポリマーからなる(1)~(2)のいずれか1つに記載のスチレン系樹脂組成物。
(4)上記アクリル系樹脂(C)の質量平均分子量(Mw)が150万以上600万以下であることを特徴とする(1)~(3)のいずれか1つに記載のスチレン系樹脂組成物。
(5)上記アクリル系樹脂(C)が構成単位としてメタクリル酸メチルを60質量%以上含有することを特徴とする(1)~(4)のいずれか1つに記載のスチレン系樹脂組成物。
(6).(1)~(5)のいずれか1つに記載のスチレン系樹脂組成物の発泡体である発泡シート。
(7).(6)に記載の発泡シートの成形体である食品容器。
【発明の効果】
【0008】
本発明の樹脂組成物は、上記極性付与材(B)及び上記アクリル系樹脂(C)が少量添加であっても、その溶融張力が向上し、かつ、その溶融張力の制御も容易である。また、本発明の樹脂組成物は、押出性及び溶融張力が高いため加工性に優れ、また、発泡特性が優れているため発泡体の発泡シートの製造に有利である。また、当該発泡シートの成形体は、食品容器・包装、OA機器、家電部品、雑貨等の用途で有利に利用できる。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の実施形態について説明する。以下に示す実施形態中で示した各特徴事項は、互いに組み合わせ可能である。また、各特徴事項について独立して発明が成立する。
【0010】
〔スチレン系樹脂組成物〕
本発明の一実施形態に係るスチレン系樹脂組成物は、スチレン系樹脂(A)、極性付与材(B)及びアクリル系樹脂(C)を含有する。
【0011】
スチレン系樹脂(A)、極性付与材(B)及びアクリル系樹脂(C)の合計を100質量部としたとき、スチレン系樹脂(A)の含有量は、80~90質量部である。具体的には、例えば、80、81、82、83、84、85、86、87、88、89及び90質量部のうち任意の2つの値の範囲内であってもよい。なお、スチレン系樹脂(A)を併用する場合には、スチレン系樹脂(A)の使用量は、併用するスチレン系樹脂(A)の合計量を意味する。
【0012】
スチレン系樹脂(A)、極性付与材(B)及びアクリル系樹脂(C)の合計を100質量部としたとき、極性付与材(B)の含有量は、5~10質量部である。具体的には、例えば、5、6、7、8、9及び10質量部のうち任意の2つの値の範囲内であってもよい。なお、極性付与材(B)を併用する場合には、極性付与材(B)の使用量は、併用する極性付与材(B)の合計量を意味する。極性付与材(B)の含有量が15質量部を超える場合、スチレン系樹脂組成物の独立気泡率が低下する(発泡特性が悪化する)。極性付与材(B)の含有量が3質量部未満である場合、スチレン系樹脂組成物の溶融張力が低下する。
【0013】
スチレン系樹脂(A)、極性付与材(B)及びアクリル系樹脂(C)の合計を100質量部としたとき、アクリル系樹脂(C)の含有量は、5~10質量部である。具体的には、例えば、5、6、7、8、9及び10質量部のうち任意の2つの値の範囲内であってもよい。なお、アクリル系樹脂(C)を併用する場合には、アクリル系樹脂(C)の使用量は、併用するアクリル系樹脂(C)の合計量を意味する。アクリル系樹脂(C)の含有量が15質量部を超える場合、スチレン系樹脂組成物の押出性が低下する。アクリル系樹脂(C)の含有量が5質量部未満である場合、スチレン系樹脂組成物の溶融張力が低下し、且つ独立気泡率が低下する(発泡特性が悪化する)、又はスチレン系樹脂組成物の溶融張力が低下する。
【0014】
<スチレン系樹脂(A)>
スチレン系樹脂(A)は、芳香族ビニル化合物系単量体をラジカル重合して得られるものであり、必要に応じて共役ジエン系ゴム状重合体を加えてゴム変性を行ってもよい。重合方法としては公知の方法、例えば、塊状重合法、塊状・懸濁二段重合法、溶液重合法等により製造することができる。芳香族ビニル化合物系単量体は、単環又は多環の芳香族ビニル系単量体であり、例えば、スチレン、o-メチルスチレン、m-メチルスチレン、p-メチルスチレン、2,4-ジメチルスチレン、2,5-ジメチルスチレン、3,4-ジメチルスチレン、3,5-ジメチルスチレン、p-エチルスチレン、m-エチルスチレン、о-エチルスチレン、p-tert-ブチルスチレン、1-ビニルナフタレン、2-ビニルナフタレン、1,1-ジフェニルエチレン、イソプロペニルベンセン(α-メチルスチレン)、イソプロペニルトルエン、イソプロペニルエチルベンゼン、イソプロペニルプロピルベンゼン、イソプロペニルブチルベンゼン、イソプロペニルペンチルベンゼン、イソプロペニルヘキシルベンゼン、イソプロペニルオクチルベンゼン等の単独または2種以上の混合物であり、好ましくは、スチレン、o-メチルスチレン、m-メチルスチレン、p-メチルスチレン、2,4-ジメチルスチレン、2,5-ジメチルスチレン、3,4-ジメチルスチレン、3,5-ジメチルスチレン、p-エチルスチレン、m-エチルスチレン、о-エチルスチレン、p-tert-ブチルスチレンの単独または2種以上の混合物である。芳香族ビニル系単量体は、単独で使用しても2種類以上を組み合わせて使用してもよい。スチレン系モノマーの単独重合体は、芳香族ビニル系単量体であるスチレン系モノマーを重合して得られるものである。スチレン系モノマーの単独重合体とは、スチレン系モノマーのみの重合体であることを意味し、2種類以上のスチレン系モノマーの共重合体であってもよい。
【0015】
スチレン系樹脂(A)のゴム変性に用いる共役ジエン系ゴム状重合体としては、ポリブタジエン、スチレン-ブタジエンのランダムまたはブロック共重合体、ポリイソプレン、ポリクロロプレン、スチレン-イソプレンのランダム、ブロック又はグラフト共重合体、エチレン-プロピレンゴム、エチレン-プロピレン-ジエンゴムなどが挙げられるが、特にポリブタジエン、スチレン-ブタジエンのランダム、ブロック又はグラフト共重合体が好ましい。また、これらは一部水素添加されていても差し支えない。
【0016】
スチレン系樹脂(A)は、スチレン系モノマーの単独重合体であることが好ましく、スチレンのホモポリマー(ポリスチレン)であることがより好ましい。ある実施形態において、スチレン系樹脂(A)は、スチレン-メタクリル酸共重合体を除く。
【0017】
<質量平均分子量(Mw)>
スチレン系樹脂(A)は、強度と成形加工性の観点から、質量平均分子量(Mw)が5万~70万であることが好ましく、より好ましくは15万~40万である。具体的には例えば、5、10、15、20、25、30、35、40、45、50、55、60、65、70万であり、ここで例示した数値の何れか2つの間の範囲内であってもよい。このような範囲とすることで、押出性、溶融張力及び発泡特性のバランスに優れたスチレン系樹脂組成物が得られる。スチレン系モノマーの単独重合体の質量平均分子量(Mw)は、重合工程の反応温度、滞留時間、重合開始剤の種類及び添加量、連鎖移動剤の種類及び添加量、重合時に使用する溶媒の種類及び量等によって制御することができる。
【0018】
質量平均分子量(Mw)は、例えば、ゲルパーミエイションクロマトグラフィー(GPC)を用いて、次の条件で測定できる。
GPC機種:昭和電工株式会社製ShodexGPC-101
カラム:ポリマーラボラトリーズ社製PLgel10μmMIXED-B
移動相:テトラヒドロフラン
試料濃度:0.2質量%
温度:オーブン40℃、注入口35℃、検出器35℃
検出器:示差屈折計
【0019】
分子量は単分散ポリスチレンの溶出曲線より各溶出時間における分子量を算出し、ポリスチレン換算の分子量として算出する。
【0020】
<ガラス転移温度(Tg)>
本実施形態にかかるスチレン系モノマーの単独重合体は、耐熱性と成形加工性の観点からガラス転移温度(Tg)が50~160℃であることが好ましく、より好ましくは70~120℃である。ガラス転移温度(Tg)は、例えば、単独重合体を構成するモノマーおよび共重合体の質量平均分子量を調整することによって制御することができる。
ガラス転移温度(Tg)は、例えば、SII社製EXTER DSC6200を使用して、20℃から10℃/分の昇温速度により測定できる。
【0021】
スチレン系樹脂(A)の重合方法としては、塊状重合法、溶液重合法、懸濁重合法、乳化重合法等公知のスチレン重合方法が挙げられる。品質面や生産性の面では、塊状重合法、溶液重合法が好ましく、連続重合であることが好ましい。溶媒として例えばベンゼン、トルエン、エチルベンゼン及びキシレン等のアルキルベンゼン類やアセトンやメチルエチルケトン等のケトン類、ヘキサンやシクロヘキサン等の脂肪族炭化水素等が使用できる。
【0022】
連続重合の場合、まず重合工程にて公知の完全混合槽型攪拌槽や塔型反応器等を用い、目標の分子量、分子量分布、反応転化率となるよう、重合温度調整等により重合反応が制御される。重合工程を出た重合体を含む重合溶液は、脱揮工程に移送され、未反応の単量体及び重合溶媒が除去される。脱揮工程は加熱器付きの真空脱揮槽やベント付き脱揮押出機などで構成される。脱揮工程を出た溶融状態の重合体は造粒工程へ移送される。造粒工程では、多孔ダイよりストランド状に溶融樹脂を押出し、コールドカット方式や空中ホットカット方式、水中ホットカット方式にてペレット形状に加工される。
【0023】
スチレン系樹脂(A)の重合時に、必要に応じて重合開始剤、連鎖移動剤を使用することができる。重合開始剤としては、ラジカル重合開始剤が好ましく、公知慣用の例えば、1,1-ジ(t-ブチルパーオキシ)シクロヘキサン、2,2-ジ(t-ブチルパーオキシ)ブタン、2,2-ジ(4,4-ジ-t-ブチルパーオキシシクロヘキシル)プロパン、1,1-ジ(t-アミルパーオキシ)シクロヘキサン等のパーオキシケタール類、クメンハイドロパーオキサイド、t-ブチルハイドロパーオキサイド等のハイドロパーオキサイド類、t-ブチルパーオキシアセテート、t-アミルパーオキシイソノナノエート等のアルキルパーオキサイド類、t-ブチルクミルパーオキサイド、ジ-t-ブチルパーオキサイド、ジクミルパーオキサイド、ジ-t-ヘキシルパーオキサイド等のジアルキルパーオキサイド類、t-ブチルパーオキシアセテート、t-ブチルパーオキシベンゾエート、t-ブチルパーオキシイソプロピルモノカーボネート等のパーオキシエステル類、t-ブチルパーオキシイソプロピルカーボネート、ポリエーテルテトラキス(t-ブチルパーオキシカーボネート)等のパーオキシカーボネート類、N,N'-アゾビス(シクロヘキサン-1-カルボニトリル)、N,N'-アゾビス(2-メチルブチロニトリル)、N,N'-アゾビス(2,4-ジメチルバレロニトリル)、N,N'-アゾビス[2-(ヒドロキシメチル)プロピオニトリル]等が挙げられ、これらの1種あるいは2種以上を組み合わせて使用することができる。連鎖移動剤としては、脂肪族メルカプタン、芳香族メルカプタン、ペンタフェニルエタン、α-メチルスチレンダイマー及びテルピノーレン等が挙げられる。
【0024】
<極性付与材(B)>
極性付与材(B)は、ポリエステル系樹脂及び/又はスチレン-メタクリル酸共重合体であってもよい。
【0025】
[ポリエステル系樹脂]
本発明で使用するポリエステル系樹脂はカルボン酸とアルコールを含む単量体を重合することで得られるエステル結合を有する重合体の総称である。
【0026】
ポリエステル系樹脂は、例えば、ジカルボン酸とジオールとから重合により得ることができ、このようなポリエステル系樹脂としては、例えばポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリブチレンナフタレート、更にはポリヘキサメチレンテレフタレート並びにポリヘキサメチレンナフタレート等が挙げられるが本発明はこれらに限定されない。
【0027】
ポリエステル系樹脂は、二酸化炭素排出量削減という観点から、植物由来原料のポリ乳酸が好ましい。
【0028】
ポリ(L-乳酸)の場合、D-乳酸成分の比率によってその結晶化速度が異なる。本発明樹脂組成物の耐熱性および成形性を考慮すると、D-乳酸成分の比率は0.01モル%以上5.0モル%以下とすることが好ましい。特に好ましくは0.01モル%以上1.5モル%以下の範囲である。
【0029】
ポリエステル系樹脂の分子量は、質量平均分子量(Mw)が5万以上40万以下であることが好ましく、特に好ましくは10万以上30万以下の範囲である。
【0030】
[スチレン-メタクリル酸共重合体]
スチレン-メタクリル酸共重合体は、スチレンモノマーとメタクリル酸モノマーを熱又は過酸化物触媒によるラジカル重合により共重合させる事で得られる。また、重合方式としては塊状重合、溶液重合、懸濁重合等、公知のスチレン重合方式を用いる事が出来る。
【0031】
スチレン-メタクリル酸共重合体中のメタクリル酸の含有量は1~15質量%が好ましく、2~12質量%が更に好ましく、2~10質量%が特に好ましい。メタクリル酸の含有量は、重合工程における原料液のメタクリル酸濃度によって調整出来る。
【0032】
本発明のスチレン-メタクリル酸共重合体の質量平均分子量(Mw)は16万以上であることが好ましい。Mwが16万以上の場合、強度と成形性のバランスが良好なスチレン系樹脂組成物が得られる。スチレン-メタクリル酸共重合体のMwは重合工程での反応温度、滞留時間、重合開始剤の種類及び添加量、連鎖移動剤の種類及び添加量、重合時に使用する溶媒の種類及び量等によって調整する事が出来る。
【0033】
スチレン-メタクリル酸共重合体の質量平均分子量(Mw)は、スチレン系樹脂(A)の質量平均分子量(Mw)を算出する方法により算出することができる。
【0034】
<アクリル系樹脂(C)>
アクリル系樹脂(C)は、アクリル系単量体などの重合により得られる重合体のことを指す。
【0035】
アクリル系樹脂(C)の質量平均分子量(Mw)は、150万以上600万以下であることが好ましく、150万以上450万以下であることが好ましい。
【0036】
アクリル系樹脂(C)の単量体の種類は、本発明の効果を損なわない限り特に制限されず、例えば、メチルアクリレート、エチルアクリレート、イソプロピルアクリレート、ブチルアクリレート、2-エチルヘキシルアクリレート、ベンジルアクリレート、シクロヘキシルアクリレート、フェニルアクリレート、クロロエチルアクリレート等のアクリレート単量体や、メチルメタアクリレート、エチルメタアクリレート、イソプロピルメタクリレート、ブチルメタアクリレート、2-エチルヘキシルメタアクリレート、ベンジルメタアクリレート、シクロヘキシルメタアクリレート、フェニルメタアクリレート、クロロエチルメタアクリレート等のメタクリレート単量体の単独重合体、あるいはこれらの単量体二種以上を共重合させた共重合体等を用いることができる。
【0037】
アクリル系樹脂(C)の構成単位は、メタクリル酸メチル単位が主成分であってもよい。アクリル系樹脂(C)におけるメタクリル酸メチル単位の含有量は60質量%以上であることが好ましく、70質量%以上、80質量%以上、90質量%以上、95質量%以上、99質量%以上、99.9質量%以上、100質量%以上であってもよい。アクリル系樹脂(C)におけるメタクリル酸メチル単位の含有量は、重合工程における原料液のメタクリル酸メチル濃度によって調整出来る。
【0038】
アクリル系樹脂(C)はこれらのアクリル系単量体の他に本発明の効果を損なわない限りこれらと共重合可能なビニル単量体(芳香族ビニル化合物系単量体を除く)を添加して重合したものでも良く、例えば、α-オレフィン、不飽和ニトリル類、不飽和カルボン酸エステル、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート等の多価不飽和化合物等の単量体を添加していてもよい。
【0039】
アクリル系樹脂(C)の重合方法としては、例えば、乳化重合、ソープフリー乳化重合、微細懸濁重合、懸濁重合、塊状重合、溶液重合等の公知の重合方法が挙げられる。これらの重合方法の中でも、高分子量体の生成が容易であることから、乳化重合が好ましい。
【0040】
アクリル系樹脂(C)を乳化重合によって製造するときの乳化剤としては、公知の乳化剤を用いることができる。例えば、アニオン性乳化剤、ノニオン性乳化剤、高分子乳化剤、分子内にラジカル重合可能な不飽和二重結合を有する反応性乳化剤が挙げられる。
【0041】
<他の成分>
本発明の樹脂組成物には、本発明の要旨を超えない範囲で他の添加物、例えば補強材、難燃剤、染顔料、着色防止剤、滑剤、酸化防止剤、老化防止剤、光安定剤、帯電防止剤、充填剤、結晶化核剤、相溶化剤等の公知の添加剤、酸化チタンやカーボンブラックなどの着色剤などの改質剤を添加することができる。これらの添加方法は、特に限定されず、公知の方法で添加すれば良い。例えば、スチレン系樹脂(A)、極性付与材(B)又はアクリル系樹脂(C)の製造時の原料の仕込工程、重合工程、仕上工程で添加する方法や、押出機や成形機を用いて樹脂組成物を混合する工程で添加する方法を適用することができる。
【0042】
<樹脂組成物の製造方法>
本発明の樹脂組成物の混合方法は、特に限定されず、公知の混合技術を適用することが出来る。例えば、ミキサー型混合機、V型ブレンダー、及びタンブラー型混合機等の混合装置を用いて、各種原料を予め混合しておき、その混合物を溶融混練することによって、均一な樹脂組成物を製造することが出来る。溶融混練装置も、特に限定されないが、例えばバンバリー型ミキサー、ニーダー、ロール、単軸押出機、特殊単軸押出機、及び二軸押出機等が挙げられる。更に、押出機等の溶融混練装置の途中から難燃剤等の添加剤を別途添加する方法もある。
【0043】
本発明の樹脂組成物から成形品、フィルム、シート及び発泡体を得る成形法には特に制限は無くカレンダ成形、中空成形、押出発泡成形、異形押出成形、ラミネート成形、インフレーション成形、Tダイフィルム成形、シート成形、真空成形、圧空成形などの押出成形法や、射出成形、RIM成形、射出発泡成形などの射出成形法といった公知の成形法を好適に用いることが出来る。
【0044】
<溶融張力>
スチレン系樹脂組成物の200℃で測定した溶融張力(MT)は13gf以上であることが好ましく、14gf以上であることがより好ましい。溶融張力が13gf未満では、スチレン系樹脂組成物の偏肉が大きくなるとともに、食品容器の圧縮強度と落下強度が低下する。
【0045】
溶融張力値は、東洋精機製「キャピログラフ1B型」を使用し、バレル温度200℃、バレル径9.55mm、キャピラリー長さ:L=10mm、キャピラリー径:D=1mm(L/D=10)、バレル内の押出し速度10mm/分にて樹脂を押出し、荷重測定部をダイから60cm下方にセットし、キャピラリーより流出してきたストランド状の樹脂を巻き取り器にセットし、巻き取り線速度を4m/分から徐々に速度を上昇していき、ストランドが破断するまでの荷重を測定する。荷重は巻き取り線速度を上げていくと、一定値に安定するので、荷重が安定した範囲を平均化して溶融張力値とした。
【0046】
<発泡シート>
本発明の発泡シートは、上記スチレン系樹脂組成物の発泡体である。
【0047】
[厚み]
本発明の発泡シートの厚みは、0.5mm以上3.5mm以下であり、1.5mm以上2.5mm以下が好ましく、1.5mm以上2.3mm以下がより好ましい。発泡シートの厚みが上記範囲内であれば、シート強度に優れ取り扱いが容易な発泡シートとなる。また、発泡シートの厚みが上記下限値以上であれば、強度、耐熱性、断熱性に優れる。発泡シートの厚みが上記上限値以下であれば、熱成形性が良好となる。
【0048】
[発泡倍率]
本発明の発泡シートの発泡倍率は、1.1倍以上20.0倍以下であり、1.5倍以上15.0倍以下が好ましく、1.7倍以上12.0倍以下がより好ましい。発泡シートの発泡倍率が上記範囲内であれば、シート強度に優れ取り扱いが容易な発泡シートとなる。また、発泡シートの発泡倍率が上記下限値以上であれば、断熱性に優れ、発泡シートの発泡倍率が上記上限値以下であればシート強度に優れる。
【0049】
[平均気泡径]
本発明の発泡シートの平均気泡径は、30μm以上500μm以下であり、50μm以上350μm以下が好ましく、50μm以上300μm以下がより好ましい。発泡シートの平均気泡径が上記範囲内であれば、シート強度に優れ取り扱いが容易な発泡シートとなる。また、発泡シートの平均気泡径が上記下限値以上であれば、成形性が良好で、良好な成形品が得られる。発泡シートの平均気泡径が上記上限値以下であれば、発泡シートが柔らかくなり、割れが生じにくくなる。
【0050】
[独立気泡率]
本発明の発泡シートの独立気泡率は、50%以上であり、60%以上が好ましく、70%以上がより好ましい。発泡シートの独立気泡率が上記範囲内であれば、シート強度に優れ取り扱いが容易な発泡シートとなる。
【0051】
[発泡シートの製造方法]
本発明の発泡シートの製造方法としては、特に限定されず、例えば、上記スチレン系樹脂組成物、造核剤等を押出機に供給して加熱溶融し、発泡剤を加えて混練し、押出機の先端に取り付けられた金型から押出発泡させ、得られた発泡シートを巻き取って回収する方法が挙げられる。
【0052】
発泡剤としては、汎用されているものが用いられる。例えば、アゾジカルボンアミド、ジニトロソペンタメチレンテトラミン、ヒドラゾイルジカルボンアミド、重炭酸ナトリウム等の化学発泡剤;プロパン、ノルマルブタン、イソブタン、ノルマルペンタン、イソペンタン、ヘキサン等の飽和脂肪族炭化水素、ジメチルエーテル等のエーテル類、塩化メチル、二酸化炭素、窒素等の物理発泡剤等が挙げられる。
【0053】
造核剤としては、例えば、タルク、炭酸水素ナトリウム、炭酸水素アンモニウム、炭酸カルシウム、クレー、クエン酸等が挙げられる。なかでも、造核剤としては、タルクが好ましい。造核剤は、1種を単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。造核剤の添加量は、スチレン系樹脂組成物100質量部に対して0.01質量部以上5質量部以下が好ましい。
【0054】
押出機の先端に取り付ける金型としては、例えば、環状開口を有する環状金型(サーキュラーダイ)、Tダイ等が挙げられる。環状金型を用いる場合の具体的な態様としては、例えば、環状金型から押出した円筒状発泡体を冷却マンドレルに沿わせつつ、該冷却マンドレルの先端部の両側に設けたカッターにより、該円筒状発泡体に軸方向に切れ目を入れて切開し、2枚の発泡シートとする態様が挙げられる。
【0055】
発泡シートの厚み、発泡倍率、平均気泡径及び独立気泡率を制御する方法は、特に限定されない。例えば、造核剤の使用量を増やすことで、発泡倍率は大きくなる。また、発泡剤の使用量を減らすことで、発泡倍率は小さくなる。発泡剤の使用量や種類を変更することで、発泡シートの厚みを制御できる。また、造核剤の使用量を減らすことにより、平均気泡径が大きくなる。
【0056】
[厚みの測定方法]
発泡シートの幅方向の両端20mmを除き、幅方向50mm間隔で21点を測定点とした。この測定点の厚みを、ダイヤルシックネスゲージ ピーコック型式G(尾崎製作所社製)を使用し、最小単位0.1mmまで測定する。これらの測定値の平均値を発泡シートの厚みT(mm)とする。
【0057】
[発泡倍率]
発泡シートの幅方向の両端20mmを除き、幅方向に等間隔に、10cm×10cmの切片10個を切り出し、各切片の質量(g)を0.001g単位まで測定する。各切片の質量(g)の平均値を1m2当たりの質量に換算した値を、坪量M(g/m2)とする。厚みT(mm)と坪量Mとから、下式(1)により見掛け密度ρを求め、さらに下式(2)により発泡倍率を求めることができる。
見掛け密度ρ(g/cm3)=M/(T×103)・・・(1)
発泡倍率=真密度/見掛け密度ρ・・・(2)
【0058】
[平均気泡径の測定方法]
シートの厚み方向の平均気泡径を求める。発泡シートの押出方向の垂直断面を走査型電子顕微鏡(日本電子社製、JSM-6510)を用いて観察する。発泡シートの全厚みにわたって垂直な直線を引き、ASTM D2842-06に基づいて該直線の長さと該直線と交差する気泡数より下記式(3)を用いて平均弦長を求め、さらに下記式(4)を用いて平均気泡径を算出することができる。
平均弦長=直線の長さ/気泡数・・・(3)
平均気泡径(μm)=平均弦長/0.616・・・(4)
【0059】
[独立気泡率の測定方法]
発泡シートを縦25mm×横25mmの試験片に切り出し、試験片を重ねたときに25mm前後となるように枚数分用意する。用意した試験片を空気式比重計((株)島津製作所 アキュピックII1340TC-100cc)を用いて体積(V)を求める。各々の試験片の合計質量(M)、見かけ体積(V)を計測し、下記式(5)から独立気泡率を算出することができる。
独立気泡率(%)=(V-V)/(V-M/真密度)×100・・・(5)
【0060】
<食品容器>
本発明の食品容器は、本発明の発泡シートの成形体であり、食品を保存するための容器である。
【0061】
本発明の食品容器の形状や寸法は、特に限定されず、例えば、カップ入り即席麺用のカップや丼が挙げられる。本発明の食品容器は、本発明の発泡シートを熱成形することで得られる。
【0062】
熱成形方法としては、例えば、真空成形や圧空成形、あるいはこれらの応用としてのフリードローイング成形、プラグ・アンド・リッジ成形、リッジ成形、マッチド・モールド成形、ストレート成形、ドレープ成形、リバースドロー成形、エアスリップ成形、プラグアシスト成形、プラグアシストリバースロード成形等の、従来公知の一般的な成形法等が挙げられる。
【実施例0063】
以下に本発明を実施例及び比較例によって詳しく説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0064】
実施例及び比較例で使用した材料は以下の通りである。
【0065】
〔スチレン系樹脂(A)〕
GPPS(スチレンの重合体(ポリスチレン)、質量平均分子量(Mw)35万、ガラス転移温度(Tg)105℃)
【0066】
〔極性付与材(B)〕
PLA(浙江海正生物材料(Zhejiang Hisun Biomaterials Co.,Ltd.)製「REVODA190」 D-乳酸成分の比率0.5モル%、質量平均分子量(Mw)20万)
スチレン-メタクリル酸共重合体(質量平均分子量(Mw)20万、ガラス転移温度(Tg)122℃、メタクリル酸モノマー10質量部)
【0067】
〔アクリル系樹脂(C)〕
下記の製造方法にてアクリル樹脂を作製した。
-アクリル系樹脂(Mw:150万)の製造方法-
温度計、窒素導入管、冷却管および攪拌装置を備えたセパラブルフラスコ(容量5リットル)に、分散媒としてイオン交換水300質量部、乳化剤としてドデシルベンゼンスルホンナトリウム1.1質量部、連鎖移動剤としてn-オクチルメルカプタン0.007質量部、単量体としてメタクリル酸メチル85質量部、アクリル酸ブチル15質量部を投入した。このセパラブルフラスコに窒素気流を通じることにより、フラスコ内雰囲気の窒素置換を行なった。次いで、内温を60℃まで昇温させ、過硫酸カリウム0.15質量部、イオン交換水5質量部を加えた。その後、加熱攪拌を2時間継続して重合を終了し、アクリル樹脂ラテックスを得た。
得られたアクリル樹脂ラテックスを25℃まで冷却後、酢酸カルシウム5質量部を含む70℃の温水500質量部中に滴下した後、90℃まで昇温させて凝析させた。得られた凝析物を分離洗浄後、60℃で12時間乾燥させて、アクリル樹脂を得た。アクリル樹脂のピークトップ分子量(Mp)は、150万であった。
【0068】
-アクリル系樹脂(Mw:450万)の製造方法-
上記アクリル系樹脂(Mw:150万)の製造方法において、各種原料仕込み量を調整してピークトップ分子量(Mp)を変更した以外は上記と同様の製造条件で作製したアクリル系樹脂(Mw:450万)を得た。
【0069】
(実施例1~6、比較例1~7)
各成分を表1及び2に示す配合量で、ヘンシェルミキサー(三井三池化工社製、FM20B)にて予備混合し、二軸押出機(東芝機械社製、TEM26SS)に供給して、ストランドとし、水冷してからペレタイザーへ導きペレット化した。主な運転条件は下記の通り。
シリンダー設定温度:180℃(搬送部位)~230℃(混練り~計量部位)
スクリュー回転数:300rpm
押出速度:30kg/h
樹脂温度:240~250℃
【0070】
[押出性]
上記ペレット化した際のベント口からの樹脂の溢れ出しが無いかを確認した。溢れ出しの発生し易い樹脂組成物を×の評価とした。
【0071】
押出性:
○(製造可能)、×(ベントアップやストランド切れ等の不具合が発生。製造不可)
【0072】
[溶融張力]
ペレット化した樹脂組成物を東洋精機製「キャピログラフ1B型」(バレル温度:200℃、バレル径:9.55mm、キャピラリー長さ:L=10mm、キャピラリー径:D=1mm(L/D=10)、バレル内の押出し速度:10mm/分、荷重測定部:ダイから60cm下方にセット)を使用して押出し、キャピラリーより流出してきたストランド状の樹脂を巻き取り器にセットし、巻き取り線速度を4m/分から徐々に速度を上昇していき、ストランドが破断するまでの荷重を測定した。なお、表1及び2中の「-」は、測定不可を意味する。
【0073】
溶融張力値は、荷重は巻き取り線速度を上げていくと、一定値に安定するので、荷重が安定した範囲を平均化して溶融張力値とした。
【0074】
[発泡シートの製造]
ペレット化した樹脂組成物100質量部に対し、造核剤(東洋スチレン社製:「DSM1401A」)を0.6質量部添加し、第1押出機(株式会社プラスチック工学研究所製、直径40mm)に投入してシリンダー温度210℃で加熱し混練溶融した。次いで、該第1押出機の途中に設けた注入口から、樹脂組成物100質量部に対して、発泡剤として二酸化炭素を1.6質量部圧入し、樹脂組成物と混合させた。そして、造核剤及び発泡剤と混練された樹脂組成物を第1押出機から第2押出機(株式会社プラスチック工学研究所製、直径50mm)に供給し、ダイス出口付近の樹脂温度150℃に冷却してサーキュラーダイを用いて押出発泡させ、吐出量10kg/hにて筒状体を得た。得られた筒状体を押出方向に沿って1箇所切断して2.0m/minで引き取ることで発泡シートとした。
【0075】
[独立気泡率の測定方法]
発泡シートを縦25mm×横25mmの試験片に切り出し、試験片を重ねたときに25mm前後となるように枚数分用意する。用意した試験片を空気式比重計((株)島津製作所 アキュピックII1340TC-100cc)を用いて体積(V)を求めた。各々の試験片の合計質量(M)、見かけ体積(V)を計測し、独立気泡率を下記式(1)で算出した。
独立気泡率(%)=(V-V)/(V-M/真密度)×100・・・(1)
なお、表1及び2中の「-」は、測定不可を意味する。
【0076】
【表1】
【0077】
【表2】
【0078】
表1の実施例より本発明の樹脂組成物は、押出性、溶融張力及び発泡特性に優れていることがわかった。一方、表2の比較例より本発明の規定を満足しない樹脂組成物は、溶融張力及び/又は発泡特性が劣り、押出性が劣る樹脂組成物は、樹脂組成物の成形が不可能であった。
【産業上の利用可能性】
【0079】
本発明にかかる樹脂組成物は、押出性及び溶融張力が高いため加工性に優れ、また、発泡特性が優れているため発泡体の発泡シートの製造に有利である。また、当該発泡シートの成形体は、食品容器・包装、OA機器、家電部品、雑貨等の用途で有利に利用でき、産業上の利用可能性を有する。