(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024146548
(43)【公開日】2024-10-15
(54)【発明の名称】情報処理装置及びシステム等
(51)【国際特許分類】
H05K 7/20 20060101AFI20241004BHJP
B66F 9/24 20060101ALI20241004BHJP
【FI】
H05K7/20 B
B66F9/24 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】25
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023059523
(22)【出願日】2023-03-31
(71)【出願人】
【識別番号】391001848
【氏名又は名称】株式会社ユピテル
(74)【代理人】
【識別番号】100115808
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 真司
(72)【発明者】
【氏名】服部 哲也
(72)【発明者】
【氏名】清水 勇喜
【テーマコード(参考)】
3F333
5E322
【Fターム(参考)】
3F333AA02
3F333AB13
3F333AE02
3F333FA36
3F333FE05
3F333FE10
5E322AA01
5E322AA03
5E322AB01
5E322EA10
5E322EA11
5E322FA04
(57)【要約】 (修正有)
【課題】移動体に搭載され、情報処理によって発熱する情報処理部(発熱部)を冷却するための新規の構成を有する情報処理装置及びシステムを提供する。
【解決手段】撮像システムにおいて、車両に取り付けられる制御装置が、筐体61内に設けられ、情報処理を行うことで発熱する熱源である制御部111と、筐体61から露出する露出部分6611を有し、制御部で発生した熱を伝導する熱伝導部(ヒートシンク661及び熱伝導シート662)66と、を備え、熱伝導部66は、筐体61を車両に取り付けたときに露出部分6611が車両(例えば電気式フォークリフトのデッドガード408)に接することで、制御部111で発生した熱を車両に伝導する。
【選択図】
図8
【特許請求の範囲】
【請求項1】
移動体に取り付けられる情報処理装置であって、
筐体内に設けられ、情報処理を行うことで発熱する発熱部と、
前記筐体から露出する露出部分を有し、前記発熱部で発生した熱を伝導する熱伝導部と、
を備え、
前記熱伝導部は、前記筐体を前記移動体に取り付けたときに前記露出部分が前記移動体に接することで、前記発熱部で発生した熱を前記移動体に伝導する、情報処理装置。
【請求項2】
前記筐体は、前記熱伝導部を前記移動体に圧接した状態で前記移動体に取り付けられ、
前記熱伝導部は、前記移動体と接する面に可塑性熱伝導材を備えている、
請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項3】
前記情報処理装置は、前記筐体と前記可塑性熱伝導材とが別体として同梱されて出荷される、請求項2に記載の情報処理装置。
【請求項4】
前記熱伝導部は、前記筐体より熱伝導率が高い性質の部材を備えている、請求項3に記載の情報処理装置。
【請求項5】
前記熱伝導部は、前記筐体を前記移動体に取り付ける取付部としても機能する、請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項6】
前記取付部は、熱伝導性を有する固定具によって前記筐体を前記移動体に取り付ける構成を有し、前記固定具を介して前記発熱部で発生した熱を前記移動体に伝導する、請求項5に記載の情報処理装置。
【請求項7】
前記固定具をカバーするカバー部材をさらに備えた、請求項6に記載の情報処理装置。
【請求項8】
前記筐体は、前記露出部分以外の面で前記移動体に接着することで、前記移動体に取り付けられる、請求項1から7のいずれか1項に記載の情報処理装置。
【請求項9】
前記筐体は、前記筐体のうちの前記露出部分が存在する側の面に貼り付けられた両面テープで前記移動体に接着される、請求項8に記載の情報処理装置。
【請求項10】
前記筐体は、前記両面テープを接着する位置を案内するガイドを有する、請求項9に記載の情報処理装置。
【請求項11】
前記筐体の前記移動体と接着する領域と前記露出部分との間に間隙を有する、請求項8に記載の情報処理装置。
【請求項12】
前記筐体の前記移動体と接着する領域と前記と露出部分との間に遮熱部材を有する、請求項8に記載の情報処理装置。
【請求項13】
前記筐体内に冷却ファンを備えない、請求項8に記載の情報処理装置。
【請求項14】
前記熱伝導部は、前記露出部分が複数のフィンで構成され、前記フィンが冷却される構造である、請求項8に記載の情報処理装置。
【請求項15】
前記フィンは外気に開放されており、空冷される、請求項14に記載の情報処理装置。
【請求項16】
前記フィンを水冷する水冷システムをさらに備えた、請求項14に記載の情報処理装置。
【請求項17】
前記発熱部は、人工知能演算処理を行う演算装置である、請求項8に記載の情報処理装置。
【請求項18】
前記筐体内に設けられ、情報処理を行うことで発熱する、前記発熱部とは別の第2の発熱部と、
前記第2の発熱部で発生した熱を前記筐体外に放熱するための放熱部と、
をさらに備えた、請求項8に記載の情報処理装置。
【請求項19】
前記移動体はフォークリフトである、請求項1から7のいずれか1項に記載の情報処理装置。
【請求項20】
前記露出部分は、前記移動体の金属部分に接する、請求項19に記載の情報処理装置。
【請求項21】
前記金属部分は、前記フォークリフトの支柱であり、
前記筐体の幅は、前記フォークリフトの支柱の幅より短い、請求項20に記載の情報処理装置。
【請求項22】
前記筐体の前記移動体への取付面以外の面に、前記筐体内の熱を前記筐体外に放熱するための前記熱伝導部とは別の放熱部を有する、請求項8に記載の情報処理装置。
【請求項23】
前記熱伝導部は、空冷又は水冷による前記発熱部の冷却に用いられる第1態様と、前記露出部分が前記移動体に接することで前記発熱部で発生した熱を前記移動体に伝導する第2態様とを選択的にとることが可能である、請求項8に記載の情報処理装置。
【請求項24】
前記熱伝導部は、前記第1態様とするために取り付けられる第1部品と、前記第2態様とするために取り付けられて前記露出部の少なくとも一部を構成する第2部品とを選択的に取付可能である、請求項23に記載の情報処理装置。
【請求項25】
撮影をして映像を生成する撮影装置と、
前記撮影装置で生成された映像を処理するための請求項1~7のいずれか1項に記載の情報処理装置と、
を備えた、システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、情報処理装置及びシステム等に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、車両等の移動体に搭載される装置に関して、発熱対策に関する技術(例えば特許文献1)や録画に関する技術(例えば特許文献2)が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特表2023-502466号公報
【特許文献2】再表2018/235347号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の目的の一つは、移動体に搭載される装置等に関する新たな技術を提供することで、例えば、情報処理によって発熱する情報処理部(発熱部)の発熱対策に関する技術、又は移動体に搭載される撮影部が撮影した画像に基づく録画に関する技術を提供することである。
【0005】
また、本願の発明の目的はこれに限定されず、本明細書および図面等に開示される構成の部分から奏する効果を得ることを目的とする構成についても分割出願・補正等により権利取得する意思を有する。例えば本明細書において「~できる」と記載した箇所を「~が課題である」と読み替えた課題が本明細書には開示されている。課題はそれぞれ独立したものとして記載しているものであり、各々の課題を解決するための構成についても単独で分割出願・補正等により権利取得する意思を有する。課題が明細書の記載から黙示的に把握されるものであっても、本出願人は本明細書に記載の構成の一部を補正または分割出願にて特許請求の範囲とする意思を有する。またこれら独立の課題を組み合わせた課題を解決する構成についても開示しているものであり、権利取得する意思を有する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
情報処理によって発熱する情報処理部(発熱部)の発熱対策に関する技術の一例を示すと以下のとおりである。
【0007】
(1)本発明の一態様の情報処理装置は、移動体に取り付けられる情報処理装置であって、筐体内に設けられ、情報処理を行うことで発熱する発熱部と、前記筐体から露出する露出部分を有し、前記発熱部で発生した熱を伝導する熱伝導部とを備え、前記熱伝導部は、前記筐体を前記移動体に取り付けたときに前記露出部分が前記移動体に接することで、前記発熱部で発生した熱を前記移動体に伝導する構成を有しているとよい。
【0008】
このようにすると、筐体から露出する露出部分を有する熱伝導部が移動体に接触することで発熱部で発生した熱が直接移動体に伝導されるので、効率的に発熱体を冷却できる。
【0009】
(2)前記筐体は、前記熱伝導部を前記移動体に圧接した状態で前記移動体に取り付けられてよく、前記熱伝導部は、前記移動体と接する面に可塑性熱伝導材を備えていてよい。
【0010】
このようにすると、熱伝導部が移動体により密着して接触面積を増大させ、熱伝導部から十分な熱量を移動体に伝導させることができる。
【0011】
(3)前記筐体と前記可塑性熱伝導材とが別体として同梱されて出荷されてよい。
【0012】
このようにすると、ユーザは、情報処理装置を入手すると可塑性熱伝導材も入手でき、必要に応じて可塑性熱伝導材を用いて情報処理装置を取り付けることができる。
【0013】
(4)前記熱伝導部は、前記筐体より熱伝導率が高い性質の部材を備えていてよい。
【0014】
このようにすると、筐体のみが移動体に接する場合と比較して、熱伝導部によって発熱部のより多くの熱を移動体に伝導させることができる。
【0015】
(5)前記熱伝導部は、前記筐体を前記移動体に取り付ける取付部としても機能してよい。
【0016】
このようにすると、移動体と接する取付部からも発熱部で発生した熱を移動体に伝導させることができる。
【0017】
(6)前記取付部は、熱伝導性を有する固定具によって前記筐体を前記移動体に取り付ける構成を有し、前記固定具を介して前記発熱部で発生した熱を前記移動体に伝導してよい。
【0018】
このようにすると、筐体を移動体に固定するための固定具を熱伝導部として利用して発熱部で発生した熱を移動体に伝導させることができる。
【0019】
(7)前記固定具をカバーするカバー部材をさらに備えていてよい。
【0020】
このようにすると、熱伝導により温度が上昇するねじにユーザが触れる可能性を抑えることができる。カバー部材としては、固定具よりも熱伝導率が低い性質の部材とするとよい。
【0021】
(8)前記筐体は、前記露出部分以外の面で前記移動体に接着することで、前記移動体に取り付けられてよい。
【0022】
このようにすると、ユーザは、筐体が熱伝導部の露出部分を避けた領域で移動体に接着させることができる。熱伝導部の露出部分を避けた領域に取付部を設けることで、採用できる取付部の構成についての自由度を高めることができる。
【0023】
(9)前記筐体は、前記筐体のうちの前記露出部分が存在する側の面に貼り付けられた両面テープにより前記移動体に接着されてよい。
【0024】
このようにすると、ユーザは、両面テープを用いた簡素な方法により筐体を移動体に接着でき、また、露出部分における放熱効果により両面テープへ熱が伝達することによる不具合の発生をより確実に抑えることができる。
【0025】
(10)前記筐体は、前記両面テープを接着する位置を案内するガイドを有していてよい。
【0026】
このようにすると、ユーザは筐体の正しい位置に両面テープを貼付できる。
【0027】
(11)前記筐体の前記移動体と接着する領域と前記露出部分との間に間隙を有していてよい。
【0028】
このようにすると、熱伝導部の露出部分の熱による不具合の発生の可能性をより低くすることができる。
【0029】
(12)前記筐体の前記移動体と接着する領域と前記露出部分との間に遮熱部材を有していてよい。
【0030】
このようにすると、熱伝導部の露出分の熱が両面テープに伝わりにくくすることができる。
【0031】
(13)前記筐体内にファンを備えなくてよい。
【0032】
このようにすると、ファンを設けて外気を筐体内に取り込むことで外気中の塵や埃を筐体内に取り込むことを防ぎつつ、発熱対策を採ることができる。特に、移動体が屋内環境で使用される場合の望ましい構成である。ファンは、冷却ファンと称されてもよい。
【0033】
(14)前記熱伝導部は、前記露出部分が複数のフィンで構成され、前記フィンが冷却される構造であってよい。
【0034】
このようにすると、熱伝導部は、移動体に接触することでの移動体への放熱と同時に、フィンの冷却によっても放熱することができる。
【0035】
(15)前記フィンは外気に開放されており、空冷されてよい。
【0036】
このようにすると、熱伝導部の熱をフィンから外気に放熱できる。
【0037】
(16)前記フィンを水冷する水冷システムをさらに備えていてよい。
【0038】
このようにすると、熱伝導部の熱をフィンから水冷システムに放熱できる。
【0039】
(17)前記発熱部は、人工知能演算処理を行う演算装置であってよい。
【0040】
このようにすると、処理負荷が比較的大きい人工知能演算処理を行うことで発熱部から大きな熱が生じた場合にも、熱伝導部を通じて移動体に放熱することで、必要な発熱対策を採ることができる。
【0041】
(18)前記筐体内に設けられ、情報処理を行うことで発熱する、前記発熱部とは別の第2の発熱部と、前記第2の発熱部で発生した熱を前記筐体外に放熱するための放熱部とをさらに備えていてよい。
【0042】
このようにすると、2つ目の発熱部についても、そこで発生した熱を筐体外に放熱できる。また、第2の発熱部の発熱の程度に応じて適切な放熱部を採用することができる。
【0043】
(19)前記移動体はフォークリフトであってよい。
【0044】
このようにすると、フォークリフトに搭載された情報処理装置の発熱部で発生した熱をフォークリフトに放熱できる。特に、フォークリフトにおいては車体に金属部分を多く備える等、熱伝導性に優れた部分を有するので、一般車両等と比べて車体への放熱による放熱効果を向上させやすくすることができる。
【0045】
(20)前記露出部分は、前記移動体の金属部分に接していてよい。
【0046】
このようにすると、発熱部で発生した熱を熱伝導部の露出部分を通じて、移動体のうちの熱伝導性が特に高い部分である金属部分に放熱できる。特にフォークリフトは車体に金属部分を備えるので、このような車体の構成を利用したものである。
【0047】
(21)前記金属部分は、前記フォークリフトの支柱であってよく、前記筐体の幅は、前記フォークリフトの支柱の幅より短くてよい。
【0048】
このようにすると、移動体のうちの熱伝導性が特に高い部分である金属部分に放熱できるとともに、運転手の邪魔にならないように情報処理装置をフォークリフトに取り付けやすくすることができる。
【0049】
(22)前記筐体の前記移動体への取付面以外の面に、前記筐体内の熱を前記筐体外に放熱するための前記熱伝導部とは別の放熱部を有していてよい。
【0050】
このようにすると、取付面以外の面からも発熱部で発生した熱を放熱できる。
【0051】
(23)前記熱伝導部は、空冷又は水冷による前記発熱部の冷却に用いられる第1態様と、前記露出部分が前記移動体に接することで前記発熱部で発生した熱を前記移動体に伝導する第2態様とを選択的にとることが可能であってよい。
【0052】
このようにすると、熱伝導部の露出部分がある面を取付面にせずに空冷又は水冷によって放熱するか(第1態様)、熱伝導部の露出部分がある面を取付面として移動体に接触させて放熱するか(第2態様)をユーザが選択できる。
【0053】
(24)前記熱伝導部は、前記第1態様とするために取り付けられる第1部品と、前記第2態様とするために取り付けられて前記露出部の少なくとも一部を構成する第2部品とを選択的に取付可能であってよい。
【0054】
このようにすると、ユーザは、部品の取り付けにより、第1態様と第2態様とを選択できる。
【0055】
(25)本発明の一態様のシステムは、撮影をして映像を生成する撮影装置と、前記撮影装置で生成された映像を処理するための上記いずれかに記載の情報処理装置とを備えた、システムとするとよい。
【0056】
このようにすると、筐体から露出する露出部分を有する熱伝導部が移動体に接触することで発熱部で発生した熱が直接移動体に伝導されるので、効率的に発熱体を冷却できる。
【0057】
上述した(1)から(25)に示した発明は、任意に組み合わせることができる。例えば、(1)に示した発明の全てまたは一部の構成に、(2)以降の少なくとも1つの発明の少なくとも一部の構成を加える構成としてもよい。特に、(1)に示した発明に、(2)以降の少なくとも1つの発明の少なくとも一部の構成を加えた発明とするとよい。また、(1)から(25)に示した発明から任意の構成を抽出し、抽出された構成を組み合わせてもよい。本願の出願人は、これらの構成を含む発明について権利を取得する意思を有する。また「~の場合」「~のとき」という記載があったとしても、その場合やそのときに限られる構成として記載はしているものではない。これらはよりよい構成の例を示しているものであって、これらの場合やときでない構成についても権利取得する意思を有する。また順番を伴った記載になっている箇所もこの順番に限らない。一部の箇所を削除したり、順番を入れ替えたりした構成についても開示しているものであり、権利取得する意思を有する。
【発明の効果】
【0058】
本発明によれば、移動体に搭載される装置等に関する新たな技術を提供することで、例えば、情報処理によって発熱する情報処理部(発熱部)の発熱対策に関する技術、又は移動体に搭載される撮影部が撮影した画像に基づく録画に関する技術を提供することができるる。
【0059】
また、本願の発明の効果はこれに限定されず、本明細書および図面等に開示される構成の部分から奏する効果についても開示されており、当該効果を奏する構成についても分割出願・補正等により権利取得する意思を有する。例えば本明細書において「~できる」と記載した箇所などは奏する効果を明示する記載であり、また「~できる」と記載がなくとも効果を示す部分が存在する。またこのような記載がなくとも当該構成よって把握される効果が存在する。
【図面の簡単な説明】
【0060】
【
図1】
図1は、本発明の実施の形態の撮像システムの構成を説明する図である。
【
図2】
図2は、本発明の実施の形態の撮像システムの電気的な構成を示すブロック図である。
【
図3】
図3(A)~(E)は、本発明の実施の形態の撮影装置の外観構成の一例を示す六面図である。
【
図4】
図4は、本発明の実施の形態の撮影装置が撮影する映像の一例を示す図である。
【
図5】
図5(A)及び(B)は、本発明の実施の形態の撮影装置の設置と撮影装置の撮像範囲との関係の一例を示す図である。
【
図6】
図6は、本発明の実施の形態の制御装置の斜視図である。
【
図7】
図7は、本発明の実施の形態の制御装置の斜視図である。
【
図8】
図8は、本発明の実施の形態の制御装置の放熱のための構成を説明する断面図である。
【
図9】
図9は、本発明の実施の形態の制御装置の放熱のための他の構成を説明する断面図である。
【
図10】
図10(A)及び(B)は、本発明の実施の形態の制御装置の放熱のためのさらに他の構成を説明する断面図である。
【
図11】
図11(A)及び(B)は、本発明の実施の形態の制御装置の放熱のための構成のさらに他の例を説明する断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0061】
以下、本発明の実施形態について、図面を参照して説明する。これらの図面は、本発明が採用しうる技術的特徴を説明するために用いられるものである。記載されている装置の構成や形状等は単なる説明例であり、本発明は、これに限定されて解釈されるものではなく、本発明の範囲を逸脱しない限りにおいて、当業者の知識に基づいて、種々の変更、修正、改良を加え得るものである。以下の説明における、第1、第2、・・・という数値を用いたラベリングは各要素を識別するためのもので、要素の数を定めるものではない。また、以下の説明で参照する各図において、各部材、各領域等を認識可能な大きさとするために、実際とは縮尺を異ならせている場合がある。
【0062】
[0.発熱対策に関する構成の着想の経緯]
従来から、移動体に搭載される情報処理装置における発熱対策に関する技術が提案されている。情報処理装置にあっては、様々な情報処理を行うため、その処理主体である情報処理部は、情報処理を行うことで発熱する発熱部ともいえる。このような発熱部から発せられる熱を情報処理装置外へ放熱するための発熱対策としては、従来から様々提案されている。また、最近では、ニューラルネットワークに代表される人工知能を用いた画像認識技術の進歩は著しい。特に、移動体にカメラを搭載して、その画像又は映像についてリアルタイムで画像認識を行うことで、移動体の高度な運転補助、自動運転、運転記録等が可能となっている。人工知能により画像認識を行うSoC(System on a Chip)等の情報処理チップは、処理負荷が大きく、情報処理に伴う発熱への対策がより一層課題となることも考えられる。
【0063】
一般的な発熱対策として、情報処理チップを含む情報処理装置に空冷用のファンを設けたり、水冷システムを設けたりすることがあるが、常にそのような発熱対策を採れるとも限らない。その理由の一例を挙げるならば、移動体がフォークリフトのような作業用車両の場合、移動体が使用されるのが屋内環境であることもあり、このような環境下の空気は塵や埃を多く含んでいることがある。このような環境下でファンによる空冷を行うと、塵や埃を多く含む空気を情報処理装置の内部に取り込むことになって、情報処理装置の故障を招く可能性も否定できない。また、水冷システムを用いると、装置が大掛かりになることもある。
【0064】
以下で説明する実施形態では、このような課題を認識した発明者が着想したもので、認識した課題の少なくとも一部を解決することを目的として着想したものである。
【0065】
[1.システムの全体構成]
図1は、本実施形態の撮像システムの構成を説明する図である。
図1には、移動体としての車両400を側面側から見た場合の模式図が示されている。撮像システム100は、車両400に搭載されたシステムである。車両400は、本実施形態ではフォークリフトであり、例えば電気式フォークリフトとするとよい。車両400としては、後述する発熱対策による放熱効果を高めるため、車体に熱伝導性の高い部分を備える車両、特に金属部分が表面に露出している車体を有する車両とするとよい。そのため、以下では、車両400が、車体に金属部分を備える等、熱伝導性に優れた部分を多く有するフォークリフトである場合を主に説明する。ただし、車両400は、フォークリフトに限定されるものではない。車両400としては、フォークリフト以外の作業用車両としてもよく、例えば物流、建設、農業などの様々な産業に関する作業用の車両としてもよい。作業用車両としての車両400は、例えば、複数の運転者によって共用され、運転者が入れ替わることがある車両とするとよい。例えばフォークリフトにおいては、比較的頻繁に運転者が入れ替わる(交代する)運用をされることもある。
【0066】
車両400としては、例えば、自動車、バス、トラック等の四輪以上の大型輸送車や、自動二輪車、自転車等の二輪車、その他の車両であってもよい。このような車両においても、例えばレンタカーやカーシェアリングで利用される車両のように、複数の運転者によって共用され、運転者が入れ替わる利用をされるものある。車両は、例えば、電車、モノレール、リニアモーターカー等の交通機関の車両でもよい。本発明は、車両以外にも、船舶や飛行機等の人を乗せて移動する移動体、ドローン等のような無人の移動体その他の移動体、移動体以外での使用も可能である。
【0067】
マスト401は、車両400の車体の前方側に設けられる。フォーク402は、爪とも呼ばれ、荷物が置かれる部位である。フォーク402は、運転席403に座っている運転者(図示略)のリフトレバーの操作に応じて、マスト401に沿って昇降する。マスト401は、さらに、運転者のチルトレバーの操作に応じて前後に傾斜する。
【0068】
ステアリングホイール404は、車両400のステアリング機構を操作し、車両400の進行方向を調整するための操作装置である。メインスイッチ405は、車両400の全体の電源(後述する主電源)をオンオフするための操作装置である。操作レバー406は、運転者に操作される各種のレバーを有し、車両400の動作を制御するための操作装置である。操作レバー406は、例えば、リフトレバー、チルトレバー、変速レバー、及び前後進レバーを有する。変速レバーは、変速機の変速数を切り替えるためのレバーである。前後進レバーは、車両400の前進又は後進させるためのレバーである。ペダル407は、運転者に操作される各種のペダルを有し、車両400の動作を制御するための操作装置である。ペダル407は、クラッチペダル、及びブレーキペダルを有する。クラッチペダルは、車両400を発進、停止、及び変速時に、エンジンその他の駆動源の力をトランスミッションに伝えたり遮断したりするためのペダルである。ブレーキペダルは、車両400のフットブレーキを作動させるためのペダルである。
【0069】
車両400のメインスイッチ405がオンにされると、車両400の電気系統として、例えば電子制御ユニット、走行モータ、各種センサ、及び灯具等に電力が供給される。車両400の電気系統に電力が供給されている状態で、運転者が操作レバー406、及びペダル407を操作することによって、車両400は、走行したりフォーク402を昇降させたりする等の動作をする。また、車両400のスイッチ連動電源端子410から撮像システム100に直流電力が供給される。
【0070】
メインスイッチ405がオフにされているときには、車両400の電気系統に電力が供給されておらず、運転者が例えば操作レバー406又はペダル407を操作しても、車両400が走行したり、フォーク402が昇降したりすることはない。また、スイッチ連動電源端子410から撮像システム100に直流電力は供給されない。その一方で、車両400の+B端子(常時電源端子ともいう。)411からは、メインスイッチ26のオンオフにかかわらず、車両400のバッテリから撮像システム100に、常時直流電力が供給される。制御装置11は、メインスイッチ405がオフにされてスイッチ連動電源端子410からの電力供給が停止したことを検出し、スイッチ連動電源端子410からの電力供給が停止したことが検出された後も、+B端子411から電力の供給を受け、例えばメインスイッチ405がオフされている期間の一部又は全体において、電源(副電源の一例)が投入された状態を継続する。電源が投入された状態を継続する時間は、あらかじめ決められてもよいが、後述する記憶媒体500に格納される継続時間情報によって指定されるとよい。この継続時間情報は、あらかじめ決められてもよいが、ユーザによって設定できるようにしてもよい。ユーザとしては、車両を利用する運転者としてもよいが、車両を管理する管理者等としてもよい。
【0071】
撮像システム100は、例えば、車両400とは別にユーザによって購入される等して、車両400に対して後付けされた機器(例えば、アフターマーケット商品ともいう。)である。撮像システム100は、制御装置11、撮影装置12、GNSS受信装置13、センサ装置14、通信装置15、及びワンタッチSW(スイッチ)装置16と、を有する。情報処理装置としての制御装置11、撮影装置12、GNSS受信装置13、センサ装置14、通信装置15、及びワンタッチSW装置16は、本実施形態では、それぞれ別の筐体を備えるようにユニット化されている。そのため、これらの装置の名称における「装置」を「ユニット」等と読み替えてもよい。また、これらの2以上の装置が同一の筐体を備えるように構成されていてもよい。
【0072】
制御装置11、撮影装置12、及びセンサ装置14は、車両400のヘッドガード408の下面側に取り付けられる。GNSS受信装置13、及び通信装置15は、ヘッドガード408を支持する支柱409に取り付けられる。各装置の取り付けられる位置は、これらの位置に限られない。例えば、通信装置15は、その通信機能を支障なく発揮する限りにおいて、別の位置に取り付けられてもよい。通信装置15は、例えば、ヘッドガード408の下面側、又は上面側に取り付けられてもよい。ヘッドガード408や支柱409は、その全体又大部分が熱伝導性の高い材料で形成されており、本実施形態では金属製である。このような構成は、多くのフォークリフトにおいて採用されている。
【0073】
撮像システム100は、車両400の車室、及び車両400の周辺を撮影する機能を有するシステムである。撮影装置12がこの撮影を行う。撮影装置12は、天球画像を撮影する撮影手段の一例である。撮影装置12は、半天球の領域、又は半天球の領域よりも広い範囲を撮影して画像データを生成するカメラである。天球画像は、例えば半天球画像、又は全天球画像とするとよい。天球画像の画像領域は、円形または楕円形である。本実施形態では、撮影装置12は、運転席403の真上付近に配置され、下方を撮影方向とするように配置されている。撮影装置12は、例えば、画角(VIEW AREA、視野、視界等と言い換えられてもよい。)が180°を超える撮像レンズを有している。撮影装置12は、本実施形態では、上下方向における画角θが210°前後であり、かつ水平方向に周囲360°の撮像を行うことができるように設定されている。
図1には、撮影装置12の撮影可能な範囲が二点鎖線を用いて示されている。撮像レンズは、魚眼レンズ等と呼ばれるレンズであってもよい。
【0074】
図2は、撮像システム100の電気的な構成を示すブロック図である。制御装置11は、撮影装置12、GNSS受信装置13、センサ装置14、通信装置15、及びワンタッチSW装置16のそれぞれとケーブルを介して物理的かつ電気的に接続されている。制御装置11以外の各装置は、ケーブルが有する電源線を介して制御装置11からの電力の供給を受けて動作し、また、ケーブルが有する信号線を介して制御装置11に信号を出力する。
【0075】
制御装置11は、本実施形態ではメインユニットとも呼ばれ、撮像システム100の制御を司る。制御装置11は、SoC等の情報処理チップを用いて実現されるとよい。制御装置11は、制御部111、記憶部112、音声出力部113、及びリーダライタ114を有する。制御部111は、撮像システム100の各部を制御する。制御部111は、撮像システム100の各部の動作を制御したり、その動作に必要な電力を各部に供給したりする。制御部111は、例えば、CPU(Central Processing Unit)、MPU(Micro Processing Unit)、GPU(Graphics Processing Unit)、ASIC(Application-Specific Integrated Circuit)、及びFPGA(Field Programmable Gate Array)等のプロセッサを有する。記憶部112は、例えば、RAM(Random Access Memory)、及びROM(Read Only Memory)等を有する主記憶装置である。制御部111は、記憶部112のROMから読み出したプログラムをRAMに一時的に記憶させる。記憶部112のRAMは、プロセッサに作業領域を提供する。制御部111は、プログラムの実行中に生成されるデータをRAMに一時的に記憶させながら演算処理を行うことにより、各種の機能を実現する。制御部111は、さらに、時刻を計る計時部を備える。計時部は、例えばリアルタイムクロックである。計時部は、プロセッサのマザーボードに実装されていていてもよいし、プロセッサに外付けされてもよい。
【0076】
音声出力部113は、音声を出力する。この音声としては、例えば、報知音や、BGM、音声メッセージ等がある。音声出力部113は、例えば、音声処理回路、及びスピーカを有する。
【0077】
リーダライタ114は、図示せぬ記憶媒体挿入口から撮像システム100の内部に挿入された記憶媒体500を保持する媒体保持部の一例である。リーダライタ114は、保持する記憶媒体500にデータを書き込んだり、記憶媒体500からデータを読み出したりする。リーダライタ114は、記憶媒体500を1つだけ保持するものでもよいが、2つ以上の記憶媒体500を同時に保持することが可能に構成されてもよい。記憶媒体500は、撮像システム100で撮影された画像が記録される記憶媒体で、例えばSDカードである。SDカードは、例えば、SDメモリカード、miniSDカード、及びmicroSDカード等のいずれの形状でもよい。記憶媒体500は、さらに、記憶した画像をパーソナルコンピュータ等の情報表示端末で再生するためのビューアのプログラムを記憶してもよい。ビューアしては、専用ビューア、PCビューア、PCブラウザ等と呼ばれるものが含まれ、記憶媒体500に記憶された録画データに基づいて映像を再生する機能を備える。ビューアは、さらに、制御装置11の動作を設定する機能(例えば、所定の機能のオンオフを設定する機能)を備えるとよい。
【0078】
撮影装置12は、撮影をして映像データを生成する。撮影装置12は、例えば、光学部材の一例である撮像レンズ、及び撮像レンズにより集光された光を受光して電気信号に変換する撮像素子を有する。撮像素子は、例えば、CMOS(Complementary MOS)又はCCD(Charge Coupled Device)である。撮影装置12は、複数の撮像素子から出力される電気信号を1フレームの映像データとして出力する。撮影装置12は、例えば赤(R)、緑(G)、青(B)の色成分からなるカラー(多色)の映像データを生成する。撮影装置12はこれ以外にも撮像素子からの信号をアナログからデジタルに変換するA/D変換回路等を含んでよい。なお、本実施の形態において、「映像(データ)」とは、複数フレームの映像(データ)からなる動画(データ)、及び1フレームの映像(データ)、即ち、静止画(データ)を含むものである。
【0079】
GNSS受信装置13は、GNSS(Global Navigation SatelliteSystem:全球測位衛星システム)の信号を受信する。本実施形態では、GNSS受信装置13は、GNSSの一つであるGPS(Global Posisioning System)衛星からの信号を受信する。GNSS受信装置13は、GNSSからの信号を受信するアンテナ、及びアンテナで受信した信号を処理する回路を有する。制御装置11は、GNSS受信装置13で受信した信号に基づいて、撮像システム100の位置情報(例えば、緯度情報、及び経度情報)を取得する。なお、GNSS受信装置13の位置は、撮像システム100の位置、制御装置11の位置、及び車両400又は車両400に乗車している運転者の位置の少なくともいずれかと同視してもよい。
【0080】
センサ装置14は、各種のセンサを有する。センサ装置14は、例えば、加速度センサ、及びジャイロセンサを有する。加速度センサは、車両400に作用した加速度を検出する。加速度センサは、例えば、車両400の前後、左右、及び上下の加速度を検出する3軸の加速度センサである。ジャイロセンサは、車両400の傾きを検出するセンサである。加速度センサ、及びジャイロセンサは、例えば、GNSS衛星からの信号が受信できない場合に、自律航法により車両400の位置を推測するのに使用されてもよい。なお、加速度センサ及びジャイロセンサは、例えば、GNSS受信装置13はGNSSの信号が受信できない場合に、自律航法により位置を推測するのに使用されてもよい。
【0081】
通信装置15は、外部の装置と通信する。通信装置15は、無線通信を行うための構成として、例えば通信回路、及びアンテナを有する。通信装置15は、本実施形態では、LTE(Long Term Evolution)の規格等に準拠した無線通信を行う。この場合の通信装置15は、例えばLTEユニットと呼ばれるものとするとよい。通信の規格はこれに限られず、通信装置15は、4G、5G等の移動通信システムの規格等に準拠した通信を行ってもよい。通信装置15は、SIMを着脱可能に構成され、装着されたSIMに記録された情報に基づいて無線通信を行う。通信装置15は、SIMが装着ていない状態では、無線通信を行うことができない、又は無線通信が制限される。SIMは、例えば、nanoSIMである。SIMは、加入者識別モジュールとも呼ばれ、移動通信システムを管理、運等する通信事業者との契約に係る契約者情報や、この移動通信システムの規格等に準拠した通信を行うための認証に用いられる認証情報等を記憶する記憶媒体である。認証情報は、ユーザ(例えば、契約者)を認証に要するために必要な情報で、加入者識別情報と呼ばれるものとしてもよい。
【0082】
なお、通信装置15は、Wi-Fi(登録商標)等の無線LAN(Local Area Network)を介して無線通信を行う機能を有してもよいし、Bluetooth(登録商標)等の近距離無線通信を行う機能を有してもよい。
【0083】
通信装置15は、ケーブルを介して制御装置11と物理的かつ電気的に接続されている。ケーブルは、電源線と信号線とを有する所定の規格に準拠したケーブルである。ケーブルは、本実施形態では、USB(Universal Serial Bus)規格に準拠したUSBケーブルで、より詳細には、USB Type-Cの規格に準拠している。通信装置15は、ケーブルの電源線を介して制御装置11からの電力の供給を受けて動作し、信号線を介して外部に信号を出力する。
【0084】
ワンタッチSW装置16は、事故やその他のトラブルが発生した場合等の緊急時に、運転者に操作される操作装置である。この操作は、ワンタッチ、例えば一回の押下操作で行われるとよい。制御装置11は、ワンタッチSW装置16に対する操作が行われたと判定した場合、通信装置15を用いて所定の報知先に報知したり、音声出力部113を用いて警告音、又は警報音を出力したりするとよい。又は、制御部111は、ワンタッチSW装置16に対する操作が行われたと判定した場合、撮影装置12により撮影された画像に基づいて、記憶媒体500に画像を記録してもよい。この画像の記録は、後述するイベント録画機能により行われてもよい。ワンタッチSW装置16は、緊急時等に運転者の手が届く位置で、通常時に手や足等が当たらない、又は当たりにくい位置に取り付けられるとよく、例えば、車両400の右前方側のピラー(支柱、フレームともいう。)に取り付けられるとよい。
【0085】
[2.撮影装置12の外観構成]
図3は、撮影装置12の外観構成の一例を示す六面図である。
図3(A)は正面図、
図3(B)は左側面図、
図3(C)は右側面図、
図3(D)は上面図(平面図)、
図3(E)は底面図である。撮影装置12は、筐体3と、筐体3を車両400の所定の取付位置に取り付けるための取付部材4とを備える。筐体3は、撮像レンズ2を有する撮影装置12の本体の筐体を構成する。
図3(D)には、撮像システム100の撮影可能な範囲が二点鎖線を用いて示されている。なお、筐体3の内部には、撮像素子やその他の構成部品が収容されている。
【0086】
撮像レンズ2は、本実施形態では、半球状レンズである。撮像レンズ2は、アルミダイキャスト製の鏡筒内にレンズが収納された構成を有する。撮像レンズ2は、その鏡筒が、上記筐体3のレンズ突出用穴の縁部3Aと筐体3の内部に配置されたレンズ保持部(図示略)とにより支持されている。このようにして、撮像レンズ2は、筐体3の正面から幾分突出した状態で保持されている。コネクタ部3Cは、ケーブル7のコネクタ7Aが接続されるコネクタを有する。ケーブル7は、撮影装置12で撮影された映像を示す映像データを、制御装置11に出力するためのケーブルである。筐体3は、その上面に、左右に間隔を空けて設けられた装着部3Dを有する。装着部3Dは、左右に貫通するねじ孔を有する。
【0087】
取付部材4は、筐体3の背面側に設けられ、筐体3を車両400の所定の取付位置に取り付けるためのブラケットである。取付位置は、
図1で説明したヘッドガード408である。取付部材4のうち、取付位置に取り付けられる部位が、取付板4Aである。取付板4Aは、筐体3の背面に対して所定の角度だけ傾斜しており、かつこの角度は変更可能に構成されている。取付板4Aに両面テープ等の接着部材を貼り付け、その接着部材を介して、車両400の取付位置に貼り付けられる。取付部材4は、この貼り付けをした状態で、取付板4Aの傾きを変更可能に構成されているとよい。ケーブル保持部4Bは、コネクタ部3Cに接続されたケーブル7を保持する。
【0088】
取付部材4は、内部に左右に貫通するねじ孔を有する装着部4Cを有する。装着部4Cは、筐体3の装着部3Dに対して装着される部位である。ねじ5は、装着部3D、及び取付部材4のねじ孔を通過するように配置される。ねじ5が締め付けられた状態である第1状態では、取付板4Aの筐体3の背面に対する角度は固定される。ねじ5が緩められた状態である第2状態では、取付板4Aの筐体3の背面に対する角度を変更可能である。ユーザは、取付板4Aを車両400の所定の取付位置に取り付けた状態で、筐体3の姿勢を変更させることで、撮影装置12の撮影方向(言い換えると、撮像レンズ2の向く方向)を調整することができる。
【0089】
撮影装置12は、取付位置や撮影方向の設定や、他のカメラとの組み合わせにより、車両400の車室、及び車両400の周辺についての撮影範囲を様々に設定することができる。これについては、特開2017-132298号公報の
図10乃至12等に記載されているから、本実施形態では説明を省略する。撮影装置12として、各種情報を表示する表示部を有する撮影装置が用いられてもよい。また、撮影装置12の筐体は、直方体状のものでなくてもよく、例えば円筒状、その他の形状であってもよい。
【0090】
図4は、撮影装置12が撮影する映像の一例を示す図である。例えば、撮影装置12が少なくとも半天球の領域を含む映像を生成する場合、例えば、撮影装置12が生成する撮影映像は、
図4に示す撮影映像121のようになる。撮影映像121は、円形の映像領域を有する。撮影映像121は、中心付近ほど撮像レンズに起因する歪み(映像歪みともいう。)が小さく、径方向において周方向に近づくにつれて、その歪みの度合いが大きくなっている。撮影映像121の中心付近ほど、被写体が相対的に大きなサイズで撮影されており、径方向において周方向に近づくにつれて、被写体が相対的に小さなサイズで撮影されている。この例では、運転席403に座っている運転者やステアリングホイール404が相対的に大きなサイズで撮影され、車両400の側方や前方の様子が比較的小さなサイズで撮影されている。
【0091】
図5は、撮影装置12の設置と撮影装置12の撮像範囲との関係の一例を示す図である。
図5(A)は、撮影装置12であるカメラ一台で、前後左右の撮影ができるので運転者やフォークリフトの内部又は外部といったフォークリフト周辺の状況を撮影するのに適した設置である。万が一の事故の状況把握はもちろん、事故抑止の指導教育も、客観的な視点を取り入れられるので、効果的に行える。
図4に示す撮影映像121は、撮影装置12を
図5(A)に示す設置とした場合に撮影される映像の一例である。このような設置に限られず、
図5(B)に示すように、車両400の前方を撮影領域とした設置をすることも可能である。この場合、車両400のアームの可動範囲を含む、上下左右を撮影範囲とすることができる。このような設置箇所は、例えば、高い場所の荷物を扱う際や、入口の低い倉庫への出入り、エレベーターでの搬入・搬出を行う車体への設置箇所として適している。
【0092】
図6及び
図7は、制御装置11の斜視図である。制御装置11は、概略直方体形状の筐体61を有しており、筐体61の表面611は、突起物がないように平らに形成されている。なお、運転者に対向する表面611には、この表面611よりも柔軟性の高い部材が設けられているとよく、特にクッション材が設けられてよい。これにより、仮に運転者が制御装置11に接触しても、運転者に加わる衝撃や、筐体61に加わる衝撃を緩和できる。表面611の全体が柔軟性を有する部材で覆われていると特によいが、一部が覆われるようにしてもよい。また、筐体61の裏面612も、制御装置11が
図1に示すようにヘッドガード408の下面側に取り付けられる取付面として、平面に形成される。そのため、制御装置11の筐体61の取り付け面はおおむね四角形状であり、少なくとも短辺の幅をヘッドガード408の幅より短くしてある。裏面612には、後述する熱伝導部66が露出している。筐体61の側面613、614、615、616には、記憶媒体の挿入口63や、ケーブルの接続口64が設けられている。筐体61は、軽量化かつ、安価に製造できるために、樹脂で構成されるとよい。
【0093】
また、取付面としての裏面612の4隅には、取付アーム6121が設けられている。取付アーム6121は、裏面612の平面方向に突出しており、ねじを通すための穴が形成されている。ねじは、固定具の一例である。固定具としては、ビス、ボルト等の固定具としてもよいが、車体への機器の取り付けによく用いられるねじとすると、従来構成からの変更箇所が少なくて済むので、特に良い。固定具としては、熱伝導性を有する材料、特に熱伝導率の高い金属製の固定具(本実施形態では、金属製のねじ)とするとよいが、その理由は後述する。制御装置11は、この取付アーム6121の穴にねじを通して、
図1に示すように車両400のヘッドガード408の下面側にねじ止めされる。また、取付面である裏面612には、両面テープ65が貼付され、両面テープ65の反対側の面はヘッドガード408に貼付される。
【0094】
制御装置11は、制御部111で発生する熱を、制御装置11の外に放出するための構成、すなわち発熱対策に関する構成を有する。制御部111は情報処理を行う処理手段であるが、この発熱対策に関する構成を説明するにあたって、制御部111は熱源であるため、以下、制御部111を「発熱部」あるいは「発熱部材」ともいう。制御装置11(制御部111)が発熱する原因として、制御装置11が実行する情報処理がある。制御装置11は、制御部11を筐体61内に備えたフォークリフト用の電子機器とすると特に良い。制御装置11は、撮影装置12から映像データを取得して、この映像データに関する情報処理を行う。映像データに関する情報処理としては後述するような、映像データのファイルに適切なファイル名を付けて記憶媒体500の適切なフォルダに記憶させる録画処理や、運転者を識別するための処理が含まれるとよい。制御装置11が行う情報処理には、さらに、演算装置としての制御部111によって行われる人工知能演算処理が含まれるようにしてもよい。人工知能演算処理の処理負荷は大きく、制御部111にて発生する熱がより問題となり、発熱対策を採る必要性がさらに増すと考えられる。なお、制御部111が人工知能演算処理を有する場合、制御装置11はAIボックスと呼ばれる装置としてもよい。
【0095】
また、一般的な放熱の手法として、筐体に通気口を設け、ファンを稼働させて通気口から筐体の内部に空気を取り込み、通気口から筐体の内部の空気を排出することで、発熱部を冷却(空冷)することがある。本実施の形態の制御部111でも、放熱効果を高めるためそのような冷却ファンを設けてもよいのであるが、冷却ファンを設けなくとも十分な放熱効果を得られるように構成してある。その理由は、車両400が特にフォークリフトのような作業用車両である場合には、工場や倉庫などの屋内環境下では、空気に塵や埃が多く含まれることが想定され、そのような環境下で上記のようなファンによる空冷を行うと、多くの塵や埃が筐体61内に導入される可能性が否定できないからである。このような塵や埃によるリスクを低減させるため、本実施の形態では、ファンレスの構造で発熱部111の放熱を行うのに有利な構成を採用している。
【0096】
図8は、制御装置11の放熱のための構成を説明する断面図である。発熱部としての制御部111は、基板67の上に設けられている。発熱部111の上には、熱伝導シート662を介してヒートシンク661が設けられている。ヒートシンク661は、筐体61に設けられた開口から筐体61の裏面の外部に露出する露出部分6611を備えている。
図8に示すように、露出部分6611の表面は、筐体61がヘッドガード408に取り付けられたときに、ヘッドガード408に接触する。筐体61の裏面には、露出部分6611を露出させるための開口を避けて、両面テープ65が設けられている。両面テープ65の表面(ヘッドガード408との接着面)の高さは、露出部分6611の高さより若干高く、筐体61が取付アーム6121(
図6、7参照)に通したねじによってヘッドガード408に取り付けられると、両面テープ65が圧迫されて、露出部分6611の表面がヘッドガード408に圧接されて、ヘッドガード408に密着する。
【0097】
熱伝導シート662及びヒートシンク661は、いずれも筐体61より熱伝導率が高い材料によって構成されており、熱伝導部66を構成している。ヒートシンク661は、例えば、銅、アルミ、セラミクスによって構成されてよい。また、熱伝導シート662は、例えば、シリコングリス、アクリルによって構成されてよい。
【0098】
このように、発熱部111は、熱伝導部66と接しており、熱伝導部66は、露出部分6611においてヘッドガード408に接しており、発熱部111は、空気を媒介することなく、熱伝導部66を介してヘッドガード408に接触している。ヘッドガード408の熱容量は、発熱部111で発熱する熱量に対して十分に大きい。そのため、発熱部111で発生した熱は、熱伝導部66を介してヘッドガード408に放熱されて、発熱部111は冷却される。特に、熱伝導部66のヒートシンク661(露出部分6611といってもよい。)を空気ではなく、ヘッドガード408に直に接触させることで、放熱効果が高められ、発熱部111は冷却される。ヘッドガード408は、放熱効果を高めるために金属で構成されていると特によいが、熱伝導性の高いその他の素材で構成されてもよいこのように熱伝導部66(ヒートシンク661といってもよい。)は、筐体61内の発熱部、発熱部材からの熱を伝導させる熱伝導部として機能する。
【0099】
図7に明確に示されるように、両面テープ65は、露出部分6611以外の面でヘッドガード408に接着されている。両面テープ65は、粘着性又は接着性を有する部材の一例である。そして、露出部分6611と、両面テープ65との間には、隙間68が設けられている。隙間68で遮熱部分として機能するので、これにより、発熱部111からの熱を伝導する露出部分6611の熱が両面テープ65に伝わりにくくすることができる。仮に、両面テープ65が著しく高温になると、両面テープ65が溶けたり、両面テープ65の接着力が低下したりすることもあり得るが、そのような不具合の発生をあらかじめ抑止できる。
図7に示すように、両面テープ65は、帯状に形成され、露出部分6611を避けて設けられているが、両面テープ65は、露出部分6611との間に隙間68を確保して露出部分6611を囲うように設けられているよく、特に「回」字形に設けられているとよい。このように、熱伝導部66の露出部分6611と両面テープ65との間に熱伝導の緩衝領域としての隙間を設けることで、露出部分6611を伝達される熱が両面テープ65に伝達しにくくすることができる。このような緩衝領域は、両面テープ65への熱伝導を遮断するための熱遮断手段として機能する。
【0100】
また、裏面612にはあらかじめ両面テープ65が貼付されていてもよいし、両面テープ65が制御装置11とは別体として同梱されて出荷されるようにしてもよい。後者の場合、制御装置11を車両400に取り付ける際に、ユーザが両面テープ65の片方の面を筐体61の裏面612に貼付し、他方の面をヘッドガード408に貼付するようにしてもよい。この場合に、裏面612に、両面テープ65を貼付すべき領域を案内するガイドを設けてもよい。ガイドは、裏面612に形成された貼付領域の縁取りであってよく、具体的には貼付領域を示す凹凸形状(リム)であってもよいし、プリントされたマークであってもよい。なお、露出部分6611と両面テープ65との間に熱遮断(遮熱)部材を設けてもよい。この熱遮断部材には、ガラス、断熱材、プラスチック等の熱伝導性の小さい材料が用いられてよい。
【0101】
図8の例では、ヒートシンク661が直接ヘッドガード408に接触しているが、ヒートシンク661とヘッドガード408との間に、可塑性熱伝導材を介在させてもよい。この場合には、熱伝導シート662、ヒートシンク661に加えて、この可塑性熱伝導材を含めて熱伝導部66が構成される。可塑性熱伝導材を介在させることで、熱伝導部66がヘッドガード408に圧接されると、熱伝導部66をヘッドガード408により密着させることができるので、放熱効果を高める上で望ましい。このような可塑性熱伝導材として、サーマルパッド、シリコングリスを用いることができる。また、このような可塑性熱伝導材は、制御装置11とは別体として同梱されて出荷されてもよい。この場合には、ユーザは制御装置11を入手すると可塑性熱伝導材も入手でき、別途可塑性熱伝導材を用意する必要がなく、また、必要に応じて可塑性熱伝導材を用いて制御装置11を取り付けることができる。例えば、工場出荷時等に、制御装置11の筐体61と可塑性熱伝導材を同一の梱包内に備える構成とするとよい。
【0102】
図8に示すように、筐体61とヒートシンク661との間にはわずかな隙間が形成されている。この隙間に空気を流通させることによりヒートシンク661を冷却してもよい。あるいは、筐体61とヒートシンク661とを密着させて、筐体61の気密性を確保し、制御装置11を防水ないし防雨の装置としてもよい。このようにすると、より放熱効果を高めることができる。
【0103】
また、制御装置11は、取付アーム6121及びそこに用いられるねじ(固定具の一例)を介してもヘッドガード408と接触する。そこで、このねじ(言い換えると、ねじ止め位置、固定具の位置)の取付アーム6121を熱伝導率の高い素材で構成するとともに、ヒートシンク661に接触させることで、取付アーム6121も熱伝導部66の一部として用いてもよい。この場合には、発熱部111で発生した熱は、取付アーム6212及びねじを通じてもヘッドガード408に接触して、この経路でも発熱部111の熱がヘッドガード408に放出されることになる。熱伝導率の高い素材としては、金属とするとよく、ねじとしては金属製のねじとするとよい。
【0104】
取付アーム6212及びねじによって、制御装置11の筐体61が車両400に取り付けられる箇所が複数ある場合、少なくとも一部を熱伝導部として利用するとよく、熱伝導部として利用する箇所が多いほど放熱効果を高められるのでよい。例えば、一部を熱伝導部として利用する場合には、その箇所は、相対的にユーザが触れにくい箇所とすると特によい。例えば、車両400に搭乗した運転者の前方側に位置する箇所については、運転者が自身の手を動かしたときに、取付アーム6212やねじに触れる可能性は、運転者の後方側に位置する箇所よりも高いと考えられる。そのため、取付アーム6212及びねじのうち、車両400に制御装置11が取り付けられた状態で、運転者(運転席403)の前方側に位置する取付アーム6212及びねじを熱伝導部として利用せず、後方側に位置する取付アーム6212及びねじを熱伝導部として利用するように構成されてもよい。
【0105】
取付アーム6212及びねじも熱伝導部として利用する場合、ねじも熱を帯びることになるため、ユーザが触れないように、ねじ(ねじ止め位置、固定具の位置)を覆うカバーを設けるようにすると特に良い。カバー部材としては、ねじよりも熱伝導率が低い性質の部材とするとよい。例えば、ねじが金属製である場合、カバー部材は樹脂製とするとよい。カバー部材は、ねじのうち、当該カバー部材が無ければ外部に露出することになる部分を覆うようにするとよいが、ユーザがねじ自体に触れる可能性を低減させるような構成とするとよい。カバー部材としては、例えば蓋状の部材とするとよいが、それ以外の形状としてもよい。カバー部材としては、例えばねじのねじ頭部を覆う構成とするとよい。。このように取付アームである取り付け部材を熱伝導部として利用するのは、取り付けられる電子機器(本実施形態では、制御装置11)が重い機器である場合とするとよい。この場合の取り付け部材は、アームのように、所定の長さを有し、熱伝導部材はアームを構成する金属を備えるようにするとよい。
【0106】
図6、7の例では、制御装置11の裏面612に設けられた両面テープ65による接着及び取付アーム6121でのねじ止めによって、制御装置11がヘッドガード408に取り付けられるが、制御装置11のヘッドガード408への取り付け方法はこれらに限られない。制御装置11は、両面テープ65のみによって、あるいは、取付アーム6121のみによってヘッドガード408に取り付けられてもよい。また、制御装置11は、例えば、結束バンドやクランプ等の取付用の器具によって、露出部分6611がヘッドガード408に圧接するように、車両400に取り付けられてもよい。特に取り付けられる電子機器(本実施形態では、制御装置11)が軽い機器である場合、取り付け部材は、両面テープを備えるようにするとよい。両面テープは、熱伝導部材を避けて、貼り付ける構成とするとよい。その際、マーク、縁取りなどで、両面テープの位置がわかるように、表示するとよい。上述したように、両面テープは、露出部分6611との間に隙間68を確保して露出部分6611を囲うように設けられているよく、特に「回」字形に設けられているとよい。
【0107】
また、上記のように筐体61は、樹脂によって構成されるが、裏面612を金属(アルミ等)の熱伝導率の高い素材で構成してもよい。この場合には、ヒートシンク661は露出部分を有する必要はなく、ヒートシンク661が筐体61内で裏面612に接触していればよい。この場合には、裏面612以外の5つの面が筐体61を構成し、裏面612が熱伝導部66の一部(露出部分6611)となって露出し、ヘッドガード408と接触する。この構成によっても、発熱部111と熱伝導部66とが接触し、かつ、熱伝導部66とヘッドガード408とが接触するので、熱伝導部66を介して直接ヘッドガード408に放熱できる。
【0108】
また、上記の実施の形態では、筐体61の裏面612に熱伝導部66の露出部分6611を設けて、この裏面612をヘッドガード408に取り付けることで、露出部分6611をヘッドガード408に密着させて制御装置11を車両400に取り付けたが、このとき、筐体61の側面も車両400に接触するようにするとともに、当該側面にも熱伝導部66の露出部分6611を露出させて、車両400に接触させてよい。車両400のうちの制御装置11と接触する車体部分は、放熱効果を高める上では、熱伝導性の高い部分(例えば、金属部分)の面積が大きい好ましく、望ましくは全体が熱伝導性の高い部分であるとよい。例えば、記憶媒体の挿入口63(
図6参照)やケーブルの接続口64(
図7参照)を有しない側面613又は615をヘッドガード408の両側の支柱(フレーム、ピラーともいう。例えば支柱409)部分に接触させるようにしてよい。支柱は一般的に金属製のパイプで構成され、内側に導線などが含まれている。このように、支柱は熱伝導性が比較的高い金属で構成されるとともに、支柱の内側は空気を含むため、放熱するのに好適である。なお、筐体61を車両400の支柱よりも薄くすれば、言い換えると、筐体61の幅を支柱の幅よりも短くすると、筐体61が支柱よりも出っ張ることがなく、ユーザの邪魔にならない。
【0109】
なお、制御装置11は、露出部分6611が車両400のヘッドガード408及びその他のフレーム以外の部分に接触するように車両400に取り付けられていてもよい。その場合にも、露出部分6611は車両400の金属部分に接触することが望ましいが、これに限られず、露出部分6611が、熱伝導率が比較的高く、熱容量が比較的大きい車両400の非金属部分に接触するようにしてもよい。例えば、制御装置11は、座席(例えば、助手席)の下に取り付けられてもよい。この場合に、制御装置11は、露出部分6611が座席の下の鉄板に接触するように、車両400に取り付けられてよい。
【0110】
図9は、制御装置11の放熱のための構成の他の例を説明する断面図である。この例では、ヒートシンク661の露出部分6611に複数のフィン664が形成されており、隣り合うフィン664の間には溝663が形成されている。この溝663は外気に開放されており、外気によって冷却される。制御装置11がヘッドガード408に取り付けられることで、フィン664の先端は、ヘッドガード408に接触する。この構成によれば、ヒートシンク661はヘッドガード408との接触部分からヘッドガード408に放熱できるとともに、溝663において外気に放熱することができる。この構成において、溝663に強制的に空気を流通させるファンを含む空冷システムを設けてもよい。あるいは、溝663に冷却媒体を流通させる水冷システムを設けてもよい。なお、溝663の部分も筐体61によって覆われるようにしてもよい。
【0111】
ヒートシンクは、通常、その対向する面側に空気があり、風を通すような設置をされる。例えば、筐体の外側に露出する下面側を取付部とする電子機器(例えば直方体形状)においては、電子機器の筐体の内部に制御部が乗った基板が配置され、その基板と平行に、筐体の外側に露出する上面にヒートシンクが付けられていることがある。そこで、ヒートシンクの対向する面側に風を通すような構成も取り込んだ構成としてもよく、例えば、次の構成としてもよい。
【0112】
筐体61の裏面612に上記の熱伝導部66の構成を備えるとともに、筐体61の側面613~616の少なくとも一部、及び/又は表面611に熱伝導部としてのヒートシンクを備えていてもよい。このような構成は、フォークリフトである車両400のヘッドガード408などの金属部分に取り付ける取付部材の双方に、筐体内の発熱部材からの熱を伝導させる熱伝導部を設けた構成で、フォークリフト用の制御機器としてもよい。特に、側面613~616の少なくとも一部に熱伝導部としてのヒートシンクを備え、表面611に熱伝導部としてのヒートシンクを備えないようにすると、ヘッドガード408の内側にいる運転者の頭が熱伝導部としてのヒートシンクにぶつかる可能性を低減できるので良い。
【0113】
筐体61の裏面612に上記の熱伝導部66の構成を備えるとともに、筐体61の側面613~616の少なくとも一部、及び/又は表面611に熱伝導部としてのヒートシンクを備える構成としては、特に、制御装置11が筐体61内に複数の制御部111を備えている場合には、第1の制御部111について、上記の構成を採用し、第2の制御部111について、側面613~616及び/又は表面611に露出する露出部分を備えたヒートシンクを設けてもよい。このようにすると、2つ目の発熱部である第2の制御部111についても、そこで発生した熱を筐体外に放熱できる。また、第2の発熱部111の発熱の程度に応じて適切な放熱部を採用することもでき、ヒートシンク以外の放熱部が採用されてもよい。
【0114】
なお、上記では、
図9に示すように露出部分6611にフィン664を有する熱伝導部66について、空冷や水冷を行ってもよいことを説明したが、
図8に示すように露出部分6611にフィンを有しない熱伝導部66について、空冷又は水冷を行ってもよい。また、
図9に示す例のようにフィン664を有する構成は、特に、露出部分6611が接触する車両400側の部分の熱伝導性が比較的低く、あるいは熱容量が比較的小さい場合には、空冷又は水冷によって熱伝導部66を冷却できるので有利である。
【0115】
図10(A)及び
図10(B)は、制御装置11の放熱のための構成のさらに他の例を説明する断面図である。
図10の例では、筐体61の裏面612からフィン形状のヒートシンク661が露出している。この裏面612を車両400に接着することで制御装置11を車両400に取り付ける場合に、着脱可能なヒートシンクアダプタ665をヒートシンク661のフィン664に取り付けて用いることができる。ヒートシンクアダプタ665のフィン664に対向する面はフィン664の間に溝663に嵌められるフィンを有し、反対側の面はヘッドガード408に密着する平面となっている。
【0116】
この制御装置11の裏面612をヘッドガード408に取り付ける際には、
図10(B)に示すように、ヒートシンク661とヘッドガード408との間にヒートシンクアダプタ665を介在させて、ヒートシンクアダプタ665も熱伝導部66の一部として機能させる。これにより、熱伝導部66は、広い面積でヘッドガード408と接することとなり、熱伝導(放熱)を効率的に行うことができる。
【0117】
一方、例えば、ヘッドガード408が熱伝導性の低い素材でできている場合や、ヘッドガード408の熱容量が小さい場合など、ヘッドガード408が放熱先として適していない場合には、ヒートシンクアダプタ665を取り外して、裏面612をそのようなヘッドガード408に取り付けることができる。このようにすることで、ヒートシンク661が外気に晒されて空冷を行うことができる。また、制御装置11を裏面612以外の面で車両400に取り付けることで、裏面612が外気に開放される異なる場合も、同様に、ヒートシンクアダプタ665を用いないようにして、ヒートシンク661のフィン664を外気に晒すことができる。また、これらのときに、ヒートシンク661に対して空冷ではなく水冷を行うことも可能である。
【0118】
このように、
図10に例示した制御装置11によれば、熱伝導部66は、空冷又は水冷による発熱部111の冷却に用いられる第1態様と、熱伝導部66の露出部分が車両400に接することで発熱部111で発生した熱を車両400に伝導する第2態様とを選択的にとることが可能である。
【0119】
図11(A)及び
図11(B)は、制御装置11の放熱のための構成のさらに他の例を説明する断面図である。
図11の例では、ヒートシンク661に選択的に取付可能な第1部品666と第2部品667とを備えている。第1部品666と第2部品667は、ヒートシンク661に取り付けられることで熱伝導部66の一部となる。第1部品666は、直方体形状であり、第2部品は、直方体形状の土台に複数のフィンが形成された形状を有する。熱伝導部66を直接車両400に接触させる場合には、裏面612にから露出しているヒートシンク661に第1部品666を取り付けることができる。制御装置11が、裏面612側を開放するように車両400に取り付けられる場合には、ヒートシンク661に第2部品を取り付けて、空冷を行うことができる。
【0120】
また、上記の実施の形態では、撮影装置12と制御装置11とが別体の装置として構成されたが、少なくとも撮影装置12と制御装置11とを一体させた装置としてもよい。この場合には、撮影装置12は、制御装置11の取付面(裏面612)、言い換えると熱伝導部がある面とは異なる面に設けられるとよく、特に反対側の面(表面611)に設けられるとよい。また、制御装置11の一部の機能が車両400に搭載されない他の装置に設けられ、制御装置11が当該他の装置と通信を行うことで上記の撮像システム100が構成されてもよい。特に、記憶媒体500に加えて、又はこれに代えて、クラウド上のストレージに撮影装置12が撮影した映像データが記憶されてよい。
【0121】
本実施形態の制御装置11のように発熱対策に係る構成を採用することで、発熱を原因とした不具合の発生を抑えられ、そのように不具合が発生した部材や制御装置11自体の交換の機会を減らすことができ、制御装置11の長期利用にもつながり、地球の限りある資源をより有効に利用することで、SDGsにも貢献することができる。
【0122】
[3.撮像システム100の映像記録機能]
撮像システム100は、移動体録画システムとして、車両400に備えられた撮影装置12により撮影された撮影データを記録(録画)する映像記録(録画)機能を備えている。この映像記録機能は、システム100において撮影装置12により撮影した映像を、所定のファイル形式の映像データとして記録する機能である。上述のように、映像データは、静止画形式でもよいが、特に動画形式の映像データとするとよい。動画形式としては、例えば、MPEG(Moving Picture Experts Group)形式(例えば、MPEG2、MPEG4)であるが、AVI、MOV、WMV等がある。
【0123】
<3-1.常時記録機能>
常時記録機能(常時録画機能ともいう。)は、撮像システム100の動作中に、撮影装置12により撮影された映像を継続して(つまり、常時)記録する機能である。制御装置11は、常時記録機能を実行しているときには、車両400の始動から停止まで撮像した映像データを記録する。車両400の始動は、例えば、メインスイッチ405のオンにより検出され、車両400の停止は、メインスイッチ405のオフにより検出されるとよい。
【0124】
メインスイッチ405がオフにされた後の電源が投入された状態では、制御装置11は、撮影装置12から映像データを取得し、取得した映像データを制御装置11内のメモリに書き込むが、記憶媒体500には記録しないようにするとよい。このようにすると、メインスイッチ405がオフにされた後も撮像システム100の電源が投入された状態を継続している期間における撮像システム100の消費電力は、常時録画中の消費電力より少ない。このとき、制御装置11内のメモリは、一時記憶部として機能する。
【0125】
<3-2.イベント録画機能>
イベント録画機能(イベント記録機能ともいう。)は、特定のイベントが発生したことに応じて、撮像システム100により撮影された映像を記録(録画)する機能である。イベントは、撮像システム100により撮影された映像を記録すべき事象であり、例えば、車両400の走行中におけるユーザの急ハンドル、急ブレーキ等の操作時、車両400の他の物体(例えば、物や人)への接近時又は衝突時、電源オン、電源オフ等とする。制御装置11は、イベントが発生したことを、メインスイッチ405をオン(入)又はオフ(切)にしたことを示す信号、加速度センサ及びジャイロセンサによる計測値等に基づいて判定する。イベントの発生の判定条件は、これに限られない。制御装置11は、例えば、撮影装置12により撮影された映像を解析して、車両400の他の物体との接近時又は衝突時にイベントが発生したと判定してもよい。制御装置11は、所定のイベント録画ボタン(図示略)又はワンタッチSW装置16が操作された場合に、イベントが発生したと判定してもよい。
【0126】
制御装置11は、イベントが発生したと判定した場合、そのイベントの発生前後の所定期間(以下「イベント録画期間」という。)において撮像された映像を、記憶媒体500に記録する。イベントの発生前後としては、望ましくはイベント発生時点の前後の期間の両方を含むとよいが、いずれか一方とすることも可能である。制御装置11は、例えば撮影装置12により撮影された映像を記憶部112(例えば、RAM)に一時的に記録(保存)しておき、イベントが発生したと判定した場合は、記憶部112から読み出したイベント録画期間の映像を記憶媒体500に記録するとよい。制御装置11は、例えば、イベントの発生前20秒、及びイベントの発生後20秒の合計40秒の映像を1つのファイルとする。イベント録画期間は一例であり、イベントの種類に応じて異なっていてもよいし、ユーザが変更可能であってもよい。
【0127】
制御装置11は、1つのイベントの発生につき、複数のファイルからなる映像を記憶媒体500に記録してもよい。制御装置11は、イベントが発生した時刻や、加速度センサ及びジャイロセンサで計測された値(例えば、3軸の各方向の加速度)や、GNSS受信装置13を用いて取得した位置情報を、映像と関連付けて、記憶媒体500に記録してもよい。なお、撮影装置12にて撮影された映像データは、記憶媒体500に記録される代わりに、あるいは、記憶媒体500に記録されることに加えて、通信装置15によって外部の装置に送信されてよい。この場合には、外部の装置は、クラウド上に設けられて、インターネットを介して撮像システム100と通信(特に、映像データの受信)を行ってもよい。また、撮影装置12にて撮影された映像データは、制御装置11に対して着脱可能な記憶媒体500に記録される代わりに、あるいは、記憶媒体500に記録されることに加えて、制御装置11に内蔵された記憶装置に記録されてよい。このように撮像システム100の映像記録機能による録画データが記憶される記憶媒体500や内蔵された記憶装置は、「記憶部」の一例である。
【0128】
本実施形態のイベント録画の特徴の一つとして、メインスイッチ405がオン(入)又はオフ(切)されたことをイベントとして、イベント録画を行う点がある。メインスイッチ405がオンにされたときに映像データを記録(録画)するようにすると、車両400の電源が入れられたときの車両400の内部又は外部といった車両400の周辺の状況を撮影した録画データを得ることができる。メインスイッチ405がオフされたときに映像データを記録(録画)するようにすると、車両400の利用が終了して、車両400の電源が切られたときの車両400の内部又は外部といった車両400の周辺の状況を撮影した録画データを得ることができる。
【0129】
車両400が特にフォークリフトのような作業用車両である場合には、上述したように、複数の運転者によって共用され、また、運転者が頻繁に交代することも想定される。メインスイッチ405がオンされたときにイベント録画すると、新たな運転者が車両400の利用を開始したタイミングでイベント録画を行えるし、メインスイッチ405がオフされたときにイベント録画すると、これまでの運転者が車両400の利用を終了するタイミングでイベント録画を行えるので、各運転者による利用開始時や終了時の状況を把握する上で、望ましい。また、フォークリフトのような作業用車両では、利用開始時や終了時に、法令、社内規則その他の基準で定められた点検動作を行う必要があることもあるが、そのような点検動作を行っているか否かや、点検動作が適切に行われているかどうかの状況を映像から把握できるようにする上でも望ましい。
【0130】
車両400が特にフォークリフトのような作業用車両である場合には、運転者のヘルメット上には、当該運転者を識別するための識別情報がコード形式で印刷されていることがある。このような場合には、運転者が交代するごとに、運転者のヘルメット上のコード形式の識別情報(識別コード)を映像から読み取って、運転者を識別することが有効である。このために、撮影装置12は、
図4(A)に示すように、運転席に着く運転者のヘルメットを上方から撮影可能な位置及び向きで設置されるようにするとよい。識別コードとしては、QRコード(登録商標)に例示されるの二次元コードがあるが、運転者を識別する情報を符号化した符号化画像であれば、バーコード等の符号化画像でもよい。識別コードとして、符号化画像に代えて又は加えて、車両400が利用される法人の名称(社名)や、作業に用いられる製品名、運転者の氏名や所属等の、所定の文字列やロゴマーク等が用いられてもよい。識別コードは、ヘルメットに限られず、運転者の着用する衣服(作業着)に付されていてもよく、撮影装置12の撮影範囲であって、運転者の身体のうちの読み取りに適した位置に付されているとよい。運転者の識別はヘルメットに印刷された識別コードの読取りによらずに、運転者の顔を撮影して、映像データから運転者の顔領域を抽出して、抽出した顔領域について顔認識を行うことで運転者を識別してもよい。この場合には、撮影装置12は、運転席に着く運転者の顔を撮影可能な位置及び向きに設置されるとよい。運転者の識別にあたり、運転者の顔以外の身体的特徴が用いられてもよい。
【0131】
運転手を識別した結果に基づく処理としては、様々考えられるが、一例を挙げるならば以下のとおりである。制御装置11は、どの運転者がどのように作業(例えば荷役作業)を行っているかを運転者ごとに記録する処理を行う等、作業の状況や車両400の運行管理に関するデータを記憶媒体500に記憶させるとよい。例えば、制御装置11は、イベント録画の映像データと、運転者の識別結果の情報とを対応付けて、記憶媒体500に記憶させるとよい。また、あらかじめ用意されたデータベースに、運転者とその運転者が利用する車両400との関係が、記憶媒体500等に登録されている場合、制御装置11は、自装置が装着された車両400が、識別した運転者が利用可能な車両でない(つまり登録車でない)場合、アラートを鳴らす等して警告する処理を行うようにしてもよい。
【0132】
なお、交代した運転者を撮影するために、撮影装置12がACCがオフの状態でも継続して撮影をして、新たな運転者が検出されたタイミングで運転者が交代したことを検知するようにすることが考えられる。しかしながら、このようにすると、ACCがオフになった後に、バッテリの電力で撮影装置12が撮影を継続する必要があり、撮影装置12の継続撮影のための電力を無駄に消費し、映像データの記憶領域も浪費することになる。
【0133】
そこで、本実施の形態の撮像システム100は、電源オン及び電源オフをイベントとしてとらえて、イベント録画を行う。ここで、
図2を参照して上述したように、車両400には、メインスイッチ405に連動したスイッチ連動電源端子410と、+B端子411とを備えており、イベントとしてとらえられる電源オン及び電源オフは、メインスイッチ405の入切による電源のオン及びオフを指す。スイッチ連動電源端子410は、アクセサリ電源(ACC)に接続されており、+B端子411は、常時電源としてのバッテリに接続されている。アクセサリ電源は、主電源として、メインスイッチ405がオンにされているときに撮像システム100に電力を供給する。バッテリは、副電源として、+B端子411を介して撮像システム100に常時電力を供給している。本実施の形態では、メインスイッチ405がオフにされているときには、撮像システム100は、常時電源としてのバッテリからの電力供給を受けることとしているが(つまり、+B運用とするが)、二次電池等の内部の電源や、外部のバッテリユニット等で代替し、又はこれらを併用してもよい。
【0134】
制御装置11は、メインスイッチ405がオンにされてアクセサリ電源が入れられる電源オンイベントの発生に応じて、撮影装置12で撮影によって生成された映像データをイベント録画の録画データとして記憶媒体500に記憶させる。また、制御装置11は、メインスイッチ405がオフにされていて主電源としてのアクセサリ電源が切られているときに待機状態を維持するとよい。待機状態では、制御装置11は、バッテリからの電力供給を受けて、電源オンイベントの発生を監視する。電源オンイベントの発生を監視している状態としては、副電源からの電力の供給を受けている状態で、電源オンイベントがあるまで待機している状態(つまり待機状態)とするとよい。具体的には、制御装置11は、アクセサリ電源が切られているときにも、バッテリからの電力によって電源オンイベントの検知を継続する。制御装置11は、車両400からメインスイッチ405がオンにされた旨の信号を受けたことを検知することで電源オンイベントを検知してもよいし、車両400からアクセサリ電源の電力供給を受けたことを検知することで電源オンイベントを検知してもよい。
【0135】
制御装置11は、待機状態であることにより、アクセサリ電源がオンにあってからイニシャライズ等の起動時の処理(設定、初期化)しなくても録画を開始できる。なお、待機状態は、アクセサリ電源がオンになったときに既に起動完了した状態であってよい。また、待機状態は、録画機能を使用できる状態で待機している状態であってもよい。さらに、待機状態は、電力が供給された状態であって、トリガとしてのアクセサリ電源のオンがあった場合に録画を開始するように待機している状態であってもよい。
【0136】
アクセサリ電源オンと車両400の運行開始(例えば、撮像システム100が録画を開始すること、録画すること、作業開始、走行開始)とは別の事象としてとらえられるから、アクセサリ電源オンがあった後に制御装置11が起動して、電源オンイベントによるイベント録画を行うようにすると、運行開始以降を撮影したイベント録画を行うことはできると考えられる。しかし、この場合、アクセサリ電源がオフの状態からアクセサリ電源を入れて起動するので、アクセサリ電源が入れられたタイミングやその直後を録画することはできない。制御部111の演算処理装置(例えばCPU)は、アクセサリ電源オンがある前は動いていないからである。そのため、上述した待機状態を導入したほうが、アクセサリ電源オンを契機としたイベント録画を速やかに開始することができ、アクセサリ電源が入れられたタイミングやその直後も録画しやすくなり、運行開始の状況もより確実に録画できるようにすることができ、より望ましい。
【0137】
なお、電源オンイベントによるイベント録画は、主電源としてのアクセサリ電源が入れられたことを条件に開始(いわゆる自動で開始)されるが、通信装置15を介した通信により受信した指示に応じて開始されたり、運転者の手動(操作)で開始されたりしてもよい。
【0138】
制御装置11は、電源オンイベントのイベント録画を行った後には、上述の常時録画を行うようにするとよい。このようにすると、電源オンイベントによるイベント録画の後に常時録画が行われるので、ユーザは、主電源としてのアクセサリ電源が入れられたときの車両400の周辺の状況を撮影した録画データに加え、主電源としてのアクセサリ電源が入れられて車両400が利用開始された後の車両400の周辺の状況を継続的に撮影した録画データを得ることができ、それらの状況を映像から把握できる。車両400がフォークリフトのような作業用車両の場合、車両400を利用した作業開始時の状況と、作業中の状況との両方の録画データを得ることができ、作業の状況を把握しやすくすることができる。制御装置11は、電源オンイベントによるイベント録画が終了した後に常時録画を開始させてもよいが、車両400の運行開始(例えば、車両400が走行開始したこと、車両400の速度が所定速度以上になったこと)したことを条件に常時録画を開始させてもよい。このようにすると、走行開始時点を基準としたした常時録画の映像データを得ることができる。後者の場合、制御装置11は、電源オンイベントによるイベント録画を終了させて常時録画を開始させてもよいし、電源オンイベントによるイベント録画を継続しつつ常時録画を行うようにしてもよい。
【0139】
制御装置11は、電源オンイベントの発生に応じてイベント録画を行った後に、電源オンイベント以外の所定のイベントの発生に応じてイベント録画を行うようにするとよい。このようにすると、電源オンイベントによる主電源としてのアクセサリ電源が入れられたときの車両400の周辺の状況を撮影したイベント録画を行うことに加え、この後に、電源オンイベント以外の所定のイベントに関するイベント録画を行うことができる。所定のイベントとしては、車両に所定の衝撃が発生したことを示すイベント等の車両400において事故やその他の危険を伴う事象が発生した可能性があることを示すイベントとすると、車両400において特に録画が必要な状況を撮影した録画データを得ることができる。例えば、車両400がフォークリフトのような作業用車両の場合、車両400を利用した作業開始時の状況と、作業中において録画が必要な状況との両方の録画データを得ることができ、作業の状況を把握しやすくすることができる。
【0140】
電源オンイベントによるイベント録画は、少なくとも電源オン(メインスイッチ405がオン)されたとき以降の期間に撮影した映像を記録するものとするとよいが、電源オン(メインスイッチ405がオン)される前の期間に撮影した映像を記録すると特に良く、電源オンされる前後の期間に撮影した映像を記録すると特に良い。そのために、上述のように、制御装置11は、メインスイッチ405がオフにされると、バッテリから供給される電力によって、撮影装置12に撮像を継続させて、映像データを一時記憶部としてのメモリに記憶させるとよい。このとき、メモリには、一定の時間分(例えば、20秒分)だけ保存し、古いデータを順次消去するようにしてよく、あるいは、より長い時間(例えば、3日)の映像データをメモリに書き込むようにしてもよい。
【0141】
制御装置11は、電源オンイベントが発生する前の所定の時間部の映像データも含めて電源オンイベントによるイベント録画を行うことができる。車両400の主電源としてのアクセサリ電源が入れられる前の車両400の周辺の状況を撮影した録画データを得ることができ、その状況を映像から把握することができる。例えば、運転者が車両400のメインスイッチ405を押す前、すなわち車両400の利用を開始する前の様子も含めて、イベント録画の録画データに残すことができる。上述したように、フォークリフトのような作業用車両では、利用開始時や終了時に、法令、社内規則その他の基準で定められた点検動作を行う必要があることもある。この点検動作にアクセサリ電源を入れる前に行うべき動作がある場合でも、アクセサリ電源を入れる前の期間についてもイベント録画の期間に含まれるので、そのような点検動作を行っているか否かや、点検動作が適切に行われているかどうかの状況を映像から把握できるようにすることができる。イベント録画の期間(時間長)は、このような点検動作に要する時間や、内容、点検動作の項目数等の少なくともいずれかに基づいて、設定されていてもよい。例えば、ユーザが点検動作に要する時間や、内容、点検動作の項目数等の少なくともいずれかを指定すると、制御装置11がイベント録画の時間長を決定するようにしてもよい。
【0142】
このようなメインスイッチ405のオフ後の継続した撮像に代えて又は加えて、メインスイッチ405のオフを電源オフイベントとして検知して、イベント録画をするようにしてもよい。この場合には、制御装置11は、車両400からメインスイッチ405がオフされたことを示す信号を受けると、これを電源オフイベントして検知して、所定時間のイベント録画を行う。このイベント録画のために、メインスイッチ405がオフにされた後には、撮像システム100は、バッテリから供給される電力によって動作する。電源オフイベントによるイベント録画は、少なくとも電源オフ(メインスイッチ405がオフ)されたときの前か後の一方の期間に撮影した映像を記録するよいが、電源オフされる前後の期間に撮影した映像を記録すると特に良い。
【0143】
制御部111は、電源オンイベントによるイベント録画の録画データは、他のイベント録画の録画データとは区別可能な態様で記憶媒体500に記憶させるとよい。このようにすると、電源オンイベントによるイベント録画の録画データと、他のイベントに関するイベント録画の録画データを容易に他の録画データと区別でき、各イベントの録画データの取り扱いを容易にすることができる。区別可能な態様で記憶させることとしては、電源オンイベントによるイベント録画の録画データと、それ以外のイベント録画の録画データとを、ファイル名から区別できるファイル名としたり、それらを異なるフォルダに格納したりして、記憶させることとするとよい。ファイル名から区別できるファイル名としては、イベント録画の種類(イベントの種類、イベント録画の原因といってもよい。)によって異なる文字列が付されるようにするとい。フォルダは、イベント録画の種類(イベントの種類、イベント録画の原因といってもよい。)毎に設けられた記憶領域(記憶する場所)の一例である。
【0144】
制御部111は、電源オフイベントによるイベント録画の録画データについても同様に、区別可能な態様で記憶媒体500に記憶させてもよい。制御部111は、他のイベント録画の録画データとは別のフォルダに保存してよいし、電源オフイベントによるイベント録画の録画データのファイル名を他のイベント録画の録画データとは区別可能な方法で決定してもよい。同様に、この場合には、電源オフイベントによるイベント録画の録画データを他のイベント録画の録画データと同じフォルダに保存してもよい。
【0145】
上記とは逆に、制御部111は、電源オンイベントによるイベント録画の録画データ及び電源オフイベントによるイベント録画の録画データに少なくとも一方について、他のイベント録画の画像データとは区別しない態様で、記憶媒体500に記憶させてもよい。このようにすると、電源オンイベントや電源オフイベントによるイベント録画の録画データを他の録画データと同等に扱うことができる。区別しない態様で記憶させることとしては、電源オンイベントによるイベント録画の録画データやそれ以外のイベント録画の録画データとを、ファイル名のみからでは区別できないファイル名としたり、同じフォルダに格納したりして、記憶させることとするとよい。この場合、ファイル名のみからでは区別できないファイル名としては、イベント録画の種類によらないで、同じ規則でファイル名を付するようにしたり、同じ文字列を付すようにするとよい。特に車両400がフォークリフトのような作業車両である場合、誰が車両400を利用したかや、車両400の利用開始時、及び利用中の所定のイベントの発生タイミングに録画し、後でそのとき状況を確認できるようにすることは重要である。電源オンイベントによるイベント録画や、それ以外のイベント録画の録画データと他のイベント録画の画像データとのいずれもが重要であり、いずれが重要でないと考えることなく、同等に扱うという知見に基づいている。
【0146】
制御部111は、イベント録画をしている最中にも他のイベントが発生しないかを監視し、他のイベントが発生した場合には、当該発生したイベントに対応するイベント録画を行う。制御部111は、例えば、電源オフイベントによるイベント録画を行っている場合において、衝撃イベントが発生したときは、電源オフイベントの発生に応じたイベント録画を中止して、当該衝撃イベントの発生に応じたイベント録画を行う。このようにすると、電源オフイベントによるイベント録画の最中にも衝撃イベントが発生したときには、衝撃イベントによるイベント録画を行うことができる。車両400において主電源としてのアクセサリ電源が入れられた時の状況を把握するための録画データを得ることは重要あるが、衝撃の発生は事故等の何らかの危険が発生した可能性を示すから、電源オフイベントの発生に応じたイベント録画を中止して衝撃イベントの発生に応じたイベント録画をすることで、衝撃が発生したときの状況を録画データから把握できるようにすることができる。例えば、車両400が電源オフされた後も、運転者が車両400から勢いよく飛び降りたりするなどして衝撃が発生した場合に、その様子を録画することもできる。
【0147】
また、制御部111は、電源オンイベントによるイベント録画の録画データ及び電源オフイベントの少なくとも一方によるイベント録画の録画データ(イベント録画の映像データの一例)に対して、画像認識をすることで、運転者を識別する識別部としても機能するとよい。電源オンイベントによるイベント録画により、主電源としてのアクセサリ電源が入れられて車両400の利用開始時の運転者が誰であるかを識別できる。電源オフイベントによるイベント録画により、アクセサリ電源が切られて車両400の利用の終了時の運転者が誰であるかを識別できる。また、制御部111は、イベント録画の録画データ(映像データの一例)に基づいて運転者の識別を行ってもよいが、一時記憶部に記憶したイベント録画の映像データに基づいて運転者の識別を行ってもよい。このようにすると、主電源としてのアクセサリ電源が入れられた又は切られたときのリアルタイム(ほぼリアルタイム)に運転者を識別できるので良い。このように、イベント録画の映像データとしてイベント録画が行われる期間の映像データを用いて運転者の識別が行われるとよい。
【0148】
運転者の識別は、制御部111以外の装置において行うようにしてもよい。この場合には、撮影装置12で生成された撮像データが通信装置15によって識別装置(例えば、外部のサーバ装置)に送信されて、識別装置において運転者の識別が行われるようにするとよい。このようにすると、制御装置11(車両400側のシステム)に運転者を識別する識別部を設けなくてもよいので、車両400側のシステムの構成を簡素化させることができる。また、その識別に係る情報処理が削減される分だけ、制御装置11の発熱を抑える効果も期待できる。一実施例として、制御装置11は、アクセサリ電源オン(ACCON)のタイミングで映像を記録し、イベント録画を行い、イベント録画の映像をサーバーに伝送する。サーバー側で撮影された映像から運転者を認識する構成とするとよい。サーバ側で行われる運転者を認識した結果に基づく処理は、上述した処理と同様であっても良いし異なっていてもよい。
【0149】
このように、制御部111は、電源オンイベント及び電源オフイベントの発生にそれぞれ応じてイベント録画を行う機能を有するが、制御部111は、ユーザからの指示に応じて、これらの機能をそれぞれ有効化し、又は無効化するようにしてもよい。制御部111は、電源オンイベントによるイベント録画が有効化されているときは、上述のように、電源がオフになっているときにメインスイッチ405がオンにされる電源オンイベントを監視し、電源オンイベントの発生を検知したことに応じてイベント録画を行い、電源オンイベントによるイベント録画が無効化されているときは、電源オフのときの電源オンイベントの監視を停止して、電源オンイベントの検知は行わない。また、制御部111は、電源オフイベントによるイベント録画が有効化されているときは、上述のように、電源がオンになっているときにメインスイッチ405がオフにされる電源オフイベントを監視し、電源オフイベントの発生を検知したことに応じてイベント録画を行い、電源オフイベントによるイベント録画が無効化されているときは、電源オンのときの電源オフイベントの監視を停止して、電源オフイベントの検知は行わない。
【0150】
電源オンイベント及び電源オフイベントの一方又は両方について、イベント録画をユーザが有効化し、又は無効化する設定を行う機能が、車両400側のシステム(例えば、制御装置11)に搭載されてもよいが、録画データを再生する機能を備えたソフトウェアに搭載されているとよい。例えば、電源オンイベント及び電源オフイベントの一方又は両方について、イベント録画を行う機能を有効化し、又は無効化する設定を行う機能を、上述したビューアが搭載してもよい。ビューアを実行したパーナルコンピュータ等の情報表示端末は、画面上に”アクセサリ電源オントリガ”という文字列と関連付けてチェックボックスを表示させ、これにチェックが入れられた状態では、電源オンイベントによるイベント録画を行う機能を有効化し、これにチェックを入れられていない状態では、電源オンイベントによるイベント録画を行う機能を無効化する。同様に、ビューアを実行したパーナルコンピュータ等の情報表示端末は、画面上に” ”アクセサリ電源オフトリガ”という文字列と関連付けてチェックボックスを表示させ、これにチェックが入れられた状態では、電源オフイベントによるイベント録画を行う機能を有効化し、これにチェックを入れられていない状態では、電源オフイベントによるイベント録画を行う機能を無効化する。ビューアを実行したパーナルコンピュータ等の情報表示端末は、この有効化又は無効化した設定を示す設定データを、記憶媒体500に記憶させる。制御装置11は、リーダライタ114に記憶媒体500が装着された状態では、この記憶媒体500に記憶された設定データに基づいて、イベント録画を行う機能を有効化し、又は無効化するとよい。
【0151】
本実施形態の電源オンイベントによるイベント録画や、電源オフイベントによるイベント録画により、車両400の利用が開始されるときや、利用が終了されるときの車両400の周辺の状況を映像で確認できるようにでき、運転者による安心・安全な車両400の利用や作業の遂行を促し、安全・安心な労働環境を促進することにもなるので、SDGsにも貢献することができる。
【0152】
制御部111は、上述のように、CPU、MPU、GPU、ASIC、及びFPGA等のプロセッサを有し、記憶部112は、RAM、及びROM等を有する。記憶部112には、上述の制御部111による録画の各種の動作を行うための移動体録画プログラムが記憶されており、制御部111は、記憶部112のROMから読み出した移動体録画プログラムをRAMに展開して演算処理を行うことにより、上記の録画の各種の動作を実行する。移動体録画プログラムは、非一時的な記憶媒体から読み出すことによって記憶部112に記憶されてもよいし、通信ネットワークを介して制御装置11がダウンロードすることで記憶部112に記憶されてもよい。
【0153】
上述した放熱に関する構成を適用可能な装置は、上述した制御装置11に限られない。撮影装置12や通信装置15、その他の情報処理を行う情報処理装置に適用することができ、また、上述した放熱に関する構成を適用可能な装置は、レーダー/レーザー探知機、ナビゲーションシステム等の他の車載の情報処理装置であってもよいし車載の情報処理装置以外の情報処理装置であってもよい。このように、上述した放熱に関する構成を有する情報処理装置、放熱構造としては様々考えられる。電源オンイベントや電源オフイベントのイベントによるイベント録画を行う装置は、一般車両等で用いられるドライブレコーダや、船舶に搭載される撮影装置や画像記録装置等としてもよい。
【0154】
また、撮影装置12は、例えばアラウンドビューなどのように、フォークリフトである車両400の全体を上部から撮影するように設置されてもよい。あるいは、撮影装置12は、フォーク402を上げたときは高さがあるので、車両400の最上となる位置に設置されてもよい。このように、最上部から見た前方または後方の画像を合わせて、運転手に見えるモニター(図示略)に撮影装置12が撮影した映像を映すことで、事故の未然防止に繋がることが期待できる。さらに、制御装置11又は別の装置がその画像を画像認識し、解析することにより、衝突警告をしたり、又は車両400を停止させる安全機能を有してもよい。
【0155】
なお、本発明の範囲は、明細書に明示的に説明された構成や限定されるものではなく、本明細書に開示される本発明の様々な側面の組み合わせをも、その範囲に含むものである。本発明のうち、特許を受けようとする構成を、添付の特許請求の範囲に特定したが、現在の処は特許請求の範囲に特定されていない構成であっても、本明細書に開示される構成を、将来的に特許請求の範囲とする意思を有する。
【0156】
本願発明は上述した実施の形態に記載の構成に限定されない。上述した各実施の形態や変形例の構成要素は任意に選択して組み合わせて構成するとよい。また各実施の形態や変形例の任意の構成要素と、発明を解決するための手段に記載の任意の構成要素又は発明を解決するための手段に記載の任意の構成要素を具体化した構成要素とは任意に組み合わせて構成するとよい。これらについても本願の補正又は分割出願等において権利取得する意思を有する。「~の場合」「~のとき」という記載があったとしてもその場合やそのときに限られる構成として記載はしているものではない。これらの場合やときでない構成についても開示しているものであり、権利取得する意思を有する。また順番を伴った記載になっている箇所もこの順番に限らない。一部の箇所を削除したり、順番を入れ替えた構成についても開示しているものであり、権利取得する意思を有する。
【0157】
また、Aとしては、例えば、a1、a2・・・、及びanとするとよい、という内容で説明した箇所は、Aに、a1、a2・・・及びanのうちの1つ又は2つ以上が含まれるものとして特定されてもよいが、Aに、a1、a2・・・及びanのうちの1つ又は2つ以上が含まれないものとして特定されてもよい。そのため、「A(ただし、a1を除く。)」、「A(ただし、a1及びa2を除く。)」といった、列挙した要素のうちの少なくとも一部の要素を除外した発明についても権利取得をする意思を有する。
【0158】
AにBを備え、BにCを備えるというような形で記載している箇所については、AにCを備えるようにしてもよい。Aの次にBを行い、Bの次にCを行うと処理を記載している箇所については、Aの次にCを行う構成としてもよい。条件判断後に実行される処理として記載している箇所は、条件判断を前提としない、当該処理部分について実行するものについても開示しているのであって、これらについても権利取得する意思を有する。PにQを備えというような形で記載している箇所について、PとQの間に介在物や介在処理を備えるようにしてもよい。これらについても権利取得をする意思を有する。
【0159】
また、意匠登録出願への変更により、全体意匠又は部分意匠について権利取得する意思を有する。図面は本装置の全体を実線で描画しているが、全体意匠のみならず当該装置の一部の部分に対して請求する部分意匠も包含した図面である。例えば当該装置の一部の部材を部分意匠とすることはもちろんのこと、部材と関係なく当該装置の一部の部分を部分意匠として包含した図面である。当該装置の一部の部分としては、装置の一部の部材としても良いし、その部材の部分としても良い。全体意匠はもちろんのこと、図面の実線部分のうち任意の部分を破線部分とした部分意匠を、権利化する意思を有する。また、装置の筐体の内部のモジュール・部材・部品等についても、図面に表示されているものは、いずれも独立して取引の対象となるものであって、同様に、意匠登録出願への変更を行って権利化を行う意思を有するものである。
【0160】
[付記]
本明細書は、移動体に搭載される撮影部が撮影した画像に基づく録画に関する発明として、以下の発明も包含するものである。
【0161】
(A)本発明の一態様のシステムは、移動体に設けられ、撮影して映像データを生成する撮像部と、前記移動体の電源が入れられる電源オンイベントの発生に応じて、前記撮像部で生成された前記映像データをイベント録画の録画データとして記憶部に記憶させる制御部とを備えた構成を有しているとよい。
【0162】
このようにすると、電源オンイベントの発生に応じてイベント録画をすることができるので、ユーザは、移動体の電源が入れられたときの移動体の内部又は外部といった移動体の周辺の状況を撮影した録画データを得て、その状況を映像から把握できる。ユーザとしては、車両を利用する運転者としてもよいし、車両を管理する管理者等としてもよい。例えば、電源がオフになっているときにも常時録画を行っていれば次回電源オンされたときの移動体の周辺の状況を撮影した録画データを得ることもできるが、そのような場合と比較して、電力及び記憶領域の浪費を抑えることができる。
【0163】
(B)前記制御部は、前記移動体の主電源が切られているときにも、副電源により前記電源オンイベントの発生を監視してよい。
【0164】
このようにすると、主電源が切られているときも副電源により電源オンイベントの発生を監視しているので、そのような監視をしていない場合に比べて、電源オンイベントが発生したら速やかにイベント録画を開始できる。電源オンイベントの発生を監視している状態としては、副電源からの電力の供給を受けている状態で、電源オンイベントがあるまで待機している状態(つまり待機状態)とするとよい。
【0165】
(C)前記撮像部は、前記主電源が切られているときにも、前記副電源により前記映像データを生成してよい。
【0166】
このようにすると、主電源が切られているときも、副電源により電源オンイベントが発生する前から映像データを生成しているので、主電源が入れられてから映像データの生成を開始する場合に比べて、電源オンイベントが発生したら速やかにイベント録画を開始できる。また、電源オンイベントの発生前からの映像データを得ることができるので、ユーザは、移動体の主電源が入れられる前の移動体の周辺の状況を把握するための映像データを得て、その状況を映像から把握することができる。
【0167】
(D)前記移動体の主電源が切られているときに前記撮像部で生成された最新の映像データを所定の時間分だけ一時保存する一時記憶部をさらに備えていてよく、前記制御部は、前記一時記憶部に保存された所定の時間分の映像データを含む映像データを前記イベント録画の録画データとして前記記憶部に記憶させてよい。
【0168】
このようにすると、電源オンイベントが発生する前の所定の時間部の映像データも含めてイベント録画を行うことができる。ユーザは、移動体の主電源が入れられる前の移動体の周辺の状況を撮影した録画データを得て、その状況を映像から把握することができる。
【0169】
(E)前記制御部は、前記電源オンイベントの発生に応じてイベント録画の録画データを前記記憶部に記憶させた後に、前記撮像部で生成された前記映像データを常時録画の録画データとして常時前記記憶部に記憶させてよい。
【0170】
このようにすると、電源オンイベントによるイベント録画の後に常時録画が行われるので、ユーザは、主電源が入れられたときの移動体の周辺の状況を撮影した録画データに加え、主電源が入れられて移動体が利用開始された後の移動体の周辺の状況を継続的に撮影した録画データを得て、それらの状況を映像から把握できる。例えば、車両がフォークリフトのような作業用車両の場合、車両を利用した作業開始時の状況と、作業中の状況との両方の録画データを得ることができ、作業の状況を把握しやすくすることができる。
【0171】
(F)前記前記制御部は、前記電源オンイベントの発生に応じてイベント録画の録画データを前記記憶部に記憶させた後に、前記電源オンイベント以外の所定のイベントの発生に応じて前記撮像部で生成された前記映像データをイベント録画の録画データとして前記記憶部に記憶させてよい。
【0172】
このようにすると、電源オンイベントによる主電源が入れられたときの移動体の周辺の状況を撮影したイベント録画を行うことに加え、この後に、電源オンイベント以外の所定のイベントに関するイベント録画を行うことができる。所定のイベントとしては、車両に所定の衝撃が発生したことを示すイベント等の移動体において事故やその他の危険を伴う事象が発生した可能性があることを示すイベントとすると、移動体において録画が必要な様々な状況を撮影した録画データを得ることができる。例えば、車両がフォークリフトのような作業用車両の場合、車両を利用した作業開始時の状況と、作業中において録画が必要な状況との両方の録画データを得ることができ、作業の状況を把握しやすくすることができる。
【0173】
(G)前記制御部は、前記イベント録画の録画データを他の録画データとは区別可能な態様で前記記憶部に記憶させてよい。
【0174】
このようにすると、電源オンイベントによるイベント録画の録画データと、他のイベントに関するイベント録画の録画データを容易に他の録画データと区別でき、各イベントの録画データの取り扱いを容易にすることができる。区別可能な態様で記憶させることとしては、電源オンイベントによるイベント録画の録画データと、それ以外のイベント録画の録画データとを、ファイル名から区別できるファイル名としたり、それらを異なるフォルダに格納したりして、記憶させることとするとよい。
【0175】
(H)前記制御部は、前記イベント録画の録画データを他の録画データとは区別しない態様で前記記憶部に記憶させてよい。
【0176】
このようにすると、電源オンイベントによるイベント録画の録画データを他の録画データと同等に扱うことができる。区別しない態様で記憶させることとしては、電源オンイベントによるイベント録画の録画データやそれ以外のイベント録画の録画データとを、ファイル名のみからでは区別できないファイル名としたり、同じフォルダに格納したりして、記憶させることとするとよい。特に移動体がフォークリフトのような作業車両である場合、誰が移動体を利用したかや、移動体の利用開始時、及び利用中の所定のイベントの発生タイミングに録画し、後でそのとき状況を確認できるようにすることは重要である。電源オンイベントによるイベント録画や、それ以外のイベント録画の録画データと他のイベント録画の画像データとのいずれもが重要で、これらを同等に扱うという知見に基づいている。
【0177】
(I)前記制御部は、前記移動体の主電源が切られる電源オフイベントの発生に応じて、前記撮像部で生成された前記映像データをイベント録画の録画データとして前記記憶部に記憶させてよい。
【0178】
このようにすると、電源オフイベントの発生に応じてイベント録画をすることができるので、電源がオフにされたときの移動体の周辺の状況を撮影した録画データを得て、映像からその状況を把握できるようにすることができる。
【0179】
(J)前記制御部は、前記電源オフイベントの発生に応じたイベント録画を行っている場合において、衝撃イベントが発生したときは、前記電源オフイベントの発生に応じたイベント録画を中止して当該衝撃イベントの発生に応じたイベント録画を行ってよい。
【0180】
このようにすると、電源オフイベントによるイベント録画の最中にも衝撃イベントが発生したときには、衝撃イベントによるイベント録画を行うことができる。移動体において主電源ガ入れられた時の状況を把握するための録画データを得ることは重要であるが、衝撃の発生は事故等の何らかの危険が発生した可能性を示すから、電源オフイベントの発生に応じたイベント録画を中止して衝撃イベントの発生に応じたイベント録画をすることで、衝撃が発生したときの状況を録画データから把握できるようにすることができる。例えば、移動体が電源オフされた後も、運転者が移動体から勢いよく飛び降りたりするなどして衝撃が発生した場合に、その様子を録画することもできる。
【0181】
(K)前記撮像部は、前記移動体の運転者を識別可能な部位を撮影してよい。
【0182】
このようにすると、移動体の運転者を識別するために、電源オンイベントによるイベント録画を行うことができる。移動体としては、特に作業用車両とするとよく、特にフォークリフトであるとよい。フォークリフトのような作業車両においては、複数の運転者によって共用され、運転者が頻繁に入れ替わることがあるから、電源オンイベントによるイベント録画により、主電源が入れられて移動体の利用開始時の運転者が誰であるかを、録画データの映像から把握できるようにすることができる。運転者を識別可能な部位としては、特に、移動体の運転者が被るヘルメットが存在することがある部位とするとよい。
【0183】
(L)前記電源オンイベントの発生に応じたイベント録画の映像データに基づいて前記運転者を識別する識別部をさらに備えていてよい。
【0184】
このようにすると、電源オンイベントによるイベント録画により、主電源が入れられて移動体の利用開始時の運転者が誰であるかを識別できる。イベント録画の映像データとしては、イベント録画が行われる期間の映像データとするとよく、イベント録画を行うために一時記憶部に保存された映像データとすると、主電源が入れられたときのリアルタイム(ほぼリアルタイム)に運転者を識別できる。イベント録画の映像データとしては、イベント録画により記憶部に記憶された録画データとしてもよい。このようにすると、移動体の利用が終了した後のタイミングでも、録画データから運転者を識別できる。
【0185】
(M)前記電源オフイベントの発生に応じたイベント録画の映像データに基づいて前記運転者を識別する識別部をさらに備えていてよい。
【0186】
このようにすると、電源オフイベントによるイベント録画により、主電源が切られて移動体の利用の終了時の運転者が誰であるかを識別できる。イベント録画の映像データとしては、イベント録画が行われる期間の映像データとするとよく、イベント録画を行うために一時記憶部に保存された映像データとすると、主電源が切られたときのリアルタイム(ほぼリアルタイム)に運転者を識別できる。イベント録画の映像データとしては、イベント録画により記憶部に記憶された録画データとしてもよい。このようにすると、移動体の利用が終了した後のタイミングでも、録画データから運転者を識別できる。
【0187】
(N)前記電源オンイベントの発生に応じたイベント録画の録画データを前記システムとは別体の装置に送信する送信部をさらに備え、前記別体の装置は、前記送信部から送信された前記イベント録画の録画データに基づいて前記運転者を識別する識別部を備えていてよい。
【0188】
このようにすると、電源オンイベントによるイベント録画の録画データをシステムとは別の装置において、運転者が誰であるかを識別できる。移動体側のシステムに運転者を識別する識別部を設けなくてもよいので、移動体側のシステムの構成を簡素化させることができる。
【0189】
(O)前記制御部は、前記移動体の主電源が入れられる電源オンイベントの発生に応じたイベント録画の録画データの記憶を無効化及び有効化する機能を備えていてよい。
【0190】
このようにすると、電源オンイベントによるイベント録画をユーザが有効化し、又は無効化できる。電源オンイベントによるイベント録画をユーザが有効化し、又は無効化するための設定は、移動体側のシステムに搭載されてもよいが、録画データを再生する機能を備えたソフトウェアに搭載されているようにすると特によい。そのようなソフトウェアとしては、ビューアと呼ばれるものがある。ソフトウェア上でユーザが有効化し、又は無効化するための設定を示す設定データが、記憶部に記憶されるようにすることで、ユーザの設定が完了するようにするとよい。制御部は、録画データの記憶にも用いられる記憶部に記憶された設定データに基づいて、電源オンイベントの発生に応じたイベント録画の録画データの記憶を無効化及び有効化するとよい。電源オフイベントやその他のイベントについても、同様にして、オンオフを設定できるようにすると特に良い。
【0191】
(P)前記移動体はフォークリフトであってよい。
【0192】
このようにすると、フォークリフトの電源オンイベントによるイベント録画を行うことができる。特にフォークリフトの利用において必要なタイミングでイベント録画を行って録画データを得て、フォークリフトの利用時におけるフォークリフトの周辺の状況を確認することができる。
【0193】
(Q)本発明の一態様のシステムは、移動体に設けられ、撮影して映像データを生成する撮像部と、前記移動体の電源が切られる電源オフイベントの発生に応じて、前記撮像部で生成された前記映像データをイベント録画の録画データとして記憶部に記憶させる制御部とを備えた構成を有しているとよい。
【0194】
このようにすると、電源オフイベントの発生に応じてイベント録画をすることができるので、移動体の利用が終了して、移動体の電源が切られたときの移動体の内部又は外部といった移動体の周辺の状況を撮影した録画データを得ることができる。移動体の電源としては、移動体の主電源とすると特に良い。
【0195】
(R)本発明の一態様のプログラムは、上記いずれかのシステムの制御部の機能をコンピュータに実現させるためのプログラムであるとよい。
【0196】
上述した(A)から(R)に示した発明は、任意に組み合わせることができる。例えば、(A)に示した発明の全てまたは一部の構成に、(B)以降の少なくとも1つの発明の少なくとも一部の構成を加える構成としてもよい。特に、(A)に示した発明に、(B)以降の少なくとも1つの発明の少なくとも一部の構成を加えた発明とするとよい。また、(A)から(R)に示した発明から任意の構成を抽出し、抽出された構成を組み合わせてもよい。本願の出願人は、これらの構成を含む発明について権利を取得する意思を有する。また「~の場合」「~のとき」という記載があったとしても、その場合やそのときに限られる構成として記載はしているものではない。これらはよりよい構成の例を示しているものであって、これらの場合やときでない構成についても権利取得する意思を有する。また順番を伴った記載になっている箇所もこの順番に限らない。一部の箇所を削除したり、順番を入れ替えたりした構成についても開示しているものであり、権利取得する意思を有する。
【符号の説明】
【0197】
11 制御装置
12 撮影装置
13 GNSS受信装置
14 センサ装置
15 通信装置
16 ワンタッチSW装置
100 撮像システム
111 制御部
112 記憶部
113 音声出力部
114 リーダライタ
61 筐体
63 記憶媒体の挿入口
64 ケーブルの接続口
65 両面テープ
66 熱伝導部
121 撮影映像
400 車両(フォークリフト)
401 マスト
402 フォーク
403 運転席
404 ステアリングホイール
405 メインスイッチ
406 操作レバー
407 ペダル
408 ヘッドガード
409 支柱
410 スイッチ連動電源端子
411 +B端子
500 記憶媒体
611 表面
612 裏面
613~616 側面
661 ヒートシンク
662 熱伝導シート
663 溝
664 フィン
6121 取付アーム
6611 露出部分